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特許7565754燃料電池システム、及びこれを備える移動体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】燃料電池システム、及びこれを備える移動体
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04955 20160101AFI20241004BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241004BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241004BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20241004BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20241004BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20241004BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20241004BHJP
【FI】
H01M8/04955
H01M8/00 Z
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/10 101
H01M8/2465
H01M8/249
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020181931
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072472
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2018年度、イノベーションハブ構築支援事業「太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ」科学技術振興機構に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 栄基
(72)【発明者】
【氏名】杉原 洸貴
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-092030(JP,A)
【文献】特開2009-152090(JP,A)
【文献】特開2012-160336(JP,A)
【文献】特開2009-134907(JP,A)
【文献】特開2009-158220(JP,A)
【文献】特開2008-071637(JP,A)
【文献】特開2013-161599(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0183230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの燃料電池ユニットと、制御装置と、水素を含む燃料ガスを流すことができる主燃料ガス配管と、
酸素を含む酸化ガスを流すことができる主酸化ガス配管と、を備え、
二つの前記燃料電池ユニットのそれぞれは、
固体高分子形の少なくとも一つの燃料電池スタックと、
前記少なくとも一つの燃料電池スタックで発生した電力を外部に送る給電線と、
前記少なくとも一つの燃料電池スタックに前記燃料ガスを導くことができる燃料ガス配管と、
前記少なくとも一つの燃料電池スタックに前記酸化ガスを導くことができる酸化ガス配管と、
前記少なくとも一つの燃料電池スタック中の水を排出できる排出配管と、
前記排出配管に接続され、前記少なくとも一つの燃料電池スタックからの水を溜めることができる水タンクと、
を有し、
二つの前記燃料電池ユニットのうちの一方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである一方側燃料電池スタック、及び他方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである他方側燃料電池スタックは、いずれも、前記排出配管が接続される排出端面を有し、
前記一方側燃料電池スタック及び前記他方側燃料電池スタックは、いずれも、基準面上に配置され、
前記他方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準面に平行な基準方向で互いに相反する二つの側のうち、一方側を向き、
前記一方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準方向で互いに相反する二つの側のうち、他方側を向き、
前記一方の燃料電池ユニットは、さらに、
前記一方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する一方側検知器と、
前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる一方側発電操作器と、
を有し、
前記他方の燃料電池ユニットは、さらに、
前記他方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する他方側検知器と、
前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる他方側発電操作器と、
を有し、
前記制御装置は、前記一方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記一方側発電操作器で、前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させ、前記他方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記他方側発電操作器で、前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させ、
前記一方の燃料電池ユニットは、前記少なくとも一つの燃料電池スタックとして、一方側第一スタックと、一方側第二スタックと、を有し、
前記他方の燃料電池ユニットは、前記少なくとも一つの燃料電池スタックとして、他方側第一スタックと、他方側第二スタックと、を有し、
前記燃料ガス配管は、
前記主燃料ガス配管から分岐している一方側燃料ガス配管と、前記一方側燃料ガス配管から分岐して前記一方側第一スタックに接続されている一方側第一燃料ガス配管と、前記一方側燃料ガス配管から分岐して前記一方側第二スタックに接続されている一方側第二燃料ガス配管と、一方側第一燃料ガス回収配管と、一方側第二燃料ガス回収配管と、を有すると共に、
前記主燃料ガス配管から分岐している他方側燃料ガス配管と、前記他方側燃料ガス配管から分岐して前記他方側第一スタックに接続されている他方側第一燃料ガス配管と、前記他方側燃料ガス配管から分岐して前記他方側第二スタックに接続されている他方側第二燃料ガス配管と、他方側第一燃料ガス回収配管と、他方側第二燃料ガス回収配管と、を有し、
前記酸化ガス配管は、
前記主酸化ガス配管から分岐している一方側酸化ガス配管と、前記一方側酸化ガス配管から分岐して前記一方側第一スタックに接続されている一方側第一酸化ガス配管と、前記一方側酸化ガス配管から分岐して前記一方側第二スタックに接続されている一方側第二酸化ガス配管と、一方側第一酸化ガス回収配管と、一方側第二酸化ガス回収配管と、を有すると共に、
前記主酸化ガス配管から分岐している他方側酸化ガス配管と、前記他方側酸化ガス配管から分岐して前記他方側第一スタックに接続されている他方側第一酸化ガス配管と、前記他方側酸化ガス配管から分岐して前記他方側第二スタックに接続されている他方側第二酸化ガス配管と、他方側第一酸化ガス回収配管と、他方側第二酸化ガス回収配管と、を有し、
前記排出配管は、
前記一方側第一スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる一方側第一燃料ガス排出配管と、前記一方側第二スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる一方側第二燃料ガス排出配管と、前記一方側第一スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる一方側第一酸化ガス排出配管と、前記一方側第二スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる一方側第二酸化ガス排出配管と、を有すると共に、
前記他方側第一スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる他方側第一燃料ガス排出配管と、前記他方側第二スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる他方側第二燃料ガス排出配管と、前記他方側第一スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる他方側第一酸化ガス排出配管と、前記他方側第二スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる他方側第二酸化ガス排出配管と、を有し、
前記水タンクは、前記一方側第一酸化ガス排出配管に接続されている一方側第一水タンクと、前記一方側第二酸化ガス排出配管に接続されている一方側第二水タンクと、前記他方側第一酸化ガス排出配管に接続されている他方側第一水タンクと、前記他方側第二酸化ガス排出配管に接続されている他方側第二水タンクと、を有し、
前記一方の燃料電池ユニットは、さらに、
前記一方側燃料ガス配管に設けられている一方側燃料ガス弁と、前記一方側第一燃料ガス配管に設けられている一方側第一燃料ガス弁と、前記一方側第一燃料ガス回収配管に設けられている一方側第一燃料ガス回収弁と、前記一方側第二燃料ガス配管に設けられている一方側第二燃料ガス弁と、前記一方側第二燃料ガス回収配管に設けられている一方側第二燃料ガス回収弁と、を有すると共に、
前記一方側酸化ガス配管に設けられている一方側酸化ガス弁と、前記一方側第一酸化ガス配管に設けられている一方側第一酸化ガス弁と、前記一方側第一酸化ガス回収配管に設けられている一方側第一酸化ガス回収弁と、前記一方側第二酸化ガス配管に設けられている一方側第二酸化ガス弁と、前記一方側第二酸化ガス回収配管に設けられている一方側第二酸化ガス回収弁と、を有し、
前記他方の燃料電池ユニットは、さらに、
前記他方側燃料ガス配管に設けられている他方側燃料ガス弁と、前記他方側第一燃料ガス配管に設けられている他方側第一燃料ガス弁と、前記他方側第一燃料ガス回収配管に設けられている他方側第一燃料ガス回収弁と、前記他方側第二燃料ガス配管に設けられている他方側第二燃料ガス弁と、前記他方側第二燃料ガス回収配管に設けられている他方側第二燃料ガス回収弁と、を有すると共に、
前記他方側酸化ガス配管に設けられている他方側酸化ガス弁と、前記他方側第一酸化ガス配管に設けられている他方側第一酸化ガス弁と、前記他方側第一酸化ガス回収配管に設けられている他方側第一酸化ガス回収弁と、前記他方側第二酸化ガス配管に設けられている他方側第二酸化ガス弁と、前記他方側第二燃料ガス回収配管に設けられている他方側第二酸化ガス回収弁と、を有し、
前記一方側第一燃料ガス回収配管は、前記一方側第一燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記一方側第二燃料ガス配管中で前記一方側第二燃料ガス弁よりも前記一方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成され、
前記一方側第二燃料ガス回収配管は、前記一方側第二燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記一方側第一燃料ガス配管中で前記一方側第一燃料ガス弁よりも前記一方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成され、
前記一方側第一酸化ガス回収配管は、前記一方側第一酸化ガス排出配管から前記一方側第一水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記一方側第二酸化ガス配管中で前記一方側第二酸化ガス弁よりも前記一方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成され、
前記一方側第二酸化ガス回収配管は、前記一方側第二酸化ガス排出配管から前記一方側第二水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記一方側第一酸化ガス配管中で前記一方側第一酸化ガス弁よりも前記一方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成され、
前記他方側第一燃料ガス回収配管は、前記他方側第一燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記他方側第二燃料ガス配管中で前記他方側第二燃料ガス弁よりも前記他方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成され、
前記他方側第二燃料ガス回収配管は、前記他方側第二燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記他方側第一燃料ガス配管中で前記他方側第一燃料ガス弁よりも前記他方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成され、
前記他方側第一酸化ガス回収配管は、前記他方側第一酸化ガス排出配管から前記他方側第一水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記他方側第二酸化ガス配管中で前記他方側第二酸化ガス弁よりも前記他方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成され、
前記他方側第二酸化ガス回収配管は、前記他方側第二酸化ガス排出配管から前記他方側第二水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記他方側第一酸化ガス配管中で前記他方側第一酸化ガス弁よりも前記他方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成されている、
燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
さらに、
第一燃料ガス連結配管と、
第二燃料ガス連結配管と、
第一燃料ガス連結弁と、
第二燃料ガス連結弁と、
一方側第三燃料ガス回収弁と、
他方側第三燃料ガス回収弁と、
第一酸化ガス連結配管と、
第二酸化ガス連結配管と、
第一酸化ガス連結弁と、
第二酸化ガス連結弁と、
一方側第三酸化ガス回収弁と、
他方側第三酸化ガス回収弁と、
を有し、
前記第一燃料ガス連結配管は、前記他方側第二燃料ガス回収配管中で前記他方側第二燃料ガス回収弁よりも前記他方側第一スタック側の位置である他方側第一位置と、前記一方側第二燃料ガス回収配管中で前記一方側第二燃料ガス回収配管よりも前記一方側第一スタック側の位置である一方側第一位置と、を連結し、
前記第二燃料ガス連結配管は、前記他方側第二燃料ガス回収配管中で前記他方側第二燃料ガス回収弁よりも前記他方側第一スタック側で且つ前記他方側第一位置よりも前記他方側第二スタック側の位置である他方側第二位置と、前記一方側第二燃料ガス回収配管中で前記一方側第一位置よりも前記一方側第一スタック側の位置である一方側第二位置と、を連結し、
前記第一燃料ガス連結弁は、前記第一燃料ガス連結配管に設けられ、
前記第二燃料ガス連結弁は、前記第二燃料ガス連結配管に設けられ、
前記一方側第三燃料ガス回収弁は、前記一方側第二燃料ガス回収配管中で前記一方側第一位置と前記一方側第二位置との間に設けられ、
前記他方側第三燃料ガス回収弁は、前記他方側第二燃料ガス回収配管中で前記他方側第一位置と前記他方側第二位置との間に設けられ、
前記第一酸化ガス連結配管は、前記他方側第二酸化ガス回収配管中で前記他方側第二酸化ガス回収弁よりも前記他方側第一スタック側の位置である前記他方側第一位置と、前記一方側第二酸化ガス回収配管中で前記一方側第二酸化ガス回収弁よりも前記一方側第一スタック側の位置である前記一方側第一位置と、を連結し、
前記第二酸化ガス連結配管は、前記他方側第二酸化ガス回収配管中で前記他方側第二酸化ガス回収弁よりも前記他方側第一スタック側で且つ前記他方側第一位置よりも前記他方側第二スタック側の位置である前記他方側第二位置と、前記一方側第二酸化ガス回収配管中で前記一方側第一位置よりも前記一方側第一スタック側の位置である前記一方側第二位置と、を連結し、
前記第一酸化ガス連結弁は、前記第一酸化ガス連結配管に設けられ、
前記第二酸化ガス連結弁は、前記第二酸化ガス連結配管に設けられ、
前記一方側第三酸化ガス回収弁は、前記一方側第二酸化ガス回収配管中で前記一方側第一位置と前記一方側第二位置との間に設けられ、
前記他方側第三酸化ガス回収弁は、前記他方側第二酸化ガス回収配管中で前記他方側第一位置と前記他方側第二位置との間に設けられている、
燃料電池システム。
【請求項3】
燃料電池システムと、
前記燃料電池システムを覆う移動体ケーシングと、
前記移動体ケーシングに設けられ、前記移動体ケーシングを水中で推進させることができる推進装置と、
を備え、
前記燃料電池システムは、二つの燃料電池ユニットと、制御装置と、を備え、
二つの前記燃料電池ユニットのそれぞれは、
固体高分子形の少なくとも一つの燃料電池スタックと、
前記少なくとも一つの燃料電池スタックで発生した電力を外部に送る給電線と、
前記少なくとも一つの燃料電池スタックに水素を含む燃料ガスを導くことができる燃料ガス配管と、
前記少なくとも一つの燃料電池スタックに酸素を含む酸化ガスを導くことができる酸化ガス配管と、
前記少なくとも一つの燃料電池スタック中の水を排出できる排出配管と、
前記排出配管に接続され、前記少なくとも一つの燃料電池スタックからの水を溜めることができる水タンクと
を有し、
二つの前記燃料電池ユニットのうちの一方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである一方側燃料電池スタック、及び他方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである他方側燃料電池スタックは、いずれも、前記排出配管が接続される排出端面を有し、
前記一方側燃料電池スタック及び前記他方側燃料電池スタックは、いずれも、基準面上に配置され、
前記他方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準面に平行な基準方向で互いに相反する二つの側のうち、一方側を向き、
前記一方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準方向で互いに相反する二つの側のうち、他方側を向き、
前記一方の燃料電池ユニットは、さらに、
前記一方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する一方側検知器と、
前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる一方側発電操作器と、
を有し、
前記他方の燃料電池ユニットは、さらに、
