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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】核酸検出キット、その方法および応用
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6844 20180101AFI20241004BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20241004BHJP
   C12Q 1/34 20060101ALI20241004BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20241004BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20241004BHJP
   C12Q 1/689 20180101ALI20241004BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20241004BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
C12Q1/6844 Z ZNA
C12Q1/6816 Z
C12Q1/34
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/689 Z
C12Q1/70
C12N15/31
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023509538
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2021109735
(87)【国際公開番号】W WO2022033331
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】202010803405.4
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521036193
【氏名又は名称】上▲海▼奕▲譜▼生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 振艶
(72)【発明者】
【氏名】董 世華
(72)【発明者】
【氏名】徐 鵬
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-518735(JP,A)
【文献】特表2011-505129(JP,A)
【文献】特表2002-517981(JP,A)
【文献】特表2011-509091(JP,A)
【文献】国際公開第2017/043114(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103525942(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-1/70
C12N 15/31
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象核酸に対して、定温増幅を行う定温増幅するステップS1と、
定温増幅後の産物に対して二次増幅を行い、且つ二次増幅の産物は核酸一本鎖であるステップS2と、
二次増幅後の産物とプローブとに対してハイブリダイゼーションを行うプローブハイブリダイゼーションのステップS3と、
ハイブリダイズした産物にエキソヌクレアーゼVIIを加えて、余分な一本鎖核酸を分解するプローブ分解のステップS4と、
ステップS4で得られた産物を検出するための産物検出のステップS5と、
を含む核酸検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸検出方法において、ステップS1の定温増幅とステップS2の二次増幅方法は、リコンビナーゼポリメラーゼ定温増幅技術、リコンビナーゼ支援増幅技術、ループ媒介定温増幅技術、鎖置換定温増幅技術、ローリングサークル増幅、核酸配列に基づく定温増幅技術、解凍酵素依存の定温増幅技術、ニッキングエンドヌクレアーゼ増幅反応を含む核酸検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の核酸検出方法において、ステップS1の定温増幅がコンビナーゼポリメラーゼ定温増幅技術で、ステップS2の二次増幅がニッキングエンドヌクレアーゼ増幅である核酸検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の核酸検出方法において、切断酵素は、Nb.BtsI、Nt.BspQI、Nt.CviPII、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AIwI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BssSI、Nt.BsmAIであり、鎖置換核酸ポリメラーゼは、Bst3.0 DNAポリメラーゼ、Bst2.0 DNAポリメラーゼ、Klenow DNAポリメラーゼ、phi29 DNAポリメラーゼである核酸検出方法。
【請求項5】
請求項3に記載の核酸検出方法において、ステップS3におけるプローブは修飾オリゴヌクレオチドプローブである核酸検出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸検出方法において、上記のプローブ修飾のタイプは、ビオチン修飾(Biotin)、ジゴキシジン修飾、イソチオシアネート蛍光体修飾、テキサスレッド修飾、リン酸化修飾、アミノ修飾、チオリン酸化修飾、蛍光基修飾、クエンチ基修飾を含む核酸検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸検出方法において、上記のプローブ修飾は、ジゴキシン修飾、ビオチン修飾を含む核酸検出方法。
【請求項8】
請求項1に記載の核酸検出方法において、ステップS5における産物検出方法は、金コロイド試験紙法、炭素コロイド試験紙法、蛍光染料法、紫外線照射法、リアルタイム蛍光定量PCR法を含む核酸検出方法。
【請求項9】
請求項1に記載の核酸検出方法において、ステップS1における検出対照核酸はDNA核酸試料、RNA核酸試料及びRNAから逆転写されたcDNA核酸試料を含む核酸検出方法。
【請求項10】
請求項1からのうちの任意の一つに記載の核酸検出方法は、病原性細菌、ウイルス、遺伝子組み換え核酸、食品成分、遺伝物質変異およびDNAメチル化変異の検出における核酸検出方法。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸検出方法において、上記の病原性細菌はサルモネラ菌を含み、上記のウイルスはアフリカ豚コレラウイルス、および新型コロナウイルスを含む核酸検出方法。
