(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】通信に用いるビームの選択を行う基地局装置、端末装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20241004BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20241004BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20241004BHJP
【FI】
H04W16/28
H04B7/06 950
H04W16/26
(21)【出願番号】P 2021143376
(22)【出願日】2021-09-02
【審査請求日】2023-08-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度総務省、「基地局端末間の協調による動的ネットワーク制御に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大詩
(72)【発明者】
【氏名】堅岡 良知
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩輔
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0167843(US,A1)
【文献】特開2015-099998(JP,A)
【文献】特開2017-028450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06,7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記基地局装置であって、
前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信し
て当該参照信号
が中継
されない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記端末装置へ通知する通知手段と、
前記中継装置に対して、前記第1の期間において前記中継装置が中継を中断し、前記第2の期間において前記中継装置が中継を行うべきことを、制御信号を送信することにより指示する指示手段と、
前記第1の期間及び前記第2の期間において前記参照信号を送信する送信手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記中継装置に、前記第1の期間を示す情報を通知する、ことを特徴とする請求項
1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記送信手段は、
前記第1の期間において、前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて異なる系列に基づく前記参照信号を送信し、
前記第2の期間において、前記第1の複数のビームと前記第2の複数のビームとの組み合わせのそれぞれにおいて異なる系列に基づく前記参照信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1から
2のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項4】
基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記端末装置であって、
前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信して前記中継装置が当該参照信号を中継しない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記基地局装置から受信する受信手段と、
前記情報に基づいて、前記第1の期間において前記参照信号を測定し、当該第1の期間において前記第1の複数のビームのいずれかで送信された前記参照信号の無線品質が所定の品質を上回った場合に、前記第2の期間において前記参照信号の測定を省略する測定手段と、
前記測定の結果を前記基地局装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項5】
前記測定手段は、前記第1の期間において前記第1の複数のビームのそれぞれで送信された前記参照信号の無線品質がいずれも前記所定の品質を上回らなかった場合に、前記第2の期間において前記参照信号の測定を実行し、その後の前記第1の期間における前記参照信号の測定を省略する、ことを特徴とする請求項
4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記測定手段は、
前記第1の期間において前記第1の複数のビームのいずれかで送信された前記参照信号の無線品質が第1の所定の品質を上回った場合に、前記第2の期間において前記参照信号の測定を省略し、
前記第1の期間において前記第1の複数のビームのそれぞれで送信された前記参照信号の無線品質がいずれも前記第1の所定の品質より低い第2の所定の品質を上回らなかった場合に、前記第2の期間において前記参照信号の測定を実行し、その後の前記第1の期間における前記参照信号の測定を省略し、
前記第1の期間において前記第1の複数のビームのそれぞれで送信された前記参照信号の無線品質がいずれも前記第1の所定の品質を上回らず、かつ、当該第1の複数のビームのいずれかで送信された前記参照信号の無線品質が前記第2の所定の品質を上回った場合、前記第1の期間及び前記第2の期間において前記参照信号の測定を実行する、
ことを特徴とする請求項
4に記載の端末装置。
【請求項7】
基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記基地局装置によって実行される制御方法であって、
前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信し
て当該参照信号
が中継
されない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記端末装置へ通知することと、
前記中継装置に対して、前記第1の期間において前記中継装置が中継を中断し、前記第2の期間において前記中継装置が中継を行うべきことを、制御信号を送信することにより指示することと、
