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特許7565623光導波路を用いた検出および測距システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】光導波路を用いた検出および測距システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2022537840
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 IL2020051315
(87)【国際公開番号】W WO2021137208
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】62/954,739
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェイ・ダンジガー
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017206912(DE,A1)
【文献】特表2018-537680(JP,A)
【文献】特開2001-243822(JP,A)
【文献】特表2016-505898(JP,A)
【文献】特表2019-516101(JP,A)
【文献】特開2003-279865(JP,A)
【文献】国際公開第2018/122859(WO,A1)
【文献】特開2012-013574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377696(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部反射によって光を誘導するための少なくとも2つの主要な外面を有する光導波路であって、前記2つの主要な外面のうちの第1の外面が、シーンに対して面して配備される、光導波路と、
前記光導波路に関連して設けられ、内部反射によって光導波路内を伝搬するように光を光導波路内に結合するように構成されている光学内結合構成と、
前記光導波路によって誘導された光の一部を、前記シーンに向かって前記光導波路外に結して一次元又は二次元でアパーチャ拡張を提供するように構成されている前記光導波路に関連する光学外結合構成にして、前記2つの主要な外面に対して斜めに光導波路内で平行に配備された一連の部分反射面を含み、前記一連の部分反射面それぞれがコーティングに基づくものである光学外結合構成と、
記光導波路内に結合するための光を放出するように配備された照射アレンジメントと、
前記光学内結合構成を介して前記光導波路内に結合する前に前記照射アレンジメントによって放出された光をコリメートするために、前記照射アレンジメントと前記光学内結合構成との間の光路に配備されたコリメート光学系と、
前記光学外結合構成によって前記光導波路外に結合された光による物体の照射に応答して、前記シーン内に位置する前記物体から反射された光を感知するための検出器と、
少なくとも1つのプロセッサを含む処理サブシステムであって、前記処理サブシステムが、前記検出器に電気的に関連し、かつ前記検出器からの信号を処理して、前記物体に関連する情報を導出するように構成されている、処理サブシステムと、を備える、システム。
【請求項2】
前記反射された光を前記検出器上に集束させるための集束光学系をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記集束光学系が、前記2つの主要な外面のうちの第2の外面側に設けられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記反射された光が、前記集束光学系によって受けられる前に前記2つの主要な外面によって透過される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムの出力アパーチャが、少なくとも部分的に前記光学外結合構成によって定義され、前記システムの入力アパーチャが、少なくとも部分的に前記集束光学系によって定義される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記入力アパーチャが、前記出力アパーチャと少なくとも部分的に重なる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記入力アパーチャおよび前記出力アパーチャが重ならない、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記2つの主要な外面のうちの前記第1の外面側に設けられた回折光学素子をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光学外結合構成によって光導波路外に結合された光で前記シーンを走査するように配備された走査アレンジメントをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記走査アレンジメントが、前記照射アレンジメントと前記コリメート光学系との間に配備され、前記走査アレンジメントが、前記照射アレンジメントによって放出された光を偏向させ、前記光導波路外に結合された前記光が対応する角度範囲をカバーするような角度範囲をカバーするように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記走査アレンジメントが、前記2つの主要な外面のうちの前記第1の外面側に設けられる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記光学内結合構成は、前記2つの主要な外面のうちの前記第1の外面側に設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記照射アレンジメントと前記光導波路との間の光路に配備され、前記照射アレンジメントによって放出された光のアパーチャ拡張を少なくとも第1の次元で実行するように構成されている光学構成要素をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記2つの主要な外面のうちの前記第1の外面側に設けられ、前記第1の次元に直交する第2の次元を走査するように構成されている走査アレンジメントをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記光学構成要素が、前記第1の次元、および前記第1の次元に直交する第2の次元において、前記照射アレンジメントによって放出される光の拡張を実行するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記光学構成要素が、内部反射によって前記照射アレンジメントによって放出された光を誘導するための光透過基板と、前記光導波路に向かって前記光透過基板外に前記光透過基板によって誘導された光の一部を結合するための前記光透過基板に関連する第2の光学外結合構成と、を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記コーティングが、誘電体コーティングを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記光学外結合構成が、前記2つの主要な外面のうちの少なくとも1つに関連する回折光学素子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記光学内結合構成は、結合プリズム又は内結合反射器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記照射アレンジメントが、複数のビーム源を含み、前記ビーム源が異なるそれぞれの波長で光を生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記照射アレンジメントが、前記ビーム源によって生成された前記光をコンバイン光ビームにコンバインするためのビームコンバイナをさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記波長が、電磁スペクトルの近赤外領域にある、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記ビーム源が、レーザー源として実装される、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記レーザー源が、パルスレーザー源であり、前記処理サブシステムが、電気的に前記照射アレンジメント関連し、前記レーザー源のパルスタイミングを制御するようにさらに構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ビーム源の1つが、電磁スペクトルの可視領域で光を生成するように構成されており、残りのビーム源が、前記電磁スペクトルの近赤外領域で異なるそれぞれの波長の光を生成するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記処理サブシステムが、前記照射アレンジメントに電気的に関連し、前記照射アレンジメントの照射タイミングを制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記処理サブシステムによって導出された前記物体に関連する前記情報が、飛行時間情報を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記処理サブシステムによって導出された前記物体に関連する前記情報が、前記検出器から前記物体までの距離を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記処理サブシステムが、前記物体に関連する前記情報に基づいて前記物体の三次元表現を構築するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記システムが、地上ベースの車両に配備される、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記システムが、航空機に搭載される、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
前記光導波路が、前記光導波路外に結合された光で前記シーンの横方向の走査を有効にするように台形の断面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
長方形の断面を形成する2対の平行な主要な外面を有する光透過基板と、
前記光透過基板に関連する光学結合構成であって、前記光透過基板内に結合された光が前記光透過基板を通って4重の内部反射によって進行し、前記光透過基板を通って進行する前記光の強度の一部が、前記光学結合構成によって前記光透過基板外、および前記光導波路内に結合される、光学結合構成と、をさらに備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記光導波路が、長方形の断面を形成する2対の平行な主要な外面を含み、前記光導波路内に結合された光は、前記光導波路を通って4重の内部反射によって進行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
光学結合構成をさらに備え、前記光導波路が、前記光学結合構成に関連する第1の導波路セクションと、前記光学外結合構成に関連する第2の導波路セクションと、を含み、前記光導波路内に結合された光が、内部反射によって前記第1の導波路セクションを通って進行し、前記第1の導波路セクションを通って進行する前記光の強度の一部が、前記光学結合構成によって第1の方向に偏向され、前記第1の導波路セクション外、かつ前記第2の導波路セクション内に結合され、内部反射によって前記第2の導波路セクションを通って進行するようにし、前記第2の導波路セクションを通って進行する光が、前記光学外結合構成によって第2の方向に偏向され、前記シーンに向かって前記光導波路外に結合されるようにする、請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
