(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】マイクロスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 21/28 20060101AFI20241004BHJP
H01H 1/50 20060101ALI20241004BHJP
H01H 1/60 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
H01H21/28 V
H01H1/50
H01H1/60
(21)【出願番号】P 2020189206
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】奥山 未央子
(72)【発明者】
【氏名】石見 崇
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 祐輝
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-045176(JP,U)
【文献】特開2008-066082(JP,A)
【文献】特開2015-179665(JP,A)
【文献】実開昭63-129928(JP,U)
【文献】特開2008-210654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/06 - 1/66
H01H 19/00 - 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロスイッチにおいて、
一端が、離隔配置された第1および第2の固定接点に接触可能な可動接点
を有し、
他端が、支持部により上下方向に揺動可能
に支持されるとともに、前記一端が、前記可動接点を越えて延設された先端部を有する可動部材と、
前記
先端部の側方に
所定の間隔を隔てて配置され、
前記一端が側方に過度に移動した場合に前記先端部と当接することで前記一端の側方への
移動量が過大になるのを規制する
ことにより、前記他端が前記支持部から外れるのを防止するための規制部材と、
を備えたマイクロスイッチ。
【請求項2】
請求項1において、
前記可動部材の前記先端部が幅狭の最先端部を有しており、前記規制部材が前記最先端部に当接するようになっている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項3】
請求項
1において、
前記第1または第2の固定接点が、ベースから上下方向に延びる固定端子に取り付けられており、前記規制部材が前記固定端子の一部から突出する突出部として設けられている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項4】
請求項1
または3において、
前記規制部材が、前記可動部材の前記先端部の一側方への移動量が過大になるのを規制するための第1の規制部材と、前記可動部材の前記先端部の他側方への移動量が過大になるのを規制するための第2の規制部材とを有している、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項5】
請求項1において、
当該マイクロスイッチが、第1の筐体と、これに組み合わされる第2の筐体とを備え、
前記規制部材が、前記可動部材の前記先端部の一側方への移動量が過大になるのを規制するための第1の規制部材と、前記可動部材の前記先端部の他側方への移動量が過大になるのを規制するための第2の規制部材とを有しており、前記第1の規制部材が前記第1の筐体に設けられ、前記第2の規制部材が前記第2の筐体に設けられている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項6】
請求項1において、
前記可動部材の他端を上下方向に揺動可能に支持する前記支持部としての支持枠と、
前記可動部材の前記一端に引張力を作用させる引張ばねとをさらに備え、
前記支持枠が、前記引張ばねを挟んで両側に配置されるとともに、前記引張ばねの一方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第1の柱状部材と、前記引張ばねの他方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第2の柱状部材とを備えており、
前記可動部材の前記他端が二股に形成されるとともに、前記他端の前記二股の一方が前記支持枠の前記第1の柱状部材の外側面に形成された第1の係合凹部に揺動可能に係合し、前記他端の前記二股の他方が前記支持枠の前記第2の柱状部材の外側面に形成された第2の係合凹部に揺動可能に係合している、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項7】
