(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】解析支援装置及び解析支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20241004BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B5/00 G
(21)【出願番号】P 2020184638
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西高 慎也
(72)【発明者】
【氏名】荒木田 和正
(72)【発明者】
【氏名】吉脇 正泰
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-011829(JP,A)
【文献】特表2011-505949(JP,A)
【文献】特開2004-290428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00- 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が撮像された医用画像を取得する取得部と、
前記患者に関する複数の非画像情報のうち、前記医用画像に関連する非画像情報を特定
して収集する特定部と、
特定された前記非画像情報を利用した前記医用画像の解析結果を出力する解析部と、
を備え
、
前記特定部は、
初回の収集から規定の期間内は、1または複数の医用情報処理装置に前記患者に関する新たな非画像情報が保存されたか否か、または収集済みの前記非画像情報が前記1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定し、
前記1または複数の医用情報処理装置に前記新たな非画像情報が保存されたか否かを判定した場合において、前記1または複数の医用情報処理装置に前記新たな非画像情報が保存された場合は、前記新たな非画像情報を収集し、
収集済みの前記非画像情報が前記1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定した場合において、前記非画像情報が変更された場合は、変更された前記非画像情報を収集する、
解析支援装置。
【請求項2】
前記医用画像に関連する非画像情報は、前記医用画像の解析に必要な非画像情報であり、
前記解析部は、特定された前記非画像情報に基づいて、前記医用画像を解析する、
請求項1に記載の解析支援装置。
【請求項3】
前記解析部によって前記医用画像の解析に使用される前記非画像情報は予め定められており、
前記特定部は、1または複数の医用情報処理装置に保存された複数の情報のうち、前記医用画像の解析に使用されることが予め定められた前記非画像情報に該当するものを前記医用画像の解析に必要な非画像情報として特定し、特定した前記非画像情報を収集する、
請求項1または2に記載の解析支援装置。
【請求項4】
前記解析部は、
前記特定部によって収集された前記非画像情報に基づいて、前記医用画像を解析し、
前記医用画像の解析後に、新たな非画像情報が前記特定部によって収集された場合には、前記新たな非画像情報に基づいて前記医用画像を再解析する、
請求項
1に記載の解析支援装置。
【請求項5】
前記特定部は、初回の収集から規定の期間内は、収集済みの前記非画像情報が
前記1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定し、前記非画像情報が変更された場合であって、かつ、変更された前記非画像情報が規定の条件に該当する場合には、変更された前記非画像情報を収集する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の解析支援装置。
【請求項6】
前記規定の条件は、変更前後の前記非画像情報の差異の大きさの閾値であり、
前記特定部は、変更前後の前記非画像情報の差異が、前記閾値以上である場合、変更された前記非画像情報を収集する、
請求項
1に記載の解析支援装置。
【請求項7】
前記解析部は、
前記特定部によって収集された前記非画像情報に基づいて、前記医用画像を解析し、
前記医用画像の解析後に、変更された前記非画像情報が前記特定部によって収集された場合には、変更された前記非画像情報に基づいて前記医用画像を再解析する、
請求項
1に記載の解析支援装置。
【請求項8】
前記解析部によって前記医用画像が再解析され、かつ、再解析の前後で解析結果が異なる場合、前記医用画像の解析結果が更新されたことをユーザに通知する通知部、を備える、
請求項1から
7のいずれか1項に記載の解析支援装置。
【請求項9】
前記解析部
の機能は、前記医用画像を解析する解析アプリケーション
により実現される、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の解析支援装置。
【請求項10】
患者が撮像された医用画像を取得する取得部と、
前記患者に関する複数の非画像情報のうち、前記医用画像に関連する非画像情報を特定する特定部と、
特定された前記非画像情報を利用した前記医用画像の解析結果を出力する解析部と、
を備え、
前記特定部は、規定の医療的イベントが発生した場合に、前記非画像情報の収集の頻度を変更する、
解析支援装置。
【請求項11】
解析装置と解析支援装置とを含み、
前記解析装置は、
患者に関する医用画像を、前記患者に関する非画像情報を用いて解析する解析部を備え、
前記解析支援装置は、
前記解析装置によって前記医用画像の解析に使用される前記非画像情報を、1または複数の医用情報処理装置から収集する収集部と、
前記収集部によって収集された前記非画像情報を、前記解析装置に入力する入力部と、を備え
、
前記収集部は、
初回の収集から規定の期間内は、1または複数の医用情報処理装置に前記患者に関する新たな非画像情報が保存されたか否か、または収集済みの前記非画像情報が前記1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定し、
前記1または複数の医用情報処理装置に前記新たな非画像情報が保存されたか否かを判定した場合において、前記1または複数の医用情報処理装置に前記新たな非画像情報が保存された場合は、前記新たな非画像情報を収集し、
収集済みの前記非画像情報が前記1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定した場合において、前記非画像情報が変更された場合、または、前記非画像情報が変更され、変更された前記非画像情報が規定の条件に該当する場合は、変更された前記非画像情報を収集する、
