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特許7565940連続的なトウ材料から連続的な管状ロッドを形成するための形成設備および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】連続的なトウ材料から連続的な管状ロッドを形成するための形成設備および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/52 20060101AFI20241004BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B29C70/52
C08J5/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021557170
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2020058149
(87)【国際公開番号】W WO2020193545
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】19165803.8
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】プレスティア イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】カンティエリ ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトルド マッシミリアノ
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505169(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108430240(CN,A)
【文献】特開2014-212789(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03181320(EP,A1)
【文献】特開昭48-070772(JP,A)
【文献】特表2022-528351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29D 23/00
A24D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成設備であって、
搬送経路の搬送方向に沿って連続的なトウ材料を連続的に供給するための供給経路を含む搬送経路と、
前記供給経路の下流端に接続された、かつ前記連続的なトウ材料を連続的な管状ロッドへと形成するように適合された形成装置であって、前記形成装置が、
管状要素であって、前記連続的なトウ材料が前記管状要素を通過して前記連続的な管状ロッドを形成することを可能にするように適合された管状要素と、
加圧流体を発生するように適合された流体圧縮機であって、前記流体圧縮機が前記管状要素と流体連通していて、前記連続的なトウ材料に加圧流体を提供して前記連続的なトウ材料を加熱または冷却する流体圧縮機とを備え、
前記形成装置が、前記流体圧縮機から前記搬送経路に沿って配設された幾つかの注入部位に加圧流体を提供する幾つかの流体導管をさらに備え、前記幾つかの流体導管のうちの少なくとも2本の流体導管が、圧力センサーと圧力影響因子とを含む圧力制御ユニットを備え、
前記圧力制御ユニットが、前記注入部位にある前記少なくとも2本の流体導管の端セクションの中に配設されている、形成設備。
【請求項2】
前記圧力影響因子が、前記少なくとも2本の流体導管中の前記加圧流体の圧力を低下させるか、または増加させる能力のある圧力調節器である、請求項1に記載の形成設備。
【請求項3】
前記幾つかの流体導管の各流体導管が、圧力制御ユニットを備える、請求項1~2のいずれか一項に記載の形成設備。
【請求項4】
前記幾つかの注入部位の少なくとも一部が、前記管状要素の長さに沿って配設されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の形成設備。
【請求項5】
前記少なくとも2本の流体導管の注入端がノズルを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の形成設備。
【請求項6】
前記管状要素が複数の管状要素セグメントを備え、各管状要素セグメントが注入部位を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の形成設備。
【請求項7】
前記流体圧縮機が、前記管状要素中の連続的なトウ材料に過熱蒸気を提供するために過熱蒸気を発生するように適合された蒸気発生器であるか、または前記流体圧縮機が、前記管状要素中の前記連続的なトウ材料に加圧空気を提供するために加圧空気を発生するように適合された空気圧縮機である、請求項1~6のいずれか一項に記載の形成設備。
【請求項8】
前記幾つかの流体導管の前記流体導管のうちの少なくとも一つが、温度センサーと温度影響因子とを備える温度制御ユニットを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の形成設備。
【請求項9】
連続的な管状ロッドを製造するための製造ラインであって、前記製造ラインが、請求項1~8のいずれか一項に記載の形成設備を備える、かつ前記連続的なトウ材料に可塑剤を塗布するために前記形成設備の上流に配設された可塑剤塗布装置を備える、製造ライン。
【請求項10】
連続的なトウ材料から連続的な管状ロッドを形成する方法であって、前記方法が、
連続的なトウ材料を提供することと、
前記連続的なトウ材料を、形成装置の中に連続的な管状ロッドに形成することと、
