(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】水噴射式織機の緯入れ方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
D03D 47/32 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
D03D47/32
(21)【出願番号】P 2023115306
(22)【出願日】2023-07-13
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】500098552
【氏名又は名称】株式会社北越電研
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】平石 耕三
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 登
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113847225(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1648304(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104846513(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第117552974(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ、吸込弁及び吐出弁を有するプランジャポンプと、該プランジャポンプの吐出弁に接続され、該吐出弁からの圧力水の噴射により緯糸を経糸の開口内に挿入する緯入ノズルとを備えた水噴射式織機において、上記織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータと、該サーボモータの主軸の回転を上記プランジャの往復運動に変換する運動変換機構と、該サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部とを備えてなり、上記運動変換機構として、上記サーボモータの主軸により正方向又は逆方向に回転する駆動軸、該駆動軸に設けられ、該駆動軸の回転軸線から偏心量分偏心した軸線を中心軸線とする偏心輪、及び、該偏心輪が嵌合可能なガイド長穴が形成され、上記プランジャの往復運動方向に直線案内軸受により運動案内されたガイド枠からなる偏心輪機構が用いられ、上記プランジャの往復運動の行限を該駆動軸の回転角が0°の原点位置とし、該原点位置を吐出完了位置とし、該プランジャの往復運動の戻限は該駆動軸の正方向又は逆方向への回転角により定められ、該回転角は該原点位置を境にして正方向又は逆方向へのそれぞれ180°未満の範囲内とされ、該戻限は吸込完了位置とされ、該往復運動するプランジャの行限と戻限との距離がストロークとされ、該プランジャの吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作及び吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作により上記緯糸の緯入れを行うことを特徴とする水噴射式織機の緯入れ方法。
【請求項2】
プランジャ、吸込弁及び吐出弁を有するプランジャポンプと、該プランジャポンプの吐出弁に接続され、該吐出弁からの圧力水の噴射により緯糸を経糸の開口内に挿入する緯入ノズルとを備えた水噴射式織機において、上記織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータと、該サーボモータの主軸の回転を上記プランジャの往復運動に変換する運動変換機構と、該サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部とを備えてなり、上記運動変換機構として、上記サーボモータの主軸により正方向又は逆方向に回転する駆動軸、該駆動軸に設けられ、該駆動軸の回転軸線から偏心量分偏心した軸線を中心軸線とする偏心輪、及び、該偏心輪が嵌合可能なガイド長穴が形成され、上記プランジャの往復運動方向に直線案内軸受により運動案内されたガイド枠からなる偏心輪機構が用いられ、上記プランジャの往復運動の行限を該駆動軸の回転角が0°の原点位置とし、該原点位置を吐出完了位置とし、該プランジャの往復運動の戻限は該駆動軸の正方向又は逆方向への回転角により定められ、該回転角は該原点位置を境にして正方向又は逆方向へのそれぞれ180°未満の範囲内とされ、該戻限は吸込完了位置とされ、該往復運動するプランジャの行限と戻限との距離がストロークとされ、該プランジャの吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作及び吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作により上記緯糸の緯入れを行うことを特徴とする水噴射式織機の緯入れ装置。
