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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】衛星位置の分散型検証のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B64G 3/00 20060101AFI20241004BHJP
   G01S 19/14 20100101ALI20241004BHJP
   B64G 1/10 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B64G3/00
G01S19/14
B64G1/10 600
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022048310
(22)【出願日】2022-03-24
(65)【公開番号】P2022165389
(43)【公開日】2022-10-31
【審査請求日】2024-06-19
(31)【優先権主張番号】17/233,785
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラビック・ウロス
(72)【発明者】
【氏名】チウ・チ-チュン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バイス・アビシャイ
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-34310(JP,A)
【文献】特開平9-126761(JP,A)
【文献】米国特許第8242954(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 3/00
G01S 19/14
B64G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型衛星位置検証システムに対応付けられたプロトコルを実現するように構成された衛星であって、前記衛星は、
現時点における前記衛星の現在位置を推定するように構成された測位システムと、
他の1つ以上の衛星との遠隔測定のやり取りに参加するように構成されたトランシーバと、
前記プロトコルを実現する格納された命令と結合されたプロセッサとを備え、前記格納された命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記衛星に、
前記衛星の前記推定した現在位置を記録した報告を生成することと、
第1の衛星と第2の衛星と第3の衛星とを含む前記分散型衛星位置検証システムにおける前記他の1つ以上の衛星の位置の記録を検証することとを、実行させ、
前記第1の衛星は第1の動作を実行するように構成され、前記第2の衛星は第2の動作を実行するように構成され、前記第3の衛星は第3の動作を実行するように構成され、
前記プロトコルに従い、前記衛星は、異なる時点において、前記第1の動作、前記第2の動作、または前記第3の動作を実行することにより、それぞれ、前記第1の衛星、前記第2の衛星、または前記第3の衛星として機能し、
前記プロトコルに従い、前記第1の衛星は、前記第1の動作を実行することにより、前記第2の衛星の前記位置の記録における少なくともいくつかの位置を検証するように構成され、前記第1の衛星は、
前記第2の衛星および前記第3の衛星との前記遠隔測定のやり取りに参加することによって前記第2の衛星の検証済位置を求め、
第2の衛星の前記検証済位置と前記第2の衛星の事前推定位置との間の偏差を計算し、
前記計算した偏差に基づいて、前記検証済位置を前記第2の衛星の前記位置の記録内に記録する
ように、構成されている、衛星。
【請求項2】
前記遠隔測定のやり取りに参加するために、前記第1の衛星はさらに、複数の無線信号を、前記第2の衛星および前記第3の衛星の各々と、予め定められた順序でやり取りするように構成されている、請求項1に記載の衛星。
【請求項3】
前記第2の衛星の前記検証済位置を求めるために、前記第1の衛星はさらに、
前記無線信号の少なくとも1つの物理的特性に基づいて、特定の時点における前記第2の衛星の位置を求め、
前記特定の時点における前記第2の衛星の前記求めた位置に対応付けられた信頼値を求め、
前記信頼値に基づいて前記第2の衛星の前記検証済位置を求める
ように、構成されている、請求項2に記載の衛星。
【請求項4】
前記第2の衛星の前記検証済位置を求めるために、前記第1の衛星はさらに、
前記信頼値を予め定められた信頼範囲と比較し、
前記信頼値が前記予め定められた信頼範囲以下である場合、前記第2の衛星の前記検証済位置を、自己報告された検証済位置と判断し、
前記信頼値が前記予め定められた信頼範囲よりも大きい場合、前記第2の衛星の前記検証済位置を、自己報告された検証不能な位置と判断する
ように、構成されている、請求項3に記載の衛星。
【請求項5】
前記特定の時点における前記第2の衛星の位置を求めるために、前記第1の衛星はさらに、前記第2の衛星の位置を求めるための少なくとも1つの観測者衛星を識別するように構成されている、請求項3に記載の衛星。
【請求項6】
前記計算した偏差は、前記第2の衛星の前記検証済位置と前記第2の衛星の前記事前推定位置との間のユークリッド距離である、請求項1に記載の衛星。
【請求項7】
前記第2の衛星の前記検証済位置を前記第2の衛星の前記位置の記録内に記録するために、前記第1の衛星はさらに、
前記計算した偏差を予め定められた偏差範囲と比較し、
前記計算した偏差が前記予め定められた偏差範囲以下である場合、前記検証済位置を前記第2の衛星の前記位置の記録内に記録する
ように、構成されている、請求項1に記載の衛星。
【請求項8】
前記プロトコルは、信用違反スコア、信頼違反スコア、および参加違反スコアのうちの少なくとも1つに基づいて、前記第2の衛星に対応付けられた特権を取り下げるための動作をさらに含む、請求項1に記載の衛星。
【請求項9】
前記第2の衛星に対応付けられた前記特権を取り下げるために、前記プロトコルは、
前記第2の衛星に対応付けられた検証済位置の予め定められた長さのウィンドウ内で前記第2の衛星についての前記信用違反スコアを計算し、
前記計算した信用違反スコアを予め定められた信用違反スコア範囲と比較し、
前記計算した信用違反スコアが前記予め定められた信用違反スコア範囲よりも大きい場合、前記第2の衛星に対応付けられた前記特権を取り下げる
ための動作をさらに含む、請求項8に記載の衛星。
【請求項10】
前記第2の衛星に対応付けられた前記特権を取り下げるために、前記プロトコルは、
前記第2の衛星に対応付けられた検証済位置の予め定められた長さのウィンドウ内で前記第2の衛星についての前記信頼違反スコアを計算し、
