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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】食道閉鎖症治療具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61B17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020085242
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021178060
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520167782
【氏名又は名称】佐伯 勇
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 勇
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0360524(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0311952(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0350566(US,A1)
【文献】特表2009-508544(JP,A)
【文献】特表2013-538078(JP,A)
【文献】特開昭46-000147(JP,A)
【文献】特表2002-503512(JP,A)
【文献】特表2003-510160(JP,A)
【文献】特表2006-500090(JP,A)
【文献】特表2008-541854(JP,A)
【文献】特表2009-520559(JP,A)
【文献】特表2011-526184(JP,A)
【文献】特表2018-524042(JP,A)
【文献】特表2018-537249(JP,A)
【文献】特許第5938154(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0087919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0221037(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0342609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0274772(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0029688(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0029794(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109044439(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に形成される押圧面と、前記押圧面と反対側の他面に形成される反対面と、を有するプラグと、
前記反対面に対向して配置される端面であって前記反対面よりも小さい外形で形成される端面を有すると共に前記プラグに対して相対的に移動可能な筒状のチューブと、
前記チューブの軸方向において前記チューブの端面の軸方向の位置を前記プラグの反対面の所定位置に位置させる位置決め機構と、を備え、
前記押圧面は、先端が湾曲面状に形成され、
前記反対面は、平面状に形成され、
前記位置決め機構は、前記プラグに接続されると共に前記チューブの内部に通される線状部材を備える食道閉鎖症治療具。
【請求項2】
前記プラグは、前記反対面から窪んで形成される窪み部と、前記窪み部の一部を塞ぐように形成される橋渡し部と、を有する線状部材通し部を更に備え、
前記位置決め機構は、前記線状部材通し部及び該線状部材通し部に通されることで前記プラグに接続される前記線状部材により構成される請求項1に記載の食道閉鎖症治療具。
【請求項3】
前記プラグは、前記反対面に形成され前記線状部材が接続される線状部材接続部を更に備え、
前記位置決め機構は、前記線状部材接続部及び該線状部材接続部に接続される前記線状部材により構成される請求項1に記載の食道閉鎖症治療具。
【請求項4】
前記反対面は、平面視で外形が円形状で、かつ、平面状に形成され、
前記チューブの端面の中心と前記反対面の中心とが一致するように配置される、請求項1~3のいずれかに記載の食道閉鎖症治療具。
【請求項5】
前記反対面は、平面視で外形が円形状で、かつ、平面状に形成され、
前記チューブの端面の径は、前記反対面の径よりも小径である、請求項1~4のいずれかに記載の食道閉鎖症治療具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食道閉鎖症治療具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先天性食道閉鎖症の治療方法の一例として、バルーンカテーテルを用いた治療方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。先天性食道閉鎖症は、食道が途中で離断された先天性の疾患である。先天性食道閉鎖症は、胎生4~7週頃に起こる気管と食道の分離過程の異常によって発症するといわれている。
