IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-はんだカラムグリッドアレイコンデンサ 図1
  • 特許-はんだカラムグリッドアレイコンデンサ 図2
  • 特許-はんだカラムグリッドアレイコンデンサ 図3
  • 特許-はんだカラムグリッドアレイコンデンサ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】はんだカラムグリッドアレイコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/005 20060101AFI20241004BHJP
   H01G 4/008 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 4/35 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01G4/005
H01G4/008
H01G4/35 321
H01G4/38 A
H01G4/40 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022579710
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 IB2021054293
(87)【国際公開番号】W WO2022003437
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】16/918,251
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルゲ、レイン
(72)【発明者】
【氏名】ドイル、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ダングラー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ショネック、カイル
(72)【発明者】
【氏名】リアン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ビョルガード、ジェイソン
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-217337(JP,A)
【文献】特表2020-501363(JP,A)
【文献】国際公開第2017/103754(WO,A1)
【文献】特開2005-150283(JP,A)
【文献】実開平04-130425(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0122031(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101673619(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/005
H01G 4/008
H01G 4/35
H01G 4/38
H01G 4/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(IC)パッケージとプリント回路板(PCB)との間に位置付けられるグリッドアレイコンデンサであって、前記グリッドアレイコンデンサが、前記ICパッケージおよび前記PCBに物理的かつ電気的に結合するように構成されており、前記グリッドアレイコンデンサが、
前記ICパッケージおよび前記PCBに電気的に接続するように構成された、らせんコイルである内部導電体と、
前記内部導電体と同軸配向であり、前記内部導電体を少なくとも部分的に取り囲む内部誘電体と、
前記内部誘電体と同軸配向であり、前記内部誘電体を少なくとも部分的に取り囲む2次導電体であって、前記2次導電体が、前記ICパッケージおよび前記PCBに電気的に接続するように構成されている、2次導電体と
を備える、グリッドアレイコンデンサ。
【請求項2】
前記2次導電体と同軸配向であり、前記2次導電体を少なくとも部分的に取り囲む外部誘電体と、
前記外部誘電体と同軸配向であり、前記外部誘電体を少なくとも部分的に取り囲む外部導電体であって、前記外部導電体が、前記ICパッケージおよび前記PCBに電気的に接続するように構成されている、外部導電体と
をさらに備える、請求項1に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項3】
前記2次導電体がらせんコイルであり、
前記外部誘電体が円筒形導電性チューブ形状を有する、請求項2に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項4】
前記外部誘電体が、ポリイミドおよびチタン酸バリウムからなる群から選択される、請求項2に記載のグリッドアレイコンデンサ
【請求項5】
前記内部導電体がワイヤである、請求項1に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項6】
前記2次導電体が、第1の端部に隣接した第1のセクションと、第2の端部に隣接した第2のセクションとを有し、前記第1のセクションと前記第2のセクションとが、前記同軸配向の長手方向において、互いから離隔され且つ電気的に絶縁されている、請求項1に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項7】
前記2次導電体が、銅、スズ、ニッケル、ニオビウム、およびチタンからなる群から選択される材料を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項8】
前記グリッドアレイコンデンサのキャパシタンスが、1nFから8nFの間の範囲である、請求項1からのいずれか一項に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項9】
前記2次導電体がらせんコイルである、請求項1から8のいずれか一項に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項10】
前記2次導電体が中空の円筒形スリーブである、請求項1に記載のグリッドアレイコンデンサ。
【請求項11】
プリント回路板(PCB)と、
集積回路(IC)パッケージと、
前記ICパッケージと前記PCBとの間に位置付けられたグリッドアレイコンデンサであって、前記グリッドアレイコンデンサが、前記ICパッケージおよび前記PCBに物理的かつ電気的に結合されており、前記グリッドアレイコンデンサが、
