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特許7566012オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は治療用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/232 20060101AFI20241004BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/71 20060101ALI20241004BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241004BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20241004BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241004BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K36/232
A61K36/9068
A61K36/71
A61P35/00
A23L33/105
A23L33/10
A23K10/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022513648
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 KR2020011530
(87)【国際公開番号】W WO2021040449
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0106051
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512139102
【氏名又は名称】ユニバーシティ-インダストリー コーオペレイション グループ オブ キョンヒ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY-INDUSTRY COOPERATION GROUP OF KYUNG HEE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ,ソン-キュ
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0045088(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第104644631(CN,A)
【文献】国際公開第2008/139952(WO,A1)
【文献】Su-Ni TANG et al.,“Chemopreventive Effects of Korean Angelica versus Its Major Pyranocoumarins on Two Lineages of Transgenic Adenocarcinoma of Mouse Prostate Carcinogenesis”,Cancer Prevention Research,2015年09月01日,Vol. 8, No. 9,p.835-844,DOI: 10.1158/1940-6207.CAPR-15-0051
【文献】Ying LIANG et al.,“Anti-cancer and anti-inflammatory new vakognavine-type alkaloid from the roots of Aconitum carmichaelii”,Tetrahedron Letters,2016年12月,Vol. 57、No. 52,p.5881-5884,DOI: 10.1016/j.tetlet.2016.11.065
【文献】Sahdeo PRASAD et al.,“Ginger and Its Constituents: Role in Prevention and Treatment of Gastrointestinal Cancer”,Gastroenterology Research and Practice,2015年,Vol. 2015,p.1-11,DOI: http://dx.doi.org/10.1155/2015/142979
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、A23L、A23K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を有効成分として含み、前記抽出物の混合比率は、1.5~2.5:0.5~1.5:0.5~1.5である、癌予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記抽出物は、組成物全体に対して0.0001~20重量%の量で含まれるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記癌は、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、肝癌、乳癌、肺癌又は大腸癌である、請求項1に記載の癌予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項5】
オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を有効成分として含み、前記抽出物の混合比率は、1.5~2.5:0.5~1.5:0.5~1.5である、癌予防又は改善用食品組成物。
【請求項6】
オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を有効成分として含み、前記抽出物の混合比率は、1.5~2.5:0.5~1.5:0.5~1.5である、癌予防又は改善用飼料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物を有効成分として含む癌予防又は治療用組成物に関し、より具体的には、本発明は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物を有効成分として含む、癌予防又は治療用薬学的組成物、食品組成物、飼料組成物、前記薬学的組成物を投与するステップを含む癌予防又は治療方法、及び癌予防又は治療への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、韓国における疾病死亡原因第1位の疾病であり、年間約10万人以上が診断され、約6万人以上が死亡しており、世界的にも疾病死亡原因第1位であり、人類が解決すべき難病の一つである。よって、全世界的に癌を治療する治療剤を開発すべく、莫大な資本が投資され、研究されている現状である。喫煙、紫外線、化学物質、食物、その他の環境因子が発癌物質として癌を誘発しており、このような様々な誘発因子により、治療や予防方法に困難が生じ、発生する部位が多岐にわたる。また、発生する部位が異なる癌の種類に応じて、用いられる治療剤が異なる。
