(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】溶接作業装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/10 20060101AFI20241004BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20241004BHJP
B23K 9/127 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B23K9/10 A
B23K9/12 331J
B23K9/127 508B
(21)【出願番号】P 2021029870
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗佳
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163407(JP,A)
【文献】特開平11-277231(JP,A)
【文献】特開2002-205166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを突出させて支持し、該ワイヤを用いて
溶接対象物に対して溶接作業を行う溶接作業部と、
遠隔からの操作に応じて前記溶接作業部を所定方向に移動させる遠隔操作部と、
前記ワイヤの先端回りに回転可能に支持され、前記溶接作業部から突出した前記ワイヤの先端の3次元上の位置を検出する
とともに、前記ワイヤの先端回りの画像を撮像する撮像部と、
前記遠隔操作部において前記溶接作業部を操作する作業者に対して、前記撮像部で撮像された前記画像を、前記溶接対象物に対する前記ワイヤの先端の3次元上の前記位置を視認可能に表示し、かつ、前記ワイヤの先端と前記溶接対象物との位置決めを可能に表示する表示部と、を備えることを特徴とする溶接作業装置。
【請求項2】
前記
撮像部は、前記溶接作業部から突出した前記ワイヤの3次元上の姿勢を検出する請求項1に記載の溶接作業装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記ワイヤの先端の3次元上の位置を前記作業者が視認可能に座標表示する請求項1に記載の溶接作業装置。
【請求項4】
前記撮像部は、複数設けられており、各前記撮像部は、撮像方向が互いに異なる請求項
1に記載の溶接作業装置。
【請求項5】
前記
撮像部は、3次元センサを有する請求項
1に記載の溶接作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接ツールが取り付けられたロボットアームを遠隔操作で操作し、溶接を行う溶接装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の溶接装置では、ロボットアームに設置された画像取得装置により、溶接ツールおよび溶接対象物(被加工物)の画像を取得することができる。そして、作業者は、画面(モニター)に表示された前記画像を視認しつつ、遠隔操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の溶接装置では、溶接ワイヤを用いて溶接を行う場合、画像取得装置と溶接ワイヤとの位置関係、すなわち、溶接ワイヤに対する画像取得装置の撮像方向によっては、作業者が、ワイヤの位置、特に、ワイヤ先端の3次元上の位置を把握することができず、溶接作業を正確に行うことができないという問題があった。
本発明の目的は、ワイヤを用いた溶接作業を正確に行うことができる溶接作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の溶接作業装置の一つの態様は、ワイヤを突出させて支持し、該ワイヤを用いて溶接対象物に対して溶接作業を行う溶接作業部と、
遠隔からの操作に応じて前記溶接作業部を所定方向に移動させる遠隔操作部と、
前記ワイヤの先端回りに回転可能に支持され、前記溶接作業部から突出した前記ワイヤの先端の3次元上の位置を検出するとともに、前記ワイヤの先端回りの画像を撮像する撮像部と、
前記遠隔操作部において前記溶接作業部を操作する作業者に対して、前記撮像部で撮像された前記画像を、前記溶接対象物に対する前記ワイヤの先端の3次元上の前記位置を視認可能に表示し、かつ、前記ワイヤの先端と前記溶接対象物との位置決めを可能に表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、例えば検出部を、少なくともワイヤの先端が含まれる画像を撮像する撮像部で構成した場合、この撮像部により、異なる撮像方向からの画像を複数得ることができる。そして、これらの画像に対し、所定の画像処理を行うことにより、ワイヤの先端の3次元上の位置を検出することができる。