解析支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、解析支援装置及び解析支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医師が、解析アプリケーションを用いて医用画像の解析をする技術が知られている。このような解析アプリケーションにおいては、解析対象の医用画像に加えて、患者に関する非画像情報を使用する場合がある。このような技術において、様々な非画像情報を、医師が手動で収集して解析アプリケーションに入力することは作業負荷が高くなる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、解析対象の医用画像に関する非画像情報の収集に係るユーザの作業負荷を低減することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る解析支援装置は、取得部と、特定部と、解析部とを備える。取得部は、患者が撮像された医用画像を取得する。特定部は、患者に関する複数の非画像情報のうち、医用画像に関連する非画像情報を特定する。解析部は、特定された非画像情報を利用した医用画像の解析結果を出力する。特定部は、初回の収集から規定の期間内は、1または複数の医用情報処理装置に患者に関する新たな非画像情報が保存されたか否か、または収集済みの非画像情報が1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定する。また、特定部は、1または複数の医用情報処理装置に新たな非画像情報が保存されたか否かを判定した場合において、1または複数の医用情報処理装置に新たな非画像情報が保存された場合は、新たな非画像情報を収集する。特定部は、収集済みの非画像情報が1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定した場合において、非画像情報が変更された場合は、変更された非画像情報を収集する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る解析支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る解析支援装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る通知画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る画像解析処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る解析支援システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、解析支援装置及び解析支援システムの実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る解析支援システムS1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、解析支援システムS1は、解析支援装置100aを含む。なお、本実施形態においては、医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202は解析支援システムS1に含まれないものとするが、医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202が解析支援システムS1に含まれても良い。
【0009】
医用画像保管装置201は、PACS(Picture Archiving and Communication System)等によって実現され、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した形式で、患者に関する医用画像を保管する。患者に関する医用画像は、医用画像診断装置によって患者が撮像されて得られた画像である。医用画像診断装置の種類は特に限定されるものではない。本実施形態においては、医用画像がX線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置によって撮像されたCT画像である場合を例として説明するが、医用画像はこれに限定されるものではない。例えば、医用画像は、磁気共鳴画像、超音波画像、またはX線画像等でも良い。
【0010】
また、電子カルテシステム202は、患者に関する情報を含む電子カルテデータを、システム内の記憶回路に記憶する。電子カルテシステム202に記憶される患者に関する情報は、例えば、患者の属性情報、医師による患者の問診結果、医師による患者の身体所見、患者の血液検査結果、及びバイタルデータ等である。なお、これらは一例であり、電子カルテシステム202は、さらに他の情報を記憶しても良い。例えば、電子カルテシステム202は、さらに、患者の病歴、及び医療機関への受診歴等を記憶しても良い。
【0011】
患者の属性情報は、例えば、患者の年齢、性別、身長、及び体重等であるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
問診結果は、医師が患者に問診して得た情報であり、例えば患者の自覚症状に関する情報を含む。
【0013】
身体所見は、医師が患者に対して、視診、聴診、触診、打診、腱反射、及び対光反射等を行うことにより得た情報である。身体所見は、例えば、患者の身体の麻痺の有無、及び麻痺の発生している身体部位に関する情報を含む。
【0014】
身体所見や問診結果は、例えば、緊急搬送された患者に対応した救急医、または患者の主治医等によって入力される。
【0015】
解析支援装置100aは、患者に関する医用画像を解析する解析アプリケーション40を実行可能な情報処理装置である。解析アプリケーション40は、例えば、医用画像に描出された患者の身体組織のうち、病変部位を画像解析によって特定する。なお、解析アプリケーション40の解析機能の内容は、これに限定されるものではない。解析アプリケーション40は、例えば、公知のコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnosis/Detection:CAD)の機能を備えるものとする。
【0016】
図1に示す例では、解析アプリケーション40は、患者に関する治療や検査の情報を表示する医療情報統合ビューア50の一機能として実行される。医療情報統合ビューア50は、患者に関する各種の医療情報を表示可能なビューアである。また、医療情報統合ビューア50は、ユーザ9によるデータ入力等を受け付けるGUI(Graphical User Interface)としての機能を備えても良い。なお、解析アプリケーション40は、医療情報統合ビューア50とは別個の機能として実行されても良い。
【0017】
解析支援装置100aは、医用画像保管装置201から解析対象の医用画像を取得する。
【0018】
また、本実施形態においては、医用画像以外の患者に関する情報を、「非画像情報」という。電子カルテシステム202に記憶される様々な非画像情報のうち、解析アプリケーション40によって医用画像の解析に使用されるものがある。
【0019】
解析支援装置100aは、医用画像の解析に使用される非画像情報を、電子カルテシステム202から収集する。例えば、解析アプリケーション40には、規定の非画像情報を入力可能なパラメータが設けられているものとする。また、解析アプリケーション40によって医用画像の解析に使用される非画像情報は、医用画像の撮像対象部位等によって異なっても良い。
【0020】
また、解析支援装置100aは、非画像情報の初回の収集をした後も、規定の期間内は、電子カルテシステム202に新たな非画像情報が保存された場合、または、収集済みの非画像情報の内容が変更された場合、当該新たな非画像情報、または変更された非画像情報を再収集する。なお、非画像情報の再収集の詳細については後述する。
【0021】
医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202は、本実施形態における医用情報処理装置の一例である。なお、電子カルテシステム202に医用画像が登録されている場合には、解析支援装置100aは、電子カルテシステム202から医用画像を取得しても良い。
【0022】
また、解析支援装置100aは、医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202以外の医用情報処理装置から、医用画像または非画像情報を取得しても良い。
