(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】プローブまたは静脈内カテーテルを収容する延長体
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20241004BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20241004BHJP
A61M 39/04 20060101ALI20241004BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20241004BHJP
A61B 5/154 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61M25/01
A61M25/06 500
A61M39/04
A61M39/10
A61B5/154
(21)【出願番号】P 2023022434
(22)【出願日】2023-02-16
(62)【分割の表示】P 2020502629の分割
【原出願日】2018-07-18
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ビールマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ スパタロ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516643(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01066751(GB,A)
【文献】特表2010-512803(JP,A)
【文献】特表平09-504442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/01
A61M 25/06
A61M 39/04
A61M 39/10
A61B 5/154
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル組立体に結合されるように構成された延長体であって、
近位端部と、遠位端部と、スロットとを備えるハウジングであって、前記スロットは近位端部と遠位端部とを備え、前記スロットの前記近位端部は前記ハウジングの前記近位端部に対して遠位であるハウジングと、
前記ハウジング内に配設される器具であって、前記器具は、近位端部と、遠位先端を通って血液を収集できる遠位先端を形成する遠位端部とを備え、
前記器具の前記近位端部は、前記スロットを通って延在して、血液収集アダプタを形成し、前記血液収集アダプタを含む前記器具の前記近位端
部は、前記スロットに沿って前記スロットの前記近位端
部に遠位な近位位置から遠位位置に移動するように構成され、
前記延長体は、前記器具の前記近位端部が前記スロットの前記近位端
部に遠位な前記近位位置にある際に、前記器具の前記遠位先端が前記ハウジング内にあるように構成され、
前記器具の前記近位端
部が前記近位位置から前記遠位位置に移動することに応答して、前記器具の前記遠位先端は、前記ハウジングの前記遠位端部を超えて前進させられ、それにより患者の
血管から前記血液収集アダプタを介して直接的に血液を収集できる、器具と
を備える延長体。
【請求項2】
前記血液収集アダプタは、シリンジまたは血液収集チューブを受け入れるように構成された空洞を備え、前記血液収集アダプタは、前記空洞内に配設され、前記シリンジまたは前記血液収集チューブを前記血液収集アダプタの前記空洞内に前進させたことに応答して前記シリンジまたは前記血液収集チューブのセプタムを穿刺するように構成された、カニューレをさらに備える請求項1に記載の延長体。
【請求項3】
前記血液収集アダプタは、前記ハウジングに対して角度が付けられている請求項1に記載の延長体。
【請求項4】
前記血液収集アダプタは、前記ハウジングの長手方向軸に平行に配向される請求項1に記載の延長体。
【請求項5】
前記器具と結合された前進タブをさらに備える請求項1に記載の延長体。
【請求項6】
前記前進タブは、前記スロットからずらされる請求項5に記載の延長体。
【請求項7】
前記器具の前記遠位端部は、前記器具の近位端部よりも小さい外径を有する、請求項1に記載の延長体。
【請求項8】
前記器具の硬度は、前記器具の長さに沿って変わる、請求項1に記載の延長体。
【請求項9】
前記器具の遠位部分は、前記器具の近位部分よりも剛性が小さい、請求項8に記載の延長体。
【請求項10】
前記器具はプローブを含む、請求項1に記載の延長体。
【請求項11】
前記スロットを通って延在する前記器具の近位端部は、延長チューブを含む、請求項1に記載の延長体。
【請求項12】
前記ハウジングの前記遠位端部は、ルアー継手機構を備える請求項1に記載の延長体。
【請求項13】
前記器具はカテーテルを備える、請求項1に記載の延長体。
【請求項14】
カテーテル組立体に結合されるように構成された延長体であって、
近位端部と、遠位端部と、スロットとを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に配設される器具であって、前記器具は、カテーテルまたはプローブを備え、前記器具は、近位端部と、遠位先端とを備え、
前記器具は、近位位置から遠位位置に移動するように構成され、
前記器具は、前記器具が前記遠位位置に配置された際に、前記ハウジングの前記遠位端部を越えて前進させられる器具と、
延長チューブであって、前記延長チューブは、近位端部と、遠位端部とを備え、前記器具の前記近位端部は、前記延長チューブの前記遠位端部と結合される延長チューブと、
アダプタと、
を備え
、
前記延長チューブの前記近位端部はアダプタと結合され、前記アダプタは、シリンジまたは血液収集チューブを受け入れるように構成された空洞を備え、前記アダプタは、前記空洞内に配設され、前記シリンジまたは前記血液収集チューブを前記アダプタの前記空洞内に前進させたことに応答して前記シリンジまたは前記血液収集チューブのセプタムを穿刺するように構成された、カニューレをさらに備え、前記延長チューブは、前記ハウジングの前記近位端部を通って延在する、延長体。
【請求項15】
前記延長チューブは剛性または半剛性である、請求項14に記載の延長体。
【請求項16】
前記延長チューブは、前記ハウジング内に遠位に移動されて、前記器具を遠位位置に移動させるように構成され、および、前記延長チューブは、前記ハウジングから離れるように近位に移動されて、前記器具を近位位置に引き込むように構成される、請求項14に記載の延長体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
カテーテルは、一般に、さまざまな注入療法に使用されている。たとえば、カテーテルは、生理食塩液、さまざまな薬剤、および完全静脈栄養などの流体を患者に注入するために使用され得る。カテーテルはまた、患者から血液を引き出すために使用され得る。
【0002】
一般的なタイプのカテーテルは、オーバーザニードル(over-the-needle)末梢静脈内(「IV」)カテーテルである。その名前が示すように、オーバーザニードルカテーテルは、鋭利な遠位先端を有する導入針上に装着され得る。カテーテルおよび導入針は、導入針の遠位先端が、針のベベルを上に向けて患者の皮膚から遠ざけながら、カテーテルの遠位先端を超えて延びるように組み立てられ得る。カテーテルおよび導入針は、通常、浅い角度で皮膚を通って患者の血管系に挿入される。
【0003】
