(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】再生アスファルト混合物の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/10 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
E01C19/10 A
(21)【出願番号】P 2020034616
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】志賀 義伸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 多佳
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-247208(JP,A)
【文献】特開平10-057834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径5mm~0mmの第二の再生骨材と、に分級し、
旧アスファルトを含む
前記第一の再生骨材について、分離機によって前記第一の再生骨材から表面の旧アスファルトを剥離させて分離
し、
分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、分級手段によって粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材と、粒径5mm~0mmの第四の再生骨材と、に分級し、
前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合し、
前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合したものに、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合釜で混合することでアスファルトモルタルを製造し、
製造された前記アスファルトモルタルに、前記第三の再生骨材をミキサーで混合することで再生アスファルト混合物を製造することを特徴とする再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項2】
アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径5mm~0mmの第二の再生骨材と、に分級する篩と、
旧アスファルトを含む
前記第一の再生骨材から旧アスファルトを剥離し分離する分離機
と、
分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材と、粒径5mm~0mmの第四の再生骨材と、に分級する分級手段と、
前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合すると共に、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合することでアスファルトモルタルを製造する混合釜と、
前記アスファルトモルタルと前記第三の再生骨材とを攪拌混合することで再生アスファルト混合物を製造するミキサーと、
を備えたことを特徴とする再生アスファルト混合物の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト再生骨材を利用した再生アスファルト混合物の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アスファルト舗装の表層と基層に施工されたアスファルト混合物の廃材を破砕することでアスファルト再生骨材が製造されている。このアスファルト再生骨材は再生アスファルト混合物の材料として用いられ、新規のアスファルト及び新規の骨材とを混ぜ合わせて再生アスファルト混合物としてアスファルト舗装道路に広く施工されている。
例えば、従来の再生アスファルト混合物の製造方法では、
図5に示すように、アスファルト再生骨材(以下、単に再生骨材という)100をドライヤ101で加熱する。そして、加熱した再生骨材100を、加熱した新規の細骨材102及び粗骨材103、新規のアスファルト104と共にミキサー105に投入して攪拌混合することで再生アスファルト混合物を製造し、再生アスファルト舗装として路面に敷設している。
【0003】
再生骨材100は廃材となった旧骨材の表面に旧アスファルトが被覆されている。アスファルト舗装の再生骨材100を繰り返して再生することにより旧アスファルトが製造時の再加熱や使用中の紫外線等で劣化し油分が脱落する。そのため、再生骨材100等を混合した再生アスファルト混合物は次第に性能が劣化し、旧アスファルトが経年硬化してしまう。すると、再生アスファルト舗装に短期間で轍掘れやひび割れ等が発生し、旧アスファルトを使用できなくなるという問題が生じる。
