(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】静的直流電圧基準回路
(51)【国際特許分類】
G05F 3/18 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G05F3/18
(21)【出願番号】P 2023520246
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2022089134
(87)【国際公開番号】W WO2022228407
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202110460640.0
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523117764
【氏名又は名称】南通至正電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】王文一
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-022177(JP,A)
【文献】特開2005-228160(JP,A)
【文献】特開平02-034013(JP,A)
【文献】特開平06-309053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0218302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/00 - 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静的直流電圧基準回路であり、動作電流ソースモジュールと、補償電流ソースモジュールと、ノード電流合成モジュールと、定電圧発生モジュールと、動作点絶対値計算モジュールとを含み、ここで、
前記動作電流ソースモジュールは、第1動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、且つ前記ノード電流合成モジュールを介して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第1動作電流を受信した後、基準電圧を前記動作点絶対値計算モジュールに出力
するもので、
前記補償電流ソースモジュールは、第2動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、前記ノード電流合成モジュールを介して前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、
前記動作点絶対値計算モジュールは、前記基準電圧に基づいて補償電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、
前記ノード電流合成モジュールは、前記第1動作電流、前記第2動作電流及び前記補償電流を第3動作電流に合成して前記定電
圧発生モジュールに出力し、
前記定電圧発生モジュールは、前記第3動作電流を介して基準電圧を出力し、
ここで、第1動作電流と前記第2動作電流は共に定電流であり、
前記補償電流は動的補償電流であり、前記動的補償電流と、前記第1動作電流と、前記第2動作電流とは、前記ノード電流合成モジュールで第3動作電流に合成して前記定電
圧発生モジュールに出力し、ここで、前記定電圧発生モジュールが出力した基準電圧の絶対値と、前記第1動作電流と、前記第2動作電流との間は、
回路が平衡状態に達した後、相互に関連制約され、前記第1動作電流及び第2動作電流を設定することにより、基準電圧を所定値に設定することを特徴とする静的直流電圧基準回路。
【請求項2】
前記ノード電流合成モジュールは、前記動作電流ソースモジュール、前記定電圧発生モジュール、前記動作点絶対値計算モジュール、前記補償電流ソースモジュールにそれぞれ電気的に接続され、前記動作点絶対値計算モジュールと前記定電圧発生モジュールは電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の静的直流電圧基準回路。
【請求項3】
前記静的直流電圧基準回路は、前記定電圧発生モジュールに電気的に接続されており、回路パラメータを補償するための温度補償モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の静的直流電圧基準回路。
【請求項4】
前記静的直流電圧基準回路は、前記動作点絶対値計算モジュールに電気的に接続されており、静的直流電圧基準回路が増幅したりフィードバックしたりすることに補助するための補助増幅モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の静的直流電圧基準回路。
【請求項5】
前記動作点絶対値計算モジュールは、第1抵抗と第1トランジスタを含み、前記第1抵抗の一端は、前記第1トランジスタのエミッタ電極に接続され、前記第1抵抗の他端は、接地され、前記第1トランジスタのベース電極は、前記定電圧発生モジュールに接続され、前記第1トランジスタのコレクタ電極は、前記ノード電流合成モジュール、前記補償電流ソースモジュールにそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1に記載の直流電圧基準回路。