【0003】
また、先天性食道閉鎖症の治療方法として、ハワード法と呼ばれる治療方法が知られている。ハワード法は、食道が途中で閉鎖した盲端をブジーにより圧迫することで、食道を延長していく治療方法である。ハワード法における食道閉鎖症の治療においては、例えば、ブジーとしてチューブを用いて、チューブの先端を、患者の食道の盲端に押し付けて圧迫して食道の盲端を延長する治療が、毎日2回程度の頻度で、1~2カ月程度の長期間にわたって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国公開2018/0228491号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先天性食道閉鎖症の治療方法において、チューブの先端を食道の盲端に押し付けて圧迫する治療法では、チューブが細い場合には、食道の盲端に圧が掛かりにくく、食道を延長しにくい。一方、チューブが太い場合には、食道の盲端に圧が掛かり易い。しかし、チューブが太い場合には、チューブを食道に挿入する際の患者(新生児、乳幼児)の苦痛が大きいと共に、苦痛が生じる治療を1~2カ月程度の長期間行うことになり、患者の負担が大きい。また、チューブの先端を食道の盲端に押し付けて圧迫する治療を行う場合には、チューブの材質が比較的硬質であるため、チューブの先端が食道に孔を開けるなどの食道に損傷を与える危険性も生じる。そのため、患者の苦痛を減らすことができると共に、食道に損傷を与えることを抑制できる食道閉鎖症治療具が望まれる。
【0006】
本発明は、患者の苦痛を減らすことができると共に、食道に損傷を与えることを抑制できる食道閉鎖症治療具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一面に形成される押圧面と、前記押圧面と反対側の他面に形成される反対面と、を有するプラグと、前記反対面に対向して配置される端面であって前記反対面よりも小さい外形で形成される端面を有する筒状のチューブと、前記チューブの端面を前記プラグの反対面の所定位置に位置させる位置決め機構と、を備える食道閉鎖症治療具に関する。
【0008】
また、前記プラグに接続されると共に、前記チューブの内部に通される線状部材を更に備え、前記プラグは、前記反対面から窪んで形成される窪み部と、前記窪み部の一部を塞ぐように形成される橋渡し部と、を有する線状部材通し部を更に備え、前記位置決め機構は、前記線状部材通し部及び該線状部材通し部に通されることで前記プラグに接続される前記線状部材により構成されることが好ましい。
【0009】
また、前記プラグに接続されると共に、前記チューブの内部に通される線状部材を更に備え、前記プラグは、前記反対面に形成され前記線状部材が接続される線状部材接続部を更に備え、前記位置決め機構は、前記線状部材接続部及び該線状部材接続部に接続される前記線状部材により構成されることが好ましい。
【0010】
また、前記プラグは、前記反対面に配置される第1磁性体を備え、前記チューブは、前記端面に配置され磁力により前記第1磁性体に接続される第2磁性体を備え、前記位置決め機構は、前記第1磁性体及び前記第2磁性体により構成されることが好ましい。
【0011】
また、前記押圧面は、先端が湾曲面状に形成されることが好ましい。
【0012】
また、前記反対面は、平面視で外形が円形状で、かつ、平面状に形成され、前記チューブの端面の中心と前記反対面の中心とが一致するように配置されることが好ましい。
【0013】
また、前記反対面は、平面視で外形が円形状で、かつ、平面状に形成され、前記チューブの端面の径は、前記反対面の径よりも小径であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、患者の苦痛を減らすことができると共に、食道に損傷を与えることを抑制できる食道閉鎖症治療具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る食道閉鎖症治療具を食道の盲端に留置した状態を示す図である。
図2】食道閉鎖症治療具の各構成を示す斜視図である。
図3】プラグを反対面側から見た平面図である。
図4】プラグの縦断面図である。
図5】食道に留置したプラグ側にチューブを移動させる状態を示す図である。
図6】食道に留置したプラグをチューブの端面により押圧する状態を示す図である。
図7】第2実施形態に係る食道閉鎖症治療具を示す図である。
図8】第3実施形態に係る食道閉鎖症治療具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明の食道閉鎖症治療具1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の食道閉鎖症治療具1は、先天性食道閉鎖症の治療に用いられる。先天性食道閉鎖症は、食道が途中で離断された先天性の疾患である。先天性食道閉鎖症は、胎生4~7週頃に起こる気管と食道の分離過程の異常によって発症するといわれている。
【0017】
また、先天性食道閉鎖症の治療方法として、ハワード法と呼ばれる治療方法が知られている。ハワード法は、食道が途中で閉鎖した盲端をブジーにより圧迫することで、食道を延長していく治療方法である。本発明の食道閉鎖症治療具1は、先天性食道閉鎖症の治療方法におけるハワード法において用いられる治療具である。
【0018】
