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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ロック可能モジュール式接続装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/06 20060101AFI20241004BHJP
   F16C 11/08 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16C11/06 B
F16C11/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021538931
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 FR2019052184
(87)【国際公開番号】W WO2020058636
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】1858408
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517310463
【氏名又は名称】アリアングループ・エス・ア・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ルボルニュ
(72)【発明者】
【氏名】エリク・オギュイ
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第97/041361(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011000805(DE,A1)
【文献】国際公開第97/037144(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03098463(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00-11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの別々の部品間のロック可能モジュール式接続装置であって、前記ロック可能モジュール式接続装置(1)は、前記部品(E1、E2)のうちの一方の部品(E1)に接続されることが意図された第1の要素と、前記部品(E1、E2)のうちの他方の部品(E2)に接続されることが意図された第2の要素と、を含み、
前記第1の要素は、全体的に球形状の玉継手(3)に堅固に接続されたロッド(2)を含み、前記第2の要素は、前記玉継手(3)が配置される中空のハウジング(4)を含み、前記ハウジング(4)は、全体的に前記玉継手(3)に適合し、前記ロッド(2)が横切る開口部(4B)を備え、前記ロック可能モジュール式接続装置(1)はまた、互いに向かい合う前記ハウジング(4)の内側面(8)と前記玉継手(3)の周囲面(7)との間の内側空間(5)と呼ばれる空間と、前記ハウジング(4)と前記玉継手(3)との間に配置されたロック要素(6)と、を含み、前記玉継手(3)および前記ハウジング(4)のうちの少なくとも一方には、前記玉継手の前記周囲面(7)の少なくとも一部分または前記ハウジング(4)の前記内側面(8)の少なくとも一部分にそれぞれパターン(10、15)が設けられており、前記ロック要素は、前記内側空間(5)の全体を充填する硬化材料からなり、これに対して前記パターン(10、15)が止め具を形成して、前記玉継手(3)を前記ハウジング(4)内の固定された位置に保持することを特徴とする、
ロック可能モジュール式接続装置。
【請求項2】
前記玉継手(3)には、その前記周囲面(7)の少なくとも一部分に、パターン(10)が設けられる、
請求項1に記載のロック可能モジュール式接続装置。
【請求項3】
前記ハウジング(4)には、その前記内側面(8)の少なくとも一部分に、パターン(15)が設けられる、
請求項1または2に記載のロック可能モジュール式接続装置。
【請求項4】
前記玉継手(3)の前記周囲面(7)の前記パターン(10)および前記ハウジング(4)の前記内側面(8)の前記パターン(15)は、相補的である、
請求項2または3に記載のロック可能モジュール式接続装置。
【請求項5】
