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特許7565693通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信システム、通信制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/566 20230101AFI20241004BHJP
   H04W 72/542 20230101ALI20241004BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241004BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
H04W72/566
H04W72/542
H04W72/0457
H04W4/44
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020026520
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021132300
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 優
(72)【発明者】
【氏名】玉那覇 隆介
(72)【発明者】
【氏名】大井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】飯島 賢大
(72)【発明者】
【氏名】今井 直子
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-134196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される一以上の車載機器から、前記車両に係る車両情報であって、前記車両の外部の外部装置に送信される車両情報を取得する取得部と、
少なくとも前記取得部によって取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の第1通信優先度を決定する決定部と、
通信部に、前記決定部により決定された前記第1通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させる開始制御部と、
前記通信部に、前記無線基地局から受信した第2通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させる優先度通信制御部と、
を備え、
前記第1通信優先度よりも前記第2通信優先度が低く、
前記開始制御部は、前記車両情報を含む送信データが前記第1通信優先度によって送信されることを前記無線基地局が受け入れなかった場合、前記車両情報を含む送信データを前記通信部に送信させるのをキャンセルし、所定時間後に、前記通信部に、前記第1通信優先度を示す情報を前記無線基地局に対して送信させる、
通信制御装置。
【請求項2】
車両に搭載される一以上の車載機器から、前記車両に係る車両情報であって、前記車両の外部の外部装置に送信される車両情報を取得する取得部と、
少なくとも前記取得部によって取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の第1通信優先度を決定する決定部と、
通信部に、前記決定部により決定された前記第1通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させる開始制御部と、
前記通信部に、前記無線基地局から受信した第2通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させる優先度通信制御部と、
を備え、
前記第1通信優先度よりも前記第2通信優先度が低く、
前記取得部は、前記無線基地局の通信品質測定部によって測定された移動体通信網の通信品質を示す情報を取得し、
前記開始制御部は、前記車両情報を含む送信データが前記第1通信優先度によって送信されることを前記無線基地局が受け入れなかった場合、前記車両情報を含む送信データを前記通信部に送信させるのをキャンセルし、前記取得部により取得される通信品質を示す情報に基づいて通信品質が改善したのを確認した後に、前記通信部に、前記第1通信優先度を示す情報を前記無線基地局に対して送信させる、
通信制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記車両の走行状態であるステータス情報に基づいて、前記第1通信優先度を決定する、
請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第1通信優先度として前記無線基地局と通信する通信帯域を決定する、
請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記無線基地局は、前記第2通信優先度として前記通信部と通信する通信帯域を割り当て、
前記通信部は、前記無線基地局によって割り当てられた前記通信帯域によって前記外部装置と前記車両情報について通信する、
請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記第2通信優先度は、前記無線基地局が中継する無線通信のチャネルに係るQoS(Quality of Service)の優先度である、
請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の通信制御装置と、
前記無線基地局と
を備える通信システム。
【請求項8】
通信部を備えるコンピュータが、
車両に搭載される一以上の車載機器から、前記車両に係る車両情報であって、前記車両の外部の外部装置に送信される車両情報を取得し、
少なくとも前記取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の第1通信優先度を決定し、
前記通信部に、前記決定された前記第1通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させ、
前記通信部に、前記無線基地局から受信した第2通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させ、
前記第1通信優先度よりも前記第2通信優先度が低く、
前記車両情報を含む送信データが前記第1通信優先度によって送信されることを前記無線基地局が受け入れなかった場合、前記車両情報を含む送信データを前記通信部に送信させるのをキャンセルし、所定時間後に、前記通信部に、前記第1通信優先度を示す情報を前記無線基地局に対して送信させる、
通信制御方法。
【請求項9】
通信部を備えるコンピュータに、
車両に搭載される一以上の車載機器から、前記車両に係る車両情報であって、前記車両の外部の外部装置に送信される車両情報を取得することと、
少なくとも前記取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の第1通信優先度を決定することと、
前記通信部に、前記決定された前記第1通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させることと、
前記通信部に、前記無線基地局から受信した第2通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させることと、
前記第1通信優先度よりも前記第2通信優先度が低く、
前記車両情報を含む送信データが前記第1通信優先度によって送信されることを前記無線基地局が受け入れなかった場合、前記車両情報を含む送信データを前記通信部に送信させるのをキャンセルし、所定時間後に、前記通信部に、前記第1通信優先度を示す情報を前記無線基地局に対して送信させることと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
