(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】債権債務管理装置、業務支援プログラムおよび業務支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q40/12
(21)【出願番号】P 2020168604
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 仁資
(72)【発明者】
【氏名】今里 知寛
(72)【発明者】
【氏名】松波 あかね
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-197394(JP,A)
【文献】特開2018-028843(JP,A)
【文献】特開2012-181731(JP,A)
【文献】特開2019-101874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える債権債務管理装置であって、
請求先を企業内組織単位で管理する請求先マスタであって入金が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための入金識別情報が請求先と紐付けて設定されているもの、支払先を企業内組織単位で管理する支払先マスタであって支払が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための支払識別情報が支払先と紐付けて設定されているもの、回収予定金額および請求先を含む回収予定情報を含む回収予定データ、ならびに、支払予定金額および支払先を含む支払予定情報を含む支払予定データにアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示し、前記画面上で、相殺処理対象とする回収予定情報と支払予定情報を選択させる相殺処理対象選択手段と、
前記相殺処理対象選択手段で選択された回収予定情報および支払予定情報に基づいて、回収予定金額の合計および支払予定金額の合計を企業別に算出し、算出した2つの合計を企業別に比較し、小さい方の金額を相殺可能金額として企業別に前記画面に表示する手段と、
前記入金識別情報および前記支払識別情報の入力を受け付ける入力手段と、
を備えること、
を特徴とする債権債務管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に表示した相殺予定表を作成する相殺予定表作成手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の債権債務管理装置。
【請求項3】
前記相殺処理対象選択手段は、
前記債権債務の相殺処理対象の候補として、一企業あたりの回収予定金額の合計が支払予定金額の合計以上であるものを前記画面に表示すること、
を特徴とする請求項1
または2に記載の債権債務管理装置。
【請求項4】
前記相殺処理対象選択手段は、
前記債権債務の相殺処理対象の候補として、一企業あたりの回収予定金額の合計が支払予定金額の合計より小さいものを前記画面に表示すること、
を特徴とする請求項1から
3のいずれか一つに記載の債権債務管理装置。
【請求項5】
制御部を備える債権債務管理装置の前記制御部に実行させるための業務支援プログラムであって、
前記債権債務管理装置は、
請求先を企業内組織単位で管理する請求先マスタであって入金が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための入金識別情報が請求先と紐付けて設定されているもの、支払先を企業内組織単位で管理する支払先マスタであって支払が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための支払識別情報が支払先と紐付けて設定されているもの、回収予定金額および請求先を含む回収予定情報を含む回収予定データ、ならびに、支払予定金額および支払先を含む支払予定情報を含む支払予定データにアクセス可能であり、
前記制御部に実行させるための、
前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示し、前記画面上で、相殺処理対象とする回収予定情報と支払予定情報を選択させる相殺処理対象選択ステップと、
前記相殺処理対象選択ステップで選択された回収予定情報および支払予定情報に基づいて、回収予定金額の合計および支払予定金額の合計を企業別に算出し、算出した2つの合計を企業別に比較し、小さい方の金額を相殺可能金額として企業別に前記画面に表示するステップと、
前記入金識別情報および前記支払識別情報の入力を受け付ける入力ステップと、
を含む業務支援プログラム。
【請求項6】
制御部を備える債権債務管理装置の前記制御部が実行する業務支援方法であって、
前記債権債務管理装置は、
