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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】冷却装置および冷媒回収システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20241004BHJP
   F25B 19/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F25B45/00 A
F25B19/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021067668
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162706
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝也
(72)【発明者】
【氏名】野村 亜加音
(72)【発明者】
【氏名】太田 幸治
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-151338(JP,A)
【文献】特開2020-180746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 19/00
F25B 45/00
F25D 1/00 ~ 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を回収する回収ボンベを冷却する冷却装置であって、
前記回収ボンベの外壁に接して配置され、水を吸収して保持する保水部材と、
前記保水部材に前記水を供給する給水装置と
前記回収ボンベに向けて風を送る送風部とを備え、
前記給水装置は、前記回収ボンベの前記外壁に沿って配置された給水経路を含み、
前記給水経路は、前記回収ボンベの周囲に円状に配置された複数の位置から前記水を供給し、
前記給水経路に前記水を供給する入口は、前記送風部により送られる前記風の風上側に位置する、冷却装置。
【請求項2】
前記給水経路が前記水を供給する前記複数の位置は、前記回収ボンベの外径以下の円内にある、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記給水経路は、前記回収ボンベの周囲に円状に配置され、前記水を供給する複数の供給口を有し、
前記複数の供給口は、前記回収ボンベおよび前記保水部材のいずれかに接するように配置されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
冷媒を回収する回収ボンベを冷却する冷却装置であって、
前記回収ボンベの外壁に接して配置され、水を吸収して保持する保水部材と、
前記保水部材に前記水を供給する給水装置と、
前記回収ボンベに向けて風を送る送風部とを備え、
前記給水装置は、前記回収ボンベの前記外壁に沿って配置された給水経路を含み、
前記給水経路は、前記回収ボンベの周囲に円状に配置され、前記水を供給する複数の供給口を有し、
前記複数の供給口は、前記回収ボンベおよび前記保水部材のいずれかに接するように配置されており、
前記送風部により送られる前記風の風上側に位置する前記供給口は、前記送風部により送られる前記風の風下側に位置する前記供給口よりも開口面積が大きい、冷却装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の冷却装置と、
前記冷媒を使用する空調機と、
前記回収ボンベと、
前記空調機から引き出した冷媒ガスを液化して前記回収ボンベに送る回収装置とを備える、冷媒回収システム。
【請求項6】
前記回収ボンベは、底面部を有し、
前記給水経路は、前記底面部から離れた上部側に配置されている、請求項5に記載の冷媒回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置および冷媒回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調機から取り出した特定フロンなどの冷媒ガスを液化して回収ボンベに回収する回収装置を用いる際に、凝縮熱による冷媒の温度上昇などが原因で、冷媒の回収速度や回収効率が低下する場合がある。このような冷媒の回収速度や回収効率の低下を防ぐために、回収ボンベを冷却する技術が開発されている。
【0003】
たとえば、特許第5221321号公報(特許文献1)には、水供給手段から水を導くチューブを、保水部材で覆った冷媒回収ボンベの周囲に巻き、冷媒回収ボンベの周囲をハウジングで覆った冷却装置で回収ボンベを冷却する技術が記載されている。この冷却装置では、チューブに設けた複数の孔から保水部材に水を供給するとともに、ハウジングの上面に設置した送風機によりハウジング下部から空気を注入させて給水した水を気化させることで、冷媒回収ボンベを冷却している。
【0004】
