(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】立体駐車装置の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/00 20060101AFI20241004BHJP
E04H 6/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
E04H6/00 A
E04H6/06 V
(21)【出願番号】P 2021010446
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 淳
(72)【発明者】
【氏名】児島 尚幸
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-044048(JP,A)
【文献】特開2015-117470(JP,A)
【文献】特開2017-179900(JP,A)
【文献】特開2012-026121(JP,A)
【文献】特開2019-183645(JP,A)
【文献】特開2020-193501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御システムであって、
前記複数のパレット及び前記開閉ゲートの動作を制御する動作制御部と、
利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記動作制御部により前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートが閉じられた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御する状態制御部と、
システム全体を制御するシステム制御部と、を含み、
該システム制御部は、前記動作状態において前記開閉ゲートが閉じられてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止
し、
前記システム制御部は、前記操作盤に表示される操作完了釦が押されることにより、前記操作完了の入力が行われることを特徴とする立体駐車装置の制御システム。
【請求項2】
前記システム制御部は、前記動作状態において前記開閉ゲートが閉じられた場合に、利用者に対して前記操作完了の入力を促す表示を前記操作盤に表示させることを特徴とする請求項1記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項3】
前記操作完了の入力は、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項4】
管理者が常駐する前記立体駐車装置において、前記システム制御部は、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記管理者による管理者操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付けることを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項5】
管理者が常駐しない前記立体駐車装置において、前記システム制御部は、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記立体駐車装置の復旧及び再起動の許可を得ている人であることを認証するための例外認証操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付けることを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項6】
前記システム制御部は、前記開閉ゲートの閉操作が入力される前までと、前記開閉ゲートの閉操作が入力されてから前記開閉ゲートが閉じる前までと、前記開閉ゲートが閉じてから前記操作完了の入力が行われる前までとで、前記所定時間が個別に設定可能であることを特徴とする請求項
4又は
5記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項7】
前記システム制御部は、前記次に受けるべき操作を受け付ける前に、前記立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す無人確認入力を受けることを特徴とする請求項
4から
6のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項8】
前記システム制御部は、前記立体駐車装置が前記動作状態にある間の少なくとも一部の期間において、現在操作を行っている利用者を示す情報を、前記操作盤に表示させることを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項9】
複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御方法であって、
利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートを閉じた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御し、
前記動作状態において前記開閉ゲートを閉じてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止
し、
前記操作盤に表示される操作完了釦が押されることにより、前記操作完了の入力が行われることを特徴とする立体駐車装置の制御方法。
【請求項10】
前記動作状態において前記開閉ゲートを閉じた場合に、利用者に対して前記操作完了の入力を促す表示を前記操作盤に表示することを特徴とする請求項
9記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項11】
前記操作完了の入力として、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含むことを特徴とする請求項
9又は
10記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項12】
管理者が常駐する前記立体駐車装置において、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記管理者による管理者操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付けることを特徴とする請求項
9から
11のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項13】
管理者が常駐しない前記立体駐車装置において、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記立体駐車装置の復旧及び再起動の許可を得ている人であることを認証するための例外認証操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付けることを特徴とする請求項
9から
11のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項14】
前記開閉ゲートの閉操作が入力される前までと、前記開閉ゲートの閉操作が入力されてから前記開閉ゲートを閉じる前までと、前記開閉ゲートを閉じてから前記操作完了の入力が行われる前までとで、前記所定時間を個別に設定可能であることを特徴とする請求項
12又は
13記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項15】
前記次に受けるべき操作を受け付ける前に、前記立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す無人確認入力を受けることを特徴とする請求項
12から
14のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項16】
前記立体駐車装置が前記動作状態にある間の少なくとも一部の期間において、現在操作を行っている利用者を示す情報を、前記操作盤に表示することを特徴とする請求項
9から
15のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置の制御システム及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のパレットや開閉ゲートなどを有する機械式の立体駐車装置には、利便性や安全性を高めた様々なものが発案されている。例えば、特許文献1には、ICカードなどの外部記憶媒体を利用して、利用者が非接触で操作できるようにした駐車装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような立体駐車装置は、車両の入出庫のために開閉ゲートが開かれた状態で放置されてしまう虞がある。例えば、利用者が車両の入出庫を行う前、又は入出庫を行ったものの開閉ゲートの閉操作を行う前に、何らかの理由で立ち去ってしまった場合や、利用者が開閉ゲートの閉操作を行ったものの、異常検知などで開閉ゲートの閉動作が完了しなかったことに気付かずに、そのまま立ち去ってしまった場合に、そのような事象が起こり得る。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、立体駐車装置の開閉ゲートが開かれた状態で放置されることを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御システムであって、前記複数のパレット及び前記開閉ゲートの動作を制御する動作制御部と、利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記動作制御部により前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートが閉じられた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御する状態制御部と、システム全体を制御するシステム制御部と、を含み、該システム制御部は、前記動作状態において前記開閉ゲートが閉じられてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止し、前記システム制御部は、前記操作盤に表示される操作完了釦が押されることにより、前記操作完了の入力が行われる立体駐車装置の制御システム(請求項1)。
