(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】特に自動車用の、電気加熱装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B60H1/22 611C
(21)【出願番号】P 2022535766
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 FR2020052248
(87)【国際公開番号】W WO2021116563
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】アルノー、フェーブル
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、ドクール
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、クワペル
(72)【発明者】
【氏名】セリフ、カラースラン
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ラマンド
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/181092(WO,A1)
【文献】特開2004-047148(JP,A)
【文献】実開平04-010915(JP,U)
【文献】特開平11-151931(JP,A)
【文献】特表2017-503990(JP,A)
【文献】特開2013-235758(JP,A)
【文献】実開昭52-157034(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車用の、液体を加熱するための電気加熱装置であって、
加熱体と、
液体循環チャンバを少なくとも部分的に画定する筐体とを備え、
前記加熱体は、前記液体循環チャンバ内を延在する少なくとも2つの電気加熱要素を備え、第1の機械的接続を形成するように、前記液体循環チャンバを少なくとも部分的に画定する前記電気加熱装置の内壁に固定されており、
前記電気加熱装置は、前記液体循環チャンバの内部に配置され、前記第1の機械的接続とは異なる第2の機械的接続を形成するように前記少なくとも2つの電気加熱要素と前記加熱体に面して延在する前記筐体の内面とを機械的に接続する、少なくとも1つの機械的接続要素を備え、
前記少なくとも2つの電気加熱要素は、少なくとも部分的に螺旋形状を有し、前記少なくとも1つの機械的接続要素は、前記筐体の前記内面と前記少なくとも2つの電気加熱要素の少なくとも1つの巻回との間に配置され、
前記少なくとも1つの機械的接続要素は、前記筐体の前記内面と前記加熱体との間に配置された中間部品の形態をとり、
前記中間部品が、前記電気加熱要素又は電気加熱要素の長手方向端部に横方向に面して配置されたコアと、前記コアから前記加熱体の方向に延在し、前記電気加熱要素と接触して配置された所定数の接触タブとを備え、
前記接触タブは、前記少なくとも2つの電気加熱要素の間に軸方向に配置さ
れ、
前記加熱体が、少なくとも2つの同心電気加熱要素を備え、外側電気加熱要素が内側電気加熱要素の周囲に配置され、前記接触タブが、前記同心電気加熱要素の間に少なくとも部分的に配置されている、電気加熱装置。
【請求項2】
前記加熱体は、前記筐体に固定された基部を備え、前記筐体及び前記基部は、前記液体循環チャンバを少なくとも部分的に画定し、前記第1の機械的接続は、前記少なくとも2つの電気加熱要素と前記基部との間にある、請求項1に記載の電気加熱装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの機械的接続要素が、前記液体循環チャンバ内で前記基部の反対側に配置されている、請求項2に記載の電気加熱装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電気加熱要素は、前記液体循環チャンバ内で長手方向に延在し、前記少なくとも1つの機械的接続要素は、前記液体循環チャンバ内に配置され、前記筐体の前記内面を前記電気加熱要素の長手方向端部に機械的に接続する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気加熱装置。
【請求項5】
前記中間部品は、少なくとも部分的に弾性がありかつ可撓性である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の電気加熱装置。
【請求項6】
前記加熱体は、前記筐体に固定された基部を備え、
前記中間部品の前記コアが、前記基部の反対側の前記筐体の前記内面に当接するように配置されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載の電気加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、例えば、自動車の内部を加熱、換気、及び/又は空調するための設備用の流体、特に、液体を加熱及び循環させるための電気装置の分野である。より詳細には、本発明は、高電圧電力供給ネットワークを備えた電気自動車又はハイブリッド自動車において、このような設備に使用される電気加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱機関によって自動車の内部を熱処理するための空気は、熱交換器を介して空気流と液体などの伝熱流体との間の熱交換によって加熱される。ハイブリッド自動車や電気自動車の場合、熱エネルギー源を構成し、電流が流れて加熱装置の筐体内を長手方向に延在する加熱体の温度を上昇させる電気加熱装置が知られている。これにより、加熱される液体は、電気加熱装置を通過して加熱体に接触する。次いで、加熱体と車室内を加熱するための液体との間で熱エネルギーの交換が行われ、これにより、順次加熱される。
【0003】
加熱体は、通常、少なくとも1つの電気加熱要素、例えば、1つ又は複数の発熱抵抗体を備える。所望の運転に十分な加熱パワーを得るために、単一の電気加熱装置内の電気加熱要素の数を増やしてもよい。
【0004】
更に、筐体は、電気部品を搭載した電気回路を収容することができ、特に、各電気加熱要素の電気端子を電力供給システムに接続することが可能である。したがって、この電気回路と加熱される液体の回路との間に密封された隔壁を設けることが必要である。
【0005】
1つの既知の解決策によれば、電気加熱装置は、筐体内に少なくとも部分的に液体循環チャンバを画定する筐体を備えている。電気加熱装置は、このチャンバを少なくとも部分的に画定し、1つ又は複数の電気加熱要素を支持する内壁を備える。このような壁には電気端子を通すことができ、次いで、これらの電気端子は、電気回路を収容する空洞に通じている。この壁で密封性を確保する必要がある。
