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  • 特許-車載電源装置および車載電源制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】車載電源装置および車載電源制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/03 20060101AFI20241004BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20241004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241004BHJP
   B60W 10/24 20060101ALI20241004BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20241004BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20241004BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20241004BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B60R16/03 A
B60R16/033 B
H02J7/00 302C
B60W10/24
B60W30/09
B60W10/00 120
B60W10/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021003607
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108552
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-029200(JP,A)
【文献】特開2011-078147(JP,A)
【文献】特開2020-109731(JP,A)
【文献】特開2020-077578(JP,A)
【文献】特開2016-107879(JP,A)
【文献】特開2020-022291(JP,A)
【文献】特開2017-061240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0288746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02 - 16/033
B60W 10/00 - 60/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力が第1負荷に供給される第1系統と、
第2電源の電力が第2負荷に供給される第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統を接続切断可能な系統間スイッチと、
ダイオードを介して前記第2電源を充電する充電経路と、
前記充電経路をバイパスするバイパススイッチと、
前記バイパススイッチをオンして前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給する放電経路を前記第2系統に形成する制御部と
を備え
前記第1負荷および前記第2負荷は、
自動運転用の負荷を含み、
前記制御部は、
通常時に前記系統間スイッチをオンし、前記バイパススイッチをオフし、
前記第1電源または前記第2電源の失陥時には、前記系統間スイッチおよび前記バイパススイッチを制御して前記第1負荷または前記第2負荷による車両の退避走行制御を自動運転制御装置に実行させる
ことを特徴とする車載電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2電源の充電中は前記車両の手動運転制御から自動運転制御への切り替えを前記自動運転制御装置に対して禁止する
ことを特徴とする請求項に記載の車載電源装置。
【請求項3】
前記第1電源は、
発電機と鉛バッテリとを含み、
前記制御部は、
前記発電機が失陥した場合に、前記系統間スイッチをオンし、前記バイパススイッチをオンして、前記自動運転制御装置に前記車両の退避走行制御を実行させる
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の車載電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記鉛バッテリが失陥した場合に、前記系統間スイッチをオフし、前記バイパススイッチをオンして、前記第2電源による前記車両の退避走行制御を前記自動運転制御装置に実行させる
ことを特徴とする請求項に記載の車載電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2電源が失陥した場合に、前記系統間スイッチをオフし、前記バイパススイッチをオフして、前記第1電源による前記車両の退避走行制御を前記自動運転制御装置に実行させる
ことを特徴とする請求項のいずれか一つに記載の車載電源装置。
【請求項6】
車載電源装置の制御部が実行する車載電源制御方法であって、
前記車載電源装置は、
第1電源の電力が第1負荷に供給される第1系統と、
第2電源の電力が第2負荷に供給される第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統を接続切断可能な系統間スイッチと、
ダイオードを介して前記第2電源を充電する充電経路と、
前記充電経路をバイパスするバイパススイッチと
を備え、
前記第1負荷および前記第2負荷は、
自動運転用の負荷を含み、
前記制御部が、前記バイパススイッチをオンして前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給する放電経路を前記第2系統に形成し、