前記光学結合構成が、第1の次元での光の走査を達成し、前記光学外結合構成が、前記第1の次元に実質的に直交する第2の次元で光の走査を達成する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
光検出および測距(LIDAR)システムであって、
送信機であって、
内部反射によって光を誘導するための少なくとも2つの主要な外面を有する光導波路であって、前記主要な外面のうちの1つが、シーンに対して面して配備される、光導波路と、
前記光導波路に関連して設けられ、内部反射によって光導波路内を伝搬するように光を光導波路内に結合するように構成されている光学内結合構成と、
前記光導波路によって誘導された光の一部を、前記シーンに向かって前記光導波路外に結して一次元又は二次元でアパーチャ拡張を提供するように構成されている前記光導波路に関連する光外結合構成にして、前記2つの主要な外面に対して斜めに光導波路内で平行に配備された一連の部分反射面を含み、前記一連の部分反射面それぞれがコーティングに基づくものである光学外結合構成と、
記光導波路内に結合するための光のコヒーレントビームを放出するように構成されている少なくとも1つのビーム源と、
前記光学内結合構成を介して前記光導波路内に結合する前に前記少なくとも1つのビーム源によって放出された光をコリメートするために、前記少なくとも1つのビーム源と前記光学内結合構成との間の光路に配備されたコリメート光学系と、
前記光学外結合構成によって前記光導波路外に結合された光で前記シーンを走査するように配備された走査アレンジメントと、を備える、送信機と、
受信機であって、
前記光学外結合構成によって前記光導波路外に結合された光による物体の照射に応答して、前記シーン内に位置する前記物体から反射された光を感知するための検出器と、
少なくとも1つのプロセッサを含む処理サブシステムであって、前記処理サブシステムが、前記検出器に電気的に関連し、かつ前記検出器からの信号を処理して、前記物体の三次元表現を構築するように構成されている、処理サブシステムと、を備える、受信機と、を備える、LIDARシステム。
【請求項38】
前記処理サブシステムが、前記少なくとも1つのビーム源に電気的に関連し、前記少なくとも1つのビーム源の照射タイミングを制御するようにさらに構成されている、請求項37に記載のLIDARシステム。
【請求項39】
前記送信機が、前記光学外結合構成によって少なくとも部分的に定義される出力アパーチャを有し、前記受信機が、前記反射された光を前記検出器上に集束させるための集束光学系によって少なくとも部分的に定義される入力アパーチャを有し、前記入力アパーチャが、前記出力アパーチャと少なくとも部分的に重なる、請求項37に記載のLIDARシステム。
【請求項40】
前記送信機が、前記光学外結合構成によって少なくとも部分的に定義される出力アパーチャを有し、前記受信機が、前記反射された光を前記検出器上に集束させるための集束光学系によって少なくとも部分的に定義される入力アパーチャを有し、前記入力アパーチャおよび前記出力アパーチャが重ならない、請求項37に記載のLIDARシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月30日に出願された米国仮特許出願第62/954,739号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光導波路に関し、特に、検出および測距システムで使用される光導波路に関連する。
【背景技術】
【0003】
光検出および測距(LIDAR)システムは、例えば、自律型車両のための三次元(3D)センサを含む様々なアプリケーションで使用される。LIDARシステムは、レーザーパルスを送信するための発光器ユニット、放出されたレーザーパルスをシーンに向けて、広い関心領域を走査するようにする走査タイプのアレンジメント、およびシーンにおいて物体から反射された光を収集し、収集された反射光を処理して、走査された物体に関する情報を導出する光受信機ユニットを用いる。
【0004】
発光器ユニットは通常、人間の目に害を及ぼす可能性のある比較的高い強度のレーザーパルスを送信する。したがって、多くのLIDARシステムは、特に自律型車両などの車両にLIDARシステムが配備されている状況において、目の安全性規制を順守する必要がある。レーザー光の強度は、例えば、レーザー光源の透過力、レーザーパルスの持続時間、レーザービームの角度発散、および発光器ユニットの出力での出口瞳孔のサイズを含むいくつかのパラメータによって判定される。より長い動作範囲を達成するために、比較的高い強度および低いビーム発散で比較的短いパルス持続時間でレーザー光を送信することが好ましい。
【0005】
照射されたシーンの各スポットに対して高い強度を達成するために、ビームは、シーンを横切って(典型的には、走査アレンジメントによって垂直および水平(すなわち、横方向))走査され、様々な方向に光のパルスを送信するようにする。走査アレンジメントは様々な方法で実装することができるが、通常、レーザー送信機のアパーチャに対して垂直方向と水平方向の両方で走査を提供する比較的大きな高速に移動するミラーを使用して実装される。
【0006】
電磁スペクトルの近赤外線(NIR)領域において動作する発光器および光受信機を使用して、最適またはほぼ最適な結果を達成することができる。しかしながら、NIR領域の光は人間の目には見えないため、損傷が引き起こされていることに観察者が気づかずに、NIR光は観察者の目に大きな損傷を引き起こす可能性がある。人間の目を損傷する可能性を低減するために、NIR範囲において動作する多くのLIDARシステムは、エミッタでの電力制限を用いて、受信した反射ビームの強度を低減する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、光導波路を用いる検出および測距システムである。好ましい実施形態では、異なる波長で(好ましくはNIR領域において)動作する複数のレーザー光源からのビームが、コンバインビームとしてコンバインされて、走査アレンジメント(例えば、走査ミラー)を照射する。走査されたビームは、コリメートレンズまたは反射ミラーなどのコリメート光学構成要素によってコリメートされ、透明な材料(ガラスなど)から構成された光導波路内に結合される。光は、典型的には、結合プリズムまたは内結合(coupling-in)反射器として実装される光学内結合構成によって光導波路内に結合される。内に結合された光は、内部反射によって導波路の主要な外面の間の光導波路内に閉じ込められ、導波路を通って誘導される(すなわち、導波路内を伝播する)ようにする。伝搬する光は、好ましくは、導波路の平行な主面に対して斜めに導波路内に配備された相互に平行な部分反射面のセットとして実装された光学外結合(coupling-out)構成によって導波路外に徐々に結合される。結果として、導波路への入力ビームは、いくつかの平行出力ビームに増倍され、それによって、平行伝搬を維持しながら、システムの出力アパーチャを増倍する。出力ビームは、共伝搬するすべての構成レーザービームで構成される。特定の実施形態において、走査アレンジメントは、大きな出力アパーチャを維持しながら、透過フィールドを走査し、大きな走査出力フィールドを達成するようにする。特定の好ましいが非限定的な実施形態では、レーザー光源のうちの1つは、目の安全性を改善するために、電磁スペクトルの可視領域における波長で動作する。
【0008】
本発明の一実施形態の教示によれば、システムが提供される。システムは、内部反射によって光を誘導するための少なくとも2つの主要な外面を有する光導波路であって、2つの主要な外面のうちの第1のものが、シーンに対して面して配備される、光導波路と、光導波路によって誘導され、シーンに向かって光導波路外に光の一部を結合するように構成されている光導波路に関連する光学外結合構成と、光導波路内に結合される前にコリメートされる光導波路内に結合するための光を放出するように配備された照射アレンジメントと、光学外結合構成によって光導波路外に結合された光による物体の照射に応答して、シーン内に位置する物体から反射された光を感知するための検出器と、少なくとも1つのプロセッサを含む処理サブシステムであって、処理サブシステムが、検出器に電気的に関連し、かつ検出器からの信号を処理して、物体に関連する情報を導出するように構成されている、処理サブシステムと、を備える。
【0009】
任意選択で、システムは、反射された光を検出器上に集束させるための集束光学系をさらに備える。
【0010】
任意選択で、集束光学系が、2つの主要な外面のうちの第2のものに関連する。
【0011】
任意選択で、反射された光が、集束光学系によって受けられる前に2つの主要な外面によって透過される。
【0012】
任意選択で、システムの出力アパーチャが、少なくとも部分的に外結合構成によって定義され、システムの入力アパーチャが、少なくとも部分的に集束光学系によって定義される。
【0013】
任意選択で、入力アパーチャが、出力アパーチャと少なくとも部分的に重なる。
【0014】
任意選択で、入力アパーチャおよび出力アパーチャが重ならない。
【0015】
任意選択で、システムは、2つの主要な外面のうちの第1のものに関連する回折光学素子をさらに備える。
【0016】
任意選択で、システムは、光学外結合構成によって光導波路外に結合された光でシーンを走査するように配備された走査アレンジメントをさらに備える。
【0017】
任意選択で、走査アレンジメントが、照射アレンジメントと光導波路との間に配備され、走査アレンジメントが、照射アレンジメントによって放出された光を偏向させ、光導波路外に結合された光が対応する角度範囲をカバーするような角度範囲をカバーするように構成されている。
【0018】
任意選択で、走査アレンジメントが、2つの主要な外面のうちの第1のものに関連する。
【0019】
任意選択で、システムはさらに、光導波路内に結合する前に照射アレンジメントによって放出された光をコリメートするために照射アレンジメントと光導波路との間の光路に配備されたコリメート光学系をさらに備える。
【0020】
任意選択で、システムは、照射アレンジメントと光導波路との間の光路に配備され、照射アレンジメントによって放出された光のアパーチャ拡張を少なくとも第1の次元で実行するように構成されている光学構成要素をさらに備える。
【0021】
任意選択で、システムは、2つの主要な外面のうちの第1のものに関連し第1の次元に直交する第2の次元を走査するように構成されている走査アレンジメントをさらに備える。
【0022】
任意選択で、光学構成要素が、第1の次元、および第1の次元に直交する第2の次元において、照射アレンジメントによって放出される光の拡張を実行するように構成されている。
【0023】
任意選択で、光学構成要素が、内部反射によって照射アレンジメントによって放出された光を誘導するための光透過基板と、光導波路に向かって基板外に基板によって誘導された光の一部を結合するための基板に関連する第2の光学外結合構成と、を含む。
【0024】
任意選択で、光学外結合構成が、2つの主要な外面に対して斜めに光導波路内に配備された複数の部分反射面を含む。
【0025】
任意選択で、光学外結合構成が、2つの主要な外面のうちの少なくとも1つに関連する回折光学素子を含む。
【0026】
任意選択で、システムは、光導波路に関連し、内部反射によって光導波路内を伝搬するように光を光導波路内に結合するように構成されている光学内結合構成をさらに備える。
【0027】
任意選択で、照射アレンジメントが、複数のビーム源を含み、ビーム源が異なるそれぞれの波長で光を生成するように構成されている。
【0028】
任意選択で、照射アレンジメントが、ビーム源によって生成された光をコンバイン光ビームにコンバインするためのビームコンバイナをさらに含む。
【0029】
任意選択で、波長が、電磁スペクトルの近赤外領域にある。
【0030】
任意選択で、ビーム源が、レーザー源として実装される。
【0031】
任意選択で、レーザー源が、パルスレーザー源であり、処理サブシステムが、電気的に照射アレンジメント関連し、レーザー源のパルスタイミングを制御するようにさらに構成されている。
【0032】
