(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9728 20170101AFI20241004BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20241004BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241004BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20241004BHJP
A61K 36/07 20060101ALI20241004BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20241004BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20241004BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241004BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20241004BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241004BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241004BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241004BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K8/9728
A23L33/10
A23L33/105
A61K8/9789
A61K36/07
A61K36/185
A61K36/28
A61P17/00
A61P17/18
A61P43/00 105
A61Q17/04
A61Q19/00
A61Q19/02
(21)【出願番号】P 2020118360
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲村 彩
(72)【発明者】
【氏名】五味 貴優
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-226329(JP,A)
【文献】特開2006-117613(JP,A)
【文献】特開2003-104835(JP,A)
【文献】特開平07-126149(JP,A)
【文献】特開2006-219449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A23L 5/00- 5/49
A23L 31/00-33/29
A61K 36/00-36/9068
A61P 1/00-43/00
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョレイエキスと、トウキンセンカエキス及び/又はホップエキスとを含有する、
EHF遺伝子発現亢進用組成物
であって、
チョレイエキスとトウキンセンカエキスの含有量の質量比が5:17~15:2であり、チョレイエキスとホップエキスの含有量の質量比が2:9~18:1であり、
飲食品又は皮膚外用剤である、組成物。
【請求項2】
メラニン生成抑制用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
日焼け及び/又は色素沈着を予防するために用いられる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
チョレイエキスの含有量が組成物全体に対して固形物換算で0.0001~0.09質量%であり、
トウキンセンカエキスを含有する場合にその含有量が組成物全体に対して固形物換算で0.0001~0.1質量%であり、ホップエキスを含有する場合にその含有量が組成物全体に対して固形物換算で0.0001~0.05質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組成物に関し、メラニン生成抑制用の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚における日焼けや、その後に生じる色素沈着、シミ、肝斑、老人性色素斑等は、皮膚に存在するメラノサイト(色素細胞)の活性化によりメラニン生成が著しく亢進した状態である。これらの皮膚色素沈着に関連するトラブルの発生や悪化は肌の美しさを妨げるものであるため、従来これらを予防又は改善する作用を有する成分に関する研究が盛んになされており、様々な作用機序に基づく有効成分が創出されている。
【0003】
特許文献1には、複数のメラノサイト活性化因子を制御する因子が存在すること、さらに該制御因子の活性を指標とすることにより、より高い作用を有し得るメラノサイト活性化抑制用素材をより効率的にスクリーニングできることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の色素沈着抑制剤では、ある程度の抑制効果は認められるものの、十分に満足のいく効果が得られているとは言い難い。また、日焼けや色素沈着を予防するに際して、紫外線防御剤などを含有する日焼け止め(サンスクリーン)によるアプローチの他に、日焼けや色素沈着を起こしにくい肌をつくるという新たなアプローチで、優れた効果を持つものはいまだ見出されていない。
本発明は、かかる状況に鑑み、メラニン生成を抑制し、日焼けや色素沈着を起こしにくい肌にすることでそれらを予防することができる組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の植物等抽出物を組み合わせることにより、単独使用では生じない優れたメラニン生成抑制作用が発揮されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]チョレイエキスと、トウキンセンカエキス及び/又はホップエキスとを含有する、組成物。
[2]メラニン生成抑制用である、[1]に記載の組成物。
[3]日焼け及び/又は色素沈着を予防するために用いられる、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記組成物が飲食品又は皮膚外用剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、メラニン生成抑制の用途に好適な組成物が提供される。前記組成物は、皮膚外用剤や飲食品の態様とすることができ、手軽にまた継続的に生活に取り入れて、日焼けや色素沈着を起こしにくい肌を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】被験エキスを添加したケラチノサイトにおけるEHF遺伝子のmRNAの相対発現量を表すグラフ(Dunnett’s test、**:p<0.01)。
【
