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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】容器並びに結合及び形成方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/06 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61J1/06 D
A61J1/06 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020517376
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018075132
(87)【国際公開番号】W WO2019063346
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】102017009012.2
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514056207
【氏名又は名称】コッヒャー-プラスティック マシーネンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス ゲザー
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ザウター
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ボヤビック
(72)【発明者】
【氏名】スベン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ギーベラー
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】栗山 卓也
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特表平5-500020(JP,A)
【文献】特開2012-34939(JP,A)
【文献】特表2005-516862(JP,A)
【文献】特開2009-286498(JP,A)
【文献】特開2012-100984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器開口部(12)を介して放出可能な容器内容物(14)を収容するための容器部分(10)を有する、プラスチック材料からなる容器、特にアンプルであって、前記容器開口部が分離箇所(16)に沿って分離可能なヘッド部分(18)によって閉鎖されており、前記ヘッド部分にネック部分(20)が連続し、そのネック部分が内周側に4以上の異なる機能面を有しており、そのうちの第1の機能面(44)が取り出し器具(30)の取り出しボディ(32)に対して密閉するために用いられ、前記取り出しボディは容器開口部(12)が解放された場合に容器内容物(14)を取り出すために設けられており、第2の機能面(50)がネック部分(20)の内側に設けられており、前記第2の機能面(50)が幾何学的に第1の機能面(44)とは異なっている、ものにおいて、
第2の機能面(50)が継目なしで第1の機能面(44)へ移行しており、かつ
第2の機能面(50)と第1の機能面(44)がネック部分(20)内で第3の機能面(60)と第4の機能面(66)との間に収容されており、
第1の機能面(44)が、0から10度の開放角度を有する添接円錐を有しており、
円錐の形状で形成された第2の機能面(50)の開放角度(α)が、10-40度であり、
ネック部分(20)の内側の第3の機能面(60)として移行面が用いられ、ネック部分(20)が前記移行面を介して容器部分(10)内へ連通し、かつネック部分(20)が第1の機能面(44)から始まって外側に張り出す移行円錐(62)を有しており、
第4の機能面(66)として、第2の機能面(50)に隣接して他の移行円錐(68)が、一方の移行円錐(62)に対して逆の傾斜方向をもって、設けられており、
第1及び第2の機能面(44、50)に対して隣接する外壁部分(54、56)を含めて、第2の機能面(50)及び/又は第1の機能面(44)の領域内の平均の壁厚が、第4の機能面(66)及び第5の機能面(70)の平均の壁厚に比較して約20%-50%だけ減少されており、第1の機能面(44)が小さい幅Bを有するように形成され、Bは3mm未満である、ことを特徴とする容器。
【請求項2】
第1の機能面(44)と第2の機能面(50)の間の幾何学的特性における差異が、
-長手方向の延び、及び/又は
-隣接する外側のネック部分の壁部分と組み合わせた壁厚、及び/又は
-面傾斜
に見られる、ことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
