(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法
(51)【国際特許分類】
G01M 7/02 20060101AFI20241004BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20241004BHJP
G01V 1/00 20240101ALI20241004BHJP
【FI】
G01M7/02 C
G01M99/00 Z
G01V1/00 Z
(21)【出願番号】P 2024109143
(22)【出願日】2024-07-05
【審査請求日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】202311200783.3
(32)【優先日】2023-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513059401
【氏名又は名称】同▲済▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】朱崇強
(72)【発明者】
【氏名】黄雨
(72)【発明者】
【氏名】陳之毅
(72)【発明者】
【氏名】彭治銘
(72)【発明者】
【氏名】張雲秋
(72)【発明者】
【氏名】劉志謙
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-74591(JP,A)
【文献】特開2001-304334(JP,A)
【文献】特開2002-365170(JP,A)
【文献】特開2001-174369(JP,A)
【文献】特開平8-29297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M7/02、99/00、
G01V1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法であって、
前記遠心力載荷装置プラットフォームにはモデルボックスが設けられ、前記モデルボックス内には収納スペースを有し、前記収納スペース内には下から上へ底部支持台システム、シミュレーション地震断層及び敷地被覆層が設けられ、前記シミュレーション地震断層と前記敷地被覆層の側面には水平作動システムが設けられ、前記敷地被覆層にはトンネルが設けられ、前記トンネルは水平方向に沿って前記敷地被覆層を貫通し、前記方法は、
前記水平作動システムの作動方向と作動速さを設定し、地震断層シミュレーションの実験過程において、前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形、前記敷地被覆層の地表変位、加速度及び土圧、前記水平作動システムの作動量及び作動力を監視するステップと、
地震断層シミュレーションの実験過程において、前記モデルボックスの正面に向かうハイスピードカメラによって前記シミュレーション地震断層と敷地被覆層の表面クラック破断画像及び敷地変形画像を取得するステップと、
前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形に基づいて、前記地震断層運動時における前記トンネルの変形特性を決定するステップと、
前記敷地被覆層の地表変位、加速度及び土圧に基づいて、前記敷地被覆層において前記地震断層運動に誘発された振動の伝播変化曲線を決定するステップと、
前記水平作動システムの作動量及び作動力に基づいたうえで、前記敷地被覆層の地表変位を結合して、前記水平作動システムの作動方向と作動速さを調節するステップと、
前記敷地被覆層の表面クラック破断画像及び敷地変形画像に基づいて、前記地震断層運動時における前記敷地被覆層の敷地せん断帯の位置や、敷地せん断帯の形及びトンネルの断裂位置とクラック形態が得られるステップと、を含むことを特徴とする遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法。
【請求項2】
前記底部支持台システムは、前記水平作動システム、前記シミュレーション地震断層及び前記敷地被覆層を支持することに使用され、
前記水平作動システムは、前記シミュレーション地震断層及び前記敷地被覆層に水平推力を加えることに使用され、
前記シミュレーション地震断層は、前記地震断層の基盤岩層をシミュレーションするために、断層試験ブロックを充填することに使用され、
前記敷地被覆層は、前記地震断層の土壌層をシミュレーションするために、前記シミュレーション地震断層上に砂層材料を充填することに使用されることを特徴とする請求項1に記載の遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法。
【請求項3】
前記水平作動システム中におけるステッピングモーターと運動制御ボックスはワイヤーによって連結され、前記運動制御ボックスによって前記水平作動システムの作動方向と作動速さを設定したり調節したりすることを特徴とする請求項2に記載の遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法。
【請求項4】
前記トンネルには加速度計、ひずみゲージ及び土圧ボックスが設けられ、前記加速度計、ひずみゲージ及び土圧ボックスを監視することで前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形を監視することを特徴とする請求項2に記載の遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法。
【請求項5】
前記モデルボックスにはレーザー変位計が設けられ、前記レーザー変位計によって前記敷地被覆層の地表変位を監視することを特徴とする請求項2に記載の遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法。
