(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】屈曲構造体
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20241004BHJP
B25J 18/06 20060101ALI20241004BHJP
F16G 9/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B25J17/00 G
B25J18/06
F16G9/00
(21)【出願番号】P 2021035244
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】保戸田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 悠暉
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/194317(WO,A1)
【文献】特表2016-528946(JP,A)
【文献】特表2017-512659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0148759(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0352728(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122071(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0255410(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0114293(US,A1)
【文献】国際公開第2020/036081(WO,A1)
【文献】特開2003-126024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
F16G 9/00
A61B 34/00 - 34/37
A61B 1/005- 1/01
A61B 17/00 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性的に屈曲可能な第1屈曲部及び第2屈曲部と、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部間を接続し前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部よりも曲げ剛性が高い接続部と、
前記第1屈曲部に取り付けられると共に前記第1屈曲部、前記接続部、及び前記第2屈曲部を挿通して、前記第2屈曲部側での引張りによって前記第1屈曲部を屈曲可能とする複数の第1索状部材とを備え、
前記複数の第1索状部材は、それぞれ、前記接続部内で分割されて周方向に分散し該分散した状態で前記第2屈曲部を挿通する複数の分割部を備えた、
屈曲構造体。
【請求項2】
請求項1記載の屈曲構造体であって、
前記分割部は、前記第2屈曲部を挿通する際に周方向に等間隔で配置された、
屈曲構造体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の屈曲構造体であって、
前記分割部は、各第1索状部材に対して偶数本設けられ、前記第2屈曲部を挿通する際に前記第2屈曲部の中心に対して相互に対称に配置された、
屈曲構造体。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の屈曲構造体であって、
前記分割部は、前記第2屈曲部を挿通する際に前記第1屈曲部内の前記第1索状部材の本体部に対して周方向にずれている、
屈曲構造体。
【請求項5】
請求項4記載の屈曲構造体であって、
前記周方向のずれ量は、90度である、
屈曲構造体。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の屈曲構造体であって、
同一の前記第1索状部材の前記分割部は、前記第2屈曲部から前記引張りのために引き出され該第2屈曲部から引き出された部分が相互に接続されたループ状のループ部を構成する、
屈曲構造体。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の屈曲構造体であって、
前記第2屈曲部に取り付けられると共に前記第2屈曲部を挿通し、引張りによって前記第2屈曲部を屈曲可能とする複数の第2索状部材を備えた、
屈曲構造体。
【請求項8】
請求項7記載の屈曲構造体であって、
前記分割部は、前記第2屈曲部を挿通する際に前記第2索状部材の挿通経路を挿通する、
屈曲構造体。
【請求項9】
弾性的に屈曲可能な第1屈曲部及び第2屈曲部と、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部間を接続し前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部よりも曲げ剛性が高い接続部と、