通信部を備えるコンピュータが、
車両に搭載される一以上の車載機器から、前記車両に係る車両情報であって、前記車両の外部の外部装置に送信される車両情報を取得し、
少なくとも前記取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の第1通信優先度を決定し、
前記通信部に、前記決定された前記第1通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させ、
前記通信部に、前記無線基地局から受信した第2通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させ、
前記第1通信優先度よりも前記第2通信優先度が低く、
前記無線基地局の通信品質測定部によって測定された移動体通信網の通信品質を示す情報を取得し、
前記車両情報を含む送信データが前記第1通信優先度によって送信されることを前記無線基地局が受け入れなかった場合、前記車両情報を含む送信データを前記通信部に送信させるのをキャンセルし、取得される通信品質を示す情報に基づいて通信品質が改善したのを確認した後に、前記通信部に、前記第1通信優先度を示す情報を前記無線基地局に対して送信させる、
通信制御方法。
【請求項11】
通信部を備えるコンピュータに、
車両に搭載される一以上の車載機器から、前記車両に係る車両情報であって、前記車両の外部の外部装置に送信される車両情報を取得することと、
少なくとも前記取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の第1通信優先度を決定することと、
前記通信部に、前記決定された前記第1通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させることと、
前記通信部に、前記無線基地局から受信した第2通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させることと、
前記第1通信優先度よりも前記第2通信優先度が低く、
前記無線基地局の通信品質測定部によって測定された移動体通信網の通信品質を示す情報を取得することと、
前記車両情報を含む送信データが前記第1通信優先度によって送信されることを前記無線基地局が受け入れなかった場合、前記車両情報を含む送信データを前記通信部に送信させるのをキャンセルし、取得される通信品質を示す情報に基づいて通信品質が改善したのを確認した後に、前記通信部に、前記第1通信優先度を示す情報を前記無線基地局に対して送信させることと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信装置、通信システム、無線基地局、通信制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテンツを再生している端末装置の通信を優先的に行わせる通信システムに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、端末装置において実行されているアプリケーションに係る通信について、アプリケーションの種類に応じて通信帯域を決定する通信システムに関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、異なるネットワークを接続する中継器が、端末装置から要求された優先度によって通信を中継する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-120997号公報
【文献】特開2017-98962号公報
【文献】特開2011-142385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、車両を自動的に制御することについて研究が進められている。車両を自動的に制御するには、車両の制御に係る大容量の情報を、高速、且つ低遅延の通信によって優先的あるいは信頼性を向上させて送受信することが求められる。しかしながら、従来の技術では、車両に係る情報を、信頼性を担保しつつ、優先的に通信することが困難であった。
【0005】
本発明の態様は、このような事情を考慮してなされたものであり、車両に係る情報を、信頼性を担保しつつ、優先的に通信することができる通信制御装置、通信装置、通信システム、無線基地局、通信制御方法、及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る通信制御装置、通信装置、通信システム、無線基地局、通信制御方法、及びプログラムは、以下の構成を採用した。
(1)この発明の一態様の通信制御装置は、車両に搭載される一以上の車載機器から前記車両に係る情報であって、前記車両外部の外部装置に送信される車両情報を取得する取得部と、少なくとも前記取得部によって取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の通信優先度を決定する決定部と、通信部に、前記決定部により決定された前記通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させる開始制御部と、前記通信部に、前記無線基地局から受信した通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させる優先度通信制御部と、を備えるものである。
【0007】
(2)この発明の他の態様の通信装置は、第1の態様に係る通信制御装置と、前記通信部と、を備える通信装置であって、前記通信部は、前記無線基地局から受信した通信優先度によって、前記無線基地局と前記車両情報について通信するものである。
【0008】
(3)の態様は、上記(2)の態様に係る通信装置において、前記決定部は、前記車両の走行状態であるステータス情報に基づいて、前記通信優先度を決定するものである。
【0009】
(4)の態様は、上記(2)または(3)の態様に係る通信装置において、前記決定部は、前記車両情報の前記通信優先度として前記無線基地局と通信する通信帯域を決定するものである。
【0010】
(5)の態様は、上記(3)又は(4)の態様に係る通信装置において、前記無線基地局は、前記通信優先度として前記通信部と通信する通信帯域を割り当て、前記通信部は、前記無線基地局によって割り当てられた前記通信帯域によって前記外部装置と前記車両情報について通信するものである。
【0011】
(6)の態様は、上記(3)から(5)のいずれかの態様に係る通信装置において、前記通信優先度は、前記無線基地局が中継する無線通信のチャネルに係るQoS(Quality of Service)の優先度であるものである。
【0012】
(7)この発明の他の態様の通信システムは、第2から第6の何れかの態様に係る通信装置と、前記無線基地局とを備えるものである。
【0013】
(8)この発明の他の態様の無線基地局は、車両に搭載される一以上の車載機器から前記車両に係る車両情報に基づいて決定された通信優先度であって、前記車両と外部装置との間において前記車両情報に係る通信の前記通信優先度を示す情報と、前記車両情報とを含めた情報と、無線通信の通信品質を示す情報とに基づいて、前記車両と前記外部装置とを通信させる通信制御部、を備えるものである。
【0014】
(9)の態様は、上記(8)の態様に係る無線基地局が、前記車両情報の種別に応じて、前記車両において決定された前記通信優先度を示す情報を前記車両から受信し、受信した前記通信優先度に対する応答を前記車両に送信する通信部を更に備え、前記通信部は、前記通信優先度を示す情報と、前記通信品質を示す情報とに基づいて、通信優先度を更に決定し、決定した通信優先度を、前記応答として前記車両に送信し、前記車両と、前記外部装置との間の通信を、更に決定した通信優先度によって前記車両情報を前記車両から受信するものである。
【0015】
