(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】塗装装置
(51)【国際特許分類】
B05B 7/14 20060101AFI20241004BHJP
B05B 7/26 20060101ALI20241004BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241004BHJP
B05C 7/02 20060101ALI20241004BHJP
B05C 19/06 20060101ALI20241004BHJP
B05B 13/06 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
B05B7/14
B05B7/26
B05C11/10
B05C7/02
B05C19/06
B05B13/06
(21)【出願番号】P 2021043928
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳谷 仁志
(72)【発明者】
【氏名】冨田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】明渡 健吾
(72)【発明者】
【氏名】安東 尚紀
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-514667(JP,A)
【文献】特表2018-524245(JP,A)
【文献】米国特許第4502820(US,A)
【文献】特開2020-131151(JP,A)
【文献】特表2013-529143(JP,A)
【文献】特開2018-143971(JP,A)
【文献】特開2018-79468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 3/18
B05B 7/00- 9/08
B05B 12/00-12/14
B05B 13/00-13/06
B05C 7/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮気体を用いて、比重の異なる第1粉体および第2粉体を対象物に向けて吐出することで、前記対象物を塗装する塗装装置であって、
前記第1粉体を第1供給量で供給する第1供給部と、
前記第2粉体を第2供給量で供給する第2供給部と、
前記第1供給部および前記第2供給部に対して鉛直下方側に位置し、前記圧縮気体の流路を有する搬送部と、
前記流路の下流側で前記搬送部に接続され、前記第1粉体および前記第2粉体を前記対象物に向けて吐出する吐出部と
を備え、
前記搬送部は、鉛直上方側に、前記流路と連通し、前記第1供給部および前記第2供給部から前記第1粉体および前記第2粉体が前記流路に落し込まれる、前記第1粉体および前記第2粉体で共通する搬入口を有し、
前記搬送部は、前記搬入口から前記流路にそれぞれ落し込まれる前記第1粉体および前記第2粉体を前記圧縮気体によって前記流路の下流側に搬送し、
前記吐出部は、前記第1供給量および前記第2供給量に応じた所定の割合で、前記搬送部から前記圧縮気体によって搬送される前記第1粉体および前記第2粉体を前記対象物に向けて吐出する、
塗装装置。
【請求項2】
前記第1粉体は、前記対象物を塗装する塗料によって構成され、
前記第2粉体は、前記塗料に添加する充填材によって構成される、
請求項1記載の塗装装置。
【請求項3】
前記第1供給部および前記第2供給部と前記搬送部との間に、前記第1供給部および前記第2供給部から前記搬送部に前記第1粉体および前記第2粉体を落とし込む投入部をさらに備え、
前記投入部は、前記第1粉体および前記第2粉体が投入される投入口と、前記第1粉体および前記第2粉体が排出される排出口とを繋ぐ、管状通路を有し、
前記管状通路は、前記第1供給部および前記第2供給部と離間して設けられる、
請求項1または2記載の塗装装置。
【請求項4】
前記管状通路は、前記投入口と前記排出口との間に設けられ、前記投入部に投入される前記第1粉体および前記第2粉体が当接する当接部を有し、前記投入口から投入される前記第1粉体および前記第2粉体が、前記当接部に当接することで、少なくとも前記搬送方向への運動成分を増加させるように前記第1粉体および前記第2粉体の運動方向を変化させた後に、前記排出口から排出されることで、前記流路に投入されるように構成される、
請求項3記載の塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道に用いられる鋳鉄管などの金属管において、防食性などの観点から、エポキシ樹脂によって金属管の内面を塗装することがある。塗装の際に、高価なエポキシ樹脂の割合を低減するために、塗装材に珪砂などの安価な充填材を含めることもある。特許文献1には、粉体エポキシ樹脂を供給して金属管の内面に吹き付ける塗料供給機構と、珪砂を供給して金属管の内面に吹き付ける金属管の内面に吹き付ける珪砂供給機構とを備える塗装装置が開示されている。特許文献1の塗装装置によれば、金属管の内面にエポキシ樹脂と珪砂が混合された塗膜を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、比重の異なる粉体エポキシ樹脂と珪砂をそれぞれ均一に金属管の内面に吹き付けるために、塗料供給機構および珪砂供給機構が別々に粉体エポキシ樹脂および珪砂を別々に吹き付けている。この場合、粉体エポキシ樹脂を吹き付けるための塗料供給機構の配管と、珪砂を吹き付けるための珪砂供給機構の配管とを別々に設けているので、塗装装置全体として、配管経路が冗長になってしまう。