(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】実装基板、電子装置、および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20241004BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20241004BHJP
H01L 23/04 20060101ALI20241004BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 L
H01L23/02 F
H01L23/04 E
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2020060399
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 明彦
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-107282(JP,A)
【文献】特開2014-127678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0153281(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
23/00-23/04
23/06-23/26
33/00
33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装領域を有する上面と、該上面の第1方向に位置する下面と、前記上面と前記下面とを繋ぐ側面と、該側面に位置し、前記第1方向に直交する第2方向に開口を有する凹部と、を有する基板と、
前記凹部内に位置する電極と、を備えており、
前記凹部は、前記基板の内側に、前記第2方向における前記開口の幅よりも前記第2方向における幅が広い幅広部を有し、
前記電極は、少なくとも前記幅広部に位置し、前記第2方向における幅が前記開口の幅よりも広く、
前記電極は、前記幅広部の少なくとも一部を埋めるように位置するビア導体と、前記ビア導体の表面に位置する表面電極と、を含
み、
前記基板は、前記幅広部と前記開口との間に、前記開口に向かって幅が狭くなる段差を有し、
前記段差は、前記幅広部に向かって延びる突起を有する、実装基板。
【請求項2】
前記凹部は、前記上面から前記下面にかけて位置している、請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記基板は、前記幅広部側から前記段差の角に向かう辺が凹曲状である、請求項
1または請求項2に記載の実装基板。
【請求項4】
実装領域を有する上面と、該上面の第1方向に位置する下面と、前記上面と前記下面とを繋ぐ側面と、該側面に位置し、前記第1方向に直交する第2方向に開口を有する凹部と、を有する基板と、
前記凹部内に位置する電極と、を備えており、
前記凹部は、前記基板の内側に、前記第2方向における前記開口の幅よりも前記第2方向における幅が広い幅広部を有し、
前記電極は、少なくとも前記幅広部に位置し、前記第2方向における幅が前記開口の幅よりも広く、
前記基板は、前記幅広部と前記開口との間に、前記開口に向かって幅が狭くなる段差を有し、
前記段差は、前記幅広部に向かって延びる突起を有する、実装基板。
【請求項5】
前記幅広部は、前記第1方向に直交する断面における形状が矩形状である、請求項1~
4のいずれか1つに記載の実装基板。
【請求項6】
前記基板は、前記幅広部よりも前記基板の内側に、前記幅広部に繋がり、前記幅広部よりも前記第2方向における幅の狭い窪み部を有し、
前記電極が前記窪み部にも位置する、請求項1~
5のいずれか1つに記載の実装基板。
【請求項7】
前記窪み部は、前記第1方向に直交する断面における形状が円弧状である、請求項
6に記載の実装基板。
【請求項8】
前記基板は、上面視形状が矩形状であり、対向する前記側面のそれぞれに前記凹部を有する、請求項1~
7のいずれか1つに記載の実装基板。
【請求項9】
前記基板における前記上面上に、前記実装領域を囲う枠体を備える、請求項1~
8のいずれか1つに記載の実装基板。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1つに記載の実装基板と、
該実装基板における前記実装領域に実装された電子素子と、を備える、電子装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の電子装置と、
前記電子装置の上方に位置する筐体と、を備える、電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受発光素子等が実装される実装基板、電子装置および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子素子(半導体素子)が実装される実装基板(絶縁基板)が知られている。(特許文献1参照)。このような実装基板は、外部の電極、外部基板等の接続するために、側面に凹部(キャスタレーション)を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、実装基板は、導体と絶縁層との接触面積(接合面積)が小さくなってきている。