【請求項6】
前記定電圧発生モジュールは、第1ツェナーダイオードと、第2抵抗と、第3抵抗とを含み、ここで、前記第1ツェナーダイオードの正極は接地され、前記第1ツェナーダイオードの負極は、前記第2抵抗の一端と前記第3抵抗の一端に接続され、前記第2抵抗の他端は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第3抵抗の他端は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続されることを特徴とする請求項1に記載の直流電圧基準回路。
【請求項7】
前記ノード電流合成モジュールは、第4抵抗と第5抵抗を含み、ここで、前記第4抵抗の一端は、前記動作電流ソースモジュールに接続され、前記第4抵抗の他端は、前記第5抵抗の一端に接続され、前記第5抵抗の他端は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続されることを特徴とする請求項1に記載の直流電圧基準回路。
【請求項8】
前記温度補償モジュールは、第6抵抗と、第7抵抗と、第1抵抗温度検知器と、第2抵抗温度検知器とを含み、ここで、前記第6抵抗の一端は、前記第1抵抗温度検知器に接続され、前記第6抵抗の他端は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第7抵抗の一端は、前記第2抵抗温度検知器の一端に接続され、前記第7抵抗の他端は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第2抵抗温度検知器の他端は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続されることを特徴とする請求項3に記載の直流電圧基準回路。
【請求項9】
前記補助増幅モジュールは、第2トランジスタと第8抵抗を含み、ここで、前記第8抵抗の一端は、前記第2トランジスタのエミッタ電極に接続され、前記第8抵抗の他端は、接地され、前記第2トランジスタのコレクタ電極は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第2トランジスタのベース電極は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続されることを特徴とする請求項4に記載の直流電圧基準回路。
【請求項10】
前記動作電流ソースモジュールは、定常電流を発生可能な演算増幅器回路又は定電流ソース回路であり、前記補償電流ソースモジュールは、定常電流を発生可能な演算増幅器回路又は定電流ソース回路であることを特徴とする請求項1に記載の直流電圧基準回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワーエレクトロニクスの技術分野に関し、特に静的直流電圧基準回路に関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術の応用化環境の下で、センサーが感じた外部の物理量を定量分析するには、極めて正確な基準電圧を参考として測定する必要がある。基準電圧を発生する回路の電圧パラメータは温度と電流に大きく依存し、基準電圧を発生する回路を恒温環境下に置くことで電圧の安定度を大きく改善することができる。
【0003】
しかしながら、従来の基準電圧を発生する半導体デバイスは、その動作電圧はデバイスキャリアの状態に依存し、デバイスキャリアの状態変化をもたらす予見できない要素が多く、恒温を介してキャリア状態が一定であることを保証することができず、基準電圧エレメント又は回路の安定度が悪く、基準エレメント又は回路に老化現象及びヒステリシス現象が存在する。
【0004】
したがって、先行技術はまだ改善と発展が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来技術の不足に鑑み、本発明の目的は、従来の基準電圧エレメント又は回路の安定度が悪いことによる基準エレメントの劣化現象及びヒステリシス現象の問題を解決するための静的直流電圧基準回路を提供することにある。
【0006】
本発明は、以下の技術的手段を提供し、
静的直流電圧基準回路であり、動作電流ソースモジュールと、補償電流ソースモジュールと、ノード電流合成モジュールと、定電圧発生モジュールと、動作点絶対値計算モジュールとを含み、ここで、
前記動作電流ソースモジュールは、第1動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、且つ前記ノード電流合成モジュールを介して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第1動作電流を受信した後、基準電圧を前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記動作点絶対値計算モジュールは、前記基準電圧に基づいて補償電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、前記補償電流ソースモジュールは、第2動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、前記ノード電流合成モジュールを介して、前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記ノード電流合成モジュールは、前記第1動作電流、前記第2動作電流及び前記補償電流を第3動作電流に合成して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第3動作電流を介して基準電圧を出力する。