導入針および/またはカテーテルの血管内の適切な配置を確かめるために、臨床医は、通常、カテーテル組立体のフラッシュバックチャンバ内に血液の「フラッシュバック」が存在することを確認する。針の配置が確認されると、臨床医は、血管内の流れを一時的に閉塞し、将来の血液の引き出しまたは流体注入のためにカテーテルを所定場所に残して、針を取り外すことができる。
【0004】
末梢IVカテーテルを使用した血液の引き出しは、特にカテーテルの留置時間が2日以上になる場合、いくつかの理由のために難しくなり得る。たとえば、カテーテルが長期間患者の体内に挿入されたままである場合、カテーテルは、デブリ(debris)(たとえばフィブリン(fibrin)または血小板の塊)によってより狭くなりやすく、圧潰しやすく、よじれやすく、詰まりやすくなり、カテーテルの先端が血管系に付着しやすくなり得る。これにより、カテーテルは、カテーテルの配置時に血液試料を取得するために使用されることは多くなり得るが、カテーテルの留置期間中に血液試料を取得するために使用される頻度はかなり低い。したがって、血液試料が必要とされる場合、血液収集のための静脈アクセスを提供するためにさらなる針の突き刺しが必要とされ、これは、患者にとって辛いものとなり、結果的に材料コストも高くなり得る。したがって、さらなる針の突き刺し無しに、患者の血管内に、たとえばカテーテルなどの血液試料器具およびプローブ器具などを配置することを容易にするカテーテルシステムおよび方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願第62/534,557号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、一般に、たとえば、プローブまたは静脈内カテーテルなどの器具を収容することができる延長体または導入器、ならびに関連するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、延長体は、血管アクセスデバイスを含むことができ、この血管アクセスデバイスは、器具が別の血管アクセスデバイス、たとえば患者の血管系に挿入され得るカテーテル組立体などを通して患者の血管系にアクセスすることを可能にする。いくつかの実施形態では、器具が延長体を介してカテーテル組立体に導入されたとき、器具は、カテーテル組立体の流体通路にアクセスすることができ、ならびに/または器具は、カテーテル組立体を通って延び、患者の血管系にアクセスすることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、延長体は、血液試料を得るために使用され得る血液収集デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、かなりの留置時間を有するカテーテル組立体のカテーテルは、デブリ(たとえばフィブリンまたは血小板の塊)によって狭くなりやすく、圧潰しやすく、よじれやすく、詰まりやすくなり、カテーテルの先端が血管系に付着しやすくなり得る。したがって、カテーテルを使用した血液の引き出しは、難しくなり得る。いくつかの実施形態では、器具は、延長体内に配設され得る別のカテーテルを含むことができ、この他のカテーテルは、さらなる針の突き刺しが全く無い状態で、患者の血管系にアクセスを提供することができる。したがって、いくつかの実施形態では、延長体は、無針の血液収集および/または流体注入のために使用され得る。有利には、いくつかの実施形態では、延長体は、カテーテルおよび/またはカテーテル固定用ドレッシングの妨害またはずれを低減しながら、閉システムの維持および無菌操作を可能にすることもできる。
【0008】
いくつかの実施形態では、器具は、延長体内に配設され得るプローブを含むことができる。いくつかの実施形態では、プローブは、1つまたは複数の開口部および/または1つまたは複数のセンサを含むことができる。いくつかの実施形態では、開口部および/またはセンサは、プローブの遠位先端に向かって配設され得る。いくつかの実施形態では、開口部は、流体入口および/または出口としての役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、センサは、1つまたは複数のパラメータを測定し、および/またはたとえば、診断情報、血液化学物質、圧力、流量、薬物同定、病原菌、移植可能なステントの配置、静脈内カテーテル先端の安定化特徴、または他のデバイスなどに関連する1つまたは複数の要素を検出することができる。いくつかの実施形態では、延長体は、センサを含むプローブの一部分をカテーテル組立体の流体通路内および/または患者の血管系内の配置することを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、器具は、プローブおよび他のカテーテルの両方の要素を含んで、プローブおよび他のカテーテルの両方として機能することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、次の1つまたは複数を含むことができる:カテーテル、カテーテルアダプタ、セプタムハウジング、およびセプタム。いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルアダプタ内に固定され、ここから遠位に延びることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、末梢IVカテーテル組立体を含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは、遠位端部と、近位端部と、遠位端部と近位端部との間を延びる管腔とを含むことができる。いくつかの実施形態では、セプタムは、カテーテルアダプタの管腔内に配設され得る。いくつかの実施形態では、セプタムは、セプタムハウジング内に少なくとも部分的に配設され、カテーテルアダプタの管腔を少なくとも実質的にシールするように構成され得る。いくつかの実施形態では、セプタムハウジングは、セプタムのずれまたは不安定化を防止することができ、それによってカテーテルアダプタの管腔からの流体の漏れを防止する。
【0010】
いくつかの実施形態では、延長体は、閉IVカテーテル組立体、または一体化された延長チューブを備えたカテーテル組立体、たとえばBecton Dickinson NEXIVA(商標)Closed IV Catheter SystemまたはBecton Dickinson NEXIVA(商標)DIFFUSICS(商標)Closed IV Catheter Systemに結合され得る。これらおよび他の実施形態では、カテーテルアダプタの近位端部は、第1のポートと、第2のポートとを含むことができる。これらおよび他の実施形態では、カテーテルアダプタの管腔は、第1の管腔および/または第2の管腔を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のポートは、第1の管腔を形成することができ、ならびに/または第2のポートは、第2の管腔を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の管腔および第2の管腔は、共通の管腔においてつながることができる。