(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ジャー容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B65D77/04 A
(21)【出願番号】P 2021012157
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 翔平
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-050425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の収容部を有する付替容器と、
前記収容部を径方向の外側から取り囲む胴部、及び前記胴部から径方向の外側に突出する係合突部を有し、前記付替容器が着脱可能に装着される外容器と、を備え、
前記付替容器は、
前記収容部の上端開口縁から径方向の外側に張り出すフランジ部と、
前記フランジ部の外周縁から前記胴部の外周面に沿って下方に延びる装着片と、
前記装着片に形成され、前記係合突部に前記係合突部の下方から係合する被係合部と、
前記装着片のうち前記係合突部と径方向で向かい合う位置に形成され、前記係合突部を避ける逃げ部と、を備え、
前記装着片は、前記被係合部とは周方向でずれた位置に、径方向の内側に押し込みによって前記被係合部を前記係合突部に対して径方向の外側に変位させる押込部を備え
、
前記被係合部は、径方向のうち第1方向で向かい合う位置に一対で設けられ、
前記押込部は、径方向のうち前記第1方向に交差する第2方向で向かい合う位置に一対で設けられ、
前記装着片は、前記胴部を取り囲む筒状に形成され、
前記装着片には、前記収容部の上端開口部を開閉可能な蓋体が設けられ、
前記装着片の外周面には、前記蓋体の閉位置において、前記蓋体に形成された雌ねじ部に噛み合う雄ねじ部が形成され、
前記雄ねじ部は、前記装着片のうち前記第1方向で向かい合う部分でねじ山を周方向に分断する第1分断部を備え、
前記雄ねじ部は、
前記装着片のうち前記第2方向で向かい合う位置を回避して形成された第1噛合部と、
前記装着片のうち、前記第2方向で向かい合う部分に形成された第2噛合部と、を備え、
前記第2噛合部のねじ山は、前記第1噛合部のねじ山に比べ、前記装着片からの径方向の突出量が小さいジャー容器。
【請求項2】
前記雄ねじ部は、前記第1噛合部と前記第2噛合部との間でねじ山を周方向に分断する第2分断部を備えている請求項
1に記載のジャー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャー容器として、内容物を収容する付替容器と、付替容器が着脱可能に装着される外容器と、を備える構成が知られている(下記、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のジャー容器では、例えば外容器の寸法ばらつき等によって、外容器に対する付替容器の装着状態が不安定になるおそれがあった。特に、外容器の寸法精度が低い場合には、上述した懸念がより顕著になる。
【0005】
本発明は、付替容器の着脱時の操作性を確保しつつ、外容器に対する付替容器の安定した装着状態を確保できるジャー容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
本開示の一態様に係るジャー容器は、内容物が収容される有底筒状の収容部を有する付替容器と、前記収容部を径方向の外側から取り囲む胴部、及び前記胴部から径方向の外側に突出する係合突部を有し、前記付替容器が着脱可能に装着される外容器と、を備え、前記付替容器は、前記収容部の上端開口縁から径方向の外側に張り出すフランジ部と、前記フランジ部の外周縁から前記胴部の外周面に沿って下方に延びる装着片と、前記装着片に形成され、前記係合突部に前記係合突部の下方から係合する被係合部と、前記装着片のうち前記係合突部と径方向で向かい合う位置に形成され、前記係合突部を避ける逃げ部と、を備え、前記装着片は、前記被係合部とは周方向でずれた位置に、径方向の内側に押し込みによって前記被係合部を前記係合突部に対して径方向の外側に変位させる押込部を備えている。
【0007】