前記第1屈曲部に取り付けられると共に前記第1屈曲部、前記接続部、及び前記第2屈曲部を挿通し、前記第2屈曲部側での引張りによって前記第1屈曲部を屈曲可能とする複数の第1索状部材と、
前記第2屈曲部に取り付けられると共に前記第2屈曲部を挿通し、前記第1屈曲部の屈曲時に対応する第1索状部材と共に引張られて前記第2屈曲部の屈曲を抑制する複数の第3索状部材とを備え
、
各第1索状部材と該第1索状部材に対応する第3索状部材は、前記第2屈曲部を挿通する部分間が接続された一本の索状体である、
屈曲構造体。
【請求項10】
請求項9記載の屈曲構造体であって、
各第1索状部材及び該第1索状部材に対応する第3索状部材は、前記第2屈曲部を挿通する際に前記第2屈曲部の中心を挟んだ反対側に位置する、
屈曲構造体。
【請求項11】
請求項10記載の屈曲構造体であって、
各第1索状部材及び該第1索状部材に対応する第3索状部材は、前記第2屈曲部を挿通する際に前記第2屈曲部の中心に対して相互に対称に配置された、
屈曲構造体。
【請求項12】
弾性的に屈曲可能な第1屈曲部及び第2屈曲部と、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部間を接続し前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部よりも曲げ剛性が高い接続部と、
前記第1屈曲部に取り付けられると共に前記第1屈曲部、前記接続部、及び前記第2屈曲部を挿通し、前記第2屈曲部側での引張りによって前記第1屈曲部を屈曲可能とする複数の第1索状部材と、
前記第2屈曲部に取り付けられると共に前記第2屈曲部を挿通し、前記第1屈曲部の屈曲時に対応する第1索状部材と共に引張られて前記第2屈曲部の屈曲を抑制する複数の第3索状部材とを備え、
各第1索状部材は、前記第2屈曲部を挿通する部分が前記第1屈曲部を挿通する部分に対して周方向にずれ、
前記第3索状部材は、前記第2屈曲部を挿通する際に前記第1屈曲部内の前記対応する第1索状部材に対して周方向にずれている、
屈曲構造体。
【請求項13】
請求項12記載の屈曲構造体であって、
前記周方向のずれ量は、90度である、
屈曲構造体。
【請求項14】
弾性的に屈曲可能な第1屈曲部及び第2屈曲部と、
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部間を接続し前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部よりも曲げ剛性が高い接続部と、
前記第1屈曲部に取り付けられると共に前記第1屈曲部、前記接続部、及び前記第2屈曲部を挿通し、前記第2屈曲部側での引張りによって前記第1屈曲部を屈曲可能とする複数の第1索状部材と、
前記第2屈曲部に取り付けられると共に前記第2屈曲部を挿通し、前記第1屈曲部の屈曲時に対応する第1索状部材と共に引張られて前記第2屈曲部の屈曲を抑制する複数の第3索状部材とを備え、
各第1索状部材及び該第1索状部材に対応する第3索状部材は、前記第2屈曲部から前記引張りのために引き出され該第2屈曲部から引き出された部分が相互に接続されたループ状のループ部を構成する、
屈曲構造体。
【請求項15】
請求項9~14の何れか一項に記載の屈曲構造体であって、
前記第2屈曲部に取り付けられると共に前記第2屈曲部を挿通し、引張りによって前記第2屈曲部を屈曲可能とする複数の第2索状部材を備えた、
屈曲構造体。
【請求項16】
請求項15記載の屈曲構造体であって、
前記第1索状部材及び前記第3索状部材は、前記第2屈曲部を挿通する際に前記第2索状部材の挿通経路を挿通する、
屈曲構造体。
【請求項17】
請求項6又は14記載の屈曲構造体であって、
前記ループ部に対して非固定の前記ループ部を引張るための操作部を備えた、
屈曲構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットやマニピュレーター等の関節機能部に供される屈曲構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の屈曲構造体としては、例えば、特許文献1のように多関節のものがある。
【0003】
この屈曲構造体は、複数の湾曲駒を回動自在に連結すると共に最先端の湾曲駒に操作ワイヤーを接続し、操作ワイヤーの押し引きによって全体を屈曲させるようになっている。
【0004】
そして、操作ワイヤーによる湾曲操作時に湾曲駒が先端側から優先的に曲がり始めるように、基端側に反発力付与手段が設けられている。
【0005】
しかし、かかる構造では、先端側の湾曲駒と共に基端側の湾曲駒も屈曲してしまうため、操作性を悪化させる要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、多関節の屈曲構造体における操作性の低下である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、弾性的に屈曲可能な第1屈曲部及び第2屈曲部と、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部間を接続し前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部よりも曲げ剛性が高い接続部と、前記第1屈曲部に取り付けられると共に前記第1屈曲部、前記接続部、及び前記第2屈曲部を挿通し、前記第2屈曲部側での引張りによって前記第1屈曲部を屈曲可能とする複数の第1索状部材とを備え、前記複数の第1索状部材は、それぞれ前記接続部内で分割されて周方向に分散し該分散した状態で前記第2屈曲部を挿通する複数の分割部を備えた屈曲構造体を提供する。