(10)の態様は、上記(8)または(9)の態様に係る無線基地局において、前記車両情報は、前記車両に搭載され、前記車両の状態を検出する検出部の検出結果を示す情報であるものである。
【0016】
(11)この発明の他の態様の通信制御方法は、通信部を備えるコンピュータが、車両に搭載される一以上の車載機器から前記車両に係る情報であって、前記車両外部の外部装置に送信される車両情報を取得し、取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の通信優先度を前記車両情報毎に決定し、前記通信部に、決定された前記通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信し、前記通信部に、前記無線基地局から受信した通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信するものである。
【0017】
(12)この発明の他の態様のプログラムは、通信部を備えるコンピュータに、車両に搭載される一以上の車載機器から前記車両に係る情報であって、前記車両外部の外部装置に送信される車両情報を取得させ、取得された前記車両情報に基づいて、前記車両情報の通信優先度を前記車両情報毎に決定させ、前記通信部に、決定された前記通信優先度を示す情報を、前記外部装置との通信のためにアクセスする無線基地局に対して送信させ、前記通信部に、前記無線基地局から受信した通信優先度によって前記無線基地局と前記車両情報を通信させるものである。
【発明の効果】
【0018】
(1)~(10)の態様によれば、車両に係る情報を、信頼性を担保しつつ、優先的に通信することができる。
【0019】
(3)の態様によれば、車両の状況に応じて優先的に通信することができる。
【0020】
(5)の態様によれば、車両に係る情報を帯域保証のある帯域によって通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態の通信装置を備えた車両を含む通信システムの一例を示す図である。
図2】実施形態の無線基地局10の構成図である。
図3】参照情報52の内容の一例を示す図である。
図4】経路情報54の内容の一例を示す図である。
図5】実施形態の通信装置100を含む車両Mの構成図である。
図6】対応情報262の内容の一例を示す図である。
図7】実施形態における通信システム1により実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】第1決定部32が通信帯域を決定する場合に用いられる参照情報52aの内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の通信制御装置、通信装置、通信システム、無線基地局、通信制御方法、及びプログラムの実施形態について説明する。以下では、通信装置が搭載された車両を含む通信システムについて説明するものとする。車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0023】
<実施形態>
図1は、実施形態の通信装置を備えた車両を含む通信システムの一例を示す図である。通信システム1は、例えば、一以上の無線基地局10と、車両Mに搭載された通信装置100とを備える。以下、通信システム1が無線基地局10-1~10-4の4つの基地局を備える場合について説明する。符号の末尾のハイフン以下数字は、無線基地局10、及び当該無線基地局10に係る構成を区別するための識別子であるものとする。何れの無線基地局10であるか、又は何れの無線基地局10に係る構成であるかを区別しない場合、符号の末尾のハイフン以下数字を省略する。
【0024】
無線基地局10は、無線通信により所定の通信範囲Aに存在する車両Mや、その他の通信端末装置と通信を行う。所定の通信範囲Aは、例えば、通信規格等により設定され、無線基地局10を中心として数百[m]~数キロ[m]程度の範囲である。無線基地局10が通信範囲Aにおいて提供する通信網は、例えば、セルラー網である。セルラー網は、例えば、第三世代移動体通信網(3G)、第四世代移動体通信網(以下、4G、Long term evolution:LTE(登録商標))、または第五世代移動体通信網(以下、5G)等である。以下、無線基地局10が通信範囲Aにおいて提供する通信網が、4Gと5Gとの2種類の移動体通信網であるものとする。
【0025】
なお、無線基地局10は、有線接続によって複数のアクセスポイントと接続され、各アクセスポイントが実現する通信範囲(不図示)を統合して通信範囲Aを実現してもよい。
【0026】
また、各無線基地局10は、有線接続によってネットワーク(以下、コアネットワークcNW)を介して通信可能に接続される。コアネットワークcNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線等を含む。
【0027】
通信装置100は、通信対象の外部装置TAと車両情報に係る通信の通信優先度を決定し、決定した通信優先度によって外部装置TAと通信することを無線基地局10に要求する。通信装置100は、無線基地局10によって要求した通信優先度による外部装置TAとの通信が受け入れられた場合、当該通信優先度によって外部装置TAと車両情報に係る通信を行う。例えば、外部装置TAは、通信装置100から車両情報を取得して車両Mへ情報を送信するアプリケーションサーバである。具体的には、外部装置TAは、一以上の車両Mから車両情報を受信して、車両Mの走行支援に関する情報を生成し車両Mへ送信する運転支援システムを構成する装置である。外部装置TAは、有線接続によってコアネットワークcNWに接続されている。また、外部装置TAは、車両Mの外部に設けられる。
【0028】
車両情報は、例えば、車両Mに搭載された各種車両センサの検出結果や、車両Mに搭載されたカメラが車両Mの周囲環境を撮像し生成した画像データや、車両Mに搭載されたコンテンツ再生装置等において再生されるコンテンツ情報、車両Mの乗員の状態に関する情報(特に生体情報)等である。なお、これらの車両情報は、一例であって、これに限られない。各種車両センサは、「車両の状態を検出する検出部」の一例である。
【0029】
次に、無線基地局10の構成と、通信装置100が搭載された車両Mの構成とについて具体的に説明する。
【0030】
[無線基地局]
図2は、実施形態の無線基地局10の構成図である。無線基地局10は、例えばeNodeBやgNodeBなどの通信事業者が提供する無線通信基地局である。無線基地局10は、例えば、第1通信部20と、通信品質測定部30と、第1決定部32と、第1通信制御部34と、記憶部50とを備える。なお、これらの機能部を全て無線基地局10が備える構成に限られず、これらの一部、又は全部(第1通信部20を除く)は、無線基地局10を管理する装置(不図示)が備えていてもよい。
【0031】
第1決定部32と第1通信制御部34とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部50に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部50にインストールされてもよい。
【0032】
記憶部50は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部50には、例えば、参照情報52と、経路情報54と、プロセッサによって読み出されて実行されるプログラム、その他各種情報等が格納される。
【0033】
図3は、参照情報52の内容の一例を示す図である。参照情報52は、第1決定部32が、送信データの通信優先度を決定する際に用いられる情報である。参照情報52は、例えば、送信データの送信元の送信元機器を識別可能な識別情報と、送信元機器の種別を示す情報と、送信元機器が送信する送信データの種別を示す情報と、送信データの通信優先度を示す情報とが互いに対応付けられた情報である。送信元機器を識別可能な識別情報は、例えば、無線基地局10が提供する無線通信を利用する際に用いられるSIM(Subscriber Identity Module)カードに記録される識別情報である。参照情報52は、例えば、通信システム1を提供する事業者によって予め定められている。