このように、導体と絶縁層との接触面積が小さくなると、接触面積の減少に応じて接合強度が低くなるため、実装基板とするための加工または取扱いにおいて導体が絶縁層からはずれることによる信頼性の低下が懸念されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様に係る実装基板は、基板と、電極とを備えている。基板は、実装領域を有する上面と、該上面の第1方向に位置する下面と、前記上面と前記下面とを繋ぐ側面と、該側面に位置し、前記第1方向に直交する第2方向に開口を有する凹部と、を有する。電極は、前記凹部内に位置する。前記凹部は、前記基板の内側に、前記第2方向における前記開口の幅よりも前記第2方向における幅が広い幅広部を有し、前記電極は、少なくとも前記幅広部に位置し、前記第2方向における幅が前記開口の幅よりも広い。
【発明の効果】
【0006】
本開示の1つの態様に係る実装基板は、基板と電極との接合強度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)は本開示の第1の実施形態に係る実装基板および電子装置の外観を示す上面図であり、
図1(b)は
図1(a)のX1-X1線に対応する縦断面図である。
【
図2】
図2(a)は本開示の第1の実施形態を応用した態様に係る実装基板および電子装置の外観を示す上面図である。
【
図3】
図3は本開示の他の実施形態を応用した態様に係る実装基板および電子装置の上面図である。
【
図4】
図4は本開示の他の実施形態に係る実装基板および電子装置の上面図である。
【
図5】
図5は本開示の他の実施形態を応用した態様に係る実装基板および上面図である。
【
図6】
図6は本開示の第一の実施形態を応用した態様に係る実装基板および電子装置の下面図であり、
図6(b)は
図6(a)のX6-X6線に対応する縦断面図である。
【
図7】
図7は本開示の他の実施形態を応用した態様に係る実装基板および電子装置の上面図であり、
図7(b)は
図7(a)のX7-X7線に対応する縦断面図である。
【
図8】
図8は本開示の他の実施形態を応用した態様に係る実装基板および電子装置の上面図である。
【
図9】
図9は本開示の実施形態に係る電子モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実装基板および電子装置の構成>
以下、本開示のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、実装基板に電子素子が実装され、実装基板が筐体で覆われた構成を電子装置または電子モジュールとする。実装基板および電子装置は、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義し、z方向の正側を上方とする。
【0009】
(第1の実施形態)
図1および
図2を参照して本開示の第1の実施形態に係る実装基板1、並びにそれを備えた電子装置21について説明する。
図1は電子装置21を示している。なお、
図1においては筐体12を省略した図を示している。実装基板1は、基体2と電極3を有している。このとき、基体2は、後述する基板2aのみであってもよいし、基板2aおよび枠体2bで構成されるものであってもよい。
【0010】
図1に示すように、実装基板1は、基板2aと電極3とを有している。基板2aは実装領域4aを含む上面4bと、上面4bの第1方向である、例えばz方向に位置する下面4cと、上面4bと下面4cとを繋ぐ側面4dとを有する。また、基板2aは、側面4dに位置し、第1方向に直交する第2方向に開口を有する凹部5を有している。凹部5内に電極3が位置している。
【0011】
また、
図6に示すように、実装基板1は、基板2aの上面4b上に、実装領域4aを囲う枠体2bを有していてもよい。枠体2bは、基板2aと一体であってもよいし、別体であり、接合材などで接合されたものであってもよい。なお、ここでは、基板2aおよび枠体2bを基体2とする。
【0012】
図6に示す実装基板1では、基板2aおよび枠体2bは複数の層で構成されている。この複数の層は、複数の絶縁層であり、例えばモールドで形成された構成、金型等の押圧で形成された構成またはその他、1層のみの構成等であってもよい。基体2を構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂が含まれる。
【0013】
基体2を形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等が含まれる。基体2を形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、熱可塑性の樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が含まれる。フッ素系樹脂としては例えば、四フッ化エチレン樹脂が含まれる。
【0014】
基体2は、
図1に示すように4層から形成されていてもよいし、3層以下または5層以上の複数の層から形成されていてもよい。複数の層が3層以下の場合には、実装基板1の薄型化を図ることができる。また、複数の層が5層以上の場合には、実装基板1の剛性を高めることができる。また、各層に開口部を設け、設けた開口部の大きさを異ならせた上面に段差部を形成していてもよく、電子素子10と接続する電極パッドおよびその他の電極が段差部に設けられていてもよい。
【0015】
実装基板1は例えば、最外周の1辺の大きさは0.3mm~10cmであり、平面視に
おいて実装基板1が四角形状あるとき、正方形であってもよいし長方形であってもよい。また例えば、実装基板1の厚みは0.2mm以上である。
【0016】