溶接作業装置を操作する作業者は、上記で検出されたワイヤの先端の3次元上の位置を把握して、ワイヤの先端と溶接対象物との位置決めをすることができる。これにより、溶接対象物に対する溶接を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の溶接作業装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す溶接作業装置の遠隔操作状態を示すイメージ図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す溶接作業装置の主要部のブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態において撮像部が回転された状態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態において表示装置に表示される画像である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態においてワイヤの先端の位置を検出する過程を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の溶接作業装置の第2実施形態を示す垂直断面側面図である。
【
図8】
図8は、本発明の溶接作業装置の第3実施形態を示す平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の溶接作業装置の第4実施形態を示す垂直断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の溶接作業装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下では、説明の都合上、
図1および
図4~
図9中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。また、説明の便宜上、互いに直交する(交差する)3軸をX軸、Y軸およびZ軸を設定する。一例として、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。
【0009】
<第1実施形態>
図1~
図6を参照して、本発明の溶接作業装置の第1実施形態について説明する。
作業装置(作業システム)1は、溶接作業に用いられる溶接作業装置である。作業装置1は、溶接車両10(
図1参照)と、遠隔操作装置2(
図2参照)と、表示装置3(
図2参照)と、制御装置4(
図3参照)とを備える。
【0010】
図1に示すように、溶接車両10は、水平に設置された鉄製の板材(鋼板)20上を矢印α方向に移動しながら、溶接対象であるワーク、すなわち、板材20同士を溶接する溶接ロボット(作業車両)である。溶接後、この板材20は、例えば、床として使用される。
溶接車両10は、車体11と、溶接装置12と、4つの車輪18と、各車輪18を回転駆動させる駆動部16とを備える車両である。
また、
図2、
図3に示すように、溶接車両10は、撮像部17を備える。
【0011】
車体11は、各車輪18(車輪本体)を回転可能に支持する回動支持部(支持部)13を有する。
また、各回動支持部13の外側には、駆動部16が固定されている。駆動部16は、例えばギアモータ(ギアードモータ)で構成され、車輪18に連結されている。そして、駆動部16が作動することにより、車輪18を回転させることができる。この回転により、溶接車両10は、板材20の表側の面(上面)を走行面201として、走行することができる。
なお、車輪18の配置数は、本実施形態では4つであるが、これに限定されない。
【0012】
車体11上には、溶接装置12が搭載されている。溶接装置12は、トーチ(溶接トーチ)14と、トーチ14を変位可能に支持する変位機構15とを備える。
トーチ14は、ワイヤ9を突出させて支持し、ワイヤ9を用いて板材20に対する溶接作業を行う溶接作業部である。トーチ14は、アーク放電によりアーク溶接を行うよう構成されている。このアーク溶接により、板材20同士を容易かつ強固に溶接することができる。
なお、溶接前の板材20同士の間には、溝202が形成される。そして、トーチ14でワイヤ9を溶融して、当該溶融された溶融物で溝202を埋めることにより、板材20同士が溶接される。
溝202は、板材20の用途にもよるが、例えば、全長が5m以上、幅が5mm程度、深さが10mm程度である。
また、本実施形態では、溝202の長手方向がX軸方向と平行であり、溝202の幅方向がY軸方向と平行であり、溝202の深さ方向がZ軸方向と平行でとなっている。
【0013】