請求先を企業内組織単位で管理する請求先マスタであって入金が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための入金識別情報が請求先と紐付けて設定されているもの、支払先を企業内組織単位で管理する支払先マスタであって支払が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための支払識別情報が支払先と紐付けて設定されているもの、回収予定金額および請求先を含む回収予定情報を含む回収予定データ、ならびに、支払予定金額および支払先を含む支払予定情報を含む支払予定データにアクセス可能であり、
前記制御部が実行する、
前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示し、前記画面上で、相殺処理対象とする回収予定情報と支払予定情報を選択させる相殺処理対象選択ステップと、
前記相殺処理対象選択ステップで選択された回収予定情報および支払予定情報に基づいて、回収予定金額の合計および支払予定金額の合計を企業別に算出し、算出した2つの合計を企業別に比較し、小さい方の金額を相殺可能金額として企業別に前記画面に表示するステップと、
前記入金識別情報および前記支払識別情報の入力を受け付ける入力ステップと、
を含む業務支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権債務管理装置、業務支援プログラムおよび業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業内の債権および債務を管理する債権債務管理装置が用いられている。買掛金と売掛金とが同一法人で発生した場合には、債権債務管理装置を用いて相殺処理を行うことがある。
【0003】
なお、特許文献1には、デビットノートやクレジットノートの管理において、相殺処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
相殺処理を行うには、相殺対象となる請求先および支払先の判断、相殺可能金額の判断、相殺日の判断等が必要となる。さらに、自社または他社が複数事業を行っており、事業部ごとに債権債務の管理を行っている場合には、各事業部内にとどめた相殺処理を行う必要がある。そのため、相殺処理を行うオペレータは、これらの判断を行った上で一件ずつ相殺処理を登録する必要があり、手間が掛かっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、企業内の債権および債務を管理するするオペレータの負担を低減することができる債権債務管理装置、業務支援プログラムおよび業務支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権債務管理装置は、制御部を備える債権債務管理装置であって、請求先を企業内組織単位で管理する請求先マスタであって入金が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための入金識別情報が請求先と紐付けて設定されているもの、支払先を企業内組織単位で管理する支払先マスタであって支払が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための支払識別情報が支払先と紐付けて設定されているもの、回収予定金額および請求先を含む回収予定情報を含む回収予定データ、ならびに、支払予定金額および支払先を含む支払予定情報を含む支払予定データにアクセス可能であり、前記制御部は、前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示し、前記画面上で、相殺処理対象とする回収予定情報と支払予定情報を選択させる相殺処理対象選択手段と、前記相殺処理対象選択手段で選択された情報に基づいて、且つ、前記請求先マスタ内の入金識別情報、前記支払先マスタ内の支払識別情報、および一企業あたりの回収予定金額の合計と支払予定金額の合計のいずれか小さい方で定義される企業別の相殺可能金額を考慮して、互いに紐付けられている入金管理データおよび支払管理データ、入金消込管理データであって前記回収予定データおよび前記入金管理データと紐付けられているもの、ならびに、支払消込管理データであって前記支払予定データおよび前記支払管理データと紐付けられているものを作成する一括相殺処理手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る債権債務管理装置において、前記制御部は、前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に表示した相殺予定表を作成する相殺予定表作成手段をさらに備えてもよい。
【0009】
また、本発明に係る債権債務管理装置において、前記制御部は、前記入金消込管理データを基に前記回収予定データを更新し且つ前記支払消込管理データを基に前記支払予定データを更新してもよい。
【0010】
また、本発明に係る債権債務管理装置において、前記制御部は、前記入金識別情報および前記支払識別情報の入力を受け付ける入力手段をさらに備えてもよい。
【0011】
また、本発明に係る債権債務管理装置において、前記相殺処理対象選択手段は、前記債権債務の相殺処理対象の候補として、一企業あたりの回収予定金額の合計が支払予定金額の合計以上であるものを前記画面に表示してもよい。