【0034】
図3において、送信元機器の種別とは、例えば、車両Mや車両Mに搭載される車載機器や通信装置100、スマートフォン、ゲーム機器等である。送信元機器が車両Mや車両Mに搭載される車載機器や通信装置100である場合、送信元機器が送信する送信データとは、例えば、車両情報である。送信元機器がスマートフォンである場合、送信元機器が送信する送信データとは、例えば、通話の音声を示す通話情報やスマートフォンにおいて再生されるコンテンツ情報である。送信元機器がゲーム機器である場合、送信元機器が送信する送信データとは、例えば、ゲームに用いられる各種データ等のゲーム情報である。
【0035】
また、図3において、送信データにはそれぞれ通信優先度が対応付けられている。通信優先度は、例えば、無線通信のチャネルに係るQoS(Quality of Service)において用いられる通信優先度であって、MAC(Media Access Control)フレームのVLAN(Virtual LAN)タグ内の3ビットのデータによって表されるCoS(Class of Service)や、ISL(Inter-Switch Link)ヘッダ内の「ユーザ定義」フィールドの下位3ビットの情報を使用して8段階によって表されるISL方式のCoSや、IP(Internet Protocol)ヘッダ内の「ToS(Type of Service)」フィールドの3ビットの情報(IP Precedence)を使用して8段階によって表されるToSや、IPヘッダ内の「ToS」フィールドを「DS(DiffServ)」フィールドとして再定義した際の、6ビットの情報を使用し、64段階によって表されるDSCP(DiffServ Code Point)等によって実現される。
【0036】
以降の説明では、通信優先度が「1」~「9」の値によって示されるものとする。通信優先度の値が大きいほど、他の通信に比して優先的に通信が行われる。例えば、車両Mの制御に用いられる車両情報には、他の車両情報に比して、高い通信優先度(この場合「8」)が対応付けられ、車両Mの制御には用いられないものの、コンテンツ情報ではない車両情報には、車両Mの制御に用いられる車両情報に比して低く、且つコンテンツ情報よりは高い通信優先度(この場合「6」)が対応付けられ、車両情報のうちコンテンツ情報には、他の車両情報に比して低い通信優先度が(この場合「3」)が対応付けられる。
【0037】
また、通話情報には、通信優先度「8」が対応付けられ、スマートフォンにおいて再生されるコンテンツ情報には、通信優先度「4」が対応付けられ、ゲーム情報には、通信優先度「2」が対応付けられる。なお、これらの通信優先度は一例であって、これに限られない。
【0038】
図4は、経路情報54の内容の一例を示す図である。経路情報54は、無線基地局10が複数の移動体通信網の通信が選択可能な場合において、第1決定部32が、無線基地局10が通信範囲Aにおいて提供する移動体通信網のうち、いずれの移動体通信網によって送信データを通信させるかを決定する際に用いられる情報である。経路情報54は、例えば、無線基地局10が提供する移動体通信網を示す情報と、通信優先度を示す情報とが互いに対応付けられた情報である。
【0039】
図4に示す経路情報54に基づいて、無線基地局10は、4Gの移動体通信網において、「1」~「4」の通信優先度が対応付けられた送信データに係る通信を行わせる。また、無線基地局10は、4Gの移動体通信網のうち、帯域幅が狭い通信帯域では、「1」~「2」の通信優先度が対応付けられた送信データに係る通信を行わせ、帯域幅が広い通信帯域では、「3」~「4」の通信優先度が対応付けられた送信データに係る通信を行わせる。無線基地局10は、5Gの移動体通信網において、「5」~「8」の通信優先度が対応付けられた送信データに係る通信を行わせる。また、無線基地局10は、5Gの移動体通信網のうち、帯域幅が広い通信帯域では、「5」~「6」の通信優先度が対応付けられた送信データに係る通信を行わせ、帯域幅が狭い通信帯域では、「7」~「8」の通信優先度が対応付けられた送信データに係る通信を行わせる。
【0040】
なお、図4の経路情報54では、各移動体通信網に割り当てられる通信優先度が一意に定められている場合について説明したが、これに限られない。各移動体通信網に割り当てられる通信優先度は、例えば、閾値等によって範囲が定められるものであってもよい。また、経路情報54は、無線基地局10毎に異なる情報であってもよい。
【0041】
図2に戻り、第1通信部20は、第1通信制御部34の制御に基づいて、無線基地局10のアンテナANTを介して通信範囲A内に存在する車両Mや通信端末装置と無線通信を行う。
【0042】
通信品質測定部30は、無線基地局10が通信範囲Aにおいて提供する移動体通信網のそれぞれの通信品質を取得する。通信品質には、例えば、通信のレイテンシに関する情報が含まれる。レイテンシとは、データ通信における指標の一つである。レイテンシには、例えば、通信の遅延時間が含まれる。また、通信品質は、スループット、通信速度、トラフィック量、帯域使用率、エラーパケットの数、ロスしたパケットの数等であってもよい。
【0043】
第1決定部32は、送信元機器が送信した送信データと、参照情報52と、通信品質測定部30によって測定された各移動体通信網の通信品質を示す情報とに基づいて、送信データに付される通信優先度を決定する。そして、第1決定部32は、決定した通信優先度と、経路情報54とに基づいて、当該送信データに係る通信を4G、又は5Gの移動体通信網のうち、いずれの移動体通信網によって行わせるかを決定する。
【0044】
ここで、後述する通信装置100は、参照情報52において予め定められた通信優先度とは異なる通信優先度によって、外部装置TAと送信データについて通信することを無線基地局10に要求する場合がある。異なる通信優先度とは、例えば、参照情報52において予め定められた当該送信データに係る通信優先度よりも高い通信優先度である。第1決定部32は、通信品質測定部30によって測定された各移動体通信網の通信品質を示す情報に基づいて、通信装置100が要求する通信優先度によって、送信データについて通信を行った場合に、他の通信に影響を及ぼさない場合には、第2通信部110の要求に応じた通信優先度によって送信データについて通信を行うと決定し、他の通信に影響を及ぼす場合には、参照情報52において予め定められた通信優先度によって送信データについて通信を行うと決定する。
【0045】
他の通信に影響を及ぼさないことには、例えば、当該送信データについて通信装置100と外部装置TAとが通信を行う場合に、レイテンシ、スループット、トラフィック量、帯域使用率、エラーパケットの数、ロスしたパケットの数等が所定の閾値以下であることや、通信速度等が所定の閾値以上であることが含まれる。他の通信に影響を及ぼすことには、例えば、当該送信データについて通信装置100と外部装置TAとが通信を行う場合に、レイテンシ、トラフィック量、エラーパケットの数、帯域使用率等が所定の閾値より大きいことや、通信速度等が所定の閾値未満であることが含まれる。
【0046】
なお、レイテンシ、スループット、通信速度、トラフィック量、帯域使用率、エラーパケットの数、ロスしたパケットの数等には、それぞれ、所定の閾値が設定されており、第1決定部32は、通信品質測定部30の測定結果と、それぞれの所定の閾値とを比較して、他の通信に影響を及ぼすか否かを判定してもよい。この場合、第1決定部32は、通信品質測定部30の測定結果のうち、レイテンシ、スループット、通信速度、トラフィック量、帯域使用率、エラーパケットの数、ロスしたパケットの数の、いずれか一つについて他の通信に影響を及ぼすと判定した場合に、参照情報52において予め定められた通信優先度によって送信データについて通信を行うと決定してもよく、これらのうち、所定の数以上の測定結果について他の通信に影響を及ぼすと判定した場合に、参照情報52において予め定められた通信優先度によって送信データについて通信を行うと決定してもよい。
