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特許7565799心臓リモデリングのための心臓ペーシング療法の送達
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】心臓リモデリングのための心臓ペーシング療法の送達
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/365 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61N1/365
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020558872
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2019037229
(87)【国際公開番号】W WO2019241658
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】62/684,828
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,ビノッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィットマン,テレサ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,トロイ・イー
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-522022(JP,A)
【文献】特表2008-539009(JP,A)
【文献】特表2012-505054(JP,A)
【文献】国際公開第2017/210047(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0051660(US,A1)
【文献】特表2010-520022(JP,A)
【文献】特表2005-534424(JP,A)
【文献】国際公開第2018/067931(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0031986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36 - 1/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓リモデリングペーシング療法の開始が決定されると、患者の心臓の状態の正常化(normalization)を刺激するために、心臓リモデリングペーシングを送達する手段と、
送達された前記心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを監視する手段と、
前記監視において、前記患者の活性化信号が受信されないときに、前記監視に応答して、前記心臓リモデリングペーシングが、心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定する手段と、
前記心臓リモデリングペーシングを調整する手段であって、
(i)前記心臓リモデリングペーシングが、前記心臓の正常化に対する効果を有するという決定に応答して、
前記効果が閾値よりも大きく、かつ前記心臓リモデリングペーシングの送達を一時停止しないと決定されたとき、若しくは
前記効果が閾値以下であり、かつ前記心臓リモデリングペーシングを調整すると決定されたときに、又は
(ii)前記心臓リモデリングペーシングが、前記心臓の正常化に対する効果を有しないという決定に応答して、前記心臓リモデリングペーシングを調整すると決定されたときに、前記心臓リモデリングペーシングを調節する手段と(S112)、を含み、
前記患者の前記活性化信号が受信されるときに前記心臓リモデリングペーシングの送達は停止される、デバイス。
【請求項2】
心臓リモデリングペーシングを患者に送達するための心臓デバイスであって、
ハウジングと、
前記患者の心臓の状態の正常化を刺激するために前記心臓リモデリングペーシングを送達するために前記ハウジングに電気的に接続された複数の電極と、
前記ハウジング内に位置付けられたプロセッサであって、
送達された前記心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを監視し、
監視において、前記患者の活性化信号が受信されないときに、前記監視に応答して、前記心臓リモデリングペーシングが、心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定し、
(i)前記心臓リモデリングペーシングが、前記心臓の正常化に対する効果を有するという決定に応答して、
前記効果が閾値よりも大きく、かつ前記心臓リモデリングペーシングの送達を一時停止しないと決定されたとき、若しくは
前記効果が閾値以下であり、かつ前記心臓リモデリングペーシングを調整すると決定されたときに、又は
(ii)前記心臓リモデリングペーシングが、前記心臓の正常化に対する効果を有しないという決定に応答して、前記心臓リモデリングペーシングを調整すると決定されたときに、前記心臓リモデリングペーシングを調節するように構成される、プロセッサとを備え、前記患者の前記活性化信号が受信されるときに前記心臓リモデリングペーシングの送達は停止される、心臓デバイス。
【請求項3】
前記監視に応答して、前記心臓リモデリングペーシングが、心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定することが、
前記心臓リモデリングペーシングの送達中に組織潅流(perfusion)を決定することと、
決定された前記組織潅流を、前記心臓リモデリングペーシングが前記患者に送達される前に決定されるペーシングされていないベースライン組織潅流レベルと比較することと、を含み、
前記監視に応答して、前記心臓リモデリングペーシングが、心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定することが、前記比較により前記決定された組織潅流が、前記ベースライン組織潅流レベルから増加していると決定されたことに応答して、前記心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有していたと決定することを含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
決定された前記組織潅流を、前記心臓リモデリングペーシングが前記患者に送達される前に決定されるペーシングされていないベースライン組織潅流レベルと比較することが、前記ベースライン組織潅流レベルに対して組織潅流の増加があるかどうかを決定することを含み、
前記比較に応答して、前記心臓リモデリングペーシングが、心臓の正常化に対する効果を有していたかどうかを決定することが、前記ベースライン組織潅流レベルに対して組織潅流の増加があることに応答して、前記心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対して効果を有していたと決定することを含み、
前記心臓リモデリングペーシングが、前記心臓の正常化に対する効果を有するという決定に応答して、前記心臓リモデリングペーシングを調節することが、組織潅流の増加を決定することに応答して、前記心臓リモデリングペーシングを調節することを含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ベースライン組織潅流レベルに対して組織潅流の増加があることに応答して、前記心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対して効果を有していたと決定することが、心拍出量信号(cardiac output signal)のスロープが増加しているかどうかを決定することを含み、
組織潅流の増加を決定することに応答して、前記心臓リモデリングペーシングを調節することが、前記心拍出量信号の前記スロープが増加していると決定することに応答して、前記心臓リモデリングペーシングを調節することを含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
決定された前記心臓の正常化に対する効果があるときに、前記心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値(symptom avoidance)よりも大きいかどうかを決定する手段を含み、前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいことは、前記心臓リモデリングペーシングが前記患者にとって侵略的すぎることを示す、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、
前記心臓リモデリングペーシングの前記送達中に発生する心室性期外収縮(PVC[premature ventricular contractions])の増加があったかどうかを決定することと、
PVCの増加に応答して、前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいと決定することとを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
送達された前記心臓リモデリングペーシングに応答して1つまたは複数のパラメータを監視することが、前記心臓リモデリングペーシングの送達中の心音信号を検知することを含み、
前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、検知された前記心音信号に応答してS1およびS2心音の振幅の減少ならびにS3心音が検知されることのうちの一方に応答して、前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいと決定することを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、
前記心臓リモデリングペーシングの前記送達中、バイオマーカ標識(indicator)の増加が、心不全を示す閾値よりも大きいかどうかを決定することと、
前記バイオマーカ標識の前記増加が、前記心不全を示す閾値よりも大きいことに応答して、前記心臓の正常化に対する効果が、前記症状回避閾値よりも大きいと決定することとを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項10】
前記バイオマーカ標識が、脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide)を含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
送達された前記心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを監視することが、心臓信号を検知することを含み、
前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、
前記心臓リモデリングペーシングの前記送達中、検知された前記心臓信号のSTセグメント測定値の増加があったかどうかを決定することと、
STセグメント測定値の増加があることに応答して、前記心臓の正常化に対する効果が前記症状回避閾値よりも大きいと決定することとを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項12】
前記1つまたは複数のパラメータが、組織潅流、心房潅流、推定肺動脈圧(ePad)、右心室圧、左心室圧、PVC、STセグメント測定値、バイオマーカ標識、心音、およびインピーダンスを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年6月14日出願の米国仮出願第62/684,828号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、心臓ペーシング方法およびシステム、ならびにより詳細には、植込み型医療デバイスにおいて心臓リモデリングペーシングを送達するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
心不全(HF)は、心臓が、その静脈還流に耐えるように十分に拍出すること、および/または身体の代謝要求を満たすために十分な出量を送達することができないことにより広く定義される複雑な病態である。心不全は、著しい身体障害、頻繁な入院、および高い死亡率を特徴とする、ますますよく見られる生命に関わる心血管障害である。HFは、高齢者にますます広まっており(人口の最大10%)、65歳を超える人の入院の最も一般的な原因になっている。HFは、入院の主因または一因であり、したがって、医療費の大きな一因として台頭している。HFの特定の臨床所見は、心不全の根本原因によって決定される。
【0004】
心不全(HF)という用語は、心機能が、代謝要求を満たすため(例えば、身体活動の間、または重症例では静止時に)、または静脈還流を受けるために十分な血液を送達することができない病態生理学的障害を広く指す。また、心臓の様々なさらなる細分類および/または構造が、患者が呈する症状に基づいて適用され得る。症状または客観的評価による心不全の例示的な分類は、ニューヨーク心臓協会によって提供される(クラスI-IV、クラスA-D)。心不全は、駆出率によっても定義され得る。一般的には、0.35以下の駆出率を呈する患者は、駆出率が低下した心不全(HFrEF)を有するものと分類される一方、0.35を上回る駆出率は、駆出率が保持されている心不全(HFpEF)と見なされる。
【0005】
うっ血性心不全症状は、うっ血性心不全を示す。例示的なうっ血性心不全症状は、易疲労および臓器不全(例えば、腎臓)、ならびに肺(呼吸困難を引き起こす)または末梢(下肢および腹部の腫れに至る)のいずれかにおけるうっ血に関連した症状に至る減少した心拍出量を含む。
【0006】
健康な活動的な男性および座りがちな男性における心室性不整脈の発症の比較、および以前に心筋梗塞を患った男性に基づき、座りがちな生活様式と心室性不整脈のリスクとの間に潜在的な相関が特定されている。座りがちな生活様式の1つの結果は、心臓の腔のサイズが減少し得るというものであり、これは、多くの場合、増大した筋肉厚の結果として起こる。したがって、運動中の心室性不整脈の最大数および最高得点は、健康な座りがちな男性において見られた。
【0007】
心不全を患うすべての患者の半分近くは、正常な駆出率(EF)を有し、駆出率が保持されている心不全(HFpEF)と一般的に呼ばれる。HFpEFを患う、うっ血性心不全患者では、1拍動ごとに心臓の左心室から拍出される血液の量(駆出率)は、50%よりも大きい。HFpEFは、機能の障害が、頻繁に、心室の拡張および充填の間に発生する変化に関連することから、拡張期心不全または拡張不全としても広く知られている。心不全を患う人のおよそ半分は、HFpEFを有する一方、残りは、駆出率の低下、または駆出率が低下した心不全(HFrEF)を見せる。
【0008】