【請求項12】
請求項10に記載の核酸検出方法において、遺伝子組み換え核酸、食品成分、遺伝物質変異およびDNAメチル化変異の検出は、それぞれNOS遺伝子、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子、BRAF遺伝子およびSeptin9遺伝子の検出を含む核酸検出方法。
【請求項13】
定温増幅プライマー、プローブ、およびエキソヌクレアーゼVIIを含み、
上記のプローブは修飾オリゴヌクレオチドプローブであり、
上記のプローブ修飾のタイプは、ビオチン修飾、ジゴキシジン修飾、イソチオシアネート蛍光体修飾、テキサスレッド修飾、リン酸化修飾、アミノ修飾、チオリン酸化修飾、蛍光基修飾、クエンチ基修飾を含み、
プローブのヌクレオチド配列は、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号12、配列番号15、配列番号18および配列番号19を含む核酸検出キット。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸検出キットにおいて、上記の定温増幅プライマーのヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号20および配列番号21を含む核酸検出キット。
【請求項15】
請求項13に記載の核酸検出キットにおいて、上記の検出キットは、さらに検出試験紙も含み、上記の検出試験紙は金コロイド試験紙または炭素コロイド試験紙を含む核酸検出キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物技術分野に関し、特に、核酸検出キット、その方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸検出とは、ウイルスや細菌、細胞などの試料中に目的の核酸物質が存在するかどうかを検出する方法である。従来技術における核酸検出の方法は、主に三つタイプがある。一つは、現在最も一般的な方法とする従来のリアルタイム定量的蛍光PCR検出であり、新型コロナウイルスの配列について、1対または1対以上のプライマーを設計し、核酸を抽出し、逆転写とqPCRを行い、検出結果がサイクル数である。もう一つは、大型機器に依存しないオンサイト検出方法であり、例えば、米国の研究者によりCRISPR/Cas12に基づく方法DETECTERが開発され、当該方法は鼻腔スワブまたは咽頭スワブから抽出された核酸を試料とし、患者が自分でサンプリング及び自己操作のニーズを満たすことができない。もう一つは、オンサイトまたはホームテストであり、すなわち、テスターが自己サンプリング、自己操作、及び自己結果読み取りを実行することができる検出方法である。
【0003】
ホームテストは、大型機器に頼らず、自分でサンプリングできる新型コロナウイルスの迅速な検出方法として、検出効率と安全性を大幅に向上することができる。ただし、先行技術には、高速で特異的で感度の高く、複雑な機器を必要としない核酸検出キットと方法が欠けている。
【0004】
サルモネラ菌は食品由来の一般的な病原性細菌の一種であり、サルモネラ菌を含む食品を誤って食べると、ヒトや、家畜及び野生動物などに中毒を引き起こし、生命と健康を危険にさらす可能性がある。サルモネラの従来の識別方法は、主に培養特徴、抗原的特徴、形態学的特徴、生理学的および生化学的特徴などに基づいたものである。核酸によるサルモネラ菌の検出には、感度が高く特異性が高いという利点がある。
【0005】
アフリカ豚コレラウイルス(African swine fever virus, ASFV)は、様々な年齢や品種の豚に感染する二本鎖DNAウイルスで、感染力、病原性が高く、死亡率が最大100%に達す可能性があるほど極めて高く、中国で第一種動物疾病に指定されている。
【0006】
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はRNAウイルスの一種で、ヒトが感染すると発熱、せき、息切れ、呼吸困難などの症状が現れることがある。より深刻なケースでは、感染が肺炎、重度の急性呼吸器症候群、腎不全、さらには死に至る可能性がある。従来の検出は、主に実験室のリアルタイム定量的蛍光PCRによって行われる。
【0007】
遺伝子組み換え技術の急速な発展に伴い、イネ、大豆、魚の養殖、牛羊飼育など、さまざまな動植物の生産に広く使用されている。同時に、遺伝子組み換え技術は、潜在的な安全上の問題ももたらし、コメ、大豆、牛肉、羊肉などの遺伝子組み換え製品の違法な栽培と販売が時々発生している。遺伝子組み換え製品に対するリスク評価とりクス管理は、遺伝子組み換え技術の適用における重要な一環である。従って、正確な遺伝子組み換えの検出は非常に重要である。
【0008】
食品成分検出は、豚肉、鶏肉、牛肉、缶詰肉、冷凍肉、塩漬け肉、輸入肉など、あらゆる種類の食品を検出することである。
【0009】
遺伝的形質変異とは、生物の遺伝的形質が生理学的または病理学的条件下で変化する現象で、突然変異、組換え、欠失、染色体変異などがある。本実施形態は、BRAF遺伝子欠失の検出を一例にとり、遺伝的形質バリアント核酸を検出するための新しい方法を提供する。BRAFは、B-Rafタンパク質をコードするヒト遺伝子である。B-Rafタンパク質は、細胞増殖に参加し、様々なシグナル伝達経路に関与し、細胞分裂、文化、分泌などのプロセスに影響を与える。BRAF遺伝子変異は、様々な腫瘍の発生と密接に関連していることが証明されており、BRAFV 600Eが主な変異モードである。
【0010】
DNAメチル化は、様々な生理学的および病理学的プロセスに関与し、発生、分化、再生、および疾患に密接に関連している。DNAメチル化変異の検出は、腫瘍検出、出生前診断、技術研究開発、疾患診断などの分野で使用できる。本実施例は、Septin9遺伝子のメチル化検出を例示し、迅速なメチル化検出方法を提供する。Septin9メチル化変異は、様々な腫瘍の発生及び発展に関連していることが広く報告されており、各種腫瘍の早期検出に使用できる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、先行技術の欠点を克服し、複雑な機器および装置を必要としない迅速で特異的で感度の高い核酸検出キット、その方法および応用を提供する。
【0012】
本発明の第1の形態は、図1に示すように、以下のステップを含む核酸検出方法を提供し、その方法は、
検出対象核酸に対して、定温増幅を行う定温増幅するステップS1と、
定温増幅後の産物に対して二次増幅を行い、二次増幅の産物は核酸一本鎖であり、in vitro転写、T7エキソヌクレアーゼ処理などの一本鎖を生成できる他の方法に置き換えることができるステップS2と、
二次増幅後の産物とプローブとに対してハイブリダイゼーションを行うプローブハイブリダイゼーションのステップS3と、