【0004】
この問題を改善するため、例えば特許文献1に記載された再生骨材は、油分が付着した表面を回転ドラム内で熱風、放射熱で加熱することで燃焼や劣化を促して旧アスファルトに付着した油分量を少なくする。そして、その後の加熱工程において、再生骨材に再生用添加剤を添加して新規のアスファルトと混合することで、再生アスファルト混合物の性能を高めるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された再生アスファルト混合物は、その性能が十分回復しているとはいえない。そのため、この場合でも比較的短期間で再生アスファルト舗装面が劣化して舗装面の硬化やひび割れ等が発生するという問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、劣化した旧アスファルトの柔軟性を回復させて疲労耐久性を向上できる再生アスファルト混合物の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、旧アスファルトを含む第一の再生骨材について、分離機によって第一の再生骨材から表面の旧アスファルトを剥離させて分離することを特徴とする。
本発明によれば、分離機によって第一の再生骨材の表面の旧アスファルトを剥離させて粒径の小さいものとして分離することで流動性を向上させると共に、第一の再生骨材を骨材として再利用できる。
【0009】
また、分離された旧アスファルトを含む第一の再生骨材を、分級手段によって比較的粒径の大きい第三の再生骨材と比較的粒径の小さい第四の再生骨材とに分級することが好ましい。
第一の再生骨材を分離機を介して分級することで、粒径の小さい旧アスファルトの流動性を向上させると共に、第一の再生骨材を骨材として再利用し易くなる。
【0010】
また、第四の再生骨材を、母材であるアスファルト再生骨材を分級した比較的粒径の小さい第二の再生骨材と混合することが好ましい。
粒径の比較的小さい第二の再生骨材及び第四の再生骨材を混合すると、粒径が同程度であるため流動性が高く旧アスファルトの再生効率が高まる。
【0011】
また、第二の再生骨材及び第四の再生骨材を混合したものに、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合することでアスファルトモルタルを製造することが好ましい。
第二の再生骨材及び第四の再生骨材を混合したものに施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合することで油性成分が追加されるため、旧アスファルトに柔軟性と流動性を回復させることができ、高品質のアスファルトモルタルを製造できる。
【0012】
また、アスファルトモルタルに、第三の再生骨材を混合することで再生アスファルト混合物を製造することができる。
柔軟性と流動性の高いアスファルトモルタルに比較的粒径の大きい第三の再生骨材を粗骨材として加えることで、柔軟性と疲労耐久性の高い再生アスファルト混合物を製造できる。
【0013】
本発明による再生アスファルト混合物の製造装置は、旧アスファルトを含む第一の再生骨材から旧アスファルトを剥離し分離させる分離機を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、分離機によって第一の再生骨材の表面の旧アスファルトを剥離させることで旧アスファルトを粒径の小さいものに分離することができて流動性を向上させると共に、第一の再生骨材を骨材として再利用できる。
【0014】
また、分離された旧アスファルトを含む第一の再生骨材を、比較的粒径の大きい第三の再生骨材と比較的粒径の小さい第四の再生骨材とに分級する分級手段と、を備えたことを特徴とする。
分離された旧アスファルトを含む第一の再生骨材を、分級手段によって第三の再生骨材と第四の再生骨材に分級することで、疲労耐久性の高い再生アスファルト混合物を容易に製造できる。
【0015】
また、粒径の比較的小さい第二の再生骨材及び第四の再生骨材を混合すると共に、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合することでアスファルトモルタルを製造する混合釜と、アスファルトモルタルと第三の再生骨材とを攪拌混合することで再生アスファルト混合物を製造するミキサーと、を備えていることが好ましい。