【0006】
いくつかの電気加熱要素がある場合、この壁に密封手段を集中させるように、全ての電気加熱要素を同じ壁に固定することが効果的である。したがって、電気加熱要素は、筐体内で片持ち梁のように取り付けられる。
【0007】
使用中、自動車に搭載された、実際には、例えば、エンジンに搭載された電熱装置は、移動又は振動を引き起こし、電気加熱装置の様々な部品が、特に、加熱体の発熱抵抗体などの電気加熱要素が、互いに衝突したり、筐体の内部と衝突する可能性がある。これにより、ノイズが発生し、また、接触している部品の磨耗を早める原因にもなり得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、先行技術に見られるこれらの問題を少なくとも部分的に克服することを目的とし、特に、自動車での使用時に発生しやすい振動による騒音を抑制することが可能な電気加熱装置を提案するものである。
【0009】
この目的のために、本発明の主題は、液体を加熱するための、特に、自動車用の電気加熱装置であって、当該装置は、加熱体と、液体循環チャンバを少なくとも部分的に画定する筐体とを備え、加熱体は、液体循環チャンバ内を延在する少なくとも1つの電気加熱要素を備え、第1の機械的接続を形成するように、液体循環チャンバを少なくとも部分的に画定する前記装置の内壁に固定される。本発明によれば、電気加熱装置は、液体循環チャンバの内部に配置された少なくとも1つの機械的接続要素を備え、第1の機械的接続とは異なる第2の機械的接続を形成するように、前記少なくとも1つの電気加熱要素と、加熱体に面して延在する筐体の内面とを機械的に接続する。
【0010】
第1の機械的接続を補完し、したがって筐体内の1つ又は複数の電気加熱要素の片持ち梁を制限する機械的接続が追加される。
【0011】
この追加の機械的接続により、部品間の公差の範囲を吸収し、特に、自動車での使用時に発生する騒音や振動を制限することが可能となる。
【0012】
また、追加の機械的接続により、1つ又は複数の電気加熱要素と筐体との間にサーマルブリッジが形成され、チャンバ内に液体が存在しない場合でも、電気加熱要素の温度をより正確に測定することが可能になる。液体は、例えば、グリコール水である。
【0013】
電気加熱装置はまた、以下に説明する特徴のうち、個別に又は組み合わせて考慮される1つ又は複数を有していてもよい。
【0014】
前記少なくとも1つの電気加熱要素は、発熱抵抗体の形態をとってもよい。
【0015】
一例によれば、加熱体は、筐体及び基部が液体循環チャンバを少なくとも部分的に画定するように、筐体に固定された基部を備える。
【0016】
第1の機械的接続は、例えば、前記少なくとも1つの電気加熱要素と基部との間にある。この場合、前記少なくとも1つの電気加熱要素を支持する内壁は、基部によって画定される。これは、液体循環チャンバに面する側にある基部の壁である。
【0017】
前記少なくとも1つの電気加熱要素は、例えば、基部に固定された電気端子が設けられた2つの端子部を備える。
【0018】
本発明の一態様によれば、加熱体は、液体循環チャンバ内を延在する少なくとも2つの電気加熱要素を備え、全ての電気加熱要素は、例えば、基部に固定される。
【0019】
好ましくは、第2の機械的接続は、電気加熱要素又は各電気加熱要素との少なくとも3つの接触点によって確保される。
【0020】
電気加熱要素又は複数の電気加熱要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に螺旋形状を有してもよい。
【0021】
前記少なくとも1つの機械的接続要素は、筐体の内面と、電気加熱要素又は複数の電気加熱要素のうちの少なくとも1つの巻回との間に配置されてもよい。
【0022】
一例によれば、電気加熱要素又は複数の電気加熱要素のうちの少なくとも1つは、第1の端子部と、それに続く、中間部、例えば、巻回部と、それに続く矩形の第2の端子部とを備え、第1及び第2の端子部は、例えば、巻回部である中間部と基部との間を延在する。
【0023】
前記少なくとも1つの機械的接続要素は、例えば、基部の反対側の液体循環チャンバ内に配置されている。
【0024】
例示的な一実施形態によれば、電気加熱要素又は複数の電気加熱要素のうちの少なくとも1つは、液体循環チャンバ内で長手方向に延在する。
【0025】
前記少なくとも1つの機械的接続要素は、液体循環チャンバ内に配置され、筐体の内面を電気加熱要素又は複数の電気加熱要素のうちの少なくとも1つの長手方向端部に機械的に接続することができる。
【0026】
一実施形態によれば、加熱体は、互いの軸方向延在部に配置された少なくとも2つの電気加熱要素を備える。互いの軸方向延在部に配置された電気加熱要素は、例えば、共通の軸の周囲に巻回される。
【0027】
前記少なくとも1つの機械的接続要素は、2つの電気加熱要素の間に軸方向に配置されてもよい。
【0028】
一実施形態によれば、加熱体は、少なくとも2つの同心電気加熱要素を備え、一方が他方の周囲に配置される。より具体的には、少なくとも1つの外側電気加熱要素は、少なくとも1つの内側電気加熱要素の周囲に配置される。電気加熱要素の巻回軸は一致してもよい。
【0029】
加熱体は、例えば、第1の直径によって画定される少なくとも第1の電気加熱要素と、第1の直径よりも小さい第2の直径によって画定される第2の電気加熱要素とを備え、第1の電気加熱要素は第2の電気加熱要素の周囲に配置される。
【0030】
第1及び第2の電気加熱要素は、例えば、少なくとも部分的に螺旋形状を有する。
【0031】
前記少なくとも1つの機械的接続要素は、同心電気加熱要素の間に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0032】
本発明の一態様によれば、前記少なくとも1つの機械的接続要素は、筐体の内面と加熱体との間に配置されている中間部品の形態をとる。したがって、中間部品は、電気加熱装置に追加される追加部品である。
【0033】
1つの選択肢によれば、いくつかの接触点が単一の中間部品によって形成されてもよい。
【0034】
別の選択肢によれば、複数の中間部品がそれぞれ少なくとも1つの接触点を確保するように設けられている。
【0035】
中間部品は、サーマルブリッジを形成するように、熱伝導性材料、好ましくは金属で作られてもよい。
【0036】
このような金属により、前記少なくとも1つの機械的接続要素が機械的に接触している、発熱抵抗体などの電気加熱要素の動作温度に耐えることが可能になる。
【0037】