また、特開2020-180746号公報(特許文献2)には、測定した回収装置の温度に基づいて噴霧ノズルから噴霧する水量を制御し、噴霧された水を含有した空気を、回収ボンベに向けて送風ファンが送風する冷却装置で回収ボンベを冷却する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5221321号公報
【文献】特開2020-180746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された冷却装置の技術は、保水部材中に空気を通過させて保水部材に保持された水を気化させる構成であり、通過させる空気の流速を十分高めることができないため、気化による回収ボンベ冷却の効率に関し未だ改善の余地があった。また、特許文献2に記載された冷却装置の技術は、噴霧した水の一部が回収ボンベ底部に当たるような構成であり、このような水は気化されることなく滴り落ちることがある。このため、特許文献2に記載された冷却装置の技術においても、気化による回収ボンベ冷却の効率に関し未だ改善の余地があった。
【0007】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、回収ボンベの外壁に供給される水を好適に気化させて回収ボンベを効率よく冷却することができる冷却装置および冷媒回収システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る冷却装置は、冷媒を回収する回収ボンベを冷却する。冷却装置は、保水部材と、給水装置とを備える。保水部材は、回収ボンベの外壁に接して配置され、水を吸収して保持する。給水装置は、保水部材に水を供給する。給水装置は、回収ボンベの外壁に沿って配置された給水経路を含む。給水経路は、回収ボンベの周囲に円状に配置された複数の位置から水を供給する。
【0009】
本開示に係る冷媒回収システムは、冷却装置と、冷媒を使用する空調機と、回収ボンベと、回収装置とを備える。回収装置は、空調機から引き出した冷媒ガスを液化して回収ボンベに送る。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、回収ボンベの外壁に供給される水を好適に気化させて回収ボンベを効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る冷媒回収システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る冷却装置の詳細構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る給水経路での給排水と送風部からの送風との関係を説明する図である。
図4】第2実施形態に係る給水経路での給排水と送風部からの送風との関係を説明する図である。
図5】第2実施形態に係る給水経路と回収ボンベの外径との関係を説明する図である。
図6】第2実施形態に係る給水経路と回収ボンベの外径との関係を説明する図である。
図7】第3実施形態に係る給水経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る冷媒回収システム10について説明する。図1は、第1実施形態に係る冷媒回収システム10の全体構成の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、冷媒回収システム10は、空調機20と、回収装置30と、回収ボンベ50とを備える。冷媒回収システム10は、空調機20の冷媒を回収ボンベ50に回収する。
【0015】
さらに、冷媒回収システム10は、冷却装置100を備える。冷却装置100は、保水部材80と、給水装置70と、送風部78と、重量計60と、保水部材80とを含む。冷媒回収システム10は、冷却装置100により回収ボンベ50を冷却する。
【0016】
本実施の形態においては、空調機の一例として空調機20を例示している。空調機は、冷媒を用いて、対象空間の冷却または加熱を行う装置である。空調機は、たとえば、ビル、家屋等の建築物、あるいは、車両、船舶、エレベータ等の移動体等の内部空間を冷却または加熱する装置がある。空調機には、冷凍庫や冷凍式ショーケースなど、対象空間を氷点下に冷却する装置も含まれる。空調機は、空調機内部に循環する冷媒を通じて熱交換を行う。空調機の冷媒としては、いわゆるフロン類や、フロン類に代わるノンフロン冷媒などを例示することができる。
【0017】
回収装置30は、空調機20から冷媒を回収するための装置である。空調機20がビルなどに取り付けられた状態で冷媒の回収を行う際には、作業者は、通常、回収装置30を空調機20の室外機に接続した上で冷媒を回収する。作業者は、回収装置30が備えるチューブ32a、32bをそれぞれ空調機20と回収ボンベ50に接続して、冷媒の回収を行う。なお、回収装置30は、空調機以外の装置から冷媒を回収するようにしてもよく、回収装置30と接続するのは、冷媒を利用する何らかの装置であればよい。
【0018】
チューブ32aは、回収装置30と空調機20とを接続する中空形状の部品である。チューブ32aは、空調機20の内部の冷媒を、回収装置30に向けて送出する経路となっている。チューブ32aを流れる冷媒は、通常、気体の状態である。
【0019】
