(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61M39/10 120
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023107037
(22)【出願日】2023-06-29
(62)【分割の表示】P 2020564531の分割
【原出願日】2019-05-17
【審査請求日】2023-06-29
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート,ケイシー・タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ライト,マーク・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,ブランドン・デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ドロブニク,クリストファー・ディーン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-327519(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153722(WO,A1)
【文献】特開2003-210574(JP,A)
【文献】特表2009-500112(JP,A)
【文献】特表2011-515197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/02
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体であって、前記コネクタ組立体は、
雄係止機構と、前記雄係止機構に結合された固定隔壁とを備える雄コネクタ部材と、
雌係止機構と、前記雌係止機構内に配設された流体送達導管と、前記雌係止機構の内部に結合された浮動隔壁と、前記浮動隔壁を前記雌係止機構に結合し、前記流体送達導管の周りに配設される、付勢機構とを備える、雌コネクタ部材と、
を備え、
前記雄係止機構は第1の流体導管を受けるように構成され、
前記雌係止機構は第2の流体導管を受けるように構成され、
前記雌係止機構は、前記雄コネクタ部材の前記雄係止機構と係合して、前記第1の流体導管および前記第2の流体導管を流体結合するように構成され、
前記付勢機構は、拡張位置まで前記浮動隔壁を付勢するように構成され、前記流体送達導管の先端が、前記雌係止機構および前記浮動隔壁によって画定される第1のゾーン内に含まれており、
前記雄係止機構および前記雌係止機構の係合により、前記浮動隔壁を前記固定隔壁と接触するように動かし、前記流体送達導管の前記先端に、前記固定隔壁を穿孔させ、前記浮動隔壁が前記第1の流体導管内に位置決めされるようにし、
前記雄コネクタ部材が前記雌コネクタ部材と係合する際に、前記流体送達導管が前記固定隔壁および前記浮動隔壁を穿孔し、これらを通って延びるとき、
前記固定隔壁および前記浮動隔壁が前記流体送達導管の周りに封止部を生成するように構成され
ており、
前記流体送達導管の内径が前記第1の流体導管の内径と等しい、コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ組立体であって、
前記コネクタ組立体の前記雌コネクタ部材は、ツイストロック方式で前記コネクタ組立体の前記雄コネクタ部材を受けるように構成される、コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコネクタ組立体であって、
前記雄係止機構および前記雌係止機構は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ステンレススチール、アルミニウムまたはこれらの組み合わせから形成される、コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のコネクタ組立体であって、
前記雄コネクタ部材の前記固定隔壁および前記雌コネクタ部材の前記浮動隔壁は、ゴム、シリコーンまたはこれらの組み合わせから形成される、コネクタ組立体。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタ組立体であって、
前記雄コネクタ部材の前記固定隔壁および前記雌コネクタの前記浮動隔壁は、ポリイソプレンを含む材料から形成される、コネクタ組立体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタ組立体であって、
前記雌コネクタ部材の前記流体送達導管はノンコアリングニードルを含む、コネクタ組立体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のコネクタ組立体であって、
前記雄コネクタ部材および前記雌コネクタ部材は、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、シリコーン、ウレタン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含む材料でオーバーモールドされる、コネクタ組立体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のコネクタ組立体であって、
前記付勢機構は、プラスチックばね、金属ばね、ゴムばねまたはこれらの組み合わせを含む、コネクタ組立体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のコネクタ組立体であって、
前記流体送達導管は、前記雌係止機構に対し固定である、コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年5月18日に出願された「DUAL-STAGE SYRINGES WITH LOCKING MECHANISM」と題する米国特許仮出願第62/673,628号、および2018年5月18日に出願された「RADIOEMBOLIZATION DELIVERY DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/673,632号の利益を主張するものであり、これらの全体が参照により本開示に援用される。
【0002】
[0002]本開示は、全体的にはコネクタ組立体に関し、より詳細には、デッドスペースを低減し、乱流を低減し、層流遷移を生成し、かつ/または流体漏れのリスクを低減するように構成されたコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]医療流体は、多くの場合、カテーテルを介して患者に送達される。これらのカテーテルは、シリンジまたは他の流体送達ハブ等の流体送達デバイスに接続される。多くの場合、カテーテルチューブを流体送達デバイスに接続するのに用いられるコネクタは、多くの場合、流体送達ハブよりも小さな内径を有する。この結果、組み合わされた流体流路内にデッドスペースが生じる場合があり、ここに医療流体および/または粒子が集積する可能性がある。流体のそのような集積は、特に、流体が有害および/または放射性である場合に望ましくない。例えば、放射性流体の集積により、医療流体を送達するオペレータが放射線に曝露される機会が増大し、かつ/または流体送達デバイスからのカテーテルの切断中の流体の漏れの機会が増大する場合がある。
【0004】
[0004]したがって、デッドスペースを低減し、乱流を低減し、層流遷移を生成し、かつ/または流体漏れのリスクを低減する新たなコネクタ組立体が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]本明細書に記載のコネクタ組立体は、流体送達システムを通じて送達される医療流体への過度の曝露を防ぐために、流体を効率的に送達し、流体送達システム内のデッドスペースを低減することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]第1の態様において、コネクタ組立体が、近位端と遠位端との間で延びる導管内腔を画定する送達導管と、送達導管を、医療デバイスハブ内腔を画定する医療デバイスハブに固定するように構成された固定可能なコネクタとを備える。導管内腔は、近位端と遠位端との間の送達導管の一部分に沿った一定直径領域と、送達導管から遠位端へ延びる遷移領域とを含む。遷移領域の遷移領域直径は、送達導管の一定直径領域から遠位端へ徐々に増大する。固定可能なコネクタは、送達導管の外面に結合され、外面の一部分に沿って摺動可能である。固定可能なコネクタは、医療デバイスハブが送達導管の表面と固定可能なコネクタとの間に位置決めされるように医療デバイスハブを受けるように構成される。固定可能なコネクタは、導管内腔を医療デバイスハブ内腔と流体結合するように送達導管に対し固定される。
【0007】
[0007]第2の態様において、コネクタ組立体が、近位端と遠位端との間で延びる導管内腔を画定する送達導管と、医療デバイスハブと、送達導管を、医療デバイスハブ内腔を画
定する医療デバイスハブに固定するように構成された固定可能なコネクタとを備える。導管内腔は、近位端と遠位端との間の送達導管の一部分に沿った一定直径領域と、送達導管から遠位端へ延びる遷移領域とを備える。遷移領域の遷移領域直径は、送達導管の一定直径領域から遠位端へ徐々に増大する。固定可能なコネクタは、送達導管の外面に結合され、外面の一部分に沿って摺動可能である。固定可能なコネクタは、医療デバイスハブが送達導管の表面と固定可能なコネクタとの間に位置決めされるように医療デバイスハブを受けるように構成される。固定可能なコネクタは、導管内腔を医療デバイスハブ内腔と流体結合するように送達導管に対し固定される。
【0008】
[0008]第3の態様において、本開示は、送達導管の外面と医療デバイスハブの内面との間に配設される適合材料を更に備える、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0009】
[0009]第4の態様において、本開示は、適合材料が、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、シリコーン、ウレタン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含む、第3の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0010】
[0010]第5の態様において、本開示は、送達導管が、導管内腔の一定直径領域に流体結合された第1のポートと、第1のポートに対し非ゼロの角度で導管内腔の一定直径領域に流体結合された第2のポートとを備える、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0011】
[0011]第6の態様において、本開示は、送達導管が導管の近位端と一定直径領域との間を延びる第2の遷移領域を含み、第2の遷移領域が、送達導管の近位端から一定直径領域まで徐々に減少する遷移領域直径を含む、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0012】