【0007】
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、動作制御部、状態制御部、及びシステム制御部を含んでおり、動作制御部は、立体駐車装置が備える複数のパレットや開閉ゲートの動作を制御する。状態制御部は、立体駐車装置の状態を、待機状態、動作状態、及び動作完了状態の何れかの状態に制御するものであり、ここで制御する状態には、立体駐車装置の物理的な状態のみならず、立体駐車装置を制御するための定義的な状態も含まれる。待機状態とは、操作盤を介して利用者による操作が開始されるのを待機している状態であって、このとき、立体駐車装置の開閉ゲートは閉じられている。
【0008】
そして、待機状態から利用者による操作が開始されると、立体駐車装置は、状態制御部によって動作状態へと移行される。動作状態において、立体駐車装置は、操作盤を介して入力された操作に応じて、動作制御部により複数のパレットの移動や開閉ゲートの開閉動作が行われる。具体的には、車両を入出庫するための目的のパレットの呼び出し操作を受けてのパレットの移動、それに続く開閉ゲートの開動作、及び車両の入出庫後に開閉ゲートの閉操作を受けての閉動作が行われる。動作完了状態とは、上記のように車両の入出庫後に開閉ゲートが閉じられ、立体駐車装置に対して車両を入出庫するための一連の動作が完了した状態であり、そのまま次の待機状態へと移行するための状態である。
【0009】
システム制御部は、本制御システム全体を制御するものであり、そこには動作制御部及び状態制御部の制御も含まれる。又、システム制御部は、立体駐車装置が動作状態のときに、上述したように車両の入出庫後に開閉ゲートが閉じられてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、立体駐車装置が動作状態から動作完了状態に移行することを抑止する。このとき、システム制御部は、操作盤に表示される操作完了釦が押されることにより、操作完了の入力が行われる。すなわち、状態制御部は、開閉ゲートが閉じられたことだけではなく、開閉ゲートが閉じられた後に操作完了釦が押されることによる操作完了の入力が行われたことを必須条件として、システム制御部からの許可を受けて、立体駐車装置を動作状態から動作完了状態に移行させる。これにより、立体駐車装置の利用者に対して、操作を開始してから操作完了の入力までの一連の操作が促されることになるため、操作完了の入力前に利用者が立ち去ること、換言すれば、開閉ゲートが開かれた状態で放置されることが防止されるものとなる。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記システム制御部は、前記動作状態において前記開閉ゲートが閉じられた場合に、利用者に対して前記操作完了の入力を促す表示を前記操作盤に表示させる立体駐車装置の制御システム(請求項2)。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、立体駐車装置が動作状態にあるときに、車両の入出庫後に開閉ゲートが閉じられたら、システム制御部により利用者に対して操作完了の入力を促す表示を操作盤に表示させるものである。これにより、操作盤の表示を確認する利用者に対して、操作盤への操作完了の入力をより確実に実行させるものとなる。
【0011】
(3)上記(1)(2)項において、前記操作完了の入力は、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含む立体駐車装置の制御システム(請求項3)。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、利用者に実行させる操作完了の入力に、その利用者が待機状態にあった立体駐車装置に対して操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作が含まれるものである。これにより、操作を開始した利用者以外の人物により、操作完了の入力が行われることが防止されるため、操作の開始から操作完了の入力までの一連の操作が、操作を開始した同一の利用者により行われ、安全性がより高められるものである。
【0012】
(4)複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御システムであって、前記複数のパレット及び前記開閉ゲートの動作を制御する動作制御部と、利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記動作制御部により前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートが閉じられた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御する状態制御部と、システム全体を制御するシステム制御部と、を含み、該システム制御部は、前記動作状態において前記開閉ゲートが閉じられてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止し、前記操作完了の入力は、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含み、利用者により携帯される外部記憶媒体に記憶された利用者識別情報を読み取るための読み取り部を含み、前記システム制御部は、前記読み取り部を介して前記外部記憶媒体から前記利用者識別情報を読み取ることを以って、前記認証操作が行われる立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、例えばICチップを備えたICカードなどの、立体駐車装置の利用者により携帯される外部記憶媒体に記憶された、利用者識別情報を読み取るための読み取り部を更に含むものである。そして、システム制御部は、その読み取り部を介して利用者の外部記憶媒体から利用者識別情報を読み取ることを以って、操作完了の入力に含まれる認証操作が行われるものである。
【0013】
すなわち、システム制御部は、少なくとも操作の開始時にも利用者の外部記憶媒体から利用者識別情報を読み取り、その利用者が立体駐車装置の正規の利用者であることを認証する。そして、その際に読み取った利用者識別情報と、認証操作として操作完了の入力時に読み取った利用者識別情報とが一致することを確認して、操作完了の入力が操作を開始した利用者により行われたことを認証するものである。これにより、主に外部記憶媒体が利用されて非接触で操作される立体駐車装置において、開閉ゲートが開いたままで放置されることや、別の利用者により操作完了の入力が行われることが防止され、より安全性が高められるものである。
【0014】
(5)複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御システムであって、前記複数のパレット及び前記開閉ゲートの動作を制御する動作制御部と、利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記動作制御部により前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートが閉じられた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御する状態制御部と、システム全体を制御するシステム制御部と、を含み、該システム制御部は、前記動作状態において前記開閉ゲートが閉じられてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止し、前記操作完了の入力は、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含み、利用者が所有する情報端末と無線で通信するための通信部を含み、前記システム制御部は、前記通信部を介して前記情報端末へ送信したパスワードを、前記通信部を介して前記情報端末から受信することを以って、前記認証操作が行われる立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、例えばスマートフォンや携帯電話といった、立体駐車装置の利用者が所有する情報端末と、例えば無線LANや携帯電話回線などの無線で通信を行うための通信部を更に含むものである。そして、システム制御部は、その通信部を介して利用者の情報端末へ送信したパスワードを、再度通信部を介して情報端末から受信することを以って、操作完了の入力に含まれる認証操作が行われるものである。
【0015】
すなわち、システム制御部は、少なくとも利用者により操作が開始されたときに、その利用者が所有する情報端末を特定可能な情報の入力を受け、その情報端末との間の無線通信を確立する。そして、操作完了の入力を受けるまでの任意のタイミングで、通信を確立した情報端末に対して、通信部を介してパスワードを送信する。その後、操作完了の入力時に情報端末から送信されて通信部を介して受信したパスワードが、送信したパスワードと同一であることを確認して、操作完了の入力が操作を開始した利用者により行われたことを認証するものである。これにより、主に情報端末が利用されて非接触で操作される立体駐車装置や、情報端末による非接触操作と併用して接触して操作される立体駐車装置において、開閉ゲートが開いたままで放置されることや、別の利用者により操作完了の入力が行われることが防止され、より安全性が高められるものである。
【0016】
(6)上記(1)から(3)項における、管理者が常駐する前記立体駐車装置において、前記システム制御部は、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記管理者による管理者操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付ける立体駐車装置の制御システム(請求項4)。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、管理者が常駐する立体駐車装置を対象として、その立体駐車装置が動作状態にあるときに、パレットの呼び出し操作、開閉ゲートの閉操作、操作完了の入力、及び認証操作といった、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、放置されたと判定して以下のような操作制限をかけるものである。