【0023】
解析アプリケーション40のユーザ9は、例えば、読影医等の医師である。ユーザ9は、解析アプリケーション40によって解析された結果を参照することにより、例えば、患者の病変部位の位置を把握することができる。本実施形態においては、解析アプリケーション40のユーザ9は、身体所見や問診結果を入力した医師とは異なる人物であるものとして説明するが、同一人物であっても良い。
【0024】
次に、本実施形態における解析支援装置100aの詳細について説明する。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る解析支援装置100aの構成の一例を示す図である。
図2に示すように、解析支援装置100aは、NWインタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを備える。解析支援装置100aは、院内LAN(Local Area Network)等のネットワーク300を介して医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202と通信可能に接続している。
【0026】
NWインタフェース110は、処理回路150に接続されており、解析支援装置100aと医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202との間の各種データの伝送および通信を制御する。NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0027】
記憶回路120は、処理回路150で使用される各種の情報を予め記憶する。また、記憶回路120は、各種のプログラムを記憶する。また、記憶回路120は、解析支援装置100a外に設けられても良い。
【0028】
入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インタフェース130は、処理回路150に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路150へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース130はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路150へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0029】
ディスプレイ140は、液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等である。なお、入力インタフェース130とディスプレイ140とは統合しても良い。例えば、入力インタフェース130とディスプレイ140とは、タッチパネルによって実現されても良い。ディスプレイ140は、本実施形態における表示部の一例である。また、ディスプレイ140は、解析支援装置100a外に設けられても良い。
【0030】
処理回路150は、記憶回路120からプログラムを読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。本実施形態の処理回路150は、取得機能151、収集機能152、入力機能153、解析機能154、表示制御機能155、及び受付機能156を備える。取得機能151は、取得部の一例である。収集機能152は、収集部または特定部の一例である。入力機能153は、入力部の一例である。解析機能154は、解析部の一例である。また、解析機能154は、
図1で説明した解析アプリケーション40に相当する機能である。なお、
図2では、医療情報統合ビューア50のその他の機能については図示を省略する。表示制御機能155は、表示制御部または通知部の一例である。受付機能156は、受付部の一例である。
【0031】
ここで、例えば、処理回路150の構成要素である取得機能151、収集機能152、入力機能153、解析機能154、表示制御機能155、及び受付機能156の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路120に記憶されている。処理回路150は、プロセッサである。例えば、処理回路150は、プログラムを記憶回路120から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、
図2の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、
図2においては単一のプロセッサにて取得機能151、収集機能152、入力機能153、解析機能154、表示制御機能155、及び受付機能156にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図2においては単一の記憶回路120が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路150は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0032】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路120に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしても良い。
【0033】
取得機能151は、患者が撮像された医用画像を取得する。例えば、取得機能151は、ネットワーク300及びNWインタフェース110を介して、医用画像保管装置201から解析対象の医用画像を取得する。解析対象の医用画像は、例えばユーザ9によって選択されても良いし、診断対象の患者の識別情報等によって検索されても良い。
【0034】
収集機能152は、患者に関する複数の非画像情報のうち、医用画像に関連する非画像情報を特定し、特定した非画像情報を収集する。例えば、医用画像に関連する非画像情報は、医用画像の解析に必要な非画像情報である。より詳細には、収集機能152は、後述の解析機能154によって医用画像の解析に使用される、患者に関する非画像情報を、1または複数の医用情報処理装置から収集する。本実施形態においては、収集機能152は、ネットワーク300及びNWインタフェース110を介して、電子カルテシステム202から、解析機能154よって医用画像の解析に使用される非画像情報を収集する。なお、本実施形態においては、医用画像の解析に必要な非画像情報を特定する機能と、特定した非画像情報を収集する機能とを1つの機能として説明するが、特定する機能と収集する機能とは別個の機能として構成されても良い。
【0035】
解析機能154によって医用画像の解析に使用される非画像情報は、予め定められているものとする。収集機能152は、電子カルテシステム202に保存された複数の情報のうち、解析機能154によって医用画像の解析に使用されることが予め定められた非画像情報に該当するものを、収集する。
【0036】
例えば、解析機能154によって医用画像の解析に使用される非画像情報として、解析対象の患者の「年齢」、「性別」、「麻痺の有無」、及び「麻痺の発生部位」が予め定められているものとする。この場合、収集機能152は、これらの非画像情報を電子カルテシステム202から検索する。収集機能152は、これらの非画像情報のうち、電子カルテシステム202に保存されているものを、収集する。なお、ここで例示した収集対象の非画像情報の項目は一例であり、収集対象はこれらに限定されるものではない。