前記他方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する他方側検知器と、
前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる他方側発電操作器と、
を有し、
前記制御装置は、前記一方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記一方側発電操作器で、前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させ、前記他方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記他方側発電操作器で、前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させる、
移動体
【請求項4】
請求項3に記載の移動体において、
前記一方側燃料電池スタック及び前記他方側燃料電池スタックは、いずれも、前記排出端面と背合わせの関係にある非排出端面を有し、
前記一方側燃料電池スタックの前記排出端面が前記一方側燃料電池スタックの前記非排出端面よりも前記基準面に近くなるよう、前記一方側燃料電池スタックは、前記基準面に対して傾斜して配置され、
前記他方側燃料電池スタックの前記排出端面が前記他方側燃料電池スタックの前記非排出端面よりも前記基準面に近くなるよう、前記他方側燃料電池スタックは、前記基準面に対して傾斜して配置されている、
移動体
【請求項5】
請求項3又は4に記載の移動体において、
前記一方側検知器は、前記一方側燃料電池スタックの発生電力の電圧を検知する電圧計を有し、前記他方側検知器は、前記他方側燃料電池スタックの発生電力の電圧を検知する電圧計を有し、
又は、前記一方側検知器及び前記他方側検知器は、互に共有する検知器であり、水平方向に対する前記基準面の角度を検知する傾斜計を有する、
移動体
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の移動体において、
前記一方側発電操作器は、前記一方の燃料電池ユニットの前記給電線に設けられている遮断器を有し、
前記他方側発電操作器は、前記他方の燃料電池ユニットの前記給電線に設けられている遮断器を有する、
移動体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体高分子形の燃料電池スタックを複数備える燃料電池システム、及びこれを備える移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形の燃料電池は、電解質としての固体高分子膜と、カーボン等で形成されている空気極と、カーボン等で形成されている燃料極と、を有する。固体高分子膜は、空気極と燃料極との間に配置されている。この燃料電池では、燃料極側に水素を含む燃料ガスを供給し、空気極側に酸素を含む酸化ガスを供給することで、水素と酸素とが化学反応して、水が生成されると共に、電気が発生する。
【0003】
以下の特許文献1には、複数の固体高分子形の燃料電池を備える燃料電池装置が開示されている。この燃料電池装置では、二つのフランジの間に、複数の燃料電池が積層配置されている。この燃料電池装置では、耐久性の向上等を図るために、二つのフランジのうちの一方のフランジのみに、ガス及び水の出入口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5039253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池システムは、水中や空中等の三次元空間を移動する移動体の動力源として使用されることがある。このように、三次元空間を移動する移動体では、例えば、移動体の前が移動体の後より高くなる等、移動体が水平面に対して傾斜することがある。特許文献1に記載の技術では、三次元空間内で移動体が傾斜している場合、燃料電池装置内の水が、一時的に出入口が形成されていないフランジ側に片寄って、排出できなくなる。このため、特許文献1に記載の技術では、三次元空間内で移動体が傾斜している場合、燃料電池装置内の一方側に水が溜まって、この燃料電池装置での発電性能が著しく低下する。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載の技術では、長期間にわたって継続的に電力を発生できない場合がある。
【0007】
そこで、本開示は、長期間にわたって継続的に発電することができる燃料電池システム、及びこれを備える移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様における移動体は、
燃料電池システムと、前記燃料電池システムを覆う移動体ケーシングと、
前記移動体ケーシングに設けられ、前記移動体ケーシングを水中で推進させることができる推進装置と、を備える。前記燃料電池システムは、二つの燃料電池ユニットと、制御装置と、を備える。二つの前記燃料電池ユニットのそれぞれは、固体高分子形の少なくとも一つの燃料電池スタックと、前記少なくとも一つの燃料電池スタックで発生した電力を外部に送る給電線と、前記少なくとも一つの燃料電池スタックに水素を含む燃料ガスを導くことができる燃料ガス配管と、前記少なくとも一つの燃料電池スタックに酸素を含む酸化ガスを導くことができる酸化ガス配管と、前記少なくとも一つの燃料電池スタックで生成された水を排出できる排出配管と、前記排出配管に接続され、前記少なくとも一つの燃料電池スタックからの水を溜めることができる水タンクと、を有する。二つの前記燃料電池ユニットのうちの一方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである一方側燃料電池スタック、及び他方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである他方側燃料電池スタックは、いずれも、前記排出配管が接続される排出端面を有する。前記一方側燃料電池スタック及び前記他方側燃料電池スタックは、いずれも、基準面上に配置されている。前記他方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準面に平行な基準方向で互いに相反する二つの側のうち、一方側を向いている。前記一方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準方向で互いに相反する二つの側のうち、他方側を向いている。前記一方の燃料電池ユニットは、さらに、前記一方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する一方側検知器と、前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる一方側発電操作器と、を有する。また、前記他方の燃料電池ユニットは、さらに、前記他方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する他方側検知器と、前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる他方側発電操作器と、を有する。前記制御装置は、前記一方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記一方側発電操作器で、前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させ、前記他方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記他方側発電操作器で、前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させる。
【0010】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様における燃料電池システムは、
二つの燃料電池ユニットと、制御装置と、水素を含む燃料ガスを流すことができる主燃料ガス配管と、酸素を含む酸化ガスを流すことができる主酸化ガス配管と、を備える。二つの前記燃料電池ユニットのそれぞれは、固体高分子形の少なくとも一つの燃料電池スタックと、前記少なくとも一つの燃料電池スタックで発生した電力を外部に送る給電線と、前記少なくとも一つの燃料電池スタックに前記燃料ガスを導くことができる燃料ガス配管と、前記少なくとも一つの燃料電池スタックに前記酸化ガスを導くことができる酸化ガス配管と、前記少なくとも一つの燃料電池スタック中の水を排出できる排出配管と、前記排出配管に接続され、前記少なくとも一つの燃料電池スタックからの水を溜めることできる水タンクと、を有する。二つの前記燃料電池ユニットのうちの一方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである一方側燃料電池スタック、及び他方の燃料電池ユニットにおける前記少なくとも一つの前記燃料電池スタックである他方側燃料電池スタックは、いずれも、前記排出配管が接続される排出端面を有する。前記一方側燃料電池スタック及び前記他方側燃料電池スタックは、いずれも、基準面上に配置されている。前記他方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準面に平行な基準方向で互いに相反する二つの側のうち、一方側を向く。前記一方側燃料電池スタックの前記排出端面は、前記基準方向で互いに相反する二つの側のうち、他方側を向く。前記一方の燃料電池ユニットは、さらに、前記一方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する一方側検知器と、前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる一方側発電操作器と、を有する。前記他方の燃料電池ユニットは、さらに、前記他方側燃料電池スタックでの発電量と相関性のある相関値を検知する他方側検知器と、前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させることができる他方側発電操作器と、を有する。前記制御装置は、前記一方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記一方側発電操作器で、前記一方側燃料電池スタックによる発電を停止させ、前記他方側検知器で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記他方側発電操作器で、前記他方側燃料電池スタックによる発電を停止させる。前記一方の燃料電池ユニットは、前記少なくとも一つの燃料電池スタックとして、一方側第一スタックと、一方側第二スタックと、を有する。前記他方の燃料電池ユニットは、前記少なくとも一つの燃料電池スタックとして、他方側第一スタックと、他方側第二スタックと、を有する。前記燃料ガス配管は、前記主燃料ガス配管から分岐している一方側燃料ガス配管と、前記一方側燃料ガス配管から分岐して前記一方側第一スタックに接続されている一方側第一燃料ガス配管と、前記一方側燃料ガス配管から分岐して前記一方側第二スタックに接続されている一方側第二燃料ガス配管と、一方側第一燃料ガス回収配管と、一方側第二燃料ガス回収配管と、を有すると共に、前記主燃料ガス配管から分岐している他方側燃料ガス配管と、前記他方側燃料ガス配管から分岐して前記他方側第一スタックに接続されている他方側第一燃料ガス配管と、前記他方側燃料ガス配管から分岐して前記他方側第二スタックに接続されている他方側第二燃料ガス配管と、他方側第一燃料ガス回収配管と、他方側第二燃料ガス回収配管と、を有する。前記酸化ガス配管は、前記主酸化ガス配管から分岐している一方側酸化ガス配管と、前記一方側酸化ガス配管から分岐して前記一方側第一スタックに接続されている一方側第一酸化ガス配管と、前記一方側酸化ガス配管から分岐して前記一方側第二スタックに接続されている一方側第二酸化ガス配管と、一方側第一酸化ガス回収配管と、一方側第二酸化ガス回収配管と、を有すると共に、前記主酸化ガス配管から分岐している他方側酸化ガス配管と、前記他方側酸化ガス配管から分岐して前記他方側第一スタックに接続されている他方側第一酸化ガス配管と、前記他方側酸化ガス配管から分岐して前記他方側第二スタックに接続されている他方側第二酸化ガス配管と、他方側第一酸化ガス回収配管と、他方側第二酸化ガス回収配管と、を有する。前記排出配管は、前記一方側第一スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる一方側第一燃料ガス排出配管と、前記一方側第二スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる一方側第二燃料ガス排出配管と、前記一方側第一スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる一方側第一酸化ガス排出配管と、前記一方側第二スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる一方側第二酸化ガス排出配管と、を有すると共に、前記他方側第一スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる他方側第一燃料ガス排出配管と、前記他方側第二スタックからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる他方側第二燃料ガス排出配管と、前記他方側第一スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる他方側第一酸化ガス排出配管と、前記他方側第二スタックからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる他方側第二酸化ガス排出配管と、を有する。前記水タンクは、前記一方側第一酸化ガス排出配管に接続されている一方側第一水タンクと、前記一方側第二酸化ガス排出配管に接続されている一方側第二水タンクと、前記他方側第一酸化ガス排出配管に接続されている他方側第一水タンクと、前記他方側第二酸化ガス排出配管に接続されている他方側第二水タンクと、を有する。前記一方の燃料電池ユニットは、さらに、前記一方側燃料ガス配管に設けられている一方側燃料ガス弁と、前記一方側第一燃料ガス配管に設けられている一方側第一燃料ガス弁と、前記一方側第一燃料ガス回収配管に設けられている一方側第一燃料ガス回収弁と、前記一方側第二燃料ガス配管に設けられている一方側第二燃料ガス弁と、前記一方側第二燃料ガス回収配管に設けられている一方側第二燃料ガス回収弁と、を有すると共に、前記一方側酸化ガス配管に設けられている一方側酸化ガス弁と、前記一方側第一酸化ガス配管に設けられている一方側第一酸化ガス弁と、前記一方側第一酸化ガス回収配管に設けられている一方側第一酸化ガス回収弁と、前記一方側第二酸化ガス配管に設けられている一方側第二酸化ガス弁と、前記一方側第二酸化ガス回収配管に設けられている一方側第二酸化ガス回収弁と、を有する。前記他方の燃料電池ユニットは、さらに、前記他方側燃料ガス配管に設けられている他方側燃料ガス弁と、前記他方側第一燃料ガス配管に設けられている他方側第一燃料ガス弁と、前記他方側第一燃料ガス回収配管に設けられている他方側第一燃料ガス回収弁と、前記他方側第二燃料ガス配管に設けられている他方側第二燃料ガス弁と、前記他方側第二燃料ガス回収配管に設けられている他方側第二燃料ガス回収弁と、を有すると共に、前記他方側酸化ガス配管に設けられている他方側酸化ガス弁と、前記他方側第一酸化ガス配管に設けられている他方側第一酸化ガス弁と、前記他方側第一酸化ガス回収配管に設けられている他方側第一酸化ガス回収弁と、前記他方側第二酸化ガス配管に設けられている他方側第二酸化ガス弁と、前記他方側第二燃料ガス回収配管に設けられている他方側第二酸化ガス回収弁と、を有する。前記一方側第一燃料ガス回収配管は、前記一方側第一燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記一方側第二燃料ガス配管中で前記一方側第二燃料ガス弁よりも前記一方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成されている。前記一方側第二燃料ガス回収配管は、前記一方側第二燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記一方側第一燃料ガス配管中で前記一方側第一燃料ガス弁よりも前記一方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成されている。前記一方側第一酸化ガス回収配管は、前記一方側第一酸化ガス排出配管から前記一方側第一水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記一方側第二酸化ガス配管中で前記一方側第二酸化ガス弁よりも前記一方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成されている。前記一方側第二酸化ガス回収配管は、前記一方側第二酸化ガス排出配管から前記一方側第二水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記一方側第一酸化ガス配管中で前記一方側第一酸化ガス弁よりも前記一方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第一燃料ガス回収配管は、前記他方側第一燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記他方側第二燃料ガス配管中で前記他方側第二燃料ガス弁よりも前記他方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第二燃料ガス回収配管は、前記他方側第二燃料ガス排出配管からの前記余剰燃料ガスを、前記他方側第一燃料ガス配管中で前記他方側第一燃料ガス弁よりも前記他方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第一酸化ガス回収配管は、前記他方側第一酸化ガス排出配管から前記他方側第一水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記他方側第二酸化ガス配管中で前記他方側第二酸化ガス弁よりも前記他方側第二スタック側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第二酸化ガス回収配管は、前記他方側第二酸化ガス排出配管から前記他方側第二水タンクに流入した前記余剰酸化ガスを、前記他方側第一酸化ガス配管中で前記他方側第一酸化ガス弁よりも前記他方側第一スタック側の位置に導くことができるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、長期間にわたって継続的に発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示に係る第一実施形態における移動体の概略構成を示す模式図である。
図2】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムの給電線の系統図である。
