(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】調光ガラス制御装置及び調光制御システム
(51)【国際特許分類】
B60J 3/04 20060101AFI20241004BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B60J3/04
B60J1/00 H
(21)【出願番号】P 2021043418
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2022-07-11
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】勝又 健一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 潤
【合議体】
【審判長】八木 誠
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-66013(JP,A)
【文献】特開2018-161986(JP,A)
【文献】特開2018-154319(JP,A)
【文献】特開2017-159730(JP,A)
【文献】国際公開第97/41329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧の印加に応じて光の透過率が変化する複数の調光フィルムが車両の窓ガラスにおける互いに異なる領域に設置された調光ガラスの前記複数の調光フィルムそれぞれに対する前記交流電圧の印加有無によって、各調光フィルムの前記透過率を変化させる電圧印加部と、
前記調光ガラスにおける、前記交流電圧が印加される調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる複数の調光パターンのうち、一の調光パターンの指定を受け、前記複数の調光フィルムのうち前記一の調光パターンに対応する調光フィルムに前記交流電圧が印加されるように前記電圧印加部を制御する制御部と、
を備えており、
前記複数の調光パターンが、前記複数の調光フィルムのうち、不透明の調光フィルムと透明な調光フィルムとが交互になるように電圧未印加の他の調光フィルムを相互間に挟んで断続的に配列された2以上の断続フィルム群に前記交流電圧が印加される断続調光パターンを含んでおり、
前記電圧印加部が、前記複数の調光フィルムと一対一に対応して設けられて個別に電圧印加を行う複数の印加部分を備えており、
前記制御部が、前記複数の印加部分それぞれに対し、前記一の調光パターンに対応
して印加を許可するオン信号と印加を禁止するオフ信号を駆動出力
として個別に出力することを特徴とする調光ガラス制御装置。
【請求項2】
前記複数の調光パターンが、更に、
前記複数の調光フィルムの全てに前記交流電圧が印加される全調光パターンと、
前記複数の調光フィルムの全てに前記交流電圧が印加されない無調光パターンと、
前記複数の調光フィルムのうち、相互間に他の調光フィルムを挟まないように連続して配列された2以上の連続フィルム群に前記交流電圧が印加される連続調光パターンと、
のうち少なくとも一の調光パターンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の調光ガラス制御装置。
【請求項3】
前記調光ガラスが、前記車両のフロントガラスにおける上端寄りに前記複数の調光フィルムが配置されたものであり、
前記複数の調光パターンが、
前記複数の調光フィルムの全てに前記交流電圧が印加される全調光パターンと、
前記複数の調光フィルムの全てに前記交流電圧が印加されない無調光パターンと、
前記複数の調光フィルムのうち運転席側の調光フィルムに前記交流電圧が印加される運転席側調光パターンと、
前記複数の調光フィルムのうち助手席側の調光フィルムに前記交流電圧が印加される助手席側調光パターンと、
のうち少なくとも一の調光パターンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の調光ガラス制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両の搭乗者による操作を介して前記複数の調光パターンのうちの一の調光パターンが切替え可能に指定されることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の調光ガラス制御装置。
【請求項5】
前記電圧印加部が、各々が交流電圧を発生する、前記複数の調光フィルムと一対一に対応して設けられた複数の交流電圧発生部を前記複数の印加部分として備えており、
前記制御部が、前記複数の交流電圧発生部のうち指定された一の調光パターンに対応する交流電圧発生部のみが交流電圧を発生するように前記複数の交流電圧発生部それぞれに対して前記駆動出力を個別に出力することを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載の調光ガラス制御装置。
【請求項6】
前記電圧印加部が、交流電圧を出力する一の交流電圧発生部を備えるとともに、前記複数の調光フィルムと一対一に対応して設けられ、当該複数の調光フィルムそれぞれと前記交流電圧発生部を接続する複数のリレーを前記複数の印加部分として備えており、
前記制御部が、前記複数のリレーのうち指定された一の調光パターンに対応するリレーのみが導通するように前記複数のリレーそれぞれに対して前記駆動出力を個別に出力することを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載の調光ガラス制御装置。
【請求項7】
交流電圧の印加に応じて光の透過率が変化する複数の調光フィルムが車両の窓ガラスにおける互いに異なる領域に設置された調光ガラスと、
前記調光ガラスにおける前記複数の調光フィルムの透過率を制御する請求項1~6のうち何れか一項に記載の調光ガラス制御装置と、
を備えたことを特徴とする調光制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光ガラスを制御する調光ガラス制御装置と、そのような調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電圧の印加に応じて光の透過率が変化する調光フィルムを有する調光ガラスが、例えば自動車の窓ガラスに利用されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の技術では調光ガラスが自動車の窓ガラスに適用されており、ユーザ操作等によって窓ガラスの透過率を変化させることとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、ユーザが窓の外を見たくなった場合や、外部視線の遮蔽や防眩等の必要が生じた場合には、その都度、窓ガラスとしての調光ガラスの透過率を変化させなければならず、利便性の点で改善の余地がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、ユーザの利便性を向上させつつ調光ガラスを制御することができる調光ガラス制御装置、及び、そのような調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、調光ガラス制御装置は、交流電圧の印加に応じて光の透過率が変化する複数の調光フィルムが車両の窓ガラスにおける互いに異なる領域に設置された調光ガラスの前記複数の調光フィルムそれぞれに対する前記交流電圧の印加有無によって、各調光フィルムの前記透過率を変化させる電圧印加部と、前記調光ガラスにおける、前記交流電圧が印加される調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる複数の調光パターンのうち、一の調光パターンの指定を受け、前記複数の調光フィルムのうち前記一の調光パターンに対応する調光フィルムに前記交流電圧が印加されるように前記電圧印加部を制御する制御部と、を備えており、前記複数の調光パターンが、前記複数の調光フィルムのうち、不透明の調光フィルムと透明な調光フィルムとが交互になるように電圧未印加の他の調光フィルムを相互間に挟んで断続的に配列された2以上の断続フィルム群に前記交流電圧が印加される断続調光パターンを含んでおり、前記電圧印加部が、前記複数の調光フィルムと一対一に対応して設けられて個別に電圧印加を行う複数の印加部分を備えており、前記制御部が、前記複数の印加部分それぞれに対し、前記一の調光パターンに対応して印加を許可するオン信号と印加を禁止するオフ信号を駆動出力として個別に出力することを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、調光制御システムは、交流電圧の印加に応じて光の透過率が変化する複数の調光フィルムが車両の窓ガラスにおける互いに異なる領域に設置された調光ガラスと、前記調光ガラスにおける前記複数の調光フィルムの透過率を制御する上述の調光ガラス制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記の調光ガラス制御装置及び調光制御システムによれば、交流電圧が印加される(即ち透過率が変化する)調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる複数の調光パターンの中から一の調光パターンが指定される。従って、複数の調光パターンとして、例えば全面不透明や全面透明等といった調光パターンの他に、一部が透明で他が不透明の調光パターンを指定対象の一つとして予め設定しておく等といった運用が可能となる。そして、ユーザは、一部が透明で他が不透明の調光パターンを指定することで、指定後は一々透過率を変えることなく、ある程度までは遮蔽性と外部視認性とを両立させることができる。勿論、完全な遮蔽性を望む場合には全面不透明の調光パターンを指定し、逆に完全な外部視認性を望む場合には全面透明の調光パターンを指定することもできる。このように、上記の調光ガラス制御装置によれば、ユーザの利便性を向上させつつ調光ガラスを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態にかかる調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムを示す模式的なブロック図である。
【
図2】
図1に示されている調光ガラスのV11-V11線に沿った模式的な断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されている調光ガラスに対する調光制御の様子を示す図である。
【
図4】
図1に示されている制御部に設定されている5つの調光パターンを示す模式図である。
【
図5】
図1に示されている調光ガラス制御装置で実行される制御処理の流れを示す模式的なフローチャートである。
【
図6】第2実施形態にかかる調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムを示す模式的なブロック図である。
【
図7】
図6に示されている調光ガラス制御装置で実行される制御処理の流れを示す模式的なフローチャートである。
【
図8】第3実施形態にかかる調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムを示す模式的なブロック図である。
【
図9】
図8に示されている調光ガラスを、
図8中のV31-V31線に沿った断面図とともに示す模式図である。
【
図10】
図8に示されている調光ガラスにおいて設定可能な4種類の調光パターンを示す模式図である。
【
図11】
図8に示されている調光ガラス制御装置で実行される制御処理の流れを示す模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、調光ガラス制御装置及び調光制御システムの一実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態にかかる調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムを示す模式的なブロック図である。また、
図2は、
図1に示されている調光ガラスのV11-V11線に沿った模式的な断面図であり、
図3は、
図1及び
図2に示されている調光ガラスに対する調光制御の様子を示す図である。
【0012】
図1に示されている調光制御システム1は、調光ガラス11と調光ガラス制御装置100とを備えたシステムである。
【0013】
調光ガラス11は、
図1及び
図2に示されているように、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6が、車両の窓ガラス11aにおける第1領域11a-1~第6領域11a-6に設置されたものである。第1領域11a-1に第1調光フィルム11b-1が設置され、第2領域11a-2に第2調光フィルム11b-2が設置され、第3領域11a-3に第3調光フィルム11b-3が設置されている。また、第4領域11a-4に第4調光フィルム11b-4が設置され、第5領域11a-5に第5調光フィルム11b-5が設置され、第6領域11a-6に第6調光フィルム11b-6が設置されている。第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の設置先の窓ガラス11aについて、ここでは特定はしないが、例えば車両のサイドドアのドアガラスやリアウインドウのリアガラス等が一例として挙げられる。
【0014】
窓ガラス11aにおける第1領域11a-1~第6領域11a-6は、窓ガラス11aを車両の上下方向D11に六分割して得られる、互いに異なる位置で短冊状に延在する6つの領域となっている。そして、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6は、第1領域11a-1~第6領域11a-6において2枚のガラス板11cの間に挟まれるように設置されている。また、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6それぞれには、各調光フィルムに交流電圧を印加するための一対の電線11dが接続されている。第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6は、各対の電線11dを介して印加される交流電圧に応じて光の透過率が変化する膜部材である。
【0015】
図3には、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の透過率が交流電圧の印加に応じて変化する様子が示されている。尚、この
図3では、互いに同質の膜部材である第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6が、番数が捨象されて第n調光フィルムとして示されている。そして、第n調光フィルムの透過率を変化させるために印加される交流電圧が第n調光出力の名称で記載され、第n調光フィルムへの第n調光出力の印加を指示する指示信号が第n駆動出力の名称で記載されている。第n駆動出力はオン/オフの2値信号であり、オン値の第n駆動出力に応じ、±50Vで50Hz~60Hzの交流電圧である第n調光出力が第n調光フィルムに印加される。そして、本実施形態では、第n調光フィルムの透過率は、第n調光出力の未印加時には略0%で、第n調光出力が印加されると略100%となる。即ち、第n調光フィルムは、第n調光出力の未印加時には不透明で光を遮蔽し、第n調光出力が印加されると透明となって光を透過させる。
【0016】
図1に示されている調光ガラス制御装置100は、このような調光ガラス11における第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の透過率を制御する装置である。調光ガラス制御装置100は、電圧印加部110と、制御部120と、バッテリ130と、制御スイッチ140と、を備えている。
【0017】
