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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】非変形ウィングを持つワイドクリップ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 45
(21)【出願番号】P 2022502586
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 US2020041921
(87)【国際公開番号】W WO2021011531
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】62/874,342
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521533326
【氏名又は名称】エバルブ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】チャド アブナサール
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー ガーシア
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】サミール ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー バーバリノ
(72)【発明者】
【氏名】サントシュ ブイ.プラブー
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-517732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0089671(US,A1)
【文献】特表2008-514307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0325671(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61B 17/00-94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁の弁尖を固定するための固定器であって、
中央組立体と、
前記中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアームであって、前記少なくとも1つのアームが、
第1端及び第2端と、その間に画定される長手軸線とを有する本体部であって、前記第2端が、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、前記本体部が、前記第1端と前記第2端との間に延びて対向する第1の本体側面及び第2の本体側面を有し、前記本体部が、前記第1の本体側面と前記第2の本体側面との間に画定される本体部幅を有する、本体部と、
第1ウィング延長部及び第2ウィング延長部であって、各ウィング延長部が非変形であり、前記第1ウィング延長部が前記第1の本体側面から側方に延び、前記第2ウィング延長部が前記第2の本体側面から側方に延び、各ウィング延長部が側方外縁を有し、最大アーム幅が前記第1ウィング延長部の前記側方外縁と前記第2ウィング延長部の前記側方外縁との間に画定される、第1ウィング延長部及び第2ウィング延長部と、
を備える少なくとも1つのアームと、
その間に生来の弁尖を捕捉する前記少なくとも1つのアームに対して移動可能な少なくとも1つのグリップ要素と、
を備え
前記第1ウィング延長部及び前記第2ウィング延長部が、各々、第1端縁及び第2端縁を有し、前記第1端縁が、前記第1の本体側面と前記第1ウィング延長部の前記側方外縁との間、及び、前記第2の本体側面と前記第2ウィング延長部の前記側方外縁との間に延びて、前記本体部の前記第1端に近接して位置し、前記第2端縁が、前記第1の本体側面と前記第1ウィング延長部の前記側方外縁との間、及び、前記第2の本体側面と前記第2ウィング延長部の前記側方外縁との間に延びて、前記本体部の前記第2端に近接して位置する、固定器。
【請求項2】
最大アーム幅が、前記本体部幅の1.40~1.60倍である、請求項1に記載の固定器。
【請求項3】
前記最大アーム幅が、前記本体部幅の1.50倍である、請求項1に記載の固定器。
【請求項4】
前記第1端縁が、前記第1の本体側面から、前記第1端縁と前記長手軸線との間に画定される第1端角度で延び、前記第1端角度が30°~60°である、請求項1に記載の固定器。
【請求項5】
前記第1端角度が45°である、請求項4に記載の固定器。
【請求項6】
前記第2端縁が、前記第1の本体側面から、前記第2端縁と前記長手軸線との間に画定される第2端角度で延び、前記第2端角度が30°~60°である、請求項1に記載の固定器。
【請求項7】
前記第2端角度が45°である、請求項6に記載の固定器。
【請求項8】
第1端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第1端と、前記第1端縁と前記第1の本体側面との交差部と、の間の距離によって画定され、前記第1端リード寸法が、0.15インチ(3.81mm)~0.25インチ(6.35mm)である、請求項4に記載の固定器。
【請求項9】
前記第1端リード寸法が0.19インチ(4.83mm)である、請求項8に記載の固定器。
【請求項10】
第2端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第2端と、前記第2端縁と前記第1の本体側面との交差部と、の間の距離によって画定され、前記第2端リード寸法が0.05インチ(1.27mm)~0.15インチ(3.81mm)である、請求項6に記載の固定器。
【請求項11】
前記第2端リード寸法が0.09インチ(2.29mm)である、請求項10に記載の固定器。
【請求項12】
第1端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第1端と、前記第1端縁と前記第1の本体側面との交差部と、の間の距離によって画定され、第2端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第2端と、前記第2端縁と前記第1の本体側面との交差部と、の間の距離によって画定され、前記第2端リード寸法が、前記第1端リード寸法の3分の1未満である、請求項1に記載の固定器。
【請求項13】
前記第1端縁が、前記第1の本体側面との交差部に第1端フィレットを有し、前記第1端フィレットが前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、請求項1に記載の固定器。
【請求項14】
前記アームが0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、請求項13に記載の固定器。
【請求項15】
前記第1端フィレットが、0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、請求項13に記載の固定器。
【請求項16】
前記第1端フィレットが、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、請求項13に記載の固定器。
【請求項17】
前記第1端フィレットが、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、請求項13に記載の固定器。
【請求項18】
前記第2端縁が、前記第1本体側面との交差点に第2端フィレットを有し、前記第2端フィレットが、前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、請求項1に記載の固定器。
【請求項19】
前記アームが、各々0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、請求項18に記載の固定器。
【請求項20】
前記第2端フィレットが、0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、請求項18に記載の固定器。
【請求項21】
前記第2端フィレットが、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、請求項18に記載の固定器。
【請求項22】
前記第2端フィレットが、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、請求項18に記載の固定器。
【請求項23】
前記第1端縁が、前記側方外縁との交差部に第1端円弧を有し、前記第1端円弧が、前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、請求項1に記載の固定器。
【請求項24】
前記アームが、各々0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、請求項23に記載の固定器。
【請求項25】
前記第1端円弧が、0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、請求項23に記載の固定器。
【請求項26】
前記第1端円弧が0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、請求項23に記載の固定器。
【請求項27】
前記第1端円弧が、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、請求項23に記載の固定器。
【請求項28】
前記第2端縁が、前記側方外縁との交差部に第2端円弧を有し、前記第2端円弧が、前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、請求項1に記載の固定器。
【請求項29】
前記アームが、各々、0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、請求項28に記載の固定器。
【請求項30】
前記第2端円弧が、0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、請求項28に記載の固定器。
【請求項31】
前記第2端円弧が、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、請求項28に記載の固定器。
【請求項32】
前記第2端円弧が、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、請求項28に記載の固定器。
【請求項33】
第2端縁が、前記本体部の前記第2端から、前記第2端縁と前記長手軸線との間に画定される第2端角度で延び、前記第2端角度が30°~60°度である、請求項1に記載の固定器。
【請求項34】
前記第1ウィング延長部及び前記第2ウィング延長部のうちの少なくとも1つの前記第1端縁、前記側方外縁及び前記第2端縁が、連続複合曲線を形成する、請求項1に記載の固定器。
【請求項35】
前記少なくとも1つのアームが、更に前記長手軸線に沿って前記少なくとも1つのアーム内で陥凹したトラフを有し、前記トラフが、前記少なくとも1つのグリップ要素の幅より大きいサイズのトラフ幅を有する、請求項1に記載の固定器。
【請求項36】
前記トラフ幅が、前記本体部の前記第1端から前記本体部の前記第2端まで増大する、請求項35に記載の固定器。
【請求項37】
前記第1ウィング延長部及び前記第2ウィング延長部並びに前記本体部が単一体である、請求項1に記載の固定器。
【請求項38】
前記第1ウィング延長部は、端断面において、前記第1ウィング延長部の前記側方外縁に対してさらに垂直に延び、前記第2ウィング延長部は、端断面において、前記第2ウィング延長部の前記側方外縁に対してさらに垂直に延びる、請求項1に記載の固定器。
【請求項39】
前記固定器が、前記中央組立体に移動可能に結合された第2アームを備え、前記第2アームが、第1端及び第2端を有する本体部を備え、前記第2端が、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、前記閉鎖位置において、前記少なくとも1つのアームが、前記少なくとも1つのアームの少なくとも3つの側面で前記第2アームを取り囲む大きさを有する、請求項38に記載の固定器。
【請求項40】
前記第1ウィング延長部は、端断面において、前記第1ウィング延長部と前記第1の本体側面及び前記第2の本体側面の対向方向に延びる基準軸線との間に画定される第1ウィング延長部角度で延び、前記第2ウィング延長部は、端断面において、前記第2ウィング延長部と前記基準軸線との間に画定される第2ウィング延長部角度で延び、前記第1ウィング延長部角度及び前記第2ウィング延長部角度が125°~145°である、請求項1に記載の固定器。
【請求項41】
前記第1ウィング延長部角度及び前記第2ウィング延長部角度が135°である、請求項40に記載の固定器。
【請求項42】
前記少なくとも1つのグリップ要素が、その長さに沿って少なくとも1つの摩擦要素を有する、請求項1に記載の固定器。
【請求項43】
前記少なくとも1つのグリップ要素が、その長さに沿って複数の摩擦要素を有し、前記少なくとも1つのグリップ要素が前記少なくとも1つのアームに近接して位置するとき、前記複数の摩擦要素が、前記第1端縁と前記第1の本体側面との交差部と、前記第2端縁と前記第1の本体側面との交差部と、の間に画定される長さに沿って配置される、請求項42に記載の固定器。
【請求項44】
前記固定器が、更に、
前記中央組立体に移動可能に結合された第2アームであって、前記第2アームが、第1端及び第2端を有する第2本体部を備え、前記第2端が、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である、第2アームと、
間に生来の弁尖を捕捉するために前記第2アームに対して移動可能な第2グリップ要素と、
を備える、請求項1に記載の固定器。
【請求項45】
心臓弁の弁尖を固定するための固定器のキットであって、
複数の固定器であって、各固定器が、
中央組立体と、
前記中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアームであって、前記少なくとも1つのアームが、
第1端及び第2端を有する本体部であって、前記第2端が閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、その間に長手軸線が画定され、前記本体部が、前記第1端と前記第2端との間に延びて対向する第1の本体側面及び第2の本体側面を有し、前記本体部が、前記第1の本体側面と前記第2の本体側面との間に画定される本体部幅を有する、本体部と、
第1ウィング延長部及び第2ウィング延長部であって、各ウィング延長部が非変形であり、前記第1ウィング延長部が前記第1の本体側面から側方に延び、前記第2ウィング延長部が前記第2の本体側面から側方に延び、各ウィング延長部が側方外縁を有し、最大アーム幅が前記第1ウィング延長部の前記側方外縁と前記第2ウィング延長部の前記側方外縁との間に画定される、第1ウィング延長部及び第2ウィング延長部と、
生来の弁尖をその間で捕捉する前記少なくとも1つのアームに対して移動可能なグリップ要素と、
を備える、少なくとも1つのアームと、
を備え、
前記第1ウィング延長部及び前記第2ウィング延長部が、各々、第1端縁及び第2端縁を有し、前記第1端縁が、前記第1の本体側面と前記第1ウィング延長部の前記側方外縁との間、及び、前記第2の本体側面と前記第2ウィング延長部の前記側方外縁との間に延びて、前記本体部の前記第1端に近接して位置し、前記第2端縁が、前記第1の本体側面と前記第1ウィング延長部の前記側方外縁との間、及び、前記第2の本体側面と前記第2ウィング延長部の前記側方外縁との間に延びて、前記本体部の前記第2端に近接して位置し、
前記少なくとも1つのアームが、前記複数の固定器の間で異なる長さ及び幅寸法を有する、
固定器のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年7月15日に提出された米国仮特許出願第62/874342号(参照によりその全体が本出願に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本開示は、組織接合又は弁修復など身体組織の血管内、経皮的又は最小限の侵襲的外科治療のための医療機器に関する。特に、本開示は、心臓の弁及び静脈弁の修復に関する。
【0003】
身体組織の外科的修復は、組織の接合及び接合配列体における組織の締結を伴う可能性がある。弁を修復する際、組織接合は、治療配列体における弁尖の癒合を含み、これは、弁尖を締結又は固定することによって維持できる。このような癒合は、逆流を治療するために使用でき、逆流は、通常、僧帽弁及び三尖弁においてよく生じる。
【0004】
僧帽弁逆流症は、左心室から僧帽弁閉鎖不全による左心房の中への逆流が特徴的である。心臓収縮の正常なサイクル(収縮期)において、僧帽弁は、酸素化血液が左心房へ逆流するのを防止するための逆止め弁として作用する。このようにして、酸素化血液は大動脈弁を通過して大動脈の中へ送られる。僧帽弁逆流症は、心臓のポンプ効率を著しく低下させて、患者を深刻な進行性の心不全の危険に陥らせる可能性がある。
【0005】
僧帽弁逆流症は、僧帽弁又は左心室壁の多様な機械的欠陥から生じる可能性がある。弁尖、弁尖を乳頭筋に接続する弁索、乳頭筋又は左心室壁は、損傷その他の機能不全を受ける可能性がある。一般に、弁輪は、損傷したり、拡張したり、弱化して、左心室の高い圧力に対抗して適切に閉じる僧帽弁の能力を制限する可能性がある。
【背景技術】
【0006】
僧帽弁逆流症の治療は、弁尖及び弁輪のリモデリングを含めて弁置換又は修復を伴う可能性があり、弁輪のリモデリングは、弁輪形成術と呼ばれる。僧帽弁修復のための「ボウタイ(bow-tie)」又は「エッジトゥエッジ(edge-to-edge)」術と呼ぶことができる他の技法は、対向する弁尖の隣合う区分を縫合することを含むことができる。好ましくは、僧帽弁修復のための機器及びシステムは、開胸せずに利用でき、血管内で即ちカテーテルなどの機器を使用して実施して、心臓から離れた患者の脈管の1点から心臓まで前進できる。更に、この種の機器及びシステムは、適切な配置の固定前に固定器(例えば、弁修復クリップ)を置き直し及び任意に取り外しできなければならない。この種の機器及びシステムは、同様に、心臓弁以外の身体の組織の修復のためにも役立つことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的及び利点は、下の説明に示され、この説明から明らかであり、本開示の実施から体得できる。本開示の付加的利点は、特に説明及び請求項並びに添付図面において指摘する方法及び方法によって実現され達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の及びその他の利点を得るためにかつ本開示の目的に従って、具体的に広範に説明するように、本開示は、患者を治療するための固定器に関する。
【0009】
本開示によれば、心臓弁の弁尖を固定するための固定器は、中央組立体と、中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアームと、を含む。少なくとも1つのアームは、第1端及び第2端とその間に画定される長手軸線とを有する本体部を含み、第2端は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、本体部は、対向する本体側面を有し、各本体側面は、第1端と第2端との間に延び、本体部は、対向する本体側面の間に画定される本体部幅を有する。少なくとも1つのアームは、更に、第1及び第2非変形ウィング延長部を含み、各ウィング延長部は、それぞれの側面から側方に延び、各ウィング延長部は、側方外縁を有し、最大アーム幅は、第1ウィング延長部の側方外縁と第2ウィング延長部の側方外縁との間に画定される。固定器は、更に、間に生来の弁尖を捕捉するために少なくとも1つのアームに対して移動可能な少なくとも1つのグリップ要素を含む。
【0010】
最大アーム幅は、本体部幅の約1.40~1.60倍とすることができる。最大アーム幅は、本体部幅の約1.50倍とすることができる。第1及び第2ウィング延長部は、各々、第1端縁及び第2端縁を持つことができ、第1端縁は、それぞれの本体側面と側方外縁との間に延び、本体部の第1端に近接して位置し、第2端縁は、それぞれの本体側面と側方外縁との間に延び、本体部の第2端に近接して位置する。第1端縁は、本体側面から、第1端縁と長手軸線との間に画定される第1端角度で延び、第1端角度は30~60°とすることができる。第1端角度は、45°とすることができる。第2端縁は、それぞれの本体側面から、第2端縁と長手軸線との間に画定される第2端角度で延び、第2端角度は、30~60°とすることができる。第2端角度は45°とすることができる。第1端リード寸法は、本体部に沿って、本体部の第1端と第1端縁とそれぞれの本体側面の交差部との間の距離によって画定され、第1端リード寸法は、0.15インチ~0.25インチ(3.81mm~6.35mm)とすることができる。第1端リード寸法は、0.19インチ(4.83mm)とすることができる。
【0011】
第2端リード寸法は、本体部に沿って、本体部の第2端と本体部の第2端縁とそれぞれの本体側面の交差部との間の距離によって画定され、第2端リード寸法は、約0.05インチ~0.15インチ(1.27mm~3.81mm)とすることができる。第2端リード寸法は、0.09インチ(2.29mm)とすることができる。第1端リード寸法は、本体部に沿って、本体部の第1端と第1端縁とそれぞれの本体側面との交差部との間の距離によって画定され、第2端リード寸法は、本体部に沿って、本体部の第2端と第2端縁とそれぞれの本体側面との交差部との間の距離によって画定され、第2端リード寸法は、第1端リード寸法の3分の1未満とすることができる。第1端縁は、それぞれの本体側面との交差部に第1端フィレットを有し、第1端フィレットは、アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する。アームは、約0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つことができる。第1端フィレットは、約0.02インチ~0.165インチ(0.508mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。第1端フィレットは、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を持つことができる。第1端フィレットは、アームの厚みの8倍の曲率半径を持つことができる。第2端縁は、本体側面との交差部に第2端フィレットを有し、第2端フィレットは、アームの厚みの1~11倍の曲率半径を持つことができる。