【請求項6】
前記ステッピングモーターにおいてかつ前記シミュレーション地震断層に向かう片側にはストロークリミッターが設けられ、前記水平作動システムにはスポークセンサーが設けられ、前記スポークセンサーにおいてかつ前記ステッピングモーターに隣接する片側にはフランジが設けられ、前記フランジが前記ストロークリミッターに接触すると、前記ステッピングモーターの電源を切断し、前記水平作動システムの動作が停止することを特徴とする請求項3に記載の遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法。
【請求項7】
前記底部支持台システムには、剛性支持台、弾性支持台、昇降機ブラケットとモーター支持台が設けられ、
前記剛性支持台によって前記シミュレーション地震断層における断層下盤を支持し、前記弾性支持台によって前記シミュレーション地震断層における断層上盤を支持し、
前記昇降機ブラケットによって前記水平作動システム中におけるネジ昇降装置を支持し、前記モーター支持台によって前記水平作動システム中におけるステッピングモーターを支持し、
前記剛性支持台と弾性支持台の高さを調節することによって、前記シミュレーション地震断層における断層下盤と前記水平作動システムの高さを同等させることを特徴とする請求項2に記載の遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法。
【請求項8】
コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサに呼び出された場合、前記プロセッサに請求項1~7のいずれか1項に記載の実験方法を実行させることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震災害シミュレーションの技術分野に関し、具体的には遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年来、我が国の経済建設の基本的施設の地理的重心の移転に伴い、多くの重大工事(青蔵鉄道、川蔵鉄道、西気東輸など)が我が国の西南部強震エリアに建設を配置した。しかしながら、我が国の西南地区の活断層構造は極めて複雑で広く分布されているため、重大工事が活断層帯を回避することができなく、このような工事の建設安全を深刻に脅かし、断層方向を跨る工事構造に対する最先端研究の展開はが急務となって、重大な科学的価値と工事上の応用見通しを持つ。
【0003】
岩石土壌体材料は代表的な非線形系の力学的挙動を有し、応力状態の影響を受けることが顕著である。物理モデル試験は最も一般的で効果的な研究手段として、地震災害研究に広く応用されている。しかしながら、通常の物理モデル試験はスケールモデルを採用することが多く、通常の重力環境下で展開されると、岩石土壌体の初期応力状態を正確に還元させることができず、研究成果の科学性と工事上の適用性を著しく制限した。次に、現在の地震災害の研究では、底部振動台を用いて均一な振動を加え、敷地や工事構造の動力応答を観察することによって地震効果評価を行うことが多い。該手段は断層から離れた状況の研究に適しており、断層を跨る工事構造の耐震性能の研究には適していない。最後に、工事敷地の地震安全性評価または工事構造の耐震性能評価にとって、合理的な敷地地震動を得ることが極めて肝心である。現在、世界では、実測地震動記録に基づいて、多種の敷地地震動合成方法を提案しているが、このようなモデルは将来に発生する可能性のある地震動状況を全面的に反映することができなく、その根源を究めると地震の発震機構と伝播経路効果に対する物理シミュレーションの研究が不足していることにあり、それによって将来の敷地地震動予測を深刻に制限している。以上により、国家西部建設の戦略的需要に対して、現在の物理モデル試験は断層を跨る地震災害を研究する際に、以下の不足が存在し、
第1、通常の重力下のスケール試験は岩石土壌体の真の応力状態を反映することができない。スケールモデル試験の応力レベルは真の状態より著しく低く、岩石土壌体の力学的挙動は応力状態に依存しているため、このような研究成果の工学的適用性と科学性を深刻に制限している。
第2、底部振動台による振動試験の方法では、断層を跨る工事構造のシーンをシミュレーションすることはできない。現在、モデル試験は底部振動台を通じてモデル全体に均一な振動を与えることが多く、断層を跨る際の断層運動効果による工事構造に与える影響をシミュレーションすることができない。
第3、敷地地震動合成モデルは発震機構と伝播経路効果を考慮することができない。現在の地震動合成モデルは実測の地震動記録の解析に基づいて構築されたことが多く、発震機構と伝播経路効果を考慮することができないため、敷地の将来の地震動発生状況を正確に全面的に反映することができない。
【0004】
そのため、岩石土壌体の真の応力状態を正確に還元させ、異なる断層破断過程と敷地伝播効果を正確にシミュレーションし、断層を跨る工事構造の耐震性能評価と敷地地震動合成に科学的根拠を提供する大型モデル試験システムの開発が急務となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を提供することにあり、遠心力載荷装置プラットフォームを用いて重力環境をシミュレーションし、岩石土壌体の真の応力状態を正確に還元させると同時に、シミュレーション地震断層と敷地被覆層中におけるトンネルの端部の受けた力及び局所的な変形、表面クラック破断画像と敷地変形画像、及び水平作動システムの作動量と作動力を取得し、それによって活断層破断による地震発生全過程及び地震の敷地内の伝播効果をシミュレーションし、断層を跨る状況下における工事構造の動力応答特性シミュレーション実験を実現することができる。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を提供し、前記遠心力載荷装置プラットフォームにはモデルボックスが設けられ、前記モデルボックス内には収納スペースを有し、前記収納スペース内には下から上へ底部支持台システム、シミュレーション地震断層及び敷地被覆層が設けられ、前記シミュレーション地震断層と前記敷地被覆層の側面には水平作動システムが設けられ、前記敷地被覆層にはトンネルが設けられ、前記トンネルは水平方向に沿って前記敷地被覆層を貫通し、前記方法は、
