(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】水素製造システムおよび水素製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/24 20060101AFI20241004BHJP
C01B 3/02 20060101ALI20241004BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241004BHJP
C25B 1/042 20210101ALI20241004BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241004BHJP
C25B 15/021 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
C01B3/24
C01B3/02 B
C25B1/04
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B15/021
(21)【出願番号】P 2021061245
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】碓井 志典
(72)【発明者】
【氏名】浅野 耕司
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 宏之
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】勝田 理史
(72)【発明者】
【氏名】清木 義夫
(72)【発明者】
【氏名】行本 敦弘
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/234992(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/031771(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/095664(WO,A1)
【文献】特開2016-098387(JP,A)
【文献】特開2003-165704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 3/58
C25B 1/04
C25B 1/042
C25B 9/00
C25B 15/021
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
900℃以上の熱エネルギーを発生可能な熱源と、
前記熱エネルギーにより加熱された熱媒体が循環する循環経路と、
前記循環経路を循環する前記熱媒体を使用して
原料を反応させて水素を製造する第1水素製造装置と、
前記第1水素製造装置で使用され
て前記循環経路を循環する前記熱媒体を用いて
原料を反応させて水素を製造する第2水素製造装置と、
を備える水素製造システム。
【請求項2】
前記第1水素製造装置は、900℃以上の熱エネルギーにより前記熱媒体が加熱されてこの加熱された
高温熱媒体を使用して水素を製造し、前記第2水素製造装置は、前記高温熱媒体より低温の低温熱媒体を使用して水素を製造する、
請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項3】
前記第1水素製造装置は、メタン熱分解法と高温水蒸気電解法と熱化学分解法といずれか一つにより水素を製造し、前記第2水素製造装置は、高温アルカリ水電解法により水素を製造する、
請求項1または請求項2に記載の水素製造システム。
【請求項4】
前記第1水素製造装置と前記第2水素製造装置は、同一の方法で仕様の異なる方式により水素を製造する、
請求項1または請求項2に記載の水素製造システム。
【請求項5】
前記熱媒体により前記第1水素製造装置または前記第2水素製造装置で使用される原料を予熱する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水素製造システム。
【請求項6】
前記第1水素製造装置または前記第2水素製造装置は、高温水蒸気電解法または熱化学分解法により水素を製造するものであり、蒸気を過熱する蒸気過熱器と、過熱蒸気を電気分解する水電解セルとを有する、
請求項1または請求項2に記載の水素製造システム。
【請求項7】
前記第2水素製造装置で使用された前記熱媒体を用いて水素を製造する第3水素製造装置を有する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の水素製造システム。