【0009】
また、本発明は、弾性的に屈曲可能な第1屈曲部及び第2屈曲部と、前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部間を接続し前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部よりも曲げ剛性が高い接続部と、前記第1屈曲部に取り付けられると共に前記第1屈曲部、前記接続部、及び前記第2屈曲部を挿通し、前記第2屈曲部側での引張りによって前記第1屈曲部を屈曲可能とする複数の第1索状部材と、前記第2屈曲部に取り付けられると共に前記第2屈曲部を挿通し、前記第1屈曲部の屈曲時に対応する第1索状部材と共に引張られて前記第2屈曲部の屈曲を抑制する複数の第3索状部材とを備え、各第1索状部材と該第1索状部材に対応する第3索状部材は、前記第2屈曲部を挿通する部分間が接続された一本の索状体である、屈曲構造体を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1屈曲部を屈曲させても、第2屈曲部の屈曲を抑制することができ、多関節の屈曲構造体の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係る屈曲構造体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の屈曲構造体の一部を省略した斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の屈曲構造体の第1索状部材及び第2索状部材の挿通状態を示す概念図である。
【
図5】
図5(A)及び(B)は、それぞれ
図1の屈曲構造体の第1屈曲部及び第2屈曲部における第1索状部材の挿通位置を示す概略図である。
【
図6】
図6(A)及び(B)は、それぞれ変形例に係る屈曲構造体の第1屈曲部及び第2屈曲部における第1索状部材の挿通位置を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第1屈曲部の屈曲時を示す概念図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2に係る屈曲構造体の第1索状部材、第2索状部材、及び第3索状部材の挿通状態を示す概念図である。
【
図9】
図9は、第1屈曲部の屈曲時を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多関節の屈曲構造体において操作性を向上させるという目的を、第1屈曲部を引張りによって屈曲させる第1索状部材を、複数の分割部に分割して周方向に分散した状態で第2屈曲部を挿通することで実現した。
【0013】
すなわち、屈曲構造体(1)は、第1屈曲部(3)及び第2屈曲部(5)と、接続部(7)と、複数の第1索状部材(9)とを備える。第1屈曲部(3)及び第2屈曲部(5)は、弾性的に屈曲可能な部材である。接続部(7)は、第1屈曲部(3)及び第2屈曲部(5)間を接続し、第1屈曲部(3)及び第2屈曲部(5)よりも曲げ剛性が高い部材である。複数の第1索状部材(9)は、第1屈曲部(3)に取り付けられると共に第1屈曲部(3)、接続部(7)、及び第2屈曲部(5)を挿通し、第2屈曲部(5)側での引張りによって第1屈曲部(3)を屈曲可能とする。複数の第1索状部材(9)は、それぞれ接続部(7)内で分割されて周方向に分散し、分散した状態で第2屈曲部(5)を挿通する複数の分割部(37)を備えている。
【0014】
分割部(37)は、第2屈曲部(5)を挿通する際に周方向に等間隔で配置するのが好ましい。さらに好ましくは、分割部(37)は、各第1索状部材(9)に対して偶数本設けられ、第2屈曲部(5)を挿通する際に第2屈曲部(5)の中心に対して相互に対称に配置される。
【0015】
また、分割部(37)は、第2屈曲部(5)を挿通する際に第1屈曲部(3)内の第1索状部材(9)の本体部(33)に対して周方向にずれるのが好ましい。この周方向へのずれ量は、好ましくは90度である。
【0016】
同一の第1索状部材(9)の分割部(37)は、第2屈曲部(5)から引張りのために引き出され、この第2屈曲部(5)から引き出された部分が、相互に接続されたループ状のループ部(39)を構成してもよい。
【0017】
この場合、屈曲構造体(1)は、ループ部(39)に対して非固定のループ部(39)を引張るための操作部(43)を備えてもよい。
【0018】
第2屈曲部(5)を屈曲操作する場合は、第2屈曲部(5)に取り付けられると共に第2屈曲部(5)を挿通し、引張りによって第2屈曲部(5)を屈曲可能とする複数の第2索状部材(11)を備える。
【0019】