いくつかの実施形態では、第1の管腔を共通管腔に全体的に位置合わせすることができ、ならびに/または第2のポートは、側部ポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、セプタムおよび/またはセプタムハウジングは、第1の管腔内に配設され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタの第2の管腔は、これ以後さらに詳細に説明するように、カテーテルアダプタの第2のポートから延びることができる延長チューブを介して延長体と結合され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体の導入針は、患者の血管系内へのカテーテルの挿入後、カテーテルアダプタを通って引き出され得る。閉IVカテーテルシステム内では、導入針がカテーテルアダプタを通って引き出されたとき、「針チャネル」に対応することができる第1の管腔は、セプタムによって、カテーテルアダプタを取り囲む外部環境から閉ざされ得る。したがって、セプタムは、第1のポートを少なくとも実質的にシールし、流体が第1のポートを通ってカテーテルアダプタから出ることを防止することができる。いくつかの実施形態では、流体注入および/または血液の引き出し中のカテーテル組立体の流体通路は、第1のポートではなく、第2のポートを通って延びることができる。いくつかの実施形態では、セプタムおよび/またはセプタムハウジングは、カテーテルアダプタの第2のポートの近位に配設され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、別のタイプのカテーテル組立体、たとえば非一体化カテーテル組立体、または一体化された延長チューブを有さないカテーテル組立体などを含むことができる。いくつかの実施形態では、延長体は、非一体化カテーテル組立体に結合され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、延長体は、近位端部および遠位端部を含むことができる、バレルまたはハウジングを含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジングの遠位端部は、延長体をカテーテル組立体に結合することができる結合機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合機構は、カテーテルアダプタに直接的に結合され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体の延長チュービングの近位端部は、延長体に結合され得るアダプタまたは結合器要素に結合され得る。いくつかの実施形態では、結合器要素は、yアダプタ、単一ポート、または二重ポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、結合器要素は、ルアー継手および/または血液制御弁を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合器要素は、ルアー継手と、取り外し可能または取り外し不能な無針コネクタとを含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、器具は、ハウジング内に少なくとも部分的に配設または収容され得る。いくつかの実施形態では、ハウジングは、器具を少なくとも部分的に取り囲むことができ、それによって延長体を取り囲む外部環境から器具を保護することができる。いくつかの実施形態では、ハウジングは、ハウジングの長手方向軸に平行に延びることができるスロットを含むことができる。これらおよび他の実施形態では、ハウジングは、剛性または半剛性であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、延長体は、器具の近位端部に結合され得るアダプタを含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタは、スロットに沿って近位位置から遠位位置に、および/または遠位位置から近位位置に移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アダプタがスロットに沿って近位位置から遠位位置に移動することに応答して、器具は、ハウジングの遠位端部を超えて前進させられる。いくつかの実施形態では、アダプタがスロットに沿って遠位位置から近位位置に移動することに応答して、器具は、ハウジング内に引き込まれ得る。いくつかの実施形態では、ハウジングの遠位端部は、エラストマーまたは他の適切な材料のシールを含んで、延長ハウジングの遠位端部と器具との間に流体シールを提供することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、アダプタは、たとえば、シリンジおよび/または血液収集チューブを受け入れるように構成された空洞を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタは、空洞内に配設され、シリンジをアダプタの空洞内に前進させたことに応答してシリンジのセプタムを穿刺するように構成された、カニューレを含むことができる。追加的または代替的には、いくつかの実施形態では、カニューレは、血液収集チューブをアダプタの空洞内に前進させたことに応答して血液収集チューブのセプタムを穿刺するように構成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、アダプタは、いくつもの方法で器具の近位端部と結合され得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、器具の近位端部と一体的に形成され得る。いくつかの実施形態では、アダプタを器具の近位端部に恒久的に結合することができ、または器具の近位端部と一体となって単品として形成することができる。いくつかの実施形態では、アダプタは、器具の近位端部と選択的に結合され得る。たとえば、器具の近位端部は、アダプタの対応するルアー継手と結合され得るルアー継手を含むことができる。いくつかの実施形態では、器具の近位端部のルアー継手は、いくつものデバイスのルアー継手に対応することができる。いくつかの実施形態では、器具の近位端部は、計装インターフェース、電気接続および/または光接続を含むことができるか、またはこれらと結合され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、器具は、近位端部と、遠位先端とを含むことができる。いくつかの実施形態では、器具ハブを含むことができる器具の近位端部は、スロットを通って延びることができ、それによって、臨床医が器具の近位端部をスロットに沿って移動させて器具を近位位置から遠位位置に、および/または遠位位置から近位位置に移動させることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、器具の近位端部は、これ以後さらに詳細に説明するように、器具ハブを含むことができる。いくつかの実施形態では、器具および/またはアダプタの遠位または引っ張り位置は、血液を探査するか、または収集するための位置に対応することができる。いくつかの実施形態では、器具が近位位置に配設されたとき、器具の近位端部は、スロットの近位端部にまたは近位端部の近くに配設され得る。いくつかの実施形態では、器具が遠位位置に配設されたとき、器具の近位端部は、スロットの遠位端部にまたは遠位端部近くに配設され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、器具の近位端部は、湾曲したまたは角度を付けた部分を含むことができ、この部分は、スロットを通って延びることができ、および/またはアダプタまたは別のデバイスに結合され得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、ハウジングに対して角度が付けられ得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、ハウジングの長手方向軸に平行に配向され得る。