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みて、比重の異なる粉体を簡単な配管経路で吹き付けることが可能な塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る塗装装置は、圧縮気体を用いて、比重の異なる第1粉体および第2粉体を対象物に向けて吐出することで、前記対象物を塗装する塗装装置であって、前記第1粉体を第1供給量で供給する第1供給部と、前記第2粉体を第2供給量で供給する第2供給部と、前記第1供給部および前記第2供給部に対して鉛直下方側に位置し、前記圧縮気体の流路を有する搬送部と、前記流路の下流側で前記搬送部に接続され、前記第1粉体および前記第2粉体を前記対象物に向けて吐出する吐出部とを備え、前記搬送部は、鉛直上方側に、前記流路と連通し、前記第1供給部および前記第2供給部から前記第1粉体および前記第2粉体が前記流路に落し込まれる、前記第1粉体および前記第2粉体で共通する搬入口を有し、前記搬送部は、前記搬入口から前記流路にそれぞれ落し込まれる前記第1粉体および前記第2粉体を前記圧縮気体によって前記流路の下流側に搬送し、前記吐出部は、前記第1供給量および前記第2供給量に応じた所定の割合で、前記搬送部から前記圧縮気体によって搬送される前記第1粉体および前記第2粉体を前記対象物に向けて吐出する。
【0007】
前記第1粉体は、前記対象物を塗装する塗料によって構成され、前記第2粉体は、前記塗料に添加する充填材によって構成されてもよい。
【0008】
前記第1供給部および前記第2供給部と前記搬送部との間に、前記第1供給部および前記第2供給部から前記搬送部に前記第1粉体および前記第2粉体を落とし込む投入部をさらに備え、前記投入部は、前記第1粉体および前記第2粉体が投入される投入口と、前記第1粉体および前記第2粉体が排出される排出口とを繋ぐ、管状通路を有し、前記管状通路は、前記第1供給部および前記第2供給部と離間して設けられてもよい。
【0009】
前記管状通路は、前記投入口と前記排出口との間に設けられ、前記投入部に投入される前記第1粉体および前記第2粉体が当接する当接部を有し、前記投入口から投入される前記第1粉体および前記第2粉体が、前記当接部に当接することで、少なくとも前記搬送方向への運動成分を増加させるように前記第1粉体および前記第2粉体の運動方向を変化させた後に、前記排出口から排出されることで、前記流路に投入されるように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態に係る塗装装置によれば、比重の異なる粉体を簡単な配管経路で吹き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る塗装装置を示す、側面から見た、模式的な部分断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る塗装装置の主要部を示す、側面から見た、模式的な拡大断面図である。
【
図3】本発明の参考例に係る塗装装置の主要部を示す、側面から見た、模式的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る塗装装置を説明する。なお、以下に示される実施形態は、あくまで一例であり、本発明の塗装装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、C形状の角部が面取りされた形状など、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0013】
[本発明の一実施形態に係る塗装装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る塗装装置1を示している。
図1に示されるように、塗装装置1は、圧縮気体Gを用いて、第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに向けて吐出することで、対象物Tを塗装する。ここで、本明細書において、「圧縮」は、コンプレッサなどを用いて加圧することで、気体の体積を収縮させることを指す。また、本明細書において、「圧縮気体」は、加圧によって体積を収縮させた気体を指す。圧縮気体Gは、圧縮状態から解放されると、気流を生じる。塗装装置1は、この気流を用いて第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに向けて吐出する。
【0014】
塗装装置1に用いられる圧縮気体Gは、特に限定されないが、本実施形態では、圧縮空気である。しかし、圧縮される気体は、特に限定されず、希ガスなどのその他の気体であってもよい。
【0015】
塗装装置1によって吐出される第1粉体S1および第2粉体S2は、比重が異なる。本実施形態では、第2粉体S2は、第1粉体S1より比重が大きい。第1粉体S1および第2粉体S2の種類は、対象物Tを塗装可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、第1粉体S1は、対象物Tを塗装する塗料によって構成され、第2粉体S2は、塗料に添加する充填材によって構成されている。より具体的には、第1粉体S1は、比重が比較的軽い粉体エポキシ樹脂(たとえば、比重:1.5)によって構成され、第2粉体S2は、比重が比較的重い珪砂(たとえば、比重:2.5)によって構成されている。ここで、本明細書において、「珪砂」は、石英を主成分(たとえば、石英の含有率が80wt%以上)とする粉体であり、表面が任意の材料でコーティングされた珪砂を含む。また、本明細書において、「粉体」は、たとえば、平均粒径が5μm~1000μmの粉状体であり、好ましくは、平均粒径が10μm~500μmの粉状体であり、より好ましくは、平均粒径が50μm~200μmの粉状体である。第2粉体S2が珪砂である場合、たとえば、7号珪砂または8号珪砂を用いることができる。しかし、第1粉体S1および第2粉体S2は、比重の異なる2種類の粉体塗料によって構成されるなど、その他の粉体から構成されてもよい。