前記第1の期間及び前記第2の期間において前記参照信号を送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記端末装置によって実行される制御方法であって、
前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信して前記中継装置が当該参照信号を中継しない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記基地局装置から受信することと、
前記情報に基づいて、前記第1の期間において前記参照信号を測定し、当該第1の期間において前記第1の複数のビームのいずれかで送信された前記参照信号の無線品質が所定の品質を上回った場合に、前記第2の期間において前記参照信号の測定を省略することと、
前記測定の結果を前記基地局装置へ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記基地局装置に備えられたコンピュータに、
前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信し
て当該参照信号
が中継
されない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記端末装置へ通知させ、
前記中継装置に対して、前記第1の期間において前記中継装置が中継を中断し、前記第2の期間において前記中継装置が中継を行うべきことを、制御信号を送信することにより指示させ、
前記第1の期間及び前記第2の期間において前記参照信号を送信させる、
ためのプログラム。
【請求項10】
基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記端末装置に備えられたコンピュータに、
前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信して前記中継装置が当該参照信号を中継しない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記基地局装置から受信させ、
前記情報に基づいて、前記第1の期間において前記参照信号を測定させて、当該第1の期間において前記第1の複数のビームのいずれかで送信された前記参照信号の無線品質が所定の品質を上回った場合に、前記第2の期間において前記参照信号の測定を省略させ、
前記測定の結果を前記基地局装置へ送信させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における中継伝送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信において、通信可能なエリアを拡大するために、無線リピータが用いられている。無線リピータは、受信した信号を増幅して(必要に応じて周波数変換して)送出することにより、例えば基地局装置が送信した信号を、より遠方やビル陰などの電波が届きにくいエリアに到達させることができる。
【0003】
基地局装置は、一般的に、複数のビームを形成して、エリア内の端末装置に対して十分に高速な通信サービスを提供するように構成されうる。この場合、無線リピータは、基地局装置によって形成された複数のビームのうちのいずれかで送信される信号を受信して送出する。一方、この場合に、無線リピータが無指向性アンテナで中継を行うと、中継による利得が不十分であることにより、エリア拡張効果が不十分になりうる。このため、無線リピータがそれぞれ異なる方向に向けられた複数のビームを形成して信号を中継することが想定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような、無線リピータが複数のビームを形成して電波を送出することができる場合、端末装置の通信の中継に適したビームを効率的に特定して使用することが重要である。また、端末装置の位置によっては、基地局装置が形成するビームを用いて直接通信する場合の方が、無線リピータを用いる場合より良好な通信品質を得られることも想定されうる。このため、基地局装置と端末装置との間の通信に中継装置を関与させるか否かを決定することも重要である。
【0005】
本発明は、それぞれ複数のビームを形成可能な基地局装置と中継装置とを含んだ無線通信システムにおいて、端末装置の通信に使用するビームを効率的に特定する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による基地局装置は、基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記基地局装置であって、前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信して当該参照信号が中継されない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記端末装置へ通知する通知手段と、前記中継装置に対して、前記第1の期間において前記中継装置が中継を中断し、前記第2の期間において前記中継装置が中継を行うべきことを、制御信号を送信することにより指示する指示手段と、前記第1の期間及び前記第2の期間において前記参照信号を送信する送信手段と、を有する。
【0007】
本発明の一態様による端末装置は、基地局装置と、端末装置と、少なくとも前記基地局装置が送信した信号をユーザデータの復号を行わずに前記端末装置へ中継することができる中継装置とを含んだ無線通信システムにおける前記端末装置であって、前記基地局装置が第1の複数のビームのそれぞれにおいて参照信号を送信して前記中継装置が当該参照信号を中継しない第1の期間と、前記基地局装置が前記参照信号を前記第1の複数のビームのそれぞれにおいて送信して前記中継装置が当該参照信号を第2の複数のビームのそれぞれにおいて中継する第2の期間と、を指定する情報を前記基地局装置から受信する受信手段と、前記情報に基づいて、前記第1の期間において前記参照信号を測定し、当該第1の期間において前記第1の複数のビームのいずれかで送信された前記参照信号の無線品質が所定の品質を上回った場合に、前記第2の期間において前記参照信号の測定を省略する測定手段と、前記測定の結果を前記基地局装置へ送信する送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、それぞれ複数のビームを形成可能な基地局装置と中継装置とを含んだ無線通信システムにおいて、端末装置の通信に使用するビームを効率的に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1の期間における測定の例を説明する図である。