前記水平作動システムの作動方向と作動速さを設定し、地震断層シミュレーションの実験過程において、前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形、前記敷地被覆層の地表変位、加速度及び土圧、前記水平作動システムの作動量及び作動力を監視するステップと、
地震断層シミュレーションの実験過程において、前記モデルボックスの正面に向かうハイスピードカメラによって前記シミュレーション地震断層と敷地被覆層の表面クラック破断画像及び敷地変形画像を取得するステップと、
前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形に基づいて、前記地震断層運動時における前記トンネルの変形特性を決定するステップと、
前記敷地被覆層の地表変位、加速度及び土圧に基づいて、前記敷地被覆層において前記地震断層運動に誘発された振動の伝播変化曲線を決定するステップと、
前記水平作動システムの作動量及び作動力に基づいたうえで、前記敷地被覆層の地表変位を結合して、前記水平作動システムの作動方向と作動速さを調節するステップと、
前記敷地被覆層の表面クラック破断画像及び敷地変形画像に基づいて、前記地震断層運動時における前記被覆層の敷地せん断帯の位置や、敷地せん断帯の形及びトンネルの断裂位置とクラック形態が得られるステップと、を含む。
【0007】
本発明は、記憶媒体をさらに提供し、記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサに呼び出された場合、前記プロセッサに上記の実験方法を実行させる。
【0008】
一つの実施例において、前記底部支持台システムは、前記水平作動システム、前記シミュレーション地震断層及び前記敷地被覆層を支持することに使用され、
前記水平作動システムは、前記シミュレーション地震断層及び前記敷地被覆層に水平推力を加えることに使用され、
前記シミュレーション地震断層は、前記地震断層の基盤岩層をシミュレーションするために、断層試験ブロックを充填することに使用され、
前記敷地被覆層は、前記地震断層の土壌層をシミュレーションするために、前記シミュレーション地震断層上に砂層材料を充填することに使用される。
【0009】
一つの実施例において、前記水平作動システム中におけるステッピングモーターと運動制御ボックスはワイヤーによって連結され、前記運動制御ボックスによって前記水平作動システムの作動方向と作動速さを設定したり調節したりする。
【0010】
一つの実施例において、前記トンネルには加速度計、ひずみゲージ及び土圧ボックスが設けられ、前記加速度計、ひずみゲージ及び土圧ボックスを監視することで前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形を監視する。
【0011】
一つの実施例において、前記モデルボックスにはレーザー変位計が設けられ、前記レーザー変位計によって前記敷地被覆層の地表変位を監視する。
【0012】
一つの実施例において、前記ステッピングモーターにおいてかつ前記シミュレーション地震断層に向かう片側にはストロークリミッターが設けられ、前記水平作動システムにはスポークセンサーが設けられ、前記スポークセンサーにおいてかつ前記ステッピングモーターに隣接する片側にはフランジが設けられ、前記フランジが前記ストロークリミッターに接触すると、前記ステッピングモーターの電源を切断し、前記水平作動システムの動作が停止する。
【0013】
一つの実施例において、前記底部支持台システムには、剛性支持台、弾性支持台、昇降機ブラケットとモーター支持台が設けられ、
前記剛性支持台によって前記シミュレーション地震断層における断層下盤を支持し、前記弾性支持台によって前記シミュレーション地震断層における断層上盤を支持し、
前記昇降機ブラケットによって前記水平作動システム中におけるネジ昇降装置を支持し、前記モーター支持台によって前記水平作動システム中におけるステッピングモーターを支持し、
前記剛性支持台と弾性支持台の高さを調節することによって、前記シミュレーション地震断層における断層下盤と前記水平作動システムの高さを同等させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を用いたシステムの全体的なパーティション概略図である。
【
図2】本発明に係る遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を用いたシステムの全体的なパーティション正面図である。
【
図3】本発明に係る遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を用いたシステムの各部材の全体的な正面図である。
【
図4】本発明に係る遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を用いたシステムの全体的なパーティション側面図である。
【
図5】本発明に係る遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を用いたシステムの各部材の全体的な側面図である。
【
図6】本発明に係る方法を用いたシステムの水平作動システムの概略図である。