HFpEFの有病率が増加し続けているのは、加齢、高血圧、メタボリック症候群、腎不全、および肥満を含むコモンリスクファクタの有病率の増加がおそらくは理由である。HFpEFは、心臓の左心室の硬さの増大、次の拍動前に血液を充填するときの左心室弛緩の減少、および増大した筋肉厚の結果としてしばしば起こる減少した腔体積として現れる異常拡張機能によって特徴付けられる。HFpEFを経験する患者には、心房細動および肺高血圧のリスクの増大が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の一実施例は、例えば、心臓リモデリングのための心臓ペーシング療法の送達に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、ある時間期間にわたって患者の心臓をリモデリングすることができるペーシング療法を送達するための方法およびデバイスを対象とする。本開示の1つの例によると、方法は、患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するステップと、送達されたリモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを監視するステップと、監視に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定するステップと、決定された心臓の正常化に対する効果に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するステップと、を含む。
【0011】
本開示の別の例によると、患者に心臓リモデリングペーシングを送達するための心臓デバイスは、ハウジングと、患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するためにハウジングに電気的に接続された複数の電極と、ハウジング内に位置付けられたプロセッサであって、送達された心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを決定し、監視に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定し、決定された心臓の正常化に対する効果に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するように構成される、プロセッサと、を備える。
【0012】
本開示の別の例では、方法は、患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するステップと、送達された心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータの短期監視を実施するステップと、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視するステップと、監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定するステップと、短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するステップと、を含む。
【0013】
本開示の別の例において、患者に心臓リモデリングペーシングを送達するための心臓デバイスは、ハウジングと、患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するためにハウジングに電気的に接続された複数の電極と、ハウジング内に位置付けられたプロセッサであって、送達された心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータの短期監視を実施し、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視し、監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定し、短期監視および決定された心臓の正常化に対する長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するように構成されるプロセッサと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示に従う、ペーシング療法を送達するために使用され得る例示的な心臓療法送達システムの概略図である。
図2図1の例示的な心臓療法送達システムをより詳細に例証する概略図である。
図3】本開示の例に従う、植込み型医療デバイスの例示的な構成の例示的な機能ブロック図である。
図4】本開示に従う、植込み型医療デバイスの回路の例示的な機能ブロック図である。
図5】本開示の例に従う、心臓リモデリングのためのペーシング療法を送達する方法のフローチャートである。
図6】患者の心拍出量に対するリモデリングペーシングの効果を例証するグラフ表現である。
図7】本開示の例に従う、心臓リモデリングのためのペーシング療法を送達する方法のフローチャートである。
図8】本開示の例に従う、心臓リモデリングのためのペーシング療法を送達する方法のフローチャートである。
図9】本開示の例に従う、リモデリングペーシング療法を送達する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1つの実施形態からの要素またはプロセスは、他の実施形態の要素またはプロセスと組み合わせて使用されてもよいこと、ならびに、本明細書に明記される特徴の組み合わせを使用したそのような方法、デバイス、およびシステムの潜在的な実施形態は、図に示される、および/または本明細書に説明される、特定の実施形態に限定されないことは、当業者には明白であるものとする。さらに、本明細書に説明される実施形態は、必ずしも縮尺通りに示されない多くの要素を含み得るということを認識されたい。
【0016】
図1は、本開示に従う、ペーシング療法を送達するために使用され得る例示的な心臓療法送達システムの概略図である。療法送達システム10は、リード18、20、22、およびプログラマ24に結合され得る植込み型医療デバイス16(IMD)を含み得る。IMD16は、例えば、リード18、20、22のうちの1つまたは複数に結合された電極を介して患者14の心臓12に電気信号を提供する植込み型ペースメーカ、電気除細動器、および/または除細動器であってもよい。患者14は、ヒトであってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0017】
リード18、20、22は、心臓12の電気的活動を検知するため、および/または心臓12に電気刺激を送達するために患者14の心臓12内へ延びる。図1に示される例では、右心室(RV)リード18は、1つまたは複数の静脈(図示せず)、上大静脈(図示せず)、および右心房26を通って、右心室28内へ延びる。左心室(LV)冠状静脈洞リード20は、1つまたは複数の静脈、大静脈、右心房26を通って、冠状静脈洞30内へと、心臓12の左心室32の自由壁に隣接する領域まで延びる。右心房(RA)リード22は、1つまたは複数の静脈および大静脈を通って、心臓12の右心房26内へ延びる。1つの例では、心房リード22は、His束ペーシングの送達のためのAV結節/中隔領域近くに位置付けられ得、下に説明されるように、少なくとも1つの心室リード18が右心室に位置付けられるか、または心室リード20が左心室に位置付けられる。
【0018】
IMD16は、リード18、20、22のうちの少なくとも1つに結合された電極を介して、心臓12の脱分極および再分極に付随する電気信号をとりわけ検知することができる。いくつかの例では、IMD16は、心臓12内で検知された電気信号に基づいて、心臓12にペーシング療法(例えば、ペーシングパルス)を提供する。IMD16は、例えば、パルス持続時間、電圧振幅、バースト長などのような、ペーシング療法と関連付けられた1つまたは複数のパラメータを調節するように動作可能であり得る。さらに、IMD16は、単極または二極であり得る、ペーシング療法を送達するために様々な電極構成を使用するように動作可能であり得る。IMD16はまた、リード18、20、22のうちの少なくとも1つに位置する電極を介して除細動療法および/または電気除細動療法を提供することができる。さらに、IMD16は、心室28、32の細動など、心臓12の不整脈を検出し、電気パルスの形態で除細動療法を心臓12に送達することができる。いくつかの例では、IMD16は、心臓12の細動が停止するまで、エネルギーレベルの増大を伴って継続した療法、例えば、パルスを送達するようにプログラムされ得る。
【0019】
いくつかの例では、ハンドヘルド演算装置またはコンピュータワークステーションであり得るプログラマ24が、IMD16と通信するために(例えば、IMD16をプログラムするために)医師、技師、別の臨床医、および/または患者などのユーザによって使用され得る。例えば、ユーザは、IMD16および/またはそれにより送達されるペーシング療法内で関連付けられた1つまたは複数の検出されたまたは示された欠陥に関する情報を取得するためにプログラマ24と対話し得る。IMD16およびプログラマ24は、当該技術分野で知られている任意の技術を使用して、ワイヤレス通信により通信し得る。通信技術の例としては、例えば、低周波数または無線周波数(RF)テレメトリを挙げることができるが、他の技術も企図される。
【0020】
図2は、図1の例示的な心臓療法送達システムをより詳細に例証する概略図である。リード18、20、22は、コネクタブロック34を介して、療法送達モジュール(例えば、ペーシング療法の送達のため)、検知モジュール(例えば、ペーシング療法の有効性を決定することに使用するための、心臓12の電気的活動を検知または監視するための1つまたは複数の電極)、および/またはIMD16の任意の他のモジュールに電気的に結合され得る。いくつかの例では、リード18、20、22の近位端は、IMD16のコネクタブロック34内のそれぞれの電気接点に電気的に結合する電気接点を含み得る。加えて、いくつかの例では、リード18、20、22は、止めねじ、接続ピン、または別の好適な機械的結合機序の助けを借りて、コネクタブロック34に機械的に結合され得る。
【0021】
リード18、20、22の各々は、絶縁体(例えば、管状絶縁シース)により互いから分離されるいくつかの導体(例えば、同心のコイル状導体、直線の導体など)を担持し得る、細長い絶縁リード本体を含む。例証された例では、二極電極40、42は、リード18の遠位端に近接して位置する。加えて、二極電極44、46は、リード20の遠位端に近接して位置し、二極電極48、50は、リード22の遠位端に近接して位置する。
【0022】
電極40、44、48は、リング電極の形態をとってもよく、電極42、46、50は、それぞれ絶縁電極ヘッド52、54、56内に進退可能に装着される延長可能ならせん状のチップ電極の形態をとってもよい。電極40、42、44、46、48、50の各々は、その関連リード18、20、22のリード本体内の導体(例えば、コイル状および/または直線)のそれぞれに電気的に結合され、それにより、リード18、20、22の近位端上の電気接点のそれぞれに結合され得る。電極40、42、44、46、48、50は、さらに、心臓12の脱分極および再分極に付随する電気信号(例えば、電位図(EGM)内の形態学的な波形)を検知するために使用され得る。検知された電気信号は、それぞれのリード18、20、22を介して、IMD16に伝導される。いくつかの例では、IMD16はまた、患者の心臓12の心組織の脱分極を引き起こすために、電極40、42、44、46、48、50を介してペーシングパルスを送達し得る。いくつかの例では、図2に例証されるように、IMD16は、IMD16のハウジング60(例えば、ハーチメックシールされたハウジング)の外表面と一体に形成され得る、またはさもなければハウジング60に結合され得る、ハウジング電極58などの1つまたは複数のハウジング電極を含む。電極40、42、44、46、48、50のいずれかが、ハウジング電極58と組み合わせて、単極検知またはペーシングのために使用され得る。言い換えると、電極40、42、44、46、48、50、58のいずれかは、検知ベクトル、例えば、ペーシング療法の有効性を評価および/または分析するために使用され得る検知ベクトルを形成するために、組み合わせて使用され得る。構成検知およびペーシングの例は、2011年12月23日に出願され、本発明の譲受人に委譲された米国特許第9,002,454号に関して見られ得、この開示は、ペーシングベクトルおよび検知ベクトルのために好ましくはLVチップ(すなわち、電極46)-RVコイル(すなわち、電極62)を使用することによって修正されて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。LVチップ-RVコイルベクトルは、インピーダンス測定を実施するためにより良い場合がある。このインピーダンスは、LV腔サイズに逆相関し得、LV腔がリモデリングペーシングにより拡張すると低下し得る。他の電極もまた、ペーシングおよび検知ベクトルとして選択され得ることは当業者によって一般的に理解される。
【0023】
図3および図4を参照してさらに詳細に説明されるように、ハウジング60は、心臓ペーシングパルスおよび除細動または電気除細動ショックを生成するための刺激生成器を含み得る療法送達モジュール、ならびに患者の心臓リズムを監視するための検知モジュールを取り囲み得る。リード18、20、22はまた、コイルの形態をとり得る細長い電極62、64、66をそれぞれ含み得る。IMD16は、細長い電極62、64、66およびハウジング電極58の任意の組み合わせを介して除細動ショックを心臓12に送達し得る。電極58、62、64、66もまた、電気除細動パルスを心臓12に送達するために使用され得る。さらに、電極62、64、66は、限定されるものではないが、白金、白金合金、および/または植込み型除細動電極において使用可能であることが知られている他の材料など、任意の好適な導電性材料から製作され得る。電極62、64、66が、一般的には、ペーシング療法を送達するように構成されていないため、電極62、64、66のいずれかは、ペーシング療法の間、電気的活動を検知するために使用され得(例えば、ペーシング療法有効性を分析することに使用するため)、電極40、42、44、46、48、50、58のいずれかと組み合わせて使用され得る。少なくとも1つの実施形態において、RV細長電極62は、ペーシング療法の送達中、患者の心臓の電気的活動を検知するために使用され得る(例えば、ハウジング電極58と組み合わせて、RV細長、コイル、または除細動電極-ハウジング電極ベクトルを形成する)。
【0024】
図1~2に例証される例示的な療法送達システム10の構成は、単に一例にすぎない。1つの例では、心房リード22は、His束ペーシングの送達のためのAV結節/中隔領域近くに位置付けられ、心室リード18が右心室に位置付けられるか、もしくは心室リード20が左心室に位置付けられるかのいずれかであるか、または以下に説明されるように、両方の心室リード18および20が含まれ得る。加えて、リード22の電極50は、以下に説明されるように、リードがHis束ペーシングの送達のためのAV結節/中隔領域の近くに固定して係合されることを可能にするために、らせん状のチップ電極の形態をとり得る。
【0025】