本態様によれば、装着片のうち係合突部と径方向で向かい合う位置に逃げ部が形成されているため、付替容器が外容器に装着された状態において、装着片と係合突部との径方向での接触を回避できる。そのため、付替容器が外容器の係合突部に対して被係合部によって下方から係合する際に、外容器の寸法ばらつき等によって被係合部と係合突部との係合代が変動するのを抑制できる。その結果、例えば外容器をガラス等のように寸法精度の低い材料により形成した場合であっても、所望の装着強度を確保できる。
しかも、本態様において、装着片は、被係合部とは周方向でずれた位置に、径方向の内側に押し込みによって被係合部を係合突部に対して径方向の外側に変位させる押込部を備えている構成とした。
この構成によれば、押込部を介して装着片を径方向の内側に押し込むことで、被係合部と係合突部との係合を解除できる。そのため、上述したように被係合部と係合突部との係合代を大きくした場合であっても、付替容器の交換時等において、付替容器を外容器から容易に取り外すことができる。
その結果、付替容器の着脱時の操作性を確保しつつ、外容器に対する付替容器の安定した装着状態を確保できる。
【0008】
上記態様のジャー容器において、前記被係合部は、径方向のうち第1方向で向かい合う位置に一対で設けられ、前記押込部は、径方向のうち前記第1方向に交差する第2方向で向かい合う位置に一対で設けられていることが好ましい。
本態様によれば、押込部を第2方向の両側から押し込むことで、一対の被係合部を第1方向の外側に変位させることができる。これにより、操作性及び装着状態の更なる向上を図ることができる。
【0009】
上記態様のジャー容器において、前記装着片は、前記胴部を取り囲む筒状に形成され、前記装着片には、前記収容部の上端開口部を開閉可能な蓋体が設けられ、前記装着片の外周面には、前記蓋体の閉位置において、前記蓋体に形成された雌ねじ部に噛み合う雄ねじ部が形成され、前記雄ねじ部は、前記装着片のうち前記第1方向で向かい合う部分でねじ山を周方向に分断する第1分断部を備えていることが好ましい。
本態様によれば、装着片のうち被係合部が形成された部分の径方向への剛性を、ねじ山が形成されている部分に比べて低くすることができる。これにより、付替容器を取り外すにあたって、押込部を径方向の内側に押し縮めた際に被係合部を第1方向の外側に向けて変位させ易くできる。その結果、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0010】
上記態様のジャー容器において、前記雄ねじ部は、前記装着片のうち前記第2方向で向かい合う位置を回避して形成された第1噛合部と、前記装着片のうち、前記第2方向で向かい合う部分に形成された第2噛合部と、を備え、前記第2噛合部のねじ山は、前記第1噛合部のねじ山に比べ、前記装着片からの径方向の突出量が小さいことが好ましい。
本態様によれば、押込部の押込位置を触覚等により判断し易くなるとともに、第2噛合部を介して装着片を押し込む際の指当たりを向上させることができる。そのため、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0011】
上記態様のジャー容器において、前記雄ねじ部は、前記第1噛合部と前記第2噛合部との間でねじ山を周方向に分断する第2分断部を備えていることが好ましい。
本態様によれば、第2噛合部が第2分断部によって、第1噛合部から区分けされていることで、より押込位置をより把握し易い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、付替容器の着脱時の操作性を確保しつつ、外容器に対する付替容器の装着強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るジャー容器であって、
図2のI-I線に対応する断面図である。
【
図2】
図1のII-II線に対応する断面図である。
【
図6】実施形態に係るジャー容器の動作説明図であって、
図7のVI-VI線に対応する断面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図1に示すジャー容器1は、有底筒状の容器本体2と、容器本体2の上端開口部を開閉する有頂筒状の蓋体3と、を備えている。容器本体2及び蓋体3の各中心軸は、共通の軸線上に配置されている。以下、この共通の軸線をジャー容器1の容器軸Oといい、容器軸Oに沿う容器軸O方向を上下方向という。また、上下方向に沿う容器本体2の底壁21側を下方といい、蓋体3の天壁3a側を上方という。上下方向から見た平面視で容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