【0016】
塗装装置1が第1粉体S1および第2粉体S2を吐出する対象物Tは、本実施形態では、
図1に示されるように、中心軸Xrに沿って延びる内部空間を有する管体であり、具体的には、管体の内面である。管体(対象物)Tは、たとえば、上下水道に用いられる鋳鉄管などの金属管である。しかし、対象物Tは、金属管の外側壁であってもよく、その他の任意の物体の表面から選択されてもよい。
図1では、管体(対象物)Tは、中心軸Xr周りに回転させる回転体Rに載置されている。
【0017】
塗装装置1は、
図2に示されるように、第1粉体S1を第1供給量で供給する第1供給部11と、第2粉体S2を第2供給量で供給する第2供給部12と、圧縮気体Gの流路131を有する搬送部13と、流路131の下流側で搬送部13に接続され、第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに向けて吐出する吐出部14(
図1参照)とを備えている。塗装装置1はさらに、第1供給部11および第2供給部12と搬送部13との間に、第1供給部11および第2供給部12から搬送部13に第1粉体S1および第2粉体S2を落とし込む投入部15を備えていてもよい。塗装装置1は、本実施形態では、
図1に示されるように、移動可能な台車C(キャリア)を備えており、塗装装置1の少なくとも一部は、台車Cに搭載されることで、台車Cとともに移動可能(具体的には、水平方向に移動可能)となっている。台車Cは、たとえば、塗装装置1の構成機器のうち、第1供給部11の一部(具体的には、後述する第1供給器112)と、第2供給部12の一部(具体的には、後述する第2供給器122)と、搬送部13と、投入部15とを搭載している。
【0018】
第1供給部11は、
図2に示されるように、第1粉体S1を搬送部13に所望の供給量(第1供給量)で供給する。本実施形態では、第1供給部11は、第1粉体S1を貯留し、貯留された第1粉体S1を搬送部13に向けて第1供給量で第1供給口11aから供給する。
【0019】
第1供給部11の形態は、第1粉体S1を搬送部13に所定の供給量で供給することができれば、特に限定されない。本実施形態では、第1供給部11は、第1粉体S1を貯留する第1タンク111と、第1タンク111から供給される第1粉体S1を第1供給量で第1供給口11aから搬送部13に落とし込む(本実施形態では、投入部15を介して搬送部13に落とし込む)第1供給器112とを備えている。第1供給器112として、回転軸X1(以下、「第1回転軸X1」と呼ぶ)に沿って延びるスクリューを内部空間に有し、第1回転軸X1周りでスクリューが回転することで、第1供給口11aが設けられる第1回転軸X1の一方側に第1粉体S1を供給するスクリューフィーダを採用することができる。この場合、スクリューフィーダのスクリューの回転数を一定にすることで、搬送部13への第1粉体S1の供給量を維持することができ、かつ、スクリューフィーダのスクリューの回転数を変更することで、第1粉体S1の供給量を調整することができる。
【0020】
第2供給部12は、
図2に示されるように、第2粉体S2を搬送部13に所望の供給量(第2供給量)で供給する。本実施形態では、第2供給部12は、第2粉体S2を貯留し、貯留された第2粉体S2を搬送部13に向けて第2供給量で第2供給口12aから供給する。
【0021】
第2供給部12の形態は、第2粉体S2を搬送部13に所定の供給量で供給することができれば、特に限定されない。本実施形態では、第2供給部12は、第2粉体S2を貯留する第2タンク121と、第2タンク121から供給される第2粉体S2を第2供給量で第2供給口12aから搬送部13に落とし込む(本実施形態では、投入部15を介して搬送部13に落とし込む)第2供給器122とを備えている。第2供給器122として、回転軸X2(以下、「第2回転軸X2」と呼ぶ)に沿って延びるスクリューを内部空間に有し、第2回転軸X2周りでスクリューが回転することで、第2供給口12aが設けられる第2回転軸X2の一方側に第2粉体S2を供給するスクリューフィーダを採用することができる。この場合、スクリューフィーダのスクリューの回転数を一定にすることで、搬送部13への第2粉体S2の供給量を維持することができ、かつ、スクリューフィーダのスクリューの回転数を変更することで、第2粉体S2の供給量を調整することができる。
【0022】
第1供給部11および第2供給部12は、本実施形態では、
図2に示されるように、搬送部13に対して鉛直上方D12に配置されており、さらに言えば、投入部15に対して鉛直上方D12に配置されている。具体的には、第1供給部11および第2供給部12は、投入部15が第1供給部11および第2供給部12からそれぞれ落し込まれる第1粉体S1および第2粉体S2を受容可能であるように、鉛直方向D1において、第1供給口11aおよび第2供給口12aが投入部15の投入口15aと重なるように配置されている。
図2では、第1供給部11および第2供給部12は、流路131が延びる方向D2(具体的には、水平方向の一方向)で互いに対向して配置されている。具体的には、第1供給部11および第2供給部12は、第1供給部11の長手方向(
図2では、第1供給器112の第1回転軸X1に沿う方向)および第2供給部12の長手方向(