図3は、本開示の例に従う、植込み型医療デバイスの例示的な構成の機能ブロック図である。図3に例証されるように、IMD16は、制御モジュール81、療法送達モジュール84(例えば、刺激生成器を含み得る)、検知モジュール86、および電源90を含み得る。制御モジュール81は、プロセッサ80、メモリ82、およびテレメトリモジュール88を含み得る。メモリ82は、例えば、プロセッサ80によって実行されるとき、本明細書に説明されるIMD16および/または制御モジュール81に付随する様々な機能をIMD16および/または制御モジュール81に実施させるコンピュータ可読命令を含み得る。さらに、メモリ82は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、および/または任意の他のデジタル媒体などの、任意の揮発性、不揮発性、磁気、光学、および/または電気媒体を含み得る。メモリ82は、以下に詳細に説明されるように、本開示に従う捕捉管理の方法を含む、捕捉管理に関連したコンピュータ命令を含む。さらには、メモリ82は、1つまたは複数のペーシングレジメン(例えば、1つまたは複数のペーシングアルゴリズムなど)のためのコンピュータ命令を含む。例えば、1つまたは複数のペーシングアルゴリズムは、指定された持続時間の間、上昇した心拍数で心臓をペーシングし、この後に、別の予め指定された持続時間の間、第2の心拍数レベルで心臓をペーシングすることが続く。1つまたは複数の他の実施形態は、第1の上昇したレートおよび第1の持続時間で患者の心臓をペーシングすることを伴う。1つまたは複数のペーシングレジメンにおいて、ペースメーカは、第1の上昇したペーシングレート(例えば、最大10分または最大20分の間、安静時心拍数から毎分最大30心拍上回る)を送達する。その後、ペーシングレートは、第2の上昇したペーシングレート(例えば、最大10または20分の間、第1の上昇した心拍数から最大20HBM上回る)まで上昇される。その後、第3のペーシングレートが送達されて、心臓が第2の上昇したペーシングレートよりもゆっくりと拍動できるようにする。第3のペーシングレートよりも低い第4のペーシングレートが、ペースメーカを通じて心臓に送達される。その後、心拍数は、安静時心拍数レベルへと徐々に戻るようにされる(ペーシングありまたはなしで)。心臓をリモデリングするためにペースメーカによって用いられ得る複数の他のペーシングレジメンが、本明細書に開示される。
【0026】
制御モジュール81のプロセッサ80(プロセッサ回路とも呼ばれる)は、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または等価の離散もしくは集積論理回路のうちの任意の1つまたは複数を含み得る。いくつかの例では、プロセッサ80は、1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、1つもしくは複数のコントローラ、1つもしくは複数のDSP、1つもしくは複数のASIC、および/または1つもしくは複数のFPGA、ならびに他の離散もしくは集積論理回路の任意の組み合わせなど、複数の構成要素を含み得る。本明細書においてプロセッサ80に付随する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして具現化され得る。
【0027】
制御モジュール81は、メモリ82に格納され得る選択された1つまたは複数の療法プログラムに従って、療法(例えば、ペーシングなどの電気刺激療法)を心臓12に送達するように療法送達モジュール84を制御し得る。さらに、詳細には、制御モジュール81(例えば、プロセッサ80)は、例えば、選択された1つまたは複数の治療プログラム(例えば、ペーシング療法プログラム、ペーシング回復プログラム、捕捉管理プログラムなど)によって指定される振幅、パルス幅、周波数、または電極極性で、ペーシングパルスなどの電気刺激を送達するように療法送達モジュール84を制御し得る。示されるように、療法送達モジュール84は、電極40、42、44、46、48、50、58、62、64、66に、例えば、それぞれのリード18、20、22の導体を介して、またはハウジング電極58の場合は、IMD16のハウジング60内に配設された導電体を介して、電気的に結合される。療法送達モジュール84は、ペーシング療法などの電気刺激療法を生成し、電極40、42、44、46、48、50、58、62、64、66のうちの1つまたは複数を使用して心臓12に送達するように構成され得る。
【0028】
例えば、療法送達モジュール84は、リード18、20、および22にそれぞれ結合されるリング電極40、44、48、ならびに/またはそれぞれリード18、20、および22のらせん状のチップ電極42、46、および50を介して、ペーシング刺激(例えば、ペーシングパルス)を送達し得る。さらに、例えば、療法送達モジュール84は、電極58、62、64、66のうちの少なくとも2つを介して、除細動ショックを心臓12に送達し得る。いくつかの例では、療法送達モジュール84は、ペーシング、電気除細動、または除細動刺激を電気パルスの形態で送達するように構成され得る。他の例では、療法送達モジュール84は、これらのタイプの刺激のうちの1つまたは複数を、正弦波、方形波、および/または他の実質的に連続した時間信号など、他の信号の形態で送達するように構成され得る。
【0029】
IMD16は、スイッチモジュール85をさらに含み得、制御モジュール81(例えば、プロセッサ80)は、利用可能な電極のうちのどれがペーシング療法のためのペーシングパルスなどの療法を送達するために使用されるか、または利用可能な電極のうちのどれが検知のために使用されるかを、例えば、データ/アドレスバスを介して選択するためにスイッチモジュール85を使用し得る。スイッチモジュール85は、スイッチアレイ、スイッチマトリックス、マルチプレクサ、または、検知モジュール86および/もしくは療法送達モジュール84を1つまたは複数の選択された電極に選択的に結合するのに好適な任意の他のタイプのスイッチングデバイスを含み得る。より詳細には、療法送達モジュール84は、複数のペーシング出力回路を含み得る。複数のペーシング出力回路の各ペーシング出力回路は、例えば、スイッチモジュール85を使用して、電極40、42、44、46、48、50、58、62、64、66のうちの1つまたは複数(例えば、ペーシングベクトルへの療法の送達のための一対の電極)に選択的に結合され得る。言い換えると、各電極は、スイッチングモジュール85を使用して療法送達モジュールのペーシング出力回路のうちの1つに選択的に結合され得る。
【0030】
検知モジュール86は、検知装置に結合(例えば、電気的に結合)され、該検知装置は、追加の検知装置の中でも特に、心臓12の電気的活動、例えば、心電図(ECG)/電位図(EGM)信号などを監視するために電極40、42、44、46、48、50、58、62、64、66を含み得る。ECG/EGM信号は、複数のペーシング事象を分析するために使用され得る。より詳細には、ECG/EGM信号内の各ペーシング事象の1つまたは複数の形態学的特徴は、各ペーシング事象が予め定められたレベルの有効性を有するかどうかを決定するために使用され得る。ECG/EGM信号は、心拍数(HR)、心拍変動(HRV)、心拍数乱れ(HRT)、減速/加速能力、減速シーケンス発生率、T波オルタナンス(TWA)、P波-P波間隔(P-P間隔またはA-A間隔とも呼ばれる)、R波-R波間隔(R-R間隔またはV-V間隔とも呼ばれる)、P波-QRS群間隔(P-R間隔、A-V間隔、またはP-Q間隔とも呼ばれる)、QRS群形態学、STセグメント(すなわち、QRS群およびT波が接続するセグメント)、T波変化、QT間隔、電気ベクトルなどを監視するためにさらに使用され得る。
【0031】
スイッチモジュール85はまた、利用可能な電極のうちのどれが、例えば、患者の心臓の電気的活動(例えば、電極40、42、44、46、48、50、58、62、64、66の任意の組み合わせを使用して、患者の心臓の1つまたは複数の電気ベクトル)を検知するために使用されるかを選択するために、検知モジュール86と共に使用され得る。いくつかの例では、制御モジュール81は、例えば、データ/アドレスバスを介して信号を提供することによって、検知モジュール86内のスイッチモジュールを介して、検知電極として機能する電極を選択し得る。いくつかの例では、検知モジュール86は、1つまたは複数の検知チャネルを含み得、その各々が、増幅器を含み得る。
【0032】
いくつかの例では、検知モジュール86は、R波またはP波増幅器よりも比較的幅広い通過帯域を有する増幅器を含むチャネルを含む。この広帯域増幅器に結合するために選択される、選択された検知電極からの信号は、マルチプレクサに提供され得、その後、EGMとしてメモリ82内に格納するためにアナログデジタル変換器によってマルチビットデジタル信号に変換され得る。いくつかの例では、メモリ82内へのそのようなEGMの格納は、ダイレクトメモリアクセス回路の制御下にあり得る。制御モジュール81(例えば、プロセッサ80を使用する)は、EGM信号の1つまたは複数の形態学的な波形を分析および/または分類して、ペーシング療法有効性を決定するために、デジタル信号分析技術を用いて、メモリ82に格納されるデジタル化された信号を特徴付け得る。例えば、プロセッサ80は、患者の心臓の1つまたは複数の電気ベクトル内の1つまたは複数の検知された形態学的な波形の1つまたは複数の特徴を決定し、または獲得し、後でペーシング療法の有効性を決定することに使用するためにこの1つまたは複数の特徴をメモリ82内に格納するように構成され得る。
【0033】
IMD16がペーシングパルスを生成して心臓12に送達するように構成される場合、制御モジュール81は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして具現化され得るペーサタイミングおよび制御モジュールを含み得る。ペーサタイミングおよび制御モジュールは、マイクロプロセッサなどのプロセッサ80とは別個のASICなど、1つまたは複数の専用ハードウェア回路、および/またはマイクロプロセッサもしくはASICであり得るプロセッサ80の構成要素によって実行されるソフトウェアモジュールを含み得る。ペーサタイミングおよび制御モジュールは、DDD、VVI、DVI、VDD、AAI、DDI、DDDR、VVIR、DVIR、VDDR、AAIR、DDIR、ならびに単腔および二腔ペーシングの他のモードと関連付けられた基本時間間隔を制御するプログラマブルカウンタを含み得る。前述のペーシングモードにおいて、「D」は二腔を示すことができ、「V」は心室を示すことができ、「I」は抑制ペーシング(例えば、ペーシングなし)を示すことができ、「A」は心房を示すことができ、「R」は心拍応答を示すことができる。ペーシングモード内の最初の文字は、ペーシングされる腔を示すことができ、2番目の文字は、電気信号が検知される腔を示すことができ、3番目の文字は、検知に対する応答が提供される腔を示すことができる。
【0034】
制御モジュール81内のペーサタイミングおよび制御モジュールによって規定される間隔は、心房および心室ペーシング補充収縮間隔、検知されたP波およびR波が補充収縮間隔の再開タイミングに対して効力のない不応期、ならびに/またはペーシングパルスのパルス幅を含み得る。別の例として、ペーサタイミングおよび制御モジュールは、ブランキング期間を規定し、心臓12への電気刺激の送達中および送達後の期間にわたって、1つまたは複数のチャネル、例えば増幅器、をブランクにするために検知モジュール86からの信号を提供し得る。これらの間隔の持続時間は、メモリ82内の格納されたデータに応答して決定され得る。制御モジュール81のペーサタイミングおよび制御モジュールはまた、心臓ペーシングパルスの振幅を決定し得る。
【0035】
ペーシング中、ペーサタイミング/制御モジュール内の補充収縮間隔カウンタは、R波およびP波の検知の際にリセットされ得る。療法送達モジュール84(例えば、刺激生成器を含む)は、例えば、スイッチモジュール85によって選択的に、心臓12の腔のうちの1つへの二極または単極ペーシングパルスの送達に適切な電極40、42、44、46、48、50、58、62、または66の任意の組み合わせに結合される1つまたは複数のペーシング出力回路を含み得る。制御モジュール81は、療法送達モジュール84によるペーシングパルスの生成の際に補充収縮間隔カウンタをリセットし、それにより抗頻脈性不整脈ペーシングを含む心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御し得る。
【0036】
いくつかの例では、制御モジュール81は、割り込み駆動型デバイスとして動作し得、ペーサタイミングおよび制御モジュールからの割り込みに応答し得、この割り込みは、検知されたP波およびR波の発生ならびに心臓ペーシングパルスの生成に対応し得る。任意の必要な数学的計算が、プロセッサ80によって実施され得、ペーサタイミングおよび制御モジュールによって制御される値または間隔の任意の更新は、そのような割り込みの後に起こり得る。メモリ82の一部分は、患者の心臓12が現在心房または心室頻脈性不整脈を呈するかどうかを決定するために、ペースまたはセンス割り込みの発生に応答して、例えば、プロセッサ80によって分析され得る連続した測定間隔を保持することができる、複数の再循環バッファとして構成され得る。
【0037】
制御モジュール81のテレメトリモジュール88は、図1に関して本明細書に説明されるようなプログラマ24などの別のデバイスと通信するため、任意の好適なハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、プロセッサ80の制御下で、テレメトリモジュール88は、内部および/または外部であり得るアンテナの助けを借りて、プログラマ24からダウンリンクテレメトリを受信し、プログラマ24にアップリンクテレメトリを送信し得る。プロセッサ80は、例えば、アドレス/データバスを介して、プログラマ24にアップリンクされるべきデータ、およびテレメトリモジュール88内のテレメトリ回路のための制御信号を提供し得る。いくつかの例では、テレメトリモジュール88は、マルチプレクサを介して、受信したデータをプロセッサ80に提供し得る。少なくとも1つの実施形態において、テレメトリモジュール88は、ペーシング療法が非効果的になるか、あまり効果的でなくなった場合(例えば、予め定められたレベルの有効性を有さない)、警告またはアラートを伝送するように構成され得る。
【0038】
IMD16の様々な構成要素は、充電式または非充電式バッテリを含み得る電源90にさらに結合される。非充電式バッテリは、数年間もつように選択され得る一方、充電式バッテリは、外部デバイスから、例えば、毎日または毎週、誘導的に充電され得る。
【0039】
図4は、本開示に従う、植込み型医療デバイスの回路の例示的な機能ブロック図である。図4は、ペーシング技術において知られている二心室DDD/Rタイプのプログラマブルモードおよびパラメータを有する植込み型パルス生成器(IPG)回路31と結合されるLA CSペース/センス電極28および30なしに、二極RAリード22、二極RVリード18、および二極LV CSリード20を描写する。代わりに、センサ信号処理回路43は、タイミング回路83に、ならびにデータおよび制御バスを介してマイクロコンピュータ回路33に、間接的に結合する。IPG回路31は、マイクロコンピュータ回路33およびペーシング回路に全体的に分割されて機能ブロック図内に例証される。ペーシング回路は、デジタルコントローラ/タイマ回路、出力増幅器回路51、センス増幅器回路55、RFテレメトリトランシーバ41、活動センサ回路35、ならびに以下に説明されるいくつかの他の回路および構成要素を含む。
【0040】
水晶発振回路47は、ペーシング回路のための基本タイミングクロックを提供する一方、バッテリ29は、電力を提供する。パワーオンリセット回路45は、初期動作状態を規定するためにバッテリへの回路の初期接続に応答し、また同様に、低バッテリ状態の検出に応答してデバイスの動作状態をリセットする。参照モード回路37が、ペーシング回路内のアナログ回路のために安定した電圧参照および電流を生成する一方、アナログデジタル変換器ADCおよびマルチプレクサ回路39が、アナログ信号および電圧をデジタル化して、RFトランスミッタおよびレシーバ回路41を介したアップリンク伝送のため、センス増幅器55からの心臓信号のリアルタイムテレメトリを提供する。電圧参照およびバイアス回路37、ADCおよびマルチプレクサ39、パワーオンリセット回路45、ならびに水晶発振回路47は、現在市販されている植込み型心臓ペースメーカにおいて現在使用されるもののいずれかに対応し得る。
【0041】