【0003】
現在、治療剤として用いられている物質は、多くの毒性を有し、特定癌細胞のみを選択的に除去することができない。このような治療剤は、効果的でなく、副作用も報告されている現状である。よって、癌の発生を予防し、治療するために、毒性が少なく、効果的な抗癌剤の開発が切実に求められている。
【0004】
一方、オニノダケ(Angelica gigas)は、セリ科に属する多年草であるオニノダケの根を乾燥させたものであり、甘辛い味、温かい性質を有する。オニノダケの効能には、血液が不足しているときに血液を生成する補血作用があり、オニノダケは、冠状動脈の血流量を増加させ、赤血球生成を促進する。
【0005】
ハナトリカブト(Aconitum carmichaeli Debeaux)は、烏頭のキンポウゲ科(Ranunculaceae)の子根を加工して作製する。一般に、塩附子を水に浸漬し、その後毎日2~3回水を替え、塩分が完全に除去されたら、甘草及び黒豆と共に火が通るまで煮て、割って味を見て舌を麻痺させなくなったら取り出し、皮を剥いで薄片にしたり、2~3枚に切って天日干しする。これをハナトリカブトという。熱い性質、辛い味を有し、関門を開き、肌を丈夫にし、胃腸を温める効能を有する。
【0006】
ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)は、ショウガの乾燥させた根茎を用いる。特異な臭いを有し、辛く、熱い性質を有する。外皮は灰色がかった黄色、外側の面は灰白色であり、白い粉が付いている。胸部や腹部が冷えて鈍い痛みがあり、腹が張って消化が悪く、嘔吐、下痢を起こす症状に効果がある。また、脈拍が弱くなり、手足が冷えて痺れ、冷たい風に当たって咳が出たり、呼吸が苦しくなったときや、下腹が冷えて下痢をしたときに用いる。胃液分泌促進、腸管連動作用活性化、消化促進、嘔吐抑制、心臓興奮、血圧上昇、血液循環促進の薬理効果を有する。抗炎、鎮痛、抑菌作用がある。
【0007】
前述したように、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの様々な薬理効果が知られているが、それらの混合抽出物の抗癌効果については全く知られておらず、それに関する研究も全く行われていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
こうした背景の下、本発明者らは、新規な抗癌剤を開発すべく努力を重ねた結果、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物が様々な癌細胞において特異的に増殖を抑制し、癌細胞生存率を抑制する優れた効果があることを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は治療用薬学的組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は改善用食品組成物を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は改善用飼料組成物を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記薬学的組成物を個体に投与するステップを含む癌予防又は治療方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物は、優れた癌治療効果を発揮するので、薬学的組成物又は食品に有効成分として含まれ、癌の治療剤や改善剤などの開発に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が胃癌細胞の増殖に及ぼす影響をMTTアッセイにより示した図である。
図2】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が卵巣癌細胞の増殖に及ぼす影響をMTTアッセイにより示した図である。
図3】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が前立腺癌細胞の増殖に及ぼす影響をMTTアッセイにより示した図である。
図4】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が肝癌細胞の増殖に及ぼす影響をMTTアッセイにより示した図である。
図5】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が乳癌細胞の増殖に及ぼす影響をMTTアッセイにより示した図である。
図6】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が肺癌細胞の増殖に及ぼす影響をMTTアッセイにより示した図である。
図7】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が大腸癌細胞の増殖に及ぼす影響をMTTアッセイにより示した図である。
図8】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が肝癌細胞のコロニー形成に及ぼす影響をColony formation assayにより示した図である。
図9】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が卵巣癌細胞のコロニー形成に及ぼす影響をColony formation assayにより示した図である。
図10】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が前立腺癌細胞のコロニー形成に及ぼす影響をColony formation assayにより示した図である。
図11】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が肝癌細胞のコロニー形成に及ぼす影響をColony formation assayにより示した図である。