【0012】
アームは、各々、約0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つことができる。第2端フィレットは、約0.015インチ~0.165インチ(0.381mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。第2端フィレットは、0.012インチ(0.305mm)の曲率半径を持つことができる。第2端フィレットは、アームの厚みの8倍の曲率半径を持つことができる。第1端縁は、側方外縁との交差部に第1端円弧を持つことが可能であり、第1端円弧は、アームの厚みの1~11倍の曲率半径を持つことができる。アームは、各々0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つことができる。第1端円弧は、0.02~0.165インチ(0.508mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。第1端円弧は、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を持つことができる。第1端円弧は、アームの厚みの8倍の曲率半径を持つことができる。第2端縁は、側方外縁との交差部に第2端円弧を有し、第2端円弧は、アームの厚みの1~11倍の曲率半径を持つことができる。アームは、各々、約0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つことができる。第2端円弧は、約0.02インチ~0.165インチ(0.508mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。
【0013】
第2端円弧は、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を持つことができる。第2端円弧は、アームの厚みの8倍の曲率半径を有する。第2端縁は、本体部の第2端から、第2端縁と長手軸線との間に画定される第2端角度で延び、第2端角度は、30~60°とすることができる。ウィングの第1端縁、側方外縁及び第2端縁は、連続複合曲線を形成できる。少なくとも1つのアームは、更に、長手軸線に沿って陥凹トラフを持つことができ、トラフは、少なくとも1つのグリップ要素の幅より大きいサイズのトラフ幅を持つことができる。トラフ幅は、本体部の第1端から本体部の第2端まで増大できる。第1及び第2ウィング延長部及び本体部は、単一体とすることができる。各第1及び第2ウィング延長部は、端断面において、それぞれの本体側面から側方へ延び、その後、側方外縁に対して直交して延びることができる。固定器は、中央組立体に移動可能に結合された第2アームを備え、第2アームは、第1端及び第2端を有する本体部を備え、第2端は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、閉鎖位置において、少なくとも1つのアームは、少なくとも1つのアームの少なくとも3つの側面で第2アームを取り囲むためのサイズを持つことができる。各第1及び第2ウィング延長部は、端断面において、ウィング延長部と、それぞれの第1及び第2ウィング延長部の対向する本体側面を通過して延びる基準軸線との間に画定されるウィング延長部の角度で延びることができ、ウィング延長部の角度は、125~145°とすることができる。ウィング延長部の角度は、約135°とすることができる。
【0014】
少なくとも1つのグリップ要素は、その中に沿って少なくとも1つの摩擦要素を持つことができる。少なくとも1つのグリップ要素は、その長さに沿って複数の摩擦要素を持つことができ、少なくとも1つのグリップ要素が少なくとも1つのアームに隣接して位置するとき、複数の摩擦要素は、第1端縁とそれぞれの本体側面の交差部と、第2端縁とそれぞれの本体側面の交差部との間に画定される長さに沿って、配置される。固定器は、更に、中央組立体に移動可能に結合された第2アームを含むことができ、第2アームは、第1端及び第2端を有する第2本体部を備え、第2端は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である。固定器は、更に、生来の弁尖をその間に捕捉するために第2アームに対して移動可能な第2グリップ要素を含むことができる。
【0015】
本開示によれば、心臓弁の弁尖を固定するための固定器のキットは、複数の固定器を含む。各固定器は、中央組立体と、中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアームとを含む。少なくとも1つのアームは、第1端及び第2端とその間に画定される長手軸線とを有する本体部を含み、第2端は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、本体部は、対向する本体側面を有し、各本体側面は、第1端と第2端との間に延び、本体部は、対向する本体側面の間に画定される本体部幅を有する。固定器は、更に、その間で生来の弁尖を捕捉するために少なくとも1つのアームに対して移動可能な少なくとも1つのグリップ要素を含む。少なくとも1つのアームは、複数の固定器の間で異なる長さ及び幅寸法を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示に従って使用するための固定器の好ましい実施形態の斜視図である。
図2図2は、異なる位置にある図1の固定器の前面図であり、より長い任意のアームを破線で示す。
図3A図3Aは、様々な位置にある図1の固定器の前面図であり、より長い任意のアームを破線で示す。
図3B図3Bは、様々な位置にある図1の固定器の前面図であり、より長い任意のアームを破線で示す。
図3C図3Cは、様々な位置にある図1の固定器の前面図であり、より長い任意のアームを破線で示す。
図4A図4Aは、中に弁尖を捕捉している図1の固定器の前面概略図である。
図4B図4Bは、図1の固定器の側面図であり、接触パッチ領域を概略的に示す。
図5図5は、本開示に従った図1の固定器のためのアームの好ましい実施形態の平面図である。
図6A図6Aは、本開示に従った図1の固定器のための別の実施形態のアームの比較側面図である。
図6B図6Bは、本開示に従った図1の固定器のための別の実施形態のアームの比較側面図である。
図7A図7Aは、本開示に従った別の実施形態のアームを持つ図1の固定器の一部分の側面図である。
図7B図7Bは、図7Aの別の実施形態のアームを含む斜視図である。
図8A図8Aは、本開示に従った別の好ましい実施形態のアームを持つ、図1の固定器の一部分の側面図である。
図8B図8Bは、図8Aの好ましい実施形態のアームを含む斜視図である。
図9A図9Aは、本開示に従った別の好ましい実施形態のアームを持つ図1の固定器の一部分の側面図である。
図9B図9Bは、開放位置に在る図9Aの好ましい実施形態のアームを含む斜視図である。
図10A図10Aは、本開示に従った別の好ましい実施形態のアームを持つ、図1の固定器の一部分の側面図である。
図10B図10Bは、開放位置にある図10Aの好ましい実施形態のアームを含む斜視図である。
図11A図11Aは、本開示に従った図1の固定器のための異なる実施形態のアームの比較平面図である。
図11B図11Bは、本開示に従った図1の固定器のための異なる実施形態のアームの比較平面図である。
図12図12は、本開示に従った別の好ましい実施形態のアームを持つ、図1の固定器の一部分の側面図である。
図13A図13Aは、本開示に従った別の実施形態のアームを持つ図1の固定器の一部分の側面図である。
図13B図13Aの別の実施形態のアームを含む斜視図である。
図14図14は、本開示の対応するアームの平面図に並列した前断面から見た図1の固定器の一部分の概略図である。
図15図15は、本開示に従った別の好ましい実施形態のアーム及びグリッパを持つ、図1の固定器の一部分の側面図である。
図16A図16Aは、本開示に従った対応する接触パッチ領域を概略的に示す別の実施形態のアームの平面図である。
図16B図16Bは、本開示に従った対応する接触パッチ領域を概略的に示す別の実施形態のアームの平面図である。
図16C図16Cは、本開示に従った対応する接触パッチ領域を概略的に示す別の実施形態のアームの平面図である。
図17A図17Aは、心臓弁の様々な幅及び長さ計測の概略図である。
図17B図17Bは、心臓弁の様々な幅及び長さ計測の概略図である。
図17C図17Cは、心臓弁の様々な幅及び長さ計測の概略図である。
図18図18は、逆流量対固定器サイズを示す図表である。
図19図19は、本開示に従った付加的な別の実施形態のアームの端断面の概略図である。
図20A図20Aは、本開示に従った別の実施形態のアーム及び対応する弁尖癒合パターンの端断面概略図である。
図20B図20Bは、本開示に従った別の実施形態のアーム及び対応する弁尖癒合パターンの端断面概略図である。
図21A図21Aは、本開示に従った別の実施形態のアームの端断面概略図である。
図21B図21Bは、図21Aの別の実施形態のアームを持つ図1の固定器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本開示の様々な好ましい実施形態について詳細に述べる。好ましい実施形態は、添付図面において図解する。
【0018】
本開示に従って使用される固定器は、僧帽弁逆流症又は三尖弁逆流症を含めて様々な症状の患者のためのエッジトゥエッジ経カテーテル弁修復を可能にする。MitraClip経カテーテル僧帽弁修復器などの固定器を使用する経カテーテル(経中隔)エッジトゥエッジ弁修復が、確立されている。このような固定器は、概略的に、2種の弁尖の接触要素を使用して、対向する生来の弁尖を捕捉し固定するように構成される。第1要素は、捕捉される生来の弁尖の心室側に接触するための弁下アーム(遠位要素又は固定要素としても知られる)である。拍動心臓において生来の弁尖を安定化させるためにアームを下に位置付けて、第2グリップ要素(例えば、近位要素)は、その間に弁尖を捕捉するために低くさせるか又は移動して生来の弁尖の心房側と接触させることができる。対向する各弁尖が、それぞれのアーム及びグリップ要素によって捕捉されたら、固定器は、弁尖を癒合させるようにアームを固定器の中央へ向かって移動することによって閉鎖でき、その結果、心室収縮期において弁逆流を減少する。更に、弁尖を捕捉して組織の内方成長を促すためにアーム及び/又はグリップ要素に被覆を与えることができる。
【0019】