【
図3】第2の期間における測定の例を説明する図である。
【
図4】第3の期間における測定の例を説明する図である。
【
図5】第2の期間における測定対象のビームの例を説明する図である。
【
図6】基地局装置、中継装置、端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図10】無線通信システムで実行される処理の第1の例を示す図である。
【
図11】無線通信システムで実行される処理の第2の例を示す図である。
【
図12】無線通信システムで実行される処理の第3の例を示す図である。
【
図13】無線通信システムで実行される処理の第4の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(通信システムの構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、基地局装置101と端末装置141との間の通信を中継装置121が中継する中継通信システムである。本無線通信システムでは、基地局装置101は複数のビーム111~113を形成して信号を送信し、中継装置121は、それらのビームのうちのいずれかのビームを介して受信した信号を中継する。なお、中継装置121は、例えば複数のアンテナを用いて、複数のビーム131~132を設定可能であり、受信された信号をその複数のビーム131~132の少なくともいずれかに向けて出力可能である。端末装置141は、基地局装置101が形成した複数のビーム111~113と、中継装置121が形成した複数のビーム131~132のいずれかを介して、基地局装置101と接続して通信を行う。なお、中継装置121は、一例において、無線リピータであり、受信した信号を増幅して出力するように構成される。中継装置121は、基地局装置101と端末装置141との間の信号を、ユーザデータの復号処理を行わずに転送するに過ぎず、このため、基地局装置101と端末装置141は、相互に直接接続している場合と同じ通信処理を行いうる。
【0012】
ここで、中継装置121が基地局装置101から送信された信号をそのまま中継するため、端末装置141は、その信号を受信した際に、中継装置121が関与しているか否かを認識することができない。そして、端末装置141は、受信した信号が、中継装置121によって形成されるビーム131~132のうちのいずれのビームで中継されたかを認識することもできない。このため、基地局装置101と端末装置141との間の通信が、中継装置121を介して行われるべきか、また、中継装置121を介して通信する場合に、複数のビーム131~132のうちのいずれのビームが使用されるべきかを特定することができない。これに対して、例えば、基地局装置101は、自装置が形成したビーム111~113と中継装置121が形成したビーム131~132との組み合わせのそれぞれに対して、それぞれ異なる系列に基づいて生成された参照信号を対応付けて送信しうる。すなわち、例えば
図1の例では、基地局装置101が形成した3つのビーム111~113と、中継装置121が形成した2つのビーム131~132とからなる、6通りのビームの組み合わせに対して、それぞれ異なる系列を用いて参照信号が生成され、対応するビームの組み合わせを用いてその参照信号が送信されるようにする。
【0013】
また、例えば、基地局装置101が形成したビーム111~113においてそれぞれ別の系列に基づいて生成された参照信号が送信され、その参照信号が中継装置121によって中継されないようにする期間を別途設け、その期間内に、端末装置141がビーム111~113から送信された参照信号を観測するようにしうる。すなわち、基地局装置101が複数のビームのそれぞれで参照信号を送信し、かつ、中継装置121がそれを中継しない第1の期間(時間区間)と、基地局装置101の複数のビームで参照信号が送信されて中継装置121の複数のビームでその参照信号が中継される第2の期間とが設けられるようにしうる。これによれば、端末装置141は、第1の期間において基地局装置101によって形成された複数のビームのそれぞれで送信された参照信号を受信してそれぞれの無線品質(例えば参照信号受信電力(RSRP)や参照信号受信品質(RSRQ))を測定しうる。そして、端末装置141は、それとは別に、第2の期間において、基地局装置101によって形成された複数のビームのそれぞれで送信され、中継装置121によって形成された複数のビームのそれぞれで中継された参照信号を受信して、ビームの組み合わせごとの無線品質を測定しうる。これにより、端末装置141は、基地局装置101が形成した複数のビームのいずれかを介して基地局装置101と直接通信する場合の無線品質と、中継装置121を介して通信する場合の無線品質とのいずれがより良好であるかを特定することができる。また、端末装置141は、中継装置121を介して通信する場合に、通信に使用するのに適した、基地局装置101が形成するビームと中継装置121が形成するビームとの組み合わせを、参照信号の生成に使用された系列によって特定することができる。
【0014】
ここで、第1の期間における参照信号の送信の流れの例について
図2を用いて、第2の期間における参照信号の送信の流れの例について
図3を用いて、それぞれ説明する。
図2及び
図3では、基地局装置101において参照信号が送信されるビームと中継装置121において信号が中継されるビームとを実線の太線で示している。また、基地局装置101が形成可能でかつ参照信号を送信しない状態のビームと中継装置121が形成可能でかつ信号を中継しない状態のビームとを、破線の細線で示している。
【0015】
図2に示すように、第1の期間においては、基地局装置101が、複数の形成可能なビーム111~113を時間的に切り替えながら、参照信号を送信する。なお、この参照信号は、各ビームに対してそれぞれ別個に割りてられた相互に異なる系列に基づいて生成される。これにより、端末装置141が参照信号を受信した際に、どのビームによって送信された参照信号であるかを特定することができる。なお、第1の期間においては、中継装置121は中継が行われない状態とされる。なお、このような状態を形成するために、本実施形態の基地局装置101は、第1の期間を指定して中継装置121に信号の中継を中断させるための指示を含んだ制御信号を送信することができるように構成される。同様に、中継装置121は、基地局装置101からの制御信号を受信可能に構成され、その制御信号に基づいて、第1の期間においては基地局装置101の通信の中継を停止するように構成される。このように、中継装置121における中継を停止することにより、第1の期間において端末装置141に到達する参照信号が基地局装置101から直接到達したものであることを確実にすることができる。この結果、基地局装置101が形成したビームによって端末装置141と基地局装置101との間の直接通信が行われる場合の無線品質を高精度に測定することができる。