取り出しボディ(32)が収容された場合に、第1の機能面(44)、その取り出しボディへ、ール面において着をもたらす、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
容器と解放された容器開口部(12)を介して導入された取り出しボディ(32)との間の密閉作用が、ネック部分(20)内の取り出しボディ(32)の取り出し位置において第1の機能面(44)が、シール面を形成しながら取り出しボディ(32)の外側面に少なくとも部分的に添接することによって、ネック部分(20)の第1の機能面(44)のみを介して達成されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
4の機能面(66)がヘッド部分(18)の方向において第5の機能面(70)へ移行し、前記第5の機能面がそれに隣接する外側の壁部分(72)上に取り出し器具(30)用の固定オプション(74)を有している、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
開口部(12)からの、部分ねじ(26)のヘッド側の端部の距離(C)が、2mmを越えない、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
第1の機能面(44)のヘッド側の端部と開口部(12)の間隔(D)が、3mmより大きい、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
第4の機能面(66)がヘッド部分(18)の方向において第5の機能面(70)へ移行し、前記第5の機能面がそれに隣接する外側の壁部分(72)上に取り出し器具(30)用の固定オプション(74)を有している、ことを特徴とする請求項1から4、6、7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
取り出し器具(30)のためのネック部分(20)の外側上の固定オプション(74)が、止め付けねじの形式の少なくとも1つのねじ区間(24)から形成されており、かつ
ねじ区間(24)が少なくとも2つの部分ねじセクション(26、28)から形成されており、それらの中央のねじ推移が、容器長手軸(34)と約70から80度の角度を形成する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
第1の機能面(44)と第2の機能面(50)がその隣接する外側の壁領域(54、56)において、少なくとも2つのウェブ(76)によって上方を把持されており、前記ウェブがそれらの自由端部においてそれぞれ第3と第4の機能面(60、66)の隣接する外側の壁領域(54、56)へ移行している、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記容器が、経腸適用のための流体をパッケージングするために使用されている、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
前記容器が、非経口適用のための流体をパッケージングするために使用されている、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
前記容器が、脊髄軸適用のための流体をパッケージングするために使用されている、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の容器を形成する装置において、
形状付与するプラスチック形成方法の一部として成形突起(80)が使用され、前記成形突起がポジ型として、第1の機能面(44)の形状と連続する第2の機能面(50)の形状の少なくとも2つの成形面(82、84)を形成している、ことを特徴とする容器を形成する装置。
【請求項15】
成形突起(80)が、請求項1から13のいずれか1項に記載の容器をブロー成形、充填及び閉鎖方法によって形成する場合に、使用されている、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器開口部を介して放出可能な容器内容物を収容するための容器部分を有する、プラスチック材料からなる容器、特にアンプルに関するものであって、その容器開口部が分離箇所に沿って分離可能なヘッド部分によって閉鎖されており、そのヘッド部分にネック部分が連続しており、そのネック部分が内周側に多数の機能面を有し、それらの機能面のうちの添接機能面が取り出しボディに対する密閉のために用いられ、その取り出しボディは容器開口部が解放された場合に容器内容物を取り出すために設けられており、その場合に設けられている機能面に加えて、確実な取り出しと製造安全の形成のために、前面の形式の他の機能面がネック部分内側に設けられており、その機能面が幾何学的に少なくとも1つの特性において添接機能面の特性とは異なっている。