変位機構15は、第1移動機構151と、第2移動機構152と、第3移動機構153と、回動機構(角度調整機構)154とを有する。
第1移動機構151は、トーチ14を車体11に対して、矢印α方向と平行な方向(X軸方向)に移動させる機構である。
【0014】
第1移動機構151には、第2移動機構152が連結されている。第2移動機構152は、トーチ14を車体11に対して、矢印α方向と直交する方向(Y軸方向)に移動させる機構である。
第2移動機構152には、第3移動機構153が連結されている。第3移動機構153は、トーチ14を車体11に対して、上下方向(Z軸方向)に移動させる機構である。
【0015】
第3移動機構153には、回動機構154が連結されている。回動機構154は、トーチ14を車体11に対して水平軸回りに回動させる機構である。
このような構成の変位機構15により、板材20同士の継ぎ目に対するトーチ14の位置および姿勢を適宜変更することができ、溶接を容易に行うことができる。
図2に示すように、回動機構154とトーチ14とを連結する連結部155には、連結部材171を介して、撮像部17が連結、支持されている。撮像部17は、例えばCMOSカメラやCCDカメラ等で構成され、少なくともワイヤ9の先端91が含まれる画像を撮像することができる。
【0016】
図2に示すように、遠隔操作装置2は、作業者(オペレータ)WKが溶接車両10から離れた別室等で、溶接車両10に対して遠隔操作を行う装置である。従って、作業装置1は、作業者WKの操作に溶接車両10が遅延なく追従するリーダフォロアシステムとなっている。なお、遠隔操作により、溶接作業を安全に行うことができる。
遠隔操作装置2は、作業者WKによって把持され、所望の方向に力を加えることができる遠隔操作部21を有する。
【0017】
作業者WKは、遠隔操作部21をX軸方向に力を加えて、操作すれば、変位機構15の第1移動機構151を介して、トーチ14をX軸方向に移動させることができる。
同様に、作業者WKは、遠隔操作部21をY軸方向に力を加えて、操作すれば、変位機構15の第2移動機構152を介して、トーチ14をY軸方向に移動させることができる。
また、作業者WKは、遠隔操作部21をZ軸方向に力を加えて、操作すれば、変位機構15の第3移動機構153を介して、トーチ14をZ軸方向に移動させることができる。
このように、遠隔操作部21は、変位機構15を作動させて、トーチ14をX軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とに移動させ得る遠隔操作を行うことができる。遠隔操作部21としては、特に限定されず、例えば、ジョイスティック等を用いることができる。
【0018】
また、作業装置1では、溶接車両10および遠隔操作装置2とともに表示装置3も用いられる。
図3に示すように、表示装置3は、表示部31を有する。表示部31は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成され、撮像部17で撮像された画像を表示することができる。作業者WKは、表示部31に表示された画像を視認しながら、遠隔操作を行うことができる。
【0019】
制御装置4は、例えばパーソナルコンピュータで構成される。制御装置4は、溶接車両10、遠隔操作装置2および表示装置3と電気的に接続されており、これらの作動を制御することができる。なお、「電気的な接続」とは、無線による接続、有線による接続のいずれもでもよい。
制御装置4は、CPU41と、記憶部42と、送信部43とを有する。
CPU41は、記憶部42に記憶されているプログラム等を実行することができる。
送信部43は、遠隔操作装置2からの入力信号、すなわち、命令を溶接車両10の受信部101に送信することできる。そして、受信部101は、遠隔操作装置2からの入力信号を受信することができる。これにより、入力信号どおりに溶接車両10を遠隔操作することができる。
【0020】
前述したように、トーチ14は、ワイヤ9を突出させて支持し、ワイヤ9を用いて板材20に対する溶接作業を行うことができる。
ワイヤ9は、溶接により溶融して消耗されていくため、ワイヤ9の先端91は、時々刻々と位置が変化する。なお、ワイヤ9は、溶接によって消耗された分、ワイヤ9の供給元からトーチ14に向かって所定の供給速度で送り出される。
そして、例えば、連続した1回の溶接が完了してから、次の溶接を開始する際には、トーチ14からのワイヤ9の突出量を調整して、その溶接を行う。なお、ワイヤ9の突出量は、適宜変更される。
【0021】
また、ワイヤ9の直径は、例えば1.2mm程度であるため、
図2に示すように、トーチ14から突出したワイヤ9は、湾曲した状態となる。この湾曲形状は、ワイヤ9の性質上、常に一定には定まらない。