いくつかの実施形態では、延長体は、器具の近位端部および/またはアダプタに結合され得る前進タブを含むことができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、前進タブを挟むか、または把持して器具を近位位置および/または遠位位置に移動させることができる。いくつかの実施形態では、器具は、アダプタが遠位位置に配設されたとき、ハウジングおよび/またはカテーテルの遠位端部を超えて前進させられる。いくつかの実施形態では、前進タブをスロットからずらすことができ、それによってスロットに対する器具および/またはアダプタの簡単な移動を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、アダプタは、前進タブとして使用され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、ハウジングの少なくとも一部分は、軸方向に圧縮可能であってもよく、または軸方向に圧潰可能であってもよい。いくつかの実施形態では、延長体は、シースまたはスリーブを含むことができる。いくつかの実施形態では、スリーブは、器具を少なくとも部分的に取り囲むことができる。これらおよび他の実施形態では、スリーブは、器具を汚染物質から遮蔽し、および/またはカテーテル組立体の流体通路にアクセスした後で器具上に残留し得るすべての血液または他の流体を隔離することができる。これらおよび他の実施形態では、スリーブは、延長体を取り囲む外部環境から器具を保護することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、器具は、スリーブ内に少なくとも部分的に配設され得る。いくつかの実施形態では、スリーブは、軸方向に圧潰可能であってもよく、または軸方向に圧縮可能であってもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、器具は、スリーブが遠位方向に圧潰されるか、または圧縮されたとき、スリーブの遠位端部を超えて遠位位置まで前進され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、キットは、次の1つまたは複数を含むことができる:カテーテル組立体、延長体、シリンジ、血液収集チューブ、アルコール消毒綿、1つまたは複数の消毒キャップ、抗菌性皮膚準備溶液、およびカテーテル固定用ドレッシング。いくつかの実施形態では、ドレッシングは、延長チューブスロットおよび/または1つまたは複数の抗菌剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、消毒キャップは、1つまたは複数の抗菌剤を含むことができ、および/または結合器要素および/または1つまたは複数のカテーテルアダプタポートを閉じるように構成され得る。詳細には、いくつかの実施形態では、キットは、血液収集キットを含むことができ、器具は、他のカテーテルを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の上記で引用した、また他の特徴および利点が得られる方法を容易に理解できるように、上記で簡潔に説明した本発明のより具体的な説明が、添付の図に示すその特有の実施形態を参照して行われる。これらの図は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本発明の範囲を限定するように考えられないものとする。
【0024】
【
図1A】いくつかの実施形態による、近位位置にある例示的な器具を示す、例示的なカテーテル組立体と結合された例示的な延長体の上側斜視図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、遠位位置にある器具を示す、カテーテル組立体と結合された
図1Aの延長体の上側斜視図である。
【
図1C】いくつかの実施形態による、可変の外径を有する例示的な器具の上側斜視図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による、例示的なハウジングに対して角度が付けられた例示的なアダプタを示す、
図1Aの延長体の上側斜視図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による、ハウジングの長手方向軸に平行に配向されたアダプタを示す、別の例示的な延長体の上側斜視図である。
【
図2C】いくつかの実施形態による、器具の近位端部に配設された例示的なルアー継手の上側斜視図である。
【
図2D】いくつかの実施形態による、アダプタと結合された例示的な血液収集チューブを示す、
図1Aの延長体の上側斜視図である。
【
図2E】いくつかの実施形態による、器具の近位端部と結合された例示的な延長チューブの上側斜視図である。
【
図2F】いくつかの実施形態による、器具の近位端部と結合された別の例示的な延長チューブの上側斜視図である。
【
図2G】いくつかの実施形態による、例示的なハウジング上に配設された例示的なマーキングの上側斜視図である。
【
図2H】器具が近位位置に配設されたときの例示的なスリーブの上側斜視図である。
【
図2I】器具が遠位位置に配設されたときの
図2Hのスリーブの上側斜視図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、別の例示的なハウジングを示す、別のカテーテルシステムの上側斜視図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、例示的なキットの上側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の現在好ましい実施形態は、図を参照することによって理解することができ、図では、同じ参照番号は、同一または機能的に類似する要素を示す。本明細書において全体的に説明し、図に示すような本発明の構成要素を多種多様な異なる構成で配置し、設計できることが容易に理解されよう。したがって、図に表すような以下のより詳細な説明は、特許請求する本発明の範囲を限定するようには意図されず、本発明の現在好ましい実施形態を表すにすぎない。さらに、図は、簡易化されたまたは部分的な図を表すことができ、図内の要素の寸法は、明確にするために誇張されるか、または別の形で比例しないことがある。
【0026】
本開示では、用語「近位」および「遠位」は、カテーテルシステムを患者に接触させて配置する臨床医により近い、およびそこから離れるそれぞれの方向を指すことができる。したがって、たとえば、患者の体に最初に触れるカテーテルシステムの端部は、遠位端部となり、カテーテルシステムの反対側の端部(たとえば臨床医によって操作されているデバイスの端部)は、カテーテルシステムの近位端部となる。
【0027】
本出願は、一般に、たとえば、プローブまたは静脈内カテーテルなどの器具を収容することができる延長体、ならびに関連するシステムおよび方法に関する。次に