[0012]第7の態様において、本開示は、送達導管が、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、チタン、アルミニウム、ステンレススチール、銅、ポリエーテルブロックアミドまたはこれらの組み合わせを含む材料から形成される、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0013】
[0013]第8の態様において、本開示は、送達導管の外面が陥凹領域を画定し、固定可能なコネクタが、陥凹領域内に位置決めされ、陥凹領域の長さに沿って摺動するように構成される、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0014】
[0014]第9の態様において、本開示は、固定可能なコネクタが、医療デバイスハブの外面に位置する雄ねじを受けるように構成された雌ねじを備えるルアー係止機構を備える、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0015】
[0015]第10の態様において、本開示は、遷移領域の遷移領域直径が、送達導管の遷移領域が医療デバイスハブの医療デバイスハブ内腔と係合する位置において医療デバイスハブ内腔の直径に概ね等しい、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0016】
[0016]第11の態様において、本開示は、コネクタ組立体が、放射線塞栓療法流体、化学塞栓療法流体、ブランド塞栓療法流体、スカウト線量またはこれらの組み合わせを送達するように構成される、任意の先行する態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0017】
[0017]第12の態様において、2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体が、雄係止機構と、雄係止機構に結合された固定隔壁とを備える雄コネクタ部材と、雌係止機構
と、雌係止機構内に配設された流体送達導管と、雌係止機構の内部に結合された浮動隔壁と、浮動隔壁を雌係止機構に結合し、流体送達導管の周りに配設される、付勢機構とを備える、雌コネクタ部材とを備える。雄係止機構は第1の流体導管を受けるように構成される。雌係止機構は第2の流体導管を受け、雄コネクタ部材の雄係止機構と係合して、第1の流体導管および第2の流体導管を流体結合するように構成される。付勢機構は、拡張位置まで浮動隔壁を付勢するように構成され、雌係止機構および浮動隔壁によって画定される第1のゾーン内に含まれる流体送達導管の先端。雄係止機構および雌係止機構の係合により、浮動隔壁を固定隔壁と接触するように押し進め、流体送達導管の先端に、固定隔壁を穿孔させ、浮動隔壁が第1の流体導管内に位置決めされるようにする。固定隔壁および浮動隔壁は、雄コネクタ部材が雌コネクタ部材と係合する際に、流体送達導管が固定隔壁および浮動隔壁を穿孔し、これらを通って延びるとき、流体送達導管の周りに封止部を生成するように構成された自己修復材料を含む。
【0018】
[0018]第13の態様において、本開示は、コネクタ組立体の雌コネクタ部材が、ツイストロック方式でコネクタ組立体の雄コネクタ部材を受けるように構成される、第12の態様に記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0019】
[0019]第14の態様において、本開示は、雄係止機構および雌係止機構が、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ステンレススチール、アルミニウムまたはこれらの組み合わせから形成される、第12または13の態様に記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0020】
[0020]第15の態様において、本開示は、雄コネクタ部材の固定隔壁および雌コネクタ部材の浮動隔壁が、ゴム、シリコーンまたはこれらの組み合わせから形成される、第12~14の態様のいずれかに記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0021】
[0021]第16の態様において、本開示は、雄コネクタ部材の固定隔壁および雌コネクタ部材の浮動隔壁が、ポリイソプレンを含む材料から形成される、第15の態様に記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0022】
[0022]第17の態様において、本開示は、雌コネクタ部材の流体送達導管がノンコアリングニードルを含む、第12~16の態様のいずれかに記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0023】
[0023]第18の態様において、本開示は、雄コネクタ部材および雌コネクタ部材が、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、シリコーン、ウレタン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含む材料でオーバーモールドされる、第12~17の態様のいずれかに記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0024】
[0024]第19の態様において、本開示は、付勢機構が、プラスチックばね、金属ばね、ゴムばねまたはこれらの組み合わせを含む、第12~18の態様のいずれかに記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0025】
[0025]第20の態様において、本開示は、流体送達導管が、雌係止機構に対し固定である、第12~19の態様いずれかに記載の2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体を含む。
【0026】
[0026]第21の態様において、コネクタ組立体が、近位端と遠位端との間で延びる導管内腔を画定する送達導管と、送達導管を、医療デバイスハブ内腔を画定する医療デバイス
ハブに固定するように構成された固定可能なコネクタとを備える。固定可能なコネクタは、送達導管の外面に結合される。固定可能なコネクタは、医療デバイスハブが送達導管の表面と固定可能なコネクタとの間に位置決めされるように医療デバイスハブを受けるように構成される。固定可能なコネクタは、導管内腔を医療デバイスハブ内腔と流体結合するように送達導管に対し固定される。
【0027】
[0027]第22の態様において、本開示は、送達導管の外面と医療デバイスハブの内面との間に配設される適合材料を更に備える、第21の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
[0028]第23の態様において、本開示は、適合材料が、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、シリコーン、ウレタン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含む、第22の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0028】
[0029]第24の態様において、本開示は、送達導管が、導管内腔に流体結合された第1のポートと、第1のポートに対し非ゼロの角度で導管内腔に流体結合された第2のポートとを備える、第21~23の態様のいずれかに記載のコネクタ組立体を含む。
【0029】
[0030]第25の態様において、本開示は、送達導管が、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、チタン、アルミニウム、ステンレススチール、銅、ポリエーテルブロックアミドまたはこれらの組み合わせを含む材料から形成される、第21~24の態様のいずれかに記載のコネクタ組立体を含む。
【0030】
[0031]第26の態様において、本開示は、送達導管の外面が陥凹領域を画定し、固定可能なコネクタが、陥凹領域内に位置決めされ、陥凹領域の長さに沿って摺動するように構成される、第21~25の態様のいずれかに記載のコネクタ組立体を含む。
【0031】
[0032]第27の態様において、本開示は、固定可能なコネクタが、医療デバイスハブの外面に位置する雄ねじを受けるように構成された雌ねじを備えるルアー係止機構を備える、第21~26の態様のいずれかに記載のコネクタ組立体を含む。
【0032】
[0033]第28の態様において、本開示は、コネクタ組立体が、放射線塞栓療法流体、化学塞栓療法流体、ブランド塞栓療法流体、スカウト線量またはこれらの組み合わせを送達するように構成される、第21~27の態様のいずれかに記載のコネクタ組立体を含む。
【0033】
[0034]第29の態様において、本開示は、導管内腔が、導管内腔の長手方向の長さに沿って変動する直径を含む、第21~28の態様のいずれかに記載のコネクタ組立体を含む。
【0034】
[0035]第30の態様において、本開示は、導管内腔の端部に位置決めされた遷移結合領域を更に備える、第29の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
[0036]第31の態様において、本開示は、遷移結合領域が、送達導管の近位端と導管内腔の直径との間で徐々に減少する遷移領域直径を含む、第30の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0035】
[0037]第32の態様において、本開示は、遷移結合領域が、遷移結合領域に挿入された流体源導管の周りで変形するように構成される、第29または30の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0036】
[0038]第33の態様において、本開示は、送達導管内腔が、送達導管内腔の長さ全体を通じて一定の直径を含む、第21~28の態様のいずれかに記載のコネクタ組立体を含む。
【0037】
[0039]第34の態様において、本開示は、導管内腔の端部に位置決めされた遷移結合領域を更に備える、第33の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
[0040]第35の態様において、本開示は、遷移結合領域が、送達導管の近位端と導管内腔の直径との間で徐々に減少する遷移領域直径を含む、第34の態様に記載のコネクタ組立体を含む。
【0038】
[0041]本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと、最も良好に理解することができる。図面において、類似の構造は類似の参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1A】[0042]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図1B】[0043]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図1C】[0044]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図1D】[0045]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図1E】[0046]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図1F】[0047]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図1G】[0048]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図2A】[0049]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、解体されたコネクタ組立体の斜視図を概略的に示す。