本開示に従った好ましい固定器の付加的な詳細を下に示す。更に、様々な特許及び公開出願が、この種の固定器及び関連作動の付加的な詳細を開示する。例えば、Lucateroなどに対する米国特許第7226467号、Goldfarbなどに対する米国特許第7563267号、Goldfarbなどに対する米国特許第7655015号、Goldfarbなどに対する米国特許第7736388号、Goldfarbなどに対する米国特許第7811296号、Goldfarbなどに対する米国特許第8057493号、Goldfarbなどに対する米国特許第8303608号、Goldfarbなどに対する米国特許第8500761号、Goldfarbなどに対する米国特許第8734505号、Goldfarbなどに対する米国特許第8740920号、Goldfarbなどに対する米国特許第9510829号、Goldfarbなどに対する米国特許第7635329号、Goldfarbなどに対する米国特許出願公開第2017/0042546号、Goldfarbなどに対する米国特許出願公開第2017/0239048号、米国特許出願公開第2018/0325671号(これらの特許及び公開出願の内容全体が参照によって本出願に援用される)。
【0020】
僧帽弁疾患のために組織及び弁尖を捕捉する際、弁尖の先端の間の動的ギャップが大きいなどの患者の症状及び身体組織構造は、捕捉についての課題を増す可能性がある。したがって、機能性僧帽弁逆流症(EMR)などにおいて大きいギャップを架橋しながら、例えばバーロー症候群の場合のように、動的、無秩序又は非常に重症の変性僧帽弁逆流症(DMR)の場合にもより確実な弁尖の捕捉を可能にする機会が、固定器にもたらされる。特に、固定器のサイズ及び構成は、性能を大幅に改良できる。このような修正は、所望の臨床的利益を生み出す多数の要因を考慮するように構成でき、しかも経血管的に送達可能である。例えば、送達用の典型的なガイドカテーテルのサイズは、約0.22(5.59mm)インチ以下の内径を持つことができる。
【0021】
更に、患者体内に位置付けられるとき、ガイドカテーテルは、曲がりくねった経路を形成し、これを通過して、固定器を送達できる。したがって、固定器は、ガイドカテーテルの対応する屈曲及び折り返しを通過して送達できる全体プロフィルを持つように構成できる。
【0022】
更に、前述のように、固定器は、アームとグリップ要素との間で弁尖を捕捉又は把握するように構成される。閉鎖位置にあるとき、最終的な埋植条件において2つのアームの間に位置付けられる隣合う弁尖を更に捕捉することが有利な場合がある。このような捕捉は、アームの幅及び構成によって画定される弁尖の接触パッチ領域の関数とすることができる。更に、側縁に沿った変形を減少または防止するために充分な剛性を各アームに与えると有利である可能性がある。剛性は、更に例えば閉鎖アームの間で弁尖と確実に接触することによって弁尖の把握及び保持を容易にすることができる。このように、非変形アームは、それぞれの側縁に沿って適切な圧縮エリアを生成して、その間に弁尖を保持し、対応する被覆における生来の組織の内方成長を助成できる。
【0023】
概略的に、以下で更に詳しく示すように、本開示は、中央組立体と、中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアームとを含む心臓弁の弁尖を固定するための固定器を含む。少なくとも1つのアームは、第1端及び第2端とその間に画定される長手軸線とを有する本体部を含み、第2端は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、本体部は、対向する本体側面を有し、各本体側面は、第1端と第2端との間に延び、本体部は、対向する本体側面の間に画定される本体部幅を有する。少なくとも1つのアームは、更に、第1及び第2非変形ウィング延長部を含み、各ウィング延長部は、それぞれの側面から側方に延び、各ウィング延長部は、側方外縁を有し、最大アーム幅は、第1ウィング延長部の側方外縁と第2ウィング延長部の側方外縁との間に画定される。固定器は、更に、その間で生来の弁尖を捕捉するために少なくとも1つのアームに対して移動可能な少なくとも1つのグリップ要素を含む。
【0024】
限定的ではなく例示のための図1~2を参照すると、心臓弁の生来の弁尖を固定するための固定器104が本出願において開示される。本開示の実施形態によれば、固定器は、中央組立体171を含む。中央組立体171は、例えば参照により本出願に援用される特許及び出願の開示において更に説明されるような結合部材174など、固定器の作動及び解除のための各種の中央コンポーネントを含むことができる。図示する固定器は、更に、中央組立体171に移動可能に結合された少なくとも1つのアーム108を含む。図示するように、固定器は、更に、中央組立体171に移動可能に結合された第2アーム110を含むことができる。理解と参照のためにのみ、図1、2、3A~3Cは及び図4A~4Bは、本開示のウィング延長部を持たないアームを図示する。
【0025】
図2を参照すると、本開示にしたがって、各アーム108、110は、それぞれの軸点148、150の周りを閉鎖位置、開放位置及び反転位置並びにこれらの間の任意の位置の間で回転可能とすることができる。更に、アーム108、110は、所定の適切な長さ範囲から選択でき、適切な長さは、例えば患者の検査後に医師又は医療提供者が選択できる。比較のために、各アーム108、110の第1長さを図2において実線で示し、本開示の各アームの長い方の第2長さを破線で示す。実線で示すアームは、破線で示すアームと比べて異なる長さの全く別個のアームとすることができる。
【0026】
図3A~3Cには、限定的ではなく例示的に固定器104の様々な位置を示す。本開示の長い方のアームは、短い方のアームと比較するために破線で示す。図3Aにおいて、固定器は閉鎖位置であり、アームは、軸方向に整列して、例えば図示するように垂直に又はほぼ垂直に位置付けられる。図3B及び3Cは、相互に角度Aの位置にあるアームを示す。図3Bにおいて、Aは約10°であり、図3Cにおいて、Aは約60°である。本出願において開示するように、固定器は、Aが約30°以下のとき閉鎖位置にある。図示しないが、アームは、Aが180°を超えるまで、例えば反転するまで開くことができる。
【0027】
概略的に上述したように、かつ以下でさらに詳しく示すように、生来の弁尖は、各アームとそれぞれのグリップ要素との間に捕捉できる。各アームは、その閉鎖位置へ向かって動かせる。このように、隣合う弁尖を更に閉鎖位置のアームの間に捕捉できる。例えば、例示として、図4A~4Bは、角度Aが約10~30°のアーム108、110の間に2つの弁尖が捕捉されている固定器104を示しており、各弁尖は、アームとそれぞれのグリップ要素(グリップ要素は図示せず)との間に捕捉される。図4Bに示すように、破線で示す接触パッチ領域222は、アームの間に捕捉される組織のエリアによって画定される。接触パッチ領域222は、弁尖が相手方の弁尖と接触するエリアによって画定される組織間の接触パッチ領域と言うことができる。前述のように、図4Bは、各アームがウィング延長部を含まず固定器が約10~30°の角度を向くときの接触パッチ領域222を示す。
【0028】
本開示によれば、アーム構成は、閉鎖又は最終的な埋植位置において固定器の2つのアームの間での接触パッチ領域及び隣合う弁尖の捕捉を増大するように与えられる。更に、アームは、接触パッチ領域がアームの第1端から離間する、例えばアームの長さに沿って中間又はアームの第2端に近接するように構成できる。更に、アームは、アームの間での弁尖の二次的捕捉を容易にするために特に側縁に沿って、非変形とすることができる。例えば、アームは、コバルトクロム合金(エルジロイ又はL605)又はステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン(ニチノール)などの他の金属性材料で形成できる。更に、アームは、半結晶性ポリ乳酸、ポリウレタン又はPLGAなどの任意の種類のポリマー又は剛性又は半剛性的傾向を持つように加工された他の高分子又は複合材料などから形成するか又はこれらを含むことができる。
【0029】
限定的ではなく例示として、図5は本開示に従った固定器用のアームの平面図である。図5及び本出願の他の図は、明確化のために1つのアームしか示さないが、少なくとも1つのアーム108の各特徴は、同様に対向する第2アーム110など1つ又は複数の付加的アームにも応用できることが分かるはずである。図5に示すように、アームは、第1端140及び第2端142とその間に画定される長手軸線156とを有する本体部145を含み、第2端は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である。本体部145は、対向する側面158を有し、各本体側面158は、第1端140と第2端142との間に延び、本体部145は対向する本体側面158によって画定される本体部幅160を有する。
【0030】
本開示によれば、アーム108(及び任意の付加的アーム)は、更に、第1及び第2非変形ウィング延長部162、163を含むことができ、各ウィング延長部は、それぞれの側面158から側方に延びる。本開示の実施形態によれば、各ウィング延長部162、163は、側方外縁166を有する。各ウィング延長部162、163は、エルジロイなどの生体適合性を有する非変形材料を含むか又はこれから形成できる。特に、本開示の実施形態によれば、第1及び第2ウィング延長部162、163及び本体部145は、単一体である。ウィング延長部162、163は、概ねその中に孔又は開口を持たない扁平ソリッド構造とすることができる。本開示の実施形態によれば、最大アーム幅164は、第1ウィング延長部162の側方外縁166と第2ウィング延長部163の側方外縁166との間に画定される。最大アーム幅164は、本体部幅の約1.40~1.60倍とすることができる。例えば、最大アーム幅164は、本体部幅の約1.50倍とすることができる。例示として、最大アーム幅164は、約0.196インチ~0.236インチ(4.98mm~5.99mm)とすることができ、好ましくは約0.203インチ(5.16mm)であり、本体部幅は約0.118インチ~0.157インチ(3.00mm~3.99mm)とすることができ、好ましくは約0.135インチ(3.43mm)である。
【0031】
更に図5に示すように、本開示の実施形態によれば、第1及び第2ウィング延長部162、163は、各々、第1端縁180及び第2端縁182を持つことができ、本開示の実施形態によれば、第1端縁180は、それぞれの本体側面158と側方外縁166との間に延びる。図示するように、第1端縁180は、本体部の第1端140のより近くに又はこれに近接して配置できる。第2端縁182は、それぞれの本体側面158と側方外縁166との間に延びることができる。第2端縁は、本体部の第2端142のより近くに又はこれに近接して配置できる。したがって、第1端縁180は、第2端縁182より本体部の第1端140の近くに配置できる。同様に、第2端縁182は、第1端縁180より本体部の第2端142の近くに配置できる。第1端縁180は、本体側面158から、第1端縁180と長手軸線156との間に画定される第1端角度184で延びることができ、本開示の実施形態によれば、第1端角度184は、15~60°である。例えば、第1端角度184は、45°とすることができる。第1端角度に小さい角度を与えることによって、固定器がガイドカテーテルを通り抜けるときに生じる抵抗力を減じる又は排除できるが、大きい角度の場合には、ウィング延長部の組織捕捉の効率を増大できる。したがって、第1端角度は、所望に基づいて選択できる。