効果的には、中間部品は、少なくとも部分的に弾性がありかつ可撓性である。これにより、中間部品にばね効果が与えられ、電気加熱装置の公差、ずれ又は寸法誤差の範囲を補償することが可能になる。
【0038】
本発明の一態様によれば、中間部品は、電気加熱要素又は複数の電気加熱要素のうちの1つの長手方向端部に面して横方向に配置されたコアと、コアから加熱体の方向に延在し、電気加熱要素と接触して配置された所定数の接触タブとを備える。
【0039】
中間部品は、例えば、少なくとも3つの接触タブを備える。
【0040】
接触タブは、加熱体の方向に延在し、同じ長さ又は異なる長さに亘って、少なくとも1つの電気加熱要素と接触して配置されてもよい。
【0041】
接触タブは、1つ又は複数の電気加熱要素との接触を確保するために、任意の適切な形状であってもよい。純粋に一例として、接触タブは、直線状であっても、湾曲していても、凹面を有していてもよい。接触タブは、電気加熱要素の長手方向軸に対して傾斜していてもよく、例えば、接触前に約30°~45°の角度を成していてもよい。接触タブは、異なる方向に交互に傾斜していてもよい。
【0042】
タブの傾斜又は湾曲により、組立体に可撓性が与えられ、電気加熱要素又は複数の電気加熱要素のうちの1つが中間部品に当接するときに、これらの接触タブは変形することができる。
【0043】
一実施形態によれば、中間部品のコアは、基部とは反対側の筐体の内面に当接するように配置されている。これは、中間部品が電気加熱要素と筐体の基部の反対側の内面との間に押圧されることによって所定の位置に保持される。
【0044】
一変形例によれば、中間部品の少なくともいくつかの接触タブは、筐体の内面と接触して配置されてもよい。例えば、筐体の内面と接触するタブと、電気加熱要素と接触するタブとを交互に設けることが可能である。
【0045】
代替的に、筐体の内面と電気加熱要素との間に配置された接触タブの各々は、両方と接触してもよい。
【0046】
加熱体は、例えば、円筒形などの略中空形状を画定する。特に、少なくとも1つの電気加熱要素は、円筒形などの略中空形状を画定する。
【0047】
一実施形態によれば、中間部品のコアは、外径よりも小さい内径を有する略環状の形状である。内側タブと呼ばれる第1の一連のタブは、環状形状の内側から加熱体の内側に向かって、即ち、加熱体の略中空形状の内側に向かって延在してもよく、外側タブと呼ばれる第2の一連のタブは、環状形状の外側から加熱体の外側に向かって、即ち、加熱体の略中空形状の外側に向かって延在してもよい。
【0048】
内側タブは、例えば、内側電気加熱要素が略中空形状を画定する場合、内側電気加熱要素の内側に向かって延在する。外側タブは、例えば、外側電気加熱要素が略中空形状を画定する場合、外側電気加熱要素の外側に向かって延在する。
【0049】
別の実施形態によれば、コアは略円盤形状を有する。
【0050】
加熱体が少なくとも2つの同心電気加熱要素を備え、一方が他方の周囲に配置される構成では、中間部品の接触タブの少なくとも一部が同心電気加熱要素の間に取り付けられてもよい。
【0051】
一実施形態によれば、中間部品の全ての接触タブは、同心電気加熱要素の間に配置されてもよい。
【0052】
異なる向きに傾斜した接触タブを有する中間部品の構成では、第1の接触タブは、外側電気加熱要素に当接するように配置されてもよく、交互に配置された第2のタブは、内側電気加熱要素に当接するように配置されてもよい。
【0053】
別の実施形態によれば、中間部品は、外側電気加熱要素を圧迫するように配置されたヘッドを備え、ヘッドから延在する少なくとも第1のタブ及び第2のタブを備える、クリップの形態で作製される。第1のタブは、内側電気加熱要素に当接するように構成され、第2のタブは、筐体の内面に当接するように構成される。
【0054】
ヘッドは、例えば、電気加熱要素の管状形状に相補的な丸みを帯びた形状である。
【0055】
第1のタブは直線状であってもよい。
【0056】
第2のタブは直線状であってもよい。これは、効果的には、その凸部が筐体の内面に向けられたドーム状又は凸状である。ドーム形状により、筐体の内面を損傷することが回避される。
【0057】
本発明はまた、上記で定義されたような電気加熱装置を有する、空気流を加熱及び/又は換気及び/又は空調するための設備に関する。
【0058】
本発明の更なる利点及び特徴は、例示的かつ非限定的な例として与えられる以下の説明、及び添付の図面を読むことによって、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図2】2つの電気加熱要素を備える
図1の電気加熱装置の加熱体を示す。
【
図4】
図2の加熱体上に組み立てられた第1の実施形態による機械的接続要素を示す。
【
図5】
図4の加熱体及び機械的接続要素を備える電気加熱装置の断面図である。
【
図8】第2の実施形態による加熱体及び機械的接続要素を備える電気加熱装置の断面図である。
【
図9】
図3の加熱体と、第3の実施形態による2つの機械的接続要素とを備える電気加熱装置の断面図である。
【
図10】第3の実施形態に係る機械的接続要素の斜視図である。
【
図11】第4の実施形態による機械的接続要素の斜視図である。
【
図12】1つの電気加熱要素を備える電気加熱装置の筐体内における
図11の機械的接続要素の配置の第1の例である。
【
図13】2つの電気加熱要素を備える電気加熱装置の筐体内における
図11の機械的接続要素の配置の第2の例である。
【
図14】
図2の加熱体上に組み立てられた第5の実施形態による機械的接続要素を示す。
【
図17】第6の実施形態による機械的接続要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
これらの図では、同一の要素には同じ参照番号が付けられている。
【0061】
以下の実施形態は例である。説明は1つ又は複数の実施形態に言及しているが、それは必ずしも各参照がその同じ実施形態に関連していること、又は特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味しない。他の実施形態を作成するために、様々な実施形態の個々の特徴を組み合わせても、又は交換してもよい。
【0062】
説明では、例えば、第1の要素又は第2の要素などの特定の要素に索引付けする場合がある。この場合、これは単に、類似しているが同一ではない要素を区別して示すための索引付けである。この索引付けは、ある要素が別の要素よりも優先されることを意味するものではなく、このような呼称は、本明細書の範囲から逸脱することなく容易に交換することができる。この索引付けは、時間的順序も意味しない。
【0063】