前記計算した信頼違反スコアを予め定められた信頼違反スコア範囲と比較し、
前記計算した信頼違反スコアが前記予め定められた信頼違反スコア範囲よりも大きい場合、前記第2の衛星に対応付けられた前記特権を取り下げる
ための動作をさらに含む、請求項8に記載の衛星。
【請求項11】
前記第2の衛星に対応付けられた前記特権を取り下げるために、前記プロトコルは、
前記第2の衛星に対応付けられた検証済位置の予め定められた長さのウィンドウ内で前記第2の衛星についての前記参加違反スコアを計算し、
前記計算した参加違反スコアを予め定められた参加違反スコア範囲と比較し、
前記計算した参加違反スコアが前記予め定められた参加違反スコア範囲よりも大きい場合、前記第2の衛星に対応付けられた前記特権を取り下げる
ための動作をさらに含む、請求項8に記載の衛星。
【請求項12】
前記検証済位置を前記第2の衛星の前記位置の記録内に記録するために、前記第1の衛星はさらに、ブロックチェーントランザクションとして前記検証済位置を前記第2の衛星の前記位置の記録内にログ記録するように構成されている、請求項1に記載の衛星。
【請求項13】
前記第1の衛星および前記第3の衛星は、前記第2の衛星の見通し線(LOS)内にある、請求項1に記載の衛星。
【請求項14】
前記衛星は、前記衛星に対応付けられた信用スコアに基づいて、異なる時点のうちの1つの時点において、前記第1の衛星、前記第2の衛星、または前記第3の衛星として機能するように構成されている、請求項1に記載の衛星。
【請求項15】
分散型衛星位置検証システムに対応付けられたプロトコルを実現するための方法であって、前記方法は、
測位システムが、現時点における衛星の現在位置を推定するステップと、
トランシーバが、他の1つ以上の衛星との遠隔測定のやり取りに参加するステップと、
前記プロトコルを実現する格納された命令と結合されたプロセッサが、前記衛星の前記推定した現在位置を記録するための報告を生成するステップと、
前記プロセッサが、第1の衛星と第2の衛星と第3の衛星とを含む前記分散型衛星位置検証システムにおける前記他の1つ以上の衛星の位置の記録を検証するステップとを含み、
前記第1の衛星は第1の動作を実行するように構成され、前記第2の衛星は第2の動作を実行するように構成され、前記第3の衛星は第3の動作を実行するように構成され、
前記プロトコルに従い、前記衛星は、異なる時点において、前記第1の動作、前記第2の動作、または前記第3の動作を実行することにより、それぞれ、前記第1の衛星、前記第2の衛星、または前記第3の衛星として機能するように構成され、
前記プロトコルに従い、前記第1の衛星は、前記第1の動作を実行することにより、前記第2の衛星の前記位置の記録における少なくともいくつかの位置を検証するように構成され、前記第1の衛星は、
前記第2の衛星および前記第3の衛星との前記遠隔測定のやり取りに参加することによって前記第2の衛星の検証済位置を求め、
第2の衛星の前記検証済位置と前記第2の衛星の事前推定位置との間の偏差を計算し、
前記計算した偏差に基づいて、前記検証済位置を前記第2の衛星の前記位置の記録内に記録するように、構成されている、方法。
【請求項16】
分散型衛星位置検証システムに対応付けられた方法を実行するために衛星が実行可能なプログラムが実現された非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であって、前記方法は、
測位システムが、現時点における前記衛星の現在位置を推定するステップと、
トランシーバが、他の1つ以上の衛星との遠隔測定のやり取りに参加するステップと、
プロトコルを実現する格納された命令と結合されたプロセッサが、前記衛星の前記推定した現在位置を記録するための報告を生成するステップと、
前記プロセッサが、第1の衛星と第2の衛星と第3の衛星とを含む前記分散型衛星位置検証システムにおける前記他の1つ以上の衛星の位置の記録を検証するステップとを含み、
前記第1の衛星は第1の動作を実行するように構成され、前記第2の衛星は第2の動作を実行するように構成され、前記第3の衛星は第3の動作を実行するように構成され、
前記プロトコルに従い、前記衛星は、異なる時点において、前記第1の動作、前記第2の動作、または前記第3の動作を実行することにより、それぞれ、前記第1の衛星、前記第2の衛星、または前記第3の衛星として機能するように構成され、
前記プロトコルに従い、前記第1の衛星は、前記第1の動作を実行することにより、前記第2の衛星の前記位置の記録における少なくともいくつかの位置を検証するように構成され、前記第1の衛星は、
前記第2の衛星および前記第3の衛星との前記遠隔測定のやり取りに参加することによって前記第2の衛星の検証済位置を求め、
第2の衛星の前記検証済位置と前記第2の衛星の事前推定位置との間の偏差を計算し、
前記計算した偏差に基づいて、前記検証済位置を前記第2の衛星の前記位置の記録内に記録するように、構成されている、非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して衛星に関し、より具体的には衛星位置の分散型検証のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在さまざまな衛星追跡技術が存在する。これらの技術は、地上ベースの光学追跡技術や地上局技術などのような地上ベースの衛星追跡技術を含む。地上ベースの光学追跡技術では、望遠鏡などを用いて衛星を追跡することができる。地上局技術では、電波探知測距(RADAR:Radio Detection and Ranging)技術などを用いて衛星を追跡することができる。
【0003】
しかしながら、空域には無数の衛星が存在するので、これらの技術は実現できない場合がある。具体的には、地上ベースの光学追跡技術は、衛星に対して一層の制約を追加する。例を挙げると、この制約は、衛星が空域内で追跡されるのに十分な大きさを持つように衛星のどの寸法も10cm以上でなければならない、という制約の場合がある。しかしながら、用途によっては、衛星のサイズをさらに小さくすることが可能であるかもしれず望ましくさえあるかもしれない。なぜなら、国家および企業の双方にとって、衛星が小さいほど宇宙にアクセスし易いからである。宇宙にアクセスし易くすることが可能になるのは、小型衛星が、コンステレーション(constellation)の一部であり、かつ、より少ない数の大型衛星が従来行っているタスクを実行できる場合に限られる。宇宙にはこのようなコンステレーションが多数存在する可能性があり、その数が原因で、そのサイズには関係なく、宇宙状況把握(space situational awareness)の維持に一層の負担がかかる場合がある。
【0004】
