IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 不二越機械工業株式会社の特許一覧

特許7565659エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法
<>
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図1
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図2
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図3
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図4
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図5
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図6
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図7
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図8
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図9
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図10
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図11
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図12
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図13
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図14
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図15
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図16
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図17
  • 特許-エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/20 20060101AFI20241004BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241004BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01B21/20 C
H01L21/66 J
G01B11/24 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024093254
(22)【出願日】2024-06-07
【審査請求日】2024-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236687
【氏名又は名称】不二越機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸田 将史
(72)【発明者】
【氏名】菅野 祐也
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-20717(JP,A)
【文献】特開2008-102014(JP,A)
【文献】特開2023-109637(JP,A)
【文献】特表2017-521653(JP,A)
【文献】特表2008-541058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
7/00-7/34
11/00-11/30
15/00-15/08
21/00-21/32
G01N 21/84-21/958
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のウェハのエッジ形状を測定する変位センサを備えており、
前記変位センサは、前記ウェハの内部の所定の点を回転中心として、前記回転中心を含み且つ前記ウェハの上下面に垂直な面内を前記回転中心と一定の半径を保ちながら回転駆動される構成であると共に、
回転角度ごとに前記回転中心と前記変位センサとを結ぶ直線上にある前記ウェハの表面上の一点までの距離を測定する構成であること
を特徴とするエッジ形状測定装置。
【請求項2】
座標変換部をさらに備えており、
前記座標変換部は、前記変位センサが測定した各前記距離を、前記面内におけるX-Y座標系に変換する構成であること
を特徴とする請求項1記載のエッジ形状測定装置。
【請求項3】
所定の治具と、前記治具を保持し、且つ前記変位センサに対する前記治具の位置を調整するための治具保持機構とをさらに備えており、
前記変位センサは、所定の回転角度における前記治具までの各測定距離を測定することにより校正距離を取得する構成であること
を特徴とする請求項1記載のエッジ形状測定装置。
【請求項4】
校正部をさらに備えており、
前記校正部は、前記治具に対して、前記変位センサの所定の回転角度における前記治具までの各測定距離が所定の範囲内に収まるように前記治具、又は前記変位センサの位置を調整させ、且つ各前記測定距離が前記所定の範囲内に収まる場合の前記測定距離を前記校正距離として取得する構成であること
を特徴とする請求項3記載のエッジ形状測定装置。
【請求項5】
位置調整部をさらに備えており、
前記位置調整部は、前記変位センサから前記ウェハの上面、及び下面までの距離が所定の距離となり、且つユーザが予め定めた範囲であって前記ウェハの端点から前記ウェハの中心へ向けた測定範囲に含まれる前記ウェハの前記エッジ形状を測定できるように、前記回転中心、及び前記変位センサの回転範囲を調整する構成であること
を特徴とする請求項3又は請求項4記載のエッジ形状測定装置。
【請求項6】
補正部をさらに備えており、
前記補正部は、前記補正部が予め取得しているズレ量に基づいて前記距離を補正する構成であること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のエッジ形状測定装置。
【請求項7】
回転半径取得部をさらに備えており、
前記回転半径取得部は、前記ウェハの厚さと、前記ウェハの前記厚さに対応する位置までの距離とに基づいて、前記変位センサの回転半径を取得する構成であること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のエッジ形状測定装置。
【請求項8】
前記変位センサは、前記ウェハの厚さに対応する位置を測定可能となる回転範囲及び前記回転中心のうち少なくとも一方に対して回転駆動される構成であること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のエッジ形状測定装置。