【請求項8】
前記熱源は、高温ガス炉で生成される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の水素製造システム。
【請求項9】
900℃以上の熱エネルギーを発生させる工程と、
前記熱エネルギーにより加熱された熱媒体が循環する工程と、
循環する前記熱媒体を使用して
原料を反応させて水素を製造する工程と、
水素の製造に使用され
て循環する前記熱媒体を用いて
原料を反応させて水素を製造する工程と、
を有する水素製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素製造システムおよび水素製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会を実現する技術として、例えば、高温ガス炉がある。高温ガス炉は、運転温度が軽水炉に比べて高温である。高温ガス炉は、燃料の被覆にセラミックス材料を使用し、冷却材がヘリウム、減速材が黒鉛である。高温ガス炉は、運転温度が高く、高い熱エネルギーが得られることから、発電以外のエネルギー利用が可能であり、水素製造装置への適用が進められている。従来の水素製造システムとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した高温ガス炉は、高温の熱エネルギーを用いて水素を製造する。高温の熱エネルギーを用いた水素製造技術としては、メタン熱分解法、熱化学分解法(IS法)や高温水蒸気電解法(SOEC)などがある。ところが、従来の高温の熱エネルギーを用いた水素製造技術は、熱エネルギーにおける高温領域で利用されるメタン熱分解などの技術を利用したものでしかない。そのため、従来の水素製造技術は、利用できる熱エネルギーの温度範囲が限定されており、熱エネルギーの利用効率の向上が求められている。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、熱エネルギーにおける利用効率の向上を図る水素製造システムおよび水素製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の水素製造システムは、900℃以上の熱エネルギーを発生可能な熱源と、前記熱エネルギーにより加熱された熱媒体を使用して水素を製造する第1水素製造装置と、前記第1水素製造装置で使用された前記熱媒体を用いて水素を製造する第2水素製造装置と、を備える。
【0007】
また、本開示の水素製造方法は、900℃以上の熱エネルギーを発生させる工程と、前記熱エネルギーにより加熱された熱媒体を使用して水素を製造する工程と、水素の製造に使用された前記熱媒体を用いて水素を製造する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の水素製造システムおよび水素製造方法によれば、熱エネルギーにおける利用効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、水素製造システムを表す概略構成図である。
【
図2】
図2は、高温水蒸気電解法による水素製造システムを表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
<水素製造システム>
図1は、水素製造システムを表す概略構成図である。
【0012】
本実施形態において、
図1に示すように、水素製造システム10は、熱源11と、第1水素製造装置12と、第2水素製造装置13とを備える。
【0013】
熱源11は、高温ガス炉であり、900℃以上の熱エネルギーを発生可能である。第1水素製造装置12は、熱源11で発生した熱エネルギーにより加熱された熱媒体を使用して水素を製造する。第1水素製造装置12は、例えば、メタン熱分解法により水素を製造する水素製造装置である。第2水素製造装置13は、第1水素製造装置12で使用された熱媒体を用いて水素を製造する。第2水素製造装置13は、例えば、高温アルカリ水電解法により水素を製造する水素製造装置である。
【0014】
すなわち、第1水素製造装置12は、900℃以上の熱エネルギーにより加熱された高温熱媒体を使用して水素を製造する。第2水素製造装置13は、高温熱媒体が第1水素製造装置12で使用されて温度が低下した低温の低温熱媒体を使用して水素を製造する。
【0015】