【0047】
また、第1決定部32は、通信品質測定部30の測定結果であるレイテンシ、スループット、通信速度、トラフィック量、帯域使用率、エラーパケットの数、ロスしたパケットの数のうち、予め定められた組合せ(例えば、スループットとエラーパケットの数等)について、他の通信に影響を及ぼすと判定した場合に、参照情報52において予め定められた通信優先度によって送信データについて通信を行うと決定してもよい。
【0048】
第1通信制御部34は、4G、又は5Gの移動体通信網のうち、第1決定部32の決定に基づく移動体通信網を用いた通信によって送信元機器が送信した送信データに係る通信を第1通信部20に行わせる。具体的には、第1通信制御部34は、第1決定部32の決定に基づく移動体通信網を用いた通信で、且つ第1決定部32の決定に基づく通信優先度に基づくQoSの優先制御を行い、送信元機器と対象機器とを通信させることを示す決定結果を含めた情報を、送信元機器に送信する。そして、第1通信制御部34は、送信元機器が無線基地局10の応答に応じて送信データに付した通信優先度に基づいて、通信優先度が高い送信データは、通信優先度が低い送信データよりも絶対的に優先される絶対優先方式や、それぞれの通信優先度に設定されている送信データ数の比率又は最大送信データ数に従って送信データを送信する重み付きラウンドロビン方式や、それぞれの通信優先度に設定されている最大送信遅延時間に従って送信データを送信する遅延保証ラウンドロビン方式や、それぞれの通信優先度に基づくシェービング等によって送信データに係る通信を第1通信部20に行わせる。
【0049】
第1通信制御部34は、車両Mと外部装置TAとの通信における、車両Mの通信装置100と、無線基地局10との間の通信について、第1決定部32が決定した通信優先度によって通信するように指示する。例えば、図1に示す場合、無線基地局10-1の通信範囲A-1内には、車両M(通信装置100)が存在し、無線基地局10-1が優先接続されるコアネットワークcNWには、外部装置TAが接続される。このため、無線基地局10-1の第1通信制御部34は、無線基地局10-1に対して、第1決定部32が決定した通信優先度によって送信データに係る通信を行うように要求し、無線基地局10-1は、要求された通信優先度によって送信データを送信するか否かを決定する。
【0050】
なお、第1通信制御部34は、車両Mから外部装置TAまでの通信経路のうち、少なくとも一部において、第1決定部32が決定した通信優先度によって送信データに係る通信を要求するものであってもよい。例えば、無線基地局10-1の第1通信制御部34は、コアネットワークcNWの通信を中継する中継装置に対して、第1決定部32が決定した通信優先度によって送信データに係る通信を行うように要求してもよい。この場合、中継装置は、中継先の外部装置TA、又は無線基地局10とのコアネットワークcNWにおける通信について、第1通信制御部34から要求された通信優先度によって通信するか否かを決定する。
【0051】
[車載装置]
次に、通信装置100を含む車両Mについて説明する。図5は、実施形態の通信装置100を含む車両Mの構成図である。図5の例では、主に実施形態の通信システム1で実行される処理で用いられる車両Mの構成部分を中心として説明する。車両Mは、例えば、通信装置100と、車載装置200と、記憶部260とを備える。
【0052】
車載装置200は、例えば、車両センサ210と、駆動制御装置220と、運転制御装置230と、ナビゲーション装置240とを備える。車両センサ210と、駆動制御装置220と、運転制御装置230と、ナビゲーション装置240とは、「車載機器」の一例である。
【0053】
車両センサ210は、例えば、アクセル開度センサ、車速センサ、ブレーキ踏量センサ等を含む。アクセル開度センサは、車両Mの運転者による加速指示を受け付けるアクセルペダル(操作子の一例)に取り付けられ、アクセルペダルの操作量を検出し、アクセル開度として駆動制御装置220に出力する。車速センサは、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機とを備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して車両Mの速度(車速)を導出し、導出した車速を駆動制御装置220に出力する。ブレーキ踏量センサは、運転者による減速または停止指示を受け付けるブレーキペダル(操作子の一例)に取り付けられ、ブレーキペダルの操作量を検出し、ブレーキ踏量として駆動制御装置220に出力する。
【0054】
また、車両センサ210は、車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0055】
また、車両センサ210は、例えば、カメラやレーダ装置、LIDAR(Light Detection and Ranging)、物体認識装置等を含んでいてもよい。これらは、車両Mの周辺情報を検出するための構成要素である。カメラは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラは、ステレオカメラであってもよい。カメラは、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラは、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラは、例えば、周期的に繰り返し車両Mの周辺を撮像する。
【0056】
レーダ装置は、車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、周辺の物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置は、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置は、例えば、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0057】
LIDARは、車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDARは、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDARは、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0058】
物体認識装置は、上述したカメラ、レーダ装置、およびLIDARのうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、車両Mの周辺の物体の位置、種類、速度等を認識する。物体認識装置は、認識結果を運転制御装置230に出力する。また、物体認識装置は、カメラ、レーダ装置、およびLIDARの検出結果をそのまま運転制御装置230に出力してよい。この場合、車両Mから物体認識装置が省略されてよい。
【0059】
駆動制御装置220は、車両Mに駆動力等を与えて車両Mを走行させるための装置である。駆動制御装置220は、例えば、車両Mが走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する走行駆動力出力装置と、所定の制動操作に応じたブレーキトルクを各車輪に出力させるブレーキ装置と、転舵輪の向きを変更させるステアリング装置とを含む。
【0060】