図2では、第2供給器122の第2回転軸X2に沿う方向)が、流路131が延びる方向D2(具体的には、水平方向の一方向)に沿うように、互いに対向して配置されている。そうした場合、第1供給器112および第2供給器122の長手方向が、流路131が延びる方向D2と揃うので、塗装装置1を全体として小型化することができる。しかし、第1供給部11および第2供給部12の配置は、第1粉体S1および第2粉体S2を搬送部13に落とし込むことができれば、特に限定されない。たとえば、第1供給部11および第2供給部12は、第1供給部11の長手方向および第2供給部12の長手方向が、流路131が延びる方向D2に沿うように、流路131が延びる方向D2に垂直な方向で並ぶ(
図2における紙面の上下方向または紙面手前方向に並ぶ)ように配置されてもよい。そうした場合にも、第1供給器112および第2供給器122の長手方向が、流路131が延びる方向D2と揃うので、塗装装置1を全体として小型化することができる。また、第1供給部11および第2供給部12は、第1供給部11の長手方向および第2供給部12の長手方向が、流路131が延びる方向D2と交差するように配置されてもよい。また、第1供給部11および第2供給部12は、第1供給部11の長手方向および第2供給部12の長手方向が交差するように配置されてもよい。
【0023】
搬送部13は、圧縮気体Gによって第1粉体S1および第2粉体S2を吐出部14に搬送する。搬送部13は、第1供給部11および第2供給部12に対して鉛直下方D11側に位置している。第1供給部11および第2供給部12に対して鉛直下方D11側に位置することで、重力によって、第1供給部11および第2供給部12から第1粉体S1および第2粉体S2が搬送部13にそれぞれ落とし込まれる。搬送部13は、圧縮気体Gの流路131を有し、鉛直上方D12側に、流路131と連通し、第1供給部11および第2供給部12から第1粉体S1および第2粉体S2が流路131に落し込まれる、第1粉体S1および第2粉体S2で共通する搬入口13aを有している。本実施形態では、搬入口13aは、流路131と鉛直上方D12で連通する単一の開口である。しかし、搬入口13aの配置や数は、第1粉体S1および第2粉体S2の両方を流路131に落とし込むことができれば、特に限定されない。
【0024】
搬送部13は、搬入口13aから流路131にそれぞれ落し込まれる第1粉体S1および第2粉体S2を圧縮気体Gによって流路131の下流側に搬送する。流路131が延びる方向D2(換言すれば、流路131の搬送方向D21)は、塗装装置1の使用態様などに応じて適宜変更することが可能であるが、本実施形態では、水平方向の一方向である。流路131の形状は、圧縮気体Gによって第1粉体S1および第2粉体S2を搬送可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、流路131は、円筒形状を有する搬送部13の内部空間によって構成されている。しかし、流路131は、流路131に垂直な断面が四角形などの多角形である角筒形状を有する搬送部13の内部空間によって構成されてもよく、流路131の搬送方向D21に向かって狭まってもよく、流路131の搬送方向D21に向かって広がってもよい。たとえば、流路131の一端は、公知のコンプレッサなどの圧縮気体供給源(図示せず)と配管1bで接続され、流路131の他端は、吐出部14と配管1aで接続されている。
【0025】
吐出部14は、
図1に示されるように、搬送部13(
図2参照)から圧縮気体Gによって搬送される第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに向けて吐出する。具体的には、吐出部14は、所定の方向に第1粉体S1および第2粉体S2を突出する吐出ノズルによって構成されている。本実施形態では、吐出部14は、配管1aによって搬送方向D21側で搬送部13の流路131と接続されており、搬送部13から搬送される第1粉体S1および第2粉体S2を圧縮気体Gによって対象物Tに向けて吐出する。吐出部14は、第1供給部11による第1供給量および第2供給部12による第2供給量に応じた所定の割合で、第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに向けて吐出する。吐出部14による第1粉体S1および第2粉体S2の吐出方向は、塗装装置1の使用態様などに応じて適宜変更することが可能である。本実施形態では、吐出部14は、流路131の搬送方向D21と交差する方向(より具体的には、管体(対象物)Tの中心軸Xrに垂直な方向(管体(対象物)Tの径方向))で、対象物Tである管体の内面に向けて第1粉体S1および第2粉体S2を吐出する。この場合、第1粉体S1および第2粉体S2の吐出方向が、流路131の搬送方向D21と異なるため、圧縮気体Gの圧力損失が大きい。そのような場合であっても、本実施形態では、流路131の搬送方向D21への第1粉体S1および第2粉体S2の運動成分を増加させることで、第1粉体S1および第2粉体S2が圧縮気体Gに乗りやすくなるので、第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに良好に吹き付けることができる。
【0026】
吐出部14は、本実施形態では、
図1に示されるように、管体(対象物)Tの内部空間に挿入されている。
図1では、管体(対象物)Tを回転体Rによって中心軸Xr周りに回転させながら、台車Cを中心軸Xrに沿って移動させるとともに、吐出部14が、管体(対象物)Tの中心軸Xrに垂直な方向(管体の径方向)に向けて第1粉体S1および第2粉体S2を吐出している。そうすることで、管体(対象物)Tの内面全体を塗装することができる。
【0027】
投入部15は、