図12】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が乳癌細胞のコロニー形成に及ぼす影響をColony formation assayにより示した図である。
図13】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物が肺癌細胞のコロニー形成に及ぼす影響をColony formation assayにより示した図である。
図14】様々な比率(1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率)の混合抽出物(オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ)が複数の大腸癌細胞のコロニー形成に及ぼす影響をColony formation assayにより示した図である。
図15】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物が胃癌細胞のコロニー形成と細胞生存に及ぼす影響をMTT assayとColony formation assayにより示した図である。
図16】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物が卵巣癌細胞のコロニー形成と細胞生存に及ぼす影響をMTT assayとColony formation assayにより示した図である。
図17】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物が前立腺癌細胞のコロニー形成と細胞生存に及ぼす影響をMTT assayとColony formation assayにより示した図である。
図18】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物が肝癌細胞のコロニー形成と細胞生存に及ぼす影響をMTT assayとColony formation assayにより示した図である。
図19】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物が乳癌細胞のコロニー形成と細胞生存に及ぼす影響をMTT assayとColony formation assayにより示した図である。
図20】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物が肺癌細胞のコロニー形成と細胞生存に及ぼす影響をMTT assayとColony formation assayにより示した図である。
図21】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物が大腸癌細胞のコロニー形成と細胞生存に及ぼす影響をMTT assayとColony formation assayにより示した図である。
図22】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で肝癌細胞を処理した際の抗癌メカニズムを示すウェスタンブロット画像である。
図23】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で肺癌細胞を処理した際の抗癌メカニズムを示すウェスタンブロット画像である。
図24】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で前立腺癌細胞を処理した際の抗癌メカニズムを示すウェスタンブロット画像である。
図25】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で胃癌細胞を処理した際の抗癌メカニズムを示すウェスタンブロット画像である。
図26】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で卵巣癌細胞を処理した際の抗癌メカニズムを示すウェスタンブロット画像である。
図27】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で大腸癌細胞を処理した際の抗癌メカニズムを示すウェスタンブロット画像である。
図28】オニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で乳癌細胞を処理した際の抗癌メカニズムを示すウェスタンブロット画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0016】
本発明における「オニノダケ(Angelica gigas)」は、円錐形又は細長い円錐形の側根を有し、通常は長さ15~25cm、直径2~5cmである。外面は淡い黄褐色又は黒褐色であり、不規則な縦ジワがあり、点状の髭根の跡があり、根頭部は膨大しており、通常は茎及び葉の一部が残っており、根首部は白色又は黄白色である。前記オニノダケには、補血活血、調経止痛、潤腸通便の効能があり、血虚萎黄に養血、補血作用があることが知られている。
【0017】
本発明における「ハナトリカブト(Aconitum carmichaeli Debeaux)」とは、キンポウゲ科(Ranunculaceae)に属する烏頭(Aconitum carmichaeli Debuax)の子根に熱を加えて加工したものを意味する。未加工の附子には毒があるので、加工して用いるのが一般的であり、前記ハナトリカブトには、気力を回復させる作用があることが知られている。
【0018】
本発明における「ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)」とは、ショウガ科に属する多年生草本であるショウガの根茎を天日干ししたものや、弱火で加工したものを意味する。前記ショウガは、生ショウガに比べて熱い性質であることが知られており、胃腸を温める効能があることが知られている。
【0019】
本発明における「抽出物」とは、所定の物質を抽出処理して得られる物質を意味し、具体的には、前記本発明の抽出処理により得られる抽出液、前記抽出液の希釈液や濃縮液、前記抽出液を乾燥させて得られる乾燥物、前記抽出液の粗精製物や精製物、それらの混合物など、抽出液自体及び抽出液を用いて形成可能なあらゆる剤形の抽出物が含まれる。
【0020】
