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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】空調制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20241004BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20241004BHJP
   F24F 120/12 20180101ALN20241004BHJP
   F24F 120/00 20180101ALN20241004BHJP
【FI】
F24F11/52
F24F11/80
F24F120:12
F24F120:00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021047524
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146524
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 明日香
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真伊知
(72)【発明者】
【氏名】羽切 理恵
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-20109(JP,A)
【文献】特開2018-205854(JP,A)
【文献】特開2020-16376(JP,A)
【文献】特開2021-169890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内を温度が異なる複数の温度帯に分けて空調を行う空調機と、
前記空調機の運転条件を制御する空調制御ユニットと、
を含み、
前記空調制御ユニットは、
前記室内で、対象者が着席している座席を特定する座席位置判定部と、
前記対象者の生体情報を測定する利用者端末から前記対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報に基づいて前記対象者の自律神経の状態を判断する生体情報判断部と、
前記座席位置判定部により得られた前記対象者の座席位置と、前記対象者の自律神経の状態と、に基づいて、前記対象者に推奨する座席の情報を提供する推奨情報提供部と、
前記生体情報判断部が判断した前記対象者の自律神経の状態と、前記座席位置判定部が判定した座席位置に基づいて、前記空調機の運転条件を設定する制御条件設定部と、
を含む空調制御システム。
【請求項2】
自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内を温度が異なる複数の温度帯に分けて空調を行う空調機と、
前記空調機の運転条件を制御する空調制御ユニットと、
空調機を運転するときの制御モードを設定するモード選択ユニットと、
を含み、
前記空調制御ユニットは、
前記室内で、対象者が着席している座席を特定する座席位置判定部と、
前記対象者の生体情報を測定する利用者端末から前記対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報に基づいて前記対象者の自律神経の状態を判断する生体情報判断部と、
前記座席位置判定部により得られた前記対象者の座席位置と、前記対象者の自律神経の状態と、前記モード選択ユニットで選択された前記制御モードと、に基づいて、前記対象者に推奨する座席の情報を提供する推奨情報提供部と、
前記生体情報判断部が判断した前記対象者の自律神経の状態と、前記モード選択ユニットで選択された前記制御モードに基づいて、前記空調機の運転条件を設定する制御条件設定部と、
を含む空調制御システム。
【請求項3】
前記生体情報は心拍の情報を含み、前記生体情報判断部は前記心拍の情報から心拍変動パラメータを算出する、請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項4】
前記生体情報判断部が、前記心拍変動パラメータとしてLF/HF比を算出し、
前記LF/HF比から前記対象者の自律神経が、交感神経優位の状態であるか、副交感神経優位の状態であるかを判断する、請求項3に記載の空調制御システム。
【請求項5】
前記生体情報判断部が、前記対象者の心拍数の時間変化から覚醒状態を判断し、
前記生体情報判断部が前記対象者の覚醒度が低いと判断したとき、前記制御条件設定部が前記空調機の設定温度を下げる運転条件を設定する、請求項3に記載の空調制御システム。
【請求項6】
前記空調制御ユニットは、前記室内の空席位置を検索する空席情報検索部を含み、
前記推奨情報提供部は、前記空席情報検索部が検索した空席の中から前記対象者に推奨する座席の情報を提供する、請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項7】
前記空調制御ユニットは、前記室内の空席位置を検索する空席情報検索部と、前記空調機の運転条件を設定する制御条件設定部と、を含み、
前記空席情報検索部が空席は無いと判断したとき、前記制御条件設定部は、前記複数の温度帯の内、前記対象者が着席している温度帯の温度を変更するように前記空調機を制御する、請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項8】
前記推奨情報提供部は、前記モード選択ユニットで選択された制御モードに基づいて、前記対象者に推奨情報を提供する、請求項2に記載の空調制御システム。
【請求項9】
前記モード選択ユニットは、前記制御モードとして、交感神経を優位にする第1モードと、副交感神経を優位にする第2モードと、が選択可能とされている、請求項2に記載の空調制御システム。
【請求項10】
前記空調制御ユニットは、
前記モード選択ユニットによって第1モードが選択され、前記生体情報判断部が、副交感神経が優位であると判断したとき、前記室内の設定温度を下げる制御を行い、
前記モード選択ユニットによって第2モードが選択され、前記生体情報判断部が、交感神経が優位であると判断したとき、前記室内の設定温度を上げる制御を行う、請求項9に記載の空調制御システム。
【請求項11】
前記空調制御ユニットは、
前記対象者の位置情報を取得し、前記対象者が屋外から前記室内に移動したと判断したとき、
前記推奨情報提供部が前記対象者に外気温と温度差が少ない座席の情報を提供する、請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項12】
利用者の体質に関する個人情報を記憶した個人情報記憶部、又は前記利用者端末に利用者の体質に関する個人情報が記憶され、
前記空調制御ユニットは、前記個人情報に基づいて、前記対象者に推奨する座席の情報を提供する、請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内において、その中で作業を行う者に適した空調環境を提供する空調制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータの小型軽量化、情報通信技術の発展により、従業員にフリーアドレス制のオフィスを提供する企業が増えている。フリーアドレス制とは、従業員が作業内容に合わせて作業を行う場所を選択できるシステムを指し、IT企業やベンチャー企業等の業務スタイルに比較的自由度の高い企業で導入が進められている。フリーアドレス制のオフィスでは大きなテーブルにいくつかの椅子が並べられており、従業員は空いている座席を自由に選んで作業を行うといったスタイルが通常である。
【0003】
フリーアドレス制のオフィスは自由に着席できる座席が提供されているが、本人にとっては自分の好みの座席を選べるかが問題となる。このような問題に対し、利用者(本人)があらかじめ空調環境の要望(空調温度及びその許容範囲、好みのエリア)を登録しておき、その要望に適合するエリアの空席情報を座席配置図に表示するナビゲーション装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-133175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置は、フリーアドレス制のオフィスにおいて利用者が好む空調温度の空席位置を案内するが、その空調温度がユーザの行う業務に適した温度であるとは限らないことが問題である。例えば、ある利用者が集中して作業を行いたいときには、その者の自律神経の状態が、交感神経優位な状態にあることが好ましいと考えられる。
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたナビゲーション装置は、本人の要望を優先するあまり、その者が行う業務に適した座席を提供することが考慮されていないことが問題となる。企業では様々な種類の業務があり、従業員はそれぞれ異なる業務を行うことから、生産性の向上を図るためには特許文献1に開示されるような空席の案内方式では十分ではないことが問題である。
【0007】
このような問題に鑑み、本発明は、フリーアドレス制の座席が提供されるオフィス等において、利用者の業務の内容に合わせて自律神経の状態が最適となるような空調環境へ案内することができるシステムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る空調制御システムは、自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内を温度が異なる複数の温度帯に分けて空調を行う空調機と空調機の運転条件を制御する空調制御ユニットとを含む。空調制御ユニットは、室内で対象者が着席している座席を特定する座席位置判定部と、対象者の生体情報を測定する利用者端末から対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、生体情報に基づいて対象者の自律神経の状態を判断する生体情報判断部と、座席位置判定部により得られた対象者の座席位置及び対象者の自律神経の状態に基づいて対象者に推奨する座席の情報を提供する推奨情報提供部と、生体情報判断部が判断した対象者の自律神経の状態と、座席位置判定部が判定した座席位置に基づいて空調機の運転条件を設定する制御条件設定部と、を含む。