この場合、分割部(37)は、第2屈曲部(5)を挿通する際に第2索状部材(11)の挿通経路を挿通してもよい。
【0020】
また、屈曲構造体(1)は、第1索状部材(9)が分割部(37)を有さない形態としてもよい。この場合、屈曲構造体(1)は、第3索状部材(45)を備える。
【0021】
第1索状部材(9)は、第1屈曲部(3)に取り付けられて、分割部(37)を有さずに第1屈曲部(3)、接続部(7)、及び第2屈曲部(5)を挿通する。この第1索状部材(9)は、第2屈曲部(5)側での引張りによって第1屈曲部(3)を屈曲可能とする。第3索状部材(45)は、第2屈曲部(5)に取り付けられると共に第2屈曲部(5)を挿通し、第1屈曲部(3)の屈曲時に対応する第1索状部材(9)と共に引張られて第2屈曲部(5)の屈曲を抑制する。
【0022】
各第1索状部材(9)及びこの第1索状部材(9)に対応する第3索状部材(45)は、第2屈曲部(5)を挿通する際に第2屈曲部(5)の中心を挟んだ反対側に位置するのが好ましい。さらに好ましくは、各第1索状部材(9)及びこの第1索状部材(9)に対応する第3索状部材(45)は、第2屈曲部(5)を挿通する際に第2屈曲部(5)の中心に対して相互に対称に配置される。
【0023】
各第1索状部材(9)は、第2屈曲部(5)を挿通する部分が第1屈曲部(3)を挿通する部分に対して周方向にずれ、第3索状部材(45)は、第2屈曲部(5)を挿通する際に第1屈曲部(3)内の対応する第1索状部材(9)に対して周方向にずれているのが好ましい。この周方向へのずれ量は、好ましくは90度である。
【0024】
各第1索状部材(9)及びこの第1索状部材(9)に対応する第3索状部材(45)は、第2屈曲部(5)から引張りのために引き出され、この第2屈曲部(5)から引き出された部分が相互に接続されたループ状のループ部(39)を構成してもよい。
【0025】
この場合、屈曲構造体(1)は、上記同様、操作部(43)を備えてもよい。
【0026】
また、分割部(37)を有さない形態においても、屈曲構造体(1)は、複数の第2索状部材(11)を備えてもよい。
【0027】
この場合、第1索状部材(9)及び第3索状部材(45)は、第2屈曲部(5)を挿通する際に、第2索状部材(11)の挿通経路を挿通してもよい。
【実施例1】
【0028】
[屈曲構造体]
図1は、本発明の実施例1に係る屈曲構造体を示す斜視図である。
図2は、屈曲構造体の一部を省略した斜視図である。
図3は、屈曲構造体の縦断面図である。なお、
図1~
図3では、第2索状部材の図示を省略している。
【0029】
屈曲構造体1は、マニピュレーター、ロボット、アクチュエーターのような医療用や産業用等の各種の機器の関節機能部に適用されるものである。関節機能部は、屈曲・伸展する関節としての機能を有する装置、機構、デバイス等である。
【0030】
本実施例の屈曲構造体1は、多関節であり、第1屈曲部3及び第2屈曲部5と、接続部7と、複数の第1索状部材9及び第2索状部材11とを備えている。
【0031】
第1屈曲部3及び第2屈曲部5は、関節として弾性的に屈曲及び伸展可能な部材である。屈曲及び伸展とは、屈曲構造体1の軸心に沿った方向(以下、軸方向と称する)に対して屈曲及び伸展することをいう。なお、軸方向は、屈曲構造体1の軸心に厳密に沿っている必要はない。
【0032】
第1屈曲部3は、接続部7に接続された屈曲部のうち、先端側の屈曲部であり、第2屈曲部5は、接続部7に接続された屈曲部のうち、基端側の屈曲部である。屈曲構造体1は、三つ以上の屈曲部を有することも可能であるが、その場合も、接続部7に対する先端側が第1屈曲部3、基端側が第2屈曲部5となる。先端及び基端は、屈曲構造体1の軸方向の先端及び基端である。
【0033】
かかる第1屈曲部3及び第2屈曲部5は、コイルばね、ベローズ、複数のウェーブワッシャーを積層したもの、複数のユニットを積層して関節構造としたもの、リンク機構等のように、平面視における360度全方位へ屈曲可能なものが好ましい。
【0034】
本実施例の第1屈曲部3及び第2屈曲部5は、基部13と、可動部15と、内筒17と、外筒19とを備えて構成されている。なお、第1屈曲部3及び第2屈曲部5は基本的に同一構成であるため、第1屈曲部3についてのみ説明する。第2屈曲部5については、第1屈曲部3との相違部分のみを必要に応じて説明する。
【0035】
基部13は、樹脂や金属等によって形成された柱状体、例えば円柱状体である。この基部13は、接続部7の一端に取り付けられている。なお、第2屈曲部5の基部13は、屈曲構造体1が適用される機器側に取り付けられる。基部13は、柱状体に限られず、屈曲構造体1が適用される機器に応じて適宜の形態とすることが可能である。
【0036】
可動部15は、基部13と同様、樹脂や金属等によって形成された柱状体、例えば円柱状体である。可動部15には、屈曲構造体1が適用される機器に応じたエンドエフェクタ等が取り付けられる。第2屈曲部5の可動部15は、接続部7の他端に取り付けられている。なお、可動部15も、屈曲構造体1が適用される機器に応じて適宜の形態とされ、柱状体に限られない。
【0037】
かかる可動部15は、内筒17及び外筒19によって軸方向に対して変位可能に基部13に支持されている。なお、内筒17及び外筒19の一方は省略することも可能である。