【
図2B】[0050]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、組み立てられたコネクタ組立体の斜視図を概略的に示す。
【
図2C】[0051]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、コネクタ組立体の送達導管および固定可能なコネクタの斜視図を概略的に示す。
【
図2D】[0052]導管内腔が中を延びる
図2Cのコネクタ組立体の斜視図を概略的に示す。
【
図3A】[0053]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【
図3B】[0054]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、2つの流体導管を接続するためのコネクタ組立体の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[0055]本明細書に記載のコネクタ組立体は、結果として流体送達システム内のデッドスペースを低減するかもしくはなくし、かつ/または流体送達システムからの流体漏れ、特に、医療スタッフが危険な状態に晒される結果になり得る漏れのリスクを減らすかもしくはなくす1つまたは複数の特徴を含む。すなわち、コネクタ組立体は、流体送達デバイス(例えば、シリンジ、ニードル、または一般的に、流体を送達することが可能な任意のデバイス)をカテーテル等のチューブと接続することができる。例えば、コネクタ組立体は、送達導管と、固定可能なコネクタとを備えることができる。送達導管は、送達導管の近位端と遠位端との間に延びる導管内腔を画定することができる。固定可能なコネクタは、送達導管が医療デバイスハブに流体結合されるように、送達導管を医療デバイスハブに固定するように構成することができる。本明細書においてより詳細に説明されるように、導
管内腔は一定直径領域と遷移領域とを含むことができ、遷移領域は、医療デバイスハブ内のデッドスペース(例えば、材料が沈殿する場合がある領域)を減らすために、医療デバイスハブの直径と一致するかまたはこれに接近するように徐々に増大する直径を有する。他の実施形態において、導管内腔は、遷移領域および/または一定直径領域を含まない場合がある。
【0041】
[0056]他の実施形態において、1つの内腔直径から別の内腔直径へ一定の直径を維持することができるように、コネクタ組立体を用いて、同じ直径を有する2つの内腔を接続することができる。例えば、コネクタ組立体は、雄係止機構と固定隔壁とを備える雄コネクタ部材を備えることができる。第1の導管内腔は、雄係止機構内に固定して配設することができる。コネクタ組立体は、雌係止機構と、浮動隔壁と、雌係止機構に固く結合された流体送達導管とを備える雌コネクタ部材を更に備えることができる。雌係止機構内に、流体送達導管と流体連通した第2の導管内腔を配設することができる。浮動隔壁は、流体送達導管からの流体の不測の漏れを防ぐために、雌係止機構との封止を形成することができる。固定隔壁は、雄コネクタ部材と組み立てられると、浮動隔壁と接触し、浮動隔壁を流体送達導管に押し付けることができ、それによって流体送達導管は浮動隔壁および固定隔壁の双方を穿刺する。
【0042】
[0057]雄コネクタ部材を雌コネクタ部材から解放すると、固定隔壁および浮動隔壁は、流体送達デバイスが引き込まれて雄コネクタ部分および雌コネクタ部分の双方を流体的に封止する際に修復することができる。これにより、雄コネクタ部材または雌コネクタ部材のいずれからの流体および/または粒子の意図しない漏れを防ぐことができる。更に、コネクタ組立体内のデッドスペースをなくすかまたは低減することにより、より効率的な流体送達および改善された治療結果につながり得る。これらのおよび追加の特徴について、以下の図面を参照してより詳細に論考する。
【0043】
[0058]本明細書において用いられるとき、「医療デバイスハブ」という用語は、医療デバイスに対する流体ポートとしての役割を果たす任意のデバイスを表す。例えば、カテーテルチューブは、コネクタ組立体を流体結合することができる医療デバイスハブまたは流体ポートを含むことができる。
【0044】
[0059]本明細書において用いられるとき、「流体」という用語は、液体、および/または内部に粒子が配設された液体を指すことができる。例えば、流体は、内部に複数の放射線塞栓療法粒子が分散するかまたは他の形で配設された生理食塩水担体を含むことができる。そのような放射線塞栓療法粒子について、本開示において後により詳細に説明する。
【0045】
[0060]
図1A~
図1Gおよび
図2A~
図2Dを参照すると、コネクタ組立体100の様々な実施形態が示されている。コネクタ組立体100は、一般的に、送達導管10と、送達導管10を医療デバイスハブ30に固定するように構成された固定可能なコネクタ20とを備える。本明細書においてより詳細に説明されるように、コネクタ組立体100は、流体源(例えば、シリンジ、ニードル、チューブまたは他の容器)を医療デバイスハブ30に接続して、送達導管10を通じて、流体源と医療デバイスハブ30との間に流体連通を提供する。
【0046】
[0061]送達導管10は、近位端14と遠位端16とを備える。図示されるように、近位端14は、1つまたは複数の流体源に接続するように構成することができ、遠位端16は、医療デバイスハブ30に流体結合されるように構成することができる。例えば、遠位端16を、医療デバイスハブ30に挿入し、医療デバイスハブ内腔32の壁31に接触させ、それらの間に流体封止を提供することができる。送達導管10は、導管内腔12を通る流体流経路を提供するように、近位端14から遠位端16まで延びる導管内腔12を画定
する。いくつかの実施形態において、導管内腔12は、送達導管10と一体にすることができるか、またはその部分構成要素(例えば、チューブ)とすることができる。
【0047】
[0062]更に、送達導管10は、送達導管10が医療デバイスハブ30内に延び、医療デバイスハブ30の壁31に対し接触または遮断するように配置することができる。いくつかの実施形態において、送達導管10は、2つ以上の離散した位置で医療デバイスハブ30の壁31に対し接触または遮断し、その位置において、第1の接点42、および第1の接点42から離れた第2の接点41において流体封止を提供するように、医療デバイスハブ30の壁31と周方向に接触し、それによって、流体または粒子を集積し得る可能性があるデッドスペースまたは領域が、そのような流体または粒子を受けないように効果的に封止される。
【0048】
[0063]導管内腔12は様々な構成を有することができる。例えば、
図1A~
図1Cに示すように、導管内腔12は、近位端14と遠位端16との間の送達導管10の一部分に沿った一定直径領域13と、送達導管10から遠位端16への遷移領域15とを含む。一定直径領域13は、遷移領域15よりも、導管内腔12の大きな部分を画定することができる。すなわち、一定直径領域13は、遷移領域15よりも大きな距離にわたって導管内腔12の長さに沿って延びることができる。
【0049】
[0064]いくつかの実施形態において、遷移領域15は、一定直径領域13の直径から送達導管10の遠位端16まで増大する遷移領域直径dを有する。いくつかの実施形態において、遷移領域15は、一定直径領域13の直径から医療デバイスハブ30の内径まで徐々に増大するように溝切りすることができる(
図1Bを参照)。遷移領域15の遷移領域直径dは、送達導管10の遷移領域15が医療デバイスハブ30の医療デバイスハブ内腔32と係合する位置における医療デバイスハブ内腔32の直径と概ね等しくすることができる。遷移領域15の直径を増大させることによって、そうでなければ一定直径領域13と医療デバイスハブ内腔32との間の急遷移によって生じる場合があるデッドスペースを低減するか、または実質的になくすことができる。
【0050】
[0065]
図1Bを参照すると、いくつかの実施形態において、送達導管10は、送達導管10の近位端14と一定直径領域13との間に第2の遷移領域21を含む。遷移領域15と同様に、第2の遷移領域21は、送達導管10の近位端14と一定直径領域13の直径との間で徐々に減少する遷移領域直径d
2を含むことができる。第2の遷移領域21は、例えば、送達導管10の一定直径部分13に当接するエラストマー材料から作製することができる。第2の遷移領域21は、中に挿入された流体導管の周りで変形するように構成することができる。他の実施形態において、第2の遷移領域21は送達導管と一体にすることができる。
【0051】
[0066]
図1Aに示すようないくつかの実施形態において、送達導管10は第2の遷移領域を含まない場合がある。代わりに、送達導管10はソース導管26に当接させることができる。ソース導管26は、接点において導管内腔12と概ね同じ直径を有することができる。例えば、ソース導管26は、一定直径領域13と同じ直径を有することができる。
【0052】
[0067]
図1Dを参照すると、いくつかの実施形態において、導管内腔12は、別々の一定直径領域および/または遷移領域を含まない場合がある。例えば、
図1Dに示すように、導管内腔12は、導管内腔12の長手方向の長さに沿って変動する直径を有する場合がある。いくつかの実施形態において、導管内腔12は、近位端14と遠位端16との間で直径を縮小させることができる。他の実施形態において、導管内腔12は、近位端14と遠位端16との間で直径を増大させることができる。
図1Eに示すように、遷移結合領域44は(遷移領域21と同様に)、導管内腔12の端部に位置決めするか、またはこれと
一体形成することができる。第2の遷移領域21と同様に、遷移結合領域44は、送達導管10の近位端14と導管内腔12の直径との間で徐々に縮小する遷移領域直径d
Tを含むことができる。遷移結合領域44は、例えば、送達導管10の導管内腔12に当接するエラストマー材料から作製することができる。遷移結合領域44は、中に挿入された流体源導管の周りで変形するように構成することができる。他の実施形態において、遷移結合領域44は送達導管10と一体にすることができる。
【0053】
[0068]
図1Fおよび
図1Gに示すようないくつかの実施形態において、送達導管内腔は、送達導管内腔の長さ全体にわたって一定直径を画定することができる。いくつかの実施形態において、
図1Gに示すように、遷移領域44は、導管内腔12の端部に位置決めするか、またはこれと一体形成することができる。他の実施形態において、遷移領域が存在しない場合がある。
【0054】
[0069]実施形態において、送達導管10は、流体源(図示せず)から導管内腔12に流体を送達することが可能な1つまたは複数のポートを備える。実施形態において、例えば、送達導管10は、送達導管10の近位端14において導管内腔12に流体結合された第1のポート17を備える。第1のポート17は、一定直径領域13に直接流体結合することができるか、または第2の遷移領域21を通じて一定直径領域13に流体結合することができる。