【請求項3】
上記緯入ノズルは複数個配設され、上記吐出弁からの圧力水を該複数個の緯入ノズルに選択的に供給する流路切換部が設けられ、該複数個の緯入ノズルからの圧力水の噴射により複数の緯糸の緯入れを行うことを特徴とする請求項2記載の水噴射式織機の緯入れ装置。
【請求項4】
上記ポンプ制御部は、上記緯糸の糸種信号、上記織機からの運転信号、該織機の主軸の回転角検出信号、緯入時期信号、織機の主軸の回転速度信号からなる織機情報を取得する織機情報取得手段と、プランジャの行限の位置及び該プランジャの戻限の位置を検出するプランジャ位置検出手段と、該織機情報取得手段からの織機情報に基づいて上記緯入ノズルから噴射される圧力水の噴射圧力及び噴射水量、該プランジャのストローク、プランジャの往復運動速度、吐出開始時期、吐出完了時期、吸込開始時期及び吸込完了時期を演算し、プランジャ制御情報を出力するプランジャ制御情報出力手段と、該プランジャ制御情報出力手段からのプランジャ制御情報に基づいて上記サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を演算し、モータ制御情報を出力するモータ制御手段と、該モータ制御手段からのモータ制御情報に基づいて上記サーボモータを駆動するモータ駆動手段とを含んでなることを特徴とする請求項2又は3記載の水噴射式織機の緯入れ装置。
【請求項5】
上記駆動軸の正方向又は逆方向の回転による上記プランジャの吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作及び吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作は、上記駆動軸が原点位置で停止することなく、該駆動軸が上記原点位置を超えて、そのまま、正方向又は逆方向に連続して回転して行われることを特徴とする請求項2又は3記載の水噴射式織機の緯入れ装置。
【請求項6】
上記サーボモータの主軸と上記駆動軸との間に減速機構を介装してなることを特徴とする請求項2又は3記載の水噴射式織機の緯入れ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、単一又は複数の緯糸を圧力水の噴射により緯入れする際に用いられる水噴射式織機の緯入れ方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水噴射式織機の緯入れ方法及びその装置として、プランジャ、吸込弁及び吐出弁を有するプランジャポンプと、プランジャポンプの吐出弁に接続され、吐出弁からの圧力水の噴射により緯糸を経糸の開口内に挿入する緯入ノズルとを備え、上記プランジャは織機の主軸に同期回転するカム及び揺動レバーからなるカム機構に接続され、カム機構及びプランジャに内蔵されたバネ機構との協働によりプランジャの吸込動作及び吐出動作を行う構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、緯糸の糸種、単一又は複数の緯糸、噴射圧力を決定する要素となるプランジャ速度、噴射水量を決定する要素となるプランジャのストローク、織機の構造等に応じて、上記カム機構及びバネ機構を数種類、用意する必要があり、このため、緯入れ構造が複雑化し、各種の緯糸や織機に対する融通性が低下しているという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の方法の発明は、プランジャ、吸込弁及び吐出弁を有するプランジャポンプと、該プランジャポンプの吐出弁に接続され、該吐出弁からの圧力水の噴射により緯糸を経糸の開口内に挿入する緯入ノズルとを備えた水噴射式織機において、上記織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータと、該サーボモータの主軸の回転を上記プランジャの往復運動に変換する運動変換機構と、該サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部とを備えてなり、上記運動変換機構として、上記サーボモータの主軸により正方向又は逆方向に回転する駆動軸、該駆動軸に設けられ、該駆動軸の回転軸線から偏心量分偏心した軸線を中心軸線とする