(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】自動車投光器用位置調節装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/068 20060101AFI20241004BHJP
F16C 29/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B60Q1/068
F16C29/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065857
(22)【出願日】2023-04-13
【審査請求日】2023-07-18
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘーフラー
(72)【発明者】
【氏名】レオポルト プリツル
(72)【発明者】
【氏名】マルティーン アルトナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ペツォルト
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-184801(JP,A)
【文献】特許第6998091(JP,B1)
【文献】米国特許第05138540(US,A)
【文献】特開2018-165535(JP,A)
【文献】特開2015-038472(JP,A)
【文献】実開昭60-185723(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/068
F16C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器の少なくとも1つの光学関連構造ユニットの位置調節のための自動車投光器用位置調節装置であって、
前記位置調節装置は、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置される基体(100)、
・前記基体(100)上においてスライド軸線(X)に沿ってスライド可能に支持され、かつ、前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットに係合可能に構成された滑動体(200)、及び、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置され、かつ、駆動装置(300)による前記滑動体(200)のスライド運動の際に前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットが運動されるように、前記滑動体(200)に係合しかつ前記スライド軸線(X)に沿ってスライドするよう構成された駆動装置(300)
を含み、
前記滑動体(200)は案内装置によって前記基体に支持されており、前記案内装置は、前記駆動装置(300)によって駆動される滑動体(200)を前記基体(100)上で前記スライド軸線(X)に沿って案内するよう、構成されていること、
前記案内装置は、少なくとも1つの転がり軸受(400)を含むこと、
前記少なくとも1つの転がり軸受(400)内には少なくとも1つの転動体(410)が支持されていること、
前記少なくとも1つの転動体(410)は、前記少なくとも1つの転動体(410)が前記スライド軸線(X)に沿った前記滑動体(200)のスライド運動の際に前記滑動体を前記スライド軸線(X)に沿ったスライド運動の際に位置固定的な前記基体(100)に対し相対的に案内するよう、前記少なくとも1つの転がり軸受(400)において支持されていること
、
前記少なくとも1つの転がり軸受(400)は第1軸受シェル(400a)及び第2軸受シェル(400b)を含むこと、
前記第1軸受シェル(400a)は前記基体(100)に配置され、かつ、前記第2軸受シェル(400b)は前記滑動体(200)に配置されること、
前記第1軸受シェル(400a)及び前記第2軸受シェル(400b)は、両方の軸受シェル(400a、400b)の組み合わせによって、共同して、前記少なくとも1つの転がり軸受(400)を形成すること、及び、
前記少なくとも1つの転動体(410)は、前記スライド軸線(X)に沿った前記滑動体(200)のスライド運動の際に前記第2軸受シェル(400b)が前記少なくとも1つの転動体(410)の転がり運動を引き起こすように、前記少なくとも1つの転動体(410)が前記第1軸受シェル(400a)と前記第2軸受シェル(400b)とに当接するよう、前記少なくとも1つの転がり軸受(400)において支持されていること、
前記少なくとも1つの転動体(410)は、前記転がり運動によって、前記第2軸受シェル(400b)を前記スライド軸線(X)に沿ったスライド運動の際に、位置固定的な前記第1軸受シェル(400a)に対し相対的に案内すること、
前記少なくとも1つの転動体(410)は、前記第1軸受シェル(400a)又は前記第2軸受シェル(400b)に設けられた組込開口(430)を介して前記転がり軸受(400)内に装填可能であること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転がり軸受(400)は、前記スライド軸線(X)に対し平行な直線(G)に沿って延在すること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の位置調節装置において、