図3】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図4】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図5】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムが第一発電状態のときの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図6】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムが第一発電状態のときの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図7】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムが第二発電状態のときの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図8】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムが第二発電状態のときの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図9】本開示に係る第一実施形態における、基準面が第一傾斜状態になったときの燃料電池システムの状態を示す説明図である。
図10】本開示に係る第一実施形態における、基準面が第一傾斜状態になってから所定時間経過した後の燃料電池システムの状態を示す説明図である。
図11】本開示に係る第一実施形態における燃料電池システムでB燃料電池ユニットのみが第一発電状態のときの、酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図12】本開示に係る第一実施形態における、基準面が第二傾斜状態になったときの燃料電池システムの状態を示す説明図である。
図13】本開示に係る第一実施形態における、基準面が第二傾斜状態になってから所定時間経過した後の燃料電池システムの状態を示す説明図である。
図14】本開示に係る第二実施形態における移動体の概略構成を示す模式図である。
図15】本開示に係る第二実施形態における、基準面が第一弱傾斜状態になってから所定時間経過した後の燃料電池システムの状態を示す説明図である。
図16】本開示に係る第二実施形態における、基準面が第一強傾斜状態になってから所定時間経過した後の燃料電池システムの状態を示す説明図である。
図17】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図18】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図19】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第三発電状態のときの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図20】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第三発電状態のときの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図21】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第四発電状態のときの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図22】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第四発電状態のときの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図23】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第五発電状態のときの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図24】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第五発電状態のときの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図25】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第六発電状態のときの酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図26】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムが第六発電状態のときの燃料ガスが流れるラインを示す系統図である。
図27】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムでB燃料電池ユニットのみが第一発電状態のときの、酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
図28】本開示に係る第三実施形態における燃料電池システムでB燃料電池ユニットのみが第二発電状態のときの、酸化ガスが流れるラインを示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態における燃料電池システム、及びこれを備える移動体について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第一実施形態]
第一実施形態における燃料電池システム、及びこれを備える移動体について、図1図13を参照して説明する。
【0015】
本実施形態の移動体は、三次元空間である水中を移動可能な移動体である。図1に示すように、この移動体1は、燃料電池システム10と、移動体ケーシング2と、推進装置3と、方向舵4と、を備える。移動体ケーシング2は、燃料電池システム10を覆う。推進装置3は、移動体ケーシング2に設けられ、移動体ケーシング2を水中内で推進させることができる。
【0016】
燃料電池システム10は、酸素を含む酸化ガスが充填されている酸化ガスタンク11と、水素を含む燃料ガスが充填されている燃料ガスタンク12と、酸化ガスタンク11に接続されている主酸化ガス配管14と、燃料ガスタンク12に接続されている主燃料ガス配管15と、モータ3aに接続されている主給電線16と、主水タンク18と、制御装置19と、二つの燃料電池ユニット20と、を備える。主給電線16中には、主遮断器17が設けられている。
【0017】
二つの燃料電池ユニット20は、いずれも、固体高分子形の二つの燃料電池スタック21を有する。ここで、二の燃料電池ユニット20のうち、一方の燃料電池ユニット20をA燃料電池ユニット20A、他方の燃料電池ユニット20をB燃料電池ユニット20Bとする。A燃料電池ユニット20Aの構成要素とB燃料電池ユニット20Bの構成要素は、互に同じである。さらに、以下においては、A燃料電池ユニット20AとB燃料電池ユニット20Bとを区別する必要がない場合には、これらの燃料電池ユニット20を単に燃料電池ユニット20という。また、A燃料電池ユニット20Aが有する二つの燃料電池スタック21の一方を第一燃料電池スタック21fa、他方を第二燃料電池スタック21saとする。B燃料電池ユニット20Bが有する二つの燃料電池スタック21の一方を第一燃料電池スタック21fb、他方を第二燃料電池スタック21sbとする。
【0018】
なお、燃料ガス中には水素ガス以外のガスが含まれていてもよいが、本実施形態では、燃料ガス中には実質的に水素ガスのみが含まれている。また、酸化ガス中には酸素ガス以外のガスが含まれていてもよいが、本実施形態では、酸化ガス中には実質的に酸素ガスのみが含まれている。
【0019】
A燃料電池ユニット20Aは、さらに、図1に示すように、給電線30aと、遮断器(又は副遮断器)35aと、酸化ガス配管40aと、燃料ガス配管50aと、酸化ガス排出配管60aと、燃料ガス排出配管65aと、空気極水タンク38aと、燃料極水タンク39aと、を有する。また、B燃料電池ユニット20Bは、さらに、給電線30bと、遮断器(又は副遮断器)35bと、酸化ガス配管40bと、燃料ガス配管50bと、酸化ガス排出配管60bと、燃料ガス排出配管65bと、空気極水タンク38bと、燃料極水タンク39bと、を有する。
【0020】
前述の主給電線16は、図2に示すように、主正極電線16pと、主負極電線16nと、を有する。このため、主遮断器17も、主正極電線16p中に設けられている主正極遮断器17pと、主負極電線16n中に設けられている主負極遮断器17nと、を有する。
【0021】
A燃料電池ユニット20Aの副遮断器35aは、正極遮断器35paと負極遮断器35naとを有する。B燃料電池ユニット20Bの副遮断器35bは、正極遮断器35pbと負極遮断器35nbとを有する。
【0022】
A燃料電池ユニット20Aの給電線30aは、正極電線31paと、負極電線31naと、第一電線32aと、連結電線33aと、第二電線34aと、を有する。正極電線31paは、主正極電線16pから分岐して正極遮断器35paに接続されている。負極電線31naは、主負極電線16nから分岐して負極遮断器35naに接続されている。第一電線32aは、正極遮断器35paと第一燃料電池スタック21faの正極とを接続する。連結電線33aは、第一燃料電池スタック21faの負極と第二燃料電池スタック21saの正極とを接続する。第二電線34aは、第二燃料電池スタック21saの負極と負極遮断器35naとを接続する。A燃料電池ユニット20Aは、第一燃料電池スタック21fa及び第二燃料電池スタック21saの電圧を検知する電圧計36aを有する。
【0023】
B燃料電池ユニット20Bの給電線30bは、正極電線31pbと、負極電線31nbと、第一電線32bと、連結電線33bと、第二電線34bと、を有する。正極電線31pbは、主正極電線16pから分岐して正極遮断器35pbに接続されている。負極電線31nbは、主負極電線16nから分岐して負極遮断器35nbに接続されている。第一電線32bは、正極遮断器35pbと第一燃料電池スタック21fbの正極とを接続する。連結電線33bは、第一燃料電池スタック21fbの負極と第二燃料電池スタック21sbの正極とを接続する。第二電線34bは、第二燃料電池スタック21sbの負極と負極遮断器35nbとを接続する。B燃料電池ユニット20Bは、第一燃料電池スタック21fb及び第二燃料電池スタック21sbの電圧を検知する電圧計36bを有する。
【0024】
A燃料電池ユニット20Aの空気極水タンク38aは、図3に示すように、第一空気極水タンク38faと、第二空気極水タンク38saと、を有する。
【0025】
A燃料電池ユニット20Aの酸化ガス配管40aは、副酸化ガス配管(一方側酸化ガス配管)41aと、第一酸化ガス配管(一方側第一酸化ガス配管)42aと、第二酸化ガス配管(一方側第二酸化ガス配管)46aと、第一酸化ガス回収配管(一方側第一酸化ガス回収配管)44aと、第二酸化ガス回収配管(一方側第二酸化ガス回収配管)48aと、を有する。副酸化ガス配管41aは、主酸化ガス配管14に接続されている。この副酸化ガス配管41aには、副酸化ガス弁(一方側酸化ガス弁)41Vaが設けられている。第一酸化ガス配管42aは、副酸化ガス配管41aと第一燃料電池スタック21faとを接続する。この第一酸化ガス配管42a中には、第一酸化ガス弁(一方側第一酸化ガス弁)43aが設けられている。第二酸化ガス配管46aは、副酸化ガス配管41aと第二燃料電池スタック21saとを接続する。この第二酸化ガス配管46aには、第二酸化ガス弁(一方側第二酸化ガス弁)47aが設けられている。第一酸化ガス回収配管(一方側第一酸化ガス回収配管)44aは、第一空気極水タンク38faと、第二酸化ガス配管46a中で第二酸化ガス弁47aよりも第二燃料電池スタック21sa側の位置と、を接続する。第二酸化ガス回収配管(一方側第一酸化ガス回収配管)48aは、第二空気極水タンク38saと、第一酸化ガス配管42a中で第一酸化ガス弁43aよりも第一燃料電池スタック21fa側の位置と、を接続する。
【0026】
B燃料電池ユニット20Bの空気極水タンク38bは、第一空気極水タンク38fbと、第二空気極水タンク38sbと、を有する。
【0027】
B燃料電池ユニット20Bの酸化ガス配管40bは、副酸化ガス配管(他方側酸化ガス配管)41bと、第一酸化ガス配管(他方側第一酸化ガス配管)42bと、第二酸化ガス配管(他方側第二酸化ガス配管)46bと、第一酸化ガス回収配管(他方側第一酸化ガス回収配管)44bと、第二酸化ガス回収配管(他方側第二酸化ガス回収配管)48bと、を有する。副酸化ガス配管41bは、主酸化ガス配管14に接続されている。この副酸化ガス配管41bには、副酸化ガス弁(他方側酸化ガス弁)41Vbが設けられている。第一酸化ガス配管42bは、副酸化ガス配管41bと第一燃料電池スタック21fbとを接続する。この第一酸化ガス配管42b中には、第一酸化ガス弁(他方側第一酸化ガス弁)43bが設けられている。第二酸化ガス配管46bは、副酸化ガス配管41bと第二燃料電池スタック21sbとを接続する。この第二酸化ガス配管46bには、第二酸化ガス弁(他方側第二酸化ガス弁)47bが設けられている。第一酸化ガス回収配管(他方側第一酸化ガス回収配管)44bは、第一空気極水タンク38fbと、第二酸化ガス配管46b中で第二酸化ガス弁47bよりも第二燃料電池スタック21sb側の位置と、を接続する。第二酸化ガス回収配管(他方側第一酸化ガス回収配管)48bは、第二空気極水タンク38sbと、第一酸化ガス配管42b中で第一酸化ガス弁43bよりも第一燃料電池スタック21fb側の位置と、を接続する。
【0028】
A燃料電池ユニット20Aの酸化ガス排出配管60aは、第一酸化ガス排出配管61aと、第二酸化ガス排出配管63aと、を有する。第一酸化ガス排出配管61aは、第一燃料電池スタック21faと空気極水タンク38aとを接続する。第二酸化ガス排出配管63aは、第二燃料電池スタック21saと空気極水タンク38aとを接続する。
【0029】
B燃料電池ユニット20Bの酸化ガス排出配管60bは、第一酸化ガス排出配管61bと、第二酸化ガス排出配管63bと、を有する。第一酸化ガス排出配管61bは、第一燃料電池スタック21fbと空気極水タンク38fbとを接続する。第二酸化ガス排出配管63bは、第二燃料電池スタック21sbと空気極水タンク38sbとを接続する。
【0030】
A燃料電池ユニット20Aの燃料極水タンク39aは、図4に示すように、第一燃料極水タンク39faと、第二燃料極水タンク39saと、を有する。
【0031】
A燃料電池ユニット20Aの燃料ガス配管50aは、副燃料ガス配管(一方側燃料ガス配管)51aと、第一燃料ガス配管(一方側第一燃料ガス配管)52aと、第二燃料ガス配管(一方側第二燃料ガス配管)56aと、第一燃料ガス回収配管(一方側第一燃料ガス回収配管)54aと、第二燃料ガス回収配管(一方側第二燃料ガス回収配管)58aと、を有する。副燃料ガス配管51aは、主燃料ガス配管15に接続されている。この副燃料ガス配管51aには、副燃料ガス弁(一方側燃料ガス弁)51Vaが設けられている。第一燃料ガス配管52aは、副燃料ガス配管51aと第一燃料電池スタック21faとを接続する。この第一燃料ガス配管52a中には、第一燃料ガス弁(一方側第一燃料ガス弁)53aが設けられている。第二燃料ガス配管56aは、副燃料ガス配管51aと第二燃料電池スタック21saとを接続する。この第二燃料ガス配管56aには、第二燃料ガス弁(一方側第二燃料ガス弁)57aが設けられている。第一燃料ガス回収配管(一方側第一燃料ガス回収配管)54aは、第一燃料極水タンク39faと、第二燃料ガス配管56a中で第二燃料ガス弁57aよりも第二燃料電池スタック21sa側の位置と、を接続する。第二燃料ガス回収配管(一方側第一燃料ガス回収配管)58aは、第二燃料極水タンク39saと、第一燃料ガス配管52a中で第一燃料ガス弁53aよりも第一燃料電池スタック21fa側の位置と、を接続する。
【0032】
B燃料電池ユニット20Bの燃料極水タンク39bは、第一燃料極水タンク39fbと、第二燃料極水タンク39sbと、を有する。
【0033】
B燃料電池ユニット20Bの燃料ガス配管50bは、副燃料ガス配管(他方側燃料ガス配管)51bと、第一燃料ガス配管(他方側第一燃料ガス配管)52bと、第二燃料ガス配管(他方側第二燃料ガス配管)56bと、第一燃料ガス回収配管(他方側第一燃料ガス回収配管)54bと、第二燃料ガス回収配管(他方側第二燃料ガス回収配管)58bと、を有する。副燃料ガス配管51bは、主燃料ガス配管15に接続されている。この副燃料ガス配管51bには、副燃料ガス弁(他方側燃料ガス弁)51Vbが設けられている。第一燃料ガス配管52bは、副燃料ガス配管51bと第一燃料電池スタック21fbとを接続する。この第一燃料ガス配管52b中には、第一燃料ガス弁(他方側第一燃料ガス弁)53bが設けられている。第二燃料ガス配管56bは、副燃料ガス配管51bと第二燃料電池スタック21sbとを接続する。この第二燃料ガス配管56bには、第二燃料ガス弁(他方側第二燃料ガス弁)57bが設けられている。第一燃料ガス回収配管(他方側第一燃料ガス回収配管)54bは、第一燃料極水タンク39fbと、第二燃料ガス配管56b中で第二燃料ガス弁57bよりも第二燃料電池スタック21sb側の位置と、を接続する。第二燃料ガス回収配管(他方側第一燃料ガス回収配管)58bは、第二燃料極水タンク39sbと、第一燃料ガス配管52b中で第一燃料ガス弁53bよりも第一燃料電池スタック21fb側の位置と、を接続する。
【0034】
A燃料電池ユニット20Aの燃料ガス排出配管65aは、第一燃料ガス排出配管66aと、第二燃料ガス排出配管68aと、を有する。第一燃料ガス排出配管66aは、第一燃料電池スタック21faと燃料極水タンク39aとを接続する。第二燃料ガス排出配管68aは、第二燃料電池スタック21saと燃料極水タンク39aとを接続する。
【0035】
B燃料電池ユニット20Bの燃料ガス排出配管65bは、第一燃料ガス排出配管66bと、第二燃料ガス排出配管68bと、を有する。第一燃料ガス排出配管66bは、第一燃料電池スタック21fbと燃料極水タンク39bとを接続する。第二燃料ガス排出配管68bは、第二燃料電池スタック21sbと燃料極水タンク39bとを接続する。
【0036】
以上の説明で理解できるように、A燃料電池ユニット20Aにおける燃料ガス配管50aは、B燃料電池スタック21Bを介さずに、A燃料電池スタック21Aに燃料ガスを導くことができるよう構成されている。A燃料電池ユニット20Aにおける酸化ガス配管40aは、B燃料電池スタック21Bを介さずに、A燃料電池スタック21Aに酸化ガスを導くことができるよう構成されている。また、B燃料電池ユニット20Bにおける燃料ガス配管50bは、A燃料電池スタック21Aを介さずに、B燃料電池スタック21Bに燃料ガスを導くことができるよう構成されている。B燃料電池ユニット20Bにおける酸化ガス配管40bは、A燃料電池スタック21Aを介さずに、B燃料電池スタック21Bに酸化ガスを導くことができるよう構成されている。
【0037】
制御装置19は、以上で説明した各遮断器、各弁の動作を制御する。
【0038】
A燃料電池ユニット20Aの二つの燃料電池スタック21と、A燃料電池ユニット20Aの空気極水タンク38aと、A燃料電池ユニット20Aの燃料極水タンク39aと、B燃料電池ユニット20Bの二つの燃料電池スタック21と、B燃料電池ユニット20Bの空気極水タンク38bと、B燃料電池ユニット20Bの燃料極水タンク39bは、図1に示すように、いずれも、移動体ケーシング2内の基準面Pb上に配置されている。この基準面Pbは、移動体1の前後方向に平行な面である。また、以下では、基準面Pbに平行な方向、つまりここでは前後方向を基準方向Dbとする。さらに、この基準方向Dbで、相反する二つの側のうちの一方側を第一側Db1、他方側を第二側Db2とする。