【0038】
内筒17は、軸方向に沿って配置されている。この内筒17は、軸方向に対して弾性的に屈曲及び伸展が可能な二重コイルであり、内コイル部21と、外コイル部23とを備えている。なお、内筒17は、二重コイルではなく、単一の密着コイルばね等によって構成してもよい。
【0039】
内コイル部21及び外コイル部23は、それぞれ金属や樹脂等からなり、軸方向に対して屈曲可能な弾性を有するコイルばねである。内コイル部21は、外コイル部23よりも小さい中心径を有し、外コイル部23内に螺合されている。
【0040】
かかる二重コイル形状の内筒17は、全体として軸方向に対して屈曲可能であって、軸心の長さが屈曲前後及び屈曲中においてほぼ一定となっている。すなわち、外力により屈曲する際に、内筒17は、屈曲の内側が収縮しかつ屈曲の外側が伸長することにより、非屈曲時に対して軸心の長さが変化しないようになっている。また、内筒17は、軸方向への圧縮を内コイル部21及び外コイル部23が相互に規制する構成となっている。
【0041】
外筒19は、内筒17と同心に配置され、内筒17の外周を覆う筒体である。本実施例の外筒19は、複数のウェーブワッシャー25を軸方向で積層して構成されている。この外筒19は、ウェーブワッシャー25の弾性変形により屈曲可能となっている。
【0042】
なお、外筒19は、ウェーブワッシャー25を積層したものに限られず、他の可撓性部材によって構成することが可能である。例えば、外筒19は、断面波形状の管体からなるベローズや内筒17と同様の二重コイルによって構成すること等が可能である。
【0043】
接続部7は、第1屈曲部3及び第2屈曲部5間を接続し、第1屈曲部3及び第2屈曲部5よりも曲げ剛性が高い部材である。曲げ剛性は、第1屈曲部3及び第2屈曲部5の屈曲に対する剛性をいう。この接続部7は、第1屈曲部3及び第2屈曲部5を接続することで、多関節の一つの部材を構成する。
【0044】
接続部7は、第1屈曲部3及び第2屈曲部5を接続するものであれば、屈曲構造体1が適用される機器に応じた適宜の部材を用いればよい。
【0045】
本実施例の接続部7は、金属等によって中空筒状、例えば円筒状に形成されている。接続部7の両端には、第1屈曲部3の基部13と第2屈曲部5の可動部15とがそれぞれ接続されている。なお、接続は、嵌合、溶接、接着等の適宜の手法で行えばよい。
【0046】
図4は、屈曲構造体の第1索状部材及び第2索状部材の挿通状態を示す概念図である。
図5(A)及び(B)は、それぞれ屈曲構造体の第1屈曲部及び第2屈曲部における第1索状部材の挿通位置を示す概略図である。
【0047】
複数の第1索状部材9は、第1屈曲部3に取り付けられ、第2屈曲部5側での引張りによって第1屈曲部3を屈曲可能とする。複数の第2索状部材11は、第2屈曲部5に取り付けられ、引張りによって第2屈曲部5を屈曲可能とする。
【0048】
第1索状部材9の第1屈曲部3への取り付け位置は、第1屈曲部3の先端側の端部が好ましいが、屈曲構造体1が適用される機器等に応じて端部間の中間部等とすることも可能である。
【0049】
第2索状部材11の第2屈曲部5への取り付け位置も、同様に先端側の端部が好ましいが、屈曲構造体1が適用される機器等に応じて端部間の中間部等とすることも可能である。
【0050】
第1索状部材9及び第2索状部材11は、それぞれ周方向90度毎に4本備えられている。これにより、第1屈曲部3及び第2屈曲部5を、平面視における360度全方位で屈曲させることを可能とする。なお、第1索状部材9及び第2索状部材11の数は、3本等としてもよい。
【0051】
第1索状部材9及び第2索状部材11としては、第1屈曲部3及び第2屈曲部5を引張ることが可能な索状体であれば、ワイヤー、単線、撚り線、ピアノ線、多関節ロッド、鎖、紐、糸、縄等の適宜のものを採用すればよい。材質も、同様に、ステンレス鋼、NiTi(ニッケルチタン)、炭素鋼等の金属等のように適宜のものを採用すればよい。
【0052】
複数の第1索状部材9は、それぞれ第1屈曲部3、接続部7、及び第2屈曲部5を挿通して第2屈曲部5から引張りのために引き出されている。挿通は、第1屈曲部3及び第2屈曲部5において可動部15、外筒19、及び基部13にわたって設けられた挿通孔27により行われ、接続部7において内部空間29により行われる。引き出しは、少なくとも第2屈曲部5の屈曲範囲から引き出すことである。屈曲範囲は、屈曲動作を行う範囲をいい、本実施例において基部13と可動部15との間である。なお、本実施例の第1索状部材9は、第2屈曲部5外へと引き出されている。
【0053】
本実施例の第1索状部材9は、一本の索状体を折り返したループ状となっている。なお、第1索状部材9は、複数の別体の索状体によって構成してもよい。
【0054】
第1屈曲部3内において、第1索状部材9の本体部33は、折り返した索状体の両端部が束ねられて一本として構成されている。この第1索状部材9の本体部33は、索状体を束ねた状態のまま第1屈曲部3内を挿通している。なお、本体部33では、束ねられた索状体が相互に並行であっても撚ったものであってもよい。
【0055】
