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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】保険提案システム及び保険提案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q40/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020203131
(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022090688
(43)【公開日】2022-06-20
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】倉持 俊克
(72)【発明者】
【氏名】小野 惇也
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-015299(JP,A)
【文献】特開2003-168002(JP,A)
【文献】国際公開第2020/179010(WO,A1)
【文献】特開2003-122930(JP,A)
【文献】特開2005-100212(JP,A)
【文献】特開2020-123124(JP,A)
【文献】特開2018-081618(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194118(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の位置を検出する車両位置検出部と、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定する移動手段判定部と、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定する生活圏判定部と、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案する保険提案部と、
を備え、
前記利用者が加入している保険の内容を記憶する保険内容記憶部を更に備え、
前記保険提案部は、前記保険内容記憶部が記憶している前記利用者の前記保険の内容に基づき、提案する前記生活圏外用の保険の内容を作成する、
保険提案システム。
【請求項2】
前記利用者が加入している前記保険の内容を設定する保険情報設定部をさらに備え、 前記保険情報設定部は、前記利用者が入力した前記保険の内容を前記保険内容記憶部に記録する、
請求項1に記載の保険提案システム。
【請求項3】
利用者の位置を検出する車両位置検出部と、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定する移動手段判定部と、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定する生活圏判定部と、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案する保険提案部と、
を備え、
前記生活圏を設定する生活圏設定部をさらに備え、
前記生活圏設定部は、前記利用者による前記生活圏の指定に基づいて前記生活圏を設定し、
前記生活圏設定部は、前記利用者の指定に基づいて、前記生活圏の外において前記生活圏外用の保険の提案対象外とするエリアを設定する、
保険提案システム。
【請求項4】
前記生活圏を設定する生活圏設定部をさらに備え、
前記生活圏設定部は、前記利用者の前記車両による移動履歴に基づいて、前記生活圏を設定する、
請求項1から請求項3のうち何れか1項に記載の保険提案システム。
【請求項5】
前記生活圏判定部は、休日と平日とで前記生活圏の範囲を切り替える、
請求項1から請求項4のうち何れか1項に記載の保険提案システム。
【請求項6】
利用者の位置を検出する車両位置検出部と、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定する移動手段判定部と、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定する生活圏判定部と、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案する保険提案部と、
を備え、
前記保険提案部は、休日と平日とで前記生活圏外用の保険を提案する頻度を切り替える、
保険提案システム。
【請求項7】
記利用者が、前記保険提案部が提案した前記生活圏外用の保険に加入した場合、当該生活圏外用の保険の適用期間を管理する保険管理部をさらに備え、
前記保険管理部は、前記利用者によって設定された前記生活圏外用の保険の有効期間に基づいて、前記生活圏外用の保険の適用を終了する、
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の保険提案システム。
【請求項8】
前記利用者が、前記保険提案部が提案した前記生活圏外用の保険に加入した場合、当該生活圏外用の保険の適用期間を管理する保険管理部をさらに備え、
前記保険管理部は、前記利用者が搭乗した前記車両が前記生活圏内へ移動したことに基づいて、前記生活圏外用の保険の適用を終了する、
請求項1から請求項7のうち何れか1項に記載の保険提案システム。
【請求項9】
前記移動手段判定部は、前記利用者の時系列の位置情報に基づく、前記利用者の移動速度または移動経路に基づいて、前記利用者が前記車両に搭乗して移動していると判定する、
請求項1から請求項8のうち何れか1項に記載の保険提案システム。
【請求項10】
利用者の位置を検出する車両位置検出部と、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定する移動手段判定部と、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定する生活圏判定部と、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案する保険提案部と、
を備え、
前記移動手段判定部は、前記利用者の携帯端末の識別情報または位置情報が、前記車両が搭載している車載通信装置を経由して送信されたことに基づいて、前記利用者が前記車両に搭乗して移動していると判定する、
保険提案システム。