前記第1軸受シェル(400a)及び前記第2軸受シェル(400b)は、夫々、前記スライド軸線(X)に沿って対向して位置する2つのストッパ(420)を有すること、
前記滑動体(200)のスライド運動の最大ストロークと最小ストロークにおいて、前記少なくとも1つの転動体(410)は、前記第1軸受シェル(400a)のストッパ(420)と前記第2軸受シェル(400b)のストッパ(420)とに当接すること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項4】
請求項1に記載の位置調節装置において、
前記案内装置は、少なくとも2つの転がり軸受(400)を有すること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも2つの転がり軸受(400)は、前記スライド軸線(X)に対し横方向の軸線において対向して配置されていること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の位置調節装置において、
前記第1軸受シェル(400a)は前記基体(100)と一体的に製造されていること及び/又は前記第2軸受シェル(400b)は前記滑動体(200)と一体的に製造されていること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項7】
請求項1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転動体(410)は、前記スライド軸線(X)に対し直角をなす少なくとも1つの軸線の周りで回転対称的であること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項8】
請求項1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転動体(410)はボール、円筒及び/又は円錐として構成されること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項9】
請求項1に記載の位置調節装置において、
前記位置調節装置(10)は、前記スライド軸線(X)に対する横方向の運動に対して基体(100)上において前記滑動体(200)を支持するための少なくとも1つの支持装置(500)を有すること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの支持装置(500)は、前記滑動体(200)と前記基体(100)との間の弾性体-溝-結合部として構成されること、
前記弾性体-溝-結合部は、前記スライド軸線(X)に沿って延在すること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の位置調節装置において、
前記溝は前記滑動体(200)に設けられていること、
前記弾性体は前記基体(100)に設けられていること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項12】
請求項
1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転がり軸受(400)の前記第2軸受シェル(400b)は、前記少なくとも1つの転がり軸受(400)内に配されている前記少なくとも1つの転動体(410)が結合部分の弾性力によって前記第2軸受シェル(400b)から前記第1軸受シェル(400a)へ向かって押圧されるよう、弾性的に構成されている結合部分を有すること
を特徴とする、位置調節装置。
【請求項13】
請求項1~
12の何れかに記載の位置調節装置を少なくとも1つ含む、自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2022年5月25日に出願された欧州特許出願第22175521.8号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、自動車投光器の少なくとも1つの光学関連構造ユニットの位置調節のための自動車投光器用位置調節装置であって、
前記位置調節装置は、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置される基体、
・前記基体上においてスライド軸線に沿ってスライド可能に支持され、かつ、前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットに係合可能に構成された滑動体、及び、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置され、好ましくは前記基体に配設され、かつ、駆動装置による前記滑動体のスライド運動の際に前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットが運動されるように、前記滑動体に係合しかつ前記スライド軸線に沿ってスライドするよう構成された駆動装置
を含み、