基板2aの側面4dに位置した凹部5には、外部回路接続用の電極3が位置している。電極3は、実装基板1と外部回路基板、あるいは電子装置21と外部回路基板とを電気的に接続していてもよい。
【0017】
さらに基体2の上面4bまたは下面4cには、電極パッド、絶縁層間に形成される内部配線導体および内部配線導体同士を上下に接続する内部貫通導体が設けられていてもよい。これら電極3、内部配線導体または内部貫通導体は、基体2の表面に露出していてもよい。この電極3、内部配線導体または内部貫通導体によって、基体2内の電極3はそれぞれ電気的に接続されていてもよい。
【0018】
電極パッド、電極3、内部配線導体または/および内部貫通導体は、基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等が含まれる。また、銅(Cu)のみからなっていてもよい。また、電極パッド、電極3、内部配線導体または/および内部貫通導体は、基体2が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等が含まれる。
【0019】
電極パッド、電極3、内部配線導体または/および貫通導体の露出表面に、さらにめっき層を有していてもよい。この構成によれば、外部回路接続用の電極3、電極パッド、内部配線導体および貫通導体の露出表面を保護して酸化を低減することができる。また、この構成によれば、電極パッドと電子素子10と、をワイヤボンディング等の接続部材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5μm~10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5μm~3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
【0020】
図6に示す枠体2bは、基板2aの上面4bであって実装領域4aを囲んで位置している。言い換えると、基体2は枠体2bと基板2aとで凹部5を有し、実装領域4aに実装される電子素子10は凹部5の内側に実装される。
【0021】
凹部5は、基板2aの内側に、第2方向における開口の幅よりも第2方向における幅が広い幅広部6を有している。凹部5は、
図6に示すようなぞ上面視形状において、例えば台形であってもよいし、大きさの異なる矩形が組み合わさったような形状であってもよい。ここで矩形状とは、上面視または上面透視において、開口端部を結ぶ仮想線まで含んだ形状が矩形であるものを含む。他にも、矩形と半円形、矩形と半楕円形等が組み合わさったような形状であってもよい。凹部5が台形である場合には、開口が上底であるとすると、下底が上底よりも大きいものであればよい。凹部5は、上面4bから下面4cにかけて位置するものであってもよいし、上面4bから側面4dの途中、つまり下面4cまで到達しないものであってもよい。また、下面4cから側面4dの途中、つまり上面4bまで到達しないものであってもよい。また、上面4bおよび下面4cのどちらにも到達しないものであってもよい。なお、凹部5は、側面4dの正面視、上面視もしくは上面透視にて確認することができる。凹部5は、例えば一番長い辺、直径あるいは長軸が0.15mm~5.00mmである。また、基板2aの内側に向かう方向(奥行)は、例えば0.05mm~0.50mmである。
【0022】
電極3は、少なくとも幅広部6に位置し、第2方向における幅が開口の幅よりも広い。また、電極3は、幅広部6の内側面4dに沿ったものであってもよいし、幅広部6の一部を埋めるようなものであってもよい。また、幅広部6の一部に露出し、他の部分は基板2aの内部に位置するものであってもよい。幅広部6の最も大きい長さは、凹部5と同様に例えば0.20mm~6.00mmである。また、開口の幅は、例えば0.10mm~2.00mmである。このとき、電極3は、幅広部6の表面全体に位置していてもよいし、一部のみに位置していてもよい。また、幅広部6の表面全体に位置するとともに、内部の一部は位置せずに凹んでいてもよい。電極3は、表面電極とビア導体とを有していてもよい。つまり、幅広部6を埋めるようにビア導体が位置しており、そのビア導体の表面に表面電極が位置している。
【0023】
本開示の実施形態に係る実装基板1は、上述したように凹部5が幅広部6を有しており、電極3が幅広部6に位置していることで、実装基板1が小型化したとしても、基板2aと電極3との接触面積を確保することができるため、基板2aと電極3とがはがれるおそれが少ない。その結果、外部との接続において、実装信頼性が向上する。
【0024】
<電子装置の構成>
図1および後述する他の実施形態の
図4に電子装置21の例を示す。電子装置21は、実装基板1と、実装基板1の実装領域4aに実装された電子素子10と、実装基板1の上面に位置する筐体12を備えている。
【0025】
電子装置21は、実装基板1と、実装領域4aに実装された電子素子10とを有している。電子素子10の一例としては、例えば反射型CMOSセンサ、LED(Light emitting diode)およびLD(Laser diode)等の発光素子、コンデンサまたはPD(Photo diode)センサ等がある。電子素子10と実装基板1とは例えば接続部材13で電気的に接続されていてもよい。電子装置21は実装基板1を覆った蓋体を有している。蓋体は金属または樹脂を材料とする筐体と樹脂またはガラス材を材料とする板状の透明部材が合わさった形状であってもよいし、ガラス板のように平板状であってもよい。蓋体が筐体と板材が合わさった形状を有することでより気密性の向上または外部からの応力が直接電子装置21に加えられることを低減することが可能となる。蓋体は、例えば樹脂または金属材料等から成る。また、蓋体は、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなる透明な蓋体が上面に位置していてもよい。また、蓋体は、実装基板1の表面に位置するパッド等と半田などの接合材を介して電気的に接続されていてもよい。