前記ICパッケージおよび前記PCBに物理的かつ電気的に接続された、らせんコイルである内部導電体と、
前記内部導電体と同軸配向であり、前記内部導電体を少なくとも部分的に取り囲む内部誘電体と、
前記内部誘電体と同軸配向であり、前記内部誘電体を少なくとも部分的に取り囲む2次導電体であって、前記2次導電体が、前記ICパッケージおよび前記PCBに物理的かつ電気的に接続されている、2次導電体と
を有するグリッドアレイコンデンサと
を備える、電子システム。
【請求項12】
前記2次導電体がらせんコイルである、請求項11に記載の電子システム。
【請求項13】
前記2次導電体が中空の円筒形スリーブである、請求項11に記載の電子システム。
【請求項14】
前記内部誘電体が、ポリイミドおよびチタン酸バリウムからなる群から選択される、請求項11から13のいずれか一項に記載の電子システム。
【請求項15】
電子システムの集積回路(IC)パッケージとプリント回路板(PCB)との間に位置付けられたグリッドアレイコンデンサを製造する方法であって、前記方法が、
2次導電体の軸方向に配向された開口に内部誘電体を挿入する段階と、
前記内部誘電体内に、前記2次導電体と同軸配向であり、且つらせんコイルである内部導電体を受けるのに適当な開口を形成する段階と、
前記内部誘電体の前記開口に前記内部導電体を挿入する段階と、
前記2次導電体の両端部および前記内部導電体の両端部にはんだペーストを塗布する段階と、
前記2次導電体の前記両端部および前記内部導電体に塗布された前記はんだペーストをリフローすることにより、前記グリッドアレイコンデンサをICパッケージおよびPCBに電気的かつ機械的に相互接続する段階と
を備える、方法。
【請求項16】
前記2次導電体を少なくとも部分的に取り囲む外部誘電体を形成する段階と、
前記外部誘電体を少なくとも部分的に取り囲む外部導電体を形成する段階と
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記内部導電体が、銅、スズ、ニッケル、ニオビウム、およびチタンからなる群から選択される材料を含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記2次導電体が、第1の端部および第2の端部にはんだを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記内部誘電体の比誘電率(Dk)値が100から5,000の間である、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記外部誘電体の比誘電率(Dk)値が100から5,000の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
集積回路(IC)パッケージとプリント回路板(PCB)の間に位置付けられる、グリッドアレイコンデンサであって、前記グリッドアレイコンデンサが、前記ICパッケージおよび前記PCBに物理的かつ電気的に結合するように構成されており、前記グリッドアレイコンデンサが、
前記ICパッケージおよび前記PCBに電気的に接続するように構成された内部導電体と、
前記内部導電体と同軸配向であり、前記内部導電体を少なくとも部分的に取り囲む内部誘電体と、
前記内部誘電体と同軸配向であり、前記内部誘電体を少なくとも部分的に取り囲む2次導電体であって、前記2次導電体が、前記ICパッケージおよび前記PCBに電気的に接続するように構成されている、らせんコイルである、2次導電体と
を備え、前記2次導電体が、第1の端部に隣接した第1のセクションと、第2の端部に隣接した第2のセクションとを有し、前記第1のセクションと前記第2のセクションとが、前記同軸配向の長手方向において互いから離隔され且つ電気的に絶縁されている、グリッドアレイコンデンサ。
【請求項22】
電子システムの集積回路(IC)パッケージとプリント回路板(PCB)との間に位置付けられたグリッドアレイコンデンサを製造する方法であって、前記方法が、
第1の端部に隣接した第1のセクションと、第2の端部に隣接した第2のセクションとを有し、前記第1のセクションと前記第2のセクションとが、前記第1の端部及び前記第2の端部を結ぶ方向において互いから離隔され且つ電気的に絶縁されており、らせんコイルである2次導電体の軸方向に配向された開口に内部誘電体を挿入する段階と、
前記内部誘電体内に、内部導電体を受けるのに適当な開口を形成する段階と、
前記内部誘電体の前記開口に前記内部導電体を挿入する段階と、
前記2次導電体の両端部および前記内部導電体の両端部にはんだペーストを塗布する段階と、
前記2次導電体の前記両端部および前記内部導電体に塗布された前記はんだペーストをリフローすることにより、前記グリッドアレイコンデンサをICパッケージおよびPCBに電気的かつ機械的に相互接続する段階と
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電子的な相互接続構造体に関する。詳細には、本開示は集積回路(IC)パッケージおよびプリント回路板(PCB)に取り付けることができるグリッドアレイコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサは、誘電体または絶縁体によって隔てられた、プレートとして知られている少なくとも2つの電気伝導体を有する受動的電気構成要素であり、電場内に静電的にエネルギーを蓄えるために使用することができる。コンデンサは、デジタルICやアナログICなどの種々のタイプの電子デバイスと併せて、回路素子として有用である場合がある。
【0003】
デカップリングコンデンサは、電気回路またはネットワークの一部分を回路の別の部分からデカップリングまたは電気的に隔離するために使用することができる。いくつかの回路素子によって生成される電気雑音を、デカップリングコンデンサを通して分流することができる。デカップリングコンデンサは、フィルタ、増幅器、論理素子などの雑音の影響を受けやすい回路の周りで高周波雑音成分を分流またはバイパスするのに特に有用な場合がある。
【0004】