【0017】
すなわち、このような場合に、システム制御部は、待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、常駐する立体駐車装置の管理者から受ける管理者操作との、いずれかの操作を受けた後に、次に受けるべき操作を受け付けるようにする。ここでの認証操作は、上記(3)項に記載したような認証操作と同一であってよく、管理者操作は、管理者しか知り得ないパスワードなどの入力を含む、管理者のみが行える操作である。これにより、何らかの理由で所定時間以上に操作が行われずに放置された場合に、操作を開始した利用者以外の利用者や部外者による操作が防止されつつ、操作を開始した利用者或いは管理者によって、その後の操作が続行されることになるため、安全性及び利便性の双方が維持されるものとなる。
【0018】
(7)上記(1)から(3)項において、管理者が常駐しない前記立体駐車装置において、前記システム制御部は、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記立体駐車装置の復旧及び再起動の許可を得ている人であることを認証するための例外認証操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付ける立体駐車装置の制御システム(請求項5)。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、管理者が常駐しない立体駐車装置を対象として、その立体駐車装置が動作状態にあるときに、パレットの呼び出し操作、開閉ゲートの閉操作、操作完了の入力、及び認証操作といった、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、放置されたと判定して以下のような操作制限をかけるものである。
【0019】
すなわち、このような場合に、システム制御部は、待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、立体駐車装置の復旧及び再起動の許可を得ている人であることを認証するための例外認証操作との、いずれかの操作を受けた後に、次に受けるべき操作を受け付けるようにする。ここでの認証操作は、上記(3)項に記載したような認証操作と同一であってよく、例外認証操作は、外部記憶媒体からの利用者識別情報の読み取りや、認証番号の入力などの、立体駐車装置の復旧及び再起動の許可を得ている人であることが確認できる操作である。これにより、何らかの理由で所定時間以上に操作が行われずに放置された場合に、部外者による操作が防止されつつ、操作を開始した利用者或いは別の許可を得ている人物によって、その後の操作が続行されることになるため、安全性及び利便性の双方が維持されるものとなる。
【0020】
(8)上記(6)(7)項において、前記システム制御部は、前記開閉ゲートの閉操作が入力される前までと、前記開閉ゲートの閉操作が入力されてから前記開閉ゲートが閉じる前までと、前記開閉ゲートが閉じてから前記操作完了の入力が行われる前までとで、前記所定時間が個別に設定可能である立体駐車装置の制御システム(請求項6)。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、上記(6)及び(7)項に記載したような操作制限をかけるか否かの判定基準として利用する所定時間に、状況に応じて個別の時間が設定可能なものである。
【0021】
すなわち、システム制御部は、動作状態の立体駐車装置において、開閉ゲートの閉操作が入力される前までの期間で利用する所定時間と、開閉ゲートの閉操作が入力されてから開閉ゲートが閉じる前までの期間で利用する所定時間と、開閉ゲートが閉じてから操作完了の入力が行われる前までの期間で利用する所定時間とを、個別に設定可能になっている。これにより、状況に応じた適切な所定時間が利用されて操作制限がかけられるため、時間が短すぎて誤って放置と判定されることや、放置されているにも関わらず操作制限がかけられる前に第三者により操作されてしまうといったことが防止され、利便性と安全性とが両立するものである。なお、上述した「開閉ゲートの閉操作が入力されてから開閉ゲートが閉じる前までの期間」には、利用者が開閉ゲートの閉操作を行ったにもかかわらず、異常検知などで開閉ゲートの閉動作が完了しなかった場合などが含まれる。
【0022】
(9)上記(6)から(8)項において、前記システム制御部は、前記次に受けるべき操作を受け付ける前に、前記立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す無人確認入力を受ける立体駐車装置の制御システム(請求項7)。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、上記(6)及び(7)項に記載したような操作制限がかけられた後で、その操作制限がかけられる前に受けるべきだった操作を受け付ける前に、利用者から立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す無人確認入力を受けるものである。すなわち、システム制御部は、上記(6)及び(7)項に記載したような操作制限を解除するための、認証操作、管理者操作、或いは例外認証操作の何れかの操作を受ける前或いは受けた後に、無人確認入力を受けたことを必須条件として、次に受けるべき操作を受け付ける。これにより、次に受けるべき操作を受け付けて立体駐車装置の動作が再開される前に、立体駐車装置内の無人確認が確実に行われるため、安全性がより一層向上されるものである。
【0023】
(10)上記(1)から(3)及び(6)から(9)項において、前記システム制御部は、前記立体駐車装置が前記動作状態にある間の少なくとも一部の期間において、現在操作を行っている利用者を示す情報を、前記操作盤に表示させる立体駐車装置の制御システム(請求項8)。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、立体駐車装置が動作状態にある間の少なくとも一部の期間において、現在操作を行っている利用者を示す情報を、システム制御部によって操作盤に表示させるものである。利用者を示す情報には、操作の開始時に利用者の外部記憶媒体から読み取った利用者識別情報に含まれる情報、操作の開始時に利用者から入力された認証番号などが含まれる。又、利用者を示す情報を表示する期間には、各操作の入力を待機している期間や、パレットや開閉ゲートが動作している期間が含まれる。これにより、操作盤の近辺に利用者がいない場合でも、立体駐車装置を現在操作している利用者が明確に示されるものとなり、それ以外の人物によって操作されることが抑制されるものとなる。
【0024】
(11)複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御方法であって、利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートを閉じた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御し、前記動作状態において前記開閉ゲートを閉じてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止し、前記操作盤に表示される操作完了釦が押されることにより、前記操作完了の入力が行われる立体駐車装置の制御方法(請求項9)。
【0025】
(12)上記(11)項において、前記動作状態において前記開閉ゲートを閉じた場合に、利用者に対して前記操作完了の入力を促す表示を前記操作盤に表示する立体駐車装置の制御方法(請求項10)。
(13)上記(11)(12)項において、前記操作完了の入力として、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含む立体駐車装置の制御方法(請求項11)。
(14)複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御方法であって、利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートを閉じた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御し、前記動作状態において前記開閉ゲートを閉じてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止し、前記操作完了の入力として、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含み、利用者により携帯される外部記憶媒体に記憶された利用者識別情報を読み取ることを以って、前記認証操作が行われる立体駐車装置の制御方法。
【0026】
(15)複数のパレット及び開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置を、前記操作盤を介して入力された操作に応じて制御する立体駐車装置の制御方法であって、利用者からの操作の開始を待機する待機状態と、該待機状態から利用者による操作が開始されて前記パレット及び前記開閉ゲートを動作させる動作状態と、目的のパレットの移動及び前記開閉ゲートの開動作を経て、前記目的のパレットに対して車両が入出庫されて前記開閉ゲートを閉じた状態であり、その後に次の前記待機状態に至る動作完了状態との、何れかの状態に前記立体駐車装置を制御し、前記動作状態において前記開閉ゲートを閉じてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、前記立体駐車装置が前記動作完了状態になることを抑止し、前記操作完了の入力として、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作を含み、利用者が所有する情報端末へ送信したパスワードを、前記情報端末から受信することを以って、前記認証操作が行われる立体駐車装置の制御方法。