【背景技術】
【0002】
このような容器は、大体において医療目的のために使用され、容器はたとえば円錐結合(Kegelverindung)によって、たとえば注射器のような取り出し器具の取り出しボディと結合することができる。円錐結合は、ロック可能に(ISO 80369-7;2016、たとえばルアーロック結合)、あるいはロック不可能に(ISO 80369-7;2016;たとえばルアースリップ結合)、形成することができる。これら及び流体取り出しに用いられる他の、たとえば経腸(ENFit,ISO 80369-3;2016)適用又は脊髄軸(NRFit,ISO 80369-6;2016)適用のための、結合幾何学配置及びその変形例は、記載の規格に詳細に記述されている。
【0003】
-たとえば注射のための-非経口目的のために好ましい、6%の円錐比(これは3.43度の円錐角に相当する)を有する円錐結合を備えた接続は、専門用語ではルアー接続とも称される。この既知の接続幾何学配置は、比較的大きいシール面を使用し、そのシール面は比較的長い円錐領域を介して、結合すべき部材の間に必要とされる確実な密閉を形成する。そのためには、たとえば注射器と注射針の間に所望の確実な密閉を保証することができるようにするために、きわめて良好な表面品質が必要である。これは、堅固な材料と半堅固な材料を使用して、たとえばポリカーボネート(PC)、スチレン・アクリルニトリル(SAN)、ポリスチロール(PS)などを使用して、射出成形された構成部品によって、容易に達成される。それによって、ユーザのために小さい「接合力」も生じる。それに対して取り出し器具としての注射器を充填された薬剤容器と結合することは、特に要求が多い。
【0004】
容器を、大量生産の枠内で、かつ上述したのとは異なるプラスチック材料(ポリプロピレン、ポリエチレン)によって、たとえばブロー成形方法(好ましくはブロー成形、充填及び閉鎖方法もそれに属する)の枠内で、コスト的に好ましいやり方で形成しようとする場合には、取り出し器具によって容器から取り出すプロセスにおいて発生する非機密性もしくは漏れは、必ずしも排除されず、それはそれぞれの患者にとって望ましくないリスクを伴うことになり得る。したがって一方で、場合によっては汚染された空気が容器内部へ侵入することに対し、他方では容器から流体が意図せずに流出することに対して、取り出し結合の充分な密閉性を保証することが、重要である。
【0005】
したがって上述した要請に関して、特許文献1(米国特許出願公開第2016/0200484(A1)号明細書)に記載の種概念に基づく容器においては、すでに、ネック領域全体にわたる大きい円錐状の一次シール面(図6図8)に加えて、軸方向に距離をおいて、シールリップの形式の付加的な二次シールを設けることが提案されており、そのシールリップはヘッド部分の分離後に容器開口部を解放しながら周囲へ移動し、取り出しボディが容器内へ嵌入するとすぐに、取り出し器具の取り出しボディに添接する。
【0006】
上に位置する付加的なシールリップと下に位置する離隔した円錐シール面との間に、2つの他の機能面が配置されており、そのうちの一方の第3の機能面が円錐状の内側中断部を介して分離継目(図4)に沿って円錐シール面へ移行している。他の第4の機能面は、第3の機能面に連続しており、シールリップへ移行し、その限りにおいてネック部分の内周側に円筒状の周面を形成し、その周面が取り出しプロセスのために取り出しボディによって貫通される。この第4の機能面は、隣接する、ネック部分の外側に位置する壁部分と結合して、拡幅された直径を有する2つの矩形の固定ウェブを形成し、容器を立てた場合にその固定ウェブの下側に付加的な容器周壁が添接し、かつその固定ウェブが外側から取り出しシステムのための固定オプション(Befestigungsmoglichkeit, attachment option)を形成する。第1と第2のシール(円錐シール面とシールリップ)を互いに対して軸方向に距離をもって保持する、第3と第4の機能面は、容器内へ嵌入する取り出しボディを径方向の間隔をもって包囲し、その限りにおいてシール機能を引き受けない。
【0007】
もちろん、確実な二次シールとしての再現可能なシールリップの実現は、困難であると思われる。というのは、薄いシールリップは、ユーザによるキャップ部分の除去後に初めて形成されるからである。それによってシールリップのユーザ固有の、かつ取扱いに基づく不規則性は確実に排除されず、したがってその再現可能なシール機能は疑問視される。
【0008】