【0055】
[0070]単一のポート17を有する導管を示す
図2Aおよび
図2Bを参照すると、流体源は、送達導管10の近位端14に位置決めされたポート17を受けるように構成されたルアー25によって送達導管10に回転可能に取り付けることができる。例えば、ルアー25は、送達導管10の近位端14に形成された雄ねじに係合する雌ねじ23を画定することができる。ルアー25と近位端14との係合は、ソース導管26を導管内腔12と流体接続することができ、ソース導管は、流体源に流体結合することができる。実施形態において、ソース導管26は、医療用チューブから作製することができる。ルアー25は、係止なし(non-locking)にすることができ、近位端14がソース導管26に接し、かつ/または接続部が底に突き当たるまで、医療デバイスハブ30のねじ切りされた近位端14に沿って並進することが可能であり得る。
【0056】
[0071]再び
図1A~
図1Cを参照すると、いくつかの実施形態において、送達導管10は、同様に導管内腔12に流体結合された第2のポート19を備えることができる。第2のポート19は、導管内腔12の一定直径領域13に流体結合することができる。第2のポート19は、第1のポート17に対し非ゼロの角度(0度以外の角度)に向けることができる。例えば、第2のポート19は、導管内腔12の流体流方向に対し横方向の角度で導管内腔12内に流体を送達するように構成することができる。
【0057】
[0072]第1のポート17、第2のポート19または任意の数のポートは、送達導管10から任意の流体源に流体結合された任意の流体を受けることが可能であり、そのような任意の流体源は放射線塞栓療法流体/粒子および化学塞栓療法流体/粒子を含むことができるが、これら流体/粒子に限定されるものではない。上述したように、流体源は、放射線塞栓療法流体、化学塞栓療法流体、ブランド塞栓療法流体、スカウト投与量またはこれらの組み合わせ等の流体を格納することが可能な、シリンジ、チューブまたは他の送達デバイス等の任意の容器とすることができる。
【0058】
[0073]コネクタ組立体100の送達導管10は、送達導管10を通じて流体を伝達するのに適した任意の材料から構築することができる。特に、本明細書に記載の送達導管は、腐食、または、例えば、放射線塞栓療法および/もしくは化学塞栓療法流体、および/もしくは放射性粒子等の粒子の影響に対し耐性のある材料から製造することができる。限定
ではなく例として、送達導管10は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、チタン、アルミニウム、ステンレススチール、銅、ポリエーテルブロックアミドまたはこれらの組み合わせを含む材料から形成することができる。
【0059】
[0074]コネクタ組立体100はコネクタ部分24を画定することができ、コネクタ部分24は、医療デバイスハブ内腔32に挿入され、医療デバイスハブ内腔32に接触する(例えば、医療デバイスハブ内腔32に周方向に接触する)ように構成されている。コネクタ部分24は、送達導管10と医療デバイスハブ30との間の気密および/または水密封止を提供するように構成することができる。例えば、医療デバイスハブ内腔32へのコネクタ部分24の挿入により、医療デバイスハブ内腔32に対し接触および封止することができる。
【0060】
[0075]いくつかの実施形態において、コネクタ部分24の外面18は陥凹領域22を画定することができる。陥凹領域22は、コネクタ部分24の長さの一部分に沿って延びることができる。コネクタ部分24が医療デバイスハブ30に組み付けられるとき、陥凹領域22は医療デバイスハブ30の外側に位置決めすることができる。以下でより詳細に説明されるように、固定可能なコネクタ20は、陥凹領域22内に位置決めする(例えば、部分的に位置決めするかまたは完全に位置決めする)ことができる。いくつかの実施形態において、固定可能なコネクタ20は、
図1Bおよび
図1Cに示すように陥凹領域22の長さに沿って摺動するように構成することができる。
【0061】
[0076]
図1A~
図1C、
図2Cおよび
図2Dを参照すると、固定可能なコネクタ20は、送達導管10を医療デバイスハブ30に固定するように構成された任意のデバイスとすることができる。固定可能なコネクタ20は、送達導管10の外面18に結合することができる。いくつかの実施形態において、固定可能なコネクタ20は、部分送達導管10に沿って摺動可能とすることができる。固定可能なコネクタ20は医療デバイスハブ30を受けるように構成することができ、医療デバイスハブ30が送達導管10の表面と固定可能なコネクタ20との間に位置決めされる(例えば、同心円状に位置決めされる)ようになっている。固定可能なコネクタ20は、導管内腔12を、医療デバイスハブ30によって画定される医療デバイスハブ内腔32と流体結合するように、送達導管10に対し固定することができる。コネクタ20は、例えば、回転可能なコネクタ、スナップロック、磁石、バーブ(barb;かかり)付き取付具等とすることができる。
【0062】
[0077]固定可能なコネクタ20は、送達導管10を医療デバイスハブ30に結合することが可能な任意の係止機構を含むことができる。いくつかの実施形態において、固定可能なコネクタ20は、送達導管10と医療デバイスハブ30との間の気密および/または水密封止を提供することができる。特定の実施形態において、固定可能なコネクタ20は、雌ねじ23を画定するルアー係止機構である。雌ねじ23は、医療デバイスハブ30の外面に配置されたねじ切りされた端部38に係合するように構成することができる。送達導管10を医療デバイスハブ30に固定するために、固定可能なコネクタ20を医療デバイスハブ30のねじ切りされた端部38の周りで回転させることができ、それによって雌ねじ23が医療デバイスハブ30のねじ切りされた端部38を横切る。送達導管10を医療デバイスハブ30から取り外すと、次に、ルアー係止機構(固定可能なコネクタ20)を、医療デバイスハブ30から捻って外すことができる。
【0063】
[0078]実施形態において、固定可能なコネクタ20は、送達導管10と医療デバイスハブ30との間の適切な接続に達すると可聴音を生成するクリッキングデバイス27またはラチェット機構(図示せず)を備えることができる。可聴クリック音は、固定可能なコネクタ20に大量の圧迫またはトルクが印加される場合の亀裂または破損が送達導管10内に形成されることを防止するためのガイドを提供することができる。更に、可聴クリック
音は、固定可能なコネクタ20に過度に少ない圧迫またはトルクが印加されること、または送達導管10と医療デバイスハブ30との間の他の形の不安定な接続から生じる漏れを防ぐことができる。クリッキングデバイス27は、例えば、固定可能なコネクタ20がねじ切りされた端部38に締結される際にこのねじ切りされた端部38と係合し、結果として可聴クリックが生じる、固定可能なコネクタ20内に形成されるフランジまたはバンプを含むことができる。
【0064】
[0079]再び
図1Bを参照すると、コネクタ組立体100は、送達導管10の外面18と医療デバイスハブ30の内面34との間に配設される適合材料(形状適合材料とも言う)40を備えることができる。適合材料40は、漏れを防ぐために送達導管10と医療デバイスハブ30との間に追加の封止特性を提供することができる。適合材料40は、調整可能な継手特徴も提供することができ、それによって、コネクタ組立体100は異なるサイズの医療デバイスハブに対応することができる。適合材料40を形成することができる適切な材料は、送達導管10の外面18と医療デバイスハブ30の内面34との間の気密封止を提供することが可能な任意の材料を含むことができる。限定ではなく例として、適切な材料は、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、シリコーン、ウレタン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含む。適合材料40は、コネクタ部分24を完全に取り囲むことができることに留意されたい。
【0065】
[0080]上述したように、送達デバイスは、例えば送達チューブ(例えば、送達導管10)の内径の5倍大きい内腔を有するカテーテルハブを含むことができる。実施形態による遷移領域15がない場合、このサイズの差により、結果として医薬品流体が失速し、これにより、カテーテルハブ内の粒子の集積が生じる場合がある。放射線塞栓療法処置中、この種の粒子集積の結果として、カテーテルハブにおける放射性が増大し、これにより、患者または処置を行う医療従事者の放射線曝露リスクが増大する可能性がある。更に、サイズの違いにより、結果として、効果のない投与量が患者に送達される可能性がある。本明細書に提供されるデバイスは、導管内腔12内に留まる残余流体量を減らし、これによって、そのような治療の有効性および成功率を改善することができる。
【0066】
[0081]組み立て時、送達導管10が医療デバイスハブ30に取り付けられ、かつ/または任意のチューブ、生理食塩水もしくは造影剤が、流体接続された構成要素を通じて注入され、任意の空気を除去し、接続部の周りの漏れがあるかどうかをチェックすることができる。送達導管10の内径のサイズ、形状、長さ、ならびに固定可能なコネクタ20のサイズ、形状および長さは、用途に応じて変動する場合があることに留意されたい。いくつかの実施形態において、送達導管10を医療デバイスハブ30に取り付ける動作は、そうでなければ医療デバイスハブ30または他のチューブが閉鎖されることになる、通常閉じたチェックバルブまたは他のオンオフ機構を開くことを含むことができ、コネクタ組立体100が完全に係合される。
【0067】
[0082]ここで
図3Aおよび
図3Bを参照すると、コネクタ組立体200の他の実施形態が概略的に示される。コネクタ組立体200を用いて、任意の流体導管を互いに流体結合することができることに留意されたい。上記の実施形態と同様に、コネクタ組立体200は、流体導管間のデッドスペースまたは他の流体集積場所を減らし、医療流体送達の効率を高める。
【0068】
[0083]コネクタ組立体200は、雄コネクタ部材210および雌コネクタ部材220を備える。雄コネクタ部材210および雌コネクタ部材220の各々は、それぞれの流体導管に装着し、次に互いに接続して、それぞれの流体導管間の流体連通を提供することができる。
【0069】
[0084]雄コネクタ部材210は、通常、雄係止機構212と、雄係止機構212に結合された固定隔壁214とを備える。雄係止機構212は、第1の流体導管213を取り付けることができる第1の導管受け部分211を画定することができる。いくつかの実施形態において、第1の流体導管213は、雄係止機構212と一体形成することができる。他の実施形態において、第1の流体導管213は、圧入、ねじ係合、接着剤等によって第1の導管受け部分211内に取り付けることができる。第1の流体導管213を、第1の導管受け部分211に挿入し、固定隔壁214と接触させることができる。第1の流体導管213は、流体流を受けるために第1の流体導管213を通じて画定された第1の流体導管内腔216を有することができる。第1の流体導管内腔216は第1の導管直径Dc1を画定することができる。
【0070】