【0007】
さらに、前記ノード電流合成モジュールは、前記動作電流ソースモジュール、前記定電圧発生モジュール、前記動作点絶対値計算モジュール、前記補償電流ソースモジュールにそれぞれ電気的に接続され、前記動作点絶対値計算モジュールと前記定電圧発生モジュールは電気的に接続される。
【0008】
さらに、前記静的直流電圧基準回路は、
前記定電圧発生モジュールに電気的に接続されており、回路パラメータを補償するための温度補償モジュールをさらに含む。
【0009】
さらに、前記静的直流電圧基準回路は、
前記動作点絶対値計算モジュールに電気的に接続されており、静的直流電圧基準回路が増幅したりフィードバックしたりすることに補助するための補助増幅モジュールをさらに含む。
【0010】
さらに、前記動作点絶対値計算モジュールは、第1抵抗と第1トランジスタを含み、前記第1抵抗の一端は、前記第1トランジスタのエミッタ電極に接続され、前記第1抵抗の他端は、接地され、前記第1トランジスタのベース電極は、前記定電圧発生モジュールに接続され、前記第1トランジスタのコレクタ電極は、前記ノード電流合成モジュール、前記補償電流ソースモジュールにそれぞれ接続される。
【0011】
さらに、前記定電圧発生モジュールは、第1ツェナーダイオードと、第2抵抗と、第3抵抗を含み、ここで、前記第1ツェナーダイオードの正極は接地され、前記第1ツェナーダイオードの負極は、前記第2抵抗の一端と前記第3抵抗の一端に接続され、前記第2抵抗の他端は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第3抵抗の他端は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続される。
【0012】
さらに、前記ノード電流合成モジュールは、第4抵抗と第5抵抗を含み、ここで、前記第4抵抗の一端は、前記動作電流ソースモジュールに接続され、前記第4抵抗の他端は、前記第5抵抗の一端に接続され、前記第5抵抗の他端は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続される。
【0013】
さらに、前記温度補償モジュールは、第6抵抗と、第7抵抗と、第1抵抗温度検知器と、第2抵抗温度検知器とを含み、ここで、前記第6抵抗の一端は、前記第1抵抗温度検知器に接続され、前記第6抵抗の他端は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第7抵抗の一端は、前記第2抵抗温度検知器の一端に接続され、前記第7抵抗の他端は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第2抵抗温度検知器の他端は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続される。
【0014】
さらに、前記補助増幅モジュールは、第2トランジスタと第8抵抗を含み、ここで、前記第8抵抗の一端は、前記第2トランジスタのエミッタ電極に接続され、前記第8抵抗の他端は接地され、前記第2トランジスタのコレクタ電極は、前記ノード電流合成モジュールに接続され、前記第2トランジスタのベース電極は、前記動作点絶対値計算モジュールに接続される。
【0015】
さらに、前記動作電流ソースモジュールは、定常電流を発生可能な演算増幅器回路又は定電流ソース回路であり、前記補償電流ソースモジュールは、定常電流を発生可能な演算増幅器回路又は定電流ソース回路である。
【発明の効果】
【0016】
本発明が提供する静的直流電圧基準回路は、動作電流ソースモジュールと、補償電流ソースモジュールと、ノード電流合成モジュールと、定電圧発生モジュールと、動作点絶対値計算モジュールとを含み、ここで、前記動作電流ソースモジュールは、第1動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、且つ前記ノード電流合成モジュールを介して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第1動作電流を受信した後、基準電圧を前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記動作点絶対値計算モジュールは、前記基準電圧に基づいて補償電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、前記補償電流ソースモジュールは、第2動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、且つ前記ノード電流合成モジュールを介して、前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記ノード電流合成モジュールは、前記第1動作電流、前記第2動作電流及び前記補償電流を第3動作電流に合成して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第3動作電流を介して基準電圧を出力する。