束ねられた索状体の端部は、スリーブ等からなるカシメ部35によって相互に結合されている。このカシメ部35が第1屈曲部3の可動部15に係合し、第1索状部材9が第1屈曲部3に取り付けられる。
【0056】
第1索状部材9は、接続部7内において、束ねられた索状体が分割されて周方向に分散した分割部37を備えている。分割部37は、分散した状態で第2屈曲部5を挿通する。分割部37の分散とは、周方向に散らばった状態を意味し、偏っていないことを意味する。
【0057】
分割部37の周方向への散らばりは、第2屈曲部5を挿通する際に周方向に等間隔で分割部37を配置することで行うのが好ましい。さらに好ましくは、分割部37は、本実施例のように2本(偶数本)設けられ、第2屈曲部5を挿通する際に第2屈曲部5の中心に対して相互に対称に配置される。なお、分割部37は、偶数本である限り、第2屈曲部5の中心に対して相互に対称に配置することが可能である。
【0058】
ただし、分割部37の数は、3本等のように奇数であってもよい。分割部37を奇数とする場合は、第2屈曲部5を挿通する際に周方向に等間隔に分割部37を配置する。
【0059】
また、本実施例の分割部37は、第2屈曲部5を挿通する際に第1屈曲部3内の第1索状部材9の本体部33に対して周方向にずれる。この分割部37の本体部33に対するずれは、少なくとも軸方向で本体部33と分割部37との間で重なる部分がないようにして行われる。本実施例において、分割部37は、本体部33に対して周方向に90度ずれている。
【0060】
なお、
図6(A)及び(B)のように、分割部37のうちの一つが、第2屈曲部5を挿通する際に本体部33と周方向でずれずに一致してもよい。
図6(A)及び(B)は、それぞれ変形例に係る屈曲構造体1の第1屈曲部3及び第2屈曲部5における第1索状部材9の挿通位置を示す概略図である。
【0061】
また、本実施例の分割部37は、第2屈曲部5から引き出された部分が、相互に接続されたループ状のループ部39となっている。このループ部39は、全体としてループ状の一本の第1索状部材9の中間部付近からなる。なお、分割部37の第2屈曲部5から引き出された部分は、ループ状とせずに、相互に分離したものとしてもよい。
【0062】
複数の第2索状部材11は、それぞれ一本の索状体で構成されている。第2索状部材11は、先端側の端部にスリーブ等からなるカシメ部41が形成されている。このカシメ部41が第2屈曲部5の可動部15に係合し、第2索状部材11が第2屈曲部5に取り付けられる。
【0063】
第2索状部材11は、第2屈曲部5を挿通して第2屈曲部5から引張りのために引き出されている。第2索状部材11の第2屈曲部5から引き出された部分は、ループ状とすることなく、相互に分離している。
【0064】
なお、3つ以上の関節を有する場合は、第2屈曲部5がより基端側の屈曲部に対する第1屈曲部となるため、第2索状部材11が分割部37を有すると共にループ状とするのが好ましい。
【0065】
第2索状部材11の挿通は、第1索状部材9の分割部37と同様、第2屈曲部5の挿通孔27によって行われる。
【0066】
このため、第2屈曲部5での分割部37の挿通は、第2索状部材11の挿通経路により行われる構成となっている。ただし、第2屈曲部5に分割部37用の挿通経路を別途確保してもよい。
【0067】
また、屈曲構造体1は、第2屈曲部5を操作しない態様にも適用可能であり、この場合、複数の第2索状部材11は省略される。
【0068】
[動作]
図7は、第1屈曲部3の屈曲時を示す概念図である。なお、
図7では、理解容易のため、単一の第1索状部材9及び単一の第2索状部材11のみを示している。
【0069】
本実施例の屈曲構造体1は、操作者が何れか一つ又は複数の第1索状部材9を引張ることで、第1屈曲部3を360度全方位の何れかに向けて屈曲させることができる。
【0070】
第1索状部材9を引張る時には、
図7のように、ループ部39が引張られる。このとき、ループ部39を引張るための操作部43は、滑車やループ部39に摺動可能な部材等で構成され、ループ部39に固定されていないものとする。
【0071】
従って、屈曲構造体1は、ループ部39に対して非固定のループ部39を引張るための操作部43を備えた構成となっている。非固定とは、ループ部39の特定箇所に固定されていないことであり、操作部43によるループ部39の引張箇所が変位可能な状態である。なお、第1索状部材9の分割部37が分離した構成の場合は、それら分割部37を同期してそれぞれ引張ればよい。
【0072】
これにより、複数の分割部37をまとめて引張ることができると共に全体としてループ状の第1索状部材9の中心を引張ることができる。このため、何れかの分割部37に引張力の偏りが生じるようなことがなく、円滑且つ確実に第1屈曲部3を屈曲させることができる。
【0073】
このとき、第2屈曲部5を通る第1索状部材9の分割部37が、第2屈曲部5の中心に対して相互に対称に配置されているため、分割部37が拮抗してバランスを保つ。これにより、第2屈曲部5の屈曲が抑制される。第2屈曲部5の屈曲の抑制は、第2屈曲部5の屈曲を防止する場合の他、第2屈曲部5が許容レベル等で屈曲する場合も含む。