【請求項11】
保険提案システムのプロセッサが、
利用者の位置を検出し、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定し、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定し、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案し、
前記利用者が加入している保険の内容を記憶し、
記憶している前記利用者の前記保険の内容に基づき、提案する前記生活圏外用の保険の内容を作成する、
保険提案方法。
【請求項12】
保険提案システムのプロセッサが、
利用者の位置を検出し、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定し、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定し、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案し、
前記利用者による前記生活圏の指定に基づいて前記生活圏を設定し、
前記利用者の指定に基づいて、前記生活圏の外において前記生活圏外用の保険の提案対象外とするエリアを設定する、
保険提案方法。
【請求項13】
保険提案システムのプロセッサが、
利用者の位置を検出し、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定し、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定し、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案し、
休日と平日とで前記生活圏外用の保険を提案する頻度を切り替える、
保険提案方法
【請求項14】
保険提案システムのプロセッサが、
利用者の位置を検出し、
前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定し、
前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定し、
前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案し、
前記利用者の携帯端末の識別情報または位置情報が、前記車両が搭載している車載通信装置を経由して送信されたことに基づいて、前記利用者が前記車両に搭乗して移動していると判定する、
保険提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険提案システム及び保険提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
旅行に出かける際、万一のトラブルに備えるために短期間の保険に加入する場合がある。保険会社からは、1日単位で契約できる保険商品が提供され、ユーザは、例えば、自身のスマートフォンから手軽に契約を申し込むことができる。このような保険の補償内容の中には、既に契約済みの保険で対応できるものが含まれている場合があり、ユーザは、保険の内容をよく確認して加入する必要がある。特許文献1には、車両が走行する経路の交通状況に応じて保険条件を変更する情報処理装置が開示されている。この情報処理装置は、例えば、車両が、事故リスクが低い交通状況の経路を走行する場合にはユーザに有利な保険条件を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開第6261636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旅行などの非日常的な環境で車両の運転を行う場合、加入済みの保険だけでは対応しきれない状況に遭遇する可能性がある。非日常的な環境を走行している間だけ適切な保険に加入できれば便利である。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、車両で移動している利用者が生活圏外へ移動したときに保険を提案する保険提案システム及び保険提案方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る保険提案システム及び保険提案方法は、以下の構成を採用した。
【0007】
(1):この発明の一態様に係る保険提案システムは、利用者の位置を検出する車両位置検出部と、前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定する移動手段判定部と、前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定する生活圏判定部と、前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案する保険提案部と、を備える。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記利用者が加入している保険の内容を記憶する保険内容記憶部を更に備え、前記保険提案部は、前記保険内容記憶部が記憶している前記利用者の前記保険の内容に基づき、提案する前記生活圏外用の保険の内容を作成する。
【0009】
(3):上記(2)の態様において、前記利用者が加入している前記保険の内容を設定する保険情報設定部をさらに備え、前記保険情報設定部は、前記利用者が入力した前記保険の内容を前記保険内容記憶部に記録する。
【0010】
(4):上記(1)から(3)の何れか一つの態様において、前記生活圏を設定する生活圏設定部をさらに備え、前記生活圏設定部は、前記利用者による前記生活圏の指定に基づいて前記生活圏を設定する。
【0011】
(5):上記(1)から(3)の何れか一つの態様において、前記生活圏を設定する生活圏設定部をさらに備え、前記生活圏設定部は、前記利用者の前記車両による移動履歴に基づいて、前記生活圏を設定する。
【0012】
(6):上記(4)または(5)の態様において、前記生活圏設定部は、前記利用者の指定に基づいて前記生活圏の外において前記生活圏外用の保険の提案対象外とするエリアを設定する。
【0013】
(7):上記(1)から(6)の何れか一つの態様において、前記生活圏判定部は、休日と平日とで前記生活圏の範囲を切り替える。
【0014】
