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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】熱電変換装置
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/13 20230101AFI20241004BHJP
   H10N 10/17 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
H10N10/13
H10N10/17
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021053844
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150989
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 俊和
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-294561(JP,A)
【文献】特開平10-326914(JP,A)
【文献】特開平11-186617(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0301848(US,A1)
【文献】特開2008-305986(JP,A)
【文献】特開2022-13375(JP,A)
【文献】特開2000-124510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/13
H10N 10/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電素子と、
前記熱電素子を挟む一対の支持部材と
前記熱電素子とともに前記一対の支持部材に挟まれる枠状部材と
を有し、
前記枠状部材は、
前記熱電素子を囲む枠体と、
前記枠体よりも前記支持部材側に突出しており、前記枠体における前記支持部材との対向面よりも面積が小さい当接面を有し、前記当接面において前記支持部材と当接する当接部と
を有する、熱電変換装置。
【請求項2】
前記支持部材と前記枠体との隙間に充填される樹脂部材
を有する、請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記枠体の内側に位置する、請求項1または2に記載の熱電変換装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記当接部との対向面に凹部および凸部の一方を有し、
前記当接部は、前記当接面に前記凹部および前記凸部の他方を有し、
前記当接部が前記支持部材と当接した状態において、前記凸部は、前記凹部に入り込む、請求項1~3のいずれか一つに記載の熱電変換装置。
【請求項5】
前記当接部が前記支持部材と当接した状態において、前記凹部の底部と前記凸部の頂部との間に空隙が位置する、請求項4に記載の熱電変換装置。
【請求項6】
前記当接部は、
前記枠体よりも前記一対の支持部材のうち第1支持部材側に突出し、前記第1支持部材と当接する第1当接部と、
前記枠体よりも前記一対の支持部材のうち第2支持部材側に突出し、前記第2支持部材と当接する第2当接部と
を有し、
前記枠体の高さ方向に沿って前記枠状部材を見た場合に、前記第1当接部の位置と前記第2当接部の位置とがずれている、請求項1~5のいずれか一つに記載の熱電変換装置。
【請求項7】
前記枠体の高さ方向に沿って前記枠体を見た場合に、前記枠体は、平面視多角形状を有しており、
前記多角形状の各辺に、前記第1当接部および前記第2当接部の両方が位置しており、
複数の前記第1当接部および複数の前記第2当接部は、前記多角形状の各辺の並び方向に交互に位置している、請求項6に記載の熱電変換装置。
【請求項8】
複数の前記第1当接部および複数の前記第2当接部は、前記辺の中央部よりも前記多角形状の角部に近い場所に位置している、請求項7に記載の熱電変換装置。
【請求項9】
前記枠体の高さ方向に沿って前記枠体を見た場合に、前記枠体は、平面視多角形状を有しており、
前記多角形状の各辺に、前記第1当接部および前記第2当接部の両方が位置しており、
前記多角形状の各辺の並び方向において、前記第1当接部が位置する前記辺と、前記第2当接部が位置する前記辺とは交互に位置している、請求項6に記載の熱電変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱と電力とを相互に直接変換する熱電変換技術を利用した熱電変換装置が知られている。たとえば、ペルチェ効果を利用して電力を熱に変換することによって対象物を冷却または加熱する加熱冷却装置や、ペルチェ効果とは逆の現象であるゼーベック効果を利用して温度差から電力を得る発電装置などが熱電変換装置として知られている。
【0003】