熱源11としての高温ガス炉は、燃料の被覆にセラミックス材料を使用し、冷却材をヘリウムとし、減速材を黒鉛とする原子炉である。高温ガス炉は、900℃以上の熱媒体としてのヘリウムガスを生成可能である。熱源11としての高温ガス炉は、第1循環経路L11が連結される。第1循環経路L11は、熱源11の他に、中間熱交換器21、再生熱交換器22、冷却器23、圧縮機24が連結される。中間熱交換器21は、第2循環経路L12が連結される。
【0016】
中間熱交換器21は、第1循環経路L11を流れる1次ヘリウム(1次熱媒体)と2次ヘリウム(2次熱媒体)との間で熱交換を行う。すなわち、中間熱交換器21は、第1循環経路L11を流れる、例えば、950℃の1次ヘリウムにより第2循環経路L12を流れる2次ヘリウムを、例えば、900℃に加熱する。
【0017】
冷却器23は、中間熱交換器21で熱交換した1次ヘリウムを冷却する。圧縮機24は、第1循環経路L11を流れて冷却器23により冷却された1次ヘリウムを圧縮する。再生熱交換器22は、中間熱交換器21で熱交換した1次ヘリウムと、冷却器23により冷却されて圧縮機24により圧縮された1次ヘリウムとの間で熱交換する。
【0018】
第2循環経路L12は、中間熱交換器21の他に、第1水素製造装置12、第2水素製造装置13、循環ポンプ25が連結される。循環ポンプ25は、第2循環経路L12の2次ヘリウムを循環し、第1水素製造装置12から第2水素製造装置13に供給する。
【0019】
第1水素製造装置12は、メタン熱分解法により水素を製造する。例えば、メタンを含む天然ガスを高温の2次ヘリウムにより加熱された触媒反応器に供給する。すると、メタンは、高温域で水素と炭素に熱分解する。
CH4→C+2H2
【0020】
第2水素製造装置13は、高温アルカリ水電解法により水素を製造する。例えば、アルカリ水が貯留された電解槽内にアノード電極(陽極)とカソード電極(陰極)を配置すると共に、その間に隔壁(イオン交換膜など)を設け、電極に通電することで水素と酸素を生成して分離する。ここで、高温の2次ヘリウムにより電解槽を加熱する。
H2O→H2+1/2O2
【0021】
第2循環経路L12を流れる2次ヘリウムは、中間熱交換器21で1次ヘリウムにより加熱された後、循環ポンプ25により第1水素製造装置12から第2水素製造装置13に供給され、中間熱交換器21に戻される。
【0022】
なお、高温の2次ヘリウムにより、第1水素製造装置12または第2水素製造装置13で使用される原料を予熱するように構成してもよい。第1水素製造装置12にて、原料としての天然ガス(メタン)を高温の2次ヘリウムにより事前に加熱する。また、第2水素製造装置13にて、原料としての水を高温の2次ヘリウムにより事前に加熱する。
【0023】
<水素製造方法>
本実施形態の水素製造方法は、900℃以上の熱エネルギーを発生させる工程と、熱エネルギーにより加熱された熱媒体を使用して水素を製造する工程と、水素の製造に使用された前記熱媒体を用いて水素を製造する工程とを有する。
【0024】
熱源11としての高温ガス炉は、例えば、950℃の1次ヘリウムを生成する。高温の1次ヘリウムは、第1循環経路L11を流れ、中間熱交換器21にて、第2循環経路L12を流れる2次ヘリウムと交換を行い、2次ヘリウムを、例えば、900℃まで加熱する。中間熱交換器21で熱交換された2次ヘリウムは、第2循環経路L12を流れ、第1水素製造装置12に、例えば、900℃程度で供給される。
【0025】
第1水素製造装置12は、890℃の2次ヘリウムを用いてメタン熱分解法により水素を製造する。第1水素製造装置12で使用されることで、例えば、800℃まで温度低下した2次ヘリウムは、第2循環経路L12により第2水素製造装置13に供給される。第2水素製造装置13は、800℃℃の2次ヘリウムを用いて高温アルカリ水電解法により水素を製造する。第2水素製造装置13で使用されることで、例えば、550℃まで温度低下した2次ヘリウムは、第2循環経路L12により中間熱交換器21に戻される。
【0026】
第1水素製造装置12により製造された水素と、第2水素製造装置13により製造された水素は、別々に、または、混合して貯蔵され、用途に合わせて供給される。
【0027】
<水素製造システムの変形例>