任意選択で、ビーム源の1つが、電磁スペクトルの可視領域で光を生成するように構成されており、残りのビーム源が、電磁スペクトルの近赤外領域で異なるそれぞれの波長の光を生成するように構成されている。
【0033】
任意選択で、処理サブシステムが、照射アレンジメントに電気的に関連し、照射アレンジメントの照射タイミングを制御するようにさらに構成されている。
【0034】
任意選択で、処理サブシステムによって導出された物体に関連する情報が、飛行時間情報を含む。
【0035】
任意選択で、処理サブシステムによって導出された物体に関連する情報が、検出器から物体までの距離を含む。
【0036】
任意選択で、処理サブシステムが、物体に関連する情報に基づいて物体の三次元表現を構築するようにさらに構成されている。
【0037】
任意選択で、システムは、地上車両に配備される。
【0038】
任意選択で、システムは、航空機に搭載される。
【0039】
任意選択で、光導波路が、光導波路外に結合された光でシーンの横方向の走査を有効にするように台形の断面を有する。
【0040】
任意選択で、システムは、長方形の断面を形成する2対の平行な主要な外面を有する光透過性基板と、基板に関連する光学結合構成であって、基板内に結合された光が基板を通って4重の内部反射によって進行し、基板を通って進行する光の強度の一部が、光学結合構成によって基板外、および光導波路内に結合される、光学結合構成と、をさらに備える。
【0041】
任意選択で、光導波路が、長方形の断面を形成する2対の平行な主要な外面を含み、光導波路内に結合された光は、光導波路を通って4重の内部反射によって進行する。
【0042】
任意選択で、システムは、光学結合構成をさらに備え、光導波路が、光学結合構成に関連する第1の導波路セクションと、光学外結合構成に関連する第2の光導波路セクションとを含み、光導波路内に結合された光が、内部反射によって第1の光導波路セクションを通って進行し、第1の導波路セクションを通って進行する光の強度の一部が、光学結合構成によって第1の方向に偏向され、第1の光導波路セクション外、かつ第2の光導波路セクション内に結合され、内部反射によって第2の導波路セクションを通って進行するようにし、第2の導波路セクションを通って進行する光が、光学外結合構成によって第2の方向に偏向され、シーンに向かって光導波路外に結合されるようにする。
【0043】
任意選択で、光学結合構成が、第1の次元での光の走査を達成し、光学外結合構成が、第1の次元に実質的に直交する第2の次元で光の走査を達成する。
【0044】
本発明の教示の一実施形態による光検出および測距(LIDAR)システムも提供される。LIDARシステムは、送信機であって、内部反射によって光を誘導するための少なくとも2つの主要な外面を有する光導波路であって、主要な外面のうちの1つが、シーンに対して面して配備される、光導波路と、光導波路によって誘導され、シーンに向かって光導波路の外に光の一部を結合するように構成されている光導波路に関連する光外結合構成と、光導波路に結合される前にコリメートされる光導波路内に結合するための光のコヒーレントビームを放出するように構成されている少なくとも1つのビーム源と、光学外結合構成によって光導波路外に結合された光でシーンを走査するように配備された走査アレンジメントと、を備える送信機と、受信機であって、光学外結合構成によって光導波路外に結合された光による物体の照射に応答して、シーン内に位置する物体から反射された光を感知するための検出器と、少なくとも1つのプロセッサを含む処理サブシステムであって、処理サブシステムが、検出器に電気的に関連し、かつ検出器からの信号を処理して、物体の三次元表現を構築するように構成されている、処理サブシステムと、を備える受信機と、を備える。
【0045】
任意選択で、処理サブシステムが、照射アレンジメントに電気的に関連し、照射アレンジメントの照射タイミングを制御するようにさらに構成されている。
【0046】
任意選択で、送信機が、光学外結合構成によって少なくとも部分的に定義される出力アパーチャを有し、受信機が、集束光学系によって少なくとも部分的に定義される入力アパーチャを有し、入力アパーチャが、出力アパーチャと少なくとも部分的に重なる。
【0047】
任意選択で、送信機が、光学外結合構成によって少なくとも部分的に定義される出力アパーチャを有し、受信機が、集束光学系によって少なくとも部分的に定義される入力アパーチャを有し、入力アパーチャおよび出力アパーチャが重ならない。
【0048】
説明および特許請求の範囲において本明細書で使用される「光導波路」という用語は、本明細書で交換可能に「光透過基板」、「光ガイド」または「光ガイド光学素子」と呼ばれる、透明材料から形成された任意の光透過体、好ましくは光透過固体を指す。
【0049】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の方法および材料が、本発明の実施形態の実施または試験に使用され得るが、例示的な方法および/または材料が、以下に記載されている。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が支配する。さらに、材料、方法、および例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。詳細な、図面への具体的な言及について、示された細目は、例として、および本発明の実施形態の例示的な議論の目的のためであることを強調しておく。これに関して、図面と併せてなされた説明により、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかになる。
【0051】
ここで、図面に注意を向けると、図面では、同様の参照番号または文字は、対応するまたは同様の構成要素を示す。図面は以下のとおりである。
【0052】
図1】本発明の非限定的な一実施形態による、シーン内に位置する物体を照射するために車両に配備された、送信機、受信機、および処理システムを有する光検出および測距(LIDAR)システムの概略図。
図2】本発明の一実施形態による、送信機がアパーチャ拡張を実行するために導波路内に配備された部分反射面のセットを有し、送信機および受信機が共通のアパーチャ構成において配備された、図1のLIDARシステムのアーキテクチャの概略図。
図3図2と同様であるが、本発明の一実施形態による、送信機と受信機が重ならないアパーチャ構成で配備されている概略図。
図4図2と同様であるが、本発明の一実施形態による、光導波路の出力に配備された回折光学素子をさらに含む概略図。
図5】本発明の一実施形態による、アパーチャ拡張を実行するための埋め込まれた部分反射面のセットを有する送信機の光導波路の概略図を示す正面図。
図6A】本発明の実施形態による、二次元アパーチャ拡張を実行するための埋め込まれた部分反射面のセットを有する送信機の光導波路の概略図をそれぞれ示す側面図および底面図。
図6B】本発明の実施形態による、二次元アパーチャ拡張を実行するための埋め込まれた部分反射面のセットを有する送信機の光導波路の概略図をそれぞれ示す側面図および底面図。
図7】本発明の一実施形態による、第1の光導波路が、二次元アパーチャ拡張を実行するための部分反射面の第1のセットを有し、第2の光導波路が、一次元アパーチャ拡張を実行するための部分反射面の第2のセットを有する、送信機の2つの光導波路の概略図を示す正面図。
図8】本発明の一実施形態による、第1の次元でアパーチャ拡張を実行するための部分反射面の第1のセット、および第2の次元でアパーチャ拡張を実行するための部分反射面の第2のセットを有する、送信機の光導波路の概略図を示す正面図。
図9図2と同様であるが、本発明の一実施形態による、光導波路の出力に配備された走査アレンジメントを有する概略図。
図10】受信機の検出器からの信号を処理して、シーン内に位置する物体に関連する情報を導出するように構成されているLIDARシステムの処理サブシステムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、光導波路を用いる検出および測距システムである。
【0054】
本発明によるシステムの原理および動作は、説明に付随する図面を参照することにより、よりよく理解されてもよい。
【0055】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に述べられた、ならびに/または図面および/もしくは例に示された構成要素および/または方法の構築の詳細および配置への適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、または様々な方法で実践または実施できる。
【0056】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の非限定的な一実施形態による、一般に10で示される光検出および測距(LIDAR)システム(交換可能に「システム」と呼ばれる)を示す。図示の実施形態において、システム10は、自律型車両(すなわち、「自動運転車」)、運転者が操作する車両、またはコンピュータ支援の運転者が操作する車両(つまり、「半自動運転車」)であり得る地上のモーター車両12に配備される。車両12は、自動車として概略的に示されているが、車両12は、LIDARシステムが配備され得るモーターサイクル、モーターバイク、電動バイク、および電動スクーターなど、ならびに軍用地上車両(例えば、装甲人員運搬車、トラック、装甲戦闘車両など)を含むが、これらに限定されない任意のタイプの車両として実装されてもよい。さらに、特定の実施形態において、本発明のシステム10の構成要素の全部または一部は、車両とは別個に、例えば、ヘルメットまたは他のヘッドマウントギアの一部として配備されてもよく、これらは、車両、例えば、モーターサイクルなどを操作する際に運転者/操作者がヘルメットまたはヘッドマウントギアを着用する車両とともに使用するためにシステム10が配備されるときに、特に役立つことができる。
【0057】
一般的に言えば、システム10は、シーン30(「関心領域」、「関心フィールド」または「関心視野」とも呼ばれる)に向かう、照射14のビームによってここでは概略的に表されるコリメートされた光を生成および方向付けるための光送信機サブシステム100(本明細書では交換可能に「送信機サブシステム」または「送信機」と呼ばれる)と、送信機100からの照射に応答して、シーン30内の物体18から反射または後方散乱された光を受信するための光受信機サブシステム200(本明細書では交換可能に「受信機サブシステム」または「受信機」と呼ばれる)と、送信機サブシステム100の構成要素のうちの一部を制御し、受信機サブシステム200からの信号を処理して、物体18に関連する情報を導出するための、送信機サブシステム100および受信機サブシステム200に関連する処理サブシステム300と、を含む。
【0058】
シーンは、一般に、送信機100によって照射され得る、送信機100の前にあるあらゆる風景であるとみなされる。システム10が車両とともに使用するために配備されるときに、シーン30は、一般に、送信機100によって照射され得る、車両の前にあるあらゆる風景であるとみなされる。車両配備の文脈において、システム100によって検出および画像化され得るシーン内の物体には、例えば、他の車両、歩行者、サイクリスト、樹木、岩石、道路標識、街灯、または他の任意の固体または車両の経路にある障害物を含む。
【0059】
ビーム14は、送信機サブシステム100の走査アレンジメントによって、関心フィールドを横切って垂直および水平(横方向)に走査される。走査ビーム14 図1の16とラベル付けされた両方向矢印で示される。横方向の走査は紙面の内外にあるため、横方向の走査は図1では識別可能ではないことに留意する。ビーム14は、物体18に衝突すると、反射光として物体18によって反射または後方散乱され、ここでは、複数の光線20によって概略的に表されている。ここで光線22によって概略的に表される反射光20の一部は、受信機サブシステム200に到達し、受信機サブシステム200(特に、以下でさらに詳細に論じられるように、光検出器)によって検出されるようにする。処理サブシステム300は、受信機サブシステム200からの信号を処理し、物体18に関連する情報、例えば、飛行時間(TOF)情報、(TOFに基づく)範囲(すなわち、距離)情報、および到着方向情報を導出するようにする。特定の実施形態において、この情報を処理サブシステム300が使用して、物体18の三次元(3D)表現(すなわち、点群)を構築することができ、これを使用して、物体18の3D画像をレンダリングすることができる。