特許文献1には、第一及び第二の対向する熱交換ブロックに熱電素子が挟持されるとともに、熱電素子を包囲する樹脂枠も熱交換ブロックに挟持された加熱冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-234250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術には、樹脂枠を介して熱交換ブロックの一方から他方へ熱が伝わることによって熱電変換の効果、引用文献1に記載の技術では加熱冷却効果が低減するおそれがある。なお、熱電変換装置が発電装置である場合には、樹脂枠を介して熱交換ブロックの一方から他方へ熱が伝わることによって温度差が小さくなる結果、発電効果が低減するおそれがある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、熱電素子を挟む一対の支持部材間における熱の移動を抑制することができる熱電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による熱電変換装置は、熱電素子と、熱電素子を挟む一対の支持部材と、熱電素子とともに一対の支持部材に挟まれる枠状部材とを有する。枠状部材は、枠体と、当接部とを有する。枠体は、熱電素子を囲む。当接部は、枠体よりも支持部材側に突出しており、枠体における支持部材との対向面よりも面積が小さい当接面を有し、当接面において支持部材と当接する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、熱電素子を挟む一対の支持部材間における熱の移動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る熱電変換装置の模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る熱電変換装置の模式的な断面図である。
図3図3は、実施形態に係る熱電変換装置の構成の一例を示す模式的な平面図である。
図4図4は、図3に示すIV-IV線矢視における模式的な断面図である。
図5図5は、図4に示すV部の模式的な拡大図である。
図6図6は、図4に示すVI部の模式的な拡大図である。
図7図7は、図3に示すVII-VII線矢視における模式的な断面図である。
図8図8は、図3に示すVIII-VIII線矢視における模式的な断面図である。
図9図9は、図3に示すIX-IX線矢視における模式的な断面図である。
図10図10は、実施形態に係る熱電変換装置の構成の他の一例を示す模式的な平面図である。
図11図11は、図10に示すXI-XI線矢視における模式的な断面図である。
図12図12は、図10に示すXII-XII線矢視における模式的な断面図である。
図13図13は、実施形態に係る熱電変換装置の構成の他の一例を示す模式的な平面図である。
図14図14は、図13に示すXIV-XIV線矢視における模式的な断面図である。
図15図15は、図13に示すXV-XV線矢視における模式的な断面図である。
図16図16は、実施形態に係る熱電変換装置の構成の他の一例を示す模式的な平面図である。
図17図17は、図16に示すXVII-XVII線矢視における模式的な断面図である。
図18図18は、実施形態に係る熱電変換装置の構成の他の一例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示による熱電変換装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による熱電変換装置が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
また、以下に示す実施形態では、熱電変換装置の一例として、対象物を加熱または冷却する加熱冷却装置を例に挙げて説明するが、本開示による熱電変換装置は、たとえば、ゼーベック効果を利用して温度差から電力を得る発電装置であってもよい。
【0013】
図1は、実施形態に係る熱電変換装置の模式的な斜視図である。なお、図1では、理解を容易にするために、第1支持部材20を分解して示している。また、図1では、枠状部材40の後述する当接部や、第1支持部材20および第2支持部材30と枠状部材40との間に介在される樹脂部材等を省略して示している。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係る熱電変換装置1は、熱電素子10と、第1支持部材20と、第2支持部材30と、枠状部材40とを有する。
【0015】
熱電素子10は、たとえばペルチェ効果によって温度調節を行なうための部材である。実施形態において、熱電素子10は、たとえば平面視四角形の平板形状を有する。なお、熱電素子10の形状は、本例に限らず、平面視において四角形以外の多角形状であってもよい。
【0016】
熱電素子10を構成する熱電材料としては、たとえばBiTe(ビスマステルル)系など公知の材料が用いられ得る。
【0017】
熱電素子10には、配線導体15,15が接続される。配線導体15,15としては、たとえば銅の他、銀、銀-パラジウムなどの材料が用いられ得る。熱電素子10は、配線導体15,15を介して図示しない電源に電気的に接続される。
【0018】
