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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】インダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H01F41/04 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020126343
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023412
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】古川 佳宏
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0163442(US,A1)
【文献】特開昭49-022594(JP,A)
【文献】特開2007-214348(JP,A)
【文献】特開2015-070122(JP,A)
【文献】特開2019-186365(JP,A)
【文献】特開2019-121780(JP,A)
【文献】特開2019-220618(JP,A)
【文献】特開2018-125472(JP,A)
【文献】特表2016-515305(JP,A)
【文献】特開2003-332163(JP,A)
【文献】特開2019-160929(JP,A)
【文献】特開2002-083732(JP,A)
【文献】特開2019-041032(JP,A)
【文献】特開2002-134344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線と、前記配線を埋設し、磁性粒子を含有する磁性層であって、前記配線に対して厚み方向一方側に間隔を隔てて配置される第1主面と、前記第1主面と間隔を隔てられ、前記配線に対して前記第1主面の反対側に配置される第2主面とを有する前記磁性層とを備える磁性積層体を作製する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記第1主面から前記第2主面に向かって凹む凹部を、前記磁性層に、ブラスト法によって形成する第2工程と
を備え、
前記第2工程は、
前記凹部に対応する開口部を有するレジストを、前記第1主面に配置する第3工程と、
砥粒子を、前記開口部から露出する前記第1主面に向けて噴射する第4工程とを備え、
前記砥粒子のメジアン径が、100μm以下であり、
前記第1工程では、前記配線が延びる第1方向および前記厚み方向に直交する第2方向に間隔を隔てて配置される複数の前記配線を備える前記磁性積層体を作製し、
前記第2工程では、前記凹部に対応するスリットを、複数の前記配線の間に形成し、
前記スリットの内周面全面は、第2方向に投影したときに、前記配線に対して厚み方向一方側にずれていることを特徴とする、インダクタの製造方法。
【請求項2】
配線と、前記配線を埋設し、磁性粒子を含有する磁性層であって、前記配線に対して厚み方向一方側に間隔を隔てて配置される第1主面と、前記第1主面と間隔を隔てられ、前記配線に対して前記第1主面の反対側に配置される第2主面とを有する前記磁性層とを備える磁性積層体を作製する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記第1主面から前記第2主面に向かって凹む凹部を、前記磁性層に、ブラスト法によって形成する第2工程と
を備え、
前記第1工程では、導線と、前記導線の周面に配置される絶縁膜とを備える前記配線を備える磁性積層体を作製し、
前記第2工程では、前記凹部に対応するビアであって、前記第1主面から前記絶縁膜に至る内周面を有する前記ビアを、前記絶縁膜の厚み方向一方面が露出するように、前記磁性層に形成することを特徴とする、インダクタの製造方法。
【請求項3】
前記第2工程は、
前記凹部に対応する開口部を有するレジストを、前記第1主面に配置する第3工程と、
砥粒子を、前記開口部から露出する前記第1主面に向けて噴射する第4工程とを備えることを特徴とする、請求項2に記載のインダクタの製造方法。
【請求項4】
前記内周面の厚み方向一端縁は、前記厚み方向に直交する面方向における最長長さD1と最短長さD2とを有し、
前記最短長さD2に対する前記最長長さD1の比(D1/D2)が、10以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載のインダクタの製造方法。
【請求項5】
加工安定層を、前記ビアに充填する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載のインダクタの製造方法。
【請求項6】
前記加工安定層および前記絶縁膜を厚み方向に貫通する貫通孔を、前記導線の厚み方向一方面が露出するように、形成する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載のインダクタの製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔をレーザー加工によって形成することを特徴とする、請求項6に記載のインダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線と、配線を被覆する磁性層とを備えるインダクタが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。特許文献1の磁性層は、磁性粒子を含有する。特許文献1のインダクタは、スリットをさらに備える。スリットは、2つの配線の間の磁性層に形成されている。スリットは、レーザーで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-186365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、配線を外部機器と電気的に接続するために、インダクタにビアを形成し、ビアの内部にめっき層を形成する場合がある。ビアは、インダクタの表面から配線に向かって貫通する。
【0005】
しかし、特許文献1の方法でビアを形成すれば、レーザーの磁性層への照射に起因して、多量の、磁性粒子の溶融固化物が、ビアの内周面に残る。そうすると、多量の溶融固化物に起因して、めっき層をビアの内部に安定して形成できないという不具合がある。
【0006】
本発明は、溶融固化物が少ないインダクタを製造する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、配線と、前記配線を埋設し、磁性粒子を含有する磁性層であって、前記配線に対して厚み方向一方側に間隔を隔てて配置される第1主面と、前記第1主面と間隔を隔てられ、前記配線に対して前記第1主面の反対側に配置される第2主面とを有する前記磁性層とを備える磁性積層体を作製する第1工程と、前記第1工程の後に、前記第1主面から前記第2主面に向かって凹む凹部を、前記磁性層に、ブラスト法によって形成する第2工程とを備える、インダクタの製造方法を含む。
【0008】
この方法では、ブラスト法により凹部を形成するので、凹部において、磁性粒子の溶融固化物が少ない。そのため、加工性に優れる凹部を有するインダクタを製造できる。