【0009】
本発明の一実施形態に係る空調制御システムは、自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内を温度が異なる複数の温度帯に分けて空調を行う空調機と、空調機の運転条件を制御する空調制御ユニットと、空調機を運転するときの制御モードを設定するモード選択ユニットとを含む。空調制御ユニットは、室内で対象者が着席している座席を特定する座席位置判定部と、対象者の生体情報を測定する利用者端末から対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、生体情報に基づいて対象者の自律神経の状態を判断する生体情報判断部と、座席位置判定部により得られた対象者の座席位置と、対象者の自律神経の状態と、モード選択ユニットで選択された制御モードとに基づいて、対象者に推奨する座席の情報を提供する推奨情報提供部と、生体情報判断部が判断した対象者の自律神経の状態と、モード選択ユニットで選択された制御モードに基づいて空調機の運転条件を設定する制御条件設定部と、を含む。
【0010】
生体情報は心拍の情報を含み、生体情報判断部は心拍の情報から心拍変動パラメータを算出することができる。生体情報判断部は、心拍変動パラメータとしてLF/HF比を算出し、LF/HF比から対象者の自律神経が、交感神経優位の状態であるか、副交感神経優位の状態であるかを判断することができる。生体情報判断部は、対象者の心拍数の時間変化から覚醒状態を判断し、生体情報判断部が対象者の覚醒度が低いと判断したとき、制御条件設定部が空調機の設定温度を下げる運転条件を設定することができる。
【0011】
空調制御ユニットは、室内の空席位置を検索する空席情報検索部を含み、推奨情報提供部は、空席情報検索部が検索した空席の中から対象者に推奨する座席の情報を提供することができる。
【0012】
空調制御ユニットは、室内の空席位置を検索する空席情報検索部と、空調機の運転条件を設定する制御条件設定部とを含み、空席情報検索部が空席は無いと判断したとき、制御条件設定部は、複数の温度帯の内、対象者が着席している温度帯の温度を変更するように空調機を制御することができる。推奨情報提供部は、モード選択ユニットで選択された制御モードに基づいて、対象者に推奨情報を提供することもできる。
【0013】
モード選択ユニットは、制御モードとして、交感神経を優位にする第1モードと副交感神経を優位にする第2モードとが選択可能とされていてもよい。
【0014】
空調制御ユニットは、モード選択ユニットによって第1モードが選択され、生体情報判断部が、副交感神経が優位であると判断したとき室内の設定温度を下げる制御を行い、モード選択ユニットによって第2モードが選択され、生体情報判断部が、交感神経が優位であると判断したとき室内の設定温度を上げる制御を行うことができる。
【0015】
空調制御ユニットは、対象者の位置情報を取得し、対象者が屋外から室内に移動したと判断したとき、推奨情報提供部が対象者に外気温と温度差が少ない座席の情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内の対象者が着席したエリアの中で、対象者の自律神経の状態が適した状態になるように又は適した状態が維持できるように着席位置を案内し、又は空調を制御することができる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内の対象者が選択した制御モードに基づいて、対象者の自律神経の状態が適した状態になるように又は適した状態が維持できるように着席位置を案内し、又は空調を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る空調制御システムの概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによって空調が制御されるフリーアドレス制の座席が配置されたエリアを説明する図である。
図3】本発明の一実施形態に係る空調制御システムのハードウェア的な構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る空調制御システムにおける空調制御ユニットの機能的な構成を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る空調制御システムに用いられる利用者端末の機能的な構成を示す図である。
図6】心拍変動パラメータであるLF/HF比の基準値、上限値、下限値と、LF/HF比の時間変化を模式的に示すグラフである。
図7】利用者端末によって測定される対象者の単位時間当たりの心拍の時間変化を模式的に示すグラフである。
図8】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによって提供される機能の一つを説明する図であり、対象者がお勧めエリアの座席に移動する例を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによって提供される機能の一つを説明する図であり、(A)は対象者と同じ条件で座席位置の変更をすべき利用者が複数人存在しながら移動すべき先に空席が無い場合を示し、(B)は対象者及び複数の利用者の着席位置を変えずに空調により温度分布を変更した場合を示す。
図10】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係る空調制御システムにおける空調制御ユニットの機能的な構成を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
図16】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
図17】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
図18】本発明の一実施形態に係る空調制御システムによる空調動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0020】
[第1の実施形態]
本実施形態は、自由に着席可能な複数の座席が配置されている室内に入室するときに、最初に着席する座席を本人の判断で決め、空調制御システムがその着席位置の空調制御を行い、又は利用者に対して適した着席位置を案内する方式について示す。
【0021】
本明細書において、自由に着席可能な複数の座席が配置されている部屋のことを「フリーアドレスオフィス」と称して説明する。フリーアドレスオフィスは事業を行う法人(会社)、役所、公共団体等で事務等を行う居室である場の他、工場における作業場、研究施設における研究室及び実験室、レンタルスペース、不特定多数の利用者が利用するカフェ等の商業スペース、学校等の教育機関が提供する教室、図書館の閲覧室、公共機関が提供する共用スペースに置き換えられてもよい。
【0022】
1-1.空調制御システムの全体的な構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空調制御システム100の概念を示す。空調制御システム100は、利用者に座席の案内をし、空調機の運転及び制御を行う空調制御ユニット102と、室内の空調を行う空調機106を含む。さらに、空調制御システム100は、空調制御を行う室内の環境情報を取得する環境情報取得ユニット108、利用者端末120から生体情報を取得するための通信ユニット110、フリーアドレス制の座席に設置された着席検出ユニット112が含まれ得る。また、空調制御システム100には通信ネットワークと接続されるサーバ104が含まれてもよい。
【0023】
図1は、フリーアドレスオフィス200に複数のテーブル206(第1テーブル206a、第2テーブル206b、第3テーブル206c、第4テーブル206d)が設置され、各テーブルに対応して複数の座席208(第1座席208a、第2座席208b、第3座席208c、第4座席208d)が配置されている態様を示す。フリーアドレスオフィス200は、空調制御の管理基準に基づいて第1エリア202と第2エリア204との区分けされている。第1エリア202は第2エリア204に対して相対的に室温が低く管理されるエリアであり、第2エリア204は第1エリア202に対して相対的に室温が高く管理されるエリアである。フリーアドレスオフィス200は一つの居室であり、その中で第1エリア202と第2エリア204の境界は明確に区切られている必要はない。例えば、第1エリア202と第2エリア204の境界を物理的に区分けするパーテイションのような仕切りが設置されている必要はなく、エリアを案内する標識が設置されているものの、明確に線引きがされていなくてもよい。
【0024】
本実施形態において、第1エリア202及び第2エリア204は、室内で作業を行う対象者300の自律神経を所定の状態に導く、又は所定の状態を維持するのに適した空調温度に設定するために区分けされる領域である。具体的に、第1エリアは交感神経を優位にするための領域であり「集中エリア」とも呼ばれることがある。第2エリアは副交感神経を優位にするための領域であり「創造エリア」とも呼ばれる領域である。
【0025】
図1は、フリーアドレスオフィス200の第1エリア202に座席208(第1座制208a、第2座席208b、第3座席208c、第4座席208d)が配置され、第2エリア204に座席208(第5座席208e、第6座席208f、第7座席208g、第8座席208h)が配置されていることを示す。なお、各エリアにおける座席の配置数、配置の場所は任意である。空調制御システム100はこのようなフリーアドレスオフィス200で利用者が行う作業に適した自律神経の状態となるように、又は自律神経の状態を維持できるように適した温度に空調を制御し、また適した座席の場所を提示する機能を有する。
【0026】
フリーアドレスオフィス200には空調機106、環境情報取得ユニット108、通信ユニット110、及び着席検出ユニット112が設置される。環境情報取得ユニット108、通信ユニット110、及び着席検出ユニット112はサーバ104と接続される。環境情報取得ユニット108、通信ユニット110、及び着席検出ユニット112とサーバ104とは、有線又は無線によって接続される。サーバ104はローカルエリアネットワーク又はインターネット等の通信ネットワーク116を介して環境情報取得ユニット108、通信ユニット110、及び着席検出ユニット112と接続される。また、サーバ104は、通信ネットワーク116を介して空調制御システム100と接続される。このように各機器が通信ネットワーク116を介して接続されることで各ユニットを分散して配置することができる。例えば、空調制御ユニット102を遠隔地に設置してフリーアドレスオフィス200の空調機106を制御することもできる。
