(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241004BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20241004BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241004BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20241004BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241004BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/0207
H02J3/00 170
H02J3/46
H02J3/38 110
H02J3/32
(21)【出願番号】P 2020154539
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-06-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 2年 4月30日に、ソーラー・デジタル・グリッド 卒FITで加速する日本型エネルギーシステム再構築, 日刊工業新聞社刊にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】木通 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】井熊 均
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 信一郎
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-048286(JP,A)
【文献】国際公開第2013/115318(WO,A1)
【文献】特開2018-190249(JP,A)
【文献】特開2020-114155(JP,A)
【文献】国際公開第2012/066651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの地域
毎に、各地域の配電網に接続された発電機によって発生する時間帯毎の余剰電力の予測量を取得し、
前記それぞれの地域毎に、各地域内の複数のエネルギー備蓄器による
前記時間帯毎の前記余剰電力の吸収量の予測量を取得し、
前記それぞれの地域について、前記時間帯毎の前記余剰電力の予測量及び前記余剰電力の吸収量の予測量に基づいて、
前記時間帯毎の単位電力量当たりのインセンティブポイントを決定し、
前記それぞれの地域の前記時間帯毎の前記インセンティブポイント
を、前記エネルギー備蓄器のそれぞれに対応付けられた端末装置に出力し、
前記端末装置から、前記エネルギー備蓄器による前記余剰電力の吸収量の応募を受け付け、
受け付けた応募に基づいて、前記エネルギー備蓄器毎に受電日時及び受電量を割り当てる配分計画を決定し、
決定した配分計画に
従って、
前記端末装置に前記受電日時及び受電量を含む受電情報を出力する
処理を
コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記エネルギー備蓄器は、移動体に搭載された二次電池を含み、
前記二次電池による充電量の予測量を前記余剰電力の吸収量の予測量として取得する
処理を前記コンピュータが実行する請求項
1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記エネルギー備蓄器のそれぞれに対応付けて、前記余剰電力の吸収量を含む購入希望情報を取得し、
前記余剰電力の予測量及び前記購入希望情報に基づいてインセンティブポイントを算出する
処理を
前記コンピュータが実行する請求項1
又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記エネルギー備蓄器に対応付けて、前記余剰電力の吸収量、受電希望場所及び受電希望時間帯を含む購入希望情報を取得し、
前記余剰電力の予測量及び前記購入希望情報に基づいて、前記エネルギー備蓄器のそれぞれに対して、受電場所、受電日時及び受電量を割り当てる配分計画を決定する
処理を
前記コンピュータが実行する請求項1から
3までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記エネルギー備蓄器に対応付けられた端末装置に出力した前記受電情報に基づいて、前記受電情報が示す受電取引に対する取引承諾の可否を前記端末装置を介して取得し、
前記取引承諾を取得した場合、前記受電情報に従った前記余剰電力の売買に関する情報を記憶する
処理を
前記コンピュータが実行する請求項1から
4までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記余剰電力の予測量のうちで前記エネルギー備蓄器に配分されない電力量が所定量以下である場合に、前記配分計画に基づく受電情報を出力する
処理を
前記コンピュータが実行する請求項1から
5までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記配分計画に基づいて前記エネルギー備蓄器が受電した前記余剰電力の受電履歴を記憶する
処理を
前記コンピュータが実行する請求項1から
6までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記発電機は、自然エネルギー発電機である
請求項1から
7までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記エネルギー備蓄器は、移動体に搭載された二次電池を含み、
前記移動体は、搭載された前記二次電池から供給される電力で走行する電気自動車であり、
前記移動体の現在地と前記受電場所とに基づいて、前記現在地から前記受電場所までの移動に要する時間を算出し、
算出した前記時間に基づいて前記受電場所への移動を開始すべきと判断した場合、移動開始の通知メッセージを前記端末装置に出力する
処理を前記コンピュータが実行する請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項10】
サーバと、複数のエネルギー備蓄器のそれぞれに対応付けられた複数の端末装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記サーバは、
それぞれの地域
毎に、各地域の配電網に接続された発電機によって発生する時間帯毎の余剰電力の予測量を取得する余剰予測量取得部と、
前記それぞれの地域毎に、各地域内の複数のエネルギー備蓄器による
前記時間帯毎の余剰電力の吸収量の予測量を取得する吸収予測量取得部と、
前記それぞれの地域について、前記時間帯毎の前記余剰電力の予測量及び前記余剰電力の吸収量の予測量に基づいて、
前記時間帯毎の単位電力量当たりのインセンティブポイントを決定する決定部と
、
前記それぞれの地域について決定した前記時間帯毎の前記インセンティブポイントを、前記端末装置に出力するインセンティブ出力部とを有し、
前記端末装置のそれぞれは、
前記サーバ
から出力された前記インセンティブポイントに応じて、エネルギー備蓄器による前記余剰電力の吸収量を取得する吸収量取得部と、
取得した前記余剰電力の吸収量の応募を前記サーバへ出力する出力部とを有し、
前記サーバは、
前記端末装置から取得した応募に基づいて、前記エネルギー備蓄器毎に受電日時及び受電量を割り当てる配分計画を決定する配分決定部と、
決定した配分計画に基づいて、前記エネルギー備蓄器毎に前記受電日時及び受電量を含む受電情報を前記端末装置へ出力する出力部とを更に有する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋根等に設置される太陽光発電システムが普及している。太陽光発電システムが設置された住宅では、太陽光発電によって生成された電力を住宅内の負荷(電化製品)で消費し、余った電力(余剰電力)を電力会社等が買い取ることが行われている。特許文献1には、所定地域に点在する電気自動車、需要家、太陽光発電装置を含むグループにおいて、グループ全体の電力取引による収益が最大となるように、グループ内の電気自動車、需要家、太陽光発電装置、電力系統における電力取引量を算出する技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、太陽光発電装置による発電電力と電力系統からの供給電力とを含む電力の取引について、グループ全体の収益が最大となるような取引量が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術は、太陽光発電装置における余剰電力を、余剰電力を購入したい電気自動車又は需要家等の購入希望者に配分するものではない。
【0005】
本開示は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発電機による発電電力のうちの余剰電力を、余剰電力の購入希望者(複数のエネルギー備蓄器)に効率よく配分することが可能な情報処理方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理方法は、それぞれの地域の配電網に接続された発電機によって発生する時間帯毎の余剰電力の予測量を取得し、複数のエネルギー備蓄器による前記余剰電力の吸収量の予測量を取得し、前記余剰電力の予測量及び前記余剰電力の吸収量の予測量に基づいて、単位電力量当たりのインセンティブポイントを決定し、前記インセンティブポイントに応じて、エネルギー備蓄器による前記余剰電力の吸収量の応募を受け付け、受け付けた応募に基づいて、前記エネルギー備蓄器毎に受電日時及び受電量を割り当てる配分計画を決定し、決定した配分計画に基づいて、前記エネルギー備蓄器毎に前記受電日時及び受電量を含む受電情報を出力する処理を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、発電機による発電電力のうちの余剰電力を複数のエネルギー備蓄器に効率よく配分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】サーバに記憶されるDBの構成例を示す模式図である。
【
図4】サーバに記憶されるDBの構成例を示す模式図である。
【
図5】購入条件の登録処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】余剰電力の配分処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】余剰電力の配分処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】マッチング処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】移動開始の通知処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態2のサーバに記憶されるDBの構成例を示す模式図である。
【