粒径の比較的大きい第一の再生骨材を分離機にかけた後で分級手段によって分級させ、同程度に粒径が小さい第二の再生骨材及び第四の再生骨材を混合釜で混合することで、旧アスファルトの流動性が高まり、更に施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合することで旧アスファルトに油性成分を付加して柔軟性と流動性を回復できてアスファルトモルタルを製造できる。更にミキサー内でアスファルトモルタルと第三の再生骨材を混合することで疲労耐久性の高いアスファルト混合物を製造できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法によれば、アスファルトを含む再生骨材について、分離機によって第一の再生骨材の表面の旧アスファルトを剥離させることで旧アスファルトを粒径の小さいものに分離し、流動性及び柔軟性を向上させると共に、残った第一の再生骨材を骨材として再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による再生アスファルト混合物の製造装置を示す模式図である。
【
図3】旧アスファルトを含む再生骨材に基づいてアスファルト混合物を製造する工程を示すフロー図である。
【
図4】実施形態によるアスファルト混合物の製造方法の試験例を示す図である。
【
図5】従来例による再生アスファルト混合物の製造装置と製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による再生アスファルト混合物の製造装置及び製造方法について
図1から
図4により説明する。
先ず、再生アスファルト混合物Aを製造するために添加する再生骨材として、既設のアスファルト舗装の補修時や打ち換え時等に掘り起こしたアスファルト廃材を適当な大きさに破砕してアスファルト再生骨材を製造する。破砕されたアスファルト再生骨材は適宜範囲の粒径、例えば粒径(R)13mm~0mmの範囲を有する母材とされている。
【0019】
再生アスファルト混合物Aの製造装置1について、
図1乃至
図3により説明する。
図1は本発明の実施形態による再生アスファルト混合物Aの製造装置1を示すものである。再生アスファルト混合物Aの製造装置1において、アスファルトを含む再生骨材を母材として、母材のアスファルト再生骨材Bは例えば6.3mmの網目の篩2からなる分級装置によって粒径5mm超、即ち粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材(粗骨材)aと、粒径5mm~0mmの第二の再生骨材(細骨材)bとに分級するものとする。
なお、第一の再生骨材aは粒径5mm~0mmの範囲のものが含まれていてもよい。第一の再生骨材aには旧アスファルトが例えば2質量%程度含まれ、第二の再生骨材bには旧アスファルトが例えば8質量%程度含まれている。
【0020】
第一の再生骨材aは、整粒機3と分級手段である篩4を備えた分離装置5において処理され、再度分級される。整粒機3は第一の再生骨材aを投入してその外周面に位置する旧アスファルトの一部をはぎ取る装置である。整粒機3は、
図2に示すように、第一の再生骨材aが原料投入口7から開口8に投入され、回転するローター9によって適宜の速度で回転させられる。第一の再生骨材aは、回転するローター9の吐出口9aを介して遠心力で破砕室10に飛散させられる。
飛散させられた第一の再生骨材aは破砕室10の内壁にデッドストックされ、次に飛散する第一の再生骨材aと衝突することで、表面の旧アスファルトが破砕され、剥離されて粒径が球体に近づく形状に調整される。剥離された旧アスファルトは小径の粒体や粉体になる。また、第一の再生骨材aは表面の旧アスファルトだけでなく骨材部分も一部破砕されて石粉等として分離することがある。整粒機3を通すことで、第一の再生骨材aは表面の旧アスファルトの一部が破砕され、或いは剥離され、はく奪されることで、分離される。
【0021】
整粒機3によって第一の再生骨材aを破砕することなく、表面の旧アスファルトの一部を主に分離させるために、ローター9は例えば周速10~60m/秒の範囲で適宜な周速に調整される。好ましくは、整粒機3は周速20~50m/秒程度に設定される。低速から高速までの適宜の速度を選択することで、第一の再生骨材aの破砕割合を調整できる。整粒機3にかける時間が長くなると例えば粒径5mm~0mmの第四の再生骨材(細骨材)bbが相対的に増大するので、必要に応じて稼働時間を調整する必要がある。
整粒機3を通過した第一の再生骨材aは、篩4によって再度分級されて、粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材(粗骨材)abと、粒径5mm~0mmの第四の再生骨材(細骨材)bbとに分級される。第三の再生骨材abと第四の再生骨材bbのアスファルト量は例えば2~8質量%、好ましくは3~6質量%とされている。
【0022】
また、再生アスファルト混合物Aの製造装置1は、新規アスファルトcを収容して加熱可能なアスファルト貯蔵サイロ13と、新規アスファルトcと再生用添加剤dと第二の再生骨材bと第四の再生骨材bbを加熱混合するための混合釜14とを備えている。混合釜14は内部に攪拌羽根15が内蔵されている。なお、再生用添加剤dに代えて、或いは再生用添加剤dと共に施工性改善剤eを添加してもよい。