前記ハウジング(4)には、前記内側空間(5)にアクセスするための少なくとも1つの充填穴(9)が設けられる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のロック可能モジュール式接続装置。
【請求項6】
前記ロック要素(6)は、ポリマーで作られる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のロック可能モジュール式接続装置。
【請求項7】
前記ハウジング(4)は、以下の材料:金属材料、ポリマー材料、複合材料、セラミック材料のうちの1つで作られる、
請求項1から6のいずれか一項に記載のロック可能モジュール式接続装置。
【請求項8】
前記ロッド(2)および前記玉継手(3)は、以下の材料:金属材料、ポリマー材料、複合材料、セラミック材料のうちの1つで作られる、
請求項1から7のいずれか一項に記載のロック可能モジュール式接続装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のロック可能モジュール式接続装置を製造するための方法であって、
前記ロック可能モジュール式接続装置が、積層造形タイプのものであることを特徴とする、
方法。
【請求項10】
請求項1から4および請求項6から9のいずれか一項に記載の2つの別々の部品間のロック可能モジュール式接続装置をロックするための方法であって、前記ハウジング(4)には、前記内側空間(5)にアクセスするための少なくとも1つの充填穴(9)が設けられ、
前記方法が、
- 相対的な角度方向付けのステップ(S1)であって、前記第1の要素のロッド(2)が、前記2つの別々の部品(E1、E2)間の前記相対的な角度方向付けに一致させるように回転するステップと、次に、
- 前記ロック要素(6)を形成することが意図された流体材料で前記内側空間(5)の全体を充填する充填ステップ(S2)であって、前記流体材料は、前記ハウジング(4)に設けられている前記少なくとも1つの充填穴(9)を介して導入される、充填ステップ(S2)と、
- 前記流体材料を硬化させることによって前記ロック要素(6)を形成するステップ(S3)であって、これにより前記ロック要素(6)は前記2つの別々の部品(E1、E2)間の前記相対的な角度方向付けをロックする、ステップ(S3)と、
を含むことを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの別々の部品間のロック可能モジュール式接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排他的にではないが、本発明は、さらに具体的には宇宙船設備に適用可能である。
【0003】
このような適用では、接続装置は、宇宙船設備の2つの部品間に装着されることが意図され、これらの2つの部品は、互いに対して所与の角度方向を有することができる。
【0004】
宇宙船が動き得る環境に起因して、接続装置は、別々の部品を互いに対して適切な角度で機械的に固定するのを確実にすると共に、熱応力に耐えることができなければならない。
【0005】
この種の機能を果たすことが意図される接続要素が知られている。しかしながら、宇宙船設備のアイテムは、部品の対ごとに異なる角度方向を有することができる複数対の部品を含む。したがって、各対の部品に特定の接続要素を使用するのは概して一般的な慣例である。
【0006】
したがって、この決まりきった解決策は、多数の接続要素を必要とし、これは、製造および使用に費用がかかることが分かる。
【0007】
したがって、この決まりきった解決策は、想定される適用には十分に満足のいくものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、これらの欠点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2つの別々の部品間のロック可能モジュール式接続装置に関し、ロック可能モジュール式接続装置は、部品のうちの一方に接続される第1の要素と、部品のうちの他方に接続される第2の要素と、を含む。
【0010】
第1の要素は、全体的に球形状の玉継手に堅固に接続されたロッドを含み、第2の要素は、前記玉継手が配置される中空のハウジングであり、ハウジング全体は、玉継手に適合し、ロッドが横切る開口部を備え、前記接続装置はまた、互いに向かい合うハウジングの内側面と玉継手の周囲面との間の内側空間と呼ばれる空間と、ハウジングと玉継手との間に配置されたロック要素と、を含む。