図14】実施形態2における余剰電力の配分処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施形態2のマッチング処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の情報処理方法及び情報処理システムについて、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、電力供給網の構成例を示す模式図である。発電所等で生成された電力は高圧送電網を介して送電され、超高圧変電所及び一次変電所等(図示せず)を経て配電用変電所101に到達する。配電用変電所101は、送電された電力を6600Vに変圧し、変圧した電力を負荷104及び充電器105等に配電網を介して配電する。配電網を介して配電される電力は、例えば電柱の上に取り付けられた柱上変圧器102で100V又は200Vに変圧された後、引込線を介して住宅及び電気自動車への充電が可能な充電スポット等に供給される。負荷104は、例えば住宅内で使用される家電製品、オフィス及びショッピングセンター等で使用される電化製品、小工場内で稼働する電気機器を含む。充電器105は、例えば電気自動車に搭載された二次電池106への充電が可能な充電器であり、オフィス、ショッピングセンター、自動車販売店等の駐車場に設けられた充電スポットに設置された充電器を含む。電力供給網において、負荷104の所有者及び電気自動車(二次電池106)の所有者は、電力の供給を受ける需要家である。
【0011】
図1に示す電力供給網において、高圧送電網は、それぞれの地域に設置された複数の配電用変電所101に接続されており、1つの配電用変電所101から電力が配電される配電網には複数の柱上変圧器102が設けられている。そして、それぞれの柱上変圧器102は、引込線を介して接続される負荷104及び充電器105に電力を供給する。また、本実施形態の電力供給網では、例えば住宅の屋根に設置されて太陽光発電を行う発電機103が配電網に接続されており、発電機103で生成された電力が配電網を介して配電できるように構成されている。本実施形態では、発電機103で生成された電力は、発電機103が設置された住宅内の家電製品によって消費され、余った電力が配電網を介して配電される。なお、本開示において、発電機103で生成された電力のうちで、発電機103が設置された住宅内の家電製品によって消費されずに余った電力を「余剰電力」という。配電用変電所101が受け持つ電力網内の総供給電力と消費電力との差を余剰電力と考えてもよい。消費電力とは、配電用変電所101が受け持つ電力網内の負荷によって消費される電力であり、負荷には、配電用変電所101が受け持つ電力網内の住宅だけでなく、病院、学校、工場での負荷も含むものとする。本実施形態では、余剰電力は、発電機103が接続される配電網毎に、又は配電網が広い範囲に亘る場合には配電網を複数に分割した分割配電網毎に、各配電網内における充電器105を介して電気自動車の二次電池106に供給されて消費(吸収)される。本実施形態の情報処理システムでは、余剰電力を購入する需要家を公募しており、余剰電力を購入したい需要家は、余剰電力の電力吸収量(購入希望量、受電希望量)等を指定して余剰電力の購入を応募する。余剰電力が消費される配電網又は分割配電網の範囲は、例えば自動車で10分~20分程度で移動できる範囲とし、この範囲を「配電網の地域」又は「地域」という。よって、本実施形態では、配電用変電所101の下流側である配電網の各地域において、地域内の発電機103における余剰電力が地域内の充電器105を介して電気自動車に充電されて消費される。
図1に示す電力供給網において、発電機103及び負荷104はそれぞれ、1つの地域の配電網に複数設けられており、1つの柱上変圧器102に対して複数接続されていてもよい。また充電器105は、1つの地域の配電網に少なくとも1つ設けられている。なお、発電機103は、自然エネルギーを用いた自然エネルギー発電機であれば、太陽光発電を行う構成に限定されない。
【0012】
図2は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理システムは、
図1に示すような電力供給網において、発電機103で発電した電力のうちの余剰電力を同じ地域内の充電器105を介して複数の電気自動車(二次電池106)に配分する配分計画を作成するシステムである。本実施形態の情報処理システムは、余剰電力の配分計画を作成するサーバ10と、電気自動車の所有者である需要家が使用する需要家用端末20(端末装置)とを含む。サーバ10及び複数の需要家用端末20は、インターネット等のネットワークNに接続可能であり、ネットワークNを介して通信を行う。
【0013】
サーバ10は、種々の情報処理及び情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータである。サーバ10は、複数台設けられて分散処理するように構成されていてもよいし、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよいし、クラウドサーバを用いて実現されていてもよい。サーバ10は、発電機103における余剰電力を予測する処理、電気自動車の二次電池106による充電量(エネルギー備蓄器による余剰電力の吸収量)を予測する処理、これらの予測量に基づいて、余剰電力を複数の電気自動車に配分する配分計画を作成する処理等、種々の情報処理を行う。
【0014】
サーバ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pを適宜実行することにより、サーバ10が行うべき種々の情報処理及び制御処理等を実行する。
【0015】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部12は、制御部11が実行する制御プログラム12P及び制御プログラム12Pの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部12は、制御部11が制御プログラム12Pを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。また記憶部12は、後述する発電機DB(データベース)12a、充電器DB12b、需要家DB12c及びマッチングDB12dを記憶する。発電機DB12a、充電器DB12b、需要家DB12c及びマッチングDB12dは、サーバ10に接続された記憶装置に記憶されてもよく、サーバ10が通信可能な記憶装置に記憶されていてもよい。また、発電機DB12a、充電器DB12b及び需要家DB12cは、複数のノードにより構成された分散型台帳技術又は分散型ネットワークであるブロックチェーンに記憶されてもよく、この場合、ブロックチェーンのシステムが維持し続ける限り改ざんを抑制できる。
【0016】
通信部13は、有線通信又は無線通信によってネットワークNに接続するためのインタフェースであり、ネットワークNを介して他の装置との間で情報の送受信を行う。入力部14は、例えばマウス及びキーボードを含み、サーバ10を使用するユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部11へ送出する。表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部11からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部14及び表示部15は一体として構成されたタッチパネルであってもよい。
【0017】
読み取り部16は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード等を含む可搬型記憶媒体1aに記憶された情報を読み取る。記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が読み取り部16を介して可搬型記憶媒体1aから読み取って記憶部12に記憶してもよい。また、記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が通信部13を介して他の装置からダウンロードして記憶部12に記憶してもよい。
【0018】
需要家用端末20は、種々の情報処理及び情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、電気自動車に搭載されたカーナビゲーション装置である。需要家用端末20は、サーバ10に対して余剰電力の購入を応募する処理、ネットワークN経由で、サーバ10が決定した余剰電力の配分計画に基づく余剰電力の受電情報を受信する処理等、種々の情報処理を行う。需要家用端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。需要家用端末20の制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24及び表示部25のそれぞれは、サーバ10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14及び表示部15と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。需要家用端末20の記憶部22は、制御部21が実行する制御プログラム22Pに加え、余剰電力の購入申込(受電申込)を行い、サーバ10で作成された余剰電力の配分計画に基づく受電情報を受信するための買電アプリ22AP(買電アプリケーションプログラム22AP)を記憶する。
【0019】
図3及び
図4は、サーバ10に記憶されるDB12a~12dの構成例を示す模式図である。
図3Aは発電機DB12aを、
図3Bは充電器DB12bを、
図4Aは需要家DB12cを、
図4BはマッチングDB12dをそれぞれ示す。発電機DB12aは、地域毎に、各地域の配電網に設けられた発電機103に関する情報を記憶する。
図3Aに示す発電機DB12aは、配電網ID列、発電機ID列、位置情報列、機器情報列、余剰電力履歴列等を含む。配電網ID列は、各地域の配電網に予め割り当てられた識別情報(配電網ID)を記憶する。即ち、配電網IDは、各地域を示す識別情報であってもよい。発電機ID列は、配電網IDに対応付けて、配電網IDが示す地域の配電網に設けられた発電機103に予め割り当てられた識別情報(発電機ID)を記憶し、位置情報列、機器情報列及び余剰電力履歴列はそれぞれ、発電機IDに対応付けて、発電機103の設置場所を示す位置情報、発電機103の機器情報、発電機103によって発生した余剰電力の発生履歴を記憶する。位置情報は、例えば経度及び緯度の座標値、或いは住所であり、発電機103の設置場所を特定できる情報であればどのような情報でもよい。機器情報は、例えば発電機103のメーカ名、型番、製造年月、稼動年数、発電量等の機器に関する情報、及び発電機103の所有者の氏名、住所、電話番号等の所有者に関する情報を含む。余剰電力履歴は、発電機103が生成した電力のうちの余剰電力について、余剰電力が発生した日時、天気の情報及び電力量を対応付けた余剰電力情報を含む。なお、発生日時は、例えば1時間又は2時間等の所定時間毎の時間帯で示されてもよい。また余剰電力履歴は、後述するようにサーバ10が予測する将来の余剰電力について、余剰電力の発生日時(発生時間帯)、天気の予想情報及び発生量を対応付けた余剰予測情報を含んでもよい。
【0020】
発電機DB12aに記憶される配電網IDは、新たな配電網が整備されて制御部11が新たな配電網の情報を通信部13又は入力部14を介して取得した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。発電機DB12aに記憶される発電機IDは、新たな発電機が設置されて制御部11が新たな発電機103の情報を通信部13又は入力部14を介して取得した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。発電機DB12aに記憶される位置情報及び機器情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して追加又は変更の指示を取得した場合に、制御部11によって追加又は変更される。発電機DB12aに記憶される余剰電力履歴は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して発電機103に発生した余剰電力の情報を取得した場合に、制御部11によって記憶される。発電機DB12aの記憶内容は