また、製造装置1には、混合釜14で攪拌されて製造されるアスファルトモルタルと第三の再生骨材abとを攪拌羽根19によって攪拌混合するミキサー18が設けられている。ミキサー18によって再生アスファルト混合物Aが製造される。
【0023】
次に、再生アスファルト混合物Aの製造装置1による再生アスファルト混合物Aの製造方法について、
図1及び
図3に示すブロックを用いたフロー図により説明する。
図3において、アスファルト再生骨材Bは例えば6.3mmの網目の篩2によって、粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材(粗骨材)aと粒径5mm~0mmの第二の再生骨材(細骨材)bとに分級する(ステップS1)。なお、第一の再生骨材aには粒径5mm~0mmの範囲のものが含まれていてもよい。第一の再生骨材aには旧アスファルトが例えば2質量%程度含まれ、第二の再生骨材bには旧アスファルトが例えば8質量%程度含まれている。
【0024】
つぎに
図3において、第一の再生骨材aは、整粒機3と篩4を備えた分離装置5において処理され分級される。先ず、第一の再生骨材aを整粒機3に投入して表面の旧アスファルト部分を破砕し剥離させる(ステップS2)。例えば、第一の再生骨材aに尖ったアスファルト部分があると割れや欠け等を生じ易いため、整粒機3に投入して尖った部分や角等を剥離させることで粒径をより滑らかなものに整えることができる。剥離された表面の旧アスファルトは粉体や微小な粒体となって第一の再生骨材aから分離し、第一の再生骨材aは角部や尖った部分等が削れて滑らかな曲面形状に近づくよう整粒化される。また、表面に露出する骨材の一部は、旧アスファルトと共に破砕されて細骨材や石粉等となることがある。
【0025】
整粒機3で破砕処理されたこれら第一の再生骨材aは篩4で再度分級され(ステップS3)、旧アスファルトがはく奪された粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材abと、粒径5mm~0mmの第四の再生骨材bbとに分級される。この場合、第三の再生骨材abは第一の再生骨材aよりも旧アスファルトの含有量が少なくなっている。
次に、混合釜14において、それぞれ同程度(粒径5mm~0mm)に分級された第二の再生骨材bと第四の再生骨材bbを混合する(ステップS4)。この場合、第四の再生骨材bbは第一の再生骨材aから旧アスファルトが整粒機3で剥離されているため旧アスファルトの粉体等が含まれている。そのため、第二の再生骨材bと第四の再生骨材bbの混合物は粒度が細かく流動性が向上し、アスファルトの再生効率が高い。
【0026】
次に、混合釜14内にアスファルト貯蔵サイロ13から例えば新規アスファルトcを投入して第二の再生骨材b及び第四の再生骨材bbの混合物と混合する(ステップS5)。これにより、流動性が高く高品質のアスファルトモルタルを製造できる。
或いは、新規アスファルトcに代えて再生用添加剤d及び施工性改善剤eの一方か両方を添加して混合する。これによっても、油性成分が追加されることで粒度が細かくて柔軟性と流動性の高い良質なアスファルトモルタルを製造できる(ステップS5)。
【0027】
母材であるアスファルト再生骨材Bの旧アスファルトは経年劣化で硬くなっているが、第二の再生骨材b及び第四の再生骨材bbの混合物は粒度の細かい旧アスファルトや砂や石粉等を含んでいる。そのため、新規アスファルトc、再生用添加剤d及び施工性改善剤eの少なくともいずれかを混合させることで、粒度が細かく流動性と柔軟性を高めた良質なアスファルトモルタルを製造できる。これを製品として、或いは他の材料を添加することで、舗装工事や補修工事等に利用することができる。
【0028】
次いで、製造されたアスファルトモルタルを混合釜14からミキサー18に投入すると共に、粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材abをミキサー18に投入し、混合することで再生アスファルト混合物Aを製造する(ステップS6)。第三の再生骨材abは旧アスファルトを僅かに含む粗骨材であり、高品質に製造されたアスファルトモルタルと混合することで、ひび割れしにくく疲労耐久性が高い再生アスファルト混合物Aを得られる。なお、再生アスファルト混合物Aの製造時に施工性改善剤を添加してもよい。
【0029】
ミキサー18内の攪拌羽根19によって所定時間攪拌されることで得られた再生アスファルト混合物Aは、例えばダンプトラック20に投下されてアスファルト舗装の施工現場に搬送される。或いは、現場でミキサー18から直接、再生アスファルト混合物Aを排出して施工してもよい。