【請求項9】
前記変位センサは、マルチカラー共焦点変位センサであること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のエッジ形状測定装置。
【請求項10】
平板状のウェハのエッジ形状を測定するエッジ形状測定方法であって、
前記ウェハの内部の所定の点を回転中心として、前記回転中心を含み且つ前記ウェハの上下面に垂直な面内において、一定の半径を保ちながら変位センサを回転駆動させ、回転角度ごとに前記回転中心と前記変位センサとを結ぶ直線上にある前記ウェハの表面上の一点までの距離を測定する測定工程を備えること
を特徴とするエッジ形状測定方法。
【請求項11】
前記測定工程の後工程として、前記変位センサにより測定した各前記距離を、前記面内におけるX-Y座標系に変換する座標変換工程をさらに備えること
を特徴とする請求項10記載のエッジ形状測定方法。
【請求項12】
前記測定工程の前工程として、所定の治具に対して、前記変位センサの所定の回転角度における前記治具までの各測定距離が所定の範囲内に収まるように前記治具の位置を調整し、且つ各前記測定距離が前記所定の範囲内に収まる場合の前記測定距離を校正距離として取得する校正工程をさらに備えること
を特徴とする請求項10又は請求項11記載のエッジ形状測定方法。
【請求項13】
前記校正工程の後工程として、前記変位センサから前記ウェハの上面、及び下面までの距離が所定の距離となり、且つユーザが予め定めた範囲であって前記ウェハの端点から前記ウェハの中心へ向けた測定範囲に含まれる前記ウェハの前記エッジ形状を測定できるように、前記回転中心、及び前記変位センサの回転範囲を調整する位置調整工程をさらに備えること
を特徴とする請求項12記載のエッジ形状測定方法。
【請求項14】
前記測定工程の前工程として、予め取得しているズレ量に基づいて前記距離を補正する補正工程をさらに備えること
を特徴とする請求項10又は請求項11記載のエッジ形状測定方法。
【請求項15】
前記測定工程の前工程として、前記ウェハの厚さを測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程の後工程として、前記ウェハの前記厚さに対応する位置までの距離を測定する第2測定工程と、
前記第2測定工程の後工程として、前記第1測定工程で測定した前記厚さと、前記第2測定工程で測定した前記距離とに基づいて、前記変位センサの回転半径を取得する回転半径取得工程とをさらに備えること
を特徴とする請求項10又は請求項11記載のエッジ形状測定方法。
【請求項16】
前記測定工程において、前記ウェハの厚さに対応する位置を測定可能となる回転範囲及び前記回転中心のうち少なくとも一方に対して回転駆動させる工程を含むこと
を特徴とする請求項10又は請求項11記載のエッジ形状測定方法。
【請求項17】
前記変位センサは、マルチカラー共焦点変位センサであること
を特徴とする請求項10又は請求項11記載のエッジ形状測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハのエッジ形状を測定するエッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と称する場合がある)のエッジ部分の検査(特に、エッジ形状測定)のための以下のような測定手段が知られている。
【0003】
すなわち、特許文献1(特開2010-60532号公報)には、共焦点光学系を用いて、測定対象となるウェハ端面に測定光を照射し、焦点位置調整手段により測定光の焦点位置を合わせると共に、焦点のズレ量を検出する技術が開示されている。焦点位置は、ウェハ端面における合焦点面の位置により変化するため、焦点のズレ量を検出することによりセンサからウェハ端面までの距離を測定することができ、これによりエッジ形状を取得することができる。
【0004】
また、特許文献2(特開2020-20717号公報)には、ライン状の検出器を採用した共焦点光学系を、ウェハ端面を中心として円弧状に走査させることにより、ウェハのエッジ形状を取得する技術が開示されている。より具体的には、ライン状の照明領域の焦点をウェハ内部に設定し、曲率の大きなウェハ端面の合焦点位置と、センサ光軸の角度とからウェハのエッジ形状を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-60532号公報
【文献】特開2020-20717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術においては、ウェハ端面の表面で焦点を合わせる必要があるが、ウェハ端面の曲率が非常に小さい場合があり、反射光が拡散し、ウェハ端面の合焦点面にピンポイントで焦点を合わせることは困難であるという課題が生じていた。
【0007】
特許文献2に開示の技術においては、ライン状の測定光の焦点をウェハ端面の内部に設定する必要があり、焦点位置の調整が困難となり、また、センサからウェハ端面までの距離を直接測定していないため、正確なエッジ形状の測定ができないという課題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、変位センサの走査時に焦点を合わせることなく、ウェハの正確なエッジ形状の測定が可能なエッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
すなわち、開示のエッジ形状測定装置は、平板状のウェハのエッジ形状を測定する変位センサを備えており、前記変位センサは、前記ウェハの内部の所定の点を回転中心として、前記回転中心を含み且つ前記ウェハの上下面に垂直な面内を前記回転中心と一定の半径を保ちながら回転駆動される構成であると共に、回転角度ごとに前記回転中心と前記変位センサとを結ぶ直線上の前記ウェハの表面上の一点までの距離を測定する構成であることを要件とする。
【0011】
また、開示のエッジ形状測定方法は、平板状のウェハのエッジ形状を測定するエッジ形状測定方法であって、前記ウェハの内部の所定の点を回転中心として、前記回転中心を含み、且つ前記ウェハの上下面に垂直な面内において、一定の半径を保ちながら変位センサを回転駆動させ、回転角度ごとに前記回転中心と前記変位センサとを結ぶ直線上の前記ウェハの表面上の一点までの距離を測定する測定工程を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
上記した開示によれば、変位センサの走査時に焦点を合わることなくウェハのエッジ形状を正確に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の各実施形態におけるエッジ形状測定装置の正面図(概略図)である。
図2】本発明の各実施形態におけるエッジ形状測定装置の平面図(概略図)である。