走行駆動力出力装置は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。運転制御装置230から入力される情報、或いは運転操作子(ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル等)から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。ブレーキ装置は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、運転制御装置230から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置は、運転操作子に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置は、上記説明した構成に限らず、運転制御装置230から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0061】
ステアリング装置は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、運転制御装置230から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0062】
運転制御装置230は、例えば、車両Mの自動運転(自律運転)制御や運転支援制御等を行う。自動運転制御とは、例えば、車両Mの乗員による運転操作に依らずに、車両Mの操舵または速度のうち一方または双方を制御することである。また、運転支援制御は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control System)やLKAS(Lane Keeping Assistance System)、CMBS(Collision Mitigation Brake System)等の乗員の運転操作を支援する運転制御である。例えば、運転制御装置230は、車両センサ210により検出された車両Mの周辺状況や、車両Mの挙動、乗員からの制御指示に対応する運転制御内容を生成し、生成した運転制御内容を駆動制御装置220に出力して各装置を駆動させる。ここで、運転制御装置230は、外部装置TAから指令に基づいて自動運転制御や運転支援制御等実行してもよく、外部装置TAから取得した情報を参照して自動運転制御や運転支援制御等を実行してもよい。
【0063】
ナビゲーション装置240は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機と、ナビHMI(Human Machine Interface)と、経路決定部とを備える。ナビゲーション装置240は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に地図情報を保持している。GNSS受信機は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、車両Mの位置を特定する。車両Mの位置は、車両Mに搭載された車両センサ210の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ここで、ナビゲーション装置240は、外部装置TAから指令に基づいて実行してもよく、外部装置TAから取得した情報を参照して実行してもよい。
【0064】
ナビHMIは、ディスプレイ、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。ナビHMIは、画像や音声等を用いて乗員に目的地等を設定させたり、目的地までの走行経路を乗員に案内したりする。経路決定部は、例えば、GNSS受信機により特定された車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMIを用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、地図情報を参照して決定する。地図情報は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。地図情報は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。また、地図情報は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報、車線の種別の情報等を含んでもよい。また、地図情報には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。地図情報は、通信装置100が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。ナビゲーション装置240は、地図上経路に基づいて、表示部による地図画像表示やスピーカ(不図示)による音声出力によって、経路案内等を行う。
【0065】
なお、車載装置200には、上述した各装置に加えて、例えば、オーディオ装置、バッテリ管理装置、キーレスエントリシステム、サスペンションシステム、エアバッグ装置、ドアロック装置、ドア開閉装置、窓の開閉装置、シート位置の制御装置、ルームミラーの角度位置制御装置、車両内外の照明制御装置、ワイパーまたはデフォッガー用制御装置、方向指示灯用制御装置、および空調装置のうち少なくとも一つが含まれてよい。ここで、車載装置200は、外部装置TAから指令に基づいて実行してもよく、外部装置TAから取得した情報を参照してそれぞれの機能を実行してもよい。例えば、オーディオ装置は外部装置TAに楽曲や放送情報などを外部装置TAに要求し、外部装置TAから当該楽曲や放送情報などのコンテンツ情報を取得して出力してもよい。この場合、運転制御装置230は、他の外部装置TAと送受信する際の通信優先度と比較して相対的に小さい通信優先度を設定することが好ましい。
【0066】
通信装置100は、例えば、第2通信部110と、取得部120と、第2決定部130と、第2通信制御部140とを備える。通信装置100の各構成要素は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部260に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部260にインストールされてもよい。通信装置100の構成要素の一部または全部は、TCU(Telematics Control Unit)の一例である。
【0067】
なお、通信装置100は、上述した機能部のうち、一部を備えるものであってもよい。例えば、第2通信部110は、通信装置100の外部にあるスマートフォン等の通信機能を備えた端末装置が備えるものであってもよい。この場合、第2通信制御部140は、信端末が備える第2通信部110の動作を制御する。
【0068】
記憶部260は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により実現される。記憶部260には、例えば、対応情報262や、プロセッサによって読み出されて実行されるプログラム、その他各種情報等が格納される。
【0069】
図6は、対応情報262の内容の一例を示す図である。対応情報262は、例えば、通信優先度と、車両情報の種別とが互いに対応付けられた情報である。上述したように、通信システム1を提供する事業者は、参照情報52によって、各送信データについて、通信優先度を高くして優先的に送受信するか、又は通信優先度を低くして優先的に送受信をさせないかを定めている。一方、対応情報262は、車両Mの販売事業者や車両Mの制御(例えば、自動運転や運転支援に係る制御)に係るサービスを提供する事業者等によって定められる。対応情報262は、参照情報52によって送信データの通信優先度が基本的に定められていても、移動体通信網の状況(例えば、通信品質)によっては、参照情報52に定められている通信優先度に比して高い通信優先度によって通信を要求する際に用いられる情報である。換言すると、対応情報262に定められている通信優先度と、参照情報52に定められている通信優先度とでは、前者の通信優先度のほうが、優先的に用いられる。