はんだカラムまたははんだボールを使用して、ICパッケージをPCBに電気的かつ機械的に相互接続することができる。こうしたはんだカラムは、ICパッケージの平坦な表面とPCBの平坦な表面との間にアレイ配列で配置することができる。ICパッケージは、ICパッケージの表面およびPCBの表面に位置付けられた取付けパッドにはんだカラムをリフローすることにより、PCBに取り付けることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数の実施形態は、集積回路(IC)パッケージとプリント回路板(PCB)との間に位置付けられたグリッドアレイコンデンサを対象とすることができる。グリッドアレイコンデンサは、物理的かつ電気的にICパッケージおよびPCBに結合するように構成され得る。グリッドアレイコンデンサは、集積回路(IC)パッケージおよびPCBに電気的に接続するように構成された内部導電体と、内部導電体と同軸配向であり少なくとも部分的に内部導電体を取り囲む内部誘電体とを含むことができる。グリッドアレイコンデンサは、内部誘電体と同軸配向であり少なくとも部分的に内部誘電体を取り囲む2次導電体も含むことができる。2次導電体は、ICパッケージおよびPCBに電気的に接続するように構成され得る。
【0006】
複数の実施形態は、電子システムも対象とすることができる。電子システムは、PCBと、ICパッケージと、ICパッケージとPCBとの間に位置付けられたグリッドアレイコンデンサとを含むことができる。グリッドアレイコンデンサは、物理的かつ電気的にICパッケージおよびPCBに結合することができる。グリッドアレイコンデンサは、ICパッケージおよびPCBに物理的かつ電気的に接続された内部導電体と、内部導電体と同軸配向であり少なくとも部分的に内部導電体を取り囲む内部誘電体とを含むことができる。グリッドアレイコンデンサは、内部誘電体と同軸配向であり少なくとも部分的に内部誘電体を取り囲む2次導電体も含むことができる。2次導電体は、ICパッケージおよびPCBに物理的かつ電気的に接続され得る。
【0007】
複数の実施形態は、グリッドアレイコンデンサを製造する方法も対象とすることができる。グリッドアレイコンデンサは、電子システムのICパッケージとPCBとの間に位置付けることができる。方法は、2次導電体の軸方向に配向された開口に内部誘電体を挿入し、内部誘電体内に、内部導電体を受けるのに適当な開口を形成することを含むことができる。方法は、内部誘電体の開口に内部導電体を挿入し、2次導電体の両端部および内部導電体の両端部にはんだペーストを塗布することも含むことができる。方法は、2次導電体の両端部および内部導電体に塗布されたはんだペーストをリフローすることにより、グリッドアレイコンデンサをICパッケージおよびPCBに電気的かつ機械的に相互接続することも含むことができる。
【0008】
上記の概要は、本開示のそれぞれ示された実施形態又はすべての実装を説明することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本出願に含まれる図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する。これらは、本開示の実施形態を示し、この説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。図面は、特定の実施形態の例示に過ぎず、本開示を限定しない。
【0010】
図1】本開示の実施形態による電子システムおよびグリッドアレイコンデンサを示す図式を含む図である。
【0011】
図2】本開示の実施形態による、2つのセクションを備えた2次導電体を有するグリッドアレイコンデンサ、および3つの導電体を有するグリッドアレイコンデンサを示す図である。
【0012】
図3】各図と整合性のある実施形態による、グリッドアレイコンデンサの概略図、およびグリッドアレイコンデンサの挿入損失特性を示すグラフを含む図である。
【0013】
図4】各図と整合性のある実施形態による、集積回路(IC)パッケージとプリント回路板(PCB)との間に位置付けられたグリッドアレイコンデンサを製造するための方法を示す、フロー図および対応するプロセス図を含む図である。
【0014】
本発明は様々な修正形態および代替形態を受け入れることができるが、その具体例が例として図面に示されており、詳細に説明される。しかし、説明される特定の実施形態に本発明を限定する意図ではないことが理解されるべきである。それどころか、本発明の趣旨および範囲に含まれる全ての修正、均等物、および代替物をカバーする意図である。
【0015】
図面および発明を実施するための形態においては、同様の番号は概して同様の構成要素、部分、段階、およびプロセスを指す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示のいくつかの実施形態は、サーバなどの電子機器内で集積回路(IC)パッケージをプリント回路板(PCB)に相互接続するために使用されるグリッドアレイコンデンサを提供するという文脈で理解することができ、サーバを使用して、サーバに接続されたクライアントにネットワークを介してデータを提供することができる。こうしたサーバは、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ、メールサーバ、および仮想サーバを含むことができるが、これらに限定されない。必ずしもそこに限定されないが、この文脈で議論される実施形態は、本開示の様々な態様の理解を容易にすることができる。いくつかの実施形態は、多種多様な計算アプリケーションおよびデータ処理アプリケーションで使用され得るコンピューティングシステムなどの電子機器内でICパッケージをPCBに相互接続するために使用されるグリッドアレイコンデンサの提供などの、他の機器および関連付けられた用途も対象とすることができる。こうしたコンピューティングシステムは、スーパーコンピュータ、高性能コンピューティング(HPC)システム、および他のタイプの専用コンピュータを含むことができるが、これらに限定されない。複数の実施形態は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、モバイルデバイス、ネットワークサーバデバイスなどの消費者用電子機器およびスモールオフィス/ホームオフィス(SOHO)用電子機器内でICパッケージをPCBに相互接続するために使用されるグリッドアレイコンデンサを提供することも対象とすることができる。
【0017】
用語「取付けパッド」、および「BGA(ボールグリッドアレイ)パッド」は、ICパッケージまたはPCBへの電気的かつ機械的な相互接続を形成するために使用される金属パッドについて、本明細書で互換的に使用され得る。こうしたパッドは、銅または銅合金などの金属を含むことができ、BGA電子パッケージ上のはんだボールと位置的に整合するアレイ状に配置され得る。本開示の文脈では、取付けパッドは、ICパッケージをPCBに電気的かつ機械的に相互接続するためにはんだボールを配置およびリフローする場所として使用することができる。
【0018】
