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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電動弁及び冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20241004BHJP
   F25B 41/35 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F25B41/35
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020047605
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148183
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】竹田 剛
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/135162(WO,A1)
【文献】特開2011-021749(JP,A)
【文献】特開2019-219007(JP,A)
【文献】特開2013-224708(JP,A)
【文献】特開2019-044880(JP,A)
【文献】特開2016-089870(JP,A)
【文献】特開2006-112522(JP,A)
【文献】特開2021-148182(JP,A)
【文献】特開2021-067344(JP,A)
【文献】特開2003-148643(JP,A)
【文献】特許第6472637(JP,B2)
【文献】特開2003-329158(JP,A)
【文献】特開2013-167273(JP,A)
【文献】特開平01-208676(JP,A)
【文献】特開2003-014153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04 - 31/05
F25B 41/31 - 41/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室及び弁座部を構成する弁本体と、前記弁座部と軸線方向で接離して弁ポートの開度を変更する弁体と、回転軸を回転駆動させる駆動部と、前記回転軸の回転運動を前記軸線方向の直線運動に変換して前記弁体に伝えるねじ送り機構と、前記弁体と前記回転軸とに亘る弁ホルダと、弁閉方向に前記弁体を付勢する弁ばねと、を備えた電動弁であって、
前記弁体は、転がり軸受のみによって軸線方向に係止された状態で、前記転がり軸受を介して前記弁ホルダ接続され、
前記弁体が弁閉後に、前記回転軸がさらに弁閉方向に移動した際、前記転がり軸受及び前記弁体が、前記弁ばねの付勢力を受けることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記弁ホルダは、前記回転軸の先端部を挿通させる挿通孔を有し、前記回転軸の先端部と相対回転可能に係合されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記回転軸の先端部と前記弁ホルダとが、一体的に形成されるか、又は、互いに接合されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項4】
前記転がり軸受は、前記弁体に取り付けられるか又は前記弁体と一体に形成される第1部材と、前記第1部材に転動部材を介して接続される第2部材と、を有し、前記第1部材がばね受を介して前記弁ばねで付勢されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動弁。
【請求項5】
前記転がり軸受は、前記弁ホルダに取り付けられるか又は前記弁ホルダと一体に形成される第2部材と、前記第2部材に転動部材を介して接続される第1部材と、を有し、前記第1部材に前記弁体が案内されるとともに、前記第1部材に対して前記弁体が前記弁ばねで付勢されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動弁。
【請求項6】
弁室及び弁座部を構成する弁本体と、前記弁座部と軸線方向で接離して弁ポートの開度を変更する弁体と、回転軸を回転駆動させる駆動部と、前記回転軸の回転運動を前記軸線方向の直線運動に変換して前記弁体に伝えるねじ送り機構と、前記弁体と前記回転軸とに亘る弁ホルダと、弁閉方向に前記弁体を付勢する弁ばねと、を備えた電動弁であって、
前記弁体は、転がり軸受のみによって軸線方向に係止された状態で、前記転がり軸受を介して前記弁ホルダ接続され、
前記転がり軸受は、前記弁体に取り付けられるか又は前記弁体と一体に形成される第1部材と、前記第1部材に転動部材を介して接続される第2部材と、を有し、前記第2部材が前記弁ばねで付勢されることを特徴とする電動弁。