【0074】
しかも、分割部37は、本体部33に対して周方向に90度ずれている。このため、分割部37は、第1屈曲部3の屈曲の中立軸の延長線上に配置されており、第2屈曲部5に対する第1屈曲部3の屈曲の影響を抑制できる。
【0075】
また、分割部37のずれにより、第1屈曲部3から第2屈曲部5にわたって、第1索状部材9が同軸上に引かれることが無い。従って、第2屈曲部5の屈曲がより確実に抑制される。
【0076】
従って、本実施例では、第1索状部材9を引くだけで第1屈曲部3のみを屈曲させることができる。このため、第2屈曲部5の屈曲を別途抑えることが不要であり、屈曲操作の簡略化、屈曲操作時の荷重の低減、第2屈曲部5の負荷の低減等を図ることができる。
【0077】
また、操作者が何れか一つ又は複数の第2索状部材11を引くことで、第2屈曲部5のみを360度全方位の何れかに向けて屈曲させることができる。
【0078】
このように、本実施例の屈曲構造体1では、第1索状部材9及び第2索状部材11を引くことで、第1屈曲部3及び第2屈曲部5を独立して屈曲させることができ、全体としての操作性を向上することができる。
【0079】
[実施例1の効果]
以上説明したように、本実施例では、弾性的に屈曲可能な第1屈曲部3及び第2屈曲部5と、第1屈曲部3及び第2屈曲部5間を接続し、第1屈曲部3及び第2屈曲部5よりも曲げ剛性が高い接続部7と、第1屈曲部3に取り付けられると共に第1屈曲部3、接続部7、及び第2屈曲部5を挿通し、第2屈曲部5側での引張りによって第1屈曲部3を屈曲可能とする複数の第1索状部材9を備える。
【0080】
複数の第1索状部材9は、それぞれ接続部7内で分割されて周方向に分散し、この分散した状態で第2屈曲部5を挿通する複数の分割部37を備える。
【0081】
従って、第1索状部材9を引張って第1屈曲部3を屈曲させる際には、第2屈曲部5を挿通する分割部37が、周方向に分散してバランスを保ち或いは第2屈曲部5を屈曲させる引張力を分散させるため、第2屈曲部5の屈曲が抑制される。
【0082】
このため、第1屈曲部3を屈曲させても、第2屈曲部5の屈曲を抑制することができ、多関節の屈曲構造体1の操作性を向上することができる。
【0083】
しかも、第1索状部材9を引くだけで、第2屈曲部5の屈曲を抑制しつつ第1屈曲部3を屈曲させることができるので、第2屈曲部5の屈曲を別途抑えることが不要となる。従って、本実施例では、屈曲操作の簡略化、屈曲操作時の荷重の低減、第2屈曲部5に作用する負荷の低減等を図ることができる。
【0084】
分割部37は、周方向に等間隔で配置されたため、第1屈曲部3の屈曲時に確実にバランスを保つことができ、確実に第2屈曲部5の屈曲を抑制できる。
【0085】
また、本実施例の分割部37は、各第1索状部材9に対して二本設けられ、第2屈曲部5を挿通する際に第2屈曲部5の中心に対して相互に対称に配置されている。
【0086】
このため、分割部37は、より確実にバランスを保つことができ、より確実に第2屈曲部5の屈曲を抑制できる。
【0087】
さらに、本実施例の分割部37は、第2屈曲部5を挿通する際に第1屈曲部3内の第1索状部材9の本体部33に対して周方向にずれている。
【0088】
従って、第1屈曲部3から第2屈曲部5にわたって第1索状部材9が同軸上に引かれることが無く、第2屈曲部5の屈曲がより確実に抑制される。
【0089】
本実施例において、分割部37は、第2屈曲部5を挿通する際に本体部33に対して周方向に90度ずれているので、第1屈曲部3の中立軸の延長線上に配置されている。このため、第2屈曲部5に対する第1屈曲部3の屈曲の影響を抑制でき、第2屈曲部5の屈曲がより確実に抑制される。
【0090】
分割部37は、第2屈曲部5から引張りのために引き出され、この第2屈曲部5から引き出された部分が相互に接続されたループ状のループ部39を有する。このため、ループ部39を引張ることで分割部37をまとめて引張ることができると共に第1索状部材9の中心を引張ることを可能とする。
【0091】
従って、何れかの分割部37に引張力の偏りが生じるようなことがなく、円滑且つ確実に第1屈曲部3を屈曲させることができる。
【0092】
本実施例の屈曲構造体1は、第2屈曲部5に取り付けられると共に第2屈曲部5を挿通し、引張りによって第2屈曲部5を屈曲可能とする複数の第2索状部材11を備える。
【0093】
従って、第1屈曲部3と第2屈曲部5とを独立して屈曲させることができ、より屈曲構造体1の操作性を向上することができる。
【0094】
分割部37は、第2屈曲部5において第2索状部材11の挿通経路である挿通孔27を挿通するので、構造の簡素化を図ることができる。
【0095】
屈曲構造体1は、ループ部39に対して非固定のループ部39を引張るための操作部43を備えているので、第1索状部材9の中心を引張ることを容易且つ確実に実現できる。
【実施例2】
【0096】
図8は、本発明の実施例2に係る屈曲構造体の第1索状部材、第2索状部材、及び第3索状部材の挿通状態を示す概念図である。なお、実施例2は、実施例1と対応する構成に同符号を付して、重複した説明を省略する。
【0097】