【0016】
一方、
図3に示すように、第2の期間においては、中継装置121が中継を行う。例えば、基地局装置101が第1のビーム111で参照信号を送信し、中継装置121が形成可能なビーム131~132を時間的に切り替えながら、その参照信号を中継する。その後、基地局装置101が第1のビーム111から第2のビーム112や第3のビーム113に切り替えて参照信号を送信し、それらの参照信号を中継装置121が形成可能なビーム131~132を時間的に切り替えながら中継する。なお、基地局装置101は、一例において、自装置が形成する第1の複数のビームと中継装置121が形成する第2の複数のビームとの組み合わせのそれぞれについて異なる系列に基づいて参照信号を生成して、各ビームの組み合わせが用いられるタイミングで対応する参照信号を送信する。これによれば、端末装置141は、参照信号を受信した際に、基地局装置101が形成する第1の複数のビームと中継装置121が形成する第2の複数のビームとの組み合わせのうちのいずれでその参照信号が送信されたかを特定することができる。なお、第1の期間で送信される信号の生成に用いられる系列と、第2の期間で送信される信号の生成に用いられる系列は、少なくとも一部において重複していてもよいし、相互に重複しないように選択されてもよい。第1の期間と第2の期間とで同じ系列が使用されたとしても、期間の違いにより、中継装置121を介して端末装置141に到達したか否かを端末装置141が識別可能だからである。
【0017】
このようにして、端末装置141は、基地局装置101と直接通信する場合と、中継装置121を介して通信する場合とのそれぞれについての無線品質を測定することができ、基地局装置101は、その無線品質の測定結果に基づいて、端末装置141との通信に使用すべきビームを決定することができる。一例において、基地局装置101は、端末装置141との間での通信にビーム111とビーム132との組み合わせを使用すると決定し、実際に端末装置141との間で通信する際には、中継装置121がビーム132を使用するように、中継装置121へ制御信号を送信しうる。
【0018】
一方で、
図3に示すように、複数のビームの組み合わせのそれぞれについて測定を実行させる場合、端末装置141における測定のための処理負荷が大きくなりうる。すなわち、基地局装置101によって形成可能なビームの数がM個であり、中継装置121によって形成可能なビームの数がN個である場合、
図3の測定において、端末装置141は、M×N通りの参照信号を観測して、その無線品質の算出を行う必要がある。さらに、端末装置141は、
図2に示すような第1の期間において、M通りの参照信号の測定と無線品質の算出を行う必要がある。すなわち、端末装置141は、上述のような処理において、M+M×N通りの参照信号の測定と無線品質の算出を行う必要があることになる。
図2や
図3に示す例では、M=3及びN=2であるため、その処理負荷は高くない可能性があるが、基地局装置101が形成可能なビームの数は一般的に多数であり、また、中継装置121が形成可能なビームの数も多数となることが想定される。このため、端末装置141において受信される信号の測定に関する処理負荷を低減することが重要となる。
【0019】
本実施形態では、一例として、端末装置141が、上述の第1の期間において基地局装置101の複数のビーム111~113で送信された参照信号を直接受信して無線品質を測定した結果、それらのうちのいずれかのビームで送信された参照信号の無線品質が所定の無線品質を上回る場合、第2の期間の無線品質の測定処理を省略するようにする。すなわち、端末装置141は、基地局装置101から送信された信号を直接受信する場合に、その信号の無線品質が十分良好である場合には、中継装置121を介した参照信号の測定を行わないようにする。これによれば、基地局装置101が形成可能なビームの数だけ参照信号の測定と無線品質の算出を行えば足りるため、端末装置141における処理負荷を大幅に削減することができる。なお、この処理のために、第1の期間は、第2の期間に先立つ期間として設定されうる。なお、第1の期間と第2の期間とが反復的に設定され、端末装置141が繰り返し無線品質の測定処理を実行する場合は、第2の期間の後に第1の期間が設けられてもよい。この場合、端末装置141は、最初に到来した第2の期間において無線品質の測定処理を実行するが、その後の第1の期間の測定結果により、次に到来した第2の期間においては無線品質の測定処理を省略することができる。
【0020】
なお、端末装置141は、第1の期間における測定の結果、基地局装置101の複数のビーム111~113のそれぞれからの参照信号の無線品質がいずれも所定の無線品質を上回らなかった場合、それ以降の観測処理において、第1の期間での測定を省略するようにしてもよい。すなわち、基地局装置101の複数のビーム111~113から送信された参照信号をいずれも十分な無線品質で受信できなかった場合、端末装置141は、中継装置121を介した通信を行う必要があると判定して、その後は第2の期間でのみ無線品質の測定処理を実行するようにする。これは、第1の期間と第2の期間とが繰り返し設けられ、端末装置141が繰り返し測定を行う場合に有効である。すなわち、端末装置141は、最初に到来した第1の期間において無線品質の測定処理を実行するが、その第1の期間の測定結果により、次に到来した第1の期間においては無線品質の測定処理を省略することができる。例えば、無線品質の測定処理の反復回数がL回である場合、第1の期間の無線品質の測定処理を省略しない場合は、L×(M+M×N)回の無線品質の測定処理が行われるが、第1の期間の無線品質の測定処理を省略する場合は、M+L×M×N回の無線品質の測定処理が行われれば足りる。
【0021】