議論を容易にするために、用語「はんだ」、「はんだペースト」、および「はんだボール」は、ICパッケージとPCBとの間に耐久性のある機械的かつ電気的な相互接続を形成するために使用される電気伝導性の取付け材料について、本明細書で一般に使用される。
【0019】
用語「2次導電体」および「外部導電体」は、グリッドアレイコンデンサに含まれる電気伝導体について、本明細書で使用される。本開示の文脈では、用語「2次導電体」および「外部導電体」は、用語「柱状導電性スリーブ」とそれぞれ互換的に使用できることが理解され得る。
【0020】
誘電体または絶縁材料の「比誘電率」としても知られている誘電率(dielectric constant)(Dk)は、絶縁材料が2つの金属板の間に配置されたことに応答して蓄えられる電荷の量と、絶縁材料が真空または空気によって置き換えられたときに蓄えることができる電荷の量との比であると理解することができる。
【0021】
プロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、メモリチップ、特定用途向け集積回路(ASIC)などのICは、リフローされたはんだカラムまたははんだボールを使用することにより、PCBに電気的かつ機械的に取り付けることができる。こうしたはんだカラムまたははんだボールはアレイ配列で配置することができ、これはICパッケージとPCBとの間に多数の高密度電力相互接続部および信号相互接続部を提供するのに特に有用である場合がある。高速シリアル(HSS)データインタフェースの使用の増加と併せて、IC動作周波数および信号スルーレートの増大傾向が継続していることにより、ICパッケージ/PCBインタフェースにおいて、電源デカップリングおよびAC(交流)カップリングキャパシタンスを増加させる必要性が生じてきている。
【0022】
こうしたキャパシタンスの増加は、ICパッケージに隣接してPCBに配置される表面実装技術(SMT)コンデンサによって実現され得る。しかし、これらの追加のSMTコンデンサを配置することにより、PCB上の「ブレークアウト」区域または「エスケープ」区域における配線のルーティングが複雑になる恐れがある。ブレークアウト区域は、一般に、ICパッケージの下に多数の密に配置されたワイヤおよびBGAパッドを含む。これらのワイヤは、空間的制約がより緩いPCB上の配線領域へと配線を広げるために使用される。
【0023】
ブレークアウト領域内での配線用の面積は一般に非常に限定されており、いくつかの信号ネットタイプ、例えば差動対は、それらで搬送される差動信号が電気的な設計制約を満たすために、対になるワイヤ長を精密に釣り合わせることを必要とする場合がある。したがって、例えばSMTコンデンサをブレークアウト区域に含むことによって配線フローが乱されると、設計の複雑性が著しく増加し、場合によっては、重要な電気的設計要件、例えば配線の長さもしくは長さのマッチング、またはその組み合わせが満たされなくなる恐れがある。
【0024】
複数の実施形態によれば、はんだカラムグリッドアレイコンデンサは、PCBの配線ブレークアウト区域の配線フローを乱すことなく、ICパッケージ/PCBインタフェースにおいて追加のデカップリングまたはACカップリングキャパシタンスを提供することができる。こうした小さい幾何形状のコンデンサを使用することにより、PCB配線フローを改良することができ、これにより、設計またはPCBの配線レイアウトについて過度の労力を費やすことなしに、電気的設計制約を満たすことが可能になり得る。はんだカラムグリッドアレイコンデンサを使用することにより、PCBの表面配線もしくはビア、またはその組み合わせから生じる直列インダクタンス(ESL)を付加することなしに、ICに追加のキャパシタンスを提供することもできる。この追加のキャパシタンスは、IC電源レールをデカップリングし、HSSデータ信号をACカップリングするのに特に有用な場合がある。
【0025】
本開示の様々な態様は、既存の柱状取り付け機構のフレームワークにおいて、HSSおよびデカップリングキャパシタンスについての解決策を提供するのに有用な場合がある。こうした解決策は、繊細なPCBブレークアウト配線制約を乱さない可能性がある。様々な実施形態は、ディスクリートな(SMT)コンデンサの必要性、およびコンデンサの配線ブレークアウトに関連付けられる寄生誘導損失を除去することができる。いくつかの実施形態は、既存の柱状取り付け機構のフレームワークにおいて三端子コンデンサを実装することによって挿入損失を改善する際に特に有用な場合がある。こうした実施形態は、一体化された信号経路も含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態に従って設計されたグリッドアレイコンデンサは、実績のある既存のPCBと適合性がある可能性があり、ICパッケージは、デカップリングおよびACカップリングキャパシタンスを増加させる有用かつコスト効果的なやり方である場合がある。本開示の実施形態は、ACカップリング、直流(DC)接続、および電源デカップリングをサポートするPCBとICパッケージとの間の種々の相互接続トポロジを提供するのに有用な可能性がある。
【0027】
図に示されている要素は単なる概念的な例示のために提供されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解され得る。例えば、構造体が、互いに直交する表面を備えた長方形の断面プロファイルを有するように示されている場合がある。しかし、この描写は限定的なものではなく、構造体は、特定の設計基準、リソグラフィおよび製造プロセスの制限、ならびに所与の用途における公差に従う、任意の適当な形状、サイズおよびプロファイルのものでもよい。例えば、直角であるように示されている角部は丸みを帯びていてもよく、表面は直交しない相対的配向を有してもよく、相対的寸法比は図に示されているものとは異なっていてもよい。
【0028】
