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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置、及び監視方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20241004BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G08B25/10 A
G08B21/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020084016
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021179729
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】カレ リテッシュ
(72)【発明者】
【氏名】アラミューガム シババラン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-113184(JP,A)
【文献】特開2017-005668(JP,A)
【文献】特開平04-188300(JP,A)
【文献】特開2005-020252(JP,A)
【文献】特開2017-108346(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170496(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R25/00
G01S 5/02
G08B21/00
G08B25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象を監視する監視者が保持する監視者端末と、
前記監視対象に装着された監視対象端末と、
前記監視対象を監視して前記監視対象の異常を検知する監視装置と、
を備え、
前記監視装置は、
前記監視者端末の位置を示す情報と、前記監視対象端末の位置を示す情報とを取得し、前記監視者端末と前記監視対象端末との間の距離を算出する距離算出部と、
前記監視者端末及び前記監視対象端末による無線通信により取得された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対位置を示す情報を取得する相対位置取得部と、
前記距離算出部により算出された距離と、前記相対位置取得部により取得された相対位置とに基づいて、前記監視対象の異常を検知する異常検知部と、
を備え
前記異常検知部は、前記距離算出部により算出された距離の変化と、前記相対位置取得部により取得された相対位置から算出された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対距離の変化との間の類似度を評価し、評価された類似度が所定の範囲から外れた場合に前記監視対象の異常を検知する第1異常検知部を含む
監視システム。
【請求項2】
監視対象を監視する監視者が保持する監視者端末の位置を示す情報と、前記監視対象に装着された監視対象端末の位置を示す情報とを取得し、前記監視者端末と前記監視対象端末との間の距離を算出する距離算出部と、
前記監視者端末及び前記監視対象端末による無線通信により取得された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対位置を示す情報を取得する相対位置取得部と、
前記距離算出部により算出された距離と、前記相対位置取得部により取得された相対位置とに基づいて、前記監視対象の異常を検知する異常検知部と、
を備え
前記異常検知部は、前記距離算出部により算出された距離の変化と、前記相対位置取得部により取得された相対位置から算出された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対距離の変化との間の類似度を評価し、評価された類似度が所定の範囲から外れた場合に前記監視対象の異常を検知する第1異常検知部を含む
監視装置。
【請求項3】
前記異常検知部は、前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対距離及び相対角度の変化を算出し、算出された相対距離及び相対角度の変化に基づいて前記監視対象の異常を検知する第2異常検知部を含む請求項に記載の監視装置。
【請求項4】
前記第2異常検知部は、算出された相対距離の変化及び相対角度の変化のうち一方又は双方が前記監視対象の通常の移動速度を表す第1の閾値を超えた場合に前記監視対象の異常を検知する請求項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記第2異常検知部は、算出された相対距離の変化が第2の閾値を超えた場合と、算出された相対距離が第3の閾値を超えているときに、算出された相対角度の変化が第4の閾値を超えた場合とに、前記監視対象の異常を検知する請求項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記第2異常検知部は、算出された相対距離の大きさに基づいて、第2の閾値又は第4の閾値を変更する請求項に記載の監視装置。
【請求項7】
前記第2異常検知部により異常が検知された場合に、前記第1異常検知部による異常の検知を実行する請求項からのいずれかに記載の監視装置。
【請求項8】
前記第1異常検知部及び第2異常検知部の双方により異常が検知された場合に、前記監視対象の異常の検知する請求項からのいずれかに記載の監視装置。
【請求項9】
前記監視対象端末に搭載されたセンサにより検知された検知情報を取得する検知情報取得部を更に備え、
前記異常検知部は、前記検知情報取得部により取得された検知情報に更に基づいて、前記監視対象の異常を検知する
請求項2からのいずれかに記載の監視装置。
【請求項10】
前記検知情報取得部は、前記監視対象端末に搭載された温度センサにより検知された温度情報を取得し、
前記異常検知部は、前記検知情報取得部により取得された温度情報に基づいて、前記監視対象端末が前記監視対象から外されたことを検知する
請求項に記載の監視装置。
【請求項11】
前記検知情報取得部は、前記監視対象端末に搭載された加速度センサにより検知された加速度情報を取得し、
前記異常検知部は、前記検知情報取得部により取得された加速度情報に基づいて前記監視対象の移動量を算出し、算出された移動量と、前記距離算出部により算出された距離又は前記相対位置取得部により取得された相対位置から算出された距離とに基づいて、前記監視対象の異常を検知する
請求項又は10に記載の監視装置。
【請求項12】
コンピュータを、
監視対象を監視する監視者が保持する監視者端末の位置を示す情報と、前記監視対象に装着された監視対象端末の位置を示す情報とを取得し、前記監視者端末と前記監視対象端末との間の距離を算出する距離算出部と、
前記監視者端末と前記監視対象端末との間の端末間通信により取得された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対位置を示す情報を取得する相対位置取得部と、