ハイブリダイズした産物にヌクレアーゼを加えて、余分な一本鎖核酸を分解するプローブ分解のステップS4と、
ステップS4で得られた産物を検出するための産物検出のステップS5と、
を含む。
【0013】
好ましくは、ステップS1の定温増幅およびステップS2の二次増幅方法は、リコンビナーゼポリメラーゼ定温増幅技術、リコンビナーゼ支援増幅技術、ループ媒介定温増幅技術、鎖置換定温増幅技術、ローリングサークル増幅、核酸配列に基づく定温増幅技術、解凍酵素依存の定温増幅技術、ニッキングエンドヌクレアーゼ増幅反応を含む。
【0014】
リコンビナーゼポリメラーゼ定温増幅技術(Recombinase Polymerase Amplification、RPA)は、主に一本鎖核酸(オリゴヌクレオチドプライマー)を結合できるリコンビナーゼ、一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)および鎖置換DNAポリメラーゼという3つのエンザイムに依存し、リコンビナーゼとプライマーとを結合することにより形成するタンパク質-DNA複合体が二本鎖DNAの相同配列を検索できる。プライマーが相同配列を特定すると、鎖交換反応が起こり、DNA合成が開始され、テンプレート上の標的領域が指数関数的に増幅される。置換されたDNA鎖はSSBに結合し、それ以上の置換を防ぐ。このシステムでは、合成イベントは向き合う二つのプライマーによって開始される。全プロセスは室温で行うことができ、一般に検出可能なレベルの増幅産物が約10分で得られる。
【0015】
リコンビナーゼ支援増幅技術(Recombinase-aided amplification、RAA)は、室温で迅速に核酸を増幅できる方法である。細菌または真菌から取得されたリコンビナーゼが使用され、37度の定温で、当該のリコンビナーゼは、プライマーとしっかり結合し、ポリマーを形成することができる。プライマーがテンプレートとペアになると、一本鎖DNA結合タンパク質の助けを借りて、テンプレートDNAが解凍され、DNAポリメラーゼの作用の下で新しいDNA相補鎖が形成される。
【0016】
ループ媒介定温増幅技術(Loop-mediated isothermal amplification、LAMP)は、標的遺伝子の検出対象領域に対して4~6個のプライマーを設計し、鎖置換型DNAポリメラーゼを用いて定温で増幅する方法である。60~65度の条件で15~60分以内に増幅が実現され、大量の増幅産物が生成されうる。
【0017】
鎖置換定温増幅技術は、ニック酵素に基づき、従来の方法と比べてもっと簡単に、速く、環境に優しく、安価で、実用化への可能性が高く、特にオンサイト検出に相応しい技術である。
【0018】
ローリングサークル増幅は、一本の環状DNAをテンプレートとして、新しいDNA環状分子を合成するローリングサークル複製であり、一本鎖の複製起点に裂け目が発生し、別の一本鎖をテンプレートとして連続的に新たな一本鎖を合成する。放出された新たに合成された一本鎖DNAは、まず二本鎖DNAにコピーされ、酵素によって単位長に切断された後、環状の二本鎖DNA分子を形成する。または、放出された新たに合成された一本鎖DNAは、まず酵素によって単位長に切断され、一本鎖の環状DNA分子を形成した後、二本鎖の環状DNA分子にコピーされる。
【0019】
核酸配列に基づく定温増幅技術(Nucleic acid sequence-based amplification、NASBA)は、核酸配列中のRNAをテンプレートとし、2つのプライマーによって媒介される、連続的均一な特異的体外定温増幅ヌクレオチド配列の酵素触媒反応である。反応全体は非循環相と循環相から構成される。まず非循環相を行い、AMV逆転写酵素の作用の下で、プライマー1とテンプレートRNAをアニールした後にcDNAを合成し、RNA/DNAハイブリッドを形成し、その後RNaseHはRNAを分解し、プライマー2とcDNAをアニールし、第2条DNA相補鎖を合成する。形成された二本鎖DNAはT7 RNAポリメラーゼによりプロモーター配列を識別し、RNAを触媒合成し、循環相に入り、テンプレートを大量に増幅する。
【0020】
解凍酵素依存の定温増幅技術(Helicase-dependent isothermal DNA amplification、HAD)は、体内DNA複製の自然過程を模擬し、解凍酵素を利用して定温下で二本鎖DNAを解いて、一本鎖DNA結合蛋白質によって解凍された単鎖を安定して、プライマーにテンプレートを提供して、それからDNAポリメラーゼの作用下で相補的な二本鎖を合成して、上述の循環増幅過程を繰り返して、最終的に標的配列の指数的成長を実現する。
【0021】
ニッキングエンドヌクレアーゼ増幅反応(Nicking endonuclease amplification reaction,NEAR)は、核酸切断酵素の切断により形成された裂け目において、ポリメラーゼの作用によりdNTPsを原料として裂け目の3’末端から凝集伸び、等位のDNA鎖を置換することにより、新たな完全な切断酵素識別部位を含むDNA配列を形成する鎖置換増幅技術である。この二本鎖は再び核酸切断酵素によって識別切断され、さらに「凝集-切断」の循環が始まり、置換されたDNA単鎖が大量に生成され、指数関数的増幅を形成する。
【0022】
好ましくは、ステップS1における定温増幅は組換え酵素ポリメラーゼ定温増幅技術であり、ステップS2における二次増幅は、NEARである。
【0023】
NEARは、切断酵素を加えて鎖置換機能を持つ核酸ポリメラーゼと反応させる必要があり、切断酵素はプライマーの持つ部位に応じて単鎖を切断し、切断を形成し、鎖置換機能を持つ核酸ポリメラーゼは切断部位から増幅し、切断のない鎖をテンプレートとして線形増幅し、大量の単鎖核酸生成物を増幅する。
【0024】
好ましくは、切断酵素増幅に用いられる切断酵素は、Nb.BtsI、Nt.BspQI、Nt.CviPII、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AIwI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BssSI、Nt.BsmAIであり、切断酵素増幅に用いられる鎖置換核酸ポリメラーゼは、Bst3.0 DNAポリメラーゼ、Bst2.0 DNAポリメラーゼ、Klenow DNAポリメラーゼ、phi29 DNAポリメラーゼであり、さらに好ましくは、上記の切断酵素増幅に用いられる切断酵素はNb.BtsIであり、切断酵素増幅に用いられる鎖置換核酸ポリメラーゼはBst3.0 DNAポリメラーゼである。
【0025】