流体圧縮機から流体分配システムを介して前記連続的なトウ材料に加圧流体を提供することによって、形成中に前記連続的なトウ材料を加熱または冷却することであって、それによって、前記分配システムの少なくとも2本の流体導管中の前記加圧流体の圧力を測定し、また前記流体圧縮機の下流にある前記分配システムの中に少なくとも二つの圧力影響因子を提供し、前記圧力影響因子が、前記流体圧縮機から前記連続的なトウ材料に送達された前記加圧流体の圧力を変化させる能力を有する、加熱または冷却することとを含み、
それによって、前記加圧流体の注入部位に近接した前記加圧流体の圧力を測定し適合させる、方法。
【請求項11】
前記流体圧縮機から前記連続的なトウ材料に送達された前記加圧流体の圧力を変化させる工程が、前記加圧流体の推進作用によって前記圧力を増加させることまたは低下させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記注入部位で前記加圧流体の温度を測定することと、前記分配システムに温度影響因子を提供することとを含み、前記温度影響因子が、前記連続的なトウ材料に送達された前記加圧流体の温度を変化させる能力を有する、請求項10または請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記温度影響因子が加熱冷却要素を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記連続的なトウ材料がセルロースアセテートであり、前記連続的な管状ロッドが連続的な中空アセテート管(HAT)である、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トウ材料から管状ロッドを形成するための形成設備および形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可塑剤を使用して中空アセテート管を形成するための周知の装置および方法がある。典型的に可塑剤は、アセテートトウ上に拡散される。次いで、処理されたトウは加熱され、ロッド形状へと形成される。蒸気を用いた熱処理に続く空気による冷却は、そのロッド形状にあるトウ材料を安定化する。使用される特定の材料に適合されていない加熱や冷却がロッド形成プロセスに悪影響を与えうるように、加熱冷却方式はロッド形成プロセスに影響を与える。
【0003】
管状ロッドの形成プロセスを改善する形成設備および形成方法を有することが望ましい。特に、形成されたロッドの品質および一貫性を改善するために、形成プロセスのより良好な制御を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、搬送経路の搬送方向に沿って連続的なトウ材料を連続的に供給するための供給経路を含む搬送経路を備える形成設備が提供されている。形成設備は、供給経路の下流端に接続された形成装置を備え、この形成装置は、連続的なトウ材料を連続的な管状ロッドへと形成するように適合されている。形成装置は、連続的なトウ材料が管状要素を通過して連続的な管状ロッドを形成することを可能にするように適合された管状要素を備える。形成装置は、加圧流体を発生させるように適合された流体圧縮機をさらに備える。流体圧縮機は、管状要素と流体連通して、連続的なトウ材料または連続的な管状ロッドにそれぞれ加圧流体を提供し、その加圧流体で連続的なトウ材料または管状ロッドを加熱または冷却する。形成装置は、流体圧縮機からの加圧流体を搬送経路に沿って配設された幾つかの注入部位に提供し、その後、管状要素の中で連続的なトウ材料を加熱または冷却するために、幾つかの流体導管をさらに備える。幾つかの流体導管のうちの少なくとも2本の流体導管は、圧力センサーと圧力影響因子とを含む圧力制御ユニットを備える。
【0005】
加圧流体は、流体圧縮機から、幾つかの流体導管を備える分配システムを介して、形成装置に提供されている。好ましくは、2~10本の流体導管、より好ましくは3~7本の流体導管、例えば5本の流体導管が、形成設備において使用可能である。例えば、流体導管は、パイプ、または管、またはチャネル、またはパイプ、管、チャネルの組み合わせであってもよい。
【0006】
圧力制御ユニットは、形成設備の中で、流体圧縮機と、管状要素中のトウ材料、または管状要素の中に形成された連続的なロッドとの間に配設されうる。圧力制御ユニット、特に圧力センサーは、トウ材料が加圧流体で処理される位置に近接して配設されていることが好ましい。これは有利なことに、トウ材料に作用する加圧流体の圧力を非常に正確に測定することを可能にする。加圧流体の注入部位に近接して配設された圧力影響因子は、注入部位での加圧流体の圧力差を、トウ材料に作用する望ましい流体圧力に設定または調整することを可能にする。
【0007】
圧力影響因子は、例えば流体圧縮機とトウ材料の間の圧力損失を埋め合わるために使用されてもよい。例えば、圧力損失は、形成設備の分配システムにおける圧力低下によって引き起こされる場合がある。圧力影響因子はまた、流体圧縮機によって提供された加圧流体の圧力を概してさらに加圧または低減するために使用されてもよい。これによって、圧縮機は加圧流体を生成するように、予め設定された値(例えば平均値)に設定されうる。加圧流体の圧力の個別の適合は、流体の注入部位に近接した個別の流体導管で実施されることが好ましい。圧力制御ユニットを使用することによって、望ましい圧力範囲で加圧流体を提供する能力のない流体圧縮機も使用されうる。その時、所望の圧力範囲が、圧力制御ユニットによって達成される場合がある。
【0008】
圧力制御ユニットは、流体の圧力が望ましい値に設定または適合された後、加圧流体の圧力損失を可能な限り低く保つために、処理されるトウ材料に可能な限り近接して配設されていることが好ましい。有利なことに、このようにして、測定された圧力は、トウ材料に作用する加圧流体の実際の圧力に正確に一致する。
【0009】
圧力制御ユニットは、加圧流体の注入部位で少なくとも2本の流体導管の端セクションの中に配設されていることが好ましい。
【0010】
圧力センサーは、圧力影響因子の上流に配設されていることが好ましい。これによって、圧力センサーの測定された圧力値は、圧力影響因子を起動するために直接使用されてもよい。
【0011】