前記滑動体は案内装置によって前記基体に支持されており、前記案内装置は、前記駆動装置によって駆動される滑動体を前記基体上で前記スライド軸線に沿って案内するよう、構成されている、
位置調節装置に関する。
【0003】
更に、本発明は、少なくとも1つの本発明の位置調節装置を含む自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術の位置調節装置では、互いに対しスライド可能に構成された複数のボディがスライド面(複数)を介して互いに対し支持される。しかしながら、これによって、より長い使用期間にわたり該面(複数)の高い摩擦力と摩耗が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スライド面上でのボディのスライドによって生じる摩擦力は、駆動装置、とりわけステップモータの力に依存する遊びと関連して、位置調節システムにヒステリシスを引き起こす。
【0007】
本発明の課題は、自動車投光器用の改善された位置調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点により自動車投光器の少なくとも1つの光学関連構造ユニットの位置調節のための自動車投光器用位置調節装置が提供される。
前記位置調節装置は、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置される基体、
・前記基体上においてスライド軸線に沿ってスライド可能に支持され、かつ、前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットに係合可能に構成された滑動体、及び、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置され、かつ、駆動装置による前記滑動体のスライド運動の際に前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットが運動されるように、前記滑動体に係合しかつ前記スライド軸線に沿ってスライドするよう構成された駆動装置
を含み、
前記滑動体は案内装置によって前記基体に支持されており、前記案内装置は、前記駆動装置によって駆動される滑動体を前記基体上で前記スライド軸線に沿って案内するよう、構成されていること、
前記案内装置は、少なくとも1つの転がり軸受を含むこと、
前記少なくとも1つの転がり軸受内には少なくとも1つの転動体が支持されていること、
前記少なくとも1つの転動体は、前記少なくとも1つの転動体が前記スライド軸線に沿った前記滑動体のスライド運動の際に前記滑動体を前記スライド軸線に沿ったスライド運動の際に位置固定的な前記基体に対し相対的に案内するよう、前記少なくとも1つの転がり軸受において支持されていること、
前記少なくとも1つの転がり軸受は第1軸受シェル及び第2軸受シェルを含むこと、
前記第1軸受シェルは前記基体に配置され、かつ、前記第2軸受シェルは前記滑動体に配置されること、
前記第1軸受シェル及び前記第2軸受シェルは、両方の軸受シェルの組み合わせによって、共同して、前記少なくとも1つの転がり軸受を形成すること、及び、
前記少なくとも1つの転動体は、前記スライド軸線に沿った前記滑動体のスライド運動の際に前記第2軸受シェルが前記少なくとも1つの転動体の転がり運動を引き起こすように、前記少なくとも1つの転動体が前記第1軸受シェルと前記第2軸受シェルとに当接するよう、前記少なくとも1つの転がり軸受において支持されていること、
前記少なくとも1つの転動体は、前記転がり運動によって、前記第2軸受シェルを前記スライド軸線に沿ったスライド運動の際に、位置固定的な前記第1軸受シェルに対し相対的に案内すること、
前記少なくとも1つの転動体は、前記第1軸受シェル又は前記第2軸受シェルに設けられた組込開口を介して前記転がり軸受内に装填可能であること
を特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、本発明の位置調節装置を少なくとも1つ含む、自動車投光器が提供される(形態15)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転がり軸受は、前記スライド軸線に対し平行な直線に沿って延在することが好ましい。
(形態3)形態1に記載の位置調節装置において、
前記第1軸受シェル及び前記第2軸受シェルは、夫々、前記スライド軸線に沿って対向して位置する2つのストッパを有すること、
前記滑動体のスライド運動の最大ストロークと最小ストロークにおいて、前記少なくとも1つの転動体は、前記第1軸受シェルのストッパと前記第2軸受シェルのストッパとに当接することが好ましい。
(形態4)形態1に記載の位置調節装置において、
前記案内装置は、少なくとも2つの転がり軸受を有することが好ましい。
(形態5)形態4に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも2つの転がり軸受は、前記スライド軸線に対し横方向の軸線において対向して配置されていることが好ましい。
(形態6)形態1に記載の位置調節装置において、
前記第1軸受シェルは前記基体と一体的に製造されていること及び/又は前記第2軸受シェルは前記滑動体と一体的に製造されていることが好ましい。