【0027】
図1は、フリーアドレスオフィス200に配置された複数のテーブル206(第1テーブル206a、第2テーブル206b、第3テーブル206c、第4テーブル206d)に対応して複数の空調機106(第1空調機106a、第2空調機106b、第3空調機106c、第4空調機106d)が設置されている例を示す。フリーアドレスオフィス200では複数の利用者が同時に在室し、各利用者が座席に着席して作業が行われる。図1は、複数の利用者の1人(以下、「対象者300」という)が第1エリア202で所定の作業を行う様子を模式的に示す。対象者300は第1エリア202の第2テーブル206bの第3座席208cに着席している。第2テーブル206bが置かれたエリア(第1エリアに対するサブエリア)は第2空調機106bによって空調がされている。
【0028】
本実施形態において「対象者」とは、フリーアドレスオフィス200を利用する利用者の中の1人であって、空調を制御することにより自律神経の状態を所定の状態に導く対象となる者を指す。別言すれば、対象者300とは、空調制御システム100によって空調(温度調整)を行う空間(フリーアドレスオフィス200の室内)に存在する人を指し特定の個人に限定されるものではない。「作業」には、書面作成等の事務作業、生産ラインでの物品製造作業、車両の運転、新製品の開発、アイディアの創出、著作、商談等の行為が含まれるものとする。また、講義及び講演の受講、会議への出席も対象者が行う作業の一形態に含まれるものとする。また、「作業空間」とは作業を行う空間を指し、本実施形態においてはフリーアドレスオフィス200である。すなわち、空調制御システム100によって空調が行われる空間(場所)は閉じられている必要はなく、複数人が自由に出入りできる状態にあってもよい。
【0029】
空調制御システム100は、第2空調機106bの運転条件(設定温度、送風量、冷暖房の運転モード)を、対象者300の生体情報に基づいて設定することができる。空調制御システム100は、第1エリア202に対しては利用者の交感神経が優位となるように空調を行う。第1エリア202には複数人が同時に在室しているため、対象者300の生体情報のみによって空調を制御すると、他の利用者にとっては適さない室温になる場合がる。そのような場合、空調制御システム100は、第1エリア202の中で他の座席に対象者300が移動可能であるか否かを判断し、移動可能であれば対象者300を他の座席へ移動することを促す情報を提供することができる。
【0030】
図2は、室内に配置される第1エリア202及び第2エリア204の一例を示す。第1エリア202及び第2エリア204にはテーブル206が設置され、その周りに座席208が配置されている。テーブル206及び座席208のレイアウトは任意である。第1エリア202及び第2エリア204にはそれぞれ複数の空調機106が設置されている。テーブル206は、空調機106の配置に合わせて並べられている。空調機106の配置に合わせて座席を配置することで、第1エリア202及び第2エリア204の中をサブエリアに分けて空調を管理することができる。なお、テーブル206の形状及び大きさに限定はなく、テーブル206は引き出しが付いた机、又は作業台等に置き換えられてもよい。
【0031】
フリーアドレスオフィス200は一つの連続する空間であるが、第1エリア202は第2エリア204に比べて温度が低い(涼しい)エリアであり、第2エリア204は第1エリア202に比べて温度が高い(暖かい)エリアである。フリーアドレスオフィス200の室温は第1エリア202と第2エリア204の境界で急峻に変化するのではなく、第1エリア202から第2エリア204にかけて徐々に温度が変化するように温度勾配が設けられていてもよい。例えば、第1エリア202では、第2エリア204の境界から遠ざかるにつれて室温が低下し、第2エリア204では第1エリア202の境界から遠ざかるにつれて室温が高くなるような温度勾配を有していてもよい。
【0032】
本実施形態では、利用者がフリーアドレスオフィス200へ入るとき、最初にどの座席に座るのかを利用者の判断で決めることができる。空調制御システム100は、利用者が着席した場所が第1エリア(集中エリア)202の場合は交感神経が優位となるような座席位置を、第2エリア(創造エリア)204の場合は副交感神経が優位となるような座席位置を、利用者の自律神経の状態を見ながら推奨する座席位置を利用者に提供する機能、及び利用者が着席したエリアの空調を制御する機能を有する。
【0033】
図1に示すように、対象者300及び他の利用者は生体情報収集することが可能な利用者端末120を有している。空調制御システム100は利用者端末120から対象者300及び他の利用者の生体情報を収集し、適した座席の案内や空調機106の動作を制御する機能を有する。空調制御システム100は、上記に列挙されるような各ユニットにより構成されるが、利用者端末120がその一つに含まれてもよい。
【0034】
1-1-1.利用者が使用する端末
利用者端末120には生体情報を計測する各種センサが搭載されている。利用者端末120が測定する生体情報としては、体温、心拍、脈拍、血中酸素濃度、発汗量、体動数、及び呼吸数等が含まれる。また、利用者端末120は、利用者の年齢、性別、身長、体重、着衣量等の生体に対する基本的な情報が入力される。
【0035】
1-1-2.着席検出ユニット
利用者が着席する座席208_1a、208_1b、208_2a、208_2b、208_3a、208_3b、208_4a、208_4bのそれぞれには着席検出ユニット112が設置されている。着席検出ユニット112は、座席が在席である空席であるかを検出する着座センサを含む。着座センサは、利用者が座席に着席したことによる荷重の変化、座面の着圧を検出する感圧式センサ、光学的に着席の有無を検出する光学センサ、人感センサが用いられる。光学センサ、人感センサは天井、壁、机などに設置されていてもよい。着座センサに代えて、イメージセンサで画像を取得し画像処理により着席の有無を検出する画像認証方式が適用されてもよい。着席検出ユニット112には着座センサが検出した信号を通信ユニット110に出力する通信回路が含まれる。また、予め座席ごとにカードリーダを設置しておいて、利用者が着席したときにIDカードを使って認証をすることで着席の有無を判断するようにしてもよい。座席毎に顔認証をするためのカメラを設置しておき、顔認証によって着席の有無を判断するようにしてもよい。
【0036】
1-1-3.通信ユニット
通信ユニット110は、利用者端末120及び着席検出ユニット112と通信をする機能を有する。通信ユニット110は利用者端末120及び着席検出ユニット112と通信を行い、対象者300の生体情報、座席208への着席の有無に関する情報を受信し、受信された情報をサーバ104に出力する。別言すれば、サーバ104は、通信ユニット110を介して利用者端末120に接続し利用者の生体情報を取得する。
【0037】
フリーアドレスオフィス200には各エリアに1つ以上の通信ユニット110が配置される。また、通信ユニット110は、フリーアドレスオフィス200の他、建物の中の他のエリアに設置されていてもよい。例えば、通信ユニット110は、建物のエントランス、廊下、階段、他の室内に設置されていてもよい。通信ユニット110は、対象者300の位置を特定する位置センサとしての機能を有していてもよい。例えば、通信ユニット110の設置場所(アドレス)を識別可能としておき、対象者300の利用者端末120と通信を行った通信ユニット110を特定することで、建物の中に居る対象者300の位置を特定することができる。
【0038】
1-1-4.環境情報取得ユニット
環境情報取得ユニット108は対象者300が存在する空間の環境情報を取得する機能を有する。例えば、環境情報取得ユニット108は、対象者300が在室するフリーアドレスオフィス200の環境情報を取得する。環境情報取得ユニット108は、対象者300の周囲の環境情報を収集できる位置であればその設置場所に限定はない。環境情報取得ユニット108は、例えば、所定の室内において、壁、天井、又はパーテイション、床、卓上に設置される。環境情報取得ユニット108が収集する環境情報は、フリーアドレスオフィス200の全体の環境情報である必要はなく、対象者300の周囲の環境情報を収集できればよい。
【0039】
環境情報取得ユニット108は、フリーアドレスオフィス200の環境情報として室温を検出する機能を有する。また、環境情報取得ユニット108は、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、騒音、圧力、照度、紫外線量等を検出する機能が付加されていてもよい。このような機能を実現するために環境情報取得ユニット108には、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、騒音計、圧力計、照度計、紫外線センサの少なくとも1つが含まれ得る。
【0040】
1-1-5.サーバ
サーバ104は、環境情報取得ユニット108、通信ユニット110、着席検出ユニット112と接続される。サーバ104は、環境情報取得ユニット108が取得したデータ、通信ユニット110と利用者端末120との通信履歴、及び利用者端末120から送信された生体情報、着席検出ユニット112から送信された座席の着席状況に関するデータを収集し記憶する機能を有する。また、サーバ104は収集されたデータを空調制御ユニット102に出力する機能を有する。
【0041】
1-1-6.空調制御ユニット
空調制御ユニット102は、環境情報取得ユニット108が取得した環境情報、通信ユニット110を介して取得した利用者端末120が収集した対象者300の生体情報、着席検出ユニット112が検出した座席の着席状況に関する情報が入力される。空調制御ユニット102は、これらの情報に基づいて空調機106の運転条件を設定し、空調機106の動作を制御する機能を有する。また、空調制御ユニット102は、サーバ104が収集したデータ又はサーバが蓄積したデータを読み出し、データを用いて空調機106の制御を行う機能を有する。