圧力影響因子は、圧力増加器または圧力低減器または圧力増加低減器であってもよい。
【0012】
圧力影響因子は好ましくは、流体導管中の(より好ましくは少なくとも2本の流体導管中の)圧力を低減するように適合された、かつ圧力を低減する能力を有する(より好ましくは圧力を低減または増加するように適合された、かつ圧力を低減または増加する能力を有する)圧力調節器である。
【0013】
圧力調節器は、例えば流体導管中の加圧空気の通過を制限する制限器であってもよい。
【0014】
圧力調節器は、例えば流体導管中に配設された起動可能なプロペラであってもよい。圧力低減器として働くプロペラは、流体導管を通る加圧流体の流れを減速させる場合がある。圧力増加器として働くプロペラは、流体導管を通過する加圧流体の流れを加速する場合がある。プロペラはまた、流体導管を通過する加圧流体の速度を変えるために使用されてもよい。
【0015】
圧力調節器のうちの少なくとも一つは、流体導管中に配設されたプロペラを備えるか、または流体導管中に配設されたプロペラであることが好ましい。
【0016】
少なくとも2本の流体導管には、同一のタイプの圧力影響因子が提供されていることが好ましい。
【0017】
圧力影響因子はまた、例えば流体導管中に配設された弁であってもよい。
【0018】
幾つかの流体導管のうちの3本以上の流体導管(例えば3本もしくは4本の流体導管)は、または好ましくは幾つかの流体導管の各流体導管は、圧力制御ユニットを備えてもよい。幾つかまたはすべての流体導管が圧力制御ユニットを備える場合、形成プロセス、特に形成プロセスの冷却部分は、非常に厳密に制御されうる。特に、形成プロセスは、最適化された結果を達成するように変更または適合されてもよい。
【0019】
形成設備は特に、異なる可塑剤または異なる硬化剤が提供された時に特に、様々な連続的な材料のロッド形成のために使用されてもよい。厳密な制御は、本発明の形成設備で使用される材料の組み合わせの様々な硬化方式に形成プロセスを適合することを可能にする。
【0020】
加熱は基本的に、トウ材料中で可塑剤を液化させるために、好ましくはトウ材料中に可塑剤を均等に分配するために使用されうる。
【0021】
冷却は基本的に、その前に液化された可塑剤を硬化させ、ロッドをその管状ロッド形状に整えるために使用されうる。例えば、冷却は可塑剤の硬化を加速し、それ故に連続的なロッドを素早く安定化させうる。冷却を制御することで、硬化プロセスは厳密に制御されうる。加えて、ロッド形成プロセスは、最良の結果を得るために異なる圧力または温度の方式を必要とする異なるトウ材料と異なる可塑剤に適合されうる。
【0022】
冷却は加熱後に実施されること、すなわち加熱プロセスの下流で実施されることが好ましい。加熱および冷却は、管状要素の中で実施されうる。冷却はまた、管状要素の下流で実施されてもよい。
【0023】
各圧力制御ユニットは個別に、かつ他の圧力制御ユニットとは独立して動作されることが好ましい。それ故に、圧力は少なくとも2本の流体導管中で個別に制御可能であることが好ましい。圧力は、圧力制御ユニットが提供された各流体導管中で個別に制御可能であることが好ましい。圧力制御ユニットは、トウ材料または形成されたロッドの加熱プロセスもしくは冷却プロセス、または加熱プロセスとその後の冷却プロセスの両方が必要に応じて厳密に制御されて連続的に影響を受けるように、相互に調和されていることが好ましい。
【0024】
流体圧縮機から幾つかの流体導管に提供された加圧流体の量は、各流体導管に対して制御されることが好ましい。例えば、各流体導管には弁が提供されてもよい。こうした実施形態において、弁は好ましくは個別に制御されてもよい。例えば、分配システムは、マニホールドの入口端で流体圧縮機に接続された、かつマニホールドの幾つかの出口端で幾つかの流体導管に接続されたマニホールドを備える。弁は、マニホールドの各出口端に近接して配設されてもよい。例えば、弁を提供することによって、加熱効果または冷却効果を高めるために、ある程度の量の加圧流体、またはより大きい量の加圧流体が、上流に配設された流体導管(トウ材料の搬送経路に対して上流)に提供されてもよく、一方で下流に配設された流体導管には、例えばより小さい量の加圧流体が提供されてもよく、またはその逆でもよい。
【0025】
幾つかの注入部位のうちの少なくとも一部は、搬送経路に沿って(好ましくは管状要素の長さに沿って)配設されていることが好ましい。これによって、加熱プロセスまたは冷却プロセスは、形成されたロッドまたは形成中のロッドに連続的に作用しうる。
【0026】
形成装置の管状要素は、複数の管状要素セグメントを備えうる。複数の管状要素セグメントの各管状要素セグメントは、注入部位を備えることが好ましい。それ故に、各管状要素セグメントは、管状要素セグメントを通るトウ材料に加圧流体を提供するために、少なくとも1本の流体導管に接続されてもよい。管状要素セグメントごとに1本の流体導管が提供されてもよい。
【0027】
少なくとも2本の流体導管(これらの流体導管は圧力制御ユニットを備える)の注入端は、ノズルを備えることが好ましい。少なくとも2本の流体導管の注入端は、ノズルとして形成されていることが好ましい。ノズルを通して、加圧流体は、トウ材料もしくは形成されたロッドの中に非常に効率的に導入されてもよく、またトウ材料全体にわたって、もしくは形成されたロッド全体にわたって拡散されてもよい。特に、繊維質トウ材料を使用する時に、加圧流体は非常に効果的にトウ材料に浸透し、トウ材料またはロッドを加熱または冷却しうる。幾つかの流体導管の各流体導管の注入端は、ノズルを備えることが好ましい。
【0028】
形成設備の流体圧縮機は、過熱蒸気を発生するように適合された蒸気発生器であってもよく、または加圧空気を発生するように適合された空気圧縮機であってもよい。
【0029】
過熱蒸気は、連続的なトウ材料の加熱に使用される。加圧空気は、連続的なトウ材料を、またはトウ材料から形成された連続的なロッドを冷却するために使用されることが好ましい。
【0030】