好ましくは、ステップS3のプローブは修飾オリゴヌクレオチドプローブであり、さらに好ましくは、上記のプローブ修飾のタイプは、ビオチン修飾(Biotin)、ジゴキシジン修飾(Digoxigenin)、イソチオシアネート蛍光体修飾(FITC)、テキサスレッド修飾(Texas Red-X)、リン酸化修飾(Phosphorylation)、アミノ修飾(Aminolinker C6/7/12)、疎基修飾(Thiol C6/Thiol-C6 S-S)、チオリン酸化修飾(Phosphorothioate)、蛍光基修飾(FAM/HEX/ROX/CY-3/CY-5/JOE/TETなど)、クエンチ基修飾(MGB/BHQ1/BHQ2/TAMRAなど)を含み、さらに好ましくは、上記のプローブ修飾は、ジゴキシン(DIGOXINGENIN)修飾、ビオチン(BIOTIN)修飾を含む。
【0026】
好ましくは、ステップS4における上記のヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼVII、λエキソヌクレアーゼ、T5エキソヌクレアーゼ、T7エキソヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼV、エキソヌクレアーゼIII、RecJIエキソヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼIを含み、さらに好ましくは、上記のエキソヌクレアーゼはエキソヌクレアーゼVIIである。
【0027】
好ましくは、ステップS5における産物検出方法は、金コロイド試験紙法、炭素コロイド試験紙法、蛍光染料法、紫外線照射法、リアルタイム蛍光定量PCR法を含み、さらに好ましくは、上記の検出方法は金コロイド試験紙法である。
【0028】
金コロイド試験紙法において、金コロイドは、一般的に使用されている標識技術で、トレーサーマーカーとして、抗原および抗体に応用する新しいタイプの免疫標識技術であり、独自の利点がある。近年、様々な生物学的研究で広く使用されているが、フローサイトメトリー、電子顕微鏡、免疫、核酸検出、分子生物学、さらにバイオチップにも使用されうる。
【0029】
炭素コロイド試験紙法は、金コロイド試験紙の原理の下で、金粒子をより敏感な特性を有する炭素粒子に置換する。
【0030】
蛍光染料法において、蛍光染料とは、ある波長の光波を吸収した後、吸収した光よりも大きな別の波長を放出できる物質を指す。それらの多くはベンゼン環または複素環を含み、共二重結合を有する化合物である。蛍光染料は単独で用いてもよいし、複合蛍光染料として組み合わせて用いてもよい。核酸検出などの分子生物学実験に用いることができる。
【0031】
紫外線照射法は、エチジウムブロマイド、SYBRなどの特定の核酸色素を添加した後、増幅された核酸を紫外線を照射することで検出することができる。
【0032】
リアルタイム蛍光定量PCR法は、増幅された核酸を、リアルタイム蛍光定量PCR(qPCR)機器などの機器によって検出することができる。
【0033】
好ましくは、ステップS1において検出される核酸は、DNA核酸試料、RNA核酸試料、またはRNAから逆転写されたDNA核酸試料を含む。
【0034】
本発明の第2の形態は、病原性細菌、ウイルス、遺伝子組み換え核酸、食品成分、遺伝物質変異およびDNAメチル化変異の検出における核酸検出方法を提供する。
【0035】
好ましくは、病原性細菌およびウイルスの検出において検出される種は、サルモネラ菌、アフリカ豚コレラウイルス、および新型コロナウイルスである。
【0036】
好ましくは、遺伝子組み換え核酸、食品成分、遺伝物質変異およびDNAメチル化変異の検出は、それぞれNOS遺伝子、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子、BRAF遺伝子およびSeptin9遺伝子の検出を含み得る。
【0037】
好ましくは、サルモネラ菌を検出する場合、ステップS1においてm定温増幅用プライマーの核酸配列は、配列番号1および配列番号2である。
【0038】
好ましくは、サルモネラ菌を検出する場合、ステップS3において、上記のプローブの核酸配列は、配列番号3である。
【0039】
好ましくは、アフリカ豚コレラウイルスを検出する場合、ステップS1において定温増幅用プライマーの核酸配列は、配列番号4および配列番号5である。
【0040】
好ましくは、アフリカ豚コレラウイルスを検出する場合、ステップS3において、上記のプローブの核酸配列は、配列番号6である。
【0041】
好ましくは、NOS遺伝子を検出する場合、ステップS1において、定温増幅用プライマーの核酸配列は、配列番号7および配列番号8である。
【0042】
好ましくは、NOS遺伝子を検出する場合、ステップS3において、上記のプローブの核酸配列は、配列番号9である。
【0043】
好ましくは、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子を検出する場合、ステップS1において、定温増幅用プライマーの核酸配列は、配列番号10および配列番号11である。
【0044】
好ましくは、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子を検出する場合、ステップS3において、上記のプローブの核酸配列は、配列番号12である。
【0045】
好ましくは、BRAF遺伝子を検出する場合、ステップS1において、定温増幅用プライマーの核酸配列は、配列番号13および配列番号14である。
【0046】
好ましくは、BRAF遺伝子を検出する場合、ステップS3において、上記のプローブの核酸配列は、配列番号15である。
【0047】
好ましくは、Septin9遺伝子を検出する場合、ステップS1において、定温増幅用プライマーの核酸配列は、配列番号16および配列番号17である。
【0048】
好ましくは、Septin9遺伝子を検出する場合、ステップS3において、上記のプローブの核酸配列は、配列番号18である。
【0049】
好ましくは、新型コロナウイルスを検出する場合、ステップS1において、定温増幅用プライマーの核酸配列は、配列番号20および配列番号21である。
【0050】
好ましくは、新型コロナウイルスを検出する場合、ステップS3において、上記のプローブの核酸配列は、配列番号19である。
【0051】
上記の核酸配列は下記表1に示す。
【表1】
【0052】
本発明の第3の形態は、定温増幅プライマー、二次増幅酵素、プローブ、およびヌクレアーゼを含む核酸検出キットを提供する。
【0053】
好ましくは、上記のプローブは修飾オリゴヌクレオチドプローブであり、さらに好ましくは、上記のプローブ修飾のタイプは、ビオチン修飾(Biotin)、ジゴキシジン修飾(Digoxigenin)、イソチオシアネート蛍光体修飾(FITC)、テキサスレッド修飾(Texas Red-X)、リン酸化修飾(Phosphorylation)、アミノ修飾(Aminolinker C6/7/12)、疎基修飾(Thiol C6/Thiol-C6 S-S)、チオリン酸化修飾(Phosphorothioate)、蛍光基修飾(FAM/HEX/ROX/CY-3/CY-5/JOE/TETなど)、クエンチ基修飾(MGB/BHQ1/BHQ2/TAMRAなど)を含み、さらに好ましくは、上記のプローブ修飾は、ジゴキシン(DIGOXINGENIN)修飾、ビオチン(BIOTIN)修飾を含む。