電圧印加部110は、調光ガラス11の第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6に対する第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6の印加有無によって、各調光フィルムの透過率を略0%と略100%との2値に変化させる。また、本実施形態では、電圧印加部110は、第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6を発生する第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116を備えている。これらの第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116は、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6と一対一に対応して設けられている。そして、何れも、バッテリ130の直流電圧を
図3に示されている交流電圧に変換するDCACインバータとなっている。第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116は、
図3に示されている電線11dを介して第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6に、第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6を印加可能に接続されている。
【0018】
制御部120は、電圧印加部110を制御する装置であり、本実施形態では車両に搭載されたBCM(Body Control Module)がその役割を果たしている。制御部120は、電圧印加部110における第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116に、オン/オフの2値信号である第1駆動出力Sg1~第6駆動出力Sg6を出力して各交流電圧発生部の電圧出力を制御する。制御部120からオン値の駆動出力を受けた交流電圧発生部が、対応する調光フィルムに交流電圧としての調光出力を出力する。
【0019】
ここで、本実施形態では、制御部120において、調光出力(交流電圧)が印加される調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる後述の5つの調光パターンが設定されている。そして、制御部120は、第1パターン~第5パターンのうち、一の調光パターンの指定を制御スイッチ140から受け、その指定された一の調光パターンに対応する調光フィルムに調光出力が印加されるように電圧印加部110を制御する。即ち、制御部120は、指定された一の調光パターンに対応する調光フィルムに接続された交流電圧発生部に、オン値の駆動出力を出力する。
【0020】
図4は、
図1に示されている制御部に設定されている5つの調光パターンを示す模式図である。
【0021】
制御部120には、この
図4に示されている第1パターンPt1~第5パターンPt5の5つの調光パターンが設定されている。
【0022】
まず、第1パターンPt1は、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てに第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6が印加されない無調光パターンとなっている。本実施形態での無調光パターンでは、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てが不透明となり、調光ガラス11の全体に亘って光が遮蔽される。
【0023】
また、第5パターンPt5は、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てに第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6が印加される全調光パターンとなっている。本実施形態での全調光パターンでは、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てが透明となり、調光ガラス11の全体に亘って光が透過される。
【0024】
第2パターンPt2及び第3パターンPt3は、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6のうち連続して配列された2以上の連続フィルム群に調光出力が印加される連続調光パターンとなっている。本実施形態での連続調光パターンでは、連続フィルム群をなす調光フィルムが透明で他の調光フィルムが不透明となる。また、第2パターンPt2と第3パターンPt3とでは、連続フィルム群をなす調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方(本実施形態では位置のみ)が互いに異なっている。つまり、本実施形態では連続調光パターンが2パターン設定されている。
【0025】
第2パターンPt2では、上下方向D11について調光ガラス11の下半分に位置する第4調光フィルム11b-4~第6調光フィルム11b-6に調光出力が印加されて透明となる。第2パターンPt2では、残りの第1調光フィルム11b-1~第3調光フィルム11b-3には調光出力が未印加で、調光ガラス11の上半分は不透明となる。
【0026】
第3パターンPt3では、調光ガラス11の上半分に位置する第1調光フィルム11b-1~第3調光フィルム11b-3に調光出力が印加されて透明となる。そして、第3パターンPt3では、残りの第4調光フィルム11b-4~第6調光フィルム11b-6には調光出力が未印加で、調光ガラス11の下半分が不透明となる。
【0027】
また、第4パターンPt4は、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6のうち電圧未印加の他の調光フィルムを相互間に挟んで断続的に配列された2以上の断続フィルム群に調光出力が印加される断続調光パターンとなっている。本実施形態における断続調光パターンは、第2調光フィルム11b-2、第4調光フィルム11b-4、及び第6調光フィルム11b-6に調光出力が印加されたパターンである。他の第1調光フィルム11b-1、第3調光フィルム11b-3、及び第5調光フィルム11b-5については未印加となっている。このような1つ置きの印加により、第4パターンPt4は、横帯状の透明領域と不透明領域とが上下方向D11に交互に並ぶ横縞模様のパターンとなっている。本実施形態では、このような断続調光パターンが、図示された第4パターンPt4の1パターンだけ設定されている。
【0028】
バッテリ130は、車載の直流電源であり、電圧印加部110における第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116それぞれにはこのバッテリ130から直流電圧が入力される。各交流電圧発生部は、上述のようにこの直流電圧を交流電圧に変換する。
【0029】
制御スイッチ140は、車両の搭乗者を当該調光制御システム1及び調光ガラス制御装置100のユーザとし、当該ユーザによる調光パターンの切替え可能な選択操作を受け付け、その受け付けた調光パターンを制御部120に指定する部位である。本実施形態では、ユーザは、
図4を参照して説明した第1パターンPt1~第5パターンPt5の中から制御スイッチ140を介して一の調光パターンを選択することとなる。この制御スイッチ140での選択結果が制御部120に指定され、制御部120は、指定された一の調光パターンに対応する調光フィルムに接続された交流電圧発生部に、オン値の駆動出力を出力する。電圧印加部110では、制御部120から駆動出力を受けた交流電圧発生部が、対応する調光フィルムに調光出力としての交流電圧を印加し、その印加によって、調光ガラス11において指定された調光パターンが実現されることとなる。
【0030】
図5は、