図1を参照すると、本発明は、特に、電気自動車又はハイブリッド自動車などの自動車用の電気加熱装置1に関する。この電気加熱装置1は、特に、このような自動車用の空気流を加熱及び/又は換気及び/又は空調するための設備と相互作用することを目的とする。これは、流体、特に、グリコール水などの液体を加熱するための電気加熱装置1である。
【0064】
電気加熱装置1は、筐体3を備える。筐体3は、略円筒形状又は円錐形状を有してもよい。あるいは、略直方体形状であってもよい。
【0065】
電気加熱装置1は、筐体3によって少なくとも部分的に画定された液体循環チャンバ30を備える。
【0066】
筐体3は、例えば、長手方向軸Aと呼ばれる電気加熱装置1の延在軸に沿って長手方向に延在している。筐体3は、第1の長手方向端部31及び第2の長手方向端部33によって画定される。長手方向端部31及び33は、例えば、図示のように、互いに平行で長手方向軸Aに直交する平面内に延在する。
【0067】
図示の特定の実施形態によれば、電気加熱装置1は、筐体3が固定され、したがって筐体3内の液体の循環のためのチャンバ30を画定する基部5を備える。基部5は、筐体3の第1の長手方向端部31に配置されている。液体循環チャンバ30は、長手方向軸Aを中心として配置されている。液体循環チャンバ30は、略円筒形又は円錐形の形状で画定される。他の代替形状として、例えば、平行六面体を考えてもよい。
【0068】
基部5はまた、液体循環チャンバ30と、電気加熱装置1の、例えば、その中に電気回路を取り付けることができる筐体3の空洞(
図1には示されず)との間に、隔壁を作ってもよい。
【0069】
電気加熱装置1は、発熱抵抗体などの1つ又は複数の電気加熱要素7、9を支持する循環チャンバ30を少なくとも部分的に画定する内壁を更に備える。この内壁は、これらの電気加熱要素7、9用の支持体を形成する。この内壁は、筐体3によって画定されてもされなくてもよい。
【0070】
特に、この内壁は、基部5によって画定されてもよい。この場合、基部5は、発熱抵抗体などの1つ又は複数の電気加熱要素7、9を支持する。説明の残りの部分は、このような基部5によって画定される内壁のこの特定の実施形態に関する。もちろん、本発明はこの特定の例に限定されず、説明の残りの部分は、このような基部によって画定されない電気加熱装置1の別の内壁に適用されてもよい。
【0071】
1つ又は複数の電気加熱要素7、9は、液体循環チャンバ30の内部を延在する。運転中、加熱される液体は、このチャンバ30内を循環し、1つ又は複数の電気加熱要素7、9と接触して、これと熱交換することによって温度が上昇することができる。次いで、加熱された液体は、自動車の他の構成要素に送られるように、電気加熱装置1から排出されてもよい。
【0072】
1つ又は複数の電気加熱要素7、9は、基部5に固定され、したがって、電気加熱要素7、9と基部5との間に第1の機械的接続を形成する。この目的のために、1つ又は複数の電気加熱要素7、9は、循環チャンバ内を循環する液体が漏れないように、基部5に形成された穴(見えない)に、密封状態で挿入、固定される。1つ又は複数の電気加熱要素7、9は、例えば、溶接によって基部5に固定される。
【0073】
電気加熱要素7、9には、電気端子71、91がそれぞれ設けられている。電気端子71、91は、例えば、長手方向軸Aに実質的に平行な方向に延在する。
【0074】
電気端子71、91は、例えば、電気回路を介して電源に接続されるように、液体循環チャンバ30とは反対側の基部5の側から延在する。
【0075】
基部5及び1つ又は複数の電気加熱要素7、9は、
図2においてより明確に見ることができる加熱体11と呼ばれる組立体を形成する。図示の例では、基部5及び1つ又は複数の電気加熱要素7、9の配置が、加熱体11の略円筒形の形状を画定する。したがって、後者は、基部5によって形成された第1の長手方向端部と、基部5と反対側の第2の長手方向端部とを有する。
【0076】
図2は、特に、第1の電気加熱要素7及び第2の電気加熱要素9を備える加熱体11の実施形態を示す。もちろん、単一の電気加熱要素又は3つ以上の電気加熱要素などの他の構成も想定され得る。この
図2は、2つの電気加熱要素7、9の相対的な配置を示している。
【0077】
図示の実施形態では、2つの電気加熱要素7、9は、
図2の向きに準拠して、同じ長さ、即ち、高さに亘って液体循環チャンバ30の内部を長手方向に延在する。
【0078】
少なくとも1つの電気加熱要素7、9は、円筒形などの略中空形状を画定することができる。電気加熱要素7、9は、例えば、略管状の形状であり、例えば、円筒形状などの略中空形状を画定するように、例えば、少なくとも部分的に巻かれて配置されてもよい。特に、少なくとも1つの電気加熱要素7、9は、少なくとも部分的に螺旋形状を有する。
【0079】
図示の特定の実施形態によれば、電気加熱要素7、9は、基部5に固定され、第1の端子部13を備え、螺旋形状の巻回部15などの中間部と続き、長手方向軸Aに沿って延在し、第2の端子部17で終了する。第1の端子部13及び第2の端子部17は、それぞれの電気加熱要素7、9の巻回部15と基部5との間に延在する。端子部13、17の端部には、電気端子71、91がそれぞれ設けられている。
【0080】
更に、図示の特定の例では、電気加熱要素7、9の第2の端子部17は、巻回部15の内側の中央ゾーンで真っ直ぐに延在する。第2の端子部17により、巻回部15の基部5に対する遠位端を当該基部5に結合することが可能になる。
【0081】
2つの電気加熱要素7、9は同心であって、一方が他方の周囲に配置されてもよい。図示の例では、第1の電気加熱要素7が第2の電気加熱要素9の周囲に配置されるように、第1の電気加熱要素7は第1の直径d1によって画定され、第2の電気加熱要素9は第1の直径d1よりも小さい第2の直径d2によって画定される。したがって、この構成では、第1の電気加熱要素7は外側要素を形成し、第2の電気加熱要素9は内側要素を形成する。
【0082】
特に、少なくとも部分的に螺旋形状の電気加熱要素7、9の場合、電気加熱要素7、9の巻回部15は、ここでは長手方向軸Aと一致する同じ巻回軸の周囲に巻回される。
【0083】
加熱体11は、長手方向軸Aに直交する平面内で、電気加熱要素7、9のうちの少なくとも1つの巻回部15の外面上の複数の点が、筐体3の内面から等距離又は実質的に等距離にあるように、筐体3内に効果的に配置されている。
【0084】
他の構成も可能である。例えば、2つ以上の電気加熱要素を軸方向に整列させて配置してもよい。これらの整列した電気加熱要素の周囲又は内部に、1つ又は複数の電気加熱要素が取り付けられていてもいなくてもよい。
【0085】
変形実施形態の一例を