前記距離算出部により算出された距離と、前記相対位置取得部により取得された相対位置とに基づいて、前記監視対象の異常を検知する異常検知部と、
として機能させ
前記異常検知部は、前記距離算出部により算出された距離の変化と、前記相対位置取得部により取得された相対位置から算出された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対距離の変化との間の類似度を評価し、評価された類似度が所定の範囲から外れた場合に前記監視対象の異常を検知する第1異常検知部を含む
コンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
監視対象を監視する監視者が保持する監視者端末の位置を示す情報と、前記監視対象に装着された監視対象端末の位置を示す情報とを取得し、前記監視者端末と前記監視対象端末との間の距離を算出するステップと、
前記監視者端末と前記監視対象端末との間の端末間通信により取得された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対位置を示す情報を取得するステップと、
前記距離を算出するステップにおいて算出された距離と、前記相対位置を示す情報を取得するステップにおいて取得された相対位置とに基づいて、前記監視対象の異常を検知するステップと、
を実行させ
前記異常を検知するステップは、前記距離を算出するステップにおいて算出された距離の変化と、前記相対位置を示す情報を取得するステップにおいて取得された相対位置から算出された前記監視者端末と前記監視対象端末との間の相対距離の変化との間の類似度を評価し、評価された類似度が所定の範囲から外れた場合に前記監視対象の異常を検知するステップを含む
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視技術に関し、特に監視対象を監視するための監視システム、監視システムに利用可能な監視装置、及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人は、古くから犬や猫などの動物を家畜化して飼養してきた。現在も、多くの人が犬や猫などの動物を飼養し、家族同然に生活を共にしている。飼養動物は、無償の愛をもって飼養者に応え、飼養者の生活を豊かにしてくれる。
【0003】
しかし、飼養者が目を離した隙に飼養動物が失踪したり、何者かによって連れ去られたりする事件も発生している。このような事件の発生を防ぐための技術として、例えば、特許文献1に記載された技術が参考となる。特許文献1に記載された盗難監視システムでは、自転車などの財物に無線発信器を付属させ、無線発信器から発信される無線信号の受信強度が所定の閾値以下となった場合に財物の盗難発生を警告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-204075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飼養動物の失踪や連れ去りは、深い愛情をもって飼養動物を飼養している飼養者に耐え難い悲しみをもたらす。これは、監護を必要とする乳幼児や高齢者などの場合でも同様である。本発明者は、自転車などの財物のみならず、飼養動物、乳幼児、高齢者などの監視対象の異常をより精確かつ迅速に検知することを可能とする技術を提供することにより、このような痛ましい事件を減らしたいと考えた。
【0006】
本開示は、本発明者の上記課題認識に基づきなされたものであり、1つの目的は、監視対象の異常を検知するための技術を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の監視システムは、監視対象を監視する監視者が保持する監視者端末と、監視対象に装着された監視対象端末と、監視対象を監視して監視対象の異常を検知する監視装置と、を備える。監視装置は、監視者端末の位置を示す情報と、監視対象端末の位置を示す情報とを取得し、監視者端末と監視対象端末との間の距離を算出する距離算出部と、監視者端末及び監視対象端末による無線通信により取得された監視者端末と監視対象端末との間の相対位置を示す情報を取得する相対位置取得部と、距離算出部により算出された距離と、相対位置取得部により取得された相対位置とに基づいて、監視対象の異常を検知する異常検知部と、を備える。
【0008】
本開示の別の態様は、監視装置である。この装置は、監視対象を監視する監視者が保持する監視者端末の位置を示す情報と、監視対象に装着された監視対象端末の位置を示す情報とを取得し、監視者端末と監視対象端末との間の距離を算出する距離算出部と、監視者端末及び監視対象端末による無線通信により取得された監視者端末と監視対象端末との間の相対位置を示す情報を取得する相対位置取得部と、距離算出部により算出された距離と、相対位置取得部により取得された相対位置とに基づいて、監視対象の異常を検知する異常検知部と、を備える。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、監視方法である。この方法は、コンピュータに、監視対象を監視する監視者が保持する監視者端末の位置を示す情報と、監視対象に装着された監視対象端末の位置を示す情報とを取得し、監視者端末と監視対象端末との間の距離を算出するステップと、監視者端末及び監視対象端末による無線通信により取得された監視者端末と監視対象端末との間の相対位置を示す情報を取得するステップと、距離を算出するステップにおいて算出された距離と、相対位置を示す情報を取得するステップにおいて取得された相対位置とに基づいて、監視対象の異常を検知するステップと、を実行させる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、監視対象の異常を検知するための技術を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態に係る監視システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る監視方法の手順を示すシーケンス図である。
図3】実施の形態に係る監視方法の手順を示すシーケンス図である。
図4】実施の形態に係る監視方法の手順を示すシーケンス図である。
図5図4の監視対象の異常検知処理(S34)の詳細を示すフローチャートである。
図6】監視者端末と監視対象端末との間の相対位置の時間変化の例を示す図である。
図7】監視者端末と監視対象端末との間の相対距離及び相対角度の時間変化の例を示す図である。
図8】監視者端末の位置と監視対象端末の位置から算出した端末間距離の時間変化と、監視者端末と監視対象端末との間の相対位置から算出した相対距離の時間変化の例を示す図である。
図9】監視装置の構成を示すブロック図である。
図10】実施の形態に係る監視者端末の構成を示すブロック図である。
図11】実施の形態に係る監視対象端末の構成を示すブロック図である。
図12】第3の実施の形態に係る監視対象端末の構成を示すブロック図である。