本実施例の屈曲構造体1は、各第1索状部材9が分割部37を有さず、第3索状部材45を備えたものである。その他は、実施例1と同一である。
【0098】
第1索状部材9及び第3索状部材45は、相互に一体に構成された一本の索状体からなる。この索状体では、一端側が第1索状部材9であり、他端側が第3索状部材45である。なお、第1索状部材9及び第3索状部材45は、相互に分離した索状体によって構成することも可能である。
【0099】
第1索状部材9は、一端が第1屈曲部3に取り付けられ、第1屈曲部3、接続部7、及び第2屈曲部5を挿通している。なお、第1索状部材9の第1屈曲部3への取り付けは、実施例1と同様である。
【0100】
第1索状部材9の挿通は、実施例1同様に行われ、第2屈曲部5を挿通する際に第2索状部材11の挿通経路を挿通する。
【0101】
第1索状部材9の他端は、第2屈曲部5から引き出されている。
【0102】
第3索状部材45は、一端が第2屈曲部5に取り付けられ、第2屈曲部5を挿通している。第3索状部材45の挿通は、第1索状部材9と同様に、第2索状部材11の挿通経路を挿通する。
【0103】
第3索状部材45の第2屈曲部5への取り付けは、第3索状部材45の一端に形成されたスリーブ等からなるカシメ部47が、第2屈曲部5の可動部15に係合して行われる。第3索状部材45の他端は、第2屈曲部5から引き出されている。
【0104】
第2屈曲部5から引き出された部分である第1索状部材9の他端及び第3索状部材45の他端は、相互に接続されたループ状のループ部39を構成する。
【0105】
かかる構成により、第3索状部材45は、第1屈曲部3の屈曲時に対応する第1索状部材9と共に引張られて第2屈曲部5の屈曲を抑制する。対応するとは、第2屈曲部5の屈曲を抑制するために対応付けられていることを意味する。本実施例では、相互に一体の第1索状部材9及び第3索状部材45が、相互に対応する。
【0106】
第1索状部材9及び第3索状部材45の引張りは、ループ部39が非固定の操作部43(
図9参照)によって引張られることで行われる。なお、第1索状部材9と第3索状部材45とが分離している場合は、それら第1索状部材9と第3索状部材45を同期して別々に引張ればよい。
【0107】
各第1索状部材9及びこの第1索状部材9に対応する第3索状部材45は、第2屈曲部5を挿通する際に、第2屈曲部5の中心を挟んだ反対側に位置する。本実施例では、各第1索状部材9及びこの第1索状部材9に対応する第3索状部材45が、第2屈曲部5を挿通する際に第2屈曲部5の中心に対して相互に対称に配置される。
【0108】
なお、第3索状部材45が第2屈曲部5の屈曲を抑制可能であれば、各第1索状部材9及びこの第1索状部材9に対応する第3索状部材45は、第2屈曲部5の中心に対して対称でなくてもよい。
【0109】
各第1索状部材9は、第2屈曲部5を挿通する部分が第1屈曲部3を挿通する部分に対して周方向にずれている。各第3索状部材45は、第2屈曲部5を挿通する際に、第1屈曲部3内の対応する第1索状部材9に対して周方向にずれている。
【0110】
ここでの周方向のずれは、実施例1の分割部37の周方向のずれと同様、少なくとも軸方向で重なる部分がないようにして行われる。本実施例において、周方向へのずれ量は90度である。
【0111】
図9は、第1屈曲部3の屈曲時を示す概念図である。なお、
図9では、理解容易のため、単一の第1索状部材9及び第3索状部材45、並びに単一の第2索状部材11のみを示している。
【0112】
図9のように、ループ部39を操作部43により引張ると、第1索状部材9により第1屈曲部3が屈曲する。このとき、第1索状部材9の引張りによって第2屈曲部5も屈曲しようとするが、第3索状部材45が引張られることで、第2屈曲部5の屈曲が抑制される。
【0113】
本実施例では、第2屈曲部5を通る第1索状部材9及び第3索状部材45が第2屈曲部5の中心に対して相互に対称に配置されているため、実施例1と同様、第1索状部材9及び第3索状部材45が拮抗してバランスを保つ。これにより、第2屈曲部5の屈曲が確実に抑制される。
【0114】
しかも、第1索状部材9及び第3索状部材45は、第1屈曲部3内の第1索状部材9に対して周方向に90度ずれているため、実施例1と同様、第2屈曲部5に対する第1屈曲部3の屈曲の影響を抑制できる。
【0115】
このように、本実施例でも、第1索状部材9及び第3索状部材45を引くだけで第1屈曲部3のみを屈曲させることができる。このため、第2屈曲部5の屈曲を別途抑えることが不要であり、屈曲操作の簡略化、屈曲操作時の荷重の低減、第2屈曲部5の負荷の低減等を図ることができる。
【0116】
特に、本実施例では、一本の索状体からなる第1索状部材9及び第3索状部材45の端部を第1屈曲部3及び第2屈曲部5に取り付けるだけで、第2屈曲部5の屈曲を別途抑えることが不要となるため、構造の簡素化を図ることができる。
【0117】
その他、実施例2でも、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 屈曲構造体
3 第1屈曲部
5 第2屈曲部
7 接続部
9 第1索状部材
11 第2索状部材
33 本体部
37 分割部
39 ループ部
45 第3索状部材