【0054】
好ましくは、上記のプローブのヌクレオチド配列は、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号12、配列番号15、配列番号18および配列番号19を含む。
【0055】
好ましくは、上記の定温増幅プライマーのヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号20および配列番号21を含む。
【0056】
好ましくは、上記の二次増幅酵素は、ニッキングエンドヌクレアーゼNb.BtsI、Nt.BspQI、Nt.CviPII、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AIwI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BssSI、Nt.BsmAIのうちの一つまたは複数、及び鎖置換核酸ポリメラーゼBst3.0 DNAポリメラーゼ、Bst2.0 DNAポリメラーゼ、Klenow DNAポリメラーゼ、phi29 DNAポリメラーゼのうちの一つまたは複数を含む。
【0057】
好ましくは、上記のヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼVII、λエキソヌクレアーゼ、T5エキソヌクレアーゼ、T7エキソヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼV、エキソヌクレアーゼIII、RecJIエキソヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼIのうちの一つまたは複数を含む。
【0058】
好ましくは、上記の検出キットは検出試験紙も含み、検出試験紙は金コロイド試験紙または炭素コロイド試験紙を含む。
【0059】
従来技術と比較して、本発明は、複雑な実験装置に依存する必要がなく、現場や自宅で核酸検出を完了することができる操作が簡単で、特異性が高い真新しい核酸迅速検出法を提供する。この方法を用いて、病原微生物核酸検出、ウイルス核酸検出、遺伝子組換え核酸検出、遺伝病核酸検出、腫瘍核酸検出、DNAメチル化核酸検出など、様々な核酸検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明による方法の原理の概略図である。
図2】本発明の実施例1に係るサルモネラ菌の核酸検出結果を示す。
図3】本発明の実施例2に係るアフリカ豚コレラウイルスの核酸検出結果を示す。
図4】本発明の実施例3に係るNOS遺伝子の核酸検出結果を示す。
図5】本発明の実施例4に係るブタミトコンドリアCYTB遺伝子の核酸検出の結果を示す。
図6】本発明の実施例5に係るBRAF遺伝子の核酸検出結果を示す。
図7】本発明の実施例6に係るSeptin9遺伝子の核酸検出結果を示す。
図8】本発明の実施例7に係る新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)プローブ検出分解試験結果を示す。
図9】本発明の実施例8に係る新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のDNA標準物質とRNA標準物質の検出結果を示す。
図10】本発明の実施例9に係る臨床咽頭スワブサンプルによる新型コロナウイルスの検出結果を示す。
図11】本発明の実施例10に係る臨床唾液サンプルによる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図面および実施例を参照して、本発明の具体的な実施例を以下にさらに説明する。以下の実施例は、本発明の技術的様態をより明確に説明するためだけに使用され、本発明の保護範囲を限定するものではない。下記の実施例に具体的な条件が明記されていない実験方法は、当分野の従来の方法と条件に従って、または商品仕様書に従って選択される。下記の実施形態における関連試薬及びバイオマス材料は市販のものである。以下の実施例における分子クローン技術は、従来技術における特定のDNAセグメントを分子レベルで純化し増幅する方法を提供する方法である。下記の実施例では、主にサルモネラ菌検出、アフリカ豚コレラウイルス検出、遺伝子組み換え検出、食品成分検出、遺伝物質変異検出、DNAメチル化検出、新型コロナウイルス検出を例にして説明する。
【実施例1】
【0062】
サルモネラ菌検出
サルモネラ菌の核酸検出方法は主に、
細菌核酸抽出キットを用いてサルモネラ菌の核酸を抽出し、その後、サルモネラ菌核酸セグメントサンプルを含む陽性サンプル1(サンプル1)と、サルモネラ菌核酸セグメントを含む陽性サンプル2(サンプル2)と、サルモネラ菌核酸セグメントを含まない陰性サンプル(サンプル3)との3種類のサンプルを調製する検出サンプルの調製ステップ1.1と、
抽出したサルモネラ菌のゲノム配列に対して、定温増幅プライマーと検出プローブを設計し、増幅順方向プライマー配列は配列番号01であり、増幅逆方向プライマー配列は配列番号02であり、検出用プローブ配列は配列番号03であるプライマー及びプローブの設計ステップ1.2と、
WEIFANG AMP-FUTURE BIO-TECH CO.,LTD.が生産するRNA定温急速増幅キット(品番:WLRN8206KIT)を用いて増幅し、当該キットの試薬には逆転写酵素が混在しており、DNAテンプレートの増幅に使用されてもよいし、RNAテンプレートの増幅に使用されてもよく、定温増幅の反応体系及び条件は、以下の通りであり、
反応体系は、
【表2】
反応条件は37℃の温度で15分間である定温増幅ステップ1.3と、
1μl Bst3.0(8U)、1μl Nb.BtsI(10U)、2μl dNTPs(各2.5mM)を上記の反応体系に加え、よく混合し、37℃で15分間反応し、95℃で5分間反応する二次増幅ステップ1.4と、
2μl(10μM)標識プローブを上記の体系に加え、熱湯の入ったカップに1分間入れ、カップごとゆっくりと冷却(約15分間)し、20μlを取り出し、0.5μlのエキソヌクレアーゼVIIを加え、37℃で5分間反応するプローブハイブリダイゼーションステップ1.5と、
60μl ddH20を追加し、混合後、金コロイド試験紙のサンプル滴下部に滴下し、テストライン(T)とコントロールライン(C)の変化を5分以内に観察する金コロイド試験紙検出ステップ1.6と、
図2に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験結果が有効であることを示し、サンプル1はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル2はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル3は、テストライン(T)の位置にラインがなく、陰性であるという結果ステップ1.7とを含む。以上によって、本発明による方法は、サルモネラ菌を正確に検出できることが分かる。