【請求項7】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルシステムなどに使用する電動弁及び冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステッピングモータなどの駆動部によってロータ軸などの回転軸を回転駆動し、この回転軸の回転運動をねじ送り機構によって直線運動に変換し、弁を開閉する電動弁が利用されている(例えば、特許文献1,2等を参照)。この種の電動弁では、弁体の供回りと、弁体の弁座部への過度の押付けと、を抑制して、弁の着座による耐久性を向上させるために、弁体とねじ送り機構との間に、軸受と、弁ばねと、が内蔵された弁ホルダが設けられている。このような弁ホルダに内蔵される軸受には、転がり軸受と、滑り軸受の2種類があるが、転がり軸受の方が、回転負荷が小さく、回転駆動部の必要な出力が小さくて済む高効率な電動弁となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6472637号公報
【文献】中国実用新案登録第208519284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に開示されたような従来の電動弁では、ねじ送り機構等から生ずる削りカスなどの不純物が、弁ホルダの隙間から転がり軸受内部に入り込み、作動の不具合を生じる虞があった。
【0005】
本発明の目的は、不純物が転がり軸受内部に入り込むことに起因する不具合を抑制することができる電動弁及び冷凍サイクルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動弁は、弁室及び弁座部を構成する弁本体と、前記弁座部と軸線方向で接離して弁ポートの開度を変更する弁体と、回転軸を回転駆動させる駆動部と、前記回転軸の回転運動を前記軸線方向の直線運動に変換して前記弁体に伝えるねじ送り機構と、前記弁体と前記回転軸とに亘る弁ホルダと、弁閉方向に前記弁体を付勢する弁ばねと、を備えた電動弁であって、前記弁体は、転がり軸受のみによって軸線方向に係止された状態で、前記転がり軸受を介して前記弁ホルダ接続され、前記弁体が弁閉後に、前記回転軸がさらに弁閉方向に移動した際、前記転がり軸受及び前記弁体が、前記弁ばねの付勢力を受けることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、弁ホルダと弁体とが転がり軸受を介して接続され、この転がり軸受が弁体側に設けられていることで、削りカスなどが生ずるねじ送り機構と転がり軸受との距離を離すことができ、ねじ送り機構の削りカスなどの不純物が転がり軸受内部に入り込むことに起因する不具合を抑制することができる。
【0008】
この際、前記弁ホルダは、前記回転軸の先端部を挿通させる挿通孔を有し、前記回転軸の先端部と相対回転可能に係合されていることが好ましい。
【0009】
また、前記回転軸の先端部と前記弁ホルダとが、一体的に形成されるか、又は、互いに接合されていることが好ましい。
【0011】
また、前記転がり軸受は、前記弁体に取り付けられるか又は前記弁体と一体に形成される第1部材と、前記第1部材に転動部材を介して接続される第2部材と、を有し、前記第1部材がばね受を介して前記弁ばねで付勢されることが好ましい。
【0012】
また、前記転がり軸受は、前記弁ホルダに取り付けられるか又は前記弁ホルダと一体に形成される第2部材と、前記第2部材に転動部材を介して接続される第1部材と、を有し、前記第1部材に前記弁体が案内されるとともに、前記第1部材に対して前記弁体が前記弁ばねで付勢されることが好ましい。
また、電動弁は、弁室及び弁座部を構成する弁本体と、前記弁座部と軸線方向で接離して弁ポートの開度を変更する弁体と、回転軸を回転駆動させる駆動部と、前記回転軸の回転運動を前記軸線方向の直線運動に変換して前記弁体に伝えるねじ送り機構と、前記弁体と前記回転軸とに亘る弁ホルダと、弁閉方向に前記弁体を付勢する弁ばねと、を備えた電動弁であって、前記弁体は、転がり軸受のみによって軸線方向に係止された状態で、前記転がり軸受を介して前記弁ホルダ接続され、前記転がり軸受は、前記弁体に取り付けられるか又は前記弁体と一体に形成される第1部材と、前記第1部材に転動部材を介して接続される第2部材と、を有し、前記第2部材が前記弁ばねで付勢されることを特徴とする。
【0013】
本発明の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、前記いずれかの電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする。
【0014】