【0037】
収集機能152は、収集した非画像情報を、入力機能153に送出する。
【0038】
ここで、初回の解析の時点では、医師による電子カルテシステム202への情報の入力が完了していない場合がある。例えば、収集機能152が電子カルテシステム202を最初に検索した時点では、収集対象の非画像情報のうち、「麻痺の有無」及び「麻痺の発生部位」が未登録であるとする。この場合、収集機能152は、初回の収集結果としては、収集対象の非画像情報のうち電子カルテシステム202に保存済みであった「年齢」、及び「性別」を入力機能153に送出する。
【0039】
また、収集機能152は、初回の収集から規定の期間内は、電子カルテシステム202に新たな非画像情報が保存されたか否かを判定する。例えば、収集機能152は、初回の収集から規定の期間内は、電子カルテシステム202から解析機能154によって医用画像の解析に使用される非画像情報を繰り返し検索し、前回の検索時には未登録であった非画像情報が検索結果に含まれた場合、新たな非画像情報が保存されたと判定する。なお、収集機能152が収集対象とするのは、解析機能154によって医用画像の解析に使用される非画像情報である。そのため、解析に使用されない情報が電子カルテシステム202に新たに登録されても、収集機能152は、当該情報を収集しない。
【0040】
電子カルテシステム202に新たな収集対象の非画像情報が保存された場合は、収集機能152は、当該収集対象の非画像情報を収集する。例えば、初回の収集の時点では未登録であった「麻痺の有無」及び「麻痺の発生部位」が電子カルテシステム202に追加された場合、収集機能152は「麻痺の有無」及び「麻痺の発生部位」を収集し、収集したこれらの非画像情報を入力機能153に送出する。
【0041】
規定の期間の長さは、特に限定されるものではないが、例えば、日数が予め設定されていても良い。また、規定の期間は、規定の医療的イベントによって終了しても良い。規定の医療的イベントは、例えば、解析対象の患者に対する確定診断が出たこと、解析対象の患者に対する保険点数が決定したこと、または解析対象の患者の診断後のフォローアップ期間が終了したこと等である。なお、収集機能152は、保険点数が決定したか否かを示す情報を、不図示の医療事務会計システムから取得しても良い。
【0042】
また、ユーザ9が規定の期間の長さを変更可能であっても良い。例えば、ユーザ9が、医用画像に対する読影を完了した場合、または今後の非画像情報の追加収集が不要であると判断した場合に、規定の期間を終了させる操作をしても良い。あるいは、ユーザ9は、予め設定された長さよりも規定の期間の長さを延長させる操作をしても良い。
【0043】
また、規定の期間内において、収集機能152が電子カルテシステム202に非画像情報の更新または追加を判定する頻度は、特に限定されるものではない。例えば、数分または数十分の規定の時間間隔で、収集機能152が電子カルテシステム202に非画像情報の更新または追加を判定する判定タイミングが定められても良い。なお、規定の時間間隔は、これに限定されるものではない。
【0044】
また、判定の頻度は、可変でも良い。例えば、収集機能152は、規定の医療的イベントが発生した場合に、判定の頻度を変更しても良い。具体的には、収集機能152は、診断後のフォローアップ期間中も規定の期間に含まれる場合に、診断が出るという医療的イベントの前よりも、当該医療的イベントの後の方が、判定の頻度が低くなるように規定の時間間隔を変更しても良い。また、ある判定タイミングと次の判定タイミングの間の時間間隔は、一定でなくとも良い。
【0045】
収集機能152は、初回の収集から規定の期間内は、収集済みの非画像情報が、電子カルテシステム202において変更されたか否かを判定する。非画像情報が変更された場合であって、かつ、変更された非画像情報が規定の条件に該当する場合には、収集機能152は、変更された非画像情報を収集する。
【0046】
規定の条件は、例えば、変更前後の非画像情報の差異の大きさの閾値である。収集機能152は、変更前後の非画像情報の差異が、閾値以上である場合、変更された非画像情報を収集する。当該閾値は、非画像情報の項目毎に予め定められていても良い。例えば、非画像情報のうち、「年齢」を再取集するか否かを決定する規定の条件は、変更前後の年齢の差異の大きさが5歳以上であることとする。つまり、変更前後の「年齢」の差異の大きさの閾値が“5”である。これは、項目によっては、軽微な変更があったとしても、医用画像の解析結果には影響が小さいためである。
【0047】
規定の条件は、予め設定されているものとしても良いし、ユーザ9が設定可能であっても良い。
【0048】
規定の条件は、非画像情報の変更の場合にのみ課されても良いし、更新ではなく新たな非画像情報の追加であっても、規定の条件が課されても良い。例えば、収集対象として定められた非画像情報であっても、重要度が閾値よりも低いものが新たに追加された場合には、収集機能152は、当該非画像情報を収集しなくとも良い。あるいは、収集対象として定められた非画像情報が新たに追加された場合には、収集機能152は、必ず当該非画像情報を収集するものとしても良い。
【0049】
入力機能153は、収集機能152によって収集された非画像情報を、解析機能154に入力する。例えば、入力機能153は、解析機能154が備える複数のパラメータの各々に、対応する非画像情報入力する。なお、本実施形態においては、収集機能152と入力機能153とを分けているが、これらは1つの機能として統合されても良い。
【0050】
解析機能154は、患者に関する医用画像を解析する。より詳細には、解析機能154は、収集機能152によって特定された非画像情報を利用した医用画像の解析結果を出力する。なお、非画像情報を利用した医用画像の解析結果とは、医用画像の解析処理中で非画像情報が使用されたものであっても良いし、非画像情報を用いずに医用画像の解析が実行された結果に対して非画像情報に基づく加工またはフィルタリング等の処理が施されたものであっても良い。本実施形態においては、解析機能154は、収集機能152によって収集された非画像情報に基づいて、医用画像を解析する。すなわち、本実施形態においては、非画像情報を利用した医用画像の解析結果は、医用画像の解析処理中で非画像情報が使用されたものを指す。また、解析手法としては、公知の手法を適用可能である。
【0051】
また、解析機能154は、医用画像の解析後に、収集機能152によって新たな非画像情報が収集された場合には、新たな非画像情報に基づいて医用画像を再解析する。
【0052】
また、解析機能154は、医用画像の解析後に、変更された非画像情報が収集機能152によって収集された場合には、変更された非画像情報に基づいて医用画像を再解析する。
【0053】
例えば、医用画像が患者の頭部のCT画像である場合を例として説明する。そして、初回の解析の際には、収集対象の非画像情報のうち、「麻痺の有無」及び「麻痺の発生部位」が収集されなかったものとする。例えば、患者が救急搬送された場合などは、電子カルテシステム202への身体所見の入力よりもCT画像の撮像の順番が先に行われる場合がある。
【0054】
この場合、解析機能154は、初回の解析では、「麻痺の有無」及び「麻痺の発生部位」は使用せずに、医用画像を解析する。CT画像からでは身体の麻痺の状態は読み取れないため、解析機能154は、この時点では、患者の左脳と右脳の両方に対して均一に解析をかけて病変部位を分析する。解析機能154は、解析結果として、例えば、脳全体のうち、病変部位の可能性がある領域を表示した画像を生成する。