容器本体2は、外容器11及び付替容器12を備える、いわゆる二重容器である。容器本体2は、外容器11に対して付替容器12が着脱可能に装着されることで、付替容器12の交換のみでジャー容器1を継続的に使用できるものである。
外容器11は、容器軸Oと同軸に配置された有底筒状に形成されている。外容器11は、例えばガラス材料等により一体に形成されている。但し、外容器11は、ガラス材料以外の材料(例えば、樹脂材料等)により形成されていてもよい。
【0016】
外容器11は、底壁21と、底壁21の外周縁から上方に延びる胴部22と、を備えている。
胴部22は、上方に位置するものほど外径が縮小する多段形状に形成されている。具体的に、胴部22は、胴部22の下部を構成する大径部22aと、大径部22aの上方に連なる小径部22bと、を備えている。
大径部22aは、蓋体3が閉位置にあるとき、蓋体3の外表面とともにジャー容器1の外装面を構成する。本実施形態の外容器11は、上述したようにガラス材料により、少なくとも大径部22aが厚肉に形成されている。
【0017】
図1、
図2に示すように、小径部22bは、固定部31と変形許容部32とが周方向に連なることで、全体で筒状をなしている。小径部22bの内径や上端位置は、全周に亘って一様に形成されている。
固定部31は、小径部22bのうち、径方向で向かい合う部分である。固定部31の下端部には、係合突部31aが形成されている。係合突部31aは、固定部31から径方向の外側に突出している。
【0018】
図3に示すように、固定部31のうち、係合突部31aにおける周方向の中心に位置する部分には、ガイドリブ31bが形成されている。ガイドリブ31bは、固定部31から径方向の外側に突出している。ガイドリブ31bにおける固定部31からの突出量は、係合突部31aにおける固定部31からの突出量よりも小さい。ガイドリブ31bは、上下方向に延びている。ガイドリブ31bの上端は、固定部31の上端に一致している。ガイドリブ31bの下端は、係合突部31aまで達している。但し、ガイドリブ31bは、上下方向において固定部31の全長に亘って延びていてもよい。なお、ガイドリブ31bは、係合突部31aにおける周方向の中心に対してずれていてもよい。
【0019】
図1、
図2に示すように、変形許容部32は、小径部22bのうち固定部31以外の部分である。すなわち、変形許容部32は、固定部31同士の間に配置され、固定部31同士の間を架け渡している。変形許容部32の周方向の寸法(軸線Oを中心とし、変形許容部32における周方向の両端での中心角)は、固定部31の周方向の寸法(軸線Oを中心とし、固定部31における周方向の両端での中心角)よりも大きい。
【0020】
図1に示すように、変形許容部32は、上下方向に沿う断面視において、L字状に形成されている。変形許容部32は、薄肉部32aと、拡大部32bと、を備えている。
薄肉部32aは、変形許容部32のうち上端部を除く部分である。
図2に示すように、薄肉部32aは、周方向の両端から中央部に向かうに従い径方向の厚さが漸次薄くなっている。したがって、径方向のうち固定部31(
図3に示すガイドリブ31b)の向かい合う方向を第1方向L1とすると、変形許容部32は第1方向L1に直交する第2方向L2で向かい合う部分(固定部31に対して周方向で90°離れた部分)で最小厚さになっている。薄肉部32aの最大厚さ(周方向の両端での厚さ)は、固定部31の径方向の厚さよりも薄い。但し、薄肉部32aの厚さは、周方向の全体に亘って一様であってもよい。薄肉部32aにおける上下方向での形成範囲は、少なくとも係合突部31aを含む範囲に形成されていれば任意に設定可能である。
【0021】
拡大部32bは、薄肉部32aの上端縁に連なっている。拡大部32bは、薄肉部32aに対して径方向の外側に張り出している。拡大部32bの上面及び外周面は、固定部31の上面及び外周面と面一になっている。本実施形態において、薄肉部32aと拡大部32bと大径部22aの上端縁とで囲まれた部分は、径方向の外側に向けて開口する凹部33を構成する。したがって、凹部33は、周方向の両端から中央部に向かうに従い径方向の深さが漸次深くなっている。
【0022】
付替容器12は、樹脂材料等によって一体形成されている。付替容器12は、収容部41と、装着片42と、フランジ部43と、を備えている。