前記抽出物を抽出する方法は特に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられる方法により抽出することができる。前記抽出物抽出方法としては、例えば溶媒抽出法、超音波抽出法、濾過法、還流抽出法などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは単独で用いてもよく、2種以上の方法を併用してもよい。
【0021】
本発明において、前記抽出物に用いられる抽出溶媒の種類は特に限定されるものではなく、当該技術分野で公知の任意の溶媒を用いることができる。前記抽出溶媒としては、例えば水、炭素数1~4のアルコール、又はそれらの混合溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。具体的には、前記抽出溶媒は、エタノールであってもよい。
【0022】
本発明における「混合抽出物」とは、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガを混合して抽出した抽出物であってもよく、オニノダケ抽出物、ハナトリカブト抽出物及びショウガ抽出物をそれぞれ作製して混合した混合物であってもよい。
【0023】
本発明における「癌」とは、身体組織の自律的な過剰成長により異常に成長した腫瘍、又は腫瘍を形成する疾病を意味する。
【0024】
具体的には、前記癌は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、悪性中皮腫)、中皮腫、膵臓癌(例えば、膵管癌、膵内分泌腫瘍)、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、胃癌(例えば、乳頭腺癌、粘液性腺癌、腺扁平上皮癌)、十二指腸癌、小腸癌、大腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、肛門癌、家族性大腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、消化管間質腫瘍)、乳癌(例えば、浸潤性乳管癌、非浸潤性乳管癌、炎症性乳癌)、卵巣癌(例えば、上皮性卵巣癌、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍)、精巣腫瘍、前立腺癌(例えば、ホルモン依存性前立腺癌、ホルモン非依存性前立腺癌)、肝癌(例えば、肝細胞癌、原発性肝癌、肝外胆管癌)、甲状腺癌(例えば、甲状腺髄様癌)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌、腎盂尿管移行上皮癌)、子宮癌(例えば、子宮頸癌、子宮体癌、子宮肉腫)、脳腫瘍(例えば、髄芽腫、神経膠腫、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫、下垂体腺腫)、網膜芽細胞腫、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、悪性黒色腫)、肉腫(例えば、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、軟部肉腫)、悪性骨腫瘍、膀胱癌、血液癌(例えば、多発性骨髄腫、白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄増殖性疾患)、原発不明癌などであり、より具体的には、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、肝癌、乳癌、肺癌及び大腸癌であるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明における「予防」とは、本発明による薬学的組成物の投与により癌細胞の成長を抑制又は遅延させるあらゆる行為を意味する。
【0026】
本発明における「治療」とは、前記薬学的組成物の投与により癌細胞の疑いのある個体及び発症個体の症状を好転又は有利に変化させるあらゆる行為を意味する。
【0027】
本発明における前記組成物は、ヒトに用いることが好ましいが、炎症疾患又は癌が発生して本発明の組成物投与により癌が抑制又は低減されるウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、カモシカ、イヌ、ネコなどの家畜に用いてもよい。
【0028】
本発明の薬学的組成物に含まれるオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物の含有量は、特にこれらに限定されるものではないが、最終組成物の総重量に対して0.0001~80重量%、0.0001~50重量%、より具体的には0.01~20重量%の含有量であってもよい。
【0029】
具体的には、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含んでもよく、前記担体は、非天然担体(non-naturally occuring carrier)を含んでもよい。
【0030】
より具体的には、前記薬学的組成物に含まれる担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリ乳酸(Poly Lactic Acid)、ポリ-L-乳酸(poly-L-lactic acid)、鉱油などが挙げられる。
【0031】
前記薬学的組成物は、それぞれ通常の方法で散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エアゾール剤などの経口剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して用いられ、担体の形態としては、各種不定形の担体、マイクロスフィア、ナノファイバーなどが挙げられる。
【0032】
製剤化する場合は、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製されてもよい。
【0033】
経口用固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、前記抽出物とその分画物に少なくとも1つの賦形剤、例えばデンプン、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製される。また、通常の賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤も用いられる。
【0034】