【0055】
そして、初回の解析後に、収集機能152によって新たに「麻痺の有無」及び「麻痺の発生部位」が収集された場合には、解析機能154は、「麻痺の有無」及び「麻痺の発生部位」を使用して、CT画像を再解析する。例えば、患者に麻痺があり、麻痺の発生部位が右半身であった場合、解析機能154は、右脳よりも左脳を高精度に解析する。非画像情報に基づいて、特定の部位に絞って解析をすることにより、解析機能154は、適切な解析アルゴリズムを用いることができる。このため、解析機能154は、再解析においては、前回の解析よりも解析結果の精度を向上させることができる。このような再解析により、解析機能154は、解析結果を更新する。また、解析機能154は、左脳のみを表示した画像、または左脳を強調表示した画像を解析結果として生成しても良い。このように表示対象を絞って解析を行うことができる。
【0056】
解析機能154は、解析結果を表示制御機能155に送出する。
【0057】
表示制御機能155は、解析機能154による解析結果を、ディスプレイ140に表示させる。
【0058】
また、表示制御機能155は、解析機能154によって医用画像が再解析され、かつ、再解析の前後で解析結果が異なる場合、医用画像の解析結果が更新されたことをユーザ9に通知する。「解析結果が異なる場合」の基準は特に限定されるものではないが、差異の程度が基準以下である場合は通知の対象外としても良い。当該基準は予め定められても良いし、ユーザ9が設定可能であっても良い。表示制御機能155は、ユーザ9への通知を、再解析の前後で解析結果が異なる場合に限定することにより、必要以上の通知でユーザ9の確認作業の負荷が増大することを低減する。
【0059】
図3は、第1の実施形態に係る通知画面の一例を示す図である。
図3に示すように、表示制御機能155は、更新または追加された非画像情報の説明と、当該非画像情報の更新または追加によって医用画像の解析結果が更新されたことを表すメッセージM1をディスプレイ140に表示させる。例えば、ユーザ9がメッセージM1を押下する操作をした場合、表示制御機能155は、更新後の解析結果をディスプレイ140に表示させる。
【0060】
図3に示す例では、メッセージM1の内容は「身体所見のxxに関する更新がありましたので解析結果が更新されました。」であるが、当該内容に限定されるものではない。例えば、ユーザ9に対して解析結果の確認を促す文章を含んでも良い。また、メッセージM1の表示は必須ではなく、解析結果が自動的にディスプレイ140に表示されても良い。
【0061】
なお、通知の手法はメッセージの通知に限定されるものではなく、音声等で通知されても良い。表示制御機能155は、本実施形態における通知部の一例であるが、音声出力制御機能等が、通知部として設けられても良い。
【0062】
図2に戻り、受付機能156は、ユーザ9による各種の操作を受け付ける。例えば、受付機能156は、画像解析処理の開始を指示するユーザ9の操作を受け付ける。また、受付機能156は、ユーザ9による規定の期間を終了させる操作を受け付ける。また、受付機能156は、ユーザ9による規定の期間の長さを延長させる操作を受け付ける。また、受付機能156は、ユーザ9によるメッセージM1を押下する操作を受け付ける。受付機能156は、受け付けた操作の内容を、取得機能151、収集機能152または表示制御機能155に送出する。
【0063】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る画像解析処理の流れについて説明する。
【0064】
図4は、第1の実施形態に係る画像解析処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、ユーザ9によって画像解析処理の開始を指示する操作が行われた場合に、開始する。
【0065】
まず、取得機能151は、医用画像保管装置201から解析対象の医用画像を取得する(S1)。
【0066】
また、収集機能152は、収集対象の非画像情報を、電子カルテシステム202から収集する(S2)。収集対象の非画像情報は、例えば、S1で取得された医用画像の撮像対象である患者に関する情報のうち、解析に使用される情報として予め定められたものである。入力機能153は、収集された非画像情報を、解析機能154に入力する。
【0067】
次に、解析機能154は、S2で取得された非画像情報を用いて、S1で取得された医用画像を解析する(S3)。解析機能154は、解析結果を表示制御機能155に送出する。
【0068】
そして、表示制御機能155は、解析機能154による医用画像の解析結果をディスプレイ140に表示させる(S4)。
【0069】
次に、収集機能152は、収集対象の非画像情報が電子カルテシステム202において追加または更新されたか否かを判定する(S5)。
【0070】
収集対象の非画像情報が電子カルテシステム202において追加または更新された場合であって(S5“Yes”)、更新された非画像情報が規定の条件に該当する場合(S6“Yes”)、収集機能152は、当該非画像情報を収集する(S7)。なお、非画像情報が新たに追加された場合には、収集機能152は、規定の条件を課さずに収集しても良い。
【0071】
そして、解析機能154は、追加で収集された画像情報を用いて、S1で取得された医用画像を再解析する(S8)。
【0072】
そして、表示制御機能155は、再解析前後の解析結果に差異があるか否かを判定する(S9)。なお、S9の処理は、解析機能154が実行しても良い。
【0073】
表示制御機能155は、再解析前後の解析結果に差異があると判定した場合(S9“Yes”)、解析結果が更新されたことを通知する(S10)。例えば、
図3で説明したように、表示制御機能155は、ディスプレイ140にメッセージM1を表示させる。
【0074】
そして、受付機能156は、ユーザ9による解析結果の表示を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(S11)。表示制御機能155は、受付機能156がユーザ9による解析結果の表示を指示する操作を受け付けていない間は(S11“No”)、メッセージM1の表示を継続する。なお、不図示の閉じるボタン等により、解析結果の表示を指示する操作以外の操作でメッセージM1の表示が終了しても良い。
【0075】
また、受付機能156が、ユーザ9による解析結果の表示を指示する操作を受け付けた場合は(S11“Yes”)、表示制御機能155は、更新後の解析結果を表示する(S12)。
【0076】
ここで、収集機能152は、規定の期間が終了したか否かを判定する(S13)。規定の期間が終了していない場合(S13“No”)、収集機能152は、現時点が判定タイミングであるか否かを判定する(S14)。例えば、前回の電子カルテシステム202に非画像情報の更新または追加の有無の判定、または前回の非画像情報の収集の処理の実行から、規定の時間間隔が経過した場合に、収集機能152は、判定タイミングになったと判定する(S14“Yes”)。収集機能152は、判定タイミングになったと判定した場合、S5の処理に戻る。
【0077】
また、収集機能152は、現時点が判定タイミングではないと判定した場合(S14“No”)、S14の処理を繰り返して待機する。
【0078】
また、収集機能152が収集対象の非画像情報が電子カルテシステム202において追加も更新もされていないと判定した場合(S5“No”)、収集機能152が更新された非画像情報が規定の条件に該当しないと判定した場合(S6“No”)、または、表示制御機能155が再解析前後の解析結果に差異があると判定した場合(S9“No”)は、S13の処理に進む。