図13】監視者端末と監視対象端末との間の相対距離及び監視対象端末の温度の時間変化の例を示す図である。
図14】第3の実施の形態に係る監視方法の手順を示すフローチャートである。
図15】第4の実施の形態に係る監視対象端末の構成を示すブロック図である。
図16】監視者端末と監視対象端末との間の相対距離及び監視対象の歩数から算出した距離の時間変化の例を示す図である。
図17】第4の実施の形態に係る監視方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施の形態として、飼養動物、乳幼児、高齢者などの監視対象を監視し、監視対象の異常を検知して報知する技術について説明する。本実施の形態においては、主に飼養動物を監視する例について説明するが、乳幼児や高齢者などの要保護者を監視する場合も同様である。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本開示の実施の形態に係る監視システム1の構成を示す。監視システム1は、監視対象である飼養動物3を監視する監視者2a、2b、2c、2d、2e(これらを総称して「監視者2」という)がそれぞれ保持する監視者端末200a、200b、200c、200d、200e(これらを総称して「監視者端末200」という)と、飼養動物3の首輪などに装着される監視対象端末300と、飼養動物3を監視する監視装置100と、監視者端末200及び監視対象端末300と監視装置100との間で通信を行うためのベースステーション4及びコアネットワーク7とを備える。
【0015】
監視装置100は、オンプレミス、クラウドなどの任意の運用形態で実装されてもよいが、本図では、ETSI(欧州電気通信標準化機構)により標準化されたMEC(Multi-access Edge Computing)による実装例を示している。すなわち、監視装置100は、エッジに配置されたIoTサーバ6と、ベースステーション4の近傍に配置されたMECプラットフォーム5により構成される。監視装置100の機能は、MECプラットフォーム5及びIoTサーバ6の数、処理能力、監視者端末200及び監視対象端末300の数、ベースステーション4及びコアネットワーク7を含む通信網の通信速度、処理能力、監視対象の種類及び監視の目的などに応じて、MECプラットフォーム5及びIoTサーバ6に分散配置される。
【0016】
監視装置100がクラウド上に配置される場合、監視者端末200及び監視対象端末300は、ベースステーション4、コアネットワーク、7、及び図示しないゲートウェイを介して、インターネット経由でクラウドに接続される。それに対して、本図に示す監視システム1では、監視者端末200及び監視対象端末300は、コアネットワーク7を介さずに、MECプラットフォーム5を介してIoTサーバ6と通信する。これにより、輻輳などに起因する通信の遅延を低減させることができる。また、監視者端末200及び監視対象端末300から近い位置に監視装置100の機能の一部を配置することができるので、より迅速に監視対象の異常を検知することができる。さらに、監視装置100の機能をMECプラットフォーム5とIoTサーバ6に分散配置し、処理負荷を適切に分散するので、監視者や監視対象の数が多くなっても、適切な時間間隔で監視対象を監視するための情報を収集して処理し、監視対象の異常を迅速に検知することができる。以降は、説明を簡略化するために、監視装置100の実装形態や運用形態を問わずに、監視装置100の機能について説明する。
【0017】
飼養動物3は、複数の監視者2により監視されうる。例えば、監視者2aが飼養動物3を連れて散歩しているときには、監視装置100は、監視者2aが保持する監視者端末200aを基準として監視対象端末300の相対位置の時間変化を監視する。飼養動物3の監視者が監視者2bに切り替えられると、監視装置100は、監視者端末200bを基準として監視対象端末300の相対位置の時間変化を監視する。
【0018】
図2は、実施の形態に係る監視方法の手順を示すシーケンス図である。本図は、監視者端末200を更新する手順を示す。監視者端末200は、飼養動物3の監視を開始するときに、飼養動物3に装着された監視対象端末300とペアリングし、監視対象端末300との間で無線通信接続を確立する(S10)。端末間の無線通信は、Bluetooth(登録商標)などの通信方式で行われてもよい。監視者端末200は、ベースステーション4にアタッチする(S11)。以降、監視者端末200はベースステーション4を介して監視装置100との間で通信が可能となる。監視者端末200は、自端末の及び監視対象端末300の情報を監視装置100に送信し、監視対象端末300とペアリングする監視者端末の更新を要求する(S12)。監視装置100は、監視者端末200から受信した情報を登録し、監視対象端末300とペアリングする監視者端末を更新する。
【0019】
図3は、実施の形態に係る監視方法の手順を示すシーケンス図である。本図は、監視者端末200と監視対象端末300との間の距離を算出する手順を示す。監視者端末200は、自端末に搭載された位置センサにより検知された位置情報を取得し(S20)、取得された位置情報を監視装置100に送信する(S21)。監視対象端末300は、自端末に搭載された位置センサにより検知された位置情報を取得し(S22)、取得された位置情報を監視装置100に送信する(S23)。監視装置100は、監視者端末200から受信した位置情報と監視対象端末300から受信した位置情報に基づいて、端末間の距離を算出する(S24)。監視装置100は、算出された端末間距離を監視対象端末300及び監視者端末200に通知する(S25、S26)。監視者端末200又は監視対象端末300は、通知された端末間距離が所定の閾値を超えた場合に、警告音などを発して異常を報知してもよい。これにより、飼養動物3が監視者2から所定の距離以上離れたことを監視者2や周囲の人などに迅速に知らせ、適切な対処を促すことができる。この閾値は、予め設定されていてもよいし、監視者が設定できるようにしてもよい。
【0020】
図4は、実施の形態に係る監視方法の手順を示すシーケンス図である。本図は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置を示す情報を取得し、監視対象の異常を検知する手順を示す。監視者端末200は、例えばBluetoothなどの通信方式により監視対象端末300との間で近接無線通信を行い(S31)、Bluetoothの位置検知機能及び方向検知機能を用いて監視対象端末300との間の相対位置及び相対角度を取得する(S32)。監視者端末200は、取得された相対位置及び相対角度を示す情報を監視装置100に送信する(S33)。監視装置100は、監視対象の異常を検知するための処理を実行し(S34)、異常が検知された場合は、監視対象端末300及び監視者端末200に監視対象の異常を通知する(S35、S36)。監視者端末200又は監視対象端末300は、監視対象の異常が通知された場合に、警告音などを発して異常を報知してもよい。これにより、飼養動物3に異常が生じたことを監視者2や周囲の人などに迅速に知らせ、適切な対処を促すことができる。なお、監視者端末200及び監視対象端末300は、周囲に設置されたビーコンなどとの間で通信を行うことにより、両端末の間の相対位置を取得してもよい。
