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  • 特許-光透過窓接合体 図1
  • 特許-光透過窓接合体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】光透過窓接合体
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/00 20060101AFI20241004BHJP
   C04B 41/88 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B23K1/00 330Z
C04B41/88 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021050994
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2021159996
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2020061957
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 裕貴
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-234637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0234274(US,A1)
【文献】特開2001-068691(JP,A)
【文献】特開2002-353355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00
C04B 41/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に外周壁と離間して位置する環状面を有する筒状の金属部材と、前記環状面上に円板状の光透過性部材とを備え、
前記環状面と該環状面の側に位置する前記光透過性部材の主面との間にろう付け部が位置しており、
前記外周壁と該外周壁の内周側で分岐して前記環状面を有する支持部との間に、円周上に沿って凹部が位置し、
前記凹部の深さが、前記支持部の高さの40%以上60%以下である、
光透過窓接合体。
【請求項2】
前記凹部が連続する環状溝である請求項1に記載の光透過窓接合体。
【請求項3】
前記環状面の内周側が、C面またはR面を介して前記支持部の内周面に接続している請求項1または2に記載の光透過窓接合体。
【請求項4】
前記環状面の外周側が、C面またはR面を介して前記支持部の外周面に接続している請求項1~3のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項5】
前記凹部の内周面が、C面またはR面を介して前記凹部の底面に接続している請求項1~4のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項6】
前記凹部の外周面が、C面またはR面を介して前記凹部の底面に接続している請求項1~5のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項7】
前記光透過性部材は、前記環状面の側に位置する主面がメタライズ層を備え、前記外周壁の内周面と前記メタライズ層の外周面とが離間している請求項1~6のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項8】
前記外周壁が、前記光透過性部材の側に延出しており、前記外周壁の内周面と前記光透過性部材の外周面とは当接している請求項1~のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項9】
前記外周壁の内周面および前記光透過性部材の外周面のそれぞれの粗さ曲線における算術平均粗さRaが、0.02μm以上0.8μm以下である請求項1~のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項10】
前記外周壁の内周面および前記光透過性部材の外周面のそれぞれの粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、前記粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、前記粗さ曲線における切断レベル差(Rδc)が、いずれも0.07μm以上1.2μm以下である、請求項に記載の光透過窓接合体。
【請求項11】
前記光透過性部材が有色系である請求項1~10のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項12】
前記ろう付け部が位置する側と反対側の前記光透過性部材の第2主面の粗さ曲線における2乗平均平方根傾斜(RΔq)は、0.023μm以下である、請求項1~11のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項13】
前記第2主面の粗さ曲線における2乗平均平方根傾斜(RΔq)は、外周部側よりも軸心部側の方が小さい、請求項12に記載の光透過窓接合体。
【請求項14】
前記ろう付け部が位置する側と反対側の前記光透過性部材の第2主面の粗さ曲線における平均長さ(Rsm)は、9以上である、請求項1~13のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項15】
前記第2主面の粗さ曲線における平均長さ(Rsm)は、軸心部側よりも外周部側が大きい、請求項14に記載の光透過窓接合体。
【請求項16】
前記光透過性部材がサファイアからなり、サファイアのc軸と、前記光透過性部材の軸心とが平行である、請求項1~15のいずれかに記載の光透過窓接合体。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の光透過窓接合体を備える高輝度発光装置。