【0060】
ここで図2を参照すると、本発明の非限定的な一実施形態による、システム10の概略図が示されている。送信機100は、照射およびビームコンバインユニット102、光導波路120、および照射およびビームコンバインユニット102からの光を光導波路120内に結合するための光学内結合構成118を含む。光導波路120は、内部反射によって光を誘導するための少なくとも一対の好ましくは平行な面(本明細書では「主要な外面」とも呼ばれる)122、124を含む複数の面を有する透明材料(ガラスなど)から形成された光透過基板である。光導波路120は、面122のうちの1つが図1に示される物体18を含むシーン30などのシーンに対して面して配備される。受信機200は、好ましくは、シーン内の物体(例えば、物体18)から反射された光22を受信し、受信した光を捕捉された光の収束ビームに変換するための集束光学系202、および捕捉された光を感知し、捕捉された光の少なくとも1つのパラメータ(強度)を示す信号を生成するための光検出器204(交換可能に「検出器」または「光学センサ」と呼ばれる)を含む。
【0061】
照射およびビームコンバインユニット102は、光導波路120内に結合するための光のビームを放出するように配備された照射アレンジメント104を含む。照射アレンジメント104は、少なくとも1つのビーム源、好ましくは少なくとも2つのビーム源、より好ましくは少なくとも3つのビーム源を含む。ビーム源(本明細書では交換可能に「光源」、「照射源」または「光源」と呼ばれる)は、好ましくは、例えば、レーザーダイオード、ファイバーレーザー、またはマイクロチップレーザーなどのレーザー源のセット(すなわち、複数)として実装され、各々、対応するコヒーレントなレーザー照射ビームを生成する(つまり、生成する)ように構成されている。特定の非限定的な一実装形態において、レーザー源は、コンバインビームを形成する共通の方向にレーザー光の別個のビームを放出するように並べて配備される。他の非限定的な実装において、照射アレンジメント104は、ビームコンバイナ(図示せず)をさらに含み、レーザー源は、ビームコンバイナに対して様々な位置に配備され、個々のビーム源からのビームをコンバインビームとしてコンバインするようにする。ビームコンバイナは当技術分野において周知であり、例えば、ビームスプリッタアレンジメント、ダイクロイックミラー、プリズムなどを使用して、様々な方法で実装され得る。
【0062】
特定の非限定的な実施形態において、ビーム源のうちの1つは、電磁スペクトルの可視領域でレーザー光を生成するように構成されている可視光レーザー源として実装され、残りのビーム源は、電磁スペクトルのNIR領域で異なるそれぞれの波長のレーザー光を生成するように構成されているNIRレーザー源として実装される。好ましいが非限定的な実装の1つのセットにおいて、ビーム源は、2つまたは3つの変調されたNIRレーザー源と、並べて配置されるか、またはビームコンバイナを介してコンバインされる可視光レーザー源のセットとして実装される。可視光レーザー源は、範囲検出のために変調することも、NIRレーザーの送信中に同時に送信しないように変調することもできる。代替的には、可視光レーザーは、連続波(CW)モードで動作するように構成され得る。可視光レーザー源は、好ましくは、人間の目によって容易に識別できる色に対応する波長、例えば、420~680nmの範囲の波長を有する光を生成するように構成されている。NIRレーザー源が異なるそれぞれの波長の光を生成する実施形態において、可視光レーザー源と組み合わせて、約940nm(例えば、それぞれ935nm、940nm、および935nm)の光を放出する3つのNIRレーザー源が、LIDARアプリケーションに特に好適であることが分かった。940nm付近の波長でのかなり高い部分の日射強度は、典型的には、大気によって吸収され、したがって、940nm付近の太陽光照射は、光学センサに衝突しないか、または光学センサによって検出される光の強度と比較して相対的に低い強度で光学センサに衝突する傾向がある。また、すべてのビーム源が同じ波長(例えば、すべて940 nm)のビームを放出する可能性があることにも留意する。さらに、可視光レーザーをNIRレーザーと組み合わせて目の安全性を目的として使用できるが、NIRおよび可視領域の外側にある目に安全なレーザーを利用することも可能である。例えば、短波長赤外線(SWIR)領域の下端、特に1550 nm付近のレーザーは、NIR領域のレーザーよりも目に安全である。
【0063】
異なるそれぞれの波長で光を放出するビーム源の使用は、特定のタイプの材料が他の波長よりも特定の波長に対してより大きなスペクトル応答を有する可能性があるため、受信機200が多種多様な材料を検出することを可能にする。例えば、植物は、典型的には、700nm付近の波長でより高い光の反射を呈する。スペクトル応答の変動はまた、検出器204によって生成された信号の強度の波長依存性の変化を識別することによって、処理サブシステム300によるシーンのマッピングを可能にしてもよい。
【0064】
照射アレンジメント104はまた、ビーム源、および特定の例ではビームコンバイナを有することに加えて、ビーム源によって生成されるビームのビームパラメータを変更するために使用することができる様々な構成要素を含んでもよい。そのような構成要素は、ビーム強度および/または位相および/または周波数を変調するための変調器、および生成されたビームの強度信号を増幅するための増幅器を含むが、これらに限定されない。特定の非限定的な実装において、各ビーム源は、変調器および増幅器に関連する。他の実装にのいて、一部のビーム源のみが変調器および/または増幅器に関連する。
【0065】
ビーム源の送信タイミング、ならびにビーム源によって生成されたビームの変調および/または増幅は、好ましくは、処理サブシステム300によって制御される。特定の実施形態において、ビーム源によって生成されたビームはコヒーレントにコンバインされ、各ビーム源は、ビーム間の相対位相オフセットの調整を可能にする関連する位相変調器を有し、ビームの位相コヒーレンスを維持するようにする。そのような実施形態において、処理サブシステム300は、ビーム間の相対的な位相オフセットを測定し、位相変調器を作動させて、位相オフセットを調整する。
【0066】
照射アレンジメント104によって放出される光は、偏光されていても、偏光されていなくてもよい。偏光を生成するために、照射アレンジメント104は、ビーム源の出力またはビームコンバイナの出力に配備される線形偏光子を含み、コンバインビームが線形偏光子を通過するようにしてもよい。ビーム源自体が偏光源である場合、そのような線形偏光子は必要ではない。
【0067】
太い矢印によって概略的に表され、一般に108で示される、ビーム源からのコンバインビームは、走査アレンジメント106によって走査される。走査アレンジメント106は、好ましくは、入射ビームを迂回させる(すなわち、偏向させる)光学構成要素、ならびに光学構成要素の位置および/または向きを調整して、所望の方向に光学構成要素の発散を達成するための電気機械構成要素(例えば、電気機械アクチュエータ)を含む。走査アレンジメント106は、例えば、2つの直交する次元(例えば、垂直および水平/横方向)で走査を実行する単一の走査または傾斜ミラー、一対の直交する単一軸の走査または傾斜ミラー、および1つ以上のプリズムが1つ以上の回転軸/傾斜軸を中心に回転/傾斜可能であるプリズムのセットを含む、任意の好適なビーム発散またはビームステアリング機構として実装され得る。好ましくは、走査アレンジメント106は、走査アレンジメント106の走査アクションを制御する処理サブシステム300と電気的に関連する。
【0068】
コリメート光学系110は、走査アレンジメント106と光導波路120との間の光路に配備される。コリメート光学系110は、走査されたビーム108を照射およびビームコンバインユニット102の出力アパーチャ(すなわち、射出瞳)にコリメートする少なくとも1つの光学構成要素を含む。図示の実施形態において、コリメート光学系110は、レンズ112、114として概略的に表される一対のコリメート光学素子を含み、これらは、レンズ112、114の間に中間像面116を形成する。特定の非限定的な実装において、マイクロレンズアレイ(MLA)またはディフューザが像面116に配備されて、照射およびビームコンバインユニット102の射出瞳を、光導波路120の入射瞳(すなわち、入力アパーチャ)にフィットさせる。MLAまたはディフューザによるこのアパーチャフィッティングは、ビーム108の強度を光導波路120の入力アパーチャにわたって広げ、それによって、光導波路120内に結合されるビーム108の全体的な強度を低減する。ビーム108の強度が低下すると、目の安全性がさらに向上するため、好ましい実装では、アパーチャフィッティングにMLAまたはディフューザを用いる。コリメート光学系110はまた、走査アレンジメント106の面と、(光学内結合構成118に隣接する)照射およびビームコンバインユニット102の射出瞳面との間に瞳孔イメージングを生成し、走査されたビームのすべてが照射およびビームコンバインユニット102を通って送信され、光導波路120に入るようにする。照射アレンジメント104自体が小さな射出瞳を有してもよく、したがって、均一な出力ビームが必要とされない限り、MLAを使用する必要がなくてもよいことに留意する。また、特定の実施形態において、照射アレンジメント104は、コリメート光学系を含んで、ビーム源からのコンバインビーム108がコリメートされたビームであるようにしてもよいことに留意する。例えば、特定のビームコンバイナは、埋め込まれたコリメート光学系を用いて、ビームコンバイナによってコンバインされることに加えて、個々のビームもビームコンバイナによってコリメートされるようにする。そのような実施形態において、コリメート光学系110は必要でなくてもよく、走査アレンジメント106による走査のためにビームがコリメート解除された場合にビーム108を再コリメートするために使用されてもよい。
【0069】
照射およびビームコンバインユニット102からの走査およびコリメートされたビームは、ここでは好適に角度をなした結合プリズムとして概略的に表されている光学内結合構成118によって光導波路120内に結合される。内結合反射器または回折光学素子の使用などにより、照射を光導波路120に結合するための他の好適な光学内結合構成が、本技術分野で周知である。内に結合されたビームは、面122、124で繰り返される内部反射によって、光導波路120を通って伝播する(すなわち、誘導される)。伝播するビームは太い矢印で概略的に表され、一般に128で表される。特定の好ましいが非限定的な実装において、内部反射によって光導波路120を通る伝搬は、全反射(TIR)の形であり、それにより、臨界角よりも大きい角度での面122、124での照射(ビーム128)の入射角は、面122、124での照射の反射を引き起こす。本技術分野で周知のように、臨界角は、光導波路120が構築される材料の屈折率と、光導波路120が配備される媒体(例えば、空気)の屈折率によって定義される。他の非限定的な実装において、内部反射によって光導波路120を通る伝搬は、面122、124に適用される反射コーティング(例えば、角度選択性反射コーティング)によって達成される。
【0070】