本開示の実施形態は、種々の構成および信号経路/経路タイプを含むことができる。例えば、様々な実施形態は、DC経路を有しないか、1つもしくは複数のDC経路を有するか、AC経路を有するか、または内部導電体が切断されたAC経路を有するはんだカラムグリッドアレイコンデンサを含むことができる。複数の実施形態は、一般に、例えば概して円筒形の誘電体層によって互いに電気的に絶縁された2つまたは3つの電気伝導体を含む同軸構造を有することができる。しかし、この説明は限定的なものではなく、本開示の趣旨および範囲において他の構造が含まれてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態は、ICパッケージをPCBに電気的に相互接続するための、電子システムでのグリッドアレイコンデンサの使用に関する。図1は、本開示の実施形態による、電子システムの側面図および上面図をそれぞれ示す図式100、図式150と、グリッドアレイコンデンサの側面図および上面図をそれぞれ示す図式108A、図式108Bと、相互接続パッドを示す図式110とを含む。図1は、グリッドアレイコンデンサ108の物理的構造、ならびに複数のグリッドアレイコンデンサ108を使用することによるICパッケージ106のPCB114への配置および相互接続を示し、その理解を可能にする際に特に有用な場合がある。図1に含まれる図式は単なる例示の目的で提供されており、PCB、ICパッケージ、IC、グリッドアレイコンデンサなどの要素の寸法、比率、量または他の物理的特徴を正確に表していない場合があることが理解され得る。
【0030】
図式100は、はんだボール104を用いてICパッケージ106上にマウントされたIC102を含む。ICパッケージ106は、ICパッケージ106とPCB114との間に位置付けられたグリッドアレイコンデンサ108によってPCB114に取り付けられる。ICパッケージ106とPCB114はどちらも、対向する平坦な表面上に、位置的に対応する相互接続パッド110のセットを有し、これはICパッケージをPCBにはんだカラムおよびはんだボールで相互接続するために使用される相互接続パッドと一致する。こうした相互接続パッドは、銅または銅合金などの導電性材料を含むことができる。複数の実施形態によれば、グリッドアレイコンデンサ端部、例えば116Aおよび116B(図式108A)は、はんだ112によって相互接続パッド110に取り付けられる。複数の実施形態では、はんだ112は相互接続パッド110に塗布され、リフローされて、ICパッケージ106と、グリッドアレイコンデンサ108と、PCB114との間の安定した電気的かつ機械的な接続を形成する。グリッドアレイコンデンサ端部116Aおよび116Bは、リフロープロセスを改良するために、リフローする前にはんだめっきされてもよい。
【0031】
複数の実施形態では、IC102はプロセッサまたはGPUチップなどのICでもよく、ICパッケージ106はセラミックまたは有機多層基板でもよく、PCB114は、例えばマザーボードまたはドーターカードを含んでもよい。はんだボール104は、より低温のはんだペーストと併せてリフローされてIC102とICパッケージ106との間の接合部を形成する高温はんだから形成されてもよい。
【0032】
図式100は、グリッドアレイコンデンサ108を使用した、ICパッケージ106とPCB114との望ましい形での電気的かつ機械的な接続を示すのに特に有用である場合がある。こうした接続/結合は、ICパッケージ106およびPCB114の対向する表面の平坦性の差を補償しながら、電気的かつ機械的に安定的である可能性がある。いくつかの用途では、こうした平坦性の差は、ICパッケージ106とPCB114との熱膨張係数(CTE)の差によって生じるワープに起因する場合もあり、製造公差に起因する場合もある。
【0033】
したがって、図式100に示された組立体は、電気パッケージもしくは電気システム設計またはその組み合わせに関する当業者には、例示的なICパッケージおよびPCB組立体であると理解され得る。示されているグリッドアレイコンデンサ108の構造は、一般に、長期間ロバストであり、耐久性および信頼性がある電気的かつ機械的な接続をもたらすと理解される。グリッドアレイコンデンサ108は、ICパッケージ106/PCB114のインタフェースにおいてIC電源レールデカップリングおよびHSS ACカップリングに有用なキャパシタンスを提供するのに特に有用であるが、はんだボールまたははんだカラム相互接続構造体が占有することになる面積に加えてPCB114の表面積を過剰に消費することはない。
【0034】
側面図100と整合性のある電子システムの上面図150は、PCB114、ICパッケージ106、IC102、および相互接続パッド110の相対位置関係を示すのに有用である。図式108Aおよび図式108Bには、図式100と整合性のある、グリッドアレイコンデンサ108の拡大図が示してある。グリッドアレイコンデンサ108は、ICパッケージ106/PCB114のインタフェースにおいて、IC電源をデカップリングし、HSS信号をACカップリングするのに有用なキャパシタンスを提供することができる。
【0035】
複数の実施形態によれば、グリッドアレイコンデンサ108は、ICパッケージ106およびPCB114に電気的に接続するように構成された内部導電体118を含む。いくつかの実施形態では、内部導電体118はワイヤであり、いくつかの実施形態では、内部導電体118はらせんコイルでもよい。内部誘電体120が、内部導電体118と同軸配向で、かつ内部導電体118を少なくとも部分的に取り囲むように位置決めされる。内部誘電体120は、誘電体「プラグ」であると理解することができ、例えばポリイミドもしくはチタン酸バリウム、またはその組み合わせなどの材料を含むことができる。
【0036】
2次導電体122は、内部誘電体120と同軸配向であり、内部誘電体120を少なくとも部分的に取り囲んでいる。2次導電体122は、ICパッケージ106およびPCB114に電気的に接続するように構成されている。いくつかの実施形態では、2次導電体122は、図式108Aに示されているように導電性らせん構造体またはコイルでもよい。導電性らせん構造体またはコイルである2次導電体122は、平坦性の不均一性もしくはICパッケージ106およびPCB114の対向する表面の間の距離の不均一性、またはその組み合わせを補償するのに有用である場合がある。こうしたらせん構造体を使用することにより、ICパッケージ106とPCB114両方の多種多様な熱的変動および寸法変動に対して機械的にロバストである電気的相互接続部を提供することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、2次導電体122は、中空の、電気伝導性の円筒形の構造体またはスリーブでもよい。2次導電体122は、「柱状導電性スリーブ」とも呼ばれる場合がある。内部導電体118および2次導電体122は、銅、スズ、ニッケル、ニオビウム、およびチタンなどの材料を含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、内部誘電体120は100から5,000の間のDk値を有することができ、これは、内部導電体118および2次導電体122と併せて、グリッドアレイコンデンサ108に1nFから8nFの間の範囲のキャパシタンスをもたらすことができる。このキャパシタンスは、IC102の電源をデカップリングし、IC102に電気的に相互接続されたHSS信号をACカップリングするのに特に有用な場合がある。将来的な技術開発にはDk値が5,000を上回る誘電材料の使用が含まれる可能性があり、これにより、グリッドアレイコンデンサの、比例的により大きいキャパシタンス値を提供することができる。