チューブ32bは、回収装置30と回収ボンベ50とを接続する中空形状の部品である。チューブ32bは、回収装置30から流れ出る冷媒を回収ボンベ50に送出する経路となっている。チューブ32bを流れる冷媒は、通常、液体の状態である。
【0020】
回収装置30は、冷媒の輸送を行う冷媒回収ポンプと、冷媒を冷却して液化するための熱交換器とを備える(いずれも図示せず)。冷媒回収ポンプは、チューブ32aを通じて空調機20から気体の冷媒を吸引するとともに、吸引した冷媒を圧縮して、熱交換器に送出する。冷媒回収ポンプが冷媒を圧縮した場合、冷媒は高温高圧化する。熱交換器は、冷媒回収ポンプから流れ込む高温高圧の冷媒の熱を外部に放出し、冷媒を冷却することで、冷媒を液化する。たとえば、外気を送風するファンによる送風により熱交換器が冷却され、冷媒の液化が促進される。
【0021】
また、回収装置30は、回収装置30の各種制御を行う回収装置制御部(図示なし)を備える。回収装置制御部は、回収ボンベ50、重量計60、冷却装置100と通信可能に構成される。回収装置制御部は、作業者の指示あるいは所定のプログラミングに従って、冷媒回収ポンプや冷却装置100の起動、停止、出力変更等を行う。
【0022】
回収ボンベ50は、作業者によって持ち込まれる冷媒回収用の耐圧容器である。回収ボンベ50としては、様々なサイズのものを用いることができる。例えば、回収ボンベ50としては、持ち運びが容易な20kg用のものを用いることができる。また他の例としては、小容量の10kg用、あるいは、大容量の40kg用、100kg用などが挙げられる。空調機20の冷媒量に比べて回収ボンベ50の容量が小さいときは、複数の回収ボンベ50を交換して使用することになる。
【0023】
このように、回収装置30は、空調機20から冷媒ガスを引き出し、引き出した冷媒ガスを液化して回収ボンベ50に送る。これにより、回収ボンベ50は、空調機20の冷媒を回収する。
【0024】
重量計60は、回収ボンベ50の重量を計測する装置である。重量計60は、計測した重量を回収装置30に送信する。あるいは、重量計60に設けられた表示部に計測した重量を表示するようにしてもよい。これにより、作業者は、回収冷媒量を把握することができる。
【0025】
回収ボンベ50では、冷媒を加圧して充填するため、充填中に高温化して冷媒の充填速度が低下し、回収効率が悪化する。このような回収効率の悪化を防ぐため、冷却装置100は、回収ボンベ50を冷却している。
【0026】
上述のように、冷却装置100は、保水部材80と、給水装置70と、送風部78と、重量計60とを含む。給水装置70は、回収ボンベ50に水を供給する装置である。
【0027】
給水装置70は、水タンク72と、チューブ73と、ポンプ74と、給水経路76とを含む。水タンク72は、回収ボンベ50に供給される水を貯蔵する。ポンプ74は、水タンク72から水を吸引してチューブ73を介して給水経路76に水を供給する。
【0028】
給水経路76は、回収ボンベ50の外壁に沿って配置されている。給水経路76は、回収ボンベ50の周囲に円状に配置された複数の位置から水を供給する。具体的には、給水経路76は、水を供給する複数の供給口77a~77fを有する。そして、複数の供給口77a~77fから、保水部材80に水が供給される。詳しくは、図3を用いて後述する。
【0029】
保水部材80は、回収ボンベ50の外壁に接して配置され、水を吸収して保持する。このようにして、給水装置70は、保水部材80に対して水を供給する。送風部78は、プロペラを回転させることで送風を行う装置である。送風部78は、回収ボンベ50に向けて送風する(風を送る)。
【0030】
回収ボンベ50は、円筒形状を有する。回収ボンベ50は、その外壁に接して保水部材80が配置されている。図示した例では、保水部材80が配置された箇所は、回収ボンベ50は円筒形状を有しており、その上下は丸みを帯びた形状になっている。
【0031】
回収ボンベ50は、底面部51を有する。回収ボンベ50を使用する際には、底面部51が地面あるいは重量計60に接するように設置する。給水経路76は、底面部51から離れた上部側に配置されている。
【0032】
保水部材80は、水を吸収して保持する部材である。保水部材80は、薄いタオルのような、撥水性のある部材である。複数の供給口77a~77fから供給された水は、回収ボンベ50の外壁に接して配置された保水部材80に保持される。
【0033】
上述のように、送風部78は、空気を回収ボンベ50に向けて送風する。空気の送風によって保水部材80に保持された水の気化を促進し、保水部材80に保持された水の気化熱によって回収ボンベ50を冷却させることができる。
【0034】
図2は、第1実施形態に係る冷却装置100の詳細構成を示す図である。図2に示すように、冷却装置100は、制御部110を含む。
【0035】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113とを有する。
【0036】
制御部110は、冷却装置100全体を総括的に制御する。制御部110は、ROM112に格納されているプログラムをRAM113に展開して実行する。ROM112は、冷却装置100の処理手順が記されたプログラムを格納する。