(8):上記(1)から(7)の何れか一つの態様において、前記保険提案部は、休日と平日とで前記生活圏外用の保険を提案する頻度を切り替える。
【0015】
(9):上記(1)から(8)の何れか一つの態様において、前記利用者が、前記保険提案部が提案した前記生活圏外用の保険に加入した場合、当該生活圏外用の保険の適用期間を管理する保険管理部をさらに備え、前記保険管理部は、前記利用者によって設定された前記生活圏外用の保険の有効期間に基づいて、前記生活圏外用の保険の適用を終了する。
【0016】
(10):上記(1)から(8)の何れか一つの態様において、前記利用者が、前記保険提案部が提案した前記生活圏外用の保険に加入した場合、当該生活圏外用の保険の適用期間を管理する保険管理部をさらに備え、前記保険管理部は、前記利用者が搭乗した前記車両が前記生活圏内へ移動したことに基づいて、前記生活圏外用の保険の適用を終了する。
【0017】
(11):上記(1)から(10)の何れか一つの態様において、前記移動手段判定部は、前記利用者の時系列の位置情報に基づく、前記利用者の移動速度または移動経路に基づいて、前記利用者が前記車両に搭乗して移動していると判定する。
【0018】
(12):上記(1)から(11)の何れか一つの態様において、前記移動手段判定部は、前記利用者の携帯端末の識別情報または位置情報が、前記車両が搭載している車載通信装置を経由して送信されたことに基づいて、前記利用者が前記車両に搭乗して移動していると判定する。
【0019】
(13):この発明の一態様に係る保険提案方法では、利用者の位置を検出し、前記利用者が車両に搭乗して移動していることを判定し、前記利用者の位置が、前記利用者の生活圏の外か否かを判定し、前記利用者が前記車両に搭乗して前記生活圏の外へ移動すると、生活圏外用の保険を前記利用者へ提案する。
【発明の効果】
【0020】
(1)~(13)の態様によれば、利用者が車両に搭乗して生活圏外へ出たときに、生活圏外で生じ得るリスクに対応することができる補償内容を備えた保険を利用者へ提案することができる。これにより、利用者は、事前に保険に加入していなくても、生活圏外で出た際に適切な保険に加入することができる。(2)の態様によれば、利用者が既に加入している保険では対応できない状況へ対応可能な保険を提案することができる。(3)の態様によれば、利用者が既に加入している保険の情報を、保険会社から取得することができない場合でも、利用者が設定することができる。(4)の態様によれば、利用者の生活圏を利用者が自ら設定することができる。(5)の態様によれば、利用者の生活圏を利用者の車両の移動履歴を解析することによって自動的に設定することができる。(6)の態様によれば、利用者の生活圏外に生活圏と同様の扱いをするエリアを設定することができる。(7)~(8)の態様によれば、休日と平日とで保険の提案頻度を切り替えることができる。(9)~(10)の態様によれば、生活圏外で加入した保険を適切なタイミングで自動的に解約することができる。(11)~(12)の態様によれば、利用者が車両に搭乗して移動しているか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態の保険提案システムの一例を示す図である。
図2】実施形態の保険提案システムの一例を示す機能ブロック図である。
図3】実施形態における設定処理の一例を示すフロー図である。
図4】実施形態の生活圏設定画面の一例を示す図である。
図5】実施形態における移動データの収集処理の一例を示すフロー図である。
図6】実施形態における保険提案処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
以下、図面を参照し、本発明の保険提案システム及び保険提案方法の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態による保険提案システムの一例を示す図である。
保険提案システム100は、車両b1に搭乗して移動している利用者u1に対して、その利用者が普段の生活圏を離れたことを検出すると、生活圏外で生じ得るトラブル等へ対応可能な保険を提案する。保険は、出張や旅行などの日程に限定した保険プランであり、例えば、通常加入していなかった車両保険のオプションや、弁護士特約、レッカー移動特約、同乗者による運転での事故による補償、各種損害上限額の引き上げなどの補償内容を備える。利用者u1が保険提案システム100によって提案される保険の契約を行うと、保険提案システム100は、利用者へ保険を適用し、終了条件が成立すると保険の契約を解除する。
【0024】
保険提案システム100は、車両データ収集サーバ装置10と、保険提案サーバ装置20と、車載通信装置30と、携帯端末40と、を含む。車両データ収集サーバ装置10は、例えば、車両b1のメーカが管理するサーバ装置である。車両データ収集サーバ装置10は、車両b1のFCD(フローティングカーデータ)を取得する。FCDには、車両b1の位置情報が含まれる。車両データ収集サーバ装置10は、保険提案サーバ装置20、車載通信装置30との通信手段を有する。例えば、車両データ収集サーバ装置10は、車載通信装置30から車両b1の位置情報を取得し、車両b1の位置情報をリアルタイムに保険提案サーバ装置20へ送信する。
【0025】
保険提案サーバ装置20は、例えば、保険会社や保険商品を販売する企業が管理するサーバ装置である。保険提案サーバ装置20は、生活圏外に移動した利用者u1に適した保険を提案する。例えば、保険提案サーバ装置20は、複数の保険商品w1、w2、・・・を含む保険商品群wを記憶しており、この中から利用者u1に適した保険を選択して利用者u1へ提案する。保険提案サーバ装置20は、車両b1に同乗している同乗者u2にも生活圏外用の保険を提案してもよい。保険提案サーバ装置20は、車両データ収集サーバ装置10、携帯端末40との通信手段を備えている。例えば、保険提案サーバ装置20は、車両データ収集サーバ装置10から車両b1の位置情報をリアルタイムに取得し、車両b1が生活圏外へ移動すると、利用者u1の携帯端末40へ保険の提案情報を送信する。
【0026】
車載通信装置30は、例えば、車両b1に搭載されたTCU(Telematic control unit)である。車載通信装置30は、車両b1の位置情報を取得する手段を有している。車載通信装置30は、車両データ収集サーバ装置10、携帯端末40との通信手段を備えている。例えば、車載通信装置30は携帯端末40から携帯端末40の識別情報等を取得し、車両b1の位置情報とともに、携帯端末40の識別情報等を車両データ収集サーバ装置10へ送信する。