【
図7】本発明に係る方法を用いたシステムのモデルボックスの平面図である。
【
図8】本発明に係る方法を用いたシステムの底部支持台システムの概略図である。
【
図9】本発明に係る遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を用いたシステムの全体的な概略図である。
【
図10】本発明に係る方法のフローチャートである。
【
図11】本発明に係る方法を用いたシステムと遠心力載荷装置プラットフォームの組み合わせた概略図である。
【
図12】本発明に係る方法が実行されて得られた異なる断層運動速度下におけるトンネル両端の土圧増分グラフである。
【
図13a】本発明に係る方法が実行された後のハイスピードカメラに採集された画像データである。
【
図13b】本発明に係る方法が実行された後のハイスピードカメラに採集された画像データである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、添付図面を用いて本発明の各実施例を詳細に説明する。図面に示された実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の請求項の実質的な精神を説明するためのものであることを理解すべきである。
【0016】
以下の説明では、種々の開示された実施例を説明する目的で、種々の開示された実施例の完全な理解を提供するために、特定の詳細が記載されている。しかし、これらの特定の詳細のうちの1つまたは複数の詳細がない場合に実施例を実施することができることを、当業者は認識するであろう。他の場合には、本願に関連する周知の装置、構造、および技術は、実施例の説明を不要に混同しないように、詳細に図示または説明しないことがある。
【0017】
文脈に他の必要がない限り、明細書および特許請求の範囲全体において、用語「含む」およびその変形、例えば「含む」および「有する」は、オープン、包含の意味として理解されるべきであり、すなわち「含むが、限定されない」と解釈されるべきである。
【0018】
本明細書全体における「1つの実施例」または「1つの実施形態」への言及は、実施例に関連して説明された特定の特徴、構造、または特徴が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、明細書全体の様々な敷地における「1つの実施例における」または「1つの実施例における」の出現は、すべて同じ実施例を指す必要はない。さらに、特定の特徴、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施例において任意の方法で組み合わせることができる。
【0019】
本明細書及び添付の請求項において使用される単数形「一」及び「前記」は、文中に明確に別段に規定されていない限り、複数のフィンガーを含む。用語「または」は、通常、文中で明確に別段に規定されていない限り、「または/および」を含む意味で使用されることを指摘すべきである。
【0020】
以下の説明では、本発明の構造及び動作態様を明確に示すために、多くの方向性語を用いて説明するが、「前」、「後」、「左」、「右」、「外」、「内」、「外へ」、「内に」、「上」、「下」などの語を便宜語として理解すべきであり、限定語として理解すべきではない。
【0021】
本発明の第1実施例は、遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法に関し、遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションシステムに応用され、真の応力状態における断層の発振全過程、伝播経路効果及び断層運動と工事構造の複雑な相互作用をシミュレーションすることができる。
【0022】
図1と
図4に示すように、遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションシステムは、遠心力載荷装置プラットフォーム7ー10に設けられたモデルボックスIを含み、前記モデルボックスI内には収納スペースを有し、前記収納スペース内には下から上へ底部支持台システムV、シミュレーション地震断層IV及び敷地被覆層IIが設けられ、前記シミュレーション地震断層IVと前記敷地被覆層IIの側面には水平作動システムIIIが設けられている。前記底部支持台システムVは、前記水平作動システムIII、前記シミュレーション地震断層IV及び前記敷地被覆層IIを支持することに使用される。前記水平作動システムIIIは、前記シミュレーション地震断層IV及び前記敷地被覆層IIに水平推力を加えることに使用される。前記シミュレーション地震断層IVは、前記地震断層の基盤岩層をシミュレーションするために、断層試験ブロックを充填することに使用される。前記敷地被覆層IIは前記地震断層の土壌層をシミュレーションするために、前記シミュレーション地震断層上に砂層材料を充填することに使用される。これにより、本実施例は大型遠心力載荷装置試験プラットフォームの開発に基づいて、遠心機によって超重量力をシミュレーションし、岩石土壌の真の応力状態を真に還元させ、このようなモデル試験研究のために堅固な基礎を打ち立てる。シミュレーション地震断層と敷地被覆層を設置することにより、水平作動器の正確な制御の下で、活断層破断による地震発生全過程とその敷地内の伝播効果をシミュレーションすることができ、それにより発振機構と伝播経路効果を考慮した敷地地震動合成モデルの研究に基礎を築くことができる。さらに、工事構造の下にシミュレーション地震断層を直接に設置し、断層破断モードを制御することにより、複雑な地震状況を実現し、伝統モードの下で底部振動台を通じて均一な振動しか与えられない欠陥を克服し、断層を跨る時の工事構造の動的応答特性をリアルに再現した。