IPGは、心組織へのペーシングパルスを生成する。典型的には、ペーシングパルスは、患者ごとの標的心拍数にタイミングを合わせられ得る。患者の心拍数を調節するため、ペーシングパルス間の間隔は、ペースメーカによって調節される。例えば、患者の心拍数を増大させるために、ペースメーカから生成されるパルス間の間隔が減少される。対照的に、患者の心拍数を減少させるために、パルス間の間隔が増大される。1つまたは複数の実施形態において、運動レジメンは、運動間隔(すなわち、患者の安静時心拍数レベルよりも高い、より高い標的心拍数)を回復間隔(すなわち、直前の運動間隔よりも低い、より低い標的心拍数)と交互に含むように構成され得る。心臓を運動させるための1つの標的心拍数区域は、患者の最大心拍数の50~85%であり得る。1つまたは複数の実施形態において、標的心拍数区域は、患者の最大心拍数区域の75~95%に設定され得る。1つまたは複数の他の実施形態において、標的心拍数区域は、短い時間期間の間(例えば、最大20分、または最大30分など)患者の最大心拍数区域の最大105%に設定され得る。
【0042】
回復レート間隔(減少したレート間隔とも呼ばれる)と交互にされる増大したレート間隔のセットを含む運動レジメンは、間隔ごとにペーシングパルスを修正することによって調節される基本レートを使用することによって実施され得る。例えば、安静時心拍数が、間隔が測定される基本レートである場合、第1の増大したレートは、その患者の平均安静時心拍数(例えば、60HBM)を用いて、その特定の間隔のための予め指定した数のHBM(例えば、20HBMなど)を追加して、第1の時間期間(例えば、10分)にわたって80HBM(すなわち、60HBM+20HBM)を獲得することによって決定され得る。標的心拍数レベルがここでは80HBMであるため、ペースメーカから生成されるパルス間の間隔は減少される。
【0043】
ペースメーカは、基本レートおよび標的レートが、最大心拍数から標的心拍数区域(例えば、最大心拍数区域の50%~85%)へ下方に調節されるため、最大心拍数レベルを使用するように構成され得る。患者の最大心拍数は、患者の追跡された日々の活動を使用すること、または既知の等式を使用すること(すなわち、220HBPMから患者の年齢をひく)によって決定され得る。最大心拍数は、患者の年齢、身体活動、および心臓状態を含む様々な因子に依存し得る。
【0044】
IPGがレート応答モードにプログラムされる場合、1つまたは複数の生理学的センサによって出力される信号は、生理学的補充収縮間隔を導出するためにレート制御パラメータ(RCP)として用いられる。例えば、補充収縮間隔は、描写された例示的なIPG回路31内の患者活動センサ(PAS)回路35で展開される患者の活動レベルに比例して調節される。患者活動センサ35は、IPGハウジングに結合され、当該技術分野においてよく知られているような圧電性クリスタルトランデューサの形態をとり得、その出力信号は処理されて、RCPとして使用される。センサ316は、活動回路35によって処理されデジタルコントローラ/タイマ回路83に提供される検知された身体活動に応答して、電気信号を生成する。活動回路35および関連センサ316は、米国特許第5,052,388号および同第4,428,378号に開示される回路に対応し得る。
【0045】
従来のペースメーカは、現在、特定の時間期間(例えば、1日)の間、ある人の心拍数を自動的に追跡し、患者の活動に応答してペーシングパルス間隔をカスタマイズするように構成される。活動センサは、1日を通してその人の活動を検知し、プロセッサは、ペースメーカのペーシングレートを患者の活動に合わせて調節する。ある人の心拍数が1日追跡された後、レートプロファイル最適化が、メドトロニックマニュアルCLARIA MRI(商標)/CLARIA MRI(商標)QUAD CRT-D参照マニュアルM963432A001に完全に説明されるように、自動的に実施され、これは参照によりその全体が組み込まれ、710 Medtronic Parkway,Minneapolis,MN55432にある、メドトロニック社(Medtronic,Inc.)、およびwww.medtronic.comから無料公開されている。レートプロファイル最適化の目的は、ペースメーカのレート応答が幅広い患者活動のために適切なままであることを確実にすることである。毎日、ペースメーカは、患者センサが示したレートが異なるペーシングレートにある時間の割合の日々および長期の平均を収集し格納する。次いでペースメーカは、ADL応答および労作応答パラメータを使用して、ペーシングレートがADLレート範囲および労作レート範囲にそれぞれ留まる時間の割合を規定する。日々の比較に基づいて、ペースメーカは、ADL設定点、UR設定点、または両方の設定点を自動的に調節する。運動レジメンの実施中、レートプロファイル最適化は、心臓が意図的に運動されていることを認識し、ペーシングを減少させない。
【0046】
同様に、本発明は、酸化センサ、圧力センサ、pHセンサ、および呼吸センサなどのオルタネイトタイプのセンサと併せて実践され得、これらのセンサはすべて、レート応答ペーシング能力を提供することに使用することがよく知られている。代替的に、QT時間が、レートを示すパラメータとして使用され得、この場合、追加のセンサは必要とされない。同様に、本発明はまた、非レート応答型ペースメーカにおいて実践され得る。
【0047】
外部プログラマへの、およびそこからのデータ伝送は、受信したダウンリンクテレメトリを復調すること、およびアップリンクテレメトリを伝送することの両方の役割を果たす、テレメトリアンテナ57および関連したRFトランシーバ41を用いて達成される。アップリンクテレメトリ能力は、典型的には、格納されたデジタル情報、例えば、ペーシング技術においてよく知られているように、動作モードおよびパラメータ、EGMヒストグラム、および他の事象、ならびに心房および/または心室電気的活動のリアルタイムEGM、さらには心房および心室内の検知およびペーシングされた脱分極の発生を示すマーカーチャネルパルスを伝送する能力を含む。
【0048】
マイクロコンピュータ33は、マイクロプロセッサ80および関連したシステムクロック、ならびにプロセッサ上のRAMおよびROMチップ、それぞれ82Aおよび82Bを含む。加えて、マイクロコンピュータ回路33は、追加のメモリ容量を提供するために別個のRAM/ROMチップ82Cを含む。マイクロプロセッサ80は、通常、低減された電力消費モードで動作し、割り込み駆動型である。マイクロプロセッサ80は、数ある中でも、デジタルタイマ/コントローラ回路83内のタイマによって生成されるA-TRIG、RV-TRIG、LV-TRIG信号、およびセンス増幅器回路55によって生成されるA-EVENT、RV-EVENT、LV-EVENT信号を含み得る、規定された割り込み事象に応答して起動される。デジタルコントローラ/タイマ回路83によってタイムアウトされる間隔および遅延の特定の値は、プログラムされたパラメータ値および動作モードからデータおよび制御バス306を用いてマイクロコンピュータ回路33によって制御される。加えて、レート応答型ペースメーカとして動作するようにプログラムされる場合、例えばサイクルごとまたは2秒ごとの、タイミングを合わせた割り込みが、マイクロプロセッサが活動センサデータを分析し、該当する場合に基本A-A、V-A、またはV-V補充収縮間隔を更新することを可能にするために提供され得る。加えて、マイクロプロセッサ80はまた、可変の動作AV遅延間隔および各心室に送達されるエネルギーを規定する役割を果たし得る。
【0049】
1つの実施形態において、マイクロプロセッサ80は、従来の様式でRAM/ROMユニット82Cに格納される命令をフェッチおよび実行するように適合されるカスタムマイクロプロセッサである。しかしながら、他の実装形態が本発明を実践するのに好適であり得ることが企図される。例えば、既製の市販のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ、またはカスタムの特定用途向け、ハードワイヤード論理、もしくは状態マシンタイプ回路が、マイクロプロセッサ80の機能を実施し得る。
【0050】
デジタルコントローラ/タイマ回路83は、ペーシング回路内のタイミングおよび他の機能を制御するためにマイクロコンピュータ33の一斉制御下で動作し、本発明に関連する特定のものが描写されるタイミングおよび関連した論理回路のセットを含む。描写されたタイミング回路は、経過したV-EVENTからV-EVENTまでの間隔またはV-EVENTからA-EVENTまでの間隔、またはV-V伝導間隔のタイミングを合わせるためのURI/LRIタイマ83A、V-V遅延タイマ83B、固有間隔タイマ83C、A-A、V-A、および/またはV-Vペーシング補充収縮間隔のタイミングを合わせるための補充収縮間隔タイマ83D、先行するA-EVENTまたはA-TRIGからのA-LVp遅延(またはA-RVp遅延)のタイミングを合わせるためのAV遅延間隔タイマ83E、心室後時間期間のタイミングを合わせるための心室後タイマ83F、ならびに日付/時間クロック83Gを含む。
【0051】
AV遅延間隔タイマ83Eは、先行するA-PACEまたはA-EVENTから開始してタイムアウトするために、1つの心室腔について適切な遅延間隔を持つ(すなわち、既知の方法を使用して決定されるようなA-RVp遅延またはA-LVp遅延のいずれか)。間隔タイマ83Eは、ペーシング刺激送達をトリガし、1つまたは複数の以前の心臓周期に基づき得る(または、所与の患者について経験的に導出されるデータセットから)。
【0052】
事象後タイマ83Fは、RV-EVENTもしくはLV-EVENTまたはRV-TRIGもしくはLV-TRIGの後の心室後時間期間、およびA-EVENTまたはA-TRIGの後の心房後時間期間をタイムアウトする。事象後時間期間の持続時間はまた、マイクロコンピュータ33に格納されるプログラマブルパラメータとして選択され得る。心室後時間期間は、PVARP、心房後心室ブランキング期間(PAVBP)、心室ブランキング期間(VBP)、心室後心房ブランキング期間(PVARP)、心室不応期(VRP)を含むが、他の期間が、ペーシングエンジンに用いられる動作回路に少なくとも部分的に依存して、好適に規定され得る。心房後時間期間は、A-EVENTがいかなるAV遅延もリセットする目的で無視される心房不応期(ARP)、および、心房検知が無効にされる心房ブランキング期間(ABP)を含む。心房後時間期間およびAV遅延の開始は、各A-EVENTもしくはA-TRIGの始まりもしくは終わりと実質的に同時に、またはA-TRIGの場合、A-TRIGが後に続き得るA-PACEの終わりに、開始され得るということに留意されたい。同様に、心室後時間期間およびV-A補充収縮間隔の開始は、V-EVENTもしくはV-TRIGの始まりもしくは終わりと実質的に同時に、またはV-TRIGの場合、V-TRIGが後に続き得るV-PACEの終わりに、開始され得る。マイクロプロセッサ80はまた、任意選択的に、RCPに応答して確立されるセンサベースの補充収縮間隔および/または固有心房レートによって変化する、AV遅延、心室後時間期間、および心房後時間期間を計算する。
【0053】
出力増幅器回路51は、RAペースパルス生成器(および、LAペーシングが提供される場合はLAペースパルス生成器)、RVペースパルス生成器、およびLVペースパルス生成器を含み、または心房および心室ペーシングを提供する市販の心臓ペースメーカで現在用いられるもののいずれかに対応する。RV-PACEまたはLV-PACEパルスの生成をトリガするため、デジタルコントローラ/タイマ回路83は、AV遅延間隔タイマ83E(またはV-V遅延タイマ83B)によって提供される、A-RVp遅延のタイムアウト時のRV-TRIG信号(RV早期興奮の場合)、またはA-LVp遅延のタイムアウト時のLV-TRIG(LV早期興奮の場合)を生成する。同様に、デジタルコントローラ/タイマ回路83は、補充収縮間隔タイマ83Dによってタイミングを合わせられるV-A補充収縮間隔の終わりに、RA-PACEパルスの出力をトリガするRA-TRIG信号(または、提供される場合、LA-PACEパルスの出力をトリガするLA-TRIG信号)を生成する。
【0054】
出力増幅器回路51は、リード導体のうちの選択されたペース電極対および中性カン(IND_CAN)電極20を、RAペースパルス生成器(および、提供される場合、LAペースパルス生成器)、RVペースパルス生成器、およびLVペースパルス生成器に結合するためのスイッチング回路を含む。ペース/センス電極対選択および制御回路53は、RA、LA、RV、およびLVペーシングを達成するため、出力増幅器回路51内の心房および心室出力増幅器と結合されるべきリード導体および関連したペース電極対を選択する。
【0055】
センス増幅器回路55は、心房および心室ペーシングおよび検知のための現代の心臓ペースメーカに現在用いられるもののいずれかに対応するセンス増幅器を含む。心臓脱分極波面の通過によりセンス電極対にわたって生成される電圧差信号を増幅するために非常に高いインピーダンスP波およびR波センス増幅器を使用することは先行技術においては一般的であった。高インピーダンスセンス増幅器は、低振幅信号を増幅するために高利得を使用し、背景電気雑音からP波またはR波を区別するために通過帯域フィルタ、時間領域フィルタリング、および振幅閾値比較に依拠する。デジタルコントローラ/タイマ回路83は、心房および心室センス増幅器55の感度設定を制御する。
【0056】
センス増幅器は、典型的には、センス増幅器の飽和を回避するために、ペーシングシステムのペース電極のいずれかへのペースパルスの送達前、送達中、および送達後、ブランキング期間中にセンス電極から切り離される。センス増幅器回路55は、ABP、PVABP、およびVBPの間、リード導体およびIND_CAN電極20の選択された対をRAセンス増幅器(および、提供される場合、LAセンス増幅器)、RVセンス増幅器、およびLVセンス増幅器の入力から切り離すためのブランキング回路を含む。センス増幅器回路55はまた、選択されたセンス電極リード導体およびIND_CAN電極20をRAセンス増幅器(および、提供される場合、LAセンス増幅器)、RVセンス増幅器、およびLVセンス増幅器に結合するためのスイッチング回路を含む。ここでも、センス電極選択および制御回路53は、出力増幅器回路51内の心房および心室センス増幅器、ならびに所望の単極および二極検知ベクトルに沿ってRA、LA、RV、およびLV検知を達成するためのセンス増幅器回路55と結合されるべき導体および関連したセンス電極対を選択する。
【0057】
RAセンス増幅器によって検知されるRA-SENSE信号内の右心房脱分極またはP波は、デジタルコントローラ/タイマ回路83に通信されるRA-EVENT信号を結果としてもたらす。同様に、提供される場合、LAセンス増幅器によって検知されるLA-SENSE信号内の左心房脱分極またはP波は、デジタルコントローラ/タイマ回路83に通信されるLA-EVENT信号を結果としてもたらす。心室センス増幅器によって検知されるRV-SENSE信号内の心室脱分極またはR波は、デジタルコントローラ/タイマ回路83に通信されるRV-EVENT信号を結果としてもたらす。同様に、心室センス増幅器によって検知されるLV-SENSE信号内の心室脱分極またはR波は、デジタルコントローラ/タイマ回路83に通信されるLV-EVENT信号を結果としてもたらす。RV-EVENT、LV-EVENT、およびRA-EVENT、LA-SENSE信号は、不応性または非不応性であり得、電気雑音信号、または真のR波もしくはP波ではなく異常に伝導された脱分極波によって意図せずトリガされ得る。
【0058】