偏心輪、及び、該偏心輪が嵌合可能なガイド長穴が形成され、上記プランジャの往復運動方向に直線案内軸受により運動案内されたガイド枠からなる偏心輪機構が用いられ、上記プランジャの往復運動の行限を該駆動軸の回転角が0°の原点位置とし、該原点位置を吐出完了位置とし、該プランジャの往復運動の戻限は該駆動軸の正方向又は逆方向への回転角により定められ、該回転角は該原点位置を境にして正方向又は逆方向へのそれぞれ180°未満の範囲内とされ、該戻限は吸込完了位置とされ、該往復運動するプランジャの行限と戻限との距離がストロークとされ、該プランジャの吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作及び吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作により上記緯糸の緯入れを行うことを特徴とする水噴射式織機の緯入れ方法にある。
【0006】
又、請求項2記載の装置の発明は、プランジャ、吸込弁及び吐出弁を有するプランジャポンプと、該プランジャポンプの吐出弁に接続され、該吐出弁からの圧力水の噴射により緯糸を経糸の開口内に挿入する緯入ノズルとを備えた水噴射式織機において、上記織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータと、該サーボモータの主軸の回転を上記プランジャの往復運動に変換する運動変換機構と、該サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部とを備えてなり、上記運動変換機構として、上記サーボモータの主軸により正方向又は逆方向に回転する駆動軸、該駆動軸に設けられ、該駆動軸の回転軸線から偏心量分偏心した軸線を中心軸線とする偏心輪、及び、該偏心輪が嵌合可能なガイド長穴が形成され、上記プランジャの往復運動方向に直線案内軸受により運動案内されたガイド枠からなる偏心輪機構が用いられ、上記プランジャの往復運動の行限を該駆動軸の回転角が0°の原点位置とし、該原点位置を吐出完了位置とし、該プランジャの往復運動の戻限は該駆動軸の正方向又は逆方向への回転角により定められ、該回転角は該原点位置を境にして正方向又は逆方向へのそれぞれ180°未満の範囲内とされ、該戻限は吸込完了位置とされ、該往復運動するプランジャの行限と戻限との距離がストロークとされ、該プランジャの吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作及び吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作により上記緯糸の緯入れを行うことを特徴とする水噴射式織機の緯入れ装置にある。
【0007】
又、請求項3記載の装置の発明は、上記緯入ノズルは複数個配設され、上記吐出弁からの圧力水を該複数個の緯入ノズルに選択的に供給する流路切換部が設けられ、該複数個の緯入ノズルからの圧力水の噴射により複数の緯糸の緯入れを行うことを特徴とするものである。
【0008】
又、請求項4記載の装置の発明は、上記ポンプ制御部は、上記緯糸の糸種信号、上記織機からの運転信号、該織機の主軸の回転角検出信号、緯入時期信号、織機の主軸の回転速度信号からなる織機情報を取得する織機情報取得手段と、プランジャの行限の位置及び該プランジャの戻限の位置を検出するプランジャ位置検出手段と、該織機情報取得手段からの織機情報に基づいて上記緯入ノズルから噴射される圧力水の噴射圧力及び噴射水量、該プランジャのストローク、プランジャの往復運動速度、吐出開始時期、吐出完了時期、吸込開始時期及び吸込完了時期を演算し、プランジャ制御情報を出力するプランジャ制御情報出力手段と、該プランジャ制御情報出力手段からのプランジャ制御情報に基づいて上記サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を演算し、モータ制御情報を出力するモータ制御手段と、該モータ制御手段からのモータ制御情報に基づいて上記サーボモータを駆動するモータ駆動手段とを含んでなることを特徴とするものである。
【0009】
又、請求項5記載の装置の発明にあっては、上記駆動軸の正方向又は逆方向の回転による上記プランジャの吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作及び吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作は、上記駆動軸が原点位置で停止することなく、該駆動軸が上記原点位置を超えて、そのまま、正方向又は逆方向に連続して回転して行われることを特徴とするものである。
【0010】