【0021】
図5は、図4の監視対象の異常検知処理(S34)の詳細を示すフローチャートである。監視装置100は、直近のNサンプルにおける相対距離及び相対角度の変化速度を算出する(S40)。算出された相対距離又は相対角度の変化速度が閾値以下であれば(S41のY)、監視対象の飼養動物3のステータスを「正常」に更新して(S46)、異常検知処理を終了する。算出された相対距離又は相対角度の変化速度が閾値を超えていれば(S41のN)、監視対象の飼養動物3のステータスを「異常」に更新する(S42)。
【0022】
つづいて、監視装置100は、直近のNサンプルにおける相対距離と端末間距離の相互相関関数の値を算出する(S43)。算出された相互相関関数の値が所定の正常範囲内であれば(S44のY)、監視対象の飼養動物3のステータスを「正常」に更新して(S46)、異常検知処理を終了する。算出された相互相関関数の値が正常範囲から外れていれば(S44のN)、監視対象の飼養動物3のステータスを「緊急」に更新する(S45)。監視装置100は、図4のS35、S36において、監視対象の飼養動物3のステータスを監視者端末200及び監視対象端末300に送信する。
【0023】
図6は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置の時間変化の例を示す。飼養動物3が屋内にいる場合や、ドッグランなどの屋外の施設内にいる場合は、飼養動物3が自由に移動可能な範囲内で監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置が変化する。監視者2が飼養動物3を連れて散歩している場合は、飼養動物3が繋がれたリードの長さの範囲内で監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置が変化する。
【0024】
図7は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離及び相対角度の時間変化の例を示す。図5のS40において、監視装置100は、直近のNサンプルにおける監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離及び相対角度の変化速度を算出する。相対距離及び相対角度は、通常、監視者2の通常の移動速度と飼養動物3の通常の移動速度の和よりも速い速度で変化することはない。したがって、監視装置100は、監視者2及び飼養動物3の通常の移動速度を表す第1の閾値を予め設定しておき、図5のS41において、相対距離又は相対角度の変化速度が第1の閾値を超えたときに、飼養動物3に異常が生じた可能性があると判定して、監視対象の飼養動物3のステータスを「異常」に更新する。上述したように、監視装置100は、図5のS41において、相対距離及び相対角度の変化速度が第1の閾値以下であった場合は、監視対象の飼養動物3のステータスを「正常」に更新し、相互相関関数を用いたS43及びS44の異常検知処理を実行しない。これにより、異常検知の精度を高く保ちつつ、監視装置100の処理負荷を低減させることができる。
【0025】
第1の閾値は、監視者が設定できるようにしてもよいし、監視装置100が自動的に設定してもよい。第1の閾値は、監視対象の飼養動物3が正常な状態にあるときに記録された監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置の履歴に基づいて設定されてもよい。第1の閾値は、正常な状態における相対距離及び相対角度の最大値、平均値、第3四分位数、80パーセンタイル、90パーセンタイル、95パーセンタイルなどであってもよい。第1の閾値は、異常検知の履歴と、そのときの飼養動物3の実際の状態に応じて更新されてもよい。例えば、第1の閾値に基づいて異常が検知されたときに、飼養動物3が実際には正常な状態であった事例が所定回数以上発生した場合に、監視装置100は、第1の閾値をより大きい値に更新してもよい。逆に、飼養動物3が異常な状態にあったにもかかわらず、第1の閾値に基づいて異常が検知されなかった事例が発生した場合に、監視装置100は、第1の閾値をより小さい値に更新してもよい。
【0026】
なお、図6に示すように、相対距離の変化速度が小さい場合であっても、相対距離が大きいときに相対角度が大きく変化した場合は、飼養動物3に異常が発生した可能性がある。しかし、相対距離が小さい場合には、相対角度が大きく変化しても、監視者2と飼養動物3との相対位置関係は大きく変化しない。したがって、監視装置100は、相対距離が大きいときにのみ、相対角度の変化速度が閾値を超えたときに異常を検知し、相対距離が小さいときには、相対角度の変化速度が大きくても異常を検知しなくてもよい。具体的には、監視装置100は、算出された相対距離の変化が第2の閾値を超えた場合と、算出された相対距離が第3の閾値を超えているときに、算出された相対角度の変化が第4の閾値を超えた場合に、監視対象の飼養動物3の異常を検知し、算出された相対距離が第3の閾値以下であるときには、算出された相対角度の変化が第4の閾値を超えた場合であっても、監視対象の飼養動物3の異常を検知しなくてもよい。これにより、異常検知の精度をより向上させることができる。第2異常検知部は、算出された相対距離の大きさに基づいて、第2の閾値又は第4の閾値を変更してもよい。監視対象が同じ距離を移動しても、監視者との相対距離が大きいほど相対角度の変化量は小さくなるので、相対距離が大きいほど第4の閾値を小さくしてもよい。これにより、相対距離が離れている時には、微小な相対角度の変化をとらえて監視対象の相対位置の変化を把握することができるので、異常の検知精度をより向上させることができる。
【0027】
相対距離及び相対角度の変化速度を算出するためのサンプル数N、又はサンプル期間は、監視者が設定できるようにしてもよいし、監視装置100に予め設定されていてもよいし、監視装置100が自動的に更新してもよい。サンプル数Nは、監視対象の種類、数、通常の移動速度、監視の目的などに応じて予め設定されてもよい。サンプル数Nは、監視対象の現在の状態、場所、移動状況、相対位置及び相対角度の履歴などに応じて動的に更新されてもよい。
【0028】
図8は、監視者端末200の位置と監視対象端末300の位置から算出した端末間距離の時間変化と、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置から算出した相対距離の時間変化の例を示す。通常、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化はほぼ同じになるはずであるが、何らかの異常が生じると、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化とが異なる挙動をとりうる。したがって、本実施の形態では、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との類似性を評価し、類似性が所定の正常範囲から外れた場合に異常を検知する。これにより、飼養動物3が監視者2から急速に離れていくような行動をとったり、飼養動物3が何者かに連れ去られたり、監視者端末200又は監視対象端末300に異常が生じて飼養動物3の監視を継続できなくなったりしたときに、異常を迅速に検知して報知することができる。