図5は、本開示の例に従う、ある時間期間にわたって心臓をリモデリングすることができるペーシング療法を送達するためにペースメーカを使用する方法のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態において、ペーシング療法は、心臓リモデリングを結果としてもたらし得る。1つの例によると、心臓リモデリングのためのペーシング療法は、チップ電極50およびリング電極48を介したペーシングの送達のためのAV結節/高い中隔領域近くに位置付けられた心房リード22を使用して送達され得る。当業者は、他のペーシングベクトルが、心臓をペーシングするために使用され得るということを理解する(例えば、2018年11月3日出願の米国特許出願第62/581,486号、および2018年10月17日出願の米国特許出願第62/573,685号に説明されるようなHis束療法、参照によりそれらの全体が組み込まれる)。本開示の1つの例によると、リモデリングペーシング療法は、1日の予め定められた時間に送達され得る。例えば、ペーシング療法は、患者が活動していない可能性が最も高い(例えば、患者が眠っているか、または仰臥位にある)ときに送達され得る。無活動状態は、様々なやり方で決定され得る(例えば、検出モニタリング、センサを有するウェアラブルデバイス(例えば、Garmin(商標)などの時計)から集められる過去データ、またはユーザ入力情報)。患者は、患者が眠っているか、または仰臥位にあるときなど、安静時心拍数が検出されるときに活動していないと決定され得る。代替的に、ペーシング療法は、手動で、またはいかなるデータも検知することなく、自動的に送達され得る(例えば、1日の特定の時間に(例えば、夜間))。したがって、図5に例証されるように、本開示の例に従う、心臓リモデリング101のためのペースメーカデバイスによりペーシング療法を送達する方法において、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法の送達を開始するかどうかを決定することができる(ブロック100)。例えば、プロセッサ80は、例えば、午前12時~午前5時の間など、または、活動センサにより検知される患者の活動が、患者が眠っているおよび/もしくは仰臥位にあることを示す予め定められた閾値よりも低いと決定することによって、患者が活動していない可能性が最も高い1日の予め定められた時間であると決定することができる。
【0059】
リモデリングペーシングの送達がスケジュールされると決定する(ブロック100におけるYES)と、プロセッサ80は、予め定められたレートおよび/または持続時間で、リモデリングペーシング療法を送達することができる(ブロック102)。例えば、プロセッサ80は、上昇したレート(例えば、30分の持続時間にわたって100bpm)で、または別の例では上昇したレート(例えば、特定の時間期間の間、例えば、1日あたり5時間、100bpmなど)でリモデリングペーシングが送達されることを引き起こし得る。別の例では、プロセッサ80は、70bpmなどの初期のより低いレートでリモデリングペーシングが送達されることを引き起こし、患者の心拍数を、例えば100bpmなどの予め定められた心拍数閾値まで徐々に増大させることができる。様々なレートおよび/または持続時間でリモデリングペーシングを送達するための例示的なパターンは、以下に詳細に説明される。加えて、心臓の運動は、心拍数を増大させるための調節されたペーシングパラメータ(例えば、振幅など)により、ある時間期間の間、および/または終了条件の検出まで継続し得る。
【0060】
リモデリングペーシングの送達が開始されると(ブロック102)、プロセッサ80は、送達されたリモデリングペーシングから生じる患者の症状を監視し始めることができる(ブロック104)。加えて、プロセッサ80は、患者活性化信号が患者から受信されたかどうかを監視することができる。患者活性化信号の例は、患者が送達されたリモデリングペーシングの結果として不快感を経験していることを示す、患者によって開始される信号、または患者がもはや眠っていない、もしくは仰臥位にないことを示す、活動センサ35から受信される信号のいずれかであり得る(ブロック106)。プロセッサ80が、患者活性化信号が受信されたと決定する場合(ブロック106におけるYES)、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法の送達を一時停止し(ブロック116)、リモデリングペーシングの送達のための次のスケジュールされたセッションを待つ(ブロック100)。
【0061】
監視された症状(ブロック104)に基づいて、および患者活性化信号が受信されていない場合(ブロック106におけるNO)、プロセッサ80は、送達されたリモデリングペーシングが、リモデリングペーシングの送達が患者の心臓の状態のなんらかのレベルの正常化を引き起こすことに効果的であることを示す測定可能な効果があるという結果をもたらすかどうかを決定する(ブロック108)。例えば、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが、なんらかのレベルの心臓の正常化があることを示すやり方で患者の心臓の全体的な状態に影響を及ぼしているという指標として、組織潅流、心房潅流、推定肺動脈拡張期圧(ePad)、右心室圧、左心室圧、およびインピーダンスなどの圧力代用物などの1つまたは複数のパラメータにおける変化を監視することができる。1つまたは複数の他の実施形態において、療法は、組織潅流、心房潅流、推定肺動脈圧(ePad)、右心室圧、左心室圧、およびインピーダンスなどの圧力代用物などのパラメータの検出なしに、ある時間期間後、自動的に送達および/または一時停止される(例えば、ペーシングを送達してから30分後、1時間後などに療法を一時停止する)。
【0062】
1つの例では、測定可能な正常化効果があるかどうかを決定する(ブロック108)ため、プロセッサ80は、患者と関連付けられた潅流の変化があるかどうかを決定することができる。例えば、組織潅流の変化は、リモデリングペーシング療法の送達中に組織潅流を測定し、測定された組織潅流を、例えばデバイスの植込み時などリモデリングペーシングが患者に送達される前に決定されるペーシングされていないベースライン組織潅流レベルと比較することによって決定され得る。以下の説明は、療法を調節するための標的パラメータとして組織潅流を使用するが、上で述べた他のパラメータが同様に使用され得る。
【0063】
組織潅流の現在測定されたレベルがベースライン組織潅流レベルに対して増大していない場合、プロセッサ80は、送達されたリモデリングペーシングが、心臓の正常化を示す測定可能な効果があるという結果をもたらさなかったと決定する(ブロック108におけるNO)。次いで、続いて送達されるリモデリングペーシングが心臓の正常化を示す測定可能な効果を結果としてもたらす可能性を増大させるために、リモデリングペーシングの送達を調節するかどうかに関して決定がなされる(ブロック110)。
【0064】
図6は、患者の心拍出量に対するリモデリングペーシングの効果を例証するグラフ表現である。心拍出量(CO)は、1分あたりに心臓によって拍出される血液の量を指し、心拍数(HR)または1分あたりの拍動の数と、1拍動あたりに拍出される血液の量である1回拍出量(SV)との積、つまりCO=HR×SVである。図6に例証されるように、心拍出量は、典型的には、心拍出量113の最大増加が達成されるまで、心拍数が増加するにつれて増加する。この最大出量113は、患者によって異なる傾向があり、患者の心臓の現在の状態に応じて、単一の患者においても異なり得る。最大心拍出量113が達成されると、ペーシングされた心拍数の任意のさらなる増加は、患者の心拍出量115の減少を結果としてもたらし、患者の心臓状態に対する悪影響を示す可能性があり得る。
【0065】
したがって、ペーシング療法を調節するかどうかを決定する(図5のブロック110)ため、心臓の正常化を示す測定可能な効果が検出されていないとき(ブロック108におけるNO)、プロセッサ80は、患者の心拍出量のスロープが増大していると決定される場合、ペーシング療法を調節することを決定することができる(ブロック110におけるYES)。次いで、プロセッサ80は、リモデリングペーシングのレートおよび/または持続時間を増大させることによって、リモデリングペーシングを調節することができる(ブロック112)。典型的な介入調節は、最大ペーシングレートを増大させることを好み、レート効果が症状となる場合は二次的な調節として持続時間を増大させる。しかしながら、患者の心拍出量のスロープが増大していると決定されない場合、プロセッサ80は、ペーシング療法を調節しないことを決定する(ブロック110におけるNO)。
【0066】
プロセッサ80が、療法を調節することを決定し(ブロック110におけるYES)、したがってリモデリングペーシングが調節されるか(ブロック112)、またはプロセッサ80が、療法を調節しないことを決定するか(ブロック110におけるNO)のいずれかで、セッション時間が終了したかどうかに関して決定がなされる(ブロック114)。例えば、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法が少なくとも100bpmのレートで特定の時間期間の間(例えば、30分など)送達されたかどうか、または別の例では、リモデリングペーシング療法が少なくとも100bpmのレートで1日あたり5時間送達されたかどうかを決定することができる。
【0067】
セッション時間が終了していない場合(ブロック114におけるNO)、プロセッサ80は、同じレートおよび/もしくは持続時間または調節されたレートおよび/もしくは持続時間のいずれかを使用して、リモデリングペーシング療法を送達し続ける(ブロック102)。一方、セッション時間が終了した場合(ブロック114におけるYES)、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法の送達を一時停止し(ブロック116)、リモデリングペーシングの送達のための次のスケジュールされたセッションを待つ(ブロック100)。
【0068】
組織潅流の現在の測定レベルがベースライン組織潅流レベルに対して増大していた場合、プロセッサ80は、送達されたリモデリングペーシングが、心臓の正常化を示す測定可能な効果があるという結果をもたらしたことを決定する(ブロック108におけるYES)。次いで、リモデリングペーシングが患者にとって侵略的すぎることを示す、効果が予め定められた症状回避閾値よりも大きいかどうかに関して決定がなされる(ブロック118)。効果が予め定められた症状回避閾値よりも大きいことが決定される場合(ブロック118におけるYES)、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが患者にとって侵略的すぎるという標示に対処するために、調節して、調節されたリモデリングペーシング療法の送達を継続するか、またはリモデリング療法の送達を一時停止するかどうかを決定する(ブロック120)。
【0069】
例えば、プロセッサ80は、リモデリングペーシングの送達中に発生した心室性期外収縮(PVC)の数の増加があった場合、効果が予め定められた症状回避閾値よりも大きいこと、したがってリモデリング療法が侵略的すぎることを決定することができる(ブロック118におけるYES)。増加したPVCが、リモデリングペーシングが侵略的すぎることを決定するためにブロック118において使用される標示であるとき、プロセッサ80は、リモデリングペーシングの送達を一時停止しないことを決定し(ブロック120におけるNO)、したがって、予め定められた増分だけペーシングの送達のレートを減少させることによって、ペーシング療法を調節する(ブロック120におけるYES)。例えば、送達レートは、1分あたり10拍動だけ減少され得る。別の例では、プロセッサ80は、元のベースラインスロープを追跡し、このスロープがベースラインスロープから予め定められた量または割合だけ逸脱するときに療法を一時停止することができる。
【0070】
別の例では、プロセッサ80は、収縮性閾値の尺度が満足されることが決定される場合、効果が予め定められた症状回避閾値よりも大きいこと、したがってリモデリング療法が侵略的すぎることを決定することができる(ブロック118におけるYES)。例えば、収縮性の尺度が満足されるかどうかを決定することは、心音センサにより検知されるS1およびS2心音の振幅の減少があるかどうか、またはS3心音が送達されたリモデリングペーシング中に心臓センサにより検知されるかどうかを決定することを含み得る。多くのペースメーカは、心音を検出するように構成される。Minneapolis,MNにあるメドトロニック社から入手可能な例示的なペースメーカAMPLIA(商標)またはCLARIA(商標)は、心音を検出するように構成される。収縮性閾値の尺度が、リモデリング療法が侵略的すぎることを決定するためにブロック118において使用される指標であるとき、プロセッサ80は、標示の結果として、リモデリングペーシングの送達を一時停止することを決定し(ブロック120におけるYES)、したがってリモデリングペーシング療法の送達を一時停止し(ブロック116)、リモデリングペーシングの送達のための次のスケジュールされたセッションを待つ(ブロック100)。
【0071】
さらに別の例では、プロセッサ80は、バイオマーカ標識がバイオマーカ標識閾値を超える場合、効果が予め定められた症状回避閾値よりも大きいこと、したがってリモデリング療法が侵略的すぎることを決定することができる(ブロック118におけるYES)。例えば、バイオマーカ標識がバイオマーカ標識閾値を越えるかどうかを決定することは、B型ナトリウム利尿ペプチドとも呼ばれる脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)などのうっ血性心不全(CHF)を診断するためのバイオマーカ標識が、CHFを示す予め定められた閾値を超えて増加するかどうかを決定することを含み得る。バイオマーカ標識が、リモデリング療法が侵略的すぎることを決定するために使用された標示であるとき、プロセッサ80は、標示の結果として、リモデリングペーシングの送達を一時停止することを決定し(ブロック120におけるYES)、したがってリモデリングペーシング療法の送達を一時停止し(ブロック116)、リモデリングペーシングの送達のための次のスケジュールされたセッションを待つ(ブロック100)。
【0072】
別の例では、プロセッサ80は、STセグメント測定値がSTセグメント閾値を満足することが決定される場合、効果が予め定められた症状回避閾値よりも大きいこと、したがってリモデリング療法が侵略的すぎることを決定することができる(ブロック118におけるYES)。例えば、STセグメント測定値は、IMD16によって検知されるECG信号に基づいて、または別の場所から検知される別の内部もしくは外部監視デバイスによって検知されるEGM心臓信号に基づいて、送達されたリモデリングペーシング中に決定され得る。1つまたは複数の実施形態において、データは、患者用のメモリ内に格納され(テーブル内など)、ここでは、データは、ペーシングが継続できるようにSTセグメントを許容できるペーシング療法結果と関連付け、および/またはSTセグメントは、療法を一時停止するために、侵略的すぎるペーシング療法と関連付けられる。送達されたペーシング中に決定されるSTセグメント測定値は、ペーシングされていない心臓活動中に決定され得るST閾値と比較され、STセグメント測定値の増加が発生することが決定される場合、STセグメント閾値は、満足されることが決定される。STセグメント測定値の変化が、リモデリング療法が侵略的すぎることを決定するためにブロック118において使用される標示であるとき、プロセッサ80は、リモデリングペーシングの送達を一時停止しないことを決定し(ブロック120におけるNO)、したがって、予め定められた増分だけペーシングの送達のレートを減少させることによって、ペーシング療法を調節する(ブロック120におけるYES)。
【0073】