【請求項18】
請求項1~16のいずれかに記載の光透過窓接合体を備える分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光透過窓接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランプなどの高輝度発光装置は、ガラスバルブなどのチャンバと、チャンバ内のガスを励起してイオン化するために使用されるアノードおよびカソードとを備えている。このような高輝度発光装置として、特許文献1には、レーザ維持プラズマランプが記載されている。特許文献1に記載のレーザ維持プラズマランプは、チャンバ、チャンバの入口および出口に設けられたサファイア窓、サファイア窓を固定する機械締結構造などを備える。
【0003】
しかし、特許文献1に記載のランプにおいて、サファイア窓と接触する機械締結構造の当接面の平面度を高精度で研磨する必要があるものの、サファイア窓と接触する機械締結構造の当接面の研磨は非常に難しい。そのため、サファイア窓と機械締結構造との間に微小な隙間が生じやすくなる。このような隙間が生じると、隙間からガスが漏洩する。
【0004】
特許文献2には、高温・高圧用容器用窓の構造として、周縁部にテーパが形成されたサファイアなどの透明部材からなり、大径部を容器の内側に配置し、小径部を容器の外側に配置した構造が記載されている。
【0005】
しかし、特許文献2に記載の構造において、サファイアからなる透明部材は、サファイアが硬脆材であるため、傾斜する外周面を加工によって得ることが困難である。たとえ得られたとしても、容器の傾斜している内周面と隙間なく合わせることが困難である。さらに、サファイアからなる透明部材の鋭角部が欠けやすいなどの問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-164994号公報
【文献】特開2005-329330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の課題は、優れた接合信頼性を有し、熱サイクルに対する優れた耐久性を有する光透過窓接合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る光透過窓接合体は、内周側に外周壁と離間して位置する環状面を有する筒状の金属部材と、環状面上に円板状の光透過性部材とを備える。環状面と環状面の側に位置する光透過性部材の主面との間にろう付け部が位置している。外周壁と外周壁の内周側で分岐して環状面を有する支持部との間に、円周上に沿って凹部が位置している。
【0009】
本開示に係る高輝度発光装置および分析装置は、上記の光透過窓接合体を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、優れた接合信頼性を有し、熱サイクルに対する優れた耐久性を有する光透過窓接合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)は本開示の一実施形態に係る光透過窓接合体を示す説明図であり、(B)は(A)に示すX-X線で切断した際の断面を示す説明図である。
図2図1に示す領域Yを説明するための拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施形態に係る光透過窓接合体を、図1および2に基づいて説明する。図1(A)に示す一実施形態に係る光透過窓接合体1は、筒状の金属部材2と光透過性部材3とを備える。
【0013】
一実施形態に係る光透過窓接合体1に備えられる金属部材2は、図1(A)および(B)に示すように、金属部材2は、内周側に外周壁22と離間して位置する環状面21を有している。具体的には、環状面21は、図1(B)および図2に示すように、金属部材2を断面視した場合に、金属部材2の一部がU字状に形成された部分において、外周壁22と外周壁22の内周側で分岐して位置する支持部23の上面に位置している。
【0014】
金属部材2を構成している金属は限定されず、例えば、フェルニコ系合金、Fe-Ni合金、Fe-Ni-Cr-Ti-Al合金、Fe-Co-Cr合金、Fe-Cr-Al合金、銅、鉄、ステンレスなどが挙げられる。金属部材2の大きさは限定されない。光透過窓接合体1が備えられる装置に応じて、適宜設定され、例えば、外径は50mm~100mm程度であり、高さは20~50mm程度である。
【0015】
金属部材2は、外周壁22と支持部23との間に、金属部材2の円周上に沿って凹部24が位置している。凹部24は、例えば連続する環状溝である。凹部24の深さは限定されず、例えば、支持部23の高さの40%以上60%以下である。凹部24の深さが支持部23の高さの40%以上であると、ろう材の凹部24の深さ方向への流量を増やすことができるので、接合の信頼性が向上する。一方、凹部24の深さが支持部23の高さの60%以下であると、支持部23として必要な剛性を維持することができる。
【0016】
環状面21の内周側は、例えば、C面またはR面を介して支持部23の内周面に接続しているのがよい。環状面21の内周側が、C面またはR面を介して支持部23の内周面に接続していると、環状面21の内周側で、金属部材2と光透過性部材3との接合に係わるろう材の体積を増やすことができるので、環状面21の内周側における接合の信頼性が向上する。
【0017】
環状面21の外周側は、例えば、C面またはR面を介して支持部23の外周面に接続しているのがよい。環状面21の外周側が、C面またはR面を介して支持部23の外周面に接続していると、環状面21の外周側で、金属部材2と光透過性部材3との接合に係わるろう材の体積を増やすことができるので、環状面21の外周側における接合の信頼性が向上する。
【0018】