図1A~1Bを参照すれば、いくつかの実施形態では、延長体10または導入器は、器具12をカテーテル組立体14に導入するように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具12がカテーテル組立体14に導入されたとき、器具12は、カテーテル組立体14の流体通路にアクセスすることができ、ならびに/または器具は、カテーテル組立体14を通って延び、患者の血管系にアクセスすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、延長体10は、血液試料を得るために使用され得る血液収集デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、かなりの留置時間を有するカテーテル組立体14のカテーテル16は、デブリ(たとえばフィブリンまたは血小板の塊)によってより狭くなりやすく、圧潰しやすく、よじれやすく、詰まりやすくなり、カテーテル16の先端18が血管系に付着しやすくなり得る。したがって、カテーテル16を使用した血液の引き出しは、難しくなり得る。いくつかの実施形態では、器具12は、延長体内に配設され得る別のカテーテルを含むことができ、この他のカテーテルは、たとえば、
図1Bに示すように、さらなる針の突き刺しが全く無い状態で、さらなる針の突き刺しが全く無い状態で、患者の血管系にアクセスを提供することができる。したがって、いくつかの実施形態では、延長体10は、無針の血液収集および/または流体注入に使用され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、器具12は、延長体10内に少なくとも部分的に配設され得るプローブを含むことができる。いくつかの実施形態では、プローブは、1つまたは複数の開口部および/または1つまたは複数のセンサを含むことができる。いくつかの実施形態では、開口部および/またはセンサは、プローブの遠位先端に向かって配設され得る。いくつかの実施形態では、開口部は、流体入口および/または出口としての役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、センサは、1つまたは複数のパラメータを測定し、および/またはたとえば、診断情報、血液化学物質、圧力、流量、薬物同定、病原菌、移植可能なステントの配置、静脈内カテーテル先端の安定化特徴、または他のデバイスなどに関連する1つまたは複数の要素を検出することができる。いくつかの実施形態では、延長体10は、センサを含むプローブの一部分をカテーテル組立体14の流体通路内および/または患者の血管系内に配置することを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、器具12は、プローブおよび他のカテーテルの両方の要素を含んで、プローブおよび他のカテーテルの両方として機能することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、カテーテル組立体14は、次の1つまたは複数を含むことができる:カテーテル16、カテーテルアダプタ20、セプタムハウジング、およびセプタム。いくつかの実施形態では、カテーテル16は、カテーテルアダプタ20内に固定され、ここから遠位に延びることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体14は、末梢IVカテーテル組立体を含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ20は、遠位端部と、近位端部と、遠位端部と近位端部との間を延びる管腔とを含むことができる。いくつかの実施形態では、セプタムは、カテーテルアダプタ20の管腔内に配設され得る。いくつかの実施形態では、セプタムは、セプタムハウジング内に少なくとも部分的に配設され、カテーテルアダプタの管腔を少なくとも実質的にシールするように構成され得る。いくつかの実施形態では、セプタムハウジングは、セプタムのずれまたは不安定化を防止することができ、それによってカテーテルアダプタの管腔からの流体の漏れを防止する。
【0031】
いくつかの実施形態では、延長体10は、閉IVカテーテル組立体、または一体化された延長チューブ22を備えたカテーテル組立体、たとえばBecton Dickinson NEXIVA(商標) Closed IV Catheter SystemまたはBecton Dickinson NEXIVA(商標) DIFFUSICS(商標) Closed IV Catheter Systemに結合され得る。これらおよび他の実施形態では、カテーテルアダプタ20の近位端部は、第1のポート24と、第2のポート26とを含むことができる。これらおよび他の実施形態では、カテーテルアダプタ20の管腔は、第1の管腔および/または第2の管腔を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のポート24は、第1の管腔を形成することができ、ならびに/または第2のポート26は、第2の管腔を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の管腔および第2の管腔は、共通の管腔においてつながることができる。いくつかの実施形態では、第1の管腔を共通管腔に全体的に位置合わせすることができ、ならびに/または第2のポート26は、側部ポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、セプタムおよび/またはセプタムハウジングは、第1の管腔24内に配設され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ20の第2の管腔は、これ以後さらに詳細に説明するように、カテーテルアダプタ20の第2のポート26から延びることができる延長チューブ22を介して延長体10と結合され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体14の導入針(図示せず)は、患者の血管系内へのカテーテル16の挿入後、カテーテルアダプタ20を通って引き出され得る。閉IVカテーテルシステム内では、導入針がカテーテルアダプタ20を通って引き出されたとき、「針チャネル」に対応することができる第1の管腔24は、セプタムによって、カテーテルアダプタ20を取り囲む外部環境から閉ざされ得る。したがって、セプタムは、第1のポート24を少なくとも実質的にシールし、流体が第1のポート24を通ってカテーテルアダプタ20から出ることを防止することができる。いくつかの実施形態では、流体注入および/または血液の引き出し中のカテーテル組立体14の流体通路は、第1のポート24ではなく、第2のポート26を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、セプタムおよび/またはセプタムハウジングは、カテーテルアダプタ20の第2のポート26の近位に配設され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、カテーテル組立体14は、別のタイプのカテーテル組立体、たとえば非一体化カテーテル組立体、または一体化された延長チューブ22を有さないカテーテル組立体などを含むことができる。いくつかの実施形態では、延長体10は、非一体化カテーテル組立体に結合され得る。いくつかの実施形態では、延長体10は、非一体化カテーテル組立体のポートに直接的に結合され得る。いくつかの実施形態では、特定のセプタムおよび/または第1のポート24を通って流体通路および/または血管系にアクセスすることにより、延長チューブ22または一体化された延長セットのより長い経路を通る器具12の挿入を回避することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、器具12は、1つまたは複数の特徴部、たとえば1つまたは複数のテーパ表面などによって案内されて、器具12がカテーテル組立体の流体通路および/または患者の血管系にアクセスすることを可能にすることができる。カテーテル組立体14を通る器具12の案内は、参照によって本明細書に全体的に組み込まれる、「Systems and Methods to Improve Instrument Guidance Within an Intravenous Catheter Assembly」と題する、2017年7月19日出願の特許文献1にさらに詳細に説明される。