【0009】
本発明(2)は、前記第2工程は、前記凹部に対応する開口部を有するレジストを、前記第1主面に配置する第3工程と、砥粒子を、前記開口部から露出する前記第1主面に向けて噴射する第4工程とを備える、(1)に記載のインダクタの製造方法を含む。
【0010】
この方法では、砥粒子を、開口部から露出する第1主面に向けて噴射するので、所望の形状の凹部を確実に形成できる。
【0011】
本発明(3)は、前記第1工程では、導線と、前記導線の周面に配置される絶縁膜とを備える前記配線を備える磁性積層体を作製し、前記第2工程では、前記凹部に対応するビアであって、前記第1主面から前記絶縁膜に至る内周面を有する前記ビアを、前記絶縁膜の厚み方向一方面が露出するように、前記磁性層に形成する、(1)または(2)に記載のインダクタの製造方法を含む。
【0012】
この方法では、凹部に対応するビアを形成するので、ビアに導電部材を設ければ、配線と外部機器とを電気的に接続できる。一方、導電部材を設ける前には、絶縁膜が導線を被覆しているので、導線の劣化および損傷を抑制できる。
【0013】
本発明(4)は、前記内周面の厚み方向一端縁は、前記厚み方向に直交する面方向における最長長さD1と最短長さD2とを有し、前記最短長さD2に対する前記最長長さD1の比(D1/D2)が、10以下である、(3)に記載のインダクタの製造方法を含む。
【0014】
この方法では、比(D1/D2)が10以下と小さいので、導電部材を安定して形成できる。
【0015】
本発明(5)は、加工安定層を、前記ビアに充填する工程をさらに備える、(3)または(4)に記載のインダクタの製造方法を含む。
【0016】
この方法では、加工安定層を、ビアに充填するので、ビアの加工安定性を向上できる。
【0017】
本発明(6)は、前記加工安定層および前記絶縁膜を厚み方向に貫通する貫通孔を、前記導線の厚み方向一方面が露出するように、形成する工程をさらに備える、(5)に記載のインダクタの製造方法を含む。
【0018】
この方法では、貫通孔が導線の厚み方向一方面を露出するので、貫通孔を介して、導線と外部機器とを電気的に接続できる。
【0019】
また、貫通孔に充填されるように、導電部材を設けても、加工安定層によって、導電部材と磁性層との絶縁性を確保できる。
【0020】
本発明(7)は、前記貫通孔をレーザー加工によって形成する、(6)に記載のインダクタの製造方法を含む。
【0021】
この方法では、貫通孔をレーザー加工により形成するので、貫通孔を精度よく形成できる。
【0022】
本発明(8)は、前記第1工程では、前記配線が延びる方向および前記厚み方向に直交する方向に間隔を隔てて配置される複数の前記配線を備える前記磁性積層体を作製し、前記第2工程では、前記凹部に対応するスリットを、複数の前記配線の間に形成する、(1)または(2)に記載のインダクタの製造方法を含む。
【0023】
この方法では、スリットを、複数の配線の間に形成するので、複数の配線の間のクロストークを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の製造方法は、溶融固化物が少ないインダクタを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1A図1Eは、本発明のインダクタの製造方法の第1実施形態を説明する断面図である。図1Aが、磁性積層体を準備する工程である。図1Bが、レジストを形成する工程である。図1Cが、ビアを形成する工程である。図1Dが、レジストを除去する工程である。図1Eが、導電部材をビアに形成する使用態様である。
図2図2Aおよび図2Bは、それぞれ、図1Aおよび図1Dに対応する平面図である。図2Aが、磁性積層体である。図2Bが、インダクタである。
図3図3は、図1Dに示すインダクタの拡大図である。
図4図4は、図3に対応する実施例1のインダクタのSEM写真の画像処理図である。
図5図5は、図1Dに示すインダクタの第1方向に沿う拡大断面図である。
図6図6は、比較例1のインダクタのSEM写真の画像処理図である。
図7図7は、図2Bに示すインダクタの変形例である。
図8図8は、図2Bに示すインダクタの変形例である。
図9図9は、図1Dに示すインダクタの変形例である。
図10図10Aおよび図10Bは、それぞれ、図1Dおよび図1Eに対応する。図10Aは、インダクタの変形例である。図10Bは、導電部材をさらに備えるインダクタである。
図11図11は、図1Dに示すインダクタの変形例である。
図12図12は、図1Dに示すインダクタの変形例である。
図13図13は、本発明のインダクタの製造方法の第2実施形態により得られるインダクタの断面図である。
図14図14は、本発明のインダクタの製造方法の第3実施形態により得られるインダクタの断面図である。
図15図15A図15Bは、本発明のインダクタの製造方法の第4実施形態により得られるインダクタである。図15Aは、平面図である。図15Bは、断面図である。
図16図16A図16Fは、第5実施形態の断面図である。図16Aが、磁性積層体を準備する工程である。図16Bが、加工安定層と第2加工安定層とを形成する工程である。図16Cが、ビアとスリットとを形成する工程である。図16Dが、加工安定層を改めて形成する工程である。図16Eが、貫通孔を形成する工程である。図16Fが、導電部材を貫通孔に形成する使用態様である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のインダクタの製造方法の第1実施形態を、図1図5を参照して説明する。
【0027】
インダクタ1の製造方法は、第1工程と、第2工程とを備える。この製造方法では、第1工程と、第2工程とが、順に実施される。
【0028】
図1Aおよび図2Aに示すように、第1工程では、磁性積層体20を作製する。磁性積層体20は、まだビア10(後述、図1Cおよび図2B参照)が形成されていないインダクタ1である。
【0029】
磁性積層体20は、所定厚みを有し、略平板形状を有する。磁性積層体20は、厚み方向に直交する第1方向に長い。磁性積層体20は、平面視矩形状を有する。図1Aに示すように、磁性積層体20は、一方面11と、他方面12とを備える。一方面11は、他方面12に対して、厚み方向一方側に間隔を隔てて対向配置される。磁性積層体20は、配線2と、磁性層3とを備える。
【0030】
図2Aに示すように、配線2は、第1方向に沿って延びる。配線2の形状、寸法、構成、材料、処方(充填率、含有割合など)などは、例えば、特開2019-220618号公報などに記載される。好ましくは、図1Aに示すように、配線2は、厚み方向および第2方向に沿う断面において、略円形状を有する。第2方向は、厚み方向および第1方向に直交する。配線2は、上記した断面において、外周面14を含む。配線2は、好ましくは、導体からなる導線4と、導線4の周面を被覆する絶縁膜5とを含む。
【0031】