経口用液体製剤には、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが含まれ、通常用いられる通常の希釈剤である水、流動パラフィン以外にも種々の賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが用いられる。
【0035】
非経口投与用製剤には、滅菌水溶液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、坐剤などが含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物性油、オレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどが用いられる。
【0036】
上記目的を達成するために、本発明の他の実施形態は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は改善用食品組成物を提供する。
【0037】
ここで、前記「オニノダケ」、「ハナトリカブト」、「ショウガ」、「抽出物」、「癌」及び「予防」については前述した通りである。
【0038】
本発明における「改善」とは、前記組成物の投与により治療される状態に関するパラメーター、例えば症状の程度を少なくとも減少させるあらゆる行為を意味する。
【0039】
本発明によるオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物は、優れた癌抑制効果を発揮するので、癌予防又は改善を目的として食品組成物に含まれてもよく、前記食品組成物は、日常的に摂取できるので、癌予防又は改善に高い効果が期待される。
【0040】
本発明における「食品」には、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類をはじめとする乳製品、各種スープ、清涼飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、機能性食品などの通常の意味での食品が全て含まれ、本発明のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガを含むものであればいかなるものでもよい。
【0041】
本発明における「機能性食品」とは、健康機能食品に関する法律第6727号による人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて製造及び加工した食品を意味し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか、生理学的作用などの保健用途に有用な効果を与えることを意味する。一方、健康食品とは、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品とは、健康補助目的の食品を意味するが、場合によっては、機能性食品、健康食品、健康補助食品は混用される。
【0042】
本発明のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガは、そのまま添加してもよく、他の食品又は食品成分と共に用いてもよく、通常の方法で適宜用いられる。
【0043】
本発明の食品は、当該技術分野で通常用いられる方法により製造することができ、その製造時には当該技術分野で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。具体的には、前記食品組成物は、生理学的に許容される担体をさらに含んでもよいが、担体の種類は特に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられる担体であればいかなるものでも用いられる。また、前記食品組成物は、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、着色剤、発色剤、漂白剤、調味料、甘味料、香料、膨張剤、強化剤、乳化剤、増粘剤、被膜剤、ガムベース、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物を含んでもよい。前記添加物は、食品の種類に応じて選択されて適切な量で用いられる。
【0044】
さらに、前記食品の剤形は、食品として認められる剤形であればいかなるものでもよい。本発明の食品用組成物は、様々な形態の剤形に製造することができ、一般薬品とは異なり、食品を原料とするので、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという利点があり、携帯性に優れるので、本発明の食品は、癌予防又は改善の効果を高める補助剤として摂取することができる。
【0045】
本発明のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物は、癌予防又は改善効果を発揮するものであれば、食品組成物に様々な重量%で含まれてもよい。具体的には、食品組成物の総重量に対して0.00001~100重量%又は0.01~80重量%含まれてもよいが、これらに限定されるものではない。健康及び衛生を目的とする長期間の摂取においては、上記範囲以下の含有量であってもよく、安全性面で何ら問題がないので、有効成分は上記範囲以上の量で用いてもよい。
【0046】
上記目的を達成するために、本発明のさらに他の実施形態は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物を有効成分として含む癌予防又は改善用飼料組成物を提供する。
【0047】
ここで、前記「オニノダケ」、「ハナトリカブト」、「ショウガ」、「抽出物」、「癌」、「予防」及び「改善」については前述した通りである。
【0048】
本発明によるオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ抽出物は、優れた癌治療効果を発揮するので、癌予防又は改善を目的として飼料組成物に含まれてもよく、前記飼料組成物は、動物が日常的に摂取できるので、癌予防又は改善に高い効果が期待される。
【0049】
本発明における「飼料」とは、動物が食べて摂取し、消化させるための、もしくはそれに適した任意の天然もしくは人工の規定食、一食など、又は前記一食の成分を意味する。
【0050】