図3】本発明の各実施形態におけるエッジ形状測定装置、及びエッジ形状測定方法の説明図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるエッジ形状測定装置の制御装置の機能ブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるエッジ形状測定方法のフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態におけるエッジ形状測定装置の制御装置の機能ブロック図である。
図7】本発明の第2実施形態におけるエッジ形状測定方法のフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態におけるエッジ形状測定装置の制御装置の機能ブロック図である。
図9】本発明の第3実施形態におけるエッジ形状測定方法のフローチャートである。
図10】本発明の第4実施形態におけるエッジ形状測定装置の制御装置の機能ブロック図である。
図11】本発明の第4実施形態におけるエッジ形状測定方法のフローチャートである。
図12】本発明の第5実施形態におけるエッジ形状測定装置の側面図(概略図)である。
図13】本発明の第5実施形態におけるエッジ形状測定装置の平面図(概略図)である。
図14】本発明の第5実施形態におけるエッジ形状測定装置の制御装置の機能ブロック図である。
図15】本発明の第5実施形態におけるエッジ形状測定方法のフローチャートである。
図16】本発明の第5実施形態における校正工程の説明図である。
図17】本発明の第5実施形態における位置調整工程の説明図である。
図18】公知のマルチカラー共焦点変位センサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について詳しく説明する。図1は本発明の各実施形態におけるエッジ形状測定装置100の正面図(概略図)である。図2は本発明の各実施形態におけるエッジ形状測定装置100の平面図(概略図)である。図3は本発明の各実施形態におけるエッジ形状測定装置100、及びエッジ形状測定方法の説明図である。図4は本発明の第1実施形態におけるエッジ形状測定装置100の制御装置30の機能ブロック図である。図5は本発明の第1実施形態におけるエッジ形状測定方法のフローチャートである。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0015】
各実施形態におけるウェハWは、一例として、平板状(特に、円板状)に形成されたシリコンウェハであり、直径数cm~数十cm程度、厚さ数μm~数mm程度に形成されているが、形状、材質、寸法等はこれらに限定されるものではない。なお、ウェハWは端部にノッチやオリエンテーションフラットが形成されていてもよい。
【0016】
また、各実施形態におけるウェハWの各面(特に、平坦に加工された各面)をそれぞれ「上面」、「下面」と称する場合があり、さらに、上面及び下面とを総括して「上下面」と称する場合もある。
【0017】
また、各実施形態におけるウェハWの側面を「エッジ部」と称する場合があり、また、エッジ部の形状を「エッジ形状」と称する場合がある。エッジ部は、一例として、ウェハWの径方向に突出し、断面凸形状となっている。より具体的には、エッジ部は、直線若しくは曲線、又はこれらの組合せからなる断面凸形状である。
【0018】
各実施形態におけるエッジ形状測定装置100は、図1に示すように、測定装置10と、ウェハ保持装置20と、制御装置30とを備えている。すなわち、エッジ形状測定装置100は、測定装置10に設けられた変位センサ12の回転角度θと、ウェハ保持装置20に載置されたウェハWの位相(すなわち、変位センサ12の一の回転角度θに対するウェハWの向き)とが制御装置30によって制御される構成である。
【0019】
<第1実施形態>
<<エッジ形状測定装置100>>
測定装置10は、図1に示すように、変位センサ12と、回転板14と、回転駆動部16とを有している。すなわち、変位センサ12(特に、変位センサ12の側部)は、一例として、図2に示すような支持部(回転板14側からウェハW側へ突出した支持部)13を介して回転板14に連結されており、回転板14が回転されることにより、変位センサ12も回転される構成である。なお、支持部13の長さは、ウェハWを変位センサ12によって測定可能な位置まで移動させた際に、ウェハWと回転板14とが干渉しない程度に形成されている。
【0020】
なお、測定装置10は、回転板14と、回転駆動部16とを有する構成に限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。測定装置10は、一例として、ガイドとスライド機構とを有しており(いずれも不図示)、変位センサ12はスライド機構に連結されており、所定の回転中心CTRに対する円軌道で、スライド機構がガイド上をスライドされる構成としてもよい。すなわち、測定装置10は、変位センサ12がウェハWの内部に設定された所定の回転中心CTRに対して仮想円VC上を回転される構成であればよい。
【0021】
変位センサ12は、ウェハWの内部の所定の点を回転中心CTRとして、回転中心CTRを含み且つウェハWの上下面に垂直な面内を回転中心CTRと一定の半径rを保ちながら回転駆動されると共に、回転角度θごとに、回転中心CTRと変位センサ12とを結ぶ直線上にあるウェハW表面上の一点SPまでの距離rを測定する構成である。すなわち、変位センサ12は、変位センサ12の走査時に焦点を合わせることを要さず、且つウェハWの表面上の一点SPの測定が可能である。なお、上記面はウェハWの中心も含むことが好ましい。
【0022】
また、変位センサ12は、回転中心CTRを含み円板状のウェハWの径方向の軸(図3においては、X軸に相当)、及び回転中心CTRと変位センサ12とを結ぶ直線の為す角を回転角度θとして、回転角度θと距離rとを測定データとして取得する構成である。
【0023】
なお、回転角度θと距離rとを測定データとして取得することにより、ウェハWのエッジ形状を取得することができるが、回転中心CTRから各点SPまでの距離rは、r=r-rにより求めることもでき、回転角度θと距離rとを測定データとして取得してもよい。
【0024】
また、各実施形態において変位センサ12は、公知のマルチカラー共焦点変位センサ12であるが、これに限定されず、公知の超音波式変位センサや公知の接触式変位センサであってもよい。
【0025】
マルチカラー共焦点変位センサ12は、図18に示すように、一例として、光源12aから白色光を照射し、当該白色光をマルチファイバ12b、回折レンズ12c、及び対物レンズ12dへ順に通過させて、照射方向に対して波長ごとに焦点位置が異なる照射光として測定対象物OBJに照射させる構成である。また、マルチカラー共焦点変位センサ12は、ある波長の光が測定対象物OBJにおいて合焦点し、測定対象物OBJから反射し、回折格子12eを通過して、受光素子12fが当該光を受光する構成である。すなわち、マルチカラー共焦点変位センサ12の処理部12gは、測定対象物OBJに対して焦点が合った特定の光の波長を取得する構成であるため、変位センサ12の走査時に焦点合わせをすることなく、変位センサ12から測定対象物OBJまでの図3に示す距離rを測定することができる。