図1に示されている調光ガラス制御装置で実行される制御処理の流れを示す模式的なフローチャートである。
【0031】
このフローチャートで示される制御処理は、調光ガラス制御装置100に電源が投入されるとスタートする。処理がスタートすると、まず、制御スイッチ140が第1パターンPt1~第5パターンPt5のうちの何れの調光パターンに設定されているかが制御部120において判定される(ステップS101)。
【0032】
制御スイッチ140が第1パターンPt1に設定されていた場合、制御部120は、第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116に対する第1駆動出力Sg1~第6駆動出力Sg6を全てオフに設定する(ステップS102)。すると、電圧印加部110における第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6が全てオフとなる(ステップS103)。その結果、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てが不透明の第1パターンPt1に設定される(ステップS104)。
【0033】
制御スイッチ140が第2パターンPt2に設定されていた場合、制御部120は、第1交流電圧発生部111~第3交流電圧発生部113に対する第1駆動出力Sg1~第3駆動出力Sg3をオフに設定する(ステップS105)。また、このステップS105では、制御部120は、第4交流電圧発生部114~第6交流電圧発生部116に対する第4駆動出力Sg4~第6駆動出力Sg6をオンに設定する。すると、第1調光出力Vac-1~第3調光出力Vac-3がオフとなり、第4調光出力Vac-4~第6調光出力Vac-6がオンとなる(ステップS106)。その結果、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第3調光フィルム11b-3が不透明で、第4調光フィルム11b-4~第6調光フィルム11b-6が透明の第2パターンPt2に設定される(ステップS107)。
【0034】
制御スイッチ140が第3パターンPt3に設定されていた場合、制御部120は、第1交流電圧発生部111~第3交流電圧発生部113に対する第1駆動出力Sg1~第3駆動出力Sg3をオンに設定する(ステップS108)。また、このステップS108では、制御部120は、第4駆動出力Sg4~第6駆動出力Sg6をオフに設定する。すると、第1調光出力Vac-1~第3調光出力Vac-3がオンとなり、第4調光出力Vac-4~第6調光出力Vac-6がオフとなる(ステップS109)。その結果、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第3調光フィルム11b-3が透明で、第4調光フィルム11b-4~第6調光フィルム11b-6が不透明の第3パターンPt3に設定される(ステップS110)。
【0035】
制御スイッチ140が第4パターンPt4に設定されていた場合、制御部120は、次のようなオン/オフ設定を行う(ステップS111)。即ち、制御部120は、第1交流電圧発生部111、第3交流電圧発生部113、及び第5交流電圧発生部115に対する第1駆動出力Sg1、第3駆動出力Sg3、及び第5駆動出力Sg5をオフに設定する。また、制御部120は、第2交流電圧発生部112、第4交流電圧発生部114、及び第6交流電圧発生部116に対する第2駆動出力Sg2、第4駆動出力Sg4、及び第6駆動出力Sg6をオンに設定する。すると、第1調光出力Vac-1、第3調光出力Vac-3、及び第5調光出力Vac-5がオフとなり、第2調光出力Vac-2、第4調光出力Vac-4、及び第6調光出力Vac-6がオンとなる(ステップS112)。その結果、調光ガラス11が、次のような調光パターンに設定される(ステップS113)。即ち、第1調光フィルム11b-1、第3調光フィルム11b-3、及び第5調光フィルム11b-5が不透明で、第2調光フィルム11b-2、第4調光フィルム11b-4、及び第6調光フィルム11b-6が透明の第4パターンPt4に設定される。
【0036】
制御スイッチ140が第5パターンPt5に設定されていた場合、制御部120は、第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116に対する第1駆動出力Sg1~第6駆動出力Sg6を全てオンに設定する(ステップS114)。すると、第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6が全てオンとなり(ステップS115)、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てが透明の第5パターンPt5に設定される(ステップS116)。
【0037】
このようにして、調光ガラス11が一の調光パターンに設定されると、制御部120は、制御スイッチ140において調光パターンを別パターンに切り替えるスイッチ変更が行われた否かを判定する(ステップS117)。スイッチ変更が行われた場合(ステップS117のYES判定)、処理がステップS101まで戻って以降の処理が繰り返される。スイッチ変更が行われていない場合(ステップS117のNO判定)、制御部120は、電源遮断による処理の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS118)。終了が指示されていない場合(ステップS118のNO判定)、処理がステップS117まで戻って以降の処理が繰り返される。終了が指示された場合(ステップS118のYES判定)、制御部120は、このフローチャートで示される制御処理を終了する。
【0038】
以上に説明した第1実施形態の調光ガラス制御装置100及び調光制御システム1によれば、上述した第1パターンPt1~第5パターンPt5の5つの調光パターンの中から一の調光パターンが指定される。そして、ユーザは、第2パターンPt2~第4パターンPt4といった、一部が透明で他が不透明の調光パターンを指定することで、指定後は一々透過率を変えることなく、ある程度までは遮蔽性と外部視認性とを両立させることができる。勿論、完全な遮蔽性を望む場合には全面不透明の第1調光パターンPt1を指定し、逆に完全な外部視認性を望む場合には全面透明の第5調光パターンPt5を指定することもできる。このように、本実施形態の調光ガラス制御装置100及び調光制御システム1によれば、ユーザの利便性を向上させつつ調光ガラス11を制御することができる。
【0039】
ここで、本実施形態では、選択可能な調光パターンとして、次のような第1パターンPt1~第5パターンPt5を全て含む5つの調光パターンが設定されている。第1パターンPt1は、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6という6枚の調光フィルムの全てに交流電圧が印加される全調光パターンである。第2パターンPt2及び第3パターンPt3は、連続して配列された2以上の連続フィルム群に交流電圧が印加される、連続フィルム群をなす調光フィルムの位置が上下に異なる2パターンの連続調光パターンである。第4パターンPt4は、電圧未印加の他の調光フィルムを相互間に挟んで断続的に配列された2以上の断続フィルム群に交流電圧が印加される、1パターンの断続調光パターンである。第5パターンPt5は、6枚の調光フィルムの全てに交流電圧が印加されない無調光パターンである。この構成における全調光パターン、無調光パターン、連続調光パターン、及び断続調光パターンは、複数(本実施形態では6枚)の調光フィルムで実現可能で、且つユーザから指定される蓋然性が高い調光パターンである。上記の構成によれば、このような調光パターンのうち少なくとも一(本実施形態では全て)の調光パターンが指定対象の調光パターンとして設定されるので、ユーザの利便性を一層向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、制御部120は、車両の搭乗者による制御スイッチ140への操作を介して第1パターンPt1~第5パターンPt5のうちの一の調光パターンが切替え可能に指定される。この構成によれば、搭乗者の操作によって調光パターンを容易に切替えることができるので好適である。