食道閉鎖症治療具1は、食道10が途中で離断されて形成された食道10の盲端11をプラグ2により押圧する治療具である。図1に示すように、食道閉鎖症治療具1は、食道10の盲端11まで挿入されて使用される。食道閉鎖症治療具1は、図1及び図2に示すように、プラグ2と、チューブ3と、糸4(線状部材)と、を備える。
【0019】
プラグ2は、図2図4に示すように、半球状に形成される。プラグ2は、例えば、シリコン樹脂により形成される。プラグ2は、一面に形成される押圧面21と、押圧面21と反対側の他面に形成される反対面22と、反対面22に形成される糸通し部23(線状部材通し部)と、を有する。
【0020】
押圧面21は、食道閉鎖症を治療する場合に、食道10の盲端11に押し付けられる部分である。押圧面21の先端211は、湾曲面状に形成される。
反対面22は、平面視で外形が円形状で、かつ、平面状に形成される。反対面22には、チューブ3の先端側の端面31が押し付けられる。
【0021】
糸通し部23は、プラグ2における押圧面21と反対側の反対面22に形成される。糸通し部23には、糸4が通される。糸通し部23は、反対面22から窪んで形成される窪み部231と、窪み部231の一部を塞ぐように形成される橋渡し部232と、を有する。
【0022】
窪み部231は、プラグ2の反対面22の中央において、プラグ2の反対面22から半球状に窪んで形成される。プラグ2の反対面22における窪み部231よりも外側の円環状の平面部分は、チューブ3の端面31が当接可能な当接面221を構成する。
【0023】
橋渡し部232は、プラグ2の反対面22において、窪み部231の一部を塞ぐように、窪み部231の円形状の開口中央を径方向に繋ぐように橋渡されて直線状に延びる。橋渡し部232の表面は、反対面22と同一平面上に形成される。
【0024】
糸4は、図2に示すように、糸通し部23に通されることでプラグ2に接続される。糸4は、糸通し部23に通された状態で、糸通し部23において折り返される。糸4は、糸通し部23を境にして、一方側及び他方側の両方が、チューブ3の内部側に向かって重なるように延びて配置され、チューブ3の内部に通される。糸4としては、例えば、合成樹脂で形成されたテグス糸が用いられる。
【0025】
チューブ3は、所定方向に延びる筒状に形成される。チューブ3の内部には、糸通し部23において折り返された糸4の一方側及び他方側の両方が重なった状態で通される。チューブ3は、例えば、樹脂材料により形成される。
【0026】
チューブ3は、プラグ2側の端部において端面31を有する。端面31は、プラグ2の反対面22に対向して配置される端面であって、プラグ2の反対面22よりも小さい外形で形成される。チューブ3の端面31の径は、プラグ2の反対面の径よりも小径である。チューブ3とプラグ2とは、図2に示すように、チューブ3の端面31の中心C1とプラグ2の反対面22の中心C2とが一致するように配置される。これにより、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22に安定して押圧することができる。
【0027】
以上の食道閉鎖症治療具1は、チューブ3を糸通し部23に接続された糸4に沿って移動させて、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22の当接面221Aに当接させることができる。糸4及び糸通し部23は、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22の所定位置に位置させる位置決め機構を構成する。
【0028】
次に、食道閉鎖症治療具1の使用方法について説明する。
まず、食道10の盲端11に、糸通し部23に糸4を通したプラグ2を留置する。そして、糸4にチューブ3を通して、図5に示すように、食道10内を、チューブ3を糸4に沿ってプラグ2側に移動させる。
【0029】
続けて、図6に示すように、チューブ3の端面31がプラグ2の反対面22の当接面221に当接するまで、チューブ3をプラグ2側に移動させる。
そして、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22の当接面221に当接させた状態で、チューブ3の端面31によりプラグ2の反対面22の当接面221を押圧する。これにより、プラグ2の押圧面21の湾曲面状の先端211を、食道10の盲端11に押し付けて圧迫して、食道10の盲端11を広く伸ばして、食道10の盲端11を延長させることができる。
【0030】
以上説明した本実施形態の食道閉鎖症治療具1によれば、以下のような効果を奏する。
食道閉鎖症治療具1を、一面に形成される押圧面21と、押圧面21と反対側の他面に形成される反対面22と、を有するプラグと、反対面22に対向して配置される端面31であって反対面22よりも小さい外形で形成される端面31を有する筒状のチューブ3と、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22の所定位置に位置させる位置決め機構(糸通し部23、糸4)と、を備える。
【0031】
これにより、プラグ2の押圧面21により食道10の盲端11を押圧できるため、食道10の盲端11に圧を掛けるために太いチューブを使用する必要がない。そのため、食道10に太いチューブを通すことなく、食道10内において、プラグ2に通した糸4に沿ってチューブ3をスムーズに移動させることができるため、患者(新生児、乳幼児)の苦痛を減らすことができる。また、チューブ3の端面31をプラグ2に当接させて、プラグ2の押圧面21により食道の盲端11に押圧できるため、食道10の損傷を抑制でき、患者の食道10の盲端11に安全に圧を掛けることができる。