このような本発明によれば、上記した電動弁のように、ねじ送り機構の削りカスなどの不純物が転がり軸受内部に入り込むことに起因する不具合を抑制することができるので、運転時の不具合が生じ難い冷凍サイクルシステムとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電動弁および冷凍サイクルシステムによれば、不純物が転がり軸受内部に入り込むことに起因する作動の不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る電動弁を示す縦断面図である。
図2】前記電動弁の要部を簡略して示す縦断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る電動弁の要部を示す縦断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る電動弁の要部を示す縦断面図である。
図5】本発明の第4実施形態に係る電動弁の要部を示す縦断面図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る電動弁の要部を示す縦断面図である。
図7】本発明の冷凍サイクルシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1実施形態に係る電動弁を図1及び図2に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の電動弁10は、弁本体1と、弁体2と、弁ホルダ6と、駆動部としてのステッピングモータ3と、を備えている。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1の図面における上下に対応する。
【0018】
弁本体1は、筒状の弁ハウジング部材1Aと、弁ハウジング部材1Aの上端開口部に固定される支持部材5と、を有している。
【0019】
弁ハウジング部材1Aは、その内部に略円筒状の弁室1Cが形成され、側面側から弁室1Cに連通する第1の継手管11が取り付けられている。また、弁ハウジング部材1Aには、底面側から略円筒状の弁座部材15が挿入され、ろう付けにより固定される弁座部材15によって弁座部13が構成されている。弁座部13には、弁口である弁ポート14が形成されている。さらに、弁ハウジング部材1Aの底面側には、弁座部材15の内側面の下端部となだらかに連続するように、第2の継手管12が、弁ハウジング部材1Aの底部にろう付けにより固定されている。第1の継手管11から流体としての冷媒が流入した場合には、弁室1Cを介して弁ポート14を通過した冷媒が第2の継手管12から流出される。また、第2の継手管12から冷媒が流入した場合には、弁ポート14を介して弁室1Cを通過した冷媒が第1の継手管11から流出される。
【0020】
支持部材5は、弁ハウジング部材1Aの上端開口部に固定金具41を介して溶接固定されている。この支持部材5の上側の中心には、弁ポート14等の軸線Lと同軸に形成された雌ねじ部5aが設けられており、下方に雌ねじ部5aの外周よりも径の大きな円筒状のガイド孔5cが形成されている。
【0021】
弁体2は、下側先端にニードル部21が設けられたロッド軸22を有している。ロッド軸22の上端部には、フランジ部23が形成されている。ロッド軸22の外周面には、転がり軸受8(後述)が固定され、ロッド軸22の上端部が拡大されたフランジ部23によって転がり軸受8が抜け止めされている。
【0022】
ステッピングモータ3は、キャン4と、キャン4内に設けられたマグネットロータ31と、ロータ軸32と、不図示のステータコイルと、ステッピングモータ3の回転ストッパ機構7と、を有している。
【0023】
キャン4は、弁ハウジング1Aの上端に溶接などによって気密に固定され、支持部材5、後述するマグネットロータ31及び回転ストッパ機構7を収納している。マグネットロータ31は、その外周部が多極に着磁されており、その中心にロータ軸32が固定されている。ロータ軸32は、その下端部が、弁ホルダ6及び転がり軸受8を介して、弁体2のロッド軸22と連結されている。また、ロータ軸32は、その中間部の上側表面に雄ねじ部32aが形成されている。この雄ねじ部32aは、支持部材5の雌ねじ部5aに螺合され、これらの雄ねじ部32a及び雌ねじ部5aによって、駆動部のねじ送り機構16が構成されている。ねじ送り機構16は、ステッピングモータ3の回転運動をロータ軸32直線運動に変換し、これにより弁体2が軸線L方向に進退駆動されるようになっている。ステータコイルは、キャン4の外周に配設されており、このステータコイルにパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ31が回転されてロータ軸32が回転するようになっている。
【0024】