【0027】
携帯端末40は、利用者u1が所有する携帯端末である。携帯端末40は、携帯端末40の位置情報を取得する手段を備えている。携帯端末40は、保険提案サーバ装置20、車載通信装置30との通信手段を備えている。例えば、携帯端末40は、携帯端末40の識別情報や位置情報を車載通信装置30へ送信する。携帯端末40は、保険提案サーバ装置20から保険の提案情報を取得し、保険への加入を申し込む情報を保険提案サーバ装置20へ送信する。以下の説明では、利用者u1の携帯端末40に対して保険の提案を行う処理について説明するが、保険提案システム100は、利用者u1の携帯端末40だけではなく、同乗者u2が所有する携帯端末50についても後述の処理により、同乗者u2に適した保険が提案することができる。
【0028】
図2は、実施形態の保険提案システムの一例を示す機能ブロック図である。車両データ収集サーバ装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを備えるサーバ装置である。これらの構成要素のうち制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0029】
通信部11は、ネットワークNWを介して他の装置との通信を行う。例えば、車両データ収集サーバ装置10は、通信部11を通じて、保険提案サーバ装置20、車載通信装置30と通信を行う。通信部11は、車載通信装置30から車両b1の位置情報等を取得する。制御部12は、通信部11による位置情報等の送受信処理を制御する。制御部12は、通信部11が取得した位置情報等を記憶部13に記録する。記憶部13は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成される。記憶部13は、制御部12によって記録された車両b1の位置情報等を記憶する。
【0030】
保険提案サーバ装置20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23とを備えるサーバ装置である。これらの構成要素のうち制御部22は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0031】
通信部21は、ネットワークを介して他の装置との通信を行う。例えば、保険提案サーバ装置20は、通信部21を通じて、車両データ収集サーバ装置10、携帯端末40と通信を行う。通信部21は、車両データ収集サーバ装置10から車両b1の位置情報等を取得する。通信部21は、携帯端末40から携帯端末40の位置情報等を取得してもよい。通信部21は、携帯端末40との間で保険の提案や保険への加入に関する情報を送受信する。制御部22は、利用者u1へ保険を提案する処理を制御する。制御部22は、移動情報取得部221と、移動手段判定部222と、保険情報設定部223と、生活圏設定部224と、生活圏判定部225と、保険提案部226と、保険管理部227と、を備えている。移動情報取得部221は、車両b1や携帯端末40の位置情報を取得する。移動手段判定部222は、利用者u1(携帯端末40)が車両で移動しているか否かを判定する。保険情報設定部223は、利用者u1が既に契約している保険の内容の設定を受け付け、記憶部23に記録する。生活圏設定部224は、利用者u1が普段の生活で移動する範囲を示す生活圏の設定を受け付け、記憶部23に記録する。生活圏判定部225は、利用者u1が生活圏外に移動したか否かを判定する。保険提案部226は、利用者u1へ提供する生活圏外用の保険を1つ又は複数選択し、保険の提案情報を作成する。保険管理部227は、利用者u1が提案した保険への加入を申し込むと、保険の適用の開始、終了を管理する。
【0032】
記憶部23は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成される。記憶部23は、利用者u1の識別情報、利用者u1の携帯端末40の識別情報、利用者u1の連絡先の情報、利用者u1の生活圏などを対応付けて記憶している。保険会社が保険提案サーバ装置20を管理する場合であって、その保険会社の保険商品に利用者u1が既に加入している場合、記憶部23は、利用者u1が、現在加入している保険の内容を記憶していてもよい。また、記憶部23には生活圏外用の保険商品w1、w2、…を含む保険商品群wが格納されている。
【0033】
車載通信装置30は、位置情報取得部31と、通信部32と、制御部33と、を備える。これらの構成要素のうち制御部33は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0034】
位置情報取得部31は、GNSS(Global Navigation Satellite System)が測位した車両b1の位置情報を衛星から取得するGPS受信機等である。位置情報取得部31は、例えば、定期的に車両b1の位置情報を検出する。通信部32は、無線LAN(登録商標)やBluetooth(登録商標)により他の装置との通信を行う。例えば、車載通信装置30は、通信部32を通じて、車両データ収集サーバ装置10へ位置情報等を送信する。車載通信装置30は、通信部32を通じて、携帯端末40から携帯端末40の識別情報等を取得する。制御部33は、位置情報取得部31による位置情報の取得処理、通信部32による位置情報等の送受信処理を制御する。
【0035】
携帯端末40は、タブレットやスマートフォン等の携帯端末である。携帯端末40は、位置情報取得部41と、通信部42と、制御部43と、表示部44とを備える。これらの構成要素のうち制御部43は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0036】