このように、端末装置141は、基地局装置101の複数のビーム111~113からの参照信号の測定結果に応じて、その後の測定処理の一部を省略することができ、無線品質の測定処理の処理負荷を低減することができる。なお、端末装置141は、第1の期間におけるビーム111~113のいずれかからの参照信号の無線品質が第1の所定品質を上回った場合には、第2の期間の無線品質の測定処理を省略し、第1の期間におけるビーム111~113のそれぞれからの参照信号の無線品質が、第1の所定品質より低い第2の所定品質をいずれも上回らなかった場合に、その後の第1の期間における無線品質の測定処理を省略し、その他の場合には第1の期間と第2の期間の両方における無線品質の測定処理を実行するようにしてもよい。すなわち、基地局装置101と直接通信する場合の無線品質が十分に高いわけではない場合、端末装置141が中継装置121を介して通信する場合の無線品質も測定するようにして、その測定結果に応じて、基地局装置101と端末装置141との間で直接通信が実行されるべきか、中継装置121を介して基地局装置101と端末装置141との間で通信が実行されるべきかが決定されるようにしてもよい。
【0022】
なお、基地局装置101は、端末装置141にこの処理を実行させるために、第1の期間と第2の期間とを指定する情報を端末装置141へ通知する。また、一例において、基地局装置101は、第1の期間において基地局装置101からの信号の中継を行わず、第2の期間において基地局装置101からの信号の中継を行うように中継装置121を制御するように構成されうる。例えば、基地局装置101は、第1の期間を指定して中継の停止を指示する情報を、中継装置121へ通知しうる。なお、中継装置121の設定は事前に決定されていてもよく、この場合、基地局装置101による設定が行われないように構成されうる。基地局装置101は、第1の期間及び第2の期間において、形成可能なビーム111~113のそれぞれを用いて順次参照信号(例えばセル固有参照信号)を送信する。端末装置141は、第1の期間と第2の期間とを指定する情報を取得すると、少なくとも第1の期間において参照信号を測定し、その測定結果に応じて、上述のように、必要に応じて第2の期間の測定やその後の第1の期間における測定を省略する。
【0023】
上述の例では、基地局装置101の複数のビーム111~113のそれぞれにおいて送信された参照信号の測定結果に応じて、端末装置141が、その後の無線品質の測定処理の一部を省略する処理について説明した。なお、これ以外の処理によって、無線品質の測定処理の一部が省略されるようにしうる。例えば、中継装置121が独自に参照信号を送信することが可能とすることによって、このような処理が実行可能である。
【0024】
この場合、上述のような第1の期間及び第2の期間の設定に加えて、中継装置121が独自に生成した(すなわち、基地局装置101から到来した第1の参照信号ではない)第2の参照信号を送信する第3の期間を設定する。基地局装置101は、端末装置141に対して、第1の期間と第2の期間に加えて、第3の期間を指定する情報を通知し、基地局装置101は、第1の期間と第2の期間とにおいて第1の参照信号を送信し、第3の期間においては第1の参照信号を送信しないようにしうる。なお、第3の期間においては、中継装置121が第1の参照信号を中継せずに第2の参照信号を送信するようにし、基地局装置101は第1の参照信号を送信し続けてもよい。ただし、この場合、第1の参照信号と第2の参照信号とが判別可能なように異なる系列に基づいて生成されるように構成される。基地局装置101は、中継装置121が各動作を実行するように制御するように構成されてもよい。すなわち、基地局装置101の制御により、中継装置121が、第1の期間において基地局装置101からの信号を中継せず、第2の期間において基地局装置101からの信号を中継し、かつ、第3の期間において第2の参照信号を独自に生成して送信するように構成されうる。一例において、基地局装置101は、第1の期間と第3の期間とを少なくとも示す情報を、中継装置121へ通知しうる。また、基地局装置101は、第2の期間を示す情報を中継装置121へ通知してもよい。なお、中継装置121は、例えば第1の期間、第2の期間及び第3の期間での制御がネットワーク事業者等によって事前に設定されることにより、基地局装置101によって制御されなくてもよい。
【0025】
ここで、第3の期間における参照信号の送信の流れの例について
図4を用いて説明する。
図4に示すように、第3の期間においては、中継装置121が、複数の形成可能なビーム131~132を時間的に切り替えながら、基地局装置101が送信する第1の参照信号とは異なる第2の参照信号を独自に送信する。このとき、基地局装置101は、第1の参照信号の送信を停止しうる。なお、上述のように、基地局装置101は、第1の参照信号の送信を継続してもよいが、中継装置121は、その第1の参照信号を中継せずに、第2の参照信号を送信するように構成されうる。なお、場合によっては、中継装置121は、第1の参照信号を中継しながら、第2の参照信号を送信するように構成されてもよい。第2の参照信号は、複数のビーム131~132のそれぞれについて異なる系列に基づいて生成され、端末装置141がこの第2の参照信号を受信した際に、どのビームによって送信されたかを特定することができるように構成される。また、第2の参照信号は、第1の参照信号とも異なる系列に基づいて生成され、又は、第1の参照信号とは異なる無線リソース(例えばリソースブロック内の異なるリソースエレメント)で送信されるなど、第1の参照信号と区別可能な形式で送信されてもよい。なお、第3の期間において第1の参照信号が送信されない場合は、第1の参照信号と第2の参照信号とが、その送信タイミングによって区別されるため、第1の参照信号の一部と同じ系列に基づいて生成され、リソースブロック内における第1の参照信号が配置されるリソースエレメントと同じリソースエレメントで、第2の参照信号が送信されてもよい。この第3の期間が設定されることにより、端末装置141は、中継装置121を介した通信において良好な無線品質を達成することができるか否かを判定することができる。
【0026】
端末装置141は、基地局装置101から、上述の第1の期間及び第2の期間を示す情報に加え、第3の期間を示す情報を取得する。そして、端末装置141は、第3の期間において、中継装置121から送信された第2の参照信号を受信し、その受信結果に基づいて第1の期間及び第2の期間における参照信号に基づく無線品質の測定処理を制限する。
【0027】