図2】被験エキスを添加したケラチノサイトにおけるEHF遺伝子のmRNAの相対発現量を表すグラフ(Dunnett’s test、*:p<0.05)。
【
図3】被験エキスを添加したケラチノサイトにおけるEHF遺伝子のmRNAの相対発現量を表すグラフ。
【
図4】被験エキスを添加したケラチノサイトにおけるEHF遺伝子のmRNAの相対発現量を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は、チョレイエキスと、トウキンセンカエキス及び/又はホップエキスとを含有する。
チョレイエキスは、ヒダナシタケ目サルノコシカケ科チョレイマイタケ(Polyporus Umbellatus Fries)の菌核である猪苓の抽出物である。
トウキンセンカエキスは、キク目キク科キンセンカ属トウキンセンカ(Calendula Officinalis Flower)の抽出物である。
ホップエキスは、バラ目アサ科カラハナソウ属ホップ(Humulus Lupulus、Hops)の抽出物である。
【0011】
上記抽出物は、抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物又は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとする。
【0012】
また、抽出物としては、通常化粧料や医薬品等の皮膚外用剤や経口摂取組成物に用いられるものであればよく、植物体から常法により抽出されたものを用いることができる。
例えば、植物の全体を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花、花蕾、果実等の部位を用いて抽出操作に供される。チョレイについては、菌核を抽出操作に供する。通常は、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが行われる。
抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される一種又は二種以上が好適に用いられる。
具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位又はその乾燥物1質量部に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
【0013】
本発明の組成物におけるチョレイエキスの含有量は、組成物全体に対して、固形物換算で0.0001~0.09質量%が好ましく、0.0005~0.03質量%がより好ましく、0.001~0.003質量%がさらに好ましい。
本発明の組成物におけるトウキンセンカエキスの含有量は、組成物全体に対して、固形物換算で0.0001~0.1質量%が好ましく、0.0006~0.04質量%がより好ましく、0.001~0.004質量%がさらに好ましい。
本発明の組成物におけるホップエキスの含有量は、組成物全体に対して、固形物換算で0.0001~0.05質量%が好ましく、0.0002~0.02質量%がより好ましく、0.0005~0.0015質量%がさらに好ましい。
【0014】
本発明の組成物におけるチョレイエキスとトウキンセンカエキスの含有量の質量比(固形物換算)は、5:17~15:2が好ましく、10:17~5:1がより好ましく、1
5:17~5:2がさらに好ましい。
本発明の組成物におけるチョレイエキスとホップエキスの含有量の質量比(固形物換算)は、2:9~18:1が好ましく、1:3~12:1がより好ましく、2:3~6:1がさらに好ましい。
【0015】
含有量又はその質量比を上記範囲とすることで所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。
なお、上記含有量は、後述するように経皮投与や経口投与などの投与経路に合わせて適宜調整することができる。
【0016】
チョレイエキスとトウキンセンカエキスの組み合わせ、及びチョレイエキスとホップエキスとの組み合わせは、後述の実施例で示されるように、ケラチノサイトにおいてEHF遺伝子(Gene ID:26298)の発現を亢進させる。なお、各エキス単独では、
EHF遺伝子の発現は亢進されない。
EHF遺伝子は、複数のメラノサイト活性化因子を抑制する因子である。ケラチノサイトにおいてEHF発現が亢進することにより、エンドセリン1、IL-1α、GRO、NRG1、SCF、TNF、ADM、IL-6、GM-CSF等のメラノサイト活性化因子が抑制される。メラノサイトを活性化する因子はその発現亢進によりメラノサイトを活性化し、チロシナーゼによりメラニン産生を促進することが知られている。
したがって、EHF遺伝子の発現を亢進させる本発明の組成物は、メラノサイト活性化因子の抑制を介して、メラニン産生を抑制する作用を有する。
【0017】
本発明の組成物は、メラニン産生抑制作用により、日焼けや色素沈着を予防することができる。日焼けは、紫外線を浴びた後に皮膚が赤く炎症を起こすサンバーン(sunburn)
とその後のメラニン色素の表皮に沈着するサンタン(sun tanning)とを含む。また、本
発明の組成物が予防し得る色素沈着は、紫外線曝露に起因するものに限らず、ニキビ等の皮膚の炎症、加齢、肝斑、薬剤、種々の疾患等、様々な原因によりメラニンが過剰に生成して生じて起こる色素沈着であってよい。
また、本発明の組成物は、色素沈着を予防することにより、結果として肌に対して美白作用をもたらすことができる。
【0018】
本発明の組成物の投与経路は、経皮、経口、経鼻、静脈注射等、特に限定されないが、経皮又は経口で摂取されることが好ましい。
投与量としては、特に限定されないが、所望の効果と安全性とを考慮して、チョレイエキス並びにトウキンセンカエキス及び/又はホップエキスの合計量として、固形物換算で0.3~300μg/日を1回又は数回に分けて摂取されることが好ましい。また、単回摂取する他に、連続的に又は断続的に数週間~数か月の間摂取することが好ましい。
【0019】
本発明の組成物を経皮投与で摂取する場合は、皮膚外用組成物とすることが好ましい。皮膚外用組成物の態様としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特に限定されないが、化粧料(医薬部外品を含む)、医薬品等が好ましく挙げられ、化粧料がより好ましい。
皮膚外用剤を塗布する部位は特に限定されないが、通常は顔面、四肢、首、デコルテである。
【0020】
皮膚外用組成物の剤型としては、例えば、ローション剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パック、洗浄料等が挙げられ、特に限定されない。
【0021】
本発明の組成物を皮膚外用組成物の態様とする場合、その製造に際しては、化粧料、医薬部外品、医薬品などの製剤化で通常使用される成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。
【0022】