ビーム128は、光導波路120内を伝搬し、光導波路120に関連する光学外結合構成に衝突し、これは、図示の実施形態において、面122、124に対する斜めの角度で光導波路120内に配備された一連の平行な部分反射面126として実装され、ビーム128の強度の一部は、シーン(例えば、図1のシーン30)に向かって光導波路120外に結合されるように反射される。部分反射面126は、光導波路120の伸び方向(図1では垂直方向)に沿って等間隔に離間してもよいし、不等間隔に離間してもよい。部分反射面126は、一般に、所望の反射パターンを提供する好適なコーティングでコーティングされた薄い透明なプレートから形成される。特定の非限定的な実施形態において、コーティングは誘電体コーティングであり、他の実施形態において、コーティングは、透明プレート上に所定のパターンで配備された金属材料(銀など)の部分を含む。金属材料の部分は、例えば、円形のドット、楕円形のドット、および線を含む、所望の反射パターンに応じて、様々な形状を想定することができる。
【0071】
部分反射面126は、光導波路120とともに使用するのに好適な1つの非限定的な光学外結合構成の単なる例示にすぎず、他の光学結合構成を使用して、光導波路120外に照射を結合することができる。光学外結合構成は、照射の偏向された部分が光導波路120を出るような角度に内部反射によって光導波路120内を伝播する照射の一部を偏向させる任意の光学結合構成であってもよい。そのような好適な光学結合アレンジメントの他の例は、面122、124のいずれか一方に配備された1つ以上の回折光学素子を含むが、これらに限定されない。
【0072】
図2に示される非限定的な実装において、部分反射面126の各々は、シーンに向かって光導波路120外に誘導されたビーム128の一部を反射(外結合)し、反射ビームは、ビーム130A、130B、130C(これらは、図1のシーン30に向けられる走査されたビーム14に対応する)によって概略的に表されている。特定の非限定的な実装において、部分反射面の反射率は、光導波路120の伸長方向に沿って、光学内結合構成118に隣接する光導波路120の近位端から、近位端とは略反対側の遠位端まで増加する。特に好ましいが非限定的な実装において、最後の部分反射面(例えば、外に結合されたビーム130Cを生成するように照射128を反射する部分反射面)は、全反射性である(すなわち、100%の反射率)。
【0073】
照射およびビームコンバインユニット102からのビーム108に対する光導波路120および光学外結合構成の効果は、照射およびビームコンバインユニット102の出力アパーチャ(射出瞳)が、ビーム128が光導波路120内を伝播し、光導波路120外に結合される際に、増倍される(すなわち、拡張される)ことである。このアパーチャ拡張(アパーチャ増倍)は、一次元(図2の光導波路120の非限定的な実装の場合のように)であり得るか、または二次元であり得る。
【0074】
観察者の目に向かって外に結合するための小さな出力アパーチャを有する画像プロジェクタによって生成される画像照射の一次元アパーチャ拡張を実行するニアアイディスプレイで使用される光導波路の詳細は、米国特許第6,829,095号、米国特許第7,577,326号、米国特許第7,724,444号、米国特許第7,751,122号、米国特許第9,551,880号、および米国特許第9,025,253号を含む様々な共有所有された発行特許に見出すことができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。観察者の目に向かって外に結合するための小さな出力アパーチャを有する画像プロジェクタによって生成される画像照射の一次元アパーチャ拡張を実行するニアアイディスプレイで使用される光導波路の詳細は、米国特許第10,133,070号、および米国特許第10,551,544号を含む様々な共有所有された発行特許に見出すことができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
面122、124は、好ましくは、相互に平行であるが、平行度の要件は、光導波路が所望の角度範囲をカバーするレーザー照射でシーンを照射するために使用される本実施形態の光導波路120などの非ディスプレイアプリケーションで使用される光導波路に対してはあまり厳しくないことに留意する。これは、上記の共有所有された特許における光導波路とは対照的であり、主要な外面のペア間の平行度の偏差は、導波路を通って伝播する画像照射が、非共役画像セットを形成し、観察者の目に向かって光導波路外に結合される画像の品質の低下をもたらす。
【0076】
「共通アパーチャ」構成と呼ばれる多くのLIDARシステム構成では、受信機ユニットは放出器ユニットと同じアパーチャに位置することに留意する。共通アパーチャ構成を使用するシステムの利点は、LIDARシステムを混乱させる視差効果の欠如、およびよりコンパクトなシステムが含む。図2に示されるシステム10の非限定的な実施形態は、共通アパーチャ構成を利用する。ここで、受信機200は、光導波路120の面124に関連し、光導波路120の後ろに位置するようにする。受信機200の入力アパーチャであり、一般に集束光学系202によって定義されるシステム10の入力アパーチャは、送信機100の出力アパーチャであり、かつ一般に光導波路120および光学外結合構成(例えば、光導波路120内の部分反射面の分布)の組み合わせによって定義されるシステム10の出力アパーチャ内に含まれる(すなわち、完全に重なる)。ここで光線22A、22B、22Cとして表される、シーンからの反射光22(すなわち、シーン内の物体によって反射された光)は、光導波路120を通過し、面124に関連する集束光学系202によって受けられる。特に、光22は、面122によって透過され、部分反射面126を通過し、集束光学系202に向かって面124によって透過される。部分反射面126が、重なり合わず、不連続になるように(すなわち、1つの部分反射面が終わる場所と、次の部分反射面が始まる場所との間に空間がある)離間して配備されている構成では、光22A、22B、22Cの一部または全部は、隣接する部分反射面の対の間の空の空間を通過することによって、光導波路120を直接通過してもよい。他の構成において、光22A、22B、22Cの強度の一部は、部分反射面126によって透過され、集束光学系202に向かって部分反射面を通過するようにしてもよい。
【0077】
レンズとして概略的に表される集束光学系202(ただし、レンズのセットを含んでもよい)は、シーンと光検出器204との間の光路に配備される。集束光学系202は、シーンから(すなわち、シーン内の照射された物体によって反射された)光22A、22B、22Cを受け、受けた光22A、22B、22Cを検出器204に衝突する光の収束ビーム(概略的に光線23A、23B、23Cとして表される)に変換する。特定の実装形態において、集束光学系202は、検出器204上に物体の像を形成する。集束光学系202は、好ましくは、送信機100によって照射されるシーンの領域または部分に対応する視野を定義して、照射されたシーン内の物体から反射された光の捕捉を可能にするように配備される。特定の実施形態において、通過帯域スペクトルフィルタを、シーンから検出器204までの光路に配備して、照射アレンジメント104からの照射が生成される所与の波長範囲外の波長の光が検出器204に到達するのを遮断してもよい。スペクトルフィルタは、理想的には、集束光学系202と検出器204との間に配備されてもよいが、代替的には、面124と集束光学系202との間に配備されてもよい。
【0078】
光導波路120の外面(すなわち、面122、124)は、好ましくは、光導波路124が、送信機100によって放出された光を散乱させて受信機200に戻すのを防ぐために、反射防止コーティングでコーティングされる。
【0079】
照射アレンジメント104が偏光を放出する実施形態において、部分反射面は好ましくは偏光に敏感であり、それにより、部分反射面によって反射された偏光の強度の一部は、伝搬ビームの偏光方向に依存する。透過ビーム130A、130B、130Cが偏光されている実施形態において、偏光子(図示せず)が、好ましくは、受信機200と光導波路120との間の光路に(例えば、面124に関連して)配備されて、受信機200の飽和を実質的に抑制する。そのような抑制は、シーンからの光22の50%の透過率を犠牲にし得ることに留意する。
【0080】
図1および図2を引き続き参照しながら、ここで図3を参照すると、図2を参照して記載された実施形態と略同様の、本発明の別の非限定的な実施形態によるシステム10の概略図を示すが、「重ならないアパーチャ」構成を有する。ここで、受信機200は、送信機100に隣接して配置され、システムの入力アパーチャ(すなわち、受信機200の入力アパーチャ)がシステムの出力アパーチャ(すなわち、送信機100の出力アパーチャ)から分離される。この構成はあまりコンパクトでないシステムをもたらすが、そのような構成は、照射およびビームコンバインユニット102からの残留反射が受信機200を飽和させると予想される状況において特に価値があり得る。
【0081】
重ならないアパーチャを有することに加えて、図3に示される実施形態は、簡略化された照射およびビームコンバインユニット102を有する。ここで、コリメート光学系は、単一のコリメート光学素子112のみを有し、中間像面がないようにする。結果として、瞳孔イメージングは、コリメート光学系によって実行されず、照射およびビームコンバインユニット102の射出瞳は、光導波路120の入射瞳と重ならない。図示の実施形態における照射およびビームコンバインユニット102の簡略化された構造は、特に、照射およびビームコンバインユニット102の射出瞳が光導波路120への入射瞳よりもはるかに小さく、照射およびビームコンバインユニット102の出力でのビーム108が、光導波路120に向かって入射瞳を横切って伝わるが、最小のエネルギーが失われるように光導波路120内にとどまってしまう場合に使用され得る。照射およびビームコンバインユニット102の射出瞳と光導波路120の入射瞳との間の必要なサイズの差は、例えば、狭いビーム108を生成して照射およびビームコンバインユニット102の射出瞳のサイズを減少させることによって、および/または光導波路120の厚さ(すなわち、面122、124間の距離)を増加させて、光導波路120の入射瞳のサイズを増加させることによって、達成され得る。
【0082】
集束光学系202の一部分が面124に関連するように(すなわち、集束光学系202の一部分が光導波路120の後ろに位置するように)、受信機200が送信機100に対して配備することができ、集束光学系202の残りの部分が光導波路120に隣接して配置されることに留意する。そのような配備において、集束光学系202によって定義される受信機200の入力アパーチャは、送信機100の出力アパーチャと部分的に重なる。
【0083】
図2および図3に示される非限定的な実施形態において、走査アレンジメント106は、照射アレンジメント104からの光を偏向させることによって透過フィールドを走査し、走査ビーム108が、様々な入射角で光学内結合構成118に衝突するようにし、照射アレンジメント104からの照射が、対応する範囲の内結合角度で光導波路120内に結合されるようにする。光学内結合構成118でのビーム108の角度走査広がりは、伝播ビーム128の対応する角度広がりをもたらし、出力ビーム130A、130B、130Cが光導波路120外に、照射でシーンを走査するようにするような範囲の対応する角度で結合されるようにする。
【0084】
出力ビームの角度範囲を増加させる1つの方法が図4に示され、これは、本発明のさらに別の非限定的な実施形態によるシステム10の概略図を示す。図4に示される実施形態は、1つ以上の回折格子などの回折光学素子140が送信機100の出力アパーチャの前に(すなわち、面122と関連して、かつ面122とシーンとの間に)配備されることを除いて、図2に示される実施形態と略同様である。特定の非限定的な実装において、回折光学素子140は、機械的に面122に隣接して配置され、面122と関連するようにし、面122の外結合領域全体にわたり、面122の平面に平行な投影面における部分反射面126の投影によってわたる面122の部分として定義される。好ましくは、回折光学素子140は、面122の長さの大部分(長さは、図4では垂直方向におけるもの)にわたって、面122の長さの少なくとも80%、より好ましくは、面122の長さの少なくとも90%をカバーするようにする。
【0085】