前記飼料の種類は特に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられる飼料を用いることができる。前記飼料の例としては、穀物類、根果類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、製薬副産物類、油脂類、デンプン類、ミール類、穀物副産物類などの植物性飼料と、タンパク質類、無機物類、油脂類、ミネラル類、単細胞タンパク質類、動物性プランクトン類、飲食物などの動物性飼料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0051】
上記目的を達成するために、本発明のさらに他の実施形態は、前記薬学的組成物を個体に投与するステップを含む癌予防又は治療方法を提供する。
【0052】
ここで、前記「薬学的組成物」、「癌」、「予防」及び「治療」については前述した通りである。
【0053】
本発明の薬学的組成物は、癌予防又は治療効果を発揮するので、これを個体に投与するステップを含む本発明の方法は、癌予防又は治療に有用である。
【0054】
本発明における「投与」とは、適切な方法で個体に前記組成物を導入することを意味する。
【0055】
本発明における「投与」とは、任意の適切な方法で患者に本発明の組成物を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は、標的組織に送達できるものであれば、いかなる一般的な経路で投与してもよい。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本発明における「個体」とは、癌が発症したか、発症するリスクのある、ヒトをはじめとする、ラット、マウス、家畜などのあらゆる動物を意味し、具体例として、ヒトを含む哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
上記目的を達成するために、本発明のさらに他の実施形態は、オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物を有効成分として含む癌予防又は治療への使用を提供する。
【0058】
ここで、前記「オニノダケ」、「ハナトリカブト」、「ショウガ」、「抽出物」、「癌」、「予防」及び「治療」については前述した通りである。
【実施例
【0059】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示するものにすぎず、本発明がこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0060】
オニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物の作製
オニノダケ(Angelica gigas)、ハナトリカブト(Aconitum carmichaeli Debeaux)、又はショウガ(Zingiber officinale Roscoe)をそれぞれ1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の重量比(w/w)で混合し、その後抽出器に入れ、8~10倍量の70%エタノールを入れ、次いで2~3時間抽出した。前記抽出液を濾過して濾液を減圧濃縮し、その後乾燥させてオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガの混合抽出物を得た。
【実施例2】
【0061】
癌細胞の培養
本発明における癌細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection; ATCC)から分譲されたものを実験に用いた。また、前記細胞は、RPMI 1640に熱不活性化した10%FBS(Fetal Bovine Serum)及び100U/mL抗生剤-抗真菌剤(Invitrogen)を添加した細胞培養液を用いて、37℃の温度、5%のCO条件の細胞培養器内で培養した。
【実施例3】
【0062】
MTTアッセイによる癌細胞生存率の確認
本発明の抽出物による癌細胞成長抑制及び抗癌剤としての役割を検証するために、MTTアッセイにより細胞生存率を確認した。
【0063】
具体的には、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、肝癌、乳癌、肺癌及び大腸癌細胞を用いて、より具体的には、胃癌はAGS、MKN45、卵巣癌はA2780、OVCAR3、LNCAP、前立腺癌はPC3、DU145、肝癌はSK-Hep-1、HepG2、乳癌はSKBR3、MCF7、肺癌はH1299、H460、大腸癌はHCT116、LOVO細胞を用いて、96ウェル培養皿に1ウェル当たり3×10個接種して24時間培養した。その後、本発明の4つの条件の混合抽出物100μg/mlで処理し、さらに24時間培養した。培養後、MTT反応液(0.5mg/mL)をウェルに添加し、37℃の暗室で2時間処理した。培養液を除去し、DMSOに溶解したformazanとELISAリーダーを用いて、570nmで吸光度を確認した。
【0064】
その結果、図1図7に示すように、混合抽出物で処理すると、全ての癌細胞において癌細胞の生長率が抑制されることが確認され、2:1:1の比率の1番の混合抽出物において癌細胞生長抑制率が最も高いことが確認された。
【0065】
よって、本発明の混合抽出物が癌細胞の生長を抑制することが確認され、1番の2:1:1の混合比率においてその効果が最も大きいことが確認された。
【実施例4】
【0066】
コロニー形成アッセイ
本発明のオニノダケ、ハナトリカブト及びショウガ混合抽出物の癌細胞生長抑制及びコロニー形成抑制能を検証するために、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、肝癌、乳癌、肺癌及び大腸癌を処理した際の細胞のコロニー形成及び生長率を確認した。
【0067】
より具体的には、胃癌はAGS、卵巣癌はA2780、OVCAR3、前立腺癌はDU145、PC3、肝癌はHEPG2、SKHEP1、乳癌はMCF7、SKBR3、肺癌はA549、H1299、H460、大腸癌はHCT116、LOVO細胞を用いた。癌細胞を6ウェル培養皿に3×10個接種して24時間培養し、上記と同様に、1番は2:1:1、2番は4:1:1、3番は2:3:1の比率で混合した本発明の混合抽出物で処理し、その後さらに24時間培養した。その後、コロニーが形成されるように、10日間培養した。0.1%crystal violet(Amersco, Solon, OH, USA)を溶解した50%メタノール及び10%氷酢酸により、形成されたコロニーを染色し、コロニー形成を確認した。
【0068】