第1支持部材20および第2支持部材30は、熱電素子10を挟む一対の支持部材の一例である。具体的には、第1支持部材20および第2支持部材30は、互いに対向するように位置しており、第1支持部材20および第2支持部材30の対向面同士で熱電素子10を挟み込む。第1支持部材20および熱電素子10は、グリス等の放熱材を介して接着されており、第2支持部材30および熱電素子10も同様に、グリス等の放熱材を介して接着される。
【0019】
第1支持部材20および第2支持部材30は、たとえば平面視四角形の平板形状を有する。なお、第1支持部材20および第2支持部材30の形状は、本例に限らず、たとえば平面視円形状であってもよいし、平面視において四角形以外の多角形状であってもよい。
【0020】
第2支持部材30の板面のうち、第1支持部材20との対向面とは反対側の面には、複数の冷却フィン35が位置している。また、第2支持部材30には、配線導体15,15を挿通させるための貫通孔(図示せず)が位置している。
【0021】
第1支持部材20および第2支持部材30の材質としては、たとえば金属が用いられ得る。
【0022】
枠状部材40は、熱電素子10を囲む部材であって、熱電素子10とともに第1支持部材20および第2支持部材30に挟まれる。枠状部材40の材質としては、たとえば樹脂が用いられ得る。このように、枠状部材40を設けることで、たとえば、大気中の湿気から熱電素子10を保護したり、耐久性を確保したりすることができる。
【0023】
従来の加熱冷却装置において、枠状部材は、一対の支持部材との対向面の全面において一対の支持部材と当接していた。このため、一対の支持部材のうち高温側の支持部材から低温側の支持部材へ枠状部材を介して熱が伝わりやすく、これにより、低温側の支持部材における外周部の温度が上昇することで低温側の支持部材の均熱性が悪化するおそれがあった。また、低温側の支持部材の温度が上昇することで、対象物の冷却性能が低下したりするおそれがあった。
【0024】
また、一対の支持部材と枠状部材との間にOリングやパッキン等の介在部材が設けられた加熱冷却装置も知られているが、かかる構成とした場合、熱電素子と一対の支持部材とが平行にならず片当たりすることで、低温側の支持部材における中央部の温度の均熱性が悪化するおそれがある。また、低温側の支持部材が十分に冷却されないことで、対象物の冷却性能が低下したりするおそれがあった。
【0025】
そこで、実施形態に係る熱電変換装置1では、枠状部材40と一対の支持部材との接触面積を小さくすることで、高温側の支持部材(第2支持部材30)から低温側の支持部材(第1支持部材20)への枠状部材40を介した熱伝導を抑制することとした。
【0026】
以下、実施形態に係る枠状部材40の具体的な構成例について説明する。図2は、実施形態に係る熱電変換装置1の模式的な断面図である。なお、図2に示す断面図は、図3におけるII-II線矢視における断面図に相当する。
【0027】
また、図3は、実施形態に係る熱電変換装置1の構成の一例を示す模式的な平面図である。図3では、熱電素子10、第1支持部材20および第2支持部材30を省略して示している。すなわち、図3は、枠状部材40の模式的な平面図でもある。また、図4は、図3に示すIV-IV線矢視における模式的な断面図である。図5は、図4に示すV部の模式的な拡大図であり、図6は、図4に示すVI部の模式的な拡大図である。図7は、図3に示すVII-VII線矢視における模式的な断面図であり、図8は、図3に示すVIII-VIII線矢視における模式的な断面図であり、図9は、図3に示すIX-IX線矢視における模式的な断面図である。図4および図7~9では、第1支持部材20、第2支持部材30および枠状部材40のみを示しており、熱電素子10および樹脂部材50等は省略される。
【0028】
図2および図3に示すように、枠状部材40は、枠体41と、複数の当接部42とを有する。枠体41は、たとえば外形および内形が平面視四角形状を有しており、熱電素子10を囲んでいる。なお、枠体41の形状は、本例に限らず、たとえば外形および内形が平面視において四角形以外の多角形状を有していてもよい。また、枠体41は、たとえば外形および内形が平面視円形状を有していてもよい。
【0029】
複数の当接部42は、枠体41よりも一対の支持部材20,30側に突出している。具体的には、複数の当接部42は、複数(ここでは、4つ)の第1当接部42b,42d,42f,42hと、複数(ここでは、4つ)の第2当接部42a,42c,42e,42gと、を有している。第1当接部42b,42d,42f,42hは、第1支持部材20側に突出し、第2当接部42a,42c,42e,42gは、第2支持部材30側に突出している。
【0030】
これら複数の当接部42は、枠体41における一対の支持部材20,30との対向面411よりも面積が小さい当接面を有しており、かかる当接面において一対の支持部材20,30と当接する。
【0031】