【0026】
なお、蓋体は上面視において4方向または下面4c側の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、蓋体の開口部から外部回路基板が挿入され実装基板1と電気的に接続していてもよい。また蓋体の開口部は、外部回路基板が実装基板1と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて電子装置21の内部が気密されていてもよい。
【0027】
<電子モジュールの構成>
図9に示すように、電子モジュール31は、電子装置21と電子装置21の上面に位置する筐体12とを有している。なお、以下に示す例では説明のため撮像モジュールを例に説明する。
【0028】
電子モジュール31は筐体12(レンズホルダー)を有していてもよい。筐体12を有することでより気密性の向上または外部からの応力が直接電子装置21に加えられることを低減することが可能となる。筐体12は、例えば樹脂または金属材料等から成る。また、筐体12がレンズホルダーであるとき筐体12は、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなるレンズが1個以上組み込まれていてもよい。また、筐体12は、上下左右の駆動を
行う駆動装置等が付いていて、電子素子実装用基板1の表面に位置するパッド等と半田などの接合材を介して電気的に接続されていてもよい。
【0029】
なお、筐体12は上面視において4方向の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、筐体12の開口部から外部回路基板が挿入され電子素子実装用基板1と電気的に接続していてもよい。また筐体12の開口部は、外部回路基板が電子素子実装用基板1と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて電子モジュール31の内部が気密されていてもよい。なお、電子モジュール31は、別にさらに電子素子10を覆う蓋体を有していてもよい。
【0030】
<実装基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の実装基板1および電子装置21の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、多数個取り配線基板を用いた基板2の製造方法である。
【0031】
(1)まず、基体2(基板2aおよび枠体2b)を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体である基体2を得る場合には、Al2O3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、ドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0032】
なお、基体2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法、インジェクションモールド法または金型等での押圧等で成形することによって基体2を形成することができる。また、基体2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって基体2を形成できる。
【0033】
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに電極パッド、電極3、内部配線導体または/および内部貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、基体2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
【0034】
また、基体2が樹脂から成る場合には、電極パッド、電極3、内部配線導体または/および内部貫通導体は、スパッタ法、蒸着法等によって作製することができる。また、表面に金属膜を設けた後に、めっき法を用いて作製してもよい。
【0035】
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。ここで基体2が開口部またはノッチ等を有する場合、基体2となるグリーンシートの所定の箇所に、開口部またはノッチ等を形成してもよい。
【0036】
(4)次に基体2の各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧する。このことにより各絶縁層となるグリーンシートを積層し、基体2となるセラミックグリーンシート積層体を作製してもよい。また、この時、複数層を積層したセラミックグリーンシートの所定の位置に、金型、パンチング、またはレーザー等を用いて枠体2bの開口部を設けてもよい。
【0037】
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500℃~1800℃の温度で焼成して、実装基板1が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、実装基板1となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、電極パッド、電極3、内部配線導体または/および内部貫通導体となる。