【0037】
RAM113は、制御部110がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。また、制御部110は、不揮発性の記憶装置を備えてもよい。記憶装置は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。
【0038】
冷却装置100は、回収装置30と通信可能に構成される。本実施の形態においては、冷却装置100は、回収装置30からの指令(たとえば、通信コマンドの送信)に基づき動作する。たとえば、作業者が回収装置30を動作させたときに、回収装置30が冷却装置100を動作させるように、回収装置30から冷却装置100に対して指令を送信する。また、作業者が冷却装置100を直接動作させるような構成であってもよい。
【0039】
制御部110は、ポンプ74を駆動して水タンク72に入った水を、回収ボンベ50の外壁に接して配置された保水部材80に対して供給するように制御する。制御部110は、送風部78を駆動して回収ボンベ50に向けて送風するように制御する。本実施の形態においては、送風部78からの単位時間あたりの送風量は一定である。給水装置70からの単位時間あたりの給水量も一定である。
【0040】
図3は、第1実施形態に係る給水経路76での給排水と送風部78からの送風との関係を説明する図である。図3は、回収ボンベ50を上から見た図である。図3に示すように、保水部材80は、回収ボンベ50の外壁に接して配置されている。
【0041】
給水経路76は、回収ボンベ50の外壁に沿って配置されている。給水経路76は、回収ボンベ50の周囲に円状に配置され、水を供給する複数の供給口77a~77fを有する。複数の供給口77a~77fは、回収ボンベ50および保水部材80のいずれかに接するように配置されている。
【0042】
送風部78は、空気を回収ボンベ50に向けて一方向に送風する。図3においては、送風部78から矢印の方向に送風されている。なお、送風部78は、空気を回収ボンベ50に向けて一方向かつ水平方向に送風することが望ましい。送風部78は、送風部78のファンの駆動により発生する風の流れの方向が水平方向になるように設置する。ただし、保水部材80に保持された水に対して効率よく送風できる方向であれば、水平方向以外の方向に送風するようにしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態においては、給水経路76に水を供給する入口は、送風部78により送られる風(送風部78からの送風)の風上側に位置するように設置されている。
【0044】
図のチューブ73と給水経路76との結合部分が、給水経路76に水を供給する入口である。この入口(供給口77aの近傍)は、送風部78からの送風の風上側に位置する。一方で、供給口77eは、送風部78からの送風の風下側に位置する。
【0045】
この給水経路76のうち、送風部78からの送風の風上側であり給水経路76に水を供給する入口付近(供給口77aの近傍)は、送風部78から送られる空気の風速が最も大きくなる箇所である。風速が大きい箇所では蒸発速度が大きくなるため、気化による回収ボンベ50の冷却効率が高くなる。
【0046】
一方で、供給口77e近傍のような送風部78からの送風の風下側では、送風部78から送られる空気の風速が小さくなってしまうため、気化による回収ボンベ50の冷却効率がよくない。このような理由から、送風部78からの送風の風下側よりも、送風部78からの送風の風上側の方に、より多くの水を供給した方が、回収ボンベ50の冷却効率が高くなる。
【0047】
本実施の形態においては、送風部78からの送風の風上側に位置する供給口77aは、送風部78からの送風の風下側に位置する供給口77eよりも開口面積が大きい。このようにすることで、送風部78からの送風の風上側により多くの水を供給することができるため、回収ボンベ50の冷却効率をより高めることができる。
【0048】
また、この給水経路76のうち、給水経路76に水を供給する入口に近い位置(たとえば、供給口77aの近傍)は、給水経路76に水を供給する入口に遠い位置(たとえば、供給口77eの近傍)よりも水圧が高くなる。
【0049】
水圧が低い位置よりも水圧が高い位置の方が、より多くの水を供給することができる。このため、給水経路76に水を供給する入口を、送風部78からの送風の風上側に位置するように設置することで、送風部78からの送風の風上側により多くの水を供給することができる。これにより、回収ボンベ50の冷却効率をより高めることができる。
【0050】
なお、上記のような構成に限らず、複数の供給口77a~77fの全ての開口面積が等しくなるような構成であってもよい。このような場合であっても、給水経路76に水を供給する入口を、送風部78からの送風の風上側に位置するように設置しさえすれば、回収ボンベ50の冷却効率をより高めることができる。
【0051】