したがって、地上ベースの衛星追跡技術に対する依存を低減するシステムが必要である。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態の目的は、衛星を追跡するための地上ベースの衛星追跡技術に対する依存が低減されるように、衛星が報告した位置を検証するためのプロトコルを提供することである。また、いくつかの実施形態の目的は、このプロトコルを分散方式で実現するためのシステムを、当該システムがロバストネスおよびスケーラビリティという利点をもたらすように、提供することである。
【0006】
いくつかの実施形態に従うと、衛星は、対応する位置および時間を報告するための測位システムを含み得る。いくつかの実施形態は、衛星がある時点で報告した位置が、測位システムの欠陥やシステムノイズなどに起因して、正確ではない場合がある、という認識に基づいている。このため、衛星が報告する位置は、現時点における衛星の推定現在位置になる傾向がある。
【0007】
そのため、いくつかの実施形態は、衛星の推定位置を検証することを目的とする。いくつかの実施形態は、衛星は移動している物体なので検証の終了までに衛星の位置が変わる可能性があることから、衛星の推定現在位置の検証は好都合ではない、という認識に基づいている。そのため、いくつかの実施形態は、衛星の事前推定位置を公式化する。事前推定位置は、衛星の力学に基づいて公式化し得る、未来の時間の衛星の予測位置であってもよい。いくつかの実施形態は、事前推定位置は理想的な条件を考慮して公式化するので、予測(すなわち事前推定位置)と現実との間には差異がある可能性がある、という理解に基づいている。
【0008】
そのため、いくつかの実施形態の目的は、未来の時間の衛星の事後推定位置(以下検証済位置)を事前推定位置と差し替えることができるように、この事後推定位置を求めることである。上記プロトコルに従い、検証済位置を、衛星によって報告された位置に基づいて求めてもよい。衛星によって報告された位置は正確ではない可能性があるので、当該衛星は、他の1つ以上の衛星との遠隔測定のやり取りに参加してもよく、この場合、他の1つ以上の衛星は、当該衛星の見通し線内の検証者(verifier)衛星である。上記プロトコルに従い、当該衛星と他の1つ以上の衛星との間の遠隔測定のやり取りは、当該衛星と他の1つ以上の衛星との間の無線信号のやり取りであってもよい。上記プロトコルに従い、無線信号を、予め定められた順序でやり取りしてもよい。上記プロトコルに従い、1つ以上の観測者(observer)衛星も、遠隔測定のやり取りに参加してもよい。そのため、当該衛星、他の1つ以上の衛星、および少なくとも1つの観測者衛星の各々が、対応する位置および時間を報告する場合、特定の時点における当該衛星の位置は、無線信号の少なくとも1つの特性に基づいて求めてもよい。
【0009】
上記プロトコルに従い、求めた位置の信頼値を求めてもよい。信頼値が予め定められた信頼範囲に含まれている場合、検証済位置を、自己報告された検証済位置と判断してもよい。信頼値が予め定められた信頼範囲に含まれていない場合、検証済位置を、自己報告された検証不能な位置と判断してもよい。上記プロトコルに従い、当該衛星が遠隔測定のやり取りにおいて位置および時間を報告しない場合、検証済位置を、未報告位置と判断してよい。上記プロトコルに従い、他の1つ以上の衛星がその対応する位置および時間を報告しない場合、検証済位置を、自己報告された未検証位置と判断してもよい。そのため、検証済位置は、4つの可能性のうちの1つと判断される、すなわち、自己報告された検証済位置、自己報告された検証不能な位置、未報告位置、または自己報告された未検証位置と判断される。
【0010】
上記プロトコルに従い、検証済位置と事前推定位置との間の偏差を計算してもよい。例を挙げると、偏差は、検証済位置と事前推定位置との間のユークリッド距離であってもよい。プロトコルに従い、偏差を、予め定められた偏差範囲と比較してもよい。偏差が予め定められた偏差範囲に含まれる場合、検証済位置を、優先順位に基づいて、衛星の位置の記録内に記録してもよい。いくつかの実施形態において、検証済位置を、ブロックチェーントランザクションとして、衛星の位置の記録内にログ記録してもよい。偏差が予め定められた偏差範囲に含まれない場合、検証済位置を却下してもよい。
【0011】
上記プロトコルに従い、当該衛星に対応付けられた特権を、信用違反スコア、参加違反スコア、および信頼違反スコアのうちの少なくとも1つに基づいて取り下げてもよい。
【0012】
上記プロトコルに従い、当該衛星に対応付けられた特権を取り下げるために、当該衛星の信用違反スコアを計算してもよい。さらに、信用違反スコアを、予め定められた信用違反スコア範囲と比較してもよい。さらに、信用違反スコアが予め定められた信用違反スコア範囲よりも大きい場合、当該衛星に対応付けられた特権を取り下げてもよい。
【0013】
上記プロトコルに従い、当該衛星に対応付けられた特権を取り下げるために、当該衛星の信頼違反スコアを計算してもよい。さらに、信頼違反スコアを、予め定められた信頼違反スコア範囲と比較してもよい。さらに、信頼違反スコアが予め定められた信頼違反スコア範囲よりも大きい場合、当該衛星に対応付けられた特権を取り下げてもよい。
【0014】
上記プロトコルに従い、当該衛星に対応付けられた特権を取り下げるために、当該衛星の参加違反スコアを計算してもよい。さらに、参加違反スコアを、予め定められた参加違反スコア範囲と比較してもよい。さらに、参加違反スコアが予め定められた参加違反スコア範囲よりも大きい場合、当該衛星に対応付けられた特権を取り下げてもよい。
【0015】
ある実施形態に従い、分散型衛星位置検証システムに対応付けられたプロトコルを実現するように構成された衛星が提供される。この衛星は、現時点における当該衛星の現在位置を推定するように構成された測位システムと、他の1つ以上の衛星との遠隔測定のやり取りに参加するように構成されたトランシーバとを含む。当該衛星は、このプロトコルを実現する格納された命令と結合されたプロセッサをさらに含み、格納された命令は、プロセッサによって実行されると、当該衛星に、当該衛星の推定現在位置を記録した報告を生成することと、分散型衛星位置検証システムにおける他の1つ以上の衛星の位置の記録を検証することとを実行させる。分散型衛星位置検証システムは、第1の衛星と、第2の衛星と、第3の衛星とを含む。第1の衛星は、第1の動作を実行するように構成される。第2の衛星は、第2の動作を実行するように構成される。第3の衛星は、第3の動作を実行するように構成される。上記プロトコルに従い、衛星は、異なる時点において、第1の動作、第2の動作、または第3の動作を実行することにより、それぞれ、第1の衛星、第2の衛星、または第3の衛星として機能する。上記プロトコルに従い、第1の衛星は、第1の動作を実行することにより、第2の衛星の位置の記録における少なくともいくつかの位置を検証するように構成され、第1の衛星は、第2の衛星および第3の衛星との遠隔測定のやり取りに参加することによって第2の衛星の検証済位置を求め、第2の衛星の検証済位置と第2の衛星の事前推定位置との間の偏差を計算し、計算した偏差に基づいて、検証済位置を第2の衛星の位置の記録内に記録するように、構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本開示のいくつかの実施形態に係る、地球の周りを公転する衛星を示す具体例としてのシナリオを説明する図である。