【0026】
なお、焦点を合わせることを要する従来のセンサにおける仮想円VCは、当該センサの受光素子の回転軌跡であるが、これに対し、マルチカラー共焦点変位センサ12の仮想円VCは、一例として、マルチカラー共焦点変位センサ12の先端位置の軌跡である。これは、マルチカラー共焦点変位センサ12が受光素子12fまでの距離を測定しているのではなく、受光素子12fが受光した光の波長を取得し、各波長に対応する距離を取得するからである。なお、仮想円VCはマルチカラー共焦点変位センサ12の先端位置の軌跡に限定されず、目的に応じて適宜変更することが可能である。すなわち、仮想円VCを定めるのに際して、ウェハW表面上の一点SPから仮想円VCまでの距離rと、受光素子が受光する光の波長とが対応していればよい。
【0027】
回転板14は、回転駆動部16によって所定の回転軸周りを回転される構成である。より具体的には、回転板14の回転軸は、ウェハW内部の所定の回転中心CTRを含み、回転板14は、当該回転中心CTRを含み且つウェハWの上下面に垂直な面に対して平行な面内を回転される構成である。上記構成により、ウェハWの内部の所定の点を回転中心CTRとして、回転中心CTRを含み且つウェハWの上下面に垂直な面内を回転中心CTRと一定の半径rを保ちながら変位センサ12を回転駆動させることができる。
【0028】
また、回転板14は、一例として、金属材料(アルミ合金やステンレス合金等)からなり、内径及び外径が数cm~十数cm程度、厚さが数mm程度の円環状に形成されているが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。
【0029】
また、回転板14は、変位センサ12が、ウェハWの厚さに対応する位置(一例として、ウェハWの厚さを測定したウェハWの上下面の各点)を測定可能となる回転角度θの範囲(以下、「回転範囲」と称する場合がある)及び回転中心CTRのうち少なくとも一方に対して回転駆動されるような構成とすることが好ましい。すなわち、変位センサ12は、ウェハWの厚さに対応する位置を測定可能となる回転範囲に対して駆動される構成としてもよく、回転範囲は、一例として、-120°≦θ≦120°に設定される。また、変位センサ12は、ウェハWの厚さに対応する位置を測定可能となる回転中心CTRに対して回転駆動される構成としてもよく、回転中心CTRは、一例として、ウェハWを平面視した際の上下面の内側に設定される。上記構成により、ウェハWの厚さも含めたウェハWのエッジ形状を正確に測定することができる。
【0030】
回転駆動部16は、一例として、サーボモータ(不図示)を有しているが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。
【0031】
ウェハ保持装置20は、図1に示すように、ウェハ保持テーブル22と、円筒部24と、回転駆動部26と、上下動駆動部27と、スライド駆動部28とを有している。これにより、ウェハWを変位センサ12に対して相対移動させることができる。
【0032】
また、ウェハ保持テーブル22は円筒部24に連結されており、円筒部24が回転駆動部26によって回転されることにより、ウェハ保持テーブル22も回転される構成である。これにより、ウェハWの全周に亘ってウェハWのエッジ形状を取得することができる。
【0033】
ウェハ保持テーブル22は、ウェハWよりも小径(ウェハWのエッジ部がウェハ保持テーブル22からはみ出る程度にウェハWよりも小径)の円板形状に形成されている。また、ウェハ保持テーブル22は、ウェハWを保持する面に吸着機構(不図示)を有している。当該吸着機構は、一例として、ウェハ保持テーブル22に設けられた複数の孔からウェハWを吸引する構成であるが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。他の例として、ウェハ保持テーブル22は、吸着機構の代わりに、貼着テープを利用した貼着機構を有する構成としてもよい。すなわち、吸着機構又は貼着機構は、ウェハWを損傷させないようにウェハ保持テーブル22上にウェハWを保持する構成であればよい。
【0034】
また、ウェハ保持テーブル22は、図1に示すように、ウェハWを水平に保持する構成であるが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。すなわち、ウェハ保持テーブル22は、ウェハWを鉛直に保持する構成としてもよい。
【0035】
回転駆動部26は、一例として、サーボモータ(不図示)を有しているが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。
【0036】
また、回転駆動部26は、ガイド27aを介して、上下動駆動部27に連結されている。上下動駆動部27は、一例として、サーボモータ(不図示)を有しているが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。上下動駆動部27によって、ウェハWの変位センサ12に対する上下方向の位置を相対的に移動させることができる。
【0037】
さらに、上下動駆動部27は、スライド駆動部28に連結されている。スライド駆動部28は、上下動駆動部27(すなわち、ウェハW)を水平方向であって変位センサ12の回転軌道に対して平行に移動させることができる。また、スライド駆動部28は、一例として、サーボモータ(不図示)を有しているが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。
【0038】
なお、回転駆動部26、上下動駆動部27、及びスライド駆動部28の配置や構成は上記例に限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。
【0039】
制御装置30は、図1に示すように、変位センサ12と、回転駆動部16、26、上下動駆動部27、スライド駆動部28とに対して、有線又は無線により接続されている構成である。また、制御装置30は、一例として、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって実現され、CPU、RAM及び/又はROM等のメモリ及び通信部を含んで構成され、予め設定された制御プログラムや外部から入力される設定信号に基づいて作動する構成である。すなわち、制御装置30は、図4に示すように、制御部32と、記憶部34と、通信部36とを有しており、変位センサ12の測定に係る制御と、回転駆動部16、26の回転駆動に係る制御と、上下動駆動部27の上下動駆動に係る制御と、スライド駆動部28のスライド駆動に係る制御とを実行する構成である。
【0040】
制御部32は、CPUに相当し、記憶部34から制御プログラムを呼出して、測定制御、回転駆動制御、上下動駆動制御、スライド駆動制御の各処理を順次実行する構成である。
【0041】