【0012】
また、本発明に係る債権債務管理装置において、前記相殺処理対象選択手段は、前記債権債務の相殺処理対象の候補として、一企業あたりの回収予定金額の合計が支払予定金額の合計より小さいものを前記画面に表示してもよい。
【0013】
また、本発明に係る業務支援プログラムは、制御部を備える債権債務管理装置の前記制御部に実行させるための、請求先を企業内組織単位で管理する請求先マスタであって入金が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための入金識別情報が請求先と紐付けて設定されているもの、支払先を企業内組織単位で管理する支払先マスタであって支払が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための支払識別情報が支払先と紐付けて設定されているもの、回収予定金額および請求先を含む回収予定情報を含む回収予定データ、ならびに、支払予定金額および支払先を含む支払予定情報を含む支払予定データにアクセス可能であり、前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示し、前記画面上で、相殺処理対象とする回収予定情報と支払予定情報を選択させる相殺処理対象選択ステップと、前記相殺処理対象選択ステップで選択された情報に基づいて、且つ、前記請求先マスタ内の入金識別情報、前記支払先マスタ内の支払識別情報、および一企業あたりの回収予定金額の合計と支払予定金額の合計のいずれか小さい方で定義される企業別の相殺可能金額を考慮して、互いに紐付けられている入金管理データおよび支払管理データ、入金消込管理データであって前記回収予定データおよび前記入金管理データと紐付けられているもの、ならびに、支払消込管理データであって前記支払予定データおよび前記支払管理データと紐付けられているものを作成する一括相殺処理ステップと、を含む。
【0014】
また、本発明に係る業務支援方法は、制御部を備える債権債務管理装置の前記制御部が実行する、請求先を企業内組織単位で管理する請求先マスタであって入金が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための入金識別情報が請求先と紐付けて設定されているもの、支払先を企業内組織単位で管理する支払先マスタであって支払が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための支払識別情報が支払先と紐付けて設定されているもの、回収予定金額および請求先を含む回収予定情報を含む回収予定データ、ならびに、支払予定金額および支払先を含む支払予定情報を含む支払予定データにアクセス可能であり、前記回収予定データおよび前記支払予定データから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示し、前記画面上で、相殺処理対象とする回収予定情報と支払予定情報を選択させる相殺処理対象選択ステップと、前記相殺処理対象選択ステップで選択された情報に基づいて、且つ、前記請求先マスタ内の入金識別情報、前記支払先マスタ内の支払識別情報、および一企業あたりの回収予定金額の合計と支払予定金額の合計のいずれか小さい方で定義される企業別の相殺可能金額を考慮して、互いに紐付けられている入金管理データおよび支払管理データ、入金消込管理データであって前記回収予定データおよび前記入金管理データと紐付けられているもの、ならびに、支払消込管理データであって前記支払予定データおよび前記支払管理データと紐付けられているものを作成する一括相殺処理ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、企業内の債権および債務を管理するするオペレータの負担を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、債権債務管理装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、記憶部に格納されているマスタおよびデータの相関図である。
【
図3】
図3は、記憶部に格納されているマスタおよびデータの相関図である。
【
図4】
図4は、記憶部に格納されているマスタおよびデータの相関図である。
【
図5】
図5は、債権債務管理装置が実行する処理の流れを示す図である。
【
図6】
図6は、債権債務管理装置が実行する処理の流れを示す図である。
【
図7】
図7は、事業所マスタの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、請求先マスタの一例を示す図である。
【
図22】
図22は、入金消込明細データの一例を示す図である。
【
図25】
図25は、支払消込明細データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る債権債務管理装置、業務支援プログラムおよび業務支援方法の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