図1B】本開示のいくつかの実施形態に係る、衛星の事前推定位置を公式化するための概略図を示す。
図2A】本開示のいくつかの実施形態に係る、分散型衛星位置検証システムの概略図を示す。
図2B】本開示のいくつかの実施形態に係る、衛星のブロック図を示す。
図3A】本開示のいくつかの実施形態に係る、地球の周りの複数のコンステレーションを示す具体例としてのシナリオを説明する図である。
図3B】本開示のいくつかの実施形態に係る、遠隔測定のやり取りに参加する第1の衛星、第2の衛星、および第3の衛星を示す具体例としてのシナリオを説明する図である。
図3C】本開示のいくつかの実施形態に係る、3層の暗号化されたメッセージを示す図である。
図3D】本開示のいくつかの実施形態に係る、プロトコルによって定められた検証を示すフローチャートを説明する図である。
図3E】本開示のいくつかの実施形態に係る、第2の衛星の検証済位置を求めるためのフローチャートを説明する図である。
図4A】本開示のいくつかの実施形態に係る、第2の衛星の位置の記録を示す概略図を説明する図である。
図4B】本開示のいくつかの実施形態に係る、衛星のさまざまな位置の優先順位を示す概略図を説明する図である。
図5-1】本開示のいくつかの実施形態に係る、プロトコルの実現に対応付けられた方法のフローチャートを示す図である。
図5-2】本開示のいくつかの実施形態に係る、プロトコルの実現に対応付けられた方法のフローチャートを示す図である。
図6】本開示の他のいくつかの実施形態に係る、地球の周りの複数のコンステレーションを示す具体例としてのシナリオを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の記載では、説明を目的として、本開示の十分な理解が得られるよう多数の具体的な詳細事項を述べる。しかしながら、本開示はこれらの具体的な詳細事項がなくても実施可能であることが当業者には明らかであろう。その他の場合では、装置および方法を、本開示を曖昧にするのを避けるためにのみ、ブロック図の形式で示す。
【0018】
本明細書および請求項で使用される、「たとえば(for example)」、「例を挙げると(for instance)」、および「~のような(such as)」という用語、ならびに「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、およびこれらの動詞の他の形態は、1つ以上の構成要素またはその他のアイテムの列挙とともに使用される場合、その列挙がさらに他の構成要素またはアイテムを除外するとみなされてはならないことを意味する、オープンエンドと解釈されねばならない。「~に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。さらに、本明細書で使用される文体および術語は、説明のためのものであって限定とみなされてはならないことが理解されるはずである。本明細書で使用されるいかなる見出しも、便宜的なものにすぎず、法的または限定効果を持つものではない。
【0019】
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、地球102の周りを公転する衛星104を示す具体例としてのシナリオ100を説明する図である。衛星104は、通信用途、ナビゲーション用途、軍事用途などのような各種用途に使用されるマシンである。衛星104は、重力のような自然力を受けて、地球102の周りの円軌道(または楕円軌道)108で方向106(または方向106と反対の方向)に公転する。たとえば、衛星104に対応付けられた運動量が自然の重力と釣り合っているときに、衛星104は地球102の周りを公転する。いくつかの実施形態は、衛星104に対応付けられた運動量と自然の重力との釣り合いが保たれないときに、衛星104は地球102の周りの円軌道108で公転しない場合がある、という理解に基づいている。例を挙げると、衛星104は、落下して地球102に戻る場合がある、または空域で消える場合がある。このように、衛星104はその意図する用途を実行しない場合がある。
【0020】
いくつかの実施形態は、ある期間にわたり、衛星104に対応付けられた位置(3次元位置)を求めることにより、衛星104がその意図する用途を実行していないことを確認できる、という認識に基づいている。いくつかの実施形態に従うと、ある時点における衛星104の位置を、地球102上に位置する地上ベースのシステムから予め定められた周波数の信号を送信することによって求める場合がある。しかしながら、空域には無数の衛星が存在するので、地上ベースのシステムを用いて衛星104の位置を求めることは実際的ではない。そのため、いくつかの実施形態は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)(たとえば全地球測位システム(GPS:Global Positioning System))を衛星104に組み込んで衛星の位置および時間を記録し報告することを目的とする。いくつかの実施形態は、システムの欠陥やシステムノイズなどが原因で、GNSSが衛星104の位置を正確に報告しない場合がある、という認識に基づいている。そのため、GNSSが報告(または記録)する位置は、現時点における衛星の推定現在位置になる傾向がある。
【0021】
そのため、いくつかの実施形態は、衛星104の推定現在位置を検証することを目的とする。いくつかの実施形態は、衛星は移動している物体なので検証の終了までに衛星104の位置が変わる可能性があることから、衛星の推定現在位置の検証は好都合ではない、という認識に基づいている。そのため、いくつかの実施形態は、衛星104の事前推定位置を公式化する。例を挙げると、衛星104の事前推定位置を、図1Bの詳細な説明に記載されているように公式化してもよい。
【0022】
【数1】
【0023】
【数2】
【0024】
【数3】