【0070】
図6の対応情報262において、車両情報のうち、車両センサの検出結果を示す情報や、車両Mに搭載されたカメラが車両Mの周囲環境を撮像して生成した画像データ等の、車両Mの制御に用いられる情報には、参照情報52に示される通信優先度と同様に、通信優先度「8」が付される。一方、図6の対応情報262において、車両情報のうち、車両Mの位置を示す車両位置情報等の、車両Mの制御に用いられない情報には、参照情報52に示される通信優先度に比して、高い通信優先度である「8」が付される。
【0071】
なお、参照情報52に示される通信優先度に比して高い通信優先度が付される情報(この場合、車両Mの制御に用いられない情報)は、一例であって、これに限られない。例えば、対応情報262では、車両Mにおいて再生されるコンテンツ情報、自動運転制御に用いられる情報、自動運転制御に用いられなくとも車両Mの安全な走行に必要な情報、即応性が求められる情報等に付される通信優先度が、参照情報52に示される通信優先度に比して高い通信優先度であってもよい。
【0072】
第2通信部110は、例えば、第2通信制御部140の制御に基づいて、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して、無線基地局10や、車両Mの周辺に存在する他車両と通信する。セルラー網は、上述した無線基地局10が通信範囲Aにおいて提供する、3G、4G、または5G等の移動体通信網である。Wi-Fi網は、例えば、各個人または各企業等が自身のネットワークを自由に使用することができる電波通信網である。Wi-Fiに準拠した通信方式での通信規格は、電波の到達範囲が非常に狭く、Wi-Fiのアンテナ位置から約10~100[m]程度での利用に限定される。また、Wi-Fi網では、所定の周波数帯域(例えば、5[GHz]帯、2.4[GHz]帯)で通信が行われる。
【0073】
取得部120は、例えば、車載装置200が備える各車載機器から得られる情報を車両情報として取得する。車両情報には、例えば、車両センサ210により検出される情報や、駆動制御装置220による制御データ、運転制御装置230による制御データ、ナビゲーション装置240によるナビゲーション情報(例えば、目的地情報や目的地までの経路案内情報)等が含まれる。
【0074】
第2決定部130は、対応情報262に基づいて、取得部120によって取得された車両情報の通信優先度を、車両情報毎に決定する。
【0075】
第2通信制御部140は、第2決定部130によって決定された通信優先度を示す情報と、取得部120によって取得された車両情報とを含む送信データを、無線基地局10に対して第2通信部110に送信させる。以降の説明において、第2通信制御部140が第2通信部110を制御して送信先に送信データを送信させることを、「第2通信制御部140が送信する」とも記載する。
【0076】
一般に、ネットワークにおいて一度に送信可能なデータ量(伝送単位)は、予め定められており、第2通信制御部140は、車両情報を、一度に送信可能なデータ量に分割し、無線基地局10に送信する。その場合、第2通信制御部140は、分割した送信データを送信開始する前に、まず始めに第2決定部130によって決定された通信優先度を示す情報を無線基地局10にベアラー通信によって送信する。これにより、第2通信制御部140は、第2決定部130が決定した通信優先度による通信を無線基地局10に要求する。
【0077】
無線基地局10(第1通信制御部34)は、第2通信制御部140によって送信された送信データに基づいて、当該送信データに係る通信優先度を決定し、決定結果を含めた情報を要求に対する応答として通信装置100にベアラー通信によって送信する。第2通信制御部140は、無線基地局10が決定した通信優先度に基づく通信によって、以降、分割した送信データを順に外部装置TAに送信する。なお、ベアラー通信では、通信優先度を示す情報の他にも、ペイロード情報を示す情報や、通信経路を得示す情報に係る情報の送受審が行われてもよい。
【0078】
「一番初めに送信する送信データに、第2決定部130によって決定された通信優先度を示す情報を含めて無線基地局10に送信する」処理において、第2通信制御部140は、「開始制御部」の一例であり、「無線基地局10が決定した通信優先度に基づく通信によって、以降、分割した送信データを順に外部装置TAに送信する」処理において、第2通信制御部140は、「優先度通信制御部」の一例である。
【0079】
[処理シーケンス]
図7は、実施形態における通信システム1により実行される処理の一例を示すシーケンス図である。まず、通信装置100の取得部120は、車載装置200から車両情報を取得する(ステップS100)。第2決定部130は、対応情報262に基づいて、取得部120によって取得された車両情報の通信優先度を決定する(ステップS102)。第2通信制御部140は、取得部120によって取得された車両情報を、一度に送信可能なデータ量に分割し、一番初めに送信する分割後の送信データに、第2決定部130によって決定された通信優先度を示す情報をベアラー通信によって無線基地局10に送信する(ステップS104)。
【0080】
無線基地局10の第1決定部32は、第1通信部20によって通信装置100が送信した送信データと、参照情報52と、通信品質測定部30によって測定された各移動体通信網の通信品質を示す情報とに基づいて、送信データに付される通信優先度を決定する(ステップS106)。例えば、第1決定部32は、通信品質測定部30によって測定された各移動体通信網の通信品質を示す情報に基づいて、通信装置100が要求する通信優先度によって送信データについて通信を行った場合において、他の通信に影響を及ぼさない場合には、通信装置100の要求に応じた通信優先度によって送信データについて通信を行うと決定し、他の通信に影響を及ぼす場合には、参照情報52において予め定められた通信優先度によって送信データについて通信を行うと決定する。
【0081】
第1通信制御部34は、第1決定部32の決定結果に基づいて、第2決定部130によって決定された通信優先度によって通信できるか否かを示す情報を、通信装置100に送信(通知)する(ステップS110)。第1通信制御部34は、例えば、第1決定部32の決定結果が、第2決定部130が決定した通信優先度によって通信できることを示す場合、当該通信優先度によって通信することを示す情報を通信装置100に送信する。また、第1通信制御部34は、第1決定部32の決定結果が、第2決定部130が決定した通信優先度によって通信できないことを示す場合、第1決定部32によって決定された通信優先度によって通信することを示す情報を通信装置100に送信する。第2通信制御部140は、無線基地局10が決定した通信優先度に基づく通信によって、以降、分割した送信データを順に外部装置TAに送信する(ステップS112)。
【0082】
[帯域制御について]
なお、上述では、第1決定部32が、QoSの優先制御に用いられる通信優先度を決定する場合について説明したが、これに限られない。第1決定部32は、例えば、QoSの優先制御に用いられる通信優先度を決定する処理に代えて(或いは、加えて)、QoSの帯域制御に係る帯域を決定してもよい。
【0083】
図8は、第1決定部32が通信帯域を決定する場合に用いられる参照情報52aの内容の一例を示す図である。参照情報52aは、例えば、データの送信元の送信元機器を識別可能な識別情報と、送信元機器の種別を示す情報と、送信元機器が送信する送信データの種別を示す情報と、送信データの通信に用いられる移動体通信網と、移動体通信網の通信帯域とを示す情報とが互いに対応付けられた情報である。
【0084】