通常時に前記系統間スイッチをオンし、前記バイパススイッチをオフし、
前記第1電源または前記第2電源の失陥時には、前記系統間スイッチおよび前記バイパススイッチを制御して前記第1負荷または前記第2負荷による車両の退避走行制御を自動運転制御装置に実行させる制御工程
を含むことを特徴とする車載電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、車載電源装置および車載電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行中に電源失陥が発生しても、安全な場所まで退避走行させて停車させることができるように、第1電源と第2電源とを備え、一方の電源系統に地絡が発生した場合に、他方の電源から車載機器(負荷)へ電力を供給する冗長電源システムがある。
【0003】
例えば、冗長電源システムは、第1電源から第1負荷へ電力を供給する第1系統と、第2電源から第1負荷と同一の機能を備える第2負荷へ電力を供給する第2系統とを備える。そして、冗長電源システムは、第1系統および第2系統のうち一方の系統に地絡が発生した場合に、他方の系統によってフェイルセーフ制御を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-61240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、冗長電源システムでは、第1電源および第2電源のうち高価な方の電源が過度に放電して劣化すると交換が必要となり、大きなコストが掛かる。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、第1電源および第2電源のうち一方の電源を優先的に放電させることができる車載電源装置および車載電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る車載電源装置は、第1系統と、第2系統と、系統間スイッチと、充電経路と、バイパススイッチと、制御部とを備える。第1系統は、第1電源の電力が第1負荷に供給される。第2系統は、第2電源の電力が第2負荷に供給される。系統間スイッチは、前記第1系統および前記第2系統を接続切断可能である。充電経路は、ダイオードを介して前記第2電源を充電する。バイパススイッチは、前記充電経路をバイパスする。制御部は、前記バイパススイッチをオンして前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給する放電経路を前記第2系統に形成する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様に係る車載電源装置および車載電源制御方法は、第1電源および第2電源のうち比較的放電の許容量が大きな方の電源を優先的に放電させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る車載電源装置の構成例を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る車載電源装置の動作例を示す説明図である。
図3図3は、実施形態に係る車載電源装置の動作例を示す説明図である。
図4図4は、実施形態に係る車載電源装置の動作例を示す説明図である。
図5図5は、実施形態に係る車載電源装置の動作例を示す説明図である。
図6図6は、実施形態に係る車載電源装置の動作例を示す説明図である。
図7図7は、実施形態に係る車載電源装置の動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、車載電源装置および車載電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する車載電源装置を例に挙げて説明するが、実施形態に係る車載電源装置は、自動運転機能を備えていない車両に搭載されてもよい。
【0011】
[1.車載電源装置の構成]
図1は、実施形態に係る車載電源装置の構成例を示す説明図である。図1に示すように、実施形態に係る車載電源装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、第2負荷102と、自動運転制御装置100とに接続される。
【0012】
第1負荷101および第2負荷102は、自動運転用の負荷を含む。例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等を含む。また、第1負荷101は、エアコン、オーディオ、ビデオ、各種ライト等の一般負荷も含む。
【0013】
第2負荷102は、少なくとも、ステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等の自動運転中に動作する装置を含む。第1負荷101および第2負荷102は、車載電源装置1から供給される電力によって動作する。自動運転制御装置100は、第1負荷101および第2負荷102を動作させて、車両を自動運転制御する制御装置である。
【0014】
車載電源装置1は、第2電源20と、制御部3と、系統間スイッチ41と、バイパススイッチ42とを備える。さらに、車載電源装置1は、電流センサ51,53と、電圧センサ52とを備える。
【0015】
第1電源10は、発電機11と、鉛バッテリ(以下、「PbB12」と記載する)とを含む。発電機11は、車両の回生エネルギーを電力に変換して発電する装置である。なお、発電機11は、車両がエンジンを備える場合、エンジンの回転力を電力に変換して発電するオルタネータであってもよい。発電機11は、PbB12の充電、第1負荷101への電力供給、および第2電源20の充電を行う。
【0016】