請求項1において、
前記可動部材の他端を上下方向に揺動可能に支持する前記支持部としての支持枠と、
前記可動接点を前記第1の固定接点側から前記第2の固定接点側に移動させるように前記可動部材を反転操作するためのアクチュエータと、
前記可動部材の前記一端に引張力を作用させる引張ばねとをさらに備え、
前記支持枠が、前記引張ばねを挟んで両側に配置されるとともに、前記引張ばねの一方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第1の柱状部材と、前記引張ばねの他方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第2の柱状部材とを有しており、
前記アクチュエータの一端が、ベースに設けられた係合凹部に揺動可能に係合し、他端に前記引張ばねが係止するとともに、前記アクチュエータの両側部の一部が前記一端および前記他端の間において、前記第1、第2の柱状部材にそれぞれ形成された第3の係合凹部に係合することにより、前記アクチュエータの上方への動きが規制されている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項8】
請求項
1において、
前記可動部材の他端を上下方向に揺動可能に支持する前記支持部としての支持枠と、
前記可動接点を前記第1の固定接点側から前記第2の固定接点側に移動させるように前記可動部材を反転操作するためのアクチュエータと、
前記可動部材の前記一端に引張力を作用させる引張ばねとをさらに備え、
前記アクチュエータによる前記可動部材の反転操作時には、前記引張ばねによる前記引張力の作用下で、前記可動部材の前記一端が前記側方またはこれと逆方向に変位することにより、前記可動接点が前記固定接点に対して摺動するようになっている、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項9】
請求項8において、
前記引張ばねの一端が前記可動部材の前記一端に係止され、他端が前記アクチュエータに係止されており、前記可動部材の反転操作時には、前記引張ばねの前記他端の回りに前記可動部材が回動することにより、前記可動接点が前記固定接点に対して摺動している、
ことを特徴とするマイクロスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出用スイッチや操作用スイッチ等として用いられるマイクロスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭63-129928号公報に記載されたマイクロスイッチは、スイッチベース(1)に固定された共通端子(8)、常開端子(3)および常閉端子(4)と、常開端子(3)の常開接点(3b)および常閉端子(4)の常閉接点(4b)の間に配置され、これらに択一的に接触する切換接点(5a、5b)を一端に有する可動接触片(5)と、可動接触片(5)を回転させるための回転自在なアクチュエータ(9)と、可動接触片(5)およびアクチュエータ(6)間に懸架された反転ばね(7)とを備えている(当該公報の第1図)。
【0003】
上述したマイクロスイッチにおいては、アクチュエータ(9)が下方に押し下げられると、反転ばね(7)が反転して可動接触片(5)が下方に回転移動し、これにより、接点が切り換えられて、切換接点(5b)が常開接点(3b)と接触するようになっている(上記公報の第1図中の二点鎖線参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなマイクロスイッチにおいては、輸送中の振動や衝撃により、また設置時にマイクロスイッチを落下させた際の衝撃等により、可動接触片(5)の自由端である切換接点(5a、5b)側の端部が側方(上記公報の第1図の紙面垂直方向)に過度に移動する場合がある。このような場合、可動接触片(5)の回転中心側の支点部分が共通端子(8)の各取付片(8a、8b)から外れてしまう恐れがあった。
【0005】