(16)上記(11)から(13)項において、管理者が常駐する前記立体駐車装置において、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記管理者による管理者操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付ける立体駐車装置の制御方法(請求項12)。
【0027】
(17)上記(11)から(13)項において、管理者が常駐しない前記立体駐車装置において、前記立体駐車装置が前記動作状態にあるとき、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、前記待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作と、前記立体駐車装置の復旧及び再起動の許可を得ている人であることを認証するための例外認証操作との、いずれかの操作を受けた後、前記次に受けるべき操作を受け付ける立体駐車装置の制御方法(請求項13)。
(18)上記(16)(17)項において、前記開閉ゲートの閉操作が入力される前までと、前記開閉ゲートの閉操作が入力されてから前記開閉ゲートを閉じる前までと、前記開閉ゲートを閉じてから前記操作完了の入力が行われる前までとで、前記所定時間を個別に設定可能である立体駐車装置の制御方法(請求項14)。
【0028】
(19)上記(16)から(18)項において、前記次に受けるべき操作を受け付ける前に、前記立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す無人確認入力を受ける立体駐車装置の制御方法(請求項15)。
(20)上記(11)から(13)及び(16)から(19)項において、前記立体駐車装置が前記動作状態にある間の少なくとも一部の期間において、現在操作を行っている利用者を示す情報を、前記操作盤に表示する立体駐車装置の制御方法(請求項16)。
そして、(11)から(20)項の立体駐車装置の制御方法は、各々、上記(1)から(10)項の立体駐車装置の制御システムにより実行されることで、上記(1)から(10)項の立体駐車装置の制御システムと同等の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明はこのように構成したので、立体駐車装置の開閉ゲートが開かれた状態で放置されることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システムを備えた、立体駐車装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1及び
図2の立体駐車装置において、非接触で操作が行われる場合の一連の処理の流れを、操作盤の表示部に表示する画面を利用して示したフロー図である。
【
図4】
図3のフロー図において開閉ゲートが閉じられずに放置された第1の放置パターンでの処理の流れを、操作盤の表示部に表示する画面を利用して示したフロー図である。
【
図5】
図3のフロー図において開閉ゲートが閉じられずに放置された第2の放置パターンでの処理の流れを、操作盤の表示部に表示する画面を利用して示したフロー図である。
【
図6】
図3のフロー図において開閉ゲートが閉じられずに放置された第3の放置パターンでの処理の流れを、操作盤の表示部に表示する画面を利用して示したフロー図である。
【
図7】
図1及び
図2の立体駐車装置において、電源キーを利用して操作が行われる場合の一連の処理の流れを、操作盤の表示部に表示する画面を利用して示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10と、この立体駐車装置の制御システム10を備えた立体駐車装置30との、構成の一例を示している。又、
図2は、
図1に示した立体駐車装置30の構造の一例を示している。
【0032】
まず、
図1及び
図2を参照して、立体駐車装置30について概略的に説明すると、立体駐車装置30は、複数の支柱42a~42hと複数の梁44とによって構成された略矩形の構造体に、複数のパレット32が移動可能に支持された構造である。
図2の例において、立体駐車装置30は、地上4段3連基(
図2中上下方向に4段、左右方向に3列)の構造であり、複数のパレット32として、9基のパレット32a~32iを備えている。更に、立体駐車装置30は、開閉ゲート34(34a~34c)、操作盤36、無人確認入力器58(58a~58c)、駆動部50、及び、複数の光電センサ52(52A~52H)を備えている。なお、
図2では、駆動部50の図示を省略している。
【0033】
複数のパレット32a~32iのうち、32b、32cは、車両を入出庫する高さ位置で横行移動のみ行い、32d~32gは、立体駐車装置30の利用者による呼び出し操作に応じて、車両を入出庫可能な位置(
図2において、パレット32a~32cがある位置)まで、高さ方向及び並列方向に移動可能なものである。一方、パレット32a、32h、32iは、昇降のみ行うものである。又、開閉ゲート34a~34cの各々は、その後面側の入出庫位置に所望のパレット32が呼び出された後に開かれ、車両の入出庫が終わった後に、利用者の操作により閉じられるものである。
図2の例では、開閉ゲート34a~34cは、支柱レール46a~46dの夫々の間に、上下方向に移動可能に案内支持されている。
【0034】
操作盤36は、立体駐車装置30の各操作を行うための入力が行われるものであり、例えばタッチパネル方式で、開閉ゲート34の開閉操作や、パレット32の呼び出し操作等が入力される。又、操作盤36は、各種の情報を表示するための表示部38を備えている。更に、操作盤36は、例えば利用者が所有する電源キー等によって、その電源が投入及び切断されるようになっている。無人確認入力器58の各々は、立体駐車装置30内や近傍の無人確認が行われたことを示す無人確認入力が行われるものであり、これと同等の操作が操作盤36に対しても行われる。本実施形態では、無人確認入力器58として3つの無人確認入力器58a~58cを備えている。そして、操作盤36と3つの無人確認入力器58a~58cとが、後述する側部センサ52E~52Hの設置位置に対応した位置毎、すなわち、支柱レール46a~46dに設置されており、立体駐車装置30の前面側から操作される。駆動部50は、制御システム10による制御に応じて、パレット32の移動や開閉ゲート34の開閉動作を行うための動力を発生、伝達するものである。
【0035】
複数の光電センサ52は、車両を入出庫する高さにある各パレット32の周辺の物体を検知するものであり、本実施形態では、8つの光電センサ52A~52Hを含んでいる。
図2には、車両を入出庫する高さにある3基のパレット32a~32cの周辺に、各組が光電センサ52を構成する投光部54と受光部56との複数の組を図示している。すなわち、
図2に示すように、開閉ゲート34の前面側(図中右手前側)を検知する光電センサ52として、支柱レール46a、46dに、侵入検知用センサ52Aを構成する投光部54a及び受光部56aと、乗越え検知用センサ52Bを構成する投光部54b及び受光部56bとが設置されている。又、開閉ゲート34の後面側(図中左奥側)を検知する光電センサ52として、支柱42a、42dに、ゲート後面センサ52Cを構成する投光部54c及び受光部56cが設置されている。
【0036】
又、3基のパレット32a~32cの後部側(図中左奥側)を検知する光電センサ52として、支柱42e、42hに、後部センサ52Dを構成する投光部54d及び受光部56dが設置されている。更に、パレット32a~32cの各々の側部を検知する光電センサ52として、支柱42a~42hに、側部センサ52E~52Hが設置されている。より詳しくは、支柱42e及び42aに、側部センサ52Eの投光部54e及び受光部56eが、支柱42f及び42bに、側部センサ52Fの投光部54f及び受光部56fが、支柱42g及び42cに、側部センサ52Gの投光部54g及び受光部56gが、そして、支柱42h及び42dに、側部センサ52Hの投光部54h及び受光部56hが、夫々設置されている。なお、
図2には、各光電センサ52による検知範囲を破線で示している。
【0037】
続いて、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10について説明する。立体駐車装置の制御システム10は、立体駐車装置30を制御するものであって、
図1に示すように、立体駐車装置30の駆動部50、操作盤36、無人確認入力器58、複数の光電センサ52などと接続されている。そして、立体駐車装置の制御システム10は、動作制御部12、状態制御部14、及びシステム制御部16を含むと共に、本実施形態では立体駐車装置30の操作盤36に組み込まれた、読み取り部20及び/又は通信部22を含んでいる。これらの中で、特にシステム制御部16は、制御システム10の他の構成要素の制御を含み、制御システム10全体の制御を担うものであって、換言すれば、立体駐車装置30の各構成要素を直接的或いは間接的に制御及び利用するものである。システム制御部16による具体的な制御内容については後述する。
【0038】
動作制御部12は、立体駐車装置30の複数のパレット32や開閉ゲート34の動作を制御するものであり、実質的にはシステム制御部16からの制御を受けて、駆動部50を介してそれらの動作を制御する。状態制御部14は、立体駐車装置30の状態を制御するものであって、そのような状態には、待機状態、動作状態、及び動作完了状態の3つの状態が含まれる。すなわち、状態制御部14は、詳しくは後述するが、操作盤36を介して入力される操作や開閉ゲート34などの動作状況に応じて、上述した3つの何れかの状態に立体駐車装置30を制御する。なお、状態制御部14による立体駐車装置30の状態制御には、物理的に状態を移行させることのみではなく、各状態にあることを定義的に認識して各状態に応じて立体駐車装置30の制御を行うことも含まれている。
【0039】