図2に示されるように、第1供給部11から投入される第1粉体S1、および第2供給部12から投入される第2粉体S2を搬送部13に誘導する。具体的には、第1供給口11aから投入される第1粉体S1、および第2供給口12aから投入される第2粉体S2を、第1粉体S1および第2粉体S2で共通する搬入口13aに誘導する。投入部15の形態は、特に限定されないが、本実施形態では、投入部15は、第1粉体S1および第2粉体S2が投入される投入口15aと、第1粉体S1および第2粉体S2が排出される排出口15bとを繋ぐ、管状通路151を有している。
【0028】
管状通路151は、本実施形態では、
図2に示されるように、第1供給部11から投入される第1粉体S1、および第2供給部12から投入される第2粉体S2を搬送部13に誘導するように、第1供給部11および第2供給部12と搬送部13との間に設けられている。ここで、流路131には圧縮気体Gが流れているので、流路131は負圧となり、第1供給部11および第2供給部12と管状通路151には吸引力が働く。そのため、第1供給部11の第1供給口11aおよび第2供給部12の第2供給口12aと管状通路151の投入口15aとが連結されていると、第1供給部11および第2供給部12内の第1粉体S1および第2粉体S2が過剰に吸引されるおそれがある、そこで、
図2では、管状通路151は、第1供給部11および第2供給部12と離間して設けられている。換言すれば、管状通路151の投入口15aは、第1供給部11の第1供給口11aおよび第2供給部12の第2供給口12aと離間して設けられている。そうすると、管状通路151と第1供給部11および第2供給部12との間の部分が接続されず大気に開放されているので、負圧である流路131への第1供給部11および第2供給部12からの第1粉体S1および第2粉体S2の過剰な吸引が抑制される。また、この場合、第1粉体S1および第2粉体S2とともに空気も吸引されるので、搬送部13の能力を十分に発揮することができる。
図2では、管状通路151の投入口15aは、鉛直方向D1から見て、第1供給口11aおよび第2供給口12aを包含されるように設けられている。この場合、第1供給口11aおよび第2供給口12aからそれぞれ投下される第1粉体S1および第2粉体S2が、投入口15aに投入されずに、投入口15aから漏れることが抑制される。しかし、管状通路151は、第1供給部11(具体的には、第1供給器112)および第2供給部12(具体的には、第2供給器122)と連結されていてもよい。また、
図2では、管状通路151は、第1粉体S1および第2粉体S2が圧縮気体Gの流路131に確実に落とし込まれるようにするために、搬送部13の流路131と連結されている。換言すれば、管状通路151の排出口15bは、搬送部13の搬入口13aと一致するように設けられている。しかし、管状通路151は、搬送部13の流路131と離間して設けられていてもよい。この場合、搬入口13aからの第1粉体S1および第2粉体S2の落とし込みを妨げないように、排出口15bは、たとえば、鉛直方向D1から見て、搬入口13aを包含するように設けられる。
【0029】
管状通路151は、本実施形態では、
図2に示されるように、投入口15aと排出口15bとの間に設けられ、投入部15に落とし込まれる第1粉体S1および第2粉体S2が当接する当接部15cを有している。具体的には、当接部15cは、流路131の搬送方向D21の反対側に位置する管状通路151の内面によって構成されている。本実施形態では、管状通路151は、投入口15aから投入される第1粉体S1および第2粉体S2が、当接部15cに当接することで、少なくとも搬送方向D21への運動成分を増加させるように第1粉体S1および第2粉体S2の運動方向を変化させた後に、排出口15bから排出されることで、流路131に落とし込まれるように構成されている。そうした場合、第1粉体S1および第2粉体S2の運動成分が、流路131に落とし込まれる前に、流路131を流れる圧縮気体Gと同じ搬送方向D21で増加するので、第1粉体S1および第2粉体S2が、圧縮気体Gに乗りやすくなる。これにより、第1粉体S1および第2粉体S2が、流路131内で重力により鉛直下方D11に溜まることが抑制されるので、第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに良好に吹き付けることできる。
図2では、第1粉体S1および第2粉体S2が投下される鉛直下方D11に対して、管状通路151の内面に対する法線N1、N2が鋭角α1、α2をなすように、当接部15cが設けられている。そうすることで、管状通路151を用いて当接部15cを容易に形成することができる。
【0030】
管状通路151の形状は、第1粉体S1および第2粉体S2を搬送部13に誘導可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、
図2に示されるように、管状通路151は、投入口15aと排出口15bとの間で屈曲している。管状通路151を屈曲させることで、管状通路151の内面に当接した第1粉体S1および第2粉体S2が、鉛直上方D12側に跳ね返りにくくなるので、第1粉体S1および第2粉体S2の管状通路151への投入効率が向上する。管状通路151は、具体的には、排出口15bが投入口15aに対して流路131の搬送方向D21の下流側に位置するように屈曲している。