リモデリングペーシング療法が侵略的すぎる(ブロック118におけるYES)という事実に対処すること、またはリモデリングペーシング療法が測定可能な正常化効果があるという結果をもたらさない(ブロック108におけるNO)という事実に対処することのいずれかのため、プロセッサ80がリモデリングペーシングの送達を調節すると(ブロック112)、次いで、セッション時間が終了したかどうかに関して決定がなされる(ブロック114)。例えば、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法が、少なくとも100bpmのレートで30分間送達されたかどうかを決定することができる。別の例では、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法が、少なくとも100bpmのレートで2週間の時間期間にわたって1日あたり5時間送達されたかどうかを決定することができる。セッション時間が終了していない場合(ブロック114におけるNO)、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法を送達し続け(ブロック102)、療法は継続する。一方、セッション時間が終了した場合(ブロック114におけるYES)、プロセッサ80は、リモデリングペーシング療法の送達を一時停止し(ブロック116)、次のスケジュールされた送達されるリモデリングペーシングセッションを待つ(ブロック100)。
【0074】
このやり方では、本開示の例に従う心臓リモデリングペーシング療法を送達するための方法は、プロセッサ80が、心房リード22のチップ電極50およびリング電極48により心臓信号300を検知すること、ならびに望ましくない症状が送達されたリモデリングペーシングの結果として誘発されるかどうかを決定するために心臓の症状を監視することを含み得る。例えば、プロセッサ80は、患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達し、送達されたリモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを監視し、監視に応答して、心臓の正常化に対する効果を決定し、決定された心臓の正常化に対する効果に応答して、リモデリングペーシングを調節し得る。
【0075】
図7は、本開示の例に従う、心臓リモデリングのためのペーシング療法を送達する方法のフローチャートである。別の例によると、リモデリングペーシング療法のリアルタイム送達中、プロセッサ80は、短期的な症状回避因子に基づいて、望ましくない症状が送達されたリモデリングペーシングの結果として誘発されるかどうかを決定し、上に説明されるように、それに応じて送達された療法を調節または一時停止し得る。加えて、プロセッサ80はまた、送達されたリモデリングペーシング療法の結果として長い時間期間にわたって心臓の状態における長期的改善があるかどうかを決定するために、長期的な有効性改善因子を監視し得る。特に、リモデリングペーシング療法が、例えば、少なくとも100bpmのレートで2週間の時間期間にわたって1日あたり5時間送達されるなど、予め定められた長期の時間期間にわたって送達されると、プロセッサ80は、心臓の正常化へ向かう所望のレベルの改善があったかどうかを決定するために、リモデリングペーシングの効果の長期監視を実施し始め得る。
【0076】
例えば、図7の例に例証されるように、上に説明される、送達されたリモデリングペーシング101の連続的なリアルタイム監視中、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが患者の心臓の正常化の成功があるという結果をもたらしたかどうかを決定するために、送達されたリモデリングペーシングの長期的効果を評価する。例えば、プロセッサ80が、リモデリングペーシングの長期監視を実施する時間であると決定すると(ブロック200におけるYES)、すなわち、リモデリングペーシングが、例えば、少なくとも100bpmのレートで2週間の時間期間にわたって1日あたり5時間送達されたと決定されるとき、プロセッサ80は、リモデリングペーシングの長期送達と関連付けられた1つまたは複数の長期パラメータを監視し始め(ブロック202)、リモデリングペーシングが患者の心臓の正常化の成功があるという結果をもたらしたかどうかを決定するために、送達されたリモデリングペーシングの長期的効果を評価する。次いで、長期パラメータに基づいて、リモデリングペーシングを調節するかどうかに関して決定がなされる(ブロック204)。プロセッサ80が、長期パラメータが、リモデリングペーシングが調節されるべきであることを示すと決定する場合(ブロック204におけるYES)、プロセッサ80は、リモデリングペーシングを調節し(ブロック206)、リモデリングペーシングの長期監視を実施するための次のスケジュールされた時間を待つ(ブロック200におけるYES)。一方、プロセッサ80が、長期パラメータが、リモデリングペーシングが調節されるべきではないことを示すと決定する場合(ブロック204におけるNO)、プロセッサ80は、追加の長期パラメータが、リモデリングペーシングが患者の心臓の正常化の成功があるという結果をもたらしたことを示すかどうかを決定するために、追加の長期パラメータを監視するかどうかを決定することができる(ブロック208)。
【0077】
追加の長期パラメータが決定されないことになる場合(ブロック208におけるNO)、プロセッサ80は、リモデリングペーシングの長期監視を実施するための次のスケジュールされた時間を待つ(ブロック200におけるYES)。追加の長期パラメータが決定されることになる場合(ブロック208におけるYES)、プロセッサ80は、追加の長期パラメータが、リモデリングペーシングが患者の心臓の正常化の成功があるという結果をもたらしたことを示すかどうかを決定するために、追加の長期パラメータを監視する(ブロック202)。次いで、追加の長期パラメータに基づいて、リモデリングペーシングを調節するかどうかに関して決定がなされる(ブロック204)。プロセッサ80が、追加の長期パラメータが、リモデリングペーシングが調節されるべきであることを示すと決定する場合(ブロック204におけるYES)、プロセッサ80は、リモデリングペーシングを調節し(ブロック206)、リモデリングペーシングの長期監視を実施するための次のスケジュールされた時間を待つ(ブロック200におけるYES)。一方、プロセッサ80が、追加の長期パラメータが、リモデリングペーシングが調節されるべきではないことを示すと決定する場合(ブロック204におけるNO)、プロセッサ80は、追加の長期パラメータを監視するかどうかを決定することができる(ブロック208)。
【0078】
このやり方では、1つの例において、プロセッサ80は、長期パラメータが、リモデリングペーシングが調節されるべきであることを示すかどうかを決定するために、単一の長期パラメータを監視し得る。別の例では、プロセッサ80は、長期パラメータのうちの少なくとも1つが、リモデリングペーシングが調節されるべきであることを示すかどうかを決定するために、複数の長期パラメータを監視し得る。
【0079】
1つの例によると、プロセッサ80は、QRS持続時間が送達されたリモデリングペーシングの結果として経時的に増加しているかどうかを決定するために、患者のQRS持続時間を監視することができる(ブロック202)。QRS持続時間が増加していると決定される場合、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが調節されるべきであると決定し(ブロック204におけるYES)、したがって、送達されたリモデリングペーシングのレートおよびまたは持続時間を減少させることによって調節を行い(ブロック206)、リモデリングペーシングの長期監視を実施するための次のスケジュールされた時間を待つ(ブロック200におけるYES)。一方、QRS持続時間が増加していると決定されない場合、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが調節されるべきではないと決定する(ブロック204におけるNO)。
【0080】
別の例では、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが送達されるべき時間期間を調節するかどうかを決定するために、1つまたは複数の概日パラメータを監視することができる(ブロック202)。例えば、プロセッサ80が、上に説明されるように、午前12時~午前5時の間など、患者が活動していない可能性が最も高い1日の予め定められた時間の間にリモデリングペーシングを送達すると仮定して、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが送達されるべき時間期間を、例えば、20分の時間セグメントなどの予め定められた時間セグメントに分割し、20分の時間セグメントの各々について、またはセグメントの間の予め定められた数の拍動について、その20分の時間セグメントの間にAVブロックが発生していることを示す、心房から心室への伝導の欠如があるかどうかを決定することができる。次いで、プロセッサ80は、AVブロックが発生する可能性が高いと決定される、初期送達期間、すなわち、午前12時~午前5時の間、のそれらの20分の時間セグメントの間、リモデリングペーシングを送達しないことによって、リモデリングペーシングの送達のための時間期間を調節する(ブロック204)。
【0081】
以前に説明したペーシングアルゴリズムに加えて、ペースメーカは、心臓をリモデリングするために1つまたは複数のペーシングレジメンを使用することができる。別の例では、プロセッサ80は、1日を通した患者概日リズムを単に特徴付け、それらのリズムの間に高頻度ペーシングを送達し、送達された高頻度ペーシングに基づいて、AVブロックの可能性が低いことを示す、患者の心臓がより正常な様式で伝導する可能性が高いときを決定することができる。次いで、プロセッサ80は、AVブロックの可能性が低いそれらの期間の間リモデリングペーシングを送達することによって、リモデリングペーシングの送達のための時間期間を調節する(ブロック204)。このやり方では、プロセッサは、固定の時間期間の間リモデリングペーシングを単に送達するのではなく、概日パラメータを利用してリモデリングペーシングをいつ送達すべきかを学習または決定する。
【0082】
別の例では、プロセッサ80は、心臓の正常化における閾値レベルの長期的改善があるかどうかを識別するために、1つまたは複数の長期パラメータを監視することができる(ブロック202)。例えば、プロセッサ80は、患者の心拍出量のスロープが増加している場合、閾値レベルの長期的改善があることを決定することができる。閾値レベルの長期的改善がある場合、プロセッサ80は、リモデリングペーシングのレートおよび/または持続時間を調節することができる。別の例では、プロセッサ80は、肺動脈圧の所望の変化、または心臓の腔の拡張を示すインピーダンスにおけるシフトなど、インピーダンスの所望の変化がある場合、閾値レベルの長期的改善があることを決定することができる。送達されたリモデリングペーシングの結果として閾値レベルの長期的改善がある場合、プロセッサ80は、送達されたリモデリングペーシングのレートおよび/または持続時間を増加させることができる(ブロック206)。
【0083】
別の例では、プロセッサ80は、1日あたり4時間の最小時間期間から1日あたり8時間の最大時間期間までの範囲など、リモデリングペーシングの送達のための予め定められたデューティサイクル範囲を利用するようにプログラムされ得る。このやり方では、送達されたリモデリングペーシングの結果として閾値レベルの長期的改善がある場合、プロセッサ80は、最大デューティサイクルに達していない限り、送達されたリモデリングペーシングの持続時間を増加させることができる(ブロック206)。最大デューティサイクルに達すると、プロセッサ80は、リモデリングペーシングの送達を最大デューティサイクルに維持することができる。
【0084】
図8は、本開示の例に従う、心臓リモデリングのためのペーシング療法を送達する方法のフローチャートである。別の例によると、プロセッサ80が、リモデリングペーシングの長期監視を実施する時間であることを決定すると(ブロック200におけるYES)、プロセッサ80は、リモデリングペーシングの長期送達と関連付けられた1つまたは複数の長期パラメータを監視し始め(ブロック202)、リモデリングペーシングが一時停止されるべきかどうかを決定するために送達されたリモデリングペーシングの長期的効果を評価する。
【0085】
図8に例証されるように、長期パラメータの監視(ブロック202)は、プロセッサ80が、リモデリングペーシングの送達を一時停止するか(ブロック210におけるYES)、またはリモデリングペーシングの送達を現在の設定レートおよび/または持続時間に維持するか(ブロック210におけるNO)のいずれかを決定するために、パラメータを監視することを含み得る。例えば、長期パラメータの監視(ブロック202)は、患者の長期安静時心拍数において変化があるかどうかを決定するために、長い時間期間にわたって患者の安静時心拍数への戻りを監視することを含み得る。
【0086】
例えば、プロセッサ80は、送達されたリモデリングペーシングの間に生じる上昇した心拍数でのリモデリングペーシングの送達後に心拍数が安静時心拍数に戻るための時間の量と関連付けられた回復レートを決定することができる。決定された回復レートは、例えば植込み時に決定されるベースライン回復レートと比較される。例えば1週間などの長期の時間期間にわたって、決定された回復レートと関連付けられた時間の量に減少がない場合、プロセッサ80は、長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきではないことを示すことを決定し(ブロック210におけるNO)、したがってリモデリングペーシングの送達は、現在のレートおよび/または持続時間で継続または維持される。決定された回復レートと関連付けられた時間の量に減少がある場合、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが患者の心臓の状態の所望のレベルの正常化を結果としてもたらしたこと、したがってリモデリングペーシングの送達が一時停止されるべきであることを決定し(ブロック210におけるYES)、したがって、リモデリングペーシングの送達を一時停止する(ブロック212)。
【0087】
別の例では、プロセッサ80が、決定された回復レートに基づいて、長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきではないことを示すことを決定し(ブロック210におけるNO)、したがって、リモデリングペーシングの送達が、現在のレートおよび/または持続時間で継続または維持される場合、プロセッサ80は、追加の長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきであることを示すかどうかを決定するために、追加の長期パラメータを監視するかどうかを決定することができる(ブロック214)。
【0088】
別の例では、長期パラメータの監視(ブロック202)は、長い時間期間にわたって収縮時間間隔(STI)を監視して、患者の長期STIにおいて変化があるかどうかを決定することを含み得る。現在の長期STIは、例えば植込み時に決定されるベースラインSTIと比較される。例えば、30パーセント減少など、STIにおいて予め定められた減少がない場合、プロセッサ80は、長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきではないことを示すことを決定し(ブロック210におけるNO)、したがってリモデリングペーシングの送達は、現在のレートおよび/または持続時間で継続または維持される。現在の決定されたSTIにおいて予め定められた減少がある場合、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが患者の心臓の状態の所望のレベルの正常化を結果としてもたらしたこと、したがってリモデリングペーシングの送達が一時停止されるべきであることを決定し(ブロック210におけるYES)、したがって、リモデリングペーシングの送達を一時停止する(ブロック212)。