このように、作業装置1では、ワイヤ9の先端91が溶接に伴って位置が変化することと、ワイヤ9の突出量が適宜調整されることと、ワイヤ9が湾曲形状をなすことと等の諸条件によって、溶接開始時の先端91の3次元上の位置は、常に一定には定まらない。
そのため、作業者WKは、溶接開始する際に先端91の3次元上の位置を把握できていないと、先端91と板材20との位置決めをすることができず、結果、板材20に対する溶接を正確に行うことができない。
【0022】
そこで、作業装置1では、このような不具合を解消するよう構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
作業装置1では、撮像部17は、トーチ14から突出したワイヤ9の先端91の3次元上の位置を検出する検出部8として機能する。
また、連結部155には、撮像部17の撮像方向を変更する撮像方向変更部5が内蔵されている。撮像方向変更部5は、例えばモータ等で構成され、
図4に示すように、撮像部17をワイヤ9の先端91回りに回転可能に支持することができる。この回転により、撮像部17の撮像方向を変更することができ、異なる撮像方向からの画像が複数得られる。
【0023】
そして、制御装置4のCPU41は、例えば各画像に対して二値化処理を行い、各画像でのワイヤ9の先端91を抽出する。次いで、CPU41は、この抽出結果に基づいて、先端91の3次元上の位置を演算し、座標(X91、Y91、Z91)として検出する。
なお、
図5に示すように、表示部31には、先端91の3次元上の位置が、座標(X91、Y91、Z91)で表示されてもよい。
これにより、作業者WKは、ワイヤ9の先端91の3次元上の位置を把握して、先端91と板材20との位置決めをすることができる。その結果、板材20に対する溶接を正確に行うことができる。
なお、撮像部17の回転中心は、先端91が好ましいが、前述したように先端91の位置は常に一定には定まらないため、連結部155の中心軸O155であってもよい(
図2参照)。
【0024】
また、連結部155には、撮像方向変更部5よりも下方に、トーチ回転支持部6が内蔵されている。トーチ回転支持部6は、例えばモータ等で構成され、トーチ14をワイヤ9ごとワイヤ9の先端91回りに回転可能に支持することができる。
なお、トーチ14の回転中心は、先端91が好ましいが、撮像部17の回転中心と同様に、連結部155の中心軸O155とすることができる。
例えば、
図4に示すように、撮像部17を「θ」の回転角度で回転させた場合を考えてみる。この場合、トーチ14も撮像部17ともに回転角度θで回転してしまうと、撮像部17で撮像された複数の画像は、いずれも、ワイヤ9の先端91に対して同じ方向からの画像となってしまう。
【0025】
そのため、撮像部17を回転角度θで回転させた際には、トーチ回転支持部6によって、トーチ14を「-θ」の回転角度で回転させる。これにより、撮像部17で撮像された複数の画像は、互いに異なる撮像方向からの画像となる。
そして、前述したように、各画像に対して二値化処理を行い、各画像でのワイヤ9の先端91を抽出すれば、先端91の3次元上の位置を、座標(X91、Y91、Z91)として検出することができる。
【0026】
また、撮像部17は、トーチ14から突出したワイヤ9の3次元上の形状(姿勢)を検出することもできる。この検出方法としては、例えば、撮像部17で撮像された、異なる撮像方向からの複数の画像に対して二値化処理を行い、各画像でのワイヤ9を抽出する。次いで、この抽出結果に基づいて、ワイヤ9の3次元上の形状を構築していけば、結果として、ワイヤ9の3次元上の形状を検出することができる。
そして、ワイヤ9の先端91の3次元上の位置検出と、ワイヤ9の3次元上の形状検出との相乗効果により、先端91と板材20との位置決めをより正確に行うことができる。これにより、溶接作業の正確性を向上させることができる。
【0027】
次に、回転により2つの位置(第1位置および第2位置)に変位した撮像部17によって、ワイヤ9の先端91の位置を検出する、より具体的な方法(一例)について、
図6を参照しつつ説明する。なお、本方法は、株式会社アイディール、[令和3年2月7日検索]、インターネット〈https://eyedeal.co.jp/img/stereo_algorithm1.pdf〉に開示された方法である(以下この文献を「参考文献」という)。
本方法では、まず、対象物(ワイヤ9)の座標系をΣw、第1位置での撮像部17(以下「カメラ1と言う」)のカメラ座標系をΣc1、その画像座標系をΣu1、第2位置での撮像部17(以下「カメラ2と言う」)のカメラ座標系をΣc2、その画像座標系をΣu1として割り付ける。
【0028】
なお、座標系Σw上における3次元点(ワイヤ9の先端91の3次元位置)wqに対して、カメラ1で投影した座標をu1qを、カメラ2で投影した座標をu2qとする。
この場合、