【0025】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、分散型衛星位置検証システム200の概略図を示す。ある実施形態に従うと、分散型衛星位置検証システム200は、少なくとも第1の衛星202と第2の衛星204と第3の衛星206とを含み得る。分散型衛星位置検証システム200はさらにネットワーク208を含み得る。ネットワーク208は、上記プロトコルを実行するように構成された分散型ネットワークであってもよい。ネットワーク208は、第1の衛星202、第2の衛星204、および第3の衛星206に対応付けられたコンステレーションオペレータまたは衛星オペレータによって形成されてもよい。第1の衛星202、第2の衛星204、および第3の衛星206の各々は、ネットワーク208に接続されてもよい。ある実施形態に従うと、分散型衛星位置検証システム200は、第1の衛星202、第2の衛星204、および第3の衛星206の各々が、ネットワーク208によって実行されるプロトコルを実現する(またはそれに従う)ように構成されたときに、有効にされてもよい。このプロトコルに従い、第1の衛星202は第1の動作を実行するように構成され、第2の衛星204は第2の動作を実行するように構成され、第3の衛星206は第3の動作を実行するように構成される。例を挙げると、このプロトコルを実現するための衛星は、図2Bの詳細な説明に記載されるものであってもよい。
【0026】
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、衛星210のブロック図を示す。衛星210は、現時点における衛星210の現在位置を推定するように構成された測位システム210aを含み得る。例を挙げると、測位システム210aは、全地球航法衛星システム(GNSS)などに対応していてもよい。衛星210は、他の1つ以上の衛星との遠隔測定のやり取りに参加するように構成されたトランシーバ210bをさらに含み得る。例を挙げると、トランシーバ210bは、無線周波数(RF)トランシーバなどに対応していてもよい。さらに、衛星210は、格納された命令を実行するように構成されたプロセッサ210cと、プロセッサ210cによる実行が可能な命令を格納するメモリ210fとを含み得る。例を挙げると、プロセッサ210cは、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、または任意の数の他の構成であってもよい。メモリ210fは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、またはその他任意の適切なメモリシステムを含み得る。プロセッサ210cは、バス210gを介して、測位システム210a、トランシーバ210b、メモリ210f、および記憶装置210dのうちの1つ以上に接続される。さらに、衛星210は、プロセッサ210cのための実行可能な命令を格納するさまざまなモジュールを格納するように適合させた記憶装置210dを含み得る。記憶装置210dは、ハードドライブ、光学ドライブ、サムドライブ、ドライブのアレイ、またはそれらの任意の組み合わせを用いて実現されてもよい。
【0027】
記憶装置210dは、分散型衛星位置検証システム200に対応付けられたプロトコル210eを格納するように構成されてもよい。ある実施形態に従うと、プロセッサ210cは、記憶装置210dに格納された命令の実行時に、記憶装置210dに格納されたプロトコル210eを実現してもよい。
【0028】
ある実施形態に従うと、プロセッサ210cは、格納された命令の実行時に、衛星210の推定現在位置を記録した報告を衛星210に作成させてもよい。例を挙げると、衛星210によって作成された報告は、衛星210の推定現在位置(たとえば現在の3次元位置)と現在の時間とを含み得る。さらに、プロセッサ210cは、分散型衛星位置検証システム200内の他の1つ以上の衛星の位置の記録を検証するために、プロトコル210eによって定められた検証を、衛星210に実行させてもよい。図2Aに示されるように、分散型衛星位置検証システム200は、少なくとも第1の衛星202と第2の衛星204と第3の衛星206とを含み得る。プロトコル210eに従い、衛星210は、異なる時点において、第1の動作、第2の動作、および第3の動作を実行することにより、それぞれ第1の衛星202、第2の衛星204、または第3の衛星206として機能するように構成される。一例としての実施形態において、衛星210は、ある時点において、衛星210に対応付けられた信用スコアに基づき、第1の衛星202、第2の衛星204、または第3の衛星206のうちの少なくとも1つとして機能してもよい。本明細書で使用される信用スコアは、(衛星210等の)衛星がその位置をありのままに報告するか否かの判断に基づいてこの衛星に与えられるスコアであってもよい。プロトコル210eに従い、衛星210に初期信用スコアが与えられてもよく、初期信用スコアは、衛星210がその位置をありのままに報告しない場合は低減されてもよく、または、衛星210がその位置をありのままに報告する場合は増大されてもよい。プロトコル210eに従い、衛星210に対応付けられた信用が信用スコアレベル(または初期信用スコア)を下回る場合、衛星210は、第2の動作を実行することにより第2の衛星204として機能するように構成される。プロトコル210eに従い、衛星210に対応付けられた信用スコアが信用スコアレベルを上回る場合、衛星210は、第1の動作または第3の動作のうちの少なくとも1つを実行することで、それぞれ、第1の衛星202または第3の衛星206のうちの少なくとも一方として機能するように、構成される。さらに、第1の衛星202が実行する第1の動作、第2の衛星204が実行する第2の動作、および第3の衛星206が実行する第3の動作は、図3A図3Eの詳細な説明に記載される。
【0029】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、地球302の周りの複数のコンステレーション306および308を示す具体例としてのシナリオ300を示す。本明細書で使用される「コンステレーション」は、衛星のグループに対応していてもよい。このため、複数のコンステレーション306および308の各々は、地球302の周りを公転する複数の衛星を含み得る。例を挙げると、コンステレーション306は、複数の衛星306a、306b、および306cを含み得る。例を挙げると、コンステレーション308は、複数の衛星308a、308b、308c、および308dを含み得る。ここでは説明のために2つのコンステレーション306および308を考慮する。しかしながら、地球302の周りには任意の有限数のコンステレーションが存在し得る。
【0030】