発電機11とPbB12との間には、電流センサ51が接続される。発電機11およびPbB12と第1負荷101との間には、電圧センサ52が接続される。系統間スイッチ41と、第1電源10および第1負荷101との間には、電流センサ53が接続される。
【0017】
電流センサ51は、発電機11から出力される電流を検出し、検出結果を制御部3へ出力する。電圧センサ52は、発電機11およびPbB12から出力される電圧を検出し、検出結果を制御部3へ出力する。電流センサ53は、系統間スイッチ41を流れる電流を検出して、検出結果を制御部3へ出力する。
【0018】
第2電源20は、例えば、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を含む。LiB21は、PbB12に比べて高価な2次電池である。第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。
【0019】
第2電源20は、ダイオード43を介して系統間スイッチ41および第2負荷202と接続される。ダイオード43は、アノードが系統間スイッチ41および第2負荷202に接続され、カソードがLiB21に接続される。これにより、ダイオード43を介して第2電源20を充電する充電経路121が形成される。
【0020】
また、第2電源20は、充電経路121をバイパスするバイパススイッチ42を介して系統間スイッチ41および第2負荷202に接続される。バイパススイッチ42がオンされると、第2電源20の電力を第2負荷102に供給する放電経路122が形成される。
【0021】
かかる車載電源装置1は、第1電源10から第1負荷101へ電力を供給する第1系統110と、第2電源20から第2負荷102へ電力を供給する第2系統120とを備える。系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを接続切断可能に接続する。
【0022】
これにより、車載電源装置1は、第1系統110および第2系統120のうち、一方の系統に電源失陥が発生しても、系統間スイッチ41をオフにして、他方の系統よって電力を供給することにより、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。
【0023】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、車載電源装置1の動作を制御する。
【0024】
なお、制御部3は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。制御部3は、電流センサ51,53および電圧センサ52から入力される検出結果に基づいて、系統間スイッチ41およびバイパススイッチ42を制御することにより、第1電源10または第2電源20から第1負荷101と第2負荷102とに電力を供給する。
【0025】
以下、図2図7を参照して、車載電源装置1の動作例について説明する。図2図7は、実施形態に係る車載電源装置の動作例を示す説明図である。
【0026】
[2.通常時動作]
図2に示すように、制御部3は、第1電源10および第2電源20が失陥していない通常時に、系統間スイッチ41をオンし、バイパススイッチ42をオフして、第1電源10から第1負荷101および第2負荷102へ電力を供給する。
【0027】
[3.充電時動作]
図3に示すように、車載電源装置1では、制御部3によって系統間スイッチ41がオンされ、バイパススイッチ42がオフされた通常時動中に、例えば、自然放電等によってLiB21の電圧が所定の電圧以下になると、自動的にLiB21の充電が開始される。
【0028】
具体的には、LiB21の電圧が低下して、ダイオード43のアノード電圧とカソード電圧との電位差が、ダイオード43による電圧降下分の電位差よりも大きくなると、自然に充電経路121に電流が流れ、LiB21の充電が開始される。そして、ダイオード43のアノード電圧とカソード電圧との電位差が、ダイオード43による電圧降下分の電位差と等しくなると、自然にLiB21の充電が終了される。
【0029】
LiB21の充電終了時点の電圧、つまり第2電源20の出力電圧は、ダイオード43による電圧降下分だけ、第1電源10の出力電圧よりも低い。このため、車載電源装置1は、図2に示す通常時動作中において、出力電圧が高い第1電源10から第1負荷101および第2負荷102へ優先的に電力を供給する。これにより、車載電源装置1は、第2電源20の不要な放電を抑制することによって、PbB12よりも高価なLiB21の劣化を抑制することができる。
【0030】
また、制御部3は、第2電源20の充電中は車両の手動運転制御から自動運転制御への切り替えを自動運転制御装置100に対して禁止する。これにより、車載電源装置1は、LiB21の充電状態が十分でなく、バックアップの準備が不完全な状態で、車両の自動運転制御が開始されることを防止することができる。
【0031】
[4.発電機失陥時動作]
制御部3は、第1電源10または第2電源20の失陥時には、系統間スイッチ41およびバイパススイッチ42を制御して、第1負荷101または第2負荷102による車両の退避走行制御を自動運転制御装置100に実行させる。これにより、車載電源装置1は、第1電源10または第2電源20が失陥しても、車両を安全に退避走行させて停車させることができる。
【0032】
例えば、図4に示すように、発電機11が失陥した場合に、系統間スイッチ41をオンし、バイパススイッチ42をオンして、自動運転制御装置100に車両の退避走行制御を実行させる。このとき、前述したように、PbB12の出力電圧がLiB21の出力電圧よりも高い。このため、車載電源装置1では、PbB12から第1負荷101および第2負荷102へ優先的に電力が供給されるので、LiB21の放電を抑制することができる。