【0011】
玉継手およびハウジングのうちの少なくとも一方には、玉継手の周囲面の少なくとも一部分またはハウジングの内側面の少なくとも一部分にそれぞれパターンが設けられる。
【0012】
さらに、ロック要素は、前記内側空間の全体を充填する硬化材料からなり、これに対して前記パターンが止め部を形成して、前記玉継手を前記ハウジング内の固定された位置に保持する。
【0013】
よって、本発明により、前記第1の要素と第2の要素との間の協働によって生じた玉継手タイプの接続を介して2つの部品間に必要とされる相対的な角度位置に適応し、そしてロック要素およびパターンを使用してその同じ位置をロックするための、接続装置が得られる。
【0014】
さらに、この接続装置は、互いに接続される各対の部品の特殊性を事前に考慮する必要無く、大量に製造され得る。このことは、接続装置の製造および組立ての単純化をもたらし、製造および使用のコストを削減するのに役立つ。
【0015】
本発明の範囲内において、
- 用語「ロック可能」は、玉継手およびロッドから形成された第1の要素の、ハウジングによって形成された第2の要素に対する、あらゆる動きを妨げる可能性を指し、
- 用語「モジュール式」は、互いに対して所与の角度方向を有する2つの部品間の角度位置を選択する可能性を指す。
【0016】
好ましくは、前記パターンのうちいくつかのパターンは、玉継手の周囲面の少なくとも一部分に配置される。
【0017】
好ましくは、前記パターンのうちいくつかのパターンは、ハウジングの内側面の少なくとも一部分に配置される。
【0018】
好ましい一実施形態では、玉継手の周囲面のパターンとハウジングの内側面のパターンとは相補的である。
【0019】
有利には、ハウジングには、内側空間にアクセスするための少なくとも1つの充填穴が設けられる。
【0020】
さらに、ロック要素は好ましくはポリマーで作られる。
【0021】
さらに、ハウジングは、好ましくは、以下の材料:金属材料、ポリマー材料、複合材料、セラミック材料のうちの1つで作られる。
【0022】
好ましくは、ロッドおよび玉継手は、好ましくは、以下の材料:金属材料、ポリマー材料、複合材料、セラミック材料のうちの1つで作られる。
【0023】
本発明は、積層造形(additive layer manufacturing)(すなわちALM)タイプのものである点で優れた、前に明記したようなロック可能モジュール式接続装置を製造するための方法にも関する。
【0024】
さらに、本発明は、前に明記したようなロック可能モジュール式接続装置をロックするための方法にも関する。
【0025】
本発明によると、このロック方法は、
- 第1の要素と第2の要素との間の角度方向を介した、2つの部品間の相対的な角度方向付けのステップと、次に、
- ロック要素を形成することが意図された流体材料で内側空間の全体を充填する充填ステップであって、流体材料は、ハウジングに設けられている前記少なくとも1つの充填穴を介して導入される、充填ステップと、
- 流体材料を硬化させることによってロック要素を形成するステップであって、これにより、ロック要素は2つの部品間の相対的な角度方向をロックする、ステップと、を含む。
【0026】
添付図面は、本発明が実現され得る方法の明確な理解を確実にする。これらの図面では、同一の参照符号は同様の要素を示す。さらに具体的には以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】好適な一実施形態による接続装置の概略斜視図である。
図2a】1つの角度位置にある接続装置の一部分の概略斜視図である。
図2b】異なる角度位置にある接続装置の一部分の概略斜視図である。
図3a】あるパターンを備えた、接続装置の玉継手の概略斜視図である。
図3b】異なるパターンを備えた、接続装置の玉継手の概略斜視図である。
図3c】異なるパターンを備えた、接続装置の玉継手の概略斜視図である。
図3d】異なるパターンを備えた、接続装置の玉継手の概略斜視図である。
図4a】正面から見た、接続装置のハウジングの概略長手方向断面図である。
図4b】斜めに見た、接続装置のハウジングの概略長手方向断面図である。
図5a】第1および第2の要素上にパターンが無い場合に接続装置に作用することができる力の概略長手方向断面図である。