本発明は、動作電流ソースモジュールと補償電流ソースモジュールが出力した動作電流、及び動作点絶対値計算モジュールが出力した補償電流を合成して、合成後の電流を定電圧発生モジュールに供給することにより、定電圧発生モジュールは、収束し、動作点の物理量絶対値に依存した状態で動作することができ、より良い短期及び長期安定度を得ることができ、基準電圧エレメントや回路エレメントの劣化現象やヒステリシス現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る静的直流電圧基準回路の機能モジュールアーキテクチャ図である。
【
図2】本発明に係る静的直流電圧基準回路の回路原理
図1である。
【
図3】本発明に係る静的直流電圧基準回路の回路原理
図2である。
【
図4】本発明に係る動作点絶対値計算モジュールの動作原理
図1である。
【
図5】本発明に係る動作点絶対値計算モジュールの動作原理
図2である。
【
図6】本発明に係る動作点絶対値計算モジュールの動作原理
図3である。
【
図7】本発明に係る静的直流電圧基準回路のテスト結果図である。
【
図8】本発明に係る補助増幅モジュールの動作原理
図1である。
【
図9】本発明に係る補助増幅モジュールの動作原理
図2である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者が本発明の技術的態様をよりよく理解するために、これから図面と具体的な実施例を結合して本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
発明者の研究により、情報技術の応用化環境の下で、センサーが感じた外部の物理量を定量分析するには、極めて正確な基準電圧を参考として測定する必要があることが分かった。この基準電圧は、温度と電流に大きく依存する電圧パラメータを有するバンドギャップ電圧回路、又はツェナー電圧回路から得ることができ、基準電圧を発生する回路を恒温環境下に置くことにより、電圧の安定性を大きく改善することができる。さらに研究すると、恒温には依然として多くの問題が存在し、例えばヒステリシス現象があり、1つの電圧基準の電源を1秒以内(予備直流電源を含む)に完全に切り離すと、2ppm/年の安定度で数年働いた設備でも、元の基準電圧を完全に失ってしまい、回復できないことが明らかになった。また、例えば老化現象、現在世界最高性能のLTZ1000であっても、持続的な電圧老化現象が存在する。
【0020】
しかしながら、従来の基準電圧を発生する半導体デバイスは、その動作電圧はデバイスキャリアの状態に依存し、デバイスキャリアの状態の変化をもたらす予見できない要素が多く、恒温を介してキャリア状態が一定であることを保証することができず、基準電圧エレメント又は回路の安定度が悪く、基準エレメント又は回路に老化現象及びヒステリシス現象が存在する。
【0021】
上記課題に対して、本発明は、静的直流電圧基準回路を提案し、動作電流ソースモジュールと、補償電流ソースモジュールと、ノード電流合成モジュールと、定電圧発生モジュールと、動作点絶対値計算モジュールとを含み、ここで、前記動作電流ソースモジュールは、第1動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、且つ前記ノード電流合成モジュールを介して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第1動作電流を受信した後、基準電圧を前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記動作点絶対値計算モジュールは、前記基準電圧に基づいて補償電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、前記補償電流ソースモジュールは、第2動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、且つ前記ノード電流合成モジュールを介して、前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記ノード電流合成モジュールは、前記第1動作電流、前記第2動作電流及び前記補償電流を第3動作電流に合成して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第3動作電流を介して基準電圧を出力する。本発明は、動作電流ソースモジュールと補償電流ソースモジュールが出力した動作電流、及び動作点絶対値計算モジュールが出力した補償電流を合成して、合成後の電流を定電圧発生モジュールに供給することにより、定電圧発生モジュールは、収束し、動作点の物理量絶対値に依存した状態で動作することができ、より良い短期及び長期安定度を得ることができ、基準電圧エレメントや回路エレメントの劣化現象やヒステリシス現象を抑制することができる。
【0022】
図1-
図9をご参照ください、本発明は、静的直流電圧基準回路の好ましい実施例を提供する。
【0023】