しかしながら、上記従来の構成においては、振動や衝撃等により可動接触片が外れるのを回避する対策は十分になされていなかった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、振動や衝撃等により可動部材(可動接触片)が外れるのを防止できるマイクロスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマイクロスイッチは、一端が、離隔配置された第1および第2の固定接点に接触可能な可動接点を有し、他端が、支持部により上下方向に揺動可能に支持されるとともに、一端が、可動接点を越えて延設された先端部を有する可動部材と、先端部の側方に所定の間隔を隔てて配置され、先端部が側方に過度に移動した場合に先端部と当接することで一端の側方への移動量が過大になるのを規制することにより、他端が支持部から外れるのを防止するための規制部材とを備えている。
【0008】
本発明によれば、振動や衝撃等に起因して、可動部材の一端が側方に過度に移動した際には、可動部材の先端部が規制部材に当接することにより、可動部材の一端の側方への移動量が過大になるのを規制できる。これにより、振動や衝撃等に起因して、可動部材の他端が支持部から外れるのを防止できる。
【0009】
本発明においては、可動部材の先端部が幅狭の最先端部を有しており、規制部材が最先端部に当接するようになっている。また、本発明においては、第1または第2の固定接点が、ベースから上下方向に延びる固定端子に取り付けられており、規制部材が固定端子の一部から突出する突出部として設けられている。
【0010】
本発明においては、規制部材が、可動部材の先端部の一側方への移動量が過大になるのを規制するための第1の規制部材と、可動部材の先端部の他側方への移動量が過大になるのを規制するための第2の規制部材とを有している。
【0011】
本発明においては、マイクロスイッチが、第1の筐体と、これに組み合わされる第2の筐体とを備えている。規制部材は、可動部材の先端部の一側方への移動量が過大になるのを規制するための第1の規制部材と、可動部材の先端部の他側方への移動量が過大になるのを規制するための第2の規制部材とを有している。第1の規制部材は第1の筐体に設けられ、第2の規制部材は第2の筐体に設けられている。
【0012】
本発明においては、可動部材の他端を上下方向に揺動可能に支持する支持部としての支持枠と、可動部材の一端に引張力を作用させる引張ばねとをさらに備えている。支持枠は、引張ばねを挟んで両側に配置されており、引張ばねの一方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第1の柱状部材と、引張ばねの他方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第2の柱状部材とを備えている。可動部材の他端は二股に形成されており、他端の二股の一方は、支持枠の第1の柱状部材の外側面に形成された第1の係合凹部に上下方向に揺動可能に係合し、他端の二股の他方は、支持枠の第2の柱状部材の外側面に形成された第2の係合凹部に上下方向に揺動可能に係合している。
【0013】
本発明においては、可動部材の他端を上下方向に揺動可能に支持する支持部としての支持枠と、可動接点を第1の固定接点側から第2の固定接点側に移動させるように可動部材を反転操作するためのアクチュエータと、可動部材の一端に引張力を作用させる引張ばねとをさらに備えている。支持枠は、引張ばねを挟んで両側に配置されるとともに、引張ばねの一方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第1の柱状部材と、引張ばねの他方の側に配設されかつ高さ方向に延びる第2の柱状部材とを有している。アクチュエータの一端が、ベースに設けられた係合凹部に揺動可能に係合し、他端に引張ばねが係止するとともに、アクチュエータの両側部の一部が一端および他端の間において、第1、第2の柱状部材にそれぞれ形成された第3の係合凹部に係合することにより、アクチュエータの上方への動きが規制されている。
【0014】
本発明においては、可動部材の他端を上下方向に揺動可能に支持する支持部としての支持枠と、可動接点を第1の固定接点側から第2の固定接点側に移動させるように可動部材を反転操作するためのアクチュエータと、可動部材の一端に引張力を作用させる引張ばねとをさらに備えている。アクチュエータによる可動部材の反転操作時には、引張ばねによる引張力の作用下で、可動部材の一端が側方またはこれと逆方向に変位することにより、可動接点が固定接点に対して摺動するようになっている。
【0015】
本発明においては、引張ばねの一端が可動部材の一端に係止され、他端がアクチュエータに係止されており、可動部材の反転操作時には、引張ばねの他端の回りに可動部材が回動することにより、可動接点が固定接点に対して摺動している。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、振動や衝撃等により可動部材が支持部から外れるのを防止できるマイクロスイッチを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例によるマイクロスイッチの主要構成要素を示す前方斜視図である。