例えば、第3の期間において中継装置121の複数のビーム131~132のそれぞれから送信された第2の参照信号の無線品質がいずれも所定の品質を上回らない場合に、端末装置141は、第2の期間における測定を実行しないようにしうる。そして、端末装置141は、第1の期間において、基地局装置101の複数のビーム111~113のそれぞれにおいて送信された第1の参照信号を測定して、基地局装置101との直接通信のための測定を実行しうる。そして、端末装置141は、例えば、ビーム111~113の測定結果を基地局装置101へ通知して、基地局装置101は、その通知に基づいて端末装置141との通信に使用すべきビームを決定しうる。これによれば、基地局装置101によって形成されるビームの数がM個で、中継装置121によって形成されるビームの数がN個の場合、第2の期間におけるM×N個のビームの組み合わせに関する無線品質の測定処理が省略されることとなるため、第1の期間と第2の期間とにおけるM+N個のビームに関してのみ、参照信号に基づく無線品質の測定処理が実行されることとなる。
【0028】
また、第3の期間において中継装置121の複数のビーム131~132のいずれかから送信された第2の参照信号の無線品質が所定の品質を上回った場合、端末装置141は、第2の期間において測定を実行しうる。この場合、端末装置141は、中継装置121のビームのうち、対応する無線品質が所定の品質を上回るビームについてのみ、無線品質の測定処理を実行するようにする。例えば、中継装置121のビームのうちのビーム132について無線品質が所定の品質を上回っていた場合、第2の期間において参照信号が送信される基地局装置101のビームと中継装置121のビームとの組み合わせのうち、そのビーム132が使用される組み合わせのみが測定対象となる。この様子を、
図5に示す。
【0029】
端末装置141は、
図4のようにして送信されたビーム131~132で送信された第2の参照信号に基づいて無線品質を測定し、ビーム132の無線品質が所定の品質を上回っていると判定すると、
図5のように、ビーム132が使用される場合にのみ、基地局装置101から送信されて中継装置121によって中継された第1の参照信号に基づいて無線品質を測定する。
図5は、太線の点線によって測定対象のビームの組み合わせを示している。
図5に示すように、端末装置141は、第2の期間において、ビーム131が使用されるビームの組み合わせに関しての無線品質の測定処理を省略しうる。この場合、第3の期間における中継装置121のビームに関するM通りの測定と、第2の期間における基地局装置101のビームと中継装置121のビームに関して、中継装置121のビームが1通りに限定された結果のN通りの測定のみが行われれば足りるため、M+N通りの無線品質の測定のみが行われることとなる。なお、端末装置141は、第3の期間における測定に基づいて中継装置121のビームのうちの1つのみを特定しなければならないわけではなく、中継装置121が形成可能な複数のビームのうちの一部が特定されることにより、端末装置141における測定に関する処理負荷を低減することができる。なお、端末装置141は、例えば、第3の期間において、対応する無線品質が所定の品質を超えるビームが存在しなかった場合に、その無線品質が最良のビームを1つ選択して、第2の期間における測定を実行するようにしてもよい。なお、端末装置141は、第3の期間において、中継装置121が形成可能なビーム131~132のいずれかにおいて送信された参照信号の無線品質が所定の品質を上回る場合、第1の期間において基地局装置101の複数のビーム111~113で送出された第1の参照信号の測定を実行しないでもよい。すなわち、中継装置121を介した通信によって十分な品質が担保されると判定可能な状況においては、端末装置141は、基地局装置101との直接通信を行わないと判定してもよい。
【0030】
なお、一例において、上述のような処理の省略を効率的に行うために、第3の期間が第1の期間及び第2の期間に先立って設定されうる。ただし、これに限られず、第3の期間が第1の期間又は第2の期間の後に設定されてもよい。一例において、第1の期間の後に、第3の期間が設けられ、その後に第2の期間が設けられてもよい。また、第1の期間~第3の期間が周期的に設定されて、端末装置141がそれらの期間において無線品質の測定処理を実行する場合は、第3の期間が第2の期間の後に設定されてもよい。
【0031】
また、複数の閾値を用いた制御が行われてもよい。例えば、端末装置141は、第3の期間において中継装置121の複数のビーム131~132のうちのいずれかで送信された第2の参照信号の無線品質が第1の所定の品質を超える場合に、第2の期間において、その第1の所定の品質を超えるビームが用いられる組み合わせに関する無線品質の測定処理を行い、その他の組み合わせについての処理を省略する。一方、端末装置141は、第3の期間において中継装置121の複数のビーム131~132のそれぞれで送信された第2の参照信号がいずれも第1の所定の品質よりも低い第2の所定の品質を上回らなかった場合、中継装置121を介した通信の品質を担保できないと判定して、第2の期間における無線品質の測定処理を行わないようにしうる。そして、端末装置141は、第3の期間において中継装置121の複数のビーム131~132のうちのいずれかで送信された第2の参照信号の無線品質が第2の所定の品質を超える場合であって、その第2の参照信号のいずれもが第1の所定の品質を上回らなかった場合、第1の期間及び第2の期間において無線品質の測定処理を実行しうる。これにより、基地局装置101との直接通信と中継装置121を介する通信とのうち、良好な無線品質で通信を行うことができる方によって、基地局装置101と端末装置141との間の通信が行われるようにすることができる。なお、第3の期間において中継装置121の複数のビーム131~132のうちのいずれかで送信された第2の参照信号の無線品質が第2の所定の品質を超える場合であって、その第2の参照信号のいずれもが第1の所定の品質を上回らなかった場合、端末装置141は、第2の参照信号が第2の所定の品質を超える1つ以上のビームが用いられるビームの組み合わせにおいて、第2の期間における測定を行うようにし、他のビームの組み合わせについては測定を省略するようにしうる。
【0032】
(装置構成)