たとえば、図4および図5には、第1当接部42dの断面が図示されている。図4および図5に示すように、第1当接部42dは、枠体41の対向面411よりも面積が小さい当接面421を有しており、かかる当接面421において第1支持部材20における第1当接部42dとの対向面27と当接している。また、図4および図6には、第2当接部42aの断面が図示されている。図4および図6に示すように、第2当接部42aは、枠体41の第2支持部材30との対向面412よりも面積が小さい当接面422を有しており、かかる当接面422において第2支持部材30における第2当接部42aとの対向面37と当接している。
【0032】
このように、実施形態に係る熱電変換装置1において、枠状部材40には複数の当接部42が設けられている。これにより、複数の当接部42が設けられていない場合と比較して、第1支持部材20および第2支持部材30と枠状部材40との接触面積を小さくすることができる。したがって、実施形態に係る熱電変換装置1によれば、第2支持部材30から第1支持部材20への枠状部材40を介した熱伝導を抑制することができる。
【0033】
また、実施形態に係る熱電変換装置1は、一対の支持部材20,30と枠体41との隙間に充填される樹脂部材50を有する(図2参照)。樹脂部材50は、枠体41の第1支持部材20との対向面411の全周に亘って位置している。同様に、樹脂部材50は、枠体41の第2支持部材30との対向面411の全周に亘って位置している。
【0034】
このように、実施形態に係る熱電変換装置1は、樹脂部材50を有しており、かかる樹脂部材50を用いて、一対の支持部材20,30と枠体41との隙間を封止している。かかる構成によれば、たとえば、大気中の湿気から熱電素子10を保護することができる。
【0035】
また、実施形態に係る熱電変換装置1において、複数の当接部42は、枠体41の内側に位置している。すなわち、実施形態に係る熱電変換装置1において、複数の当接部42は、熱電素子10とともに枠体41および樹脂部材50によって封止される。かかる構成によれば、第2支持部材30から第1支持部材20への枠状部材40を介した伝熱経路が外気の影響を受け難くすることができる。なお、本構成に限定されるものではなく、複数の当接部42は、枠体41の外側に位置していてもよい。
【0036】
また、図4および図6に示すように、第2支持部材30は、第2当接部42aとの対向面37に凹部39を有する。また、第2当接部42aは、当接面422に凸部43を有する。そして、第2当接部42aが第2支持部材30と当接した状態において、凸部43は、凹部39に入り込む。
【0037】
第2支持部材30は、図6に示す凹部39と同様の凹部39を複数有している。たとえば、図7に示すように、第2支持部材30には、第2当接部42gの当接面422と対向する位置に凹部39を有する。また、図9に示すように、第2支持部材30には、第2当接部42eの当接面422と対向する位置に凹部39を有する。
【0038】
また、図7および図9に示すように、第2当接部42gおよび第2当接部42eの各当接面422には凸部43が位置しており、かかる凸部43は対応する凹部39に入り込んでいる。
【0039】
さらに、図7図9に示すように、第1支持部材20の第1当接部42b、42d,42f、42hとの対向面27のうち、第1当接部42b、42f、42hに対応する箇所にも凹部29が位置している。そして、第1当接部42b、42f、42hの各当接面421には凸部44が位置しており、かかる凸部44は対応する凹部29に入り込んでいる。
【0040】
かかる構成とすることにより、温度変化が繰り返された場合であっても凸部43,44に応力が集中することで当接部42の当接面421,422に応力が加わりにくくなる。したがって、実施形態に係る熱電変換装置1によれば、耐熱サイクル性を向上させることができる。
【0041】
なお、凹部29,39および凸部43,44の個数および位置は、図示の例に限定されない。たとえば、ここでは、熱電変換装置1が、凹部29および凸部43を3組、凹部39および凸部44を3組有する場合の例を示したが、熱電変換装置1が有する凹部29および凸部43(凹部39および凸部44)の組数は、たとえば1組であってもよく、2組であってもよく、また、4組であってもよい。
【0042】
また、ここでは、一対の支持部材20,30に凹部29,39が位置し、複数の当接部42に凸部43,44が位置する場合の例を示したが、一対の支持部材20,30に凸部43,44が位置し、複数の当接部42に凹部29,39が位置していてもよい。
【0043】
また、たとえば、図6に示すように、当接部42(図6では、第2当接部42a)が支持部材(図6では、第2支持部材30)と当接した状態において、凹部39の底部391と凸部43の頂部431との間には、空隙が位置している。これは、第1当接部42b,42f,42hについても同様である。すなわち、第1当接部42b,42f,42hが第1支持部材20と当接した状態において、凹部29の底部と凸部44の頂部との間には、空隙が位置している。
【0044】
かかる構成とすることにより、凹部29,39内に空気層が形成されるため、かかる空気層が断熱層として機能することで、第2支持部材30から第1支持部材20への枠状部材40を介した熱伝導をさらに抑制することができる。
【0045】
また、枠体41の高さ方向に沿って枠状部材40を見た場合に、第1当接部42b,42d,42f,42hの位置と第2当接部42a,42c,42e,42gの位置とはずれていてもよい。