【0042】
1-2.空調制御システムのハードウェア的構成
図3は、空調制御システム100のハードウェア的な構成を示す。空調制御システム100には、サーバ104、コンピュータ122、空調機106、センサ126、ルータ124、着座センサ130が含まれる。コンピュータ122は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信インターフェース等によって構成され、コンピュータプログラムによって動作することで空調制御ユニット102としての機能が実現される。サーバ104にはデータを記憶するハードディスク、ソリッドステートドライブ等のストレージデバイス132が接続されていてもよい。なお、サーバ104は、物理サーバ、仮想サーバ、又はクラウドサーバ等で実現され、サーバの形式に特段の限定はない。サーバ104は、通信ネットワーク116を介してルータ124及びセンサ126と信号の送受信を行い、またコンピュータ122と信号(情報)の送受信を行う。空調機106はコンピュータ122から制御信号を受信する。空調機106とコンピュータ122とは通信ネットワーク116を介して接続されていてもよい。コンピュータ122と空調機106との間の信号の送受信は通信ネットワーク116を介して行われてもよい。
【0043】
空調機106は、天井、壁、床に設置される機器であり、個別空調方式、セントラル空調方式等、空調方式に限定はない。空調機106の吹出口を設置する位置に限定はなく、天井、壁、床等に設置することができる。図3は、コンピュータ122と空調機106が個別のハードウェア資源として示されているが、空調機106の中にコンピュータが組み込まれていてもよい。
【0044】
センサ126は環境情報を取得する機器であり環境情報取得ユニット108の機能を実現するハードウェア資源に相当する。センサ126の具体的な一例は温度センサである。センサ126としては、その他に、湿度センサ、二酸化炭素濃度、酸素濃度等を検出するガスセンサ、騒音センサ、圧力センサ、照度センサ、紫外線センサ等が加えられてもよい。ルータ124は、通信ユニット110の機能を実現するハードウェア資源である。ルータ124はウェアラブル端末128と通信するために用いられる。ルータ124は、例えば、WiFiルータが用いられ、その他にもブルートゥース(登録商標)、赤外線通信に対応した近距離無線通信ルータを用いることもできる。
【0045】
着座センサ130は、着席検出ユニット112の機能を実現するハードウェア資源である。着座センサ130は、光学式センサ、圧力センサが用いられる。着座センサ130の取り付け位置は任意であり、座席208の座面、肘掛け、背もたれ等の任意の位置に設置することができる。着席検出ユニット112は、座席への着席の有無を検出する着座センサの他に通信回路を含み、通信回路により着座センサ130の信号をルータ124に送信する。
【0046】
ウェアラブル端末128は対象者300が所持する端末であり利用者端末120としての機能を実現するハードウェア資源である。ウェアラブル端末128は、生体情報を収集するために対象者300の身体に装着可能であるものが好ましい。例えば、ウェアラブル端末128は腕時計型、着衣型の端末が用いられる。
【0047】
1-3.空調制御ユニットと利用者端末の機能的な構成
次に、空調制御ユニット102及び利用者端末120の機能的な構成について説明する。
【0048】
1-3-1.空調制御システムの機能的な構成
図4は、空調制御システム100を構成する空調制御ユニット102の機能的な構成を示す。空調制御ユニット102は、生体情報取得部136、生体情報判断部138、着席エリア判定部144、推奨情報設定部140、空席情報検索部146、制御条件設定部148を含む。
【0049】
空調制御システム100には、環境情報取得部134、環境情報記憶部154、生体情報記憶部156、推奨情報出力部142、座席情報記憶部158、着席情報記憶部160、空調機情報取得部152、空調機情報記憶部168、制御条件出力部150が含まれ得る。
【0050】
環境情報取得部134は、環境情報取得ユニット108が取得した環境情報を取得する。具体的には、環境情報取得ユニット108としての機能を有する温度センサから測定対象となる対象者300が在室する室内の温度(対象者300の周囲の温度)を取得する。環境情報取得部134は取得した環境情報を制御条件設定部148に出力する。
【0051】
環境情報記憶部154は、環境情報取得部134が取得した環境情報を記憶する機能を有する。環境情報取得部134は、取得した環境情報を環境情報記憶部154に適宜出力し、環境情報記憶部154はその環境情報を記憶する。
【0052】
生体情報取得部136は、通信ユニット110を介して利用者端末120から対象者300の生体情報を取得する機能を有する。生体情報取得部136が取得する生体情報には、例えば、対象者300の体温、心拍、脈拍、血中酸素濃度、発汗量、体動数、及び呼吸数といった情報が含まれる。生体情報取得部136は取得した生体情報を生体情報判断部138に出力する。
【0053】
生体情報取得部136は、対象者300の生体情報を収集する利用者端末120から生体情報を取得する機能を有し、生体情報判断部138は、生体情報に基づいて対象者300の自律神経の状態を判断する。
【0054】
生体情報判断部138は、取得された生体情報に基づいて対象者300の自律神経の状態を判断する。対象者300の自律神経の状態を表す指標として、交感神経と副交感神経のどちらがどの程度優位な状態であるのかを示すLF/HF比が使用される。LF/HF比は心拍変動パラメータとして知られており、心拍数に基づいて算出される。すなわちLF/HF比は、心拍数を分析して得られる心拍変動パラメータに含まれている低周波数(LF:Low Frequency)成分と高周波数(HF:High Frequency)成分との比である。対象者300が興奮状態又は緊張状態にある場合は交感神経が副交感神経よりも優位な状態となっていて、このときのLF/HF比は大きくなる。一方、対象者300がリラックスした状態の場合は副交感神経が交感神経よりも優位な状態となり、このときのLF/HF比は小さくなる。
【0055】
このように生体情報判断部138は、心拍変動パラメータとしてLF/HF比を算出し、LF/HF比から対象者の自律神経が、交感神経優位の状態であるか、副交感神経優位の状態であるか判断する機能を有する。また、生体情報判断部138は、対象者300の心拍数の時間変化から覚醒状態を判断する機能を有する。
【0056】
対象者300の生体情報は生体情報取得部136によって定期的に取得され、生体情報判断部138によって対象者300の自律神経の状態が判断される。その情報は生体情報記憶部156に記憶される。生体情報記憶部156には、対象者300の自律神経の状態が日時に関する情報と共に記憶される。生体情報判断部138は、判定された対象者300の自律神経の状態に関する情報(LF/HF比に関する情報であり、交感神経、副交感神経のどちらの状態が優位であるかの情報)を制御条件設定部148に出力する。
【0057】
着席エリア判定部144は、着席検出ユニット112の着席情報(各座席に利用者が着席しているか否かの情報)を、通信ユニット110を介して受信する。着席エリア判定部144は、座席情報記憶部158に記憶されている座席のレイアウト情報を読み出し、そのレイアウト情報と着席情報から対象者300が着席している座席の位置を特定し、その着席しているエリアを特定する。また、着席エリア判定部144は、対象者300の着席位置に関する情報を着席情報記憶部160に記憶する。
【0058】
また、着席エリア判定部144は、利用者端末120が通信ユニット110と通信する機能を利用してフリーアドレスオフィス200における対象者300の位置情報を取得する。着席エリア判定部144は、例えば、利用者端末120がフリーアドレスオフィス200内の特定の通信ユニット110と通信をしたとき、利用者端末120の識別情報と通信を行った通信ユニット110の識別情報を取得する。
【0059】
着席エリア判定部144は、端末情報記憶部166から利用者端末120の識別情報と利用者が紐付けられた情報を読み出して対象者300を識別し、通信ユニット情報記憶部162から通信ユニット110の識別情報と配置が紐付けられた情報を読み出して、利用者端末120と通信を行った通信ユニット110の位置を特定する。着席エリア判定部144は、取得された着席情報と識別情報に基づいて対象者300がフリーアドレスオフィス200内のどのエリアのどの座席に着席しているのかを判断する。
【0060】
また、着席エリア判定部144は、利用者端末120の位置に近い空調機106の位置を判別する機能を有していてもよい。例えば、着席エリア判定部144は利用者端末120の位置情報に基づいて、空調機106の識別情報と設置された場所とを紐付けた情報が記録された情報を空調機情報記憶部168から読み出して、利用者端末120が存在する位置に近い空調機106を特定することができる。そして、着席エリア判定部144は、空調制御の対象となる空調機106を特定し、その情報を制御条件設定部148に出力することができる。
【0061】
空席情報検索部146は、対象者300に空席案内をするために着席情報記憶部160から着席情報を読み出して対象者300が着席している対象エリアの中に空席があるか否かを検索する。空席情報検索部146は検索結果を推奨情報設定部140に出力する。
【0062】
空調機情報取得部152は、フリーアドレスオフィス200に配置されている空調機106の運転情報(設定温度、風量、冷房又は暖房の運転モード)を取得する。フリーアドレスオフィス200に設置されている空調機106の個々の識別情報及び設置位置(フリーアドレスオフィス200内におけるアドレス)は空調機情報記憶部168に記憶されている。空調機情報取得部152は、取得した空調機の設定情報と空調機の設置位置とを対応付けて、その情報を制御条件設定部148に出力する。
【0063】