もちろん、必要とされる付加的な二次シールによって、ネック部分の領域内で挿入かつ/又は取り出すべき取り出しボディと容器との間に付加的な摩擦が生じ、それが、流体を案内する結合を形成する場合に操作力又は接合力の増大をもたらし、それは特に、操作者が衛生的な理由から手袋をつけている場合に、全体として操作を困難にする。特に取り出しボディを挿入する際の、この種の増大された操作及び結合力を吸収することができるようにするために、添接機能面の領域内で、ネック部分の壁厚が特に厚く形成され、それによってこの領域内でのネック部分の折れ曲がりが回避される;ただ、ここでも、増大された壁厚を有するネック部分のこの領域内で、円錐状の取り出しボディを添接機能面に沿って適切に拡幅して挿入することができるようにするためには、再び操作力の増大が必要となる。
【0009】
ネック部分の外周面において容器長手軸に対して互いに直径方向に対向する2つの固定ウェブも、ルアーロック接続を形成しながら、容器が開放された場合に取り出しボディを有する取り出し器具を適切に挟持するオプションを形成する。ただ、容器の長手軸に対して横方向の共通の平面内に2つの固定ウェブを好ましくなく配置することによって、容易に取り出し器具のロックねじの回しすぎがもたらされ、それがユーザを著しく危険にさらす。というのは、ユーザは欠陥のある容器を使用しなければならないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2016/0200484(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この従来技術から出発して、本発明の課題は、既知の容器に比較して改良された容器を形成し、かつ確実かつコスト的に好ましいやり方で本発明に係る容器を形成する形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、その全体において請求項1の特徴を有する容器及び請求項17の特徴を有する形成装置によって解決される。それぞれの主請求項に記載の本発明に係る解決の他の好ましい実施形態が、下位請求項の対象である。
【0013】
本発明に係る容器は、付加的な機能面の形式で前面が継目なしで添接機能面へ移行していること、及び前面と添接機能面がネック部分内のその他の機能面の間に収容されていることを、特徴としている。本発明に係る容器は、さらに、前面の領域内、そして特に添接機能面の領域内の壁厚が、ネック部分内の平均的な壁厚に比較してずっと小さいことを特徴としている。それによって、確実な密閉にとって重要な、シール領域(取りだしボディの詳細な幾何学配置に依存する添接機能面の部分面)の小さい径方向の剛性が得られる。というのは、取り出しボディによってそれを拡幅する際に、わずかな力しか必要とされないからである。本発明によれば、さらに、アンプルが充分なトーション安定性を有することを保証するために、軸方向に見てできる限り短い添接面の形態が、好ましい。これはまた、アンプルの開放が定められている分離箇所で行われ、添接機能面の領域で行われないために、重要である。添接機能面の領域内で行われると、容器は使えなくなってしまう。さらに、添接機能面の短い形態は、取り出しボディの挿入の間にネック部分内で容器が折れ込み又は折れ曲がることを、回避する。「前面」という名称は、容器部分内へ取り出しボディを挿入する方向において、この前面が空間的に添接機能面の前に位置することを、明らかにするものである。さらに、特に好ましくは、本発明に係る容器は、専門家達には登録商標Bottelpackで知られている、ブロー成形、充填及び閉鎖方法によって形成される。
【0014】
本発明に基づいて、ヘッド側に継目なしに隣接する前面によって添接機能面の長さを減少させることにより、驚くべきことに、確実な密閉を可能にすると同時に、取り出しボディと容器の間に結合を形成するための力の消費の削減が可能になる。ブロー成形されるアンプルを製造安全に形成する理由からも、本発明に基づいて達成される、増大された密閉力作用を有するショート面プレスは、既知の面プレスよりも優先される。というのは、それによって、結合プロセスによる容器ネック内の幾何学的な誤差が固有に補償されるからである。したがって幾何学的偏差又は材料構造における偏差によってもたらされる、あらかじめ定めることのできる許容誤差フィールド内で、高い局所的なプレス力と、有効なシール面全体の減少により全体として減少された全体力において、容器ネック部分の内側と取り出しボディのとの間に有効な密閉が生じる。
【0015】
本発明に係る容器の好ましい実施形態においては、取り出しボディの導入力と密閉力作用を改良するための、添接機能面と前面の間の特性における言及された差異は、その
-長手方向の延び、及び/又は
-隣接するネック部分の外側の壁部分と組み合わせた壁厚、及び/又は
-面傾斜、
に見られる。
【0016】