(形態7)形態1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転動体は、前記スライド軸線に対し直角をなす少なくとも1つの軸線の周りで回転対称的であることが好ましい。
(形態8)形態1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転動体はボール(球(体))、円筒(体)及び/又は円錐(体)として構成されることが好ましい。
(形態9)形態1に記載の位置調節装置において、
前記位置調節装置は、前記スライド軸線に対する横方向の運動に対して基体上において前記滑動体を支持するための少なくとも1つの支持装置を有することが好ましい。
(形態10)形態9に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの支持装置は、前記滑動体と前記基体との間の弾性体-溝-結合部として構成されること、
前記弾性体-溝-結合部は、前記スライド軸線に沿って延在することが好ましい。
(形態11)形態10に記載の位置調節装置において、
前記溝は前記滑動体に設けられていること、
前記弾性体は前記基体に設けられていることが好ましい。
(形態12)形態1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転がり軸受の前記第2軸受シェルは、前記少なくとも1つの転がり軸受内に配されている前記少なくとも1つの転動体が結合部分の弾性力によって前記第2軸受シェルから前記第1軸受シェルへ向かって押圧されるよう、弾性的に構成されている結合部分を有することが好ましい。
(形態13)上記本発明の第2の視点参照。
【0010】
上記の課題は、案内装置が少なくとも1つの転がり軸受を含み、少なくとも1つの転がり軸受内に少なくとも1つの転動体が支持され、少なくとも1つの転動体がスライド軸線に沿った滑動体のスライド運動の際に滑動体をスライド軸線に沿ったスライド運動の際に位置固定的な基体に対し相対的に案内するよう、少なくとも1つの転動体が少なくとも1つの転がり軸受において支持されることによって解決される。
【0011】
少なくとも1つの転がり軸受が第1軸受シェル及び第2軸受シェルを含み、第1軸受シェルが基体に配置されかつ第2軸受シェルが滑動体に配置され、
第1軸受シェル及び第2軸受シェルが、両方の軸受シェルの組み合わせ(Zusammenfuehren)によって、共同して、少なくとも1つの転がり軸受を形成し、及び、
スライド軸線に沿った滑動体のスライド運動の際に第2軸受シェルが少なくとも1つの転動体の転がり運動を引き起こすように、少なくとも1つの転動体が第1軸受シェルと第2軸受シェルとに当接するよう、少なくとも1つの転動体が少なくとも1つの転がり軸受において支持され、少なくとも1つの転動体が、上記転がり運動によって、第2軸受シェルをスライド軸線沿ったスライド運動の際に、位置固定的な第1軸受シェルに対し相対的に案内することが可能である。
【0012】
概念「組み合わせ(Zusammenfuehren)」は、基体上における予め設定される位置へ滑動体をスライドさせることによって、(2つの)軸受シェルが共同して(一緒になって)転がり軸受を形成するよう、該(2つの)軸受シェルが組み合わせられる(zusammengefuehrt)ことであると、理解されるべきものである。
【0013】
少なくとも1つの転がり軸受がスライド軸線に対し平行な直線に沿って延在することが可能である。
【0014】
第1軸受シェル及び第2軸受シェルが、夫々、スライド軸線に沿って対向して位置する2つのストッパを有し、滑動体のスライド運動の最大ストローク(位置)と最小ストローク(位置)において、少なくとも1つの転動体が、第1軸受シェルのストッパと第2軸受シェルのストッパとに当接することが可能である。
【0015】
案内装置は少なくとも2つの転がり軸受を有することが可能である。
【0016】
少なくとも2つの転がり軸受はスライド軸線に対し横方向の軸線において対向して配置されることが可能である。
【0017】
第1軸受シェルが基体と一体的に製造されていること及び/又は第2軸受シェルが滑動体と一体的に製造されていることが可能である。
【0018】
少なくとも1つの転動体はスライド軸線に対し直角をなす少なくとも1つの軸線の周りで回転対称的であることが可能である。
【0019】
少なくとも1つの転動体はボール(球(体))、円筒(体)及び/又は円錐(体)として構成されることが可能である。
【0020】
少なくとも1つの転動体は金属、好ましくは鋼から、又はプラスチックからも、製造されることが可能である。
【0021】
位置調節装置はスライド軸線に対する横方向の運動に対して基体上において滑動体を支持するための少なくとも1つの支持装置を有することが可能である。
【0022】
少なくとも1つの支持装置は滑動体と基体との間の弾性体-溝-結合部(Feder-Nut-Verbindung)として構成され、該弾性体-溝-結合部はスライド軸線に沿って延在することが可能である。
【0023】
(弾性体-溝-結合部の)溝は滑動体に設けられ(形成され)、(弾性体-溝-結合部の)弾性体は基体に設けられることが可能である。
【0024】
少なくとも1つの転動体は、第1軸受シェル又は第2軸受シェルに設けられた組込開口を介して転がり軸受内に装填可能であることが可能である。