図5b】第1および第2の要素上にパターンがある場合に接続装置に作用することができる力の概略長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1の実施形態において概略的に示される、ロック可能モジュール式接続装置1(以下、「接続装置1」)は、2つの別々の機械的部品E1およびE2間を接続することが意図されている。このロック可能モジュール式接続装置1は、部品のうちの一方E1に接続されることが意図された第1の要素と、他方の部品E2に接続されることが意図された第2の要素と、を含む。これらの部品E1およびE2は、図1では部分的に、かつ非常に概略的に示されている。
【0029】
図1に示すように、第1の要素は、第1の端部2Aによって部品E1に堅固に接続された細長い形状のロッド2と、ロッドの第1の端部2Aの反対側の第2の端部2Bによってロッド2に堅固に接続された玉継手3と、を含む。
【0030】
玉継手3は、中空のハウジング4内に配置される。前記第2の要素を示すハウジング4は、玉継手3の形状に適合する。さらに、ハウジング4は、基部4Aによって部品E2に堅固に接続される。ハウジング4はまた、ハウジング4の基部4Aと反対になるように配置された開口部4Bを備える。開口部4Bは、ロッド2により横切られる。
【0031】
以下の説明では、接続装置1と関連付けられ、玉継手3の中心に対応する中心Oと、3つの直交する軸、すなわち、ロッド2に沿って方向付けられた1つのいわゆる長手方向軸X、ならびに正中面XYおよび横断面YZを画定する2つの中央軸Yおよび横軸Zと、に従って定義される、基準Rが使用される。明確にする目的で、基準Rは、図1図2a、および図2bにおいて接続装置1のそばに示される。さらに、形容詞「内側の」および「周囲の」は、半径方向に関して、中心Oから長手方向軸X、中央軸Y、および横軸Zのうちのいずれか1つに沿って、それぞれ中心Oに向かって、ならびに、玉継手3の外側に向かって、定義される。
【0032】
図1図2a、および図2bに示される好適な一実施形態では、玉継手3は、全体的に球形状のものである。玉継手3は、ハウジング4の内側面8に面する、周囲面7を備える。接続装置1は、ハウジング4の内側面8と玉継手3の周囲面7との間に内側空間5をさらに含む。
【0033】
玉継手3の形状にハウジング4が適合することで、玉継手3は、3つの長手方向軸X、中央軸Y、および横軸Zを中心とした回転運動を行うことができる状態になる(図2aおよび図2b)。玉継手3はロッド2に堅固に接続されており、その回転運動は、ロッド2の回転運動に対応する。玉継手3の許容された回転は、長手方向軸Xを中心とした回転からなる場合には角度θxを定め、中央軸Yを中心とした回転からなる場合には角度θyを定め、横軸Zを中心とした回転からなる場合には角度θzを定める。
【0034】
好ましくは円形断面のものである、ハウジング4の開口部4Bは、中央軸Yおよび横軸Zを中心としたロッド2および玉継手3の回転の最大角度θymaxまたはθzmaxの範囲を定める。さらに、ハウジング4の適合により、長手方向軸X、中央軸Y、および横軸Zに沿った玉継手3のあらゆる並進運動が妨げられる。図2aに示すように、部品E1およびE2は、横断面YZ内において互いと平行に、また、ロッド2が通過する長手方向軸Xに垂直に、配置され得る。このような構成では、部品E1およびE2の互いに対するそれぞれの位置は、(不図示の)角度θxによって定められる相対的な角度方向に対応し得る。図2bに示すように、ハウジング4を含む第2の要素に対する、玉継手3およびロッド2を含む第1の要素の回転は、中央軸Yおよび横軸Zを中心として可能である。よって、横軸Zに対するハウジング4内でのロッド2および玉継手3の回転は、第1の要素と第2の要素との間、したがって部品E1およびE2間に、角度θzの相対的な角度方向を引き起こす。中央軸Yに対するハウジング4内での玉継手3の、したがってロッド2の回転は、第1の要素と第2の要素との間、したがって部品E1およびE2間に、角度θyの相対的な角度方向を引き起こす。ロッド2および玉継手3を含む第1の要素とハウジング4を含む第2の要素との間の相対的な角度方向は、図1図2a、および図2bに示す角度θx、θyおよび/またはθzの値によって定められる。この相対的な角度方向は、部品E1およびE2間の角度方向を表す。
【0035】
さらに、図4aおよび図4bに示すように、ハウジング4は、充填穴と呼ばれる穴9を備える。特定の一実施形態では、前記充填穴9により、ハウジング4の周囲面から、内側空間5にアクセスすることが可能になる。