図3Aに示す例に限定されず、例えば各配電網に関する情報及び各発電機103に関する情報が記憶されていてもよい。
【0021】
充電器DB12bは、地域毎に、各地域の配電網に設けられた充電器105に関する情報を記憶する。
図3Bに示す充電器DB12bは、配電網ID列、充電器ID列、位置情報列、時間帯列、インセンティブポイント列、供給予定量列、取引履歴列等を含む。配電網ID列は、各地域の配電網の識別情報(配電網ID)を記憶する。充電器ID列は、配電網IDに対応付けて、配電網IDが示す地域の配電網に設けられた充電器105の識別情報(充電器ID)を記憶し、位置情報列は、充電器IDに対応付けて、充電器105の設置場所を示す位置情報を記憶する。位置情報は、例えば経度及び緯度の座標値、住所、ランドマーク又はショッピングセンター等の名称であり、充電器105の設置場所を特定できる情報であればどのような情報でもよい。時間帯列、インセンティブポイント列及び供給予定量列は、充電器IDに対応付けて、充電器105に対して設定された時間帯毎のインセンティブポイント及び充電器105を介して供給可能な余剰電力の予測量(供給予定量)を記憶する。インセンティブポイントは、充電器105(充電器105の場所)及び時間帯に応じて設定(決定)されるポイントであり、1kWh等の単位電力量当たりのポイントである。また、インセンティブポイントは、余剰電力を購入した際に需要家に付与されるポイントとしても使用される。インセンティブポイントには、例えば余剰電力の購入(受電)を誘導すべき充電器105及び時間帯ほど高い値が設定される。
図3Bに示す例では、1時間又は2時間毎の時間帯に対してインセンティブポイントが設定されているが、この構成に限定されない。供給予定量は、後述するように制御部11が予測した余剰電力の発生量を示す。取引履歴列は、充電器IDに対応付けて、充電器105を介して購入(受電)された余剰電力に関する取引情報を記憶する。取引情報は、需要家に関する情報(例えば需要家ID)、受電日時、受電した電力量、取引に設定されたインセンティブポイント、取引の予約が完了した日時等を含む。
【0022】
充電器DB12bに記憶される配電網ID及び充電器IDは、新たな配電網又は充電器105が設置されて制御部11が新たな配電網又は充電器105の情報を通信部13又は入力部14を介して取得した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。充電器DB12bに記憶される位置情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して追加又は変更の指示を取得した場合に、制御部11によって追加又は変更される。充電器DB12bに記憶される時間帯、インセンティブポイント及び供給予定量は、制御部11が各充電器105に対応するインセンティブポイント及び供給予定量を算出した場合に、制御部11によって記憶される。充電器DB12bに記憶される取引履歴は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して、充電器105を用いて行われた余剰電力の受電取引(購入取引)に関する情報を取得する都度、制御部11によって記憶される。充電器DB12bの記憶内容は
図3Bに示す例に限定されず、例えば各充電器105の機器に関する情報が記憶されていてもよい。
【0023】
需要家DB12cは、余剰電力の購入を希望する購入者(需要家)に関する情報を記憶する。本実施形態では、余剰電力を購入する需要家は電気自動車の所有者であるので、需要家DB12cは電気自動車の所有者に関する情報を記憶する。
図4Aに示す需要家DB12cは、需要家ID列、位置情報列、氏名列、購入条件列、購入履歴列等を含む。需要家ID列は、各需要家に予め割り当てられた識別情報(需要家ID)を記憶する。位置情報列、氏名列、購入条件列はそれぞれ、需要家IDに対応付けて、電気自動車の位置情報、需要家の氏名、需要家によって設定された余剰電力を購入する際の購入条件を記憶する。位置情報は、例えば電気自動車を普段駐車している駐車場所、電気自動車を普段走行させているエリア又は移動可能エリアを示す情報であり、例えば経度及び緯度の座標値、住所等を用いて表される。購入条件は、予め需要家が設定した余剰電力の購入希望情報であり、例えば、許容できるインセンティブポイントの下限値又は上限値、購入したい電力量の下限値又は上限値、受電を希望する充電器105(充電器105の場所)、受電する時間帯(受電希望時間帯)等を含む。購入履歴列は、需要家IDに対応付けて、需要家が充電器105を介して購入(受電)した余剰電力に関する購入情報(受電履歴)を記憶する。購入情報は、受電日時、受電日の天気情報、受電した充電器105の情報(例えば充電器ID)、受電した電力量、取引に設定されたインセンティブポイント、取引の予約が完了した日時等を含む。
【0024】
需要家DB12cに記憶される需要家IDは、制御部11が新たな需要家の情報を通信部13又は入力部14を介して取得した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。需要家DB12cに記憶される位置情報、氏名及び購入条件の各情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して追加又は変更の指示を取得した場合に、制御部11によって追加又は変更される。需要家DB12cに記憶される購入履歴は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して、需要家による余剰電力の購入取引(受電)に関する情報を取得する都度、制御部11によって記憶される。需要家DB12cの記憶内容は
図4Aに示す例に限定されず、例えば需要家の個人情報、需要家が所有する電気自動車に関する情報が記憶されていてもよい。
【0025】
マッチングDB12dは、各充電器105を介して受電される余剰電力の購入取引(受電取引)に関する情報を記憶する。具体的には、各充電器105と、各充電器105を介して余剰電力を購入する需要家とのマッチング情報を記憶する。
図4Bに示すマッチングDB12dは、配電網ID列、充電器ID列、取引ID列、日時列、インセンティブポイント列、需要家ID列、電力量列等を含む。配電網ID列及び充電器ID列はそれぞれ、各地域の配電網の配電網ID、各充電器105の充電器IDを記憶する。取引ID列は、充電器IDに対応付けて、充電器105に対して設定(予約)された余剰電力の購入取引に割り当てられた識別情報(取引ID)を記憶する。日時列、インセンティブポイント列、需要家ID列及び電力量列はそれぞれ、取引IDに対応付けて、購入取引が行われる日時、購入取引に設定されているインセンティブポイント、購入取引を行う需要家の需要家ID、取引される電力量を記憶する。なお、購入取引の日時は、需要家が充電器105から電気自動車に余剰電力を充電する日時を示し、所定の時間帯で表されていてもよい。
【0026】
マッチングDB12dに記憶される配電網ID及び充電器IDは、例えば充電器DB12bに記憶してある配電網ID及び充電器IDが予め記憶されている。マッチングDB12dに記憶される取引IDは、制御部11が各充電器105に対して新たな購入取引を設定(予約)した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。マッチングDB12dに記憶される日時、インセンティブポイント、需要家ID及び電力量の各情報は、制御部11が各充電器105に対して新たな購入取引を設定した場合に、設定した購入取引に関する各情報が制御部11によって記憶される。マッチングDB12dの記憶内容は
図4Bに示す例に限定されず、例えば各充電器105に関する情報、各需要家に関する情報が記憶されていてもよい。
【0027】
以下に、上述した構成の情報処理システムにおいて、各発電機103で発生する余剰電力に対して各需要家が余剰電力の購入を応募し、応募した内容(購入条件)をサーバ10に登録する処理について説明する。
図5は購入条件の登録処理手順の一例を示すフローチャート、
図6は画面例を示す模式図である。
図5では左側に需要家用端末20が行う処理を、右側にサーバ10が行う処理をそれぞれ示す。以下の処理は、需要家用端末20の記憶部22に記憶してある制御プログラム22P及び買電アプリ22APに従って制御部21によって実現され、サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現される。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
【0028】
本実施形態の情報処理システムでは、各発電機103で発生する余剰電力を購入したい需要家を公募しており、需要家は余剰電力を購入したい場合、応募する。なお、需要家は、需要家用端末20に買電アプリ22APを実行させ、買電アプリ22APから余剰電力の購入を応募できる。需要家用端末20の制御部21は、例えば入力部24を介したユーザによる操作に従って買電アプリ22APを実行し、余剰電力の購入を応募するための応募画面を表示部25に表示する(S61)。
図6は応募画面例を示しており、応募画面は、余剰電力の受電を希望する充電器の入力欄と、余剰電力の購入を希望する時間帯の入力欄と、購入を希望する電力量(受電量)の入力欄とを有する。充電器の入力欄は、予めサーバ10の充電器DB12bに登録してある充電器のいずれかを選択するためのプルダウンメニューを有する。時間帯の入力欄は、各時間帯を選択するためのチェックボックスを有しており、各時間帯に対応付けて、選択された充電器105に設定されている各時間帯のインセンティブポイントを表示している。なお、各時間帯のインセンティブポイントは、サーバ10から取得して表示されてもよい。受電量の入力欄は、任意の数値が入力できるように構成されている。なお、充電器の入力欄は、充電器を選択する代わりに、需要家が受電可能(充電可能)なエリアの住所等を入力するように構成されていてもよく、受電量の入力欄は、購入可能な電力量の最小値から最大値までの任意の数値が入力できるように構成されていてもよい。応募画面は、入力された内容での応募を指示するための応募ボタンと、処理の終了を指示するためのキャンセルボタンとを有する。応募画面は
図6に示した構成に限定されない。例えば、需要家が余剰電力を購入する際に許容するインセンティブポイントの入力欄が応募画面に設けられていてもよい。なお、制御部21は、ネットワークN経由でサーバ10が公開しているウェブサイトにアクセスし、
図6に示す応募画面をサーバ10から取得して表示してもよい。
【0029】
図6に示す応募画面は、充電器の入力欄を介して選択された充電器に対して時間帯毎に設定されているインセンティブポイントを表示しているので、需要家用端末20の制御部21(ポイント取得部)は、この充電器を介して余剰電力を購入する際のインセンティブポイントを取得できる。なお、応募画面は、例えば時間帯毎に購入可能(販売可能)な余剰電力の電力量を表示してもよい。