磁性層3は、平面視において、磁性積層体20と同一の外形形状を有する。磁性層3は、第1方向に延びるシート形状を有する。また、磁性層3は、断面視において、配線2を埋設する。磁性層3の材料は、バインダと、磁性粒子とを含む磁性組成物である。磁性粒子は、インダクタ1のインダクタンスを高める観点から、好ましくは、軟磁性粒子である。磁性組成物および磁性層3の形成方法は、例えば、特開2019-165221号公報、2019-165222号公報などに詳説される。磁性層3は、第1主面の一例としての第1主面6と、第2主面の一例としての第2主面7と、外側面8とを有する。
【0032】
図1Aに示すように、第1主面6は、磁性層3における厚み方向一方面を形成する。第1主面6は、磁性積層体20の一方面11でもある。第1主面6は、配線2に対して厚み方向一方側に間隔を隔てて配置される。第1主面6は、配線2に対応する湾曲面を含む。
【0033】
第2主面7は、磁性層3における厚み方向他方面を形成する。第2主面7は、磁性積層体20の他方面12でもある。第2主面7は、第1主面6の厚み方向他方側に間隔が隔てられる。第2主面7は、配線2に対して第1主面6の反対側に配置される。第2主面7は、配線2に対応する湾曲面を含む。
【0034】
図1Aおよび図2Aに示すように、外側面8は、磁性層3において、第2方向に間隔を隔てて対向する2つの側面である。外側面8は、第1主面6の第2方向両端縁のそれぞれと、第2主面7の両端縁のそれぞれとを連結する。
【0035】
磁性積層体20の作製方法は、例えば、特開2019-165221号公報、2019-165222号公報などに詳説される。
【0036】
図1B図1Dに示すように、第2工程では、凹部の一例としてのビア10を磁性層3に形成する。第2工程を、第1工程の後に実施する。ビア10の形成は、ブラスト法が用いられる。ブラスト法は、第3工程と、第4工程と、第5工程とを備える。
【0037】
図1Bに示すように、第3工程では、レジスト21を第1主面6に配置する。レジスト21は、ビア10に対応する開口部22を有する。開口部22は、レジスト21を厚み方向に貫通する。レジスト21は、次に説明する砥粒子との衝突によって損傷しにくい材料からなる。レジスト21の材料は、特に限定されない。レジスト21は、市販品を用いることができ、例えば、市販の「サンドブラスト用ドライフィルムレジスト」を用いることもできる。レジスト21は、フォトリソ工程を経て、形成される。
【0038】
図1Cに示すように、第4工程では、砥粒子を開口部22から露出する第1主面6に向けて噴射する。砥粒子の噴射では、砥粒子噴射装置(図示せず)が用いられる。
【0039】
砥粒子噴射装置は、図示しないが、例えば、導入部と、拡張部と、整流部と、集合部と、噴射ノズルとを、砥粒子の流れ方向に向かって順に備える。導入部は、砥粒子タンクおよびガスタンクに接続されている。拡張部は、砥粒子を内部で拡散させる。整流部は、砥粒子の流れを整える。集合部は、砥粒子をまとめながら、流動圧を上昇させる。噴射ノズルは、複数のノズルを備える。複数のノズルのそれぞれは、略円形状の孔である。噴射ノズルは、砥粒子を均等な状態で、複数のノズルから砥粒子を噴射する。砥粒子噴射装置の構成および使用条件等は、例えば、特開2015-199131号公報に記載される。砥粒子噴射装置は、市販品を用いることができる。
【0040】
具体的には、砥粒子の材料としては、例えば、アルミナ、ガラスビーズ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ステンレスなどが挙げられる。ノズル径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10000μm以下、好ましくは、5000μm以下である。砥粒子のメジアン径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。砥粒子の噴射圧力は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.05MPa以上であり、また、例えば、10MPa以下、好ましくは、5MPa以下である。
【0041】
第4工程では、開口部22から露出する第1主面6が研削され、そして、ビア10が磁性層3に形成される。
【0042】
図1Dに示すように、第5工程では、レジスト21を除去する。具体的には、レジスト21を第1主面6から剥離する。
【0043】
これによって、配線2と、磁性層3と、ビア10とを備えるインダクタ1が得られる。
【0044】
図2Bに示すように、ビア10は、磁性層3において、配線2の第1方向両端部のそれぞれに対応して、設けられる。2つのビア10のそれぞれは、平面視略円形状を有する。図3図5に示すように、ビア10は、インダクタ1の一方面11から配線2に向かって貫通する。ビア10は、絶縁膜5の厚み方向一方面34を露出する。厚み方向一方面34は、配線2の外周面14のうち、中心より厚み方向一方側に位置する部分である。ビア10は、内周面9と、底面17とを有する。
【0045】
内周面9は、磁性層3において、ビア10の内部に臨む。内周面9は、図2Bに示すように、平面視(厚み方向から見たときと同義、以下同様。)において、無端形状である。具体的には、内周面9は、平面視略円環形状を有する。図3図5に示すように、内周面9は、一方面11に近づくにつれて、ビア10の開口断面積が大きくなるテーパ面27を有する。具体的には、内周面9は、テーパ面27からなる。内周面9は、段差13を有する。段差13の数は、1つのビア10につき、例えば、1である。
【0046】
底面17は、ビア10に臨む。底面17は、配線2の外周面14の一部である。また、底面17は、配線2の厚み方向一方面34でもある。底面17は、内周面9の厚み方向他方側の端縁(後述する第2端縁E2)に連続する。図2Bに示すように、底面17は、平面視略円形状を有する。また、底面17は、図3図4に示すように、第2方向に沿う断面で、略円弧形状を有する。また、底面17は、図5に示すように、第1方向に沿う断面で、平坦形状である。底面17の最大高さ粗さRzは、例えば、10μm以下、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、0.1μm以下であり、また、例えば、0.000001μm以上である。厚み方向一方面34において、磁性層3に被覆される部分は、被覆部18である。被覆部18の最大高さ粗さRzは、例えば、10μm以下、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、0.1μm以下であり、また、例えば、0.000001μm以上である。被覆部18の最大高ささRzに対する、底面17の最大高さ粗さRzの比は、例えば、2未満、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1.1以下であり、また、例えば、1以上である。比が上記した上限を下回れば、ビア10の底面17が被覆部18に対して過度に粗くなることが抑制される。そのため、導電部材19をビア10により一層確実に形成できる。
【0047】
磁性層3は、単層または複層であってもよい。磁性層3が複層である場合には、例えば、配線2を埋設する第1層15と、2つの第2層16とを備える。2つの第2層16のそれぞれは、第1層15の厚み方向一方面および他方面のそれぞれに配置される。第2層16における磁性粒子の種類および/または割合は、第1層15のそれらと異なる。
【0048】