【0039】
グリッドアレイコンデンサ108を使用して、IC102とPCB114との間の種々のタイプの電気的相互接続を確立することができる。内部導電体118および2次導電体122は、必要に応じて、それぞれ電力、接地、または信号のために使用できることが理解され得る。内部導電体118と2次導電体122との間のキャパシタンスは、電源デカップリングもしくはACカップリング、またはその組み合わせのために使用することができる。
【0040】
例えば、グリッドアレイコンデンサ108は、ICパッケージ106とPCB114との間の2つの電気相互接続経路、例えば電源電圧および接地ノードを形成することができる。この例では、内部導電体118と2次導電体122との間のキャパシタンスは、IC102の電源デカップリングのために使用することができる。いくつかの実施形態では、内部導電体118および2次導電体122のうちの少なくとも一方は、ICパッケージ106またはPCB114から電気的に接続解除したままにされてもよい。いくつかの実施形態では、グリッドアレイコンデンサ108Aは、ICパッケージ106とPCB114との間のACカップリングを提供することができる。こうしたACカップリングは、IC102のHSSインタフェースと併せて使用することができる。
【0041】
図式110には、内部導電体118に位置的に対応する相互接続パッド110Aと、2次導電体122に位置的に対応する相互接続パッド110Bとを有する相互接続パッドが示してある。複数の実施形態では、内部導電体118は、はんだリフロー工程により、相互接続パッド110Aに物理的かつ電気的に接続され得る。同様に、2次導電体122は、相互接続パッド110Bに物理的かつ電気的に接続され得る。
【0042】
図2では、図式108C、図式108Dにおいて、2つのセクション228Aおよび228Bを備えた2次導電体122を有するグリッドアレイコンデンサが示されている。図2では、図式108E、図式108Fにおいて、本開示の実施形態による3つの導電体118、122、および226を有するグリッドアレイコンデンサも示されている。図式108C、図式108D、図式108E、および図式108Fは、概して図1と整合性がある。
【0043】
図式108A(図1)と整合して、グリッドアレイコンデンサ108Cは、内部導電体118および内部誘電体120を含む。また、グリッドアレイコンデンサ108Cは、2次導電体122(図式108A(図1)を参照)の、端部116Aに隣接するセクション228Aと、端部116Bに隣接するセクション228Bとを含む。複数の実施形態によれば、セクション228Aとセクション228Bとは間隙229によって物理的に隔てられており、したがって互いから電気的に絶縁されており、したがってセクション228Aとセクション228Bとの間のDC接続は不可能である。
【0044】
複数の実施形態によれば、間隙229は2次導電体122(図1)の切断によって形成されてもよく、2つの別個のセクション228A、228Bを配置することによって形成されてもよい。内部導電体118は、必要に応じて、電力、接地、または信号のために使用できることが理解され得る。複数の実施形態では、グリッドアレイコンデンサ108Cのセクション228Aとセクション228Bとの間の容量性カップリングは、ICパッケージ106とPCB114との間にACカップリングまたは電源デカップリングを提供する際に有用な場合がある。
【0045】
図式108B(図1)と整合性のあるグリッドアレイコンデンサ108D(上面図)には、2次導電体122、内部誘電体120および内部導電体118が示してある。図式108A(図1)と整合して、グリッドアレイコンデンサ108Eは、内部導電体118、内部誘電体120、および2次導電体122を含む。グリッドアレイコンデンサ108Eは、外部誘電体224および外部導電体226も含む。複数の実施形態によれば、外部誘電体224は、2次導電体122と同軸配向で位置付けられ、少なくとも部分的に2次導電体122を取り囲んでいる。外部導電体226は、外部誘電体224と同軸配向であり、少なくとも部分的に外部誘電体224を取り囲んでいる。外部導電体226は、ICパッケージ106およびPCB114(図1)に電気的に接続するように構成される。
【0046】
内部導電体118、2次導電体122、および外部導電体226は、必要に応じて、それぞれ電力、接地、または信号のために使用できることが理解され得る。複数の実施形態では、グリッドアレイコンデンサ108Eの内部導電体118と、2次導電体122と、外部導電体226との間の容量性カップリングは、ICパッケージ106とPCB114との間にACカップリングまたは電源デカップリングを提供する際に有用な場合がある。
【0047】
三端子コンデンサ構造体として構成されたグリッドアレイコンデンサ108はいくつかの有利な電気特性を有することができ、すなわち二端子コンデンサ構造体と比較してESLが減少し、挿入損失が改善し得る。例えばデカップリングコンデンサのESLは、電源雑音/過渡現象のフィルタとして機能するために利用可能なキャパシタンスを効果的に減少させることが理解される。こうした三端子コンデンサ構造体の電気特性および利益は、図3に関連してさらに議論される。
【0048】
本開示の実施では、外部誘電体224と外部導電体226とは一緒に形成され、続いて、内部導電体118、内部誘電体120および2次導電体122を取り囲むように位置決めされ得る。例えば、外部導電体226は中空の円筒形導電性チューブとして形成することができ、続いて、吹付けまたは浸漬などのプロセスを用いて、内側表面が外部誘電体224でコーティングされる。代替的に、導電性材料、例えば銅のシートを外部誘電体224の一方の表面にコーティングし、続いて円筒形状を形成するように巻くかまたはスタンピングしてもよい。外部誘電体224/外部導電体226組立体の製造に続いて、この組立体を、2次導電体122を取り囲むように位置決めすることができる。外部誘電体224は、例えば、ポリイミドもしくはチタン酸バリウム、またはその組み合わせを含むことができる。外部導電体226は、銅、スズ、ニッケル、銀、金などの材料を含むことができる。図式108Eと整合性のあるグリッドアレイコンデンサ108F(上面図)には、内部導電体118、内部誘電体120、2次導電体122、外部誘電体224、および外部導電体226が示してある。