本実施形態の水素製造システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。第1水素製造装置および第2水素製造装置としては、上述したメタン熱分解法と高温アルカリ水電解法の他に、熱化学分解法(IS法)や高温水蒸気電解法(SOEC)などを組み合わせて適用することができる。ここで、第1水素製造装置で使用する高温熱媒体の温度域は、800℃~900℃であり、第1水素製造装置として、メタン熱分解法、熱化学分解法、高温水蒸気電解法(SOEC)を適用することができる。また、第2水素製造装置で使用する低温熱媒体の温度域は、600℃~800℃であり、第2水素製造装置として、水蒸気改質法を適用することができる。さらに、第2水素製造装置で使用する低温熱媒体の温度域を、500℃~800℃とした場合、第2水素製造装置として、高温アルカリ水電解法、高温水蒸気電解法(プロトン伝導型SOEC)を適用することができる。
【0028】
ここで、第1水素製造装置と第2水素製造装置を、同一の水素製造方法による水素製造装置とし、異なる仕様により水素を製造するものとしてもよい。例えば、第1水素製造装置および第2水素製造装置としてメタン熱分解法を適用し、それぞれの触媒の種類を異ならせる。また、第1水素製造装置および第2水素製造装置として、高温水蒸気電解法を適用し、それぞれの電極の種類を異ならせる。
【0029】
また、第1水素製造装置または前記第2水素製造装置として、高温水蒸気電解法を適用することができる。以下、高温水蒸気電解法を用いた水素製造装置について説明する。
図2は、高温水蒸気電解法による水素製造システムを表す概略構成図である。
【0030】
図1に示すように、水素製造システム10は、熱源11と、第1水素製造装置12と、第2水素製造装置13とを備える。第1水素製造装置12は、高温熱媒体を使用して水素を製造し、第2水素製造装置13は、高温熱媒体が第1水素製造装置12で使用されて温度が低下した低温の低温熱媒体を使用して水素を製造する。上述した説明では、第1水素製造装置12がメタン熱分解法により水素を製造するものであるが、例えば、第1水素製造装置が高温水蒸気電解法により水素を製造するものであってもよい。
【0031】
すなわち、
図2に示すように、第1水素製造装置30は、蒸発器31と、蒸気過熱器32と、固体酸化物型水電解セル33と、リサイクル熱交換機34とを備える。
【0032】
熱源(高温ガス炉)11は、1次ヘリウムまたは2次ヘリウムの循環経路L21,L31が連結される。循環経路L21は、蒸発器31が連結され、循環経路L31は、蒸発器41が連結される。蒸発器41は、循環経路L32を介してタービン42が連結される。タービン42は、発電機43に連結される。発電機43は、蓄電設備44に接続される。蒸発器41は、循環経路L31を流れる高温のヘリウムと、循環経路L32を流れる蒸気との間で熱交換を行う。蒸発器41で加熱された蒸気は、タービン42に供給され、タービン42を駆動回転する。発電機43は、タービン42の回転により駆動されて発電し、蓄電設備44に蓄電する。
【0033】
蒸発器31は、水供給経路L22を介して蒸気過熱器32と固体酸化物型水電解セル33とリサイクル熱交換機34が連結される。固体酸化物型水電解セル33は、蓄電設備44から電力が供給される。蒸発器31は、循環経路L21を流れる高温のヘリウムと、水供給経路L22を流れる蒸気(水)との間で熱交換を行う。蒸発器31で生成された蒸気は、蒸気過熱器32に供給される。蒸気過熱器32は、蒸気を過熱して過熱蒸気を生成する。蒸気過熱器32で生成された過熱蒸気は、固体酸化物型水電解セル33に供給される。固体酸化物型水電解セル33は、過熱蒸気を電気分解して酸素と水素を生成して分離する。リサイクル熱交換機34は、水供給経路L22を流れる水と生成された水素との間で熱交換することで、蒸気を生成する。
【0034】
第1水素製造装置30は、蒸発器31で加熱された蒸気を蒸気過熱器32により過熱蒸気として固体酸化物型水電解セル33に供給する。そのため、固体酸化物型水電解セル33は、過熱蒸気を電気分解することで、効率良く水素を生成することができる。
【0035】
そして、第1水素製造装置30で使用されたヘリウムは、温度が低下し、循環経路L21により第2水素製造装置(図示略)に供給される。第2水素製造装置は、例えば、高温アルカリ水電解法などにより水素を製造する。
【0036】
また、上述した実施形態にて、第1水素製造装置12と第2水素製造装置13を設けたが、第2水素製造装置13で使用された熱媒体を用いて水素を製造する第3水素製造装置を設けてもよい。第3水素製造装置は、第2水素製造装置で使用する低温熱媒体の温度域よりも低い温度域の熱媒体を利用して水素を製造する。
【0037】
また、上述した実施形態にて、熱源11を高温ガス炉としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱源として、電気炉、ヘリオスタット式太陽熱集光装置、ボイラ、ガスタービン排熱などを適用してもよい。