推奨情報設定部140は、生体情報判断部138の情報に基づいて対象者300に提供する推奨情報を設定する。例えば、生体情報判断部138が、対象者300が覚醒状態にないと判断した場合、休憩を促すメッセージを送信するように設定する。また、推奨情報設定部140は、空調機情報取得部152が取得した空調機106の運転情報及び空席情報検索部146が検索した空席情報に基づいて、対象者300に推奨する座席情報を提供する。また、空席情報検索部146は、対象者300に推奨できる座席の情報が無い場合には、推奨できる空席が無い旨の情報を提供する。
【0064】
推奨情報出力部142は、推奨情報設定部140で設定された推奨情報を、通信ユニットを介して利用者端末120に出力する。推奨情報出力部142から利用者端末120に出力する情報には、推奨する座席の情報、推奨できる座席が無い旨の情報、休憩を促す情報が含まれる。
【0065】
制御条件設定部148は、生体情報判断部138が判断した対象者300の自律神経の状態と、対象者300が着席しているエリアが第1エリア202であるか第2エリア204であるかに関する情報に基づいて空調機106の運転条件を設定する。また、制御条件設定部148は、着席エリア判定部144から出力された制御対象となる空調機を特定し、その空調機の設定状態を把握し変更可能な温度範囲で設定温度を設定する。
【0066】
上記のように空調制御ユニット102は各機能部が有機的に結合して、対象者300の自律神経の状態を作業に適した状態になるように、対象者300に適した座席の情報を提供し、空調機106を制御する機能を有する。
【0067】
1-3-2.利用者端末の機能的な構成
図5は、利用者端末120の機能的な構成を示す。利用者端末120は、空調制御システム100が自律神経の状態を制御する対象者300の身体の状態を表す生体情報を収集する機能を有する。利用者端末120は、生体情報収集部172、通信部174、記憶部176、表示部178、及び入力部180を含む。
【0068】
生体情報収集部172は、対象者300の身体の状態を検知する機能を有し、例えば、対象者300の体温、心拍、脈拍、血中酸素濃度、発汗量、体動数、及び呼吸数といった生体情報を検知する機能を有する。なお、生体情報収集部172は検知する生体情報はここで例示されるものに限定されず、その他の生体情報を取得する機能を有していてもよい。
【0069】
生体情報収集部172は、例えば、温度センサ、赤外線センサ、光センサ、静電容量センサ、圧力センサ、紫外線センサ、加速度センサ、マイクロフォンなど、各種のセンサにより実現される。例えば、生体情報収集部172は、LED光源と受光素子により構成され、光電式容積脈波記録法(フォトプレチスモグラフィ)と呼ばれる方法で心拍数を測定することができる。また、体温は、サーミスタセンサ、熱電対列赤外線センサ等を用いて測定することができる。心拍数は、光センサを使用して血流量の変化を確認することにより検知することができる。発汗量は、静電容量センサを使用し、コンデンサの静電容量の変化に伴うインピーダンスの変化量から計算することができる。体動数および呼吸数は、圧力センサ、赤外線センサなどを使用して検知することができる。また、血中酸素濃度は、パルスオキシメーターにより検知することができる。屋外滞在時間は、紫外線センサを用い、紫外線センサが紫外線を連続的に受光した累積時間によって検知することができる。睡眠時間は、加速度センサを用いて、体動を検知することにより予測することができる。会話は、マイクロフォンを用いて、音声を取得することにより生体の緊張の度合いを検知することができる。
【0070】
記憶部176は生体情報収集部172が取得した各種の生体情報を記憶する機能を有する。記憶部176は不揮発性半導体メモリにより実現することができる。また、記憶部176は、対象者300を識別する識別情報(ID番号等)、年齢、性別、身長、体重といった情報が記憶されていてもよい。
【0071】
通信部174は通信ユニット110と無線で通信する機能を有する。生体情報収集部172で取得された生体情報(又は記憶部176に記憶されている生体情報)は、通信部174から通信ユニット110に送信される。
【0072】
表示部178は、利用者端末120で収集された生体情報、空調制御システム100の動作状態、設定条件等の表示を行う機能を有する。入力部180は、対象者の年齢、性別、身長、及び体重といった個人特有情報の入力を受け付ける。入力部180は、その他の情報の入力も受け付け可能である。
【0073】
利用者端末120は、生体情報を収集する専用の端末であってもよいし、スマートウオッチと呼ばれるウェアラブル端末のように時計や情報通信機能を兼ね備えた端末であってもよい。
【0074】
1-4.生体情報を用いた自律神経の状態、覚醒度の判定
次に、利用者端末120により収集された生体情報に基づいて、対象者300の自律神経の状態、覚醒度を判定する方法について説明する。
【0075】
1-4-1.自律神経の状態の判断
心拍変動パラメータを用いて自律神経の状態を判断する方法について説明する。心拍変動パラメータは利用者端末120により取得される情報である。
【0076】
対象者の自律神経の状態を判断するために、心拍変動パラメータとして得られるLF(低周波)とHF(高周波)の比を用いる。LFは心拍変動のパワースペクトルの内、0.004~0.15Hzの周波数帯のパワースペクトルであり、交感神経と副交感神経の両方の活動を反映するとされている。HFは、0.15~0.4Hzの周波数帯のパワースペクトルであり、副交感神経(迷走神経)の活動を反映しているとされている。LF/HF比は、LF(低周波)とHF(高周波)のパワーの比率であり、この値は交感神経と副交感神経の全体のバランスを表し、LF/HF比の数値が高いと交感神経優位を示し、低い場合は副交感神経優位を示すものとされている。したがって、LF/HF比を求めることができれば、対象者300が交感神経優位の状態にあるのかを、副交感神経優位の状態にあるのかを判別することができる。
【0077】
図6は、LF/HF比の時間変化を模式的に示す図である。LF/HF比は対象者300の運動状態、視聴覚刺激により変化する。図6は、LF/HF比の基準値を設定し、LF/HF比の値が基準値よりも高い場合は交感神経優位、低い場合は副交感神経優位と判断することを示す。基準値は個体差があり、対象者毎に予め一定期間心拍変動パラメータを測定し、交感神経、副交感神経のバランスを計算して設定することができる。基準値から上限値及び下限値までの範囲は任意であり適宜設定することができる。例えば、対象者の1週間のLF/HF比のデータを収集し、中央値(50パーセンタイル値)が5.0であり、90パーセンタイル値が10.0であり、10パーセンタイル値が1.5であるといった数値が得られた場合、中央値を基準値とし、90パーセンタイル値を上限値、10パーセンタイル値を下限値と設定してもよい。
【0078】
また、年齢、性別、身長及び体重等の属性で対象者300を分類し、属性毎に計算された平均値を基準値として用いてもよい。例えば、各年齢層の男女のLF/HF比のデータを収集し、年齢層及び性別毎に中央値(50パーセンタイル値)、90パーセンタイル値、10パーセンタイル値を求め、上記と同様に基準値、上限値、下限値を設定してもよい。このとき寒がり、普通、暑がり、といった気温に対する体質を属性の中に加味してもよい。
【0079】
生体情報判断部138は、利用者端末120が収集した対象者300の生体情報から心拍変動パラメータとしてLF/HF比を算出する。そして、生体情報判断部138は、LF/HF比の値が基準値より大きい場合は交感神経優位と判断し、LF/HF比の値が基準値よりも小さい場合は副交感真剣優位と判断する。但し、LF/HF比の値が上限値を超える場合は空調機106の設定温度を上げる命令を制御条件設定部148に出力し、又は生体情報判断部138の判定結果に基づいて推奨情報設定部140が空調機106の設定温度が高いエリアをお勧めエリアとして提供する命令を推奨情報出力部142に出力する。
【0080】
1-4-2.覚醒度の判定
心拍数の変化を用いて覚醒度の判定(眠気の判定)をする方法について説明する。心拍は利用者端末120により取得される情報である。
【0081】
図7は、利用者端末120によって測定される対象者300の単位時間当たりの心拍の時間変化を模式的に示すグラフである。図7は、3回分の計測データを示すが、例えば、グラフに示す「点a」のように突発的に心拍が上がった状態を判定から除外するために以下の(A)から(C)までの条件を満たしたときに対象者300の覚醒度が低下している、すなわち「眠い状態」と判断し、それ以外を通常の覚醒状態であると判断する。
(A)10回/分>前回計測時の最初期心拍:点b-前回計測時の最終心拍:点c>1回/分
かつ、
(B)10/分>今回計測時の最初期心拍:点c’-今回計測時の最終心拍:点d>1回/分
かつ、
(C)前回計測時及び今回計測時共に副交感神経優位(LF/HFが基準値以下)であるとき
【0082】
空調制御システム100は、対象者300の覚醒度を判定して、上記(A)、(B)及び(C)の条件を全て満たしているとき、覚醒度が低下している(眠い状態である)と判断する。そして、空調制御システム100は対象者300の覚醒度を高める(眠気を解消する)処置をすることができる。
【0083】
1-5.お勧めエリアの判定
空調制御ユニット102がお勧めエリアを検索する場合、対象者300が第1エリア(集中エリア)202に着席しているとき、交感神経を優位にしたい場合には、第1エリア202内で現在位置より空調機106の設定温度が低いエリアをお勧めエリアと判定する。また、対象者300が第2エリア(創造エリア)204に着席しているとき、副交感神経を優位にしたい場合には、第2エリア204内で現在位置より空調機106の設定温度が高いエリアをお勧めエリアと判定する。そして、空調制御ユニット102は、お勧めエリアと判定したエリアの空席を検索する。
【0084】
1-5-1.移動推奨先の提供
表1は、第1エリア202及び第2エリア204において、冷房時及び暖房時の温度範囲と、お勧めエリアを選定するときの温度を示す。表1に示すように、検索するエリアは、第1エリア202及び第2エリア204共に対象者300の現在の着席位置より1~5℃温度が低い又は高いエリアを対象とする。空調機106の設定温度の調整範囲は冷房時と暖房時で異なっていてもよく、例えば、冷房時は20~28℃の温度範囲で行い、暖房時は18~26℃に範囲で行うことできる。冷房時及び暖房時において、空調機106の設定温度の制御範囲が規定値を超える場合には設定温度の変更は不可であると判断する。なお、冷房時及び暖房時の温度範囲は適宜変更することができる。