図3に示す。この例では、加熱体11は、3つの電気加熱要素7、8、9を備え、それぞれの端部にそれぞれの電気端子71、81、91が設けられている。第1の電気加熱要素7は第1の直径d1によって画定され、第2の電気加熱要素9は第2の直径d2によって画定され、第3の電気加熱要素8は第3の直径d3によって画定される。第1の直径d1は、第2の直径d2及び第3の直径d3よりも大きい。第2の直径d2及び第3の直径d3は等しくてもよい。
【0086】
様々な電気加熱要素7、8、9は、第1の電気加熱要素7が第2及び第3の電気加熱要素8、9の周囲に配置される。特に、
図3に示すように、第3の電気加熱要素8は、軸方向延在部内に、かつ第2の電気加熱要素9の端部に配置されており、これら2つの電気加熱要素8、9は、第1の電気加熱要素7の巻回軸と一致し、長手方向軸Aとも一致する共通の巻回軸を有する。
【0087】
図示されていない別の変形例によれば、第2の電気加熱要素及び第3の電気加熱要素9、8が、この場合は、より小さい直径を有する第1の電気加熱要素の周囲に配置されてもよい。
【0088】
図4及び
図5を参照すると、加熱体11の底部には、液体循環チャンバ30を密封するために、電気加熱装置1の組み立てられた状態で基部5と筐体3との間に位置する受け溝内に、例えば、環状形状のシール19が、効果的に配置されている。
【0089】
電気加熱装置1は、液体循環チャンバ30内に配置され、1つ又は複数の電気加熱要素7、9と、加熱体11に面して延在する筐体3の内面とを機械的に接続し、第1の機械的接続とは異なる第2の機械的接続を形成するように、少なくとも1つの機械的接続要素21を更に備える。したがって、チャンバ30の内面と1つ又は複数の電気加熱要素7、9との間に機械的接続が追加される。
【0090】
機械的接続要素21の様々な実施形態が
図4~
図18に示されている。加熱装置1は、単一の機械的接続要素21、又は反対に、いくつかの機械的接続要素21を備えてもよい。
【0091】
一般に、第2の機械的接続は、複数設けられている場合、電気加熱要素又は複数の電気加熱要素7、8、9のうちの少なくとも1つとの、少なくとも3つの接触点によって確保されることが好ましい。特に、第2の機械的接続は、各電気加熱要素7、8、9との少なくとも3つの接触点によって確保される。
【0092】
機械的接続要素21は、電気加熱要素7、8、9が上述のように少なくとも部分的に螺旋形状である場合に、筐体3の内面を電気加熱要素7、8、9の少なくとも1つの巻回に機械的に接続するために、特に、設けられている。
【0093】
機械的接続要素21又は複数の機械的接続要素21のうちの少なくとも1つは、液体循環チャンバ30内に配置されてもよく、また筐体3の内面を1つ又は複数の電気加熱要素7、8、9の長手方向端部に機械的に接続することができる。特に、少なくとも1つの電気加熱要素7、8、9の長手方向端部に横方向に面して配置されてもよい。
【0094】
特に、機械的接続要素21又は複数の機械的接続要素21のうちの少なくとも1つは、基部5の反対側に設けられてもよい。
【0095】
加熱体11が少なくとも2つの別個の電気加熱要素7、8、9を備える場合、2つの別個の要素7、8、9の間に、それらが互いに接触せず重なり合わないように距離を維持するために、機械的接続要素21又は複数の機械的接続要素21のうちの少なくとも1つを配置してもよい。好ましくは、別個の電気加熱要素7、8、9及び機械的接続要素21又は複数の機械的接続要素21のうちの少なくとも1つは、電気加熱要素7、8、9の間のあらゆる直接的な接触を、それら自体の端子部13、17又はそれらの巻回部15のいずれであっても、制限するか、又は防止するように配置されている。
【0096】
加熱体11が、少なくとも2つの同心電気加熱要素7、及び8又は9を備え、一方が他方の周囲に配置される場合、機械的接続要素21は、長手方向軸Aに直交する平面内でこれら2つの電気加熱要素の間に配置されてもよい。
【0097】
加熱体11が、互いの軸方向延在部に配置された少なくとも2つの電気加熱要素8、9を備える場合、機械的接続要素21は、これらの2つの電気加熱要素8、9の間に軸方向に配置されてもよい。
【0098】
図4~
図16を参照して説明した実施形態によれば、機械的接続要素21は、筐体3の内面と加熱体11との間に配置された中間部品23、又は25、又は26、又は27、又は28、29の形態をとる。機械的接続要素21又は複数の機械的接続要素21のうちの少なくとも1つは、加熱体11と筐体3の端部又は側部内面との間に配置されてもよい。
【0099】
したがって、第2の機械的接続は、筐体3と1つ又は複数の電気加熱要素7、8、9との間の間接的な接続である。
【0100】
このような中間部品23、25、26、27、又は28、29は、電気加熱要素7、9と筐体3との間にサーマルブリッジを形成するように、熱伝導性材料で作られる。これにより、循環チャンバ30内に液体が存在しない場合でも、電気加熱要素の温度の測定が容易になる。
【0101】
材料は、多数のサイクルに耐えるように選択される。それは、特に、金属であり、機械的接続要素が機械的に接触している電気加熱要素の動作温度に耐えるように構成される。
【0102】
このような中間部品23、25、26、27、又は28、29は、少なくとも部分的に弾性がありかつ可撓性であり、電気加熱装置の公差の範囲を補償することが可能である。より一般的には、中間部品23、25、26、27、又は28、29は、剛性と可撓性との間のバランスを得て、循環チャンバ30内の電気加熱要素7、8、9を潰すことなくそれらとの機械的接触を保証するように成形される。中間部品23、25、26、27、又は28、29は、純粋に一例として、10N~50Nの間で変化する可能性のある保持力に耐えるように構成され得る。
【0103】
以下に説明する実施形態のうちのどちらかによれば、中間部品23、25、26、27、又は28、29は、相互作用することが意図されている要素に対して、相補的に成形されている。
【0104】
第1の実施形態
図4~
図7は、電気加熱装置1が、
図2を参照して説明した2つの電気加熱要素7、9と、少なくとも1つ又は各電気加熱要素7、9との複数の接触点を確保するように構成された中間部品23とを備える第1の実施形態を示す。
【0105】
この中間部品23は、加熱体11の長手方向端部に横方向に面して配置されたコア231を備える。このコア231は、効果的には、長手方向軸Aを中心とする。
【0106】
中間部品23は、コア231から延在する所定数の接触タブ233を更に備える。好ましくは、少なくとも3つの接触タブ233又は3の倍数の接触タブが設けられる。
【0107】