図2では、管状通路151は、排出口15b側の中心軸Y1と流路131の搬送方向D21とのなす角度β1が投入口15a側の中心軸Y2と流路131の搬送方向D21とのなす角度β2より小さくなるように屈曲し、当接部15cは、流路131の搬送方向D21の反対側に位置する管状通路151の排出口15b側の内面によって構成されている。そうした場合、流路131の搬送方向D21との角度β1が小さくなった排出口15b側の管状通路151と搬送部13の流路131とが接続されることで、管状通路151と流路131との合流部付近での気体の乱流が生じにくくなる。管状通路151の排出口15b側の中心軸Y1と流路131の搬送方向D21とのなす角度β1は、好ましくは、30度~60度の範囲内、より好ましくは、35度~55度の範囲内、さらに好ましくは、40度~50度の範囲内に設定することができる。管状通路151の投入口15a側の中心軸Y2と流路131の搬送方向D21とのなす角度β2は、好ましくは、60度~90度の範囲内、より好ましくは、70度~90度の範囲内、さらに好ましくは、80度~90度の範囲内に設定することができる。しかし、管状通路151は、直管形状を有していてもよく、この場合、鉛直方向D1に延びる直管であってもよく、鉛直方向D1と交差する方向に延びる直管であってもよい。
【0031】
なお、
図2では、当接部15cは、鉛直下方D11に向かって、流路131の搬送方向D21に対して一定の角度β1で傾斜する傾斜面によって構成されている。この場合、第1粉体S1が当接する当接部15cに対する法線と、鉛直下方D11とのなす角α1は、第2粉体S2が当接する当接部15cに対する法線と、鉛直下方D11とのなす角α2と略同じとなる。しかし、当接部15cは、鉛直下方D11に向かって、流路131の搬送方向D21に対する角度β1を変えながら傾斜する湾曲面によって構成されていてもよい。この場合、第1粉体S1が当接する当接部15cに対する法線と、鉛直下方D11とのなす角α1は、第2粉体S2が当接する当接部15cに対する法線と、鉛直下方D11とのなす角α2と異なる。
【0032】
排出口15bは、本実施形態では、鉛直方向D1から見て、投入口15aと重ならないように設けられている。そうした場合、投入口15aから投入される第1粉体S1および第2粉体S2が、当接部15cに当接せず、搬送方向D21への運動成分を増加させないまま、排出口15bから排出されることが抑制される。
【0033】
[本発明の一実施形態に係る塗装装置における粉体の挙動]
次に、上述の塗装装置1での第1粉体S1および第2粉体S2の挙動を説明する。なお、以下に示す実施形態は、あくまで一例であり、本発明の塗装装置における第1粉体および第2粉体の挙動は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0034】
本実施形態において、
図2に示されるように、まず、第1粉体S1および第2粉体S2は、第1供給部11および第2供給部12にそれぞれ供給される。具体的には、第1粉体S1および第2粉体S2はそれぞれ、第1タンク111および第2タンク121に供給されて貯留されている。本実施形態において、対象物Tを塗装する際には(
図1参照)、第1粉体S1および第2粉体S2は、第1供給部11および第2供給部12から第1供給量および第2供給量で搬送部13にそれぞれ落し込まれ、流路131を流れる圧縮気体Gによって搬送方向D21に搬送される。第1タンク111から供給される第1粉体S1は、具体的には、第1供給器112によって第1供給量で第1供給口11aから搬送部13に落とし込まれ、搬入口13aから流路131に投入されると、流路131を流れる圧縮気体Gによって搬送方向D21に搬送される。第2タンク121から供給される第2粉体S2は、具体的には、第2供給器122によって第2供給量で第2供給口12aから搬送部13に落とし込まれ、搬入口13aから流路131に投入されると、流路131を流れる圧縮気体Gによって搬送方向D21に搬送される。換言すれば、本実施形態では、搬送部13以降の下流側の配管は、第1粉体S1および第2粉体S2で共用されており、第1粉体S1用の配管および第2粉体S2用の配管として、別々に設けられなくてもよい。また、本実施形態では、第1粉体S1および第2粉体S2は、同一の搬入口13aから流路131に落とし込まれることで、流路131を流れる圧縮気体Gによって搬送方向D21に搬送される。そうした場合、本発明者は、第1粉体S1および第2粉体S2の比重が異なっていても、流路131への第1粉体S1の供給量(第1供給量)および第2粉体S2の供給量(第2供給量)の割合で、第1粉体S1および第2粉体S2が均一に混じり合った状態で、吐出部14から吐出されることを見出した。
【0035】
本実施形態では、
図2に示されるように、第1供給部11および第2供給部12から搬送部13への第1粉体S1および第2粉体S2の落とし込みの際に、第1粉体S1および第2粉体S2は、投入部15を経由して搬送部13に落とし込まれる。その際、本実施形態では、第1供給部11および第2供給部12(具体的には、第1供給器112および第2供給器122)と投入部15(具体的には、管状通路151)とが離間して配置されているため、投入部15と第1供給部11および第2供給部12との間の部分が接続されず大気に開放されている。そのため、第1供給部11および第2供給部12から負圧状態である流路131への第1粉体S1および第2粉体S2の過剰な吸引が抑制される。また、この場合、第1粉体S1および第2粉体S2とともに空気も吸引されるので、搬送部13の能力を十分に発揮することができる。これにより、第1粉体S1および第2粉体S2の投入部15(具体的には、管状通路151)への投入効率が向上する。
【0036】
本実施形態では、