【表1】
【0085】
図2に示すように、第1エリア202及び第2エリア204のそれぞれのエリアの温度は均一ではなく、各エリア内で実際の室温が温度分布を有している。具体的には、第1エリア202ではフリーアドレスオフィス200の中央寄りの領域の室温が高く、中央から離れるに従って室温が低くなっている。これに伴って、第1エリア202内の空調機106(106_1a、106_1b、106_1c、106_1d)の設定温度も中央側が高く、中央から離れるに従って低く設定されている。例えば、冷房時に空調機106_1aの設定温度が26℃である場合、空調機106_1bは23℃、空調機106_1cは22℃、空調機106_1dは20℃と設定されている。同様に、第2エリア204内の空調機106(106_2a、106_2b、106_2c、106_2d)の設定温度は中央側が低く、中央から離れるに従って高く設定されている。例えば、冷房時に空調機106_2aの設定温度が24℃である場合、空調機106_1bは26℃、空調機106_1cは27℃、空調機106_1dは28℃と設定されている。
【0086】
図8は、第1エリア202のテーブル206Bに着席している対象者300が、お勧めエリアに移動する例を示す。ここで、図8は、白丸が空席、黒丸が着席を示す。図8において、テーブル206Aが置かれている領域の室温が26℃、テーブル206Bが置かれていり領域の室温が24℃、テーブル206Cが置かれていり領域の室温が22℃である場合を示す。空調制御ユニット102が対象者300の自律神経の状態を判定して交感神経を優位にした方が良いと判断された場合、室温が低いテーブル206Cの空席を検索する。そして、空調制御ユニット102は、テーブル206Cに空席がある場合、移動推奨先としてテーブル206Cの空席情報を対象者300に提供する。
【0087】
なお、対象者300の交感神経がLF/HF値の上限を超えている場合には現在の着席位置より室温の高いエリアを移動推奨先とし、副交感神経がLF/HF値の下限を超えている場合には現在の着席位置より室温の低いエリアを移動推奨先とする。
【0088】
1-5-2.空調機の設定温度の変更
図9(A)は、図8に示す例と同様の場合において、テーブル206Cに空席がない場合を示す。この場合、空調制御ユニット102は空調機106の設定温度を変更し、室内の温度分布を変更することが可能であるかを検討する。例えば、対象者300と同様の座席位置の変更を提案すべき複数の利用者R1、R2、R3、R4が周囲にいる場合、空調制御ユニット102は座席の移動を提案するのではなく、室温の温度分布を変更するように空調機106の制御を行う。表2は、このときの判断基準の一例を示す。
【表2】
【0089】
図9(B)に示すように、空調制御ユニット102は、テーブル206Bの領域の当初の室温24℃よりも温度の低い22℃の領域が、テーブル206Bの領域に広がるように空調機106の運転条件を制御する。このような措置により、対象者300及び利用者R1、R2、R3、R4に対して交感神経が優位になるように導くことができる。
【0090】
1-5-3.覚醒度の判定後の対応
空調制御ユニット102が、対象者300の生体情報に基づく覚醒度の判定で「眠い」と判断した場合、現在の着席位置より室温が1~5℃低いエリアの空席を探すようにすることができる。例えば、対象者300が第1エリア(集中エリア)202に着席している場合、表3に示すように、その着席位置より室温が1~5℃低いエリアの空席を検索する。また、対象者300が第2エリア(創造エリア)204に着席している場合、その着席位置より室温が1~5℃低いエリアをお勧めエリアの空席を検索する。
【表3】
【0091】
このように、対象者300の生体情報から覚醒度を判断し、覚醒度が低いと判断されたときは、空調機の設定温度を変更することで覚醒度を高めることができる。
【0092】
1-6.空調制御システムの動作
本実施形態に係る空調制御システム100の動作について説明する。図10図11、及び図12は、空調制御システム100の動作の一例を説明するフローチャートを示す。以下においては、対象者300が作業を行うために所定の部屋に在室する状況を想定している。
【0093】
図10図11、及び図12に示す動作は、例えば、空調機106がONの状態となり(S201)、対象者300がフリーアドレスオフィス200に入室し、第1エリア202又は第2エリア204のいずれかに配置されている座席に着席することから始まる。
【0094】
空調制御システム100は対象者300の位置情報を取得する(S202)。対象者300の位置情報は、例えば、図4に示す構成において、対象者300が所定の座席に着席したとき着席検出ユニット112がその着席を検出し、着席エリア判定部144がその着席エリアを判定することにより行われる。また、対象者300の着席が確認できない場合には着席エリア判定部144が、対象者300の利用者端末120が通信を行った通信ユニット110を特定することにより位置情報を取得することができる。空調制御ユニット102は、通信ユニット110により利用者端末120と通信を継続しており、所定の通信ユニット110から送信されたポーリング信号に応答が継続的にある場合、対象者300は所定の通信ユニット110の近くに存在していると判断することができる。
【0095】
次に、対象者300が在室する空間の環境情報を取得し(S204)、対象者300の生体情報を取得する(S206)。これらのステップでは、空調制御ユニット102が、対象者300が在室する室内に設置された環境情報取得ユニット108の計測情報と、利用者端末120が取得した生体情報を読み取る処理が行われる。なお、ステップS204とステップS206の順番に限定はなく、空調制御ユニット102が先に生体情報を取得してもよいし、環境情報と生体情報とを同時に取得してもよい。
【0096】
次に、対象者300がどのエリアに着席したのかを判断する処理を行う。対象者300が着席している座席の情報は上記のように着席エリア判定部144の機能によって行う。空調制御ユニット102は、まず、対象者300の現在の着席位置が第2エリア204であるか否かの判定をする(S212)。対象者300が第2エリア204に着席していないと判断された場合には、第1エリア202に着席しているのか否かの判断を行う(図11、S218)。また、対象者300が第2エリア204に着席していると判断された場合には、対象者の自律神経の状態を判断するステップに進む(図12、S246)。
【0097】
ステップS218で、対象者300の現在の着席位置が第1エリア202であると判断された場合には、次に、第1エリア202に一定時間以上滞在しているのか否かに判定を行う(S220)。この判断は、着席エリア判定部144が着席情報記憶部に時系列で記録された着席データから読み取ることができる。一方、ステップS218で、対象者300が第1エリア202にも存在しないと判断された場合には、移動中であると推定し(S222)、ステップS202の位置情報の取得に戻る。
【0098】
第1エリア202に対象者300が一定時間以上滞在しているということは、対象者300が第1エリア202で作業を行っていることを意味する。判定に用いる時間は任意であり、例えば、人間が集中力を持続できる時間とされている45分から90分の範囲で適宜設定することができる。ステップS220で、第1エリア202に一定時間以上滞在していないと判断された場合には、対象者300の覚醒度が正常範囲内であるか否か(眠い状態であるか否か)の判断を行う(S224)。この判断は、図7を参照して説明した判定基準により行うことができ、生体情報判断部138の機能により行うことができる。
【0099】
ステップS224で覚醒度が正常であると判断された場合、自律神経の状態が基準範囲内であるか否かを判断する(S230)。この判断は、図6を参照して説明したように対象者300ごとに設定されたLF/HF比の値が上限値を超えるか否かで判断され、生体情報判断部138の機能により行うことができる。
【0100】
そして、対象者300の自律神経は交感神経が優位な状態であるか否かの判断が行われる(S232)。この判断は、LF/HF比の値が基準値以上でるか否かによって判断され、生体情報判断部138が、利用者端末120が取得した心拍変動パラメータを用い、LF/HF比の値が対象者毎に設定された基準値以上であるか否かにより判定される。ここで、交感神経が優位でないと判断された場合には、対象者300にお勧めエリアを提供する処理に進む(S234)。お勧めエリアの選定は、推奨情報設定部140の機能により行うことができる。推奨情報設定部140は、対象者300の交感神経が優位となるように、現在の着席位置よりも空調の温度が低いエリアを検索する。
【0101】
推奨情報設定部140は、着席情報記憶部160から第1エリア202の着席情報を読み出し、第1エリア202の空席の有無を判断する。第1エリア202の中でお勧めアリアとして推奨したいエリアに空席があると判断された場合には、推奨する移動先を対象者300に提供する(S238)。推奨移動先に関する情報の提供は、利用者端末120等を通して行われる。そして、空調制御ユニット102は、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S246)、ステップS202に戻る。
【0102】
ステップS236で第1エリア202に空席が無い場合は、空調機106の設定温度を変更可能であるか否かを判断する(S240)。ここでは、まず、空調機106の現在の設定温度が規定範囲内であるか否かを判断し、設定変更により設定温度が上限値又は下限値を超える場合は設定変更不可と判断する。また、設定温度の変更を行う場合には、図9(A)及び(B)を参照して説明したように、対象者300の周囲に同様の設定をすることが必要な利用者の人数に基づいて行うことができる。
【0103】
そして、空調機106の設定温度の変更が可能であると判断された場合には、空調機106の設定温度を変更し(S242)、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S246)、ステップS202に戻る。また、空調機106の設定温度の変更が不可能であると判断された場合には、お勧めエリアに空席が無い旨の情報を対象者300に提供し(S238)、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S246)、ステップS202に戻る。