図6を用いて、基地局装置101、中継装置121、および端末装置141のハードウェア構成例について説明する。各装置は、一例において、プロセッサ601、ROM602、RAM603、記憶装置604、及び通信回路605を含んで構成される。プロセッサ601は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM602や記憶装置604に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM602は、各装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM603は、プロセッサ601がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置604は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路605は、例えば、LTEや5Gの無線通信用の回路を含んで構成される。なお、
図6では、1つの通信回路605が図示されているが、各装置は、複数の通信回路を有してもよい。
【0033】
続いて、基地局装置101、中継装置121、及び端末装置141の機能構成例について説明する。なお、各装置は、上述のような処理を実行するように構成され、それに対応する機能を有する。以下では、各機能を概説するにとどめ、上で説明した内容を繰り返さない。
【0034】
図7に基地局装置101の構成例を示す。基地局装置101は、その機能構成例として、例えば、期間設定通知部701、中継装置制御部702、参照信号送信部703、報告受信部704、及び使用ビーム決定部705を含んで構成される。なお、これらの機能は、例えば、プロセッサ601が、ROM602等に記憶されているプログラムを実行することによって実現されうる。ただし、これに限られず、少なくとも一部の機能が専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0035】
期間設定通知部701は、上述の第1の期間および第2の期間を示す情報であって、中継装置121が独自の参照信号を送信する場合には第3の期間を示す情報を、端末装置141へ通知する。中継装置制御部702は、例えば、第1の期間において中継を停止することを中継装置121へ通知することによって、中継装置121の動作を制御する。また、中継装置制御部702は、中継装置121へ第3の期間を示す情報を通知することによって、中継装置121が第3の期間において参照信号を独自に生成して送信するように指示しうる。参照信号送信部703は、少なくとも第1の期間及び第2の期間において参照信号を生成して、基地局装置101が形成可能な複数のビームのそれぞれで送信する。なお、参照信号送信部703は、基地局装置101が形成可能な複数のビームのそれぞれに対して異なる系列を用いて参照信号を生成し、その参照信号を対応するビームで送信するようにしうる。参照信号送信部703は、例えば、上述のように、時間の経過とともにビームを切り替えて参照信号を送信しうる。ただし、これに限られず、参照信号送信部703は、基地局装置101が形成可能な複数のビームのうちの2つ以上のビームにおいて、それぞれ対応する参照信号を並行して(同時に)送信してもよい。報告受信部704は、期間設定通知部701によって第1の期間~第3の期間の情報が通知された端末装置141から、各期間における無線品質の測定結果を示す情報を取得する。なお、この情報は、例えば、無線品質を示す情報とその無線品質がどの系列に対応するかを示す情報とが関連付けられた情報を含みうる。また、この情報は、例えば、所定の無線品質を超えて受信された参照信号が、どの系列に基づくかを示す情報であってもよい。この情報は、これ以外にも、端末装置141との通信にどのビームを使用するかを決定可能な任意の形式を有しうる。使用ビーム決定部705は、報告受信部704によって受信された情報に基づいて、端末装置141との通信に使用するビームを決定する。その後、使用ビーム決定部705は、端末装置141との間での通信を、その決定したビームを使用して実行する。
【0036】
図8に中継装置121の構成例を示す。中継装置121は、その機能構成例として、例えば、中継処理部801及び中継停止部802を含み、必要に応じて参照信号送信部803をさらに含んで構成される。なお、これらの機能は、例えば、プロセッサ601が、ROM602等に記憶されているプログラムを実行することによって実現されうる。ただし、これに限られず、少なくとも一部の機能が専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0037】
中継処理部801は、少なくともユーザデータの復号を伴わない非再生中継によって、基地局装置101から送信された信号を増幅して中継する。なお、中継処理部801は、例えば受信信号を複数のアンテナから送出するように構成され、その際に、複数のアンテナのそれぞれから出力される信号に対して所定の重み係数を乗じる(増幅/減衰および位相のシフトを行う)ことにより、複数の方向に向けたビームを形成して電波を送出することができるように構成される。中継処理部801は、基地局装置101から受信した無線信号を増幅して(場合によっては周波数変換して)、複数の形成可能なビームの少なくともいずれかを用いて送出する。中継停止部802は、例えば基地局装置101の制御により、中継を停止するように中継処理部801を制御する。例えば、中継停止部802は、第1の期間を指定する情報を基地局装置101から受信した場合に、その第1の期間において基地局装置101からの信号の中継を停止するように中継処理部801を制御する。例えば、第1の期間において、受信アンテナから入力された信号が中継処理部801へ入力されないようにし、又は、中継処理部801によって増幅された信号を送信アンテナから送出されないようにしうる。参照信号送信部803は、例えば上述の第3の期間が設定される場合に、その第3の期間の間に、中継装置121において設定可能な複数のビームのそれぞれに対応し相互に異なる系列を用いて参照信号を生成し、その参照信号を対応するビームで送信する。なお、参照信号送信部803が参照信号を送信する第3の期間の間に、基地局装置101からの信号の中継が停止されてもよい。その場合、中継停止部802は、第3の期間において中継を停止するように中継処理部801を制御しうる。
【0038】