【0030】
上述したように、本実施形態による再生アスファルト混合物Aの製造装置1及び製造方法によれば、母材であるアスファルト再生骨材Bを分級した比較的粒径の大きい第一の再生骨材aから整粒機3によって表面の旧アスファルトを一部引き剥がすことができる。これによって、粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材abと、粒径5mm~0mmの微小粒径の旧アスファルトを多く含む第四の再生骨材bbとに分級することができる。そのため、第四の再生骨材bbを第二の再生骨材bと混合することで柔軟性と耐久性の高いアスファルトモルタルを製造できる。
更に、旧アスファルトをほとんど含まない第三の再生骨材abと混合することで柔軟性と疲労耐久性の高い高品質の再生アスファルト混合物Aを製造できる。
【0031】
次に上述した実施形態による再生アスファルト混合物Aの製造方法について実施した試験例を
図4及び表1により説明する。
図4において、母材としてのアスファルト再生骨材Bは例えば粒径13mm~0mmであり、含有するアスファルト量は5.4質量%とした。この再生骨材を篩2で粒径の大きい第一の再生骨材a(粒径13mm~5超mm)と粒径の小さい第二の再生骨材b(粒径5mm~0mm)とに分級した。粒径の大きい第一の再生骨材aは40質量%、粒径の小さい第二の再生骨材bは60質量%である。第二の再生骨材bの量に占める旧アスファルト量の比率は6.5質量%、全体の再生骨材に対しては3.9質量%であり、分級前の再生骨材の旧アスファルト量は5.4質量%であるため、その含有比率は72%になる。
【0032】
また、粒径の大きい第一の再生骨材aに占める旧アスファルト量は3.8質量%、全体の再生骨材に対しては1.5質量%である。第一の再生骨材aを分離装置5の整粒機3に投入して剥離し、更に篩4で粒径の大きい第三の再生骨材ab(粒径13mm~5超mm)と粒径の小さい第四の再生骨材bb(粒径5mm~0mm)とに分級した。しかも、母材のアスファルト再生骨材Bに対する分離装置5の篩4で分級した粒径の小さい第二の再生骨材b及び第四の再生骨材bb(粒径5mm~0mm)のアスファルト量の比率は4.7質量%/5.4質量%×100=87%である。
【0033】
その結果、粒径の大きいものは25質量%、粒径の小さいものは75質量%であった。粒径の大きいものは旧アスファルト含有量が2.7質量%、アスファルト再生骨材B全体に対して旧アスファルト量は0.7質量%であった。粒径の小さいものは旧アスファルト含有量が6.3%、再生骨材全体に対して旧アスファルト量は4.7質量%であった。
この試験例におけるアスファルト量の変化を表で示すと、下記の表1に示すものになった。アスファルト量はAs量で表示している。
【0034】
【0035】
なお、本発明による再生アスファルト混合物Aの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、上記実施形態の構成を適宜置換したり変更したりすることができる。以下に、本実施形態による再生アスファルト混合物Aとその製造方法の変形例について説明するが、上述した実施形態と同一または同様なもの等については同一の符号を用いて説明する。
【0036】
例えば、本実施形態によるアスファルト混合物の製造方法において、製造されたアスファルトモルタルは舗装面の表面処理材として使用することができる。これによって舗装表面の延命化を低廉に図ることができる。アスファルトモルタルはアスファルト混合物に含まれる。
また、上述した実施形態では、第一の再生骨材aを整粒機3によって表面の旧アスファルトを剥離し分離したが、旧アスファルトを分離する手段として、整粒機3に限定されることなく破砕機やクラッシャー等、適宜の分離機を採用することができる。
【0037】
また、本実施形態では分級手段としての篩2、4によって母材であるアスファルト再生骨材Bや第一の再生骨材aを、粒径の比較的大きい再生骨材として粒径13mm~5mm超の粒径のものと、粒径の比較的小さい再生骨材として5mm~0mmの粒径のものに分級した。しかし、分級の粒度分けは上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜の粒径の再生骨材に分級することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 再生アスファルト混合物の製造装置
2、4 篩
3 整粒機
5 分離装置
13 アスファルト貯蔵サイロ
14 混合釜
18 ミキサー
A 再生アスファルト混合物
a 第一の再生骨材
B アスファルト再生骨材
b 第二の再生骨材
ab 第三の再生骨材
bb 第四の再生骨材
c 新規アスファルト
d 再生用添加剤
e 施工性改善剤