図示の実施形態において、ビーム源は異なるそれぞれの波長で動作し(すなわち、各ビーム源によって放出される光は異なるそれぞれの波長を有する)、コンバインビーム128は、光導波路120を通って伝播する際に分散しない。外に結合されたビーム130A、130B、130Cが回折光学素子140を通過するときに、ビーム130A、130B、130Cは、回折光学素子140によって分散されて、太い破線の矢印によって概略的に表され、かつ一般に136A、136B、136Cで示される対応する分散ビームを生成して、それにより、ビーム130A、130B、130C、136A、136B、136Cによってカバーされる角度範囲を増加させる。図4に示されるように、共通のアパーチャ構成を使用するときに、回折光学素子140はまた、ここでは光線32A、32B、32Cとして表される、シーンからの追加の反射光を受信機200に向けて迂回させ、検出器204によって捕捉されるようにする。図4は共通アパーチャ構成を示しているが、回折光学素子140は、図3に示されているのと同様に、重ならないアパーチャ構成で使用することができ、回折光学素子140が、受信機200の前に配備されないようにすることに留意する。そのような実施形態において、回折光学素子140は、出力ビーム130A、130B、130Cを迂回させるだけで(対応するビーム136A、136B、136Cを生成するようにする)、シーンからの入射光を受信機200に向けて迂回させない。
【0086】
上記のように、光導波路120は、一次元または二次元での入力アパーチャの拡張を可能にするために様々な方法で実装され得る。以下の段落は、アパーチャ拡張および外に結合されたビームによるシーンの走査を可能にするための光導波路120の様々な実装オプションを記載する。
【0087】
図2~4を引き続き参照しながら、本発明の非限定的な実施形態による光導波路120の正面図を示す図5も参照する。光導波路120は、第1の平面(図2~4の紙面)において長方形の断面(面122、124間の平行性を想定)を有するが、面122自体は、台形であり、導波路120は、(第1の平面に直交する)外結合平面においてに台形の断面を有する。ここで、平行な上面132および底面134は、左側面142および右側面144が内側に先細になるように、異なる長さである。内に結合されたビーム128は、面122、124間の内部反射によって伝播するが、図5のビーム128の横方向の走査に対応して、図2の垂直方向の角度範囲で内に結合され(図2~4のページの内外)、ビーム128の横方向の走査は、図5で150としてラベル付けされた両方向矢印によって示されている。外に結合されたビーム(図5のページから出てくる)は、130A、130B、130Cで示される黒く塗りつぶされた円で表されている。ビームの垂直走査も存在し、上述のように光学内結合構成118でビーム108の角度走査広がりによって達成されるが、図5に示される正面図では識別可能ではない。
【0088】
図6Aおよび6Bは、それぞれ、本発明の別の非限定的な実施形態による光導波路120の実装の概略側面図および底面図を示す。ここで、光導波路120は、垂直方向に対応するように任意に示された伸長方向を有し、長方形の断面を形成する2対の平行な面122、124、142、144を含む。部分反射面126は、伸長方向に対して斜めの角度で光導波路120を少なくとも部分的に横断する。光学内結合構成(ここには示されていない)と照射およびビームコンバインユニット102は、入力ビーム(例えば、図2~4のビーム108)を平行面122、124、142、144の第1および第2の対の両方に対して斜めの結合角度で初期伝播方向で光導波路内に結合するように、光導波路120に対して配備され、ビーム128は、部分反射面126で反射されたビーム128の一部の強度で、光導波路120に沿って(すなわち、二次元で伝播するようにらせん状に)4倍の内部反射によって進行し、シーンに向かって光導波路120外に結合されるようにする。外に結合されたビーム130A、130B、130C(図6Bでは一般に130で示される)に対するビーム128のらせん伝播の効果は、外に結合されたビームが垂直方向(図6Aの両方向矢印によって示されるように)および横方向(図6Bの両方向矢印によって示されるように)の両方でシーンを効果的に走査することである。
【0089】
図7は、本発明の別の非限定的な実施形態による構成を示しており、垂直および横方向の走査を実行するために一対の光導波路220、320が使用されている。ここで、第1の光導波路220は、図6Aおよび6Bを参照して記載された光導波路と同様であり、第2の光導波路320は、図5を参照して記載された光導波路と同様である。第1の光導波路220は、水平方向に対応するように任意に示された伸長方向と、長方形の断面を形成する2対の平行な面とを有する。図7には1対の平行面222、224のみが示されているが、図6Bの面142、144と同様の第2の対の平行面も存在する。複数の部分反射面226は、伸長方向に対して斜めの角度で第1の光導波路220を少なくとも部分的に横断する。第2の光導波路320は、第1の光導波路220に光学的に結合され、一対の平行な面を有し(面332のうちの一方のみが図7に示されている)、面332が照射されるシーンに対して面して配備されている。第2の光導波路320は、平行な上面332および底面334、ならびに左側面342および右側面344をさらに含む。図5と同様に、面332、334は、側面342、344が内側に先細になるように異なる長さである。ここでも、複数の部分反射面326は、面332に対して斜めの角度で第2の光導波路320を少なくとも部分的に横断する。部分反射面226および326は、部分反射面226が相互に平行な平面の第1のセットに位置し、部分反射面326が、平面の第1のセットに対して斜めである相互に平行な平面の第2のセットに位置するように配備される。
【0090】
光導波路220、320間の光学結合、部分反射面226、326の配備および構成、ならびに内結合構成(ここには示されていない)および照射およびビームコンバインユニット102の配備は、照射およびビームコンバインユニット102からの出力ビーム(例えば、図2~4のビーム108)が、第1の光導波路220の平行な面の両方の対に対して斜めの結合角度で初期伝播方向で第1の光導波路220内に結合されるときに、内に結合されたビーム228は、部分反射面226で反射されたビーム228の一部の強度で、光導波路220に沿って4重の内部反射によって進行し、照射として(概略的にはビーム230A、230B、320Cで表される)第2の光導波路320内に結合されるようにし、次いで、部分反射面326で反射された照射230A、230B、320Cのi一部の強度で、第2の光導波路320内(すなわち、面332と面332に平行な他の面との間)の2倍の内部反射によって伝播し、シーンに向かって(面332を介して)第2の光導波路320外に結合されるようにする。部分反射面326(図7のページから出てくる)によって第2の光導波路320外に結合されるビームは、330A-1、330A-2、330A-3、330B-1、330B-2、330B-3、330C-1、330C-2、330C-3で示される黒く塗りつぶされた円で表されている。ここで、第1の光導波路220によって達成される走査は、第2の光導波路320によって与えられる横方向のものによって強化される(図7の両方向矢印によって示される横方向走査)。
【0091】
明らかなように、図6A~7を参照して記載された光導波路によって実行される二次元アパーチャ拡張は、一次元アパーチャ拡張を実行する光導波路と比較して、より多くの瞳孔像を生成し、照射強度の集中を低減する。
【0092】
図6A~7を参照して記載された光導波路と構造的に同様である光導波路の構造および動作のさらなる詳細は、上述の米国特許第10,133,070号に見出すことができる。
【0093】
図8は、本発明の別の非限定的な実施形態による光導波路420の概略正面図を示す。ここで、光導波路420は、2つの基板サブセクション、すなわち、第1の導波路セクション421および第2の導波路セクション423から構成されている。破線は、2つのセクション421、423を分離する平面425を表す。図面から分かるように、両方のセクション421、423は、光導波路420の外結合平面において台形の形状を有し、外結合面は、平面状の面432によって表される。
【0094】
第1のセットの部分反射面426aは、平面状の面424および平面425に対して斜めの光導波路420の第1のセクション421に配備され、第2のセットの部分反射面426bは、面432に対して斜めの光学導波路420の第2のセクション423に配備される。追加的に、部分反射面426aを含む平面は、部分反射面426bを含む平面に対して斜めまたは垂直である。
【0095】
部分反射面426a、426bの配備および構成、ならびに内結合構成(ここには示されていない)および照射およびビームコンバインユニット102の配備は、照射およびビームコンバインユニット102からの出力ビーム(例えば、図2~4のビーム108)が、光導波路420の第1のセクション421内に結合されるときに、内に結合されたビーム428は、部分反射面426aで反射されたビーム428の一部の強度で、第1の誘導方向において、平面424、425の間で第1のセクション421内で2重の内部反射を通って伝播し、照射として(概略的にはビーム430A、430B、420Cで表される)光導波路420の第2のセクション423内に結合されるようにし、次いで、部分反射面426bで反射された照射430A、430B、430Cの一部の強度で、(第1の誘導方向に対して斜めの)第2の誘導方向において、面432と面432に平行な他の面(図8には示されていない)との間の光導波路420の第2のセクション423内で2重の内部反射を介して伝播し、シーンに向かって(面432を介して)光導波路420の第2のセクション423外に結合されるようにする。部分反射面426b(図8のページから出てくる)によって光導波路420の第2のセクション423外に結合されるビームは、530A-1、530A-2、530A-3、530B-1、530B-2、530B-3、530C-1、530C-2、530C-3で示される黒く塗りつぶされた円で表されている。図示の構成において、第1のセクション421および第1のセットの部分反射面426aは、第1の次元でアパーチャ拡張、すなわち、横方向アパーチャ拡張およびビーム走査(第1のセクション421において両方向矢印で表される)を達成し、第2のセクション423および第2のセットの部分反射面426bは、(第1の次元に直交する)第2の次元でアパーチャ拡張、すなわち、垂直アパーチャ拡張およびビーム走査(第2のセクション423において両方向矢印のセットによって表される)を達成する。
【0096】
伝播する照射をある誘導方向から別の誘導方向に再方向付けし、光導波路外に照射を結合するために、異なる向きの部分反射面のセットを用いる光導波路の構造および動作の詳細は、上述の米国特許番号第10,551,544号に見出すことができる。
【0097】
これまで記載したLIDARシステムの実施形態は、照射およびビームコンバインユニットの一部として走査アレンジメントを用いる送信機サブシステムに関係していたが、外部走査アレンジメントが光導波路の出力に配備される他の実施形態が可能である。ここで図9を参照すると、本発明の非限定的な実施形態によるシステムの概略図が示され、図2を参照して記載された実施形態と略同様であるが、外部走査アレンジメント160が面122に関連し、走査アレンジメント106が照射およびビームコンバインユニット102の一部として配備される代わりに、光導波路120の出力に配備されている。
【0098】
特定の実施形態において、走査アレンジメント160は、二次元走査を実行するように構成されているが、他の実施形態において、走査アレンジメント160は、一次元走査を実行するように構成されている。走査アレンジメント160が二次元走査を実行する実施形態において、コリメート光学系110は、照射アレンジメント104によって送信されたビーム108をコリメートし(任意選択で、像平面116によって示されるように瞳孔イメージングを伴う)、コリメートされたビーム108が内部反射による伝播および部分反射面126による外結合を介したアパーチャ増倍のために光導波路120内に結合される。ここで、外に結合されたビーム130A、130B、130Cは単一方向に照射し、走査アレンジメント160は、ビーム130A、130B、130Cを垂直および横方向に偏向させて、垂直および横方向の走査を実行するようにし、それによって関心フィールド全体を二次元走査する。ビーム130A、130B、130Cから走査アレンジメント160によって生成される偏向ビームが、ビーム136A、136B、136Cによって図9に概略的に表されている。横方向の走査は紙面の内外にあるため、偏向されたビーム136A、136B、136Cによって達成される横方向の走査は、図9では識別可能ではないことに留意する。
