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  • 特許-魚釣用リール 図1
  • 特許-魚釣用リール 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A01K89/01 C
A01K89/01 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021023378
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125662
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】大井川 凌
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-054172(JP,U)
【文献】特開平02-303439(JP,A)
【文献】特開2001-321042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0016749(US,A1)
【文献】特表2001-503610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00-89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸が巻かれるスプールと、アームを有し、該アームに設けられた反転部により反転可能なベールが装着され、該スプールの回転軸と同じ回転軸で回転するロータとを有する回転部と、該ロータを回転させるハンドルを有する本体部と、該ベールの動作を検出するベール動作検出部と、を備える魚釣用リールであって、
該ベール動作検出部は、前記ベール又は該ベールの作動と連動する作動部に設けられた被検出部と、該本体部に設けられ、該被検出部の動作を検出し電気信号に変換する検出部とを含み、
前記ベールの作動と連動する作動部は、前記反転部であり、該反転部は、前記アームと前記ベールとを接続するように構成されていることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記検出部は、磁気センサであり、前記被検出部は、磁性体である、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記検出部は、発光部を有する光センサであり、前記被検出部は、反射体又は遮蔽板である、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記検出部は、静電容量センサであり、前記被検出部は、導電体又は誘電体である、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記検出部は、音センサであり、前記被検出部は、音源部である、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項6】
前記検出部は、温度センサであり、前記被検出部は、発熱体である、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項7】
前記作動部は、キックレバーであり、該キックレバーは前記被検出部である、請求項1に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触によるベール動作の検出が可能な魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リール本体に回転自在に装着されるロータに設けた両アームに反転可能に取付けられたベールアームを有する様々な魚釣用スピニングリールが知られている。
【0003】
このような魚釣用リールとして、例えば、特許文献1では、リール本体に回転自在に装着されるローターに対設した両アームに反転可能にベールアームを枢着した魚釣用スピニングリールにおいて、上記リール本体又はローターに、糸巻取位置から糸放出位置への反転を知らせる表示手段を設け、上記ベールアームの反転部に、このベールアームの糸巻取位置から糸放出位置への反転動作を検出して上記表示手段に伝達する作動伝達手段を設けて成る魚釣用スピニングリールについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平04-100378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る方法では、ベールの反転動作検出やその情報伝達のために、本体部とロータ部とに物理的な接点を持たせているが、スピニングリールでは回転の初動力や巻き心地が低下し、使用感に悪影響を与えてしまうという問題があった。また、物理的な接点を持たせるために、専用の部品を使用する必要があるため、それに伴いコスト増加してしまうだけでなく大型化してしまうという問題もあった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、非接触の方式によりベールの動作を検出できる検出部をリール本体内に備えた魚釣用リールを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、釣糸が巻かれるスプールと、アームを有し、該アームに設けられた反転部により反転可能なベールが装着され、該スプールの回転軸と同じ回転軸で回転するロータとを有する回転部と、該ロータを回転させるハンドルを有する本体部と、該ベールの動作を検出するベール動作検出部と、を備え、該ベール動作検出部は、前記ベール又は該ベールの作動と連動する作動部に設けられた被検出部と、該本体部に設けられ、該被検出部の動作を検出し電気信号に変換する検出部とを含むように構成される。
【0008】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記ベールの作動と連動する作動部は、前記反転部であるように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記検出部は、磁気センサであり、前記被検出部は、磁性体であるように構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記検出部は、発光部を有する光センサであり、前記被検出部は、反射体又は遮蔽板であるように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記検出部は、静電容量センサであり、前記被検出部は、導電体又は誘電体であるように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記検出部は、音センサであり、前記被検出部は、音源部であるように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記検出部は、温度センサであり、前記被検出部は、発熱体であるように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記作動部は、キックレバーであり、該キックレバーは前記被検出部であるように構成される。
【発明の効果】
【0015】