第1決定部32は、送信元機器が送信した送信データと、参照情報52aと、通信品質測定部30によって測定された各移動体通信網の通信品質を示す情報とに基づいて、送信データの通信に用いる移動体通信網と、移動体通信網における通信帯域とを決定する。図8の参照情報52aでは、例えば、車両Mの制御に用いられる車両情報には、他の車両情報に比して、高速、且つ大容量の通信帯域が対応付けられ、車両Mの制御には用いられないものの、コンテンツ情報ではない車両情報には、車両Mの制御に用いられる車両情報に比して低容量の通信帯域が対応付けられ、車両情報のうちコンテンツ情報には、他の車両情報に比して低速、且つ低容量の通信帯域が対応付けられる。
【0085】
なお、参照情報52aは、帯域幅が狭い通信帯域を示す情報に代えて(或いは、加えて)、帯域保証がない、或いは帯域制限がない通信帯域を示す情報が含まれてもよく、帯域幅が広い通信帯域を示す情報に代えて(或いは、加えて)、帯域保証がある、或いは帯域制限がある通信帯域を示す情報が含まれていてもよい。また、第1決定部32が参照情報52に基づいて、通信帯域及び通信に用いる移動体通信網を決定する場合には、記憶部50に経路情報54が記憶されていなくてもよい。
【0086】
また、第2決定部130は、例えば、QoSの優先制御に用いられる通信優先度を決定する処理に代えて(或いは、加えて)、QoSの帯域制御に係る帯域を決定してもよい。この場合、対応情報262には、通信優先度に代えて(或いは、加えて)、送信データの通信に用いられる移動体通信網と、移動体通信網の通信帯域とを示す情報とが含まれる。この対応情報262に基づいて第2決定部130が移動体通信網の通信帯域を決定する処理は、上述した処理と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0087】
[車両Mの走行情報に基づく通信優先度の決定]
なお、上述では、第2決定部130は、車両情報の種別に基づいて、通信優先度を決定する場合について説明したが、これに限られない。車両情報には、例えば、車両Mの走行状態を示すステータス情報が含まれており、第2決定部130は、ステータス情報に基づいて、車両情報の通信優先度を決定してもよい。第2決定部130は、例えば、ステータス情報が車両Mにおいて自動運転制御が行われていないことを示す場合、車両Mの制御に用いられる車両情報について、高い通信優先度を付さないと決定してもよい。また、第2決定部130は、車両Mが走行している周囲環境が悪環境であること(例えば、降雨、降雪、濃霧等により、視認性が悪い、或いは路面状態が悪いこと)をステータス情報が示す場合、車両Mのカメラが適切に車両Mの周囲環境を撮像することができないため、カメラが撮像した画像データである車両情報について、高い通信優先度を付さないと決定してもよい。また、第2決定部130は、車両Mが高速道路を走行中であることをステータス情報が示す場合、車両Mが走行する周囲環境の変化(右左折や車線の合流等)が生じにくいため、車両情報のうち車両位置情報について、高い通信優先度を付さないと決定してもよい。これにより、第2決定部130は、車両Mの状況に応じて車両情報を他の情報に比して優先的に通信させることができる。
【0088】
[通信優先度の再要求]
また、上述では、第2決定部130が決定した通信優先度による通信を無線基地局10に要求して、無線基地局10に要求が受け入れられなかった場合、第2通信制御部140は、無線基地局10が決定した通信優先度に基づく通信によって、送信データを外部装置TAに送信する場合について説明したが、これに限られない。第2通信制御部140は、例えば、無線基地局10に通信優先度の要求が受け入れられなかった場合、送信データの送信をキャンセルし、所定時間後、再度、第2決定部130が決定した通信優先度による通信を無線基地局10に要求してもよい。
【0089】
第2通信制御部140は、所定時間後の要求が受け入れられた場合には、無線基地局10が決定した通信優先度に基づく通信によって、送信データを外部装置TAに送信し、要求が受け入れられなかった場合には、要求が受け入れられるまでの間、所定時間後に再度、第2決定部130が決定した通信優先度による通信を無線基地局10に要求する処理を繰り返し行ってもよい。また、第2通信制御部140は、所定時間後に再度、第2決定部130が決定した通信優先度による通信を無線基地局10に要求する処理を所定回数繰り返しても、無線基地局10に通信優先度の要求が受け入れられなかった場合、無線基地局10が決定した通信優先度に基づく通信によって、送信データを外部装置TAに送信する。これにより、第2通信制御部140は、第2決定部130が決定した通信優先度によって送信データを送信しやすくすることができる。また、第2通信制御部140は、要求のリトライ回数に制限を設けることによって送信データがいつまでも送信されなくなることを抑制することができる。
【0090】
また、第2通信制御部140は、例えば、無線基地局10に通信優先度の要求が受け入れられなかった場合、送信データの送信をキャンセルし、移動体通信網の通信品質が改善した後、再度、第2決定部130が決定した通信優先度による通信を無線基地局10に要求してもよい。この場合、取得部120は、無線基地局10の通信品質測定部30によって測定された各移動体通信網の通信品質を示す情報を取得する。
【0091】
第2通信制御部140は、通信品質測定部30によって測定された各移動体通信網の通信品質を示す情報に基づいて、要求する通信優先度によって送信データについて通信を行った場合において、他の通信に影響を及ぼさないと判定した場合、第2決定部130が決定した通信優先度による通信を無線基地局10に要求する。第2通信制御部140は、例えば、レイテンシ、スループット、トラフィック量、帯域使用率、エラーパケットの数、ロスしたパケットの数等が所定の閾値以下であることや、通信速度等が所定の閾値以上である場合等に、他の通信に影響を及ぼさないと判定する。
【0092】
第2通信制御部140は、要求が受け入れられた場合には、無線基地局10が決定した通信優先度に基づく通信によって、送信データを外部装置TAに送信する。これにより、第2通信制御部140は、第2決定部130が決定した通信優先度によって送信データを送信しやすくすることができる。
【0093】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の通信制御装置(この一例では、通信装置100)は、車両Mに搭載される一以上の車載機器から車両Mに係る情報であって、車両M外部の外部装置に送信される車両情報を取得する取得部120と、少なくとも取得部120によって取得された車両情報に基づいて、車両情報の通信優先度を車両情報毎に決定する第2決定部130と、第2通信部110に、第2決定部130により決定された通信優先度を示す情報を、外部装置TAとの通信のためにアクセスする無線基地局10に対して送信させる開始制御部(この一例では、第2決定部130)と、第2通信部110に、無線基地局10から受信した通信優先度によって無線基地局10と車両情報を通信させる優先度通信制御部(この一例では、第2通信制御部140)と、を備え、車両に係る情報を、信頼性を担保しつつ、優先的に通信することができる。
【0094】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…通信システム、10、10-1、10-2、10-3、10-4…無線基地局、20…第1通信部、30…通信品質測定部、32…第1決定部、34…第1通信制御部、50、260…記憶部、52、52a…参照情報、54…経路情報、100…通信装置、110…第2通信部、120…取得部、130…第2決定部、140…第2通信制御部、200…車載装置、262…対応情報、A、A-1、A-4…通信範囲、M…車両、TA…外部装置
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