又、請求項6記載の装置の発明は、上記サーボモータの主軸と上記駆動軸との間に減速機構を介装してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述の如く、請求項1及び請求項2記載の発明にあっては、織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータと、サーボモータの主軸の回転を上記プランジャの往復運動に変換する運動変換機構と、サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部とを備えてなり、上記運動変換機構として、上記サーボモータの主軸により正方向又は逆方向に回転する駆動軸、駆動軸に設けられ、駆動軸の回転軸線から偏心量分偏心した軸線を中心軸線とする偏心輪、及び、偏心輪が嵌合可能なガイド長穴が形成され、上記プランジャの往復運動方向に直線案内軸受により運動案内されたガイド枠からなる偏心輪機構が用いられ、上記プランジャの往復運動の行限を駆動軸の回転角が0°の原点位置とし、原点位置を吐出完了位置とし、プランジャの往復運動の戻限は駆動軸の正方向又は逆方向への回転角により定められ、回転角は原点位置を境にして正方向又は逆方向へのそれぞれ180°未満の範囲内とされ、戻限は吸込完了位置とされ、往復運動するプランジャの行限と戻限との距離がストロークとされ、プランジャの吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作及び吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作により上記緯糸の緯入れを行うことができ、緯糸の糸種、圧力水の噴射圧力を決定する要素となるプランジャ速度、噴射水量を決定する要素となるプランジャのストローク、織機の構造等の各種の仕様に対応することができ、それだけ、緯糸の緯入れ構造を簡素化することができ、各種の緯糸や織機に対する融通性を向上することができる。
【0012】
又、請求項3記載の発明にあっては、上記緯入ノズルは複数個配設され、上記吐出弁からの圧力水を複数個の緯入ノズルに選択的に供給する流路切換部が設けられ、複数個の緯入ノズルからの圧力水の噴射により複数の緯糸の緯入れを行うように構成しているから、複数の緯糸について、上記プランジャの吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作及び吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作により上記複数の緯糸の緯入れを行うことができ、複数の緯糸の糸種、複数の緯糸に対する圧力水の噴射圧力を決定する要素となるプランジャ速度、噴射水量を決定する要素となるプランジャのストローク、織機の構造等の各種の仕様に対応することができ、それだけ、複数個の緯糸に対する緯入れ構造を簡素化することができ、各種の複数の緯糸や織機に対する融通性を向上することができる。
【0013】
又、請求項4記載の発明にあっては、上記ポンプ制御部は、上記緯糸の糸種信号、上記織機からの運転信号、織機の主軸の回転角検出信号、緯入時期信号、織機の主軸の回転速度信号からなる織機情報を取得する織機情報取得手段と、プランジャの行限の位置及びプランジャの戻限の位置を検出するプランジャ位置検出手段と、織機情報取得手段からの織機情報に基づいて上記緯入ノズルから噴射される圧力水の噴射圧力及び噴射水量、プランジャのストローク、プランジャの往復運動速度、吐出開始時期、吐出完了時期、吸込開始時期及び吸込完了時期を演算し、プランジャ制御情報を出力するプランジャ制御情報出力手段と、プランジャ制御情報出力手段からのプランジャ制御情報に基づいて上記サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を演算し、モータ制御情報を出力するモータ制御手段と、モータ制御手段からのモータ制御情報に基づいて上記サーボモータを駆動するモータ駆動手段とを含んで構成しているから、ポンプ制御部の織機情報取得手段、プランジャ位置検出手段、プランジャ制御情報出力手段、モータ制御手段及びモータ駆動手段の協働により、上記サーボモータの主軸の回転方向、回転角及び回転速度を制御することができ、上記サーボモータを織機に同期して駆動することができ、緯入ノズルからの圧力水の噴射圧力及び噴射水量、噴射時期等を制御することができ、それだけ、緯糸の緯入れ構造を簡素化することができ、各種の緯糸や織機に対する融通性を向上することができる。
【0014】