【
図2】前記マイクロスイッチ(
図1)の後方斜視図である。
【
図3】前記マイクロスイッチ(
図1)の正面図である。
【
図4】前記マイクロスイッチ(
図1)の背面図である。
【
図5】前記マイクロスイッチ(
図1)の左側面図である。
【
図6】前記マイクロスイッチ(
図1)の右側面図である。
【
図9】前記マイクロスイッチ(
図1)の平面図である。
【
図10】前記マイクロスイッチ(
図1)の分解組立図である。
【
図11】前記マイクロスイッチ(
図1)における共通端子の全体斜視図である。
【
図12】前記マイクロスイッチ(
図1)において、アクチュエータの操作前の状態を示している。
【
図13】前記マイクロスイッチ(
図1)において、アクチュエータの操作直後の状態であって可動部材の反転前の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし
図15は、本発明の一実施例によるマイクロスイッチを説明するための図であって、
図1ないし
図6および
図9は本実施例によるマイクロスイッチの主要構成要素を示す図、
図7および
図8はマイクロスイッチの側面断面図、
図10はマイクロスイッチの分解組立図、
図11はマイクロスイッチの共通端子単体の斜視図、
図12ないし
図15はマイクロスイッチの作動を説明するための図である。なお、以下の説明文中、マイクロスイッチの長手方向を前後方向、短手方向を側方または左右方向、これらに直交する方向を上下方向または高さ方向と呼称することにする。すなわち、
図3を例にとった場合、同図の左右方向が前後方向であり、同図の紙面垂直方向が側方または左右方向であり、同図の上下方向が上下方向である。
【0019】
図1ないし
図6および
図10に示すように、本実施例によるマイクロスイッチ1は、合成樹脂製の絶縁基台であるベース2と、ベース2に対してインサート成形により一体固定された共通端子3、常開固定端子4および常閉固定端子5とを備えている。これらの端子はそれぞれベース2を貫通して上下方向に延びており、各端子の基端部は、ベース2の下方に延びる外部接続端子3A、4A、5Aをそれぞれ有している。
【0020】
常開固定端子4の先端部(切替側端部)は、ベース2の上方に配置された常開固定接点(第2の固定接点)4bを有しており、常閉固定端子5の先端部(切替側端部)は、ベース2の上方において常開固定接点4bから離隔してその上方に対向配置された常閉固定接点(第1の固定接点)5bを有している。常開固定接点4bは、ベース2の上方においてベース2寄りの位置に配置された接点取付部4aにカシメ等によって固着されている。常閉固定接点5bは、ベース2の上方においてベース2から離れた位置に配置された接点取付部5aに同様にカシメ等によって固着されている。
【0021】
共通端子3の先端部は、概略U字状(または概略コ字状)の支持枠30を有している。支持枠30は、上下方向に延びる第1の柱状部材30Aと、第1の柱状部材30Aの側方において第1の柱状部材30Aとの間に間隔を隔てて対向配置され、同様に上下方向に延びる第2の柱状部材30Bと、第1および第2の柱状部材30A、30B間を左右方向に連結する連結部材30Cとを有している。
【0022】
図3のVII-VII線断面である
図7、および同図のVIII-VIII線断面である
図8に示すように、支持枠30において、連結部材30Cの一端が連結された第1の柱状部材30Aの第1の端部30A
1の一部は、ベース2内に埋設されていてベース2に固定されており、固定端になっている。これに対して、連結部材30Cの他端が連結された第2の柱状部材30Bの第2の端部30B
1は、ベース2内に埋設されておらず(したがって、ベース2に固定されておらず、自由端つまりフリーになっており)、ベース2の上方に配置されている。このため、各端部30A
1、30B
1を左右方向に連結する連結部材30Cは、ベース2の上面2Aとの間に間隔を隔てて上面2Aの上方に配置されている。
【0023】
ここで、共通端子3は、
図11に示すように、端子板を立体的に折り曲げることにより構成されており、支持枠30は、外部接続端子3Aの向きと略直交する向きに配設されている。同図に示すように、共通端子3は、第1の柱状部材30Aの第1の端部30A
1から連結部30Cの下方に延設された延設部30A
2を有している。
図7および
図8に示すように、延設部30A
2はベース2内に埋設されていてベース2に固定されている。なお、共通端子3においては、延設部30A