読み取り部20は、立体駐車装置30の利用者により携帯される外部記憶媒体26から、利用者を識別するための利用者識別情報を非接触で読み取るものである。外部記憶媒体26としては、例えば利用者識別情報を記憶したICチップを有するICカードが利用され、そのようなICカードには、FeliCa(登録商標)規格やMifare(登録商標)規格のものが含まれる。しかしながら、利用者識別情報を記憶したICチップなどを有するものであれば、カード状のものに限らず、タブ状や他の形状のものであってもよい。読み取り部20は、外部記憶媒体26の構成に応じて、外部記憶媒体26から利用者識別情報を非接触で読み取り可能な適切な装置で構成される。ここで、このような読み取り部20を備えた操作盤36は、利用者が所有する電源キーによって電源の投入及び切断が行われる場合のみならず、外部記憶媒体26から情報を読み取ることによって、非接触でも電源の投入及び切断が行われるようになる。更に、外部記憶媒体26からの情報の読み取りによって、目的のパレット32の呼び出し操作や開閉ゲート34の閉操作などの操作入力が、非接触で行われるようにもなる。
【0040】
通信部22は、立体駐車装置30の利用者が所有する情報端末28と無線で通信を行うものであり、この場合の無線には、無線LAN、携帯電話回線、赤外線、及びBluetooth(登録商標)などが含まれてよい。このため、情報端末28としては、それらの無線通信機能を備えたスマートフォンが想定されるが、何らかの無線通信機能や利用者からの入力手段及び表示画面などを備えるものであれば、他の携帯端末であってもよい。通信部22と情報端末28との間の無線通信の確立は、例えば情報端末28に予めインストールされた専用アプリケーションを利用して実行してもよい。通信部22は、上記のように情報端末28と無線通信が可能な適切な装置で構成される。
【0041】
次に、
図3から
図7に示すフロー図の流れに沿って、
図1及び
図2に示した立体駐車装置の制御システム10を利用する、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法について説明する。なお、各フロー図には、システム制御部16によって表示部38に表示させる画面を図示しており、
図3から
図6のフロー図は、「放置1」、「放置2」、及び「放置3」で示す部位において接続されている。又、立体駐車装置の制御システム10や立体駐車装置30の構成については、適宜、
図1及び
図2を参照のこと。
まず、
図3を参照して、主に外部記憶媒体26を用いて非接触で操作を行う場合の、操作盤36の電源投入から切断までの基本的な手順について説明する。なお、本実施形態では、外部記憶媒体26としてICカード26を用いるものとする。
【0042】
S10:立体駐車装置30の利用を開始するために、待機状態にある立体駐車装置30の操作盤36に対して、利用者がICカード26をタッチすることで、操作盤36の読み取り部20に利用者識別情報を読み取らせる。そして、システム制御部16により、読み取った利用者識別情報から立体駐車装置30の正規の利用者であることを認証したら、操作盤36の電源を投入する。この電源投入により、システム制御部16は、利用者からの操作が開始されたものと認識して、状態制御部14を介して立体駐車装置30を待機状態から動作状態へと移行させる。すなわち、待機状態とは、利用者により操作が開始されるのを待機している状態であり、動作状態とは、動作制御部12によりパレット32の移動や開閉ゲート34の開閉動作が行われる状態である。なお、操作盤36にタッチされたものから利用者識別情報が読み取れなかったり、読み取った利用者識別情報から正規の利用者であることを認証できなかったりした場合は、表示部38にエラー表示を行い、立体駐車装置30の待機状態を維持する。
【0043】
S20:操作盤36の電源が投入されたら、上記S10で読み取った利用者識別情報に含まれる利用者の認証番号と共に、目的のパレット32を呼び出す操作のためのICカード26のタッチを促す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
S30:利用者によりICカード26が読み取り部20にタッチされ、利用者識別情報から上記S10で電源を投入した利用者と同一であることが認証できたら、利用者識別情報に基づいて、その利用者が車両を入出庫するための目的のパレット32を特定する。そして、システム制御部16により、特定した目的のパレット32の現在位置を把握し、目的のパレット32が車両を入出庫可能な位置にない場合は、他のパレット32の移動を含む所定の順序に従って、目的のパレット32を入出庫可能な位置に移動させる。続けて、動作制御部12により、入出庫可能な位置にある目的のパレット32の前面側に位置する開閉ゲート34を上昇させ、目的のパレット32に車両を入出庫できる状態にする。この間、目的のパレット32を呼び出している表示や、立体駐車装置30が動作中であることを示す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
【0044】
S40:目的のパレット32に対して車両を入出庫可能な状態にしたら、利用者がその目的のパレット32に対して車両を入出庫する。その間、システム制御部16によって表示部38に、利用者が立体駐車装置30内に進入中であることや、目的のパレット32で乗降中であることを表示させる。更に、車両を入出庫した利用者に対して、立体駐車装置30内の無人確認を促す表示と共に、無人確認が行われたことを示す無人確認入力を促す表示を表示部38に表示させる。ここでは、ICカード26のタッチ、或いは、表示部38に表示した無人確認釦が押されることにより、無人確認入力が行われる。更に、開かれた開閉ゲート34の位置に応じて、無人確認入力器58に対しても無人確認入力が行われる。
【0045】
S50:立体駐車装置30内の無人確認を行った利用者により、ICカード26がタッチ又は無人確認釦が押されたら、開いた状態の開閉ゲート34を閉じるための操作に相当する、ICカード26のタッチ、或いは、表示部38に表示した安全確認釦を押すことを促す表示を、表示部38に表示させる。このとき、何らかの理由で利用者が立体駐車装置30内に戻ることを想定して、利用者が立体駐車装置30内に再度進入する場合に押す進入釦を表示部38に表示させ、その釦が押されたら表示部38の表示を上記S40の画面に戻すようにしてもよい。
【0046】
S60:利用者によりICカード26がタッチ又は安全確認釦が押されたら、ここまでの操作を行った利用者の認証番号と共に、利用者を認証して開閉ゲート34の閉操作を確定するためのICカード26のタッチを促す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。このとき、上記S50に記載したものと同様の進入釦を、表示部38に表示させてもよい。
ここで、上記S30で開閉ゲート34が開かれてから、上記S60で開閉ゲート34の閉操作入力が確定する前までの間に、システム制御部16に予め設定された第1の所定時間を超えて、利用者から次に受けるべき操作が入力されなかった場合は、
図4のフロー図(S200)へ移行する。なお、これに限定されるものではないが、第1の所定時間は、例えば5分程度である。
【0047】
S70:利用者によりICカード26が読み取り部20にタッチされ、利用者識別情報から上記S10で電源を投入した利用者と同一であることが認証できたら、動作制御部12により、上記S30において開かれた開閉ゲート34を下降させる。この間、開閉ゲート34を閉じている表示や、立体駐車装置30が動作中であることを示す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。ここで、開閉ゲート34の閉動作中や閉動作直前に、例えば光電センサ52により物体が検知されたなどの異常検知によって、開閉ゲート34が閉じられずに停止することがある。そのような状態において、システム制御部16に予め設定された第2の所定時間を超えて、利用者から次に受けるべき操作が入力されなかった場合は、
図5のフロー図(S400)へ移行する。なお、これに限定されるものではないが、第2の所定時間は、例えば3分程度である。
【0048】
S80:開閉ゲート34が完全に閉じられたら、車両を入出庫した目的のパレット32を示す表示と共に、操作完了の入力を促す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。ここでは、ICカード26のタッチ、或いは、表示部38に表示した操作完了釦が押されることにより、操作完了の入力が行われるが、操作完了釦は、何らかの理由でここまでに操作盤36で電源キーが用いられて「入」にされている場合に、押されるべきものである。このとき、システム制御部16に予め設定された第3の所定時間を超えて、操作完了が入力されなかった場合は、
図6のフロー図(S600)へ移行する。なお、これに限定されるものではないが、第3の所定時間は、例えば5分程度である。
【0049】
S90:ここまでに操作盤36で電源キーが用いられておらず、上記S80から利用者によりICカード26が読み取り部20にタッチされて、利用者識別情報から上記S10で電源を投入した利用者と同一であることが認証できた場合は、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、システム制御部16により、操作盤36の電源を切断する。そして、立体駐車装置30が次に利用されることに備えて、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させる。すなわち、動作完了状態とは、立体駐車装置30の動作と利用者による操作とが完了し、次の待機状態に至るための状態である。これにより、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
【0050】
S100:ここまでに操作盤36で電源キーが用いられて「入」にされており、上記S80から利用者により操作完了釦が押された場合は、利用者を認証して操作完了の入力を確定するための認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共にシステム制御部16により表示部38に表示させる。