【0035】
いくつかの実施形態では、延長体10は、近位端部および遠位端部を含むことができる、バレルまたはハウジング28を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジング28の遠位端部は、延長体10をカテーテル組立体14に結合することができる結合機構30を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合機構30は、ルアー継手、たとえば雄型ルアー継手またはルアーロックねじ付きカラーなどであってもよい。いくつかの実施形態では、結合機構30は、非ルアー結合機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合機構30は、「Systems and Methods to Improve Instrument Guidance Within an Intravenous Catheter Assembly」と題する、2017年7月19日出願の特許文献1にさらに詳細に説明されるような導入要素の一部であってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、結合機構30は、カテーテルアダプタ20に直接的に結合され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体14の延長チューブ22の近位端部は、延長体10の対応する結合機構30に結合され得る、アダプタまたは結合器要素32を含むことができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ22は、システム内に伸展性および/または可撓性を提供することができ、それによって延長体10の長さを短くすることを可能にし、および/または別の延長チューブの使用を防止することができ、これは、これ以後さらに詳細に説明する。いくつかの実施形態では、結合器要素32は、yアダプタ、単一ポート、または二重ポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、結合器要素32は、ルアー継手および/または血液制御弁を含むことができる。いくつかの実施形態では、血液制御弁は、閉システムの維持を容易にし、血液の漏れを防止することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、結合機構30は、器具によって貫通される流体シールを提供することができる、少なくとも1つの弁を含むことができる。結合機構30の弁は、いくつもの場所に配設されて、カテーテル組立体14からの流体が次の1つまたは複数のすべてまたは一部分に入ることを防止することができる:結合機構30、スリーブ55(
図2H~2Iに示す)、およびハウジング28。いくつかの実施形態では、弁は、セプタムおよび/またはスリットを含むことができる。いくつかの実施形態では、弁は、結合機構30の遠位開口部を覆うことができる。いくつかの実施形態では、弁は、結合機構30の内側管腔内に配設され、および/または内側管腔の直径を横切って延びることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、器具12は、ハウジング28内に少なくとも部分的に配設または収容され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング28は、器具を少なくとも部分的に取り囲むことができ、それによって、延長体10を取り囲む外部環境および/または病原菌から器具12を保護することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング28は、ハウジング28の長手方向軸に平行に延びることができるスロット34を含むことができる。これらおよび他の実施形態では、ハウジング28は、剛性または半剛性であり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング28は、透明または不透明であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、ハウジング28の少なくとも一部分は、軸方向に圧縮可能であってもよく、または軸方向に圧潰可能であってもよい。たとえば、ハウジング28は、1つまたは複数の圧潰および/または伸縮バレルを含むことができる。追加的または代替的には、ハウジング28は、スロット34を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の同心バレルは、第2の同心バレル内に前進され得る。いくつかの実施形態では、第1の同心バレルおよび/または第2の同心バレルの少なくとも一部分は、圧潰可能であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、延長体10は、器具12の近位端部に結合され得るアダプタ36を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタ36は、スロット34に沿って近位位置から遠位位置に、および/または遠位位置から近位位置に移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ36がスロット34に沿って近位位置から遠位位置に移動することに応答して、器具12は、ハウジング28の遠位端部を超えて前進させられる。いくつかの実施形態では、アダプタ36がスロット34に沿って遠位位置から近位位置に移動することに応答して、器具12は、ハウジング28内に引き込まれ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、アダプタ36は、たとえば、シリンジおよび/または血液収集チューブを受け入れるように構成された空洞を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタ36は、空洞内に配設され、シリンジをアダプタ36の空洞内に前進させたことに応答してシリンジのセプタムを穿刺するように構成された、カニューレ38を含むことができる。追加的または代替的には、いくつかの実施形態では、カニューレ38は、血液収集チューブをアダプタ36の空洞内に前進させたことに応答して血液収集チューブのセプタムを穿刺するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ36は、Becton Dickinson VACUTAINER(商標)1回使用ホルダまたは類似のホルダに対応することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、器具12は、近位端部と、遠位先端42とを含むことができる。いくつかの実施形態では、遠位先端42は、入口および/または出口穴であってもよい1つまたは複数の穴44を含むことができる。いくつかの実施形態では、遠位先端42は、座屈抵抗のために、器具12の近位端部より軟質のおよび/または低剛性の材料から構築され得る。いくつかの実施形態では、遠位先端42は、鈍角、真っ直ぐ、またはテーパであってもよい。いくつかの実施形態では、器具12の近位端部は、スロット34を通って延びることができ、それによって臨床医が器具12の近位端部をスロット34に沿って移動させて器具を近位位置から遠位位置におよび/または遠位位置から近位位置に移動させることを可能にすることができる。