[1.構成]
本実施形態に係る債権債務管理装置の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、債権債務管理装置の構成の一例を示す図である。
【0019】
債権債務管理装置100は、企業内の債権および債務を管理するオペレータの業務を支援する。債権債務管理装置100は、買掛金と売掛金とが同一法人で発生した場合の相殺処理を行うオペレータの負担を低減する。
【0020】
債権債務管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、債権債務管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0021】
債権債務管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。債権債務管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0022】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、債権債務管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、債権債務管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0023】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0025】
記憶部106には、例えば、事業所マスタ106a、法人マスタ106b、請求先マスタ106c、支払先マスタ106d、回収予定データ106e、支払予定データ106f、入金データ106g、入金明細データ106h、支払データ106i、支払明細データ106j、入金消込データ106k、入金消込明細データ106l、支払消込データ106mおよび支払消込明細データ106nが格納されている。
【0026】
図2~4は、記憶部に格納されているマスタおよびデータの相関図である。
図2~4には、記憶部106に格納された各マスタおよび各データにおける各項目の対応関係を矢印により図示した。
【0027】
事業所マスタ106aは、例えば事業所コードおよび事業所名などを保持するテーブルである。
【0028】
法人マスタ106bは、例えば法人コードおよび法人名などを保持するテーブルである。
【0029】
請求先マスタ106cは、例えば請求先コード、請求先名、法人コード、請求入金先コードおよび代表事業所コードなどを保持するテーブルである。請求先マスタ106cは、請求先を企業内組織単位で管理する。なお、企業内組織とは、複数の事業所を有する企業の「支社」または「本社」や、複数の事業を行っている企業の各「事業G(グループ)」に相当する。請求先マスタ106cには、入金が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための入金識別情報が請求先と紐付けて設定されている。入金が企業単位で纏めて行われる場合には、各企業内組織に対して共通の請求入金先コードが用いられる。一方、入金が企業内組織単位で個別に行われる場合には、各企業内組織に対して個別の請求入金先コードが用いられる。
【0030】
支払先マスタ106dは、例えば支払先コード、支払先名、法人コード、出金支払先コードおよび代表事業所コードなどを保持するテーブルである。支払先マスタ106dは、支払先を企業内組織単位で管理する。支払先マスタ106dには、支払が企業単位で纏めて行われるか企業内組織単位で個別に行われるかを識別するための支払識別情報が支払先と紐付けて設定されている。支払が企業単位で纏めて行われる場合には、各企業内組織に対して共通の出金支払先コードが用いられる。一方、支払が企業内組織単位で個別に行われる場合には、各企業内組織に対して個別の出金支払先コードが用いられる。
【0031】
回収予定データ106eは、例えば回収予定番号、回収予定明細行番号、計上日、請求先コード、請求先名、回収予定日、回収予定金額、入金消込済金額および入金消込完了区分などを保持するテーブルである。回収予定データ106eは、回収予定金額および請求先を含む回収予定情報を含む。
【0032】
支払予定データ106fは、例えば支払予定番号、支払予定明細行番号、計上日、支払先コード、支払先名、支払予定日、支払予定金額、支払消込済金額および支払消込完了区分などを保持するテーブルである。支払予定データ106fは、支払予定金額および支払先を含む支払予定情報を含む。
【0033】
入金データ106gは、例えば入金番号、入金請求先コード、入金請求先名、入金日、入金金額、入金消込済金額および入金消込完了区分などを保持するテーブルである。
【0034】
入金明細データ106hは、例えば入金番号、入金明細行番号、入金区分、入金金額および相殺支払番号などを保持するテーブルである。
【0035】
支払データ106iは、例えば支払番号、出金支払先コード、出金支払先名、支払日、支払金額、支払消込済金額、支払消込完了区分、入金番号および入金明細行番号などを保持するテーブルである。