S110:上記S100で入力された認証番号から、上記S10で電源を投入した利用者と同一であることが認証できたら、操作完了の入力を確定させ、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、利用者による電源キーの切断操作を受けて操作盤36の電源を切断し、立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させ、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
なお、立体駐車装置30が動作状態の間は、複数の光電センサ52による物体の検知を継続的に行い、何れかの光電センサ52で物体が検知された場合は、立体駐車装置30の動作を停止し、立体駐車装置30内の無人確認や安全確認を行う表示などを、表示部38に表示させてもよい。
【0051】
続いて、
図4を参照して、
図3のS30で開閉ゲート34が開かれてから、
図3のS60で開閉ゲート34の閉操作入力が確定する前までの間に、利用者から次に受けるべき操作が入力されずに放置された場合の手順について説明する。なお、
図4に示される各操作は、
図3のS10で操作を開始した利用者、管理者が常駐する立体駐車装置30においてはその管理者、管理者が常駐しない立体駐車装置30においては立体駐車装置30の復旧及び再起動の許可を得ている人によって、入力されることが想定されるため、それらを纏めて「操作者」として示している。この点は、後に示す
図5及び
図6についても同様である。
S200:開閉ゲート34が開状態のままで、第1の所定時間を超えて利用者から次に受けるべき操作が入力されなかった場合は、システム制御部16により放置されたと判定する。
【0052】
S210:システム制御部16によって表示部38に、開閉ゲート34が開いた状態で放置されている表示、目的のパレット32が操作中である表示、操作者に対して立体駐車装置30内の無人確認を促す表示、及び、操作者に対して無人確認入力を促す表示などを表示させる。ここでは、ICカード26のタッチ、或いは、表示部38に表示した無人確認釦が押されることにより、無人確認入力が行われ、必要に応じて、無人確認入力器58に対しても無人確認入力が行われる。
S220:
図3のS50と同様に、立体駐車装置30内の無人確認を行った操作者により、ICカード26がタッチ又は無人確認釦が押されたら、開いた状態の開閉ゲート34を閉じるための操作に相当する、ICカード26のタッチ又は安全確認釦を押すことを促す表示や、進入釦を表示部38に表示させる。
【0053】
S230:上記S220から操作者により安全確認釦が押されたら、ICカード26をタッチ又は電源キーを用いて「入」にすることを促す表示や、進入釦などを表示部38に表示させる。
S240:上記S220又はS230からICカード26がタッチされたら、
図3のS60と同様に、ここまでの操作を行った操作者の認証番号、操作者を認証して開閉ゲート34の閉操作を確定するためのICカード26のタッチを促す表示、及び進入釦をシステム制御部16により表示部38に表示させる。
S250:上記S230から操作者により電源キーが「入」にされたら、現在操作している操作者の認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共に表示部38に表示させる。
【0054】
S260:上記S250から操作者により認証番号が入力され、そこから立体駐車装置30の復旧及び再起動の許可を得ている人や管理者であることが認証できたら(例外認証操作又は管理者操作)、開閉ゲート34の閉操作を確定するための運転開始釦が押されることを待機する。
S270:上記S240から操作者によりICカード26が読み取り部20にタッチされ、利用者識別情報から
図3のS10で電源を投入した利用者と同一であることが認証できたら、或いは、上記S260から操作者により運転開始釦が押されたら、動作制御部12により、
図3のS30において開かれた開閉ゲート34を下降させる。この間、
図3のS70と同様に、開閉ゲート34を閉じている表示や、立体駐車装置30が動作中であることを示す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
【0055】
S280:
図3のS80と同様に、開閉ゲート34が完全に閉じられたら、車両を入出庫した目的のパレット32を示す表示と共に、ICカード26をタッチ又は操作完了釦を押して操作完了の入力を促す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
S290:
図3のS90と同様に、ここまでに操作盤36で電源キーが用いられておらず、上記S280から操作者によりICカード26が読み取り部20にタッチされて、利用者識別情報から
図3のS10で電源を投入した利用者と同一であることが認証できた場合は、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、システム制御部16により操作盤36の電源を切断し、状態制御部14により立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させて、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
【0056】
S300:
図3のS100と同様に、ここまでに操作盤36で電源キーが用いられて「入」にされており、上記S280から操作者により操作完了釦が押された場合は、操作者を認証して操作完了の入力を確定するための認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共にシステム制御部16により表示部38に表示させる。
S310:上記S300で入力された認証番号から、立体駐車装置30の正規の利用者や管理者であることが認証できたら、操作完了の入力を確定させ、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、操作者による電源キーの切断操作を受けて操作盤36の電源を切断し、立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させ、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
【0057】
更に、
図5を参照して、
図3のS60でICカード26がタッチされてから、開閉ゲート34が完全に閉まる前までの間に、利用者から次に受けるべき操作が入力されずに放置された場合の手順について説明する。
S400:開閉ゲート34が開状態のままで、第2の所定時間を超えて利用者から次に受けるべき操作が入力されなかった場合は、システム制御部16により放置されたと判定する。
S410:システム制御部16によって表示部38に、開閉ゲート34が開いた状態で放置されている表示、目的のパレット32が操作中である表示、操作者に対して立体駐車装置30内の無人確認を促す表示、及び、開いた状態の開閉ゲート34を閉じるための操作に相当する、ICカード26のタッチ又は安全確認釦を押すことを促す表示などを表示させる。
【0058】
S420:上記S410から操作者により安全確認釦が押されたら、ICカード26をタッチ又は電源キーを用いて「入」にすることを促す表示を表示部38に表示させる。
S430:上記S410又はS420からICカード26がタッチされたら、ここまでの操作を行った操作者の認証番号、操作者を認証して開閉ゲート34の閉操作を確定するためのICカード26のタッチを促す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
S440~S500:
図4のS250~S310と同様の手順になるため、詳しい説明を省略する。
【0059】
次に、
図6を参照して、
図3のS70で開閉ゲート34が完全に閉じられてから、
図3のS80で操作完了の入力が行われる前までの間に、利用者から次に受けるべき操作が入力されずに放置された場合の手順について説明する。
S600:第2の所定時間を超えて利用者から操作完了の入力が行われなかった場合は、システム制御部16により放置されたと判定する。
S610:システム制御部16によって表示部38に、操作が未完了で放置されている表示、操作した目的のパレット32を示す表示、及び、ICカード26をタッチ又は操作完了釦を押して操作完了の入力を促す表示などを表示させる。
【0060】
S620:上記S610から操作者によりICカード26が読み取り部20にタッチされて、利用者識別情報から
図3のS10で電源を投入した利用者と同一であることが認証でき、なおかつ、ここまでに操作盤36で電源キーが用いられていない場合は、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、システム制御部16により操作盤36の電源を切断し、状態制御部14により立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させて、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
S630:上記S610から操作者により操作完了釦が押された場合は、現在操作している操作者の認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共に表示部38に表示させる。
【0061】
S640:上記S630から操作者により認証番号が入力され、そこから立体駐車装置30の復旧及び再起動の許可を得ている人や管理者であることが認証できたら(例外認証操作又は管理者操作)、操作完了の入力を確定するための操作完了釦が押されることを待機する。
S650:上記S640から操作者により操作完了釦が押され、なおかつ、ここまでに操作盤36で電源キーが用いられていない場合は、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、システム制御部16により操作盤36の電源を切断し、状態制御部14により立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させて、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
【0062】