また、このインダクタ1では、溶融固化物Mの百分率の上限は、例えば、10%以下、好ましくは、7.5%、より好ましくは、5%、さらに好ましくは、2.5%、とりわけ好ましくは、1%、さらには、0.1%、さらには、0.01%が好適であり、最も好ましくは、溶融固化物Mの百分率が、0%である。
【0049】
溶融固化物Mの百分率は、以下の方法によって求められる。
【0050】
まず、図3図5に示すように、ビア10を横断する断面において、内周面9の厚み方向一方側の第1端縁E1を基準として第1主面6が延びる方向の一方側と他方側とにそれぞれ50μm離れて位置する第1点P1と第2点P2と、内周面9の厚み方向他方側の第2端縁E2を基準として延びる方向の一方側と他方側とにそれぞれ50μm離れて位置する第3点P3と第4点P4とを定める。
【0051】
ビア10を横断する断面は、図3および図4に示すように、第2方向に沿う断面であっても、図5に示すように、第1方向に沿う断面であってもよい。
【0052】
第1端縁E1は、内周面9と第1主面6とによって形成される角である。第2方向に沿う断面において、第1主面6が延びる方向は、図3および図4に示すように、第1主面6が湾曲面であれば、第1端縁E1における接線方向である。一方、第1方向に沿う断面において、第1主面6が延びる方向は、図5に示すように、第1主面6が平坦面であれば、第1主面6に沿う方向であり、つまり、第1方向である。
【0053】
第2端縁E2は、内周面9と、配線2の外周面14とによって形成される角である。第2端縁E2を基準として第3点P3と第4点P4とを定めるときの基準となる方向は、第1点P1と第2点P2とを定めるときの基準となる方向と同一である。そのため、第1点P1および第2点P2を結ぶ第1線分L1と、第3点P3および第4点P4を結ぶ第2線分L2とは、平行する。これにより、第1点P1と、第2点P2と、第3点P3と、第4点P4とを頂点となる四角形を形成する。四角形は、2辺(第1線分L1と第2線分L2と)が平行する四辺形であって、平行四辺形である。
【0054】
続いて、四辺形の面積S0を取得する。
【0055】
続いて、四角形の内部に位置する溶融固化物Mの面積S1を取得する。溶融固化物Mは、後述する製造方法でビア10を形成するときに、図6に示すように、磁性粒子が溶融して凝集し、固化した固形物である。例えば、溶融固化物Mは、以下の通り定義することもできる。断面SEM画像観察によって、溶融していない磁性粒子10個について、外周を求め、平均値を算出する。また、断面SEM画像観察によって、溶融していない磁性粒子10個について、面積を求め、平均値を算出する。上記した磁性粒子の外周の平均値および面積の平均値よりそれぞれ大きい外周および面積を有する物が、溶融固化物である。
【0056】
その後、四角形の面積S0に対する溶融固化物の面積S1の百分率(S1/S0×100)を求める。
【0057】
溶融固化物Mの百分率が上記した上限以下であれば、図1Eに示すように、後述する導電部材19をビア10の内部に安定して形成できる。
【0058】
次に、インダクタ1の使用を説明する。
【0059】
図1Eに示すように、導電部材19を、例えば、めっき、具体的には、無電解めっきおよび/または電解めっきなどによって、ビア10内に形成する。好ましくは、導電部材19を、無電解めっきおよび電解めっきによって形成する。この場合には、デスミア(洗浄および粗化)工程を実施し、次いで、無電解めっきを実施し、続いて、感光性のドライフィルムレジストの配置、露光および現像を実施して、めっきレジストを形成し、その後、めっきレジストを用いて電解めっきし、その後、めっきレジストを除去する。
【0060】
なお、導電部材19を形成する前に、ビア10における絶縁膜5を剥離する。絶縁膜5は、種々の方法で剥離でき、例えば、レーザー加工またはブラスト法で剥離できる。さらに、電解めっきの前に、シード層(図示せず)を形成する。また、導電部材19は、ビア10の底面17から析出して形成される。また、導電部材19は、内周面9に沿って厚み方向に一方側に析出する。さらに、導電部材19は、ビア10の周囲の一方面11にも形成される。導電部材19の材料としては、例えば、銅などの導体が挙げられる。
【0061】
[第1実施形態の作用効果]
【0062】
そして、この方法では、ブラスト法によりビア10を形成するので、ビア10において、磁性粒子の溶融固化物Mが少ない。具体的には、溶融固化物Mの百分率が、例えば、10%以下である。そのため、加工性に優れるビア10を有するインダクタ1を製造できる。
【0063】
対して、レーザーによりビア10を形成すれば、図6に示すように、磁性粒子の溶融固化物Mが多い。具体的には、溶融固化物Mの百分率が、例えば、10%を超過する。そのため、加工性に優れるビア10を有するインダクタ1を製造できない。
【0064】
また、この方法の第2工程では、砥粒子を、レジスト21の開口部22から露出する第1主面6に向けて噴射するので、所望の形状のビア10を精度よく形成できる。
【0065】
さらに、この方法では、図1Eに示すように、ビア10に導電部材19を設ければ、配線2と外部機器とを電気的に接続できる。一方、図1Dに示すように、導電部材19をビア10に設ける前のインダクタ1では、絶縁膜5が導線4を被覆しているので、導線4の劣化および損傷を抑制できる。
【0066】
[第1実施形態の変形例]
【0067】
変形例において、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態および変形例を適宜組み合わせることができる。
【0068】
第1実施形態では、平面視において、内周面9が無端形状を有するが、図7に示すように、内周面9が有端形状を有する。また、この変形例では、凹部の一例としてのスリット40が、2つの内周面9を有する。
【0069】
スリット40は、平面視において、配線2に沿って延びる。スリット40は、平面視において、配線2と重複する。具体的には、スリット40は、平面視において、配線2に含まれる。スリット40は、2つの内周面9を有する。2つの内周面9は、第2方向に対向する。2つの内周面9のそれぞれは、平面視において、第1方向に沿うストレート形状を有する。2つの内周面9のそれぞれは、平面視において、有端形状であり、具体的には、第1方向両端部29を有する。
【0070】
しかるに、ダイシングソー(図示せず)を用いて、有端形状を有する内周面9を有するスリット40を形成することが試案される。ダイシングソーは、例えば、ブレードと、移動装置とを備える。ブレードは、円盤形状する。ブレードは、回転可能である。移動装置は、ブレードを、厚み方向および第1方向に移動可能である。ダイシングソーでスリット40を形成するには、ブレードは、第1主面6の厚み方向一方側に接触させながら、ブレードの周面が絶縁膜5に接触するまで、ブレードを厚み方向一方側に移動させる。続いて、ブレードを第1方向に沿って移動させる。これによって、2つの内周面9を有するスリット40が形成される。
【0071】
しかし、この試案では、回転するブレードによって、磁性層3中の磁性粒子が変形する。例えば、磁性粒子は、厚み方向に沿って回転するブレードに接触し巻き込まれると、厚み方向に引き千切られ(または引き延ばされ)、さらには、再度結合して、最終的には、溶融固化物Mを生成する場合がある。