【0039】
ここで、A燃料電池ユニット20Aの二つの燃料電池スタック21のそれぞれをA燃料電池スタック21Aとし、B燃料電池ユニット20Bの二つの燃料電池スタック21のそれぞれをB燃料電池スタック21Bとする。
【0040】
全ての燃料電池スタック21は、排出端面27と非排出端面28とを有する。燃料電池スタック21の非排出端面28は、排出端面27と背合わせの関係にある端面である。図3及び図4に示すように、二つのA燃料電池スタック21Aのうち、第一燃料電池スタック21faの排出端面27には、第一酸化ガス排出配管61a及び第一燃料ガス排出配管66aが接続されている。A燃料電池スタック21Aのうち、第二燃料電池スタック21saの排出端面27には、第二酸化ガス排出配管63a及び第二燃料ガス排出配管68aが接続されている。また、二つのB燃料電池スタック21Bのうち、第一燃料電池スタック21fbの排出端面27には、第一酸化ガス排出配管61b及び第一燃料ガス排出配管66bが接続されている。二つのB燃料電池スタック21Bのうち、第二燃料電池スタック21sbの排出端面27には、第二酸化ガス排出配管63b及び第二燃料ガス排出配管68bが接続されている。
【0041】
二つのA燃料電池スタック21Aにおける各排出端面27は、図1に示すように、いずれも、基準方向Dbにおける第二側Db2を向いている。よって、二つのA燃料電池スタック21Aにおける各非排出端面28は、いずれも、基準方向Dbにおける第一側Db1を向いている。また、二つのB燃料電池スタック21Bにおける各排出端面27は、いずれも、基準方向Dbにおける第一側Db1を向いている。よって、二つのB燃料電池スタック21Bにおける各非排出端面28は、いずれも、基準方向Dbにおける第二側Db2を向いている。以上のように、二つのB燃料電池スタック21Bにおける各排出端面27が向いている側は、二つのA燃料電池スタック21Aにおける各排出端面27が向いている側とは、反対側である。
【0042】
次に、以上で説明した移動体1の状態に応じた燃料電池システム10の動作について説明する。
【0043】
まず、図1に示すように、移動体1の基準面Pbが実質的に水平方向Dhに広がっている水平状態における燃料電池システム10の動作について、図5図8を用いて説明する。
【0044】
水平状態では、A燃料電池ユニット20Aは、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行する。また、B燃料電池ユニット20Bも第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行する。図5及び図6は、第一発電状態の燃料電池ユニット20を示し、図7及び図8は、第二発電状態の燃料電池ユニット20を示す。
【0045】
第一発電状態でも第二発電状態でも、各燃料電池ユニット20A,20Bの副遮断器35a,35bも閉じている。また、主遮断器17も閉じている。よって、各燃料電池ユニット20A,20Bで発電された電力は、各副遮断器35a,35b、主給電線16、及び主遮断器17を介して、モータ3aに供給され得る。
【0046】
また、第一発電状態では、図5に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、副酸化ガス弁41Va,41Vb、第一酸化ガス弁43a,43b、第一酸化ガス回収弁45a,45bが開いている。一方、この第一発電状態では、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、第二酸化ガス弁47a,47b、第二酸化ガス回収弁49a,49bが閉じている。
【0047】
また、この第一発電状態では、図6に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、副燃料ガス弁51Va,51Vb、第一燃料ガス弁53a,53b、第一燃料ガス回収弁55a,55bが開いている。一方、この第一発電状態では、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、第二燃料ガス弁57a,57b、第二燃料ガス回収弁59a,59bが閉じている。
【0048】
よって、この第一発電状態では、図5に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、酸化ガスタンク11内の酸化ガスは、主酸化ガス配管14、副酸化ガス配管41a,41b、副酸化ガス弁41Va,41Vb、第一酸化ガス配管42a,42b、及び第一酸化ガス弁43a,43bを介して、第一燃料電池スタック21f内に流入する。ここで、第一燃料電池スタック21fに流入する酸化ガスの量は、第一燃料電池スタック21fが所定の電力を発生するために必要な量と第二燃料電池スタック21sが所定の電力を発生するために必要な量とを合わせて量である。具体的に、第一燃料電池スタック21fに流入する酸化ガスの量は、例えば、第一燃料電池スタック21fが所定の電力を発生するために必要な量の約2倍である。一方、第二燃料電池スタック21sには、第二酸化ガス弁47a,47bを介して、酸化ガスは流入しない。
【0049】
また、この第一発電状態では、図6に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、燃料ガスタンク12内の燃料ガスは、主燃料ガス配管15、副燃料ガス配管51a,51b、副燃料ガス弁51Va,51Vb、第一燃料ガス配管52a,52b、及び第一燃料ガス弁53a,53bを介して、第一燃料電池スタック21f内に流入する。ここで、第一燃料電池スタック21fに流入する燃料ガスの量は、第一燃料電池スタック21fが所定の電力を発生するために必要な量と第二燃料電池スタック21sが所定の電力を発生するために必要な量とを合わせて量である。具体的に、第一燃料電池スタック21fに流入する燃料ガスの量は、例えば、第一燃料電池スタック21fが所定の電力を発生するために必要な量の約2倍である。一方、第二燃料電池スタック21sには、第二燃料ガス弁57a,57bを介して、燃料ガスは流入しない。
【0050】
A燃料電池ユニット20A及びB燃料電池ユニット20Bでは、第一燃料電池スタック21f内に流入した酸化ガス中の酸素の一部と、第一燃料電池スタック21f内に流入した燃料ガス中の水素の一部とは、この第一燃料電池スタック21f内で反応して、電力を発生する。この反応で生成された生成水及び余剰酸化ガスは、図5に示すように、第一酸化ガス排出配管61a,61bを介して、第一空気極水タンク38fa,38fb内に流入する。この第一空気極水タンク38fa,38fb内では、水と余剰酸化ガスとが分離する。水は、第一空気極水タンク38fa,38fb内に留まる。一方、余剰酸化ガスは、第一空気極水タンク38fa,38fbから、第一酸化ガス回収配管44a,44b、及び第一酸化ガス回収弁45a,45bを介して、第二燃料電池スタック21s内に流入する。なお、第一空気極水タンク38a,38b内の水の量が予め定められた量以上になると、この水は、図1に示す主水タンク18に回収される。
【0051】
また、第一燃料電池スタック21f内の余剰燃料ガス、及びこの余剰燃料ガス中に含まれる水蒸気は、図6に示すように、第一燃料ガス排出配管66a,66bを介して、第一燃料極水タンク39fa,39fb内に流入する。この第一燃料極水タンク39fa,39fb内では、水蒸気が液体の水になり、余剰燃料ガスと分離する。この水は、第一燃料極水タンク39fa,39fb内に留まる。一方、余剰燃料ガスは、第一燃料極水タンク39fa,39fbから、第一燃料ガス回収配管54a,54b、及び第一燃料ガス回収弁55a,55bを介して、第二燃料電池スタック21s内に流入する。なお、第一燃料極水タンク39fa,39fb内の水の量が予め定められた量以上になると、この水は、図1に示す主水タンク18に回収される。
【0052】
第二燃料電池スタック21s内に流入した余剰酸化ガス中の酸素と、第二燃料電池スタック21s内に流入した燃料ガス中の水素とは、この第二燃料電池スタック21s内で反応して、電力を発生する。第一燃料電池スタック21fからの余剰酸化ガス中に含まれる酸素、及び第一燃料電池スタック21fからの余剰燃料ガス中に含まれる水素は、この第二燃料電池スタック21s内で実質的に全て消費される。また、第二燃料電池スタック21s内の反応で、この第二燃料電池スタック21s内には徐々水が溜まってくる。この結果、第二燃料電池スタック21sからの発電性能は、時間経過に伴って低下する。
【0053】
制御装置19は、第一発電状態の継続時間をタイマで監視している。制御装置19は、第二燃料電池スタック21の発電性能が予め定めた発電性能以下になると想定される時間に至ると、燃料電池ユニット20を第二発電状態にする。
【0054】
第二発電状態では、図7に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、副酸化ガス弁41Va,41Vb、第二酸化ガス弁47a,47b、第二酸化ガス回収弁49a,49bが開いている。一方、この第二発電状態では、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、第一酸化ガス弁43a,43b、第一酸化ガス回収弁45a,45bが閉じている。
【0055】
また、この第二発電状態では、図8に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、副燃料ガス弁51Va,51Vb、第二燃料ガス弁57a,57b、第二燃料ガス回収弁59a,59bが開いている。一方、この第二発電状態では、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、第一燃料ガス弁53a,53b、第一燃料ガス回収弁55a,55bが閉じている。
【0056】
よって、この第二発電状態では、図7に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、酸化ガスタンク11内の酸化ガスは、主酸化ガス配管14、副酸化ガス配管41a,41b、副酸化ガス弁41Va,41Vb、第二酸化ガス配管46a,46b、及び第二酸化ガス弁47a,47bを介して、第二燃料電池スタック21s内に流入する。ここで、第二燃料電池スタック21sに流入する酸化ガスの量は、第二燃料電池スタック21sが所定の電力を発生するために必要な量と第一燃料電池スタック21fが所定の電力を発生するために必要な量とを合わせて量である。具体的に、第二燃料電池スタック21sに流入する酸化ガスの量は、例えば、第二燃料電池スタック21sが所定の電力を発生するために必要な量の約2倍である。一方、第一燃料電池スタック21fには、第一酸化ガス弁43a,43bを介して、酸化ガスは流入しない。
【0057】
また、この第二発電状態では、図8に示すように、A燃料電池ユニット20AにおいてもB燃料電池ユニット20Bにおいても、燃料ガスタンク12内の燃料ガスは、主燃料ガス配管15、副燃料ガス配管51a,51b、副燃料ガス弁51Va,51Vb、第二燃料ガス配管56a,56b、及び第二燃料ガス弁57a,57bを介して、第二燃料電池スタック21s内に流入する。ここで、第二燃料電池スタック21sに流入する燃料ガスの量は、第一燃料電池スタック21fが所定の電力を発生するために必要な量と第一燃料電池スタック21fが所定の電力を発生するために必要な量とを合わせて量である。具体的に、第二燃料電池スタック21sに流入する燃料ガスの量は、例えば、第二燃料電池スタック21sが所定の電力を発生するために必要な量の約2倍である。一方、第一燃料電池スタック21fには、第一燃料ガス弁57a,57bを介して、燃料ガスは流入しない。
【0058】
A燃料電池ユニット20A及びB燃料電池ユニット20Bでは、第二燃料電池スタック21s内に流入した酸化ガス中の酸素の一部と、第二燃料電池スタック21s内に流入した燃料ガス中の水素の一部とは、この第二燃料電池スタック21s内で反応して、電力を発生する。この反応で生成された生成水及び余剰酸化ガスは、図7に示すように、第一発電状態の際に第二燃料電池スタック21s内に溜まっていた生成水やガスと共に、第二酸化ガス排出配管63a,63bを介して、第二空気極水タンク38sa,38sb内に流入する。この第二空気極水タンク38sa,38sb内では、水と余剰酸化ガスとが分離する。水は、第二空気極水タンク38sa,38sb内に留まる。一方、余剰酸化ガスは、第二空気極水タンク38sa,38sbから、第二酸化ガス回収配管48a,48b、及び第二酸化ガス回収弁49a,49bを介して、第一燃料電池スタック21f内に流入する。なお、第二空気極水タンク38sa,38sb内の水の量が予め定められた量以上になると、この水は、図1に示す主水タンク18に回収される。
【0059】
また、第二燃料電池スタック21s内の余剰燃料ガス、及びこのガス中に含まれる水蒸気は、図8に示すように、第二燃料ガス排出配管68a,68bを介して、第二燃料極水タンク39sa,39sb内に流入する。この第二燃料極水タンク39sa,39sb内では、水蒸気が液体の水になり、余剰燃料ガスと分離する。この水は、第二燃料極水タンク39sa,39sb内に留まる。一方、余剰燃料ガスは、第二燃料極水タンク39sa,39sbから、第二燃料ガス回収配管58a,58b、及び第二燃料ガス回収弁59a,59bを介して、第一燃料電池スタック21f内に流入する。なお、第二燃料極水タンク39sa,39sb内の水の量が予め定められた量以上になると、この水は、図1に示す主水タンク18に回収される。
【0060】
第一燃料電池スタック21f内に流入した余剰酸化ガス中の酸素と、第一燃料電池スタック21f内に流入した燃料ガス中の水素とは、この第一燃料電池スタック21f内で反応して、電力を発生する。第二燃料電池スタック21sからの余剰酸化ガス中に含まれる酸素、及び第二燃料電池スタック21sからの余剰燃料ガス中に含まれる水素は、この第一燃料電池スタック21f内で実質的に全て消費される。また、第一燃料電池スタック21f内の反応で、この第一燃料電池スタック21f内には徐々水が溜まってくる。この結果、第一燃料電池スタック21fからの発電性能は、時間経過に伴って低下する。
【0061】
制御装置19は、第二発電状態の継続時間をタイマで監視している。制御装置19は、第一燃料電池スタック21fからの発電性能が予め定めた発電性能以下になると想定される時間に至ると、燃料電池ユニット20を再び第一発電状態に戻す。
【0062】
以上のように、水平状態では、各燃料電池ユニット20は、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行して、各燃料電池ユニット20での発電が継続される。
【0063】
以上で説明した各燃料電池ユニット20の動作は、日本国特許第5236933号公報に記載されている燃料電池の動作と実質的に同じである。
【0064】
次に、基準方向Dbにおける第一側Db1が第二側Db2より低くなるよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して傾斜している第一傾斜状態における燃料電池システム10の動作について、図9図11を用いて説明する。
【0065】
第一傾斜状態では、図9に示すように、二つのB燃料電池スタック21Bにおける排出端面27側が、二つのB燃料電池スタック21Bにおける非排出端面28側より下に位置し、且つ、二つのB燃料電池スタック21Bにおける排出端面27が、やや下を向いている。このため、二つのB燃料電池スタック21B内の水は排出可能である。
【0066】
一方、第一傾斜状態では、二つのA燃料電池スタック21Aにおける排出端面27側が、二つのA燃料電池スタック21Aにおける非排出端面28側より上に位置し、且つ、二つのA燃料電池スタック21Aにおける排出端面27が、やや上を向いている。このため、二つのA燃料電池スタック21A内の水は排出困難である。よって、この第一傾斜状態では、A燃料電池ユニット20Aでの発電性能が次第に低下し、最終的に、A燃料電池ユニット20Aは発電できなくなる。
【0067】
制御装置19は、A燃料電池ユニット20Aの電圧計36aで検知される二つのA燃料電池スタック21Aでの発生電力の電圧、及び、B燃料電池ユニット20Bの電圧計36bで検知される二つのB燃料電池スタック21Bでの発生電力の電圧を監視している。
【0068】
制御装置19は、A燃料電池ユニット20Aの電圧計36aで検知される二つのA燃料電池スタック21Aでの発生電力の電圧が予め定められた電圧以下になると、言い換えると、A燃料電池ユニット20Aでの発電性能が予め定められた発電性能以下になると、図10に示すように、A燃料電池ユニット20Aの副遮断器35aを開けて、A燃料電池ユニット20Aでの発電を中止せて、A燃料電池ユニット20Aを保護する。
【0069】
制御装置19は、さらに、A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス弁41Va、及び副燃料ガス弁51Vaを閉じて、A燃料電池ユニット20Aには、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが流入しないようする。
【0070】
一方、前述したように、二つのB燃料電池スタック21B内の水は排出可能であるため、B燃料電池ユニット20Bでの発電は継続される。具体的に、B燃料電池ユニット20Bは、水平状態のときと同様、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行して、B燃料電池ユニット20Bでの発電は継続される。例えば、B燃料電池ユニット20Bのみを第一発電状態にする場合、制御装置19は、前述したように、A燃料電池ユニット20Aの副遮断器35aを開け、A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス弁41Va、を閉じる。さらに、制御装置19は、図11に示すように、A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス弁43a、第二酸化ガス弁47a、第一酸化ガス回収弁45a、第二酸化ガス回収弁49aを閉める。一方で、制御装置19は、B燃料電池ユニットは発電を継続するために、B燃料電池ユニット20Bの副酸化ガス弁41Vb及び第一酸化ガス弁43bを開ける。制御装置19は、さらに、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス弁47b及び第二酸化ガス回収弁49bを閉じる。
【0071】
第一傾斜状態では、水平状態よりも、二つのB燃料電池スタック21Bから効率的に水を排出することができる。
【0072】
よって、第一傾斜状態では、A燃料電池ユニット20Aでの発電が中止されるものの、B燃料電池ユニット20Bの発電が継続される。
【0073】
次に、基準方向Dbにおける第二側Db2が第一側Db1より低くなるよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して傾斜している第二傾斜状態における燃料電池システム10の動作について、図12及び図13を用いて説明する。
【0074】