【実施例2】
【0063】
アフリカ豚コレラウイルス検出
アフリカ豚コレラウイルス検出方法は主に、
ウイルス核酸抽出キットを用いてアフリカ豚コレラウイルスの核酸を抽出し、その後、アフリカ豚コレラウイルスの核酸セグメントを含む陽性サンプル1と、アフリカ豚コレラウイルスの核酸セグメントを含む陽性サンプル2と、アフリカ豚コレラウイルスの核酸セグメントを含まない陰性サンプル3との3種類のサンプルを調製する検出サンプルの調製ステップ2.1と、
抽出したアフリカ豚コレラウイルスのゲノム配列に対して、定温増幅プライマーと検出プローブを設計し、増幅順方向プライマー配列は配列番号04であり、増幅逆方向プライマー配列は配列番号05であり、検出用プローブ配列は配列番号06であるプライマー及びプローブの設計ステップ2.2と、
WEIFANG AMP-FUTURE BIO-TECH CO.,LTD.が生産するRNA定温急速増幅キット(品番:WLRN8206KIT)を用いて増幅し、当該キットの試薬には逆転写酵素が混在しており、DNAテンプレートの増幅に使用されてもよいし、RNAテンプレートの増幅に使用されてもよく、定温増幅の反応体系及び条件は、以下の通りであり、
反応体系は、
【表3】
反応条件は37℃の温度で15分間である定温増幅ステップ2.3と、
1μl Bst3.0(8U)、1μl Nb.BtsI(10U)、2μl dNTPs(各2.5mM)を上記の反応体系に加え、よく混合し、37℃で15分間反応し、95℃で5分間反応する二次増幅ステップ2.4と、
2μl(10μM)標識プローブを上記の体系に加え、熱湯の入ったカップに1分間入れ、カップごとゆっくりと冷却(約15分間)し、20μlを取り出し、0.5μlのエキソヌクレアーゼVIIを加え、37℃で5分間反応するプローブハイブリダイゼーションステップ2.5と、
60μl ddH20を追加し、混合後、金コロイド試験紙のサンプル滴下部に滴下し、テストライン(T)とコントロールライン(C)の変化を5分以内に観察する金コロイド試験紙検出ステップ2.6と、
図3に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験結果が有効であることを示し、サンプル1はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル2はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル3は、テストライン(T)の位置にラインがなく、陰性である結果ステップ1.7とを含む。以上によって、本発明による方法は、アフリカ豚コレラウイルスを正確に検出できることが分かる。
【実施例3】
【0064】
遺伝子組み換え検出
遺伝子組み替え検出方法は、NOS遺伝子を例にとり、NOS遺伝子検出方法は主に、
NOS遺伝子核酸セグメントを含む陽性サンプル1(サンプル1)と、NOS遺伝子の核酸セグメントを含む陽性サンプル2(サンプル2)と、NOS遺伝子の核酸セグメントを含まない陰性サンプル3(サンプル3)との3種類のサンプルを調製する検出サンプルの調製ステップ3.1と、
抽出したアフリカNOSの核酸配列に対して、定温増幅プライマーと検出プローブを設計し、増幅順方向プライマー配列は配列番号07であり、増幅逆方向プライマー配列は配列番号08であり、検出用プローブ配列は配列番号09であるプライマー及びプローブの設計ステップ3.2と、
WEIFANG AMP-FUTURE BIO-TECH CO.,LTD.が生産するRNA定温急速増幅キット(品番:WLRN8206KIT)を用いて増幅し、当該キットの試薬には逆転写酵素が混在しており、DNAテンプレートの増幅に使用されてもよいし、RNAテンプレートの増幅に使用されてもよく、定温増幅の反応体系及び条件は、以下の通りであり、
反応体系は、
【表4】
反応条件は37℃の温度で15分間である定温増幅ステップ3.3と、
1μl Bst3.0(8U)、1μl Nb.BtsI(10U)、2μl dNTPs(各2.5mM)を上記の反応体系に加え、よく混合し、37℃で15分間反応し、95℃で5分間反応する二次増幅ステップ3.4と、
2μl(10μM)標識プローブを上記の体系に加え、熱湯の入ったカップに1分間入れ、カップごとゆっくりと冷却(約15分間)し、20μlを取り出し、0.5μlのエキソヌクレアーゼVIIを加え、37℃で5分間反応するプローブハイブリダイゼーションステップ3.5と、
60μl ddH20を追加し、混合後、金コロイド試験紙のサンプル滴下部に滴下し、テストライン(T)とコントロールライン(C)の変化を5分以内に観察する金コロイド試験紙検出ステップ3.6と、
図4に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験結果が有効であることを示し、サンプル1はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル2はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル3は、テストライン(T)の位置にラインがなく、陰性である結果ステップ3.7とを含む。以上によって、本発明による方法は、NOS遺伝子を正確に検出できることが分かる。
【実施例4】
【0065】
食品成分検出
食品成分検出方法は、豚肉成分の検出を例にとり、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子を検出し、検出方法は主に、
ブタミトコンドリアCYTB遺伝子核酸セグメントを含む陽性サンプル1(サンプル1)と、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子核酸セグメントを含む陽性サンプル2(サンプル2)と、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子の核酸セグメントを含まない陰性サンプル3(サンプル3)との3種類のサンプルを調製する検出サンプルの調製ステップ4.1と、
抽出したブタミトコンドリアCYTB遺伝子の核酸配列に対して、定温増幅プライマーと検出プローブを設計し、増幅順方向プライマー配列は配列番号10であり、増幅逆方向プライマー配列は配列番号11であり、検出用プローブ配列は配列番号12であるプライマー及びプローブの設計ステップ4.2と、
WEIFANG AMP-FUTURE BIO-TECH CO.,LTD.が生産するRNA定温急速増幅キット(品番:WLRN8206KIT)を用いて増幅し、当該キットの試薬には逆転写酵素が混在しており、DNAテンプレートの増幅に使用されてもよいし、RNAテンプレートの増幅に使用されてもよく、定温増幅の反応体系及び条件は、以下の通りであり、
反応体系は、
【表5】