【0029】
本実施の形態では、監視装置100は、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との間の類似性を評価するために、それらの相互相関関数の値を算出する。相互相関関数rxy(T)は、例えば次式で表される。
【数1】
ここで、σxy(T)は、次式で表される。
【数2】
【0030】
図5のS43において、監視装置100は、直近のNサンプルにおける端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との相互相関関数の値を算出する。相互相関関数は、正の相関が強いほど正の大きな値をとり、負の相関が強いほど負の大きな値をとり、相関が弱いほどゼロに近い値をとる。したがって、監視装置100は、監視対象のステータスが正常であると判定できる程度に端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との間の相関が強いときに相互相関関数の値がとりうる範囲を予め設定しておき、図5のS44において、相互相関関数の値が所定の正常範囲から外れていたときに、飼養動物3に異常が生じた可能性があると判定して、監視対象の飼養動物3のステータスを「緊急」に更新する。
【0031】
相互相関関数の値の正常範囲は、監視者が設定できるようにしてもよいし、監視装置100が自動的に設定してもよい。正常範囲は、監視対象の飼養動物3が正常な状態にあるときに記録された監視者端末200と監視対象端末300との間の端末間距離と相対距離の履歴に基づいて設定されてもよい。正常範囲の下限値は、正常な状態における端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化から算出された相互相関関数の値の最小値、第1四分位数、5パーセンタイル、10パーセンタイル、20パーセンタイル、30パーセンタイルなどであってもよい。正常範囲は、異常検知の履歴と、そのときの飼養動物3の実際の状態に応じて更新されてもよい。例えば、正常範囲に基づいて異常が検知されたときに、飼養動物3が実際には正常な状態であった事例が所定回数以上発生した場合に、監視装置100は、正常範囲の下限値をより大きい値に更新してもよい。逆に、飼養動物3が異常な状態にあったにもかかわらず、正常範囲に基づいて異常が検知されなかった事例が発生した場合に、監視装置100は、正常範囲の下限値をより小さい値に更新してもよい。
【0032】
相互相関関数の値を算出するためのサンプル数N、又はサンプル期間は、監視者が設定できるようにしてもよいし、監視装置100に予め設定されていてもよいし、監視装置100が自動的に更新してもよい。サンプル数Nは、監視対象の種類、数、通常の移動速度、監視の目的などに応じて予め設定されてもよい。サンプル数Nは、監視対象の現在の状態、場所、移動状況、相対位置及び相対角度の履歴などに応じて動的に更新されてもよい。
【0033】
監視装置100は、STL分解(Seasonal-Trend Decomposition Procedure Based on Loess)など、2つの時系列データの類似性を評価するための任意の技術を利用して、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との類似性を評価してもよい。監視装置100は、端末間距離の時系列データと相対距離の時系列データを入力し、それらの類似性を表す指標を出力するニューラルネットワークなどで構成された人工知能を利用して、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との類似性を評価してもよい。また、監視装置100は、端末間距離の時系列データ又は相対距離の時系列データを入力し、監視対象に異常が発生している確率を出力するニューラルネットワークなどで構成された人工知能を利用して、監視対象の異常を検知してもよい。これらの人工知能は、過去に記録された端末間距離又は相対距離の時系列データ、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化の類似性(相互相関関数の値など)、監視対象の異常の有無などを学習データとして学習されてもよい。
【0034】
上述したように、監視装置100は、相対距離及び相対角度の変化速度に異常が生じ、かつ、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との間の相互相関関数の値に異常が生じたときに、監視対象に緊急事態が生じた可能性がある旨を監視者端末200及び監視対象端末300に通知する。これにより、監視対象の異常を迅速かつ精確に検知することができる。別の例では、いずれか一方に異常が生じたときに、監視対象に異常が生じた可能性がある旨を監視者端末200及び監視対象端末300に通知してもよい。
【0035】
図9は、監視装置100の構成を示すブロック図である。監視装置100は、通信装置111、処理装置120、記憶装置140を備える。本明細書のブロック図で示す複数の機能ブロックは、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムをCPUが実行すること等により実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0036】
通信装置111は、ベースステーション4、コアネットワーク7などを介して、監視者端末200及び監視対象端末300との間で通信を行う。通信装置111は、任意の通信方式により監視者端末200及び監視対象端末300との間で通信を行ってもよい。
【0037】
記憶装置140は、処理装置120により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置140は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。記憶装置140は、監視対象データベース141、履歴情報保持部142、及びパラメータ保持部143を備える。
【0038】
監視対象データベース141は、監視対象の飼養動物3、飼養動物3に装着された監視対象端末300、飼養動物3を監視する監視者が保持する監視者端末200などに関する情報を保持する。監視対象データベース141は、例えば、飼養動物3の種類、年齢、性別、体重、通常の移動速度、飼養動物3を監視中の監視者2の識別情報、年齢、性別、移動方法、通常の移動速度、監視者端末200及び監視対象端末300の識別情報、通信に関する情報などを保持する。
【0039】