【0041】
また、本実施形態では、電圧印加部110が、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6と一対一に対応して設けられた第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116を備えている。制御部120は、第1交流電圧発生部111~第6交流電圧発生部116のうち指定された一の調光パターンに対応する交流電圧発生部のみが交流電圧を発生するように制御する。この構成によれば、調光ガラス11に設置された調光フィルムと一対一に対応した6つの交流電圧発生部が設けられているので、機械的な誤作動等を抑えて各調光フィルムに対する交流電圧の印加を高い精度で行うことができる。
【0042】
以上で第1実施形態の説明を終了し、次に第2実施形態についての説明を行う。この第2実施形態は、第1実施形態に対する変形例となっている。第2実施形態は、電圧印加部の構成と、これに対応した制御部の動作と、が第1実施形態と異なっており、以下では、第2実施形態について、第1実施形態との相違点に注目して説明する。
【0043】
図6は、第2実施形態にかかる調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムを示す模式的なブロック図である。尚、この
図6では、
図1に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については
図1と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素については重複説明を割愛する。
【0044】
本実施形態の調光制御システム2における調光ガラス制御装置200では、電圧印加部210が、一の交流電圧発生部210aと、第1リレー211~第6リレー216と、を備えている。交流電圧発生部210aは、バッテリ130からの直流電圧を交流電圧に変換する。第1リレー211~第6リレー216は、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6と一対一に対応して設けられ、これら6枚の調光フィルムそれぞれと交流電圧発生部210aを接続する。
【0045】
また、制御部220は、まず、電圧印加部210における一の交流電圧発生部210aの動作を指示するインバータ信号Sg0を出力する。そして、制御部220は、第1リレー211~第6リレー216のうち、制御スイッチ140を介して指定された一の調光パターンに対応するリレーのみが導通するように制御する。具体的には、制御部220は、一の調光パターンに対応するリレーにおけるリレーコイルに駆動出力を出力し、その出力先のリレーの接点を閉じさせる。このような制御により、導通したリレーに接続された調光フィルムに交流電圧発生部210aからの交流電圧としての調光出力が印加されて、調光ガラス11において指定された一の調光パターンが実現されることとなる。
【0046】
図7は、
図6に示されている調光ガラス制御装置で実行される制御処理の流れを示す模式的なフローチャートである。
【0047】
このフローチャートで示される制御処理は、調光ガラス制御装置200に電源が投入されるとスタートする。処理がスタートすると、まず、制御部220が、電圧印加部210の交流電圧発生部210aにインバータ信号Sg0を出力して、交流電圧の発生動作を開始させる(ステップS201)。次に、制御スイッチ140が第1パターンPt1~第5パターンPt5のうちの何れの調光パターンに設定されているかが制御部220において判定される(ステップS202)。
【0048】
制御スイッチ140が第1パターンPt1に設定されていた場合、制御部220は、第1リレー211~第6リレー216に対する第1駆動出力Sg1~第6駆動出力Sg6を全てオフに設定する(ステップS203)。すると、電圧印加部210における第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6が全てオフとなる(ステップS204)。その結果、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てが不透明の第1パターンPt1に設定される(ステップS205)。
【0049】
制御スイッチ140が第2パターンPt2に設定されていた場合、制御部220は、第1リレー211~第3リレー213に対する第1駆動出力Sg1~第3駆動出力Sg3をオフに設定する(ステップS206)。また、このステップS206では、制御部220は、第4リレー214~第6リレー216に対する第4駆動出力Sg4~第6駆動出力Sg6をオンに設定する。すると、リレーを介して第1調光出力Vac-1~第3調光出力Vac-3がオフとなり、第4調光出力Vac-4~第6調光出力Vac-6がオンとなる(ステップS207)。その結果、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第3調光フィルム11b-3が不透明で、第4調光フィルム11b-4~第6調光フィルム11b-6が透明の第2パターンPt2に設定される(ステップS208)。
【0050】
制御スイッチ140が第3パターンPt3に設定されていた場合、制御部220は、第1リレー211~第3リレー213に対する第1駆動出力Sg1~第3駆動出力Sg3をオンに設定する(ステップS209)。また、このステップS209では、制御部220は、第4リレー214~第6リレー216に対する第4駆動出力Sg4~第6駆動出力Sg6をオフに設定する。すると、リレーを介して第1調光出力Vac-1~第3調光出力Vac-3がオンとなり、第4調光出力Vac-4~第6調光出力Vac-6がオフとなる(ステップS210)。その結果、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第3調光フィルム11b-3が透明で、第4調光フィルム11b-4~第6調光フィルム11b-6が不透明の第3パターンPt3に設定される(ステップS211)。
【0051】
制御スイッチ140が第4パターンPt4に設定されていた場合、制御部220は、次のようなオン/オフ設定を行う(ステップS212)。即ち、制御部220は、第1リレー211、第3リレー213、及び第5リレー215に対する第1駆動出力Sg1、第3駆動出力Sg3、及び第5駆動出力Sg5をオフに設定する。また、制御部220は、第2リレー212、第4リレー214、及び第6リレー216に対する第2駆動出力Sg2、第4駆動出力Sg4、及び第6駆動出力Sg6をオンに設定する。すると、リレーを介して第1調光出力Vac-1、第3調光出力Vac-3、及び第5調光出力Vac-5がオフとなり、第2調光出力Vac-2、第4調光出力Vac-4、及び第6調光出力Vac-6がオンとなる(ステップS213)。その結果、調光ガラス11が、次のような調光パターンに設定される(ステップS214)。即ち、第1調光フィルム11b-1、第3調光フィルム11b-3、及び第5調光フィルム11b-5が不透明で、第2調光フィルム11b-2、第4調光フィルム11b-4、及び第6調光フィルム11b-6が透明の第4パターンPt4に設定される。
【0052】
制御スイッチ140が第5パターンPt5に設定されていた場合、制御部220は、第1リレー211~第6リレー216に対する第1駆動出力Sg1~第6駆動出力Sg6を全てオンに設定する(ステップS215)。すると、リレーを介して第1調光出力Vac-1~第6調光出力Vac-6が全てオンとなる(ステップS216)。そして、調光ガラス11が、第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6の全てが透明の第5パターンPt5に設定される(ステップS217)。