【0032】
各ウィング延長部162、163については、第2端縁182は、それぞれの本体側面158から、第2端縁182と長手軸線156との間に画定される第2端角度186で延びることができ、第2端角度186は、15~60°である。例えば、第2端角度186は、45°とすることができる。第2端角度は、例えば、固定器が湾曲ガイドカテーテルを通過して出し入れされるように構成される場合の抵抗力を減少または最小限に抑えるように選択できる。このような角度によって抵抗力を減少することによって、クリップアームに配置された織物又は多孔質被覆への損傷を減少または回避できる。
【0033】
引き続き図5を参照すると、第1端リード寸法188は、本体部145に沿って、本体部の第1端140と、第1端縁180とそれぞれの本体側面158の交差部との間の距離によって画定される。本開示の実施形態によれば、第1端リード寸法188は、0.19インチ(4.83mm)など約0.15インチ~0.25インチ(3.81mm~6.35mm)とすることができる。同様に、第2端リード寸法190は、本体部145に沿って、本体部の第2端142と、第2端縁182とそれぞれの本体側面158の交差部との間の距離によって画定できる。本開示の実施形態によれば、第2端リード寸法190は、0.09インチ(2.29mm)など0.05インチ~0.15インチ(1.27mm~3.81mm)とすることができる。本開示の別の形態によれば、第2端リード寸法190は、第1端リード寸法188の3分の1未満とすることができる。このようにして、対応する接触パッチ領域を第1端から所定の距離に配置でき、所望の場合には、アームの第2端に近づけることができる。
【0034】
更に図5を参照すると、ウィング延長部長さ202は、第1端リード寸法188と第2端リード寸法190との間の距離によって画定できる。アーム長さの寸法204は、本体部の第1端140と本体部の第2端142との間の距離によって画定できる。これらの寸法の調節は、対応する接触パッチ領域及び2つの閉鎖アームの間に弁尖を捕捉するために組織と係合する側縁の長さを修正できる。
【0035】
例えば、例示として、図6A~6Bは、比較のためにパラメータ(例えば長さ)を変えてアーム108、110を示す。アームは、例えば患者の検査後に使用者が選択する所望のパラメータを持つことができる。限定的ではなく例示として、図6Aのアームは、約0.422インチ(10.7mm)のアーム長さ204及び約0.074インチ~0.174インチ(1.88mm~4.42mm)のウィング延長部長さ202を持つことができる。本開示の実施形態によれば、約0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つ場合、ウィング延長部は、ウィング延長部を持たない同様のアームと比較して各アームの質量を約9.3%しか増せず、全体表面積を約18%増加できる。図6Bを参照すると、アームは、約0.522インチ(13.3mm)のアーム長さ204及び約0.173インチ~0.273インチ(4.39mm~6.93mm)のウィング延長部長さ202を持つことができる。本開示の実施形態によれば、0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つ場合、ウィング延長部は、ウィング延長部を持たない同様のアームと比較して、各アームの質量を僅か12.6%しか増大せず、全体表面積を28%増大できる。本開示の実施形態によれば、限定的ではなく例示として、ウィング延長部長さ202は、アームの長さ204と共に変えることができ、第1リード寸法188及び第2リード寸法190は、一定のままとすることができる。
【0036】
例示のため及びウィング延長部を持つアームと持たないアームの実際の癒合寸法の比較のために、固定器のアームが人工弁尖の周りで約10°の角度Aに閉じられ、圧力フィルムがその中に挿入されるテストが実施された。圧力フィルムは、異なる長さのアームについて実際の癒合長さ、幅及び面積の推定値を与えた。本開示の実施形態に従った約0.422インチ(10.7mm)の長さ204でウィング延長部を持たないアームの癒合は、約0.278インチ(7.06mm)の長さ、約0.176インチ(4.47mm)の幅、及び0.0487インチ2(0.314cm2)の面積であった。本開示の実施形態に従った約0.522インチ(13.3mm)の長さ204でウィング延長部を持たないアームの癒合は、約0.386インチ(9.80mm)、約0.182インチ(4.62mm)の幅、及び約0.0704インチ2(0.454cm2)の面積であった。本開示の実施形態に従った約0.422(10.7mm)の長さ204及びウィング延長部を有するアームの癒合は、約0.278インチ(7.06mm)の長さ、約0.262インチ(6.65mm)の幅、及び約0.0730インチ2(0.471cm2)の面積であった。本開示の実施形態に従った約0.522インチ(13.3mm)の長さ204及びウィング延長部を有するアームの癒合は、約0.387インチ(9.83mm)の長さ、約0.269インチ(6.83mm)の幅及び0.104インチ2(0.671cm2)の面積であった。このテストによって生じた数は少なくとも比較のために有益であるが、埋植固定器は、埋植固定器の実際の癒合寸法に影響する多孔質ポリエステル被覆などの被覆を含むことができる。
【0037】
図5に戻ると、第1端縁180は、それぞれの本体側面158との交差部に第1端フィレット192を持つことができる。本開示の実施形態によれば、第1端フィレット192は、アーム108の厚みの1~11倍の曲率半径を有する。例えば、アーム108は約0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つことができ、第1端フィレット192は、0.12インチ(3.05mm)など、0.015~0.165(0.381mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。本開示の実施形態によれば、例えば約0.522インチ(13.3mm)未満のアーム長さ204例えば0.422インチ(10.7mm)のアーム長さを有するアームの製造可能性を改良するために、第1端フィレット192は、約0.09インチ(2.29mm)の曲率半径を持つことができる。別の実施形態において、第1端フィレット192は、0.030(0.762mm)の曲率半径を持つことができる。
【0038】
第2端縁182は、本体側面158との交差部に第2端フィレット194を持つことができ、本開示の実施形態によれば、第2端フィレット194は、アーム108の厚みの1~11倍の曲率半径を持つことができる。例えば、アーム108は、約0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つことができ、第2端フィレット194は、0.12インチ(3.05mm)など、約0.015インチ~0.165インチ(0.381mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。本開示の実施形態によれば、例えば、約0.522インチ(13.3mm)未満のアーム長さ204例えば0.422インチ(10.7mm)のアーム長さを有するアームの製造可能性を改良するために、第2端フィレット194は、約0.09インチ(2.29mm)の曲率半径を持つことができる。別の実施形態において、第2端フィレット194は、約0.030インチ(0.762mm)の曲率半径を持つことができる。
【0039】
更に、限定的ではなく例示的に示すように、第1端縁180は、側方外縁166との交差部に第1端円弧196を持つことができる。本開示の実施形態によれば、第1端円弧196は、アーム108の厚みの1~11倍の曲率半径を有する。例えば、アーム108は、0.015インチ(0.381mm)など約0.012インチ~0.018インチ(0.305mm~0.457mm)の厚みを持つことができ、第1端円弧196は、0.12インチ(3.05mm)など、約0.015インチ~0.165インチ(0.381mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。第1端円弧196は、アーム108の厚みの8倍の曲率半径を持つことができる。本開示の実施形態によれば、大きい曲率半径を含むように第1端円弧を変えることによって、固定器がガイドカテーテルルーメンを通過するときの抵抗力を減少または排除でき、曲率半径が小さい場合、ウィング延長部の組織捕捉効率を増大できる。丸みのあるコーナー(曲率半径の増大)によって与えられる抵抗力の減少は、クリップアームに配置された織物又は多孔質被覆をそのままの状態で維持または改良できる。本開示の実施形態によれば、例えば約0.522インチ(13.3mm)未満のアーム長さ204例えば0.422インチ(10.7mm)のアーム長さを有するアームの製造可能性を改良するために、第1端円弧196は、約0.09インチ(2.29mm)の曲率半径を持つことができる。別の実施形態において、第1端円弧196は、約0.030インチ(0.762mm)の曲率半径を持つことができる。
【0040】
第2端縁182は、側方外縁166との交差部に第2端円弧198を持つことができる。本開示の実施形態によれば、第2端円弧198は、アーム108の厚みの1~11倍の曲率半径を持つことができる。例えば、アーム108は、0.015インチ(0.381mm)など約0.012インチ~0.018インチ(0.305mm~0.457mm)の厚みを持つことができ、第2端円弧198は、0.12インチ(3.05mm)など、約0.02インチ~0.165インチ(0.508mm~4.19mm)の曲率半径を持つことができる。第2端円弧198は、アーム108の厚みの8倍の曲率半径を持つことができる。本開示の実施形態によれば、第2端円弧198を変えることによって、例えば湾曲カテーテルの中へこれを通過して出し入れするように固定器を構成するために抵抗力を減少または排除できる。本開示の実施形態によれば、例えば約0.522インチ(13.3mm)未満のアーム長さ204例えば0.422インチ(10.7mm)のアーム長さを有するアームの製造可能性を改良するために、第2端円弧198は、約0.09インチ(2.29mm)の曲率半径を持つことができる。別の実施形態において、第2端円弧198は、約0.030インチ(0.762mm)の曲率半径を持つことができる。
【0041】