【0089】
別の例では、プロセッサ80が、決定されたSTIの減少に基づいて、長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきではないことを示すことを決定し(ブロック210におけるNO)、したがって、リモデリングペーシングの送達が、現在のレートおよび/または持続時間で継続または維持される場合、プロセッサ80は、追加の長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきであることを示すかどうかを決定するために、追加の長期パラメータを監視するかどうかを決定することができる(ブロック214)。
【0090】
別の例では、長期パラメータの監視(ブロック202)は、長い時間期間にわたって、例えば、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)などのうっ血性心不全(CHF)を診断するためのバイオマーカ標識を監視して、送達されたリモデリングペーシングが患者の心臓の状態の所望のレベルの正常化を結果としてもたらしたことを示すバイオマーカにおいて変化があるかどうかを決定することを含み得る。長い時間期間にわたって測定されるバイオマーカは、例えば植込み時に決定されるベースライン尺度と比較される。バイオマーカにおいて予め定められた長期的変化がない場合、プロセッサ80は、長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきではないことを示すことを決定し(ブロック210におけるNO)、したがって、リモデリングペーシングの送達は、現在のレートおよび/または持続時間で継続または維持される。バイオマーカにおいて予め定められた長期的変化がある場合、プロセッサ80は、リモデリングペーシングが患者の心臓の状態の所望のレベルの正常化を結果としてもたらしたこと、したがってリモデリングペーシングの送達が一時停止されるべきであることを決定し(ブロック210におけるYES)、リモデリングペーシングの送達を一時停止する(ブロック212)。
【0091】
別の例では、プロセッサ80が、決定されたSTIの減少に基づいて、長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきではないことを示すことを決定し(ブロック210におけるNO)、したがって、リモデリングペーシングの送達が、現在のレートおよび/または持続時間で継続または維持される場合、プロセッサ80は、追加の長期パラメータが、リモデリングペーシングが一時停止されるべきであることを示すかどうかを決定するために、追加の長期パラメータを監視するかどうかを決定することができる(ブロック214)。
【0092】
図9は、本開示の例に従う、リモデリングペーシング療法を送達する方法のフローチャートである。図9に例証されるように、リモデリングペーシングの送達が患者の心臓の状態の所望のレベルの正常化を引き起こすことに効果的である可能性を増大させるため、プロセッサ80は、複数の間隔の間リモデリングペーシングを送達することができ、この複数の間隔は、心臓の筋持久力を増大させるようなやり方でリモデリングペーシングのレートおよび/または持続時間における変動を有する。例えば、プロセッサ80は、予め定められた持続時間の間、現在の設定レートでリモデリングペーシングを送達し(ブロック300)、リモデリングペーシングが現在の持続時間の間現在のレートで送達されると(ブロック302におけるYES)、現在のレートから次のレートへとレートを調節するかどうかを決定する(ブロック304)、および/または、現在の持続時間から次の持続時間へと持続時間を調節するかどうかを決定することができる(ブロック308)。
【0093】
このやり方では、リモデリングペーシングが現在の持続時間の間現在のレートで送達されると(ブロック302におけるYES)、プロセッサ80は、レートのみを調節して(ブロック306)、現在の持続時間の間調節されたレートで次のリモデリングペーシング間隔を送達するか(ブロック312)、持続時間のみを調節して(ブロック310)、調節された次の持続時間を用いて現在のレートで次のリモデリングペーシング間隔を送達するか(ブロック312)、現在のレート(ブロック306)および現在の持続時間(ブロック310)の両方を調節して、調節されたレートで調節された持続時間の間次のリモデリングペーシング間隔を送達するか(ブロック312)、または、レートもしくは持続時間に対して調節を行わず、現在のレートで現在の持続時間の間次のリモデリングペーシング間隔を送達し続けるか(ブロック312)のいずれかである。持続時間が、次のリモデリングペーシングの送達の間に満了すると(ブロック302におけるYES)、このプロセスは、現在のリモデリングペーシング送達セッションが終了するまで、次のリモデリングペーシング送達間隔を生成するために繰り返される。
【0094】
このやり方では、プロセッサ80は、第1のレートおよび第1の持続時間を有する第1の間隔の間リモデリングペーシングを送達し、第1の間隔の後に続く次の間隔の間のリモデリングペーシングの送達の間第1のレートおよび第1の持続時間のうちの一方または両方を調節するかどうかを決定し、この決定に応答して、次の間隔の間リモデリングペーシングを送達することができ、その結果として、次の間隔は、リモデリングペーシングが、第1のレートおよび第1の持続時間の両方、調節されたレートおよび第1の持続時間、第1のレートおよび調節された持続時間、ならびに調節されたレートおよび調節された持続時間の両方、のうちの1つを有して送達されることを含み得る。
【0095】
特に、1つの例では、リモデリングペーシングの送達は、リモデリングペーシングが患者と関連付けられた安静時心拍数をわずかに上回るレートで初期持続時間の間送達されるウォームアップ間隔、それに続いて、リモデリングペーシングが初期持続時間に対してより短い持続時間の間増加したレートで送達されるビルドアップ間隔を含み得る。ビルドアップ間隔の間のリモデリングペーシングの送達が完了すると、リモデリングペーシングは、リモデリングペーシングの上昇/減少送達を生成するために、初期間隔のレートおよび持続時間を使用して送達され得るか、増加したレート、増加した持続時間、または増加したレートおよび持続時間などで送達され得る。このやり方では、リモデリングペーシングは、筋持久力を増大させ、それによりリモデリングペーシングの送達が患者の心臓の状態の所望のレベルの正常化を引き起こすことにおいて効果的である可能性を増大させるために、繰り返し上昇するおよび/または減少するパターンで送達され得る。
【0096】
1つの例では、リモデリングペーシングの送達は、リモデリングペーシングが患者の安静時レートをちょうど超える低レート(安静時心拍数から最大毎分30回の心拍(HBM)上回るまで心拍数を増大させるための第1のレート)で送達される10分のウォームアップ間隔(第1の時間期間)、それに続いて、リモデリングペーシングが最大レート(第1の心拍数から最大50HBM上回るなど)で送達される3分の第1のビルドアップ間隔、それに続いて、リモデリングペーシングが最大レートよりも低いレートで送達される第2の間隔(例えば、2分の間隔)、それに続いて、リモデリングペーシングが最大レートで送達される第3のビルドアップ間隔(例えば、2分の間隔)、それに続いて、リモデリングペーシングが最大レートより低いレートで送達される1分の時間間隔、それに続いて、リモデリングペーシングが最大レートで送達される1分の間隔、それに続いて、リモデリングペーシングが最大レートより低いレートで送達される1分の時間間隔を含み得る。次いでこのプロセスは繰り返され得る。例えば、このアルゴリズムは、最大1日1時間繰り返し実施され得る。
【0097】
別の例では、リモデリングペーシングの送達は、同じレートであるが変化する持続時間での送達を含み得る。例えば、リモデリングペーシングの送達は、2分の間隔(第1の間隔)の間所与のレート(第1のレート)でリモデリングペーシングを送達すること、それに続いて、4分の間隔(第2の間隔)の間同じレートでリモデリングペーシングを送達すること、それに続いて、6分の間隔(第3の間隔)の間同じレートでリモデリングペーシングを送達すること、それに続いて、別の6分の間隔(第4の間隔)の間同じレートでリモデリングペーシングを送達すること、それに続いて、4分の間隔(第5の間隔)の間同じレートでリモデリングペーシングを送達すること、およびそれに続いて、2分の間隔(第6の間隔)の間同じレートでリモデリングペーシングを送達することを含み得る。別の例では、送達は、リモデリングペーシングが減少したレートおよび減少した持続時間で送達される、様々な間隔の各々の間の回復間隔(第7の間隔)を含み得る。このアルゴリズムは、最大1日1時間繰り返し実施され得る。
【0098】
別の例では、リモデリングペーシングは、リモデリングペーシングが最小レートで送達される(例えば、心拍数を最大30HBM上昇させる)ウォームアップ間隔(心拍数が最大20HBMまで徐々に上がることを可能にする第1の間隔)、それに続いて、リモデリングペーシングがウォームアップ間隔の間送達される最小レートよりも大きい第1のレートで送達されるビルドアップ間隔、それに続いて、リモデリングペーシングが最小レートよりも大きく(例えば、心拍数を第1のレートより最大30HBM増加させる)また以前のビルドアップ間隔の間利用される第1のレートと等しいかそれよりも大きいかのいずれかである第2のレートで送達される別のビルドアップ間隔を含む階段状パターンで送達され得る。このアルゴリズムは、最大1日1時間繰り返し実施され得る。
【0099】
別の例では、リモデリングペーシングの送達は、リモデリングペーシングが高レートで送達される(心拍数を最大50HBM増大させる)初期間隔(最大3~5分)、それに続いて、リモデリングペーシングが減少したレートで送達される(HBMを第1の間隔から20HBM減少させる)次の間隔、または、リモデリングペーシングが減少したレートで送達される初期間隔、それに続いて、リモデリングペーシングが高レートで送達される次の間隔を含み得、2つを交互に含み得る。
【0100】
このやり方では、リモデリングペーシングの送達は、数日または1つもしくは複数の週など、長いまたは短い時間期間にわたって送達される異なるレートおよび/または持続時間パターンの複数の組み合わせを含み得る。加えて、回復間隔も含まれ得、この間、リモデリングペーシングの送達は、ある時間期間にわたって保留されるか、または、1つもしくは複数のウォームアップ間隔および1つもしくは複数のビルドアップ間隔の組み合わせを含み得る、リモデリングペーシングの送達のための可変パターンを可能にするために減少したレートおよび/もしくは持続時間で送達されるかのいずれかであり、結果として患者の心臓の状態の所望のレベルの正常化をもたらす。
【0101】
IMD16、プログラマ24、プロセッサ80、または様々な構成部品に帰属する技術を含め、本開示に説明される技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に実装され得る。例えば、本技術の様々な態様は、医師もしくは患者プログラマなどのプログラマ、刺激装置、画像処理デバイス、または他のデバイスにおいて具現化される、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、または任意の他の等価の集積もしくは離散論理回路、ならびにそのような構成要素の任意の組み合わせを含む1つまたは複数のプロセッサ内に実装され得る。用語「モジュール」、「プロセッサ」、または「処理回路」は、概して、先述の論理回路のいずれかを、単独で、もしくは他の論理回路と組み合わせて、または任意の他の等価の回路を指し得る。
【0102】
そのようなハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアは、本開示に説明される様々な動作および機能をサポートするために、同じデバイス内または別個のデバイス内に実装され得る。加えて、説明されたユニット、モジュール、または構成要素のいずれかは、一緒に、または離散的であるが相互運用可能な論理デバイスとして別個に、実装され得る。モジュールまたはユニットとしての異なる特徴の描写は、異なる機能的態様を強調することを目的とし、そのようなモジュールまたはユニットが別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを必ずしも示唆しない。むしろ、1つまたは複数のモジュールまたはユニットと関連付けられた機能性は、別個のハードウェアもしくはソフトウェア構成要素によって実施され得るか、または共通もしくは別個のハードウェアもしくはソフトウェア構成要素内に統合され得る。
【0103】
ソフトウェアに実装されるとき、本開示に説明されるシステム、デバイス、および技術のものとされる機能性は、RAM、ROM、NVRAM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気データ記憶媒体、光学データ記憶媒体、または同様のものなど、コンピュータ可読媒体上の命令として具現化され得る。命令は、本開示に説明される機能性の1つまたは複数の態様をサポートするために1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。
【0104】
1つの例では、本明細書に説明される運動レジメンは、患者が眠っている間に実施されるが、運動レジメンは、任意の患者データの検出(例えば、無活動性の検出)なしに実施され得る。加えて、運動レジメンは、診断目的のために使用されるのではなく、むしろ、心臓を運動させることは、心臓をリモデリングする目的のためである。
例証的な実施形態
【実施例1】
【0105】
患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するステップと、
送達されたリモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを監視するステップと、
監視に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定するステップと、
決定された心臓の正常化に対する効果に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するステップと、を含む、方法。
【実施例2】
【0106】
心臓リモデリングペーシングを患者に送達するための心臓デバイスであって、
ハウジングと、
患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するためにハウジングに電気的に接続された複数の電極と、
ハウジング内に位置付けられたプロセッサであって、
送達された心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを決定し、
監視に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定し、
決定された心臓の正常化に対する効果に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するように構成される、プロセッサと
を備える、心臓デバイス。
【実施例3】
【0107】
監視に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定することが、
リモデリングペーシング療法の送達中に組織潅流を決定することと、
決定された組織潅流を、心臓リモデリングペーシングが患者に送達される前に決定されるペーシングされていないベースライン組織潅流レベルと比較することと、を含み、