ステッピングモータ3の回転ストッパ機構7は、キャン4の天井部にガイド支持体7Aが固定され、ガイド支持体7Aには、キャン4の天井部の中心軸芯に沿って垂下された円筒状のガイド76と、ガイド76の外周に固定された螺旋ガイド77と、螺旋ガイド77にガイドされて回転かつ上下動可能な可動スライダ78と、を備えている。可動スライダ78には、径方向外側に突出した爪部78aが設けられ、マグネットロータ31には、上方に延びて爪部78aと当接する延長部31aが設けられ、マグネットロータ31が回転すると、延長部31aが爪部78aを押すことで、可動スライダ78が螺旋ガイド77に倣って回転かつ上下するようになっている。また、円筒状のガイド76内部にはロータ軸32の上部をガイドする筒部材7B が嵌合されている。
【0025】
螺旋ガイド77には、マグネットロータ31の最上端位置を規定する上端ストッパ77aと、マグネットロータ31の最下端位置を規定する下端ストッパ77bと、が形成されている。マグネットロータ31の正回転に伴って下降した可動スライダ78が下端ストッパ77bに当接すると、この当接した位置で可動スライダ78が回転不能となり、これによりマグネットロータ31の回転が規制され、弁体2の下降も停止される。一方、マグネットロータ31の逆回転に伴って上昇した可動スライダ78が上端ストッパ77aに当接すると、この当接した位置で可動スライダ78が回転不能となり、これによりマグネットロータ31の回転が規制され、弁体2の上昇も停止される。
【0026】
図2に示すように、弁ホルダ6は、筒状のホルダ本体61の上面部中央に、ロータ軸32の下側先端部を挿通させる挿通孔61aを有し、ロータ軸32の下側先端部と相対回転可能に係合されている。また、ロータ軸32の下側先端部には、鍔部32bが設けられており、ホルダ本体61内から抜けないようになっている。ロータ軸32の鍔部32bの下面には弁ばね9の上端が当接されている。転がり軸受8は、弁体2のロッド軸22の外周面に固定されるリング状の第1部材81と、複数個の転動部材としての鋼球8aを介して接続されるリング状の第2部材82と、を有したベアリングによって構成されている。この転がり軸受8は、第2部材82が弁ばね9で付勢され、第2部材82の下端部がホルダ本体61の下端部(圧入部材63)に当接するようになっている。弁ホルダ6は、ホルダ本体61の下面中央に挿通孔61bを有し、弁体2のロッド軸22が挿通孔61bに挿通されている。また、挿通孔61bには、図1に示すように、リング状の圧入部材63が圧入され、この圧入部材63によって弁ホルダ6からの弁体2及び転がり軸受8の抜け止めがされている。なお、ここでは、ホルダ本体61の下端部を圧入部材63を圧入したものを例示したが、これに代わりホルダ本体61の下端部にリング状の部材(止め輪等)を溶接や、かしめ等で固定してもよく、転がり軸受8の抜け止めが可能な構造であればこれらに限らない。
【0027】
ステッピングモータ3の駆動によって弁体2が下降し、ニードル部21が弁座部13に着座したときは、転がり軸受8の第2部材82にロータ軸32の鍔部32aから弁ばね9を介して回転力が伝わっても、鋼球8aを介して第1部材81に回転力が殆ど伝わらないようになっている。また、ロータ軸31と弁体2が剛体として連結されておらず、弁ばね9を介して連結されているため、弁体2のニードル部21が弁座部13に着座したときに、さらにマグネットロータ31が回転してロータ軸32が下降しても、弁ばね9が収縮することで、ニードル部21に過度な押付け力が働かないようになっている。
【0028】
以上の本実施形態によれば、弁ホルダ6と弁体2とが転がり軸受8を介して接続され、この転がり軸受8が弁体2側に設けられていることで、削りカスなどが生ずるねじ送り機構16と転がり軸受8との距離(図2にAで示す距離)を離すことができ、ねじ送り機構16の削りカスなどの不純物が転がり軸受8内部に入り込むことに起因する作動の不具合を抑制することができる。
【0029】
次に、図3に基づき、本発明の第2実施形態に係る電動弁について説明する。本実施形態の電動弁は、第1実施形態の電動弁10と同様に、弁本体1と、弁体2と、弁ホルダ6と、駆動部としてのステッピングモータ3と、を備えている。本実施形態の電動弁では、弁ホルダ6の一部構成が第1実施形態の電動弁10と相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0030】
本実施形態の電動弁では、ロータ軸32の下端部に鍔部32bがなく、弁ホルダ6のホルダ本体61の上側の挿通孔61aもなく、ロータ軸32の下端部と、ホルダ本体61の上面の中心部とが一体的に連結され、ホルダ本体61の円筒内部の天井面に弁ばね9の上端が当接している点が第1実施形態の電動弁10と相違している。なお、ロータ軸32とホルダ本体61とは、一体的に連結されたものに限らず、別体で形成されて適宜な接合手段によって接合されていてもよい。
【0031】
以上の本実施形態の電動弁の弁ホルダ6においては、ねじ送り機構16と転がり軸受8との直線的な距離(図3にAで示す距離)が離されているとともに、ロータ軸32の下端部と弁ホルダ6のホルダ本体61とが一体的に形成され、ホルダ本体61の上面に内部と連通する孔等の隙間がないことから、ねじ送り機構16と転がり軸受8との弁ホルダ6の表面に沿った距離(図3にBで示す距離)も離されているので、第1実施形態の電動弁10よりも、ねじ送り機構16の削りカスなどの不純物が転がり軸受8内部に入り込むことに起因する作動の不具合をさらに抑制することができる。