【0023】
モデルボックスIは、主に外付け剛性モデルボックスIからなり、水平作動システムIIIに水平反力支持を提供することができるだけでなく、同時に吊り具を取り付けることによってクレーンのつり下げを容易にすることができる。
図2、
図3及び
図5に示すように、モデルボックスIは二つの側板(左側板1ー1と右側板2ー11)、底板5ー7及び裏板6の四枚の厚い鋼板によって剛性連結された頂面開口を有するボックス体を形成し、二つの側板、底板5ー7及び裏板6はすべて鋼板であり、前記モデルボックスIの正面には、透明有機ガラスパネルが設けられている。前記モデルボックスIの前記最上面には、プルロッドシステムが取り外し可能に設けられ、前記プルロッドシステムは前記モデルボックスIをつり上げることに使用され、最上面は最上部自由面であり、プルロッドシステムを通じてマルチポイント連結を実現し、鋼板の連結点が集まっていることによる張力トルク不足の欠陥を克服する。
図7に示すように、モデルボックスIのプルロッドシステムはモデルボックスIの最上面と正面自由面に設けれられたネジプルロッド1-3、位置制限ボルト1-2及び反力ボルト1-6を含む。左側板1-1に雌ネジ穴を開け、雌ネジ穴とネジプルロッド1-3を連結することにより、ネジプルロッド1-3を取り付け、右側板2-11にはねじ山の径よりやや大きい穴を開け、反力ボルト1-6を締めることで反力を与える。プルロッドシステムは取り外し可能で、試料充填の利便性を高める。最上部の中央部におけるプルロッドは、2枚のつり上げ板1ー4を含み、遠心機室のクレーンの吊り具と連結し、モデルボックスI全体を遠心機内の剛性ボックス内につり上げることに使用される。
【0024】
なお、各小変形段階で異なる連結形態の鋼部材の内力と変形を制御するために、ボックス体の鋼板は、力を受ける状況に応じて連結形態を決定する。側板と底板はボルトと両側溶接の組み合わせの連結形式を採用し、底板と裏板、側板と裏板はボルトと片側溶接の組み合わせの連結形式を採用した。
【0025】
前記水平作動システムIIIは本実施例のシステムの右側に位置し、断層に異なる振幅の水平推力を正確に加え、それによって断層を水平方向に繰り返して往復作動させるように正確に制御する。水平作動システムIIIは、ネジ昇降装置2-10、直角減速機3-1、ステッピングモーター4-1及び作動制御ボックス4-5を含む。前記ネジ昇降装置2-10は、前記シミュレーション地震断層IVと前記敷地被覆層IIに水平推力を加えることに使用される。前記ステッピングモーター4ー1と作動制御ボックス4-5はワイヤーを介して連結され、前記ネジ昇降装置2-10を水平運動させるように制御することに使用される。前記ステッピングモーター4-1と前記直角減速機3ー1は伝動軸4-3を介して連結され、前記直角減速機3-1は前記ネジ昇降装置2ー10におけるネジ2-6の回転数を低減することに使用される。ステッピングモーター4-1のパワーが変わらない場合、直角減速機3-1は回転数を低下させ、トルクを増大させることにより、水平推力を向上させる。直角減速機3-1は歯車を介して上下2つの水平作動器のネジ2-6と連結し、ネジ2-6を制御可能に水平運動させるようにする。ネジ2-6は、スポークセンサー2-4を介して接触パネル2-1に連結され、三者間はピンと雌ねじを組み合わせることで連結されている。スポークセンサー2-4によりリアルタイム推力値を取得することができる一方、ワイヤーを介して運動制御ボックス4?5に連結され、応力制御試験に制御信号を提供する。
【0026】
図5と
図6に示すように、ネジ昇降装置2ー10には、水平方向に沿って接触パネル2-1、載荷パネル2?2、スポークセンサー2-4、フランジ2-5、ネジ2-6、回転軸2-9、ストロークリミッター2-7、昇降機2-10が順次設けられている。接触パネル2-1は、断層運動を制御するためにシミュレーション断層に直接接触する。前記接触パネル2-1の片面と前記載荷パネル2-2との間はボルト2-8を介して連結され、他面はシミュレーション地震断層IV及び敷地被覆層IIにしっかり接触する。前記載荷パネル2-2と前記スポークセンサー2-4との間はピン2-3を介して連結され、前記スポークセンサー2-4と前記フランジ2-5との間はボルト2-8を介して連結され、スポークセンサー2-4の中心には雌ねじが設けられており、雌ねじは力の検知性能を有し、スポークセンサー2-4の力の測定能力を持たない周辺と載荷パネル2-2の対応位置に穴を開け、ピン2-3の取り付けが容易で、載荷パネル2-2とスポークセンサー2?4はそれぞれ雌ねじとピン2-3を介して連結された。ここで、ピンのセットはセンサーからフィードバックされた作動力がすべて雌ねじ接触によって負担されることを保証するために、せん断強度だけを提供し、引張強度を提供しない。フランジ2-5とスポークセンサー2-4の接触した片側に溝を開け、センサーを溝に入れる。スポークセンサー2-4の力の測定能力を持たない周辺とフランジ2-5の対応位置に穴をあけ、雌ねじを作り、それぞれボルトセットを介して連結する。フランジ2-5とネジ2-6は固着された全体であり、ネジ2-6と昇降機2-10の台座は統合したメカニズムであり、ネジ2-6は作動中に昇降動作のみが発生し、台座と連結するための長さが十分である。
【0027】