反応条件は37℃の温度で15分間である定温増幅ステップ4.3と、
1μl Bst3.0(8U)、1μl Nb.BtsI(10U)、2μl dNTPs(各2.5mM)を上記の反応体系に加え、よく混合し、37℃で15分間反応し、95℃で5分間反応する二次増幅ステップ4.4と、
2μl(10μM)標識プローブを上記の体系に加え、熱湯の入ったカップに1分間入れ、カップごとゆっくりと冷却(約15分間)し、20μlを取り出し、0.5μlのエキソヌクレアーゼVIIを加え、37℃で5分間反応するプローブハイブリダイゼーションステップ4.5と、
60μl ddH20を追加し、混合後、金コロイド試験紙のサンプル滴下部に滴下し、テストライン(T)とコントロールライン(C)の変化を5分以内に観察する金コロイド試験紙検出ステップ4.6と、
図5に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験結果が有効であることを示し、サンプル1はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル2はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル3は、テストライン(T)の位置にラインがなく、陰性である結果ステップ4.7とを含む。以上によって、本発明による方法は、ブタミトコンドリアCYTB遺伝子を検出でき、食物成分検出の可能性を有することが分かる。
【実施例5】
【0066】
遺伝物質変異検出
遺伝子物質変異検出方法は、BRAF遺伝子をを例にとり、BRAF遺伝子の検出方法は主に、
BRAF遺伝子変異核酸セグメントを含む陽性サンプル(サンプル1)と、BRAF遺伝子変異核酸セグメントを含む陽性サンプル(サンプル2)と、BRAF遺伝子変異の核酸セグメントを含まない陰性サンプル(サンプル3)との3種類のサンプルを調製する検出サンプルの調製ステップ5.1と、
抽出したBRAF遺伝子変異の核酸配列に対して、定温増幅プライマーと検出プローブを設計し、増幅順方向プライマー配列は配列番号13であり、増幅逆方向プライマー配列は配列番号14であり、検出用プローブ配列は配列番号15であるプライマー及びプローブの設計ステップ5.2と、
WEIFANG AMP-FUTURE BIO-TECH CO.,LTD.が生産するRNA定温急速増幅キット(品番:WLRN8206KIT)を用いて増幅し、当該キットの試薬には逆転写酵素が混在しており、DNAテンプレートの増幅に使用されてもよいし、RNAテンプレートの増幅に使用されてもよく、定温増幅の反応体系及び条件は、以下の通りであり、
反応体系は、
【表6】
反応条件は37℃の温度で15分間である定温増幅ステップ5.3と、
1μl Bst3.0(8U)、1μl Nb.BtsI(10U)、2μl dNTPs(各2.5mM)を上記の反応体系に加え、よく混合し、37℃で15分間反応し、95℃で5分間反応する二次増幅ステップ5.4と、
2μl(10μM)標識プローブを上記の体系に加え、熱湯の入ったカップに1分間入れ、カップごとゆっくりと冷却(約15分間)し、20μlを取り出し、0.5μlのエキソヌクレアーゼVIIを加え、37℃で5分間反応するプローブハイブリダイゼーションステップ5.5と、
60μl ddH20を追加し、混合後、金コロイド試験紙のサンプル滴下部に滴下し、テストライン(T)とコントロールライン(C)の変化を5分以内に観察する金コロイド試験紙検出ステップ5.6と、
図6に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験結果が有効であることを示し、サンプル1はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル2はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル3は、テストライン(T)の位置にラインがなく、陰性である結果ステップ3.7とを含む。以上によって、本発明による方法は、遺伝子物質変を検出でき、遺伝物質変異検出の可能性を有することが分かる。
【実施例6】
【0067】
DNAメチル化変異検出
DNAメチル化検出方法は、Septin9遺伝子の検出を例にとり、検出方法は主に、
Septin9遺伝子高メチル化核酸セグメントを含む陽性サンプル1(サンプル1)と、Septin9遺伝子高メチル化の核酸セグメントを含む陽性サンプル2(サンプル2)と、Septin9遺伝子高メチル化の核酸セグメントを含まない陰性サンプル3(サンプル3)との3種類のサンプルを調製する検出サンプルの調製ステップ6.1と、
抽出したSeptin9遺伝子の核酸配列に対して、定温増幅プライマーと検出プローブを設計し、増幅順方向プライマー配列は配列番号16であり、増幅逆方向プライマー配列は配列番号17であり、検出用プローブ配列は配列番号18であるプライマー及びプローブの設計ステップ6.2と、
WEIFANG AMP-FUTURE BIO-TECH CO.,LTD.が生産するRNA定温急速増幅キット(品番:WLRN8206KIT)を用いて増幅し、当該キットの試薬には逆転写酵素が混在しており、DNAテンプレートの増幅に使用されてもよいし、RNAテンプレートの増幅に使用されてもよく、定温増幅の反応体系及び条件は、以下の通りであり、
反応体系は、
【表7】
反応条件は37℃の温度で15分間である定温増幅ステップ6.3と、
1μl Bst3.0(8U)、1μl Nb.BtsI(10U)、2μl dNTPs(各2.5mM)を上記の反応体系に加え、よく混合し、37℃で15分間反応し、95℃で5分間反応する二次増幅ステップ6.4と、
2μl(10μM)標識プローブを上記の体系に加え、熱湯の入ったカップに1分間入れ、カップごとゆっくりと冷却(約15分間)し、20μlを取り出し、0.5μlのエキソヌクレアーゼVIIを加え、37℃で5分間反応するプローブハイブリダイゼーションステップ6.5と、
60μl ddH20を追加し、混合後、金コロイド試験紙のサンプル滴下部に滴下し、テストライン(T)とコントロールライン(C)の変化を5分以内に観察する金コロイド試験紙検出ステップ6.6と、
図7に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験結果が有効であることを示し、サンプル1はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル2はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル3は、テストライン(T)の位置にラインがなく、陰性である結果ステップ6.7とを含む。以上によって、本発明による方法は、Septin9遺伝子を正確に検出でき、DNAメチル化変異検出の可能性を有することが分かる。
【実施例7】
【0068】
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)プローブ検出分解試験