【0032】
次に、図4に基づき、本発明の第3実施形態に係る電動弁について説明する。本実施形態の電動弁は、第1実施形態の電動弁10と同様に、弁本体1と、弁体2と、弁ホルダ6と、駆動部としてのステッピングモータ3と、を備えている。本実施形態の電動弁では、弁ホルダ6の一部構成が第1実施形態の電動弁10と相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0033】
本実施形態の電動弁において、転がり軸受8は、第1部材81が弁体2のロッド軸22と一体の円板状に形成されるとともに、第1部材81の下面に複数の鋼球8aが転動可能に設けられ、複数の鋼球8aの下側に第2部材82が設けられている。この転がり軸受8は、第1部材81がばね受62を介して弁ばね9で付勢されているとともに、第2部材82がホルダ本体61の下端部(圧入部材63)に当接することで、弁ホルダ6に対して抜け止めされている。なお、ロッド軸22と転がり軸受8の第1部材81とは、一体的に連結されたものに限らず、別体で形成されて適宜な接合手段によって接合されていてもよい。
【0034】
以上の本実施形態の電動弁では、弁ばね9の付勢力をばね受62を介して転がり軸受8の第1部材81及び弁体2に伝達することで、ばね受62と第1部材81とが摺動することにより、ロータ軸32の回転力が弁体2に殆ど伝わらないようになっている。また、弁体2のニードル部21が弁座部13に着座したときに、弁ばね9が収縮することでニードル部21に過度な押付け力が働かないようになっている。従って、本実施形態の電動弁によれば、第1実施形態の電動弁10と同様の作用効果を奏することができる。
【0035】
次に、図5に基づき、本発明の第4実施形態に係る電動弁について説明する。本実施形態の電動弁は、第3実施形態の電動弁と同様に、弁本体1と、弁体2と、弁ホルダ6と、駆動部としてのステッピングモータ3と、を備えている。本実施形態の電動弁では、弁ホルダ6の一部構成が第3実施形態の電動弁と相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0036】
本実施形態の電動弁では、ロータ軸32の下端部に鍔部32bがなく、弁ホルダ6のホルダ本体61の上側の挿通孔61aもなく、ロータ軸32の下端部と、ホルダ本体61の上面の中心部とが一体的に形成されている点が第3実施形態と相違し、転がり軸受8の第1部材81が弁体2のロッド軸22と一体的に形成されるとともに、第1部材81がばね受62を介して弁ばね9で付勢されている点は第3実施形態と同様である。
【0037】
以上の本実施形態の電動弁の弁ホルダ6においては、第2実施形態と同様、ねじ送り機構16と転がり軸受8との直線的な距離(図5にAで示す距離)が離されているとともに、ホルダ本体61の上面に内部と連通する孔等の隙間がないことから、削りカスなどが生ずるねじ送り機構16と転がり軸受8とのホルダ6の表面に沿った距離(図5にBで示す距離)も更に離すことができるので、第3実施形態の電動弁よりも、不純物が転がり軸受8内部に入り込むことに起因する作動の不具合を抑制することができる。
【0038】
なお、図4図5の実施形態において転がり軸受8は、第1部材81が弁体2のロッド軸22と一体の円板状に形成されるものを例示したが、これに限らず、第1部材81の上部凸状部がばね受け62と当接するものであれば、第1部材81が弁体2と別体としてロッド軸22に嵌合されたものでもよい。
【0039】
次に、図6に基づき、本発明の第5実施形態に係る電動弁について説明する。本実施形態の電動弁は、第1実施形態の電動弁10と同様に、弁本体1と、弁体2と、弁ホルダ6と、駆動部としてのステッピングモータ3と、を備えている。本実施形態の電動弁では、弁ホルダ6の一部構成が第1実施形態の電動弁10と相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0040】
本実施形態の電動弁10では、ロータ軸32の下端部に鍔部32bがなく、弁ホルダ6のホルダ本体61の上側の挿通孔61aもなく、ロータ軸32の下端部と、ホルダ本体61の上面の中心部とが一体的に形成されており、さらに、弁体2のロッド軸22の下側の大部分が、ホルダ本体61の外部に位置して設けられている。転がり軸受8は、その第2部材82がホルダ本体61の内側に固定されている。弁ばね9は、弁体2のニードル部21と転がり軸受8の第1部材81との間に圧縮状態で設けられ、弁ホルダ6及び転がり軸受8に対して弁体2が下向きに付勢されている。弁体2のロッド軸22は、転がり軸受8の第1部材81に挿通され、弁体2は軸線方向Lに沿って変位可能に支持されている。
【0041】