[0085]固定隔壁214は、第1の流体導管213の端部と環境との間の流体封止および/または滅菌障壁を提供することができる。固定隔壁214は、雄係止機構212に対し動かないように構成される。固定隔壁214は自己修復材料から作製することができる。すなわち、固定隔壁214は、自己再形成し、穿刺された後に漏れないように構成することができる。固定隔壁214に適したそのような材料は、限定ではないが、ゴム、シリコーン、ポリイソプレンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
図3Aに示すように、固定隔壁214は、雄係止部材212の端部215と同一平面にすることができる。
【0071】
[0086]雌コネクタ部材220は、雌係止機構222と、流体送達導管224と、浮動隔壁226とを備えることができる。以下でより詳細に説明されるように、雌コネクタ部材220は雄コネクタ部材210を受けるように構成されており、雌コネクタ部材220に結合された第2の流体導管221に第1の流体導管213を流体結合するようになっている。
【0072】
[0087]雌係止機構222は、第2の流体導管221を中に取り付けることができる第2の導管受け部分225を画定することができる。いくつかの実施形態において、第2の流体導管221は雌係止機構222と一体形成することができる。他の実施形態において、第2の流体導管は、圧入、ねじ係合、接着剤等によって第2の導管受け部分225に取り付けることができる。雌係止機構222は、第2の流体導管221が当接することができる係止壁230を備えることができる。第2の流体導管221は、流体流を受けるための、中を通る第2の流体導管内腔223を画定することができる。第2の流体導管内腔は第2の導管直径Dc2を画定することができる。
【0073】
[0088]流体送達導管224は、雌係止機構222に動かないように結合することができる。例えば、示されるように、雌流体送達導管224は、係止壁230に取り付けることができる。雌コネクタ部材220の流体送達導管224は、流体、具体的には微粒子を含む流体を送達することが可能な任意の導管を含むことができる。これらの流体は、放射線塞栓療法または化学塞栓療法処置において利用することができる。いくつかの実施形態において、流体送達導管224は、ニードル(例えば、ノンコアリングニードル)とすることができる。ノンコアリングニードルは側方開口部を含み、この側方開口部は、雄コネクタ部材210が雌コネクタ部材220と係合するときに固定隔壁214および/または浮動隔壁226を通る孔を裂き開くリスクを低減することができる。
【0074】
[0089]流体送達導管224は内径Diを有することができる。内径Diは、第1の導管直径Dc1および/または第2の導管直径Dc2に実質的に等しくすることができる。実施形態において、第1の流体導管213および/または第2の流体導管221は、変形可能な材料から形成することができる。そのような実施形態において、流体送達導管224は、流体送達導管224が一方または双方の流体導管213、221に係合する際に、第1の流体導管213および/または第2の流体導管221を変形または伸長させる。その
ような伸長により、実質的に接触直径を有する流体流経路を提供しながら、流体密封を提供することができる。他の実施形態において、流体送達導管224は、第2の流体導管221の受けチャネル内に成形または位置決めすることができ、それによって、第2の流体導管221は、流体送達導管224を受けるように構成される。第1の流体導管213および/または第2の流体導管221は、医療チューブ等の任意の適切な材料から作製することができる。これらの実施形態は、デッドスペースが最小にされるかまたはなくされるので、第2の流体導管221と第1の流体導管213との間の流れを改善することができる。
【0075】
[0090]浮動隔壁226は、雌係止機構222に調整可能に結合することができる。例えば、浮動隔壁226は、雌係止機構222の内面227上に支持することができる。例えば、浮動隔壁226はフランジ228を含むことができる、フランジ228は雌係止機構222の雌ねじ、溝、トラック(track;通路ともいう)、または任意の他の適切な結合機構(図示せず)に係合するように構成されている。
図3Bに示されるように、雄コネクタ部材210が雌コネクタ部材220に挿入される際、浮動隔壁226のフランジ228は、雌係止機構222の結合機構を横切って引込位置まで進むことができる。例えば、雌係止機構222が回転する際、浮動隔壁226のフランジ228が結合機構を横切って引込位置まで進むようになっている。実施形態において、フランジ228は、プラスチック等の任意の適切な材料から形成されたディスクとすることができ、そのようなディスクは浮動隔壁226を雌係止機構222に取り付け、支持することが可能なものである。浮動隔壁226は、雌コネクタ部材220からの流体漏れを防ぎ、ユーザが流体送達導管と接触することから守るための流体封止および/または滅菌障壁を提供することができる。浮動隔壁226は自己修復材料で作製することができる。すなわち、浮動隔壁226は、穿刺された後に自己再形成するように構成することができる。そのような材料は、限定ではないが、ゴム、シリコーン、ポリイソプレンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。実施形態において、浮動隔壁226および固定隔壁214は同じまたは異なる材料から作製することができる。
【0076】
[0091]付勢機構229は、浮動隔壁226に結合するか、またはこれと一体形成することができ、
図3Aに示すように、浮動隔壁226を延長位置に付勢するように構成することができる。付勢機構229は、限定ではないが、圧縮可能材料、プラスチックばね、金属ばね、ゴムばねまたはこれらの組み合わせを含むことができる。実施形態において、付勢機構229は、流体送達導管224の周りに配設され、係止壁230と浮動隔壁226との間を延びることができる。浮動隔壁226が(例えば雄コネクタ部材210によって)押圧されると、流体送達導管224は、浮動隔壁226を穿孔し、そこを通ることができる。押圧力が取り除かれると、浮動隔壁226は再び延び、修復または再封止することができる。したがって、雌コネクタ部材220は、雌係止機構222および浮動隔壁226によって画定された第1のゾーン232を画定することができ、流体送達導管224の端部231は第1のゾーン232内に含まれる。そのような閉じ込めにより、雌コネクタ部材220からの意図しない漏れを防ぐことができる。いくつかの実施形態において、浮動隔壁226は、拡張位置にあるときに流体送達導管224の開口部の上に延び、これを封止し、それによって流体送達導管224の開口部にわたる流体封止を提供するようなサイズおよび形状にすることができる。
【0077】
[0092]動作時に、雌コネクタ部材220の雌係止機構222は、雄コネクタ部材210の雄係止機構212と係合するように構成することができる。したがって、雄コネクタ部材210は、雌コネクタ部材220の流体送達導管224の端部231に流体結合することができる。
【0078】
[0093]
図3Bを参照すると、雄係止機構212および雌係止機構222の係合は、浮動
隔壁226を動かして固定隔壁214と接触させ、流体送達導管224に、固定隔壁214および浮動隔壁226の双方を穿孔させ、流体送達導管224が雄コネクタ部材210の第1の流体導管内腔216に挿入されるようにする。したがって、第2の流体導管221と第1の流体導管213との間の流体連通は、流体送達導管224を通じて達成することができる。付勢機構229の押圧により、浮動隔壁226および固定隔壁214が雌コネクタ部材220の流体送達導管224に向けて動かされ、雄コネクタ部材210および雌コネクタ部材220が係合するときに固定隔壁214および浮動隔壁226が穿刺されることが確実にされる。
【0079】
[0094]上述したように、固定隔壁214、浮動隔壁226または双方を自己修復材料から作製することができ、そのような自己修復材料は、雄コネクタ部材210が雌コネクタ部材220と係合する際に、流体送達導管224が固定隔壁214および浮動隔壁226を穿孔し、これらを通って延びるとき、流体送達導管224の周りに封止部を形成するように構成されている。これにより、流体封止および/または滅菌障壁を提供し、接続部からの不測の漏れを防ぐことができる。
【0080】
[0095]上述したように、コネクタ組立体200の雌コネクタ部材220は、コネクタ組立体200の雄コネクタ部材210を受けるように構成される。すなわち、雄係止機構212は雌係止機構222に挿入され、そこに結合される。雄係止機構212および雌係止機構222はツイストロック方式で互いに結合することができる。例えば、雄係止機構212は、雄ねじを画定することができ、雌係止機構222の雌ねじに係合するように構成することができる。そのような実施形態において、雄コネクタ部材210が雌コネクタ部材220内に配置され、雌係止機構222が、構成要素が十分に締められるまで雄係止機構212の周りで捻られると、雌コネクタ部材220は雄コネクタ部材210の周りに固定される。
【0081】
[0096]雄係止機構212および/または雌係止機構222は、2つの構成要素間の適切な接続に達すると可聴音を生成するクリッキングデバイスまたはラチェット機構(図示せず)を備えることができる。具体的には、クリッキングデバイスまたはラチェット機構は、係止機構に過度に多くの圧迫またはトルクが印加される場合に可聴音を生成することができる。可聴クリック音は、係止機構に大量の圧迫またはトルクが印加される場合の不要な亀裂または破損がコネクタ組立体200のいずれの構成要素にも形成されないようにすることができる。更に、可聴クリック音は、雄係止機構212および/または雌係止機構222に過度に少ない圧迫またはトルクが印加され、それによって雄コネクタ部材210と雌コネクタ部材220との間の不安定な接続につながることから生じる漏れを防ぐことができる。クリッキングデバイスは、例えば、雌係止機構222が雄係止機構212と係合するときに係合し、結果として可聴クリックを生じる、雄係止機構212および/または雌係止機構222上に形成されるフランジまたはバンプを含むことができる。実施形態において、雄係止機構212および雌係止機構222は、連動スナップロック、磁石またはバーブ(barb;かかり)付き取付具を含むことができる。
【0082】
[0097]雄係止機構212および雌係止機構222は、コネクタ組立体200内に封止を提供することが可能な任意の適切な材料から作製することができる。更に、そのような材料は、互いに結合または分離されるときに雌係止機構222が雄係止機構212と摺動可能に係合することを可能にする任意の材料を含むことができる。実施形態において、雄係止機構212および雌係止機構222は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ステンレススチール、アルミニウムまたはこれらの組み合わせを含む材料から形成される。特定の実施形態において、雄係止機構212および雌係止機構222は同一の材料から作製される。雄係止機構212および雌係止機構222は、コネクタ組立体200からのどのような漏れも更に防ぐために、熱可塑性エラストマー、熱可塑性
加硫物、シリコーン、ウレタン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含む材料で更にオーバーモールドすることができる。
【0083】
[0098]
図3Aおよび