【0038】
また、上述した実施形態にて、熱源11として、高温ガス炉を適用し、第1水素製造装置12および第2水素製造装置13として、メタン熱分解法、高温アルカリ水電解法、熱化学分解法、高温水蒸気電解法を適用することで、二酸化炭素の発生量をなくすことができる。また、熱源として、再生エネルギーを利用した電気炉やヘリオスタット式太陽熱集光装置を適用することで、同様に、二酸化炭素の発生量をなくすことができる。但し、熱源11として高温ガス炉を適用することで、水素製造装置の形式に拘わらず、二酸化炭素の発生量を低減することができる。
【0039】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る水素製造システムは、900℃以上の熱エネルギーを発生可能な熱源11と、熱エネルギーにより加熱された熱媒体を使用して水素を製造する第1水素製造装置12と、第1水素製造装置12で使用された熱媒体を用いて水素を製造する第2水素製造装置13とを備える。
【0040】
第1の態様に係る水素製造システムによれば、熱源11で発生した熱エネルギーにより加熱された熱媒体を使用し、第1水素製造装置12と第2水素製造装置13により段階的に水素を製造する。その結果、熱エネルギーを効率良く利用し、熱エネルギーにおける利用効率の向上を図ることができる。
【0041】
第2の態様に係る水素製造システムは、第1水素製造装置12が900℃以上の熱エネルギーにより加熱された高温熱媒体を使用して水素を製造し、第2水素製造装置13が高温熱媒体より低温の低温熱媒体を使用して水素を製造する。これにより、高温熱媒体および低温熱媒体の熱エネルギーを利用して効率良く水素を製造することができる。
【0042】
第3の態様に係る水素製造システムは、第1水素製造装置12は、メタン熱分解法と高温水蒸気電解法と熱化学分解法といずれか一つにより水素を製造し、第2水素製造装置13は、高温アルカリ水電解法により水素を製造する。これにより、高温熱媒体を利用してメタン熱分解法と高温水蒸気電解法と熱化学分解法といずれか一つにより水素を製造し、低温熱媒体を利用して高温アルカリ水電解法により水素を製造することとなり、効率良く水素を製造することができる。
【0043】
第4の態様に係る水素製造システムは、第1水素製造装置12と第2水素製造装置13は、同一の方法で仕様の異なる方式により水素を製造する。これにより、第1水素製造装置12と第2水素製造装置13による水素製造装置をほぼ同じにすることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
第5の態様に係る水素製造システムは、熱媒体により第1水素製造装置12または第2水素製造装置13で使用される原料を予熱する。これにより、熱媒体の熱エネルギーの有効利用を図ることができる。
【0045】
第6の態様に係る水素製造システムは、第1水素製造装置12または第2水素製造装置13は、高温水蒸気電解法または熱化学分解法により水素を製造するものであり、蒸気を過熱する蒸気過熱器32と、過熱蒸気を電気分解する固体酸化物型水電解セル33とを有する。これにより、効率良く水素を製造することができる。
【0046】
第7の態様に係る水素製造システムは、第2水素製造装置13で使用された熱媒体を用いて水素を製造する第3水素製造装置を有する。これにより、熱エネルギーを更に効率良く利用し、熱エネルギーにおける利用効率の向上を図ることができる。
【0047】
第8の態様に係る水素製造システムは、熱源11は、高温ガス炉で生成される。これにより、二酸化炭素の発生量を低減することができる。
【0048】
第9の態様に係る水素製造方法は、900℃以上の熱エネルギーを発生させる工程と、熱エネルギーにより加熱された熱媒体を使用して水素を製造する工程と、水素の製造に使用された熱媒体を用いて水素を製造する工程とを有する。これにより、熱エネルギーを効率良く利用し、熱エネルギーにおける利用効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 水素製造システム
11 熱源
12 第1水素製造装置
13 第2水素製造装置
21 中間熱交換器
22 再生熱交換器
23 冷却器
24 圧縮機
25 循環ポンプ
30 第1水素製造装置
31 蒸発器
32 蒸気過熱器
33 固体酸化物型水電解セル
34 リサイクル熱交換機
41 蒸発器
42 タービン
43 発電機
44 蓄電設備
L11 第1循環経路
L12 第2循環経路
L21,L31,L32 循環経路