第二傾斜状態では、図12に示すように、二つのA燃料電池スタック21Aにおける排出端面27側が、二つのA燃料電池スタック21Aにおける非排出端面28側より下に位置し、且つ、二つのA燃料電池スタック21Aにおける排出端面27が、やや下を向いている。このため、二つのA燃料電池スタック21A内の水は排出可能である。
【0075】
一方、第二傾斜状態では、二つのB燃料電池スタック21Bにおける排出端面27側が、二つのB燃料電池スタック21Bにおける非排出端面28側より上に位置し、且つ、二つのB燃料電池スタック21Bにおける排出端面27が、やや上を向いている。このため、二つのB燃料電池スタック21B内の水は排出困難である。よって、この第二傾斜状態では、B燃料電池ユニット20Bでの発電性能が次第に低下し、最終的に、B燃料電池ユニット20Bは発電できなくなる。
【0076】
制御装置19は、B燃料電池ユニット20Bの電圧計36bで検知される二つのB燃料電池スタック21Bでの発生電力の電圧が予め定められた電圧以下になると、言い換えると、B燃料電池ユニット20Bでの発電性能が予め定められた発電性能以下になると、図13に示すように、B燃料電池ユニット20Bの副遮断器35bを開けて、B燃料電池ユニット20Bでの発電を中止せて、B燃料電池ユニット20Bを保護する。
【0077】
制御装置19は、さらに、B燃料電池ユニット20Bの副酸化ガス弁41Vb、及び副燃料ガス弁51Vbを閉じて、B燃料電池ユニット20Bには、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが流入しないようする。
【0078】
一方、前述したように、二つのA燃料電池スタック21A内の水は排出可能であるため、A燃料電池ユニット20Aでの発電は継続される。具体的に、A燃料電池ユニット20Aは、水平状態のときと同様、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行して、A燃料電池ユニット20Aでの発電は継続される。
【0079】
第二傾斜状態では、水平状態よりも、二つのA燃料電池スタック21Aから効率的に水を排出することができる。
【0080】
よって、第二傾斜状態では、B燃料電池ユニット20Bでの発電が中止されるものの、A燃料電池ユニット20Aの発電が継続される。
【0081】
以上のように、本実施形態では、基準面Pbが水平状態でも、第一傾斜状態でも、第二傾斜状態でも、発電を継続させることができる。よって、本実施形態では、基準面Pbが各種状態でも、長期間にわたって継続的に発電することができる。
【0082】
[第二実施形態]
第二実施形態における燃料電池システム、及びこれを備える移動体について、図14図16を参照して説明する。
【0083】
本実施形態の移動体1も、第一実施形態の移動体1と同様、図14に示すように、燃料電池システム10xと、移動体ケーシング2と、推進装置3と、方向舵4と、を備える。本実施形態の移動体1の以上の構成要素のうち、燃料電池システム10xのみが第一実施形態と異なり、他の構成要素は、第一実施形態と同じである。
【0084】
本実施形態の燃料電池システム10xも、第一実施形態の燃料電池システム10と同様、A燃料電池ユニット20Axと、B燃料電池ユニット20Bxと、酸化ガスタンク11と、燃料タンク12と、主酸化ガス配管14と、主燃料ガス配管15と、主給電線16と、主水タンク18と、制御装置19と、を備える。
【0085】
A燃料電池ユニット20Axは、第一実施形態のA燃料電池ユニット20Aと同様、二つのA燃料電池スタック21Axを有する。また、B燃料電池ユニット20Bxは、第一実施形態のB燃料電池ユニット20Bと同様、二つのB燃料電池スタック21Bxを有する。
【0086】
本実施形態のA燃料電池ユニット20Axは、第一実施形態のA燃料電池ユニット20Aに対して、二つのA燃料電池スタック21Axの基準面Pbに対する設置方向のみが異なる。また、本実施形態のB燃料電池ユニット20Bxは、第一実施形態のB燃料電池ユニット20Bに対して、二つのB燃料電池スタック21Bxの基準面Pbに対する設置方向のみが異なる。
【0087】
二つのA燃料電池スタック21Axにおける各排出端面27は、いずれも、基準方向Dbにおける第二側Db2を向いている。但し、二つのA燃料電池スタック21Axの各排出端面27が二つのA燃料電池スタック21Axの各非排出端面28よりも基準面Pbに近くなるよう、二つのA燃料電池スタック21Axは、基準面Pbに対して傾斜して配置されている。
【0088】
また、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける各排出端面27は、いずれも、基準方向Dbにおける第一側Db1を向いている。但し、二つのB燃料電池スタック21Bxの各排出端面27が二つのB燃料電池スタック21Bxの各非排出端面28よりも基準面Pbに近くなるよう、二つのB燃料電池スタック21Bxは、基準面Pbに対して傾斜して配置されている。
【0089】
本実施形態では、基準面Pbが水平状態のとき、第一実施形態と同様、A燃料電池ユニット20Ax及びB燃料電池ユニット20Bxが、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行し、各燃料電池ユニット20Ax,20Bxでの発電が継続される。
【0090】
次に、図15に示すように、基準方向Dbにおける第一側Db1が第二側Db2より僅かに低くなるよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して僅かに傾斜している第一弱傾斜状態における燃料電池システム10xの動作について、説明する。
【0091】
第一弱傾斜状態では、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける排出端面27側が、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける非排出端面28側より下に位置し、且つ、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける排出端面27が、やや下を向いている。このため、二つのB燃料電池スタック21Bx内の水は排出可能である。
【0092】
また、第一弱傾斜状態では、二つのA燃料電池スタック21Axにおける排出端面27側も、二つのA燃料電池スタック21Axにおける非排出端面28側より僅かに下に位置し、且つ、二つのA燃料電池スタック21Axにおける排出端面27が、やや下を向いている。このため、二つのA燃料電池スタック21Ax内の水も排出可能である。
【0093】
よって、第一弱傾斜状態では、水平状態のときと同様、A燃料電池ユニット20Ax及びB燃料電池ユニット20Bxが、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行し、各燃料電池ユニット20Ax,20Bxでの発電が継続される。
【0094】
次に、図16に示すように、基準方向Dbにおける第一側Db1が第二側Db2より低くなるよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して、第一弱傾斜状態よりも傾斜している第一強傾斜状態における燃料電池システム10xの動作について、説明する。
【0095】
第一強傾斜状態では、第一弱傾斜状態と同様、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける排出端面27側が、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける非排出端面28側より下に位置し、且つ、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける排出端面27が、やや下を向いている。このため、二つのB燃料電池スタック21Bx内の水は排出可能である。
【0096】
また、第一強傾斜状態では、第一弱傾斜状態と異なり、二つのA燃料電池スタック21Axにおける排出端面27側が、二つのA燃料電池スタック21Axにおける非排出端面28側より上に位置し、且つ、二つのA燃料電池スタック21Axにおける排出端面27が、やや上を向いている。このため、二つのA燃料電池スタック21Ax内の水は排出困難である。よって、この第一強傾斜状態では、A燃料電池ユニット20Axでの発電性能が次第に低下し、最終的に、A燃料電池ユニット20Axは発電できなくなる。
【0097】
このため、第一強傾斜状態が継続し、A燃料電池ユニット20Axの電圧計36aで検知される二つのA燃料電池スタック21Axでの発生電力の電圧が予め定められた電圧以下になると、言い換えると、A燃料電池ユニット20Axでの発電性能が予め定められた発電性能以下になると、制御装置19は、第一実施形態における第一傾斜状態のときと同様、制御装置19の動作をする。すなわち、第一強傾斜状態が継続すると、制御装置19は、A燃料電池ユニット20Axの副遮断器35aを開けて、A燃料電池ユニット20Axでの発電を中止させて、A燃料電池ユニット20Axを保護する。制御装置19は、さらに、A燃料電池ユニット20Axの副酸化ガス弁41Va、及び副燃料ガス弁51Vaを閉じて、A燃料電池ユニット20Axには、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが流入しないようする。
【0098】
一方、前述したように、二つのB燃料電池スタック21Bx内の水は排出可能であるため、B燃料電池ユニット20Bxでの発電は継続される。具体的に、B燃料電池ユニット20Bxは、水平状態のときと同様、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行して、B燃料電池ユニット20Bxでの発電は継続される。
【0099】
よって、第一強傾斜状態では、A燃料電池ユニット20Axでの発電が中止されるものの、B燃料電池ユニット20Bxの発電が継続される。
【0100】
次に、図示していないが、基準方向Dbにおける第二側Db2が第一側Db1より僅かに低くなるよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して僅かに傾斜している第二弱傾斜状態における燃料電池システム10xの動作について、説明する。この第二弱傾斜状態では、第一弱傾斜状態と同様に、A燃料電池ユニット20Ax及びB燃料電池ユニット20Bxが、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行し、各燃料電池ユニット20Ax,20Bxでの発電が継続される。
【0101】
次に、図示していないが、基準方向Dbにおける第二側Db2が第一より低くなるよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して、第二弱傾斜状態よりも傾斜している第二強傾斜状態における燃料電池システム10xの動作について、説明する。
【0102】
この第二強傾斜状態では、第一強傾斜状態とは逆に、二つのA燃料電池スタック21Axにおける排出端面27側が、二つのA燃料電池スタック21Axにおける非排出端面28側より下に位置し、且つ、二つのA燃料電池スタック21Axにおける排出端面27が、やや下を向いている。このため、二つのA燃料電池スタック21Ax内の水は排出可能である。
【0103】
また、第二強傾斜状態では、第一強傾斜状態とは逆に、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける排出端面27側が、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける非排出端面28側より上に位置し、且つ、二つのB燃料電池スタック21Bxにおける排出端面27が、やや上を向いている。このため、二つのB燃料電池スタック21Bx内の水は排出困難である。よって、この第二強傾斜状態では、B燃料電池ユニット20Bxでの発電性能が次第に低下し、最終的に、B燃料電池ユニット20Bxは発電できなくなる。
【0104】
このため、第二強傾斜状態が継続し、B燃料電池ユニット20Bxの電圧計36bで検知される二つのB燃料電池スタック21Bxでの発生電力の電圧が予め定められた電圧以下になると、言い換えると、B燃料電池ユニット20Bxでの発電性能が予め定められた発電性能以下になると、制御装置19は、第一実施形態における第二傾斜状態のときと同様、制御装置19の動作をする。すなわち、第二強傾斜状態が継続すると、制御装置19は、B燃料電池ユニット20Bxの副遮断器35bを開けて、B燃料電池ユニット20Bxでの発電を中止せて、B燃料電池ユニット20Bxを保護する。制御装置19は、さらに、B燃料電池ユニット20Bxの副酸化ガス弁41Vb、及び副燃料ガス弁51Vbを閉じて、B燃料電池ユニット20Bxには、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが流入しないようする。
【0105】
一方、前述したように、二つのA燃料電池スタック21Ax内の水は排出可能であるため、A燃料電池ユニット20Axでの発電は継続される。具体的に、A燃料電池ユニット20Axは、水平状態のときと同様、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行して、A燃料電池ユニット20Axでの発電は継続される。
【0106】
以上のように、本実施形態でも、第一実施形態と同様、基準面Pbが各種状態でも、長期間にわたって継続的に発電することができる。さらに、本実施形態では、基準面Pbが第一弱傾斜状態でも第二弱傾斜状態でも、基準面Pbが水平状態のときと同様、A燃料電池ユニット20Ax及びB燃料電池ユニット20Bxが、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行し、各燃料電池ユニット20Ax,20Bxでの発電が継続する。
【0107】
[第三実施形態]
第三実施形態における燃料電池システムについて、図17図28を参照して説明する。
【0108】
本実施形態の燃料電池システムも、図1に示す第一実施形態の燃料電池システム10と同様、A燃料電池ユニット20Aと、B燃料電池ユニット20Bと、酸化ガスタンク11と、燃料タンク12と、主酸化ガス配管14と、主燃料ガス配管15と、主給電線16と、主水タンク18と、制御装置19と、を備える。
【0109】
本実施形態の燃料電池システム10yは、さらに、図17に示すように、第一酸化ガス連結配管71fと、第二酸化ガス連結配管71sと、第一酸化ガス連結弁72fと、第二酸化ガス連結弁72sと、A第三酸化ガス回収弁73aと、B第三酸化ガス回収弁73bと、を有する。
【0110】
第一酸化ガス連結配管71fは、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス回収配管48b中のB第一位置74fbと、A燃料電池ユニット20AのA第一位置74faと、を連結する。B第一位置74fbは、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス回収配管48b中で第二酸化ガス回収弁49bよりも第一燃料電池スタック21fb側の位置である。また、A第一位置74faは、A燃料電池ユニット20Aの第二酸化ガス回収配管48a中で第二酸化ガス回収弁49aよりも第一燃料電池スタック21fa側の位置である。第二酸化ガス連結配管71sは、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス回収配管48b中のB第二位置74sbと、A燃料電池ユニット20Aの第二酸化ガス回収配管48a中のA第二位置74saと、を連結する。B第二位置74sbは、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス回収配管48b中で第二酸化ガス回収弁49bよりも第一燃料電池スタック21fb側で、且つB第一位置74fbよりも第二燃料電池スタック21sb側の位置である。A第二位置74saは、A燃料電池ユニット20Aの第二酸化ガス回収配管48a中でA第一位置74faよりも第一燃料電池スタック21fa側の位置である。
【0111】
第一酸化ガス連結弁72fは、第一酸化ガス連結配管71fに設けられている。第二酸化ガス連結弁72sは、前記第二酸化ガス連結配管71sに設けられている。A第三酸化ガス回収弁73aは、A燃料電池ユニット20Aの第二酸化ガス回収配管48a中でA第一位置74faとA第二位置74saとの間に設けられている。B第三酸化ガス回収弁73bは、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス回収配管48b中でB第一位置74fbとB第二位置74sbとの間に設けられている。
【0112】
本実施形態の燃料電池システム10yは、さらに、図18に示すように、第一燃料ガス連結配管75fと、第二燃料ガス連結配管75sと、第一燃料ガス連結弁76fと、第二燃料ガス連結弁76sと、A第三燃料ガス回収弁77aと、B第三燃料ガス回収弁77bと、を有する。
【0113】
第一燃料ガス連結配管75fは、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料ガス回収配管58b中のB第一位置78fbと、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料ガス回収配管58a中のA第一位置78faと、を連結する。B第一位置78fbは、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料ガス回収配管58b中で第二燃料ガス回収弁59bよりも第一燃料電池スタック21fb側の位置である。A第一位置78faは、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料ガス回収配管58a中で第二燃料ガス回収配管58aよりも第一燃料電池スタック21fa側の位置である。
【0114】
第二燃料ガス連結配管75sは、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料ガス回収配管58b中のB第二位置78sbと、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料ガス回収配管58a中のA第二位置78saと、を連結する。B第二位置78sbは、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料ガス回収配管58b中で第二燃料ガス回収弁59bよりも第一燃料電池スタック21fb側で且つB第一位置74fbよりも第二燃料電池スタック21sb側の位置である。A第二位置78saは、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料ガス回収配管58a中でA第一位置78faよりも第一燃料電池スタック21fa側の位置である。
【0115】
第一燃料ガス連結弁76fは、第一燃料ガス連結配管75fに設けられている。第二燃料ガス連結弁76sは、前記第二燃料ガス連結配管75sに設けられている。A第三燃料ガス回収弁77aは、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料ガス回収配管58a中でA第一位置78faとA第二位置78saとの間に設けられている。B第三燃料ガス回収弁77bは、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料ガス回収配管58b中でB第一位置78fbとB第二位置78sbとの間に設けられている。
【0116】