位置情報取得部41は、GNSSが測位した携帯端末40の位置情報を衛星から取得するGPS受信機等である。位置情報取得部41は、例えば、定期的に携帯端末40の位置情報を検出する。通信部42は、無線LAN(登録商標)やBluetooth(登録商標)により他の装置との通信を行う。例えば、携帯端末40は、通信部42を通じて、車載通信装置30と通信を行う。携帯端末40は、通信部42を通じて、保険提案サーバ装置20と通信を行う。制御部43は、位置情報取得部41による位置情報の取得処理、車載通信装置30へ位置情報等を送信する処理、保険提案サーバ装置20との間で保険に関する情報を送受信する処理を制御する。表示部44は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ、タッチパネル等の表示装置を用いて構成される。表示部44は、制御部43の指示に基づき、任意の情報を表示可能である。携帯端末50の構成は携帯端末40と同様である。
【0037】
(事前の設定処理)
次に保険提案システム100の動作について説明する。まず、利用者u1は、保険提案システム100が提供する保険提案サービスへの加入契約を行う。この際、利用者u1は、保険提案サービスの提供に必要な各種設定を行う。図3に、保険提案サービス加入契約時における設定処理の一例を示す。
【0038】
まず、利用者u1が携帯端末40を用いて、保険に関する各種設定を行う(ステップS101)。例えば、携帯端末40には、本実施形態に係る保険提供サービスのアプリケーションがインストールされていて、制御部43がこのアプリケーションを実行することにより、保険に関する各種設定を入力するための設定画面を表示部44に表示する。例えば、利用者u1は、保険に加入する車両の情報として、自分が乗車する車両b1の車種、型式、製造年などの情報を携帯端末40に入力する。また、利用者u1は、保険に加入する利用者の情報として、年齢、性別、免許の種類(普通、大型、又はブルー、ゴールド等)、家族構成の情報などを携帯端末40に入力する。また、利用者u1は、既に加入済みの車両保険の内容として、保険の種類、保険会社の名称、商品名、補償の内容、年齢限定や家族限定などの条件等を携帯端末40に入力する。また、利用者u1は、車両保険以外の対人・対物賠償保険の内容を携帯端末40に入力してもよい。利用者u1が設定を入力すると、制御部43は、この情報を携帯端末40の記憶部に保存する。保険提案サーバ装置20が、利用者u1が既に加入している保険の情報を記憶している場合や、保険提案サーバ装置20が、他の保険会社のサーバ装置等と連携して利用者u1が既に加入している保険の情報を取得できる場合には、利用者u1の個人情報や車両の情報のみを入力し、加入済みの保険に関する情報の入力を省略することができる。
【0039】
また、制御部43はアプリケーションを実行することにより、生活圏外で適用する保険に関する各種設定を入力するための設定画面を表示部44に表示する。例えば、利用者u1は、生活圏外で加入したい保険の種類、補償内容等が既に決まっていれば、これらの情報を携帯端末40に入力する。また、利用者u1は、保険を提案する頻度(例えば、3時間に1回提案する、半日に1回提案するなど)、保険の提案タイミング(例えば、生活圏を離れて連続して又は合計して30分以上経過したら提案する、生活圏を出たらすぐ提案する、休日のみ提案する)などの条件を入力する。例えば、平日と休日とを比較した場合、休日の方が旅行に出かける可能性が高い為、利用者u1は、平日よりも休日の提案頻度が高くなるように設定してもよい。あるいは、利用者u1は、平日よりも休日の提案開始タイミングが早くなるように設定してもよい。また、利用者u1は、休日や長期休暇の間だけ、保険を提案するよう設定してもよい。
【0040】
また、利用者u1は、保険に加入した場合の終了条件(例えば、自宅に戻ったら解約する、生活圏内に戻り所定時間経過したら解約する、保険への加入から指定した日数が経過したら解約するなど)を携帯端末40に入力する。また、利用者u1は、生活圏の初期値の算出に関する設定を入力する。例えば、平日の生活圏と休日の生活圏を分けて算出する場合や、曜日や時間帯で分けて生活圏を設定する場合、利用者u1は、その旨の情報を携帯端末40へ入力する。また、利用者u1は、自宅を中心とする半径XXkmを生活圏とするといった情報を携帯端末40へ入力してもよい。利用者u1が設定を入力すると、制御部43は、この情報を携帯端末40の記憶部に保存する。
【0041】
制御部43は、通信部42に設定された情報の送信を指示する。通信部42は、ステップS101で利用者u1が設定した情報を保険提案サーバ装置20へ送信する(ステップS102)。保険提案サーバ装置20では、通信部21が送信された情報を取得し、保険情報設定部223が取得された情報を記憶部23に記録する(ステップS103)。保険会社と連携して利用者u1が既に加入している保険の情報を取得する場合、保険情報設定部223は、保険会社へ利用者u1の個人情報を照会して、利用者u1が加入している保険の情報を取得し記憶部23に記録する。次に保険提案部226は、利用者u1に提案する保険の候補を選定又は作成する(ステップS104)。例えば、保険提案部226は、既に利用者u1が加入している保険では対応しきれない補償内容が設定された保険商品w1、w2などを選定して、これらを利用者u1へ提案する保険の候補として記憶部23へ記録する。また、例えば、保険提案部226は、既に利用者u1が加入している保険の補償内容では対応しきれない補償内容を組み合わせて、利用者u1へ提案する保険の候補を複数作成してもよい。例えば、保険提案部226は、車両b1が事故で破損した状況を想定して、車両b1の撤去、代替車両の提供、緊急時の宿泊先の手配などを補償内容に組み込んだ保険商品w3を作成する。あるいは、現在、利用者u1が年齢限定や家族限定付きの車両保険に加入している場合、旅行先で、家族以外の友人等が運転する状況や、利用者u1より若い世代の人が運転する状況に対応できるように、現在、利用者u1が加入している車両保険から年齢限定や家族限定を取り外した保険商品w4を選定又は作成してもよい。保険提案部226は、考えられる全ての補償内容を付加した保険商品w5を選定又は作成してもよい。保険提案部226は、利用者u1用の保険商品群を記憶部23に記録する。
【0042】