【0072】
一方、この方法では、ダイシングソーではなく、砥粒子を用いるブラスト法が採用されるので、上記した溶融固化物Mの生成が抑制される。
【0073】
ビア10の形状は、平面視略円形状に限定されない。図8に示すように、例えば、ビア10は、平面視略矩形状を有する。この変形例では、ビア10は、平面視において、第1方向に長い。ビア10は、平面視において、最長長さD1と、最短長さD2とを有する。この変形例では、最長長さD1は、ビア10の矩形状において、対向する2つの頂点間の距離である。最短長さD2は、ビア10の第2方向長さである。最短長さD2に対する最長長さD1の比(D1/D2)の上限は、例えば、10、好ましくは、5、より好ましくは、3、さらに好ましくは、2である。比の下限は、例えば、1.1、好ましくは、1.2である。なお、図2Bに示すビア10の円形状では、最長長さD1と最短長さD2とが、同一である。比(D1/D2)が10以下と小さければ、ビア10に導電部材19を安定して形成できる。
【0074】
図9に示すように、内周面9は、断面視において、平坦面であってもよい。
【0075】
別の変形例では、図10Aに示すように、内周面9は、テーパ面27と、第2テーパ面28とを有する。
【0076】
テーパ面27は、一方面11に近づくにつれて、ビア10の開口断面積が大きくなる。テーパ面27は、第2端縁E2から厚み方向一方側に向かう。
【0077】
一方、第2テーパ面28は、一方面11に近づくにつれて、ビア10の開口断面積が小さくなる。第2テーパ面28は、第1端縁E1からテーパ面27の厚み方向一端縁に至る。この内周面9では、テーパ面27と、第2テーパ面28とが、厚み方一方側に向かって順に配置される。
【0078】
第2方向において、2つの第2テーパ面28における厚み方向一端縁間の距離は、2つの第1端縁E1間の距離である。第2方向において、2つの第1端縁E1間の距離は、2つの第2テーパ面28における厚み方向他端縁E3間の距離より、短い。2つの第1端縁E1間の距離に対する2つの他端縁E3間の距離の比は、例えば、1.1以上、好ましくは、1.2以上、より好ましくは、1.5以下であり、また、例えば、3以下である。
【0079】
第2方向において、2つのテーパ面27における厚み方向他端縁間の距離は、2つのE2間の距離である。第2方向において、2つの第2端縁E2間の距離は、2つの厚み方向他端縁E3間の距離より短い。2つの第2端縁E2間の距離に対する2つの他端縁E3間の距離の比は、例えば、1.1以上、好ましくは、1.2以上、より好ましくは、1.5以下であり、また、例えば、3以下である。
【0080】
このビア10を作製するには、例えば、図1Bに示すレジスト21の開口部22を狭くする。具体的には、開口部22の直径が、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下である。
【0081】
すると、第4工程において、砥粒子は、狭い開口部22を通過して、磁性層3の第1主面6に衝突して、磁性層3を研削するが、砥粒子は、磁性層3において開口部22の周縁の厚み方向他方側において滞留し易い。この砥粒子は、噴射方向上流側に逆流する。このとき、砥粒子は、略円弧形状の軌道で、内周面9を形成する。そのため、砥粒子は、第2テーパ面28とテーパ面27とを有する内周面9を形成する。
【0082】
図10Bに示すように、導電部材19をビア10に設ければ、導電部材19は、テーパ面27と第2テーパ面28とに接触する。
【0083】
そして、このインダクタ1では、アンカー効果に基づき、導電部材19がビア10から脱落することを抑制できる。
【0084】
図11に示すように、内周面9は、テーパ面27を備えず、第2テーパ面28のみを備えることもできる。
【0085】
配線2の形状は、限定されない。図12に示すように、配線2の形状は、断面略矩形状であってもよい。配線2の厚み方向他方面は、絶縁層23に接触する。絶縁層23は、第2方向に延びる。絶縁層23の材料としては、例えば、ポリイミドなどの、絶縁性の樹脂が挙げられる。
【0086】
また、この変形例のインダクタ1は、複数(具体的には、2つ)の配線2を備える。複数の配線2は、互いに間隔を隔てて隣り合う。複数の配線2は、並行する。
【0087】
図示しないが、レジスト21を用いずに、第2工程のブラスト法を実施することもできる。好ましくは、レジスト21を用いる。具体的には、砥粒子を、レジスト21の開口部22から露出する第1主面6に噴射する。これにより、開口部22の形状に対応するビア10を確実に形成できる。
【0088】
図示しないが、ビア10を、一方面11と他方面12との両方に設けることもできる。
【0089】
図示しないが、ビア10を、磁性層3において、配線2の第1方向一端部のみに設けることもできる。
【0090】
[第2実施形態]
【0091】
第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第2実施形態は、特記する以外、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態および第2実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0092】
図13に示すように、第2実施形態は、第1実施形態の第1工程と第2工程とに加え、加工安定層24をビア10に充填する工程をさらに備える。また、第2実施形態は、第2加工安定層25を第2主面7に配置する工程も備える。この第2実施形態は、加工安定層24と第2加工安定層25とをインダクタ1に備える工程を有する。この工程を、第2工程の後に実施する。
【0093】
加工安定層24と第2加工安定層25とをインダクタ1に備えるには、図13の仮想線で示すように、2つの加工安定シート26を準備する。2つの加工安定シート26のそれぞれの材料は、熱硬化性樹脂組成物を含む。熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を必須成分として含む。熱硬化性樹脂は、主剤、硬化剤および硬化促進剤を含む。
【0094】
主剤としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられ、好ましくは、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの2官能エポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などの3官能以上の多官能エポキシ樹脂などが挙げられる。これらエポキシ樹脂は、単独で使用または2種以上を併用することができる。好ましくは、2官能エポキシ樹脂が挙げられ、より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量の下限は、例えば、10g/eq.であり、また、上限は、例えば、1,000g/eq.である。
【0095】