図2に示されるように、第1粉体S1および第2粉体S2は、投入口15aから管状通路151に落とし込まれると、重力によって鉛直下方D11に落下し、流路131の搬送方向D21の反対側に位置する管状通路151の内面によって構成される当接部15cに当接する。この第1粉体S1および第2粉体S2の当接部15cへの当接により、流路131の搬送方向D21への第1粉体S1および第2粉体S2の運動成分を増加させることができる。その際、本実施形態では、排出口15bが鉛直方向D1から見て投入口15aと重ならないように設けられているので、投入口15aから投入される第1粉体S1および第2粉体S2が、当接部15cに当接せずに(換言すれば、運動方向を変えずに)、そのまま排出口15bから排出されることが抑制される。
【0037】
第1粉体S1および第2粉体S2のうちの一部は、管状通路151の内面への当接により、鉛直上方D12側に跳ね返ることもある。しかし、本実施形態では、
図2に示されるように、管状通路151が屈曲しているので、第1粉体S1および第2粉体S2は、管状通路151の屈曲する内面によって、跳ね返りの方向が制限され、鉛直上方D12側に跳ね返りにくくなる。この場合、たとえば、第1粉体S1および第2粉体S2が、管状通路151の投入口15aと第1供給部11(具体的には、第1供給器112)の第1供給口11aおよび第2供給部12(具体的には、第2供給器122)の第2供給口12aとの間から離脱したり、第1供給部11(具体的には、第1供給器112)および第2供給部12(具体的には、第2供給器122)に跳ね返って戻ることが抑制されるので、第1粉体S1および第2粉体S2の管状通路151への投入効率が向上する。
【0038】
本実施形態において、
図2に示されるように、第1粉体S1および第2粉体S2は、搬送部13への落とし込みにより、搬入口13aから圧縮気体Gの流路131に投入される。ここで、本実施形態では、管状通路151は、管状通路151の排出口15b側の中心軸Y1と流路131の搬送方向D21とのなす角度β1が管状通路151の投入口15a側の中心軸Y2と流路131の搬送方向D21とのなす角度β2より小さくなるように屈曲している。この場合、流路131の搬送方向D21との角度β1が小さくなった搬送部13側の管状通路151と流路131とが接続されることで、管状通路151と流路131との合流部において、管状通路151からの気体と流路131の圧縮気体Gとの合流抵抗が小さくなるので、管状通路151と流路131との合流部において、圧縮気体Gの乱流が生じにくくなる。そのため、本実施形態では、管状通路151や流路131に生じる乱流によって圧縮気体Gの流れが乱れることで、第1粉体S1および第2粉体S2の流れが乱れて搬送されにくくなることが抑制される。
【0039】
本実施形態において、
図2に示されるように、第1粉体S1および第2粉体S2は、圧縮気体Gの流路131に落とし込まれる際に、流路131を流れる圧縮気体Gと同じ搬送方向D21への運動成分が増加しているので、圧縮気体Gに乗りやすくなる。そのため、本実施形態では、第1粉体S1および第2粉体S2は、流路131内で鉛直下方D11側に溜まることが抑制され、圧縮気体Gによって容易に搬送方向D21に搬送される。
【0040】
本実施形態において、
図1(
図2も参照)に示されるように、第1粉体S1および第2粉体S2は、圧縮気体Gによって搬送方向D21に搬送された後、配管1aを通って、吐出部14から管体(対象物)Tの内面に吐出される。本実施形態では、第1粉体S1および第2粉体S2は、搬送方向D21と交差する方向(より具体的には、管体(対象物)Tの中心軸Xrに垂直な方向(管体(対象物)Tの径方向))で、管体(対象物)Tに向かって吐出されるため、第1粉体S1および第2粉体S2を搬送する圧縮気体Gは、進行方向が曲げられることで、圧力損失が大きくなる。しかし、本実施形態では、このように圧縮気体Gの圧力損失が大きい場合であっても、流路131の搬送方向D21への第1粉体S1および第2粉体S2の運動成分を増加させることで、第1粉体S1および第2粉体S2が圧縮気体Gに乗せる際の抵抗が小さくなるので、第1粉体S1および第2粉体S2を管体(対象物)Tに良好に吹き付けることができる。
【0041】
以上のように構成される本実施形態に係る塗装装置1によれば、搬送部13は、鉛直上方D12側に、流路131と連通し、第1供給部11および第2供給部12から第1粉体S1および第2粉体S2が流路131に落し込まれる、第1粉体S1および第2粉体S2で共通する搬入口13aを有している。搬送部13は、搬入口13aから流路131にそれぞれ落し込まれる第1粉体S1および第2粉体S2を圧縮気体Gによって流路131の下流側に搬送し、吐出部14は、第1供給量および第2供給量に応じた所定の割合で、搬送部13から圧縮気体Gによって搬送される第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに向けて吐出する。換言すれば、本実施形態に係る塗装装置1では、少なくとも搬送部13以降の下流側の配管は、第1粉体S1および第2粉体S2で共用されており、第1粉体S1用の配管および第2粉体S2用の配管として、別々に設けられなくてもよい。そのため、本実施形態に係る塗装装置1では、第1粉体S1および第2粉体S2を供給・吐出する配管が冗長にならないように、簡単な経路で設けることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る塗装装置1によれば、第1粉体S1および第2粉体S2は、同一の搬入口13aから流路131に投入されることで、流路131を流れる圧縮気体Gによって搬送方向D21に搬送される。そうした場合、本発明者は、第1粉体S1および第2粉体S2の比重が異なっていても、流路131に落とし込まれる第1粉体S1の供給量(第1供給量)および第2粉体S2の供給量(第2供給量)の割合で、第1粉体S1および第2粉体S2が均一に混じり合った状態で、吐出部14から良好に吐出されることを見出した。