記憶部34は、揮発性メモリであるRAMや不揮発性メモリであるROMに相当する。また、記憶部34には、エッジ形状測定装置100を稼働させるための所定の制御プログラムが予め記憶されている。
【0042】
また、記憶部34は、変位センサ12が取得した距離のデータ(回転角度θ及び距離r)が記憶される。
【0043】
通信部36は、有線又は無線により、所定の通信規格にしたがって通信可能なインターフェースを有している。
【0044】
<<エッジ形状測定方法>>
第1実施形態におけるエッジ形状測定方法は、図5に示すように、ウェハWの内部の所定の点を回転中心CTRとして、回転中心CTRを含み且つウェハWの上下面に垂直な面内において、一定の半径rを保ちながら変位センサ12を回転駆動させ、回転角度θごとに回転中心CTRと変位センサ12とを結ぶ直線上のウェハWの表面上の一点SPまでの距離rを測定する測定工程S11を備えている。
【0045】
測定工程S11の前工程として、先ず、準備工程S10を実施する。準備工程S10では、ウェハ保持テーブル22に対して、吸着機構(不図示)によりウェハWを保持させる。なお、ウェハWが円板状の場合、ウェハWの中心軸と、ウェハ保持テーブル22の回転軸とを一致させる。また、準備工程S10では、変位センサ12が所定の測定開始位置に配置されるように、回転板14を所定の角度まで回転駆動させる。なお、測定開始位置から測定終了位置までのいずれかの位置は、変位センサ12が、ウェハWの厚さに対応する位置を測定可能となる位置を含むことが好ましい。すなわち、回転板14は、変位センサ12が、ウェハWの厚さに対応する位置を測定可能となる回転範囲及び回転中心CTRのうち少なくとも一方に対して回転駆動されるような構成とすることが好ましい。
【0046】
また、準備工程S10では、変位センサ12の回転中心CTRがウェハWの内部の所定の位置となるように、制御部32が上下動駆動部27、及びスライド駆動部28を駆動させる。
【0047】
続いて、測定工程S11を実施する。すなわち、測定工程S11では、制御部32が記憶部34に予め記憶された制御プログラムを呼出し、当該プログラムを実行することにより変位センサ12を稼働させる。同時に、測定工程S11では、制御部32は、回転駆動部16を所定の速度(特に、一定の速度)で回転駆動(一例として、ウェハWの上面側からウェハWの下面側へ回転駆動)させる。これにより、回転板14(すなわち、変位センサ12)が一定の速度で回転中心CTRを回転されて、ウェハWのエッジ部の走査をすることができる。
【0048】
なお、ウェハWの一の位相に対する測定工程S11の終了後、回転駆動部26を回転駆動させて、ウェハ保持テーブル22(すなわち、ウェハW)の位相を変化させ(一例として、ウェハWの位相を1°程度変化させ)、再度、測定工程S11を実施してもよい。これにより、ウェハWの全周に亘ってウェハWのエッジ形状の測定をすることができる。
【0049】
<第2実施形態>
<<エッジ形状測定装置100>>
第2実施形態におけるエッジ形状測定装置100は、図6の機能ブロック図に示すように、第1実施形態におけるエッジ形状測定装置100に対して、制御装置30の構成が異なる。すなわち、第2実施形態における制御装置30は、制御部32と、記憶部34と、通信部36と、座標変換部38とを有している。
【0050】
座標変換部38は、CPUに相当し、記憶部34から座標変換プログラムを呼出して、変位センサ12が取得した距離のデータの変換処理を実行する構成である。
【0051】
座標変換部38は、変位センサ12が測定した各距離rをX-Y座標系に変換する構成である。すなわち、座標変換部38は、回転角度θと距離rとを含む測定データを、図3に示すX-Y座標系に座標変換する構成である。
【0052】
ここで、上記したX-Y座標系は、図3に示すように、一例として、回転中心CTRを座標中心とし、回転中心CTRを含み円板状のウェハWの径方向であるX軸と、回転中心CTRを含みウェハWの上下面に対して垂直方向であるY軸とからなる座標系である。なお、X-Y座標系は、回転中心CTRを座標中心とする座標系に限定されない。
【0053】
距離rと、仮想円VCの一定の半径rとに対して、回転中心CTRからウェハW表面上の一点SPまでの距離rは、r=r-rの関係にあり、さらに、X-Y座標系におけるウェハW表面上の一点SPの座標は(x,y)=(rcosθ,rsinθ)の関係にある。座標変換部38は、変位センサ12が取得して記憶部34に記憶された距離のデータを呼出し、上記の座標変換処理を実行し、変換後のデータを記憶部34に記憶させる構成である。これによりウェハWのエッジ断面形状を取得することができる。
【0054】
<<エッジ形状測定方法>>
第2実施形態におけるエッジ形状測定方法は、図7のフローチャートに示すように、測定工程S21(測定工程S11に相当)と、変位センサ12が測定した各距離rを、回転中心CTRを座標中心とする所定のX-Y座標系に変換する座標変換工程S22とを備えている。
【0055】
第2実施形態におけるエッジ形状測定方法では、先ず、準備工程S20(準備工程S10に相当)と、測定工程S21とを実施する。
【0056】
続いて、座標変換工程S22を実施する。すなわち、座標変換工程S22では、座標変換部38が記憶部34に予め記憶された座標変換プログラムを呼出し、当該プログラムを実行することにより、座標変換部38は記憶部34に記憶された測定データ(回転角度θ、距離r)と、一定の半径rと、回転中心CTRのX-Y座標とを呼出してX-Y座標系の座標に変換し、記憶部34に記憶させる。
【0057】
<第3実施形態>
<<エッジ形状測定装置100>>
第3実施形態におけるエッジ形状測定装置100は、図8の機能ブロック図に示すように、第1実施形態におけるエッジ形状測定装置100に対して、制御装置30の構成が異なる。すなわち、第3実施形態における制御装置30は、制御部32と、記憶部34と、通信部36と、補正部40とを有している。
【0058】
補正部40は、CPUに相当し、記憶部34から補正プログラムを呼出して、記憶部34に予め記憶されているズレ量に基づいて距離rを補正する補正処理を実行する構成である。
【0059】
補正部40での補正処理に際して、所定の方法により距離rを補正するためのズレ量を予め取得する。当該方法については、<<エッジ形状測定方法>>にて詳しく説明する。
【0060】
補正部40は、変位センサ12が測定データを取得した後、記憶部34から各回転角度θに対応するズレ量のデータを呼出して、距離rのデータを当該ズレ量に基づいて補正する構成である。これにより、変位センサ12にウェハWのエッジ部を走査させる際に生じる誤差を補正し、ウェハWのエッジ形状を正確に測定することができる。
【0061】
<<エッジ形状測定方法>>
第3実施形態におけるエッジ形状測定方法は、図9のフローチャートに示すように、測定工程S32(測定工程S11に相当)と、予め取得されたズレ量に基づいて距離rを補正する補正工程S33とを備えている。
【0062】