凹部24の内周面は、例えば、C面またはR面を介して凹部24の底面に接続しているのがよい。凹部24の内周面が、C面またはR面を介して凹部24の底面に接続していると、凹部24の底面の内周側で、内周面と底面とが直交する場合よりも、凹部形成後に残る残留応力を緩和することができる。
【0019】
凹部24の外周面は、例えば、C面またはR面を介して凹部24の底面に接続しているのがよい。凹部24の外周面が、C面またはR面を介して凹部24の底面に接続していると、凹部24の底面の外周側で、外周面と底面とが直交する場合よりも、凹部形成後に残る残留応力を緩和することができる。
【0020】
一実施形態に係る光透過窓接合体1に備えられる光透過性部材3は、光透過性を有する
素材からなる部材である。光透過性部材3を境界として、金属部材2側の空間と金属部材2と反対側の空間とは、異なる環境になっている。例えば、金属部材2側の空間の温度は室温であり、金属部材2と反対側の空間の温度は100℃以上の高温である。光透過性部材3は、金属部材2の内周側から、金属部材2と反対側の空間にある対象物を観察するためのものである。光透過性を有する素材としては、例えば、サファイア、石英、ガラス、ダイヤモンドなどが挙げられる。
【0021】
光透過性を有する素材は、セラミックスであってもよく、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、イットリウムバナジウムオキサイド(YVO)、イットリウムリチウムフロライド(YLF)、イットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)、ルテチウムバナジウムオキサイド(LuVO)、イットリウムアルミネート(YALO)、ガドリニウムバナジウムオキサイド(GdVO)、アルミン酸マグネシウム(MgAl)、窒化アルミニウム(AlN)、二フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化リチウム(LiF)、二フッ化カルシウム(CaF)または二フッ化バリウム(BaF)などを主成分とする透光性セラミックスであってもよい。
【0022】
セラミックスにおける主成分とは、着目するセラミックスを構成する成分の合計100質量%のうち、90質量%以上を占める成分をいう。特に、主成分は、着目するセラミックスを構成する成分の合計100質量%のうち、95質量%以上を占める成分であるとよい。セラミックスを構成する成分は、X線回折装置(XRD)を用いて求めればよい。各成分の含有量は、成分を同定した後、蛍光X線分析装置(XRF)またはICP発光分光分析装置を用いて、成分を構成する元素の含有量を求め、同定された成分に換算すればよい。
【0023】
光透過性部材3の大きさは限定されない。金属部材2の大きさに応じて、適宜設定され、例えば、外径は50mm~100mm程度であり、厚みは8mm~15mm程度である。さらに、光透過性部材3は有色系であってもよく、無色系であってもよい。光透過性部材3は有色系であれば、目視によって、光透過性部材3の一方側から他方側を確認する場合、目に与えるダメージを低減することができる。
【0024】
ろう付け部が位置する側と反対側の光透過性部材3の第2主面の粗さ曲線における2乗平均平方根傾斜(RΔq)は、0.023μm以下であってもよい。2乗平均平方根傾斜(RΔq)がこの範囲であると、第2主面内で険しい凹凸が少なくなるため、浮遊するパーティクルが第2主面内の凹部に挟まるおそれが減少し、長期間に亘って良好な視界を確保、維持することができる。
【0025】
第2主面の粗さ曲線における2乗平均平方根傾斜(RΔq)は、外周部側よりも軸心部側の方が小さくてもよい。良好な視界は、外周部側よりも軸心部側の方が求められ、このような構成であると、浮遊するパーティクルが第2主面内の凹部に挟まるおそれがさらに減少する。
【0026】
光透過性部材3の第2主面の外周部側とは、光透過性部材3の第2主面の最外周から光透過性部材3の半径の33%以内の領域である。光透過性部材3の第2主面の軸心部側とは、光透過性部材3の第2主面の軸心から光透過性部材3の半径の33%以内の領域である。
【0027】
ろう付け部が位置する側と反対側の光透過性部材3の第2主面の粗さ曲線における平均長さ(Rsm)は9以上であってもよい。平均長さ(Rsm)がこの範囲であると、粗さ曲線の周期が長くなって、第2主面における乱反射が抑制されるため、観察する対象物の視認性がよくなる。
【0028】
第2主面の粗さ曲線における平均長さ(Rsm)は、軸心部側よりも外周部側が大きくてもよい。外周部の面積は軸心部の面積よりも大きいので、このような構成であると、第2主面における乱反射が抑制される面積が増えるため、観察する対象物の視認性がさらによくなる。
【0029】
光透過性部材3がサファイアからなり、サファイアのc軸と、光透過性部材3の軸心とが平行であってもよい。サファイアは、熱伝導率に異方性があり、c軸に平行な方向の熱伝導率が高い。したがって、サファイアのc軸と、光透過性部材3の軸心とが平行であると、光透過性部材3の厚み方向の放熱性能を向上させることができる。サファイアのc軸と、光透過性部材3の軸心とが平行であることの認定については、X線回折装置を用い、第2主面が(0001)面であることが確認できればよい。
【0030】
光透過性部材3は、環状面21の側に位置する主面にメタライズ層を備えていてもよい。メタライズ層は、例えば、モリブデン-マンガン法(Mo-Mn法)、ニッケルめっき、活性金属法などによって形成される。さらに、メタライズ層の外周面と外周壁22の内周面とは離間しているのがよい。メタライズ層の外周面と外周壁22の内周面とが離間していると、ろう材の外周側に向かう流れが抑制されるので、昇温および降温が繰り返されても、光透過性部材3に残りやすい残留応力の増加を抑制することができる。
【0031】