収容部41は、容器軸Oと同軸の有底筒状に形成されている。収容部41は、付替容器12が外容器11に装着された状態において、外容器11の内側に収容されている。収容部41内には、内容物が収容される。収容部41内に収容される内容物としては、ハンドクリームや化粧料として用いられるクリーム状や半固形状等の内容物であることが好ましい。ジャー容器1では、蓋体3を開位置とした状態で、収容部41の上端開口部を通じて内容物が取出可能である。
【0023】
フランジ部43は、収容部41の上端開口縁から径方向の外側に張り出している。フランジ部43は、付替容器12が外容器11に装着された状態において、胴部22の上端開口縁上に配置されている。
【0024】
装着片42は、小径部22bの周囲を取り囲む筒状に形成されている。装着片42は、フランジ部43の外周縁から下方に延びている。装着片42は、フランジ部43との境界部分を起点にして径方向に弾性変位可能に構成されている。
【0025】
図4に示すように、装着片42は、一対の接続部42c及び一対の押込部42dが周方向に連なって構成されている。
図3に示すように、接続部42cは、装着片42のうち、径方向(第1方向L1)で固定部31と向かい合っている。具体的に、接続部42cは、装着片42のうち第1方向L1で向かい合う部分を中心として、周方向の両側に円弧状に延びている。
【0026】
接続部42cには、係合孔(逃げ部)42aが形成されている。係合孔42aは、接続部42cを径方向に貫通している。係合孔42a内には、係合突部31aが収容されている。係合孔42aは、係合突部31aと径方向で向かい合い、接続部42cと係合突部31aとの接触を避けている。係合孔42aの下端開口縁は、係合突部31aに下方から当接することで、外容器11に対する付替容器12の上方への移動(抜け止め)を規制する被係合部42bとして機能する。なお、付替容器12が外容器11に装着された状態において、係合突部31aの最外端は、装着片42の外周面よりも径方向の内側に位置している。
【0027】
接続部42cのうち、係合孔42aにおける周方向の中心に位置する部分には、収容溝42fが形成されている。収容溝42fは、接続部42cの内周面に対して径方向の外側に窪んでいる。収容溝42fは、径方向の深さが係合孔42aよりも浅く、周方向の幅が係合孔42aよりも狭い細溝である。収容溝42fは、接続部42cにおける上下方向の全長に亘って延びている。付替容器12が外容器11に装着された状態において、収容溝42f内にはガイドリブ31bが収容されている。これにより、外容器11に対する付替容器12の周方向の移動が規制されている。なお、収容溝42fの深さは、ガイドリブ31bにおける径方向の高さよりも深くなっている。
【0028】
押込部42dは、径方向で薄肉部32aと向かい合う部分である。具体的に、押込部42dは、平面視において、装着片42のうち第2方向L2で向かい合う部分を中心として、周方向の両側に円弧状に延びている。押込部42dは、薄肉部32aとの間に凹部33分の隙間を有している。
【0029】
図3~
図5に示すように、装着片42には、雄ねじ部50が形成されている。雄ねじ部50は、いわゆる間欠ねじである。雄ねじ部50は、装着片42の外周面上において、第1噛合部50a及び第2噛合部50bが、複数の分断部(第1分断部51及び第2分断部52)によって周方向に分断された状態で螺旋状に延びている。
第1噛合部50aは、装着片42のうち、第1方向L1で向かい合う部分、及び第2方向L2で向かい合う部分以外の部分に形成されている。第1噛合部50aでは、周方向の一方側に向かうに従い上方に向けてねじ山が延びている。
第2噛合部50bは、装着片42のうち、第2方向L2で向かい合う部分である。第2噛合部50bは、隣り合う第1噛合部50aのねじ山同士を結ぶようにねじ山が延びている。本実施形態において、第2噛合部50bのねじ山は、装着片42の外周面からの径方向の突出量が第1噛合部50aのねじ山よりも小さい。但し、第2噛合部50bのねじ山は、第1噛合部50aのねじ山よりも突出量が大きくてもよい。
【0030】
第1分断部51は、装着片42のうち、第1方向L1で向かい合う位置に配置されている。第1分断部51は、周方向で隣り合う第1噛合部50a同士の間を周方向に分断している。したがって、雄ねじ部50は、周方向において、係合孔42a(被係合部42b)を回避した位置にねじ山が形成されている。第1分断部51は、装着片42の外周面と同一周面を構成している。