図9に端末装置141の構成例を示す。端末装置141は、その機能構成例として、例えば、期間情報取得部901.測定処理部902、測定制限部903、及び測定結果通知部904を含んで構成される。なお、これらの機能は、例えば、プロセッサ601が、ROM602等に記憶されているプログラムを実行することによって実現されうる。ただし、これに限られず、少なくとも一部の機能が専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0039】
期間情報取得部901は、上述の第1の期間及び第2の期間の情報を取得し、第3の期間が設定される場合には、第3の期間の情報をも取得する。測定処理部902は、第1の期間~第3の期間のそれぞれにおける参照信号に基づく無線品質の測定処理を実行する。測定制限部903は、上述のように、例えば第1の期間や第3の期間における測定結果に基づいて、無線品質の測定処理を制限して、測定処理部902の負荷を低減するための処理を実行する。測定結果通知部904は、測定処理部902によって測定された無線品質に基づいて、基地局装置101が端末装置141との間の通信に使用すべきビームを特定可能とするための報告を基地局装置101へ提供する。
【0040】
(処理の流れ)
続いて、無線通信システムにおいて実行される処理の流れの例について説明する。以下に示す処理例は、本実施形態に係る代表的な処理の流れの例であり、上述のような様々な変更が可能であるが、その詳細についてはここでは繰り返さない。
【0041】
図10は、第1の処理例を示している。本処理例は、第1の期間と第2の期間とが設定され、第3の期間が設定されない場合の例を示している。本処理例では、まず、基地局装置101が、端末装置141へ、第1の期間と第2の期間との設定を通知する(S1001)。また、基地局装置101が中継装置121を制御する場合、基地局装置101は、中継装置121へ、少なくとも第1の期間を示す情報を中継装置121へ通知する(S1002)。その後、第1の期間において、中継装置121は、中継を停止する(S1003)。また、基地局装置101は、複数のビームのそれぞれに対応する系列に基づいて生成された参照信号を、対応するビームを用いて送信する(S1004)。端末装置141は、このビームを測定する。
【0042】
ここで、端末装置141は、S1004において、いずれかのビームにおける参照信号の無線品質が所定の品質を上回っていると判定したものとする。この場合、端末装置141は、基地局装置101との直接通信によって十分に高品質な通信を実行可能であると判定することができる。このため、第2の期間において、中継装置121が中継を再開し(S1005)、基地局装置101が送信した参照信号を中継装置121が中継する(S1006)が、端末装置141は、その参照信号の測定を省略する(S1007)。端末装置141は、中継装置121を介さずに、基地局装置101と直接通信することにより十分な無線品質での通信が可能であるため、中継装置121を介した通信に関する無線品質を測定する必要がないからである。このように、本処理例の端末装置141は、第2の期間における無線品質の測定処理を実行する必要がなくなるため、測定処理に関する処理負荷を大幅に削減することができる。
【0043】
一方、端末装置141は、S1004において、対応する参照信号の無線品質が所定の品質を上回るビームが存在しない場合、
図11に示すように、第2の期間における無線品質の測定を実行する。一方で、この場合、端末装置141は、基地局装置101と直接通信する場合に十分な無線品質を得ることができないと判定することができる。このため、端末装置141は、その後に再度到来する第1の期間においては、無線品質の測定を省略する(S1101)。これにより、測定処理に関する処理負荷を削減することができる。
【0044】
次に、第3の期間を設けて、中継装置121が独自に参照信号を生成して送信する場合の処理の流れの例について、
図12及び
図13を用いて説明する。本処理では、まず、基地局装置101が、端末装置141へ、第1の期間と第2の期間に加えて、第3の期間の設定を通知する(S1201)。また、基地局装置101が中継装置121を制御する場合、基地局装置101は、中継装置121へ、少なくとも第1の期間及び第3の期間を示す情報を中継装置121へ通知する(S1202)。なお、ここでは、最初に第3の期間が設定され、その後に、第1の期間及び第2の期間が設定されたものとする。
【0045】
端末装置141は、第3の期間において、中継装置121の複数のビーム131~132のそれぞれから送信された参照信号を受信する(S1203)。ここで、端末装置141は、ビーム132からの参照信号の無線品質が所定の品質を上回り、ビーム131からの参照信号の無線品質が所定の品質を上回らなかったと判定したものとする。この場合、端末装置141は、中継装置121を介して基地局装置101と通信することにより良好な無線品質を得ることができるため、基地局装置101との間での直接通信に関する無線品質を知る必要がない。このため、端末装置141は、第1の期間において、基地局装置101から直接送信される参照信号の測定を省略しうる(S1204)。これにより、端末装置141は、参照信号の測定処理の処理負荷を低減することができる。なお、端末装置141は、第1の期間における測定を実行し、基地局装置101と直接通信した場合に良好な無線品質を得ることができるかを判定してもよい。また、端末装置141は、第2の期間において、対応する参照信号の無線品質が所定の品質を上回らなかったビーム131に関する測定を省略しうる(S1205)。ビーム131から送信された参照信号を十分な無線品質で受信できない場合は、ビーム131によって中継された参照信号も十分な無線品質で受信できないことが想定されるからである。このようにして、端末装置141は、第2の期間における測定対象を減らすことができ、参照信号の測定処理の処理負荷を低減することができる。
【0046】
一方で、端末装置141は、第3の期間における測定の結果、ビーム131及びビーム132からそれぞれ送信された参照信号の無線品質が所定の品質を上回らなかったと判定した場合、端末装置141は、第1の期間における測定を実行して、基地局装置101と直接通信する場合の無線品質を特定する。一方、端末装置141は、中継装置121を介した通信では十分な無線品質を得られないと判定することができるため、第2の期間における中継装置121による中継を伴う参照信号の測定を省略する(S1301)。このようにして、参照信号の測定処理の処理負荷を大きく低減することができる。
【0047】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。