メタライズ層を形成する前に、光透過性部材3の両側の主面は、例えば錫(Sn)からなるラップ盤を用い、平均粒径が2μm以下のダイヤモンド砥粒を含むスラリーによって、算術平均粗さ(Ra)を、例えば、0.01μm以下にしておくとよい。
【0032】
一実施形態に係る光透過窓接合体1において、光透過性部材3は金属部材2の内部に収容されるように位置しており、図2に示すように、環状面21と光透過性部材3の主面のうち環状面21の側に位置する主面との間に、ろう付け部4が位置している。
【0033】
ろう付け部4を形成しているろう材は限定されず、例えば、BAg-8、BAg-8A、BAg-8B、BAg-9などの銀-銅合金(Ag-Cu合金)が挙げられる。ろう付けする前に、環状面21および光透過性部材3の主面のうち環状面21の側に位置する主面の少なくとも一方に、ニッケルめっき処理が施されていてもよい。
【0034】
図1(B)に示すように、外周壁22は、光透過性部材3の側に延出していてもよい。この場合、外周壁22の内周面と光透過性部材3の外周面とは当接している。外周壁22の内周面の粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)および光透過性部材3の外周面の粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)は限定されない。
【0035】
外周壁22の内周面と光透過性部材3の外周面との密着性をより向上させるために、外周壁22の内周面の粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.02μm以上0.8μm以下であってもよく、光透過性部材3の外周面の粗さ曲線における算術平均粗さRaは、例えば0.02μm以上0.8μm以下であってもよい。
【0036】
算術平均粗さ(Ra)が0.02μm以上であると、純水に対する接触角が小さくなるので、内周面と外周面との洗浄が容易になる。一方、算術平均粗さ(Ra)が0.8μm以下であると、シール性が向上するので、内周面と外周面との隙間からガスが漏洩するおそれが低減する。
【0037】
一実施形態に係る光透過窓接合体1において、外周壁22の内周面および光透過性部材3の外周面のそれぞれの粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、粗さ曲線における切断レベル差(Rδc、Rδc)がいずれも0.07μm以上1.2μm以下であってもよい。
【0038】
切断レベル差(Rδc)が0.07μm以上であると、純水に対する接触角がさらに小さくなるので、内周面と外周面との洗浄がより容易になる。一方、切断レベル差(Rδc)が0.8μm以下であると、シール性がさらに向上するので、内周面と外周面との隙間からガスが漏洩するおそれが一層低減する。
【0039】
本明細書において「切断レベル差(Rδc)」とは、外周壁22の内周面の粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を意味する。一方、本明細書において「切断レベル差(Rδc)」とは、光透過性部材3の外周面の粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を意味する。
【0040】
外周壁22の内周面および光透過性部材3の外周面のそれぞれの粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)および切断レベル差(Rδc、Rδc)は、JIS B 0601-2001に準拠し、形状解析レーザ顕微鏡((株)キーエンス製、VK-X1100またはその後継機種)を用いて測定することができる。測定条件としては、例えば、倍率を120倍、カットオフ値λsを無し、カットオフ値λcを0.08mm、カットオフ値λfを無し、測定対象とする面から1か所当たりの測定範囲が1024μm×768μmに設定して、測定範囲毎に長手方向に沿って、略等間隔となるように測定対象とする線を4本引いて、それぞれの線に対して線粗さ計測を行えばよい。ここで、測定範囲は外周壁22の内周面および光透過性部材3の外周面それぞれ1箇所、合計2箇所とし、計測の対象とする長さは、例えば、1280μmである。そして、線粗さ計測によって求められた算術平均粗さ(Ra)の平均値および切断レベル差(Rδc、Rδc)の平均値をそれぞれ上述した算術平均粗さ(Ra)、切断レベル差(Rδc、Rδc)とすればよい。
【0041】
光透過性部材3の第2主面の粗さ曲線における2乗平均平方根傾斜(RΔq)および平均長さ(Rsm)は、JIS B 0601:2001に準拠し、形状解析レーザ顕微鏡((株)キーエンス製、VK-X1100またはその後継機種)を用いて測定することができる。測定条件としては、まず、照明方式を同軸落射方式、倍率を480倍、カットオフ値λsを無し、カットオフ値λcを0.08mm、カットオフ値λfを無し、終端効果の補正を有り、測定対象とする第2主面から1か所当たりの測定範囲を、例えば、710μm×533μmに設定して、測定範囲毎に、測定範囲の長手方向に沿って測定対象とする線を略等間隔に4本引いて、それぞれの線に対して線粗さ計測を行えばよい。ここで、測定範囲は軸心部および外周部のそれぞれ1箇所、合計2箇所とし、計測の対象とする長さは、例えば、560μmである。そして、線粗さ計測によって求められた2乗平均平方根傾斜(RΔq)の平均値および平均長さ(Rsm)の平均値をそれぞれ上述した2乗平均平方根傾斜(RΔq)、平均長さ(Rsm)とすればよい。
【0042】
一実施形態に係る光透過窓接合体1は、種々の装置に備えられる。このような装置としては、例えば、高輝度発光装置、分析装置、高温・高圧用容器、真空容器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0043】
1 光透過窓接合体
2 金属部材
21 環状面
22 外周壁
23 支持部
24 凹部
3 光透過性部材
4 ろう付け部
図1
図2