アームの特徴は、性能基準に対処するために所望通りに変更または選択できる。例えば、限定的でなく、様々な選択可能なアーム108を図7A~10Bに開示する。ウィング延長部162の寸法は、各アームの所望の性能を与えるように選択できる(例えば、弁尖を捕捉し保持するため、ガイドカテーテルを通過してこの中へ後退するためなど)。例えば、図5に開示するウィング延長部162の寸法と比較したとき、図7A~7Bに開示するウィング延長部162のウィング延長部長さ202の寸法は縮小し、図8A~8Bに開示するウィング延長部162のウィング延長部長さ202寸法は更に縮小しながら、他の寸法(例えば、フィレット及び円弧の曲率半径)を維持する。図9A~9Bを参照すると、開示するウィング延長部162は、それ以前に開示したウィング延長部162寸法に比べて、第1及び第2端円弧196、198寸法が増大している。ウィングの第1端縁180、側方外縁166及び第2端縁182は、連続複合曲線を形成できる。図10A~10Bの実施形態は、図9A~9Bと同様の端円弧及びフィレットを持つが、ウィング延長部長さ202が延長される。
【0042】
比較のために、図11A~11Bは、様々な寸法の適切なフィレット及び円弧を示すために図5及び図10Aと同様の好ましいアームを示す。図11A~11Bにおいて、各アームは、約0.047インチ(1.19mm)、約0.203インチ(5.16mm)の幅及び約0.015インチ(0.381mm)の厚みを持つ。図11Aにおいて、第1端フィレット192の曲率半径は、約0.120インチ(3.05mm)(即ち、厚みの8倍)であり、第1端円弧196の曲率半径は、約0.120インチ(3.05mm)(即ち、厚みの8倍)であり、第2端フィレット194の曲率半径は約0.120インチ(3.05mm)(即ち、厚みの8倍)であり、第2端円弧198の曲率半径は、約0.120インチ(3.05mm)(即ち、厚みの8倍)である。図11Bにおいて、第1端フィレット192の半径曲率は、約0.030インチ(0.762mm)(即ち、厚みの2倍)であり、第1端円弧196の曲率半径は、約0.120インチ(3.05mm)(即ち、厚みの8倍)であり、第2端フィレット194の曲率半径は、約0.030インチ(0.762mm)(即ち、厚みの2倍)であり、第2端円弧198の曲率半径は、約0.120インチ(3.05mm)(即ち、厚みの8倍)である。より大きい端円弧及びフィレット寸法は、鋭い縁又はコーナーを減少または排除でき、これは、応力集中を減少し、固定器の送達及び展開時の被覆との好ましくない相互作用を減少又は最小化できる。
【0043】
図12に示す実施形態にしたがって、ダックビル(duck bill)形のアーム構成と呼ばれる別のアーム構成を、限定的でなく例示のために開示する。アヒルのくちばしダックビル形のアーム構成において、各ウィング延長部の第2端縁182は、本体部145の第2端142から、第2端縁182と長手軸線156との間に画定される第2端角度186で延びる。本開示の実施形態によれば、第2端角度186は、15~60°である。第2端角度は、直角のクリップアームを持つ様々な状況において生じる可能性のある好ましくない集中応力の鋭角接点を減少するテーパーを形成する。
【0044】
図1に戻ると、前述のように、固定器104は、更に第2の生来の弁尖をその間に捕捉するために少なくとも1つのアーム108に対して移動可能な少なくとも1つのグリップ要素116を含む。本開示によれば、各アームは、長手軸線に沿って整列するトラフを形成するか又は持つように構成できる。トラフは、グリップ要素をその中に受け入れるようにグリップ要素の幅より大きい幅を有する。
【0045】
固定器は、更に、間に生来の弁尖を捕捉するために第2アーム110に対して移動可能な第2グリップ要素118を含むことができる。更に、本開示よれば、少なくとも1つのグリップ要素116は、その長さに沿って少なくとも1つの摩擦要素152を持つことができる。本開示の実施形態によれば、各グリップ要素は、複数の摩擦要素152を含み、摩擦要素は、列状に配置できる。例えば、各グリップ要素116、118は、少なくとも4列の摩擦要素152を持つことができる。摩擦要素152は、弁尖の捕捉時に組織係合を改良できる。このグリップ要素設計により、処置中に単一機器の弁尖の付着が生じない確実性を高めることができる。初期弁尖の捕捉後に固定器を調節するために、アームが開いて、グリップ要素が垂直に隆起し、組織が固定器から外れて、再把握及び捕捉を容易にできる。
【0046】
引き続き図1を参照すると、本開示の実施形態において、各グリップ要素116、118は、それぞれのアーム108、110へ向かって付勢できる。弁尖の把握前に、各グリップ要素116、118は、固定器の長手中央へ向かって(例えば、それぞれのアーム108、110から離れて)内向きに移動して、1つ又は複数のグリップ要素ライン(図示せず)の助けで保持できる。グリップ要素ラインは、縫合糸、ワイヤ、ニチノールワイヤ、ロッド、ケーブル、ポリマーライン又はその他の適切な構造体の形式とすることができる。縫合糸は、グリップ要素116、118に配置されたループを通すなどの様々な方法で、グリップ要素116、118と動作可能に接続できる。
【0047】
本開示の別の形態によれば、図13A~13Bを参照すると、少なくとも1つのアーム108は、長手軸線156に沿って陥凹トラフ212を持つことができ、本開示の実施形態によれば、トラフ212は、少なくとも1つのグリップ要素116を受け入れるサイズの幅を有する。特に図13Aを参照すると、トラフ幅は、アームに沿った最大アーム幅164の場所に対応して最大トラフ幅224を持つように、本体部の第1端140から本体部の第2端142まで増大できる。このように、幅広のトラフ212は、例えば第2端に近接するトラフは、図15に示すように幅広のグリップ要素を収容できる。より幅広のアーム108及びグリップ要素116は、概略的に、弁尖に対する固定器104の捕捉能力及び保持を増大できる。更に、所望の場合には、図示しないが、ウィング延長部の第2端縁は、図12のダックビル形の実施形態と同様に傾斜できる。
【0048】
引き続き図13Aを参照すると、アームの接続部幅165は、ピン接続部167に近接する場所でのアーム108の側方外縁の間に画定される。ピン接続部167は、脚部168をアーム108に回動可能に接続できる。ピン接続部167は、リボット留め、溶接、スウェイジ加工又はその他の接合方法を含むことができる。1つの実施形態において、最大アーム幅164は、接続部幅165の約1.5~2.5倍とすることができる。例えば、最大アーム幅164は、接続部幅165の約2倍とすることができる。
【0049】
更に、本出願において論じ図14に示すように、少なくとも1つのグリップ要素116は、その長さに沿って少なくとも1つの摩擦要素152を持つことができる。少なくとも1つのグリップ要素116は、その長さに沿って複数の摩擦要素152を持つことができる。本開示の別の形態によれば、アーム及びそれぞれのグリップ要素は、少なくとも1つのグリップ要素116が少なくとも1つのアーム108のトラフ212内に受け入れられるとき、複数の摩擦要素152が、第1端縁180とそれぞれの本体側面158の交差部と、第2端縁182とそれぞれのウィング延長部のそれぞれの本体側面158の交差部との間に画定される長さに沿って配置される。この構成は、更に、ウィング形の領域において弁尖組織の固定を増強できる。本開示の実施形態の構成において、各ウィングの上下に配置された摩擦要素は、所望の場所でより確実な係合を与えることによって組織腐食を減少または排除できる。
【0050】
更に、本開示の実施形態にしたがった対応する接触パッチ領域222を有する様々なアーム108を、図16A~16Cにおいて破線で示す。図16Aは、各ウィング延長部が約45°の第1端角度184及び同様に約45°の第2端角度186を有するアーム108を示す。図16Aに示すアームを有する固定器が約10°の角度Aを向くとき、その結果得られる接触パッチ領域222は、ほぼ正方形であり、ウィング延長部を持たない固定器の接触パッチ領域の約150%の面積を持つ。
【0051】
本開示によれば、接触パッチ領域222は、Aの向きを調節することによって使用者が修正できる。図16B~16Cの各々において、2つの異なる接触パッチ領域を破線で示す。図示するように、比較的小さい接触パッチ領域は、大きい方のパッチ領域の境界内に示される。限定的ではなく例示のために、大きい方のパッチ領域は、約10°の角度Aを向く固定器に対応し、小さい方のパッチ領域は、約30°の角度Aを向く固定器に対応する。図16B~16Cは、図16Aの第2端角度より大きいテーパー状の第2端角度186を有するアーム108を示す。図16Bは、各ウィング延長部が、約35°の第1端角度184及び約45°の第2端角度186を有するアーム108を示す。図16Bに示すアームを有する固定器が約10°の角度Aを向くとき、その結果得られる接触パッチ領域222は、大きい方の接触パッチ領域によって示される通りであり、ウィング延長部を持たない固定器の接触パッチ領域と比較して約133%の面積を有する。図16Cは、各ウィング延長部が約15°の第1端角度184及び約45°の第2端角度186を有するアーム108を示す。図16Bに示すアームを有する固定器が約10°の角度Aを向くとき、その結果得られる接触パッチ領域222は、大きい方の接触パッチ領域で示され、これは、ウィング延長部を持たない固定器の接触パッチ領域と比較して約125%の面積を有する。
【0052】
図示するように、図16B~16Cに示す小さい方の接触パッチ領域222(約30°の角度Aを向く固定器に対応する)の各々は、各大きい方の接触パッチ領域(約10°の角度Aを向く固定器に対応する)に比べて接触パッチ領域が減少する。本開示の実施形態によれば、図16Cにおいて、小さい方の接触パッチ領域222の長さ及び幅の両方が縮小する。したがって、小さい第1端角度184を持つアームを有する固定器は、アーム間の角度Aの比較的小さい変化で、使用者が接触パッチ領域を縮小することを可能にする。本開示の実施形態によれば、第1端角度184が縮小されたとき、長さに加えて、接触パッチ領域222の幅は、アーム108、110の角度Aの関数として変化する。このようなアーム構造の変化は、使用者が、アーム角度を比較的僅かに変化させて、接触パッチ領域を比較的大きく変化させることを可能とし、経弁圧力勾配に影響を与え、僧帽弁狭窄の危険を減少または回避できる。このようにして、テーパー状アームは、例えば、患者の弁が比較的小さく(例えば、0.620平方インチ(4.00cm2)未満の僧帽弁)、逆流性噴流が比較的広い(例えば、0.295(7.49mm)以上)状況において、僧帽弁逆流症に対処するために有利である可能性がある。このように、テーパー状アームは、固定場所によって寸法を選択できるようにして、固定器の微調整可能な特性を与えることができる。
【0053】