昇降機2-10の台座と直角減速機3-1、ステッピングモーター4-1は、回転軸2-9と連結部材を介して一つの全体に統合され、連結ディスク3-2とピン2-3を介して側板と裏板に固定されている。全体が装置の右側に位置し、空間利用効率を大幅に最適化する。ここで、前記昇降機2-10は前記回転軸2-9と前記ネジ2-6を動かして水平推力を発生させ、前記水平推力により前記接触パネル2-1に接触した前記シミュレーション地震断層IVまたは前記敷地被覆層IIを推し進める。前記ストロークリミッター2-7は、前記昇降機2-10においてかつ前記フランジ2-5に向かう表面に設けられ、昇降機2-10の水平運動に対して位置制限の役割を果たし、ストロークリミッター2-7がフランジ2-5に接触したとき、昇降機2-10の水平運動を停止する。例えば、スポークセンサー2-4においてかつステッピングモーター4-1に隣接する片側にフランジ2-5を設けて、フランジ2-5がストロークリミッター2-7に接触すると、ステッピングモーター4-1の電源を自動的に遮断し、水平運動を停止し、試験システムの安全性を確保する。
【0028】
具体的には、接触パネル2-1は全体の水平作動変位を一致させるようにし、載荷パネル2-2はピン2-3と雌ねじの組み合わせ形式を介してスポークセンサー2-4と連結し、雌ねじは垂直剛性を提供し、水平推力の比較的正確なフィードバックを実現する。ステッピングモーター4-1のパルス数と周波数を制御することで作動量と速さを制御し、正確な位置決めと速さ調節を実現する。直角減速機3-1は回転数を低減させることにより、低い速さにおいてネジ2-6の高い作動力を満足させることができる。スポークセンサー2-4の力フィードバックを結合することで水平作動システムIIIの作動状態を得ることができ、遠心機の主制御室で制御ボックス4-5を通じて作動速さを調節する。フランジ2-5の底部がストロークリミッター2-7に接触すると、制御ボックス4-5はステッピングモーター4-1を自動的に停止し、ネジ2-6の作動ストロークを正確に制御できるようにし、遠心機のアルミニウム合金モデルボックスI側板に接触しないようにする。
【0029】
底部支持台システムVは主に、アルミニウム製剛性支持台、鋼製弾性支持台、昇降機剛性ブラケットを含む。剛性支持台は試料を相対的に固定された高さに配置し、弾性支持台は試料のために移動空間を提供する。昇降機ブラケットは水平作動合力点位置を固定し、ネジ昇降機構の反力を接近させ、作動力を最大限に発揮する。すなわち、前記底部支持台システムVは、アルミニウム製剛性支持台、スチール製弾性支持台、昇降機ブラケットとモーター支持台を含み、前記剛性支持台によって前記シミュレーション地震断層IVにおける断層下盤を支持し、前記弾性支持台によって前記シミュレーション地震断層IVにおける断層上盤を支持し、前記昇降機ブラケットによって前記水平作動システムIII中におけるネジ昇降装置を支持し、前記モーター支持台によって前記水平作動システムIII中におけるステッピングモーターを支持する。底部支持台システムVの支持台、昇降機ブラケットはボルトを介して鋼板に連結され、後側は裏板に密着し、前側と有機ガラスパネル側にはプルロッドを取り付けるための隙間を空ける。底部支持台システムVは試験中の衝撃効果を低減することができる同時に、断層縦方向の空間位置を正確に調節することができる。
図5及び
図8に示すように、底部支持台システムVは、アルミニウム製剛性支持台5-1、鋼製弾性支持台5-2、緩衝ゴムパッド5-3、支持パッドブロック5-4、昇降機ブラケット5-5、モーター支持台5-6、底板5-7からなる。アルミニウム製剛性支持台5-1は断層下盤を支持することに使用され、鋼製弾性支持台5-2は断層上盤を支持しながら、上盤を一定範囲内で移動させることができる。剛性支持台5-1は水平作動装置を支持することに使用され、モーター支持台5-6は水平作動器の重さを支持することに使用される。具体的には、水平作動システムIIIの底部には、昇降機ブラケット5-5が設けられており、昇降機ブラケット5-5のネジロッド高さを調節することでその高さを変更し、さらに水平作動システムIIIを変更する。これに応じて、シミュレーション地震断層IVの下盤底部の剛性支持台5-1を調節することにより、その高さを水平作動システムIIIの高さと同等させ、シミュレーション地震断層IVの上盤底部には鋼製弾性支持台5-2が設けられており、それは適応的に上盤の高さと水平作動システムの高さを同等させることができる。
【0030】
敷地被覆層IIとシミュレーション地震断層IVエリアに、異なる材料、タイプの試料を装填することにより、多種の地質材料の破断、摩擦加振強度と破断モードを探検することができる。具体的には、敷地被覆層IIは、設計要件を満たす類似した岩土材料を用いて作製することができ、厚さ及び構成を制御することにより、異なる敷地をシミュレーションすることができる。シミュレーション地震断層IVは材質、傾斜角、動き、表面粗さなどが異なったブロックを用いて作製することができ、異なる活断層の正確なシミュレーションを実現した。モデルボックスIとシミュレーション地震断層IVの接触面にはゴムパッドを設置して減衰、フィルタリング効果が期待でき、試験過程における試料と装置の衝突振動を効果的に減少させ、それによって試験誤差を低減することができる。いくつかの例では、ゴムパッド層とボックス体の接触側に接着剤を使用し、試料の接触側にワセリンを塗布して摩擦を減らす。
【0031】
前記敷地被覆層IIには、前記敷地被覆層IIを水平方向に貫通したトンネルがそれぞれ設けられている。本実施例では、シミュレーション地震断層IVはセメントモルタルを用いて打設されたものであり、敷地被覆層IIはISO標準砂層を用いて敷地を充填し、その内に異なるタイプのトンネル構造があり、方向はすべて断層を通り抜ける方向である。
【0032】
全方向性立体監視システムは、ハイスピードカメラ、加速度トランスデューサ、土圧ボックス、変位センサー、スポークセンサー、ひずみゲージを含み、遠隔連結されたコンピュータをさらに含み、断層運動の過程、敷地の地震動及び工事構造の動力応答などの特性を正確に記録することができる。