【0053】
このようにして、調光ガラス11が一の調光パターンに設定されると、制御部220は、制御スイッチ140において調光パターンを別パターンに切り替えるスイッチ変更が行われた否かを判定する(ステップS218)。スイッチ変更が行われた場合(ステップS218のYES判定)、処理がステップS202まで戻って以降の処理が繰り返される。スイッチ変更が行われていない場合(ステップS218のNO判定)、制御部220は、電源遮断による処理の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS219)。終了が指示されていない場合(ステップS219のNO判定)、処理がステップS218まで戻って以降の処理が繰り返される。終了が指示された場合(ステップS219のYES判定)、制御部220は、このフローチャートで示される制御処理を終了する。
【0054】
以上に説明した第2実施形態の調光ガラス制御装置200及び調光制御システム2によれば、上述の第1実施形態と同様に、ユーザの利便性を向上させつつ調光ガラス11を制御することができることは言うまでもない。
【0055】
ここで、本実施形態では、電圧印加部210が、交流電圧を出力する一の交流電圧発生部210a、及び、6枚の調光フィルムと一対一に対応して設けられ、当該6枚の調光フィルムそれぞれと交流電圧発生部210aを接続する6つのリレーを備えている。制御部220は、指定された一の調光パターンに対応するリレーのみが導通するように制御する。この構成によれば、高価となりがちなDCACインバータである交流電圧発生部210aの設置数は一つに抑えられ、6枚の調光フィルムへの交流電圧の印加が、交流電圧発生部210aに比べて安価なリレーを介して行われる。このようなリレーを用いることで、コストを抑えて調光ガラス制御装置200を構築することができる。
【0056】
次に第3実施形態についての説明を行う。
【0057】
図8は、第3実施形態にかかる調光ガラス制御装置を備えた調光制御システムを示す模式的なブロック図である。また、
図9は、
図8に示されている調光ガラスを、
図8中のV31-V31線に沿った断面図とともに示す模式図である。
【0058】
図8に示されている調光制御システム3では、調光ガラス31が、
図8及び
図9に示されているように、車両のフロントガラス31aにおける上下方向D31の上端寄りに2枚の調光フィルムが車幅方向D32に並べられて配置されたものとなっている。2枚の調光フィルムのうち第1調光フィルム31b-1が、車室内から見て運転席側となる第1領域31a-1に配置され、第2調光フィルム31b-2が助手席側となる第2領域31a-2に配置されている。本実施形態では、第1領域31a-1及び第2領域31a-2の上下方向D31の上下幅、つまりは第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の上下幅L31が次のような寸法に設定されている。即ち、これらの調光フィルムの上下幅L31は、フロントガラス31aの上下幅L32に0.3を乗じた寸法よりも短くなるように設定されている。これにより、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の双方が不透明となっても、搭乗者の前方視界が遮られることがないように構成されている。
【0059】
このような第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2が、第1領域31a-1及び第2領域31a-2において2枚のガラス板31cの間に挟まれるように設置されている。また、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2それぞれには、各調光フィルムに交流電圧を印加するための一対の電線31dが接続されている。第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2は、各対の電線31dを介して印加される交流電圧に応じて光の透過率が変化する膜部材である。
【0060】
そして、本実施形態では、電圧印加部310及び制御部320が、これら2枚の調光フィルムを使って、調光ガラス31における次のような4種類の調光パターンが設定可能となっている。
【0061】
図10は、
図8に示されている調光ガラスにおいて設定可能な4種類の調光パターンを示す模式図である。
【0062】
まず、第1パターンPt31は、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の全てに交流電圧が印加される全調光パターンとなっている。本実施形態での全調光パターンでは、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の全てが透明となる。
【0063】
第2パターンPt32は、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の全てに交流電圧が印加されない無調光パターンとなっている。本実施形態での無調光パターンでは、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の全てが不透明となり、フロントガラス31aにおける上端寄りが車幅方向D32の全幅に亘って遮蔽される。
【0064】
第3パターンPt33は、助手席側となる第2調光フィルム31b-2に交流電圧が印加される助手席側調光パターンとなっている。本実施形態での助手席側調光パターンでは、助手席側の第2調光フィルム31b-2が透明で運転席側の第1調光フィルム31b-1が不透明となり、フロントガラス31aの上端寄りにおける運転席側が遮蔽される。
【0065】
第4パターンPt34は、運転席側となる第1調光フィルム31b-1に交流電圧が印加される運転席側調光パターンとなっている。本実施形態での運転席側調光パターンでは、運転席側の第1調光フィルム31b-1が透明で助手席側の第2調光フィルム31b-2が不透明となり、フロントガラス31aの上端寄りにおける助手席側が遮蔽される。
【0066】
図8に示されている電圧印加部310は、調光ガラス31の第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2と一対一に対応するように第1交流電圧発生部311及び第2交流電圧発生部312を備えている。第1交流電圧発生部311及び第2交流電圧発生部312は、何れも、バッテリ330の直流電圧を交流電圧に変換するDCACインバータとなっている。第1交流電圧発生部311及び第2交流電圧発生部312は、
図9に示されている電線31dを介して第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2に、第1調光出力Vac-31及び第2調光出力Vac-32を印加可能に接続されている。
【0067】
また、制御部320は、電圧印加部310を制御する装置であり、本実施形態でも、上述の第1実施形態における制御部120と同様に、車両搭載のBCMがその役割を果たしている。制御部320は、電圧印加部310における第1交流電圧発生部311及び第2交流電圧発生部312に、オン/オフの2値信号である第1駆動出力Sg31及び第2駆動出力Sg32を出力して各交流電圧発生部の電圧出力を制御する。
【0068】
バッテリ330は、第1実施形態と同様に車載の直流電源であり、電圧印加部310における第1交流電圧発生部311及び第2交流電圧発生部312それぞれにはこのバッテリ330から直流電圧が入力される。各交流電圧発生部は、上述のようにこの直流電圧を交流電圧に変換する。
【0069】
制御スイッチ340は、第1実施形態と同様に、車両の搭乗者であるユーザによる調光パターンの切替え可能な選択操作を受け付け、その受け付けた調光パターンを制御部320に指定する部位である。本実施形態では、ユーザは、
