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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】医用情報処理装置及び医用情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20241004BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020065834
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2020173801
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019072923
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三森 恵太
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010344(JP,A)
【文献】特開2009-238037(JP,A)
【文献】特開2008-192044(JP,A)
【文献】特開2008-305359(JP,A)
【文献】特開2005-085200(JP,A)
【文献】特開2013-045195(JP,A)
【文献】特開2009-104476(JP,A)
【文献】特開2010-277159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の診療内容が記載された診療データから、前記診療内容を表す第1のデータを抽出する第1の抽出部と、
前記被検体の検査結果が記載された一又は複数の検査データの中から、前記第1のデータに関連する前記検査結果を表した第2のデータを含む検査データを抽出する第2の抽出部と、
前記第1の抽出部が抽出した前記第1のデータに含まれる項目と、前記第2の抽出部が抽出した前記検査データの前記第2のデータに含まれる項目とを比較し、両項目間の対応関係を判定する判定部と、
前記診療データと前記第2の抽出部が抽出した前記検査データとを同一の画面に表示させるとともに、表示された前記診療データ及び前記検査データに含まれる項目のうち、前記判定部で対応関係が成立すると判定された項目の位置を識別可能に表示させる表示制御部と、
新たな前記診療データの作成に係る処理を実行するデータ管理部と、
を備え
前記第1の抽出部は、前記データ管理部により前記診療データの作成に係る処理が実行された場合に、当該診療データから前記第1のデータを抽出し、
前記データ管理部は、前記判定部で対応関係が不成立と判定された前記項目の個数を、前記診療データを作成した医療従事者毎に累計する、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1のデータに含まれる項目と前記第2のデータに含まれる項目との間で、その内容が一致又は類似する場合、当該項目間で対応関係が成立すると判定する請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1のデータに含まれる項目と前記第2のデータに含まれる項目との間に、対応関係の成立しない独立した項目が存在する場合、当該項目の対応関係が不成立と判定し、
前記表示制御部は、前記判定部で対応関係が不成立と判定された項目を識別可能に表示させる請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第2のデータに含まれた項目に対応する内容が前記第1のデータに含まれない場合、又は前記第1のデータに含まれた項目に対応する内容が前記第2のデータに含まれない場合、当該項目の対応関係が不成立と判定し、
前記表示制御部は、前記判定部で対応関係が不成立と判定された項目を識別可能に表示させる請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記判定部で対応関係が不成立と判定された項目に関するコメントを入力することが可能なユーザインタフェースを前記画面に表示させる請求項3又は4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記第2の抽出部が抽出した前記検査データ毎に当該検査データの表示を指示するための操作子を前記画面に表示させ、前記操作子に対する操作に応じて当該操作子に対応する前記検査データを前記画面に表示させる請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記第2の抽出部が抽出した前記検査データの中に、前記判定部で対応関係が不成立と判定された項目が含まれる場合、当該検査データに対応する前記操作子に、不成立と判定された項目が存在することを示す情報を付加して表示させる請求項6に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記検査データが数値データである場合、前記検査データの検査結果が表す計測値と、前記被検体の容態判別に係る前記計測値の基準範囲とを比較することで判別した前記被検体の容態に応じて、前記検査データの表示形態を切り替える請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
被検体の診療内容が記載された診療データから、前記診療内容を表す第1のデータを抽出し、
前記被検体の検査結果が記載された一又は複数の検査データの中から、前記第1のデータに関連する前記検査結果を表した第2のデータを含む検査データを抽出し、
前記第1のデータに含まれる項目と、抽出された前記検査データの前記第2のデータに含まれる項目とを比較し、両項目間の対応関係を判定し、
前記診療データと抽出した前記検査データとを同一の画面に表示させるとともに、表示された前記診療データ及び前記検査データに含まれる項目のうち、対応関係が成立すると判定された項目の位置を識別可能に表示させる、
ことを含み、
新たな前記診療データの作成に係る処理が実行されると、当該診療データから前記第1のデータを抽出し、
対応関係が不成立と判定された前記項目の個数を、前記診療データを作成した医療従事者毎に累計することを更に含む、医用情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用情報処理装置及び医用情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療の現場で用いられている医用データには、生理検査データや画像データ等の検査データ、電子カルテ等の診療データ等の様々な種々が存在している。医師等の医療従事者は、それらの医用データを総合的に見て、被検体(例えば患者)の治療を行っている。例えば、医療従事者は、検査結果が記録された検査データの内容に基づいて、被検体に対して行った診療内容を診療データに記載(記録)している。
【0003】
また、医療従事者が病名等の診療内容を記録する際に、その診療内容に至った検査結果を登録することで、どの検査結果を根拠としたのかを把握できるようにする方法が知られている。しかしながら、診療内容を記録する度に根拠となる検査結果を登録する操作は煩わしく、利便性に欠ける。また、診療内容の記録時に検査結果の登録を行わなかった場合には、根拠となる検査結果を特定することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-155458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、診療データに記載された診療内容と、当該診療内容の根拠となる検査結果との対応関係を容易に把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用情報処理装置は、第1の抽出部と、第2の抽出部と、判定部と、表示制御部と、データ管理部とを備える。第1の抽出部は、被検体の診療内容が記載された診療データから、前記診療内容を表す第1のデータを抽出する。第2の抽出部は、前記被検体の検査結果が記載された一又は複数の検査データの中から、前記第1のデータに関連する前記検査結果を表した第2のデータを含む検査データを抽出する。判定部は、前記第1の抽出部が抽出した前記第1のデータに含まれる項目と、前記第2の抽出部が抽出した前記検査データの前記第2のデータに含まれる項目とを比較し、両項目間の対応関係を判定する。