中間部品のコア231は、例えば、基部5の反対側の筐体3の第2の長手方向端部33で筐体3の内面に当接するように配置されている。筐体3の長手方向端部33は、図示の円筒形の筐体3の例により、円形断面の端面である。
【0108】
中間部品は、電気加熱要素7、9が筐体3に収容されたときに、それらによって加えられる応力によって筐体3の内面に押し付けられた状態に保持される。
【0109】
コア231は、加熱体11の、特にそれが配置されている加熱体11の長手方向端部の一般的な形状と相補的な形状を有してもよい。コア231はまた、それが押し付けられる筐体3の内面の形状と相補的な形状を有してもよい。
【0110】
図示の例では、コア231は一般的な円盤形状を有する。円盤は、例えば、電気加熱要素のうちの1つの直径に近いか、又は対応していてもよく、そうでなくてもよい直径を有している。
【0111】
接触タブ233の配置は、加熱体11の形状、特に、中間部品が相互作用する加熱体11の長手方向端部に連結されている。略円筒形状の加熱体11の図示の例によれば、接触タブ233は円形に配置されている。それらは、効果的には、360°に規則的に分布している。
【0112】
接触タブ233は、1つ又は複数の電気加熱要素7、9との接触を確保するための任意の適切な形状であってもよい。図示の例では、接触タブ233は直線状である。これらのタブは、長手方向軸Aに平行又は実質的に平行な軸に沿ってコア231から長手方向に延在する。この第1の実施形態によれば、全てのタブ233は、長手方向軸Aに対して同じ向きに延在し、これらは全てここで長手方向軸Aに平行に延在する。タブ233は全て、コア231の同じ円周から延在する。
【0113】
第1の実施形態によれば、全ての接触タブ233は、この電気加熱要素7、9の内側又は外側のいずれかで、少なくとも1つの電気加熱要素7、9と接触することができる。
【0114】
更に、接触タブ233は、少なくとも1つの電気加熱要素7、9との少なくとも3つの接触点を確保するように計算された長さを有する。特に、
図4及び
図5に示すように、接触タブ233のうちの少なくとも1つは、2つの電気加熱要素7、9の各々と接触するように成形されている。
【0115】
接触タブ233は、例えば、コア231の周縁部から延在する。それらは、加熱体11の方向に、より正確には電気加熱要素7、9の方向に延在する。特に、この第1の実施形態によれば、接触タブ233は、2つの電気加熱要素7及び9の間に、それぞれ配置されている。これにより、2つの電気加熱要素7、9の間に所定の距離が維持されることが保証される。
【0116】
接触タブ233は、おそらく、接触タブ233が2つの同心電気加熱要素7、9の間に確実に配置されているために、接触タブ233の変形を可能にする可撓性を有していてもよい。
【0117】
例えば、接触タブ233は、長手方向軸Aに対して少なくとも部分的に湾曲又は傾斜することができる。このような形状は、中間部品23及び加熱体が筐体3に挿入されたときに接触タブの変形を促進するであろうし、両者間の機械的接触を確実にする。
【0118】
上記の説明は、2つの電気加熱要素7、9を備える加熱体11に関する。代替的に、加熱体11は、
図3を参照して説明したように3つの電気加熱要素7、8、9を備えてもよく、この場合、中間部品23は、第1及び第3の電気加熱要素7及び8との複数の接触点を確保するように配置されている。代替的又は追加的に、このような中間部品23を2つの電気要素8、9の間に互いの軸方向延在部に設けることもできる。
【0119】
第2の実施形態
図8は、機械的接続要素21を形成する中間部品25の第2の実施形態を示す。以下では、第1の実施形態との違いのみを詳述する。
【0120】
中間部品25はコア251を備え、そこから複数のタブ253、255が延在し、そのうちの少なくとも一部の255は筐体3の内面と接触して配置されている。
【0121】
コア251は、
図4~
図7の第1の実施形態を参照して説明したコア231と同様であっても、同様でなくてもよい。コア251は、円盤形状を有してもよく、又は中心孔を有する環形状を有してもよい。
【0122】
第1の実施形態と同様に、コア251は、筐体3の長手方向端部の一方、この場合は第2の長手方向端部33の内面に押し付けられてもよい。
【0123】
中間部品25は、内側タブ253と呼ばれる少なくとも1つの第1のタブと、外側タブ255と呼ばれる少なくとも1つの第2のタブとを備えてもよい。好ましくは、中間部品25は、少なくとも3つの内側タブ253と、少なくとも3つの外側タブ255とを備える。内側タブ253は、コア251から加熱体11の内側に向かって、即ち、加熱体11の略中空形状の内側に向かって、特に、図示の例では第2の電気加熱要素9の略中空形状の内側に向かって延在する。外側タブ255は、コア251から加熱体11の外側に向かって、特に、第2の電気要素9の周囲に配置される第1の電気加熱要素7の外側に向かって延在する。
【0124】
外側タブ255は、筐体3の内面との機械的接触を確保するように成形されてもよく、この内面とは、特に、筐体3の側面である。電気加熱要素、この例では第1の電気加熱要素7との機械的接触も確保するように、外側タブ255を成形してもよい。この例では、筐体3の内面と第1の電気加熱要素7との間に配置された全ての接触タブ、ここでは外側タブ255は、両方と接触して配置されている。代替的に、外側タブが筐体の内面及び電気加熱要素7と交互に接触するようになっていてもよい。
【0125】
前述のように、接触タブ253、255は直線状であってもよい。外側タブ255は、コア251の周縁部から延在してもよい。内側タブ253に関して、これらは、コア251の別の領域、例えば、より中央の領域から延在してもよい。特に、図示の例によれば、内側タブ253及び255は、異なる領域、この例ではより正確には異なる円周から延在する。上述したように、内側タブ253は、コア251から加熱体11の略中空形状の内側に向かって、即ち、図示の例では、第2の電気加熱要素9の略中空形状の内側に向かって延在する。それらは、内側から第2の電気加熱要素9に当接する。
【0126】
第1の実施形態と同様に、全ての外側タブ255は、長手方向軸Aに対して同じ向きに延在し、これらは全て、ここでは長手方向軸Aに平行に延在する。外側タブ255は全て、コア231の同じ円周から延在する。
【0127】
同様に、全ての内側タブ253は、長手方向軸Aに対して同じ向きに延在し、これらは全て、ここでは長手方向軸Aに平行に延在する。内側タブ253は全て、コア231の同じ円周から延在する。
【0128】
更に、図示の例によれば、内側タブ253及び外側タブ255の両方の全てのタブは、同じように配向されている。
【0129】
図示の例では、単一の中間部品25が加熱体11の長手方向の一端に設けられている。