【0046】
たとえば、図3に示す例において、枠体41が有する複数(ここでは、4つ)の辺のうち、紙面左側の辺には第1当接部42hと第2当接部42aとが位置し、紙面上側の辺には第1当接部42bと第2当接部42cとが位置している。また、上記4つの辺のうち、紙面右側の辺には第1当接部42dと第2当接部42eとが位置し、紙面下側の辺には第1当接部42fと第2当接部42gとが位置している。
【0047】
そして、これら複数の第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、上記4つの辺の並び方向に交互に位置している。すなわち、複数の第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、紙面左側の辺から時計回りに、第1当接部42h、第2当接部42a、第1当接部42b、第2当接部42c、第1当接部42d、第2当接部42e、第1当接部42fおよび第2当接部42gの順番で位置している。
【0048】
このように、第1当接部42b,42d,42f,42hの位置と第2当接部42a,42c,42e,42gの位置とをずらすことで、これらの位置をずらさない場合(図3において重なるように配置した場合)と比較して、第2支持部材30から第2当接部42a,42c,42e,42g、枠体41および第1当接部42b,42d,42f,42hを通って第1支持部材20に至る伝熱経路を長くすることができる。したがって、かかる構成によれば、第2支持部材30から第1支持部材20への枠状部材40を介した熱伝導をさらに抑制することができる。
【0049】
また、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、枠体41の辺の中央部よりも枠体41の角部に近い場所に位置している。かかる構成とすることにより、外力に対する耐久性を高めることができる。
【0050】
図10は、実施形態に係る熱電変換装置1の構成の他の一例を示す模式的な平面図である。また、図11は、図10に示すXI-XI線矢視における模式的な断面図である。また、図12は、図10に示すXII-XII線矢視における模式的な断面図である。図10図12では、第1支持部材20、第2支持部材30および枠状部材40のみを示しており、熱電素子10および樹脂部材50等は省略される。
【0051】
図10図13に示すように、枠体41が有する4つの辺のうち、紙面左側の辺には2つの第2当接部42a,42gが位置し、紙面上側の辺には2つの第1当接部42b,42dが位置していてもよい。また、上記4つの辺のうち、紙面右側の辺には2つの第2当接部42c,42eが位置し、紙面下側の辺には2つの第1当接部42f,42hが位置していてもよい。
【0052】
そして、これら複数の第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、紙面左側の辺から時計回りに、第2当接部42g、第2当接部42a、第1当接部42b、第1当接部42d、第2当接部42c、第2当接部42e、第1当接部42f、第1当接部42hの順番で位置している。
【0053】
このように、枠体41の各辺の並び方向において、第1当接部42b,42d,42f,42hが位置する辺と、第2当接部42a,42c,42e,42gが位置する辺とは、交互に位置していてもよい。かかる構成によれば、図3に示す構成と同様に、第2支持部材30から第1支持部材20への枠状部材40を介した熱伝導をさらに抑制することができる。
【0054】
図13は、実施形態に係る熱電変換装置1の構成の他の一例を示す模式的な平面図である。また、図14は、図13に示すXIV-XIV線矢視における模式的な断面図である。また、図15は、図13に示すXV-XV線矢視における模式的な断面図である。図13図15では、第1支持部材20、第2支持部材30および枠状部材40のみを示しており、熱電素子10および樹脂部材50等は省略される。
【0055】
図13図15に示すように、第1当接部42b,42d,42f,42hの位置と第2当接部42a,42c,42e,42gの位置は、必ずしもずれていることを要しない。たとえば、図13図15に示す例において、第1当接部42bと第2当接部42aとは同軸上に位置し(図14参照)、第1当接部42dと第2当接部42cとは同軸上に位置している(図15参照)。
【0056】
このように、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、枠体41の高さ方向に沿って枠状部材40を見た場合に重なる位置に配置されていてもよい。
【0057】
図16は、実施形態に係る熱電変換装置1の構成の他の一例を示す模式的な平面図である。また、図17は、図16に示すXVII-XVII線矢視における模式的な断面図である。図16および図17では、第1支持部材20、第2支持部材30および枠状部材40のみを示しており、熱電素子10および樹脂部材50等は省略される。
【0058】