【0036】
不図示の特定の一実施形態では、ハウジング4には、ハウジング4の周囲に均一または不均一に分布した、複数の充填穴が設けられることができる。
【0037】
さらに、接続装置1は、ハウジング4と玉継手3との間に配置されたロック要素6を含む。このロック要素6は、ハウジング4の内側面8と玉継手3の周囲面7との間の内側空間5の少なくとも一部分を充填して玉継手3をハウジング4内の固定された位置に保持することができる。ロック要素6は、好ましくは、エラストマータイプの材料で作られる。このタイプの材料により、接続装置1がその使用中に受け得る振動および/または衝撃を抑えることが可能である。
【0038】
代替的な一実施形態では、ロック要素6は金属である。さらに、特定の一実施形態では、ロック要素6は、発泡体または樹脂を含む。この樹脂は、熱硬化性または熱可塑性とすることができる。
【0039】
好適な一実施形態では、ロック要素6は、内側空間5を充填し、ハウジング4に対する玉継手3のあらゆる動きを防ぐために、前記少なくとも1つの充填穴9を介して内側空間5内に導入される。代替的な一実施形態では、ロック要素6は、ハウジング4の開口部4Bを介して内側空間5内に導入される。
【0040】
好適な一実施形態では、玉継手3には、その周囲面7の少なくとも一部分に、好ましくは規則的に配置された、パターン10が設けられる。これらのパターン10は、ロック要素6による接続装置1の機械的保持の改善を可能にする、機械的止め部11を形成する。図3aの実施例では、これらのパターン10は、規則的に配置された平坦な切子面16に対応する。各切子面16のエッジが機械的止め部11を形成する。
【0041】
図3bおよび図3cに示すさらなる一実施形態では、玉継手3は、その周囲面7上に規則的に配置された、例えば六角形の形状の複数のセル12、または、円形断面の複数の穴13を備える。
【0042】
図3dに示すさらなる一実施形態では、玉継手3の周囲面7は、横断面YZ内に配置された複数の筋14を備える。これらの筋14は、ロック要素6のための機械的止め部11を形成する。
【0043】
これらのセル12、これらの穴13、およびこれらの筋14は、玉継手3に設けられることができる、周囲面7のパターン10のさらなる(非限定的な)実施例を示す。
【0044】
好適な一実施形態では、ハウジング4にも、図4aおよび図4bに示すように、その内側面8の少なくとも一部分にパターン15が設けられる。これらのパターン15は、規則的に配置された平坦な切子面に対応する。これらのパターン15も、ロック要素6による接続装置1の機械的保持を改善するための機械的止め部11を形成する。パターン15のさらなる実施例は、明白に想定され得る。
【0045】
図1図2a、および図2bに示す好適な実施形態では、パターン10および15は、玉継手3の周囲面7上、およびハウジング4の内側面8上に存在し、相補的である。
【0046】
接続装置1は、前述したように、さまざまな製造方法に従って製造され得る。好適な一実施形態では、この製造方法は、積層造形(すなわちALM)タイプのものであり、すなわち、3D印刷を実行する。ロッド2、玉継手3、およびハウジング4は、好ましくは、金属またはポリマー構造材料で作られる。この積層造形方法により、とりわけ、通常必要とされる追加の組立て段階を取り除くことによって、角度的な位置付け、ならびに部品E1およびE2に取り付けられる機能を直接組み込む接続装置1を得ることが可能になる。
【0047】
さらなる一実施形態では、接続装置1は、ロッド2に堅固に接続された玉継手3を、後で互いに取り付けられる2つの部分からなる中空のハウジング4内に挿入することによって、通常の方法で製造される。
【0048】
さらに、ハウジング4は、金属タイプ、ポリマータイプ、複合タイプ、またはセラミックタイプの材料で作られる。
【0049】
さらに、ロッド2および玉継手3は、金属タイプ、ポリマータイプ、複合タイプ、またはセラミックタイプの材料で作られる。
【0050】
接続装置1の位置付けおよび使用条件を以下で説明する。
【0051】
例として、部品E1およびE2は、宇宙船設備のアイテムに取り付けられる一対の部品を形成し得る。そのような設備における多様な接続の必要性に従って、また宇宙船設備が使用中に受け得る機械的応力、振動応力および/または熱応力に起因して、部品E1およびE2は、互いに対して所与の角度方向を有する配置を有する。