S660:上記S610から操作者によりICカード26が読み取り部20にタッチされたものの、ここまでに操作盤36で電源キーが用いられて「入」にされた場合、及び、上記S640から操作者により操作完了釦が押され、なおかつ、ここまでに操作盤36で電源キーが用いられて「入」にされた場合は、操作者を認証して操作完了の入力を確定するための認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共にシステム制御部16により表示部38に表示させる。
S670:上記S660で入力された認証番号から、立体駐車装置30の復旧及び再起動の許可を得ている人や管理者であることが認証できたら、操作完了の入力を確定させ、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、操作者による電源キーの切断操作を受けて操作盤36の電源を切断し、立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させ、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
【0063】
続いて、
図7を参照して、電源キーを用いて電源を投入し、主に操作盤36に対して接触操作を行う場合の、操作盤36の電源投入から切断までの基本的な手順について説明する。
S700:立体駐車装置30の利用を開始するために、待機状態にある立体駐車装置30の操作盤36に対して、利用者が電源キーを利用して「入」にする。電源キーが「入」にされたら、システム制御部16により操作盤36の電源を投入する。この電源投入により、システム制御部16は、利用者からの操作が開始されたものと認識して、状態制御部14を介して立体駐車装置30を待機状態から動作状態へと移行させる。
S710:現在操作している利用者の認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共にシステム制御部16により表示部38に表示させる。
【0064】
S720:上記S710から利用者により認証番号が入力され、そこから立体駐車装置30の正規の利用者であることが認証できたら、その利用者の認証番号と共に、目的のパレット32を呼び出す操作のために運転開始釦を押すことを促す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
S730:利用者により運転開始釦が押されたら、利用者の認証番号に基づいて、その利用者が車両を入出庫するための目的のパレット32を特定する。そして、システム制御部16により、特定した目的のパレット32の現在位置を把握し、目的のパレット32が車両を入出庫可能な位置にない場合は、他のパレット32の移動を含む所定の順序に従って、目的のパレット32を入出庫可能な位置に移動させる。続けて、動作制御部12により、入出庫可能な位置にある目的のパレット32の前面側に位置する開閉ゲート34を上昇させ、目的のパレット32に車両を入出庫できる状態にする。この間、立体駐車装置30が動作中であることを示す表示などを表示部38に表示させる。
【0065】
S740:目的のパレット32に対して車両を入出庫可能な状態にしたら、利用者がその目的のパレット32に対して車両を入出庫する。その間、システム制御部16によって表示部38に、利用者が立体駐車装置30内に進入中であることなどを表示させる。更に、車両を入出庫した利用者に対して、立体駐車装置30内の無人確認を促す表示と共に、無人確認が行われたことを示す無人確認入力を促す表示を表示部38に表示させる。ここでは、表示部38に表示した無人確認釦が押されることにより、無人確認入力が行われ、更に必要に応じて、無人確認入力器58に対しても無人確認入力が行われる。
【0066】
S750:立体駐車装置30内の無人確認を行った利用者により無人確認釦が押されたら、開いた状態の開閉ゲート34を閉じるための操作に相当する、表示部38に表示した安全確認釦を押すことを促す表示を、表示部38に表示させる。同時に、
図3のS50と同様の進入釦を表示部38に表示させてもよい。
S760:利用者により安全確認釦が押されたら、現在操作している利用者の認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共にシステム制御部16により表示部38に表示させる。同時に進入釦を表示部38に表示させてもよい。
【0067】
S770:上記S760から利用者により認証番号が入力され、そこから上記S720でパレット32の呼び出し操作を行った(電源投入操作を行った)利用者と同一であることが認証できたら、その利用者の認証番号を表示すると共に、開閉ゲート34の閉操作を確定するための運転開始釦が押されることを待機する。
S780:利用者により運転開始釦が押されたら、動作制御部12により、上記S730において開かれた開閉ゲート34を下降させる。この間、開閉ゲート34を閉じるために立体駐車装置30が動作中であることを示す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
S790:開閉ゲート34が完全に閉じられたら、操作完了釦を押すことによる操作完了の入力を促す表示を、システム制御部16により表示部38に表示させる。
【0068】
S800:利用者により操作完了釦が押されたら、利用者を認証して操作完了の入力を確定するための認証番号の入力を促す表示を、テンキー釦などと共にシステム制御部16により表示部38に表示させる。
S810:上記S800で入力された認証番号から、上記S720でパレット32の呼び出し操作を行った(電源投入操作を行った)利用者と同一であることが認証できたら、操作完了の入力を確定させ、状態制御部14により、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態へ移行させる。更に、利用者による電源キーの切断操作を受けて操作盤36の電源を切断し、立体駐車装置30を動作完了状態から待機状態へ移行させ、ここまでの流れに沿った手順が終了となる。
【0069】
ここで、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、
図1及び
図2に示したような構造の立体駐車装置30への適用に限定されるものではない。すなわち、立体駐車装置30は、高さ方向(
図2の上下方向)や並列方向(
図2の左右方向)により多くの(又はより少ない)パレット32を備えた構成であってもよく、地上だけではなく地下にパレット32を備えた構成であってもよい。又、パレット32が並列方向には移動せずに、高さ方向の列毎に連動して高さ方向のみに移動するものであってもよい。更に、高さ方向や並列方向だけではなく、前後方向(
図2の右手前から左奥方向)に複数列のパレット32を備えた構成であってもよい。加えて、立体駐車装置30が備える光電センサ52も、
図1及び
図2の実施例に限定されるものではなく、より多くの(又はより少ない)光電センサ52を備えていてもよく、各光電センサ52が設置される位置も任意である。又、開閉ゲート34は、入出庫位置にあるパレット32毎に別個に設けられている場合に限らず、1つのみ設けられていてもよい。
【0070】
又、
図3~
図7に示したフロー図は、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法を説明するための、手順の流れの一例を示したものである。従って、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法は、
図3~
図7のフロー図に限定されるものではなく、例えば、立体駐車装置30の構造や使用状況等に応じて、
図3~
図7に示した手順の一部が削除、変更、ないし適宜追加されたフローであってもよいものである。更に、
図3~
図7の各手順において、ICカード26(外部記憶媒体26)により非接触で、或いは、操作盤36に接触して行っていた操作を、利用者が所有する情報端末28と通信部22との無線通信を介して、利用者が情報端末28にインストールされた専用アプリケーションを操作することで行うようにしてもよい。この場合は、利用者の認証操作を、システム制御部16と情報端末28との間のパスワードの授受により行うようにしてもよい。又、立体駐車装置30からの情報の出力方法は、操作盤36の表示部38への表示だけでなく、スピーカーからの音声出力や、ランプの点灯及び明滅などを併用してもよい。
【0071】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、
図1及び
図2に示すように、動作制御部12、状態制御部14、及びシステム制御部16を含んでおり、動作制御部12は、立体駐車装置30が備える複数のパレット32や開閉ゲート34の動作を制御する。状態制御部14は、立体駐車装置30の状態を、待機状態、動作状態、及び動作完了状態の何れかの状態に制御するものである。待機状態とは、操作盤36を介して利用者による操作が開始されるのを待機している状態であって、このとき、立体駐車装置30の開閉ゲート34は閉じられている。
【0072】
そして、待機状態から利用者による操作が開始されると、立体駐車装置30は、状態制御部14によって動作状態へと移行される(
図3のS10及び
図7のS700参照)。動作状態において、立体駐車装置30は、操作盤36を介して入力された操作に応じて、動作制御部12により複数のパレット32の移動や開閉ゲート34の開閉動作が行われる。動作完了状態とは、車両の入出庫後に開閉ゲート34が閉じられ、立体駐車装置30に対して車両を入出庫するための一連の動作が完了した状態であり、そのまま次の待機状態へと移行するための状態である。
【0073】
システム制御部16は、本制御システム10全体を制御するものであり、そこには動作制御部12及び状態制御部14の制御も含まれる。又、システム制御部16は、立体駐車装置30が動作状態のときに、上述したように車両の入出庫後に開閉ゲート34が閉じられてから、利用者により操作完了の入力が行われるまで、立体駐車装置30が動作状態から動作完了状態に移行することを抑止する(
図3のS70~S90及び
図7のS780~S810参照)。すなわち、状態制御部14は、開閉ゲート34が閉じられたことだけではなく、開閉ゲート34が閉じられた後に操作完了の入力が行われたことを必須条件として、システム制御部16からの許可を受けて、立体駐車装置30を動作状態から動作完了状態に移行させる。これにより、立体駐車装置30の利用者に対して、操作を開始してから操作完了の入力までの一連の操作を促すことができるため、操作完了の入力前に利用者が立ち去ること、換言すれば、開閉ゲート34が開かれた状態で放置されることを防止することが可能となる。