硬化剤としては、主剤がエポキシ樹脂であれば、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂などが挙げられる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、レゾール樹脂などの多官能フェノール樹脂が挙げられる。これらは、単独で使用または2種以上を併用することができる。フェノール樹脂として、好ましくは、フェノールノボラック樹脂、フェノールビフェニレン樹脂が挙げられる。主剤がエポキシ樹脂であり、硬化剤がフェノール樹脂であれば、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基の合計の下限が、例えば、0.7当量、好ましくは、0.9当量、また、上限が、例えば、1.5当量、好ましくは、1.2当量である。具体的には、硬化剤の質量部数の下限は、主剤100質量部に対して、例えば、1質量部であり、また、例えば、50質量部である。
【0096】
硬化促進剤としては、主剤の硬化を促進する触媒(熱硬化触媒)(好ましくは、エポキシ樹脂硬化促進剤)であって、例えば、有機リン系化合物、例えば、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(2P4MHZ)などのイミダゾール化合物などが挙げられる。硬化促進剤の質量部数の下限は、主剤100質量部に対して、例えば、0.05質量部であり、また、上限が、例えば、5質量部である。
【0097】
さらに、熱硬化性樹脂組成物は、例えば、粒子を任意成分として含むことができる。粒子は、熱硬化性樹脂に分散されている。粒子は、例えば、第1粒子、および、第2粒子からなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0098】
第1粒子は、例えば、略球形状を有する。第1粒子のメジアン径の下限は、例えば、1μm、好ましくは、5μmであり、また、第1粒子のメジアン径の上限は、例えば、250μm、好ましくは、200μmである。第1粒子のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で求められる。また、第1粒子のメジアン径は、例えば、断面観察による二値化処理によって、求めることもできる。
【0099】
第1粒子の材料は、特に限定されない。第1粒子の材料としては、例えば、金属類、無機化合物、有機化合物などが挙げられ、熱膨張係数を上げるために、好ましくは、金属類、無機化合物が挙げられる。
【0100】
金属類は、加工安定層24をインダンクタンス向上層として機能させる場合に熱硬化性樹脂組成物に含まれる。金属類としては、磁性層3で例示した磁性体が挙げられ、好ましくは、第1金属元素として鉄を含む有機鉄化合物、より好ましくは、カルボニル鉄が挙げられる。
【0101】
無機化合物は、加工安定層24を熱膨張係数抑制層として機能させる場合に熱硬化性樹脂組成物に含まれる。無機化合物としては、例えば、無機フィラーが挙げられ、具体的には、シリカ、アルミナなどが挙げられ、好ましくは、シリカが挙げられる。
【0102】
具体的には、第1粒子として、好ましくは、球形状シリカが挙げられ、また、好ましくは、球形状カルボニル鉄が挙げられる。
【0103】
第2粒子は、例えば、略扁平形状を有する。略扁平形状は、略板形状を含む。
【0104】
第2粒子の扁平率(扁平度)の下限は、例えば、8、好ましくは、15であり、また、上限は、例えば、500、好ましくは、450である。第2粒子の扁平率は、上記した磁性層3における磁性粒子の扁平率と同じ算出方法で求められる。
【0105】
第2粒子のメジアン径の下限は、例えば、1μm、好ましくは、5μmであり、また、第2粒子のメジアン径の上限は、例えば、250μm、好ましくは、200μmである。第2粒子のメジアン径は、第1粒子のそれと同様の方法で求められる。
【0106】
第2粒子の平均厚みの下限は、例えば、0.1μm、好ましくは、0.2μmであり、また、上限は、例えば、3.0μm、好ましくは、2.5μmである。
【0107】
第2粒子の材料は、例えば、無機化合物である。無機化合物としては、例えば、窒化ホウ素などの熱伝導性化合物などが挙げられる。従って、好ましくは、無機化合物は、加工安定層24を熱伝導性向上層として機能させる場合に熱硬化性樹脂組成物に含まれる。
【0108】
具体的には、第2粒子として、好ましくは、扁平形状の窒化ホウ素が挙げられる。
【0109】
第1粒子および第2粒子は、熱硬化性樹脂組成物に、単独種類が含まれ、または、両方が含まれる。
【0110】
熱硬化性樹脂100質量部に対する粒子(第1粒子および/または第2粒子)の質量部数の下限は、例えば、10質量部、好ましくは、50質量部であり、また、上限は、例えば、2,000質量部、好ましくは、1,500質量部である。また、硬化物における粒子の含有割合の下限は、例えば、10質量%、また、上限は、例えば、90質量%である。第1粒子および第2粒子の両方が熱硬化性樹脂組成物に含まれる場合には、第1粒子100質量部に対する第2粒子の質量部数の下限は、例えば、30質量部、また、上限は、例えば、300質量部である。
【0111】
なお、粒子は、熱硬化性樹脂組成物における任意成分であることから、熱硬化性樹脂組成物が、粒子を含有しなくてもよい。
【0112】
一方、2つの加工安定シート26のそれぞれの材料は、熱可塑性樹脂をさらに含有してもよい。熱硬化性樹脂100質量部に対する熱可塑性樹脂の質量部数の下限は、例えば、1質量部、上限が、例えば、100質量部である。
【0113】
続いて、2つの加工安定シート26およびインダクタ1を、厚み方向両側からプレスする。その後、それらを加熱して、2つの加工安定シート26をCステージ化する。これによって、加工安定層24と、第2加工安定層25とが、インダクタ1に備えられる。
【0114】
加工安定層24は、磁性層3の第1主面6と、ビア10の内周面9と、絶縁膜5の厚み方向一方面34とに配置される。つまり、加工安定層24の一部は、少なくとも、ビア10に充填される。加工安定層24は、磁性層3の第1主面6に対する表面加工性と、ビア10の内周面9およびビア10に対する表面加工性とを向上させる。さらに、加工安定層24は、後述する貫通孔30に導電部材19を配置したとき(図14および第3実施形態参照)に、導電部材19と磁性層3との絶縁性を確保できる絶縁層でもある。さらにまた、加工安定層24は、デスミア工程における磁性層3中の磁性粒子の腐食を抑制する腐食抑制層でもある。加工安定層24の厚みの下限は、例えば、1μm、好ましくは、10μmであり、また、上限は、例えば、1,000μm、好ましくは、100μmである。インダクタ1の厚みに対する加工安定層24の厚みの比の下限は、例えば、0.001、好ましくは、0.005、より好ましくは、0.01であり、また、上限は、例えば、0.5、好ましくは、0.3、より好ましくは、0.1である。なお、加工安定層24の厚みは、第1主面6と、加工安定層24の厚み方向一方面との間の最短長さである。
【0115】
第2加工安定層25は、磁性層3の第2主面7に配置される。つまり、第2加工安定層25は、インダクタ1の他方面12に配置されている。第2加工安定層25は、インダクタ1の他方面12に対する表面加工性を向上させる。第2加工安定層25の厚みの下限は、例えば、1μm、好ましくは、10μmであり、また、上限は、例えば、1,000μm、好ましくは、100μmである。インダクタ1の厚みに対する第2加工安定層25の厚みの比の下限は、例えば、0.001、好ましくは、0.005、より好ましくは、0.01であり、また、上限は、例えば、0.5、好ましくは、0.3、より好ましくは、0.1である。なお、第2加工安定層25の厚みは、第2主面7と、第2加工安定層25の厚み方向他方面との間の最短長さである。