第3実施形態におけるエッジ形状測定方法では、先ず、ズレ量取得工程S31を実施する。ズレ量取得工程S31では、一例として、変位センサ12により、高真円度の所定の円柱形状の校正治具を測定する。すなわち、ズレ量取得工程S31では、変位センサ12を回転させて所定の円柱形状の校正治具に対する真円度の測定を実施し、各回転角度θにおける理論値と実測値との差をズレ量として取得し、記憶部34に予め記憶させる。なお、ズレ量を取得する方法は上記に限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。
【0063】
続いて、ズレ量取得工程S31の後工程として、第1実施形態で示した準備工程S30(準備工程S10に相当)と、測定工程S32(測定工程S11に相当)とを実施する。
【0064】
続いて、補正工程S33を実施する。すなわち、補正工程S33では、補正部40は記憶部34に予め記憶された補正プログラムを呼出し、当該プログラムを実行し、記憶部34に記憶された測定データ(回転角度θ、距離r)を同じく記憶部34に記憶された回転角度θごとのズレ量により補正する。
【0065】
<第4実施形態>
<<エッジ形状測定装置100>>
第4実施形態におけるエッジ形状測定装置100は、図10の機能ブロック図に示すように、第1実施形態におけるエッジ形状測定装置100に対して、制御装置30の構成が異なる。すなわち、第4実施形態における制御装置30は、制御部32と、記憶部34と、通信部36と、回転半径取得部42とを有している。
【0066】
回転半径取得部42は、CPUに相当し、記憶部34から回転半径取得プログラムを呼出して、ウェハWの厚さTと、ウェハWの厚さに対応する位置までの距離rとに基づいて、変位センサ12の回転半径rを取得する回転半径取得処理を実行する構成である。
【0067】
回転半径取得部42での回転半径取得処理に際して、所定の方法により、ウェハWの厚さを予め取得する。当該方法については、<<エッジ形状測定方法>>にて詳しく説明する。
【0068】
また、ウェハWの厚さTの取得と同時に、変位センサ12により、ウェハWの厚さに対応する位置までの距離rを予め取得する。
【0069】
回転半径取得部42は、記憶部34からウェハWの厚さTと、距離rとを呼出して、変位センサ12の回転半径rを取得する構成である。回転半径取得部42は、一例として、0.5T/sinθと、距離rとの合計値を回転半径rとして取得する。また、この際の回転中心CTRは、一例として、ウェハWの厚さTの1/2の位置に設定されるが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。これにより、変位センサ12が回転される際の一定の回転半径rが未知であり正確な測定が困難な場合であっても、回転半径rを逆算して求めることができ、ウェハWのエッジ形状を正確に測定することができる。
【0070】
<<エッジ形状測定方法>>
第4実施形態におけるエッジ形状測定方法は、図11のフローチャートに示すように、ウェハWの厚さを測定する第1測定工程S41と、ウェハWの厚さTに対応する位置までの距離rを測定する第2測定工程S42と、ウェハWの厚さと距離rとに基づいて変位センサ12の回転半径rを取得する回転半径取得工程S43と、測定工程S44(測定工程S11に相当)とを備えている。
【0071】
すなわち、第4実施形態におけるエッジ形状測定方法では、先ず、第1測定工程S41を実施する。第1測定工程S41では、一例として、公知のレーザ測定器(不図示)によりウェハWの厚さを取得するが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。なお、ウェハWの厚さTを測定するウェハWの位置は、一例として、ウェハWの上面又は下面と、ウェハWのエッジ部との境界線上の点であるが、これに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。他の例として、ウェハWの上下面における上記境界線上付近でウェハWが最大厚さとなる位置を測定してもよい。
【0072】
続いて、第1測定工程S41と同時に、又は第1測定工程S41の後工程として、第2測定工程S42を実施する。第2測定工程S42では、変位センサ12により、ウェハWの厚さTに対応する位置までの距離rを予め取得する。
【0073】
続いて、回転半径取得工程S43を実施する。回転半径取得工程S43では、回転半径取得部42が記憶部34に予め記憶された回転半径取得プログラムを呼出し、当該プログラムを実行し、記憶部34からウェハWの厚さTと、距離rとを呼出して、変位センサ12の回転半径rを取得する。なお、回転半径取得部42は、一例として、0.5T/sinθと、距離rとの合計値を回転半径rとして取得する。
【0074】
続いて、準備工程S40(準備工程S10に相当)を実施する。なお、準備工程S40では、制御部32は、ウェハWの内部の所定の点が回転中心CTRとなるように、ウェハWや変位センサ12の位置を調整する。
【0075】
続いて、測定工程S44を実施する。また、必要に応じて、回転駆動部26を回転駆動させて、ウェハWの全周に亘ってエッジ形状測定を実施してもよい。
【0076】
<第5実施形態>
<<エッジ形状測定装置100>>
第5実施形態におけるエッジ形状測定装置100は、図12の側面図(概略図)、及び図13の平面図(概略図)に示すように、第1実施形態におけるエッジ形状測定装置100に対して、その構成が異なる。すなわち、第5実施形態におけるエッジ形状測定装置100は、治具JGと、治具JGを保持し、且つ前記変位センサ12に対する治具JGの位置を調整するための治具保持機構60とを備えている。
【0077】
治具保持機構60は、保持台52と、上下動機構54と、スライド機構56と、基台58とを有している。すなわち、治具保持機構60は、保持台52に治具JGを保持し、保持台52と、上下動機構54と、スライド機構56とによって、変位センサ12に対して治具JGを相対移動させることができる構成である。または、治具保持機構60は、変位センサ12を移動させる構成としてもよい。
【0078】
なお、治具JGは、一例として、直径1mm程度の円柱部を有する治具(本実施形態においては、円柱形状の治具)であり、円柱部の軸心に垂直な断面は、真円度が±0.1μm以下の高真円度に形成されている。また、治具JGは、保持部50に保持可能な直径1~2cm程度の大径部を有している。なお、治具JGの形状はこれに限定されず、円柱部の代わりに球状部や、多角形形状部を有する治具を用いてもよい。
【0079】
また、保持台52は、治具JGの大径部を保持可能な保持部50を有している。保持部50は、一例として、治具JGの大径部を挿入することにより治具JGを保持可能な保持孔(不図示)を有している。なお、治具JGの保持は、保持孔によるものに限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。他の例として、保持部50は、保持爪(不図示)によって治具JGを保持する構成とすることも可能である。
【0080】
また、保持台52は、基台58上に設けられた上下動機構54、及びスライド機構56に連結されている。
【0081】