本発明の組成物を飲食品の態様とする場合、その製造に際しては、飲食品製造において通常使用される成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味料及び香味料等を用いることができる。炭水化物としては、単糖類、例えば、ブドウ糖、果糖など;二糖類、例えば、マルトース、スクロース、オリゴ糖など;及び多糖類、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖及び、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールが挙げられる。香味料としては、天然香味料(タウマチン、ステビア抽出物等)及び合成香味料(サッカリン、アスパルテーム等)を使用することができる。その他に、前述の医薬組成物で用いられる添加物であって通常食品にも添加されるものを同様に用いてもよい。
【0023】
飲食品の形態としては、液状、ペースト状、固体、粉末、顆粒等の形態を問わない。また、錠菓、流動食、飼料等も飲食品の態様に含まれる。
【0024】
また、他に一般の飲食品に含有させる態様であってもよく、例えば、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉の小麦粉製品;、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品等の即席食品;農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品;水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子等の菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類;これら以外の食品等に、本発明の組成物を添加してもよい。
【0025】
本発明の組成物を含有する食品組成物の態様としては、通常の食品、飲料、機能性表示食品、特定保健用食品等の保健機能食品、サプリメント等が挙げられ、特に機能性表示食品が好ましい。
本発明に係る食品組成物を日焼け予防用途や色素沈着予防用途とする場合、製品化の際
にその有する有用性や機能性に関する表示を付してもよい。
かかる「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、「メラニン生成を抑えたい方へ」、「日焼けしにくい肌に」、「色素沈着予防用」といった用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装、容器等に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材等、若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。なお、本発明の食品組成物が保健機能食品等の行政が定める各種制度に基づいて認可を受けその認可のもとで実施される場合は、該認可に基づく態様で表示することが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
<参考例>
以下の手順で、各種エキスを調製した。
チョレイエキス:乾燥したヒダナシタケ目サルノコシカケ科チョレイマイタケの乾燥菌核500gに、5Lの50%エタノール水溶液を加えて、1週間 室温で抽出した液から
、濾過により不溶物を取り除いた。
トウキンセンカエキス:キク目キク科キンセンカ属トウキンセンカの乾燥頭花100gに1Lの水を加えて、穏やかに攪拌しながら2時間90℃に保ち抽出した後、濾過により不溶物を取り除いた。その後、濾液を減圧にて乾燥した粉末を、50%の1,3-ブチレングリコール水溶液に再溶解した。
ホップエキス:バラ目アサ科カラハナソウ属ホップの乾燥雌花穂部の粉砕物100gに1Lの水を加えて、還流抽出器で80℃にて2時間抽出し、濾過して得られた抽出液を減圧にて乾燥し、50%の1,3-ブチレングリコール水溶液に再溶解した。
オウゴンエキス:シソ目シソ科タツナミソウ属コガメバナの根の周皮を取り除き乾燥後、破砕した粉末100gに0.5Lの温水を加えて3時間加温し、さらに1Lのエタノールを加えて室温で一晩抽出した後、濾過により沈殿物を取り除いた。その後、濾液を減圧にて乾燥し、乾燥残渣を50%の1,3-ブチレングリコール水溶液に再溶解した。
アルテアエキス:アオイ目アオイ科ビロードアオイ属ウスベニタチアオイの乾燥根の粉砕物100gに1Lの水を加えて、穏やかに攪拌しながら室温にて3日間抽出した後、濾過により沈殿物を取り除いた。その後、濾液を減圧にて乾燥し、乾燥残渣を50%の1,3-ブチレングリコール水溶液に再溶解した。
【0028】
<試験例>各種エキスのEHF遺伝子のmRNA発現量への影響の検討
以下の手順で、被験エキスを添加したケラチノサイトにおけるEHF遺伝子のmRNA発現量を測定した。
正常ヒトケラチノサイト(NHEK, クラボウ社製、Lot.2568)を24ウェルプレートに播種(7.5×104cells/ウェル)し、HuMediaKG2(クラボウ社製)で24時間37℃、5%CO2条件下で培養した。
培養後に、評価培地(HuMediaKG2からHC、hEGF、BPE、抗生物質、フェノールレッドを除いたもの)に置換した(900 μL/ウェル)。
さらに、各ウェルに、固形分濃度が1.0質量%になるように調整した被験エキスを表1に示す濃度(容量%)となるよう添加し、6時間37℃、5%CO2条件下で培養した
。
培養後、QIAshredder(QIAGEN社製)及びRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて細胞を回収し、QIAcube(QIAGEN社製)を用いてRNAを抽出した。
SuperScript VILO cDNA Synthesis Kit (Ther
mo Fisher SCIENTIFIC社製)を用いて合成したcDNAを用いて、リアルタイムPCRにてEHF遺伝子の発現量を解析した。
【0029】
図1~4に、ケラチノサイトにおけるEHF遺伝子のmRNA発現量を、溶媒対照(#1)のケラチノサイトにおけるEHF遺伝子のmRNA発現量を1とした場合の相対値で示した。
【0030】
【0031】
チョレイエキス、トウキンセンカエキス、及びホップエキスは、それぞれ単独ではEHF遺伝子発現量に特に変化は認められなかったが、チョレイエキスとトウキンセンカエキスとの組み合わせ、及びチョレイエキスとホップエキスとの組み合わせでは、EHF遺伝子の有意な発現亢進が認められた。
チョレイエキスとオウゴンエキスとの組み合わせ、及びチョレイエキスとアルテアエキスとの組み合わせでは、EHF遺伝子の発現亢進は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明により、メラニン生成抑制の用途に好適な組成物が提供される。前記組成物は、皮膚外用剤や飲食品の態様とすることができ、手軽にまた継続的に生活に取り入れて、日焼けや色素沈着を起こしにくい肌を作ることができるため、産業上非常に有用である。