【0116】
[第2実施形態の作用効果]
【0117】
第2実施形態では、加工安定層24の一部を、ビア10に充填するので、ビア10の加工安定性を向上できる。具体的には、ビア10に対する次の加工(後述の第3実施形態)時の安定性を向上できる。
【0118】
[第3実施形態]
【0119】
第3実施形態において、上記した第1~第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第3実施形態は、特記する以外、第1~第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態~第3実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0120】
図14に示すように、第3実施形態では、第2実施形態の各工程に加え、貫通孔30を形成する工程をさらに備える。
【0121】
貫通孔30は、加工安定層24および絶縁膜5を厚み方向に貫通する。貫通孔30から、導線4の厚み方向一方面34が露出する。例えば、導線4の厚み方向一方面34は、加工安定層24と、絶縁膜5の一部とから露出する。
【0122】
第3実施形態で得られる加工安定層24は、第1被覆部31と、第2被覆部32とを備える。第1被覆部31は、第1主面6に追従してそれを被覆する。第1被覆部31は、第1主面6の厚み方向一方面に位置する。第2被覆部32は、内周面9に追従してそれを被覆する。第2被覆部32は、第2方向(または第1方向)に投影したときに、内周面9と重複する。また、第2被覆部32は、厚み方向に沿う。第2被覆部32の厚み方向他端面は、絶縁膜5の突出端部35に、厚み方向一方側から接触する。第2被覆部32の厚み方向他端面は、第2被覆部32において第1被覆部31に対する反対側に位置する面である。突出端部35は、絶縁膜5の一部である。突出端部35は、平面視略円環形状を有する。なお、突出端部35の円環形状は、図14において描画されていない。突出端部35は、その内側において、導線4の厚み方向一方面34の一部を露出する。突出端部35の内側面と、第2被覆部32の内側面とは、面一である。
【0123】
これによって、絶縁膜5の突出端部35と、加工安定層24の第2被覆部32とは、導線4の厚み方向一方面34を厚み方向一方側に向かって露出する。
【0124】
貫通孔30は、加工安定層24の第2被覆部32と、絶縁膜5の突出端部35と、導線4の厚み方向一方面34とによって区画される。
【0125】
貫通孔30を形成するには、第2実施形態の加工安定層24を、例えば、穿孔加工する。穿孔加工としては、例えば、レーザー加工、ドリル加工、ブラスト法などが挙げられ、好ましくは、レーザー加工、ドリル加工が挙げられ、より好ましくは、レーザー加工が挙げられる。レーザー加工であれば、加工安定層24に精度よく貫通孔30を形成できる。一方、ブラスト法は、加工安定層24を迅速に切削できず、貫通孔30を効率的に形成できない場合もある。
【0126】
[第3実施形態の作用効果]
【0127】
第3実施形態では、貫通孔30が導線4の厚み方向一方面34を露出するので、貫通孔30に仮想線で示す導電部材19を配置すれば、導線4と外部機器とを電気的に接続できる。
【0128】
この方法では、貫通孔30をレーザー加工により形成すれば、貫通孔30を精度よく形成できる。
【0129】
また、加工安定層24が絶縁層であれば、加工安定層24が、導電部材19と磁性層3との間に介在できるので、それらの絶縁性を向上できる。
【0130】
[第4実施形態]
【0131】
第4実施形態において、上記した第1~第3実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第3実施形態は、特記する以外、第1~第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態~第4実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0132】
図15に示すように、スリット40は、平面視において、複数の配線2とずれて配置されてもよい。
【0133】
スリット40は、平面視において、第1層15の厚み方向一方側に配置される第2層16(一方側の第2層16A)を、厚み方向に貫通する。但し、スリット40は、第1層15を貫通しない。スリット40は、内周面9と、底面17とを備える。スリット40の内周面9は、第2方向に投影したときに、配線2の厚み方向一方側にずれている。断面視において、スリット40の底面17は、配線2の外周面14と共通せず、間隔が隔てられる。図15では、描画されないが、平面視において、スリット40は、複数の配線2と平行する。
【0134】
[第4実施形態の作用効果]
【0135】
第4実施形態によれば、スリット40を、複数の配線2の間に形成するので、複数の配線2の間のクロストークを抑制できる。
【0136】
[第4実施形態の変形例]
【0137】
変形例において、上記した第4実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第4実施形態および変形例を適宜組み合わせることができる。
【0138】
図示しないが、スリット40は、第2方向に投影したときに、配線2と重複してもよい。
【0139】
図示しないが、スリット40は、磁性層3を厚み方向に貫通してもよい。この変形例では、スリット40は、平面視において、例えば、ミシン目形状を有する。
【0140】
[第5実施形態]
【0141】
第5実施形態において、上記した第1~第4実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第4実施形態は、特記する以外、第1~第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態~第5実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0142】
図16A図16Fに示すように、ビア10と、貫通孔30と、スリット40とを形成することもできる。
【0143】
図16Aに示すように、まず、この方法では、磁性積層体20を作製する。磁性積層体20は、複数の配線2を備える。
【0144】
続いて、図16Bに示すように、加工安定層24と第2加工安定層25とを磁性積層体20に設ける。
【0145】
加工安定層24を、磁性層3において厚み方向一方側に配置される第1層15に配置する。つまり、加工安定層24を第1主面6に配置する。
【0146】
第2加工安定層25を、磁性層3において厚み方向他方側に配置される第1層16に配置する。つまり、第2加工安定層25を、第2主面7に配置する。
【0147】
図16Cに示すように、ブラスト法を用いて、ビア10と、スリット40とを形成する。ビア10とスリット40とのそれぞれは、加工安定層24にも形成される。
【0148】