又、請求項5記載の発明にあっては、上記駆動軸の正方向又は逆方向の回転による上記プランジャの吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作及び吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作は、上記駆動軸が原点位置で停止することなく、駆動軸が上記原点位置を超えて、そのまま、正方向又は逆方向に連続して回転して行われるように構成しているから、吐出動作及び次の緯入れに用いる緯糸の吸込動作は、駆動軸の正方向又は逆方向の回転と同じ方向に連続して回転することにより行われ、これにより、プランジャの行き過ぎ、所謂、オーバーシュートを防ぐことができ、サーボモータのトルクの増加に伴う消費電力の増加を防ぐことができ、それだけ、緯糸の緯入れを円滑に行うことができる。
【0015】
又、請求項6記載の発明にあっては、上記サーボモータの主軸と上記駆動軸との間に減速機構を介装して構成しているから、減速機構の減速比に相当する定格トルクの小さいサーボモータを用いることができ、サーボモータの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の第一形態例の説明側面図である。
【
図2】本発明の実施の第一形態例の説明平面図である。
【
図3】本発明の実施の第一形態例の説明断面図である。
【
図4】本発明の実施の第一形態例の説明側断面図である。
【
図5】本発明の実施の第一形態例の説明断面図である。
【
図6】本発明の実施の第一形態例の制御系統ブロック図である。
【
図7】本発明の実施の第一形態例のタイミングチャート図である。
【
図8】本発明の実施の第一形態例の動作説明図である。
【
図9】本発明の実施の第二形態例の水圧回路図である。
【
図10】本発明の実施の第二形態例のタイミングチャート図である。
【
図11】本発明の実施の第二形態例のタイミングチャート図である。
【
図12】本発明の実施の第二形態例の動作説明図である。
【
図13】本発明の実施の第二形態例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至
図13は本発明の実施の形態例を示し、
図1乃至
図8は請求項1、請求項2記載の発明に対応する第一形態例、
図9乃至
図13は請求項3記載の発明に対応する第二形態例である。
【0018】
図1乃至
図8の第一形態例にあっては、
図1、
図2、
図3、
図6、
図8の如く、大別して、プランジャPL、逆止弁構造の吸込弁SV及び逆止弁構造の吐出弁DVを有するプランジャポンプPPと、プランジャポンプPPの吐出弁DVに接続され、吐出弁DVからの圧力水PWの噴射により緯糸Yを図示省略の経糸の開口内に挿入する緯入ノズルNとを備えた水噴射式織機において、上記織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータSMと、サーボモータSMの主軸SM
Sの回転を上記プランジャPLの往復運動に変換する運動変換機構MCと、サーボモータSMの主軸SM
Sの回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部PCとを備えてなり、上記運動変換機構MCとして、上記サーボモータSMの主軸SM
Sにより正方向CW(図中、時計回り)又は逆方向CCW(図中、反時計回り)に回転する駆動軸DS、駆動軸DSに設けられ、駆動軸DSの回転軸線DS
Oから偏心量ε分偏心した軸線を中心軸線EW
Oとする偏心輪EW、及び、偏心輪EWが嵌合可能なガイド長穴GGが形成され、偏心輪EWの外周に転がり軸受EW
Jが設けられ、上記プランジャPLの往復運動方向に直線案内軸受GJにより運動案内されたガイド枠GFからなる偏心輪機構EMが用いられ、この場合、上記ガイド長穴GGは上記プランジャPLの往復運動方向と直交する方向に延びる長穴状に形成され、偏心輪EWは転がり軸受EW
Jによりガイド長穴GGを転動し、駆動軸DSの回転及び偏心輪EWとガイド長穴GGとの嵌合作用によりガイド枠GFを往復運動させ、上記プランジャPLの往復運動の行限LLを駆動軸DSの回転角θが0°の原点位置OPとし、原点位置OPを吐出完了位置VPとし、プランジャPLの往復運動の戻限RLは駆動軸DSの正方向CW又は逆方向CCWへの回転角θにより定められ、回転角θは原点位置OPを境にして正方向CW又は逆方向CCWへのそれぞれ180°未満の範囲内とされ、戻限RLは吸込完了位置SPとされ、往復運動するプランジャPLの行限LLと戻限RLとの距離がストロークSTとされ、プランジャPLの吐出完了位置VPから吸込完了位置SPに至る吸込動作SAにより水槽WT内の水Wを吸込管SV