図1に示すように、本発明は、静的直流電圧基準回路を提供し、動作電流ソースモジュール100と、補償電流ソースモジュール200と、ノード電流合成モジュール300と、定電圧発生モジュール400と、動作点絶対値計算モジュール500とを含み、ここで、前記動作電流ソースモジュール100は、第1動作電流を前記ノード電流合成モジュールに300出力し、且つ前記ノード電流合成モジュール300を介して前記定電圧発生モジュール400に出力し、前記定電圧発生モジュール400は、前記第1動作電流を受信した後、基準電圧を前記動作点絶対値計算モジュール500に出力し、前記動作点絶対値計算モジュール500は、前記基準電圧に基づいて補償電流を前記ノード電流合成モジュール300に出力し、前記補償電流ソースモジュール200は、第2動作電流を前記ノード電流合成モジュール300に出力し、前記ノード電流合成モジュール300を介して、前記動作点絶対値計算モジュール500に出力し、前記ノード電流合成モジュール300は、前記第1動作電流、前記第2動作電流及び前記補償電流を第3動作電流に合成して前記定電圧発生モジュール400に出力し、前記定電圧発生モジュール400は、前記第3動作電流を介して基準電圧を出力する。
【0024】
具体的には、前記ノード電流合成モジュール300は、前記動作電流ソースモジュール100、前記定電圧発生モジュール400、前記動作点絶対値計算モジュール500、前記補償電流ソースモジュール200にそれぞれ電気的に接続され、前記動作点絶対値計算モジュール500と前記定電圧発生モジュール400は電気的に接続される。前記動作電流ソースモジュール100は、前記定電圧モジュールに通常動作に必要な電流、すなわち第1電流を供給するために用いられ、前記補償電流ソースモジュール200は、前記動作点絶対値計算モジュール500に安定した動作電流、すなわち第2電流を供給するために用いられ、前記定電圧生成モジュール400は、基準電圧を発生するために用いられ、前記動作点絶対値計算モジュール500は、定電圧発生モジュール400が発生した基準電圧に基づいて動的補償電流を出力するために用いられ、前記ノード電流合成モジュール300は、前記動作電流ソースモジュール100が出力した電流と、前記補償電流ソースモジュール200が出力した電流と、前記動作点絶対値計算モジュール500が出力した補償電流とを合成し、第3電流を得て、且つ出力された第3電流を前記定電圧生成モジュール400に供給するために用いられる。
【0025】
上記技術的方案において、動作電流ソースモジュール100と補償電流ソースモジュール200が出力した動作電流及び前記動作点絶対値計算モジュール500が出力した補償電流を合成し、合成後の電流を前記定電圧生成モジュール400に供給することで、静的直流電圧基準回路は、定電圧発生モジュール400の動作状態を、動作時の動作電圧の絶対値、動作電流の絶対値などいくつかの物理量の間で相互に関連して制約、収束されたメカニズムに依存させるようにして、つまり、定電圧発生モジュール400は、収束し、動作点の物理量の絶対値に依存した状態で動作することができるため、静的直流電圧基準回路が比較的小さな絶対公差範囲内で動作するように保証し、それにより静的直流電圧基準回路は比較的に良い短期と長期安定度を得ることができ、さらに基準電圧エレメントや回路エレメントの劣化現象やヒステリシス現象を抑制することができる。
【0026】
図1、
図2と
図4に示すように、一実施例の更なる実施形態では、前記動作点絶対値計算モジュール500は、第1抵抗R1と第1トランジスタT1を含み、前記第1抵抗R1の一端は、前記第1トランジスタT1のエミッタ電極に接続され、前記第1抵抗R1の他端は接地され、前記第1トランジスタT1のベース電極は、前記定電圧発生モジュール400に接続され、前記第1トランジスタT1のコレクタ電極は前記ノード電流合成モジュール300、前記補償電流ソースモジュール200にそれぞれ接続される。
【0027】
具体的には、前記第1トランジスタT1は、NPN型トランジスタであってもよく、該NPN型トランジスタと前記第1抵抗R1は、動作点絶対値を計算するために用いられる。
【0028】
図3と
図5を結合し、いくつかの実施例において、前記第1トランジスタT1は、PNP型トランジスタであってもよく、該PNP型トランジスタのエミッタ電極は、前記第1抵抗R1に接続され、該PNP型トランジスタのコレクタ電極は、前記ノード電流合成モジュール300に接続され、該PNP型トランジスタのベース電極は、前記定電圧発生モジュール400に接続される。
【0029】
図1と
図6をご参照ください、いくつかの実施例において、前記動作点絶対値計算モジュール500は、演算増幅器を用いて動作点絶対値計算を完了することが可能であり、即ち、演算増幅器IC1、電圧制御電流源及び第1抵抗R1からなる動作点絶対値計算モジュール500を用いて動作点の絶対値計算を完了する。具体的には、前記第1抵抗R1の一端は、前記定電圧発生モジュール400に接続され、前記第1抵抗R1の他端は、前記演算増幅器IC1の第2端子に接続され、前記演算増幅器IC1の第6端子は、前記電圧制御電流源の出力端に接続され、前記電圧制御電流源の入力端は、前記ノード電流合成モジュール300に接続され、前記演算増幅器IC1の第3端子は、接地される。ここで、前記電圧制御電流源は従来技術であり、ここではこれ以上説明しない。