以上説明したように、送風部78は回収ボンベ50に向けて送風し、給水経路76は回収ボンベ50の周囲に円状に配置された複数の位置から保水部材80に水を供給する。これにより、回収ボンベ50の外壁に供給される水を好適に気化させて回収ボンベ50を効率よく冷却することができる。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、給水経路76からの水の供給量の最も多い箇所が、送風部78からの送風の風上側に位置するように構成している。具体的な構成として、第1に、送風部78からの送風の風上側に位置する供給口77aの開口面積を、送風部78からの送風の風下側に位置する供給口77eの開口面積よりも大きくなるよう構成している。このようにすることで、より回収ボンベ50の冷却効率を高めることができる。第2に、給水経路76に水を供給する入口を、送風部78からの送風の風上側に位置するように構成している(風上側に位置する供給口77a近傍での水圧が最も高くなる)。このようにすることで、より回収ボンベ50の冷却効率を高めることができる。また、この場合、送風部78と水タンク72とを一体化して給水装置70を構成することができるため、搬送性や作業性に優れる。
【0053】
以上のように構成にすることで、回収ボンベ50に対して供給した水を回収ボンベ50から滴り落ちさせることを防ぎ、供給した水を極力気化させて回収ボンベ50の冷却に寄与させることができるため、節水効果も高くなる。さらに、供給する水が少なくて済むため、水タンク72のコンパクト化および低コスト化を実現することができるとともに、装置の運搬性や作業性が向上する。
【0054】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、冷却装置100は、給水経路として、複数の供給口77a~77fを有する給水経路76を備える。しかし、これに限らず、以下の図4図6を用いて説明する給水経路176を冷却装置100が備えるようにしてもよい。
【0055】
冷媒回収システム10において、給水経路が異なる以外は、第1実施形態と同じである。以下、第1実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0056】
図4は、第2実施形態に係る給水経路176での給排水と送風部78からの送風との関係を説明する図である。図4に示すように、給水経路176は、回収ボンベ50の外壁に沿って配置されている。
【0057】
給水経路176は、回収ボンベ50の周囲に円状に配置され、給水経路176全体の至るところからしみ出るように水が供給される。つまり、給水経路176において、給水経路76が水を供給する複数の位置は、給水経路176全体の至るところに存在する。
【0058】
また、給水経路176に水を供給する入口は、送風部78からの送風の風上側に位置するように設置されている。この点は、図3の例と同じである。図3の例と同様に、給水経路176に水を供給する入口付近は水圧が高いため、送風部78からの送風の風上側により多くの水を供給することができる。
【0059】
図3の例と同様、給水経路76に水を供給する入口を、送風部78からの送風の風上側に設置することで、より回収ボンベ50の冷却効率を高めることができる。
【0060】
図5および図6は、第2実施形態に係る給水経路176と回収ボンベ50の外径との関係を説明する図である。
【0061】
第2実施形態においては、給水経路176が水を供給する複数の位置は、回収ボンベ50の外径以下の円内にある。図5は、給水経路176を設置すべきでない位置を示す。図6は、給水経路176を設置すべき位置を示す。
【0062】
図5に示すように、回収ボンベ50の外径(円筒部分の外径を意味する)がR1であり、給水経路176aの外径がR2であり、R1はR2より小さいとする。第2実施形態においては、給水経路176a全体から水がしみ出る。このため、一部の水は、保水部材80に給水されることなく地面に落下してしまう。
【0063】
一方、図6に示すように、回収ボンベ50の外径(円筒部分の外径)がR1であり、給水経路176bの外径がR3であり、R3はR1以下であるとする。この場合、給水経路176bのどの位置から水がしみ出たとしても、給水経路176が水を供給する複数の位置は、回収ボンベ50の外径以下の円内にある。このため、全ての水は保水部材80に給水される。なお、R1は、保水部材80の厚みも含めた外径であってもよい。また、表面張力により、水が落下しない程度であれば、R3はR1より少し大きくても構わない。
【0064】
このように構成することで、回収ボンベ50に対して供給した水が地面に落下することなく、保水部材80に吸収させることができるため、供給した水を極力気化させて回収ボンベ50の冷却に寄与させることができる。
【0065】
[第3実施形態]
第1実施形態および第2実施形態においては、図1図6に示したように、冷却装置100は、給水経路76または給水経路176(176a、176b)を備える。しかし、これに限らず、冷却装置100は、図7を用いて説明する給水経路276を備えるようにしてもよい。
【0066】
冷媒回収システム10において、給水経路が異なる以外は、第1実施形態や第2実施形態と同じである。以下、第1実施形態や第2実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0067】