表示制御部は、前記診療データと前記第2の抽出部が抽出した前記検査データとを同一の画面に表示させるとともに、表示された前記診療データ及び前記検査データに含まれる項目のうち、前記判定部で対応関係が成立すると判定された項目の位置を識別可能に表示させる。データ管理部は、新たな前記診療データの作成に係る処理を実行する。また、第1の抽出部は、前記データ管理部により前記診療データの作成に係る処理が実行された場合に、当該診療データから前記第1のデータを抽出し、データ管理部は、前記判定部で対応関係が不成立と判定された前記項目の個数を、前記診療データを作成した医療従事者毎に累計する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る医用情報システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態の第1の抽出機能及び第2の抽出機能に係るモデルの生成方法を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る検査結果DBのデータ構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る第1の抽出機能及び第2の抽出機能の動作の一例を説明するための図である。
図6図6は、実施形態の表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態の表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態の表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態の表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態の表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態の表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態の医用情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態の変形例3に係る表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図14図14は、実施形態の変形例3に係る表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
図15図15は、実施形態の変形例3に係る表示制御機能によって表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置及び医用情報処理方法の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る医用情報システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、医用情報システム1は、医用情報処理装置100、検体検査システム200、放射線部門システム300及び統合データサーバ400等を有する。医用情報処理装置100、検体検査システム200、放射線部門システム300及び統合データサーバ400は、LAN(Local Area Network)等のネットワークN1を介して通信可能に接続される。なお、ネットワークN1に接続される医用情報処理装置100の個数は特に問わないものとする。
【0010】
医用情報処理装置100は、例えば、医師等の医療従事者や部署毎に用意され、種々の用途に使用される。例えば、医用情報処理装置100は、患者等の被検体に係る各種医用データの表示に用いられる。また、医用情報処理装置100は、患者等の被検体に対して行われた診療内容に関する診療データの作成に用いられる。医用情報処理装置100で作成(生成)された診療データは、統合データサーバ400に送信される。例えば、医用情報処理装置100は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ、タブレット端末等のコンピュータ機器によって実現される。
【0011】
検体検査システム200は、被検体に対して行われた検体検査に関する検体検査データを生成し、検体検査システム200内の記憶回路に記憶する。そして、検体検査システム200は、記憶回路に記憶されている検体検査データを統合データサーバ400に送信する。
【0012】
放射線部門システム300は、被検体を撮像することで得られた画像データを、放射線部門システム300内の記憶回路に記憶する。また、放射線部門システム300は、被検体に対して実施された生理検査や画像検査に関するレポートデータ、カンファレンスデータを生成し、システム内の記憶回路に記憶する。例えば、放射線部門システム300は、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)等を含む。また、画像検査には、X線CT(Computed Tomography)装置によって撮像されたCT画像を用いた検査や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置によって撮像されたMR画像を用いた検査、超音波診断装置によって撮像された超音波画像を用いた検査、X線診断装置によって撮像されたX線画像を用いた検査等が含まれる。そして、放射線部門システム300は、記憶回路に記憶されている画像データ、レポートデータ及びカンファレンスデータを統合データサーバ400に送信する。
【0013】
統合データサーバ400は、プロセッサ等の処理回路、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって実現される記憶回路を備る、ワークステーションやサーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。
【0014】
統合データサーバ400は、医用情報処理装置100、検体検査システム200及び放射線部門システム300等から各種のデータを収集し、サーバ内の記憶回路に記憶する。具体的には、統合データサーバ400の記憶回路は、医用情報処理装置100、検体検査システム200及び放射線部門システム300等から取得した各種のデータを記憶・管理するための統合DB(Data Base)410を保持する。
【0015】
例えば、統合DB410には、診療データ、検体検査データ、生理検査データ、画像データ、レポートデータ、カンファレンスデータ等が含まれる。診療データは、医用情報処理装置100から取得した被検体の診療内容に関する電子カルテ等の診療データである。検体検査データは、検体検査システム200から取得した検体検査に関する検査データである。また、生理検査データは、放射線部門システム300から取得したバイタルに関する検査データである。また、画像データ、レポートデータ及びカンファレンスデータは、放射線部門システム300から取得した画像検査に関する検査データである。以下では、診療データ、検体検査データ、生理検査データ、画像データ、レポートデータ及び診療データを総称して「医用データ」ともいう。
【0016】
ここで、統合DB410に記憶される診療データには、診療内容等の情報、作成日時を示す情報、被検体を識別する情報(患者ID)、作成者(医療従事者)を識別する情報(医療従事者ID)等が含まれる。また、検査データには、作成日時及び患者IDを示す情報の他、検査によって得られた数値(計測値)や画像、読影レポート等の情報、検査日時を示す情報、検査を担当した医療従事者の医療従事者ID等が含まれる。
【0017】
なお、統合データサーバ400は、医用情報処理装置100、検体検査システム200及び放射線部門システム300等の各システムに記憶された医用データを収集するだけでなく、各システムで得られた医用データを直接収集する構成としてもよい。また、統合データサーバ400は、医用情報処理装置100、検体検査システム200及び放射線部門システム300内や、これらのシステム外に分散して存在する医用データを収集する構成としてもよい。
【0018】
上述した医用情報システム1の構成において、医用情報処理装置100は、統合データサーバ400が管理する医用データを表示することが可能となっている。例えば、医用情報処理装置100を操作する医用従事者(以下、ユーザともいう)は、診療データの作成や被検体の診断等のため、被検体の検査データや過去に作成された診療データを統合データサーバ400から取得し表示することができる。以下、医用情報処理装置100の構成について説明する。