このようにして幅の小さい本来のシール面(取り出しボディの幾何学配置に依存する添接機能面の一部)が実現され、それは、全体としてのネック部分の安定性を何ら損なうものではない。また、本来のシール面の小さい幅と低い剛性に基づいて、添接機能面の角度誤差に対する要請もずっと小さくなり、それは特にポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(HDPE、LDPE)のようなソフトな材料を使用する場合に、大量生産適格性の改良をもたらす。したがって本発明に係る容器は、従来のブロー成形、充填及び閉鎖方法の枠内で容易に、コスト的に好ましく大量に形成することができる。
【0017】
シール面領域における容器開口部の径方向に弾性的な形態は、特に、個々の機能面に対して隣接する外壁部分を含めて、前面及び/又は添接機能面の平均の壁厚が、その他の機能面の平均の壁厚に比較して約20%-50%、好ましくは20%-30%だけ減少されていることによって、達成される。すなわち全体として、本来の準シールライン領域内で、折れ込みを回避するための充分な軸方向の強度において、壁厚減少がもたらされるので、小さい操作量によって、取り出しボディと容器の間に容器内容物取り出しのために確実な結合が形成される。
【0018】
本発明に係る特に好ましい実施形態において、添接機能面は添接円錐を形成し、その添接円錐が容器長手軸に対して3.43度又はそれより大きい開放角度(円錐角)を有し、その場合に対応して求められた、本発明に係る前面の開放角度は30度、もしくは15度の傾斜角度、したがって半分の開放角度を有する。特に容器の円錐角がその取り出し箇所の領域内で、たとえば注射器の形式の、ISO80369-7;2016に基づく3.43度又は6%の雄形の円錐角を有する取り出しボディの円錐角に対して、3.43度より大きく選択されている場合には、小さい操作力において、かつ同時に良好な流体密閉において、取り出しボディのための障害のない結合プロセスが得られる。付加的な円錐状の前面の開放角度が30度であることも、それに寄与する;一方で添接機能面と取り出しボディの間の高い線形プレスを保証し、他方では取り出しボディの前側のための円錐状の拡幅としての付加的な導入補助を形成し、その限りにおいて添接機能面の方向における導入プロセスをさらに容易にする値である。
【0019】
本発明に係る容器の他の好ましい実施形態において、ネック部分をさらに補強するために、ネック部分の内側に他の機能面が設けられ、その場合にこの他の機能面の1つはそれに隣接する外側の壁部分上に取り出しボディのための、好ましくはねじ区間の形式の、ロックオプションを有し、そのねじ区間は好ましくは2つの部分ねじから形成されている。このような本発明に係る固定オプションによって、取り出しボディを有する取り出し器具をとりつける場合に意図せずに回しすぎることがないことが保証されるので、各場合において確実なねじ係合が実現され、それにおいてロック可能な結合のシール円錐が密閉するようにカウンターシート内へ圧入されている。
【0020】
ロックオプション(たとえばルアーロック結合)を有する他の好ましい実施形態において、添接機能面のヘッド側の端部と開口部との間の、3mmを越える、好ましくは4mmを越える、特に好ましくは5mmを越える、増大された間隔が設けられている。それによって結合プロセスにおいて、シールプレスが形成される前に、最初に部分ねじ内への嵌入が行われる。これが、ユーザにとっての操作を著しく改良する。
【0021】
異なる長さの取り出しボディ(その最小の長さのみが規格において詳細に記述されている)を有する取り出し器具を確実に挿入することができるようにするために、さらに、完全な結合プロセスの後に開放された容器の上エッジが軸方向において取り出し器具に添接しないと、効果的である。これは-(特許文献1に示される配置とは異なり-部分ねじのヘッド側の端部から分離箇所(開放されたアンプルの上エッジ)までの間隔が非常に小さく、2mmを越えず、好ましくは1mmより小さいことによって、得られる。
【0022】
本発明に係る容器の好ましい実施形態において、添接機能面と前面はそれらの隣接する外側の壁領域において少なくとも2つのウェブによって上方を把持されており、それらのウェブは、好ましくは容器の長手軸に対して互いに直径方向に対向し、それらの自由端部においてそれぞれ隣接して添接する、第3と第4の機能面の壁領域へ移行し、そのようにしてネック部分の中央の重要なシール領域を実質的に軸方向に補強し、シール領域内の意図されない開放に対するそのトーション抵抗を増大させるが、その径方向の剛性は実質的に増大させない。
【0023】
さらに本発明の対象は、この種の容器又はこの種の結合装置を形成する方法を設けることであり、その場合に形状付与するプラスチック形成方法の枠内で、成形突起が使用され、その成形突起は、上述したように、添接機能面の形状と連続する付加的な機能面の形状の少なくとも2つの機能面のポジ型を形成する。
【0024】
特に好ましくは、形成装置において、成形突起は容器を形成する場合に、上述したように、ブロー成形、充填及び閉鎖方法の枠内で使用される。そのために成形突起は、中空突起として形成されている。