【0052】
独立して、ロッド2、玉継手3、およびハウジング4を含む接続装置1の要素は、好ましくは積層造形タイプの方法によって、製造される。これらの要素は、タペット玉継手タイプのリンク(tappet ball joint type link)を形成し、その後、第1の要素と第2の要素との間のその角度方向は、ロック要素6によってロックされる。
【0053】
角度方向付けステップS1の間、ロッド2は、第1の要素と第2の要素との間の角度方向を、部品E1およびE2間の相対的な角度方向と一致させるために、長手方向軸X、中央軸Yおよび/または横軸のうちの1つまたは複数を中心とした回転運動を行うようにさせられる。ロッド2が玉継手3に堅固に接続され、その回転運動は、ハウジング4内で玉継手3の同一の回転運動を引き起こす。玉継手3の周囲面7とハウジング4の内側面8との間に最初は空の内側空間5が存在することにより、このような運動が可能となる。ロッド2の、したがって玉継手3の回転運動は、中央軸Yおよび横軸Zそれぞれの周囲で最大角度θymaxおよびθzmaxによって範囲を定められる。これらの2つの最大角度は、ハウジング4の開口部4Bのサイズに左右される。一方、第2の要素に対応するハウジング4内での、ロッド2および玉継手3を含む第1の要素の回転運動は、長手方向軸Xの周囲に制限されない。よって、ハウジング4の開口部4Bにより許容される範囲内にある、ハウジング4の基部4Aに対するロッド2の位置は、2つの部品E1およびE2間で求められる角度方向を表す。
【0054】
後続の充填ステップS2の間、流体形態のロック要素6、好ましくはエラストマー材料が、ハウジング4内に導入される。図4bの矢印Fにより示されるように、ロック要素6は、玉継手3とハウジング4との間の内側空間5を充填するように充填穴9を介して導入される。さらに具体的には、ロック要素6は、玉継手3の周囲面7のパターン10とハウジング4の内側面のパターン15との間の空間を充填する。よって、ロッド2、玉継手3、およびハウジング4により形成される組立体は、角度変位がロック要素6の存在により不可能な状態にされる、タペット玉継手タイプの接続に対応する。
【0055】
ロック要素6は、後続のロックステップS3の間に、乾燥する。例として、ロック要素6の乾燥は、接続装置1を加熱することによって実行される。いったん乾燥すると、ロック要素6は、ハウジング4内における玉継手3の、したがってロッド2の位置を固定する。好適な一実施形態では、ロッド2は次に、任意の適切な手段により、その端部2Aによって部品E1に堅固に接続される状態にされ、ハウジング4は、任意の適切な手段により、その基部4Aによって部品E2に堅固に接続される状態にされる。
【0056】
図5aおよび図5bに示すように、接続装置1は、特に宇宙船設備のアイテム上で、その使用中に機械力および振動を受け得る。これらの機械力は、矢印Pによって示される。玉継手3の周囲面7上のパターン10および/またはハウジング4の内側面8上のパターン15が無い場合、機械力は、ロック要素6と玉継手3の周囲面7との間の界面に対して接線方向に、内部剪断力Iを誘発する。
【0057】
玉継手3の周囲面7上のパターン10および/またはハウジング4の内側面8上のパターン15の存在により、機械的止め部11が作成される。次に、接続装置1の使用中に生成される機械力Pは、圧縮成分I1およびI2を誘発する。これらの圧縮は、ロック要素6によって吸収される。いくつかの軸に沿った機械力のこの分解は、接続装置1の優れた機械的保持を可能にする。
【符号の説明】
【0058】
1 接続装置
2 ロッド
2A 第1の端部
2B 第2の端部
3 玉継手
4 ハウジング
4A 基部
4B 開口部
5 内側空間
6 ロック要素
7 周囲面
8 内側面
9 充填穴
10 パターン
11 機械的止め部
12 セル
13 穴
14 筋
15 パターン
16 切子面
E1 機械的部品
E2 機械的部品
I 内部剪断力
I1 圧縮成分
I2 圧縮成分
O 中心
P 機械力
R 基準
S1 角度方向付けステップ
S2 充填ステップ
S3 ロックステップ
X 長手方向軸
Y 中央軸
Z 横軸
XY 正中面
YZ 横断面
θx 角度
θy 角度
θz 角度
θymax 最大角度
θzmax 最大角度
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b