【0019】
図2は、医用情報処理装置100の構成の一例を示す図である。図2に示すように。医用情報処理装置100は、通信インタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。
【0020】
通信インタフェース110は、処理回路150に接続されており、医用情報処理装置100と各システムとの間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、通信インタフェース110は、各システムから医用データを受信し、受信した医用データを処理回路150に出力する。例えば、通信インタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0021】
記憶回路120は、処理回路150に接続されており、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路120は、各システムから受信した医用データを記憶する。また、記憶回路120は、条件設定テーブル等を記憶する。例えば、記憶回路120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。なお、記憶回路120は、記憶部の実現手段の一例である。
【0022】
入力インタフェース130は、処理回路150に接続されており、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース130は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路150に出力する。例えば、入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、入力インタフェース130は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0023】
ディスプレイ140は、処理回路150に接続されており、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ140は、処理回路150から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ140は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0024】
処理回路150は、入力インタフェース130を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、医用情報処理装置100の構成要素を制御する。具体的には、処理回路150は、通信インタフェース110から出力される医用データを記憶回路120に記憶させる。また、処理回路150は、記憶回路120から医用データを読み出し、ディスプレイ140に表示する。例えば、処理回路150は、プロセッサによって実現される。
【0025】
また、医用情報処理装置100は、診療データの作成作業や、診療データに記載された診療内容の確認作業等に関し、医療従事者を支援するための機能を有している。具体的には、医用情報処理装置100は、データ管理機能151と、第1の抽出機能152と、第2の抽出機能153と、判定機能154と、表示制御機能155とを有する。なお、データ管理機能151は、データ生成部の一例である。また、データ管理機能151は、データ管理部の一例である。また、第1の抽出機能152は、第1の抽出部の一例である。第2の抽出機能153は、第2の抽出部の一例である。判定機能154は、判定部の一例である。表示制御機能155は、表示制御部の一例である。
【0026】
データ管理機能151は、医用データの管理に係る各種の処理を実行する。例えば、データ管理機能151は、表示制御機能155と協働することで、新たな診療データの作成に係る処理を実行する。具体的には、データ管理機能151は、入力インタフェース130等を介して診療内容が入力(記載)されると、入力された診療内容を記録した診療データを生成し、記憶回路120に記憶させる。また、データ管理機能151は、診療データの作成完了が指示されると、記憶回路120に記憶した診療データを統合データサーバ400に送信する。
【0027】
ここで、診療内容の入力方法は特に問わないものとする。例えば、診療内容は、SOAP形式等の記載方法を用いて入力されてもよい。かかるSOAP形式では、被検体の症状毎に、S(Subject:主観的情報)、O(Object:客観的情報)、A(Assessment:アセスメント)、P(Plan:計画)に分けて診療内容が入力される。
【0028】
また、データ管理機能151は、医用データや当該医用データに含まれる特定の項目に対しコメント等の入力が行われた場合、その入力された内容を記憶するための処理を実行する。具体的には、データ管理機能151は、入力された内容を記録したコメントデータを、入力先となった医用データや項目に対応付けて記憶する。
【0029】
第1の抽出機能152は、被検体の診療内容が記載された診療データから、診療内容を表す第1のデータを抽出する。また、第2の抽出機能153は、被検体の検査結果が記録された検査データ(検体検査データ、生理検査データ、画像データ、レポートデータ、カンファレンスデータ)の中から、第1のデータに関連する検査結果を表す第2のデータを含む検査データを抽出する。
【0030】
ここで、第1の抽出機能152及び第2の抽出機能153の実現方法は特に問わず、種々の方法を採用することが可能である。本実施形態では、第1の抽出機能152及び第2の抽出機能153の実現方法として、機械学習モデル等のモデルを用いる方法について説明する。
【0031】
まず、図3を参照して、第1の抽出機能152及び第2の抽出機能153に係るモデルの生成方法について説明する。図3は、第1の抽出機能152及び第2の抽出機能153に係るモデルの生成方法を説明するための図である。
【0032】
まず、統合データサーバ400の統合DB410に記憶された複数の被検体の過去の診療データから、第1の抽出機能152に係るモデル(以下、第1のモデル)M1が生成される。具体的には、統合DB410に記憶された診療データの各々を入力とし、その診療データに表された診療内容を表す文字列の関係を単語レベルや文脈レベルで解析(機械学習)することで、当該診療内容を表す第1のデータを出力することが可能な第1のモデルM1を生成する。ここで、第1のモデルM1から出力される第1のデータは、検査データの検査結果(後述する第2のデータ)と比較可能な形式で生成される。例えば、第1のデータは、第2のデータとの関連性を比較可能な単語群や文字列等の項目で構成される。
【0033】
なお、診療内容の解析は、例えば、Word2VecやDoc2Vec等の技術を用いることができる。かかる技術を用いた場合、第1のデータは、診療内容を表す文字列を単語レベル又は文脈レベルでベクトル化したベクトルデータとして出力される。また、SOAP形式を認識するルールエンジン等を用いることで、SOAPの4つのカテゴリのうち、何れかのカテゴリを解析対象とし、項目毎に第1のモデルM1を生成してもよい。図3では、O及びAのカテゴリを解析対象として、当該カテゴリ毎に第1のモデルM1(第1のモデルM1a、第1のモデルM1b)を生成した例を示している。
【0034】
また、統合DB410に記憶された複数の被検体の過去の検査データから、第2の抽出機能153に係るモデル(以下、第2のモデル)M2が生成される。具体的には、検査データの各々を入力とし、検査データに表された検査結果を表す文字列の関係を単語レベルや文脈レベルで解析(機械学習)することで、当該検査結果を表す第2のデータを出力することが可能な第2のモデルM2を生成する。ここで、第2のモデルM2から出力される第2のデータは、診療データの診療結果(第1のデータ)と比較可能な形式で生成される。例えば、第2のデータは、第1のデータとの関連性を比較可能な単語群や文字列等の項目で構成される。
【0035】
なお、検査結果の解析は、例えば、診療内容の解析と同様、Word2VecやDoc2Vec等の技術を用いることができる。かかる技術を用いた場合、第2のデータは、検査結果を表す文字列を単語レベルや文脈レベルでベクトル化したベクトルデータとして出力される。また、検査データのフォーマットを認識するルールエンジン等を用いることで、特定の検査結果等を解析対象に設定してもよい。