【0099】
走査アレンジメント160が一次元走査、例えば垂直走査を実行する実施形態において、照射およびビームコンバインユニット102は、照射アレンジメント104の出力およびコリメート光学系110の上流に配備された光学構成要素170をさらに含み、これは、遠方フィールドおよび像平面116上に照射ラインを生成するように、一次元ビームエキスパンダとして構成されている。そのような実施形態による1つの非限定的な実装において、光学構成要素170は、高速で照射ラインを生成し、それによって検出器204によってイメージングされるときにシーンの高解像度を生成する一次元走査アレンジメント(図2の106と同様)として実装される。別の非限定的な実装において、光学構成要素170は、ディフューザ(すなわち、光散乱光学素子)またはシリンドリカルレンズとして実装される。
【0100】
他の実施形態による非限定的な実装によれば、光学構成要素170は、長方形のフィールドを照射する二次元ビームエキスパンダとして実装される。そのような二次元ビームエキスパンダの一例は、図6Aおよび6Bを参照して説明された部分反射面が埋め込まれた光導波路である。そのような実施形態において、検出器204は、好ましくは、関心フィールド内の照射点のアレイからの同時距離検出を可能にするために、長方形のピクセルアレイとして実装される。そのような実施形態は、必ずしも外部走査アレンジメント160を必要としないことがあるが、垂直および/または横方向の次元で走査フィールドのサイズをさらに拡張するために、走査アレンジメント160を含めることができる。
【0101】
走査アレンジメント160は、2つの直交する次元で走査を実行する単一の走査または傾斜ミラー、一対の直交する単一軸の走査または傾斜ミラー、1つ以上のプリズムが1つ以上の回転軸/傾斜軸を中心に回転可能/傾斜可能であるプリズムのセットを含むが、これらに限定されないビーム発散またはビームステアリング機構として実装され得る。好ましくは、走査アレンジメント160は、走査アレンジメント160の走査アクションを制御する処理サブシステム300と電気的に関連する。
【0102】
以下の段落は、処理サブシステム300、特に処理サブシステム300の構成要素、ならびに処理サブシステム300によって提供される処理および制御機能について記載する。一般的に言えば、処理サブシステム300は、送信機100および受信機200の構成要素と電気的に関連し、LIDARシステム10のサブシステムに処理および制御機能の両方を提供するようにする。特に、処理サブシステム300は、検出器204に電気的に関連し、検出器204からの信号を処理して、シーン内の照射された物体(例えば、図1の物体18)に関連する情報を導出するように構成されている。特定の実施形態において、導出された情報は、処理サブシステム300によって使用されて、物体18の3D表現および/または検出器204によって生成された信号の波長依存変化の識別に基づくシーンのマッピングを構成することができる。処理サブシステム300は、照射アレンジメント104とさらに電気的に関連し、ビーム源の照射タイミング(例えば、送信開始時間および停止時間およびレーザー源のパルス持続時間)、ビーム源によって生成されるビームの変調、ならびに(増幅器制御を介した)ビーム源の出力パワーを含むが、これらに限定されない照射アレンジメント104の様々な照射パラメータを制御するように構成されている。個々のビーム源の出力パワーは、アプリケーション固有であってもよい。
【0103】
処理サブシステム300は、好ましくは、検出器204をビーム源の照射タイミングと同期させて、照射アレンジメント104による照射の期間に対応する統合期間中に光を統合するようにさらに構成されている。追加的に、処理サブシステム300は、様々な実施形態の走査アレンジメント、例えば、走査アレンジメント106(図2~4)、および外部走査アレンジメント160(図9)および/または走査アレンジメントとして実装されるときの光学構成要素170(図9)と電気的に関連して、走査アレンジメントの走査アクションを制御する。
【0104】
処理システム300は、任意の好適なオペレーティングシステムの下で動作し、好適なソフトウェアまたはファームウェアモジュールを実装する様々な専用のコンピュータ化されたプロセッサの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない本技術分野で知られているような任意の好適なタイプの処理ハードウェアおよび/またはソフトウェアを使用して実装されてもよい。処理システム300は、情報の双方向転送のために、LANおよび/またはWANデバイスとの有線または無線通信を可能にするための様々な通信コンポーネントをさらに含んでもよい。非限定的な例の実装による処理サブシステム300の簡略化されたブロック図が図10に示されている。ここで、処理サブシステム300は、記憶媒体304に結合された少なくとも1つのコンピュータ化されたプロセッサ302を含む。記憶媒体304は、揮発性データストレージなどの1つ以上のコンピュータ化されたメモリデバイスとすることができる。プロセッサ302(複数のプロセッサであり得る)は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、画像プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPLA)などを含むがこれらに限定されない、任意の数のコンピュータ化されたプロセッサとして実装されてもよい。そのようなコンピュータ化されたプロセッサは、コンピュータ化されたプロセッサによって実行されるときに、コンピュータ化されたプロセッサにアクションを実行させるプログラムコードまたは命令セットを記憶するコンピュータ可読媒体を含むか、またはこれと電子通信していてもよい。コンピュータ可読媒体のタイプは、電子、光学、磁気、またはコンピュータ化されたプロセッサにコンピュータ可読命令を提供することが可能な他のストレージまたは伝送デバイスを含むが、これらに限定されない。
【0105】
プロセッサ302および記憶媒体304に加えて、処理サブシステム300は、例えば、復調回路、周波数合成器、周波数ミキサー、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、増幅器(例えば、低ノイズ増幅器)、アナログ-デジタルコンバータ(例えば、サンプリングおよび量子化回路の形式)、デジタル-アナログコンバータ、ローカル発振器、などを含む、アナログおよび/またはデジタル信号を受信および/または処理するための追加の電子回路を含み得ることに留意する。特定の実施形態において、処理サブシステム300自体が、受信機200の一部として統合され得ることにも留意する。他の実施形態において、処理サブシステム300のサブ構成要素は、受信機200の一部として統合することができるが、処理サブシステム300の他の構成要素は、受信機200から別個のスタンドアロン構成要素とすることができる。
【0106】
図2~9を参照して上記のLIDARシステムの実施形態の光導波路構成および走査構成は、関心視野(すなわち、関心シーン)を走査するための様々な解決策を提供し、それにより、LIDARからの出力ビームが、関心視野の多数の角度位置をスイープし、視野内の物体を照射するようにする。論じたように、関心視野内の照射された物体は、LIDARシステムからの照射の一部を反射または後方散乱して、対応する様々な到着方向でLIDARシステムの受信機に向けて戻す。LIDARシステムの受信機の検出器204は、光子感知能力を提供して、処理サブシステム300による、光反射物体に関連する情報の反射照射および導出の捕捉を可能にする。論じたように、導出された情報は、好ましくは、視野内の照射された物体の3D表現を生成するために使用される。
【0107】
当業者に周知のように、LIDARシステムにおいて物体の3D表現を生成するために使用される測定原理は、飛行時間(TOF)であり、LIDARシステムの送信機によって生成されるビーム(例えば、送信機100)は、(ビーム走査を介して)シーン内の物体に投影され、反射照射は、(例えば、検出器204によって)検出され、(例えば、処理サブシステム300によって)処理されて、3D点群の作成を可能にする物体までの距離(例えば、範囲)を判定する。物体までの距離、典型的には、物体から検出器204までの距離は、物体まで伝わる光波の往復遅延に基づいて測定される。距離測定は、送信されたレーザー照射の強度、位相、および/または周波数を変調し、変調パターンが受信機に現れるのに必要な時間を測定することによって達成することができる。
【0108】
TOF測定への1つのアプローチは、レーザー照射の短いパルスの強度変調に基づく。ここでは、レーザー照射の短いパルスがシーンに向けられ、シーン内の物体までの距離は、光の速度にパルスが物体までの距離まで伝わるのにかかる時間をかけることによって判定される。上述のように、処理サブシステム300は、好ましくは、照射アレンジメント104と検出器204との間の同期を提供し、それによって、ビーム源のパルスタイミングと検出器204の積分周期との間の同期を提供する。TOF測定の場合、処理サブシステム300は、タイマー回路(タイマー回路は処理サブシステム300の一部であり得る)を作動させて、各レーザーパルスの送信時にタイマーを初期化し、タイマー回路を作動させて、検出器204からの出力信号の受信時にタイマーを終了する。検出器204は、物体から反射された照射を捕捉することに応答して出力信号を生成し、出力信号は、検出器204によって捕捉された光の強度を示す。TOFは、タイマーの初期化からタイマーの終了までの経過時間として測定される。TOFは明らかに物体までの距離の2倍を表すため(つまり、送信機から物体までの距離に物体から検出器までの距離を加えたもの)、物体までの実際の範囲を提供するためにTOFを半分にすべきである。したがって、単純な強度変調アプローチを使用すると、物体までの距離Dは、以下のように表すことができる。
【数1】
ここで、cは光速である(3x108m/sで概算される)。
【0109】
TOF測定への別のアプローチは、連続波の振幅変調(AMCWと呼ばれる)に基づいており、送信された照射の位相が検出された反射された照射の位相と比較される。ここで、送信されるCWレーザー信号の光パワーは、一定の周波数fM、典型的には、数百KHzで変調されるため、送信されるビームの強度信号は、周波数fMの正弦波または方形波である。検出器204は、物体からの反射された照射を捕捉し、捕捉された照射の強度を示す出力信号を生成する。距離測定値Dは、送信強度信号と反射強度信号の間で発生する位相シフトΔΦ、および変調周波数fMに基づいて導出され、以下のように表すことができる。
【数2】
ここでも、cは光速である。
【0110】
生成された強度信号を復調し、位相情報を抽出するための技術は、本技術分野で周知であるが、いくつかの簡単な例を本明細書に提供する。1つの非限定的な例において、位相測定は、ミキサーおよびローパスフィルタのアレンジメントを使用することによって、または生成された強度信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を、いくつかの固定された位相オフセット数だけシフトされる送信された位相信号と相互相関させることによって取得することができる。別のアプローチは、生成された強度信号をサンプリングし、それを固定された位相オフセット数だけシフトされた送信された位相信号と混合し、次いで、結果として生じる位相数で混合信号をサンプリングすることを伴う。ここで言及される様々な技術は、例えば、ミキサー、フィルタ、ローカル発振器、アナログ-デジタル変換器、デジタル-アナログ変換器などを含む様々な電子構成要素を利用し、完全に受信機200の一部であるか、完全に処理サブシステム300の一部であるか、または処理サブシステム300と受信機200との間で共有され得る電子回路として実装され得る。