2と外部接続端子3Aの間で折曲げ個所BPが3個所あるが(
図11参照)、その理由は以下のとおりである。共通端子3は常開固定端子4および常閉固定端子5と一体に連設された展開状態で打ち抜きされた後、各端子3、4、5の連設状態を維持したまま、各接点4b、5bの固着工程を経て各端子3、4、5が折り曲げられ、ベース2にインサート成形されてから各端子3、4、5が切り離されるが、その場合、共通端子3の折り曲げ個所が1個所であると、展開状態において共通端子3の支持枠30が隣の常開固定端子4と干渉することになるので、それを解消するためである。
【0024】
また、
図7および
図9に示す例では、連結部材30Cの高さ方向(上下方向)の寸法つまり高さは、第1の端部30A
1における高さをh
1とし、第2の端部30B
1における高さをh
2とするとき、
h
1>h
2
に設定されている。
【0025】
図7および
図8に示す例では、さらに、連結部材30Cの高さは、端部30A
1から端部30B
1に向かって徐々に高さが低くなっており、連結部材30Cは、前後方向から見てテーパ状に形成されている。
【0026】
図1ないし
図6、
図9および
図10に示すように、マイクロスイッチ1は、一端に可動接点6aを有し、他端側を支点として上下方向に揺動可能な可動部材6を備えている。可動接点6aは、上側に配置された可動接点6a
1と、下側に配置された6a
2とから構成されており、上側の可動接点6a
1が常閉固定接点5bと接触可能に設けられ、下側の可動接点6a
2が常開固定接点4bと接触可能に設けられている。
【0027】
可動部材6の他端側は、二股に分岐しており、その先端にそれぞれ後端面60bを有するとともに、左右一対の側壁部6A、6Bを有している。各側壁部6A、6Bの先端には、それぞれ切欠き6A
1、6B
1が形成されている。一方、ベース2側の支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各外側面には、(第1、第2の)係合凹部30A
3、30B
3がそれぞれ形成されている。可動部材6の各側壁部6A、6Bの先端部分は、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各係合凹部30A
3、30B
3にそれぞれ係合しており(
図1ないし
図3、
図5、
図7参照)、これにより、可動部材6の他端側は、支持枠30の各係合凹部30A
3、30B
3に上下方向揺動可能に支持されるとともに、各係合凹部30A
3、30B
3を構成する上下の壁面によって上下方向の移動が規制されている。また、このとき、可動部材6の他端側先端の各後端面60bは、第1、第2の柱状部材30A、30Bに当接している(
図9参照)。
【0028】
図1ないし
図4および
図10に示すように、マイクロスイッチ1は、可動部材6の可動接点6aを常閉固定接点5b側の上方位置から常開固定接点4b側の下方位置に移動させるように、可動部材6を反転操作するためのアクチュエータ7を備えている。アクチュエータ7は、可動部材6と交差する向きに配設されている(
図3、
図4参照)。
【0029】
図10に示すように、アクチュエータ7は、左右両側方に張り出す一対の支持板部7a、7bを一端に有している。一方、ベース2には、上方に突出する左右一対の受け台20A、20Bが設けられており、各受け台20A、20Bには、たとえば正面視V字状の切込みである係合凹部20a、20bがそれぞれ形成されている。アクチュエータ7の各支持板部7a、7bは、受け台20A、20Bの各係合凹部20a、20bにそれぞれ係合しており(
図3、
図4参照)、これにより、アクチュエータ7は、各係合凹部20a、20bに上下方向揺動可能に支持されるとともに、各係合凹部20a、20bを構成する上下の壁面によって上下方向への移動が規制されている。また、アクチュエータ7は、外部から操作される操作部71を他端に有している。
【0030】
図1ないし
図4、
図9および
図10に示すように、マイクロスイッチ1は、引張コイルばね(引張ばね)8を有している。引張コイルばね8は、係止用のフック部8a、8bを各端部に有している。引張コイルばね8のフック部8aは、可動部材6の一端側に設けられた係止用突起部60a(
図10)に係止され、フック部8bは、アクチュエータ7の他端側に設けられた係止用突起部70a(
図10)に係止されている。これにより、引張コイルばね8による引張力が可動部材6の一端側とアクチュエータ7の他端側との間に作用している。
【0031】
引張コイルばね8の一方の端部は、