監視に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定することが、比較に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有していたかどうかを決定することを含む、実施例1または2に記載の方法またはデバイス。
【実施例4】
【0108】
決定された組織潅流を、心臓リモデリングペーシングが患者に送達される前に決定されるペーシングされていないベースライン組織潅流レベルと比較することが、ベースライン組織潅流レベルに対して組織潅流の増加があるかどうかを決定することを含み、
比較に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対して効果を有していたかどうかを決定することが、ベースライン組織潅流レベルに対して組織潅流の増加があることに応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対して効果を有していたと決定することを含み、
決定された心臓の正常化に対する効果に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、組織潅流の増加を決定することに応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することを含む、実施例3に記載の方法またはデバイス。
【実施例5】
【0109】
ベースライン組織潅流レベルに対して組織潅流の増加があることに応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対して効果を有していたと決定することが、心拍出量信号のスロープが増加しているかどうかを決定することを含み、
組織潅流の増加を決定することに応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、心拍出量信号のスロープが増加していると決定することに応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することを含む、実施例4に記載の方法またはデバイス。
【実施例6】
【0110】
監視に応答して、心臓リモデリングペーシングが心臓の正常化に対する効果を有するかどうかを決定することが、心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することを含み、
決定された心臓の正常化に対する効果に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいことに応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することを含む、実施例1~5のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例7】
【0111】
心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、
心臓リモデリングペーシングの送達中に発生する心室性期外収縮(PVC)の増加があったかどうかを決定することと、
PVCの増加に応答して、心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいと決定することとを含む、実施例6に記載の方法またはデバイス。
【実施例8】
【0112】
心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、
心臓リモデリングペーシングの送達中に心音信号を検知することと、
検知された心音信号に応答してS1およびS2心音の振幅の減少ならびにS3心音が検知されることのうちの一方に応答して、心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいと決定することを含む、実施例6または7に記載の方法またはデバイス。
【実施例9】
【0113】
心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、
心臓リモデリングペーシングの送達中、バイオマーカ標識の増加が、心不全を示す閾値よりも大きいかどうかを決定することと、
バイオマーカ標識の増加が、心不全を示す閾値よりも大きいことに応答して、心臓の正常化に対する効果が、症状回避閾値よりも大きいと決定することとを含む、実施例6~8のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例10】
【0114】
バイオマーカ標識が、脳性ナトリウム利尿ペプチドを含む、実施例9に記載の方法またはデバイス。
【実施例11】
【0115】
送達されたリモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータを監視することが、心臓信号を検知することを含み、
心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいかどうかを決定することが、
心臓リモデリングペーシングの送達中、検知された心臓信号のSTセグメント測定値の増加があったかどうかを決定することと、
STセグメント測定値の増加があることに応答して、心臓の正常化に対する効果が症状回避閾値よりも大きいと決定することとを含む、実施例6~10のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例12】
【0116】
1つまたは複数のパラメータが、組織潅流、心房潅流、推定肺動脈圧(ePad)、右心室圧、左心室圧、PVC、STセグメント測定値、バイオマーカ標識、心音、およびインピーダンスを含む、実施例1~11のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例13】
【0117】
患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するステップと、
送達された心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータの短期監視を実施するステップと、
心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視するステップと、
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定するステップと、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するステップと、を含む、方法。
【実施例14】
【0118】
心臓リモデリングペーシングを患者に送達するための心臓デバイスであって、
ハウジングと、
患者の心臓の状態の正常化を刺激するために心臓リモデリングペーシングを送達するためにハウジングに電気的に接続された複数の電極と、
ハウジング内に位置付けられたプロセッサであって、
送達された心臓リモデリングペーシングに応答して、1つまたは複数のパラメータの短期監視を実施し、
心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視し、
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定し、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節するように構成されるプロセッサと
を備える、心臓デバイス。
【実施例15】
【0119】
心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視することが、心臓リモデリングペーシングの送達中、心臓信号を検知することを含み、
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、
検知された心臓信号に応答して、予め定められた長期の時間期間にわたってQRS持続時間を決定することと、
QRS持続時間が増加しているかどうかを決定することと、を含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、QRS持続時間が増加していると決定されることに応答して、QRS持続時間に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することを含む、実施例13または14に記載の方法またはデバイス。
【実施例16】
【0120】
方法、またはデバイスのプロセッサは、
予め定められた時間期間中、心臓リモデリングペーシングを送達すること、および
心臓リモデリングペーシングが送達される時間期間を予め定められた時間セグメントに分割すること、をさらに含み、またはこれを行うようにさらに構成され、
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、予め定められた時間セグメントの各々について、AVブロックが発生しているかどうかを決定することを含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、AVブロックが発生すると決定される予め定められた時間セグメントに応答して、心臓リモデリングペーシングの送達を調節することを含む、実施例13~15のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例17】
【0121】
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、
心拍出量信号のスロープが増加しているかどうかを決定することと、
心拍出量信号のスロープが増加していると決定することに応答して、心臓の正常化の長期的改善を決定することとを含む、実施例13~16のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例18】
【0122】
心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視することが、心臓リモデリングペーシングの送達中、心臓信号を検知することを含み、
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、検知された心臓信号に応答して、心腔の拡張を示すインピーダンスにおいて予め定められた変化があるかどうかを決定することを含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、決定されたインピーダンスの変化に応答して、心臓リモデリングペーシングの送達を調節することを含む、実施例13~17のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例19】
【0123】
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、心臓リモデリングペーシングの長期送達中の肺動脈圧の変化を決定することを含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、決定された肺動脈圧の変化に応答して、心臓リモデリングペーシングの送達を調節することを含む、実施例13~18のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例20】
【0124】
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、決定された長期的効果に応答して、心臓リモデリングペーシングのデューティサイクルを調節することを含む、実施例13~19のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例21】
【0125】
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、
心臓リモデリングペーシングの送達後に心拍数が安静時心拍数に戻るための時間の量と関連付けられた回復レートを決定することと、
決定された回復レートをベースライン回復レートと比較することとを含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、比較に応答して、心臓リモデリングペーシングの送達を一時停止するかどうかを決定することを含む、実施例13~20のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例22】
【0126】
心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視することが、心臓リモデリングペーシングの送達中、心臓信号を検知することを含み、
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、検知された心臓信号に応答して、収縮時間間隔において予め定められた変化があるかどうかを決定することを含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、決定された収縮時間間隔の変化に応答して、心臓リモデリングペーシングの送達を一時停止するかどうかを決定することを含む、実施例13~21のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例23】
【0127】
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、
心臓リモデリングペーシングの送達中、心不全を示すバイオマーカ標識の長期的変化を決定することと、
バイオマーカ標識の長期的変化が、心臓の正常化に対する長期的効果があることを示すかどうかを決定することと、を含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、バイオマーカ標識の長期的変化が、心臓の正常化に対する長期的効果があることを示すことに応答して、心臓リモデリングペーシングの送達を一時停止することを含む、実施例13~22のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【実施例24】
【0128】
バイオマーカ標識が、脳性ナトリウム利尿ペプチドを含む、実施例23に記載の方法またはデバイス。
【実施例25】
【0129】
心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を示す1つまたは複数の長期パラメータを監視することが、長い時間期間にわたって収縮時間間隔(STI)を監視して長期STIを生成することを含み、
監視に応答して、心臓の正常化に対する送達された心臓リモデリングペーシングの長期的効果を決定することが、長期STIをベースラインSTIと比較することを含み、
短期監視および心臓の正常化に対する決定された長期的効果のうちの一方または両方に応答して、心臓リモデリングペーシングを調節することが、比較に応答して、心臓リモデリングペーシングの送達を一時停止するかどうかを決定することを含む、実施例13~24のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【0130】
本開示は、例証的な実施形態を参照して提供されており、制限的意味に解釈されることは意味されない。先に説明されるように、当業者は、他の様々な例証的な応用が、本明細書に説明される装置および方法の有益な特徴を利用するために、本明細書に説明されるような技術を使用し得るということを認識するものとする。例証的な実施形態の様々な修正形態、ならびに本開示の追加の実施形態は、本説明への参照の際に明白であるものとする。
図1
図2
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図9