【0079】
S13の処理で、収集機能152が、規定の期間が終了したと判定した場合(S13“Yes”)このフローチャートの処理は終了する。
【0080】
このように、本実施形態の解析支援装置100aは、医用画像に関する非画像情報を自動的に特定し、特定した非画像情報を利用した医用画像の解析結果を出力する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、ユーザ9が、様々な非画像情報を手動で収集して解析アプリケーション40に入力する場合と比較して、解析対象の医用画像に関する非画像情報の収集に係るユーザ9の作業負荷を低減することができる。
【0081】
また、本実施形態の解析支援装置100aは、解析アプリケーション40によって医用画像の解析に使用される非画像情報を特定し、特定した非画像情報を収集し、収集した当該非画像情報に基づいて、医用画像を解析する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、医用画像の解析のために必要とされる非画像情報を収集するためのユーザの負荷を低減することができる。また、本実施形態の解析支援装置100aによれば、ユーザ9による非画像情報の入力漏れが発生することを低減することにより、解析精度を向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態においては、医用画像の解析に使用される非画像情報は予め定められている。本実施形態の解析支援装置100aは、電子カルテシステム202に保存された複数の情報のうち、医用画像の解析に使用されることが予め定められた非画像情報に該当するものを、収集する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、ユーザ9が、電子カルテシステム202に保存された複数の情報から、医用画像の解析に使用される非画像情報を探す作業の負荷が低減される。また、非画像情報は、様々な医用システムに分散して存在する場合もある。このような場合、本実施形態の解析支援装置100aが、解析に使用される非画像情報を自動的に収集することにより、ユーザ9の作業負荷が低減される。
【0083】
また、初回の解析結果が生成された後は、非画像情報が追加または更新されても、ユーザ9が気付かない場合がある。また、仮に、電子カルテシステム202のアラート機能等により、非画像情報が追加または更新されたことをユーザ9が把握したとしても、追加または更新された非画像情報が、医用画像の解析に影響があるか否かを判断することが難しい場合がある。このため、医用画像の解析に影響がある非画像情報が追加または更新されたことをユーザ9が見落としてしまうこと、あるいは、医用画像の解析に影響がないという誤った判断をしてしまうことがある。
【0084】
これに対して、本実施形態の解析支援装置100aは、初回の収集から規定の期間内は、電子カルテシステム202に新たな収集対象の非画像情報が保存されたか否かを判定し、電子カルテシステム202に新たな収集対象の非画像情報が保存された場合は、当該収集対象の非画像情報を収集する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、ユーザ9が電子カルテシステム202等の更新または追加を手作業でしなくとも、追加または更新された情報を自動的に収集することにより、ユーザ9の作業負荷を低減することができると共に、ユーザ9の見落としまたは誤解によって有益な非画像情報が解析に用いられないという事態の発生を低減することができる。
【0085】
また、本実施形態の解析支援装置100aは、収集された非画像情報に基づいて、医用画像を解析する。また、本実施形態の解析支援装置100aは、医用画像の解析後に、新たな非画像情報が収集された場合には、当該新たな非画像情報に基づいて当該医用画像を再解析する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、解析に使用される非画像情報が遅れて追加された場合でも、追加された非画像情報を反映した解析結果をユーザ9に提供することができる。
【0086】
また、本実施形態の解析支援装置100aは、初回の収集から規定の期間内は、収集済みの非画像情報が、電子カルテシステム202において変更されたか否かを判定し、非画像情報が変更された場合は、変更された非画像情報を収集する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、解析に使用される非画像情報が解析後に変更された場合に、変更後の非画像情報の収集漏れの発生を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態の解析支援装置100aは、変更された非画像情報が規定の条件に該当する場合には、変更された非画像情報を収集する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、必要以上に非画像情報の再収集を繰り返すことを低減することができる。
【0088】
例えば、本実施形態における規定の条件は、変更前後の非画像情報の差異の大きさの閾値である。本実施形態の解析支援装置100aは、変更前後の非画像情報の差異が、閾値以上である場合、変更された非画像情報を収集する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、非画像情報が解析結果に影響を与える可能性が低い程度の小さな変更については再収集の対象から除外することにより、解析結果の精度を維持した上で、処理の負荷の増大を低減することができる。
【0089】
また、本実施形態の解析支援装置100aは、医用画像の解析後に、変更された非画像情報が収集された場合には、変更された非画像情報に基づいて医用画像を再解析する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、解析に使用される非画像情報が解析後に変更された場合に、変更後の非画像情報を反映した解析結果をユーザ9に提供することができる。
【0090】
また、本実施形態の解析支援装置100aは、医用画像が再解析され、かつ、再解析の前後で解析結果が異なる場合、医用画像の解析結果が更新されたことをユーザ9に通知する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、ユーザ9に対して、最新の非画像情報に基づく解析結果を参照することを促すことができる。このため、ユーザ9が、最新の解析結果に基づいて医用画像を読影することを、支援することができる。
【0091】
また、本実施形態の解析支援装置100aは、規定の医療的イベントが発生した場合に、非画像情報の収集の頻度を変更する。このため、本実施形態の解析支援装置100aによれば、ユーザ9の医療的な状況に応じて、適切なタイミングで非画像情報の収集をすることができる。
【0092】
上述の説明では、脳のCT画像の解析を医用画像の解析の例として説明したが、本実施形態の解析支援装置100aを適用可能な場面は、これに限定されるものではない。以下、本実施形態の解析支援装置100aの活用の具体例を提示する。
【0093】
一例として、解析機能154は、心臓の細胞外容積分画(Extracellular Volume Fraction:ECV)解析を実行可能であっても良い。ECV解析においては、血液検査によって得られる患者のヘマトクリット値(Hematocrit)を画像解析に使用することにより、解析機能154は、解析精度を向上させることができる。ヘマトクリット値は、非画像情報の一例である。