図9に示すように、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの間に配置されている。すなわち、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bは、引張コイルばね8を挟んで左右両側に配置されている。また、アクチュエータ7は、
図10に示すように、長手方向の中央部(すなわち、一方の端部と他方の端部の中間位置)において、上方に張り出す左右一対の張出し部7c、7dを有している。一方、
図11に示すように、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各内側面には、(第3の)係合凹部30A
4、30B
4がそれぞれ形成されている。アクチュエータ7の各張出し部7c、7dは、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各係合凹部30A
4、30B
4にそれぞれ係合しており(
図8参照)、これにより、係合凹部30A
4、30B
4を構成する各上壁面によってアクチュエータ7の上方への移動が規制されている。
【0032】
図3および
図4に示すように、常閉固定接点5bの接点取付部5aを下方から支持するようにベース2から上方に延設された常閉固定端子5の延設部5cの上部には、内方(
図3左方、
図4右方)に向かって突出する突出部9が設けられている。突出部9は、可動部材6の一端の側方(
図3紙面奥側、
図4紙面手前側)の位置に可動部材6の一端との間に所定の間隔を隔てて配置されており、正面方向から見て可動部材6の一端とオーバラップしている。突出部9は、可動部材6の一端の側方への動きを規制するための規制部材として機能している。
【0033】
このような規制部材としての突出部9を設けた理由は以下のとおりである。
マイクロスイッチ1の輸送中の振動や衝撃により、また設置時にマイクロスイッチ1を落下させた際の衝撃等により、可動部材6の自由端側の一端が側方に向かって過度に移動する場合がある。このような場合において、移動した可動部材6の一端を突出部9に当接させることで、可動部材6の一端の側方への移動量が過大になるのを防止して、可動部材6の他端が支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bから外れる状態が発生するのを回避するためである。
【0034】
また、マイクロスイッチ1においては、上述したように、可動部材6の他端側において各側壁部6A、6Bの先端部分が、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各係合凹部30A
3、30B
3にそれぞれ係合しており(
図5、
図7参照)、各係合凹部30A
3、30B
3を構成する上下の壁面によって上下方向の移動が規制されているので、輸送中の振動や衝撃および落下時の衝撃等に起因した直接的な力の作用により、可動部材6の他端が第1、第2の柱状部材30A、30Bから外れるのを防止できる。
【0035】
さらに、マイクロスイッチ1においては、上述したように、アクチュエータ7の各支持板部7a、7bが、受け台20A、20Bの各係合凹部20a、20bにそれぞれ係合しており(
図3、
図4参照)、各係合凹部20a、20bを構成する上下の壁面によって上下方向への移動が規制されているので、輸送中の振動や衝撃および落下時の衝撃等に起因した力の作用により、アクチュエータ7の各支持板部7a、7bが受け台20A、20Bから外れるのを防止できる。しかも、アクチュエータ7の各張出し部7c、7dが、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bの各係合凹部30A
4、30B
4にそれぞれ係合しており(
図8参照)、係合凹部30A
4、30B
4を構成する各上壁面によってアクチュエータ7の上方への移動が規制されているので、輸送中の振動や衝撃および落下時の衝撃等に起因した力の作用により、アクチュエータ7の各張出し部7c、7dが第1、第2の柱状部材30A、30Bから外れるのを防止できる。
【0036】
次に、マイクロスイッチの作動について、
図12ないし
図15を用いて説明する。
図12は、マイクロスイッチ1において、アクチュエータ7の操作前の状態を示し、
図13は、操作直後の状態を示している。また、
図14は
図12のXIV-XIV線断面図であり、
図15は
図13のXV-XV線断面図である。
【0037】
図12に示す操作前状態においては、可動部材6の可動接点6a
1が常閉固定接点5bに当接していて共通端子3および常閉固定端子5間の回路が閉じており、各接点間には、引張コイルばね8による付勢力によって所定の接点圧力が作用している。また、このとき、