【0033】
その後、図5に示すように、PbB12の出力電圧が放電によって低下し、LiB21の出力電圧よりも低くなると、自然に第2電源20から第1負荷101および第2負荷102へ電力が供給されるようになる。
【0034】
このように、車載電源装置1は、発電機11が失陥した場合に、第2電源20の放電を抑制しつつ、PbB12に充電された電力と、LiB21に充電された電力とを無駄なく有効に使用することで、安全に退避走行を完了させることができる。
【0035】
なお、ここでは、発電機11が失陥した場合に、系統間スイッチ41とバイパススイッチ42とを同時にオンする場合について説明したが、制御部3は、系統間スイッチ41をオンした後、PbB12の出力電圧がLiB21の出力電圧と等しくなるまで低下した場合に、バイパススイッチ42をオンすることもできる。
【0036】
この場合、制御部3は、電圧センサ52からPbB12の出力電圧を取得し、PbB12の出力電圧が、予め定められたLiB21の満充電時の出力電圧と等しくなった場合に、バイパススイッチ42をオンする。
【0037】
なお、LiB21の出力に電圧センサが設けられる場合、制御部3は、その電圧センサによって検出される電圧と、電圧センサ52によって検出される電圧とが等しくなった場合に、バイパススイッチ42をオンにする。
【0038】
これにより、車載電源装置1は、PbB12の電力をより有効に退避走行のために使用することができる。具体的には、系統間スイッチ41とバイパススイッチ42とを同時にオンする場合、PbB12の方がLiB21よりも電圧が高いため、PbB12から出力される電流は、第1負荷101および第2負荷102だけでなく、一部が放電経路122を介してLiB21へも供給されることがある。
【0039】
そこで、制御部3は、PbB12の出力電圧がLiB21出力電圧と等しくなった場合に、バイパススイッチ42をオンすることによって、PbB12に充電されている電力を無駄なく第1負荷101および第2負荷102へ供給することができる。
【0040】
なお、制御部3は、発電機11が失陥して系統間スイッチ41をオンにした後、PbB12の出力電圧が少なくともLiB21出力電圧と等しくなるまでの間に、バイパススイッチ42をオンしてもよい。これによっても、車載電源装置1は、PbB12の電力をある程度有効に退避走行のために使用することができる。
【0041】
[5.PbB失陥時動作]
図6に示すように、制御部3は、PbB12が失陥した場合に、系統間スイッチ41をオフし、バイパススイッチ42をオンして、第2電源20による車両の退避走行制御部を自動運転制御装置100に実行させる。これにより、自動運転制御装置100は、PbB12が失陥した場合に、LiB21に充電された電力を使用して第2負荷102を駆動することにより、車両を安全に退避走行させることができる。
【0042】
なお、制御部3は、第1系統110における地絡の発生を検知することもできる。制御部3は、電流センサ53によって検出される電流が地絡閾値を超える過電流であった場合に、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したことを検知する。
【0043】
そして、制御部3は、過電流が系統間スイッチ41を第2系統120から第1系統110に向かって流れた場合に、第1系統110に地絡が発生したと判定する。制御部3は、第1系統110において地絡が発生した場合にも、PbB12失陥時と同じく、系統間スイッチ41をオフし、バイパススイッチ42をオンして、第2電源20による車両の退避走行制御を自動運転制御装置100に実行させる。これにより、自動運転制御装置100は、第1系統110に地絡が発生しても、車両を安全に退避走行させることができる。
【0044】
[6.第2電源失陥時動作]
図7に示すように、制御部3は、第2電源20が失陥した場合に、系統間スイッチ41をオフし、バイパススイッチ42をオフして、第1電源10による車両の退避走行制御を自動運転制御装置100に実行させる。これにより、自動運転制御装置100は、第2電源20が失陥した場合に、発電機11によって発電される電力、またはPbB12に充電された電力を使用して第1負荷101を駆動することにより、車両を安全に退避走行させることができる。
【0045】
なお、制御部3は、第2系統120における地絡の発生を検知することもできる。制御部3は、電流センサ53によって検出される電流が地絡閾値を超える過電流であった場合に、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したことを検知する。
【0046】
そして、制御部3は、過電流が系統間スイッチ41を第1系統110から第2系統120に向かって流れた場合に、第2系統120に地絡が発生したと判定する。制御部3は、第2系統120において地絡が発生した場合にも、第2電源失陥時と同じく、系統間スイッチ41をオフし、バイパススイッチ42をオフして、第1電源10による車両の退避走行制御を自動運転制御装置100に実行させる。これにより、自動運転制御装置100は、第2系統120に地絡が発生しても、車両を安全に退避走行させることができる。
【0047】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 車載電源装置
10 第1電源
11 発電機
12 PbB
20 第2電源
21 LiB
3 制御部
41 系統間スイッチ
42 バイパススイッチ
43 ダイオード
51,53 電流センサ
52 電圧センサ
100 自動運転制御装置
101 第1負荷
102 第2負荷
110 第1系統
120 第2系統
121 充電経路
122 放電経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7