以上の本実施形態の電動弁の弁ホルダ6においては、第2実施形態の電動弁と同様、ねじ送り機構16と転がり軸受8との直線的な距離(図6にAで示す距離)が離されているとともに、ロータ軸32の下端部と弁ホルダ6のホルダ本体61とが一体的に形成されていることで、ホルダ本体61の上面に内部と連通する孔等の隙間がないことから、削りカスなどが生ずるねじ送り機構16と転がり軸受8とのホルダ6の表面に沿った距離(図6にBで示す距離)も更に離すことができるので、ねじ送り機構16の削りカスなどの不純物が転がり軸受8内部に入り込むことに起因する作動の不具合を更に抑制することができる。
【0042】
次に、本発明の冷凍サイクルシステムを図7に基づいて説明する。図7は、本発明の冷凍サイクルシステムの一例を示す図である。図7において、符号100は前記各実施形態の電動弁10を用いた膨張弁であり、200は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、300は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、400は四方弁を構成する流路切換弁、500は圧縮機である。電動弁100、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、および圧縮機500は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。
【0043】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁400により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時には、図7に実線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室外熱交換器200に流入され、この室外熱交換器200は凝縮器として機能し、室外熱交換器200から流出された液冷媒は膨張弁100を介して室内熱交換器300に流入され、この室内熱交換器300は蒸発器として機能する。
【0044】
一方、暖房運転時には、図7に破線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室内熱交換器300、膨張弁100、室外熱交換器200、流路切換弁400、そして、圧縮機500の順に循環され、室内熱交換器300が凝縮器として機能し、室外熱交換器200が蒸発器として機能する。膨張弁100は、冷房運転時に室外熱交換器200から流入する液冷媒、または暖房運転時に室内熱交換器300から流入する液冷媒を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御する。なお、図7においては、冷房運転時に室外熱交換器200から液冷媒が膨張弁100の第1の継手管101に流入し、暖房運転時には、室内熱交換器300からの液冷媒が膨張弁100の第2の継手管102に流入するように冷凍サイクルに膨張弁100を設けているが、これに限らず、冷房運転時に室外熱交換器200からの液冷媒が膨張弁100の第2の継手管102に流入し、暖房運転時には室内熱交換器300からの液冷媒が膨張弁100の第1の継手管101に流入するように膨張弁100を冷凍サイクルに設けてもよい。
【0045】
以上の本発明の冷凍サイクルシステムによれば、上記したように、本実施形態の電動弁10は、ねじ送り機構16の削りカスなどの不純物が転がり軸受内部に入り込むことに起因する作動の不具合を生じる虞を低減させることができるので、運転時に作動の不具合を生じ難い冷凍サイクルシステムとすることができる。
【0046】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を第1~5実施形態に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0047】
例えば、上記した第1~5実施形態では、電動弁10を、冷凍サイクルシステムの膨張弁として使用したが、これに限定されず、例えば、ビル用のマルチエアコン等の室内機側の絞り装置等、他のシステムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 電動弁
1 弁本体
1A 弁ハウジング部材
1C 弁室
2 弁体
21 ニードル部
3 ステッピングモータ(駆動部)
6 弁ホルダ
61 ホルダ本体
62 ばね受
8 転がり軸受
81 第1部材
82 第2部材
8a 鋼球(転動部材)
9 弁ばね
13 弁座部
14 弁ポート
16 ねじ送り機構
32 ロータ軸(回転軸)
100 膨張弁
200 室外熱交換器(凝縮器、蒸発器)
300 室内熱交換器(凝縮器、蒸発器)
400 流路切換弁
500 圧縮機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7