【0025】
少なくとも1つの転がり軸受の第2軸受シェルは、少なくとも1つの転がり軸受内に配されている少なくとも1つの転動体が結合部分の弾性力によって第2軸受シェルから第1軸受シェルへ向かって押圧されるよう、弾性的に構成されている結合部分を有することが可能である。
【0026】
上記の課題は、少なくとも1つの本発明の位置調節装置を含む自動車投光器(前照灯等)によっても解決される。
【0027】
以下において、本発明は例示的図面を用いて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】自動車投光器用の一例示的位置調節装置の斜視図。位置調節装置は、基体上に配置された滑動体を含む。滑動体は転がり軸受によって基体に対し相対的に基体上でスライド軸線に沿ってスライド可能である。
【
図2】
図1の位置調節装置の斜視図。但し、滑動体が基体上に配置されていない様子が示されている。
【
図3】スライド軸線に沿った
図1の位置調節装置の正面図。転がり軸受(複数)は、夫々が第1軸受シェル(軸受胴)及び第2軸受シェルを有することが見出される。
【
図4】
図1の位置調節装置の一例示的転がり軸受の断面図。第1軸受シェルと第2軸受シェルとの間に転動体、この例ではボールが配されている。
【
図5】スライド軸線に対する横方向から見た
図1の位置調節装置の断面図。この方向ないしこの側面からは3つの転がり軸受が見出される。滑動体は基体に対し相対的にゼロ位置に配置されている。
【
図6】スライド軸線に沿った
図4の転がり軸受の断面図。軸受シェル(複数)は夫々スライド軸線に沿って対向して位置するその端部(複数)にストッパを有し、ストッパは、転動体、ないしスライド軸線に沿った滑動体の運動を制限するよう、構成されている。
【
図7】
図5の位置調節装置。滑動体は基体に対し相対的にスライド軸線に沿って最大ストローク位置(Hubposition)に配置されており、転がり軸受の転動体はストッパ(複数)間に配置されている。
【
図8】スライド軸線に沿った
図6の転がり軸受の断面図。軸受シェル(複数)は夫々スライド軸線に沿って対向して位置するその端部(複数)にストッパを有し、ストッパは、転動体、ないしスライド軸線に沿った滑動体の運動を制限するよう、構成されている。滑動体は
図7の最大ストローク位置にある。
【実施例】
【0029】
図1は、自動車投光器(不図示)の少なくとも1つの光学関連構造ユニットを位置調節するための、自動車投光器用位置調節装置10の一例を示す。位置調節装置は、位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置されている基体100と、基体100上においてスライド軸線Xに沿ってスライド可能に支持されておりかつ少なくとも1つの光学関連構造ユニットに係合するよう構成されている滑動体200とを含む。
【0030】
更に、位置調節装置は、位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置され、好ましくは基体100に配設されており、かつ、駆動装置300による滑動体200のスライド運動の際に少なくとも1つの光学関連構造ユニットが運動されるように、滑動体200に係合しかつ滑動体200をスライド軸線Xに沿ってスライドさせるよう構成されている駆動装置300を含む。
【0031】
滑動体200は案内装置によって基体に支持されており、案内装置は、駆動装置300によって駆動される滑動体200を基体100上においてスライド軸線Xに沿って案内するよう、構成されている。
【0032】
案内装置は、図示の例では、全部で6つの転がり軸受400を含み、夫々3つの転がり軸受はスライド軸線Xに対し横方向の軸線(の方向)において対向して配設されている、即ち、各側部に夫々3つの転がり軸受が配設されている。それぞれ1つの転がり軸受400内には1つの転動体410が支持されている。
【0033】
例えば
図4、
図6、
図7及び
図8に見出すことができるように、夫々1つの転がり軸受400は第1軸受シェル400a及び第2軸受シェル400bを含み、第1軸受シェル400aは基体100に配設されており、かつ、第2軸受シェル400bは滑動体200に配設されている。
【0034】
両方の軸受シェル400a、400bの組み合わせ(一緒にする:Zusammenfuehren)によって、第1軸受シェル400aと第2軸受シェル400bは、図(複数)において見出すことができるように、共同して、転がり軸受400を形成する。
【0035】
図示の実施例では、スライド軸線Xに対し横方向の各側部に3つの転がり軸受400が配設されており、各側部における最も外側の転がり軸受(複数)400(即ちスライド軸線Xから最も大きく離れて配設されているもの)では、夫々の第2軸受シェル400bは―自動車に位置調節装置が正確に組み込まれた状態で見て―下側に配置されている。各側部における残りの転がり軸受400では、第2軸受シェル400bは、とりわけ
図5に示されているように、上側に配置されている。
【0036】
この場合、1つの転動体410は、スライド軸線Xに沿った滑動体200のスライド運動時に第2軸受シェル400bが少なくとも1つの転動体410の転がり運動を引き起こすように、当該1つの転動体410が(