ある実施形態に従うと、複数のコンステレーション306および308の各々における各衛星は、ネットワーク304が実行するプロトコル(すなわちプロトコル210e)を実現するように構成される。そのため、分散型衛星位置検証システムは、各衛星がネットワーク304とともに分散型衛星位置検証システムのメンバーとなるように、仮想的に作成されてもよい。ある実施形態において、ネットワーク304はネットワーク208に対応していてもよい。この実施形態の一例において、ネットワーク304は、上記プロトコルを実行するように構成された分散型ネットワークであってもよい。ネットワーク304は、コンステレーション306および308のコンステレーションオペレータによってまたは複数のコンステレーション306および308の各衛星に対応付けられた衛星オペレータによって形成されてもよい。ある代替実施形態において、ネットワーク304は、上記プロトコルを実行するように構成された集中型ネットワークであってもよい。この実施形態の一例において、ネットワーク304は、上記プロトコルを実行するためのプロセッサおよびメモリを少なくとも含む中央サーバなどによって形成されてもよい。ある好ましい実施形態において、ネットワーク304は分散型ネットワークである。なぜなら、ネットワーク304が分散型である場合、ネットワーク304は衛星測位のロバストネスを改善するからである。例を挙げると、計算を分散させることは、優先される衛星に与えられる不公平な利点が回避されることを示し得る。たとえば、不公平な利点により、優先される衛星から報告される位置が、正確でなくても正確とみなされる場合がある。さらに、計算を分散させることは、一般的に、計算の重複性によってロバストネスを向上させる。さらに、ネットワーク304が分散型ネットワークである場合、ネットワーク304はスケーラビリティの利点を提供する。例を挙げると、たとえ空域内で衛星の数が増加しても、それは分散型ネットワークに大きな影響を及ぼさない可能性があり、その理由として、分散型ネットワークでは参加者の数に比例して計算能力が高くなることが挙げられる。
【0031】
このプロトコルに従い、ネットワーク304は、異なるコンステレーション内の異なる衛星に対し、一定間隔でチャレンジを発行するように構成される。チャレンジの発行の一部として、ネットワーク304は、少なくとも3つの衛星を識別するように構成されてもよい。少なくとも3つの衛星は、第1の検証者衛星(第1の衛星iとも呼ばれる)と、ターゲット衛星(第2の衛星iとも呼ばれる)と、第2の検証者衛星(第3の衛星iとも呼ばれる)とを含み得る。実施形態の一例において、ネットワーク304は、第2の衛星が、第1の衛星および第3の衛星のコンスタレーションとは異なるコンスタレーションに対応付けられるように、第1の衛星、第2の衛星、および第3の衛星を識別してもよい。説明のために、ネットワーク304が識別する第2の衛星、第1の衛星、および第3の衛星は、それぞれ衛星306c、衛星308a、および衛星308bとみなされる。以下、衛星306cを第2の衛星306cと呼ぶ場合がある。第2の衛星306cは第2の衛星204に対応していてもよい。以下、衛星308aおよび衛星308bを、それぞれ第1の衛星308aおよび第3の衛星308bと呼ぶ場合がある。第1の衛星308aおよび第3の衛星308bは、第1の衛星202および第3の衛星206に対応していてもよい。
【0032】
【数4】
【0033】
さらに、実施形態の一例において、ネットワーク304は、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bの各々に対応付けられた信用スコアに基づいて、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bを識別するように構成されてもよい。好ましい実施形態において、ネットワーク304は、第2の衛星306cが低い信用スコア(たとえば信用スコアレベルを下回る信用スコア)に対応付けられ第1の衛星308aおよび第3の衛星308bが高い信用スコア(たとえば信用スコアレベルを上回る信用スコア)に対応付けられるように、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bを識別するように構成されてもよい。
【0034】
第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bが識別されると、ネットワーク304は、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bが遠隔測定のやり取りに参加できるようにしてもよい。本明細書で使用される遠隔測定のやり取りは、第1の衛星308aと第2の衛星306cと第3の衛星308bとの間での複数の無線信号のやり取りに対応していてもよい。例を挙げると、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bは、図3Bの詳細な説明に記載される遠隔測定のやり取りに参加する。
【0035】
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、遠隔測定のやり取りに参加する第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bを示す具体例としてのシナリオ310を説明する図である。ある実施形態に従うと、遠隔測定のやり取りに参加するために、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bは、複数の無線信号を予め定められた順序でやり取りするように構成される。いくつかの実施形態に従うと、予め定められた順序を保証するために、ネットワーク304は、無線信号を3層の暗号化されたメッセージ312として送信(またはブロードキャスト)するように構成される。ある実施形態において、3層の暗号化されたメッセージは、ネットワーク304によって形成されてもよい。たとえば、ネットワーク304は、図3Cの詳細な説明に記載されるように3層の暗号化されたメッセージ312を形成してもよい。
【0036】
図3Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る、3層の暗号化されたメッセージ312を示す。ある実施形態に従うと、ネットワーク304は、3層の暗号化されたメッセージ312を、外層312aは第3の衛星308bによる解読が可能であり、中間層312bは第2の衛星306cによる解読が可能であり、内層312cは第1の衛星308aによる解読が可能となるように、形成してもよい。例を挙げると、3つの層(外層312a、中間層312b、および内層312c)を以下のように数学的に表してもよい。
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
【0039】
【数7】
【0040】
【数8】
【0041】
【数9】
【0042】
【数10】
【0043】
【数11】
【0044】
【数12】
【0045】
式(7)を式(5)および(6)に代入することにより、式(5)および(6)における変数の数を5つの変数に減じてもよい。すなわち、式(5)および(6)は、式(7)を式(5)および(6)に代入した後であっても、1つの式によって劣決定される。