図14に示すように、引張コイルばね8の軸線CL
0は、可動部材6の可動接点6a
1および常閉固定接点5bの各中心線とほぼ一致している。すなわち、可動接点6a
1および常閉固定接点5bは、上方から見て各中心線がほぼ一致した状態におかれている。
【0038】
この状態から、アクチュエータ7が操作されると、
図13に示すように、アクチュエータ7の一端側の各支持板部7a、7bが係合する、ベース2側の受け台20A、20Bの各係合凹部20a、20bの回りをアクチュエータ7が下方に揺動して、操作部71が下方に移動し、その結果、可動部材6が反転操作されて、可動部材6が常閉固定接点5b側の上方位置から常開固定接点4b側の下方位置に移動しようとする。
【0039】
この場合において、可動部材6がアクチュエータ7により反転操作される直前においては、
図13に示すように、可動部材6の可動接点6a
1が依然として常閉固定接点5bに当接した状態にある。そして、アクチュエータ7が下方に揺動したことにより、引張コイルばね8のフック部8aが係止された、可動部材6の一端側の係止用突起部60aと、フック部8bが係止された、アクチュエータ7の他端側の係止用突起部70aとの間の間隔が大きくなっており、そのため、引張コイルばね8が伸ばされることで、可動部材6の一端側に作用する引張力が増大している。
【0040】
このとき、可動部材6の二股状の他端の各後端面60bが当接する(
図9参照)、支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bには、可動部材6の他端からそれぞれ作用する押付力が増大する。上述したように、第1の柱状部材30Aの第1の端部30A
1はベース2に固定され、第2の柱状部材30Bの第2の端部30B
1はベース2に固定されていないので、可動部材6の他端から作用する押付力が増大すると、第2の柱状部材30Bの第2の端部30B
1の方が第1の柱状部材30Aの第1の端部30A
1より相対的に大きく変形して変形量が大きくなる。別の言い方をすると、このとき、第2の柱状部材30Bの第2の端部30B
1は、第1の柱状部材30Aの第1の端部30A
1に対して変位し、第1の端部30A
1より変位量が大きくなっており、第2の柱状部材30Bは第1の柱状部材30Aの回りを回動している。
【0041】
しかも、この場合には、
図8に示すように、第1の端部30A
1の高さh
1が第2の端部30B
1の高さh
2より大きくなっており、好ましくは、連結部材30Cの高さが第1の端部30A
1から第2の端部30B
1に向かって徐々に低くなっていて連結部材30Cがテーパ状に形成されているので、第2の端部30B
1の変位量が第1の端部30A
1の変位量より一層大きくなる。
【0042】
また、このとき、第1の柱状部材30Aの第1の端部30A1が固定端で、第2の柱状部材30Bの第2の端部30B1が自由端になっているので、可動部材6の他端から各柱状部材30A、30Bに作用する押付力が増大したとき、第1の柱状部材30Aの第1の端部30A1に対する変位量よりも、第2の柱状部材30Bの第2の端部30B1に対する変位量の方が大きい。
【0043】
これにより、
図15に示すように、引張コイルばね8による引張力の作用下で、可動部材6の一端側が他端側の回りを側方にずれるように変位する(つまり側方に向かって回動する)。このとき、引張コイルばね8の一端側のフック8aは可動部材6の一端側の係止用突起部60aに係止されているので、可動部材6の側方への変位により、引張コイルばね8の一端側も側方に向かって変位する。その結果、同図中の一点鎖線および二点鎖線に示すように、引張コイルばね8の軸線CL
1は、軸線CL
0の位置から引張コイルばね8の他端側の回りを側方に変位して、軸線CL
0と交差する方向に変位する。それに伴って、可動部材6の一端側の可動接点6a
1は、固定接点5bと接触した状態を維持したまま、引張コイルばね8の軸線CL
0と交差する方向に変位する。このとき、同図中に示すように、可動接点6a
1は、常閉固定接点5bに対して側方にずれるように変位(つまり側方に向かって回動)して常閉固定接点5bと摺動する。
【0044】
このようにして、接点表面を十分にワイピングすることができ、接点表面の絶縁被膜を剥離させることができる。
【0045】
なお、
図13の状態を越えてさらにアクチュエータ7が操作されると、可動部材6が反転して、可動部材6が常閉固定接点5b側の上方位置から常開固定接点4b側の下方位置に移動し、これにより、接点が切り替えられる。
【0046】