また、保持台52は、一例として、サーボモータ(不図示)によって駆動され、変位センサ12に対する水平方向の位置を相対移動させることができる構成である。より具体的には、保持台52は、治具JGを水平方向であって回転板14に対して平行に相対移動させることができる構成である。なお、保持台52は手動とすることも可能であり、その場合、保持台52は、調節ねじ(不図示)によって水平移動される構成である。
【0082】
上下動機構54は、一例として、サーボモータ(不図示)によって駆動され、保持台52(すなわち、治具JG)の変位センサ12に対する鉛直方向の位置を相対移動させることができる構成である。なお、上下動機構54は、手動とすることも可能であり、その場合、上下動機構54は、調節ねじ(不図示)によって保持台52を上下動させる構成である。
【0083】
スライド機構56は、一例として、サーボモータ(不図示)によって駆動され、保持台52(すなわち、治具JG)の変位センサ12に対する水平方向の位置を相対移動させることができる構成である。より具体的には、スライド機構56は、治具JGが回転板14に対して接近又は離反するよう相対移動させることができる構成である。なお、スライド機構56も手動とすることも可能であり、その場合、スライド機構56は、調節ねじ(不図示)によって保持台52を水平移動させる構成である。
【0084】
また、第5実施形態におけるエッジ形状測定装置100は、図14の機能ブロック図に示すように、第1実施形態におけるエッジ形状測定装置100に対して、制御装置30の構成が異なる。すなわち、第5実施形態における制御装置30は、制御部32と、記憶部34と、通信部36と、校正部44と、位置調整部46とを有している。
【0085】
校正部44は、CPUに相当し、記憶部34から校正プログラムを呼出して、変位センサ12の所定の回転角度θにおける治具JGの各測定点までの測定距離を変位センサ12に測定させる構成である。一例として、校正部44は、変位センサ12の回転角度θが-90°、0°、及び90°(すなわち、3つの回転角度θ)となる場合の治具JGまでの距離を測定する構成である。また、校正部44は、各測定距離が所定の範囲内に収まるように保持台52、上下動機構54、及びスライド機構56のうち少なくとも一つを駆動させて治具JGの位置を調整し、各測定距離が所定の範囲内に収まる場合の測定距離を校正距離として取得する構成である。なお、校正部44は、上下動機構又は/及びスライド機構(いずれも不図示)を駆動させて変位センサ12の位置を調整する構成としてもよい。上記により、ウェハWの厚さの取得が困難な場合であっても、校正距離に基づいて変位センサ12の回転半径を取得することができる。具体的な校正方法については、<<エッジ形状測定方法>>にて詳述する。
【0086】
なお、校正部44は、変位センサ12の回転角度θと関連付けて取得した校正距離を、各回転角度θにおけるズレ量として取得し、記憶部34に記憶させる構成としてもよい。
【0087】
位置調整部46は、CPUに相当し、記憶部34から位置調整プログラムを呼出して、変位センサ12からウェハWの上下面までの距離が所定の距離(一例として、ウェハWの上下面までの距離が等距離)となり、且つユーザが予め定めた範囲であってウェハWの端点からウェハWの中心へ向けた測定範囲に含まれるウェハWのエッジ形状を測定できるように、回転中心CTR、及び回転範囲を調整する構成である。なお、回転中心CTRの調整に際しては、ウェハW(すなわち、ウェハ保持装置20)、及び変位センサ12のうち少なくとも一方の位置を調整すればよく、ウェハWを変位センサ12に対して相対的に移動する構成とすればよい。より具体的には、ウェハ保持装置20は、円筒部24に連結された上下動駆動部27、及びスライド駆動部28を備えていてもよい。すなわち、位置調整部46は、上下動駆動部27、又は/及びスライド駆動部28を駆動させる構成である。エッジ形状測定装置100が位置調整部46を備えることにより、ユーザが予め定めた測定範囲内のエッジ形状を測定することができる。
【0088】
<<エッジ形状測定方法>>
第5実施形態におけるエッジ形状測定方法は、図15のフローチャートに示すように、校正工程S51と、位置調整工程S53と、測定工程S54とを備えている。
【0089】
すなわち、第5実施形態におけるエッジ形状測定方法では、先ず、校正工程S51を実施する。校正工程S51では、図16の説明図に示すように、所定の治具JG(一例として、円柱部を有する治具JG)を治具保持機構60に保持させる。なお、治具JGは、治具JGの円柱部が変位センサ12の回転軌道(すなわち、円軌道)に対して垂直となるように治具保持機構60に保持される。
【0090】
続いて、校正工程S51では、変位センサ12の所定の回転角度θにおける治具JGの円柱部の側面までの各測定距離を測定し、各測定距離が所定の範囲内に収まる場合の測定距離を校正距離として取得する。
【0091】
より具体的には、校正工程S51では、変位センサの回転角度θが-90°、0°、及び90°(すなわち、3つの回転角度θ)となる場合の上記各測定距離が所定の範囲内に収まるように(一例として、等距離となるように)、校正部44が上下動機構54、及びスライド機構56を駆動させ(または、ユーザが手動で調節し)、各測定距離が所定の範囲内に収まる場合の測定距離を校正距離として、校正部44が取得する。
【0092】
なお、本実施形態における校正工程S51では、変位センサ12の回転角度θが90°の場合の治具JGまでの距離Aと、回転角度θが-90°の場合の治具JGまでのBとを測定し、距離Aと距離Bとが等しくなるように治具JGの鉛直方向の位置を定める。
【0093】
より具体的には、先ず、校正部44は、変位センサ12の回転角度θが90°となるように回転駆動部16を駆動させる。次いで、校正部44は、変位センサ12に対して、治具JGまでの距離Aを測定させる。次いで、校正部44は、変位センサ12の回転角度θが-90°となるように回転駆動部16を駆動させる。次いで、校正部44は、変位センサ12に対して、治具JGまでの距離Bを測定させる。次いで、校正部44は、各距離A、Bを比較し、所定の演算を実行し、演算結果に基づいて上下動機構54を駆動させる。そして、校正部44は、距離A及び距離Bが等しくなるか、距離A、Bの差が所定の範囲内となるまで、上記工程を繰り返す。
【0094】
そして、校正工程S51では、治具JGの鉛直方向の位置が定まった場合、さらに、変位センサ12の回転角度θが0°の場合の治具JGまでの距離Cを測定し、距離Aと距離Bと距離Cとが等しくなるように治具JGの水平方向の位置を定める。
【0095】
より具体的には、先ず、校正部44は、変位センサ12の回転角度θが0°となるように回転駆動部16を駆動させる。次いで、校正部44は、変位センサ12に対して、治具JGまでの距離Cを測定させる。次いで、校正部44は、距離Cと、距離A、Bとを比較し、所定の演算を実行し、演算結果に基づいてスライド機構56を駆動させる。そして、校正部44は、距離A、距離B、及び距離Cが等しくなるか、距離Cと、距離A、Bとの差が所定の範囲内となるまで上記工程を繰り返す。これにより、治具JGの内部の所定の範囲内に変位センサ12の回転中心CTRが設定される。