図4を参照して説明した第1パターンPt31~第4パターンPt34の中から制御スイッチ340を介して一の調光パターンを選択することとなる。この制御スイッチ340での選択結果が制御部320に指定され、制御部320は、指定された一の調光パターンに対応する調光フィルムに接続された交流電圧発生部に、オン値の駆動出力を出力する。電圧印加部310では、制御部320から駆動出力を受けた交流電圧発生部が、対応する調光フィルムに調光出力としての交流電圧を印加し、その印加によって、調光ガラス31において指定された調光パターンが実現されることとなる。
【0070】
図11は、
図8に示されている調光ガラス制御装置で実行される制御処理の流れを示す模式的なフローチャートである。
【0071】
このフローチャートで示される制御処理は、調光ガラス制御装置300に電源が投入されるとスタートする。処理がスタートすると、まず、制御スイッチ340が第1パターンPt31~第5パターンPt34のうちの何れの調光パターンに設定されているかが制御部320において判定される(ステップS301)。
【0072】
制御スイッチ340が第1パターンPt31に設定されていた場合、制御部320は、第1交流電圧発生部311及び第2交流電圧発生部312に対する第1駆動出力Sg31及び第2駆動出力Sg32を全てオンに設定する(ステップS302)。すると、電圧印加部310における第1調光出力Vac-31及び第2調光出力Vac-32が全てオンとなる(ステップS303)。その結果、調光ガラス31が、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の両方が透明の第1パターンPt31に設定される(ステップS304)。
【0073】
制御スイッチ340が第2パターンPt32に設定されていた場合、制御部320は、第1駆動出力Sg31及び第2駆動出力Sg32を全てオフに設定する(ステップS305)。すると、第1調光出力Vac-31及び第2調光出力Vac-32が全てオフとなる(ステップS306)。その結果、調光ガラス31が、第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2の両方が不透明の第2パターンPt32に設定される(ステップS307)。
【0074】
制御スイッチ340が第3パターンPt33に設定されていた場合、制御部320は、第1駆動出力Sg31をオフに設定し、第2駆動出力Sg32をオンに設定する(ステップS308)。すると、第1調光出力Vac-31がオフとなり、第2調光出力Vac-32がオンとなる(ステップS309)。その結果、調光ガラス31が、運転席側の第1調光フィルム31b-1が不透明で、助手席側の第2調光フィルム31b-2が透明の第3パターンPt33に設定される(ステップS310)。
【0075】
制御スイッチ340が第4パターンPt34に設定されていた場合、制御部320は、第1駆動出力Sg31をオンに設定し、第2駆動出力Sg32をオフに設定する(ステップS311)。すると、第1調光出力Vac-31がオンとなり、第2調光出力Vac-32がオフとなる(ステップS312)。その結果、調光ガラス31が、運転席側の第1調光フィルム31b-1が透明で、助手席側の第2調光フィルム31b-2が不透明の第4パターンPt34に設定される(ステップS313)。
【0076】
このようにして、調光ガラス31が一の調光パターンに設定されると、制御部320は、制御スイッチ340において調光パターンを別パターンに切り替えるスイッチ変更が行われた否かを判定する(ステップS314)。スイッチ変更が行われた場合(ステップS314のYES判定)、処理がステップS301まで戻って以降の処理が繰り返される。スイッチ変更が行われていない場合(ステップS314のNO判定)、制御部320は、電源遮断による処理の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS315)。終了が指示されていない場合(ステップS315のNO判定)、処理がステップS314まで戻って以降の処理が繰り返される。終了が指示された場合(ステップS315のYES判定)、制御部320は、このフローチャートで示される制御処理を終了する。
【0077】
以上に説明した第3実施形態の調光ガラス制御装置300及び調光制御システム3によれば、上述の第1実施形態と同様に、ユーザの利便性を向上させつつ調光ガラス31を制御することができることは言うまでもない。
【0078】
ここで、本実施形態では、調光ガラス31が、車両のフロントガラス31aにおける上端寄りに2枚の調光フィルムが配置されたものであり、次のような第1パターンPt31~第4パターンPt34を全て含む4つの調光パターンが設定されている。第1パターンPt31は、運転席側の第1調光フィルム31b-1及び助手席側の第2調光フィルム31b-2という2枚の調光フィルムの全てに交流電圧が印加される全調光パターンである。第2パターンPt32は、2枚の調光フィルムの全てに交流電圧が印加されない無調光パターンである。第3パターンPt33は、助手席側の第2調光フィルム31b-2に交流電圧が印加される助手席側調光パターンである。第4パターンPt34は、運転席側の第1調光フィルム31b-1に交流電圧が印加される運転席側調光パターンである。
【0079】
車両のフロントガラス31aについては、全面の遮蔽は不可であるが防眩を目的とした上端寄りの部分遮蔽については要望が高い。上記の構成によれば、このフロントガラス31aの上端寄りの部分について、全調光パターン、無調光パターン、運転席側調光パターン、及び助手席側調光パターンの全てが指定対象の調光パターンとして設定される。これらの調光パターンは、フロントガラス31aに対面する運転席及び助手席のユーザにとって要望が高く、これらのユーザから指定される蓋然性が高い調光パターンである。上記の構成によれば、このような調光パターンのうち少なくとも一の調光パターンが指定対象の調光パターンとして設定されるので、ユーザの利便性を一層向上させることができる。
【0080】
尚、以上に説明した第1~第3実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお調光ガラス制御装置及び調光制御システムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0081】
例えば、上述の第1~第3実施形態では、調光フィルムの一例として、
図3に示されているように交流電圧の印加時に透過率が略100%の透明となり、非印加時に透過率が略0%の不透明となる調光フィルムが例示されている。しかしながら、調光フィルムは、これに限るものではなく、
図3の例とは逆に、交流電圧の印加時に不透明となり、非印加時に透明となるものであってもよい。また、交流電圧の印加に応じた透過率の変化は略100%及び略0%に限るものでもなく、印加に応じて透過率が変化するのであれば、その具体的な透過率の値は適宜に設定されるものである。更に、透過率を変化させるための交流電圧として、±50Vで50Hz~60Hzの交流電圧が例示されているが、交流電圧の具体的な振幅値や周波数等も適宜に設定されるものである。
【0082】
また、上述の第1及び第2実施形態では、調光ガラスの一例として、窓ガラス11aを上下方向D11に6分割した6つの領域に第1調光フィルム11b-1~第6調光フィルム11b-6が配置された調光ガラス11が例示されている。また、第3実施形態では、フロントガラス31aの上端寄りを車幅方向D32について運転席側と助手席側とに2分割した領域に第1調光フィルム31b-1及び第2調光フィルム31b-2が配置された調光ガラス31が例示されている。しかしながら、調光ガラスは、これらに限るものではなく、調光ガラスにおける調光フィルムの配列方向や配列数は任意に設定し得るものである。例えば、フロントガラス以外の窓ガラスにおいて、車幅方向に分割した複数領域に複数の調光フィルムを配置してもよく、あるいは格子状に分割した領域に複数の調光フィルムを配置してもよい。格子状の配置の場合には、例えばチェック状の調光パターン等が設定可能となる。また、フロントガラスの上端寄りに複数の調光フィルムを配置する場合には、運転席側調光パターンや助手席側調光パターンが設定可能であれば、車幅方向に3枚以上の調光フィルムを配置してもよい。あるいは、フロントガラスの上端寄りを格子状に分割した領域に複数の調光フィルムを配置して、フロントガラスの上端寄りにおいてもチェック状の調光パターン等を設定可能としてもよい。