【0025】
以下、図面に示す実施例を用いて本発明に係る解決策を詳細に説明する。その場合に図は原理的かつ縮尺にとらわれない表示である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、アンプルの形式の充填された容器を示す側面図である。
図2a図2aは、図1に示す容器の一部を拡大して示している。
図2b図2bは、分離箇所(16)においてヘッド部分を除去することにより開放した後に図式的に示す断面図である。
図2c図2cは、部分的に拡大した表示である。
図3図3は、図1に示す容器の側面図である。
図4図4は、ロック可能な円錐結合と結合された容器の本発明に係る結合領域を示す部分縦断面図である。
図5図5は、図1図4に示す容器のネック部分を形成して充填するための充填突起を部分的に示す図である。
図6図6は、図1図4に示す容器のネック部分を形成して充填するための充填突起を部分的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、容器開口部12を介して放出可能な液状又は半固体状の、医療目的などのための容器内容物14を収容するための容器部分10を有する、プラスチック材料からなるアンプルの形式の一体的な容器全体を開放前において示している。言及される容器開口部12は、分離箇所16に沿って分離可能なヘッド部分18によって閉鎖されており、そのヘッド部分にネック部分20が連続しており、そのネック部分が本来の容器部分10へ移行している。ヘッド部分18がつまみ22を有しており、そのつまみによってわずかな操作トルク/操作力でヘッド部分18が分離箇所16において容器開口部12を解放しながらネック部分20からねじ切られる。つまみ22によるヘッド部分18の分離後に露出した容器開口部12の例が、図2bの断面図に図式的に示されている。
【0028】
ネック部分20の上方の領域内の外周側に、螺合ねじの形式のねじ区間24の一部が示されており、この場合においてそれは2つの部分ねじセクション26、28から形成されており、その一方の部分ねじセクション26が図1と2aの表示に基づくネック部分20の前側に延びており、かつ部分ねじセクション28は、図3に示す側面図の表示に基づいて後ろ側に延びている。2つの部分ねじセクション26、28の中央のねじ推移は、図3の表示に基づいて後ろ側で互いに出合う領域内で、容器長手軸34と70から80度の角度を形成する。ネック部分20の外周における上述したねじ区間24は、図4に例として部分的に示すように、円錐状の取り出しボディ32を有する取り出し器具30とロックするために用いられる。
【0029】
この種の取り出し器具30は、たとえば注射器の一部であって、その取り出しボディ32は、容器開口部12が解放された場合に容器部分10から容器内容物14を取り出すために用いられる。
【0030】
さらに図2a-c及び図4に示されるように、ネック部分18の内側40に多数の異なる機能面が設けられており、その場合にネック部分20は容器部分10の上側の移行アーチ42に連続しており、かつそこから容器部分10の間で分離箇所16まで延びており、その分離箇所にヘッド部分18が連続している。上述した機能面の1つが、添接機能面44を形成している。この添接機能面44の、取り出しボディ32のそれぞれの詳細幾何学配置に依存する部分が、それぞれの取り出し器具30の取り出しボディ32に対する密閉に用いられる。一周する添接機能面44を仮に下方へ向かって延長した場合に、これらの延長線46が互いに3.43度の円錐角を形成し、その限りにおいて6%の円錐比との好ましい接続を形成する。このような傾斜推移は、その限りにおいて円錐状に下方へ延びる取り出しボディ32の外壁48も有している。円錐状の取り出しボディ32を有する取り出し器具30が完全にネック部分20に沿って取り付けられている限りにおいて(図4を参照)、外壁48の一部が添接機能面44の少なくとも一部と密閉添接している。図4の表示によれば、取り出し器具30は完全に結合されており、かつ取り出し器具30の内ねじ38が部分ねじ26、28を介してネック部分20にロックされている。ネック部分20のヘッド側の端部と取り出し器具30の間に自由な長手誤差補償セクション61が残されており、それが様々な長さを有する取り出しボディ32を備えた取り出し器具30を確実に使用することを許す。これは、本発明によれば、分離箇所(開放されたアンプルの上エッジ)からの部分ねじのヘッド側の端部の間隔Cがきわめて小さく、2mmを越えず、好ましくは1mm未満で形成されていることによって、達成される。
【0031】