第2分断部52は、装着片42のうち、第2噛合部50bに対して周方向の両側に配置されている。第2分断部52は、第1噛合部50a及び第2噛合部50bの間を周方向に分断している。第2分断部52は、装着片42の外周面と同一周面を構成している。
【0031】
図1に示すように、蓋体3は、天壁3a及び周壁3bを有する有頂筒状に形成されている。蓋体3は、容器本体2に着脱可能に構成されることで、容器本体2(付替容器12)の上端開口部を開閉する。
天壁3aは、蓋体3が閉位置にあるとき、容器本体2の上端開口部を上方から閉塞している。天壁3aは、蓋体3が閉位置にあるとき、パッキン55を介してフランジ部43に上方から近接又は当接している。
【0032】
周壁3bは、天壁3aの外周縁から下方に延びている。周壁3bの内周面には、雌ねじ部56が形成されている。雌ねじ部56は、ねじ山が螺旋状に延びて構成されている。雌ねじ部56が雄ねじ部50(噛合部50a,50b)に噛み合うことで、蓋体3が容器本体2に装着される。なお、蓋体3は、ねじ以外の方法(例えば、嵌合等)によって容器本体2に装着されていてもよい。
【0033】
次に、上述したジャー容器1の使用方法について説明する。具体的には、内容物を使い切った後、古い付替容器12から新しい付替容器12への交換方法について説明する。
まず、蓋体3を開位置とする。次に、
図6、
図7に示すように、押込部42dを径方向の内側から押し縮める。この際、押込部42dのうち第2方向L2で向かい合う部分を第2方向L2の両側から押し縮めることが好ましい。すると、押込部42dが、フランジ部43との境界部分を起点にして径方向の内側に弾性変形する。すなわち、押込部42dは、凹部33内に進入するように弾性変位する。
【0034】
一方、押込部42dの径方向の内側への弾性変形に伴い、装着片42のうち接続部42cを含む部分が径方向の外側に弾性変位する。これにより、被係合部42bが係合突部31aから径方向の外側に退避し、被係合部42bと係合突部31aとの係合が解除される。この状態で、付替容器12を引き上げることで、付替容器12が外容器11から取り外される。
【0035】
次に、新しい付替容器12を外容器11に取り付けるには、付替容器12の収容部41を外容器11内に進入させる。次に、押込部42d(収容溝42f)と固定部31(ガイドリブ31b)とを周方向で位置合わせした状態で、付替容器12を外容器11に対して下方に押し込む。すると、押込部42dがガイドリブ31bに沿って案内されながら、付替容器12が外容器11に対して下降する。その後、接続部42cの下端縁が係合突部31aに上方から当接する。この状態で、付替容器12を下方に向けてさらに押し込むと、係合突部31aによって接続部42cが径方向の外側に押し広げられる。これにより、接続部42cが係合突部31aを乗り越えながら、付替容器12が外容器11に対して下降する。なお、接続部42cの径方向の外側への弾性変形に伴い、押込部42dは径方向の内側に弾性変形する。
【0036】
係合孔42aが係合突部31aに到達すると、装着片42が復元変位する。これにより、係合孔42a内に係合突部31aが収容されるとともに、被係合部42bが係合突部31aに下方から近接又は当接する。これにより、付替容器12が外容器11に装着される。
【0037】
このように、本実施形態のジャー容器1では、付替容器12の装着片42が外容器11の係合突部31aに下方から係合する被係合部42bと、係合突部31aを避ける係合孔42aと、を備えている構成とした。
この構成によれば、装着片42のうち係合突部31aと径方向で向かい合う位置に係合孔42aが形成されているため、付替容器12が外容器11に装着された状態において、装着片42と係合突部31aとの径方向での接触を回避できる。そのため、付替容器12が外容器11の係合突部31aに対して被係合部42bによって下方から係合する際に、外容器11の寸法ばらつき等によって被係合部42bと係合突部31aとの係合代が変動するのを抑制できる。その結果、例えば外容器11をガラス等のように樹脂成型品と比べ寸法精度の低い材料により形成した場合であっても、所望の装着強度を確保できる。
【0038】
しかも、本実施形態において、装着片42は、被係合部42bとは周方向でずれた位置に、径方向の内側に押し込みによって被係合部42bを係合突部31aに対して径方向の外側に変位させる押込部42dを備えている構成とした。