【0036】
また、第2のモデルM2は、種別の異なる検査データから一の第2のモデルM2を生成してもよいし、検査データの種別毎に第2のモデルM2を生成してもよい。図3では、生理検査データから第2のモデルM2aを生成し、レポートデータ及びカンファレンスデータから第2のモデルM2bを生成した例を示している。
【0037】
なお、検査データが画像データの場合には、画像に表された特徴を解析(機械学習)させることで、当該特徴を第2のデータとして出力する第2のモデルM2を生成してもよい。また、検査結果がバイタル等の計測値で表される場合には、数値の時系列的な変化率も考慮した形式で出力することが可能な第2のモデルM2を生成することが好ましい。
【0038】
さらに、医用情報システム1では、第2の抽出機能153の動作に係るデータセットとして、上述した第2のモデルM2を用いて生成した検査結果DB420が用意される。検査結果DB420は、統合DB410に記憶された検査データ毎に、当該検査データを第2のモデルM2に入力することで得られた第2のデータを対応付けて保持する。
【0039】
図4は、検査結果DB420のデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、検査結果DB420は、検査データD2に係る被検体の患者IDと、検査データD2を第2のモデルM2に入力することで得られた第2のデータと、検査データD2を識別する検査結果IDとを対応付けて記憶する。
【0040】
なお、上述した第1のモデルM1及び第2のモデルM2は、予め生成されているものとするが、モデルを生成する装置は特に問わないものとする。例えば、第1のモデルM1及び第2のモデルM2は、統合データサーバ400が生成してもよいし、モデル生成用の専用の装置が生成してもよい。また、第1のモデルM1、第2のモデルM2及び検査結果DB420は、医用情報処理装置100の各々が記憶回路120等に保持する形態としてもよいし、統合データサーバ400等の他の装置が保持する形態としてもよい。後者の場合、第1の抽出機能152及び第2の抽出機能153は、統合データサーバ400等の他の装置が保持する第1のモデルM1や検査結果DB420を用いて抽出処理を実行する。
【0041】
次に、図5を参照して、上述の第1のモデルM1及び検査結果DB420を用いた、第1の抽出機能152及び第2の抽出機能153の動作について説明する。ここで、図5は、第1の抽出機能152及び第2の抽出機能153の動作の一例を説明するための図である。
【0042】
例えば、第1の抽出機能152は、新たに作成された被検体の診療データD1について、記載内容のチェック等がユーザから指示されると、診療データD1を第1のモデルM1に入力する。そして、第1の抽出機能152は、第1のモデルM1の出力結果を、診療データD1に記載された診療内容を表す第1のデータD1aとして抽出(取得)する。図5では、診療データD1を構成するSOAPのカテゴリのうち、O及びAのカテゴリ用に生成された第1のモデルM1a、M1bを用いることで、第1のデータD1a、D1bが抽出された例を示している。
【0043】
一方、第2の抽出機能153は、検査結果DB420を参照し、第1の抽出機能152が抽出した第1のデータD1a、D1bに関連する第2のデータを含んだ被検体の検査データ(検査結果ID)を特定する。具体的には、第2の抽出機能153は、検査結果DB420を参照し、診療データD1に係る被検体の患者IDを含んだデータエントリを絞り込む。次いで、第2の抽出機能153は、第1の抽出機能152が抽出した第1のデータD1a及びD1bと、絞り込んだデータエントリに含まれる第2のデータとを比較し、第1のデータD1a、D1bの各々に関連する第2のデータを含んだデータエントリの検査結果IDを特定する。そして、第2の抽出機能153は、特定した検査結果IDに対応する検査データを統合DB410から抽出する。
【0044】
なお、第1のデータD1a、D1bと第2のデータとの間の関連度は、公知の技術を用いて算出することができる。例えば、第1のデータD1a、D1bと第2のデータとが共にベクトルデータで表される場合、両ベクトルのなす角度等に基づき両データ間の関連度を求めることができる。ここで、関連度は、第1のデータと第2のデータとの対応関係や相関関係の強さを示す指標であり、関連度が高いほど共通する記載内容や類似する記載内容が多く含まれることを意味する。つまり、第2の抽出機能153は、閾値等を用いて関連度がより高い第2のデータを特定することで、診療データD1に記載された診療内容の根拠となる検査結果が記載された検査データを特定する。そして、第2の抽出機能153は、特定した検査結果IDを、処理対象となった診療データD1を識別するカルテIDと対応付けて保持する。なお、第2の抽出機能153は、関連度が閾値を上回る第2のデータが複数存在する場合、関連度が最大の第2のデータを一つ特定してもよいし、全ての第2のデータを特定してもよい。
【0045】
このように、第1の抽出機能152は、第1のモデルM1を用いることで、処理対象なった被検体の診療データから診療内容を表す第1のデータを抽出する。また、第2の抽出機能153は、第1の抽出機能152が抽出した第1のデータに関連する検査結果を表した第2のデータを含む検査データ、つまり診療内容の根拠となる検査結果を含んだ検査データを抽出する。
【0046】
図2に戻り、判定機能154は、第1の抽出機能152が抽出した第1のデータに含まれる項目と、第2の抽出機能153が特定した検査データの第2のデータに含まれる項目とを比較し、両項目間の対応関係を判定する。ここで、第1のデータ及び第2のデータに含まれる項目は、例えば、単語レベルや文脈レベルで区分された、診療内容や検査結果を表す文字列(数値も含む)を意味する。
【0047】
具体的には、判定機能154は、第1のデータに含まれる項目と第2のデータに含まれる項目との間で、文字列が一致する項目や文字列が意味する内容が類似する項目が存在する場合、それらの両項目間で対応関係が成立すると判定する。また、判定機能154は、第1のデータに含まれる項目と第2のデータに含まれる項目との間で、対応関係の成立しない独立した項目が存在する場合、当該項目の対応関係が不成立と判定する。
【0048】
例えば、判定機能154は、第2のデータに含まれた項目に対応する内容が第1のデータに含まれない場合、当該項目の対応関係が不成立と判定する。この場合、対応関係が不成立と判定された項目の検査結果が、診療データの診療内容に反映されていないことを意味する。また、例えば、判定機能154は、第1のデータに含まれた項目に対応する内容が第2のデータに含まれない場合、当該項目の対応関係が不成立と判定する。この場合、対応関係が不成立と判定された項目の診療内容が、検査データの検査結果に基づいていないことを意味する。なお、判定機能154は、第1のデータ及び第2のデータに含まれる全ての項目について対応関係を判定する構成としてもよいし、予め定められたフォーマットの文字列や用語等の項目について対応関係を判定する構成としてもよい。
【0049】
表示制御機能155は、上述したデータ管理機能151、第1の抽出機能152、第2の抽出機能153及び判定機能154と協働し、医療従事者を支援するための各種画面をディスプレイ140に表示させる。
【0050】
図6は、表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図である。図6に示すように、画面G1は、タイムライン表示領域G11と、データ表示領域G12とを有する。
【0051】
タイムライン表示領域G11には、被検体に対して行われた医療行為の各々がイベントとして時系列順に表示される。イベントは、検体検査システム200により検体検査の取得イベント(検体検査)、放射線部門システム300による生理検査データの取得イベント(生理検査)、放射線部門システム300による画像データ、レポートデータ及びカンファレンスデータの取得イベント(画像検査、レポート、カンファ)、医用情報処理装置100による診療データの取得イベント(カルテ)等を意味する。例えば、表示制御機能155は、患者に対する診療行為のイベントの内容を象徴的に表す図柄を、時系列順に配置して表示する。
【0052】