図9に示すように、全方向性立体監視システムVIは、多種類のセンサー監視システムからなり、通常、レーザー変位計7ー1(及び変位計ブラケット7ー2)、加速度計7ー3、土圧ボックス7ー5、ひずみゲージ7ー6、ハイスピードカメラ7ー9を含む。前記レーザー変位計7ー1は、前記敷地被覆層IIの地表の水平変位及び垂直変位を監視するために、前記モデルボックスIの前記プルロッドシステムに設けられており、前記加速度計7ー3及び土圧ボックス7ー5は、前記砂層材料を監視するために、前記トンネル近傍の前記砂層材料内にそれぞれ設けられ、前記ひずみゲージ7ー6は、前記トンネルのボールトとボトム間のひずみの差を監視するために、前記トンネルのボールトとボトムに設けられ、前記ハイスピードカメラ7ー9は、前記遠心力載荷装置プラットフォームに設けられておりかつ前記モデルボックスの正面に向かう。レーザー変位計7ー1、加速度計7ー3、土圧ボックス7ー5、ひずみゲージ7ー6、ハイスピードカメラ7ー9はいずれもコンピュータ7ー11に遠隔連結された。
【0033】
図10に示すように、本実施例の方法は、具体的には、
前記水平作動システムの作動方向と作動速さを設定し、地震断層シミュレーションの実験過程において、前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形、前記敷地被覆層の地表変位、加速度及び土圧、前記水平作動システムの作動量及び作動力を監視するステップS101と、
地震断層シミュレーションの実験過程において、前記モデルボックスの正面に向かうハイスピードカメラによって前記シミュレーション地震断層と敷地被覆層の表面クラック破断画像及び敷地変形画像を取得するステップS102と、
前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形に基づいて、前記地震断層運動時における前記トンネルの変形特性を決定するステップS103と、
いくつかの例において、S103の後に、前記敷地被覆層の地表変位、加速度と土圧に基づいて、前記前記敷地被覆層において地震断層運動に誘発された振動の伝播変化曲線を決定するサブステップをさらに含む。該伝播変化曲線は、例えば、断層運動によるトンネルの両端の土圧増分曲線、断層運動によるトンネルの異なる分位(例えば、0.325と0.55)におけるせん断ひずみ曲線、異なる断層運動によるトンネルの異なる分位(例えば、0.23、0.37と0.46)における地表垂直方向変位の変化曲線など、地震断層運動に誘発された振動が前記敷地被覆層における伝播効果を反映している。
前記水平作動システムの作動量及び作動力に基づいたうえで、前記敷地被覆層の地表変位を結合して、前記水平作動システムの作動方向と作動速さを調節するステップS104と、
前記敷地被覆層の表面クラック破断画像及び敷地変形画像に基づいて、前記地震断層運動時における前記被覆層の敷地せん断帯の位置や、敷地せん断帯の形及びトンネルの断裂位置とクラック形態が得られるステップS105と、を含む。
【0034】
具体的には、前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形は、それぞれトンネルの両端に埋設された土圧ボックス及びトンネル表面に貼り付けられたひずみゲージによって取得される。前記土圧ボックスに観測されたトンネル端部の受けた力に基づいて、地震断層運動時におけるトンネルのリアルタイム応力状態が得られる。前記トンネル表面にフルブリッジ連結されたひずみゲージに基づいて、トンネル軸方向、環方向ひずみ及びせん断ひずみなどの局所的な変形を得て、さらにフックの法則を結合して、トンネル表面の応力が得られた。前記前記トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形を結合して、地震断層運動時における断層トンネルを跨る際の変形特性と破壊モードを明らかにする。
【0035】
前記敷地被覆層の地表変位、加速度及び土圧は、それぞれ最上部に設けられたレーザー変位計、敷地被覆層内部の加速度トランスデューサ及び土圧ボックスによって取得される。敷地被覆層の地表変位に基づいて、地震断層運動時における敷地変形特性が得られた。前記敷地被覆層の加速度に基づいて、地震断層運動による地震を誘発する時間上と空間上の分布規則、及び時間領域と周波数領域における分布特性を得て、それによって敷地における地震波の伝播効果を解明する。前記敷地被覆層の土圧に基づいて、地震断層運動下における土体の動力学的挙動を得た。
【0036】
前記水平作動システムの作動量と作動力は、それぞれレーザー変位計及びスポークセンサーによって取得される。前記水平作動システムの作動量と作動力に基づいて、水平作動器のリアルタイム作動状態を得ることができるだけでなく、同時に主制御室の水平作動システムのコントローラの入力信号として、設置された制御モードと結合して、ステッピングモーターのパルス数と周波数を調節し、それによって正確な地震断層運動制御を実現する。
【0037】
前記表面クラック画像と前記敷地変形画像は、モデルボックスの正面に設置されたハイスピードカメラによって取得される。前記表面クラック画像と前記敷地変形画像を解析することにより、地震断層運動時における被覆層の敷地せん断帯の位置や形、及びトンネルの断裂位置とクラック形態を得て、シミュレーション地震断層?敷地被覆層?トンネル間の複雑な結合相互作用の挙動を明らかにし、トンネル破壊モードの把握及び最適設計のために基礎を築く。
【0038】
以下、本実施例に基づいて、断層敷地近傍におけるトンネル構造の耐震性能研究試験を例とし、異なる断層運動モードにおいて、敷地の地震動応答及びトンネル構造との相互作用過程を探究する。本発明の具体的なフローは、
モデルボックスIを地面に置き、底部支持台システムVと水平作動システムIIIを順次モデルボックスI内に取り付けて、動作性能をテストするS1と、
作製した一定の傾斜角度を有する断層試験ブロックをシミュレーション地震断層IVに入れ、断層基盤岩の最上部(採集システム標高面7-7層0と記す)にそれぞれ穴を開け、加速度計7-3、土圧ボックス7-5を配置するS2と、