【0036】
支払明細データ106jは、例えば支払番号、支払明細行番号、支払区分および支払金額などを保持するテーブルである。
【0037】
入金消込データ106kは、例えば入金消込番号、入金請求先コード、入金請求先名および入金消込日などを保持するテーブルである。
【0038】
入金消込明細データ106lは、例えば入金消込番号、入金消込明細番号、入金番号、回収予定番号、回収予定明細行番号および入金消込済金額などを保持するテーブルである。
【0039】
支払消込データ106mは、例えば支払消込番号、出金支払先コード、出金支払先名および支払消込日などを保持するテーブルである。
【0040】
支払消込明細データ106nは、例えば支払消込番号、支払消込明細番号、支払番号、支払予定番号、支払予定明細行番号および支払消込済金額などを保持するテーブルである。
【0041】
制御部102は、債権債務管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、記憶部106に格納されている事業所マスタ106a~支払消込明細データ106nにアクセス可能である。
【0042】
制御部102は、機能概念的に、事業所マスタ作成部102a、取引先統合マスタ作成部102b、請求入金予定入力部102c、経費支払予定入力部102d、相殺予定表作成部102e、相殺処理対象選択部102fおよび一括相殺処理部102gを備える。
【0043】
図5、6は、債権債務管理装置が実行する処理の流れを示す図である。
【0044】
事業所マスタ作成部102aは、事業所マスタ106aを生成する情報処理手段である。
【0045】
取引先統合マスタ作成部102bは、法人マスタ106b、請求先マスタ106cおよび支払先マスタ106dを含む取引先統合マスタを生成する情報処理手段である。すなわち、取引先統合マスタ作成部102bは、入金識別情報および支払識別情報の入力を受け付ける入力手段である。
【0046】
請求入金予定入力部102cは、回収予定データ106eを生成する情報処理手段である。
【0047】
経費支払予定入力部102dは、支払予定データ106fを生成する情報処理手段である。
【0048】
相殺予定表作成部102eは、法人マスタ106b~支払先マスタ106d、回収予定データ106eおよび支払予定データ106fから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に表示した相殺予定表を作成する情報処理手段である。
【0049】
相殺処理対象選択部102fは、回収予定データ106eおよび支払予定データ106fから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示し、画面上で、相殺処理対象とする回収予定情報と支払予定情報を選択させる情報処理手段である。
【0050】
一括相殺処理部102gは、入金データ106g、入金明細データ106h、支払データ106i、支払明細データ106j、入金消込データ106k、入金消込明細データ106l、支払消込データ106mおよび支払消込明細データ106nを生成するとともに、回収予定データ106eおよび支払予定データ106fを更新する情報処理手段である。一括相殺処理部102gは、相殺処理対象選択部102fで選択された情報に基づいて、且つ、請求先マスタ106c内の入金識別情報、支払先マスタ106d内の支払識別情報、および一企業あたりの回収予定金額の合計と支払予定金額の合計のいずれか小さい方で定義される企業別の相殺可能金額を考慮して、互いに紐付けられている入金管理データ(入金データ106gおよび入金明細データ106h)および支払管理データ(支払データ106iおよび支払明細データ106j)、入金消込管理データ(入金消込データ106kおよび入金消込明細データ106l)であって回収予定データ106eおよび入金管理データと紐付けられているもの、ならびに、支払消込管理データ(支払消込データ106mおよび支払消込明細データ106n)であって支払予定データ106fおよび支払管理データと紐付けられているものを作成し、入金消込管理データを基に回収予定データ106eを更新し且つ支払消込管理データを基に支払予定データ106fを更新する情報処理手段である。
【0051】
[2.処理の具体例]
ここでは、債権債務管理装置100で実行される処理の具体例について、
図7~26を参照して説明する。
【0052】
本説明では、債権債務管理装置100が、本人取引による収益と代理人取引による収益とが混在している場合に収益計上を行う処理を説明する。
【0053】
[S1:事業所マスタ登録]
事業所マスタ作成部102aは、オペレータの入力に基づいて、事業所マスタ106aを記憶部106に登録する。事業所マスタ106aは、事業所コードと、事業所名とを含む(
図7参照)。
【0054】
[S2:法人マスタ登録]
取引先統合マスタ作成部102bは、オペレータの入力に基づいて、法人マスタ106bを記憶部106に登録する。法人マスタ106bは、法人コードと、法人名とを含む(
図8参照)。