図6に示す応募画面において、需要家は入力部24を介して各入力欄に希望の内容を入力し、入力した内容での応募を指示する場合、応募ボタンを操作する。制御部21は、応募画面中の各入力欄に対する内容(応募内容)を受け付け(S62)、受け付けた応募内容を各入力欄に表示する。これにより、制御部21(吸収量取得部)は、インセンティブポイントに応じて、需要家による余剰電力の購入希望量(余剰電力の吸収量)を取得する。そして制御部21は、応募画面の応募ボタンが操作されたか否かを判断し(S63)、操作されていないと判断した場合(S63:NO)、処理を終了する。応募ボタンが操作されたと判断した場合(S63:YES)、制御部21(出力部)は、応募画面を介して受け付けた内容の応募情報をサーバ10へ送信(出力)し(S64)、販売される余剰電力に対して購入の応募を行う。具体的には、制御部21は、受電を希望する充電器105(受電希望場所)、時間帯(受電希望時間帯)、受電量(余剰電力の吸収量)を含む購入希望情報をサーバ10へ送信する。これにより、制御部21は、インセンティブポイントに応じて、余剰電力の購入の応募をユーザから受け付けることができ、受け付けた応募情報をサーバ10へ送信することにより、応募情報に基づく余剰電力の購入の応募をサーバ10に対して行うことができる。
【0030】
サーバ10の制御部11は、需要家用端末20から応募情報を取得し(S65)、取得した応募情報を購入条件として需要家DB12cに記憶する(S66)。具体的には、制御部11は、応募情報に含まれる充電器の場所(受電希望場所)、購入を希望する時間帯(受電希望時間帯)及びこの時間帯に設定されているインセンティブポイントの値、購入を希望する電力量(購入希望量)を含む購入希望情報を、購入条件として需要家DB12cに記憶する。これにより、制御部11(受付部)は、需要家から、インセンティブポイントに応じた余剰電力の購入希望量(余剰電力の吸収量)の応募を受け付けることができる。上述した処理により、各需要家は、自身の電気自動車の二次電池106に充電したい余剰電力の充電量をサーバ10に対して応募することができる。
【0031】
以下に、各発電機103で発生する余剰電力を複数の需要家(電気自動車の二次電池106)に配分する処理について説明する。
図7及び
図8は余剰電力の配分処理手順の一例を示すフローチャート、
図9はマッチング処理手順の一例を示すフローチャート、
図10は配分処理を説明するための模式図、
図11は画面例を示す模式図である。
図7及び
図8では左側にサーバ10が行う処理を、右側に需要家用端末20が行う処理をそれぞれ示す。
図9に示すマッチング処理は、
図7に示す配分処理中のステップS15の処理である。以下の処理は、サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現され、需要家用端末20の記憶部22に記憶してある制御プログラム22P及び買電アプリ22APに従って制御部21によって実現される。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
【0032】
本実施形態の情報処理システムにおいて、電気自動車を所有しており余剰電力を購入したい需要家は、予めサーバ10にユーザ登録しておき、サーバ10は、登録された需要家に関する情報を需要家DB12cに記憶している。具体的には、需要家は、需要家用端末20を用いて、余剰電力の購入希望量、受電希望場所、受電希望時間帯及び許容可能なインセンティブポイントの値を含む購入希望情報をサーバ10へ送信して余剰電力の購入を応募し、サーバ10は、受信した購入希望情報を購入条件として需要家DB12cに記憶する。需要家用端末20及びサーバ10が上述した
図5に示す処理を実行することにより、サーバ10は、需要家用端末20から余剰電力の購入の応募を受け付ける。またサーバ10は、各発電機103における余剰電力の発生日時、天気情報及び発生量を、発電機103又は発電機103の動作を制御する制御端末(図示せず)から取得し、取得した余剰電力の情報を発電機DB12aに余剰電力履歴として記憶している。本実施形態のサーバ10は、例えば1日に1回所定時刻に、各発電機103の過去の余剰電力履歴及び天気に関する情報等に基づいて、次の日に各発電機103で発生する余剰電力の電力量(発生量)を予測する。またサーバ10は、各需要家の購入条件(購入希望情報)及び過去の購入履歴等に基づいて、次の日に各需要家が購入を希望する余剰電力の購入量を予測し、予測した発生量の余剰電力を各需要家に配分する配分計画を作成する処理を行う。
【0033】
サーバ10の制御部11は、余剰電力の配分計画を作成する処理を実行すべきタイミング(作成タイミング)が到来したか否かを判断しており(S11)、到来していないと判断した場合(S11:NO)、到来するまで待機する。本実施形態では、配分計画の作成タイミングを1日に1回としており、1日のうちの所定時刻が到来したか否かに応じて作成タイミングが到来したか否かを判断する。このほかに、配分計画の作成タイミングは、2日に1回又は3日に1回等としてもよく、この場合、1回の作成タイミングで2日分又は3日分の配分計画がまとめて作成される。
【0034】
作成タイミングが到来したと判断した場合(S11:YES)、制御部11は、1つの地域に対してステップS12~S16の処理を行う。具体的には、制御部11(余剰予測量取得部)は、1つの地域において、地域内の各発電機103における次の日(配分計画の作成対象の日)に発生する余剰電力の予測量を算出する(S12)。例えば制御部11は、発電機DB12aから、予測対象の発電機103の余剰電力履歴のうち、直近の1週間分の余剰電力情報を読み出す。又は、制御部11は、ネットワークN経由で気象情報を公開しているウェブサイトから次の日の天気の情報を取得し、取得した天気に類似する天気であった直近の数日分の余剰電力情報を読み出してもよい。そして、制御部11は、読み出した過去の余剰電力情報と、次の日の天気の情報とに基づいて、次の日に発生する可能性のある余剰電力について、時間帯毎の予測量を算出する。例えば制御部11は、それぞれの時間帯について、次の日の天気に類似する又は同一の天気であった数日分の余剰電力情報に基づいて、発生した余剰電力の平均値を算出し、算出した平均値を次の日における余剰電力の予測量としてもよい。
【0035】
図10は時間帯毎の余剰電力の予測量を示すグラフであり、横軸は1日における時刻を示し、縦軸は1時間毎の余剰電力量(余剰電力の予測量)を示しており、余剰電力量の単位は例えばkWhである。制御部11は、例えば
図10に示すように1時間毎の余剰電力の予測量を算出する。また、発電機DB12aに、余剰電力履歴の代わりに、発電機103による過去の発電量の履歴情報と、発電機103が設置された住宅において過去に消費された電力量(消費電力量)の履歴情報とが記憶されていてもよい。この場合、制御部11は、発電機DB12aから、例えば直近の1週間分の発電量の履歴情報と消費電力量の履歴情報とを読み出し、読み出した発電量の履歴情報及び消費電力量の履歴情報に基づいて、直近の1週間分の余剰電力情報を算出し、算出した余剰電力情報に基づいて、次の日における余剰電力の予測量を算出してもよい。制御部11は、地域内の全ての発電機103について、次の日における時間帯毎の余剰電力の予測量を算出し、時間帯毎に、余剰電力の予測量の合計を算出する。
【0036】
次に制御部11(吸収予測量取得部)は、処理対象の地域内の各需要家について、次の日(配分計画の作成対象の日)に電気自動車の二次電池106に充電する余剰電力の充電量(受電量)の予測量(エネルギー備蓄器による余剰電力の吸収量の予測量)を算出する(S13)。例えば制御部11は、需要家DB12cから、予測対象の需要家の購入履歴のうち、直近の1週間分又は数週間分の購入情報を読み出す。そして、制御部11は、読み出した過去の購入情報に基づいて、次の日に需要家が電気自動車に充電する可能性のある余剰電力の予測量を算出する。例えば制御部11は、過去の購入情報に応じた購入周期(受電周期)に基づいて、次の日における受電量の予測量を算出する。また制御部11は、過去の購入情報と、次の日の天気の情報とに基づいて、次の日における受電量の予測量を算出してもよい。制御部11は、受電量の予測量と共に、受電時間帯(余剰電力の購入時間帯)を予測してもよく、受電時間帯には、過去の購入情報において、需要家が電気自動車に充電する可能性の高い時間帯が予測されてもよい。また制御部11は、各需要家が設定した購入条件も考慮して、次の日における受電量を予測してもよい。制御部11は、地域内の全ての需要家について、次の日における余剰電力の受電量の予測量を算出し、受電量の予測量の合計を算出する。
【0037】
なお、制御部11は、機械学習によって構築されたニューラルネットワークを用いて、例えば直近の1週間又は1ヶ月等の過去の受電量又は消費電力量から、次の日における受電量の予測量を算出してもよい。例えばCNN(Convolution Neural Network)モデル、RNN(Recurrent Neural Network)モデル、LSTM(Long Short-Term Memory)モデル等で構成され、過去の受電量又は消費電力量が入力された場合に、次の日における受電量の予測量を示す情報を出力するように学習された学習モデルを用いてもよい。この場合、制御部11は、過去の受電量又は消費電力量を学習済みの学習モデルに入力し、学習モデルからの出力情報に基づいて、次の日における受電量の予測量を特定することができる。
【0038】
次に制御部11(決定部)は、処理対象の地域内の各充電器105に対して、次の日(配分計画の作成対象の日)に充電器105を介して行われる余剰電力の売買取引(受電取引)におけるインセンティブポイントを設定する(S14)。例えば制御部11は、次の日に対して、ステップS12で算出した各発電機103における余剰電力の時間帯毎の予測量と、ステップS13で算出した各需要家における余剰電力の受電量の予測量とに基づいて、次の日における時間帯毎のインセンティブポイントを設定する。具体的には、制御部11は、それぞれの充電器105に対して、各充電器105の近傍にある発電機103における余剰電力の予測量の合計を時間帯毎に算出する。なお、充電器105の近傍にある発電機103は、例えば充電器105と同じ柱上変圧器102に接続されている発電機103、充電器105が柱上変圧器102を介して接続されている配電網に接続されている発電機103、又は、充電器105の設置位置と発電機103の設置位置との距離が所定距離以下である発電機103としてもよい。このような充電器105の近傍にある発電機103における余剰電力の予測量の合計は、この充電器105を介して供給可能な余剰電力の電力量(供給予定量)とすることができる。
【0039】
また制御部11は、それぞれの充電器105に対して、各充電器105を介して余剰電力の受電を行う需要家における余剰電力の受電量(受電希望量)の予測量の合計を算出する。制御部11は、各需要家に対して受電時間帯を予測している場合、時間帯毎に余剰電力の受電希望量の予測量の合計を算出する。なお、充電器105を介して余剰電力の受電を行う需要家は、例えば過去に同じ充電器105を介して余剰電力の受電を行ったことがある需要家、充電器105の設置位置と電気自動車の位置(駐車位置、移動可能位置等)との距離が所定距離以下である需要家としてもよい。そして、制御部11は、それぞれの充電器105に対して、各充電器105を介した余剰電力の供給予定量と、各充電器105を介して余剰電力の受電を希望する需要家の数、受電希望量及び受電時間帯とに基づいて、次の日における時間帯毎のインセンティブポイントを設定する。インセンティブポイントは、1kWh等の単位電力量当たりのポイントであり、例えば余剰電力を購入した際に需要家に付与されるポイントとして使用される。インセンティブポイントは、充電器105を介した余剰電力の供給予定量に対して、需要家による受電希望量が少ない場合は高い値となり、需要家による受電希望量が多い場合は低い値となる。また、インセンティブポイントは、過去に設定されたインセンティブポイントの値を考慮して設定されてもよい。このように設定されたインセンティブポイントは、