【0083】
また、上述の第1及び第2実施形態では、設定可能な調光パターンの一例として、全調光パターンと、無調光パターンと、連続調光パターンと、断続調光パターンと、を含む第1調光パターンPt1~第5調光パターンPt5が例示されている。また、連続調光パターンの一例としては、窓ガラス11aにおける下半分の調光フィルムに交流電圧が印加される第2パターンPt2及び上半分の調光フィルムに交流電圧が印加される第3パターンPt3の2パターンが例示されている。そして、断続調光パターンの一例としては、1枚置きに3枚の調光フィルムに交流電圧が印加される第4パターンPt4の1パターンが例示されている。しかしながら、設定可能な調光パターンは、これらに限るものではなく、交流電圧が印加される調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる複数の調光パターンであれば、具体的なパターン態様を問うものではない。ただし、上述の第1調光パターンPt1~第5調光パターンPt5を採用することで、ユーザの利便性を一層向上させることができる点は上述した通りである。尚、全調光パターンと、無調光パターンと、連続調光パターンと、断続調光パターンと、を含む複数の調光パターンを設定可能とするに当たっては、このような調光パターンのうち少なくとも一の調光パターンが含まれていればよい。また、連続調光パターンについては、上述の2パターンに限るものではなく、1パターン、又は連続フィルム群をなす調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる複数パターンであれば、その具体的なパターン態様は任意に設定され得る。同様に、断続調光パターンについても、上述の1パターンに限るものではなく、他の1パターン、又は断続フィルム群をなす調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる複数パターンであれば、その具体的なパターン態様は任意に設定され得る。
【0084】
また、上述の第3実施形態では、フロントガラスで設定可能な調光パターンの一例として、全調光パターンと、無調光パターンと、運転席側調光パターンと、助手席側調光パターンと、を含む第1調光パターンPt31~第4調光パターンPt4が例示されている。また、運転席側調光パターンの一例としては、車幅方向D32について運転席側の1枚の調光フィルムである第1調光フィルム31b-1に交流電圧が印加される第4パターンPt34が例示されている。そして、助手席側調光パターンの一例としては、車幅方向D32について助手席側の1枚の調光フィルムである第2調光フィルム31b-2に交流電圧が印加される第3パターンPt33が例示されている。しかしながら、フロントガラスで設定可能な調光パターンは、これらに限るものではなく、交流電圧が印加される調光フィルムの数及び位置の少なくとも一方が互いに異なる複数の調光パターンであれば、具体的なパターン態様を問うものではない。ただし、フロントガラスにおいて上述の第1調光パターンPt31~第4調光パターンPt4を採用することで、ユーザの利便性を一層向上させることができる点は上述した通りである。尚、全調光パターンと、無調光パターンと、運転席側調光パターンと、助手席側調光パターンと、を含む複数の調光パターンを設定可能とするに当たっては、このような調光パターンのうち少なくとも一の調光パターンが含まれていればよい。また、運転席側調光パターンについては、運転席側に複数枚の調光フィルムを配置しておき、それら複数枚の調光フィルムに交流電圧が印加されるパターンとしてもよい。同様に、助手席側調光パターンについても、助手席側に複数枚の調光フィルムを配置しておき、それら複数枚の調光フィルムに交流電圧が印加されるパターンとしてもよい。
【0085】
また、上述の第1~第3実施形態では、制御部の一例として、車両の搭乗者による操作を介して複数の調光パターンのうちの一の調光パターンが切替え可能に指定される制御部120,220,320が例示されている。しかしながら、制御部は、これに限るものではなく、搭乗者の操作には依らず、何らかの設定条件に応じて自動的に調光パターンが指定されるものであってもよい。ただし、搭乗者の操作を介して調光パターンが指定される制御部120,220,320によれば、調光パターンを容易に切替えることができるので好適である点は上述した通りである。
【0086】
また、上述の第1,第3実施形態では、電圧印加部及び制御部の各一例として、複数の交流電圧発生部を備えた電圧印加部110,310、及び、指定パターンに対応する交流電圧発生部のみを動作させる制御部120,320が例示されている。しかしながら、電圧印加部及び制御部は、これに限るものではなく、例えば第2実施形態のように、一の交流電圧発生部と複数のリレーを備えた電圧印加部210及び指定パターンに対応するリレーのみを導通させる制御部220等であってもよい。ただし、複数の交流電圧発生部を備えた電圧印加部110,310を制御部120,320で制御する構成とすることで、交流電圧の印加を高い精度で行うことができる点は上述した通りである。
【0087】
また、上述の第2実施形態では、電圧印加部及び制御部の各一例として、一の交流電圧発生部と複数のリレーを備えた電圧印加部210及び指定パターンに対応するリレーのみを導通させる制御部220が例示されている。しかしながら、電圧印加部及び制御部は、これに限るものではない。電圧印加部及び制御部は、例えば第1,第3実施形態のように、複数の交流電圧発生部を備えた電圧印加部110,310、及び、指定パターンに対応する交流電圧発生部のみを動作させる制御部120,320等であってもよい。ただし、一の交流電圧発生部と複数のリレーを備えた電圧印加部210を制御部220で制御する構成とすることで、コストを抑えて調光ガラス制御装置を構築することができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0088】
1,2,3 調光制御システム
11,31 調光ガラス
11a 窓ガラス
11a-1,31a-1 第1領域
11a-2,31a-2 第2領域
11a-3 第3領域
11a-4 第4領域
11a-5 第5領域
11a-6 第6領域
11b-1,31b-1 第1調光フィルム
11b-2,31b-2 第2調光フィルム
11b-3 第3調光フィルム
11b―4 第4調光フィルム
11b-5 第5調光フィルム
11b-6 第6調光フィルム
11c,31c ガラス板
11d,31d 電線
31a フロントガラス
100,200,300 調光ガラス制御装置
110,210,310 電圧印加部
111,311 第1交流電圧発生部
112,312 第2交流電圧発生部
113 第3交流電圧発生部
114 第4交流電圧発生部
115 第5交流電圧発生部
116 第6交流電圧発生部
120,220,320 制御部
130,330 バッテリ
140,340 制御スイッチ
210a 交流電圧発生部
211 第1リレー
212 第2リレー
213 第3リレー
214 第4リレー
215 第5リレー
216 第6リレー
D11,D31 上下方向
D32 車幅方向
L31,L32 上下幅
Sg1,Sg31 第1駆動出力
Sg2,Sg32 第2駆動出力
Sg3 第3駆動出力
Sg4 第4駆動出力
Sg5 第5駆動出力
Sg6 第6駆動出力
Pt1,Pt31 第1パターン
Pt2,Pt32 第2パターン
Pt3,Pt33 第3パターン
Pt4,Pt34 第4パターン
Pt5 第5パターン
Vac-1,Vac-31 第1調光出力
Vac-2,Vac-32 第2調光出力
Vac-3 第3調光出力
Vac-4 第4調光出力
Vac-5 第5調光出力
Vac-6 第6調光出力