【0043】
なお、本発明者は、本実施形態に係る塗装装置1の代替手段として、
図3に示される塗装装置2を検討した。
図3は、参考例に係る塗装装置2を示している。参考例に係る塗装装置2は、
図3に示されるように、第1粉体S1および第2粉体S2を混合するための混合タンク21と、混合タンク21から供給される第1粉体S1および第2粉体S2を圧縮気体Gによって搬送するための圧送器22とを備えている。混合タンク21は、鉛直下方D11の気体室21aと、鉛直上方D12の撹拌室21bとに内部空間を分離する分離体21cを備えている。分離体21cは、多孔質材料から構成され、第1粉体S1および第2粉体S2を透過させずに、気体を透過させるように構成されている。
【0044】
参考例に係る塗装装置2では、配管2cによって気体室21aに供給される圧縮気体Gは、分離体21cを透過して撹拌室21bに供給され、撹拌室21bに供給される第1粉体S1および第2粉体S2は、圧縮気体Gによって撹拌されることで、混合される。混合された第1粉体S1および第2粉体S2は、開閉弁2mを介して圧送器22に供給され、圧送器22は、配管2bを介して供給される圧縮気体Gにより、第1粉体S1および第2粉体S2を搬送方向D21に搬送する。圧送器22は、配管2aを介して吐出部(図示せず)と接続されており、吐出部は、圧縮気体Gによって搬送される第1粉体S1および第2粉体S2を対象物(図示せず)に向かって吐出する。
【0045】
このような塗装装置2を用いて、第1粉体S1(具体的には、粉体エポキシ樹脂)および第2粉体S2(具体的には、珪砂)によって上記同様の対象物Tに塗装しようとしたところ、撹拌室21bにおいて、比重の大きい第2粉体S2(具体的には、珪砂)が鉛直下方D11に溜まりやすく、第1粉体S1および第2粉体S2が所望の割合で混合された状態で、対象物Tに塗装することができなかった。これに対し、本実施形態に係る塗装装置1では、第1粉体S1が圧縮気体Gに十分に乗らずに流路131内で鉛直下方D11に溜まるといった事態は、ほとんど生じておらず、第1粉体S1および第2粉体S2が所望の割合で混合された状態で、対象物Tを塗装することができた。
【0046】
本実施形態では、第1粉体S1は、対象物Tを塗装する塗料によって構成され、第2粉体S2は、塗料に添加する充填材によって構成されている。この場合、第1粉体S1である塗料と、第2粉体S2である充填材とが混合された塗膜が得られるので、塗料の割合が低減されることで、塗膜を安価に形成することができる。
【0047】
本実施形態では、第1供給部11および第2供給部12と搬送部13との間に、第1供給部11および第2供給部12から搬送部13に第1粉体S1および第2粉体S2を落とし込む投入部15を備えており、投入部15は、第1粉体S1および第2粉体S2が投入される投入口15aと、第1粉体S1および第2粉体S2が排出される排出口15bとを繋ぐ管状通路151を有している。管状通路151は、具体的には、第1供給部11および第2供給部12と離間して設けられている。この場合、管状通路151と第1供給部11および第2供給部12との間の部分が大気に開放されるので、第1供給部11および第2供給部12から負圧状態である流路131への第1粉体S1および第2粉体S2の過剰な吸引が抑制される。また、この場合、第1粉体S1および第2粉体S2とともに空気も吸引されるので、搬送部13の能力を十分に発揮することができる。
【0048】
本実施形態では、投入部15は、投入口15aと排出口15bとの間に設けられ、投入部15に投入される第1粉体S1および第2粉体S2が当接する当接部15cを有している。この場合、投入口15aから投入される第1粉体S1および第2粉体S2が、当接部15cに当接することで、少なくとも搬送方向D21への運動成分を増加させるように第1粉体S1および第2粉体S2の運動方向を変化させた後に、排出口15bから排出されることで、流路131に投入される。そうすると、第1粉体S1および第2粉体S2は、流路131に投入される前に、流路131を流れる圧縮気体Gと同じ搬送方向D21への運動成分が増加することで、圧縮気体Gに乗りやすくなる。これにより、本実施形態では、流路131内で重力により鉛直下方D11に溜まることが抑制されるので、第1粉体S1および第2粉体S2を対象物Tに良好に吹き付けることできる。
【符号の説明】
【0049】
1 塗装装置
11 第1供給部
111 第1タンク
112 第1供給器
11a 第1供給口
12 第2供給部
121 第2タンク
122 第2供給器
12a 第2供給口
13 搬送部
131 流路
13a 搬入口
14 吐出部
15 投入部
151 管状通路
15a 投入口
15b 排出口
15c 当接部
1a、1b 配管
2 塗装装置
21 混合タンク
21a 気体室
21b 撹拌室
21c 分離体
22 圧送器
2a、2b、2c 配管
2m 開閉弁
C 台車
D1 鉛直方向
D11 鉛直下方
D12 鉛直上方
D2 流路が延びる方向
D21 搬送方向
G 圧縮気体
N1 第1粉体が当接する当接部の法線
N2 第2粉体が当接する当接部の法線
R 回転体
S1 第1粉体
S2 第2粉体
T 対象物(管体)
X1 第1供給器の第1回転軸
X2 第2供給器の第2回転軸
Xr 対象物(管体)の中心軸
Y1 管状通路の排出口側の中心軸
Y2 管状通路の投入口側の中心軸
α1 第1粉体が当接する当接部の法線と鉛直下方とのなす角
α2 第2粉体が当接する当接部の法線と鉛直下方とのなす角
β1 管状通路の排出口側の中心軸と流路の搬送方向とのなす角度
β2 管状通路の投入口側の中心軸と流路の搬送方向とのなす角度