【0038】
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の実装基板1に分断する。この分断においては、実装基板1の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により実装基板1の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。なお、上述した多数個取り配線基板を複数の実装基板1に分割する前もしくは分割した後に、それぞれ電解または無電解めっき法を用いて、電極3、電極パッド、内部配線導体および内部貫通導体にめっきを被着させてもよい。
【0039】
(7)次に、実装基板1の実装領域4aに電子素子10を実装する。電子素子10はワイヤボンディング等の接続部材13で実装基板1と電気的に接合させる。またこのとき、電子素子10または実装基板1に接着材等を設け、実装基板1に固定しても構わない。また、電子素子10を実装基板1に実装した後、蓋体を接合してもよい。
【0040】
以上(1)~(7)の工程のようにして実装基板1を作製し、電子素子10を実装することで、電子装置21を作製することができる。なお、上記(1)~(7)の工程順番は加工可能な順番であれば指定されない。
【0041】
(他の実施形態)
本実施形態における実装基板1において、第1の実施形態の実装基板1と異なる点は、基板2aが、幅広部6と開口との間に、開口に向かって幅が狭くなる段差7を有する点である。
【0042】
図4に示す例では、基板2aは、幅広部6と開口との間に、開口に向かって幅が狭くなる段差7を有している。例えば、上述した大きさの異なる矩形の組み合わせであれば、矩形と矩形の境界のところにできる段差7のことをいう。この段差7は上面視あるいは上面透視において、左右対称であってもよいし、非対称であってもよい。
【0043】
このとき、
図7に示すように、基板2aは、幅広部6側から段差7の角に向かう辺が凹曲状であってもよい。角が凹曲状になっていることによって、電極3と基板2aとの熱膨張係数差等による角への応力の負荷を低減させることができる。このとき、凹曲状とは、凹部5からみれば凸形状になっている。
【0044】
図8に示すように、段差7は、幅広部6に向かって伸びる突起8を有していてもよい。突起8は、わずかに幅広部6に延びたようなものであってもよい。突起8は、上面視または上面透視において、例えば対象の山形状であってもよいし、非対称なものであってもよい。先端が尖っていてもよいし、まるくなっていてもよい。突起8があることによって、突起8がない場合よりもさらに電極3が剥がれ難くなる。
【0045】
図5に示すように、基板2aは、幅広部6よりも基板2aの内側に窪み部9をさらに有していてもよい。窪み部9は、幅広部6と繋がっており、幅広部6よりも第2方向におけ
る幅が狭い。このとき、電極3は、窪み部9にも位置しているのがよい。このことによって、電極3が基板2aとの十分な接触面積を確保することができるため、電極3が基板2aから剥がれるおそれを低減させることができる。窪み部9は、例えば、長辺、長軸あるいは直径が0.20mm~1.00mmである。窪み部9の深さは、凹部5の深さとことなっていてもよい、つまり、凹部5の一部とのみ繋がっていてもよい。
【0046】
窪み部9は、第1方向に直交する断面における形状が円弧状であってもよい。つまり、一般的なビア導体の一部のような形状であってもよい。円弧状であることによって、基板2aとの接触面積を増やしつつ、基板2aと電極との熱膨張係数差による応力負荷を低減させやすくすることができる。
【0047】
図3に示すように、基板2aは、凹部5を複数有していてもよい。複数有している場合には、複数の凹部5同氏は、隣り合って位置していてもよいし、離れていてもよい。また、高さ位置や、形成されている高さ範囲が異なっていてもよい。特に、基板2aの上面視形状が矩形状である場合には、対向する側面4dのそれぞれに凹部5を有していてもよい。このとき、対向する側面4dには、同じ数の凹部5があってもよいし、異なる数の凹部5であってもよい。また、対向する凹部5の大きさが異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0048】
また基板2aの下面4cまで凹部5が位置しており、基板2aの下面2cに外部電極パッドがある場合には、外部電極パッドと凹部5が繋がっていてもよい。
【0049】
なお、本開示は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。また、例えば、各図に示す例では、電極3の形状は上面視においてその他の多角形状であってもかまわない。また、本実施形態における電極3の配置、数、形状および電子素子の実装方法などは指定されない。なお、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものでない。また、各実施形態同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・実装基板
2・・・・基体
2a・・・基板
2b・・・枠体
3・・・・電極
4a・・・実装領域
4b・・・上面
4c・・・下面
4d・・・側面
5・・・・凹部
6・・・・幅広部
7・・・・段差
8・・・・突起
9・・・・窪み部
10・・・電子素子
12・・・筐体
13・・・接続部材
21・・・電子装置
31・・・電子モジュール