【0055】
[S3:請求先マスタ登録]
取引先統合マスタ作成部102bは、オペレータの入力に基づいて、請求先マスタ106cを記憶部106に登録する。請求先マスタ106cは、請求先コードと、請求先名と、法人コードと、請求入金先コードと、代表事業所コードとを含む(
図9参照)。
図9に示す例では、A社は、請求入金先コードが各企業内組織間で統一されている。すなわち、A社は、代表事業者である本社に各企業内組織の請求入金先がまとめられている。これに対して、B社およびC社は、請求入金先コードが各企業内組織間で異なる。すなわち、B社およびC社は、各企業内組織に対して個別に請求および入金が行われる。さらに、C社は、代表事業者コードが各企業内組織間で異なる。すなわち、C社は、各企業内組織が個別に債権債務を管理する。
【0056】
[S4:支払先マスタ登録]
取引先統合マスタ作成部102bは、オペレータの入力に基づいて、支払先マスタ106dを記憶部106に登録する。支払先マスタ106dは、支払先コードと、支払先名と、法人コードと、出金支払先コードと、代表事業所コードとを含む(
図10参照)。
図10に示す例では、A社は、出金支払先コードが各企業内組織間で統一されている。すなわち、A社は、代表事業者である本社に各企業内組織の出金支払先がまとめられている。これに対して、B社およびC社は、出金支払先コードが各企業内組織間で異なる。すなわち、B社およびC社は、各企業内組織に対して個別に出金および支払が行われる。さらに、C社は、代表事業者コードが各企業内組織間で異なる。すなわち、C社は、各企業内組織が個別に債権債務を管理する。
【0057】
[S5:回収予定データ登録]
請求入金予定入力部102cは、オペレータの入力に基づいて、回収予定データ106eを記憶部106に登録する。回収予定データ106eは、回収予定番号と、回収予定明細行番号と、計上日と、請求先コードと、請求先名と、回収予定日と、回収予定金額と、入金消込済金額と、入金消込完了区分とを含む(
図11参照)。入金消込完了区分には、0:未完了または1:完了が入力される。
【0058】
[S6:支払予定データ登録]
経費支払予定入力部102dは、オペレータの入力に基づいて、支払予定データ106fを記憶部106に登録する。支払予定データ106fは、支払予定番号と、支払予定明細行番号と、計上日と、支払先コードと、支払先名と、支払予定日と、支払予定金額と、支払消込済金額と、支払消込完了区分とを含む(
図12参照)。支払消込完了区分には、0:未完了または1:完了が入力される。
【0059】
[S7:相殺予定表出力]
相殺予定表作成部102eは、ステップS2~S6で登録した法人マスタ106b~支払先マスタ106d、回収予定データ106eおよび支払予定データ106fから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に表示した相殺予定表を作成する(
図13参照)。相殺予定表により、オペレータは、相殺処理対象の候補を一覧で確認することができる。
【0060】
[S8:一括相殺処理]
相殺処理対象選択部102fは、ステップS5、S6で登録した回収予定データ106eおよび支払予定データ106fから、請求先と支払先が同じ企業内組織である回収予定情報および支払予定情報を抽出し、抽出した回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面(一括相殺処理画面)に表示する(
図14、16参照)。
【0061】
図14に示すように、一括相殺処理画面において、支払≧回収ボタンBT1を選択すると、支払予定額の合計が回収予定金額の合計以上となる企業内組織に対応するチェックボックスCB1~CB4、CB11およびCB12に一括してチェックが入れられる。このように、相殺処理対象選択部102fは、債権債務の相殺処理対象の候補として、一企業あたりの回収予定金額の合計が支払予定金額の合計以上であるものを画面に表示する。支払予定が多い場合、回収予定金額を差し引いた差額を、支払日に支払する処理に回すため、支払予定日を相殺日としてこの画面で一括して処理を行うことができる。
【0062】
図14に示す例では、請求先であるA社の東京支店で発生した「10,000」およびA社の大阪支店で発生した「20,000」の合計「30,000」と、支払先であるA社の東京支店で発生した「20,000」およびA社の大阪支店で発生した「30,000」の合計「50,000」とを比較し、A社との間で相殺可能な金額は、「30,000」であると判定し、差引の「20,000」を支払する。また、相殺処理においては、請求先と支払先とで発生した売掛金と買掛金との残高に対する相殺処理を行う必要があるため、法人単位ではなく、請求先と支払先とで処理を行う必要がある。そのため、支払先であるA社の東京支店で発生した「20,000」は、請求先であるA社の東京支店で発生した「10,000」と、A社の大阪支店で発生した「10,000」と相殺を行う。また、事業部ごとに債権債務の管理を行っているC社の繊維事業部については、請求先であるC社の繊維事業Gで発生した「20,000」は、C社の繊維事業Gで発生した「10,000」としか相殺を行わない。その結果、C社の繊維事業Gで相殺可能な金額は、「10,000」と判定し、差引の「10,000」を支払する。