本開示の別の形態によれば、固定器のアームの一方又は両方は、第1及び第2ウィング延長部を備えることができ、本開示の実施形態によれば、第1及び第2ウィング延長部は、端面図において、他方のアームへ向かって延びる。更に、一方のアームは、サイズ及び/又は形状によって、他方のアームのウィング延長部の間に受け入れられるように構成できる。図19~20を参照すると、端面図において、各第1及び第2ウィング延長部162、163は、それぞれの本体側面158から側方に延びて、前述のように側方外縁を形成し、次いで、側方外縁166に対して概ね直交して延びることができる。固定器104は、中央組立体171に対して移動可能に結合された第2アーム110を含むことができ、本開示の実施形態によれば、第2アーム110は、第1端140及び第2端142を有する本体部145を含み、第2端142は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である。閉鎖位置において、少なくとも1つのアーム108は、端面図に示すように少なくとも1つのアーム108の少なくとも3つの側面で第2アーム110を取り囲むサイズを持つ。このように、図20に示すように、間に捕捉された弁尖は、より確実な係合のために複数の場所で捕捉できる。本開示のこのような非対称形のアーム構造は、固定器の外幅寸法に対して比較的小さい変化を与えることで組織接触パッチ領域を増大できる。捕捉される組織の面積は、クリップアームにおいて接触パッチが形体の周りで湾曲するので広くなる。図19~20Bは、様々なサイズのオーバーサイズの第1アーム108を示し、本開示の実施形態によれば、各オーバーサイズアームは、ウィング延長部を持たない第2アーム110と一対をなす。例えば、図20Aに示すアームは、著しいオーバーバイトであり、図20Bに示すアームは、オーバーバイトがより僅かである。使用者は、例えば治療を受ける弁にどの程度の余分な弁尖組織が観察されるかによって、様々なサイズの設計の中から選択できる。使用者は、弁尖の断裂を誘発せずに弁尖を安定させるように所定の弁尖引張量を与えるサイズを選択できる。
【0054】
図21A~21Bを参照すると、本開示の別の形態によれば、各第1及び第2ウィング延長部162、163は、端断面において、ウィング延長部と、各それぞれの第1及び第2ウィング延長部162、163の対向する本体側面158を通過して延びる基準線228との間に画定されるウィング延長部の角度226で延びることができる。本開示の実施形態によれば、ウィング延長部の角度226は125~145°であり、いくつかの実施形態において、ウィング延長部の角度226は、約135°とすることができる。傾斜ウィング延長部は、固定器の外幅寸法に比較的小さい変化を加えることによって接触パッチ領域を増大できる。
【0055】
本出願に開示する各実施形態について、図1を参照すると、固定器104は、更に2つのリンク部材又は脚部168を含むことができ、本開示の実施形態によれば、各脚部168は、アーム108、110の一方と回転可能に接合された第1端及びベース170と回転可能に接合された第2端を有する。ベース170は、送達シャフト102の遠位端に作動上取り付けることができスタッド176と作動上接続できる。いくつかの実施形態において、スタッド176は、送達シャフト102の遠位端がスクリュー式作用によってスタッド176に取り付けられるようにネジ切りできる。更に、スタッド176と送達シャフト102の遠位端との間の接続点は、結合部材174内に配置できる。但し、送達シャフト102の遠位端とスタッド176は、固定器104を外せるようにするために解除可能な任意の機構によって、作動可能に接続できる。スタッドは、ベースをしたがって脚部168を移動するために軸方向に伸縮可能とすることができ、アーム108、110を閉鎖位置、開放位置及び反転位置の間で回転できる。ロック機構などによってスタッドを固定することによって、脚部168を所定の位置に保持できるので、アーム108、110を所望の位置にロックできる。更なる詳細は、参照によって本出願に援用される特許及び公開出願において開示される。
【0056】
本出願において図示する実施形態は、患者の左心房からの順行性処置を使用する僧帽弁などの心臓弁の修復に適する。処置前に、患者の個別の状況を予測及び診断し医師が所望のパラメータを有する固定器を選択するのを補助するために画像化及び各種のテストを実施できる。医師は、心臓弁の弁尖固定のために複数の固定器104を備える固定器104のキットから適切な固定器104を選択できる。前述のように、限定的ではなく例示的に、各固定器104は、中央組立体171と、中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアーム108と、を含むことができ、本開示の実施形態によれば、少なくとも1つのアーム108は、第1端140及び第2端142と、その間に画定される長手軸線156とを有する本体部145を含み、第2端142は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である。本体部145は、対向する本体側面158を有し、各本体側面158は、第1端140と第2端142との間に延び、本体部145は、対向する本体側面158の間に画定される本体部幅160を有する。キットの各固定器104は、更に、その間に生来の弁尖を捕捉する少なくとも1つのアーム108に対して、移動可能な少なくとも1つのグリップ要素116を含む。キットにおいて、少なくとも1つのアーム108は、複数の固定器104の間で異なる長さ及び幅寸法を持つことができる。
【0057】
限定的ではなく例示のために、本開示のキットを使用する好ましい手順に言及する。評価が終了したら、医師は、例えば、下記のパラメータの1つ又はそれ以上が満たされる場合、ウィング延長部を有する固定器を選択できる。即ち、図17Aに図示する患者の逆流縮流幅206が0.300インチ(7.62mm)超えの場合、医師は、ウィング延長部を持つ固定器を選択できる。図17Bに図示する患者の逆流エリア湾曲長さ208が0.590インチ(15.0cm)超えの場合、医師はウィング延長部を持つ固定器を選択できる。図17Cに図示するように患者の逆流エリア直線長さ210が0.394インチ(10.0mm)超えの場合、医師は、ウィング延長部を持つ固定器を選択できる。患者の逆流口面積が、経食道エコー検査によって査定して0.092平方インチ(0.594cm2)超えの場合、医師は、ウィング延長部を持つ固定器を選択できる。
【0058】
選択された固定器104は、患者の大腿静脈の中へ導入して、下大静脈を通過して心臓の中まで前進し、心房中隔を貫通できる。僧帽弁修復のために、固定器104は、左心房から僧帽弁を通過して左心室まで前進できる。アーム108、110は、癒合ラインに対して直交するような向きにして、アーム108、110が弁尖の心室面に接触し、それによって弁尖を把握するように位置付けることができる。グリップ要素116、118は、弁尖の心房側に留まり、弁尖はグリップ要素116、118とアーム108、110との間に配置される。固定器104は、弁尖が所望の場所で適切に把握されるように、固定器を所望の通りに位置付けし直すために操作できる。再位置付けは、固定器104を開放位置にして実施できる。本開示の実施形態によれば、弁の逆流も、固定器104が開放位置のときにチェックできる。逆流が十分に減少しない場合、所望の結果が得られるまで、固定器104を位置付けし直して、逆流をチェックできる。
【0059】
固定器104が弁尖に対して所望の場所に位置付けられたら、弁尖をグリップ要素116、118とアーム108、110との間に捕捉できる。本開示の実施形態によれば、グリップ要素116、118は、アーム108、110へ向かって降下して、その間に弁尖を配置できる。アーム108、110は、使用者が選択可能な角度まで閉鎖して、アーム108、110が開放位置へ動かないようにロックできる。固定器104は、その後送達シャフト102の遠位端から分離できる。分離後、所望の成果を確認するために、弁尖又は組織の修復を、心エコー図などの非侵襲的可視化技法によって観察できる。修復が所望通りではない場合、固定器104を回収できる。修復が納得できるものであれば、グリップ要素ラインを切断し、固定器を埋植のために解除できる。
【0060】
本開示の実施形態は、アームの開閉のために、押し開き(push-to-open)、引き閉じ(pull-to-close)機構を利用するが、引き開き(pull-to-open)、押し閉じ(push-to-close)機構など他の適切な機構を利用できることが分かるはずである。例えば線形バネ、螺旋バネ又は板バネなどコンプライアンスを有する機構を使用して、閉鎖バイアスを含めることができる。他の作動要素を、グリップ要素の展開のために使用できる。
【0061】
図18を参照すると、様々なアームサイズを持つ固定器の関数として平均逆流量(mL)についての好ましい結果を示す。この例において、臨床的に中程度から重症の逆流を持つシミュレートされた左心室収縮期圧力100mmHg及びシリコン僧帽弁が導入された。逆流量データは、固定器がない場合の弁を基準線(baseline)として、4つの異なるサイズの固定器の各々を持つ弁を横切る逆流を計測することによって、得た。固定器1は、各々約0.422インチ(10.7mm)のアーム長さ204及び0.135インチ(3.43mm)の標準アーム幅を持つアームを有する。固定器2は、約0.522インチ(13.3mm)のアーム長さ204及び約0.135インチ(3.43mm)の標準アーム幅(ウィング延長部無し)を持つサイズである。固定器3は、各々、約0.422インチ(10.7mm)のアーム長さ204及び本開示に従い約0.203インチ(5.16mm)の幅を持つウィング延長部を有するアームを持つサイズである。固定器4は、各々約0.522インチ(13.3mm)のアーム長さ204及び本開示に従い約0.203インチ(5.16mm)の幅を持つウィング延長部を有するアームを持つサイズである。基準線の平均逆流量は、約88mLであり、固定器1については62mL、固定器2については53mL、固定器3については42mL、固定器4については32mLであった。このように、平均逆流量は、本開示の固定器、即ち、ウィング延長部を持つ固定器の場合更に約21.3%減少した。
【0062】
本開示は、限定的ではなく例示のために特定の好ましい実施形態に関して説明するが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく本開示に様々な修正及び改良を加えることができることが分かるだろう。更に、本開示の1つの実施形態の個別の特徴を本明細書において論じるか又は1つの実施形態の図面に示し、他の実施形態においては論じなくても、1つの実施形態の個別の特徴は、別の実施形態の1つ又は複数の特徴又は複数の実施形態の特徴と組み合わせることができることが、明白であろう。
【0063】
下に主張する具体的な実施形態に加えて、本開示は、下で主張する従属的特徴及び上で開示する特徴の他の可能な組合せを持つ他の実施形態も包含する。したがって、従属請求項において提示し上で開示する特定の特徴は、他の可能な組合せにおいて相互に組み合わせできる。したがって、本開示の具体的な実施形態の以上の説明は、例示のために提示されている。説明は、網羅的であること又は開示される実施形態に本開示を限定したりすることを意図しない。
【0064】
当業者には、本開示の主旨又は範囲から逸脱することなく本開示の方法及びシステムに様々な修正及び変更を加えられることが明らかであろう。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物の範囲内に在る修正及び変更を含むことを意図する。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
心臓弁の弁尖を固定するための固定器であって、
中央組立体と、
前記中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアームであって、前記少なくとも1つのアームが、