過熱蒸気または加圧空気のいずれかをトウ材料に提供するために、同一の分配システムまたは別個の分配システムを使用しうる。加圧流体は、幾つかの注入部位を介してトウ材料に(例えば管状要素の長さ全体にわたって)提供されることが好ましい。一部の注入部位には過熱蒸気が提供されていること、および他の注入部位には加圧空気が提供されていることが好ましい。
【0031】
蒸気発生器は、蒸気からトウ材料への良好な熱伝達を理由に、ロッドの製造において周知の加熱装置である。ところが、蒸気は冷却時に水滴を形成する場合がある。水滴はトウ材料と形成結果に悪影響を及ぼしうる。過熱蒸気の使用は水滴の形成を低減または防止する。過熱蒸気はトウ材料への熱伝達が良好である。
【0032】
幾つかの流体導管のうちの少なくとも1本の流体導管は、温度センサーと温度影響因子とを備える温度制御ユニットを備えてもよい。
【0033】
温度制御ユニットは、形成設備の中で、流体圧縮機と管状要素中のトウ材料との間に配設されていることが好ましい。温度制御ユニット、特に温度センサーは、トウ材料が加圧流体で処理される位置に近接して配設されていることが好ましい。これは有利なことに、トウ材料に作用する加圧流体の温度を非常に正確に測定することを可能にする。温度影響因子が加圧流体の注入部位に近接して存在すると、加圧流体の実際の温度と、トウ材料を加熱または冷却するために望ましい加圧流体の温度との差は、温度影響因子によって設定または調整されうる。温度影響因子は、例えば流体圧縮機からトウ材料に送達された加圧流体の温度損失を埋め合わるために使用されてもよい。例えば、温度損失は、形成設備に作用する環境的影響によって、例えば加圧流体が移動しなければならない経路長さに起因して生じる。温度影響因子はまた、流体圧縮機によって提供された加圧流体を概して加熱または冷却するために使用されてもよい。これによって、流体圧縮機は、特定の温度で加圧流体を発生するように設定されてもよく、流体の温度の個別の適合は、加圧流体の注入部位に近接した個別の流体導管の中で実施される。これはまた、トウ材料または形成されたロッドに、概ね強い加熱作用または冷却作用を働きかける選択肢を提供する。
【0034】
温度制御ユニットは、処理されるトウ材料のできるだけ近くに配設されていることが好ましい。有利なことに、このようにして、測定された温度は、トウ材料に作用する加圧流体の望ましい温度に正確に一致する。
【0035】
温度制御ユニットは、加圧流体の注入部位で流体導管の端セクションの中に配設されていることが好ましい。
【0036】
温度センサーは、流体導管のノズルの中に配設されていることが好ましい。
【0037】
温度影響因子は、加圧流体を加熱することができる発熱体、または加圧流体を冷却することができる冷却要素、または必要に応じて加圧流体を加熱もしくは冷却することができる加熱冷却要素としうる。
【0038】
温度影響因子は、加熱冷却要素であることが好ましい。次に、加圧流体は、流体圧縮機によって提供された加圧流体の温度に応じて、またトウ材料の特定の場所で、および形成プロセスの特定の状態で望ましい温度に応じて、加熱または冷却されうる。
【0039】
発熱体または冷却要素は、電気要素、例えば抵抗加熱器、インダクター、および例えば誘導的に加熱可能な流体導管またはペルティエ素子であってもよい。発熱体または冷却要素はまた、流体加熱または流体冷却に基づいてもよい。
【0040】
発熱体は、流体導管の周りに配設された抵抗加熱器であることが好ましい。
【0041】
組み合わされた加熱冷却要素は、流体加熱および流体冷却に基づくことが好ましい。例えば、外部の管は流体導管の周りに配設されてもよい。冷却または加熱流体は、外部の管と流体導管の外側との間で流体導管に沿って案内されてもよく、それによって、流体導管と流体導管内部を流れる加圧流体とを冷却または加熱する。
【0042】
温度影響因子は、流体導管内部に(例えば流体導管の内壁にて)、または流体導管壁内に、または流体導管の外側に(例えば流体導管の周りに)配設されてもよい。外部温度影響因子を使用する場合、流体導管の材料は、少なくとも外部温度影響因子の領域内で高い熱伝導率を備えることが好ましい。
【0043】
幾つかの流体導管のうちの2本以上の流体導管(例えば3本もしくは4本の流体導管)は、または幾つかの流体導管の各流体導管でさえも、温度制御ユニットを備えてもよい。2本以上の流体導管またはすべての流体導管が、温度制御ユニットを備える場合。有利なことに、このようにして、形成プロセスは、最適化された結果を達成するために、非常に厳密に制御(例えば変更または適合)されてもよい。
【0044】
ガス圧縮機の形態の流体圧縮機が形成設備で使用され、かつ分配システムおよび分配システムの流体導管が加圧空気をトウ材料に案内するために使用される場合、加圧空気の圧力および温度を制御するために、圧力制御ユニットおよび温度制御ユニットが使用される。
【0045】
蒸気発生器の形態の流体圧縮機が形成設備で使用され、かつ分配システムおよび分配システムの流体導管が過熱蒸気をトウ材料に案内するために使用される場合、過熱蒸気の圧力および温度を制御するために、圧力制御ユニットおよび温度制御ユニットが使用される。
【0046】
蒸気発生器の形態の流体圧縮機とガス圧縮機が形成設備で使用される場合、両方の流体圧縮機は、同一の分配システムに接続されうる。過熱蒸気および加圧空気は、分配システム中の同一の流体導管を通して案内されてもよく、または異なる流体導管を通して案内されてもよい。従って、圧力制御ユニットおよび温度制御ユニットは、過熱蒸気および加圧空気の圧力および温度を制御しうる。
【0047】
過熱蒸気および加圧空気は、同一の分配システム中の異なる流体導管を通して案内されることが好ましい。過熱蒸気は、管状要素の、より上流に配設された注入部位につながる流体導管を通して案内されることが好ましい。加圧ガスは、管状要素の、より下流に配設された注入部位につながる流体導管を通して案内されることが好ましい。過熱蒸気は、管状要素の、二つ~三つの最も上流に配設された注入部位に提供されていることが好ましい。加圧空気は、管状要素の、少なくとも最も下流に配設された注入部位に提供されていることが好ましい。