図3を参照して上述した、少なくとも2つの電気加熱要素、例えば、8、9を互いの軸方向延在部にある加熱体11の変形実施形態によれば、
図8を参照して説明したような別の中間部品25を、これら2つの電気加熱要素8、9の間に軸方向に配置することを想定することができる。この場合、この他方の中間部品25は、筐体3の内側面に対してのみ保持される。このような中間部品25を、加熱体11の端部ではなく、互いの軸方向延在部にある2つの電気加熱要素の間にのみ配置することを想定することもできる。
【0130】
第3の実施形態
図9及び
図10は、機械的接続要素21を形成する中間部品26の第3の実施形態を示す。以下では、第2の実施形態に対する相違点のみを詳述する。
【0131】
第3の実施形態によれば、中間部品26は、コア261から延在する接触タブ263、265を備え、その少なくとも265の一部は湾曲している。湾曲した接触タブ265は、例えば、電気加熱装置1の組み立てられた状態で筐体3の内面の方向にコア261から半径方向に延在する。次に、例として、これらの接触タブ265は、半回転してもよく、又は曲げさえ形成してもよく、湾曲した形状にすることができる。
【0132】
中間部品26が液体循環チャンバ30内に組み立てられると、湾曲した接触タブ265は、正確に位置決めされ、所望の機械的接触を確保するように変形することができる。特定の非限定的な例によれば、加熱体11は、少なくとも1つのこのような中間部品26と組み立てられてもよい。組立体が液体循環チャンバ30内に挿入されると、中間部品26の接触タブ265は、筐体3の内面及び電気加熱要素7、8、9によって加えられる応力によって変形する可能性がある。
【0133】
コア261は、例えば、内径diの内円及び外径deの外円によって画定される略環状の形状である。内径diは、外径deよりも小さい。
【0134】
図9は、
図3を参照して上述したように、3つの電気加熱要素7、8、9を有する加熱体の構成を示す。第1の中間部品26は、そのコア261を加熱体11の長手方向端部に対向させて、特に前記端部と接触させて配置され、第2の中間部品26は、第2及び第3の電気加熱要素8及び9の間に、軸方向に配置されている。この第2の中間部品26は、そのコア261が、一方では第2の電気加熱要素9の巻回部15の長手方向端部に面して接触し、他方では第3の電気加熱要素8の巻回部15の長手方向端部に面して接触し、より正確には、これらの電気加熱要素8、9の巻回部15の一方及び他方の端部に面して接触して配置されている。特に、第2の中間部品26は、第2又は第3の電気加熱要素8及び9の端部と接触している。
【0135】
図9及び
図10に示す例では、中間部品26は、内側タブ263と呼ばれる第1の一連のタブと、外側タブ265と呼ばれる第2の一連のタブとを備える。
【0136】
内側タブ263は、環状コア261の内側、即ち、内円から、加熱体11の略中空形状の内側に向かって延在する。図示の例では、これらの内側タブ263は直線状又は実質的に直線状である。
【0137】
3つの電気加熱要素7、8、9を有する加熱体11の
図9の構成によれば、加熱体11の長手方向端部に配置された第1の中間部品26の内側タブ263は、第3の電気加熱要素8の略中空形状の内側に向かって延在する。第2の電気加熱要素9と第3の電気加熱要素8との間に配置された第2の中間部品26の内側タブ263に関して、これらは第2の電気加熱要素9の略中空形状の内側に向かって延在する。
【0138】
中間部品26の外側タブ265は、環状コア261の外側、即ち、外円から加熱体11の外側に向かって延在する。図示の例では、外側タブ265は、2つの他の電気加熱要素8、9の周囲に配置される第1の電気加熱要素7の外側に向かって延在する。図示の例では、これらの外側タブ265は、上記で画定した湾曲した接触タブである。
【0139】
更に、
図9は、基部5によって液体循環チャンバ30から分離された電気加熱装置1の空洞4を示しており、その中に電気加熱要素7、8、9のそれぞれの電気端子71、81、91が開口し、例えば、その中に電気回路を取り付けてもよい。
【0140】
上記の説明は、3つの電気加熱要素7、8、9と、2つの中間部品26とを備える加熱体11に関する。変形例として、これらの中間部品26の一方のみが、2つの電気加熱要素8、9の端部又は間に設けられてもよく、電気加熱要素8、9は互いの軸方向延在部にある。加熱体11はまた、
図2を参照して説明したように、2つの同心電気加熱要素7、9のみを備えてもよく、この場合、単一の中間部品26は、これら2つの電気加熱要素7及び9との複数の接触点を確保することができるように、コア261が加熱体11の長手方向端部に面した状態で、配置されている。
【0141】
第4の実施形態
図11は、機械的接続要素21を形成する中間部品27の第4の実施形態を示す。前述と同様に、第1の実施形態に対する相違点のみを以下に詳述する。
図12及び
図13は、このような中間部品27の電気加熱装置1の筐体3内における配置の2つの例を示す。
【0142】
第4の実施形態は、中間部品27がコア271から延在する接触タブ277、279を備え、これらの接触タブは全てが同じ方向に向いているわけではない点で、第1の実施形態とは異なる。図示の例では、異なる向きのタブ277、279は、環状コア271の同じ領域、この場合は同じ円周から延在する。
【0143】
図示の例では、コア271は、略環状の形状を有する。代替的に、第1の実施形態のように、円盤形状を有することも可能である。このコア271は、中間部品27が筐体3内に配置されているときに長手方向軸Aと一致する軸を中心とする。
【0144】
少なくとも複数の接触タブ277、279は、長手方向軸Aに対して傾斜、例えば、接触前に約30°~45°の角度を成していてもよい。図示の例では、接触タブ277、279は、長手方向軸Aに対して傾斜している。
【0145】
タブ277、279は、異なる方向に交互に傾斜していてもよい。
【0146】
例えば、第1の接触タブ277と第2の接触タブ279は、図示のように、交互に設けられてもよい。
【0147】
第1の接触タブ277は、中間部品27の外側に向かって、即ち、中間部品27の中心から離れて配向されてもよい。全ての第1の接触タブ277は、長手方向軸Aに対して同じ傾斜を有してもよい。
【0148】
逆に、第2の接触タブ279は、中間部品27の内側に向かって、即ち、中間部品27の中心に向かって、又は長手方向軸Aに向かって配向されてもよい。全ての第2の接触タブ279は、長手方向軸Aに対して同じ傾斜を有してもよい。
【0149】
例えば、
図12に概略的に示すように、加熱体11が筐体3内に組み立てられると、中間部品27は、電気加熱要素7(又は加熱体が少なくとも2つの電気加熱要素を備える場合は電気加熱要素のうちの少なくとも1つ)が接触タブ277、279の全てに当接することによって筐体3の内側の所定の位置に保持され得る。特に、電気加熱要素7の巻回部15の(基部に対する)遠位端と機械的に接触する。接触タブ277及び279は、電気加熱要素7の内側及び外側で交互に当接する。
【0150】
このような配置により、筐体3の内部での加熱体11の長手方向のずれを制限することができる。
【0151】
図13に概略的に示す別の例によれば、加熱体11及び中間部品27は、接触タブ277及び279が第1の電気加熱要素7及び第2の電気加熱要素9に対して交互に当接するように、筐体3の内側に配置されている。
【0152】
特に、第1のタブ277は、第2の電気加熱要素9の周囲に配置される第1の電気加熱要素7と接触することができる。第2の接触タブ279に関して、それらは第2の電気加熱要素9と接触することができる。非限定的な例として、第1のタブ277は、第1の電気加熱要素7の外側に配置されてもよい。第2のタブ279は、第2の加熱要素9の内側に配置されてもよい。
【0153】
加熱体11及び中間部品27が筐体3の内部に組み立てられると、電気加熱要素7、9は接触タブ277、279を変形させることができ、したがって機械的接触が保証される。
【0154】
第5の実施形態
図14及び
図15は、クリップ又はスライドの形態の複数の中間部品28が複数の機械的接続要素21を形成するように配置されている、第5の実施形態を示す。このような実施形態は、少なくとも2つの同心電気加熱要素7、9を有する加熱体11の構成に適用される。
【0155】
好ましくは、クリップの形態の少なくとも3つの中間部品28が設けられる。それらは、効果的には、360°に規則的に分布している。
【0156】
中間部品28は、ヘッド281と、ヘッド281から延在する少なくとも第1の舌部、即ち、タブ283及び第2の舌部、即ち、タブ285を含む。この例では、2つの舌部、即ち、タブ283及び285は異なる長さである。ヘッド281は、効果的には、クリップの丸みを帯びた部分である。第1のタブ283は、この例では長い方は、直線状又は実質的に直線状であってもよい。第2のタブ285は、この例では短い方は、直線状又は実質的に直線状であってもよい。
【0157】
加熱体11上に組み立てられると、ヘッド281は、電気加熱要素、より具体的には外側電気加熱要素を圧迫するように配置されている。これは、図示の例における第1の電気加熱要素7である。したがって、クリップは所定の位置に保持される。丸みを帯びた形状により、ヘッド281が管状の外側電気加熱要素7の周囲に部分的に巻き付けられることが可能になる。
【0158】
中間部品28のヘッド281は、第1の電気加熱要素7の巻回部15の、基部5に対する遠位端に配置されている。
【0159】
第1のタブ283は、2つの電気加熱要素7、9の間に延在し、第2のタブ285は、加熱体11の外側、したがって同心電気加熱要素7、9の周囲の外側に向かって延在する。組立体が筐体3の内部に取り付けられると、第2のタブ285が筐体3の内面と接触し、それにより、第1のタブ283が内側電気加熱要素に押し当てられて保持される。これは、図示の例における第2の電気加熱要素9である。したがって、第1のタブ283は、同心電気加熱要素7、9の間に挟まれている。
【0160】
接触タブ283、285の長さは、第2のタブ285と筐体3の内面との間の接触、及びクリップと内側電気加熱要素9の所定の巻回数、例えば、少なくとも2つの巻回との間の接触を確保するように計算される。
【0161】
図16は、ヘッド291から延びる第2のタブ295があまり突出していないという点で
図15の第5の実施形態とは異なる中間部品29の変形例を示す。それは、例えば、平坦化されてもよい。効果的には、第2のタブ295は、その凸部が筐体3の内面に向けられたドーム状又は凸状である。ドーム形状は、クリップとの機械的接触時に、筐体3の内面を損傷することを回避する。
【0162】
ヘッド291から延在する第1のタブ293は、
図15の第5の実施形態の第1のタブ283と同様であってもよい。第5の実施形態の説明の残りは、この変形例に適用される。
【0163】
第6の実施形態
図17及び
図18は、機械的接続要素21を形成する中間部品24の第6の実施形態を示す。
【0164】
第6の実施形態は、中間部品24が、例えば、円盤形状のコア241の中央領域から、1つ又は複数の電気加熱要素7、9に向かって延在するように曲げられる前に最初に半径方向に延在する2つの一連のタブ243及び245を備える、という点で第2の実施形態とは異なる。
【0165】
第1のタブ243は、第1の電気加熱要素7の外側で接触する。第2のタブ245は、例えば、2つの同心の電気加熱要素7、9の間に配置されている第2の電気加熱要素9と接触する。
【0166】
図示の例によれば、タブ243、245は全て同じ長さに曲げられているわけではない。それらは、2つの異なる長さに交互に曲げられる。これにより、径方向延在部がより長い第1のタブ243と、径方向延在部がより短い第2のタブ245とが得られる。
【0167】
この第6の実施形態において、タブ243、245は、全て、互いに平行に延びるように曲げられていてもよい。更に、この例では、タブ243、245は、長手方向軸Aに平行又は実質的に平行な方向に、電気加熱要素7、9の方向に延在する。接触を確保するように電気加熱要素7、9の方向に延在するタブ243、245の部分は、長手方向延在部と呼ばれる。
【0168】
タブ243、245は、例えば、異なる長さの長手方向延在部を有する。この場合、第1のタブ243の長手方向延在部は、第2のタブ245の長手方向延在部よりも短い。
【0169】
したがって、上述の実施形態の一方又は他方による1つ又は複数の機械的接続要素21によって確保される第2の機械的接続は、1つ又は複数の電気加熱要素7、8、9を基部5に固定することに追加される。1つ又は複数の機械的接続要素21により、加熱体11の1つ又は複数の電気加熱要素7、8、9の筐体3内での移動を制限することができる。
【0170】
機械的接続要素21により、加熱体11の1つ又は複数の電気加熱要素7、8、9と筐体3の内面との間の距離を、例えば、筐体3の長手方向端部33及び/又は筐体3の側面において維持することができる。
【0171】
更に、加熱体11がいくつかの電気加熱要素7、8、9を含む場合、機械的接続要素21により、電気加熱要素7、8、9を互いに同じ距離に、それらの間の接触を全く又はほとんど伴わずに維持することができる。
【0172】
この結果、自動車に使用される際に、加熱体11の各要素が筐体3の内部で衝突することを防止でき、騒音の発生を抑制できる。