図7は、第3実施形態に係る給水経路276を説明する図である。第1実施形態や第2実施形態においては、給水経路76,176の形状は円状である。これに対して、図7に示すように、第3実施形態における給水経路276は、チューブ73から給水経路276に対して水が供給され、給水経路276は、複数の経路に分岐している。
【0068】
これらの複数の経路は、弾力性のある部材で構成され、回収ボンベ50に沿って配置される。そして、最終的に、円278に配置されたそれぞれの経路の供給口277から、保水部材80に対して水が供給される。
【0069】
また、第1実施形態と同様、送風部78からの送風の風上側に位置する供給口277の開口面積を、送風部78からの送風の風下側に位置する供給口277の開口面積よりも大きくなるように構成してもよい。また、第2実施形態と同様、円278の直径が回収ボンベ50の外径(円筒部分の外径)以下となるように構成してもよい。
【0070】
なお、供給口277に至るまでの経路の途中においても供給口を設けるようにして、この供給口からも水が供給されるようにしてもよい。たとえば、それぞれの経路の円279に接する位置において供給口を設けるようにしてもよい。
【0071】
[主な構成および効果]
以下、前述した実施の形態の主な構成および効果を説明する。
【0072】
(1) 冷却装置100は、冷媒を回収する回収ボンベ50を冷却する。冷却装置100は、保水部材80と、給水装置70とを備える。保水部材80は、回収ボンベ50の外壁に接して配置され、水を吸収して保持する。給水装置70は、保水部材80に水を供給する。給水装置70は、回収ボンベ50の外壁に沿って配置された給水経路76を含む。給水経路76は、回収ボンベ50の周囲に円状に配置された複数の位置から水を供給する。このように、給水経路76は回収ボンベ50の周囲に円状に配置された複数の位置から保水部材80に水を供給する。これにより、回収ボンベ50の外壁に供給される水を好適に気化させて回収ボンベ50を効率よく冷却することができる。
【0073】
(2) 冷却装置100は、送風部78をさらに備える。送風部78は、回収ボンベ50に向けて風を送る。給水経路76に水を供給する入口は、送風部78により送られる風の風上側に位置する。給水経路76に水を供給する入口付近は水圧が高いため、風速が大きく気化量の多い箇所に多くの水を供給することができる。これにより、より回収ボンベ50の冷却効率を高めることができる。
【0074】
(3) 給水経路76が水を供給する複数の位置は、回収ボンベ50の外径以下の円内にある。これにより、回収ボンベ50に対して供給した水が落下することなく、保水部材80に吸収させることができるため、供給した水を極力気化させて回収ボンベ50の冷却に寄与させることができる。
【0075】
(4) 給水経路76は、回収ボンベ50の周囲に円状に配置され、水を供給する複数の供給口77a~77fを有する。複数の供給口77a~77fは、回収ボンベ50および保水部材80のいずれかに接するように配置されている。これにより、回収ボンベ50に対して供給した水が落下することなく、保水部材80に吸収または回収ボンベ50に供給させることができるため、供給した水を極力気化させて回収ボンベ50の冷却に寄与させることができる。
【0076】
(5) 送風部78により送られる風の風上側に位置する供給口77aは、送風部78により送られる風の風下側に位置する供給口77eよりも開口面積が大きい。開口面積が大きい供給口からは、より多くの水が供給されるため、風速が大きく気化量の多い箇所に多くの水を供給することができる。これにより、より回収ボンベ50の冷却効率を高めることができる。
【0077】
(6) 冷媒回収システム10は、冷却装置100と、冷媒を使用する空調機20と、回収ボンベ50と、回収装置30とを備える。回収装置30は、空調機20から引き出した冷媒ガスを液化して回収ボンベ50に送る。これにより、回収ボンベ50の外壁に供給される水を好適に気化させて回収ボンベ50を効率よく冷却することができる。
【0078】
(7) 回収ボンベ50は、底面部51を有する。給水経路76は、底面部51から離れた上部側に配置されている。これにより、回収ボンベ50に対して供給した水が回収ボンベ50から滴り落ちることを防ぎ、供給した水を極力気化させて回収ボンベ50の冷却に寄与させることができる。
【0079】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
10 冷媒回収システム、20 空調機、30 回収装置、32a,32b チューブ、50 回収ボンベ、51 底面部、60 重量計、70 給水装置、72 水タンク、73 チューブ、74 ポンプ、76 給水経路、77,77a,77b,77c,77d,77e,77f,77g,77h 供給口、78 送風部、80 保水部材、100 冷却装置、110 制御部、111 CPU、112 ROM、113 RAM、176,176a,176b,276 給水経路、277 供給口、278,279 円。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7