続いて、図16Dに示すように、加工安定層24によって、ビア10と、スリット40とを充填する。ビア10とスリット40とに用いられる加工安定層24の材料と、第1主面6に配置される加工安定層24の材料とは、例えば、同一である。
【0149】
次いで、図16Eに示すように、貫通孔30を、導線4を露出するように形成する。貫通孔30は、例えば、レーザー加工またはブラスト法により形成する。
【0150】
その後、図16Fに示すように、導電部材19を貫通孔30に形成する。なお、導電部材19を無電解めっきおよび電解めっきによって形成する場合には、予め、デスミア(洗浄および粗化)工程を実施しておく。
【0151】
このインダクタ1は、複数の配線2と、磁性層3と、加工安定層24と、第2加工安定層25と、導電部材19とを有する。インダクタ1は、さらに、貫通孔30を有する。なお、スリット40には、加工安定層24が充填されている。ビア10には、導電部材19が充填されている。
【0152】
[第5実施形態の作用効果]
【0153】
貫通孔30を洗浄および粗化するデスミア工程を経ても、加工安定層24が、デスミア工程で用いる薬液が磁性層3に接触することを抑制できる。そのため、薬液との接触に起因する磁性層3の機能低下を、抑制できる。
【0154】
また、ビア10を含む貫通孔30と、スリット40に充填される加工安定層24と、第2加工安定層25とを備えるインダクタ1を製造できる。
【0155】
また、このインダクタ1は、第1主面6に配置される加工安定層24と、第2主面7に配置される加工安定層25とを有するので、厚み方向一方側または他方側への反りを抑制できる。
【実施例
【0156】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0157】
実施例1
[第1実施形態に対応する実施例]
図1Aおよび図2Aに示すように、まず、磁性積層体20を作製した。具体的には、半径115μmの複数の配線2を、厚み100μmの第1磁性シートと、厚み125μmの第2磁性シートとからなる磁性層3で被覆した
【0158】
なお、第1磁性シートは、球状磁性粉61.5体積%、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(主剤)9.6体積%、フェノール樹脂(硬化剤)9.6体積%、ポリエーテルリン酸エステル(分散剤)0.5体積%、イミダゾール化合物(硬化促進剤)0.3体積%、および、熱可塑性樹脂(カルボキシル基含有アクリル酸エステルコポリマー)18.5体積%を含む。また、第2磁性シートは、扁平形状のFe-Si合金からなる磁性粒子を55体積%、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(主剤)11.0体積%、フェノール樹脂(硬化剤)11.0体積%、ポリエーテルリン酸エステル(分散剤)0.4体積%、イミダゾール化合物(硬化促進剤)0.4体積%、および、熱可塑性樹脂(カルボキシル基含有アクリル酸エステルコポリマー)21.2体積%を含む。
【0159】
図1Bに示すように、レジスト21を、絶縁膜5の第1主面6に形成した。レジスト21に、フォトリソ工程を経て、開口部22を形成する。開口部22は、平面視円形状であった。開口部22の直径は、250μmであった。
【0160】
図1Cに示すように、ブラスト法で、ビア10を形成した。ビア10の内周面9は、テーパ面27を有する。
【0161】
ブラスト法の条件を以下に記載する。
【0162】
ノズル径:2mm
砥粒子の材料:アルミナ
砥粒子のメジアン径:14μm
噴射速度:0.4MPa
【0163】
続いて、図1Dに示すように、レジスト21を第1主面6から剥離した。
【0164】
これによって、インダクタ1を製造した。
【0165】
実施例2
[第2実施形態に対応する実施例]
図13に示すように、実施例1のインダクタ1に、加工安定層24と第2加工安定層25とを備えた。
【0166】
具体的には、まず、図13の仮想線で示すように、2つの加工安定シート26を準備した。加工安定シート26は、球形状のシリカ粒子(第1粒子)935質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂の主剤)100質量部、フェノール樹脂(硬化剤)106質量部、イミダゾール化合物(硬化促進剤)4質量部、および、および、シクロへキノン(溶媒)10質量部を含むワニスの塗布および乾燥によって形成される。加工安定シート26におけるシリカ粒子の含有割合は、55体積%である。加工安定シート26の厚みは、40μmである。加工安定シート26は、Bステージである。
【0167】
2つの加工安定シート26およびインダクタ1を厚み方向両側からプレスした。その後、加工安定シート26をCステージ化した。
【0168】
実施例3
[第3実施形態に対応する実施例]
図14に示すように、実施例2の加工安定層24に貫通孔30を形成した。
【0169】
具体的には、レーザー加工により、加工安定層24に貫通孔30を形成した。
【0170】
その後、デスミア工程を実施し、続いて、図1Eに示すように、貫通孔30に無電解銅めっきによりシード層(図示せず)を形成した後、導電部材19を電解銅めっきにより形成した。導電部材19は、円滑に形成できた。
【0171】
実施例4
開口部22の直径を100μmに変更した以外は、実施例1と同様に処理した。図10Aに示すように、内周面9は、テーパ面27と、第2テーパ面28とを有していた。
【0172】
比較例1
ブラスト法に代え、レーザー加工に変更した以外は、実施例1と同様に処理した。導線4は、レーザー加工によって、露出した。さらに、導電部材19を電解銅めっきにより形成しようと試みた。しかし、導電部材19の形成に不良が生じた。
【0173】
実施例5
[第4実施形態に対応する実施例]
図15に示すように、ビア10に代え、スリット40を形成し、配線2の数を2に変更した以外は、実施例1の同様に処理した。スリット40は、第1層15を貫通した。
【0174】
比較例2
【0175】
ブラスト法に代え、ダイシングソーを用いる切削に変更した以外は、実施例5と同様に処理した。
【0176】
評価
SEM観察および溶融固化物Mの割合および導電部材の形成
各実施例~比較例の断面SEM観察を実施した。実施例1の第2方向に沿うSEMの画像処理図を図4に示す。比較例1の第1方向に沿うSEMの画像処理図を図6に示す。
【0177】
併せて、溶融固化物Mの百分率を求めた。その結果を表1~表2に示す。
【0178】
また、断面SEM画像から、ビア10の底面17と内周面17における導電部材19を観察し、以下の基準で、導電部材19の形成を評価した。
【0179】
[良好] 導電部材19が溶融固化物Mを介して形成されていなかった。
[不良] 導電部材19が溶融固化物Mを介して形成されていた。
【0180】
【表1】
【0181】
【表2】
【符号の説明】
【0182】
1 インダクタ
2 配線
3 磁性層
4 導線
5 絶縁膜
6 第1主面
7 第2主面
9 内周面
10 ビア(凹部の一例)
11 一方面
20 磁性積層体
21 レジスト
22 開口部
24 加工安定層
30 貫通孔
34 一方面
40 スリット(凹部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16