【0030】
なお、アナログ回路の可変性や多様性のため、演算増幅器の種類型番が多く、性能パラメータや要求される周辺エレメントは異なるが、上記実施例はその1つの設置形態にすぎない。
【0031】
図1ー
図3をご参照ください、一実施形態の更なる実施形態では、前記定電圧発生モジュール400は、第1ツェナーダイオードDZ1と、第2抵抗R2と、第3抵抗R3を含み、ここで、前記第1ツェナーダイオードDZ1の正極は接地され、前記第1ツェナーダイオードDZ1の負極は、前記第2抵抗R2の一端と前記第3R3の抵抗の一端に接続され、前記第2抵抗R2の他端は、前記ノード電流合成モジュール300に接続され、前記第3抵抗R3の他端は、前記動作点絶対値計算モジュール500に接続される。
【0032】
具体的には、前記第1トランジスタT1は、NPN型トランジスタである場合、前記第1ツェナーダイオードDZ1の正極は接地され、前記第1ツェナーダイオードDZ1の負極は、前記第2の抵抗R2の一端と前記第3抵抗R3の一端に接続され、前記第2抵抗R2の他端は、前記ノード電流合成モジュール300に接続され、前記第3抵抗R3の他端は、前記第1トランジスタT1のベース電極に接続される。ここで、前記第1ツェナーダイオードDZ1と、前記第2抵抗R2と、前記第3抵抗R3とは、正確な基準電圧を提供するためのツェナー回路を構成している。いくつかの実施形態では、定電圧発生モジュール400は、より成熟した従来技術であるバンドギャップ回路から構成することもできるので、ここではこれ以上説明しない。
【0033】
理解できることは、前記第1トランジスタT1がPNP型トランジスタである場合、前記第1ツェナーダイオードDZ1の負極は、接地され、前記第1ツェナーダイオードDZ1の正極は、前記第2抵抗R2の一端と前記第3抵抗R3の一端に接続され、前記第2抵抗R2の他端は、前記ノード電流合成モジュール300に接続され、前記第3抵抗R3の他端は、前記第1トランジスタT1のベース電極に接続される。
【0034】
引き続き
図1ー
図3をご参照ください、一実施形態の更なる実施形態では、前記ノード電流合成モジュール300は、第4抵抗R4と第5抵抗R5を含み、ここで、前記第4抵抗R4の一端は、前記動作電流ソースモジュール100に接続され、前記第4抵抗R4の他端は、前記第5抵抗R5の一端に接続され、前記第5抵抗R5の他端は、前記動作点絶対値計算モジュール500に接続される。
【0035】
具体的には、前記第4抵抗R4の一端は、前記動作電流ソースモジュール100に接続され、前記第4抵抗R4の他端は、前記第5抵抗R5の一端に接続され、前記第5抵抗R5の他端は、前記第1トランジスタT1のコレクタ電極及び前記補償電流ソースモジュール200に接続される。前記第4抵抗R4と前記第5抵抗R5を介して、前記動作電流ソースモジュール100が出力した電流を前記定電圧発生モジュール400に出力して前記定電圧発生モジュール400の動作電流とし、且つ前記補償電流ソースモジュール200が出力した電流を前記動作点絶対値計算モジュール500に出力して前記動作点絶対値計算モジュール500の動作電流とし、且つ前記動作電流ソースモジュール100が出力した電流と、前記補償電流ソースモジュール200が出力した電流及び前記動作点絶対値計算モジュール500が出力した補償電流を合成して前記定電圧発生モジュール400の安定動作時の動作電流とすることにより、定電圧発生モジュール400を収束し、安定した状態で動作させるようにする。
【0036】
いくつかの実施例では、前記ノード電流合成モジュール300は抵抗容量ネットワークからなってもよく、トランジスタと抵抗容量ネットワーク、又は演算増幅器と抵抗容量ネットワークからなってもよい。
【0037】
図1をご参照ください、いつくかの実施例では、前記動作電流ソースモジュール100は、定常電流を発生可能な演算増幅器回路又は定電流ソース回路であり、前記補償電流ソースモジュール200は、定常電流を発生可能な演算増幅器回路又は定電流ソース回路である。ここで、演算増幅器回路と定電流ソース回路は従来技術であるため、ここではこれ以上説明しない。もちろん、前記動作電流ソースモジュール100と前記補償電流ソースモジュール200は、演算増幅器回路又は定電流ソース回路に限らなく、例えば、前記動作電流ソースモジュール100は、一つの安定した電源、安定した抵抗、定電流ダイオードから構成することもできる。
【0038】
図7をご参照ください。
図7は本発明に係る静的直流電圧基準回路のテスト結果図である。
図7によると、本発明の試作機を測定したところ、出力した電圧の不確実性は1.9×10-7のような非常に小さな絶対公差範囲内になる。
【0039】
図1と
図3をご参照ください。一実施形態の更なる実施形態では、前記静的直流電圧基準回路は、前記定電圧発生モジュール400に電気的に接続され、回路パラメータを補償するための温度補償モジュール600をさらに含む。
【0040】