【0074】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、立体駐車装置30が動作状態にあるときに、車両の入出庫後に開閉ゲート34が閉じられたら、システム制御部16により利用者に対して操作完了の入力を促す表示を操作盤36の表示部38に表示させるものである(
図3のS80及び
図7のS790参照)。これにより、表示部38の表示を確認する利用者に対して、操作盤36への操作完了の入力をより確実に実行させることができる。
【0075】
更に、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、利用者に実行させる操作完了の入力に、その利用者が待機状態にあった立体駐車装置30に対して操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作が含まれるものである(
図3のS80~S90及び
図7のS800~S810参照)。これにより、操作を開始した利用者以外の人物により、操作完了の入力が行われることを防止することができるため、操作の開始から操作完了の入力までの一連の操作を、操作を開始した同一の利用者により行わせることができ、安全性をより高めることが可能となる。
【0076】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、例えばICチップを備えたICカードなどの、立体駐車装置30の利用者により携帯される外部記憶媒体26に記憶された、利用者識別情報を読み取るための読み取り部20を更に含むものである。そして、システム制御部16は、その読み取り部20を介して利用者の外部記憶媒体26から利用者識別情報を読み取ることを以って、操作完了の入力に含まれる認証操作が行われるものである(
図3のS80~S90参照)。すなわち、システム制御部16は、少なくとも操作の開始時にも利用者の外部記憶媒体26から利用者識別情報を読み取り(
図3のS10参照)、その利用者が立体駐車装置30の正規の利用者であることを認証する。そして、その際に読み取った利用者識別情報と、認証操作として操作完了の入力時に読み取った利用者識別情報とが一致することを確認して、操作完了の入力が操作を開始した利用者により行われたことを認証するものである。これにより、主に外部記憶媒体26が利用されて非接触で操作される立体駐車装置30において、開閉ゲート34が開いたままで放置されることや、別の利用者により操作完了の入力が行われることを防止することができ、より安全性を高めることができる。
【0077】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、例えばスマートフォンや携帯電話といった、立体駐車装置30の利用者が所有する情報端末28と、例えば無線LANや携帯電話回線などの無線で通信を行うための通信部22を更に含んでいてもよい。この場合、システム制御部16は、その通信部22を介して利用者の情報端末28へ送信したパスワードを、再度通信部22を介して情報端末28から受信することを以って、操作完了の入力に含まれる認証操作が行われるものである。すなわち、システム制御部16は、少なくとも利用者により操作が開始されたときに、その利用者が所有する情報端末28を特定可能な情報の入力を受け、その情報端末28との間の無線通信を確立する。そして、操作完了の入力を受けるまでの任意のタイミングで、通信を確立した情報端末28に対して、通信部22を介してパスワードを送信する。その後、操作完了の入力時に情報端末28から送信されて通信部22を介して受信したパスワードが、送信したパスワードと同一であることを確認して、操作完了の入力が操作を開始した利用者により行われたことを認証するものである。これにより、主に情報端末28が利用されて非接触で操作される立体駐車装置30などにおいて、開閉ゲート34が開いたままで放置されることや、別の利用者により操作完了の入力が行われることを防止することができ、より安全性を高めることができる。
【0078】
更に、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、管理者が常駐する立体駐車装置30を対象として、その立体駐車装置30が動作状態にあるときに、パレット32の呼び出し操作、開閉ゲート34の閉操作、操作完了の入力、及び認証操作といった、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、放置されたと判定して(
図4のS200、
図5のS400、及び
図6のS600参照)、以下のような操作制限をかけるものである。すなわち、このような場合に、システム制御部16は、待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作(
図4のS240、
図5のS430、及び
図6のS610~S620参照)と、常駐する立体駐車装置30の管理者から受ける管理者操作(
図4のS260、
図5のS450、及び
図6のS640参照)との、いずれかの操作を受けた後に、次に受けるべき操作を受け付けるようにする。これにより、何らかの理由で所定時間以上に操作が行われずに放置された場合でも、操作を開始した利用者以外の利用者や部外者による操作を防止することができると共に、操作を開始した利用者或いは管理者によって、その後の操作を続行することができるため、安全性及び利便性の双方を維持することが可能となる。
【0079】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、上記と異なり管理者が常駐しない立体駐車装置30を対象として、その立体駐車装置30が動作状態にあるときに、パレット32の呼び出し操作、開閉ゲート34の閉操作、操作完了の入力、及び認証操作といった、利用者から次に受けるべき操作が所定時間を超えて入力されない場合に、放置されたと判定して(
図4のS200、
図5のS400、及び
図6のS600参照)、以下のような操作制限をかけるものである。すなわち、このような場合に、システム制御部16は、待機状態から操作を開始した利用者であることを認証するための認証操作(
図4のS240、
図5のS430、及び
図6のS610~S620参照)と、立体駐車装置30の復旧及び再起動の許可を得ている人であることを認証するための例外認証操作(
図4のS260、
図5のS450、及び
図6のS640参照)との、いずれかの操作を受けた後に、次に受けるべき操作を受け付けるようにする。これにより、何らかの理由で所定時間以上に操作が行われずに放置された場合でも、部外者による操作を防止することができると共に、操作を開始した利用者或いは別の許可を得ている人物によって、その後の操作を続行することができるため、安全性及び利便性の双方を維持することが可能となる。
【0080】
更に、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、上述した操作制限をかけるか否かの判定基準として利用する所定時間に、状況に応じて個別の時間が設定可能なものである。すなわち、システム制御部16は、動作状態の立体駐車装置30において、開閉ゲート34の閉操作が入力される前までの期間(
図3のS40~S60参照)で利用する第1の所定時間と、開閉ゲート34の閉操作が入力されてから開閉ゲート34が閉じる前までの期間(
図3のS70参照)で利用する第2の所定時間と、開閉ゲート34が閉じてから操作完了の入力が行われる前までの期間(
図3のS80参照)で利用する第3の所定時間とを、個別に設定可能になっている。これにより、状況に応じた適切な所定時間を利用して操作制限をかけることができるため、時間が短すぎて誤って放置と判定されることや、放置されているにも関わらず操作制限をかける前に第三者により操作されてしまうといったことを防止することができ、利便性と安全性とを両立させることが可能となる。
【0081】
加えて、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、上述したような操作制限がかけられた後で、その操作制限がかけられる前に受けるべきだった操作を受け付ける前に、利用者から立体駐車装置30内の無人確認が行われたことを示す無人確認入力を受けるものである(
図4のS210参照)。すなわち、システム制御部16は、操作制限を解除するための、認証操作、管理者操作、或いは例外認証操作の何れかの操作を受ける前或いは受けた後に、無人確認入力を受けたことを必須条件として、次に受けるべき操作を受け付ける。これにより、次に受けるべき操作を受け付けて立体駐車装置30の動作を再開する前に、立体駐車装置30内の無人確認を確実に行わせることができるため、安全性をより一層向上させることができる。
【0082】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、立体駐車装置30が動作状態にある間の少なくとも一部の期間において、現在操作を行っている利用者を示す情報(認証番号など)を、システム制御部16によって操作盤36の表示部38に表示させるものである(
図3のS20、S60、
図7のS720、S770など参照)。これにより、操作盤36の近辺に利用者がいない場合でも、立体駐車装置30を現在操作している利用者を明確に示すことができ、それ以外の人物によって操作されることを抑制することができる。
他方、
図3~
図7に示す本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法は、上述した立体駐車装置の制御システム10により実行されることで、立体駐車装置の制御システム10と同等の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0083】
10:立体駐車装置の制御システム、12:動作制御部、14:状態制御部、16:システム制御部、20:読み取り部、22:通信部、26:外部記憶媒体、28:情報端末、30:立体駐車装置、32(32a~32i):パレット、34(34a~34c):開閉ゲート、36:操作盤