プローブを調製、設計および修飾し、プローブの核酸配列は配列番号19であり、5'末端はジゴキシン修飾でマークされ、3'末端はビオチン修飾でマークされているステップ7.1と、
陰性対照群(サンプル1)は水で、実験群は、それぞれ1pmolの修飾プローブ(サンプル2)、10pmolの修飾プローブ(サンプル3)、10pmolの一本鎖エキソヌクレアーゼExo VIIにより切断された後の修飾プローブ(サンプル4)であるステップ7.2と、
50μl 2.2の産物をとり、金コロイド試験紙を産物に挿入し、静的クロマトグラフィにし、5分以内に結果を読み取るステップ7.3と、
図8に示すように、コントロールライン(C)の位置にラインが表示され、実験が成功したことを示し、サンプル1は、テストライン(T)の位置にラインが表示されず、陰性であり、サンプル2はラインが表示され、陽性であり、サンプル3はラインが表示されず、陰性であり、サンプル4はラインが表示されず、陰性であるとの結果ステップ7.4と含む。以上により、プローブは、直接検出できるが、エキソヌクレアーゼによって切断された後検出できないことがわかる。
【実施例8】
【0069】
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)DNA標準物質とRNA標準物質の検出
陰性対照群(サンプル1)として水を使用し、実験群としては、それぞれ1000コピーのSARS-CoV-2DNAセグメント(サンプル2)と10000コピーのSARS-CoV-2 RNA標準物質(サンプル3)と、1000コピーのSARS-CoV-2 RNA標準物質(サンプル4)とを使用する検出サンプルを調製ステップ8.1と、
ステップ8.1で得られた検出サンプルをテンプレートにし、WEIFANG AMP-FUTURE BIO-TECH CO.,LTD.が生産するRNA定温急速増幅キット(品番:WLRN8206KIT)を使用して定温増幅し、具体的なステップは明細書に参考し、定温増幅の反応体系及び条件は、以下の通りであり、
反応体系は、
【表8】
反応条件は37℃の温度で12分間で、
ここで、フォワードプライマーFは配列番号20、リバースプライマーRは配列番号21である第1の定温増幅ステップ8.2と、
1μl Nb.BtsI、1μl Bst3.0、4μl Nb.dNTPsを加え、37℃で15分間反応し、95℃で5分間反応する二次増幅ステップ8.3と、
2μl(10μM)標識プローブ(配列番号19)を加え、95℃で1分間ハイブリダイズさせた後、ゆっくりと室温まで冷却する(約15分)プローブハイブリダイゼーションステップ8.4と、
20μlのハイブリダイゼーション後の産物をとり、0.5μl ExoVIIを添加し、37℃で5分間反応する余分なプローブ分解ステップ8.5と、
60μl ddH20を追加し、混合後、金コロイド試験紙のサンプル滴下部に滴下し、5分以内に結果を読み取る金コロイド試験紙検出ステップ8.6と、
図9に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験が成功したことを示し、サンプル1はテストライン(T)の位置にラインがなく、陰性で、サンプル2はテストライン(T)の位置にラインがあり、陽性で、サンプル3は、テストライン(T)の位置にラインがあり、サンプル4はラインがあり、陽性である結果ステップ6.7とを含む。以上によって、本発明による方法は、SARS-CoV-2 DNAとSARS-CoV-2 RNAを正確に検出でき、且つ正確率は100%である。
【実施例9】
【0070】
臨床咽頭スワブサンプルによる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出
5例の新型コロナウイルス肺炎疑い患者の咽頭スワブサンプルを採取し、臨床核酸診断結果は、サンプル1が陽性で、サンプル2が陰性で、サンプル3が陰性で、サンプル4が陽性で、サンプル5が陰性であるステップ9.1と、
咽頭スワブサンプル中の核酸を抽出するステップ9.2と、
水を陰性対照群とし、1000コピーのSARS-CoV-2 DNAセグメントを陽性対照群とし、ステップ9.2で得られた5例の患者核酸を実験群とし、実施例8の方法を用いて検測するステップ9.3と、
図10に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験が成功したことを示し、テストライン(T)の位置に、陰性対照群はラインがなく、陰性であり、陽性対照群はラインがあり、陽性であり、サンプル1はラインがあり、陽性であり、サンプル2はラインがなく、陰性であり、サンプル3はラインがなく、陰性であり、サンプル4はラインがあり、陽性であり、サンプル5はラインがなく、陰性である結果ステップ9.4とを含む。本発明の方法による疑似患者を検出する結果が臨床検査結果と完全に一致し、本発明が新型コロナウイルスの検出の普及応用に潜在能力がある。
【実施例10】
【0071】
臨床唾液サンプルによる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出
4例の新型コロナウイルス肺炎疑い患者の唾液スワブサンプルを採取し、臨床核酸診断結果は、サンプル1が陽性で、サンプル2が陽性で、サンプル3が陽性で、サンプル4が陽性であるステップ10.1と、
咽頭唾液サンプル中の核酸を抽出するステップ10.2と、
水を陰性対照群とし、1000コピーのSARS-CoV-2 DNAセグメントを陽性対照群とし、ステップ10.2で得られた4例の患者核酸を実験群とし、実施例8の方法を用いて検査するステップ10.4と、
図11に示すように、全てのサンプルはコントロールライン(C)の位置にラインがあり、実験が成功したことを示し、テストライン(T)の位置に、陰性対照群はラインがなく、陰性であり、陽性対照群はラインがあり、陽性であり、サンプル1はラインがあり、陽性であり、サンプル2はラインがあり、陽性であり、サンプル3はラインがあり、陽性であり、サンプル4はラインがあり、陽性である結果ステップ10.4とを含む。本発明による方法は、確診患者を100%検出でき、検出結果が臨床検出結果と完全に一致し、本発明が新型コロナウイルスの検出の普及応用に潜在能力がある。
【0072】
以上、本発明の具体的な実施例について詳細に説明したが、これは例示としてのみであり、本発明は上記の具体的な実施例に限定されるものではない。当業者にとっては、本発明に対する同等の修正および置換は、本発明の範囲内にある。したがって、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行われる均等な変換及び修正は、いずれも本発明の範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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