履歴情報保持部142は、監視装置100が監視者端末200及び監視対象端末300から取得した情報や、監視装置100において算出された情報などを保持する。履歴情報保持部142は、例えば、監視者端末200及び監視対象端末300の位置情報、監視者端末200と監視対象端末300との間の距離、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離及び相対角度及びそれらの変化速度、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との間の相互相関関数の値、異常検知結果などの履歴を保持する。
【0040】
パラメータ保持部143は、監視装置100が監視対象の異常を検知するための処理に使用するパラメータを保持する。パラメータ保持部143は、例えば、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離又は相対角度の変化速度の異常を検知するための第1の閾値、第2の閾値、第3の閾値、第4の閾値、相対距離及び相対角度の変化速度を算出するためのサンプル数N、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との間の相互相関関数の係数、相互相関関数の値の正常範囲、相互相関関数を算出するためのサンプル数Nなどを保持する。
【0041】
処理装置120は、端末情報登録部121、端末位置取得部122、距離算出部123、相対位置取得部124、変化速度算出部125、相互相関関数算出部126、第1異常検知部127、第2異常検知部128、及び検知結果送信部129を備える。
【0042】
端末情報登録部121は、監視対象を監視する監視者が所持する監視者端末200の情報を監視者端末200から取得して監視対象データベース141に登録する。
【0043】
端末位置取得部122は、監視者端末200及び監視対象端末300から、それぞれの現在位置を示す位置情報を取得し、履歴情報保持部142に格納する。
【0044】
距離算出部123は、監視対象データベース141に保持された監視者端末200及び監視対象端末300の位置情報に基づいて、監視者端末200と監視対象端末300との間の端末間距離を算出し、履歴情報保持部142に格納する。
【0045】
相対位置取得部124は、監視者端末200から、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置を示す情報を取得し、履歴情報保持部142に格納する。
【0046】
変化速度算出部125は、履歴情報保持部142に保持された監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置を示す情報から、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離及び相対角度と、それらの変化速度を算出し、履歴情報保持部142に格納する。
【0047】
第2異常検知部128は、変化速度算出部125により算出された相対距離及び相対角度の変化速度を、パラメータ保持部143に保持された閾値と比較することにより、監視対象の異常を検知する。
【0048】
相互相関関数算出部126は、履歴情報保持部142に保持された端末間距離の履歴と相対距離の履歴を参照して、端末間距離の時間変化と相対距離の時間変化との相互相関関数の値を算出する。
【0049】
第1異常検知部127は、相互相関関数算出部126により算出された相互相関関数の値を、パラメータ保持部143に保持された正常範囲と比較することにより、監視対象の異常を検知する。
【0050】
検知結果送信部129は、第1異常検知部127又は第2異常検知部128により検知された結果を監視者端末200又は監視対象端末300に送信する。
【0051】
図10は、実施の形態に係る監視者端末200の構成を示すブロック図である。監視者端末200は、通信装置211、表示装置212、入力装置213、スピーカ214、記憶装置215、位置センサ216、及び処理装置220を備える。これらの機能ブロックも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組合せによっていろいろな形で実現できる。監視者端末200は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0052】
通信装置211は、ベースステーション4、コアネットワーク7などを介して、監視装置100との間で通信を行う。また、通信装置211は、Bluetoothなどの通信方式により監視対象端末300との間で通信を行う。
【0053】
表示装置212は、処理装置220により生成される画面を表示する。表示装置212は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置213は、監視者2による指示入力を処理装置220に伝達する。入力装置213は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置212及び入力装置213は、タッチパネルとして実装されてもよい。スピーカ214は、処理装置220により生成される音声を出力する。
【0054】
記憶装置215は、処理装置220により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置215は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。
【0055】
位置センサ216は、GPS(Global Positioning System)等の公知技術を用いて、監視者端末200の現在位置を検知する。
【0056】
処理装置220は、端末情報送信部221、位置情報送信部222、相対位置取得部223、相対位置送信部224、検知結果取得部225、及び報知部226を備える。
【0057】
端末情報送信部221は、監視者端末200を所持する監視者2が監視対象の飼養動物3の監視を開始するときに、監視者端末200に関する情報を監視装置100に送信する。
【0058】
位置情報送信部222は、所定のタイミングで位置センサ216から位置情報を取得し、監視装置100に送信する。
【0059】
相対位置取得部223は、所定のタイミングで監視対象端末300と通信し、監視対象端末300との間の相対距離及び相対角度を取得する。
【0060】
相対位置送信部224は、相対位置取得部223により取得された監視対象端末300との間の相対距離及び相対角度を監視装置100に送信する。
【0061】
検知結果取得部225は、監視装置100による監視対象の異常の検知結果を監視装置100から取得する。
【0062】
報知部226は、検知結果取得部225により取得された検知結果を表示装置212又はスピーカ214などから報知する。報知部226は、検知結果の内容に応じて報知の態様を決定してもよい。例えば、監視対象に緊急事態が生じた可能性がある旨の検知結果が取得された場合は、報知部226は、表示装置212に検知結果を表示するとともに、スピーカ214から警告音を出力してもよい。監視対象が正常である旨の検知結果が取得された場合は、報知部226は、その旨を表示装置212に表示し、スピーカ214から音声を出力しなくてもよい。