【0094】
例えば、初回の解析時において、患者のヘマトクリット値が不明である場合、解析機能154は、ヘマトクリット値は使用せずに、患者の医用画像を解析する。そして、規定の期間内に患者のヘマトクリット値が電子カルテシステム202に登録された場合、取得機能151がヘマトクリット値を収集する。この場合、解析機能154は、収集されたヘマトクリット値を用いて、医用画像の解析結果を更新する。また、電子カルテシステム202に登録された患者のヘマトクリット値が変更された場合も、取得機能151は、変更後のヘマトクリット値を収集する。この場合、解析機能154は、変更後のヘマトクリット値を用いて、医用画像の解析結果を更新する。
【0095】
ヘマトクリット値の情報がない場合でもECV解析は可能であるが、ヘマトクリット値を用いることで、解析機能154は解析精度を向上させることができる。また、患者の血液検査結果が更新された場合に、解析機能154は、更新後のデータに基づいて自動的に再解析を行うため、ユーザ9が最新の情報に基づいて診断をすることを支援することができる。
【0096】
また、他の一例として、解析機能154は、冠動脈プラーク(Plaque)解析を実行可能であっても良い。一般に、冠動脈プラーク解析は、冠動脈疾患を診断または予測する上で重要である。冠動脈プラーク解析は、解析機能154がCT画像等を解析することに実施可能である。
【0097】
ここで、患者の血液検査の結果、特にLDLコレステロール(Low Density Lipoprotein cholesterol)の値は、冠動脈プラークの成長に関係する情報であるため、医師等によるモニタリングの対象となっている。例えば、解析機能154は、LDLコレステロール値を解析に用いることで、解析の精度を向上させることができる。LDLコレステロール値は、非画像情報の一例である。
【0098】
より詳細には、収集機能152は、電子カルテシステム202に登録された患者のLDLコレステロール値をモニタリングし、LDLコレステロール値が閾値を超えた場合に、LDLコレステロール値を収集する。あるいは、収集機能152は、患者のLDLコレステロール値の変化率が条件を満たした場合に、LDLコレステロール値を収集しても良い。変化率が条件を満たした場合とは、例えば、前回の判定タイミングにおけるLDLコレステロール値と今回の判定タイミングにおけるLDLコレステロール値の増加率が閾値を超えた場合である。
【0099】
解析機能154は、収集機能152によってLDLコレステロール値が収集された場合、最新の情報に基づいて冠動脈プラーク解析を再実行する。また、表示制御機能155は、LDLコレステロール値が閾値を超えた場合、またはLDLコレステロール値の変化率が条件を満たした場合に、アラートをディスプレイ140に表示させても良い。冠動脈プラークのように医療機関によって患者に対する長期的なフォローが行われる疾病においては、収集機能152が電子カルテシステム202から非画像情報を収集する規定の期間を、長期的に継続するものとしても良い。例えば、患者が通院を継続している間は、規定の期間が継続していても良い。
【0100】
また、他の一例として、がんの転移のモニタリングに、解析支援装置100aが用いられても良い。例えば、がんの治療を受けた患者のフォローアップ期間中は、定期的に患者の全身CT画像が撮像される場合がある。解析機能154は、このような全身CT画像の解析を行っても良い。
【0101】
一般に、全身CT画像を撮像した場合でも、解析の重点を置く部位は限定される。例えば、肺の原発がんの診断を受け、治療後または治療中の患者の全身CT画像であれば、主として肺が解析の対象となる。ここで、解析機能154は、非画像情報として、患者の各種腫瘍マーカの値を、全身CT画像の解析に使用しても良い。例えば、肺以外の臓器の腫瘍マーカの値が上昇した場合、解析機能154は、肺に加えて、腫瘍マーカの値が上昇した臓器を重点的に解析しても良い。
【0102】
また、表示制御機能155は、腫瘍マーカの値が上昇した臓器へのがん転移の可能性をアラートとして出力しても良い。例えば、肝臓がんの腫瘍マーカであるAFP(α-フェトプロテイン)が上昇した場合、解析機能154は、肺がんに加えて、肝臓がんについても病変部位の解析処理を実行しても良い。また、表示制御機能155は、肝臓への転移の可能性を示すアラートをディスプレイ140に表示させても良い。また、原発がんの発症部位と転移先の部位の担当診療科が異なる場合、表示制御機能155は、転移先の部位の担当診療科に所属する医師に、アラートを通知しても良い。このように非画像情報の変化を画像解析に活用することにより、患者の疾病の状態の変化を、医師に把握させることができる。
【0103】
なお、本実施形態においては、非画像情報を利用した医用画像の解析結果は、医用画像の解析処理中で非画像情報が使用されたものを指すものとしたが、上述のように、非画像情報を利用した医用画像の解析結果は、非画像情報を用いずに医用画像の解析が実行された結果に対して非画像情報に基づく加工またはフィルタリング等の処理が施されたものであっても良い。フィルタリングとは出力対象の絞り込みであり、例えば、解析機能154は、医用画像の解析によって得られた情報のうち、出力するものを非画像情報に基づいて絞り込んでも良い。
【0104】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、解析支援装置100aに、解析アプリケーション40の機能が含まれていた。この第2の実施形態では、解析支援装置とは別個の解析装置に、解析アプリケーション40の機能が備えられる構成について説明する。
【0105】
図5は、第2の実施形態に係る解析支援システムS2の構成の一例を示す図である。
図5に示すように、解析支援システムS2は、解析支援装置100bと、解析装置600とを含む。なお、本実施形態においては、医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202は解析支援システムS2に含まれないものとするが、医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202が解析支援システムS2に含まれても良い。解析支援装置100b及び解析装置600は、ネットワーク300を介して医用画像保管装置201及び電子カルテシステム202と通信可能に接続している。
【0106】
解析支援装置100bは、第1の実施形態と同様に、NWインタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを備える。
【0107】
また、解析装置600は、NWインタフェース610と、記憶回路620と、入力インタフェース630と、ディスプレイ640と、処理回路650とを備える。ディスプレイ640は、本実施形態に係る表示部の一例である。
【0108】
解析支援装置100bの処理回路150は、収集機能152、及び入力機能153を備える。収集機能152は、収集部の一例である。入力機能153は、入力部の一例である。
【0109】
また、解析装置600の処理回路650は、取得機能651、解析機能652、表示制御機能653、及び受付機能654を備える。取得機能651は、取得部の一例である。解析機能652は、解析部の一例である。表示制御機能653は、表示制御部の一例である。なお、解析装置600を解析部の一例としても良い。