【0048】
本発明によると、マンドレルは管状要素内に、または一つもしくは幾つかの管状要素セグメント内に提供されてもよい。形成されたロッド内に内部形状を作り出すために(例えば、いわゆる中空アセテート管(すなわちHAT)を作製するために)、マンドレルを使用することができる。一部の実施形態において、マンドレルは円形断面を備えるが、例えば三角形、正方形、星形、またはその他のような多角形の形態、例えばハート形、クラブ形、または菱形などのタイプまたはアイコンの形態、またはその他の円形、楕円形、または半円形の形態の他の断面も可能である。加えて、マンドレルの断面は連続的であってもよい。別の方法として、マンドレルの断面は、マンドレルの長さにわたって変化してもよい。マンドレルは、加熱される管状要素の長さにわたって、または加熱される、すなわち過熱蒸気が提供されるすべての管状要素セグメントにわたって延びることが好ましい。これは有利なことに、トウが依然として高温である間に、トウを所望の形態にするのを補助する。マンドレルは、冷却のために加圧空気が提供されている管状要素セグメントのうちの少なくとも一つの中に延びることが好ましい。これは有利なことに、トウを望ましい形態へと落ち着かせることを可能にする。マンドレルは、冷却のための加圧空気が提供されている少なくとも一つの管状要素セグメントの中に延びないことが好ましい。これは有利なことに、マンドレルからのトウの取り外しを容易にする。
【0049】
中実ロッドまたは中空ロッドである管状ロッドは、形成設備の形成装置を用いて製造されてもよい。中空ロッドを製造するために、管状要素は、連続的なトウ材料から連続的な中空管状ロッドを形成するための内側コアまたはマンドレルを備える。マンドレルは、管状要素内部に、または一つの、幾つかの、もしくはすべての管状要素セグメント内部に、同心円状に配設されていることが好ましい。
【0050】
本発明の他の実施形態において、管状要素セグメントのうちの少なくとも一つは、管状要素内に位置する形成された内側管を備え、これによって、管状要素セグメントを通過するトウは、形成された内側管の内表面に沿って通過する。それ故に、形成された内側管は、形成中にその形態をトウの外側上に付与してもよい。例えば、形成された内側管は円形断面を備えるが、例えば三角形、正方形、星形、またはその他のような多角形の形態、例えばハート形、クラブ形、または菱形などのタイプまたはアイコンの形態、またはその他の円形、楕円形、または半円形の形態の他の断面も可能である。特に有利なことに、形成された内側管は、形成されたトウの外周に沿って数多くの溝を作り出す。
【0051】
加えて、形成された内側管の内表面の断面は、連続的であってもよい。別の方法として、形成された内側管の断面は、形成された内側管の長さにわたって変化してもよい。変化する断面は、例えば形成されたトウの外周に沿ってらせん状の溝を作り出してもよい。
【0052】
形成設備は主制御システムを備えることが好ましい。主制御システムは、連続的なロッドの形成プロセスを制御する。例えば、圧力制御ユニットからのデータ、また入手可能な場合は温度制御ユニットからのデータ、利用可能な場合は弁からのデータ、また好ましくは最終的に形成されたロッドからのデータは、主制御システムで受信される。最終的に形成されたロッドからのデータは、例えばラインスキャンカメラから得られたロッド径であってもよい。主制御システムにおいて、データは分析されてもよく、また所望の結果からの逸脱が検出される場合、形成パラメータは調整されてもよい。その結果、主制御ユニットは、圧力制御ユニット、温度制御ユニット、弁、または形成設備のさらなる要素、例えば分配システムもしくは可塑剤塗布器に命令を与えてもよい。主制御ユニットは、ロッド形成プロセスにおける製造ラインのさらなる装置(例えば連続的なロッドを個別のセグメントへと切断するための切断装置など)を制御するために使用されてもよい。主制御システムを介して、形成パラメータ(トウ材料の加熱または冷却、またはトウ材料に印加される圧力など)は制御、調整、記録されてもよい。
【0053】
本発明はまた、連続的なトウ材料から連続的な管状ロッドを形成するための方法に言及する。方法は、連続的なトウ材料を提供することと、形成装置の中で連続的なトウ材料を連続的な管状ロッドに形成することと、流体圧縮機からの加圧流体を分配システムを介して連続的なトウ材料に提供することによって、形成中に連続的なトウ材料を加熱または冷却すること、好ましくは加熱および冷却することとを含む。方法は、分配システムの少なくとも2本の流体導管中の加圧流体の圧力を測定することと、流体圧縮機の下流の分配システムにおいて少なくとも二つの圧力影響因子を提供することとをさらに含む。圧力影響因子は、流体圧縮機から連続的なトウ材料に送達された加圧流体の圧力を測定し変化させる能力を有し、かつ測定し変化させるように適合されている。
【0054】
連続的なトウ材料は形成装置に供給され、連続的なトウ材料を形成装置の管状要素に通すことによって、連続的な管状ロッドに形成されることが好ましい。次に、加圧流体は管状要素の中に案内される。
【0055】
流体圧縮機から連続的なトウ材料に、または管状ロッドに送達された加圧流体の圧力を変化させる工程は、好ましくは加圧流体の推進作用によって圧力を増加するまたは低減することを含むことが好ましい。推進作用は、圧力を増加および低減するものとして使用されうるため有用である。
【0056】
本方法は、注入部位での加圧流体の温度を測定することと、分配システムの中に温度影響因子を提供することとを含むことが好ましい。温度影響因子は、連続的な管状ロッドまたはトウ材料に送達された加圧流体の温度の変化させるように適合され、かつ変化させる能力を有する。
【0057】
温度影響因子は、発熱体または冷却要素を備えることが好ましく、加熱冷却要素を備えることがより好ましい。
【0058】
連続的なトウ材料はセルロースアセテートであることが好ましい。
【0059】
連続的な管状ロッドは、連続的な中空アセテート管(HAT)であることが好ましい。