次に、移動体1の状態に応じた燃料電池システム10yの動作について説明する。
【0117】
まず、移動体1の基準面Pbが実質的に水平方向Dhに広がっている水平状態における燃料電池システム10yの動作について、図19図26を用いて説明する。
【0118】
本実施形態の燃料電池システム10yは、水平状態では、第三発電状態、第四発電状態、第五発電状態、第六発電状態を、この順序で繰り返して実行する。
【0119】
第三発電状態では、酸化ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図19に示すような状態になっている。
【0120】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス弁41Vaは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの副酸化ガス弁41Vbは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス弁43aは、開いており、第二酸化ガス弁47bは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス弁43b及び第二酸化ガス弁47bは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス回収弁45a及び第二酸化ガス回収弁49aは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス回収弁45bは、開いており、第二酸化ガス回収弁49bは、閉じている。
第一酸化ガス連結弁72fは、開いており、第二酸化ガス連結弁72sは、閉じている。
A第三酸化ガス回収弁73a及びB第三酸化ガス回収弁73bは、閉じている。
【0121】
また、第三発電状態では、燃料ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図20に示すような状態になっている。
【0122】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副燃料ガス弁51Vaは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの副燃料ガス弁51Vbは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス弁53aは、開いており、第二燃料ガス弁57bは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス弁53b及び第二燃料ガス弁57bは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス回収弁55a及び第二燃料ガス回収弁59aは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス回収弁55bは、開いており、第二燃料ガス回収弁59bは、閉じている。
第一燃料ガス連結弁76fは、開いており、第二燃料ガス連結弁76sは、閉じている。
A第三燃料ガス回収弁77a及びB第三燃料ガス回収弁77bは、閉じている。
【0123】
よって、この第三発電状態では、図19に示すように、酸化ガスタンク11内の酸化ガスは、主酸化ガス配管14、A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス配管41a、副酸化ガス弁41Va、第一酸化ガス配管42a、及び第一酸化ガス弁43aを介して、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa内に流入する。ここで、第一燃料電池スタック21faに流入する酸化ガスの量は、第一燃料電池スタック21faが所定の電力を発生するために必要な量より多く、後流の燃料電池スタック分の酸化ガスを含み、例えば、第一燃料電池スタック21faが所定の電力を発生するために必要な量の約4倍である。一方、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21saには、第二酸化ガス弁47aを介して、酸化ガスは流入しない。同様に、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fbには、第一酸化ガス弁43bを介して、酸化ガスは流入しない。さらに、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sbにも、第二酸化ガス弁47bを介して、酸化ガスは流入しない。
【0124】
また、この第三発電状態では、図20に示すように、燃料ガスタンク12内の燃料ガスは、
主燃料ガス配管15、A燃料電池ユニット20Aの副燃料ガス配管51a、副燃料ガス弁51Va、第一燃料ガス配管52a、及び第一燃料ガス弁53aを介して、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa内に流入する。ここで、第一燃料電池スタック21faに流入する燃料ガスの量は、第一燃料電池スタック21faが所定の電力を発生するために必要な量より多く、後流の燃料電池スタック分の燃料ガスを含み、例えば、第一燃料電池スタック21faが所定の電力を発生するために必要な量の約4倍である。一方、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21saには、第二燃料ガス弁57aを介して、燃料ガスは流入しない。同様に、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fbには、第一燃料ガス弁53bを介して、燃料ガスは流入しない。さらに、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sbにも、第二燃料ガス弁57bを介して、燃料ガスは流入しない。
【0125】
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa内に流入した酸化ガス中の酸素の一部と、第一燃料電池スタック21fa内に流入した燃料ガス中の水素の一部とは、この第一燃料電池スタック21fa内で反応して、電力を発生する。この結果、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21faでは、酸化ガスタンク11から送られてきた酸化ガス中の全酸素ガスのうち、約1/4が消費される。また、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21faでは、燃料ガスタンク12から送られてきた燃料ガス中の全水素ガスのうち、約1/4が消費される。この反応で生成された生成水及び余剰酸化ガスは、図19に示すように、第一酸化ガス排出配管61aを介して、第一空気極水タンク38fa内に流入する。この第一空気極水タンク38fa内では、水と余剰酸化ガスとが分離する。水は、第一空気極水タンク38fa内に留まる。一方、余剰酸化ガスは、第一空気極水タンク38faから、第一酸化ガス回収配管44a及び第一酸化ガス回収弁45aを介して、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa内に流入する。
【0126】
また、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa内の余剰燃料ガス、及びこの余剰燃料ガス中に含まれる水蒸気は、図20に示すように、第一燃料ガス排出配管66aを介して、第一燃料極水タンク39fa内に流入する。この第一燃料極水タンク39fa内では、水蒸気が液体の水になり、余剰燃料ガスと分離する。この水は、第一燃料極水タンク39fa内に留まる。一方、余剰燃料ガスは、第一燃料極水タンク39faから、第一燃料ガス回収配管54a及び第一燃料ガス回収弁55aを介して、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa内に流入する。
【0127】
A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa内に流入した余剰酸化ガス中の酸素と、この第二燃料電池スタック21sa内に流入した燃料ガス中の水素とは、この第二燃料電池スタック21sa内で反応して、電力を発生する。この結果、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21saでは、酸化ガスタンク11から送られてきた酸化ガス中の全酸素ガスのうち、さらに約1/4が消費され、燃料ガスタンク12から送られてきた燃料ガス中の全水素ガスのうち、さらに約1/4が消費される。この反応で生成された生成水及び余剰酸化ガスは、図19に示すように、第二酸化ガス排出配管63aを介して、第二空気極水タンク38sa内に流入する。この第二空気極水タンク38sa内では、水と余剰酸化ガスとが分離する。水は、第二空気極水タンク38sa内に留まる。一方、余剰酸化ガスは、第二空気極水タンク38saから、第二酸化ガス回収配管48a、第二酸化ガス回収弁49a、第一酸化ガス連結配管71f、第一酸化ガス連結弁72f、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス回収配管48bを介して、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb内に流入する。
【0128】
また、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa内の余剰燃料ガス、及びこの余剰燃料ガス中に含まれる水蒸気は、図20に示すように、第二燃料ガス排出配管68aを介して、第二燃料極水タンク39sa内に流入する。この第二燃料極水タンク39sa内では、水蒸気が液体の水になり、余剰燃料ガスと分離する。この水は、第二燃料極水タンク39sa内に留まる。一方、余剰燃料ガスは、第二燃料極水タンク39saから、第二燃料ガス回収配管58a、第二燃料ガス回収弁59a、第一燃料ガス連結配管75f、第一燃料ガス連結弁76f、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料ガス回収配管58bを介して、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb内に流入する。
【0129】
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb内に流入した余剰酸化ガス中の酸素と、この第一燃料電池スタック21fb内に流入した燃料ガス中の水素とは、この第一燃料電池スタック21fb内で反応して、電力を発生する。この結果、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fbでは、酸化ガスタンク11から送られてきた酸化ガス中の全酸素ガスのうち、さらに約1/4が消費され、燃料ガスタンク12から送られてきた燃料ガス中の全水素ガスのうち、さらに約1/4が消費される。この反応で生成された生成水及び余剰酸化ガスは、図19に示すように、第一酸化ガス排出配管61bを介して、第一空気極水タンク38fb内に流入する。この第一空気極水タンク38fb内では、水と余剰酸化ガスとが分離する。水は、第一空気極水タンク38fb内に留まる。一方、余剰酸化ガスは、第一空気極水タンク38fbから、第一酸化ガス回収配管44b及び第一酸化ガス回収弁45bを介して、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb内に流入する。
【0130】
また、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb内の余剰燃料ガス、及びこの余剰燃料ガス中に含まれる水蒸気は、図20に示すように、第一燃料ガス排出配管66bを介して、第一燃料極水タンク39fb内に流入する。この第一燃料極水タンク39fb内では、水蒸気が液体の水になり、余剰燃料ガスと分離する。この水は、第一燃料極水タンク39fb内に留まる。一方、余剰燃料ガスは、第一燃料極水タンク39fbから、第一燃料ガス回収配管54b及び第一燃料ガス回収弁55bを介して、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb内に流入する。
【0131】
B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb内に流入した余剰酸化ガス中の酸素と、この第二燃料電池スタック21sb内に流入した燃料ガス中の水素とは、この第一燃料電池スタック21fb内で反応して、電力を発生する。この結果、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sbでは、酸化ガスタンク11から送られてきた酸化ガス中の全酸素ガスのうち、さらに約1/4が消費され、燃料ガスタンク12から送られてきた燃料ガス中の全水素ガスのうち、さらに約1/4が消費される。すなわち、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sbでは、酸化ガスタンク11からの酸化ガス中の全酸素ガスが実質的に消費され、燃料ガスタンク12から送られてきた燃料ガス中の全水素ガスが実質的に消費される。但し、第二燃料電池スタック21sb内の反応で、この第二燃料電池スタック21sb内には徐々水が溜まってくる。この結果、第二燃料電池スタック21sbからの発電性能は、時間経過に伴って低下する。
【0132】
制御装置19は、第三発電状態の継続時間をタイマで監視している。制御装置19は、第二燃料電池スタック21sbからの発電性能が予め定めた発電性能以下になると想定される時間に至ると、燃料電池システム10yを再び第四発電状態に移行させる。
【0133】
以上のように、第三発電状態では、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが、
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa
→A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa
→B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb
→B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb
の順で流れる。
【0134】
言い換えると、第三発電状態では、各ガスタンク11,12に対して、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sbが、この順序で直列接続された状態になる。
【0135】
第四発電状態では、酸化ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図21に示すような状態になっている。
【0136】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス弁41Vaは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの副酸化ガス弁41Vbは、開いている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス弁43a及び第二酸化ガス弁47bは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス弁43bは、閉じており、第二酸化ガス弁47bは、開いている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス回収弁45a及び第二酸化ガス回収弁49aは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス回収弁45bは、閉じており、第二酸化ガス回収弁49bは、開いている。
第一酸化ガス連結弁72f及び第二酸化ガス連結弁72sは、開いている。
A第三酸化ガス回収弁73a及びB第三酸化ガス回収弁73bは、閉じている。
【0137】
また、第四発電状態では、燃料ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図22に示すような状態になっている。
【0138】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副燃料ガス弁51Vaは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの副燃料ガス弁51Vbは、開いている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス弁53a及び第二燃料ガス弁57bは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス弁53bは、閉じており、第二燃料ガス弁57bは、開いている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス回収弁55a及び第二燃料ガス回収弁59aは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス回収弁55bは、閉じており、第二燃料ガス回収弁59bは、開いている。
第一燃料ガス連結弁76f及び第二燃料ガス連結弁76sは、開いている。
A第三燃料ガス回収弁77a及びB第三燃料ガス回収弁77bは、閉じている。
【0139】
よって、この第四発電状態では、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが、
B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb
→A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa
→A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa
→B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb
の順で流れる。
【0140】
言い換えると、第四発電状態では、各ガスタンク11,12に対して、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fbが、この順序で直列接続された状態になる。
【0141】
第五発電状態では、酸化ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図23に示すような状態になっている。
【0142】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス弁41Vaは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの副酸化ガス弁41Vbは、開いている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス弁43a及び第二酸化ガス弁47bは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス弁43bは、開いており、第二酸化ガス弁47bは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス回収弁45aは、開いており、第二酸化ガス回収弁49aは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス回収弁45b及び第二酸化ガス回収弁49bは、開いている。