【0104】
ステップS230で、対象者300の自律神経の状態が基準範囲内に無いと判断された場合は、お勧めエリアを提供するステップS236に進む。
【0105】
また、ステップS220で第1エリアに一定時間以上滞在していると判断された場合、ステップS224で対象者300の覚醒度が正常範囲内に無いと判断された場合には、直近の一定時間内に休憩を促す処置をしたか否かの判断を行う。この判断は、推奨情報設定部140が推奨内容記憶部164のデータを参照し、推奨記録の有無を調べることにより行われる。そして、一定時間内に休憩を推奨する情報が対象者300に提供されている場合には、お勧めエリアを判定するステップS234に進む。また、一定時間内の休憩を推奨する情報が対象者300に提供されていない場合には、疲労状態と判定し休憩を促す情報を対象者300に提供する(S228)。そして、お勧めエリアを選定するステップS234に進む。
【0106】
次に、図10に示すステップS212において、対象者300が第2エリアに着席していると判断された場合には、自律神経の状態が基準範囲内であるか否かを判断する(S248)。対象者300の自律神経が基準範囲内でると判断された場合には、副交感神経が優位な状態であるか否かの判断が行われる(S250)。この判断は、LF/HF比の値が基準値以下でるか否かによって判断され、生体情報判断部138が、利用者端末120が取得した心拍変動パラメータを用い、LF/HF比の値が対象者毎に設定された基準値以下であるか否かにより判定される。副交感神経が優位であると判断された場合には、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S265)、ステップS202に戻る。
【0107】
ステップS250で、副交感神経が優位でないと判断された場合には、対象者300にお勧めエリアを提供する処理に進む(S234)。お勧めエリアの選定は、推奨情報設定部140の機能により行うことができる。推奨情報設定部140は、対象者300の副交感神経が優位となるように、現在の着席位置よりも空調の温度が高いエリアを検索する。
【0108】
推奨情報設定部140は、着席情報記憶部160から第2エリア204の着席情報を読み出し、第2エリア204の空席の有無を判断する。第2エリア204から選定されたお勧めエリアに空席があると判断された場合には、推奨する移動先を対象者300に提供する(S260)。そして、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S264)、ステップS202に戻る。
【0109】
ステップS254で第1エリア202に空席が無いと判断された場合は、空調機106の設定温度を変更可能であるか否かを判断し(S256)、変更可能であれば空調機106の設定温度を所定の温度だけ高くする制御をし(S258)、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S264)、ステップS202に戻る。また、空調機106の設定温度の変更が不可であると判断された場合には、お勧めエリアに空席が無い旨の情報を提供し(S262)、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S264)、ステップS202に戻る。
【0110】
対象者300が屋外から屋内に移動して寒暖差によりストレスを受ける場合がある。そのような場合には、図13に示すように、対象者300の生体情報を取得するステップS206の後に、対象者300が屋外から屋内に入ったのか否かを判断する処理を追加してもよい(S208)。
【0111】
このステップS208では、対象者300の前回位置を判断し、屋内に居た場合には一定時間以上同じ場所に滞在しているか否かの判断を行い(S210)、一定時間同じ場所に滞在していると判断される場合にはステップS212に進み、一定時間以上同じ場所に滞在していないと判断される場合には移動中と推定し(S215)、ステップS202に戻る。
【0112】
また、対象者300が屋外にいたと判断された場合には、屋外環境の情報を取得し(S211)、外気温と温度差が少ないエリアの情報を対象者300に提供する(S213)。そして、ステップS202に戻る。図13に示すように、対象者300が屋外から屋内に入室したときに外気温と温度差が少ないエリアの情報を提供することで、対象者300が受ける寒暖差によるストレスを緩和することができ、次の作業に入るときに、その作業に適した自律神経の状態にスムーズに移行することができる。
【0113】
なお、ステップS246、S264で収集された位置情報、環境情報、及び生体情報の記録はデータベースに蓄積し、蓄積されたデータを分析して空調の温度制御に反映させてもよい。例えば、対象者毎に選択された制御モードで求められている自律神経状態に近づいた過去のデータを参照し、分析して空調の温度制御(設定温度の変更範囲、設定温度を変更幅(温度変化の急峻性))に反映させてもよい。
【0114】
本実施形態によれば、空調制御システム100が対象者300の自律神経の状態を判定し、対象者300が選択したエリア(第1エリア202又は第2エリア204)の中で、対象者300の自律神経の状態が適した状態となるように、又は適した状態が維持できるように着席位置を案内し、又は空調を制御することができる。空調制御システム100は、着席位置の案内及び空調の制御を通して、フリーアドレスオフィス200内で作業を行う複数の利用者に対して同時に適した空調環境を提供することができる。
【0115】
[第2の実施形態]
本実施形態は、フリーアドレスオフィス200を利用する利用者が、あらかじめ自己が行う作業の内容に応じたモードを設定し、その設定されたモードに基づいてお勧め情報を提供する空調制御システムの一例を示す。
【0116】
本実施形態は、利用者がフリーアドレス制のオフィスに入室するときに、最初に着席する座席を本人の判断で決め、空調制御システムがその着席位置の空調制御を行い、又は利用者に対して適した着席位置を案内する方式について示す。以下においては、第1の実施形態と相違する部分を中心に説明し、重複する部分の説明が適宜省略する。
【0117】
利用者が選択できるモードとして、第1モードと第2モードの2つのモードが用意されている。第1モードは交感神経を優位にするためのモードであり「集中モード」と呼ぶことができ、第2モードは副交感神経を優位にするためのモードであり「創造モード」と呼ぶことができる。
【0118】
2-1.空調制御ユニットの機能的な構成
図14は、本実施形態に係る空調制御ユニット102の機能的な構成を示す。空調制御ユニット102は、制御モード判定部170を含む。制御モード判定部170はモード選択ユニット118と接続される。
【0119】
モード選択ユニット118は、空調機106の制御モードを選択する機能を有する。制御モードには第1モード及び第2モードの少なくとも2つのモードが含まれる。利用者はモード選択ユニット118によって制御モードを選択する。モード選択ユニット118は、利用者の意思で制御モードを選択可能とするために、切り替えスイッチ回路、コンピュータ(デスクトップ型コンピュータ、ノートブック型コンユータ)、タッチパネルが搭載されたタブレット端末等により構成される。他の形態として、空調機106を操作する空調操作パネルやリモートコントローラ(リモコン)の中に具現化されていてもよい。また、利用者端末120にモード選択ユニットとしての機能が組み入れられていてもよい。
【0120】
制御モード判定部170は、モード選択ユニット118によって選択された制御モードを判定し、その情報を制御条件設定部148に出力する。例えば、制御モード判定部170は、第1モード(交感神経を優位にするためのモード)が選択されているのか、第2モード(副交感神経を優位にするためのモード)が選択されているのかの情報を制御条件設定部148に出力する。
【0121】
図14に示す空調制御システム100は、制御モード判定部170が追加されたことの他は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、制御モード判定部170がモード選択ユニット118で選択されたモードを判別し、その情報を制御条件設定部148に出力することで、利用者が選択した制御モードに基づいて空調機106の運転条件を設定することができる。
【0122】
2-2.空調温度の制御範囲
2-2-1.移動推奨先の提供
表4は、第1モード又は第2モードが選択されている場合において、第1エリア202及び第2エリア204における冷房時及び暖房時の温度範囲と、お勧めエリアを選定するときの温度を示す。表4に示すように、検索するエリアは、第1エリア202及び第2エリア204共に対象者300の現在の着席位置より1~5℃温度が低い又は高いエリアを対象とする。
【表4】
【0123】
2-2-2.覚醒度の判定後の対応
空調制御ユニット102が、対象者300の生体情報に基づく覚醒度の判定で「眠い」と判断した場合、現在の着席位置より室温が1~5℃低いエリアの空席を探すようにすることができる。例えば、対象者300が第1モード(集中モード)を選択している場合、表5に示すように、現在着席しているエリアより室温が1~5℃低いエリアの空席を検索する。また、対象者300が第2モード(創造モード)を選択している場合、現在着席しているエリアより室温が1~5℃低いエリアの空席を検索する。
【表5】
【0124】
このように、対象者300の生体情報から覚醒度を判断し、覚醒度が低いと判断されたときは、空調機の設定温度を変更することで覚醒度を高めることができる。
【0125】
2-3.空調制御システムの動作
本実施形態に係る空調制御システム100の動作について説明する。図15図16、及び図17は、空調制御システム100の動作の一例を説明するフローチャートを示す。
【0126】
図15図16、及び図17に示す動作は、例えば、空調機106がONの状態となり(S401)、対象者300が第1モード又は第2モードを選択し、フリーアドレスオフィス200に入室して選択した制御モードに対応する第1エリア202又は第2エリア204のいずれかに配置されている座席に着席する。
【0127】