【0060】
方法は、連続的な管状ロッドを形成する前に、特に連続的なトウ材料を加熱する前に、可塑剤を連続的なトウ材料に塗布する工程をさらに含んでもよい。材料をロッドへと形成する前に、可塑剤をトウ材料に塗布することは、ロッド材料に影響を及ぼす。例えば、可塑剤は、トウ材料の形成特性を改善する場合があり、最終的なロッドの安定性を高める場合があり、または形成されたロッドの引き出し抵抗またはこれらの効果の組み合わせに影響を及ぼす場合がある。
【0061】
方法は、連続的な管状ロッドを個別のセグメントへと切断する工程をさらに含んでもよい。個別のセグメントは、エアロゾル発生物品のセグメントの最終的な長さを有してもよい。個別のセグメントはまた、複数の長さの最終長さを有してもよく、またエアロゾル発生物品の製造プロセスにおけるさらなるプロセス工程において、それらの最終長さに切断されてもよい。
【0062】
形成設備および形成方法については、冷却のための加圧空気を使用して記載されてきたが、加圧空気は加熱にも使用されることができることと、冷却または加熱に適した他のガスも使用されてもよいこととが理解される。特に、別の方法として、または追加的に、ガス圧縮機の中で圧縮された圧縮ガス(例えば加圧二酸化炭素または窒素)を使用することが可能である。
【0063】
本発明はまた、連続的な管状ロッドを製造するための製造ラインに言及する。製造ラインは、本発明による、かつ本明細書に記載の通りの形成設備を備える。製造ラインは、形成設備の上流に配設された可塑剤塗布器をさらに備える。可塑剤塗布器は、連続的なトウ材料に可塑剤を塗布するために提供されている。製造ラインは、連続的な管状ロッドを個別のロッドセグメントへと切断するために、形成装置の下流に配設された切断装置をさらに備えてもよい。
【0064】
本発明を実施形態に関してさらに記述し、それらの実施形態を以下の図面によって図示する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1は、形成設備の概略図である。
図2図2は、温度制御ユニットを含む形成設備の概略図である。
図3図3は、連続的なロッドの製造ラインを概略的に示す。
図4図4は、例えば図3に示す製造ラインで使用される形成設備の概略図である。
図5図5は、幾つかの管状要素セグメントを備える形成設備の斜視図を示す。
図6図6は、管状要素セグメント内に形成された内側管を有する形成設備を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1において、連続的な材料1、例えば可塑剤(例えばトリアセチン)で含浸されたトウ材料が、搬送方向100に沿って案内される。連続的な材料は、管状要素(図示せず)を通して案内され、それによって加圧流体で処理される。好ましくは後で、連続的なトウ材料が管状要素を通って案内されている時に連続的なトウ材料を加熱し、その後冷却するために、加圧流体は例えば過熱蒸気、または加圧空気、または加圧空気と過熱蒸気の両方であってもよい。
【0067】
加圧流体は、流体圧縮機2の中で発生し、流体分配システム6を介してトウ材料1に案内される。それによって加圧流体は、トウ材料1が通過し、かつそれによってロッドへと形成される管状要素に案内される。加圧流体の流れ方向は、矢印200によって示されている。
【0068】
分配システム6は、流体圧縮機2から複数の個々のパイプ20に加圧流体を分配するマニホールド60を備える。各パイプ20は弁62を備え、それによって、流体圧縮機2から個々のパイプ20の中に導かれる一定量の加圧流体が、好ましくは主制御システムによって個別に制御される。
【0069】
パイプ20は、管状要素の中の注入部位210を介して加圧流体をトウ材料1に集束させるノズル21の中で行き止まりになる。分配システムのこの端部分には、圧力制御ユニット5が提供されている。圧力制御ユニット5は、パイプ20の中に配設された圧力調節器52、例えば弁を備える。圧力制御ユニット5はまた、圧力調節器52の上流に配設された圧力センサー51を備える。圧力制御ユニット5はまた、圧力センサー51および圧力調節器52からデータを取り出すために、また加圧流体をより高い圧力に加圧するために必要である時に電力を圧力調節器52に供給するために、データ制御システムおよび電力システムを備えてもよい。
【0070】
分配システム6および圧力制御は、圧力制御ユニット5が提供された1本のパイプ20によって図1に示されている一方で、分配システム6は、圧力制御ユニット5が提供された少なくとも2本のパイプ20を備える。少なくとも二つの圧力制御ユニット5は、隣接するパイプ20の中に、またはより遠くに配設されたパイプ20の中に提供されてもよい。圧力制御ユニット5は、最も上流に配設された注入部位210と流体連通する分配システムの最も上流に配設されたパイプ20の中に配設されていることが好ましい。
【0071】
図1に示す幾つかのパイプ、または5本すべてのパイプには、それぞれ独自の個別に制御された圧力制御ユニット5が提供されていることが好ましい。
【0072】
圧力制御ユニット5用のデータ管理と電力システムは、形成設備の制御と、場合によってはロッド製造プロセスで使用されるさらなる装置の制御とのために提供された主制御システムの中に組み込まれていることが好ましい。
【0073】
図1において、流体圧縮機2は、加圧空気を発生させるためのガス圧縮機でもよく、または過熱蒸気を発生させるための蒸気発生器でもよい。次に、流体分配システム6は、加圧空気を連続的なトウ材料1に案内する空気分配システムとして、または過熱蒸気を連続的なトウ材料1に案内する蒸気分配システムとして使用される。
【0074】
図1の形成設備の好ましい一実施形態において、流体圧縮機2は蒸気発生器およびガス圧縮機を備える。流体圧縮機は、搬送方向100に見た時の少なくとも最初の2本のパイプ(最も上流に配設された2本のパイプ)に過熱蒸気が提供されているように、かつ搬送方向100に見た時の少なくとも最後のパイプ(最も下流に配設された1本のパイプ)に、冷却のための加圧空気が提供されているように、マニホールドおよび分配システムに接続されている。