次に制御部22が、通信部21を通じて、利用者u1の車両b1の移動履歴を車両データ収集サーバ装置10へ問い合わせる(ステップS105)。車両データ収集サーバ装置10の記憶部13には、車両b1の過去の移動履歴(位置情報)が蓄積されている。制御部12は、記憶部13に蓄積された車両b1の位置情報を読み出す。通信部11は、制御部12の指示に基づいて、車両b1の位置情報を保険提案サーバ装置20へ送信する(ステップS106)。保険提案サーバ装置20では、通信部21を通じて、制御部22が車両b1の位置情報を取得して、位置情報を記憶部23に記録する。次に生活圏設定部224は、利用者u1の生活圏の初期値を設定する(ステップS107)。生活圏設定部224は、記憶部23に記録された車両b1の位置情報を読み出して、車両b1の位置情報に基づいて、利用者u1の生活圏を算出する。例えば、生活圏設定部224は、車両b1の位置情報が所定以上の密度で存在するエリアを算出し、このエリアを生活圏として設定する。生活圏設定部224は、平日と休日とで異なる生活圏を設定してもよい。具体的には、生活圏設定部224は、平日における車両b1の移動履歴に基づいて平日の生活圏を設定し、休日における車両b1の移動履歴に基づいて休日の生活圏を設定する。また、曜日や時間帯により移動先が異なるような場合に対応するために、生活圏設定部224は、曜日ごと及び/又は時間帯ごとに生活圏の初期値を設定してもよい。
【0043】
車両b1の位置情報を取得できない場合、生活圏設定部224は、所定の範囲を利用者u1の生活圏として算出する。例えば、生活圏設定部224は、利用者u1の自宅を中心とする半径30kmの範囲を利用者u1の生活圏の初期値として設定する。また、事前の設定(ステップS101)で、利用者u1が、自宅を中心とする半径20kmの範囲を生活圏として設定している場合、生活圏設定部224は、利用者u1の自宅を中心とする半径20kmの範囲を利用者u1の生活圏の初期値として設定する。生活圏設定部224は、設定した生活圏の初期値の送信を通信部21へ指示する。通信部21は、生活圏の初期値を携帯端末40へ送信する(ステップS108)。
【0044】
携帯端末40では、通信部42を通じて、制御部43が生活圏の初期値を取得する。制御部43が生活圏の初期値を表示部44へ表示する(ステップS109)。図4に生活圏の表示例を示す。図4の円e1は、生活圏の初期値である。利用者u1の操作により、携帯端末40の制御部43は、生活圏を修正する(ステップS110)。例えば、利用者u1は、図4の矢印で示すように生活圏e1の範囲を拡大したり縮小したりして生活圏e1を修正することができる。また、生活圏e1の外部に仕事等で頻繁に訪れる場所e2が存在する場合、その場所e2やその場所へ至る経路e3を生活圏の一部として指定することができる。例えば、利用者u1は、指でタッチして表示部44に表示された場所e2や経路e3を選択することによって、場所e2、経路e3を指定する。指定された場所e2、経路e3は、生活圏の一部として扱われる。つまり、利用者u1が車両b1に搭乗して経路e3を走行していても、保険提案サーバ装置20は保険を利用者u1へ提案しない。また、場所e2や経路e3に加えて場所e2へ移動する曜日、時間帯を指定できるようにしてもよい。反対に生活圏e1の中に生活圏では無い領域又は生活圏から除外したい領域e4が存在する場合、その領域e4を生活圏外として指定することができる。例えば、利用者u1は、表示部44に表示された領域e4の範囲を指でなぞることによって、領域e4を指定する。指定された領域e4は、生活圏外として扱われる。つまり、利用者u1が車両b1に搭乗して領域e4に進入すると、利用者u1は保険提案サーバ装置20から保険の提案を受ける可能性がある。生活圏の修正が完了すると、利用者u1は所定の操作を行って、生活圏の修正を完了する。制御部43は、通信部42を通じて、修正後の生活圏を示す情報を保険提案サーバ装置20へ送信する(ステップS111)。保険提案サーバ装置20では、通信部21が修正後の生活圏の情報を取得する。生活圏設定部224は、修正後の生活圏を記憶部23へ記録する(ステップS112)。
【0045】
(移動データの収集処理)
保険提案システム100は、利用者u1が徒歩や電車等ではなく、車両b1で生活圏外を移動したときに保険を提案する。図5を参照して、利用者u1の車両b1による生活圏外への移動を検出する処理について説明する。
【0046】
(ケース1)
ケース1は、携帯端末40が車載通信装置30を介して車両データ収集サーバ装置10へ携帯端末40の識別情報などを送信する方式である。携帯端末40が車載通信装置30と近距離無線通信を行うことにより、車載通信装置30を介して車両データ収集サーバ装置10へ、携帯端末40に関する情報を送信する方式とすることにより、携帯端末40と車載通信装置30(つまり、車両b1)が近距離にあることが担保でき、この方式で携帯端末40の情報が得られれば、利用者u1は車両b1で移動していることを確認することができる。位置情報取得部41は、携帯端末40の位置情報を取得する(ステップS201)。次に通信部42が、制御部43の指示に基づいて位置情報と位置情報の測位時刻と携帯端末40の識別情報とを車載通信装置30へ送信する(ステップS202)。車載通信装置30と携帯端末40は事前にペアリングされていて、例えば、1~10m程度の距離にて例えばBluetooth(登録商標)により通信可能である。車載通信装置30では、位置情報取得部31が、車両b1の位置情報を取得する(ステップS203)。制御部33は、通信部32を通じて、携帯端末40の位置情報、測位時刻および識別情報を取得する。通信部32は、制御部33の指示に基づいて、携帯端末40の位置情報、測位時刻および識別情報と、車載通信装置30の位置情報、位置情報の測位時刻、車載通信装置30の識別情報を車両データ収集サーバ装置10へ送信する(ステップS204)。車両データ収集サーバ装置10では、制御部12が、通信部11を通じて、携帯端末40の位置情報、測位時刻および識別情報と、車載通信装置30の位置情報、測位時刻および識別情報を取得し、これらの情報を記憶部13に記録する(ステップS205)。通信部11は、制御部12の指示に基づいて、記憶部13に記録した車載通信装置30および携帯端末40の位置情報、識別情報等をリアルタイムに保険提案サーバ装置20へ送信する(ステップS206)。
【0047】