図16および図17に示すように、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、枠体41における一対の支持部材20,30との対向面411上に位置していてもよい。
【0059】
図18は、実施形態に係る熱電変換装置1の構成の他の一例を示す模式的な断面図である。図18では、第1支持部材20、第2支持部材30および枠状部材40のみを示しており、熱電素子10および樹脂部材50等は省略される。
【0060】
図18に示すように、凸部43,44は、凹部29,39に嵌合してもよい。すなわち、断面視において、凸部43,44の両側面は、凹部29,39の両側面と接触していてもよい。かかる構成によれば、枠状部材40の平面方向におけるズレを抑制することができる。したがって、たとえば、加熱冷却の効率を高めることができる。また。製品としても信頼性を高めることができる。
【0061】
なお、ここでは、一例として、第1当接部42bの凸部44および第2当接部42gの凸部43を図示したが、他の第1当接部42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42eも、凹部29,39と嵌合する凸部43,44を有していてもよい。また、熱電変換装置1は、複数の凸部43,44のうち少なくとも1つの凸部43(または凸部44)が凹部29(または凹部39)と嵌合する構成であってもよい。
【0062】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gが、枠体41の内側または枠体41の対向面411上に位置する場合の例について説明した。これに限らず、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、枠体41の外側に位置していてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、枠体41が有する全ての辺に第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gの少なくとも1つが位置する場合の例について説明した。これに限らず、枠体41が有する複数の辺には、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gのいずれも位置しない辺があってもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gが枠体41の角部近傍に位置する場合の例について説明した。これに限らず、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、枠体41の角部よりも枠体41の辺の中央部に近い場所に位置していてもよい。たとえば、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、枠体41の辺の中央部に位置していてもよい。また、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gは、枠体41の角に接するように位置していてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、枠体41が平面視において多角形状を有する場合の例について説明したが、枠体41は、たとえば平面視円環状であってもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、枠体41が、第1当接部42b,42d,42f,42hと第2当接部42a,42c,42e,42gとを有する場合の例について説明した。これに限らず、枠体41は、第1当接部42b,42d,42f,42hおよび第2当接部42a,42c,42e,42gのうちいずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【0067】
上述してきたように、実施形態に係る熱電変換装置(一例として、熱電変換装置1)は、熱電素子(一例として、熱電素子10)と、熱電素子を挟む一対の支持部材(一例として、支持部材20,30)と、熱電素子とともに一対の支持部材に挟まれる枠状部材(一例として、枠状部材40)とを有する。枠状部材は、枠体(一例として、枠体41)と、当接部(一例として、当接部42)とを有する。枠体は、熱電素子を囲む。当接部は、枠体よりも支持部材側に突出しており、枠体における支持部材との対向面よりも面積が小さい当接面(一例として、当接面421)を有し、当接面において支持部材と当接する。
【0068】
したがって、実施形態に係る熱電変換装置によれば、熱電素子を挟む一対の支持部材間における熱の移動を抑制することができる。
【0069】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 熱電変換装置
10 熱電素子
15 配線導体
20 第1支持部材
29 凹部
30 第2支持部材
35 冷却フィン
39 凹部
40 枠状部材
41 枠体
42 当接部
43 凸部
44 凸部
50 樹脂部材
図1
図2
図3
図4
図5
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図18