【0043】
次に
図1Cを参照すれば、いくつかの実施形態では、器具12は、可変の外径を含むことができる。いくつかの実施形態では、器具の遠位部分41は、器具12の近位部分43より小さい外径を有することができる。追加的または代替的には、器具12は、器具12の長さに沿って可変の硬度を有することができる。いくつかの実施形態では、遠位部分41は、
図1Cに示すように、カテーテルアダプタ20の第2の管腔から共通管腔への移行部において曲がるように構成され得る。これらおよび他の実施形態では、近位部分43は、遠位部分41より剛性であり得る。いくつかの実施形態では、遠位部分41は、近位部分43より剛性であり得るか、または
【0044】
次に
図2A~2Fを参照すれば、いくつかの実施形態では、アダプタ36は、いくつもの方法で器具12の近位端部と結合され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ36は、器具12の近位端部と取り外し可能にまたは取り外し不能に結合され得る。いくつかの実施形態では、他の延長チューブは、器具12の近位端部からアダプタ36に延びることができる。いくつかの実施形態では、アダプタ36は、器具12の近位端部と一体的に形成され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ36を器具12の近位端部と恒久的に結合することができ、または器具12の近位端部と一体となって単品として形成することができる。いくつかの実施形態では、アダプタ36は、器具12の近位端部と選択的に結合され得る。たとえば、器具の近位端部は、たとえば
図2Cに示すような、アダプタ36の対応するルアー継手と結合され得る、ルアー継手40を含むことができる。いくつかの実施形態では、器具12の近位端部のルアー継手40は、いくつものデバイスのルアー継手に対応することができ、結合され得る。いくつかの実施形態では、器具12の近位端部は、計装インターフェース、電気接続および/または光接続を含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、器具12の近位端部は、湾曲したまたは角度を付けた部分を含むことができ、この部分は、スロット34を通って延びることができ、および/またはアダプタ36または別のデバイスに結合され得る。いくつかの実施形態では、他の延長チューブは、スロット34を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、器具の近位端部は、アダプタとの結合を容易にすることができる器具ハブを含むことができる。いくつかの実施形態では、器具ハブは、湾曲したおよび/または角度を付けた部分を含むことができ、および/またはスロット34を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、器具ハブは、機械的、接着剤、溶媒、超音波、または別の適切なタイプの接合によって器具12の遠位部分に接合され得る。明確にするために、いくつかの実施形態では、器具12の近位端部は、スロット34を通って延びる器具ハブ、またはスロット34を通って延びる器具12の別の部分を介してスロット34を通って延びることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、アダプタ36は、たとえば
図2Aに示すようにハウジングに対して角度が付けられ得る。いくつかの実施形態では、アダプタ36は、たとえば、
図2Bに示すように、ハウジング28の長手方向軸に平行に配向され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、延長体は、器具12の近位端部および/またはアダプタ36に結合され得る前進タブ46を含むことができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、前進タブ46を挟むか、または把持して器具12を近位位置および/または遠位位置に移動させることができる。いくつかの実施形態では、器具12は、アダプタ36が遠位位置に配設されたとき、ハウジング28の遠位端部を超えて前進させられる。いくつかの実施形態では、前進タブ36は、いくつもの場所に配設され得る。いくつかの実施形態では、たとえば
図2A~2Eに示すように、前進タブ46をスロット34からずらすことができ、それによってスロット34に対する器具12および/またはアダプタ36の簡単な移動を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、前進タブ46は、スロット34と位置合わせされ得る。前進タブ46に加えて、または代替策として、延長体10は、1つまたは複数の他の把持表面を含むことができる。たとえば、アダプタ36は、1つまたは複数の把持表面を含むことができる。
図2Dは、いくつかの実施形態による、アダプタ36の空洞内に配設された血液収集チューブ48を示す。
【0048】
図2Eは、いくつかの実施形態による、器具12の近位端部に結合された延長チューブ49の遠位端部を示す。いくつかの実施形態では、延長チューブ49の近位端部は、アダプタ36または別のデバイスと結合され得る。いくつかの実施形態では、延長チューブ49の近位端部は、アダプタ36および/または他のデバイスのルアー継手に適合可能であり得る、たとえばルアー継手などの結合機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、可撓性材料から構築され得る。いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、血液の収集中、より大きい伸展性および/または可撓性を容易にすることができ、それによってカテーテル16およびカテーテル固定用ドレッシングの妨害を低減することができる。
【0049】
次に
図2Fを参照すれば、いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、ハウジング28の近位端部を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、延長された長さを含むことができる。これらおよび他の実施形態では、ハウジング28は、スロット34を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、ハウジング28内に遠位に移動されて、器具を遠位位置に移動させることができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、ハウジングから離れるように近位に移動されて、器具を近位位置に引き込むことができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、剛性または半剛性であり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング28の近位端部は、流体がハウジング28の近位端部から漏れることを防止することができる、障壁51を含むことができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ49は、障壁51を通って延びることができる。