図6に示す画面を介して需要家に提示される。
【0040】
制御部11は、地域内の全ての充電器105について、次の日における時間帯毎のインセンティブポイントを設定し、設定した時間帯毎のインセンティブポイントと、充電器105を介した余剰電力の供給予定量とを充電器DB12bに記憶する。なお、複数の充電器105が所定範囲内に設置されている場合、これらの充電器105に対してまとめてインセンティブポイントを設定してもよい。例えば自動車で10分~20分程度で移動できる範囲内に複数の充電器105が設置されている場合、複数の充電器105について、各充電器105の近傍にある発電機103における余剰電力の時間帯毎の予測量の合計を算出し、各充電器105を介した余剰電力の受電希望量の予測量の合計を算出する。そして制御部11は、算出した余剰電力の時間帯毎の予測量の合計と、余剰電力の受電希望量の予測量の合計とに基づいて、複数の充電器105に対して、次の日における時間帯毎のインセンティブポイントを設定してもよい。この場合、複数の充電器105に対して、同じ値のインセンティブポイントが充電器DB12bに記憶され、複数の充電器105に対する供給予定量がまとめて充電器DB12bに記憶される。
【0041】
次に制御部11は、ステップS14で各充電器105に対して設定した時間帯毎のインセンティブポイントと、各充電器105における供給予定量と、各需要家の購入条件とに基づいて、各充電器105を介した余剰電力の受電取引において、各充電器105と各需要家とのマッチング処理を行う(S15)。即ち、制御部11は、各充電器105に対して算出された供給予定量の余剰電力を各需要家に配分する配分計画を作成する。
図9に示すマッチング処理において、制御部11は、充電器DB12bから、1つの充電器105(マッチング対象の充電器105)について、この充電器105を介して供給可能な余剰電力に関する情報を取得する(S31)。具体的には、制御部11は、マッチング対象の充電器105に設定された時間帯毎のインセンティブポイントと、この充電器105を介した余剰電力の時間帯毎の供給予定量とを取得する。
【0042】
また制御部11は、需要家DB12cの記憶内容に基づいて、マッチング対象の充電器105を介して余剰電力の受電を希望している需要家(割当対象者)を特定する(S32)。具体的には、制御部11は、需要家DB12cに記憶してある各需要家の購入条件に基づいて、マッチング対象の充電器105が購入条件に合致する需要家を割当対象者に特定する。例えば、各需要家が受電を希望する充電器105又は場所(受電希望場所)、受電を希望する時間帯及び許容可能なインセンティブポイントがマッチング対象の充電器105に合致する場合、この需要家を割当対象者に特定する。具体的には、各需要家が受電を希望する充電器105がマッチング対象の充電器105である場合、又はマッチング対象の充電器105の近傍の充電器105である場合、更に、マッチング対象の充電器105に設定されている時間帯毎のインセンティブポイントが、各需要家の受電希望時間帯及び許容可能なインセンティブポイントである場合、この需要家を割当対象者に特定する。また、制御部11は、需要家DB12cに記憶してある各需要家の購入履歴に基づいて、マッチング対象の充電器105を介して余剰電力を受電(購入)したことがある需要家を割当対象者に特定してもよい。これにより、1つの充電器105に対して、需要家が余剰電力の受電を希望する場所(充電器105)、受電希望時間帯及び許容可能なインセンティブポイント等の購入条件に合致する需要家を割当対象者に特定することができる。なお、余剰電力の供給予定量を管理する時間帯と需要家の受電希望時間帯とは同じ時間帯でなくてもよい。例えば余剰電力の供給予定量を管理する時間帯は1時間又は2時間単位としてもよく、需要家の受電希望時間帯は午前中又は午後等としてもよい。
【0043】
そして、制御部11は、ステップS31で取得した時間帯毎のインセンティブポイント及び供給予定量と、ステップS32で特定した割当対象者の購入条件(購入希望情報)とに基づいて、マッチング対象の充電器105を介して供給予定の余剰電力を、時間帯毎に割当対象者に割り当てる(S33)。例えば制御部11は、時間帯毎に、供給予定量を1kWh又は10kWh等の所定の電力量単位に分割し、分割した所定の電力量を上限として、各割当対象者が購入を希望する電力量を割り当てる。なお、各割当対象者(需要家)にランク又は優先度が設定されている場合、ランク又は優先度が高い割当対象者から順に、各割当対象者が購入を希望する電力量を割り当ててもよい。また制御部11は、時間帯毎に、供給予定量を割当対象者の数で分割し、各割当対象者に均等に割り当ててもよい。また、例えば余剰電力の供給予定量を1時間単位で管理している場合、制御部11は、例えば11:00~12:00の供給予定量に対して、まず受電希望時間帯として11:00~12:00を設定している割当対象者に余剰電力を割り当てる。次に制御部11は、11:00~12:00の供給予定量のうちの未割当分に対して、例えば受電希望時間帯として11:00~13:00を設定している割当対象者に余剰電力を割り当てる。このとき、11:00~12:00の供給予定量では不足する場合、制御部11は、不足分を、12:00~13:00の供給予定量からこの割当対象者に割り当ててもよく、この割当対象者が購入を希望する電力量の全てを12:00~13:00の供給予定量から割り当ててもよい。制御部11は、マッチング対象の充電器105に対応して、余剰電力を割当対象者に割り当てた場合、取引IDを発行する。そして、制御部11は、充電器105の充電器IDに対応付けて、取引ID、割り当てた時間帯を含む日時(受電予定日時)、割り当てた時間帯に設定されていたインセンティブポイント、割当対象者の需要家ID、割り当てた電力量をマッチングDB12dに記憶しておく。これにより、余剰電力を供給する各充電器105と、充電器105を介して余剰電力の供給を受ける需要家とのマッチング情報が記憶される。また制御部11は、余剰電力を割当対象者に割り当てた場合、充電器DB12bに記憶してあるマッチング対象の充電器105における供給予定量を、割当対象者に割り当てた電力量を減算した値に更新しておく。
【0044】
制御部11は、ステップS32で特定した割当対象者の全てに対して、各割当対象者が購入を希望する電力量の割当を完了したか否かを判断し(S34)、完了していないと判断した場合(S34:NO)、ステップS31で取得した時間帯毎の供給予定量(余剰電力)の全てについて割当対象者への割当を完了したか否かを判断する(S35)。供給予定量の全てについて割当対象者への割当を完了していないと判断した場合(S35:NO)、制御部11は、ステップS33の処理に戻り、購入を希望する電力量分の割当が完了していない割当対象者に対して、未割当の供給予定量を割り当てる。制御部11は、割当対象者の全てに対して購入を希望する電力量の割当を完了するか、供給予定量の全てについて割当対象者への割当を完了するまでステップS33の処理を繰り返す。これにより、制御部11(配分決定部)は、地域内の発電機103による発電によって発生する余剰電力が、地域内の充電器105を介して充電可能な電気自動車の二次電池106によって吸収される配分計画を作成することができる。
【0045】
割当対象者の全てに対して余剰電力の割当を完了したと判断した場合(S34:YES)、又は供給予定量の全てについて割当対象者への割当を完了したと判断した場合(S35:YES)、制御部11は、充電器DB12bに登録されている全ての充電器105に対して上述した処理を終了したか否かを判断する(S36)。全ての充電器105に対する処理を終了していないと判断した場合(S36:NO)、制御部11は、ステップS31の処理に戻り、未処理の充電器105に対してステップS31~S35の処理を行う。これにより、充電器DB12bに登録してある充電器105に対して、各充電器105を介して次の日に供給予定の余剰電力を、購入条件が合致する需要家に割り当てることができる。全ての充電器105に対して処理を終了したと判断した場合(S36:YES)、制御部11は、
図7の処理に戻る。
【0046】
図9に示すマッチング処理を行った後、制御部11は、マッチング処理の終了条件を満たすか否かを判断する(S16)。例えばステップS12で処理対象の地域に対して算出した、地域内の発電機103における次の日(配分計画の作成対象の日)に発生する余剰電力の予測量(供給予定量)のうちの、所定割合(例えば80%以上)の電力量が割当対象者に対して割当済みとなった場合、制御部11は終了条件を満たすと判断する。また、ステップS13で算出した、地域内の需要家が次の日に電気自動車(二次電池106)に充電する余剰電力の予測量のうちの、所定割合(例えば90%以上)の電力量が割当済みとなった場合、制御部11は終了条件を満たすと判断してもよい。また、ステップS12で算出した次の日の供給予定量に対して、割当対象者に未割当の余剰電力の電力量が所定量以下となった場合に、制御部11は終了条件を満たすと判断してもよい。
【0047】
マッチング処理の終了条件を満たしていないと判断した場合(S16:NO)、制御部11は、再度マッチング処理を行うが、このとき、ステップS14の処理に戻り、各充電器105に対するインセンティブポイントを変更した後、マッチング処理を行う(S15)。例えば制御部11は、各充電器105において未割当の供給予定量が所定量以上である場合に、インセンティブポイントに所定値を加算して変更してもよい。また制御部11は、各充電器105において、ステップS31で取得した供給予定量に対して未割当の供給予定量の割合が所定値以上である場合に、インセンティブポイントに所定値を加算して変更してもよい。このように未割当の余剰電力が発生し易い充電器105に対して、インセンティブポイントを上昇させることにより、次に行うマッチング処理において割当対象者への割当を促進してマッチング確率を向上させることが可能となる。
【0048】
マッチング処理の終了条件を満たしていると判断した場合(S16:YES)、制御部11は、未処理の地域があるか否かを判断し(S17)、あると判断した場合(S17:YES)、ステップS12の処理に戻り、未処理の地域に対してステップS12~S16の処理を行う。これにより、各地域において、地域内の各充電器105を介して次の日に供給予定の余剰電力を、購入条件が合致する需要家に割り当てることができる。未処理の地域がないと判断した場合(S17:NO)、制御部11は、余剰電力を割り当てた各需要家(割当対象者)に対して割当結果(各需要家に余剰電力を配分する配分計画)を送信する(S18)。例えば制御部11(出力部)は、
図11Aに示すように、各需要家に割り当てた余剰電力の割当情報(受電情報)を通知するための通知画面を生成し、対応する需要家の需要家用端末20へ送信(出力)する。
図11Aに示す画面は、余剰電力を充電する充電器105の場所、充電する時間帯(受電日時)、充電する電力量(受電量)、インセンティブポイント等を含む受電処理における受電情報を表示する。また
図11Aに示す画面は、表示内容での余剰電力の受電取引(購入取引)に対して取引を承諾して受電(購入)を予約するための受電予定ボタンと、余剰電力の受電取引に対する取引承諾を拒否して受電をキャンセルするためのキャンセルボタンとを有する。具体的には、制御部11は、需要家IDに対応付けてマッチングDB12dに記憶してある充電器ID、日時、インセンティブポイント及び電力量を読み出し、読み出した充電器IDの充電器105の設置場所を示す情報(位置情報)を充電器DB12bから読み出す。そして制御部11は、読み出した充電器105の設置場所、日時、電力量(受電量)及びインセンティブポイントを表示し、受電予定ボタン及びキャンセルボタンを付加して、