【0063】
図15に示すように、チェックボックスCB1~CB4を直接選択し、例えばチェックボックスCB2、CB4のみが選択された状態とすることにより、A社の大阪支店に対しては相殺処理を行い、A社の東京支店に対しては相殺処理を行わないことも可能である。
【0064】
図16に示すように、一括相殺処理画面において、支払<回収ボタンBT2を選択すると、支払予定額の合計が回収予定金額の合計より小さい企業内組織のチェックボックスCB5~CB10に一括してチェックが入れられる。このように、相殺処理対象選択部102fは、債権債務の相殺処理対象の候補として、一企業あたりの回収予定金額の合計が支払予定金額の合計より小さいものを画面に表示する。
【0065】
図16に示す例では、請求先であるB社の福岡支店で発生した「20,000」およびB社の京都支店で発生した「30,000」の合計「50,000」と、支払先であるB社の福岡支店で発生した「10000」およびB社の京都支店で発生した「20,000」の合計「30,000」とを比較し、B社との間で相殺可能な金額は、「30,000」と判定し、差引の「20,000」を入金する。また、相殺処理においては、請求先と支払先とで発生した売掛金と買掛金との残高に対する相殺処理を行う必要があるため、法人単位ではなく、請求先と支払先とで処理を行う必要がある。そのため、請求先であるB社の福岡支店で発生した「20,000」は、支払先であるB社の福岡支店で発生した「10,000」と、B社の京都支店で発生した「10,000」と相殺を行う。また、事業部ごとに債権債務の管理を行っているC社の鉄鋼事業部については、請求先であるC社の鉄鋼事業Gで発生した「20,000」は、C社の鉄鋼事業Gで発生した「10,000」としか相殺を行わない。その結果、C社の鉄鋼事業Gで相殺可能な金額は、「10,000」と判定し、差引の「10,000」を入金する。
【0066】
さらに、一括相殺処理画面では、全選択ボタンBT3を選択することにより、チェックボックスCB1~CB12の全てが選択された状態とすることができる。同様に、全解除ボタンBT4を選択することにより、チェックボックスCB1~CB12の全ての選択が解除された状態とすることができる。また、表示ボタンBT5を選択することにより、チェックボックスの選択状況に合わせて一括相殺処理画面を更新して表示させることができる。そして、登録ボタンBT6を選択することにより、一括相殺処理部102gにより一括相殺処理が行われ、チェックボックスCB1~12の選択状況に合わせて入金データ106g~支払消込明細データ106nが作成されるとともに、回収予定データ106eおよび支払予定データ106fが更新される。なお、閉じるボタンBT7を選択することにより、一括相殺処理画面を閉じることができる。
【0067】
[S9:入金データ作成]
一括相殺処理部102gは、入金データ106gを作成する。入金データ106gは、入金番号と、入金請求先コードと、入金請求先名と、入金日と、入金金額と、入金消込済金額と、入金消込完了区分とを含む(
図17参照)。入金消込完了区分には、0:未完了または1:完了が入力される。A社は、請求入金先が纏められているため、1明細に集計する。B社およびC社は、請求入金先が纏められていないため、複数明細を作成する。
【0068】
[S10:入金明細データ作成]
一括相殺処理部102gは、入金明細データ106hを作成する。入金明細データ106hは、入金番号と、入金明細行番号と、入金区分と、入金金額と、相殺支払番号とを含む(
図18参照)。入金区分には、1:現金、2:小切手、3:振込、4:受取手形、5:買掛相殺、6:期日現金、9:その他のいずれか1つが入力される。
【0069】
[S11:支払データ作成]
一括相殺処理部102gは、支払データ106iを作成する。支払データ106iは、支払番号と、出金支払先コードと、出金支払先名と、支払日と、支払金額と、支払消込済金額と、支払消込完了区分と、入金番号と、入金明細行番号とを含む(
図19参照)。支払消込完了区分には、0:未完了または1:完了が入力される。A社は、出金支払先が纏められているため、1明細に集計する。B社およびC社は、出金支払先が纏められていないため、複数明細を作成する。
【0070】
[S12:支払明細データ作成]
一括相殺処理部102gは、支払明細データ106jを作成する。支払明細データ106jは、支払番号と、支払明細行番号と、支払区分と、支払金額とを含む(
図20参照)。支払区分には、1:現金、2:小切手、3:振込、4:支払手形、5:売掛相殺、6:期日現金、9:その他のいずれか1つが入力される。
【0071】
[S13:入金消込データ作成]
一括相殺処理部102gは、入金消込データ106kを作成する。入金消込データ106kは、入金消込番号と、入金請求先コードと、入金請求先名と、入金消込日とを含む(
図21参照)。
【0072】
[S14:入金消込明細データ作成]