【0050】
次に
図2Gを参照すれば、いくつかの実施形態では、ハウジング28は、器具12の挿入深さを臨床医に視覚的に示すことができる、1つまたは複数のマーキング53または測定値を含むことができる。いくつかの実施形態では、マーキング53は、たとえば、異なるタイプのカテーテルを含むことができる、1つまたは複数の異なる器具12をどこまで挿入するかおよび/または引き出すかを示すことができる。いくつかの実施形態では、延長体10は、ロッキング機構を含むことができ、ロッキング機構は、器具12を遠位位置、近位位置、または遠位位置と近位位置との間の1つまたは複数の位置にロックすることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、器具12は、選択的にロックされ得る。いくつかの実施形態では、マーキングは、器具12を恒久的にまたは選択的に保持することができるくぼみまたは他の特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、マーキング53は、次の1つまたは複数を示すことができる:器具の遠位位置、器具の近位位置、および器具の遠位位置と近位位置との間の位置。
【0051】
次に
図2H~2Iを参照すれば、いくつかの実施形態では、延長体10は、シースまたはスリーブ55を含むことができる。いくつかの実施形態では、スリーブ55は、器具12を少なくとも部分的に取り囲むことができる。これらおよび他の実施形態では、スリーブ55は、器具12を汚染物質から遮蔽することができ、および/またはカテーテル組立体14の流体通路にアクセスした後で器具12上に残留し得るすべての血液または他の流体を隔離することができる。これらおよび他の実施形態では、スリーブ55は、延長体を取り囲む外部環境から器具12を保護することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、スリーブ55は、軸方向に圧潰可能であってもよく、または軸方向に圧縮可能であってもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態では、器具12は、たとえば、
図2Iに示すように、スリーブ55が遠位方向に圧潰されるか、または圧縮されたとき、スリーブ55および/またはカテーテル16の遠位端部を超えて遠位位置に前進され得る。いくつかの実施形態では、スリーブ55の近位端部は、器具と結合され得る。たとえば、スリーブ55の近位端部は、器具12の近位端部と結合され得る。いくつかの実施形態では、スリーブ55の遠位端部は、結合機構30またはハウジング28の別の部分と結合され得る。いくつかの実施形態では、スリーブ55は、スロット34を通って延びても、延びなくてもよい。
【0053】
次に
図3を参照すれば、いくつかの実施形態では、スリーブ55の少なくとも一部分は、軸方向に圧縮可能であってもよく、または軸方向に圧潰可能であってもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態では、器具12は、スリーブ55が遠位方向に圧縮されるか、または圧潰されたとき、スリーブ55の遠位端部を超えた位置に前進され得る。いくつかの実施形態では、延長体10は、スリーブ55の近位端部に結合され得る、ハブまたはグリップ50を含むことができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、グリップ50を移動させてスリーブ55を遠位方向に圧縮するか、または圧潰させ、器具12をスリーブ55の遠位端部を超えた位置に前進させることができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、グリップ50を近位に移動させてスリーブ55を近位方向に拡張させ、器具12をスリーブ55に引き込むことができ、ここで器具12はロックされ得る。いくつかの実施形態では、グリップ50および/または器具12は、たとえば、アダプタ36、別のデバイス、計装インターフェース、電気接続および/または光接続に結合され得る。いくつかの実施形態では、
図3に示すように、延長体10は、ハウジング28を含まなくてもよい。
【0054】
次に
図4を参照すれば、いくつかの実施形態では、キット52は、次の1つまたは複数を含むことができる:カテーテル組立体14、延長体10、シリンジ54、血液収集チューブ48、アルコール消毒綿56、1つまたは複数の消毒キャップ58、およびカテーテル固定用ドレッシング(図示せず)。いくつかの実施形態では、ドレッシングは、延長チューブスロットおよび/または1つまたは複数の抗菌剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、消毒キャップ58は、1つまたは複数の抗菌剤を含むことができ、ならびに/または結合器要素32および/または1つまたは複数のカテーテルアダプタポートを閉じるように構成され得る。詳細には、いくつかの実施形態では、キット52は、血液収集またはラインドロー(line draw)キットを含むことができ、器具12は、他のカテーテルを含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、延長体10および/またはキット52を使用する方法は、結合器要素32をアルコール消毒綿56で消毒することを含むことができる。いくつかの実施形態では、結合器要素32の消毒に続いて、延長体10は、結合器要素32を介してカテーテル組立体14と結合され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体14は、それまでに患者の血管系に挿入されていてもよい。いくつかの実施形態では、器具12を、次いで、カテーテル組立体14の流体通路を通って前進させることができ、ならびに/または器具の遠位先端42をカテーテル16の先端18の遠位の血管系内に配置することができる。いくつかの実施形態では、器具の前進に続いて、事前充填され得るシリンジ54を使用して、カテーテル組立体14を洗い出して停滞血液および/または薬剤を除去することができる。いくつかの実施形態では、シリンジ54のプランジャを引っ張って破棄試料を引き出すことができる。いくつかの実施形態では、血液収集チューブ48は、アダプタ36と結合されて血液試料を得ることができる。いくつかの実施形態では、血液の収集および/または探査に続いて、延長体10をカテーテル組立体14から結合解除することができ、1つまたは複数の抗菌剤を含むことができる消毒キャップ58を消毒のために結合器要素32上に配置することができる。いくつかの実施形態では、方法の1つまたは複数のステップ、たとえば、カテーテル組立体14を洗い出すステップおよび/または破棄試料を引き出すステップなどは、任意選択であってもよい。いくつかの実施形態では、延長体10は、使用後に破棄され得る。
【0056】
本発明は、その構造、方法、または本明細書において広範に説明し、特許請求する他の本質的な特徴から逸脱することなく、他の特有の形態で具現化されてもよい。説明する実施形態は、すべての点において、制限的ではなく、例示的にすぎないと考えられるものとする。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価性の意味および範囲内に入るすべての変更は、その範囲内に包含されるものとする。