いつくかの実施例では、前記温度補償モジュール600は、第6抵抗R6と、第7抵抗R7と、第1抵抗温度検知器RT1と、第2抵抗温度検知器RT2とを含む。ここで、第6抵抗R6の一端は、前記第1抵抗温度検知器RT1に接続され、前記第6抵抗R6の他端は、前記第1トランジスタT1のベース電極に接続される。前記第7抵抗R7の一端は、前記第2抵抗温度検知器RT2の一端に接続され、前記第7抵抗R7の他端は、前記第4抵抗R4と、前記第5抵抗R5の共通端に接続され、前記第2第2抵抗温度検知器RT2の他端は、第1トランジスタT1のベース電極に接続され、ここで、前記温度補償モジュール600は、デバイスプロセスと回路特徴に基づいて設定することができ、測定の精度を高めることができるが、もちろん、測定要求が高くない場合、温度補償モジュール600は設定しなくてもよい。
【0041】
図1と
図8、
図9をご参照ください、一実施形態の更なる実施形態では、前記静的直流電圧基準回路は、前記動作点絶対値計算モジュール500に電気的に接続されており、静的直流電圧基準回路が増幅したりフィードバックしたりすることに補助するための補助増幅モジュール700をさらに含む。
【0042】
いくつかの実施例では、前記補助増幅モジュール700は、第2トランジスタT2と第8抵抗R8とを含む。ここで、前記第8抵抗R8の一端は、前記第2トランジスタT2のエミッタ電極に接続され、前記第8抵抗R8の他端は接地され、前記第2トランジスタT2のコレクタ電極は、前記第4抵抗R4に接続され、前記第2トランジスタT2のベース電極は、前記第1トランジスタT1のエミッタ電極に接続される。ここで、前記第2トランジスタT2が複数設けられている場合、前記第2トランジスタT2の増幅及びフィードバック支援の下で回路に合わせて適切な増幅及びフィードバックを行うことができる。なお、前記第1トランジスタT1がNPN型トランジスタである場合、前記第2トランジスタT2はPNP型トランジスタであり、前記第1トランジスタT1がPNP型トランジスタである場合、前記第2トランジスタT2はNPN型トランジスタである。
【0043】
なお、アナログ回路の可変性により、上記の各NPN型トランジスタは、N型チャネルのFETトランジスタ(電界効果トランジスタ)またはMOS管補助適正回路技術を用いて代替することができる。同様に、上述した各PNP型トランジスタは、P型チャネルのFETトランジスタ(電界効果トランジスタ)またはMOS管補助適切な回路技術を用いて代替することができる。
【0044】
以上をまとめると、本発明が提供する静的直流電圧基準回路は、動作電流ソースモジュールと、補償電流ソースモジュールと、ノード電流合成モジュールと、定電圧発生モジュールと、動作点絶対値計算モジュールとを含み、ここで、前記動作電流ソースモジュールは、第1動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、且つ前記ノード電流合成モジュールを介して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第1動作電流を受信した後、基準電圧を前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記動作点絶対値計算モジュールは、前記基準電圧に基づいて補償電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、前記補償電流ソースモジュールは、第2動作電流を前記ノード電流合成モジュールに出力し、前記ノード電流合成モジュールを介して、前記動作点絶対値計算モジュールに出力し、前記ノード電流合成モジュールは、前記第1動作電流、前記第2動作電流及び前記補償電流を第3動作電流に合成して前記定電圧発生モジュールに出力し、前記定電圧発生モジュールは、前記第3動作電流を介して基準電圧を出力する。本発明は、動作電流ソースモジュールと補償電流ソースモジュールが出力した動作電流及び動作点絶対値計算モジュールが出力した補償電流を合成し、合成後の電流を定電圧発生モジュールに供給することにより、定電圧発生モジュールは、収束し、動作点の物理量絶対値に依存した状態で動作することができ、より良い短期及び長期安定度を得ることができ、基準電圧エレメントや回路エレメントの劣化現象やヒステリシス現象を抑制する。本発明は、動作電流ソースモジュールと補償電流ソースモジュールが出力した動作電流及び前記動作点絶対値計算モジュールが出力した補償電流を合成し、合成後の電流を前記定電圧生成モジュールに供給することで、静的直流電圧基準回路は、定電圧発生モジュールの動作状態を、動作時の動作電圧の絶対値、高安定抵抗の抵抗値、動作電流の絶対値などいくつかの物理量の間で相互に関連して制約、収束されたメカニズムに依存させるようにして、つまり、定電圧発生モジュールは、収束し、動作点の物理量の絶対値に依存した状態で動作することができるため、比較的に良い短期と長期安定度を得ることができ、さらに基準電圧エレメントや回路エレメントの劣化現象やヒステリシス現象を抑制することができる。
【0045】
本発明の適用は上述の例に限定されるものではなく、当業者にとっては、上述の説明に従って改良または変換を加えることができ、これらの改良および変換はすべて本発明に添付された請求項の保護範囲に属すべきであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0046】
100、動作電流ソースモジュール;200、補償電流ソースモジュール;300、ノード電流合成モジュール;400、定電圧発生モジュール;500、動作点絶対値計算モジュール;600、温度補償モジュール;700、補助増幅モジュール。