図3Bのコネクタ組立体200は、医療デバイスにおける迅速に封止する連続流体流経路を提供する。これは、医療処置中に複数の流体が必要とされるとき、および/または同じ流体/送達経路を有する複数の医療デバイスを用いるときに特に有利である。具体的には、放射線塞栓療法処置または化学塞栓療法処置中に複数の流体が必要とされる場合、雌コネクタ部材220は、任意の所与の時点にいずれの流体が必要とされるかによって雄コネクタ部材210から迅速に結合および分離することができる。更に、固定隔壁214および浮動隔壁226は、コネクタ組立体200のそれぞれの部分(雄および雌)における任意の流体を封止し、それによって放射線塞栓療法処置または化学塞栓療法処置中に用いられる流体に患者または介護者が曝されてしまうリスクを減らす。最終的に、流体送達導管224は、固体微粒子を含みうる流体のために一貫した流路を提供する。そのような流体は、設けられた流路が一貫していない場合に妨げられる可能性がある。コネクタ組立体200は、一貫した流体流路を提供するように任意の医療デバイスに組み込むことができる。例えば、コネクタ組立体200は、コネクタ組立体100内の構成要素として用いることができる。
【0084】
[0099]コネクタ組立体200を通って横切る流体の流れ特性を更に調節できるようにするために、1つまたは複数の構成要素を流体送達導管224に流体結合することができる。そのような構成要素は、一方向弁、流量制限器、逃し弁またはこれらの組み合わせを含むことができる。これらの構成要素は、雄コネクタ部材210、雌コネクタ部材220、またはこれらの組み合わせ内の任意の場所に配置することができ、それによってこれらの構成要素が流体送達導管224、第1の流体導管213および第2の流体導管221と流体連通する。例えば、一方向弁は流体送達導管224に流体結合することができ、それにより、雌コネクタ部材220がコネクタ組立体200から外れた場合の逆流を防ぐことができる。この追加の構成要素は、環境または環境内の人物がこれらの流体に意図せずに晒されることから更に保護する。
【0085】
[0100]接続が形成されるとき、結果として得られる流体結合されたシステムは、空気を除去され、かつ/または他の形で、漏れをチェックするために生理食塩水および/もしくは染料を流されることに留意されたい。例えば、次に、治療薬を含む医療流体を患者に送達することによる患者の治療を、接続を通じて行うことができる。
【0086】
[0101]ここで、治療薬および治療薬を含むミクロスフェアを参照する。本開示の実施形態によれば、これらのうちの任意のものを、コネクタ組立体を組み込んだ流体送達システムを用いて、またはこれを通じて送達することができる。
【0087】
[0102]ミクロスフェアまたは「複数のミクロスフェア」は、複数のミクロスフェア、塞栓性粒子および/または薄片を含むことができ、これらは代替的に「マイクロビーズ」と呼ばれる場合がある。実施形態において、複数のミクロスフェアは治療薬を含む。更なる実施形態において、複数のミクロスフェアは、反磁性材料、治療薬、マイクロビーズ材料またはこれらの組み合わせを含むミクロスフェアを含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアにおける各マイクロビーズは、反磁性材料、治療薬およびマイクロビーズ材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアにおけるミクロスフェアのうちのいくつかのみが、反磁性材料、治療薬、または反磁性材料および治療薬の組み合わせを含むことができる。
【0088】
[0103]複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、放射線塞栓療法の医療に適したサイズの直径を有することができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフ
ェアの個々のミクロスフェアは、約30マイクロメートル(μm)~約1500μmの直径を有することができる。他の実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、約30μm~約1500μm、約30μm~約1000μm、約30μm~約500μm、約30μm~約100μm、約100μm~約1500μm、約100μm~約1000μm、約100μm~約500μm、約500μm~約1500μm、約500μm~約1000μm、または約1000μm~約1500μmの直径を有することができる。
【0089】
[0104]複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、マイクロビーズ材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、マイクロビーズ材料は、ガラスまたはシリカを含むことができる。他の実施形態において、マイクロビーズ材料は、生分解性かつ生体吸収性材料を含むことができ、これらは、分解され、かつ/または体内で安全に再吸収される材料である。生分解性かつ生体吸収性材料の例は、限定ではないが、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシブチレート-コ-βヒドロキシバリレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ナイロン-2、ナイロン-6、ポリ乳酸-ポリグリコール酸重合体、PLGA-ポリエチレングリコール(PEG)-PLGA(PLGA-PEG-PLGA)、カルボキシメチルセルロース-キトサン(CMC-CCN)、キトサン、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、鉄ベース合金、マグネシウムベース合金およびこれらの組み合わせを含むことができる。他の実施形態において、マイクロビーズ材料はポリマー材料とすることができる。更なる実施形態において、マイクロビーズ材料は、ヒドロゲルを形成することが可能なポリマー材料等の水膨潤性ポリマー材料とすることができる。複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、マイクロビーズ材料、またはより詳細には、ヒドロゲル型水膨潤性ポリマー材料から形成されるマイクロ粒子に共通の任意の形状を有することができる。例えば、複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、球体または実質的に球体とすることができ、長手方向軸の周りで長円形状または楕円形の断面を有し、長手方向軸に対し垂直な軸の周りで円形の断面を有するか、またはその組み合わせである卵形形状を有することができる。いくつかの実施形態において、ミクロスフェアは多孔質とすることができる。
【0090】
[0105]様々な実施形態において、マイクロビーズ材料は、例えば、キトサンもしくは多糖類等の天然ヒドロゲルポリマー、またはポリアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、多糖類、ポリ(メタクリル酸メチル)もしくはポリ(ビニルアルコール)等の合成ヒドロゲルポリマーを含む水膨潤性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料は生分解性とすることができる。水膨潤性ポリマー材料の特定の例は、限定ではないが、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、メタクリル化ヒアルロン酸(D-グルクロン酸およびN-アセチル-D-グルコサミンで構成される二糖のポリマーであるヒアルロン酸)、キトサン-アルジネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)共重合体、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-アルジネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-ペプチド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-α-アクリロイルオキシ-β,β-ジメチル-γ-ブチロラクトン親水性ジェファミン(Jeffamine)、またはポリ(N-イソプロピル-アクリルアミド)-ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート-ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプト-プロピオナート)を含む。マイクロビーズ材料は、上記の材料のうちの任意のものの派生物を含む水膨潤性ポリマー材料を含むことができるか、または上記の材料もしくはそれらの派生物のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。例えば、マイクロビーズ材料は、各個々のマイクロビーズが単一のタイプのポリマーから作製される複数の水膨潤性ポリマー材料の組み合わせを含むことができ、複数のミクロスフェアは、複数のポリマータイプのマイクロビーズ材料を含む。いくつかの実施形態において、マイクロビーズ材料は、複数の水膨潤性ポリマー材料の組み合わせを含むことができ、ここで個々のミクロスフェアは複数のタイプのポリマーから構成される。
【0091】
[0106]実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%、または約35重量%~約65重量%、または約40重量%~約60重量%、または約45重量%~約55重量%、または約50重量%~約70重量%のマイクロビーズ材料を含むことができる。更なる実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェアにおいて個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%、または約35重量%~約65重量%、または約40重量%~約60重量%、または約45重量%~約55重量%、または約50重量%~約70重量%の水膨潤性ポリマー材料を含むことができる。
【0092】
[0107]実施形態において、複数のミクロスフェアは、1つまたは複数の反磁性材料を含むことができ、反磁性材料は、外部磁場に対し磁気反発を呈し、それによって複数のミクロスフェアがこの磁気反発に従って動くことを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアの1つまたは複数の反磁性材料は、印加された電流、電場または双方に対する電磁反発を呈することができ、それによって複数のミクロスフェアがこの電磁反発に従って動くことを可能にする。
【0093】
[0108]電流または電場に反応する例示的な材料は、限定ではないが、金属、電解質、超伝導体、半導体、非金属導体、導電性ポリマー、形状記憶ポリマー、および形状記憶合金を含むことができる。実施形態において、例示的な反磁性材料は、限定ではないが、水、木;ガラス;セラミック;グラファイト;石油、プラスチック、生物組織等の有機化合物;ならびに銅、水銀、金およびビスマス等の金属を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のミクロスフェアは、ガラス、セラミック、グラファイト、金属またはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの特定の実施形態において、1つまたは複数のミクロスフェアは、グラファイト、ビスマスまたはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0094】