【0046】
【数13】
【0047】
【数14】
【0048】
【数15】
【0049】
【数16】
【0050】
【数17】
【0051】
【数18】
【0052】
【数19】
【0053】
【数20】
【0054】
【数21】
【0055】
【数22】
【0056】
【数23】
【0057】
ここでは説明のために、第1の衛星308aが時間tk+1における検証済位置402dを求め検証済位置402dを第1の記録内に記録することについて検討している。しかしながら、衛星がこのプロトコルをある時間にわたって実現する場合、検証済位置402dに関して説明したのと同様に、第1の動作を実行する検証者衛星として機能するいずれかの衛星が、将来、検証済位置402eを求めて第1の記録内に記録してもよい。
【0058】
上記プロトコルに従うと、検証済位置402dは、自己報告された検証済位置、自己報告された検証不能な位置、自己報告された未検証位置、または未報告位置、という4つの可能性のうちの1つに基づいて、求められるので、検証済位置402dは、将来、優先順位に従って上書きされてもよい。例を挙げると、検証済位置を上書きするための優先順位は、図4Bの詳細な説明に記載されるものであってもよい。
【0059】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、優先順位を示す概略図408を説明する図である。概略図408で説明されているように、ステータスの優先順位は以下のように与えられる。
【0060】
【数24】
【0061】
【数25】
【0062】
【数26】
【0063】
【数27】
【0064】
【数28】
【0065】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に係る、プロトコル500のフローチャートを示す。図5を、図2A図4Bとの関連で説明する。プロトコル500は、最初にステップ502において、チャレンジを発行することを含み得る。例を挙げると、ネットワーク304は、図3A~3Cの詳細な説明に記載されているように、チャレンジを発行してもよい。ステップ504において、プロトコル500は、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bが遠隔測定のやり取りに参加できるようにすることを含み得る。例を挙げると、ネットワーク304は、図3Bの詳細な説明に記載されているように、第1の衛星308a、第2の衛星306c、および第3の衛星308bが遠隔測定のやり取りに参加できるようにしてもよい。
【0066】
【数29】
【0067】
【数30】
【0068】
【数31】
【0069】
【数32】
【0070】
【数33】
【0071】
ステップ516において、プロトコル500は、カウンタ値lを1だけインクリメントすることを含み得る。実施形態の一例において、カウンタ値lは、第2の衛星306cに対応付けられる。例を挙げると、第1の衛星308c(またはネットワーク304)は、カウンタ値lを1だけインクリメントしてもよい。
【0072】
ステップ518において、プロトコル500は、カウンタ値lが予め定められたカウンタ値Nに等しいか否かを確認することを含み得る。例を挙げると、第1の衛星308a(またはネットワーク304)は、カウンタ値lが予め定められたカウンタ値Nに等しいか否かを確認してもよい。
【0073】
カウンタ値lが予め定められたカウンタ値Nに等しくない場合、プロトコル500は、ステップ502に進み、カウンタ値lが予め定められたカウンタ値Nに等しくなるまでステップ502~516を繰り返してもよい。したがって、第2の衛星306cについてN個の検証済位置が求められてもよく、これは、N個の検証済位置のウィンドウを表し得る。例を挙げると、Nのカウンタ値を設定することにより、予め定められた長さNの検証済位置のウィンドウを得てもよい。
【0074】
【数34】
【0075】
【数35】
【0076】
【数36】
【0077】
【数37】
【0078】
【数38】
【0079】
【数39】
【0080】
【数40】
【0081】
【数41】
【0082】
【数42】
【0083】
ここでは説明のために、予め定められた長さNの単一のウィンドウを用いて計算された信用違反スコア、信頼違反スコア、および参加違反スコアについて検討している。しかしながら、いくつかの実装形態において、信用違反スコアを予め定められた長さNのウィンドウを用いて計算してもよく、信頼違反スコアを予め定められた長さNのウィンドウを用いて計算してもよく、参加違反スコアを予め定められた長さNのウィンドウを用いて計算してもよく、予め定められた値N、N、およびNの各々は互いに異なる。これらの実装形態において、カウンタ値NをN=max(N,N,N)に設定することにより、予め定められた長さNのウィンドウを用いて信用違反スコアを計算し、予め定められた長さNのウィンドウを用いて信頼違反スコアを計算し、予め定められた長さNのウィンドウを用いて参加違反スコアを計算してもよい。
【0084】
いくつかの実施形態の例において、プロトコル500を、ブロックチェーン技術を用いて実現してもよい。例を挙げると、図6の詳細な説明に記載されているようにブロックチェーン技術を用いてプロトコル500を実現する。
【0085】
図6は、本開示の他のいくつかの実施形態に係る、地球602の周りの複数のコンステレーション606および608を示す具体例としてのシナリオ600を説明する図である。図6を、図3A図5との関連で説明する。コンステレーション606および608は、コンステレーション306および308に対応していてもよい。コンステレーション606の衛星606a、606b、および606cは、コンステレーション306の衛星306a、306b、および306cに対応していてもよい。コンステレーション608の衛星608a、608b、608c、および608dは、コンステレーション308の衛星308a、308b、308c、および308dに対応していてもよい。ある実施形態に従うと、プロトコル500は、許可されたブロックチェーンプロトコルとして、ネットワーク604(すなわちネットワーク304)によって実行されてもよい。この実施形態において、ネットワーク604は、コンステレーション606および608のコンステレーションオペレータ、またはコンステレーション606および608内の各衛星の衛星オペレータによって形成されたブロックチェーンベースのネットワークであってもよい。
【0086】