図11Aに示す通知画面を生成する。
【0049】
需要家用端末20の制御部21は、サーバ10から割当結果(受電情報)を受信した場合、
図11Aに示す割当結果画面を表示部25に表示する(S19)。即ち、制御部21(受電情報取得部)は、サーバ10で作成された余剰電力の配分計画に応じた受電情報を取得する。
図11Aに示す画面において、需要家は表示内容での余剰電力の受電を予約したい場合、入力部24を介して受電予定ボタンを操作し、余剰電力の受電をキャンセルしたい場合、キャンセルボタンを操作する。これにより、需要家は、
図11Aに示す画面において、サーバ10から通知された受電内容での受電取引に対する承諾の可否を選択できる。制御部21は、割当結果画面において、受電予定ボタンが操作された場合、余剰電力の受電予約を受け付け、キャンセルボタンが操作された場合、受電キャンセルを受け付ける。制御部21は、受電予約を受け付けたか否かを判断しており(S20)、受電予約を受け付けたと判断した場合(S20:YES)、表示内容での余剰電力の受電申込をサーバ10へ送信し(S21)、処理を終了する。サーバ10の制御部11は、需要家用端末20から受電申込を受信した場合、ステップS18で需要家用端末20へ送信した割当内容を確定する(S22)。例えば制御部11は、受電申込を受け付けた受電取引に対応付けて「承諾済み」をマッチングDB12dに記憶することにより割当内容の受電取引を確定してもよい。
【0050】
一方、需要家用端末20の制御部21は、受電予約を受け付けていないと判断した場合(S20:NO)、即ち、受電キャンセルを受け付けた場合、余剰電力の受電キャンセルをサーバ10へ送信し(S23)、処理を終了する。サーバ10の制御部11は、需要家用端末20から受電キャンセルを受信した場合、ステップS18で需要家用端末20へ送信した割当内容を破棄する(S24)。例えば制御部11は、受電キャンセルを受け付けた受電取引に関する情報をマッチングDB12dから削除することにより割当内容の受電取引を破棄してもよい。
【0051】
ステップS22又はステップS24の処理後、制御部11は、割当結果が未通知の需要家がいるか否かを判断する(S25)。具体的には、制御部11は、マッチングDB12dに記憶してある各受電取引における需要家に対して割当結果を通知したか否かを判断する。未通知の需要家がいると判断した場合(S25:YES)、制御部11は、ステップS18の処理に戻り、未通知の需要家(割当対象者)に対して割当結果を送信する(S18)。また制御部11は、需要家用端末20から受電申込又は受電キャンセルのいずれかを受信し、受信した内容に応じて割当内容の確定又は破棄を行う。未通知の需要家がいないと判断した場合(S25:NO)、即ち、全ての需要家に割当内容を通知した場合、制御部11は処理を終了する。
【0052】
割当結果画面は
図11Bに示す構成でもよい。
図11Bに示す画面は、余剰電力を充電する充電器105として2つの充電器105を表示しており、いずれか1つの充電器105を選択できるように構成されている。例えば、1人の需要家に対して、使用可能な充電器105が複数割り当てられた場合、
図11Bに示すような画面が生成されて需要家用端末20へ送信される。その他の構成は、
図11Aに示す画面と同様であり、
図11Bに示す画面において、需要家は、使用したい充電器105を選択した後に受電予定ボタンを操作することにより、選択した充電器105での余剰電力の受電申込を行うことができる。サーバ10の制御部11は、需要家用端末20から、需要家が選択した充電器105での余剰電力の受電申込を受け付けた場合、選択されなかった充電器105での余剰電力の割当内容を破棄する。また、例えば余剰電力を受電する時間帯(受電日時)として複数の時間帯が割り当てられた場合、
図11Bに示す画面において、複数の受電日時が列挙され、いずれかの受電日時を選択できるように構成されていてもよい。また、余剰電力の受電量についても、購入条件として設定していた受電量からの変更が可能である場合、即ち、追加で受電(購入)できる余剰電力がある場合、
図11Bに示す画面において、追加可能な電力量を上限として、受電量を変更できるように構成されていてもよい。このような構成とした場合、予め需要家が登録した購入条件に合致した内容での受電取引だけでなく、余剰電力の各需要家への割当結果に応じて、各需要家が希望する取引内容に柔軟に変更することが可能となる。
【0053】
上述した処理により、サーバ10は、各地域において、発電機103による発電によって発生する余剰電力を需要家(電気自動車)に配分する配分計画を作成(決定)することができる。本実施形態では、移動可能な電気自動車の二次電池106で余剰電力を吸収する配分計画を作成する。電気自動車は、運転者(需要家)によって余剰電力の受電時間及び受電場所(充電器105の場所)を柔軟に変更できるので、自由度の高い配分計画が可能となる。よって、余剰電力を各需要家に効率的に配分することが可能となる。なお、サーバ10は、例えば1日に1回、次の日における余剰電力を電気自動車に配分する配分計画を作成するが、次の日に実際に発生する余剰電力量と前日に予測した予測量との差異に応じて、当日に販売可能な余剰電力が発生する場合が考えられる。この場合には、余剰電力が発生する直前まで、余剰電力の購入申込を受け付け、購入申込してきた需要家に対して購入取引(受電取引)を割り当ててもよい。
【0054】
上述した処理によって余剰電力を割り当てられた需要家は、割り当てられた日時(受電時間)に、割り当てられた充電器105の設置場所まで電気自動車を移動させ、充電器105を用いて、割り当てられた受電量の余剰電力を電気自動車の二次電池106に充電する。よって、需要家は、サーバ10から、自身に割り当てられた余剰電力の受電取引に関する受電情報を需要家用端末20を介して取得し、取得した受電情報によって、自身に割り当てられた余剰電力の取引内容を把握することができる。
【0055】
以下に、本実施形態の情報処理システムにおいて、需要家による受電申込によって需要家に割り当てられた余剰電力の受電取引を実現するために、需要家用端末20が、充電器105の設置場所への移動を開始すべきであることを需要家に通知する処理について説明する。
図12は移動開始の通知処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、需要家用端末20の記憶部22に記憶してある制御プログラム22P及び買電アプリ22APに従って制御部21によって実現される。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
【0056】
需要家用端末20の制御部21は、サーバ10から余剰電力の受電情報(割当結果)を受信した後、
図12に示す処理を行う。サーバ10から割当結果を受信した場合、制御部21は、需要家が所有している電気自動車の現在地の情報を取得する(S41)。電気自動車の現在地の情報は、電気自動車が駐車されている駐車場所の情報、又は電気自動車が走行中の場所の情報等であり、例えば経度及び緯度の座標値、住所等を用いて表される。例えば需要家は、電気自動車を普段駐車している駐車場所、又は外出先で電気自動車を駐車した駐車場所等の位置情報を、入力部24を介して買電アプリ22APに登録してもよく、この場合、制御部21は、登録内容(駐車場所の位置情報)に応じて、電気自動車の現在地の情報を取得できる。また、制御部21は、電気自動車に搭載されているGPS(Global Positioning System )によって検出された現在地の情報を取得してもよい。更に、需要家が需要家用端末20を携帯した状態で電気自動車を走行している場合、需要家用端末20が有するGPSによって検出された現在地の情報を取得してもよい。
【0057】
制御部21は、電気自動車の現在地とサーバ10から受信した受電情報における受電場所(充電器105の設置場所)とに基づいて、現在地から充電器105まで電気自動車が移動するための所要時間を算出する(S42)。制御部21は、現在地から充電器105までの距離と、需要家による電気自動車の平均的な走行速度とに基づいて、所定時間を算出してもよい。また制御部21は、ネットワークN経由で自動車のルート検索結果を提供しているウェブサイトから、現在地から充電器105までのルートにおける所要時間を取得してもよい。
【0058】
そして制御部21は、現在地から充電器105までの所要時間と、現在の時刻とに基づいて、電気自動車が充電器105に向けて移動を開始すべきか否かを判断する(S43)。例えば制御部21は、現在の時刻から、サーバ10から受信した受電情報における受電時刻(受電日時)までの時間を算出し、算出した時間が、現在地から充電器105までの所要時間以下となった場合に、移動を開始すべき日時が到来したと判断する。なお、このとき制御部21は、所定時間の余裕を持って、電気自動車が移動を開始すべき日時が到来する所定時間前に、電気自動車が移動を開始すべきであると判断してもよい。
【0059】
制御部21は、移動を開始すべきでないと判断した場合(S43:NO)、電気自動車が移動(走行)しているか否かを判断する(S44)。ここでは、制御部21は、電気自動車に搭載されているGPS、又は電気自動車に乗車している需要家の需要家用端末20が有するGPSによって逐次検出される現在地の情報に基づいて、電気自動車が移動しているか否かを判断する。なお、需要家は、買電アプリ22APに対して、電気自動車が現在駐車中であることを登録しておいてもよく、この場合、制御部21は、登録内容(駐車中であること)に応じて、電気自動車が移動していないと判断してもよい。電気自動車が移動していないと判断した場合(S44:NO)、制御部21は、ステップS43の処理に戻り、電気自動車が移動を開始すべきであると判断するか、電気自動車が移動したと判断するまで、ステップS43,S44の処理を繰り返す。
【0060】
制御部21は、電気自動車が移動したと判断した場合(S44:YES)、ステップS41の処理に戻り、電気自動車の現在地の情報を取得し(S41)、現在地から充電器105までの所要時間を再度算出する(S42)。これにより、制御部21は、電気自動車が移動している場合には、逐次更新される電気自動車の現在地から充電器105までの所要時間に応じて、電気自動車が移動を開始すべきであるか否かを判断する。制御部21は、移動を開始すべきであると判断した場合(S43:YES)、例えば電気自動車の移動を開始すべきであることを示すメッセージを表示部25に表示することによって需要家に通知する(S45)。これにより、需要家用端末20は、需要家に割り当てられた受電時刻までに電気自動車を充電器105の設置場所に到着させられるように、需要家に対して、電気自動車の移動開始を誘導できる。なお、電気自動車の移動開始を需要家に通知する方法は、例えば需要家用端末20がランプ又はブザー等を有する場合、ランプの点灯又は点滅、ブザーの鳴動等によって行ってもよい。
【0061】
上述した処理により、需要家用端末20は、需要家に割り当てられた受電時刻に間に合うように、需要家に対して、電気自動車の移動開始を指示する。需要家は、需要家用端末20によって通知されたタイミングで電気自動車の移動を開始させることにより、自身に割り当てられた受電時刻に、割り当てられた充電器105を介して、割り当てられた受電量の余剰電力を電気自動車の二次電池106に充電することが可能となる。
【0062】