【0032】
また、本実施形態においては、プラグ2に接続されると共に、チューブ3の内部に通される糸4を更に備え、プラグ2を、反対面22から窪んで形成される窪み部231と、窪み部231の一部を塞ぐように形成される橋渡し部232と、を有する糸通し部23を更に備えて構成し、位置決め機構を、糸通し部23及び糸通し部23に通されることでプラグ2に接続される糸4により構成した。これにより、糸4を糸通し部23を介してプラグ2に容易に接続できる。また、食道10内において、糸4に沿ってチューブ3をプラグ2側に移動させることができるため、プラグ2に向けてチューブ3の先端を迷わずに導くことができる。
【0033】
また、本実施形態においては、プラグ2の押圧面21の先端211を湾曲面状に形成した。これにより、プラグ2の先端の形状が広く丸い湾曲面状に形成されるため、湾曲面状のプラグ2の押圧面21を患者の食道10の盲端11に押圧する場合に、患者の苦痛を一層減らすことができると共に、食道10の損傷を一層抑制できる。
【0034】
また、本実施形態においては、プラグ2の反対面22は、平面視で外形が円形状で、かつ、平面状に形成される。プラグ2の反対面22は、チューブ3の端面31の中心C1とプラグ2の反対面22の中心C2とが一致するように配置される。これにより、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22に押圧する場合に、チューブ3の端面31の中心C1とプラグ2の反対面22の中心C2とが一致するため、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22に安定して押圧することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、プラグ2の反対面22は、平面視で外形が円形状で、かつ、平面状に形成される。チューブ3の端面31の径は、プラグ2の反対面22の径よりも小径である。これにより、チューブ3の端面31をプラグ2の反対面22に安定して押圧することができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態に係る食道閉鎖症治療具1Aを示す図である。第2実施形態においては、第1実施形態で説明した構成については、その説明を省略する。
【0037】
第2実施形態の食道閉鎖症治療具1Aは、図7に示すように、プラグ2Aと、チューブ3と、糸4A(線状部材、位置決め機構)と、を備える。チューブ3の構成は、第1実施形態のチューブ3の構成と同様である。
【0038】
プラグ2Aは、半球状に形成される。プラグ2Aは、例えば、シリコン樹脂により形成される。プラグ2Aは、一面に形成される押圧面21と、押圧面21と反対側の他面に形成される反対面22Aと、糸接続部41(線状部材接続部、位置決め機構)と、を有する。反対面22Aにおけるチューブ3の端面31が当接する部分は、当接面221Aを構成する。
【0039】
第2実施形態のプラグ2Aの押圧面21は、第1実施形態のプラグ2の押圧面21と同様の構成である。第2実施形態のプラグ2Aの反対面22Aには、第1実施形態のプラグ2の糸通し部23は設けられておらず、プラグ2Aの反対面22Aは、平面視で外径が円形状で、かつ、円形状の内側の全体が平面状に形成される。
【0040】
糸接続部41は、プラグ2Aの反対面22Aに形成される。本実施形態においては、糸接続部41は、反対面22Aの中央部に配置される。糸接続部41には、糸4Aが接続される。
【0041】
糸4Aは、プラグ2Aの糸接続部41に接続されると共に、チューブ3の内部に通される。第2実施形態の糸4Aは、第1実施形態の糸4が糸通し部23において折り返されて構成されるのに対して、折り返されずに1本で構成される。1本の糸4Aは、チューブ3の内部に挿通されている。糸4Aの先端は、反対面22Aの中央部に配置される糸接続部41において、例えば接着剤により接続されている。なお、糸4Aは、1本に限定されない。糸4Aを2本以上で構成してもよいし、第1実施形態の糸4のように、糸4Aを糸接続部41において折り返して重なった状態でチューブ3の内部を通してもよい。
【0042】
以上の食道閉鎖症治療具1Aは、チューブ3を糸接続部41に接続された糸4Aに沿って移動させて、チューブ3の端面31をプラグ2Aの反対面22Aの当接面221Aに当接させることができる。糸4A及び糸接続部41は、チューブ3の端面31をプラグ2Aの反対面22Aの所定位置に位置させる位置決め機構を構成する。
【0043】
食道閉鎖症治療具1Aを使用する場合には、チューブ3を糸接続部41に接続された糸4Aに沿って移動させて、チューブ3の端面31をプラグ2Aの反対面22Aの当接面221Aに当接させた状態で、チューブ3の端面31によりプラグ2Aの反対面22Aの当接面221Aを押圧する。これにより、プラグ2Aの押圧面21の湾曲面状の先端211を、食道10の盲端11(図1参照)に押し付けて圧迫して、食道10の盲端11を広く伸ばして、食道10の盲端11を延長させることができる。
【0044】
以上説明した本実施形態の食道閉鎖症治療具1Aによれば、第1実施形態と同様な効果を奏することができると共に、以下のような効果を奏する。