【0063】
図11は、実施の形態に係る監視対象端末300の構成を示すブロック図である。監視対象端末300は、通信装置311、表示装置312、入力装置313、スピーカ314、記憶装置315、位置センサ316、及び処理装置320を備える。これらの機能ブロックも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組合せによっていろいろな形で実現できる。監視対象端末300は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。監視対象端末300は、監視対象が装着する衣服、靴、装飾品、携帯品、首輪などに装着又は貼付されてもよいし、それらに組み込まれてもよい。
【0064】
通信装置311は、ベースステーション4、コアネットワーク7などを介して、監視装置100との間で通信を行う。また、通信装置311は、Bluetoothなどの通信方式により監視者端末200との間で通信を行う。
【0065】
表示装置312は、処理装置320により生成される画面を表示する。表示装置312は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置313は、監視者2などによる指示入力を処理装置320に伝達する。入力装置313は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置312及び入力装置313は、タッチパネルとして実装されてもよい。スピーカ314は、処理装置320により生成される音声を出力する。
【0066】
記憶装置315は、処理装置320により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置315は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。
【0067】
位置センサ316は、GPS(Global Positioning System)等の公知技術を用いて、監視対象端末300の現在位置を検知する。
【0068】
処理装置320は、センサ情報送信部321、検知結果取得部322、及び報知部323を備える。
【0069】
センサ情報送信部321は、所定のタイミングで位置センサ316から位置情報を取得し、監視装置100に送信する。
【0070】
検知結果取得部322は、監視装置100による監視対象の異常の検知結果を監視装置100から取得する。
【0071】
報知部323は、検知結果取得部322により取得された検知結果を表示装置312又はスピーカ314などから報知する。報知部323は、検知結果の内容に応じて報知の態様を決定してもよい。例えば、監視対象に緊急事態が生じた可能性がある旨の検知結果が取得された場合は、報知部323は、表示装置312に検知結果を表示するとともに、スピーカ314から警告音を出力してもよい。報知部323は、監視対象の飼養動物3を保護した人が監視者2に連絡することができるように、監視者端末200の電話番号、メールアドレス、監視者2の氏名、住所などの情報を表示装置312に表示してもよい。報知部323は、監視対象の飼養動物3を連れ去った人に対する警告メッセージを表示装置312に表示してもよい。
【0072】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、図4に示した手順において、監視者端末200が監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置を示す情報を取得して監視装置100に送信する処理を、監視装置100からの要求の有無にかかわらず実行したが、第2の実施の形態では、監視装置100が監視者端末200に相対位置を示す情報の送信を要求したときに、監視者端末200が監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置を示す情報を取得して監視装置100に送信する。その他の構成及び動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0073】
図11は、第2の実施の形態に係る監視方法の手順を示すフローチャートである。監視装置100は、図3に示したステップS24において算出した端末間距離が所定の閾値以下であるかを確認する(S27)。端末間距離が閾値を超えている場合(S27のN)、監視装置100は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置を示す情報の送信を監視者端末200に要求する(S28)。端末間距離が閾値以下である場合(S27のY)、監視装置100は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対位置を示す情報の送信を監視者端末200に要求しない。
【0074】
本実施の形態の技術によれば、端末間距離が閾値を超えたときにのみ、監視対象の異常を検知するための処理を実行するので、異常検知の精度を高く保ちつつ、処理負荷を軽減させることができる。
【0075】
(第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態に係る監視対象端末300の構成を示すブロック図である。第3の実施の形態に係る監視対象端末300は、図10に示した第1の実施の形態に係る監視対象端末300の構成に加えて、周囲の温度を検知するための温度センサ317を備える。センサ情報送信部321は、位置センサ316により検知された位置情報に加えて、温度センサ317により検知された温度情報を監視装置100に送信する。その他の構成及び動作は、第1又は第2の実施の形態と同様である。
【0076】
図13は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離及び監視対象端末300の温度の時間変化の例を示す。時刻t0及びt1には、監視対象端末300が監視対象の飼養動物3に装着されているので、温度センサ317は飼養動物3の体温を検知する。監視対象端末300が飼養動物3から外れたり、外されたりした場合、温度センサ317は周囲の気温を検知するので、時刻t2において、温度センサ317により検知された温度が急激に低下する。このように、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離が異常を示さない場合であっても、温度が急激に低下した場合には、監視対象端末300が飼養動物3から外れたことを検知することができる。温度センサ317に代えて、監視対象の生体情報、例えば、脈拍や血圧などを検知するためのセンサが監視対象端末300に搭載されてもよい。
【0077】
図14は、第3の実施の形態に係る監視方法の手順を示すフローチャートである。本図は、図4の監視対象の異常検知処理(S34)の詳細を示す。第3の実施の形態においては、図5に示したフローチャートのステップS43に代えて、ステップS50が実行される。その他の手順は、図5に示したフローチャートと同様である。
【0078】