[0109]複数のミクロスフェアのミクロスフェアにおいて、1つまたは複数の反磁性材料をマイクロビーズ材料によって全体的に取り囲むことができる。いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料またはそのいくらかの部分は、1つまたは複数の半磁性材料を全体的に取り囲むことができる。他の実施形態において、水溶性ポリマー材料シェル等のマイクロビーズ材料シェルが、1つまたは複数の反磁性材料を保持するコアをカプセル化することができる。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料を、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もあるマイクロビーズ材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料をマイクロビーズ材料上にコーティングするかまたは他の形で化学結合し、1つまたは複数の半磁性材料がマイクロビーズ材料と共有結合性の化学結合を有するようにすることができる。
【0095】
[0110]実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料は、マイクロビーズ材料との共有結合性の化学結合が欠如している場合があるが、いくつかの例では、非共有結合的に、イオン的に、またはマイクロビーズ材料との分子間力を通じて相互作用する場合がある。例えば、マイクロビーズ材料がポリマー材料である場合、1つまたは複数の反磁性材料は、ポリマー材料との共有結合性の結合が完全に欠如している場合があるか、またはマイクロビーズ材料は、ポリマー材料のポリマー骨格のみとの共有結合性の結合が欠如している場合がある。更なる実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料は、水膨潤性ポリマー材料との共有結合性の結合が完全に欠如している場合があるか、またはマイクロビーズ材料は、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格のみとの共有結合性の結合が欠如している場合がある。更なる実施形態において、マイクロビーズ材料は、1つまたは複数の反磁性
材料を全体的に取り囲む場合があるが、それでも、1つまたは複数の反磁性材料は、水膨潤性ポリマー材料の官能基に共有結合性の結合を有する場合がある。
【0096】
[0111]いくつかの実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料をミクロスフェアに組み込んで、充填樹脂材料を生成することができる。充填樹脂材料は、ミクロスフェア材料全体にわたるマトリクス、網または孔構造内に物理的に配設された1つまたは複数の反磁性材料を含むマイクロビーズ材料を指すことができる。いくつかの特定の実施形態において、充填樹脂材料は、グラファイト充填材料またはビスマス充填材料とすることができる。
【0097】
[0112]1つまたは複数の反磁性材料をミクロスフェアに組み込む実施形態において、ミクロスフェアは、コア-シェル形態学を有することができ、ここで、シェルはマイクロビーズ材料を含み、シェルによってカプセル化されたコアは、1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料を含む。「カプセル化された」という用語は、広義には、シェルまたはそのいくらかの部分がコアを全体的に取り囲む実施形態を含む。ミクロスフェアがコア-シェル形態学を有するいくつかの特定の実施形態において、シェルはポリカーボネートまたはナイロンを含み、コアは充填樹脂材料を含む。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料は、生体適合性樹脂シェル内にカプセル化されたコア材料とすることができる。生体適合性樹脂の例は、限定ではないが、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、高密度ポリエチレンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、生体適合性樹脂材料を用いて、マイクロビーズ内の1つまたは複数の他の機能層から1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料を分離することができる。コア-シェル形態学を有するミクロスフェアは、マイクロ流体製造プロセスによって生成することができる。他の実施形態において、充填樹脂材料は、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もあるマイクロビーズ材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。
【0098】
[0113]実施形態において、複数のミクロスフェアは、1つまたは複数の薬剤充填ミクロスフェアを含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアは、完全に薬剤充填ミクロスフェアから作製することができ、ここで、各マイクロビーズは反磁性材料も含む。他の実施形態において、複数のミクロスフェアは、薬剤充填ミクロスフェアと、反磁性材料を含むミクロスフェアとの混合物を含むことができる。
【0099】
[0114]実施形態において、薬剤充填ミクロスフェアは、治療薬を充填された、または治療薬と担体との複合体を充填されたミクロスフェアとすることができる。複数のミクロスフェアの個々に薬剤充填されたミクロスフェアは、1つの治療薬または複数の治療薬を含むことができる。集合的に、複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、1つの特定の治療薬または特定の治療薬の組み合わせを充填された、いくつかの薬剤充填ミクロスフェアと、異なる特定の治療薬または特定の治療薬の組み合わせを充填された他のミクロスフェアとを含むことができる。
【0100】
[0115]いくつかの実施形態において、治療薬は親水性治療薬、水溶性治療薬、または水溶液において少なくともいくらかの溶解性を有する治療薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、がん等の疾患を治療するための少なくともいくらかの効能を有する化学療法薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、肝細胞がん、肝臓がん、前立腺がんまたは乳がん等のがんを治療するための少なくともいくらかの効能を有する化学療法薬とすることができる。治療薬は、正または負の電荷または親和性を有する1つまたは複数の化学的部分または原子中心を有することができる。特定の治療薬の例は、限定ではないが、ドキソルビシン、ソラフェニブ、バンデタニブ、ニボルマブ、イピリムマブ、レゴラフェニブ、イリノテカン、エピルビシン、ピラルビシン、
5-フルオロウラシル、シスプラチン、フロクスウリジン、マイトマイシンC、上記のうちの任意のものの派生物、上記のうちの任意のもののプロドラッグ、上記のうちの任意のものの治療的に受容可能な塩または結晶形態、または上記のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。適切な治療薬の更なる例は、限定ではないが、ピラルビシン、ミトキサントロン、トポテカン、パクリタキセル、カルボプラチン、ペメトレキセド、ペニスタチン(penistatin)、ペルツズマブ、トラスツズマブおよびドセタキセルを含む。
【0101】
[0116]いくつかの実施形態において、治療薬は、がん等の疾患を治療するための少なくともいくらかの効能を有する放射線療法薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、肝細胞がん、肝臓がん、前立腺がんまたは乳がん等のがんを治療するための少なくともいくらかの効能を有する放射線療法薬とすることができる。放射線療法薬は、撮像を可能にするための十分なガンマ放射を放出するベータ-ガンマエミッタ等の放射線同位体を含むことができる。特定の放射線療法薬の例は、限定ではないが、ビスマス-213、ホウ素-10、セシウム-131、セシウム-137、コバルト-60、ジスプロシウム-165、エルビウム-169、ホルミウム-166、ヨウ素-125、ヨウ素-131、イリジウム-192、鉄-59、鉛-212、ルテチウム-177、モリブデン-99、パラジウム-103、リン-32、カリウム-42、ラジウム-223、レニウム-186、レニウム-188、サマリウム-153、セレン-75、ナトリウム-24、ストロンチウム-89、テクネチウム-99m、トリウム-227、キセノン-133、イッテルビウム-169、イッテルビウム-177およびイットリウム-90を含む。いくつかの他の例は、アクチニウム-225、アスタチン-211、ビスマス-213、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、コバルト-57、銅-64、銅-67、フッ素-18、ガリウム-67、ガリウム-68、ゲルマニウム-68、インジウム-111、ヨウ素-123、ヨウ素-124、クリプトン-81m、ルビジウム-82、ストロンチウム-82およびタリウム-201を含む。いくつかの特定の実施形態において、複数のミクロスフェアは、イットリウム-90を含む薬剤充填ミクロスフェアを含むことができる。
【0102】
[0117]いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料またはそのいくらかの部分は、治療薬または治療薬を含む複合体を全体的に取り囲む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマー材料シェルは、治療薬または複合体を保持するコアをカプセル化することができる。他の実施形態では、治療薬または複合体は、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もある水膨潤性ポリマー材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。
【0103】
[0118]いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズの治療薬は、マイクロビーズ材料のミクロスフェアを全体的に取り囲むが、治療薬とマイクロビーズ材料との間の共有結合性の化学結合が欠如している場合がある。共有結合性の化学結合が欠如しているにもかかわらず、治療薬およびマイクロビーズ材料は、イオン的相互作用または分子間力相互作用等の非共有結合性の分子間相互作用を有する場合がある。いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズの治療薬は、マイクロビーズ材料を全体的に取り囲み、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格に対する共有結合性の化学結合が欠如している場合があるが、それでも治療薬は、水膨潤性ポリマー材料の官能基に化学結合している場合がある。いくつかの実施形態において、治療薬は水膨潤性ポリマー材料に全く化学結合しない。