【0110】
解析支援装置100bの収集機能152は、第1の実施形態と同様の機能を備える。より詳細には、収集機能152は、解析装置600によって医用画像の解析に使用される非画像情報を、1または複数の医用情報処理装置、例えば電子カルテシステム202から収集する。
【0111】
また、解析支援装置100bの入力機能153は、収集機能152によって収集された非画像情報を、解析装置600に入力する。
【0112】
また、解析装置600の取得機能651は、第1の実施形態の解析支援装置100aの取得機能151と同様の機能を備える。
【0113】
また、解析装置600の解析機能652は、
図1で説明した解析アプリケーション40に相当する機能を備える。すなわち、解析機能652は、第1の実施形態の解析支援装置100aの解析機能154と同様の機能を備える。より詳細には、解析機能652は、患者に関する医用画像を、解析支援装置100bによって収集された患者に関する非画像情報を用いて解析する。
【0114】
また、解析装置600の表示制御機能653は、第1の実施形態の解析支援装置100aの表示制御機能155と同様の機能を備える。
【0115】
また、解析装置600の受付機能654は、第1の実施形態の解析支援装置100aの受付機能156と同様の機能を備える。
【0116】
このように、解析装置600と解析支援装置100bとが分離された構成であっても、医用画像の解析に用いられる非画像情報の収集に係るユーザ9の作業負荷を低減するという、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
(変形例)
上述の各実施形態においては、収集機能152は、非画像情報が更新された際に、当該非画像情報が規定の条件を満たす場合のみ収集していたが、規定の条件を課さない構成を採用しても良い。つまり、収集機能152は、非画像情報が変更された場合は、変更内容に関わらず、変更された非画像情報を収集するものとしても良い。
【0118】
また、上述の各実施形態においては、規定の条件は、収集機能152が非画像情報を収集するか否かの判定に用いられるものとしたが、解析機能154による再解析を実行するか否かの判定に用いられるものとしても良い。例えば、収集機能152が変更内容に関わらず、変更された非画像情報を収集する場合、規定の条件を満たす非画像情報が収集された場合のみ、解析機能154が当該非画像情報を用いて再解析を実行するものとしても良い。
【0119】
また、上述の各実施形態で説明した解析支援装置100a,100bまたは解析装置600の機能の一部または全てが、クラウド環境で実行されても良い。
【0120】
なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0121】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、解析対象の医用画像に関する非画像情報の収集に係るユーザ9の作業負荷を低減することができる。
【0122】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0123】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
患者が撮像された医用画像を取得する取得部と、
前記患者に関する複数の非画像情報のうち、前記医用画像に関連する非画像情報を特定する特定部と、
特定された前記非画像情報を利用した前記医用画像の解析結果を出力する解析部と、
を備える解析支援装置。
(付記2)
前記医用画像に関連する非画像情報は、前記医用画像の解析に必要な非画像情報であり、
前記解析部は、特定された前記非画像情報に基づいて、前記医用画像を解析しても良い。
(付記3)
前記解析部によって前記医用画像の解析に使用される前記非画像情報は予め定められており、
前記特定部は、1または複数の医用情報処理装置に保存された複数の情報のうち、前記医用画像の解析に使用されることが予め定められた前記非画像情報に該当するものを前記医用画像の解析に必要な非画像情報として特定し、特定した前記非画像情報を収集しても良い。
(付記4)
前記特定部は、初回の収集から規定の期間内は、1または複数の医用情報処理装置に前記患者に関する新たな非画像情報が保存されたか否かを判定し、前記1または複数の医用情報処理装置に前記新たな非画像情報が保存された場合は、前記新たな非画像情報を収集しても良い。
(付記5)
前記解析部は、
前記特定部によって収集された前記非画像情報に基づいて、前記医用画像を解析し、
前記医用画像の解析後に、新たな非画像情報が前記特定部によって収集された場合には、前記新たな非画像情報に基づいて前記医用画像を再解析しても良い。
(付記6)
前記特定部は、初回の収集から規定の期間内は、収集済みの前記非画像情報が、1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定し、前記非画像情報が変更された場合は、変更された前記非画像情報を収集しても良い。
(付記7)
前記特定部は、初回の収集から規定の期間内は、収集済みの前記非画像情報が、1または複数の医用情報処理装置において変更されたか否かを判定し、前記非画像情報が変更された場合であって、かつ、変更された前記非画像情報が規定の条件に該当する場合には、変更された前記非画像情報を収集しても良い。
(付記8)
前記規定の条件は、変更前後の前記非画像情報の差異の大きさの閾値であり、
前記特定部は、変更前後の前記非画像情報の差異が、前記閾値以上である場合、変更された前記非画像情報を収集しても良い。
(付記9)
前記解析部は、
前記特定部によって収集された前記非画像情報に基づいて、前記医用画像を解析し、
前記医用画像の解析後に、変更された前記非画像情報が前記特定部によって収集された場合には、変更された前記非画像情報に基づいて前記医用画像を再解析しても良い。
(付記10)
前記解析支援装置は、前記解析部によって前記医用画像が再解析され、かつ、再解析の前後で解析結果が異なる場合、前記医用画像の解析結果が更新されたことをユーザに通知する通知部、を備えても良い。
(付記11)
前記特定部は、規定の医療的イベントが発生した場合に、前記非画像情報の収集の頻度を変更しても良い。
(付記12)
前記解析部は、前記医用画像を解析する解析アプリケーションでも良い。
(付記13)
解析装置と解析支援装置とを含み、
前記解析装置は、
患者に関する医用画像を、前記患者に関する非画像情報を用いて解析する解析部を備え、
前記解析支援装置は、
前記解析装置によって前記医用画像の解析に使用される前記非画像情報を、1または複数の医用情報処理装置から収集する収集部と、
前記収集部によって収集された前記非画像情報を、前記解析装置に入力する入力部と、を備える、
解析支援システム。
【符号の説明】
【0124】
9 ユーザ
40 解析アプリケーション
50 医療情報統合ビューア
100a,100b 解析支援装置
110 NWインタフェース
120 記憶回路
130 入力インタフェース
140 ディスプレイ
150 処理回路
151 取得機能
152 収集機能
153 入力機能
154 解析機能
155 表示制御機能
156 受付機能
201 医用画像保管装置
202 電子カルテシステム
600 解析装置
610 NWインタフェース
620 記憶回路
630 入力インタフェース
640 ディスプレイ
650 処理回路
651 取得機能
652 解析機能
653 表示制御機能
654 受付機能
M1 メッセージ
S1,S2 解析支援システム