図4において見出すことができるように)第1軸受シェル400aと第2軸受シェル400bとに当接するよう、(1つの)転がり軸受400において支持される。ここで、該少なくとも1つの転動体410は、その転がり運動によって、第2軸受シェル400bをスライド軸線Xに沿ったスライド運動の際に、定置的な第1軸受シェル400aの方へないし該第1軸受シェル400aに対し相対的に案内する。
【0037】
転がり軸受(複数)400は、
図2及び
図6において見出すことができるように、スライド軸線Xに対し平行な直線Gに沿って延在する。
【0038】
図6及び
図8において見出すことができるように、転がり軸受400の第1軸受シェル400a及び第2軸受シェル400bはスライド軸線Xに沿って夫々2つの対向ストッパ420を有し、滑動体200のスライド運動の最大ストロークの際及び最少ストロークの際に、転動体400は、第1軸受シェル400aのストッパ420と第2軸受シェル400bのストッパ420とに当接する。
【0039】
図7は基体100における滑動体200のスライド軸線Xに沿ったそのような最大ストローク(位置)を示し、
図8は最大ストローク(位置)にある滑動体200の一例示的転がり軸受400を詳細に示す。既述の転がり軸受400の転動体が第1軸受シェル400aのストッパ420と第2軸受シェル400bのストッパ420とに当接し、そのため、滑動体200の運動を制限することが、
図8において明確に見出すことができる。
【0040】
図示の例では、転がり軸受400の第1軸受シェル400aは基体100と一体的に製造されており、転がり軸受400の第2軸受シェル400bは滑動体200と一体的に製造されている。
【0041】
転動体410を対応する転がり軸受400内に装填するために、第1軸受シェル400a及び/又は第2軸受シェル400bは、例えば
図6において見出すことができるように、組込開口430を有し(1つの転がり軸受の夫々1つの軸受シェルのみが1つの組込開口を有する)、該組込開口430を介して、転動体410は転がり軸受400内に装填可能である。
【0042】
更に、転がり軸受400の第2軸受シェル400b又は第1軸受シェル400aは、転がり軸受400内に配されている転動体410が当該結合部分の弾性力によって第2軸受シェル400bから第1軸受シェル400aへ向かって(又はその反対で)押圧されるよう弾性的に構成されている結合部分を有する。各転がり軸受400について第2軸受シェル400bのみがそのように弾性的に構成されていることが好ましい。
【0043】
転がり軸受400内の転動体410は、スライド軸線Xに対し直角をなす少なくとも1つの軸線の周りで回転対称的であり、図示の例では、転動体410はボールとして構成されている。円筒及び/又は円錐として構成されることも考えられる。
【0044】
更に、1つのないし複数の転動体410は金属、好ましくは鋼から、又はプラスチックからも、製造可能である。
【0045】
基体100上における滑動体200の更なる支持のために、位置調節装置10は、付加的に、スライド軸線Xに対する横方向の運動に対して基体100上において滑動体200を支持するための支持装置500を含む。
【0046】
例えば
図3において見出すことができるように、夫々1つの支持装置500が、滑動体200と基体100との間の弾性体(バネ)-溝-結合部として構成される。該弾性体-溝-結合部は、スライド軸線Xに沿って延在している。
【0047】
図示の例では、溝は滑動体200に設けられ(形成され)ており、弾性体は基体100に設けられている。
【0048】
上記の実施形態の全部又は一部は以下の付記として記載可能であるが、それらに限定されない。
[付記1]自動車投光器の少なくとも1つの光学関連構造ユニットの位置調節のための自動車投光器用位置調節装置。
前記位置調節装置は、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置される基体、
・前記基体上においてスライド軸線に沿ってスライド可能に支持され、かつ、前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットに係合可能に構成された滑動体、及び、
・位置調節されるべき少なくとも1つの光学関連構造ユニットに対し位置固定的に配置され、好ましくは前記基体に配設され、かつ、駆動装置による前記滑動体のスライド運動の際に前記少なくとも1つの光学関連構造ユニットが運動されるように、前記滑動体に係合しかつ前記スライド軸線に沿ってスライドするよう構成された駆動装置
を含む。
前記滑動体は案内装置によって前記基体に支持されており、前記案内装置は、前記駆動装置によって駆動される滑動体を前記基体上で前記スライド軸線に沿って案内するよう、構成されている;
前記案内装置は、少なくとも1つの転がり軸受を含む;
前記少なくとも1つの転がり軸受内には少なくとも1つの転動体が支持されている;
前記少なくとも1つの転動体は、前記少なくとも1つの転動体が前記スライド軸線に沿った前記滑動体のスライド運動の際に前記滑動体を前記スライド軸線に沿ったスライド運動の際に位置固定的な前記基体に対し相対的に案内するよう、前記少なくとも1つの転がり軸受において支持されている。