パネル1-7を取り付け、パネル1-7と断層試験ブロックの隙間をゴムフィルムで包み、センチメートルレベルレベルの水平作動を許容するS3と、
異なる材料、異なる設計方法を用いて2本のトンネル7-4を作製し、トンネル表面にフルブリッジひずみゲージを貼り付け、トンネルボールトとボトム間のひずみの差を測定するS4と、
標準砂を積層充填し、敷地被覆層IIは一定の深さ(
図9のように、採集システム標高面7-7層1、層2と記す)に達し、敷地被覆層II内の同じ深さと相対位置にひずみゲージを貼り付けたトンネルモデルを配置し、走行方向は断層を通り抜け、同じ敷地と断層運動状態において水平作動載荷を実現するS5と、
同時に、採集システム標高面7-7層1、採集システム標高面7-7層2に加速度計7-3、土圧ボックス7-5をそれぞれ配置し、このときは、まずトンネル7-4構造の両端を剛性封止し、瞬間接着剤を用いてセンサーをトンネル7-4の両端部に貼り付けるS6と、
標準砂を積層充填し、敷地被覆層IIは地表標高設計値(採集システム標高面7-7層3と記す)に達し、加速度計7-3、土圧ボックス7-5を各一つ配置するS7と、
反力ボルト1-6によって各ネジプルロッド1-3を締め付け、モデルボックスIを密封し、吊り上げ板1-4上の吊り上げ孔1-5とクレーンのつり具を連結し、モデルボックスIを片側から遠心機のアルミニウム合金モデルボックスに入れるS8と、
遠心機のモデルボックスにレーザー変位計7-1を取り付け、縦方向と横方向の変位を監視し、遠心機のモデルボックスを遠心機の振動台平面7-10につり上げる。カスタマイズしたカメラホルダ7-8を取り付け、ハイスピード7-9を固定し、高出力ストリップライトを取り付けて光源を提供するS9と、
図11の原理に従って、すべてのセンサー(
図8)、データコレクターと制御装置及び作動制御ボックス4-5を連結、試験する。具体的には、遠心機室では、水平作動システム中の断層作動器が電気油圧式サーボ弁に連結された後、増幅器に入って信号を増幅した後、データコレクターに収集されたデータとともに集電リングに入り、集電リングから主制御室の制御キャビネットに伝達されるS10と、
遠心機静的、動的採取システム、制御ボックス4-5、遠心力載荷装置を起動し、遠心機の回転数が予め設定された値に到達する過程における曲線が正常であるかを観察するS11と、
試験案に従って試験を開始し、主制御室で制御ボックス4-5によって作動方向と作動速さを変更し、リアルタイムの敷地被覆層IIの異なる標高の加速度、異なる材料のトンネルの端部の受た力、局所的な変形、地表変位、作動量と作動力を得て、パネルを通じて表面クラック破断と敷地変形状態を監視するS12と、
試験が終わる。遠心機の使用要求に従って遠心機ドラッグ装置、オイルポンプと電源スイッチを順次オフにし、装置の作動器と採取システムをオフにし、多数の情報源による監視データと連続画像を導出するS13と、
モデルボックスIを2段階に分けて遠心機と大型モデルボックスから引き上げ、ネジプルロッド1-3を取り外し、敷地被覆層II中における2種類のトンネル7-4の破壊状態をその場で写真記録し、断口形態に対して3Dスキャン分析を行うS14と、
材料とセンサーをすべて除去する。試験目的に応じて地震断層IVと敷地被覆層IIの材料をシミュレーションし、結合構造の動力応答試験を行うかどうかを決定し、試験案に従ってS2~S14を繰り返すことができるS15と、を含む。
【0039】
上記実験により、
図12に示すような異なる断層運動速さにおけるトンネル両端の土圧増分グラフを得ることができ、図中のTY-1とTY-2はそれぞれ2つのトンネルのうち1つの非剛性トンネルの土圧曲線を示し、TY-3は別の剛性トンネルの土圧曲線を示す。
図13aと
図13bに示すように、ハイスピードカメラによって収集された画像データは断層運動による敷地階層変形効果と敷地せん断帯反転画像を示し、その中で
図13aは断層運動画像の下のおける黒砂の下移動を示し、
図13bは断層断層運動による影響エリアとせん断帯反転画像を示す。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、必要に応じて、実施例の態様を修正して、様々な特許、出願、および出版物の態様、特徴、および構想を用いてさらなる実施例を提供することができることを理解すべきである。
【0041】
上述の詳細な説明を考慮すると、実施形態に対してこれらおよび他の変更を行うことができる。一般的に、請求項において、使用される用語は、明細書および請求項に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、可能なすべての実施形態を、これらの請求項によって享受されるすべての同等の範囲とともに含むものとして理解されるべきである。
【要約】 (修正有)
【課題】遠心力載荷装置プラットフォームに基づく地震断層シミュレーションの実験方法を提供し、地震災害シミュレーションの技術分野に関する。
【解決手段】地震断層シミュレーションの実験過程において、トンネルの端部の受けた力及び局所的な変形、敷地被覆層の地表変位、加速度及び土圧、水平作動システムの作動量及び作動力を監視する。遠心力載荷装置プラットフォームを用いて重力環境をシミュレーションし、岩石土壌体の真の応力状態を正確に還元させると同時に、シミュレーション地震断層と敷地被覆層中におけるトンネルの端部の受けた力及び局所的な変形、表面クラック破断画像と敷地変形画像、及び水平作動システムの作動量と作動力を取得し、それによって活断層破断による地震発生全過程及び地震の敷地内の伝播効果をシミュレーションし、断層を跨る状況下における工事構造の動力応答特性シミュレーション実験を実現することができる。
【選択図】
図10