上記実施形態によれば、非接触の方式によりベールの動作を検出できる検出部をリール本体内に備えた魚釣用リールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用リールの基本構成を説明する図である。
図2】本発明の一実施形態に係る魚釣用リールのベール動作検出部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る魚釣用リールの実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0018】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の構成について説明する。
【0019】
図示のように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、釣糸が巻かれるスプール2と、アーム3を有し、該アーム3に設けられた反転部4により反転可能なベール5が装着され、該スプール2の回転軸と同じ回転軸で回転するロータ6とを有する回転部7と、該ロータ6を回転させるハンドル8を有する本体部9と、該ベール5の動作を検出するベール動作検出部10と、を備え、該ベール動作検出部10は、該ベール5又は該ベール5の作動と連動する作動部11に設けられた被検出部12と、該本体部9に設けられ、該被検出部12の動作を検出し電気信号に変換する検出部13とを含むように構成される。ここで、作動部とは、該ベール5の操作に連動して移動する部品のことで、該アーム3、該ベール5を指すものとする。
【0020】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、非接触の方式によりベールの動作を検出できる検出部をリール本体内に備えた魚釣用リールを提供することが可能となる。このようにして、ベール作動検出部の検出部と被検出部とが物的に接触しないようにでき、スピニングリールの回転の初動力や巻き心地等の使用感に与える影響を大幅に低減しつつ、専用部品を別途設けることによる魚釣用リールの大型化やコスト増大を効果的に防止することが可能となる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該ベール5の作動と連動する作動部11は、反転部4であるように構成される。このようにベール5の動きと連動する反転部4に被検出部を設けることで、ベールの反転動作を効果的に検出することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該検出部13は、磁気センサであり、当該被検出部12は、磁性体であるように構成される。このようにして、被検出部12の磁性体の磁力を、検出部13の磁気センサで検知することで、ベールの動作を検出することができる。
【0023】
これを図2を参照してさらに説明する。図2aでは、ベール5がオフ状態になっており、この場合、被検出部12と検出部13とは離れるように配置されている。他方、図2bでは、ベール5はオン状態になっており、反転部4がアーム3に対して旋回することで反転部4に設けられた被検出部12が検出部13に隣接する位置に移動している。この位置では、被検出部12の磁力を検出部13で検出することができるため、ベールの作動状態がオン状態であることを検出することができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、非接触の方式によりベールの動作を検出できる検出部をリール本体内に備えた魚釣用リールを提供することが可能となる。このようにして、上述と同様、ベール作動検出部の検出部と被検出部とが物的に接触しないようにでき、スピニングリールの回転の初動力や巻き心地等の使用感に与える影響を大幅に低減しつつ、専用部品を別途設けることによる魚釣用リールの大型化やコスト増大を効果的に防止することが可能となる。
【0025】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該検出部13は、発光部を有する光センサであり、当該被検出部12は、反射体又は遮蔽板であるように構成される。このようにして、検出部13の光センサの発光部からの光を被検出部12の反射体又は遮蔽板で反射させ、反射光を同検出部13の光センサで受光を検知することで、ベールの動作を検出することができる。
【0026】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該検出部13は、静電容量センサであり、当該被検出部12は、導電体又は誘電体であるように構成される。このようにして、被検出部12の導電体又は誘電体に、検出部13の静電容量センサが近付いたり離れたりする際の静電力の変化を同センサで検知することにより、ベールの動作を検出することができる。
【0027】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該検出部13は、音センサであり、当該被検出部12は、音源部であるように構成される。このようにして、被検出部12の音源部(例えば、反転部4が作動した時にアーム3との衝突により衝突音を発するように構成されたもの)からの音を、検出部13の音センサで検知することで、ベールの動作を検出することができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該検出部13は、温度センサであり、当該被検出部12は、発熱体であるように構成される。このようにして、被検出部12の発熱体(反転部4とアーム3に摩擦材を設けて、作動時に発熱するように構成されるもので、例えば、摩擦材)からの熱を、検出部13の温度センサで検知することで、ベールの動作を検出することができる。
【0029】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、当該作動部11は、キックレバーであり、該キックレバーは当該被検出部12であるように構成される。このようにして、キックレバーが本来のキックレバーの機能を果たすだけではなく、ベールの動作を検出するための被検出部としての役割もはたすことができ、専用部品を別途設けることによる魚釣用リールの大型化やコスト増大を効果的に防止することが可能となる。ここで、キックレバーとは、作動部11の動作方向を本体部9に物理的に接触するように変換して、検出部に接触する役割を有する。
【0030】
ここで、従来のキックレバーの役割について言及する。従来のキックレバーでは、ベールがオンの状態においてユーザ(釣り人)がハンドル操作等でロータを回転させたときに、リール本体に設けられたカムに作用することでベール状態をオフ状態に切り替えることができる。このようにすることで、ユーザはハンドルを操作するだけでベールをオフ状態に切り替えることができる。また、ベールがオン状態のとき、キックレバーとリール本体部の間に摩擦力を生じさせてもよく、これによりキャスト等の釣り動作で遠心力が加わり、ロータが不意に回転することを防止するように構成される。
【0031】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 魚釣用リール
2 スプール
3 アーム
4 反転部
5 ベール
6 ロータ
7 回転部
8 ハンドル
9 本体部
10 ベール動作検出部
11 作動部
12 被検出部
13 検出部
図1
図2