[付記2]上記の位置調節装置、とりわけ付記1に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転がり軸受は第1軸受シェル及び第2軸受シェルを含む;
前記第1軸受シェルは前記基体に配置され、かつ、前記第2軸受シェルは前記滑動体に配置される;
前記第1軸受シェル及び前記第2軸受シェルは、両方の軸受シェルの組み合わせによって、共同して、前記少なくとも1つの転がり軸受を形成する;
前記少なくとも1つの転動体は、前記スライド軸線に沿った前記滑動体のスライド運動の際に前記第2軸受シェルが前記少なくとも1つの転動体の転がり運動を引き起こすように、前記少なくとも1つの転動体が前記第1軸受シェルと前記第2軸受シェルとに当接するよう、前記少なくとも1つの転がり軸受において支持されている;
前記少なくとも1つの転動体は、前記転がり運動によって、前記第2軸受シェルを前記スライド軸線に沿ったスライド運動の際に、位置固定的な前記第1軸受シェルに対し相対的に案内する。
[付記3]上記の位置調節装置、とりわけ付記1又は2に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転がり軸受は、前記スライド軸線に対し平行な直線に沿って延在する。
[付記4]上記の位置調節装置、とりわけ付記2又は3に記載の位置調節装置において、
前記第1軸受シェル及び前記第2軸受シェルは、夫々、前記スライド軸線に沿って対向して位置する2つのストッパを有する;
前記滑動体のスライド運動の最大ストロークと最小ストロークにおいて、前記少なくとも1つの転動体は、前記第1軸受シェルのストッパと前記第2軸受シェルのストッパとに当接する。
[付記5]上記の位置調節装置、とりわけ付記1~4の何れかに記載の位置調節装置において、
前記案内装置は、少なくとも2つの転がり軸受を有する。
[付記6]上記の位置調節装置、とりわけ付記5に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも2つの転がり軸受は、前記スライド軸線に対し横方向の軸線において対向して配置されている。
[付記7]上記の位置調節装置、とりわけ付記2~6の何れかに記載の位置調節装置において、
前記第1軸受シェルは前記基体と一体的に製造されている及び/又は前記第2軸受シェルは前記滑動体と一体的に製造されている。
[付記8]上記の位置調節装置、とりわけ付記1~7の何れかに記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転動体は、前記スライド軸線に対し直角をなす少なくとも1つの軸線の周りで回転対称的である。
[付記9]上記の位置調節装置、とりわけ付記1~8の何れかに記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転動体はボール(球(体))、円筒(体)及び/又は円錐(体)として構成される。
[付記10]上記の位置調節装置、とりわけ付記1~9の何れかに記載の位置調節装置において、
前記位置調節装置は、前記スライド軸線に対する横方向の運動に対して基体上において前記滑動体を支持するための少なくとも1つの支持装置を有する。
[付記11]上記の位置調節装置、とりわけ付記10に記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの支持装置は、前記滑動体と前記基体との間の弾性体-溝-結合部として構成される;
前記弾性体-溝-結合部は、前記スライド軸線に沿って延在する。
[付記12]上記の位置調節装置、とりわけ付記11に記載の位置調節装置において、
前記溝は前記滑動体に設けられている;
前記弾性体は前記基体に設けられている。
[付記13]上記の位置調節装置、とりわけ付記2~12の何れかに記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転動体は、前記第1軸受シェル又は前記第2軸受シェルに設けられた組込開口を介して前記転がり軸受内に装填可能である。
[付記14]上記の位置調節装置、とりわけ付記2~13の何れかに記載の位置調節装置において、
前記少なくとも1つの転がり軸受の前記第2軸受シェルは、前記少なくとも1つの転がり軸受内に配されている前記少なくとも1つの転動体が結合部分の弾性力によって前記第2軸受シェルから前記第1軸受シェルへ向かって押圧されるよう、弾性的に構成されている結合部分を有する。
[付記15]上記の位置調節装置、とりわけ付記1~14の何れかに記載の位置調節装置を少なくとも1つ含む、自動車投光器。
【0049】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0050】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0051】
更に、上記の各文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【符号の説明】
【0052】
10 位置調節装置
100 基体
200 滑動体
300 駆動装置
400 転がり軸受
400a 第1軸受シェル
400b 第2軸受シェル
410 転動体
420 ストッパ
430 組込開口
500 支持装置
X スライド軸線