【0096】
そして、校正工程S51では、治具JGの鉛直方向、及び水平方向の位置が定まった場合の治具JGまでの距離(この場合、距離A、B、Cのいずれか一つ)を校正距離として、校正部44が取得する。
【0097】
校正工程S51を実施することにより、ウェハWの厚さの取得が困難な場合であっても、校正距離に基づいて変位センサ12の回転半径を取得することができる。なお、変位センサ12として公知のマルチカラー共焦点変位センサを採用した場合には、校正距離と、当該校正距離に対応する波長とを取得することにより、マルチカラー共焦点変位センサの一の波長に対応する距離が定まるため、ウェハWのエッジ部までの距離を正確に測定することができる。
【0098】
なお、校正工程S51において、変位センサ12の回転角度θと関連付けて取得した校正距離を、各回転角度θにおけるズレ量として取得し、記憶部34に記憶させてもよい。すなわち、校正工程S51で取得したズレ量を用いて、第3実施形態における補正工程S33を実施してもよい。
【0099】
校正工程S51の後工程として、準備工程S52(準備工程S10に相当)を実施した後、位置調整工程S53を実施する。位置調整工程S53では、図17に示すように、先ず、変位センサ12の回転角度θが90°の場合のウェハWの上面までの距離Eと、回転角度θが-90°の場合のウェハWの下面までの距離Fとを測定し、距離Eと距離Fとが等距離となるように、上下動駆動部27によって、ウェハWの鉛直方向位置を定める。
【0100】
より具体的には、先ず、位置調整部46は、変位センサ12の回転角度θが90°となるように回転駆動部16を駆動させる。次いで、位置調整部46は、変位センサ12に対して、ウェハWまでの距離Eを測定させる。次いで、位置調整部46は、変位センサ12の回転角度θが-90°となるように回転駆動部16を駆動させる。次いで、位置調整部46は、変位センサ12に対して、ウェハWまでの距離Fを測定させる。次いで、位置調整部46は、距離E、Fを比較し、所定の演算を実行し、演算結果に基づいて上下動駆動部27を駆動させる。そして、位置調整部46は、距離E及び距離Fが等しくなるか、距離E、Fの差が所定の範囲内となるまで上記工程を繰り返す。
【0101】
続いて、位置調整工程S53では、ユーザが予め定めた範囲であってウェハWの端点からウェハWの中心へ向けた測定範囲Rに含まれるウェハWのエッジ形状を測定できるように、変位センサ12の回転中心CTR、及び回転範囲を調整する。なお、測定範囲Rは、一例として、0.5mm~数mm程度であるが、これに限定されない。また、回転範囲は、一例として、-105°≦θ≦105°であるが、これに限定されない。
【0102】
より具体的には、先ず、位置調整部46は、変位センサ12の回転角度θが0°となるように回転駆動部16を駆動させる。次いで、位置調整部46は、変位センサ12に対して、ウェハWまでの距離Gを測定させる。次いで、位置調整部46は、変位センサ12とウェハWとが干渉しない範囲で、距離Gが最短となるように、スライド駆動部28を駆動させる。次いで、位置調整部46は、回転駆動部16を駆動させて、測定範囲Rに含まれるウェハWのエッジ形状を測定できる回転角度θ(ウェハWの上面、及び下面に対する各回転角度θ)まで変位センサ12を移動し、その際の回転範囲を取得する。
【0103】
続いて、上記回転範囲において、測定工程S54(測定工程S11に相当)を実施することにより、ウェハWのエッジ形状を取得することができる。すなわち、校正工程S51によって、変位センサ(マルチカラー共焦点変位センサ)12の一の波長に対応する距離rが取得されるため、他の波長に対応する距離rも高精度で取得することができる。さらに、位置調整工程S53と併せて、ユーザ所望の範囲のウェハWのエッジ形状を高精度で取得することができる。
【0104】
ウェハWのエッジ形状の測定は、ウェハWの端面の全周に亘って実施してもよい。すなわち、図15のフローチャートに示すように、一の位相におけるウェハWのエッジ形状の測定終了後、回転駆動部26によってウェハWを1°程度回転させて、位置調整工程S53と、測定工程S54とを実施する。これらをウェハWの全周分の測定が終了するまで繰り返すことで、ウェハWの全体のエッジ形状を測定することができる。
【0105】
上記したように、エッジ形状測定方法が、校正工程S51、及び位置調整工程S53を備えることにより、ウェハWの厚さを取得できない場合であっても、ウェハWのエッジ形状を高精度で測定することができる。
【0106】
なお、本発明は以上説明した各実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。一例として、制御装置30は、制御部32、記憶部34、通信部36以外に、座標変換部38、補正部40、回転半径取得部42、並びに校正部44及び位置調整部46のうち少なくとも一つを有する構成としてもよい。また、エッジ形状測定方法は、測定工程S11以外に、座標変換工程S22、補正工程S33、並びに第1測定工程S41、第2測定工程S42、回転半径取得工程S43、並びに校正工程S51、及び位置調整工程S53及びのうち少なくとも一つを備える構成としてもよい。
【0107】
他の例として、第5実施形態において、制御装置30は、制御部32、記憶部34、通信部36、及び校正部44を備える構成としてもよい。また、第5実施形態におけるエッジ形状測定方法は、校正工程S50、準備工程S52、及び測定工程S54を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 測定装置
12 変位センサ(マルチカラー共焦点変位センサ)
38 座標変換部
40 補正部
42 回転半径取得部
44 校正部
46 位置調整部
60 治具保持機構
100 エッジ形状測定装置
W ウェハ
JG 治具
θ 回転角度
回転半径
距離
r 距離
CTR 回転中心
SP ウェハ表面上の点
S11 測定工程
S21 測定工程
S22 座標変換工程
S32 測定工程
S33 補正工程
S41 第1測定工程
S42 第2測定工程
S43 回転半径取得工程
S44 測定工程
S51 校正工程
S53 位置調整工程
S54 測定工程
【要約】
【課題】変位センサの走査時に焦点合わせをすることなくウェハのエッジ形状を正確に測定することが可能なエッジ形状測定装置及びエッジ形状測定方法を提供する。
【解決手段】平板状のウェハWのエッジ形状を測定する変位センサ12を備えており、変位センサ12は、ウェハWの内部の所定の点を回転中心CTRとして、回転中心CTRを含み且つウェハWの上下面に垂直な面内を回転中心CTRと一定の半径rを保ちながら回転駆動される構成であると共に、回転角度θごとに回転中心CTRと変位センサ12とを結ぶ直線上にあるウェハ表面上の一点SPまでの距離を測定する構成であることを要件とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18