図4を見る視線方向において、添接機能面44の上方において、ネック部分20の内側40に付加的な機能面、前面50が形成されている。この付加的な機能面50は、添接機能面44へ継目なしで移行しており、その場合に前面50と添接機能面44は、ネック部分20内のその他の機能面の間に収容されており、それについては以下でさらに詳細に説明する。特に前面50は、少なくとも1つの特性において、容器ボディ側に継目なしで連続する添接機能面44とは異なっている。
【0032】
各場合において、添接機能面44と付加的な前面50の間にそれぞれ存在する特性における差異が、これらの機能面上に取り出しボディ32が収容された場合に、シール面の減少と同時にシールプレスの増大が作用できることを保証するために用いられることが、保証されなければならない。そのために1つには、特に、添接機能面44がより小さい幅B(図4を参照、しかし縮尺どおりの表示ではない)で形成され、その場合にBは3mm未満、好ましくは2mm未満、特に好ましくは1mm未満である。
【0033】
さらに、隣接する回転対称の、添接機能面44の外壁部分54と付加的な機能面50の外壁部分56を含めて、少なくとも添接機能面44の部分領域及び/又は前面50の部分領域内の平均的な壁厚が、その他の機能面66、70の領域内の平均的な壁厚に比較して、約20%-50%、好ましくは約20%-30%だけ減少されている。ここではそれぞれ平均の壁厚を前提としている。というのは少なくとも機能面44と50は、しかるべき傾斜を有しており、それに対して特に図1から3の表示によれば、外壁部分54、56の外周は、実質的に円筒状に形成されているからである。したがって2つの機能面44、50を含めて、すでに言及したシール領域内の平均的な壁厚は、4mm未満、好ましくは3mm未満、特に好ましくは2mm未満である。それによって、適切な壁厚減少により、径方向に見て、上述したシール領域内の容器又はアンプルの開口部の好ましい弾性的な形態が得られる。したがって容器ボディ10の軸方向の長手方向の延びにおいて見て、ネック部分20内に、取り出しボディ32の導入/結合の際の圧入を回避するための、高い軸方向の強度が得られる。
【0034】
しかし、特に好ましい実施形態においては、一周する添接機能面44の添接円錐に対して、付加的な前面に対応して求められた開放角度アルファは約10から50度、好ましくは20-40度、特に好ましくは30度である。それによって、小さな傾斜での挿入(つかえることのない挿入、tilt-proof insertion)が可能となり、それは小さい力で、かつ摩耗粒子の形成なしで行うことができる。これは、ネック部分の自由な終端領域における密閉を改良するためにシールリップを必ず設けなければならない従来技術(特許文献1)に比較して、きわめて効果的である。
【0035】
したがって本発明に係る解決においては、高い局所的なプレス、ほぼ線形プレスが密閉の改良をもたらし、その場合に取り出しボディ32を有する取り出し器具30を容器又はアンプルのネック部分20内の最終的な取り出し位置へ移動させるために、シール面の減少によって全体としてより小さい全体力しか必要とされない。これは、従来技術において相当するものはない。
【0036】
ロックオプション(たとえばルアーロック結合)を有する他の好ましい実施形態においては、開口部12と添接機能面44のヘッド側の端部との間に、3mmを越える、好ましくは4mmを越える、特に好ましくは5mmを越える、増大された間隔D(図4を参照)が設けられている。したがって、結合プロセスにおいては、添接機能面44と取り出しボディとの間にシールプレスが形成される前に、まず部分ねじ内への嵌入が行われる。これが、取り出し器具と容器の間の結合を著しく容易にする。
【0037】
取り出しボディ32の改良された密閉と改良された導入のために、さらに、特に添接機能面44が添接円錐を形成することができ、その添接円錐は容器長手軸34に対して3.43度(ISO80369-7;2016に基づく6%の円錐比に相当)を上回る開放角度を有する。驚くべきことに、円錐角が異なるにもかかわらず、-3.43度の規格に基づく-取り出しボディ32の円錐と本発明に係る容器10との間により確実な密閉がもたらされることが、明らかにされた。
【0038】
径方向に弾性的かつわずかな幅Bで形成された機能領域44と50は、ほぼ線形のシール領域を提供し、そのシール領域は幾何学的誤差、表面損傷などに対してほぼ不感であって、したがって容器の過圧及び負圧密の使用を可能にする。
【0039】
図4からさらに明らかなように、ネック部分20の内側40上の他の第3の機能面60として移行面が設けられており、その移行面が容器部分10内へ連通しており、かつ、添接機能面44から始まって外側へ張り出す移行円錐62を有している。図4を見る視線方向において下方へ向かって、移行円錐62が円筒状の移行片64へ移行しており、その移行片が移行アーチ42の枠内で、かつネック部分20の構成要素として容器部分10へ移行し、それが容器内容物14のためのあらかじめ定めることのできる中空容積の枠内で収容オプションを形成する。このような移行片64は、外側と内側においてそれぞれ円形又は長円形の中空円筒片として形成されている。