第1端及び第2端と、その間に画定される長手軸線とを有する本体部であって、前記第2端が、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、前記本体部が、対向する本体側面を有し、各本体側面が、前記第1端と前記第2端との間に延び、前記本体部が、前記対向する本体側面の間に画定される本体部幅を有する、本体部と、
第1及び第2非変形ウィング延長部であって、各ウィング延長部が、それぞれの側面から側方に延び、各ウィング延長部が側方外縁を有し、最大アーム幅が前記第1ウィング延長部の前記側方外縁と前記第2ウィング延長部の前記側方外縁との間に画定される、第1及び第2ウィング延長部と、
を備える少なくとも1つのアームと、
その間に生来の弁尖を捕捉する前記少なくとも1つのアームに対して移動可能な少なくとも1つのグリップ要素と、
を備える、固定器。
[態様2]
最大アーム幅が、前記本体部幅の約1.40~1.60倍である、態様1に記載の固定器。
[態様3]
前記最大アーム幅が、前記本体部幅の約1.50倍である、態様1に記載の固定器。
[態様4]
前記第1及び第2ウィング延長部が、各々、第1端縁及び第2端縁を有し、前記第1端縁が、前記それぞれの本体側面と前記側方外縁との間に延び、前記本体部の前記第1端に近接して位置し、前記第2端縁が、前記それぞれの本体側面と前記側方外縁との間に延び、前記本体部の前記第2端に近接して位置する、態様1に記載の固定器。
[態様5]
前記第1端縁が、前記本体側面から、前記第1端縁と前記長手軸線との間に画定される第1端角度で延び、前記第1端角度が30°~60°である、態様4に記載の固定器。
[態様6]
前記第1端角度が45°である、態様5に記載の固定器。
[態様7]
前記第2端縁が、前記それぞれの本体側面から、前記第2端縁と前記長手軸線との間に画定される第2端角度で延び、前記第2端角度が30°~60°である、態様4に記載の固定器。
[態様8]
前記第2端角度が45°である、態様7に記載の固定器。
[態様9]
第1端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第1端と前記第1端縁と前記それぞれの本体側面の交差部との間の距離によって画定され、前記第1端リード寸法が、約0.15インチ(0.381mm)~0.25インチ(6.35mm)である、態様5に記載の固定器。
[態様10]
前記第1端リード寸法が0.19インチ(4.83mm)である、態様9に記載の固定器。
[態様11]
第2端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第2端と前記第2端縁と前記それぞれの本体側面の交差部との間の距離によって画定され、前記第2端リード寸法が約0.05インチ(1.27mm)~0.15インチ(3.81mm)である、態様5に記載の固定器。
[態様12]
前記第2端リード寸法が0.09インチ(2.29mm)である、態様11に記載の固定器。
[態様13]
第1端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第1端と、前記第1端縁と前記それぞれの本体側面の交差部との間の距離によって画定され、第2端リード寸法が、前記本体部に沿って、前記本体部の前記第2端と、前記第2端縁と前記それぞれの本体側面の交差部との間の距離によって画定され、前記第2端リード寸法が、前記第1端リード寸法の3分の1未満である、態様5に記載の固定器。
[態様14]
前記第1端縁が、前記それぞれの本体側面との交差部に第1端フィレットを有し、前記第1端フィレットが前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、態様4に記載の固定器。
[態様15]
前記アームが約0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、態様14に記載の固定器。
[態様16]
前記第1端フィレットが、約0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、態様14に記載の固定器。
[態様17]
前記第1端フィレットが、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、態様14に記載の固定器。
[態様18]
前記第1端フィレットが、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、態様14に記載の固定器。
[態様19]
前記第2端縁が、前記本体側面との交差点に第2端フィレットを有し、前記第2端フィレットが、前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、態様4に記載の固定器。
[態様20]
前記アームが、各々約0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、態様19に記載の固定器。
[態様21]
前記第2端フィレットが、約0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、態様19に記載の固定器。
[態様22]
前記第2端フィレットが、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、態様19に記載の固定器。
[態様23]
前記第2端フィレットが、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、態様19に記載の固定器。
[態様24]
前記第1端縁が、前記側方外縁との交差部に第1端円弧を有し、前記第1端円弧が、前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、態様4に記載の固定器。
[態様25]
前記アームが、各々約0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、態様24に記載の固定器。
[態様26]
前記第1端円弧が、0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、態様24に記載の固定器。
[態様27]
前記第1端円弧が0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、態様24に記載の固定器。
[態様28]
前記第1端円弧が、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、態様24に記載の固定器。
[態様29]
前記第2端縁が、前記側方外縁との交差部に第2端円弧を有し、前記第2端円弧が、前記アームの厚みの1~11倍の曲率半径を有する、態様4に記載の固定器。
[態様30]
前記アームが、各々、約0.015インチ(0.381mm)の厚みを有する、態様29に記載の固定器。
[態様31]
前記第2端円弧が、0.02インチ(0.508mm)~0.165インチ(4.19mm)の曲率半径を有する、態様29に記載の固定器。
[態様32]
前記第2端円弧が、0.12インチ(3.05mm)の曲率半径を有する、態様29に記載の固定器。
[態様33]
前記第2端円弧が、前記アームの厚みの8倍の曲率半径を有する、態様29に記載の固定器。
[態様34]
第2端縁が、前記本体部の前記第2端から、前記第2端縁と前記長手軸線との間に画定される第2端角度で延び、前記第2端角度が30°~60°度である、態様1に記載の固定器。
[態様35]
前記ウィングの第1端縁、側方外縁及び第2端縁が、連続複合曲線を形成する、態様4に記載の固定器。
[態様36]
前記少なくとも1つのアームが、更に前記長手軸線に沿って陥凹トラフを有し、前記トラフが、前記少なくとも1つのグリップ要素の幅より大きいサイズのトラフ幅を有する、態様1に記載の固定器。
[態様37]
前記トラフ幅が、前記本体部の前記第1端から前記本体部の前記第2端まで増大する、態様36に記載の固定器。
[態様38]
前記第1及び第2ウィング延長部及び前記本体部が単一体である、態様1に記載の固定器。
[態様39]
各第1及び第2ウィング延長部が、端断面において、前記それぞれの本体側面から側方に延び、その後、側方外縁に対して直交して延びる、態様1に記載の固定器。
[態様40]
前記固定器が、前記中央組立体に移動可能に結合された第2アームを備え、前記第2アームが、第1端及び第2端を有する本体部を備え、前記第2端が、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、前記閉鎖位置において、前記少なくとも1つのアームが、前記少なくとも1つのアームの少なくとも3つの側面で前記第2アームを取り囲む大きさを有する、態様39に記載の固定器。
[態様41]
各第1及び第2ウィング延長部が、端断面において、前記ウィング延長部と各それぞれの第1及び第2ウィング延長部の対向する本体側面を通過して延びる基準軸線との間に画定されるウィング延長部の角度で延び、前記ウィング延長部の角度が125°~145°である、態様1に記載の固定器。
[態様42]
前記ウィング延長部の角度が約135°である、態様1に記載の固定器。
[態様43]
前記少なくとも1つのグリップ要素が、その長さに沿って少なくとも1つの摩擦要素を有する、態様4に記載の固定器。
[態様44]
前記少なくとも1つのグリップ要素が、その長さに沿って複数の摩擦要素を有し、前記少なくとも1つのグリップ要素が前記少なくとも1つのアームに近接して位置するとき、前記複数の摩擦要素が、前記第1端縁と前記それぞれの本体側面との交差部と、第2端縁と前記それぞれの本体側面の交差部との間に画定される長さに沿って配置される、態様43に記載の固定器。
[態様45]
前記固定器が、更に、
前記中央組立体に移動可能に結合された第2アームであって、前記第2アームが、第1端及び第2端を有する第2本体部を備え、前記第2端が、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である、第2アームと、
間に生来の弁尖を捕捉するために前記第2アームに対して移動可能な第2グリップ要素と、
を備える、態様1に記載の固定器。
[態様46]
心臓弁の弁尖を固定するための固定器のキットであって、
複数の固定器であって、各固定器が、
中央組立体と、
前記中央組立体に移動可能に結合された少なくとも1つのアームであって、前記少なくとも1つのアームが、
第1端及び第2端を有する本体部であって、前記第2端が閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、その間に長手軸線が画定され、前記本体部が対向する本体側面を有し、各本体側面が、前記第1端と前記第2端との間に延び、前記本体部が前記対向する本体側面の間に画定される本体部幅を有する、本体部と、
生来の弁尖をその間で捕捉する前記少なくとも1つのアームに対して移動可能なグリップ要素と、
を備える、少なくとも1つのアームと、
を備え、
前記少なくとも1つのアームが、前記複数の固定器の間で異なる長さ及び幅寸法を有する、
固定器のキット。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B