【0104】
[0119]薬剤充填ミクロスフェアは、複数のミクロスフェア、および個々のミクロスフェア内に存在する特定の治療薬のための意図される使用に基づいて、所望の治療効果または活性を有する治療薬の量を含むことができる。複数のミクロスフェアの個々の薬剤充填ミ
クロスフェアにおける治療薬の量は、例えば、充填溶液内の治療薬の充填時間、充填温度または濃度等の、薬剤充填中に関与する特定の技法を通じて調整することができる。複数のミクロスフェアの個々の薬剤充填ミクロスフェアにおける治療薬の量は、ポリマー分子量、ヒドロゲル架橋の度合い、ポリマー密度、水膨潤性ポリマー材料のポリマー間隙率を調整すること等を通じてミクロスフェアが自己合成するために関与する合成技法を通じて調整することができる。例えば、ドキソルビシンが治療薬であるとき、薬剤充填ミクロスフェア内の薬剤充填量は、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格内の負の電荷の数に対して調整することができる。同様に、ソラフェニブが治療薬であるとき、ソラフェニブは、マイクロビーズ構造内に埋め込むことができるポリマーミセルまたはリポソーム内に埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、薬剤充填ミクロスフェアの個々のミクロスフェアにおける治療薬の量は、担体の選択を通じて調整することができる。
【0105】
[0120]いくつかの実施形態において、治療薬が放射線療法薬であるとき、放射線療法薬は、沈降法によってミクロスフェア内に充填することができる。例えば、イットリウム-90が治療薬であるとき、そのような沈降法は、イットリウムの少なくとも一部分がイットリウム-90である可溶性イットリウム塩(例えば、YC13)の溶液を準備し、可溶性塩をリン酸イットリウム(YPO4)等の不溶性塩の小さな沈殿物に化学的に変換し、沈殿物を含む溶液にミクロスフェアを添加し、リン酸イットリウムをビーズの表面上で核化し、マイクロビーズが多孔性である場合、孔のうちの少なくともいくつかの中に核化することを含むことができる。別の例において、そのような沈降法は、イットリウムの少なくとも一部分がイットリウム-90である可溶性イットリウム(例えば、YCl3)の溶液にミクロスフェアを添加し、可溶性イットリウムがミクロスフェアの孔内に貫入することを可能にし、次に、可溶性イットリウムを不溶性イットリウムに変換することを含むことができる。不溶性イットリウムは、リン酸イットリウム(YPO4)、硫酸イットリウム(Y2(SO4)3)および炭酸イットリウム(Y2(CO3)3)を含むことができる。別の例において、イットリウム-90は、マイクロビーズの表面上に結合またはコーティングすることができる。
【0106】
[0121]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェアにおける個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約1重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約1重量%~約15重量%、または約2重量%~約25重量%、または約5重量%~約25重量%、または約10重量%~約25重量%の治療薬を含むことができる。
【0107】
[0122]いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズは、担体および治療薬の複合体を含むことができる。複合体において、治療薬は、担体に化学結合することができるか、またはカプセル化もしくは分子間力相互作用等の非共有結合性の手段によって担体と関連付けることができる。実施形態において、複合体は、マイクロビーズ材料内に埋め込むことができる。更なる実施形態において、複合体は、水膨潤性ポリマー材料内に埋め込むことができる。複合体がマイクロビーズ材料内に埋め込まれるとき、担体は、マイクロビーズ材料に化学結合することができるのに対し、治療薬はマイクロビーズ材料に化学結合されない。理論に束縛されることを意図せず、治療薬が担体と結合または関連付けされるが、マイクロビーズ材料に化学結合されないとき、複数のミクロスフェアの薬剤充填ミクロスフェアは、薬剤充填中の薬剤分子との水分子の交換の結果としてより収縮を受けにくい場合があると考えられる。したがって、薬剤充填ミクロスフェアの最終サイズ分布は、治療薬が充填される前に適切なマイクロビーズサイズを選択することによって、より迅速に制御することができる。
【0108】
[0123]薬剤充填マイクロビーズが担体と治療薬との複合体を含む実施形態では、担体は、治療薬と複合することができるかまたは治療薬をカプセル化することができる任意の薬
学的に受容可能な化合物とすることができる。いくつかの実施形態において、担体は、反対の電荷または反対の双極子モーメントを有する治療薬の対応する化学基と相互作用する双極子モーメントで荷電された1つまたは複数の化学基を有することができる。担体がポリマー材料である場合、担体は、水膨潤性ポリマー材料と異なる材料とすることができる。適切な担体の非限定的な例は、多糖類、リポソーム、ポリマーミセル、プルロニック(登録商標)、ポリカプロラクトン-b-メトキシ-PEG、ポリ(アスパラギン酸)-b-PEG、ポリ(ベンジル-L-グルタメート)-b-PEG、ポリ(D,L-ラクチド)-b-メトキシ-PEG、ポリ(β-ベンジル-L-アスパルタート)-b-PEGを含む。多糖類の非限定的な例は、デキストラン、およびデキストランナトリウム硫酸塩等のデキストラン硫酸塩を含む。1つの例示的な実施形態において、担体は、約40kDa(キロダルトン)~約500kDa、または約50kDa~約300kDa、または約100kDa~約300kDa、または約100kDa~約200kDaの加重平均分子量を有するデキストランナトリウム硫酸塩を含むことができる。
【0109】
[0124]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェアにおける個々のマイクロビーズの総重量に基づいて、約1重量%~約40重量%、または約1重量%~約30重量%、または約1重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約5重量%~約40重量%、または約10重量%~約40重量%、または約20重量%~約40重量%の担体を含むことができる。
【0110】
[0125]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは水を含む。例示的な実施形態において、実施形態による複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満、または0.05重量%(500ppm)未満、または0.02重量%(200ppm)未満、または0.01重量%(100ppm)未満、または0.005重量%(50ppm)未満、または0.002重量%(20ppm)未満、または0.001重量%(10ppm)未満等の低い含水量を有することができる。理論によって束縛されることを意図せずに、マイクロビーズの低含水量により、マイクロビーズの貯蔵寿命および長期安定性が増大すると考えられる。更に、マイクロビーズの総重量に基づいた、1重量%(例えば、2%、3%、5%、または10%等)よりも大幅に大きな含水量により、数日または更には数時間以内での治療薬の分解もしくは加水分解、水膨潤性ポリマーの不安定性もしくは分裂、またはこれらの組み合わせにつながる場合があり、それによってマイクロビーズが再水和される場合であってもマイクロビーズを塞栓処置に用いることができないと考えられる。1重量%よりも大幅に大きい含水量を有する場合の貯蔵寿命および長期安定性は、マイクロビーズの製造から、塞栓処置における使用までの期間にわたる治療薬の生存能力を確保するのに十分長くないと考えられる。水膨潤性ポリマー材料の選択は、治療薬の分解を防ぐのに十分な量における、凍結乾燥もしくは他の乾燥技法、または乾燥技法の組み合わせによってミクロスフェアから水が除去される能力と相関付けることができると考えられる。
【0111】
[0126]上述したように、マイクロビーズの低含水量は、乾燥技法によって達成することができる。これに関して、ミクロスフェアは、埋め込まれた治療薬、または治療薬および担体の埋め込まれた複合体を含むミクロスフェアの乾燥したまたはほぼ脱水した組成物とすることができる。ミクロスフェアは、粉末状の粘稠度を有することができる。したがって、ミクロスフェアは、複数のミクロスフェアが塞栓に適することができるようにミクロスフェアを再水和することによって、治療中の対象者への注入に適するように作製することができる。いずれにしても、ミクロスフェアは、医師が塞栓処置において用いるための複数のミクロスフェアを準備するために、医師が水または緩衝生理食塩溶液等の水溶液を複数のミクロスフェアに添加するのみでよい形式で提供することができる。
【0112】
[0127]「典型的に」のような用語は、本明細書において利用されるとき、特許請求される発明の範囲を制限するか、または特定の特徴が、特許請求される発明の構造もしくは機能にとって重大であるか、必須であるか、もしくは更には重要であることを暗に意味するように利用されないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、単に、本開示の実施形態の特定の態様を識別するか、または本開示の特定の実施形態において利用される場合もされない場合もある代替的なもしくは追加の特徴を強調することを単に意図する。
【0113】
[0128]本発明を説明および定義する目的で、「約」という用語は、本明細書において、任意の量的比較、値、測定または他の表現に帰され得る固有の不確実性の度合いを表すために利用されることに留意されたい。「約」という用語は、本明細書において、問題となる主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、量的表現が述べられた基準から変動し得る度合いを表すためにも利用される。
【0114】
[0129]本開示の主題を詳細に、その特定の実施形態を参照して説明したが、本明細書に開示される様々な詳細は、特定の要素が本説明に付随する図面の各々に示される場合であっても、これらの詳細が、本明細書に記載の様々な実施形態の必須の構成要素である要素に関連することを暗に意味するように解釈されるべきではないことに留意されたい。更に、添付の特許請求の範囲において定義される実施形態を含むがこれらに限定されない本開示の範囲から逸脱することなく変更および変形が可能であることが明らかである。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において、好ましいかまたは特に有利なものとして特定されているが、本開示は必ずしもこれらの態様に限定されないことが意図される。
【0115】
[0130]以下の特許請求の範囲のうちの1つまたは複数が、移行句として「wherein」という用語を利用することに留意されたい。本発明を定義する目的で、この用語は特許請求の範囲において、構造の一連の特徴の列挙を導入するのに用いられる開放型の移行句として導入され、より一般的に用いられる開放型の前置語「含む」のように解釈されるべきであることに留意されたい。