第一酸化ガス連結弁72fは、閉じており、第二酸化ガス連結弁72sは、開いている。
A第三酸化ガス回収弁73a及びB第三酸化ガス回収弁73bは、閉じている。
【0143】
また、第五発電状態では、燃料ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図24に示すような状態になっている。
【0144】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副燃料ガス弁51Vaは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの副燃料ガス弁51Vbは、開いている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス弁53a及び第二燃料ガス弁57bは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス弁53bは、開いており、第二燃料ガス弁57bは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス回収弁55aは、開いており、第二燃料ガス回収弁59aは、閉じている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス回収弁55b及び第二燃料ガス回収弁59bは、開いている。
第一燃料ガス連結弁76fは、閉じており、第二燃料ガス連結弁76sは、開いている。
A第三燃料ガス回収弁77a及びB第三燃料ガス回収弁77bは、閉じている。
【0145】
よって、この第五発電状態では、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが、
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb
→B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb
→A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa
→A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa
の順で流れる。
【0146】
言い換えると、第五発電状態では、各ガスタンク11,12に対して、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21saが、この順序で直列接続された状態になる。
【0147】
第六発電状態では、酸化ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図25に示すような状態になっている。
【0148】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス弁41Vaは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの副酸化ガス弁41Vbは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス弁43aは、閉じており、第二酸化ガス弁47bは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス弁43b及び第二酸化ガス弁47bは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一酸化ガス回収弁45aは、閉じており、第二酸化ガス回収弁49aは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス回収弁45b及び第二酸化ガス回収弁49bは、開いている。
第一酸化ガス連結弁72f及び第二酸化ガス連結弁72sは、開いている。
A第三酸化ガス回収弁73a及びB第三酸化ガス回収弁73bは、閉じている。
【0149】
また、第六発電状態では、燃料ガスが流れる配管中の各弁は、制御装置19からの指示で、図26に示すような状態になっている。
【0150】
具体的に、
A燃料電池ユニット20Aの副燃料ガス弁51Vaは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの副燃料ガス弁51Vbは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス弁53aは、閉じており、第二燃料ガス弁57bは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス弁53b及び第二燃料ガス弁57bは、閉じている。
A燃料電池ユニット20Aの第一燃料ガス回収弁55aは、閉じており、第二燃料ガス回収弁59aは、開いている。
B燃料電池ユニット20Bの第一燃料ガス回収弁55b及び第二燃料ガス回収弁59bは、開いている。
第一燃料ガス連結弁76f及び第二燃料ガス連結弁76sは、開いている。
A第三燃料ガス回収弁77a及びB第三燃料ガス回収弁77bは、閉じている。
【0151】
よって、この第六発電状態では、酸化ガスタンク11からの酸化ガス及び燃料ガスタンク12からの燃料ガスが、
A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa
→B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb
→B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb
→A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa
の順で流れる。
【0152】
言い換えると、第五発電状態では、各ガスタンク11,12に対して、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sb、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21faが、この順序で直列接続された状態になる。
【0153】
以上のように、本実施形態の燃料電池システム10yは、水平状態では、各ガスタンク11,12に対して、A燃料電池ユニット20Aの第一燃料電池スタック21fa、A燃料電池ユニット20Aの第二燃料電池スタック21sa、B燃料電池ユニット20Bの第一燃料電池スタック21fb、B燃料電池ユニット20Bの第二燃料電池スタック21sbが、四つの発電状態毎に異なる順序で直列接続された状態になる。そして、本実施形態の燃料電池システム10yは、水平状態では、全ての燃料電池スタックでの発電が継続される。
【0154】
本実施形態でも、基準面Pbが水平方向Dhに対して傾斜している傾斜状態が継続すると、第一実施形態で説明したように、A燃料電池ユニット20AとB燃料電池ユニット20Bとのうち、一方の燃料電池ユニットからの水の排出が困難になり、この一方の燃料電池ユニットでの発電性能が次第に低下する。このため、本実施形態では、一方の燃料電池ユニットでの発電性能が次第に低下してくると、二つの燃料電池ユニット20間でのガスの流れを遮断して、他方の燃料電池ユニットのみで、第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行する。
【0155】
例えば、図9に示すように、基準方向Dbにおける第一側Db1が第二側Db2より低くなるよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して傾斜している第一傾斜状態になったとする。この第一傾斜状態が継続すると、第一実施形態で説明したように、A燃料電池ユニット20Aでの発電性能が次第に低下する。
【0156】
この場合、本実施形態では、図27に示すように、第一酸化ガス連結弁72f及び第二酸化ガス連結弁72sを閉じて、二つの燃料電池ユニット20間での酸化ガスの流れを遮断する。そして、A燃料電池ユニット20Aの副酸化ガス弁41Vaを閉じ、B燃料電池ユニット20Bの副酸化ガス弁41Vbを開けて、B燃料電池ユニット20Bのみで第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行する。
【0157】
B燃料電池ユニット20Bを第一発電状態にする場合、図5を用いて前述した場合と同様、B燃料電池ユニット20Bの第一酸化ガス弁43b及び第一酸化ガス回収弁45bを開け、第二酸化ガス弁47b及び第二酸化ガス回収弁49bを閉じる。なお、この場合、A第三酸化ガス回収弁73a及びB第三酸化ガス回収弁73bを閉じる。
【0158】
また、B燃料電池ユニット20Bを第二発電状態にする場合、図28に示すように、図7を用いて前述した場合と同様、B燃料電池ユニット20Bの第二酸化ガス弁47b及び第二酸化ガス回収弁49bを開け、第一酸化ガス弁43b及び第一酸化ガス回収弁45bを閉じる。なお、この場合、A第三酸化ガス回収弁73aを閉じておく一方で、第二酸化ガス回収配48bを介して、第二空気極水タンク38sbからの余剰酸化ガスを第一燃料電池スタック21fbに送るために、B第三酸化ガス回収弁73bを開ける。また、A第三酸化ガス回収弁73aは、A燃料電池ユニット20Aを第二発電状態する場合に、開けられる。
【0159】
以上のように、本実施形態でも、基準面Pbが水平状態でも、傾斜状態でも、発電を継続させることができる。よって、本実施形態では、基準面Pbが各種状態でも、長期間にわたって継続的に発電することができる。
【0160】
また、本実施形態では、水平状態において、A燃料電池ユニット20AとB燃料電池ユニットBとがガス流れで直列接続された状態になることから、ガスが最初に流入する燃料電池ユニット20のスタック21へのガス流量が第一実施形態や第二実施形態よりも多くなる。このため、ガス流れ前方に位置するスタック20の発電性能が第一実施形態や第二実施形態よりも大幅に向上する。また、傾斜状態では、状況に応じてA燃料電池ユニット20AとB燃料電池ユニットB20Bとを分離し、スタック21からの排水が困難な側の燃料電池ユニット20の発電を停止させて保護する一方で、他方の燃料電池ユニット20で発電を継続することが可能となる。
【0161】
[変形例]
以上で説明したように、傾斜状態が継続することで、二つの燃料電池ユニット20のうち、一方の燃料電池ユニット20での発電性能が低下する。以上の各実施形態では、一方の燃料電池ユニット20での発電性能の低下を検知する検知器として電圧計36a,36bを用いている。しかしながら、この検知器として、図9等に示すように、水平方向Dhに対する基準面Pbの角度を検知する傾斜計37を用いてもよい。この傾斜計37は、二つの燃料電池ユニット20が互いに共有する。この場合、傾斜計37で検知された角度が予め定められた角度以上になっている状態が所定時間継続していると、傾斜状態の継続により、二つの燃料電池ユニット20のうち、一方の燃料電池ユニット20での発電性能が低下している、とする。
【0162】
以上の各実施形態の燃料電池システム10,10x,10yは、空気極水タンク38と、燃料極水タンク39とを有する。ところで、燃料電池スタック21内の反応で生じる生成水は、余剰酸化ガスと共に、専ら、空気極水タンク38に流入する。このため、燃料極水タンク39には、余剰燃料ガスと共に、この余剰燃料ガス中の水蒸気が流入し、生成水は流入しない。このため、燃料極水タンク39内に流入する水分の量は、酸素極水タンク内に流入する水分の量に比べて遥かに少ない。そこで、空気極水タンク38と燃料極水タンク39とうち、燃料極水タンク39を省略してもよい。
【0163】
以上の各実施形態では、二つの燃料電池ユニット20が、いずれも、二つの燃料電池スタック21を有する。しかしながら、二つの燃料電池ユニット20は、いずれも、三つ以上の燃料電池スタックを有してもよい。また、二つの燃料電池ユニット20は、いずれも、一つのみの燃料電池スタック21を有してもよい。
【0164】
以上の各実施形態の燃料電池システムは、二つの燃料電池ユニット20を備えている。しかしながら、燃料電池システムは、三以上の燃料電池ユニット20を備えてもよい。この場合、複数の燃料電池ユニット20毎に燃料電池スタックの向きを変える。また、三以上の燃料電池ユニット20を備え、且つ三以上の燃料電池ユニット20の相互間でガス流通できるようにする場合、傾斜状態に対応するため、三以上の燃料電池ユニット20の相互間でのガス流通を遮断できるようにするとよい。
【0165】
以上の各実施形態において、主給電線16中に、二次電池を追加してもよい。この場合、燃料電池ユニット20からの電力が一旦二次電池に充電される。そして、この二次電池からの電力でモータ3aが駆動する。
【0166】
[付記]
以上の実施形態における燃料電池システムは、例えば、以下のように把握される。
【0167】
(1)第一態様における燃料電池システムは、
二つの燃料電池ユニット20と、制御装置19と、を備える。二つの前記燃料電池ユニット20のそれぞれは、固体高分子形の少なくとも一つの燃料電池スタック21と、前記少なくとも一つの燃料電池スタック21で発生した電力を外部に送る給電線30と、前記少なくとも一つの燃料電池スタック21に水素を含む燃料ガスを導くことができる燃料ガス配管50と、前記少なくとも一つの燃料電池スタック21に酸素を含む酸化ガスを導くことができる酸化ガス配管40と、前記少なくとも一つの燃料電池スタック21で生成された水を排出できる排出配管60,65と、前記排出配管60,65に接続され、前記少なくとも一つの燃料電池スタック21からの水を溜めることができる水タンク38,39と、を有する。二つの前記燃料電池ユニット20のうちの一方の燃料電池ユニット20における前記少なくとも一つの前記燃料電池スタック21である一方側燃料電池スタック21A、及び他方の燃料電池ユニット20における前記少なくとも一つの前記燃料電池スタック21である他方側燃料電池スタック21Bは、いずれも、前記排出配管60,65が接続される排出端面27を有する。前記一方側燃料電池スタック21A及び前記他方側燃料電池スタック21Bは、いずれも、基準面Pb上に配置されている。前記他方側燃料電池スタック21Bの前記排出端面27は、前記基準面Pbに平行な基準方向Dbで互いに相反する二つの側のうち、一方側Db1を向いている。前記一方側燃料電池スタック21Aの前記排出端面27は、前記基準方向Dbで互いに相反する二つの側のうち、他方側Db2を向いている。前記一方の燃料電池ユニット20は、さらに、前記一方側燃料電池スタック21Aでの発電量と相関性のある相関値を検知する一方側検知器34,36と、前記一方側燃料電池スタック21Aによる発電を停止させることができる一方側発電操作器35と、を有する。前記他方の燃料電池ユニット20は、さらに、前記他方側燃料電池スタック21Bでの発電量と相関性のある相関値を検知する他方側検知器34,36と、前記他方側燃料電池スタック21Bによる発電を停止させることができる他方側発電操作器35と、を有する。前記制御装置19は、前記一方側検知器34,36で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記一方側発電操作器35で、前記一方側燃料電池スタック21Aによる発電を停止させ、前記他方側検知器34,36で検知された前記相関値が示す発電量が予め定められた値より小さくなると、前記他方側発電操作器35で、前記他方側燃料電池スタック21Bによる発電を停止させる。
【0168】
まず、基準方向Dbの一方側Db1がやや下を向くように、基準面Pbが水平方向Dhに傾斜している第一傾斜状態について考察する。本態様において、第一傾斜状態では、一方側燃料電池スタック21Aから水が排出されなくなる、若しくは、一方側燃料電池スタック21Aから水が排出されづらくなる。このため、第一傾斜状態が継続していると、一方側燃料電池スタック21Aでの発電性能が低下し、最終的には、一方側燃料電池スタック21Aは発電できなくなるおそれがある。しかしながら、本態様では、他方側燃料電池スタック21Bから水を排出できる。しかも、第一傾斜状態では、基準面Pbが実質的に水平方向Dhに広がっている水平状態より、他方側燃料電池スタック21Bから効率的に水を排出できる。このため、本態様において、第一傾斜状態でも、他方側燃料電池スタック21Bで発電することができる。
【0169】
次に、基準方向Dbの他方側Db2がやや下を向くように、基準面Pbが水平方向Dhに傾斜している第二傾斜状態について考察する。本態様において、第二傾斜状態では、他方側燃料電池スタック21Bから水が排出されなくなる、若しくは、他方側燃料電池スタック21Bから水が排出されづらくなる。このため、第二傾斜状態が継続していると、他方側燃料電池スタック21Bでの発電性能が低下し、最終的には、他方側燃料電池スタック21Bは発電できなくなるおそれがある。しかしながら、本態様では、一方側燃料電池スタック21Aから水を排出できる。しかも、第二傾斜状態では、水平状態より、一方側燃料電池スタック21Aから効率的に水を排出できる。このため、本態様において、第二傾斜状態でも、一方側燃料電池スタック21Aで発電することができる。
【0170】
以上のように、本態様では、基準面Pbが第一傾斜状態でも、第二傾斜状態でも、発電を継続させることができる。よって、本態様では、基準面Pbが各種状態でも、長期間にわたって継続的に発電することができる。
【0171】
(2)第二態様における燃料電池システムは、
前記第一態様における燃料電池システムにおいて、前記一方側燃料電池スタック21Ax及び前記他方側燃料電池スタック21Bxは、いずれも、前記排出端面27と背合わせの関係にある非排出端面28を有する。前記一方側燃料電池スタック21Axの前記排出端面27が前記一方側燃料電池スタック21Aの前記非排出端面28よりも前記基準面Pbに近くなるよう、前記一方側燃料電池スタック21Aは、前記基準面Pbに対して傾斜して配置されている。前記他方側燃料電池スタック21Bxの前記排出端面27が前記他方側燃料電池スタック21Bxの前記非排出端面28よりも前記基準面Pbに近くなるよう、前記他方側燃料電池スタック21Bxは、前記基準面Pbに対して傾斜して配置されている。
【0172】
まず、基準方向Dbにおける一方側Db1が僅かに下を向くよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して僅かに傾斜している第一弱傾斜状態、及び、基準方向Dbにおける他方側Db2が僅かに下を向くようよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して僅かに傾斜している第二弱傾斜状態について考察する。本態様において、第一弱傾斜状態及び第二弱傾斜状態では、水平状態と同様に、一方側燃料電池スタック21Axからも、他方側燃料電池スタック21Bxからも水を排出できる。このため、本態様では、第一弱傾斜状態でも第二弱傾斜状態でも、水平状態と同様に、一方側燃料電池スタック21Ax及び他方側燃料電池スタック21Bxで発電することができる。
【0173】