表示制御機能155は、入力インタフェース130等を介して、タイムライン表示領域G11に表示された何れかのイベントを指定する操作を受け付けると、統合データサーバ400を参照し、指定されたイベントに対応する医用データを取得する。また、表示制御機能155は、タイムライン表示領域G11に表示された表示期間のうちの何れかの時点又は期間を指定する操作を受け付けると、統合データサーバ400を参照し、指定された時点又は期間で実施されたイベントに対応する医用データを取得する。そして、表示制御機能155は、取得した医用データをデータ表示領域G12に表示させる。
【0053】
例えば、医用データが画像データである場合、表示制御機能155は、当該画像データの内容をデータ表示領域G12内に表示させる。また、例えば、医用データが検体検査データや生理検査データ等である場合、表示制御機能155は、指定された時点の計測値や、指定された期間に得られた各計測値、当該計測値の時系列的変化を示すグラフ等をデータ表示領域G12に表示させる。
【0054】
ここで、医用データの各々は、データ表示領域G12において、データ表示領域G12よりも小さな小領域(以下、パネル)内に表示される。これにより、データ表示領域G12では、複数の医用データを同一の画面内に表示することが可能となっている。
【0055】
なお、パネルの大きさは特に問わないものとする。例えば、パネルの大きさは、医用データのデータ種別毎に定めた固定値であってもよいし、表示する医用データの個数に応じて動的に変化させてもよい。また、データ表示領域G12内に表示可能なパネルの個数も特に問わず、固定値であってもよいし、表示する医用データの個数等に応じて動的に増減させてもよい。また、パネルのレイアウトも特に問わず、固定のレイアウトであってもよいし、表示する医用データの個数等に応じて動的に変化させてもよい。
【0056】
また、表示制御機能155は、データ管理機能151と協働することで、新たな診療データを作成するためのパネルをデータ表示領域G12に表示させる。具体的には、表示制御機能155は、入力インタフェース130等を介して新たな診療データの作成が指示されると、診療内容を入力することが可能なパネルをデータ表示領域G12に表示させる。
【0057】
図7は、表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図であり、診療データの新規作成に係るパネルP11をデータ表示領域G12に表示した例を示している。ここで、パネルP11には、入力インタフェース130等を介して文字を入力することが可能となっている。医用情報処理装置100のユーザは、入力インタフェース130等を操作して、被検体に実施した診療内容をパネルP11に入力する。なお、図6では、被検体の診療内容がSOAP形式で入力された例を示している。
【0058】
診療内容がパネルP11に入力された後、入力インタフェース130等を介して記載内容のチェックや作成完了等の指示を受け付けると、データ管理機能151は、パネルP11に入力された内容を新規の診療データとして記憶回路120に保存する。そして、例えば、第1の抽出機能152は、記憶回路120に新規の診療データが保存されると、当該診療データから第1のデータを抽出する。また、第1のデータの抽出に伴い、第2の抽出機能153及び判定機能154が動作する。
【0059】
表示制御機能155は、第1の抽出機能152が第1のデータの抽出を行った診療データと、第2の抽出機能153が抽出した検査データとを同一の画面に表示させる。具体的には、表示制御機能155は、新たな診療データ(パネルP11)が表示されたデータ表示領域G12内に、第2の抽出機能153が抽出した検査データを表示させる。また、表示制御機能155は、判定機能154で対応関係が成立すると判定された項目同士を識別可能に表示させる。さらに、表示制御機能155は、判定機能154で対応関係が不成立と判定された項目を識別可能に表示させる。
【0060】
図8は、表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図であり、図7のデータ表示領域G12に第2の抽出機能153で抽出された検査データが表示された状態を示している。図8において、表示制御機能155は、第2の抽出機能153で抽出された検査データをパネルP2として、パネルP11とともにデータ表示領域G12に表示させて。つまり、表示制御機能155は、診療データと当該診療データの根拠となる検査結果が表された検査データとを同一の画面に表示させる。
【0061】
また、表示制御機能155は、判定機能154により対応関係が成立すると判定されたパネルP11中の項目A1と、パネルP2中の項目A1’とを識別可能な状態で表示させている。例えば、表示制御機能155は、対応関係にある項目同士を、同じ色や線種の枠線で囲うことで識別可能に表示させる。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、識別可能に表示された診療データと検査データとを確認することで、診療内容の根拠となる検査結果が、検査データ中のどこに存在するかを容易に把握することができる。
【0062】
また、パネルP2中の項目A2は、第2のデータに存在するが第1のデータには存在しない、対応関係が不成立と判定された項目である。そのため、表示制御機能155は、該当する項目A2を識別可能に表示させる。具体的には、表示制御機能155は、該当する項目A2にマークMK1を付加して表示させることで、項目A2を識別可能に強調表示させている。項目A2にマークMK1を付加することで、当該項目A2を強調して表示させている。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、検査データに記載された項目のうち、診療データに反映されていない項目を容易に把握することができる。
【0063】
また、図8では、表示制御機能155は、タイムライン表示領域G11に表示されたイベントのうち、対応関係が不成立と判定された項目を含む検査データに対応するイベントを識別可能に表示させている。具体的には、表示制御機能155は、パネルP2に表示した検査データに対応するイベントに対しマークMK2を付加して表示させることで、当該イベントを識別可能に強調表示させている。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、タイムライン表示領域G11に表示されたイベントのうち、対応関係が不成立と判定された検査データに係るイベントがどれに該当するかを容易に把握することができる。
【0064】
なお、図8では、第2のデータに含まれた項目に対応する内容が第1のデータに含まれない場合の表示例を説明したが、第1のデータに含まれた項目に対応する内容が第2のデータに含まれない場合も同様に表示が制御される。具体的には、表示制御機能155は、第1のデータに含まれた項目に対応する内容が第2のデータに含まれない場合、第1のデータに含まれた該当する項目を強調表示等することで、識別可能に表示させる。
【0065】
また、表示制御機能155は、入力インタフェース130を介した操作等に応じて、対応関係が不成立と判定された項目や医療データに関するコメントを入力することが可能なユーザインタフェースをデータ表示領域G12に表示させる。コメント入力を指示する操作方法は特に問わないものとするが、例えば、マークMK1を項目A2に関するコメントを入力するための操作子として機能させてもよい。この場合、表示制御機能155は、マークMK1に対する操作を受け付けると、図9に示すように、項目A2に関するコメントを入力することが可能な入力領域W1をデータ表示領域G12に表示させる。
【0066】
図9は、表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図であり、図8のマークMK1が操作された場合の画面例を示している。図9において、入力領域W1には、入力インタフェース130等を介して文字を入力することが可能となっている。医用情報処理装置100のユーザは、入力インタフェース130等を操作することで、項目A2等に関するコメントを入力領域W1に入力することができる。
【0067】
入力領域W1に入力する内容は特に問わず、任意の内容を入力することができる。例えば、項目A2に関する検査結果を診療内容に記載しなかったことを説明する内容(以下、不採用理由)を、項目A2に関するコメントとして入力してもよい。また、例えば、項目A2の検査結果に対応する検査の実施を依頼する内容(以下、検査依頼)を、項目A2に関するコメントとして入力してもよい。入力領域W1に入力されたコメントは例えばコメントデータとして、データ管理機能151により、項目A2や当該項目A2を含む診療データに対応付けて記憶される。例えば、検査依頼のコメントデータについては、検査データの生成元のシステムの担当者がその内容を確認することで、被検体の検査が実施される。
【0068】
また、表示制御機能155は、コメントの目的毎に専用の入力領域W1を表示させてもよい。例えば、表示制御機能155は、マークMK1に対する操作を受け付けると、不採用理由及び検査依頼の何れか一方の目的を選択可能な選択部品を表示させ、選択された目的に応じた入力領域を表示させてもよい。この場合、データ管理機能151は、選択された目的に応じて、コメントデータの管理方法を切り替えてもよい。例えば、検査依頼のコメント情報が入力された場合には、マークMK1が付された検査データや項目に係る検査を行うシステム宛にコメントデータを送信してもよい。
【0069】
なお、図9では、検査データに対しコメントを入力可能な構成を説明したが、これに限らず、診療データに対してもコメントを入力可能な構成としてもよい。例えば、表示制御機能155は、データ表示領域G12に表示された診療データに対して所定の操作が行われると、図10に示すように、その診療データに対応付けて入力領域W2を表示させる。
【0070】
図10は、表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図であり、図8のパネルP11に対しコメント入力指示が行われた場合の画面例を示している。表示制御機能155は、パネルP11に対し所定の操作を受け付け付けると、パネルP11に対応付けて入力領域W2を表示させる。入力領域W2は、入力領域W1と同様、入力インタフェース130等を介して文字を入力することが可能となっている。医用情報処理装置100のユーザは、入力インタフェース130等を操作することで、項目A2や診療データ等に関するコメントを入力領域W1に入力することができる。
【0071】
例えば、項目A2に関する診療内容を診療データに反映しなかったことを説明する内容(不採用理由)を、項目A2や診療データに関するコメントとして入力してもよい。入力領域W2に入力されたコメントはコメントデータとして、データ管理機能151により、例えば診療データに対応付けて記憶される。なお、診療データの作成完了が指示される前であれば、診療データの診療内容自体を編集することも可能である。
【0072】
また、データ表示領域G12に表示する診療データの個数は、一に限らず複数であってもよい。例えば、作成途中の診療データが複数存在する場合、表示制御機能155は、それら複数の診療データをデータ表示領域G12に表示させてもよい。また、例えば、表示制御機能155は、タイムライン表示領域G11から指定された過去の診療データを、作成中の診療データとともにデータ表示領域G12に表示させてもよい。なお、過去の診療データについては、第1の抽出機能152、第2の抽出機能153及び判定機能154の処理対象から除外してもよいし、新規作成の診療データと同様に処理対象としてもよい。
【0073】
図11は、表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図であり、複数の診療データが表示された場合の画面例を示している。ここで、データ表示領域G12の左方のパネルP11、P12、P13、P14には、互いに異なる時点の診療データが表示されている。また、データ表示領域G12の右方のパネルP2、P3には、パネルP11、P12、P13、P14の診療データに基づき第2の抽出機能153で抽出された検査データが表示されている。なお、パネルP11及びパネルP2の内容は図8と同様である。
【0074】
図11において、パネルP3には、パネルP12~P14の診療データの診療内容に関連する3つの検査データ(検体検査)の内容が表示されている。具体的には、パネルP3に表示された項目A3’は、パネルP12の診療データに含まれた項目A3に対応する。また、パネルP3に表示された項目A4’は、パネルP13の診療データに含まれた項目A4に対応する。また、パネルP3に表示された項目A5’は、パネルP14の診療データに含まれた項目A5に対応する。ここで、表示制御機能155は、図7と同様に、対応関係が成立した両項目間を識別可能に表示させている。
【0075】
なお、図10では、パネルP12~P14の診療データに関連する検査データが、同種の検査結果(検体検査、血液検査)示すものであるため、同一のパネル内に表示する形態としたが、表示形態はこれに限らないものとする。例えば、検査データはグラフ形式等の表示形態で同一パネル内に表示させてもよい。また、例えば、検査データ毎に個別にパネル表示させてもよい。
【0076】
また、例えば検査データが計測値等の数値データである場合、表示制御機能155は、検査データの検査結果が表す計測値が、当該計測値の基準範囲の何れに属するかに応じて、検査データの表示形態を切り替えてもよい。ここで、基準範囲は、正常/異常の判定や重篤度の判別等、被検体の容態(又は状態)を判別するための指標であり、検査種別や計測値毎に予め設定されているものとする。
【0077】
例えば、表示制御機能155は、計測値の基準範囲と、検査データの検査結果が表す計測値とを比較することで被検体の容態の一例である重篤度を判別し、判別した重篤度に応じて、検査データの表示形態を変更する。ここで、表示形態の変更方法は特に問わず、種々の方法を採用することが可能である。例えば、表示制御機能155は、重篤度等の被検体の状態に応じて、検査データの表示色やパネルの色を切り替えてもよい。また、例えば、表示制御機能155は、被検体の状態を表すアイコンやメッセージを、検査データに対応付けて表示させてもよい。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、データ表示領域G12に表示された検査データを見ることで、被検体がどのような状態にあるかを容易に把握することができる。
【0078】
次に、図12を参照して、上述した医用情報処理装置100の動作例について説明する。図12は、医用情報処理装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理の前提として、被検体の患者IDが入力された後、図6に示す画面がディスプレイ140に表示されているものとする(ステップS11)。また、本処理では、診療データが新たに作成される場合の動作例について説明する。
【0079】
表示制御機能155は、新たな診療データの作成が指示されるまで待機する(ステップS12;No)。新たな診療データの作成指示を受け付けると(ステップS12;Yes)、表示制御機能155は、データ管理機能151と協働することで、診療内容を入力することが可能な領域(パネル)をデータ表示領域G12に表示させる(ステップS13)。なお、医用情報処理装置100のユーザは、診療データの作成を指示するまでの間、タイムライン表示領域G11を介し、所望の医用データをデータ表示領域G12に表示させることもできる。
【0080】
続いて、データ管理機能151は、入力インタフェース130等を介し、新たに入力された診療内容のチェック指示を受け付けると(ステップS14;Yes)、入力された診療内容を新たな診療データとして記憶回路120に記憶する。なお、チェックが指示されない場合には(ステップS14;No)、ステップS25に移行する。
【0081】
第1の抽出機能152は、記憶回路120に新たな診療データが記憶されると、当該診療データから診療内容を表す第1のデータを抽出する(ステップS15)。また、第2の抽出機能153は、統合データサーバ400が管理する被検体の診療データの中から、ステップS15で抽出された第1のデータに関連する検査内容を表す第2のデータを含んだ診療データを抽出する(ステップS16)。次いで、判定機能154は、第1のデータに含まれる項目と、第2のデータに含まれる項目とを比較することで、両項目間の対応関係を判定する(ステップS17)。
【0082】
表示制御機能155は、ステップS15~S17の処理結果に基づき、検査データをデータ表示領域G12に表示させる。具体的には、表示制御機能155は、新たに作成された診療データと、第2の抽出機能153が抽出した検査データとをデータ表示領域G12に表示させる(ステップS18)。また、表示制御機能155は、ステップS17で対応関係が成立すると判定された項目同士を識別可能に表示させる(ステップS19)。
【0083】
続いて、表示制御機能155は、ステップS17の判定処理で、対応関係が不成立と判定された項目が存在するか否かを判定する(ステップS20)。対応関係が不成立と判定された項目が存在する場合(ステップS20;Yes)、表示制御機能155は、不成立と判定された項目を強調して表示させ(ステップS21)、ステップS22に移行する。なお、対応関係が不成立と判定された項目が存在しない場合には(ステップS20;No)、ステップS25に移行する。
【0084】
続いて、表示制御機能155は、入力インタフェース130等を介し、コメント入力が指示されたか否かを判定する(ステップS22)。表示制御機能155は、コメント入力の指示を受け付けると(ステップS22;Yes)、コメント入力用の領域をデータ表示領域G12に表示させる(ステップS23)。そして、コメント入力完了の指示を受け付けると、データ管理機能151は、入力領域に入力された内容をコメントデータとして記憶し(ステップS24)、ステップS25に移行する。なお、コメント入力の指示が行われない場合には(ステップS22;No)、ステップS25に直ちに移行する。
【0085】
続いて、データ管理機能151は、ユーザから診療データの作成完了が指示されたか否かを判定する(ステップS25)。作成完了が指示されない場合(ステップS25;No)、データ管理機能151は、ステップS15に処理を戻すことで、診療データの作成を継続させる。この場合、診療データの状態は作成中となるため、医用情報処理装置100のユーザは、作成中の診療データに対し、対応関係が不成立と判定された項目に関する記載等を直接編集することもできる。
【0086】
一方、ユーザから作成完了が指示された場合(ステップS25;Yes)、データ管理機能151は、作成が完了した診療データを記憶回路120に記憶し、当該診療データを統合データサーバ400に送信することで統合DB410に記憶させる(ステップS26)。
【0087】
上述したように、本実施形態では、被検体の診療データに記載された診療内容に関連する検査結果が記載された検査データを抽出し、診療データと抽出した検査データとを同一の画面に表示させる。また、本実施形態では、診療データと検査データとに含まれる項目の対応関係を判定し、両データの間で対応関係にある項目同士を識別可能に表示させる。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、診療データに記載された診療内容の根拠となる検査結果を含んだ検査データを容易に把握することができるとともに、診療内容の根拠となる検査結果が、検査データ中のどこに存在するかを容易に把握することができる。したがって、本実施形態では、診療データの作成及び解読に係る利便性を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、診療データと検査データとに含まれる項目で、対応関係の成立しない独立した項目が存在する場合、当該項目を識別可能に表示させる。これにより、本実施形態では、診療データに検査結果の記載もれがある場合や、根拠の不十分な診療内容が診療データに記載されている場合に、該当する項目をユーザに把握させることができるため、不備のある診療データが作成されてしまうことを防止することができる。
【0089】
また、本実施形態では、診療データと検査データとの間に、対応関係が不成立と判定された項目が存在する場合、当該項目に関するコメントを入力可能なユーザインタフェースを提供し、入力されたコメント内容を対応付けて保存する。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、診療データに検査結果を反映しなかった理由や、根拠の不十分な診療内容を診療データに記載した理由を、コメントとして残すことができる。また、医用情報処理装置100のユーザは、例えば、検査データに記載された検査結果の精度に疑義があるため、診療内容に反映しなかったような場合、医用情報処理装置100が提供するインタフェースを介して再検査を依頼することができる。したがって、本実施形態では、診療データの作成及び解読に係る利便性を向上させることができる。
【0090】
なお、上述した実施形態は、医用情報処理装置100が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0091】
(変形例1)
上述した実施形態では、判定機能154の判定結果に基づき、診療データに記載された診療内容の不備(記載もれ、根拠不十分)を報知する形態を説明したが、判定機能154の判定結果は他の用途に用いてもよい。例えば、診療データの作成に係る習熟度や信頼度を判断するため、判定機能154で対応関係が不成立と判定された項目の個数を記録してもよい。
【0092】
具体的には、データ管理機能151は、新たな診療データが作成される度に、当該診療データについて対応関係が不成立と判定された項目の個数を、診療データの作成者(医療従事者)毎に累計する。累計された値は、例えば、作成者の医療従事者IDと対応付けて、統合データサーバ400の記憶回路等に記憶される。
【0093】
これにより、本変形例では、累計された値を参照することで、診療データの作成に係る各医療従事者の習熟度や信頼度を判断することができる。なお、データ管理機能151は、上述した累計値とともに、作成された診療データの総数や、コメントの入力回数等も記録する形態としてもよい。
【0094】
(変形例2)
上述した実施形態では、第1の抽出機能152が第1のデータの抽出を行った診療データを表示する画面に、第2の抽出機能153が抽出した検査データを表示する形態を説明した。しかしながら、第2の抽出機能153が抽出した検査データの個数又は情報量によっては、全ての検査データを画面内に表示することができない場合がある。
【0095】
そこで、表示制御機能155は、上述の実施形態で説明した画面例に代えて、例えば図13及び図14に示す画面を表示させてもよい。ここで、図13及び図14は、本変形例の表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図である。
【0096】
図13に示すように、画面G2は、第1の実施形態で説明した画面G1と同様にタイムライン表示領域G11と、データ表示領域G12とを有する。また、データ表示領域G12には、第1の実施形態と同様に、診療データが表示される。なお、図13では、一の診療データをパネルP11に表示した例を示しているが、図11で説明したように、複数の診療データを表示することも可能である。
【0097】
また、データ表示領域G12には、第2の抽出機能153が抽出した検査データを表示するための検査データ表示領域G21が設けられている。具体的には、検査データ表示領域G21には、第2の抽出機能153で抽出された検査データの各々がパネル表示される。図13では、6つの検査データが抽出された例を示しており、検査データの各々がパネルP41~P46として並べて表示される。なお、図13では、パネルP41~P46のうち、パネルP41~P44までが表示された状態を示している、残りのパネルP45、46は非表示の状態となっている。以下、パネルP41~P46を総称してパネルP4ともいう。
【0098】
ここで、検査データ表示領域G21には、スクロールバーG21aが設けられている。スクロールバーG21aは、パネルP4の配列方向にスクロール操作することが可能となっており、ユーザ操作(スクロール操作)に応じて検査データ表示領域G21内のパネルP4を移動させる。例えば、図13の検査データ表示領域G21において、スクロールバーG21aが画面下方向にスクロール操作されると、検査データ表示領域G21内に配列されたパネルP41~P46が画面上方向に移動される。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、図14に示すように、図13で非表示となっていたパネルP45、P46を、検査データ表示領域G21内に表示させることができる。
【0099】
また、表示制御機能155は、上述した実施形態と同様に、判定機能154により対応関係が成立すると判定された診療データ及び検査データ中の項目を識別可能に表示させる。例えば、図13及び図14では、表示制御機能155は、判定機能154で対応関係が成立すると判定されたパネルP11中の項目A11と、パネルP41~P46中の項目A11’とを識別可能に表示させている。これにより、本変形例に係る医用情報処理装置100では、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、識別可能に表示された診療データと検査データとを確認することで、診療内容の根拠となる検査結果が、検査データ中のどこに存在するかを容易に把握することができる。
【0100】
また、表示制御機能155は、上述した実施形態と同様に、判定機能154により対応関係が不成立と判定された項目を識別可能に表示させる。例えば、図13及び図14では、表示制御機能155は、判定機能154で対応関係が不成立と判定されたパネルP22、P24中の項目A12、A13にマークMK1を付加して表示させている。これにより、本変形例に係る医用情報処理装置100では、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、検査データに記載された項目のうち、診療データに反映されていない項目を容易に把握することができる。
【0101】
また、データ表示領域G12には、第2の抽出機能153が抽出した検査データの表示を指示するための操作子が表示される。図13及び図14では、検査データ表示領域G21の右方に、操作子の一例である操作パネルP51~P56を表示させた例を示している。以下、操作パネルP51~P56を総称して操作パネルP5とも表記する。
【0102】
操作パネルP5は、第2の抽出機能153で抽出された検査データ毎に設けられる。操作パネルP5には、対応する検査データを識別可能な情報が表示される。例えば、操作パネルP5には、検査データの作成日、検査データの種別、データ名等の情報が表示される。ここで、操作パネルP51~P56の各々は、パネルP41~P46で表された検査データの各々に対応する。一例として、操作パネルP51には、対応する検査データ(パネルP41の検査データ)の作成日の他、その検査データのデータ名「検査X1」が表示されている。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、操作パネルP5の各々が、どの検査データの表示を指示するものかを容易に把握することができる。
【0103】
また、表示制御機能155は、第2の抽出機能153が抽出した検査データの中に、対応関係が不成立と判定された項目が含まれる場合、当該検査データに対応する操作パネルP5に、不成立と判定された項目が存在することを示す情報を付加して表示させる。上述したように、図13図14の例では、パネルP43及びP45に係る検査データの中に、対応関係が不成立と判定された項目A12、A13が含まれる。そのため、表示制御機能155は、パネルP43及びP45の検査データに対応する操作パネルP53及びP55に対し、不成立と判定された項目が存在することを示すマークMK3を付加して表示させている。これにより、医用情報処理装置100のユーザは、診療データに反映されていない項目を有する検査データの操作パネルP5を容易に把握することができる。
【0104】
表示制御機能155は、操作パネルP5に対する選択操作を受け付けると、選択された操作パネルP5に対応する検査データを、検査データ表示領域G21内に表示させる。ここで、操作パネルP5を介した検査データの表示方法は特に問わず、種々の表示方法を用いることができる。
【0105】
例えば、図13で示したように、第2の抽出機能153で抽出された検査データが、スクロール可能な形態で予め検査データ表示領域G21に表示されている場合、以下の表示方法の何れか又は全てを用いてもよう。一例として、表示制御機能155は、選択された操作パネルP5に対応する検査データのパネルP4が検査データ表示領域G21内に表示されるよう自動でスクロールさせてもよい。この場合、表示制御機能155は、選択された操作パネルP5に対応する検査データのパネルP4が、検査データ表示領域G21の中央に位置するよう自動でスクロールさせてもよい。また、表示制御機能155は、選択された操作パネルP5に対応する検査データのパネルP4を識別可能に表示させてもよい。
【0106】
また、他の表示方法として、表示制御機能155は、図15に示すように、選択された操作パネルP5に対応する検査データのパネルP4のみを検査データ表示領域G21内に表示させてもよい。ここで、図15は、本変形例の表示制御機能155によって表示される画面の一例を示す図であり、操作パネルP53が選択された場合の表示例を示している。
【0107】
図15に示すように、操作パネルP53の選択を受け付けると、表示制御機能155は、この操作パネルP53に対応する検査データを表したパネルP43を、検査データ表示領域G21に表示させる。この場合、例えば、操作パネルP5をトグルボタン等とすることで、選択と解除とを交互に切り替え可能な構成としてもよい。
【0108】
なお、図15の表示方法の場合、操作パネルP5を介して選択可能な検査データの個数は一個に限らず複数個であってもよい。例えば、操作パネルP53、P55が選択された場合には、表示制御機能155は、これらの操作パネルP53、P55に対応する検査データのパネルP43、P45を、検査データ表示領域G21内に並べて表示させる。ここで、パネルP4の配列順序は、作成日の順であってもよいし、操作パネルP5で選択された検査データの順であってもよい。
【0109】
以上のように、本変形例によれば、第2の抽出機能153が抽出した検査データの全てを、同一の画面内に一度に表示させることができないような場合であっても、非表示分の検査データを簡易な操作で表示させることができる。したがって、本変形例では、診療データの作成及び解読に係る利便性を向上させることができる。
【0110】
(変形例3)
上述した実施形態では、医用情報処理装置100が、データ管理機能151、第1の抽出機能152、第2の抽出機能153、判定機能154及び表示制御機能155を備える形態としたが、これら機能の一部又は全てを、医用情報処理装置100以外の装置が具備する形態としてもよい。
【0111】
例えば、統合データサーバ400が、上述した各機能の一部又は全てを備える形態としてもよい。この場合、統合データサーバ400は、医用情報処理装置として機能し、例えば、Webサービス等の形態で上述した各種の画面を医用情報処理装置100のディスプレイ140に表示させる。また、医用情報処理装置は一のコンピュータ装置に限らず、ネットワーク接続された複数のコンピュータ装置により実現されてもよい。
【0112】
なお、上述した各実施形態では、本明細書におけるデータ管理部、第1の抽出部、第2の抽出部、判定部及び表示制御部を、それぞれ、処理回路150のデータ管理機能151、第1の抽出機能152、第2の抽出機能153、判定機能154及び表示制御機能155によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書におけるデータ管理部、第1の抽出部、第2の抽出部、判定部及び表示制御部は、実施形態で述べたデータ管理機能151、第1の抽出機能152、第2の抽出機能153、判定機能154及び表示制御機能155によって実現する他にも、ハードウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0113】
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路120に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。なお、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合は、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0114】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0115】
以上説明した少なくとも1つの実施形態及び変形例によれば、診療データに記載された診療内容と、当該診療内容の根拠となる検査結果との対応関係を容易に把握することができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1 医用情報処理システム
100 医用情報処理装置
151 データ管理機能
152 第1の抽出機能
153 第2の抽出機能
154 判定機能
155 表示制御機能
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