【0075】
さらなるパイプまたは中間パイプは、望ましい加熱・冷却プロセスに応じて、過熱蒸気または加圧ガスで加圧されてもよい。
【0076】
流体圧縮機は、それぞれ独自のマニホールドおよび分配システムに接続されうるが、上述の直列配置で過熱蒸気および加圧空気を提供することが好ましい。
【0077】
図2は、形成設備の別の実施例を、簡略化した様態で示す。図1と同一または類似の特徴には、同一または類似の参照符号が使用されている。
【0078】
形成設備は、流体圧縮機2および分配システムを備え、ここでは分配システムの1本のパイプ20のみが示されている。パイプ20は、分配システムのパイプ端セクションの中に提供された圧力制御ユニット5を備える。
【0079】
パイプ20には、温度制御ユニット3が追加的に提供されている。
【0080】
連続的な材料1は、搬送方向100に沿って、管状要素(図示せず)を通って案内され、それによって加圧流体で、例えば加圧空気、または過熱蒸気、または加圧空気と過熱蒸気の両方で処理される。
【0081】
加圧流体は、流体圧縮機2の中で発生し、分配システムを介してトウ材料1に案内される。
【0082】
加圧流体の流れ方向は、矢印200によって示されている。
【0083】
図示したパイプ20は、好ましくは、管状要素の中のトウ材料の周囲全体に作用するために輪状に、加圧流体をトウ材料1に集束させて、ノズル21の中で行き止まりになる。分配システムのその端部分には、温度制御ユニット3が提供されている。温度制御ユニット3は、例えばパイプ20を包囲する抵抗発熱体などの発熱体30を備える。温度制御ユニット3はまた、ノズル21の中に配設された温度センサー31を備える。温度制御ユニット3はまた、温度センサー31から、および発熱体30からデータを取り出すための、ならびに加圧流体をより高い温度に、またより高い圧力にも加熱するために必要な時に発熱体30に加熱電力を提供するための、データ制御システムおよび電力システムを備えてもよい。パイプ20は、発熱体30によって提供された熱に耐える材料で作製されている。
【0084】
温度制御ユニット3用のデータ管理および電力システムは、形成設備、特に圧力制御ユニット5の制御、および場合によってはロッド製造プロセスで使用されるさらなる装置の制御のために提供された主制御システムに組み込まれてもよい。
【0085】
一部の実施形態において、発熱体30は、冷却要素であってもよく、または発熱体と冷却要素の組み合わせであってもよい。これによって、加圧流体は、ガス圧縮機2から送達された加圧流体の温度、および連続的な材料を処理するために必要な加圧流体の温度に応じて、冷却されてもよく、または加熱または冷却されてもよい。
【0086】
図2の圧力制御ユニット5は、加圧流体の圧力を測定するための圧力センサー51を備える。圧力センサーは、発熱体30の上流に配設されている。圧力制御ユニット5はまた、圧力影響因子50、52を備える。示された実施形態における圧力影響因子は、二つのプロペラ50および圧力調節器52、例えば弁から成る。
【0087】
プロペラ50のうちの一つは、パイプの中で圧力センサー51の上流に配設されている。第二のプロペラ50は、加圧流体の流れ方向で見た時、発熱体30の下流に配設されているが、圧力調節器52の上流に配設されている。加圧流体の速度を測定するために、速度センサーが第二のプロペラの位置に配設されていることが好ましい。圧力調節器がノズル21のすぐ上流に配設されていて、ここで加圧流体が管状要素41の中に導入されるため、圧力調節器によって、トウ材料に印加される加圧流体の圧力は非常に正確に制御および調整される場合がある。特に、加圧流体の加熱に起因して生じる可能性がある、いかなる圧力上昇も、圧力調節器52によって均一化される場合がある。
【0088】
様々なセンサーおよびアクチュエータが、加圧流体の圧力、温度、および速度を測定してもよく、かつこれらに作用してもよい。
【0089】
図1の形成設備の実施形態についてすでに述べた通り、また図2に示す形成設備はまた、幾つかのパイプを備えてもよく、複数のまたはすべてのパイプには、それぞれ独自の個別に制御された圧力制御ユニット5と、それぞれ独自の個別に制御された温度制御ユニット3とが提供されてもよい。
【0090】
温度制御ユニット3および圧力制御ユニット5は、加圧流体が流体圧縮機2を離れた後で、かつ基本的に1本または幾つかのパイプ20の出口で、加圧流体の温度、圧力および速度を調整することを可能にする。注入ノズルならびに温度制御ユニット3および圧力制御ユニット5の一連の提供は、温度プロファイルおよび圧力プロファイルを(好ましくは独立して)、ロッド形成プロセスにおける異なる印加点で連続的に得ることを可能にする。
【0091】
これはまた、例えば形成プロセスの上流部分における過熱蒸気の印加によって、および形成プロセスの下流部分における加圧空気の印加によって、一つ以上の上流に配設されたパイプが加熱に使用され、かつ一つ以上の下流に配設されたパイプが冷却に使用される場合にも当てはまる。トウ材料に印加された過熱蒸気の温度および圧力を測定および調整することによって、トウ材料中の可塑剤の制御された液化および分配が達成されうる。トウ材料に、またはすでに形成されているが完全には安定化されていないロッドに印加される加圧空気の温度および圧力を測定および調整することによって、形成されたロッドの制御された硬化および形態安定化が達成されてもよい。これは有利なことに、加熱プロセスと冷却プロセスの両方において温度および圧力が逐次的に制御される場合に当てはまる。
【0092】
図3は、好ましくはエアロゾル発生物品用の連続的なロッドまたは連続的なロッド構成要素を製造するための製造ラインを示す。セグメントへと切断される、セルロースアセテートの中空ロッドが製造されることが好ましい。これらのセグメントは、加熱非燃焼式エアロゾル発生物品で使用されてもよい。
【0093】
製造ラインは、連続的な材料、例えばセルロースアセテートトウ材料を、搬送方向または供給方向100に沿って搬送するための搬送装置10を備える。