【0111】
TOF測定への別のアプローチは、連続波の周波数変調(FMCWと呼ばれる)に基づいており、これにより、送信された強度信号の瞬間的な光周波数が、典型的には、ビーム源の出力パワーを変動させることによって周期的にシフトされる。AMCWアプローチの場合のように、検出器204は、物体からの反射された照射を捕捉し、捕捉された照射の強度を示す出力信号を生成する。しかしながら、ここでは、検出器204によって生成された信号は、送信されたソース信号と混合されて、物体距離を測定するために使用され得るビート周波数を作成する。静止物体の場合、レーザー照射の送信と検出器204による照射の収集との間の時間遅延は、信号の混合から一定の周波数差(すなわち、ビート周波数)fBを引き起こす。周期Tにわたって透過レーザー照射の瞬間光周波数を線形に変動させることにより、ビート周波数fBはTOFに正比例して変動し、したがって同等性により、物体までの距離Dに比例する。fBとTOFの比例関係は、以下のように表すことができる。
【数3】
したがって、Dは以下のように表すことができる。
【数4】
ここで、Bは周波数スイープの帯域幅である。
【0112】
送信信号と受信信号の周波数差は、周期的な位相差として明らかにされ、これにより、ビート周波数fBで建設的干渉パターンと破壊的干渉パターンが交互に発生し、それにより周波数fBでビート信号を生成する。ビート周波数fBのピークは、フーリエ解析によって周波数領域でビート信号を分析することにより、距離に簡単に変換することができる。周波数領域分析を実行するための1つの特に好ましい技法は、高速フーリエ変換(FFT)によるものである。FFTアルゴリズムは本技術分野で周知であり、処理サブシステム300を使用して実装することができる。
【0113】
上記の例において、瞬間周波数は線形に変動し、単調に増加して、ランプ変調周波数を生成する。しかしながら、FMCWの多くの実際のアプリケーションにおいて、ランプの代わりに三角変調周波数が使用される。ここで、周波数変化率は2fMBとして表され、fMは変調周波数である。したがって、ビート周波数fBは以下のように表すことができる。
【数5】
【0114】
ここでも、FFTアルゴリズムを適用して、ビート周波数fBのピークを距離に変換することにより、ビート信号を分析することができる。この三角変調は、移動する物体を検出するために使用されるときに特に価値があり、物体の速度(つまり、速度および方向)は、ドップラー周波数を計算することにより判定することができる。
【0115】
TOFおよび物体までの距離を判定するための上記の技法のすべては、点ごとの測定の文脈内で説明されており、レーザー照射の単一パルスまたは単一変調ビームが送信機100によって送信され、シーン内の物体上の点を照射するようにし、またそれにより、受信機200(特に検出器204)は、前述の照射に応答して物体から反射された光を捕捉し、処理サブシステム300は、光を捕捉することに応答して検出器204によって生成された信号に基づいてTOFおよび距離情報を導出する。しかしながら、当技術分野で周知のように、LIDARシステムによって生成される主要な出力のうちの1つは、照射された物体の3D表現であり、典型的には、3D点群またはそこからレンダリングされた3D画像の形式である。そのような点群は、典型的には、視野を走査して物体の多数の点を照射し、照射された各点に対して捕捉された後方散乱(反射)光からのTOFおよび距離を応答的に計算することによって生成される。本発明の好ましい実施形態によれば、処理サブシステム300は、光のビームでシーン内の物体上の複数のポイントを照射するように(図2~9を参照して記載された光導波路および走査アレンジメント構成により可能となった技法を使用して)視野を走査することによって、そのような3D表現、例えば、点群を生成するように構成されている。アパーチャ増倍された送信ビームは、前述の送信機100構成を介して前述の走査アレンジメントを介して繰り返し再配置され(またはシーンの大きな帯が一度に照射される)、物体からの対応する反射光が検出器204によって捕捉されて、生成される点群を構築するために上記のTOFおよび距離を判定するための様々な技法に従って処理サブシステム300によって処理される対応する信号を生成する。好ましくは、処理サブシステム300は、照射アレンジメント104と様々な走査アレンジメント(例えば、走査アレンジメント106、160、および特定の非限定的な実装における光学構成要素170)との間の同期を提供して、関心フィールド全体の走査された照射を可能にする。
【0116】
一般的に言えば、点群の密度は、走査速度(すなわち、シーン内の異なる領域がどのくらい速く照射されるか)および検出器204の捕捉速度によって制限される。検出器204がセンサマトリックスまたは長方形ピクセルアレイとして実装されるときに、検出器204は、複数の領域からの反射光を同時に捕捉することができ、それにより、より高い全体的な捕捉速度を提供する。好ましくは、送信機100および受信機200は、処理サブシステム300が3D画像に似た「高密度」点群を生成することを可能にするように構成されている。処理サブシステム300はまた、本技術分野で周知の技術を使用して、3D点群を二次元(2D)深度画像に変換するように構成されてもよい。
【0117】
これまでに記載された本発明の実施形態は、電磁スペクトルのNIR領域および/または電磁スペクトルの可視領域の波長を有する光を生成するように構成されているビーム源を有する照射アレンジメントを使用することに関するが、照射アレンジメントが、例えば、電磁スペクトルの紫外領域で光を生成するように構成されているビーム源を含め、NIRおよび可視領域の外側に光を生成するように構成されている1つ以上のビーム源を含む他の実施形態が可能である。
【0118】
本明細書に記載された実施形態によるシステムによって達成可能な動作範囲は、典型的には、例えば、ビーム波長、ビーム強度、パルス持続時間、およびビーム発散を含むいくつかのパラメータの関数である。これらのパラメータのうちのいくつかは、処理サブシステム300から照射アレンジメント104への制御された入力によって調整されてもよいが、他のパラメータは、照射およびビームコンバインユニット102の様々な光学および走査構成要素を修正することによって調整することができ、さらに他のパラメータは、照射アレンジメント104に配備されたビーム源のタイプを変更することによって調整することができる。当業者は、所望の動作範囲を達成するために様々なパラメータを調整する方法を理解するであろう。これらのパラメータのうちのいくつかを調整することにより、本明細書に記載の実施形態によるシステムは、従来のLIDARシステムよりも優れた動作範囲を達成することができる。大気の減衰、ビームの発散、またはその他の劣化要因を無視すると、900nm付近で動作するNIRレーザーを用いる従来のLIDARシステムの最大動作範囲は、約100メートルである。非限定的な例において、光導波路120の入力アパーチャで(目の安全性のために)予め定義された強度を想定し、光導波路120が(二次元で)アパーチャの3倍の拡張を提供すると想定すると、送信機100の出力アパーチャでの合計出力パワーは9倍に増加し、したがって、システム10の動作範囲は、従来のLIDARシステムと比較して3倍に増加する(逆二乗の法則に従って)。したがって、本発明のLIDARシステムによって達成可能な動作範囲は、少なくとも300メートルであると期待することができる。
【0119】
本発明の実施形態によるLIDARシステムが、運転者が操作する地上車両に配備されるか、または運転者が操作する地車両とともに使用するために配備される場合、開示された実施形態の光導波路は車両の運転手の前に有利に設置される、例えば、車両のダッシュボードまたはフロントガラスに統合されてもよい。LIDARシステムがヘルメットの一部として配備されるときに、開示された実施形態の光導波路は、ヘルメットの前部領域にヘルメットの一部として有利に設置されてもよい。
【0120】
これまでに開示されたLIDARシステムの実施形態は、自律型または半自律型車両などの地上車両とともに使用するためのLIDARアプリケーションの文脈内で記載されており、本発明の実施形態はまた、静止地上LIDARアプリケーション、およびリモート感知アプリケーションなどの航空機搭載LIDARアプリケーションにおいて有利に使用され得る。地上アプリケーションの場合、シーン内の物体に関連したデータを収集するために、システムがマウントやタワーなどの静止プラットフォームに配備される実施形態が本明細書で企図される。空中アプリケーションの場合、システムが有人(すなわち、人間が操縦する)航空機(例えば、飛行機、ヘリコプターなど)または無人航空機(例えば、無人航空機(UAV)、ドローンなど)などの航空機に配備または搭載される実施形態が企図される。そのような実施形態において、システムは、好ましくは、航空機の下側または腹に配備され、それによって、システムが、(典型的には、10~100メートル、または小型UAVまたはドローンに配備された高強度レーザー源を使用するときには最大1キロメートルの高度で移動する)航空機によって監視される地上の遠隔シーン内の物体に関連するデータを収集することを可能にする。
【0121】
これまでに開示された実施形態の送信機および受信機は、LIDARアプリケーション、特に地上または航空機搭載車両で使用するために配備されたLIDARシステムにおいて使用する特定の文脈で記載されているが、上記の実施形態に基づく送信機および受信機構成は、レーザー距離計アプリケーションなど、シーン走査が不要な非LIDARアプリケーションでの使用に好適であってもよい。例えば、上記の実施形態の走査アレンジメントのない送信機構成は、地上設置型または手持ち式のレーザー距離計システムの一部として有利に使用することができ、シーン内の単一の点または点の小さなクラスターが点または点クラスターまでの距離を測定するために走査せずに照射される。
【0122】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱しない多くの修正および変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するため、または当業者以外の人が本明細書に開示される実施形態を理解できるようにするために選択された。
【0123】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0124】
「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、実例、または例示として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、および/または他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0125】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、または任意の適切な部分的な組み合わせで、または本発明の他の任意の記載された実施形態で適切であるとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0126】
添付の特許請求の範囲が多重の依存関係なしに起草されている点において、これは、このような複数の依存関係を許可しない法域の正式な要件に対応するためにのみ行われている。請求項を多重依存にすることによって暗示されるであろう特徴のすべての可能な組み合わせが明示的に想定されており、本発明の一部とみなされるべきであることに留意されたい。
【0127】
本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の請求項の趣旨および広い範囲に入るすべてのこのような代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10