この構成によれば、押込部42dを介して装着片42を径方向の内側に押し込むことで、被係合部42bと係合突部31aとの係合を解除できる。そのため、上述したように被係合部42bと係合突部31aとの係合代を大きくした場合であっても、付替容器12の交換時等において、付替容器12を外容器11から容易に取り外すことができる。
その結果、付替容器12の着脱時の操作性を確保しつつ、外容器11に対する付替容器12の装着強度を確保できる。
【0039】
本実施形態において、被係合部42bは、径方向のうち第1方向L1で向かい合う位置に一対で設けられ、押込部42dは、径方向のうち前記第1方向に交差する第2方向L2で向かい合う位置に一対で設けられている構成とした。
この構成によれば、押込部42dを第2方向L2の両側から押し込むことで、一対の被係合部42bを径方向(第1方向L1)の外側に変位させることができる。これにより、操作性及び装着強度の更なる向上を図ることができる。
【0040】
本実施形態のジャー容器1では、雄ねじ部50が周方向で被係合部42bを回避する第1分断部51を備える構成とした。
この構成によれば、装着片42のうち被係合部42bが形成された部分の径方向への剛性を、ねじ山が形成されている部分に比べて低くすることができる。これにより、付替容器12を取り外すにあたって、押込部42dを径方向の内側に押し縮めた際に被係合部42bを第1方向L1の外側に向けて変位させ易くできる。その結果、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0041】
本実施形態において、雄ねじ部50のうち、第2噛合部50bのねじ山は、第1噛合部50aのねじ山に比べ、装着片42からの径方向の突出量が小さい構成とした。
この構成によれば、押込部42dの押込位置を触覚等により判断し易くなるとともに、第2噛合部50bを介して装着片42を押し込む際の指当たりを向上させることができる。そのため、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0042】
しかも、本実施形態の雄ねじ部50は、第1噛合部50a及び第2噛合部50bとの間を分断する第2分断部52を備えている構成とした。
この構成によれば、第2噛合部50bが第2分断部52によって、第1噛合部50aから区分けされていることで、より押込位置をより把握し易い。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、外容器11が有底筒状に形成された構成について説明したが、この構成に限れない。外容器11は、底壁21を備えない構成であってもよい。
上述した実施形態では、装着片42が筒状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。装着片42は、少なくとも接続部42c及び押込部42dが連なる構成であれば、例えばフランジ部43から下方に舌片状に延びる構成であってもよい。
【0045】
上述した実施形態では、被係合部42b及び押込部42dが一対ずつ設けられている構成について説明したが、この構成に限られない。被係合部42b及び押込部42dは、少なくとも一つずつ備えていればよい。
上述した実施形態では、雄ねじ部50が分断部51,52によって周方向に分断された構成について説明したが、この構成に限られない。雄ねじ部50は、全周に亘って連続的に延びていてもよい。
上述した実施形態では、小径部22bのうち変形許容部32を固定部31に対して薄くすることで、装着片42の変位スペースを確保する構成について説明したが、この構成に限れない。例えば、装着片42のうち押込部42dを接続部42cに比べて薄くすることで、装着片42の変位スペースを確保してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、係合孔42aを逃げ部とし、係合孔42aの下端開口縁を被係合部42bとした場合について説明したが、この構成に限れない。逃げ部は、係合突部31aと装着片42との接触を避ける構成であればよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1:ジャー容器
3:蓋体
11:外容器
12:付替容器
22:胴部
31a:係合突部
41:収容部
42:装着片
42b:被係合部
42d:押込部
43:フランジ部
50:雄ねじ部
50a:第1噛合部
50b:第2噛合部
51:第1分断部
52:第2分断部
56:雌ねじ部