空調制御システム100は、第1の実施形態と同様に、対象者300の位置情報を取得し(S202)、環境情報を取得し(S404)、対象者300の生体情報を取得する(S406)。
【0128】
次に、対象者300がどの制御モードを選択したのかを調べるために、対象者300の選択したモードが第2モードであるか否かの判断をする(S412)。対象者300は第2モードを選択しているか否かの判断は、制御モード判定部170の機能により行うことができる。
【0129】
対象者300が第2モードを選択していないと判断された場合には、第1エリア202に一定時間以上滞在しているのか否かに判定を行う(図16、S418)。第1エリア202に一定時間以上滞在していないと判断された場合には、第1エリア202内で対象者300の前回位置と温度差の小さい空席を検索し、対象者300にその空席情報を提供する。この前回位置と温度差の小さい空席情報の検索は空席情報検索部146の機能により行うことができる。そして、位置情報を取得し(S424)、環境情報を取得し(S426)、生体情報を取得する(S428)。
【0130】
次いで、覚醒度が正常範囲内であるか否かの判断をし(S430)、覚醒度が正常範囲内であれば交感神経が優位であるか否かの判定をする(S432)。そして、対象者300の交感神経が優位でない場合には、お勧めエリアを検出し(S440)、検出されたお勧めエリアに空席があるか否かを探す(S442)。お勧めエリアに空席がある場合には、対象者300に移動推奨先に関する情報を提供し(S444)、位置情報、環境情報、生体情報を記録する(S452)。そして、対象者300が第1モードを選択していることを確認し(S454)、第1モードが選択されている場合にはステップS424に戻る。また、第1モードが選択されていない場合には、ステップS402に戻る。
【0131】
一方、ステップS442で検出されたエリアに空席が無い場合には、空調機106の設定変更が可能であるか否かを判断し(S446)、設定変更が可能であれば空調機106の設定を変更し(S448)、ステップS452に進む。空調機106の設定変更が不可能な場合には、お勧めエリアに空席が無い旨の情報を利用者端末120に提供し(S480)、位置情報、環境情報、生体情報を記録し(S482)、ステップS412に戻る。
【0132】
図16に示すステップS418で対象者300が第1エリア202に一定時間以上滞在している場合には、直近一定時間内に休憩を推奨する情報の提供をしたか否かを検証し(S420)、休憩推奨をしている場合にはステップS422に進み、休憩推奨をしていない場合には対象者300が疲労状態にあると判定し休憩を促す情報を提供し(S450)、ステップS452に進む。
【0133】
ステップS430で対象者300の覚醒度が正常範囲内に無い場合には、直近の一定時間内に休憩を推奨したか否かの判断を行い(S434)、休憩を推奨していた場合にはステップS440に進み、休憩を推奨していなかった場合には疲労状態であると判定し休憩を促す情報を提供し(S436)、ステップS440に進む。
【0134】
図15に示すステップS412において、対象者300が第2モードを選択していると判断された場合には、第2エリア内で前回位置と温度差の少ない空席位置に関する情報を対象者300に通知する(図17、S456)。この通知は、例えば、対象者300の利用者端末120に対して行われてもよい。
【0135】
次いで、位置情報取得(S458)、環境情報取得(S460)、生体情報取得(S462)を行う。そして、副交感神経が優位な状態であるか否かの判断を行う(S464)。そして、対象者300の自律神経の状態が基準範囲内であるか否かを判定し(S466)、基準範囲内であれば、位置情報、環境情報、生体情報を記録する(S478)。その後、対象者300が現在も第2モードを選択しているのか否かを確認し(S478)、第2モードを維持している場合にはステップS458に進み、第2モードを選択していない場合にはステップS402に進む。
【0136】
ステップS464で対象者300の副交感神経が優位な状態では無い場合、又はステップS466で自律神経の状態が基準範囲内に無い場合には、お勧めエリアを検索する(S468)。そして、検索されたお勧めエリアの空席を調べ(S470)、空席がある場合には対象者300に座席の移動推奨先に関する情報を提供し(S472)、ステップS478に進む。また、空席が無い場合は空調機106の温度設定条件を変更可能であるか否かを判断し、設定変更が可能である場合には空調機106の設定温度を変更し(S476)、ステップS478に進む。また、空調機の温度設定の変更ができない場合には、ステップS480に進む。
【0137】
対象者300が屋外から屋内に移動して寒暖差によりストレスを受ける場合がある。そのような場合には、図18に示すように、対象者300の生体情報を取得するステップS406の後に、対象者300が屋外から屋内に入ったのか否かを判断する処理を追加してもよい(S408)。
【0138】
このステップ408では、対象者300の前回位置を判断し、屋内に居た場合には前回エリアの温度情報を取得し(S410)、ステップ412に進む。また、対象者300が屋外にいたと判断された場合には、屋外環境の情報を取得し(S414)、外気温と温度差が少ないエリアの情報を対象者300に提供する(S416)。そして、ステップS402に戻る。図18に示すように、対象者300が屋外から屋内に入室したときに外気温と温度差が少ないエリアの情報を提供することで、対象者300が受ける寒暖差によるストレスを緩和することができ、次の作業に入るときに、その作業に適した自律神経の状態にスムーズに移行することができる。
【0139】
なお、ステップS452、S478で収集された位置情報、環境情報、及び生体情報の記録はデータベースに蓄積し、蓄積されたデータを分析して空調の温度制御に反映させてもよい。例えば、対象者毎に選択された制御モードで求められている自律神経状態に近づいた過去のデータを参照し、分析して空調の温度制御(設定温度の変更範囲、設定温度を変更幅(温度変化の急峻性))に反映させてもよい。
【0140】
本実施形態によれば、空調制御システム100が対象者300の自律神経の状態を判定し、対象者300が選択した制御モード(第1モード又は第2モード)に基づいて対象者300の自律神経の状態が適した状態となるように、又は適した状態が維持できるように着席位置を案内し、又は空調を制御することができる。空調制御システム100は、着席位置の案内及び空調の制御を通して、フリーアドレスオフィス200内で作業を行う複数の利用者に対して同時に適した空調環境を提供することができる。
【0141】
[第3の実施形態]
空調制御システム100は、利用者の体質を考慮したお勧めエリア、お勧め情報を提供することができる。複数の利用者は同じ室温であっても体感温度に個人差があり暑いと感じる人もいれば寒いと感じる人もいる。このような問題に対処するために、予め利用者毎の生体に関する情報を登録しておき、空調制御ユニット102がその登録データに基づいてお勧めエリア、お勧め情報を提供するようにしてもよい。
【0142】
例えば、表6に示すように、普通の体質(標準的)を基準として、やや暑がり、暑がり、やや寒がり、寒がり、の5段階の体質に分類してもよい。そして、空調制御ユニット102が、体質に応じてお勧めする座席の情報を調整し、又は空調機の設定温度を補正するようにしてもよい。例えば、体質が普通の場合は、標準的な温度が選択され、やや暑がりの場合は標準的な温度からマイナス1℃、暑がりの場合は標準的な温度からマイナス2℃、やや寒がりの場合は標準温度に対しプラス1℃、寒がりの場合は標準温度に対しプラス2℃のお勧めエリアが選択されるようにしてもよい。
【表6】
【0143】
利用者は、身長、体重、性別、年齢といった個人情報といった情報と共に、表6に示すような体質を自己の判断で選択し、その個人情報を個人情報記憶部に記録しておき、図4及び図14に示す空調制御ユニット102が個人情報を読み出して、その情報に基づいてお勧め情報(対象者に推奨する座席の情報)を補正し、又は空調制御の設定温度を補正するようにしてもよい。また、表6に示すような体質に関する情報を利用者各自が利用者端末120に登録しておき、空調制御ユニット102が生体情報と共に読み出すようにされていてもよい。なお、空調制御ユニット102が空調機106の設定温度を変更する場合、表1に示すような空調制御範囲を超える場合は、空調制御範囲の上限又は下限の温度を設定温度とし、それ以上に設定温度を変更しないようにすることが好ましい。
【0144】
本実施形態に示すように、空調制御システム100が、個人の体質を考慮してお勧めの情報を提供することで、フリーアドレスオフィス200内で作業を行う複数の利用者に対してきめの細かいサービスを提供することができる。なお、本実施形態に示す構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態の両方に対して適用することができる。
【符号の説明】
【0145】
100:空調制御システム、102:空調制御ユニット、104:サーバ、106:空調機、108:環境情報取得ユニット、110:通信ユニット、112:着席検出ユニット、114:モード選択ユニット、116:通信ネットワーク、118:モード選択ユニット、120:利用者端末、122:コンピュータ、124:ルータ、126:センサ、128:ウェアラブル端末、130:着座センサ、132:ストレージデバイス、134:環境情報取得部、136:生体情報取得部、138:生体情報判断部、140:推奨情報設定部、142:推奨情報出力部、144:着席エリア判定部、146:空席情報検索部、148:制御条件設定部、150:制御条件出力部、152:空調機情報取得部、154:環境情報記憶部、156:生体情報記憶部、158:座席情報記憶部、160:着席情報記憶部、162:通信ユニット情報記憶部、164:推奨内容記憶部、166:端末情報記憶部、168:空調機情報記憶部、170:制御モード判定部、172:生体情報収集部、174:通信部、176:記憶部、178:表示部、180:入力部、200:フリーアドレスオフィス、202:第1エリア、204:第2エリア、206:テーブル、208:座席、300:対象者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18