第2実施形態の食道閉鎖症治療具1Aによれば、糸接続部41において糸4Aを接続できるため、チューブ3の端面31をプラグ2Aの反対面22Aの所定位置に位置させる位置決め機構を、簡易な構成で実現できる。
【0045】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図8は、第3実施形態に係る食道閉鎖症治療具1Bを示す図である。第3実施形態においては、第1実施形態で説明した構成については、その説明を省略する。
【0046】
第3実施形態の食道閉鎖症治療具1Bは、図8に示すように、プラグ2Bと、チューブ3Bと、を備える。プラグ2Bは、半球状に形成される。プラグ2Bは、一面に形成される押圧面21と、押圧面21と反対側の他面に形成される反対面22Bと、を有する。反対面22Bにおけるチューブ3Bの端面31Bが当接する部分は、当接面221Bを構成する。
【0047】
プラグ2Bは、プラグ本体24と、円環状の磁石プレート25(第1磁性体、位置決め機構)と、を有する。プラグ本体24は、例えば、シリコン樹脂により形成される。磁石プレート25は、プラグ2Bの反対面22Bに配置される。磁石プレート25は、円形状の反対面22Bの中央部を中心とした所定径で円環状に形成される。本実施形態においては、磁石プレート25の表面は、チューブ3Bの端面31Bが当接する当接面221Bを構成する。
【0048】
チューブ3Bは、所定方向に延びる筒状に形成される。チューブ3Bは、プラグ2B側の端部において端面31Bを有する。端面31Bは、プラグ2の反対面22Bに対向して配置される端面であって、プラグ2の反対面22Bよりも小さい外形で形成される。
【0049】
チューブ3Bは、チューブ本体34と、円環状の鉄プレート35(第2磁性体、位置決め機構)と、を有する。チューブ本体34は、所定方向に延びる筒状に形成される。鉄プレート35は、チューブ本体34の先端の端面に配置される。鉄プレート35は、チューブ本体34の先端の端面に沿った円環状に形成される。本実施形態においては、鉄プレート35の表面は、チューブ3Bの端面31Bを構成する。鉄プレート35は、磁力によりプラグ2Bの磁石プレート25に接続される。
【0050】
以上の食道閉鎖症治療具1Bは、チューブ3Bの鉄プレート35をプラグ2Bの磁石プレート25に当接させて磁力により接続できる。チューブ3Bの鉄プレート35及びプラグ2Bの磁石プレート25は、チューブ3Bの端面31Bをプラグ2Bの反対面22Bの所定位置に位置させる位置決め機構を構成する。
【0051】
食道閉鎖症治療具1Bを使用する場合には、チューブ3Bの鉄プレート35をプラグ2Bの磁石プレート25に磁力により接続させて、チューブ3Bの端面31Bをプラグ2Bの反対面22Bの当接面221Bに当接させた状態で、チューブ3Bの端面31Bによりプラグ2Bの反対面22Bの当接面221Bを押圧する。これにより、プラグ2Bの押圧面21の湾曲面状の先端211を、食道10の盲端11(図1参照)に押し付けて圧迫して、食道10の盲端11を広く伸ばして、食道10の盲端11を延長させることができる。
【0052】
以上説明した本実施形態の食道閉鎖症治療具1Bによれば、第1実施形態と同様の効果を奏すると共に、以下のような効果を奏する。
第3実施形態によれば、チューブ3Bの鉄プレート35をプラグ2Bの磁石プレート25に磁力により接続させることができるため、例えばバルーンカテーテルを用いて食道10の盲端11に押し付けるよりも、押し付ける感触を詳細に認識できるため、プラグ2Bを押す際の力の加減を調整しやすい。
【0053】
以上、本発明の食道閉鎖症治療具1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
前記第1実施形態及び前記第2実施形態においては、線状部材を糸4,4Aにより構成したが、これに限らない。線状部材を、軟らかい金属製の素材で形成されたワイヤーで構成してもよいし、紐で構成してもよい。
【0054】
また、第1実施形態においては、糸通し部23に糸4を通すことにより、プラグ2に糸4を接続したが、これに限定されない。例えば、プラグ2の反対面22にリングを取り付けて、糸をリングに通することにより、プラグに糸を接続してもよい。
【0055】
また、前記第3実施形態においては、プラグ2Bに磁石プレート25(第1磁性体)を配置すると共に、チューブ3Bの先端に鉄プレート35(第2磁性体)を配置したが、これに限定されない。プラグ2B及びチューブ3Bの先端に配置される2つの磁性体は、互いの磁性体が磁力により接続される磁性体であればよい。例えば、前記第3実施形態とは逆に、プラグ2Bに鉄プレートを配置すると共に、チューブ3Bの先端に磁石プレートを配置してもよい。また、2つの磁性体は、両方とも磁石であってもよい。磁性体は、プレートでなくてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 食道閉鎖症治療具
2 プラグ
3 チューブ
4 糸(線状部材、位置決め機構)
4A 糸(線状部材、位置決め機構)
21 押圧面
22 反対面
23 糸通し部(線状部材通し部、位置決め機構)
25 磁石プレート(第1磁性体、位置決め機構)
31 端面
35 鉄プレート(第2磁性体、位置決め機構)
41 糸接続部(線状部材接続部)
231 窪み部
232 橋渡し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8