その結果、図8図14に示すように、陰性対照群と比較して、混合抽出物で処理すると染色された細胞が少なくなることが染色の程度により肉眼で確認された。また、混合比率によってコロニー形成抑制能がそれぞれ異なり、1番の2:1:1の混合比率においてコロニー形成が最も抑制されることが確認された。
【0069】
よって、混合抽出物が癌細胞コロニー形成を抑制することが確認され、上記結果により、1番の2:1:1の混合比率を選択して以後の実験を行った。
【実施例5】
【0070】
MTTアッセイによる混合抽出物の癌細胞コロニー生長抑制の確認
本発明の混合抽出物の癌細胞生長抑制及びコロニー形成抑制能を検証するために、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、肝癌、乳癌、肺癌及び大腸癌を処理して細胞のコロニー形成及び生長率を確認した。
【0071】
具体的には、実施例4で選択した2:1:1の比率で混合した抽出物で処理した。MTTアッセイの実験方法は、実施例3と同様である。
【0072】
その結果、図15図21に示すように、陰性対照群と比較して、混合抽出物で処理するとコロニーを形成した癌細胞の生長率が低くなることが確認され、概して濃度が増加するにつれて癌細胞生長抑制率も増加することが確認された。
【0073】
よって、本発明の混合抽出物は濃度に依存して癌細胞コロニーの生長を抑制することが確認された。
【実施例6】
【0074】
ウェスタンブロットによる癌細胞抑制メカニズムの確認
実施例5において本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物の癌細胞生長抑制及びコロニー形成抑制能が検証されたので、ウェスタンブロットにより様々な癌細胞における混合抽出物の抗癌メカニズムを確認した。
【0075】
具体的には、洗浄した細胞を培養し、氷上にてlysisバッファ(50mM Tris?Cl,pH7.4,1%NP-40,0.25%sodium deoxycholate,0.1%sodium dodecyl sulfate,150mM NaCl,1mM ethylenediaminetetraacetic acid及びプロテアーゼ阻害剤(protease inhibitor))で20分間溶解し、その後13,000rpm、4℃の条件で遠心分離した。その後、Bi0-Rad Bradfordタンパク質アッセイ(Bio-Rad, Hercules, CA, United States)により、溶解した細胞を定量した。タンパク質全体を6%~15%sodium dodecyl sulfate(SDS)-polyacrylamideゲルから分離し、その後ニトロセルロースメンブレン(Protran nitrocellulose membrane, Whatman, UK)に移し、前記メンブレンを1%スキムミルク及びPBS-T(0.1%Tween-20)を含む1%BSAでブロッキングし、次いで一次抗体で処理した。その後、HRPが結合した二次IgG抗体(Calbiochem, San Diego, CA, USA)で処理し、enhanced chemiluminescence検出システム(Amersham ECL kit, Amersham Pharmacia Biotech Inc., Piscataway, NJ, USA)により結果を確認した。
【0076】
1)肝癌細胞
本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で肝癌細胞であるHEPG2及びSKHEP1を処理し、前記ウェスタンブロット法により確認した。
【0077】
その結果、図22に示すように、caspase 3、9及びPARPを反応させ、細胞死を誘導することが確認された。
【0078】
2)肺癌細胞
本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で肺癌細胞であるA549、H460及びH1299を処理し、前記ウェスタンブロット法により確認した。
【0079】
その結果、図23に示すように、caspase 3、8、9及びPARPを反応させ、細胞死を誘導することが確認された。
【0080】
3)前立腺癌細胞
本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で肝癌細胞であるDU145及びPC3を処理し、前記ウェスタンブロット法により確認した。
【0081】
その結果、図24に示すように、caspase 3、9及びPARPを反応させ、細胞死を誘導することが確認された。
【0082】
4)胃癌細胞
本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で胃癌細胞であるAGSを処理し、前記ウェスタンブロット法により確認した。
【0083】
その結果、図25に示すように、caspase 3及び9を反応させ、細胞死を誘導することが確認された。
【0084】
5)卵巣癌細胞
本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で卵巣癌細胞であるA2780を処理し、前記ウェスタンブロット法により確認した。
【0085】
その結果、図26に示すように、caspase 3及び9を反応させ、細胞死を誘導することが確認された。
【0086】
6)大腸癌細胞
本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で大腸癌細胞であるHCT-116を処理し、前記ウェスタンブロット法により確認した。
【0087】
その結果、図27に示すように、caspase 3及び9を反応させ、細胞死を誘導することが確認された。
【0088】
7)乳癌細胞
本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物で乳癌細胞であるMCF-7を処理し、前記ウェスタンブロット法により確認した。
【0089】
その結果、図28に示すように、caspase 3及び9を反応させ、細胞死を誘導することが確認された。
【0090】
よって、本発明のオニノダケ:ハナトリカブト:ショウガ=2:1:1の混合抽出物は様々な癌細胞において細胞死を誘導するので、抗癌効能があることが確認された。
【0091】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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