保険提案サーバ装置20では、移動情報取得部221が、通信部21を通じて、携帯端末40の位置情報、測位時刻および識別情報と、車載通信装置30の位置情報、測位時刻および識別情報を取得し、取得した情報を記憶部23に記録する(ステップS213)。次に移動手段判定部222が、記憶部23に記録された位置情報等に基づいて、利用者u1が車両b1に搭乗して移動しているか否かを判定する(ステップS214)。例えば、移動手段判定部222は、近しい測位時刻における携帯端末40の位置情報と車両b1の位置情報の差が所定の範囲内であることによって、携帯端末40が車両b1によって移動していると判定し、携帯端末40の識別情報に基づいて携帯端末40の持ち主が利用者u1かどうかを判定する。携帯端末40の持ち主が利用者u1の場合、移動手段判定部222は、利用者u1が車両b1によって移動していると判定する。更に、移動手段判定部222は、携帯端末40及び/又は車両b1の速度を算出し、速度が車両での移動を示していることを判定条件に加えてもよい。また、移動手段判定部222は、携帯端末40及び/又は車両b1の移動経路を算出し、算出した移動経路が地図情報に存在する道路であることを判定条件に加えてもよい。次に生活圏判定部225が、携帯端末40及び/又は車両b1の最新の位置情報を取得して、取得した位置情報がステップS112で記録した利用者u1の生活圏内か否かを判定する(ステップS215)。例えば、生活圏に関して、図4に例示するe1~e4が設定され、場所e2と経路e3については月曜日のみ生活圏e1に追加するように設定されている場合、生活圏判定部225は、月曜日であれば、生活圏e1に場所e2と経路e3を加えた範囲から領域e4を除いた範囲に携帯端末40及び/又は車両b1の位置情報が含まれていれば、利用者u1は生活圏内に存在すると判定する。また、生活圏判定部225は、月曜日以外は生活圏e1から領域e4を除いた範囲に車両b1等の位置情報が含まれていれば、利用者u1は生活圏内に存在すると判定する。
【0048】
なお、携帯端末40の位置情報は必須ではない。例えば、携帯端末40から車載通信装置30へ所定の時間間隔で携帯端末40の識別情報だけを送信するようにしてもよい。移動手段判定部222は、携帯端末40の識別情報と車両b1の位置情報が取得できることに基づいて、利用者u1が車両b1に搭乗して移動していると判定する。
【0049】
同様に、携帯端末40の位置情報を送信する場合、車載通信装置30は車両b1の位置情報を送信しなくてもよい。移動手段判定部222は、携帯端末40の識別情報と位置情報が車載通信装置30を通じて送信されたことに基づいて、利用者u1が車両b1に搭乗して移動していると判定する。
【0050】
(ケース2)
ケース2は、車載通信装置30を経由せずに携帯端末40の識別情報や位置情報を車両データ収集サーバ装置10へ送信する方式である。車両b1が車載通信装置30を搭載していない場合や、普段はケース1の方式を採用していても車載通信装置30の通信部32が故障した場合にケース2の方式を採用することができる。ケース2の場合、携帯端末40と車両b1との直接的なかかわりが確認できないので、移動手段判定部222は、携帯端末40の時系列の位置情報を解析することにより、利用者u1が車両b1に搭乗して移動していることを判定する。まず、位置情報取得部41は、携帯端末40の位置情報を取得する(ステップS207)。次に通信部42が、制御部43の指示に基づいて位置情報と位置情報の測位時刻と携帯端末40の識別情報を車両データ収集サーバ装置10へ送信する(ステップS208)。車両データ収集サーバ装置10では、制御部12が、通信部11を通じて、携帯端末40の位置情報、測位時刻および識別情報を取得し、これらの情報を記憶部13に記録する(ステップS209)。通信部11は、制御部12の指示に基づいて、記憶部13に記録した携帯端末40の位置情報、識別情報等を保険提案サーバ装置20へ送信する(ステップS210)。
【0051】
保険提案サーバ装置20では、移動情報取得部221が、通信部21を通じて、携帯端末40の位置情報、測位時刻および識別情報を取得し、取得した情報を記憶部23に記録する(ステップS213)。次に移動手段判定部222が、記憶部23に記録された位置情報等に基づいて、利用者u1が車両b1に搭乗して移動しているか否かを判定する(ステップS214)。例えば、移動手段判定部222は、携帯端末40の時系列の位置情報に基づいて携帯端末40の速度を算出し、算出した速度が車両での移動を示している場合、携帯端末40(つまり、利用者u1)が車両に搭乗して移動していると判定する。又は、移動手段判定部222は、携帯端末40の時系列の位置情報に基づいて携帯端末40の移動経路を算出し、算出した移動経路が地図情報に存在する道路であれば、利用者u1が車両に搭乗して移動していると判定する。あるいは、移動手段判定部222は、速度と移動経路の両方が条件を満たす場合に、利用者u1が車両に搭乗して移動していると判定してもよい。次に生活圏判定部225が、携帯端末40の最新の位置情報に基づいて利用者u1が生活圏内か否かを判定する(ステップS215)。
【0052】
(ケース3)
ケース3は、車両データ収集サーバ装置10を経由せずに携帯端末40の識別情報や位置情報を直接、保険提案サーバ装置20へ送信する方式である。ケース3の場合、ケース2と同様の判定方法で利用者u1の移動が車両によるものか否かを判定する。位置情報取得部41は、携帯端末40の位置情報を取得する(ステップS211)。次に通信部42が、制御部43の指示に基づいて位置情報と位置情報の測位時刻と携帯端末40の識別情報を保険提案サーバ装置20へ送信する(ステップS212)。保険提案サーバ装置20では、移動情報取得部221が、通信部21を通じて、携帯端末40の位置情報、測位時刻および識別情報を取得し、取得した情報を記憶部23に記録する(ステップS213)。次に移動手段判定部222が、記憶部23に記録された位置情報等に基づいて、利用者u1が車両b1に搭乗して移動しているか否かを判定する(ステップS214)。例えば、移動手段判定部222は、携帯端末40の時系列の位置情報に基づいて、携帯端末40の速度及び/又は移動経路を算出し、速度及び/又は移動経路に基づいて利用者u1が車両に搭乗して移動しているか否かを判定する。次に生活圏判定部225が、携帯端末40の最新の位置情報に基づいて利用者u1が生活圏内か否かを判定する(ステップS215)。
【0053】
(生活圏外で保険を提案する処理)
保険提案サーバ装置20は、図5の処理を所定の制御周期で繰り返し行い、利用者u1が車両で移動していることを判定しつつ、利用者u1の位置情報を監視し、利用者u1が生活圏内に存在するか否かを判定する。そして、保険提案サーバ装置20は、利用者u1が車両で移動している場合であって、利用者u1が生活圏外へ移動したことを検出すると保険を提案する。保険を提案する処理の流れを図6に示す。図6は実施形態における保険提案処理の一例を示すフロー図である。以下の処理中、移動手段判定部222は、利用者u1が車両b1に搭乗して移動しているか否かの判定を所定の周期で実行している。生活圏判定部225は、利用者u1が生活圏内に存在するか否かの判定を所定の周期で実行している。