本実施形態では、上述したように、発電機103による発電によって発生した余剰電力が、発生したタイミングで電気自動車に吸収されるので、効率良く消費される。このような構成により、発電機103による余剰電力が更に増えた場合であっても、電気自動車の二次電池106を電力バッファとして使用することにより、余剰電力の需給調整を行うことができ、系統電力に影響を与えず系統電力の品質を維持できる。また、本実施形態では、余剰電力が発生する場所(発電機103の設置場所)から近い場所の充電器105を介して余剰電力が吸収される。このように、各地域で発生した余剰電力を地域内で消費するので、配電網に新たな変電設備等を設ける必要がなく、余剰電力の需給調整が可能となる。また本実施形態では、例えば次の日の余剰電力の発生量及び需要家(電気自動車)による余剰電力の受電量を、直近の実績及び天気情報等に基づいて予測するので、実際の電力量に近い値を予測できる。よって、より正確に予測された余剰電力の発生量及び需要家による余剰電力の受電量に基づいて、より適切な余剰電力の配分計画を作成することができる。
【0063】
本実施形態において、需要家が充電器105を介して余剰電力の受電(購入)を行った場合、充電器105の動作を制御する制御端末(図示せず)から、余剰電力の受電取引に関する情報がサーバ10へ送信される。例えば、充電器105の情報(例えば充電器ID)、需要家の情報(例えば需要家ID)、受電日時及びその時の天気情報、受電量等を含む受電取引に関する情報がサーバ10へ送信される。よって、サーバ10の制御部11は、受信した各情報を含む取引情報を、充電器IDに対応する取引履歴として充電器DB12bに記憶し、受信した各情報を含む購入情報(受電履歴)を、需要家IDに対応する購入履歴として需要家DB12cに記憶する。これにより、各充電器105を介して各需要家が行った余剰電力の受電取引(購入取引)に関する情報が、充電器DB12b及び需要家DB12cに蓄積される。このように各充電器105を介した余剰電力の受電取引に関する情報、各需要家による余剰電力の購入取引に関する情報を蓄積しておくことにより、これらの情報を用いた各種の書類又は証明書を発行することが可能となる。例えば、再生可能エネルギー(自然エネルギー)又はCO2 フリーの電力の購入履歴又は購入証明書等を発行することができる。また、各需要家による購入取引におけるインセンティブポイントの合計値に基づいて、余剰電力の購入量を把握でき、例えば1年間に獲得したインセンティブポイントに応じた特典を提供することが可能となる。
【0064】
また本実施形態において、需要家用端末20は、例えば需要家が入力部24を介して買電アプリ22APの起動を指示した場合に、この需要家の余剰電力の購入履歴をサーバ10から取得し、余剰電力の購入履歴を初期画面に表示するように構成されていてもよい。また需要家用端末20は、買電アプリ22APの起動を指示された場合、各充電器105に設定されたインセンティブポイントをサーバ10から取得し、各充電器105のインセンティブポイントを初期画面に表示するように構成されていてもよい。このように需要家による購入履歴又は各充電器105のインセンティブポイントを表示させることにより、需要家が知りたい可能性の高い情報を初期画面にて通知することができる。
【0065】
本実施形態では、需要家は、使用したい充電器105又は充電器105の場所、受電したい時間帯、受電量、許容できるインセンティブポイント等を購入条件として設定しておくことにより、購入条件に合致した受電内容での受電取引(購入取引)の提案をサーバ10から受けることができる。よって、需要家は、自身に割り当てられた受電内容で余剰電力を購入するために、受電予定時刻が到来する前に電気自動車を走行させて二次電池106の充電量を消費しておくことができる。この場合、割り当てられた受電内容に応じて電気自動車を走行させることにより、受電予定時刻に余剰電力を効率よく購入(受電)することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態では、需要家が、提案された受電内容での受電取引に対して申し込み又はキャンセルを行うことができるので、例えば電気自動車の二次電池106の残量が多く、提案された受電取引が不要である場合には、受電取引をキャンセルできる。また、
図11Bに示すような割当結果画面が通知された場合、需要家は、需要内容を適宜変更した上で受電取引の申し込みを行うことができる。この場合、需要家は、例えばインセンティブポイントがより高い充電器105又は受電時間帯があれば、次の日の走行予定を変更してインセンティブポイントが高い充電器105又は受電時間帯での受電取引を申し込むことができる。よって、例えば需要家は、インセンティブポイントが高い時間帯の前に電気自動車を走行させて二次電池106の充電量を消費しておくことにより、その後に余剰電力の受電を行うことが可能となる。このように、インセンティブポイントが高い余剰電力の販売を促進することができ、需要家は、インセンティブポイントが高い余剰電力を効率良く購入することができる。なお、購入条件として、需要家の承諾を得ずにサーバ10で割り当てられた受電内容での受電取引を確定させることを登録しておくこともでき、この場合、サーバ10は、余剰電力の受電内容を割り当てた時点で、この需要家による受電取引を確定させればよい。
【0067】
本実施形態では、需要家の購入条件として、需要家の次の日の走行予定(走行計画)に応じて、例えば、走行予定の経路上の充電器105、及び走行予定の時間帯等を登録しておくことにより、購入条件に合致した受電内容での受電取引の提案をサーバ10から受けることができる。よって、需要家は、提案された受電内容で余剰電力を受電することにより、次の日の走行予定に従って、適切なタイミングで適切な充電器105から余剰電力の受電を行うことが可能となる。
【0068】
本実施形態において、余剰電力の売買取引における余剰電力と需要家とのマッチング処理をブロックチェーン上で行うように構成されていてもよい。また、このような構成において、マッチング処理を行う際にブロックチェーン上でスマートコントラクトを行うことにより、自律分散的に余剰電力の売買取引を行うことが可能となる。
【0069】
本実施形態において、余剰電力を吸収する電気自動車は、自動走行できるように構成されていてもよい。この場合、サーバ10は、各電気自動車に割り当てた受電内容での受電取引に対して、需要家による承諾を得ることなく、受電取引の実行を各電気自動車に指示すればよい。電気自動車は、サーバ10から指示された受電内容に従って、指示された日時に指示された場所まで自動走行し、指示された充電器105を介して余剰電力の受電を行えばよい。なお、サーバ10は、電気自動車に割り当てた受電内容(受電情報)を、電気自動車に搭載されたカーナビゲーション装置(需要家用端末20)へ送信し、カーナビゲーション装置が受電取引の実行を電気自動車に指示するように構成されていてもよい。自動走行できる電気自動車においては、サーバ10から指示された受電内容での受電を行うために、受電予定時刻の前に自動走行することによって二次電池106の充電量を消費しておくことにより、効率良く余剰電力の受電が可能となる。なお、充電器105が非接触で二次電池106に対して充電を行える場合、電気自動車は、所定位置に停車することによって充電器105からの充電を行うことが可能となる。また、自動走行できる電気自動車を複数のユーザで共用するカーシェアリングに用いる場合、シェアリングの空き時間に余剰電力の受電を行うように構成することもできる。例えば、次の日のシェアリング予定に応じてシェアリングの空き時間を受電希望時間帯として購入条件を登録しておくことにより、購入条件に合致した受電取引が可能であれば、シェアリングの空き時間に効率よく充電することができる。
【0070】
本実施形態において、電気自動車の二次電池106への充電が可能な充電器105が道路に埋め込まれており、電気自動車が走行中に充電できるように構成されていてもよい。この場合、需要家は、自身に割り当てられた受電内容に従って、充電器105が埋め込まれた道路で電気自動車を走行させることにより、割り当てられた受電内容で余剰電力の受電を行うことが可能となる。
【0071】
また本実施形態において、余剰電力を吸収する電気自動車の二次電池106は、電気自動車の走行用バッテリでなくてもよい。例えば、自動車等の移動体に搭載された走行用バッテリではない二次電池106に充電する構成でもよい。この場合、二次電池106に余剰電力を充電した自動車が移動することにより、任意の場所で電力供給を行うことが可能となる。よって、電力供給網に障害が発生している場所等において、電力を供給することができる。
【0072】
(実施形態2)
発電機103で発電した電力の余剰電力を、電気自動車の二次電池106だけでなく、住宅等に設けられた負荷104にも配分する配分計画を作成する情報処理システムについて説明する。よって、本実施形態では、余剰電力を購入する需要家は、電気自動車の所有者及び負荷104の所有者である。なお、本実施形態において、余剰電力の配分対象の負荷104は、例えば住宅内で使用される冷蔵庫、冷凍庫、空調機器及び電気給湯器、冷蔵倉庫、冷凍倉庫、蓄熱装置等を含み、これらの装置を、余剰電力を保持する電力バッファ(エネルギー備蓄器)として使用する。例えば冷蔵庫は、コンプレッサーを動作させて冷却処理を行っている期間と、冷却処理を行っていない期間とがある。そこで、余剰電力が発生した場合に余剰電力を用いてコンプレッサーを動作させて冷蔵庫内を冷却し、所定温度以下となった場合にコンプレッサーの動作を停止させることにより、余剰電力を効率よく使用して冷却することが可能である。このように電力を熱に変換して保持できる機器は、電力バッファとしての使用が期待される。
【0073】
本実施形態の情報処理システムは、実施形態1の情報処理システムと同様の装置にて実現可能であるので、構成についての説明は省略する。なお、本実施形態のサーバ10の記憶部12に記憶してある需要家DB12cは、実施形態1の需要家DB12cと若干構成が異なる。また、本実施形態のサーバ10の記憶部12は、
図2に示すDB12a~12dに加えて、配電網DB12e及び負荷マッチングDB12fを記憶する。
図13は実施形態2のサーバ10に記憶されるDBの構成例を示す模式図である。
図13Aは需要家DB12cを、
図13Bは配電網DB12eを、
図13Cは負荷マッチングDB12fをそれぞれ示す。
【0074】
需要家DB12cは、
図4Aに示す実施形態1の需要家DB12cの構成に加えて、機器種別列を含む。なお、本実施形態では、余剰電力を購入する需要家は電気自動車の所有者だけでなく負荷104の所有者も含まれるので、需要家DB12cには電気自動車の所有者に関する情報と、負荷104の所有者に関する情報とが記憶される。機器種別列は、需要家IDに対応付けて、需要家が所有する機器の種別を記憶する。機器の種別は、例えば電気自動車、冷蔵庫、電気給湯器、冷凍庫、空調機器、冷蔵倉庫、冷凍倉庫、蓄熱装置等とすることができる。需要家DB12cにおいて、負荷104の各機器に対応する位置情報は、各機器の設置場所を示す情報である。また、負荷104の各機器に対応する購入条件は、購入する電力量として、各機器で消費可能な電力量を含んでもよい。これにより機器で消費できる電力量(余剰電力の吸収量)を購入条件として登録しておくことができる。機器種別は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して追加又は変更の指示を取得した場合に、制御部11によって追加又は変更される。本実施形態の需要家DB12cの記憶内容は
図13Aに示す例に限定されない。
【0075】
配電網DB12eは、各地域の配電網に関する情報を記憶する。
図13Bに示す配電網DB12eは、