また、可動部材6の一端側の可動接点6aが常開固定接点4b側の下方位置から常閉固定接点5b側の上方位置に戻る際、可動接点6aが常閉固定接点5bに対して、上述した反転操作時の変位方向とは逆方向に変位しようとするので、そのときの慣性で可動部材6の一端の側方への移動量が大きくなる場合も考えられる。
【0047】
このような場合においても、可動部材6の一端の側方の位置に突出部9を設けたことにより、側方に移動した可動部材6の一端を突出部9に当接させることができ、これにより、可動部材6の一端の側方への移動量が過大になるのを防止して、可動部材6の他端が支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bから外れる状態が発生するのを回避することができる。
【0048】
〔第1の変形例〕
前記実施例では、突出部9が可動部材6の一側方にのみ設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。突出部9は、前記一側方と逆方向の他側方にも設けるようにしてもよい。すなわち、前記実施例では、突出部9が
図3の紙面奥側に配置されていたが、同図の紙面手前側にも配置するようにしてもよい。この場合、突出部9は、可動部材6の一端を挟んで左右両側方に配置されて、それぞれ第1、第2の規制部材を構成することになる。
【0049】
この場合には、マイクロスイッチ1の輸送中の振動や衝撃により、また設置時にマイクロスイッチ1を落下させた際の衝撃等により、可動部材6の自由端側の一端が、上述した側方とは逆方向の他側方(つまり
図3紙面手前側)に向かって過度に移動した場合においても、移動した可動部材6の一端を別の突出部9に当接させることで、可動部材6の一端の他側方への移動量が過大になるのを防止でき、これにより、可動部材6の他端が支持枠30の第1、第2の柱状部材30A、30Bから外れる状態が発生するのを回避することができる。すなわち、この場合には、可動部材6の自由端側の一端がいずれの側方に移動した場合でも、その移動に起因した、可動部材6の他端側の外れを防止できる。
【0050】
なお、この場合には、
図3の紙面手前側に配置される突出部9は、アクチュエータ7による可動部材6の反転操作時に可動部材6の一端が変位する際の移動の妨げとならないように、可動部材6の一端との間に所定の隙間を介して設置される。具体的には、ベース2の上方において、常閉固定端子5の延設部5cや常開固定端子4の接点取付部4aに設けられる。なお、接点取付部4aに設ける場合には、可動部材6の一端との間に十分な絶縁距離を確保する必要がある。
【0051】
〔第2の変形例〕
前記実施例では、突出部9がマイクロスイッチ1のベース(第1の筐体)2側に設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。ベース2側に突出部9を設けることなく、ベース2に組み合わされる蓋体(第2の筐体)(図示せず)側に同様の突出部9を設けるようにしてもよい。この場合、蓋体側の突出部9は、たとえば、蓋体の内壁面から内方に突出する張出し部やリブ等によって構成される。また、ベース2側の第1の規制部材としての突出部9に加えて、蓋体側に第2の規制部材としての別の突出部を設けるようにしてもよい。この場合、蓋体側の別の突出部(第2の規制部材)は、可動部材6の一端の他側方への動きを規制するためのものであって、ベース2側の突出部(第1の規制部材)9と併せて、可動部材6の一端の左右両側方への動きを規制できる。
【0052】
〔その他の変形例〕
上述した実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、検出用スイッチや操作用スイッチ等として用いられるマイクロスイッチに有用である。
【符号の説明】
【0054】
1: マイクロスイッチ
2: ベース
20a、20b: 係合凹部
4b: 常開固定接点(第2の固定接点)
5b: 常閉固定接点(第1の固定接点)
6: 可動部材
6a1、6a2、6a: 可動接点
7: アクチュエータ
8: 引張コイルばね(引張ばね)
9: 突出部(規制部材)
30: 支持枠
30A: 第1の柱状部材
30A1: 第1の端部
30A3: (第1の)係合凹部
30A4: (第3の)係合凹部
30B: 第2の柱状部材
30B1: 第2の端部
30B3: (第2の)係合凹部
30B4: (第3の)係合凹部
30C: 連結部(規制部材)
CL0、CL1: 軸線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【文献】実開昭63-129928号公報(第2~4頁、第4図および第5図参照)