【0040】
図4を見る視線方向において、他の第4の機能面66として、他の機能面50に隣接して、他の移行円錐68が、移行円錐62に対して逆の傾斜方向をもって、設けられており、すなわち他の移行円錐68は逆方向に上方へ向かって拡幅している。このような第4の機能面66は、内周側において接続されているヘッド部分18の方向に、あるいは解放された容器開口部12の方向に、第5の機能面70へ移行しており、その移行面はそれに隣接する外側の壁部分72上で、少なくとも1つのねじ区間24(図1、2及び3)の形式で取り出し器具30用のロックオプションを形成し、かつ図4には図式的にのみ示されている。
【0041】
図4の表示では見えないが、図2aに示されるように、添接機能面44と付加的な前面50は、それらの隣接する外側の壁領域又は外壁部分54、56において、少なくとも2つのウェブ76によって上方を把持され、それらのウェブはその自由端部において、第3と第4の機能面60もしくは66の対応づけられた領域内で、それぞれの移行円錐62、68の形式の隣接する外側の壁領域内へ、一体的に形成されて移行している。これらのウェブ76は、軸方向に補強し、かつ周方向に補強するために用いられ、そして図2に示されるように、容器の長手軸34に対して互いに直径方向に対向して配置されて、ネック部分20の外側に設けられている。より簡単に表示するために、このようなウェブ76は、図1では省かれている。さらに、容器内容物14なしで容器10を表す図3が示すように、ウェブ76を有する垂直平面内で、容器10の外側に他の補強ウェブ78を配置することができる。この種のウェブ78を介して、それぞれの容器又はアンプルは、形成する際に通常のカード結合の枠内で、場合によっては行われる分離の前に、一連の構造の他の容器もしくはアンプルと、かつ共通の平面内又は方向づけにおいて商品として互いに結合されている(図示せず)。
【0042】
他の本発明に係る解決は、図1から4に示す容器を形成する装置あるいは結合装置を提形成することに向けられており、その結合装置は形状を付与するプラスチック形成方法の枠内で成形突起80を使用し、その成形突起は、図5と6の表示によればポジ型として少なくとも2つの互いに異なる成形面82、84を形成し、それらは形状付与方法の枠内で、後のその形態から、添接機能面44もしくはそれに連続する機能面50に相当する。特に成形突起80は、図1から4の形態に基づいて容器を形成する場合に、通常のブロー成形、充填及び閉鎖方法(BFS方法又は登録商標bottelpack方法)の枠内で使用され、その方法はたとえば、独国特許出願公開第102014001446(A1)号に基づくこのような形成方法を用いて詳細に記述されている。
【0043】
特に図6が示すように、成形突起80は中空突起として形成されており、その下側に成形面82を有しており、その成形面が後に、円錐状の添接機能面44のための3.43度の円錐角を発生させる。さらに成形面82は、成形突起80の外周に配置されており、その外周が成形突起80の長手軸86において見て、この長手軸と30度の好ましい円錐角度又は好ましい15度の斜面を形成する。成形面84の上方には、重なり合った配置で他の成形面88が、異なる直径を有する第3の種類の成形面として配置されており、それらはネック部分20内に他の機能面66、70を形成するために用いられる;場合によっては、ヘッド部分18を一緒に成形するために使用される。
【0044】
本発明に係る解決は、実質的に、ISO803669-7:2016に基づくロック可能な円錐結合とロックできない円錐結合を用いて詳細に説明されているが、より簡単かつ同様なやり方で、他の幾何学配置の取り出し器具/取り出しボディへ移し替えることができ、それはたとえば経腸(ISO 80369-3;2016)又は脊髄軸(ISO 80369-6;2016、これに属するのは、特に脊髄麻酔又は硬膜外麻酔及び髄腔内化学療法である)投与のために使用される。
【0045】
本発明に係る解決によって、特殊な接続装置を有する容器又はアンプルあるいはその他の結合装置が形成され、それはブロー-充填-閉鎖方法、BFS方法の枠内でコスト的に好ましく、かつ製造安全で形成される。小さい操作力もしくは操作トルクによって、規格化された取り出しボディに基づいて、流体移送のための関連する接続が負圧密及び過圧密で確実に形成され、その場合に容器のために、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(HDPE、LDPE)のような、ソフトなプラスチック材料が容易に使用される。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6