図3Bに示す充電器DB12bの構成と類似しており、配電網ID列、位置情報列、時間帯列、インセンティブポイント列、供給予定量列、取引履歴列等を含む。配電網ID列は、各地域の配電網の識別情報(配電網ID)を記憶し、位置情報列は、配電網IDに対応付けて、配電網の設置場所を示す位置情報を記憶する。なお、配電網の位置情報は、配電網を包含するエリアを示す情報である。時間帯列、インセンティブポイント列及び供給予定量列は、配電網IDに対応付けて、配電網内で発生した余剰電力に対して設定された時間帯毎のインセンティブポイント及び供給可能な余剰電力の予測量(供給予定量)を記憶する。取引履歴列は、配電網IDに対応付けて、配電網内の負荷104によって受電(購入)された余剰電力に関する取引情報を記憶する。配電網DB12eに記憶される配電網IDは、新たな配電網が設置されて制御部11が新たな配電網の情報を通信部13又は入力部14を介して取得した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。位置情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して追加又は変更の指示を取得した場合に、制御部11によって追加又は変更される。時間帯、インセンティブポイント及び供給予定量は、制御部11が配電網内の余剰電力に対してインセンティブポイント及び供給予定量を算出した場合に、制御部11によって記憶される。取引履歴は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して、配電網内で行われた余剰電力の受電取引(購入取引)に関する情報を取得する都度、制御部11によって記憶される。配電網DB12eの記憶内容は
図13Bに示す例に限定されない。
【0076】
負荷マッチングDB12fは、配電網内の負荷104で受電される余剰電力の受電取引(購入取引)に関する情報を記憶する。
図13Cに示す負荷マッチングDB12fは、
図4Bに示すマッチングDB12dの構成と類似しており、配電網ID列、取引ID列、日時列、インセンティブポイント列、需要家ID列、電力量列等を含む。配電網ID列は各地域の配電網の配電網IDを記憶し、取引ID列は、配電網IDに対応付けて、配電網内で発生する余剰電力に対して設定(予約)された余剰電力の受電取引(購入取引)の取引IDを記憶する。日時列、インセンティブポイント列、需要家ID列及び電力量列はそれぞれ、取引IDに対応付けて、購入取引が行われる日時、購入取引に設定されているインセンティブポイント、購入取引を行う需要家の需要家ID、取引される電力量を記憶する。負荷マッチングDB12fに記憶される配電網IDは予め記憶されており、取引IDは、制御部11が新たな購入取引を設定した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。日時、インセンティブポイント、需要家ID及び電力量の各情報は、制御部11が新たな購入取引を設定した場合に、設定した購入取引に関する各情報が制御部11によって記憶される。マッチングDB12dの記憶内容は
図13Cに示す例に限定されない。
【0077】
図14は、実施形態2における余剰電力の配分処理手順の一例を示すフローチャート、
図15は実施形態2のマッチング処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14に示す処理は、
図7に示す処理においてステップS14とステップS15との間にステップS51を追加したものであり、
図15に示す処理は、
図9に示す処理においてステップS33とステップS34との間にステップS52を追加したものである。
図7~
図9と同じステップについては説明を省略する。なお、
図14では
図8に示す処理(ステップS18~S25)の図示を省略している。
【0078】
本実施形態の情報処理システムにおいて、サーバ10の制御部11は、
図7中のステップS11~S14と同様の処理を行う。これにより、サーバ10は、余剰電力の配分計画を作成するタイミングが到来した場合に、処理対象の地域に対して、地域内の発電機103によって次の日(配分計画の作成対象の日)に発生する余剰電力の予測量と、地域内の需要家によって次の日に受電される余剰電力の受電量の予測量とを算出する。なお、需要家による余剰電力の受電量は、電気自動車の二次電池106に充電される充電量だけでなく、負荷104によって消費される電力量も含む。そしてサーバ10は、処理対象の地域内の各充電器105に対して、次の日の時間帯毎のインセンティブポイントを設定する。
【0079】
次に、サーバ10の制御部11は、ステップS14と同様の処理によって、処理対象の地域内の配電網に対して、次の日に配電網を介して行われる余剰電力の売買取引におけるインセンティブポイントを設定する(S51)。具体的には、制御部11は、ステップS12で算出した配電網内(即ち、地域内)に発生する余剰電力の時間帯毎の予測量と、ステップS13で算出した配電網内で受電される余剰電力の受電量の予測量とに基づいて、時間帯毎のインセンティブポイントを設定する。例えば制御部11は、配電網内の各発電機103で発生する余剰電力の予測量の合計(配電網内で供給可能な余剰電力の供給予定量)と、配電網内の需要家による余剰電力の受電量の予測量の合計とを算出し、これらに基づいて、次の日におけるインセンティブポイントを設定する。制御部11は、地域内の配電網に対して、次の日における時間帯毎のインセンティブポイントを設定し、設定した時間帯毎のインセンティブポイントと、算出した配電網内における余剰電力の供給予定量とを配電網DB12eに記憶する。このように設定されたインセンティブポイントは、
図6に示す画面を介して需要家に提示される。
【0080】
次に制御部11は、ステップS14で各充電器105に対して設定した時間帯毎のインセンティブポイントと、ステップS51で配電網に対して設定した時間帯毎のインセンティブポイントと、配電網又は各充電器105を介した供給予定量と、各需要家の購入条件とに基づいて、各充電器105を介した余剰電力の受電取引、及び各負荷104による余剰電力の受電取引において、余剰電力と各需要家とのマッチング処理を行う(S15)。
図15に示すマッチング処理において、制御部11は、
図9中のステップS31~S33と同様の処理を行う。これにより、マッチング対象の充電器105に対して、この充電器105を介して供給可能な余剰電力を、時間帯毎に割当対象者(電気自動車)に割り当てる。なお、制御部11は、余剰電力を割当対象者に割り当てた場合、充電器DB12bに記憶してあるマッチング対象の充電器105における供給予定量を、割当対象者に割り当てた電力量を減算した値に更新すると共に、配電網DB12eに記憶してあるマッチング対象の配電網における供給予定量を、割当対象者に割り当てた電力量を減算した値に更新しておく。
【0081】
次に制御部11は、配電網DB12eに記憶してある処理対象の配電網(地域)における時間帯毎のインセンティブポイント及び供給予定量と、需要家DB12cに記憶してある需要家(負荷104)の購入条件とに基づいて、供給予定の余剰電力を時間帯毎に負荷104(割当対象者)に割り当てる(S52)。なお、制御部11は、余剰電力が発生する発電機103の位置を把握している場合、この発電機103の近傍の負荷104に対して余剰電力を割り当ててもよい。制御部11は、負荷104に対して余剰電力を割り当てた場合、取引IDを発行し、配電網IDに対応付けて、取引ID、割り当てた時間帯を含む日時(受電予定日時)、割り当てた時間帯に設定されていたインセンティブポイント、割当対象者の需要家ID、割り当てた電力量を負荷マッチングDB12fに記憶しておく。これにより、配電網内で発生する余剰電力が割り当てられた負荷104に関するマッチング情報が記憶される。
【0082】
その後、制御部11は、ステップS34以降の処理を行い、割当対象者の全てに対して購入を希望する電力量の割当を完了するか、供給予定量の全てについて割当対象者への割当を完了するまで、ステップS33,S52の処理を繰り返し、配電網内で発生する余剰電力を需要家に割り当てる処理を行う。これにより、地域内の発電機103による発電によって発生する余剰電力を、地域内における電気自動車又は負荷104によって吸収される配分計画を作成することができる。
【0083】
本実施形態のサーバ10においても、
図8中のステップS18において、制御部11は、余剰電力を割り当てた割当対象者に対して割当結果を送信する(S18)。なお、割当対象者が負荷104である場合、制御部11は、負荷104に割り当てた受電内容での受電を行うように負荷104に指示する。そして負荷104は、サーバ10からの指示に従って、指示された日時に指示された電力量の余剰電力を受電することにより、割り当てられた余剰電力の受電取引を実現できる。なお、負荷104は、サーバ10からの指示に従った受電取引を行えるように構成されており、負荷104の所有者によって受電取引に対する承諾を受け付けずに受電取引を確定させてもよく、この場合、
図8中のステップS19~S21の処理を行う必要はない。しかし、負荷104の所有者によって受電取引に対する承諾を受け付けた後に、受電取引を確定するように構成されていてもよく、この場合、需要家用端末20は
図8中のステップS19~S21の処理を行う。
【0084】
上述した処理により、サーバ10は、各地域において、発電機103による発電によって発生する余剰電力を地域内の需要家(電気自動車及び負荷104)に配分する配分計画を作成することができる。また本実施形態においても、余剰電力を割り当てられた需要家が電気自動車の所有者である場合、需要家は、割り当てられた日時に、割り当てられた充電器105の設置場所まで電気自動車を移動させ、割り当てられた受電量の余剰電力を電気自動車の二次電池106に充電する。また、余剰電力を割り当てられた需要家が負荷104の所有者である場合、負荷104は、割り当てられた日時に、割り当てられた受電量の余剰電力を消費する。これにより、配電網内で発生する余剰電力が、発生したタイミングで電気自動車又は負荷104に吸収されるので、効率良く消費される。よって、電気自動車の二次電池106、冷蔵庫及び空調機器等の負荷104を電力バッファとして使用することにより、余剰電力の需給調整を行うことができ、系統電力に影響を与えず系統電力の品質を維持できる。
【0085】
本実施形態においても、需要家(電気自動車及び負荷104)が余剰電力の受電(購入)を行った場合、充電器105又は負荷104の動作を制御する制御端末(図示せず)から、余剰電力の受電取引に関する情報がサーバ10へ送信される。よって、サーバ10の制御部11は、受信した各情報を含む取引情報を取引履歴として充電器DB12b又は配電網DB12eに記憶し、受信した各情報を含む購入情報を需要家の購入履歴として需要家DB12cに記憶する。よって、本実施形態においても、配電網内における余剰電力の受電取引に関する情報、各需要家による余剰電力の購入取引に関する情報を蓄積することができ、このような情報を用いた各種の書類を生成できる。
【0086】
本実施形態においても、実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施形態では、配電網内で発生する余剰電力を電気自動車だけでなく、配電網内の負荷104によっても吸収できるので、より柔軟に余剰電力の需給調整が可能となる。本実施形態の情報処理システムにおいても、実施形態1で適宜説明した変形例の適用が可能である。
【0087】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
10 サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 表示部
20 需要家用端末
21 制御部
23 通信部
103 発電機
104 負荷
105 充電器
106 二次電池