ステップS50において、監視装置100の相互相関関数算出部126は、直近のNサンプルにおける相対距離の時間変化と監視対象端末300の温度の時間変化との相互相関関数の値を算出する(S50)。算出された相互相関関数の値が所定の正常範囲内であれば(S44のY)、監視対象の飼養動物3のステータスを「正常」に更新して(S46)、異常検知処理を終了する。算出された相互相関関数の値が正常範囲から外れていれば(S44のN)、監視対象の飼養動物3のステータスを「緊急」に更新する(S45)。
【0079】
第3の実施の形態の技術によれば、監視対象端末300が監視対象から外れてしまった場合であっても、その異常を検知して通知することができる。
【0080】
(第4の実施の形態)
図15は、第4の実施の形態に係る監視対象端末300の構成を示すブロック図である。第4の実施の形態に係る監視対象端末300は、図10に示した第1の実施の形態に係る監視対象端末300の構成に加えて、監視対象の飼養動物3の歩数を検知するための歩数センサ318を備える。歩数センサ318は、例えば、加速度計などであってもよい。センサ情報送信部321は、位置センサ316により検知された位置情報に加えて、歩数センサ318により検知された歩数情報を監視装置100に送信する。監視装置100は、既知の任意の技術により、歩数情報から飼養動物3の移動距離を算出する。その他の構成及び動作は、第1~第3のいずれかの実施の形態と同様である。
【0081】
図16は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離及び監視対象の歩数から算出した距離の時間変化の例を示す。監視対象の飼養動物3が歩いて移動している場合は、歩数センサ318により検知された歩数と飼養動物3の通常の歩幅から算出された移動距離の時間変化は、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離の時間変化と同様の傾向を示す。しかし、飼養動物3が何者かにより抱きかかえられたり、かごなどに入れられたり、車などの移動体に乗せられたりして連れ去られた場合、飼養動物3が歩いていないにもかかわらず監視者2から離れていくので、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離の時間変化と、歩数センサ318により検知された歩数から算出された監視対象の移動距離の時間変化が、異なる挙動を示す。このように、監視者端末200と監視対象端末300との間の相対距離が異常を示さない場合であっても、監視対象の歩数から算出された移動距離を監視することにより、飼養動物3が何者かにより連れ去られたことを検知することができる。
【0082】
図17は、第4の実施の形態に係る監視方法の手順を示すフローチャートである。本図は、図4の監視対象の異常検知処理(S34)の詳細を示す。第4の実施の形態においては、図5に示したフローチャートのステップS43に代えて、ステップS51が実行される。その他の手順は、図5に示したフローチャートと同様である。
【0083】
ステップS51において、監視装置100の相互相関関数算出部126は、直近のNサンプルにおける相対距離の時間変化と監視対象の歩数から算出された移動距離の時間変化との相互相関関数の値を算出する(S51)。算出された相互相関関数の値が所定の正常範囲内であれば(S44のY)、監視対象の飼養動物3のステータスを「正常」に更新して(S46)、異常検知処理を終了する。算出された相互相関関数の値が正常範囲から外れていれば(S44のN)、監視対象の飼養動物3のステータスを「緊急」に更新する(S45)。
【0084】
第4の実施の形態の技術によれば、監視対象が何者かにより連れ去られてしまった場合であっても、その異常を検知して通知することができる。
【0085】
以上、本発明を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0086】
(第1の変形例)
監視装置100の全ての機能が、ベースステーション4に近接するMECプラットフォーム5に実装されてもよい。
【0087】
(第2の変形例)
監視装置100の全ての機能が、コアネットワーク7のクラウド上に実装されてもよい。この場合、監視者端末200と監視対象端末300とが異なるベースステーション4にアタッチされている場合であっても、監視装置100が監視者端末200と監視対象端末300の両者から情報を取得して監視対象を監視することができる。
【0088】
(第3の変形例)
第3の実施の形態において、監視対象端末300のセンサ情報送信部321は、温度センサ317から取得した温度が異常を示したときに、まず、監視装置100ではなく監視者端末200に異常を通知してもよい。これにより、監視者2は飼養動物3から監視対象端末300が外れたことを迅速に知ることができるので、適切な対処をすることができる。また、監視対象端末300が何者かによって飼養動物3から外されたのではなく、単に監視対象端末300が飼養動物3から外れてしまった場合など、飼養動物3に異常が生じていない場合には、監視装置100が異常検知処理を実行しないで済むので、監視装置100の処理負荷や通信の負荷を軽減させることができる。
【0089】
(第4の変形例)
監視装置100の機能がMECプラットフォーム5に実装されている場合に、監視者端末200と監視対象端末300がベースステーション4の通信可能領域の境界付近にいるとき、わずかな時間ではあるが、それぞれが異なるベースステーション4に接続する場合がある。監視装置100は、監視者端末200と監視対象端末300が異なるベースステーション4に接続していることを検知し、それぞれが接続しているベースステーション4を介して通信する。
【0090】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0091】
1 監視システム、2 監視者、3 飼養動物、4 ベースステーション、5 MECプラットフォーム、6 IoTサーバ、7 コアネットワーク、100 監視装置、111 通信装置、120 処理装置、121 端末情報登録部、122 端末位置取得部、123 距離算出部、124 相対位置取得部、125 変化速度算出部、126 相互相関関数算出部、127 第1異常検知部、128 第2異常検知部、129 検知結果送信部、140 記憶装置、141 監視対象データベース、142 履歴情報保持部、143 パラメータ保持部、200 監視者端末、211 通信装置、212 表示装置、213 入力装置、214 スピーカ、215 記憶装置、216 位置センサ、220 処理装置、221 端末情報送信部、222 位置情報送信部、223 相対位置取得部、224 相対位置送信部、225 検知結果取得部、226 報知部、300 監視対象端末、311 通信装置、312 表示装置、313 入力装置、314 スピーカ、315 記憶装置、316 位置センサ、317 温度センサ、318 歩数センサ、320 処理装置、321 センサ情報送信部、322 検知結果取得部、323 報知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17