【0049】
図3は、各図と整合性のある実施形態による、グリッドアレイコンデンサの概略図302および304、ならびに種々のグリッドアレイコンデンサの挿入損失特性を示すグラフ350を含む。二端子回路302は、端子T1とGNDとの間に直列接続された、コンデンサC1と、寄生インダクタL1およびL2とを含む。三端子回路304は、端子T2と、端子T3と、GNDとの間に相互接続された、コンデンサC2ならびに寄生インダクタL3、L4およびL5を含む。
【0050】
一般に、二端子コンデンサ構造体のESLは比較可能な三端子コンデンサのESLよりも大きく、これにより、二端子コンデンサは、デカップリング用途およびACカップリング用途において効果が低くなる可能性がある。したがって、三端子コンデンサ構造体、例えば図式108E、図式108F(図2)は、比較可能な二端子コンデンサ構造体、例えば108A、108B(図1)よりもESLが小さく、電気的性能が高い可能性がある。
【0051】
コンデンサの挿入損失特性のグラフ350には、4つのタイプのコンデンサについて、x軸に対してプロットされた挿入損失(dB)352対周波数(MHz)362が示してある。プロットは、二端子コンデンサ354、三端子コンデンサ356および三端子コンデンサ358、ならびに理想的なコンデンサ360を含む。周波数範囲362の全体にわたり、理想的なコンデンサ360と比較したとき、二端子コンデンサ354の、挿入損失が理想的なコンデンサ360より小さくなる周波数範囲は最も小さいが、三端子コンデンサ356および358は、挿入損失が理想的なコンデンサ360より小さくなる周波数範囲が著しく改良されていることに言及することができる。本明細書に説明されているように、これらの周波数範囲の改良は、デカップリングおよびACカップリング用途において、三端子コンデンサの電気特性が二端子コンデンサに勝って改良されていることを示していると見ることができる。
【0052】
図4は、各図と整合性のある実施形態による、ICパッケージ106とPCB114との間に位置付けられるグリッドアレイコンデンサ108を製造するための方法を示す、フロー図400と、6つの側面および上面プロセス図434~444の対応する一連のセットとを含む。これらのプロセス図には一例のプロセスが示してあり、他の図式および工程も可能な場合がある。これらのプロセス工程によって形成される電子システムは100(図1)と整合性を有することができ、改良されたキャパシタンス特性および向上した相互接続の信頼性を提供するグリッドアレイコンデンサ108を有することができる。複数の実施形態によれば、それぞれのグリッドアレイコンデンサ108は、ICパッケージ106をPCB114に電気的かつ機械的に相互接続するように構成される。例示的なICは、プロセッサ、GPU、メモリデバイス、ASICなどを含むことができる。例示的なPCBは、ドーターカード、マザーボード、およびスタンドアロンPCBを含むことができる。
【0053】
方法400を実行することにより、電子システム、例えば電子システム100(図1)は、改良されたキャパシタンス特性および向上した相互接続の信頼性を有することができる。複数の実施形態に従って製造された電子システムでは、PCBもしくはICパッケージ、またはその組み合わせの非平坦性、およびグリッドアレイコンデンサ108のサイズの不一致の補償も改善することができる。本開示の実施形態は、既存のIC、電子パッケージ、PCB、ならびに既存の設計方法論、ならびに電子システム製造の技術および方法と概して整合性がある。
【0054】
図式434~図式444に示される経過は、2次導電体122から開始し、図式444の完成した電子組立体で終了する。プロセス工程は、穿孔、位置合わせ、配置、挿入、ならびにはんだプロセスおよびはんだペースト430などの電子システムの製造に現在使用されているプロセスおよび材料を使用して完了することができる。
【0055】
図示を容易にするために、図4には2つのグリッドアレイコンデンサ108のみが示されているが、しかし、本開示の実施においては、多くのグリッドアレイコンデンサ108をアレイ構成で使用して、ICパッケージ106とPCB114との間の機械的かつ電気的な相互接続を提供することができる。図4に示されている工程は、組立て作業中に種々の要素、例えば2次導電体122および内部誘電体120を定位置に保持するために使用される1つまたは複数の治具と併せて実行されてもよいことが理解され得る。こうした治具は、組立てプロセス中にこうした要素を静止位置に保持するように構成された開口または穴を含むことができる。
【0056】
議論を容易にするために、図に示され、本明細書で議論される様々な主体および要素を特定すべく、図4では、上面図と側面図の両方に単一のラベル、例えば図式434が使用される場合がある。以下の議論において、参照される要素は関連付けられた側面図および上面図の一方または両方に含まれ得ることが理解され得る。
【0057】
図示を容易にするために、図式434~図式444において、2次導電体122は、らせん構造体/ばねの汎用的表現として含まれている。図4において本明細書に示されるこれらの表現は、特定の用途において有用な任意のサイズまたは割合の2次導電体122を表す場合があることを理解することができる。図示されていないいくつかの実施形態では、2次導電体122は、導電性柱状スリーブまたは導電性シリンダを表す場合もある。
【0058】
それぞれの図には、1つまたは複数のプロセス工程の結果が示されている場合がある。例えば、ある図式は、グリッドアレイコンデンサ108をICパッケージ106およびPCB114に隣接して位置合わせおよび位置決めし、続いてはんだをリフローしてグリッドアレイコンデンサ108をICパッケージ106およびPCB114に取り付けることを含み得る、位置決め工程およびはんだリフロー工程の結果を図示することができる。図式434~図式444に関連付けられたプロセス工程は、2次導電体122の開口内に内部誘電体120を挿入すること、内部誘電体120に開口を形成すること、開口内に内部導電体118を挿入すること、グリッドアレイコンデンサ108の端部にはんだペーストを塗布すること、グリッドアレイコンデンサ108にICパッケージ106およびPCB114を位置決め/位置合わせすること、ならびにICパッケージ106、PCB114およびグリッドアレイコンデンサ108の組立体を形成するために使用されるはんだリフロー工程を含むことができるが、これらに限定されない。
【0059】