次に、基準方向Dbにおける一方側Db1がやや下を向くよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して、第一弱傾斜状態より傾いている第一強傾斜状態について考察する。本態様において、第一強傾斜状態では、一方側燃料電池スタック21Axから水が排出されなくなる、若しくは、一方側燃料電池スタック21Axから水が排出されづらくなる。このため、第一強傾斜状態が継続していると、一方側燃料電池スタック21Axでの発電性能が低下し、最終的には、一方側燃料電池スタック21Axは発電できなくなるおそれがある。しかしながら、本態様では、他方側燃料電池スタック21Bxから水を排出できる。このため、本態様において、第一強傾斜状態でも、他方側燃料電池スタック21Bxで発電することができる。
【0174】
次に、基準方向Dbにおける他方側Db2がやや下を向くよう、基準面Pbが水平方向Dhに対して、第二弱傾斜状態より傾いている第二強傾斜状態について考察する。本態様において、第二強傾斜状態では、他方側燃料電池スタック21Bxから水が排出されなくなる、若しくは、他方側燃料電池スタック21Bxから水が排出されづらくなる。このため、第二強傾斜状態が継続していると、他方側燃料電池スタック21Bxでの発電性能が低下し、最終的には、他方側燃料電池スタック21Bxは発電できなくなるおそれがある。しかしながら、本態様では、一方側燃料電池スタック21Axから水を排出できる。このため、本態様において、第二強傾斜状態でも、一方側燃料電池スタック21Axで発電することができる。
【0175】
(3)第三態様における燃料電池システムは、
前記第一態様又は前記第二態様における燃料電池システムにおいて、前記一方側検知器34,36は、前記一方側燃料電池スタック21Aの発生電力の電圧を検知する電圧計36を有し、前記他方側検知器34,36は、前記他方側燃料電池スタック21Bの発生電力の電圧を検知する電圧計36を有する。又は、前記一方側検知器34,36及び前記他方側検知器34,36は、互に共有する検知器であり、水平方向Dhに対する前記基準面Pbの角度を検知する傾斜計37を有する。
【0176】
(4)第四態様における燃料電池システムは、
前記第一態様から前記第三態様のいずれか一態様における燃料電池システムにおいて、前記一方側発電操作器35は、前記一方の燃料電池ユニット20の前記給電線30に設けられている遮断器35を有する。前記他方側発電操作器35は、前記他方の燃料電池ユニット20の前記給電線30に設けられている遮断器35を有する。
【0177】
(5)第五態様における燃料電池システムは、
前記第一態様から前記第四態様のいずれか一態様における燃料電池システムにおいて、前記燃料ガスを流すことができる主燃料ガス配管15と、前記酸化ガスを流すことができる主酸化ガス配管14と、をさらに備える。前記一方の燃料電池ユニット20は、前記少なくとも一つの燃料電池スタック21として、一方側第一スタック21faと、一方側第二スタック21saと、を有する。前記他方の燃料電池ユニット20は、前記少なくとも一つの燃料電池スタック21として、他方側第一スタック21fbと、他方側第二スタック21sbと、を有する。前記燃料ガス配管50は、前記主燃料ガス配管15から分岐している一方側燃料ガス配管51aと、前記一方側燃料ガス配管51aから分岐して前記一方側第一スタック21faに接続されている一方側第一燃料ガス配管52aと、前記一方側燃料ガス配管51aから分岐して前記一方側第二スタック21saに接続されている一方側第二燃料ガス配管56aと、一方側第一燃料ガス回収配管54aと、一方側第二燃料ガス回収配管58aと、を有する。前記燃料ガス配管50は、さらに、前記主燃料ガス配管15から分岐している他方側燃料ガス配管51bと、前記他方側燃料ガス配管51bから分岐して前記他方側第一スタック21fbに接続されている他方側第一燃料ガス配管52bと、前記他方側燃料ガス配管51bから分岐して前記他方側第二スタック21sbに接続されている他方側第二燃料ガス配管56bと、他方側第一燃料ガス回収配管54bと、他方側第二燃料ガス回収配管58bと、を有する。前記酸化ガス配管40は、前記主酸化ガス配管14から分岐している一方側酸化ガス配管41aと、前記一方側酸化ガス配管41aから分岐して前記一方側第一スタック21faに接続されている一方側第一酸化ガス配管42aと、前記一方側酸化ガス配管41aから分岐して前記一方側第二スタック21saに接続されている一方側第二酸化ガス配管46aと、一方側第一酸化ガス回収配管44aと、一方側第二酸化ガス回収配管48aと、を有する。と共に、前記酸化ガス配管40は、さらに、前記主酸化ガス配管14から分岐している他方側酸化ガス配管41bと、前記他方側酸化ガス配管41bから分岐して前記他方側第一スタック21fbに接続されている他方側第一酸化ガス配管42bと、前記他方側酸化ガス配管41bから分岐して前記他方側第二スタック21sbに接続されている他方側第二酸化ガス配管46bと、他方側第一酸化ガス回収配管44bと、他方側第二酸化ガス回収配管48bと、を有する。前記排出配管60,65は、前記一方側第一スタック21faからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる一方側第一燃料ガス排出配管66aと、前記一方側第二スタック21saからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる一方側第二燃料ガス排出配管68aと、前記一方側第一スタック21faからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる一方側第一酸化ガス排出配管61aと、前記一方側第二スタック21saからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる一方側第二酸化ガス排出配管63aと、を有する。前記排出配管60,65は、さらに、前記他方側第一スタック21fbからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる他方側第一燃料ガス排出配管66bと、前記他方側第二スタック21sbからの余剰燃料ガスと共に水を排出できる他方側第二燃料ガス排出配管68bと、前記他方側第一スタック21fbからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる他方側第一酸化ガス排出配管61bと、前記他方側第二スタック21sbからの余剰酸化ガスと共に水を排出できる他方側第二酸化ガス排出配管63bと、を有する。前記水タンク38,39は、前記一方側第一酸化ガス排出配管61aに接続されている一方側第一水タンク38faと、前記一方側第二酸化ガス排出配管63aに接続されている一方側第二水タンク38saと、前記他方側第一酸化ガス排出配管61bに接続されている他方側第一水タンク38fbと、前記他方側第二酸化ガス排出配管63bに接続されている他方側第二水タンク38sbと、を有する。前記一方の燃料電池ユニット20は、さらに、前記一方側燃料ガス配管51aに設けられている一方側燃料ガス弁51Vaと、前記一方側第一燃料ガス配管52aに設けられている一方側第一燃料ガス弁53aと、前記一方側第一燃料ガス回収配管54aに設けられている一方側第一燃料ガス回収弁55aと、前記一方側第二燃料ガス配管56aに設けられている一方側第二燃料ガス弁57aと、前記一方側第二燃料ガス回収配管58aに設けられている一方側第二燃料ガス回収弁59aと、を有する。前記一方の燃料電池ユニット20は、さらに、前記一方側酸化ガス配管41aに設けられている一方側酸化ガス弁41Vaと、前記一方側第一酸化ガス配管42aに設けられている一方側第一酸化ガス弁43aと、前記一方側第一酸化ガス回収配管44aに設けられている一方側第一酸化ガス回収弁45aと、前記一方側第二酸化ガス配管46aに設けられている一方側第二酸化ガス弁47aと、前記一方側第二酸化ガス回収配管48aに設けられている一方側第二酸化ガス回収弁49aと、を有する。前記他方の燃料電池ユニット20は、さらに、前記他方側燃料ガス配管51bに設けられている他方側燃料ガス弁51Vbと、前記他方側第一燃料ガス配管52bに設けられている他方側第一燃料ガス弁53bと、前記他方側第一燃料ガス回収配管54bに設けられている他方側第一燃料ガス回収弁55bと、前記他方側第二燃料ガス配管56bに設けられている他方側第二燃料ガス弁57bと、前記他方側第二燃料ガス回収配管58bに設けられている他方側第二燃料ガス回収弁59bと、を有する。前記他方の燃料電池ユニット20は、さらに、前記他方側酸化ガス配管41bに設けられている他方側酸化ガス弁41Vbと、前記他方側第一酸化ガス配管42bに設けられている他方側第一酸化ガス弁43bと、前記他方側第一酸化ガス回収配管44bに設けられている他方側第一酸化ガス回収弁45bと、前記他方側第二酸化ガス配管46bに設けられている他方側第二酸化ガス弁47bと、前記他方側第二燃料ガス回収配管58bに設けられている他方側第二酸化ガス回収弁49bと、を有する。前記一方側第一燃料ガス回収配管54aは、前記一方側第一燃料ガス排出配管66aからの前記余剰燃料ガスを、前記一方側第二燃料ガス配管56a中で前記一方側第二燃料ガス弁57aよりも前記一方側第二スタック21sa側の位置に導くことができるように構成されている。前記一方側第二燃料ガス回収配管58aは、前記一方側第二燃料ガス排出配管68aからの前記余剰燃料ガスを、前記一方側第一燃料ガス配管52a中で前記一方側第一燃料ガス弁53aよりも前記一方側第一スタック21fa側の位置に導くことができるように構成されている。前記一方側第一酸化ガス回収配管44aは、前記一方側第一酸化ガス排出配管61aから前記一方側第一水タンク38faに流入した前記余剰酸化ガスを、前記一方側第二酸化ガス配管46a中で前記一方側第二酸化ガス弁47aよりも前記一方側第二スタック21sa側の位置に導くことができるように構成されている。前記一方側第二酸化ガス回収配管48aは、前記一方側第二酸化ガス排出配管63aから前記一方側第二水タンク38saに流入した前記余剰酸化ガスを、前記一方側第一酸化ガス配管42a中で前記一方側第一酸化ガス弁43aよりも前記一方側第一スタック21fa側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第一燃料ガス回収配管54bは、前記他方側第一燃料ガス排出配管66bからの前記余剰燃料ガスを、前記他方側第二燃料ガス配管56b中で前記他方側第二燃料ガス弁57bよりも前記他方側第二スタック21sb側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第二燃料ガス回収配管58bは、前記他方側第二燃料ガス排出配管68bからの前記余剰燃料ガスを、前記他方側第一燃料ガス配管52b中で前記他方側第一燃料ガス弁53bよりも前記他方側第一スタック21fb側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第一酸化ガス回収配管44bは、前記他方側第一酸化ガス排出配管61bから前記他方側第一水タンク38fbに流入した前記余剰酸化ガスを、前記他方側第二酸化ガス配管46b中で前記他方側第二酸化ガス弁47bよりも前記他方側第二スタック21sb側の位置に導くことができるように構成されている。前記他方側第二酸化ガス回収配管48bは、前記他方側第二酸化ガス排出配管63bから前記他方側第二水タンク38sbに流入した前記余剰酸化ガスを、前記他方側第一酸化ガス配管42b中で前記他方側第一酸化ガス弁43bよりも前記他方側第一スタック21fb側の位置に導くことができるように構成されている。
【0178】
本態様では、一方の燃料電池ユニット20及び他方の燃料電池ユニット20のそれぞれで、第一発電状態及び第二発電状態を実現できる。第一発電状態では、ガス源からのガスを第一スタック21fに流し、第一スタック21fでの余剰ガスを第二スタック21sに流す。また、第二発電状態では、ガス源からのガスを第二スタック21sに流し、第二スタック21sでの余剰ガスを第一スタック21fに流す。
【0179】
(6)第六態様における燃料電池システムは、
前記第五態様における燃料電池システムにおいて、さらに、第一燃料ガス連結配管75fと、第二燃料ガス連結配管75sと、第一燃料ガス連結弁76fと、第二燃料ガス連結弁76sと、一方側第三燃料ガス回収弁77aと、他方側第三燃料ガス回収弁77bと、第一酸化ガス連結配管71fと、第二酸化ガス連結配管71sと、第一酸化ガス連結弁72fと、第二酸化ガス連結弁72sと、一方側第三酸化ガス回収弁73aと、他方側第三酸化ガス回収弁73bと、を有する。前記第一燃料ガス連結配管75fは、前記他方側第二燃料ガス回収配管58b中で前記他方側第二燃料ガス回収弁59bよりも前記他方側第一スタック21fb側の位置である他方側第一位置78fbと、前記一方側第二燃料ガス回収配管58a中で前記一方側第二燃料ガス回収配管58aよりも前記一方側第一スタック21fa側の位置である一方側第一位置78faと、を連結する。前記第二燃料ガス連結配管75sは、前記他方側第二燃料ガス回収配管58b中で前記他方側第二燃料ガス回収弁59bよりも前記他方側第一スタック21fb側で且つ前記他方側第一位置74fbよりも前記他方側第二スタック21sb側の位置である他方側第二位置78sbと、前記一方側第二燃料ガス回収配管58a中で一方側第一位置78faよりも前記一方側第一スタック21fa側の位置である一方側第二位置78saと、を連結する。前記第一燃料ガス連結弁76fは、前記第一燃料ガス連結配管75fに設けられている。前記第二燃料ガス連結弁76sは、前記第二燃料ガス連結配管75sに設けられている。前記一方側第三燃料ガス回収弁77aは、前記一方側第二燃料ガス回収配管58a中で前記一方側第一位置78faと前記一方側第二位置78saとの間に設けられている。前記他方側第三燃料ガス回収弁77bは、前記他方側第二燃料ガス回収配管58b中で前記他方側第一位置78fbと前記他方側第二位置78sbとの間に設けられている。前記第一酸化ガス連結配管71fは、前記他方側第二酸化ガス回収配管48b中で前記他方側第二酸化ガス回収弁49bよりも前記他方側第一スタック21fb側の位置である他方側第一位置74fbと、前記一方側第二酸化ガス回収配管48a中で前記一方側第二酸化ガス回収弁49aよりも前記一方側第一スタック21fa側の位置である一方側第一位置74faと、を連結する。前記第二酸化ガス連結配管71sは、前記他方側第二酸化ガス回収配管48b中で前記他方側第二酸化ガス回収弁49bよりも前記他方側第一スタック21fb側で且つ前記他方側第一位置74fbよりも前記他方側第二スタック21sb側の位置である他方側第二位置74sbと、前記一方側第二酸化ガス回収配管48a中で一方側第一位置74faよりも前記一方側第一スタック21fa側の位置である一方側第二位置74saと、を連結する。前記第一酸化ガス連結弁72fは、前記第一酸化ガス連結配管71fに設けられている。前記第二酸化ガス連結弁72sは、前記第二酸化ガス連結配管71sに設けられている。前記一方側第三酸化ガス回収弁73aは、前記一方側第二酸化ガス回収配管48a中で前記一方側第一位置74faと前記一方側第二位置74saとの間に設けられている。前記他方側第三酸化ガス回収弁73bは、前記他方側第二酸化ガス回収配管48b中で前記他方側第一位置74fbと前記他方側第二位置74sbとの間に設けられている。
【0180】
本態様では、ガス供給源に対して、一方側第一スタック21fa、一方側第二スタック21sa、他方側第一スタック21fb、他方側第二スタック21sbが、四つの発電状態毎に異なる順序で直列接続された状態することができる。このため、本態様では、ガス供給源からのガスを、一方側第一スタック21fa、一方側第二スタック21sa、他方側第一スタック21fb、他方側第二スタック21sbの一つずつに、四つの発電状態毎に異なる順序で、ガス供給源からのガスを流すことができる。
【0181】
また、本態様では、二つの燃料電池ユニット20間でのガスの流れを遮断して、二つの燃料電池ユニット20のうち、一の燃料電池ユニット20のみで、前述した第一発電状態と第二発電状態とを繰り返して実行することができる。
【0182】
以上の実施形態における移動体は、例えば、以下のように把握される。
【0183】
(7)第七態様における移動体は、
前記第一態様から前記第六態様のいずれか一態様における燃料電池システムと、前記燃料電池システムを覆う移動体ケーシング2と、移動体ケーシング2に設けられ、前記移動体ケーシング2を三次元空間内で推進させることができる推進装置3と、を備える。
【符号の説明】
【0184】
1:移動体
2:移動体ケーシング
3:推進装置
3a:モータ
3b:スクリュー(推進機)
4:方向舵
10,10x,10y:燃料電池システム
11:酸化ガスタンク
12:燃料ガスタンク
14:主酸化ガス配管
15:主燃料ガス配管
16:主給電線
16p:主正極電線
16n:主負極電線
17:主遮断器
17p:主正極遮断器
17n:主負極遮断器
18:主水タンク
19:制御装置
20,20x:燃料電池ユニット
20A,20Ax:A燃料電池ユニット
20B,20Bx:B燃料電池ユニット
21,21x:燃料電池スタック
21A,21Ax:A燃料電池スタック
21B,21Bx:B燃料電池スタック
21f,21fa,21fb:第一燃料電池スタック
21s,21sa,21sb:第二燃料電池スタック
27:排出端面
28:非排出端面
30,30a,30b:給電線
31pa,31pb:正極電線
31na,31nb:負極電線
32a,32b:第一電線
33a,33b:連結電線
34a,34b:第二電線
35,35a,35b:遮断器(又は副遮断器)
36,36a,36b:電圧計
37:傾斜計
38:空気極水タンク
38fa,38fb:第一空気極水タンク
38sa,38sb:第二空気極水タンク
39:燃料極水タンク
39fa,39fb:第一燃料極水タンク
39sa,39sb:第二燃料極水タンク
40:酸化ガス配管
41a,41b:副酸化ガス配管
41Va,41Vb:副酸化ガス弁
42a,42b:第一酸化ガス配管
43a,43b:第一酸化ガス弁
44a,44b:第一酸化ガス回収配管
45a,45b:第一酸化ガス回収弁
46a,46b:第二酸化ガス配管
47a,47b:第二酸化ガス弁
48a,48b:第二酸化ガス回収配管
49a,49b:第二酸化ガス回収弁
50:燃料ガス配管
51a,51b:副燃料ガス配管
51Va,51Vb:副燃料ガス弁
52a,52b:第一燃料ガス配管
53a,53b:第一燃料ガス弁
54a,54b:第一燃料ガス回収配管
55a,55b:第一燃料ガス回収弁
56a,56b:第二燃料ガス配管
57a,57b:第二燃料ガス弁
58a,58b:第二燃料ガス回収配管
59a,59b:第二燃料ガス回収弁
60:酸化ガス排出配管(又は単に排出配管)
61a,61b:第一酸化ガス排出配管
63a,63b:第二酸化ガス排出配管
65a,65b:燃料ガス排出配管(又は単に排出配管)
66a,66b:第一燃料ガス排出配管
68a,68b:第二燃料ガス排出配管
71f:第一酸化ガス連結配管
71s:第二酸化ガス連結配管
72f:第一酸化ガス連結弁
72s:第二酸化ガス連結弁
73a:A第三酸化ガス回収弁(又は一方側第三酸化ガス回収弁)
73b:B第三酸化ガス回収弁(又は他方側第三酸化ガス回収弁)
75f:第一燃料ガス連結配管
75s:第二燃料ガス連結配管
76f:第一燃料ガス連結弁
76s:第二燃料ガス連結弁
77a:A第三燃料ガス回収弁(又は一方側第三燃料ガス回収弁)
77b:B第三燃料ガス回収弁(又は他方側第三燃料ガス回収弁)
Pb:基準面
Db:基準方向
Db1:第一側(一方側)
Db2:第二側(他方側)
Dh:水平方向
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