s1×u1q=u1Pw×wq ・・・ (1)
s2×u2q=u2Pw×wq ・・・ (2)
なる関係を満足する。
u1Pwおよびu2Pwは、それぞれ、投影変換行列である。
そして、u1q、u2qを入力して、wqを求めるが、このとき、s1、s2を消去しつつ、未知情報と既知情報とを整理して、式(1)と式(2)とをまとめる。なお、未知情報は、wqの転置行列であり、それ以外が既知情報となる。
式(1)と式(2)とをまとめた式が下記の式である。
B×wq=b ・・・ (3)
B、bは、それぞれ、所定の行列である(上記参考文献参照)。
【0029】
式(3)において、一般化逆行列を用いることにより、
wq=(BT×B)-1×BT×b
となり、wqを求めることができる。これにより、ワイヤ9の先端91の3次元位置を検出することができる。
【0030】
<第2実施形態>
以下、
図7を参照して本発明の溶接作業装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図7に示すように、連結部155には、連結部155から突出した連結部156を介して、トーチ14が連結、固定されている。
また、トーチ14よりも下方には、撮像部17が配置されている。これにより、トーチ回転支持部6を省略しても、撮像部17を回転角度θで回転させれば、ワイヤ9に対して、互いに異なる撮像方向からの画像を撮像することができる。そして、前述した画像処理により、ワイヤ9の先端91の3次元上の位置を検出することができる。
【0031】
<第3実施形態>
以下、
図8を参照して本発明の溶接作業装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態では、撮像部17は、2つ設けられている。以下では、一方の撮像部17を「撮像部17A」と言い、他方の撮像部17を「撮像部17B」と言う。
撮像部17Aは、X軸方向正側から撮像することができ、撮像部17Bは、Y軸方向正側から撮像することができる。このように、本実施形態では、撮像部17Aと撮像部17Bとは、撮像方向が互いに異なる。これにより、ワイヤ9に対して、互いに異なる撮像方向からの画像を撮像することができる。そして、前述した画像処理により、ワイヤ9の先端91の3次元上の位置を検出することができる。
なお、撮像部17の設置数は、本実施形態では2つであるが、これに限定されず、例えば、3つ以上であってもよい。
【0032】
<第4実施形態>
以下、
図9を参照して本発明の溶接作業装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説の説明し、同様の事項はその説明を省略する。
ワイヤ9の先端91の位置を検出する検出部8は、前記各実施形態では撮像部17であったが、
図9に示すように、本実施形態では3次元センサ81を有するものである。
なお、3次元センサ81としては、例えば、2つのカメラを用いるステレオカメラ方式、赤外線を照射するカメラを用いるTоF(Time of Flight)カメラ方式のもの等が挙げられる。
このような3次元センサ81を用いることにより、撮像部17を用いた場合に比べて、前記画像処理を省略することができ、よて、先端91の3次元上の位置を迅速に検出することができる。
【0033】
以上、本発明の溶接作業装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、溶接作業装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の溶接作業装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、検出部8として、例えば、単眼カメラを用いた場合、制御装置4で、深層学習(ディープラーニング)は機械学習等を行うことにより、ワイヤ9の先端91の3次元位置を推定することもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 作業装置(作業システム)
2 遠隔操作装置
21 遠隔操作部
3 表示装置
31 表示部
4 制御装置
41 CPU
42 記憶部
43 送信部
5 撮像方向変更部
6 トーチ回転支持部
8 検出部
9 ワイヤ
91 先端
10 溶接車両
101 受信部
11 車体
12 溶接装置
13 回動支持部(支持部)
14 溶接トーチ
15 変位機構
151 第1移動機構
152 第2移動機構
153 第3移動機構
154 回動機構(角度調整機構)
155 連結部
156 連結部
16 駆動部
17 撮像部
17A 撮像部
17B 撮像部
171 連結部材
18 車輪
19 レーザ光照射部
20 板材(鋼板)
201 走行面
202 溝
O155 中心軸
WK 作業者(オペレータ)
α 矢印