一括相殺処理部102gは、入金消込明細データ106lを作成する。入金消込明細データ106lは、入金消込番号と、入金消込明細番号と、入金番号と、回収予定番号と、回収予定明細行番号と、入金消込済金額とを含む(
図22参照)。
【0073】
[S15:回収予定データ更新]
一括相殺処理部102gは、回収予定データ106eを更新する。回収予定金額と入金消込済金額とが等しい場合、入金消込完了区分を0:未完了から1:完了に更新する(
図23参照)。なお、回収予定日が古いもの、計上日が古いものから順に並べ、その中で伝票単位に古いものを行番号順に消込を行う。
【0074】
[S16:支払消込データ作成]
一括相殺処理部102gは、支払消込データ106mを作成する。支払消込データ106mは、支払消込番号と、出金支払先コードと、出金支払先名と、支払消込日とを含む(
図24参照)。
【0075】
[S17:支払消込明細データ作成]
一括相殺処理部102gは、支払消込明細データ106nを作成する。支払消込明細データ106nは、支払消込番号と、支払消込明細番号と、支払番号と、支払予定番号と、支払予定明細行番号と、支払消込済金額とを含む(
図25参照)。
【0076】
[S18:支払予定データ更新]
一括相殺処理部102gは、支払予定データ106fを更新する。支払予定金額と支払消込済金額とが等しい場合には、支払消込完了区分を0:未完了から1:完了に更新する(
図26参照)。なお、支払予定日が古いもの、計上日が古いものから順に並べ、その中で伝票単位に古いものを行番号順に消込を行う。
【0077】
以上、本実施形態によれば、相殺処理対象選択部102fが、回収予定情報および支払予定情報を債権債務の相殺処理対象の候補として企業別に画面に表示するから、オペレータは、相殺処理対象の候補を一覧で確認することができる。さらに、一括相殺処理部102gが、相殺処理対象選択部102fで選択された情報に基づいて、入金管理データ、支払管理データ、入金消込管理データおよび支払消込管理データを作成し、入金消込管理データを基に回収予定データ106eを更新し且つ支払消込管理データを基に支払予定データ106fを更新することにより、相殺処理を一括して行うことができる。その結果、企業内の債権および債務を管理するするオペレータの負担を低減することができる。
【0078】
[3.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0079】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0080】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0081】
また、債権債務管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0082】
例えば、債権債務管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて債権債務管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0083】
また、このコンピュータプログラムは、債権債務管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0084】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0085】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0086】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0087】
また、債権債務管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、債権債務管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0088】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、例えば、企業内の債権および債務を管理する際に有用である。
【符号の説明】
【0090】
100 債権債務管理装置
102 制御部
102a 事業所マスタ作成部
102b 取引先統合マスタ作成部
102c 請求入金予定入力部
102d 経費支払予定入力部
102e 相殺予定表作成部
102f 相殺処理対象選択部
102g 一括相殺処理部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 事業所マスタ
106b 法人マスタ
106c 請求先マスタ
106d 支払先マスタ
106e 回収予定データ
106f 支払予定データ
106g 入金データ
106h 入金明細データ
106i 支払データ
106j 支払明細データ
106k 入金消込データ
106l 入金消込明細データ
106m 支払消込データ
106n 支払消込明細データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク