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特許7566030完全ワイヤレスステレオヘッドセット制御ノブのための磁気センシング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】完全ワイヤレスステレオヘッドセット制御ノブのための磁気センシング
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022547138
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020052600
(87)【国際公開番号】W WO2021155902
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】トミ・ラウッシ
(72)【発明者】
【氏名】ユリ・パカリネン
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174356(JP,A)
【文献】中国実用新案第203522994(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第102322878(CN,A)
【文献】特開2015-217473(JP,A)
【文献】特開2001-201311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に回転可能に取り付けられたダイヤル(8)であって、前記ダイヤル(8)は円盤状であり、前記ダイヤル(8)の半径方向に関して非対称な少なくとも1つの着磁部(10)と少なくとも1つの非着磁部(11)とを含む、ダイヤル(8)と、
前記ハウジング(3)内に配置された少なくとも1つの磁気センサ(12)と、
を備えるイヤホンデバイス(1)であって、
前記ダイヤル(8)が、
前記ダイヤル(8)に直接接続された第1のピボット(9A)と、
ギヤシステムを介して前記第1のピボット(9A)に接続された第2のピボット(9B)と、
前記第2のピボット(9B)に配置され、それにより、前記ダイヤル(8)の回転に応答して前記少なくとも1つの磁気センサ(12)と断続的に係合するように構成された前記少なくとも1つの着磁部(10)と、を備え、
前記少なくとも1つの着磁部(10)は、前記ダイヤル(8)の回転に応答して、前記少なくとも1つの磁気センサ(12)と断続的に係合するように配置される、
イヤホンデバイス(1)。
【請求項2】
前記ダイヤル(8)の回転に応答して、続いて前記同じ少なくとも1つの着磁部(10)と係合するように配置された2つの磁気センサ(12A,12B)であって、前記2つの磁気センサ(12A,12B)が前記着磁部(10)と係合する順序は、前記ダイヤル(8)の回転方向を示す、2つの磁気センサ(12A,12B)
を備える、請求項1に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項3】
前記2つの磁気センサ(12A,12B)が、前記少なくとも1つの着磁部(10)との係合に応答して第1のセンサ信号(16)および第2のセンサ信号(17)をそれぞれ生成するように構成され、
前記第1のセンサ信号(16)と前記第2のセンサ信号(17)との間の差分信号(18)は、正パルス(19)および負パルス(20)を示すことができ、
前記差分信号(18)における前記正パルス(19)および前記負パルス(20)の順序は、前記ダイヤル(8)の回転方向を示す、
請求項2に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項4】
前記ダイヤル(8)は、前記第1のピボット(9)を介して前記ハウジング(3)に回転可能に取り付けられ、
前記少なくとも2つの磁気センサ(12A,12B)が、前記第1のピボット(9)から実質的に同様の半径方向距離を有して前記ハウジング(3)内に配置される、
請求項2または3に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの着磁部(10)が、前記第2のピボット(9B)の側面に配置された少なくとも1つの磁石(13)備える、請求項4に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項6】
前記ダイヤル(8)が、前記ハウジング(3)に面する前記ダイヤル(8)の第1の表面に貼付された少なくとも1つの磁気フィルムストリップ(14)を備え、それによって前記少なくとも1つの着磁部(10)を画定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項7】
前記ダイヤル(8)が、回転対称配置の断続的なギャップを伴って前記第1の表面に貼付される複数のN個の磁気フィルムストリップ(14)を備え、前記断続的なギャップは前記非着磁部(11)を画定し、
前記磁気フィルムストリップ(14)の数Nは、好ましくは3<N<20の範囲、より好ましくはN=16である、
請求項6に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項8】
各磁気フィルムストリップ(14)が、前記ダイヤル(8)の円形セクタを覆うように配置される、請求項7に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項9】
単一の磁気センサ(12)を備え、
前記複数の磁気フィルムストリップ(14)の各々は、前記ダイヤル(8)の回転に応答して、前記磁気センサ(12)と徐々に係合するか、または前記磁気センサ(12)と急激に係合し、それによって前記ダイヤル(8)の回転方向を示すように構成された非対称形状を有する、
請求項7に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項10】
入力オーディオ信号に応答して音響波を生成するように構成されたスピーカ(7)をさらに備え、
前記ダイヤル(8)は、前記スピーカ(7)の全体の出力レベルまたは前記入力オーディオ信号の信号成分のバランスの少なくとも一方を調整するように配置されたボリュームノブである、
請求項1から9のいずれか一項に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項11】
前記ハウジング(3)の少なくとも一部が、前記イヤホンデバイス(1)のユーザ(6)の外耳道(4)内に収まるか、または前記外耳道(4)の開口部を実質的に覆うように構成され、
前記ハウジング(3)は、第1の側面(3A)と、前記第1の側面(3A)の反対側の第2の側面(3B)とを備え、
前記スピーカ(7)は、前記第2の側面(3B)から外側に面する前記ハウジング(3)内に配置され、前記外耳道(4)の内側に向かって送達するための音波(15)を生成するように構成され、
前記ダイヤル(8)は、前記第1の側面(3A)に回転可能に取り付けられる、
請求項10に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項12】
前記磁気センサ(12)が、特定の位置における磁場の方向、強度、または相対的変化を測定するように構成された磁力計である、請求項1から11のいずれか一項に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項13】
前記磁力計が、小規模微小電気機械システム(MEMS)磁場センサである、請求項12に記載のイヤホンデバイス(1)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのイヤホンデバイス(1A,1B)と、
前記少なくとも1つのイヤホンデバイス(1)とデータ接続して配置されたホストデバイス(2)と
を備える、システム。
【請求項15】
前記イヤホンデバイス(1)が、完全ワイヤレスステレオ(TWS)ヘッドセットであり、
前記ホストデバイス(2)が、モバイルスマートフォンであり、
前記データ接続が、ブルートゥースプロトコルを使用して確立される、
請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にイヤホン、ヘッドホン、およびヘッドセットなどのパーソナルリスニングオーディオデバイスの技術分野に関し、特に、完全ワイヤレスステレオ(TWS)ヘッドセット用の制御ノブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポータブルメディアプレーヤおよび携帯電話がますます普及するにつれて、ヘッドホンの使用が一般的になりつつある。以下の開示において、「ヘッドホン」という用語は、耳当て型ヘッドホンとともに、インナーイヤー型のヘッドホンやイヤホンを指すのに使用される。
【0003】
ヘッドセットは、1つまたは複数のマイクロフォンを含むヘッドホンの一種であり、したがってハンズフリーで操作できる電話のハンドセットと等価の機能を提供することができる。ヘッドセットは、シングルイヤーピース(モノラル)、またはダブルイヤーピース(両耳モノラル、またはステレオ)のいずれかで作られる。ヘッドセットの多くの用途の中には、オーディオを楽しんだり通信したりするための個人使用に加えて、航空機、劇場、またはテレビスタジオのインターコムシステム、およびコンソールまたはPCゲームがある。これらのアプリケーションはすべて、例えば、音量レベル、オーディオ混合比率、またはアクティブノイズキャンセリング(ANC)効果を調整するための何らかの形式のユーザ制御を必要とする。
【0004】
しかしながら、完全ワイヤレスステレオ(TWS)ヘッドセットなどの小型でポータブルなヘッドホンでは、物理的サイズが小さく、目に見えるフィードバックがない(ユーザはヘッドセットを操作するときにヘッドセットを直接見ることができない)ため、良好な物理的ユーザインターフェースを作成することは困難である。多くの既存の解決策は、ユーザ制御のためにプッシュボタンのセットを使用するが、サイズが小さく、他のボタンに位置が近いために、ユーザが各プッシュボタンの機能を位置特定することは困難である。
【0005】
別の解決策は、ユーザ制御のためのユーザインターフェースとして回転ボリュームノブを使用することであるが、これを実装するための既存の物理的構成要素(典型的には、ポテンショメータまたはロータリエンコーダ)は、TWSおよび他のポータブルヘッドセットで使用するには(回転ピボットの方向に)法外な高さであることが多い。
【発明の概要】
【0006】
上述した問題を克服するか、または少なくとも低減する、ヘッドセットにおける改善されたユーザ制御のためのデバイスおよび方法を提供することが目的である。
【0007】
上記の目的およびその他目的は独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実装形態は、従属請求項、明細書および図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、
ハウジングと、
ハウジングに回転可能に取り付けられたダイヤルであって、ダイヤルは円盤状であり、少なくとも1つの着磁部と少なくとも1つの非着磁部とを含む、ダイヤルと、
ハウジング内に配置された少なくとも1つの磁気センサと、
を備えるイヤホンデバイスが提供され、
少なくとも1つの着磁部は、ダイヤルの回転に応答して、少なくとも1つの磁気センサと断続的に係合するように配置されている。
【0009】
イヤホンハウジング内の磁気センサと断続的に係合するようにダイヤル(制御ノブ)上に配置された1つまたは複数の着磁部の組み合わせは、小型で軽量のTWSヘッドセットに統合され得る平坦な物理的構造を有する小型ダイヤルを可能にする。
【0010】
この磁気センシング装置と組み合わされたダイヤルイヤホンのさらなる利点は、大径ダイヤルをイヤホンに使用することができ、ユーザインターフェース体験の向上を可能にすることである。別の追加の利点は、イヤホンユニットの全体的なサイズを増加させずに、またはわずかに増加させるだけで、上述のすべての利点を得ることができ、したがって外耳道内に適合されるかまたは外耳道を覆うことができる軽量で携帯可能な構造を依然として可能にすることである。
【0011】
第1の態様の可能な実装形態では、イヤホンデバイスは、ダイヤルの回転に応答して、続いて同じ少なくとも1つの着磁部と係合するように配置された2つの磁気センサを備え、2つの磁気センサが着磁部と係合する順序は、ダイヤルの回転方向を示す。
【0012】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、2つの磁気センサは、少なくとも1つの着磁部との係合に応答して第1のセンサ信号および第2のセンサ信号をそれぞれ生成するように構成され、第1のセンサ信号と第2のセンサ信号との間の差分信号は、正パルスおよび負パルスを示すことができ、差分信号における正パルスおよび負パルスの順序は、ダイヤルの回転方向を示す。
【0013】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、ダイヤルは、円筒形の本体を有し、ダイヤルの中心点から延びるピボットを備え、ダイヤルは、ピボットを介してハウジングに回転可能に取り付けられ、少なくとも2つの磁気センサは、ピボットから実質的に同様の半径方向距離でハウジング内に配置される。
【0014】
第1の態様のさらなる可能な実装形態において、ダイヤルは、
ダイヤルに直接接続された第1のピボットと、
ギヤシステムを介して第1のピボットに接続された第2のピボットと、
第2のピボットの側面に配置され、それにより、ダイヤルの回転に応答して少なくとも1つの磁気センサと断続的に係合するように構成された少なくとも1つの着磁部を画定する少なくとも1つの磁石と
を備える。
【0015】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、ダイヤルは、ハウジングに面するダイヤルの第1の表面に貼付された少なくとも1つの磁気フィルムストリップを備え、それによって少なくとも1つの着磁部を画定する。
【0016】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、ダイヤルは、回転対称配置の断続的なギャップを有する第1の表面に貼付された複数のN個の磁気フィルムストリップを備え、断続的なギャップは非着磁部を画定する。
【0017】
可能な実施形態では、磁気フィルムストリップの数Nは、好ましくは3<N<20の範囲、より好ましくはN=16である。
【0018】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、各磁気フィルムストリップは、ダイヤルの円形セクタを覆うように配置される。
【0019】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、イヤホンデバイスは、単一の磁気センサを備え、複数の磁気フィルムストリップの各々は、ダイヤルの回転に応答して、磁気センサと徐々に係合するか、または磁気センサと急激に係合し、それによってダイヤルの回転方向を示すように構成された非対称形状を有する。
【0020】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、イヤホンデバイスは、入力オーディオ信号に応答して音響波を生成するように構成されたスピーカをさらに備え、ダイヤルは、スピーカの全体の出力レベルまたは入力オーディオ信号の信号成分のバランスの少なくとも一方を調整するように配置されたボリュームノブである。さらなる可能な実施形態では、ダイヤルは、スペクトルバランスなどのオーディオ信号のさらなる態様を調整するように配置されてもよい。
【0021】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、ハウジングの少なくとも一部は、イヤホンデバイスのユーザの外耳道内に収まるか、または外耳道の開口部を実質的に覆うように構成され、ハウジングは、第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面とを備え、スピーカは、第2の側面から外側に面するハウジング内に配置され、外耳道の内側に向かって送達するための音波を生成するように構成され、ダイヤルは、第1の側面に回転可能に取り付けられる。
【0022】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、磁気センサは、特定の位置における磁場の方向、強度、または相対的変化を測定するように構成された磁力計である。
【0023】
第1の態様のさらなる可能な実装形態では、磁力計は小規模微小電気機械システム(MEMS)磁場センサである。
【0024】
第2の態様によれば、
第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つによる少なくとも1つのイヤホンデバイスと、
少なくとも1つのイヤホンデバイスとデータ接続して配置されたホストデバイスと
を備えるシステムが提供される。
【0025】
データ接続するイヤホンデバイスをホストデバイスと組み合わせることにより、イヤホンデバイスは、それ自体は記憶装置を持たず、かつ限られた処理手段を含んで実装でき、小型化および軽量化が可能な簡素な構造になり、このことはTWSヘッドセットの場合は重要性が高い。
【0026】
第2の態様の可能な一実装形態において、イヤホンデバイスは、完全ワイヤレスステレオ(TWS)ヘッドセットであり、ホストデバイスはモバイルスマートフォンであり、データ接続はブルートゥースプロトコルを使用して確立される。
【0027】
これらおよび他の態様は、以下で説明される実施形態から明らかになる。
【0028】
本開示の以下の詳細な部分において、態様、実施形態、および実装形態が、図面に示されている例示的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の態様の一実施形態による、磁気センシング装置を説明するための中実で透明なダイヤルを有する同じイヤホンデバイスの3D側面図である。
図2】第1の態様の別の実施形態によるイヤホンにおける磁気センシング装置の機能を示す断面図である。
図3図2の磁気センシング装置の機能を示す磁気センサからの信号読み出しを示す図である。
図4】第1の態様の別の実施形態による、磁石および磁気センサを有するイヤホンデバイスの断面図である。
図5】第1の態様の別の実施形態による、磁気フィルムストリップおよび磁気センサを有するイヤホンデバイスの断面図である。
図6】第1の態様の別の実施形態による磁気フィルムストリップの回転対称配置を示す図である。
図7】第1の態様の別の実施形態による磁気フィルムストリップの非対称配置を示す図である。
図8図7の磁気フィルムストリップの非対称配置の機能を示す磁気センサからの信号読み出しを示す図である。
図9】第1の態様の別の実施形態による、外耳道内に配置されたイヤホンデバイスの断面図である。
図10】第2の態様の一実施形態による、ホストデバイスとデータ接続する2つのイヤホンデバイスを有するシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本開示によるイヤホンデバイス1を示す。イヤホンデバイス1は、ハウジング3と、ハウジングに回転可能に取り付けられた実質的に平坦な円盤状のダイヤル8(その直径よりも実質的に小さい厚さを有する)とを備える。右図に示されるように、少なくとも1つの磁気センサ12がハウジング3内に配置される一方で、ダイヤル8は、少なくとも1つの着磁部10と、少なくとも1つの非着磁部11とを備える。着磁部10は、以下により詳細に説明されるように、ダイヤル8の回転に応答して、少なくとも1つの磁気センサ12と断続的に係合するように、ダイヤル8の中または上に配置される。
【0031】
一実施形態では、磁気センサ12は、特定の位置における磁場の方向、強度、または相対的変化を測定するように構成された磁力計である。一実施形態では、磁力計は小規模微小電気機械システム(MEMS)磁場センサである。
【0032】
図2に示す一実施形態では、2つの磁気センサ12A,12Bがハウジング3内に配置され、その後、ダイヤル8が任意の方向に回転しているときに(1つまたは複数の)同じ着磁部10と係合する。本実施形態では、2つの磁気センサ12A,12Bが着磁部10に係合する順序は、後述するように、ダイヤル8の回転方向を示す。明確にするために単一の着磁部10の動きが考慮されているが、図6図7に後述するように、対称または非対称の配置で複数の着磁部10の回転を検出するために同じ原理が使用され得る。
【0033】
図3に示すように、2つの磁気センサ12A,12Bは、少なくとも1つの着磁部10との係合に応答して第1のセンサ信号16および第2のセンサ信号17をそれぞれ生成するように構成される。次いで、差分信号18は、第2のセンサ信号17から第1のセンサ信号16を減算することによって計算され得、これはその後、タイムライングラフ上に正パルス19または負パルス20を示すことができる。換言すれば、着磁部10が右から左に移動するにつれて、差分信号18は、正パルス19として発生し、その後に負パルス20が続く。着磁部10が左から右に移動していた場合、差分信号18は負パルス20であり、その後に正パルス19が続く。したがって、移動方向は、2つの磁気センサ12Aおよび12Bを有するセンサ装置によって検出され得、したがって、イヤホンデバイス1の機能(オーディオ音量調整など)を制御するために検出および使用され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、図4および図5にも示すように、ダイヤル8およびハウジング3(またはダイヤル8に隣接するハウジング3の少なくとも一部)は、ダイヤル8とハウジング3とを接続するように配置されたピボット9を有して、実質的に同一の円形断面で配置される。いくつかの実施形態では、ダイヤル8およびハウジング3の隣接部分のみが円形断面で配置され、ピボット9は、これらの隣接部分をそれらのほぼ中心点で接続するように配置される。
【0035】
図5に示す実施形態では、ダイヤル8は、その中心点から延びる円筒体を有するピボット9であって、ダイヤル8はピボット9を介してハウジング3に回転可能に取り付けられている、ピボット9と、ピボット9からの半径方向距離が実質的に同様である、ハウジング3内に配置された磁気センサ12(または上記で説明した2つの磁気センサ12A,12B)とを備える。この実施形態では、(1つまたは複数の)磁気センサは、図2図3に関して上述した、または図7図8に関して後述するのと同じように機能して、ダイヤル8に配置された少なくとも1つの着磁部10の動きを検出し得る。
【0036】
図4に示す別の実施形態では、ダイヤル8は、ダイヤル8に直接接続された第1のピボット9Aと、ギヤシステムを介して第1のピボット9Aに接続された第2のピボット9Bとを備える。この実施形態では、少なくとも1つの磁石13(または磁気フィルムストリップ14)が第2のピボット9Bの側面に配置され、それにより、ダイヤル8の回転に応答して少なくとも1つの磁気センサ12と断続的に係合するように構成された少なくとも1つの着磁部10を画定する。したがって、このようなギヤ機構により、ダイヤル8の小さな回転を第2のピボット9Bの急速な回転に変換することができ、その結果、ダイヤル8の十分な回転検出分解能が得られる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ダイヤル8は、ハウジング3に面するダイヤル8の第1の(下部)表面に貼付された少なくとも1つの磁気フィルムストリップ14を備え、それによって少なくとも1つの着磁部10を画定する。
【0038】
図6に示す一実施形態では、ダイヤル8は、回転対称配置の断続的なギャップを有する第1の表面に貼付された複数のN個の磁気フィルムストリップ14を備え、断続的なギャップは非着磁部11を画定する。図では、磁気フィルムストリップ14の数Nは、N=3およびN=8として示されているが、好ましい実施形態では、磁気フィルムストリップ14の数Nは、3<N<20の範囲であってもよく、より好ましくは磁気フィルムストリップ14の数Nは、N=16である。いくつかの実施形態では、各磁気フィルムストリップ14は、(左に示すように)ダイヤル8の円形セクタを覆うように配置されるが、他の実施形態では、磁気フィルムストリップ14は、矩形セグメントを覆う。
【0039】
図7に示す別の実施形態では、複数の磁気フィルムストリップ14の各々は、ダイヤル8の回転に応答して、磁気センサ12と徐々に係合するか、または磁気センサ12と急激に係合し、それによってダイヤル8の回転方向を示すように構成された非対称形状を有する。この実施形態では、イヤホンデバイス1は、単一の磁気センサ12を備えることができ、図8に示すように信号読み出しの形状が異なるため、図7のダイヤル8が時計回りに回転したとき(上のグラフ)と、ダイヤル8が反時計回りに回転したとき(下のグラフ)の両方の第1の(および唯一の)センサ信号16を示す。信号16の異なる形状は、回転方向の容易な検出を可能にし、単一のセンサ12は、単純かつ効率的な構成を可能にする。
【0040】
図9は、イヤホンデバイス1のさらなる実施形態を示し、本明細書で前述または図示した対応する特徴と同じまたは類似の特徴は、簡略化のために以前使用したのと同じ参照番号で示されている。この図示の実施形態では、イヤホンデバイス1は、ユーザの外耳道4内に収まるように、または外耳道4の開口部を実質的に覆うように構成された少なくとも一部(耳の先端など)を有するハウジング3を備え、ハウジング3は、第1の側面3Aと、第1の側面3Aの反対側の第2の側面3Bとを備える。ダイヤル8は、第1の側面3Aに回転可能に取り付けられている。スピーカ7はまた、第2の側面3Bから外側に面するハウジング3内に配置され、入力オーディオ信号に応答して外耳道4の内側に向かって送達するための音波15を生成するように構成される。スピーカ7は、最適な音波を生成するために、前方キャビティと、前方キャビティから分離された後方キャビティとを含み得る。
【0041】
一実施形態では、ダイヤル8は、スピーカ7の全体的な出力レベルまたは入力オーディオ信号の信号成分のバランスの少なくとも一方を調整するように配置されたボリュームノブである。
【0042】
可能な実施形態では、イヤホンデバイス1は、第1の側面3Aから外向きにハウジング3内に配置され、外部環境5の方向からの音波を捕捉するように構成された1つまたは複数のマイクロフォン12をさらに備えてもよい。一実施形態(図示せず)では、イヤホンデバイス1は、第1の側面3Aから外側に面するハウジング3内に配置され、音響ビームフォーミングを可能にするためにイヤホンデバイス1のユーザの口に向けられるように構成された少なくとも2つのマイクロフォン12を備える。
【0043】
別の一実施形態において、イヤホンデバイス1は、振動を通じてイヤホンデバイス1のユーザの声の存在を検出するように構成された、音声加速度計をさらに備えてもよい。
【0044】
このような追加入力は、スピーカ7用の入力オーディオ信号に混合される、あるいはイヤホンデバイス1の他の機能(閉塞感除去など)を制御する、別の成分として使用され得る別の入力信号を生成することができる。
【0045】
図10は、上述の実施形態のいずれかによる2つのイヤホンデバイス1Aおよび1Bを備える本開示によるシステムを示し、これは、イヤホンデバイス1Aおよび1Bと、少なくとも1つのイヤホンデバイス1とデータ接続して配置されたホストデバイス2との間の有線接続なしに、ユーザの左右の耳でそれぞれ使用されるように構成されたTWSイヤホンシステムの実装形態に対応し得る。
【0046】
この実施形態では、第1のイヤホンデバイス1Aは、上述のように回転可能なダイヤル8を備え、第2のイヤホンデバイス1Bも、上述のように回転可能なダイヤル8を備える。任意のダイヤル8の回転を使用して、スピーカ7の出力音量を調整したり、スピーカ7に対する入力オーディオ信号の信号成分のバランスを調整したりすることができる。
【0047】
ホストデバイス2は、モバイルスマートフォンであってよく、データ接続は、例えば、ブルートゥースまたはブルートゥース低エネルギー(BLE)プロトコルを使用して確立されてもよい。
【0048】
様々な態様および実装形態が、本明細書の様々な実施形態に関連して説明された。しかしながら、開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された主題を実施する当業者によって理解および達成され得る。特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という用語は他の要素またはステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。シングルプロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の基準が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの基準の組み合わせが好適に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒にまたは他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体または固体媒体のような適切な媒体上に格納/分配され得るが、インターネットまたは他の有線もしくは無線電気通信システムを介してなど、他の形態でも分配され得る。
【0049】
特許請求の範囲で使用されている参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0050】
1 イヤホンデバイス
1A 第1のイヤホンデバイス
1B 第2のイヤホンデバイス
2 ホストデバイス
3 ハウジング
3A 第1の側面
3B 第2の側面
4 外耳道
5 外部環境
7 スピーカ
8 ダイヤル
9 ピボット
9A 第1のピボット
9B 第2のピボット
10 着磁部
11 非着磁部
12 磁気センサ
12A 磁気センサ
12B 磁気センサ
13 磁石
14 磁気フィルムストリップ
15 音波
16 第1のセンサ信号
17 第2のセンサ信号
18 差分信号
19 正パルス
20 負パルス
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10