完成した構造体は、互いに直交する表面を有する、長方形の断面プロファイルを有するものとして図式434~図式444に全体として示される場合がある。しかし、この描写は限定的なものではなく、構造体は、所与の用途における特定の設計基準、リソグラフィプロセスおよび製造プロセスの制限および公差に従う、任意の適当な形状、サイズおよびプロファイルのものでもよい。例えば、直角を有するように示されている角部は丸みを帯びていてもよく、表面は直交しない相対的配向を有してもよく、相対的寸法比は図に示されているものとは異なっていてもよい。
【0060】
別の図または図式が明示的に指示されていなければ、方法400の工程の議論に含まれる図の要素の文章による参照は、一般に、フロー図400の議論されている工程ボックスのすぐ右にある対応する図式を指すことが理解され得る。
【0061】
図式434には、開口432Aを有する導電性らせん構造体またはばねとして、2次導電体122が示してある。いくつかの実施形態では、2次導電体122は、金属チューブまたは「スリーブ」などの中空の導電性の円筒形構造体でもよい。複数の実施形態によれば、2次導電体122は、銅、スズ、ニッケル、銀または金などの電気伝導性材料から製造され得る。いくつかの実施形態では、2次導電体122は、はんだリフロー工程を容易にするために、種々のはんだタイプを用いてスズめっきされてもよい。2次導電体122は、軸方向に配向された開口432Aを含む。
【0062】
方法400は、開始402から工程406へと移る。工程406は、概して、2次導電体122の軸方向に配向された開口432Aに内部誘電体120を挿入することを指す。複数の実施形態によれば、自動化された電子機器を使用して、2次導電体122の軸方向に配向された開口432Aへと内部誘電体120または「プラグ」を位置合わせおよび挿入することができる。こうしたプラグは、ポリイミドもしくはチタン酸バリウム、またはその組み合わせなどのDkが高い材料を含むことができる。内部誘電体を軸方向に配向された開口に挿入した後、方法400は工程408へと移る。
【0063】
工程408は、概して、内部導電体118を受けるのに適当な開口432Bを内部誘電体120内に形成することを指す。複数の実施形態によれば、開口432Bは、およそ、開口432Bに挿入すべき、内部導電体118(図式440)の製造公差内のサイズである。開口432Bは、古典的な機械的穿孔、レーザ穿孔、または他の適切な製造方法もしくはプロセスを使用して形成することができる。内部誘電体に開口を形成した後、方法400は工程410へと移る。
【0064】
工程410は、概して、内部誘電体120の開口432Bに内部導電体118を挿入することを指す。複数の実施形態によれば、内部導電体118は、およそ、製造公差内の、開口432Bのサイズである。複数の実施形態では、自動化された電子機器を使用して、内部誘電体120の軸方向に配向された開口432Bに内部導電体118を位置合わせおよび挿入することができる。いくつかの実施形態では、内部導電体118は、銅、スズ、ニッケル、ニオビウム、チタンなどの材料を含むことができるワイヤである。内部導電体を内部誘電体の開口に挿入した後、方法400は工程412へと移る。
【0065】
工程412は、概して、2次導電体122の両端部116A、116B、ならびに内部導電体118の両端部116Aおよび116Bにはんだペースト430を塗布することを指す。この工程においては、PCBのBGAパッドにはんだペーストを塗布するために使用される機器と整合性のあるはんだマスク、ペースト、およびはんだ塗付け機器が使用されてもよい。代替的に、はんだペーストがICパッケージ106およびPCB114に塗布されてもよい(図式444)。2次導電体および内部導電体の端部にはんだペースト430を塗布した後、方法400は工程414へと移る。
【0066】
工程414は、概して、はんだペースト430をリフローすることにより、グリッドアレイコンデンサ108をICパッケージ106およびPCB114に電気的かつ機械的に相互接続することを指す。工程414は、グリッドアレイコンデンサ108の端部116A、116B(図1)、はんだペースト430、ならびにICパッケージ106およびPCB114の相互接続パッド110が物理的に接触していることを含む適当な配向に、ICパッケージ106、グリッドアレイコンデンサ108、およびPCB114を位置決めおよび位置合わせすることを含む。この接触が確立されると、はんだボールをPCBに取り付けるために使用されるリフロー工程と一致する指定された温度プロファイルを使用して、専用リフローオーブンなどの装置により、熱的プロファイルが印加される。はんだペースト430は少なくとも融点へと至り、次いで冷却されて、グリッドアレイコンデンサ108、はんだペースト430、ICパッケージ106、およびPCB114を接合して組立体にする。グリッドアレイコンデンサをICパッケージ106およびPCB114に電気的かつ機械的に相互接続した後、方法400はブロック416で終了することができる。
【0067】
本開示の実施においては、上述のように、図式108Eおよび図式108F(図2)と整合性のある外部誘電体224および外部導電体226を完成形の組立体に追加するために、追加の任意選択の工程が実行されてもよい。
【0068】
例えば、外部誘電体224および外部導電体226は一緒に形成され、続いて内部導電体118、内部誘電体120および2次導電体122を取り囲むように位置決めされてもよい。この例に従うと、外部導電体226は中空の円筒形導電性チューブとして形成することができ、続いて吹付けまたは浸漬などのプロセスを用いて、内側表面を外部誘電体224でコーティングすることができる。代替的に、導電性材料、例えば銅のシートを外部誘電体224の一方の表面にコーティングし、続いて円筒形状を形成するように巻くかまたはスタンピングしてもよい。外部誘電体224/外部導電体226組立体の製造に続いて、この組立体を、2次導電体122を取り囲むように位置決めすることができる。
【0069】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されており、網羅的であること、あるいは、開示された実施形態への限定を意図していない。説明した実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用した専門用語は、実施形態の原理、実際の適用、もしくは、市場で見つかる技術に対する技術的改善を説明するために、または、本明細書で開示された実施形態を他の当業者が理解できるように選択された。
図1
図2
図3
図4