許可されたブロックチェーンプロトコルを実行する際、ネットワーク604は、暗号パズルとしてチャレンジを発行してもよい。チャレンジの発行の一部として、第1の検証者衛星(たとえば第1の衛星608a)、ターゲット衛星(たとえば第2の衛星606c)、および第2の検証者衛星(たとえば第3の衛星608b)が、ネットワーク604によって識別される。許可されたブロックチェーンプロトコルに従い、暗号パズルを完成させるために、第1の検証者衛星、ターゲット衛星、および第2の検証者衛星は、図3Bの詳細な説明に記載されるように、遠隔測定のやり取りに参加する。許可されたブロックチェーンプロトコルに従い、第1の検証者衛星(またはネットワーク604)は、ターゲット衛星の事後推定位置を、以下の可能性のうちの1つ、すなわち、自己報告された検証済位置、自己報告された検証不能な位置、自己報告された未検証位置、または未報告位置と判断してもよく、よって、事後推定位置を求める際の合意が実現される。許可されたブロックチェーンプロトコルに従い、第1の検証者衛星(またはネットワーク604)は、図4Aの詳細な説明に記載されるように、ターゲット衛星の、求めた事後推定位置を、ターゲット衛星の位置の記録内に記録してもよい。実施形態の一例において、ターゲット衛星の、求めた事後推定位置を、ターゲット衛星の位置の記録内に記録するために、第1の検証者衛星(またはネットワーク604)は、求めたターゲット衛星の事後推定位置を、ブロックチェーントランザクションとしてログ記録してもよい。よって、求めたターゲット衛星の事後推定位置を記録するブロック610xは、ブロックのチェーン610に更新されてもよい。ブロック610xは、第1の検証者衛星、ターゲット衛星、第2の検証者衛星、および少なくとも1つの観測者衛星によって記録された位置報告610x-0に関するデータをさらに含み得る。さらに、ブロック610xは、発行され完了したチャレンジ610x-1に関するデータをさらに含み得る。許可されたブロックチェーンプロトコルに従い、第1の検証者衛星(またはネットワーク604)はさらに、図5の詳細な説明に記載されているように、ターゲット衛星に対応付けられた特権を取り下げるように構成されてもよい。
【0087】
許可されたブロックチェーンプロトコルに従い、分散型衛星位置検証システムをビザンチン障害のような欠陥または悪意のある通信から守るために、分散型衛星位置検証システムをハイパーレジャーファブリック(Hyper-ledger Fabric)の実用的なビザンチンフォールトトレランス(PBFT:Practical Byzantine Fault Tolerance)アルゴリズムで実現してもよい。
【0088】
上記説明は、具体例としての実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図していない。むしろ、具体例としての実施形態の上記説明は、具体例としての1つ以上の実施形態の実装を可能にする説明を当業者に提供するであろう。添付の請求項に記載されている開示された主題の精神および範囲から逸脱することなく要素の機能および構成に対してなされ得る各種変更が意図されている。
【0089】
具体的な詳細事項は、上記説明において、実施形態の十分な理解を得るために与えられている。しかしながら、これらの具体的な詳細事項がなくても実施形態を実行できることを、当業者は理解できる。たとえば、開示された主題におけるシステム、プロセス、および他の要素は、実施形態を不必要な詳細で不明瞭にしないために、ブロック図の形態で構成要素として示される場合もある。他の例では、実施形態を不明瞭にしないよう、周知のプロセス、構造、および技術は、不必要な詳細事項なしで示されることがある。さらに、各種図面における同様の参照番号および名称は同様の要素を示す。
【0090】
また、個々の実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスとして説明される場合がある。フローチャートは動作を逐次プロセスとして説明する場合があるが、動作の多くは並行してまたは同時に実行することができる。加えて、動作の順序は並べ替えられてもよい。プロセスは、その動作が完了したときに終了されてもよいが、論じられていないかまたは図に含まれていない追加のステップを有する場合がある。さらに、具体的に記載されている何らかのプロセスにおけるすべての動作がすべての実施形態に起こり得る訳ではない。プロセスは、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、関数の終了は、呼び出し関数または主関数に関数を戻すことに対応し得る。
【0091】
さらに、開示されている主題の実施形態は、少なくとも一部が、手作業または自動のいずれかで実装されてもよい。手作業または自動の実装は、マシン、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはその任意の組み合わせを通じて、実行されてもよく、または、少なくとも支援されてもよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコードで実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、マシン読取可能媒体に格納されてもよい。プロセッサ(複数のプロセッサ)が必要なタスクを実行してもよい。
【0092】
本明細書で概要を述べた各種方法またはプロセスは、さまざまなオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうちのいずれか1つを採用した1つ以上のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとして符号化されてもよい。加えて、このようなソフトウェアは、複数の好適なプログラミング言語および/またはプログラミングもしくはスクリプトツールのうちのいずれかを用いて記述されてもよく、フレームワークもしくは仮想マシン上で実行される、実行可能なマシン言語コードまたは中間符号としてコンパイルされてもよい。典型的に、プログラムモジュールの機能は、各種実施形態において所望される通りに組み合わせても分散させてもよい。
【0093】
本開示の実施形態は、方法として実施されてもよく、その一例が提供されている。この方法の一部として実行される動作の順序は任意の適切なやり方で決められてもよい。したがって、実施形態は、例示されている順序と異なる順序で動作が実行されるように構成されてもよく、これは、いくつかの動作を、例示されている実施形態では一連の動作として示されるが、同時に実行することを含み得る。特定の好ましい実施形態を参照しつつ本開示について説明してきたが、本開示の精神および範囲の中でその他各種の改変および修正が可能であることが理解されるはずである。したがって、本開示の真の精神および範囲に含まれるこのような変形および修正のすべてをカバーすることが添付の請求項の側面である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5-1】
図5-2】
図6