【0054】
保険提案部226は、保険の提案条件を満たすか否かを判定する(ステップS301)。保険の提案条件とは、例えば、(1)利用者u1が車両で移動しているときに生活圏外へ移動したこと、(2)ステップS101で設定した保険の提案頻度や提案開始タイミングの条件を満たすこと、の両方の条件を満たすことである。提案条件を満たす場合、保険提案部226は、提案する保険の情報を携帯端末40へ送信する(ステップS302)。具体的には、保険提案部226は、ステップS104で選定又は作成した保険商品群の情報を記憶部23から読み出して、携帯端末40へ、提案する保険の情報(例えば、例えば、読み出した保険商品群の補償内容等)を送信する。このとき、保険提案部226は、その日の天候(例えば、大雨や雪が降っている等)や生活圏外の場所の特性(例えば、沿岸部、山間部、交通量が多い道路、事故リスクが高い経路など)に応じて、提案する保険の種類を追加したり(例えば、保険商品w1、w2に現在の状況に応じた保険商品w6を追加)、補償内容を変更したりしてもよい。また、保険提案部226は、利用者u1が現在必要とする保険をより適切に提案するために質問(例えば、同乗者の有無、同乗者u2が運転するか否か)などを携帯端末40へ送信して、利用者u1から必要な情報を収集し、提案する保険を追加、変更等してもよい。また、例えば、提案頻度が3時間に1回と設定されていて、車両b1の走行中に提案条件を満たす状況が続く場合、保険提案部226は、利用者u1が加入するまでの間、3時間に1回提案する保険の情報を携帯端末40へ送信する。
【0055】
携帯端末40では、制御部43が、通信部42を通じて、保険の提案情報を取得し、保険の提案が通知されたことを表示部44へ表示する。利用者u1又は同乗者u2は、携帯端末40を操作して、契約する保険を選択する(ステップS303)。また、利用者u1は、保険の終了条件として、保険への加入してからの経過日数を設定した場合、今回の旅行の日程などに基づいて、終了条件の日数を携帯端末40に入力する。通信部42は、制御部43の指示に基づいて利用者u1が選択した保険の識別情報や終了条件などを保険提案サーバ装置20へ送信する(ステップS304)。なお、利用者u1が生活圏外用の保険を契約しない場合、図6の処理は終了する。
【0056】
保険提案サーバ装置20では、保険管理部227が、保険の識別情報を取得し、利用者u1に、その保険を適用する(ステップS305)。例えば、保険管理部227は、携帯端末40の識別情報および利用者u1が選択した保険の識別情報と対応付けて、識別情報を取得した時刻を保険適用開始時刻として記憶部23に記録する。また、通信部21は、保険管理部227の指示に基づいて、保険適用の開始を通知するメッセージ等を携帯端末40へ送信する(ステップS306)。
【0057】
保険に加入している間に事故などが生じた場合、利用者u1の承諾を得ることを条件に、車両データ収集サーバ装置10から保険提案サーバ装置20へ、車両b1のFCDを提供し、事故時の証明などに使用してもよい。
【0058】
次に保険管理部227は、利用者u1の位置情報等に基づいて、保険適用の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS307)。保険の終了条件とは、例えば、(1)利用者u1が車両で移動して生活圏内(又は自宅)へ移動したこと、(2)保険を適用してから契約した日数が経過したこと、などである。保険管理部227は、ステップS101で設定された保険に加入した場合の終了条件に基づいて、生活圏外用の保険の適用を終了するか否かを判定する。保険の終了条件を満たす場合、保険管理部227は、利用者u1への保険の適用を終了する(ステップS308)。例えば、保険管理部227は、携帯端末40の識別情報と、利用者u1が選択した保険の識別情報と、保険の適用終了を判定した時刻とを対応付けて記憶部23に記録する。また、通信部21は、保険管理部227の指示に基づいて、保険適用の終了を通知するメッセージ等を携帯端末40へ送信する(ステップS309)。
【0059】
生活圏外にてトラブルが発生した場合のリスクは生活圏内でトラブルが発生したとき以上となることが多く、その様な状況に対応できる保険に対するニーズがある。本実施形態によれば、利用者u1が、車両b1での移動中に普段生活している生活圏を離れると、利用者u1に応じた生活圏外用の適切な保険を提案する。利用者u1は、提案された保険の中から選択するだけで、必要な補償内容を持つ保険に必要な期間だけ加入することができる。利用者u1は、多数の保険商品の中から自分に必要のない補償内容を持つ商品を除外する必要が無く、簡便に必要に応じた内容を備えた保険に加入することができる。利用者u1は、旅行前に保険への加入を忘れた場合や急遽遠方へ出かける必要が生じた場合でも、適切なタイミングで保険を提案してもらえるので、安心して車両b1に搭乗して出かけることができる。また、保険会社としては、保険料収入の増大が見込める。
【0060】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、保険の提案情報は、利用者u1の携帯端末40ではなく、車両b1が搭載するカーナビゲーションシステムや車載器へ送信されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
100・・・保険提案システム
10・・・車両データ収集サーバ装置
11・・・通信部
12・・・制御部
13・・・記憶部
20・・・保険提案サーバ装置
21・・・通信部
22・・・制御部
221・・・移動情報取得部
222・・・移動手段判定部
223・・・保険情報設定部
224・・・生活圏設定部
225・・・生活圏判定部
226・・・保険提案部
227・・・保険管理部
23・・・記憶部
30・・・車載通信装置
31・・・位置情報取得部
32・・・通信部
33・・・制御部
40・・・携帯端末
41・・・位置情報取得部
42・・・通信部
43・・・制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6