【0094】
製造ラインに沿って、準備ユニット7が配設されている。トウ材料は、搬送装置3によって準備ユニット7に供給される。準備ユニット7は、例えばトリアセチンなどの硬化流体または可塑剤で湿らせた、トウ材料の連続的な流れを形成するように適合されている。図3の実施形態において、可塑剤ユニットは、準備ユニット7の一部である。可塑剤ユニットは当業界で周知である。可塑剤ユニットはまた、準備ユニット7の上流に位置してもよい。準備ユニット7の下流に、製造ラインは、準備ユニット7に対して直列に配設された形成設備4を含む。形成設備4は、トウ材料の流れを受容するように、かつ材料の硬化を引き起こして、トウ材料を連続的な軸方向に剛直なロッドへと変形するように適合されている。
【0095】
有利なことに、製造ラインは、ロッドをラッピングペーパーの中に包むためのラッピングユニット8をさらに含む。さらに、製造ラインは、切断ユニット9、好ましくは周知のタイプの回転切断ヘッドを備えてもよい。切断ユニット9は、形成設備4およびラッピングユニット9の下流に配設されていて、ロッドをロッドセグメントへと切断するように適合されている。ロッドが切断されるセグメントの望ましい長さは、例えば適切な測定装置(図示せず)の助けを借りて得られる。
【0096】
適切なラッピングユニット8、搬送装置10、および切断ユニット9は当業界で周知であり、さらに記述しない。
【0097】
製造ラインは、形成設備4から信号を受信し、かつ形成設備4に信号を送信するように適合された主制御システム500を含む。主制御システム500を用いて、例えば圧力調節器が制御されてもよく、または温度制御ユニット(存在する場合)の加熱または非加熱が制御されてもよい。主制御システム500はまた、製造ライン、例えば準備ユニット7および搬送装置10のさらなるユニットも制御することが好ましい。また、ラッピングユニット8および切断ユニット9は、主制御システム500によって制御されてもよい。
【0098】
形成設備4を図4の拡大図に示す。形成設備4は、硬化材料で飽和されたトウ材料を受容するように適合された管状要素41を備える。搬送装置10の搬送方向だけでなく、形成設備4の管状要素41の中へのトウ材料の供給方向も、矢印100で図示されている。
【0099】
管状要素41は、トウ材料を概して円筒状のロッド(例えば完全なロッドまたは中空ロッド)へと変形するために成形するように、かつロッドを供給方向100で製造ラインのさらなる構成要素に前進させるように適合されている。
【0100】
管状要素41は、トウ材料が通ることができる穴45を画定する。好ましくは、穴45は内表面451を備える。内表面451は、実質的に円筒状のロッド様の形状の連続的なトウ材料を形成するためにトウ材料を圧縮する。
【0101】
管状要素41は、管状要素内部に配設されたマンドレルを備えてもよい。次いで、連続的なトウ材料は、マンドレルの周りに沿って、かつ内表面451内に案内され、それ故にトウ材料の中空管を形成する。
【0102】
形成設備4は、加圧された流体を管状要素41の内部の中に注入するために、二つの円形ノズル21と流体接続している流体圧縮機2をさらに備える。加圧流体は、トウ材料に存在する可塑剤を分配または硬化し、かつこれを実質的に剛直なロッドへと変形する。
【0103】
図4の実施形態において、管状要素41は、連続材料に作用する加圧流体のための二つの注入部位を備える単一の連続的な管状要素である。管状要素41に沿って配設された3~5個の注入部位で、加圧流体を注入するために、3個以上(例えば3~5個)のノズル21が存在することが好ましい。
【0104】
図5において、形成装置は、連続的な材料の供給方向(図5において右から左)に沿って直列に配置された、複数の分離された要素(ここでは5本の管状要素セグメント410)によって実現された管状要素41を備える。
【0105】
少なくとも、分離された要素セグメント410のうちの第一のセグメント(最も上流に配設されたセグメント)につながるパイプ20には、圧力制御ユニット5と、また好ましくは温度制御ユニット3(図示せず)とが提供されている。分離された要素セグメント410のうちの第一のセグメントおよび第二のセグメントにつながるパイプには、圧力制御ユニット5と、また最も好ましくは温度制御ユニット3とが提供されていることが好ましい。それ故に、少なくとも2本の最も上流に配設されたパイプ20は、発熱体30によって提供された熱に耐える材料で作製されている。
【0106】
好ましくは、分離された要素セグメント410のうちの最後のセグメント(最も下流に配設されたセグメント)は、例えば加圧空気を要素セグメント410の内部に案内することによって、連続的なロッドを冷却するために使用される。加圧空気を最後の要素セグメント410に案内するパイプ20は、発熱体を有するパイプの耐熱性を必要とせず、それ故に発熱体が提供されたパイプよりも耐熱性の低い材料で作製されてもよい。
【0107】
図6において、トウ材料の搬送方向で見た時の管状要素セグメント410のうちの最後のセグメントは、管状要素セグメント410内に位置する形成された内側管44を備えることが示されている。管状要素セグメント410を通過するトウは、形成された内側管44の内表面に沿って通る。それ故に、形成された内側管は、形成中にその形態をトウの外側上に付与する。形成された内側管44の内表面は、図4に示す通りの管状要素の内表面451を表しうる。
【0108】
形成された内側管は、実質的に円形の断面を備えることが好ましい。特に有利なことに、形成された内側管44は、例えば空気が溝に沿って通過するために、形成されたトウの外周に沿って数多くの溝を作り出す。管状要素41のすべての管状要素セグメント410は、内側管44を備えることが好ましい。トウ材料を加熱するための過熱蒸気が提供されている、上流に配設された要素セグメント410には、内側管44が提供されていることが最も好ましい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6