Pを介して吸込弁SVからプランジャポンプPP内に吸い込み、吸込完了位置SPから吐出完了位置VPに至る吐出動作VAによりプランジャポンプPP内の水Wを圧力水PWとし、この圧力水PWを吐出弁DVから吐出管DV
Pを介して緯入ノズルNに給送し、これら吸込動作SA及び吐出動作VAにより上記緯糸Yの緯入れを行うように構成している。
【0019】
この場合、
図1の如く、上記偏心輪機構EMのガイド枠GFと上記プランジャPLとは連結杆CRにより連結され、又、この場合、
図8の如く、上記駆動軸DSの回転軸線DS
Oからの偏心量ε=8mmとされ、しかして、上記駆動軸DSの回転角θ=90°となり、上記駆動軸DSを原点位置OPを境にして正方向CW又は逆方向CCWにそれぞれ回転角θ=180°回転させた場合、
図5の如く、プランジャPLのフルのストロークST=2×ε=16mmとなり、又、上記駆動軸DSの回転角θを原点位置OPを境にして正方向CW又は逆方向CCWにそれぞれ180°未満の範囲内とされるのは、上記駆動軸DSを原点位置OPを境にして正方向CW又は逆方向CCWにそれぞれ回転角θ=180°を超えて回転させるとプランジャPLは行限LLから戻限RLに向けて後退したのち、戻限RLから行限LLに向けて、再度、前進することになるからである。
【0020】
又、この場合、
図2、
図6の如く、上記ポンプ制御部PCは、上記緯糸Yの糸種信号、上記織機からの運転信号、織機の主軸の回転角検出信号、緯入時期信号、織機の主軸の回転速度信号からなる織機情報LIを取得する織機情報取得手段LIMと、プランジャPLの行限LLの位置及びプランジャPLの戻限RLの位置を検出するプランジャ位置検出手段PPMと、織機情報取得手段LIMからの織機情報LIに基づいて上記緯入ノズルNから噴射される圧力水PWの噴射圧力P及び噴射水量Q、プランジャPLのストロークST、プランジャPLの往復運動速度、吐出開始時期、吐出完了時期、吸込開始時期及び吸込完了時期を演算し、プランジャ制御情報PIを出力するプランジャ制御情報出力手段PIMと、プランジャ制御情報出力手段PIMからのプランジャ制御情報PIに基づいて上記サーボモータSMの主軸SM
Sの回転方向、回転角及び回転速度を演算し、モータ制御情報MIを出力するモータ制御手段MIMと、モータ制御手段MIMからのモータ制御情報MIに基づいて上記サーボモータSMを駆動するモータ駆動手段SMMとを含んで構成している。
【0021】
なお、上記織機情報LIは、織機からの情報又は図示省略の設定手段に人的手段により入力される設定情報を取得することになり、又、織機情報取得手段LIMにおけるプランジャPLの位置検出はエンコーダが用いられ、又、上記プランジャ制御情報PIの演算に際しては、図示省略の記憶手段に記憶された、例えば、噴射圧力Pとプランジャ速度PLVとの相関関係、プランジャPLのストロークSTと噴射水量Qとの相関関係データ等に基づいて演算されることになり、このプランジャ制御情報出力手段PIMからのプランジャ制御情報PIに基づいて、上記サーボモータSMの主軸SMSの回転方向、回転角及び回転速度が演算され、モータ制御手段MIMからのモータ制御情報MIに基づいて、上記モータ駆動手段SMMによりサーボモータSMが駆動されることになる。
【0022】
又、この場合、
図7、
図8の如く、上記駆動軸DSの正方向CW又は逆方向CCWの回転による上記プランジャPLの吸込完了位置SPから吐出完了位置VPに至る吐出動作VA及び次の緯入れに用いる緯糸Yの吐出完了位置VPから吸込完了位置SPに至る吸込動作SAは、上記駆動軸DSが原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSが上記原点位置OPを超えて、そのまま、正方向CW又は逆方向CCWに連続して回転して行われるように構成している。
【0023】
又、この場合、
図1、
図3の如く、上記サーボモータSMの主軸SM
Sと上記駆動軸DSとの間に減速機構RMを介装して構成している。
【0024】
この場合、上記減速機構RMは、
図1、
図3、
図4の如く、上記サーボモータSMの主軸SM
Sと上記駆動軸DSとの間に一対の歯車GD・GEを有する歯車機構GMが用いられ、減速比i=3となっており、一対の歯車GD・GEを有する歯車機構GMの存在によりサーボモータSMの主軸SM
Sの回転方向と駆動軸DSの回転方向とは互いに反対方向に回転することになる。
【0025】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、
図7、
図8の如く、単一の緯糸Yの緯入れに適用され、単一の緯糸Yの糸種等の条件からストロークSTは8mmとされ、ストロークST=8mmとするための駆動軸DSの回転角θは原点位置OPから90°となるから、駆動軸DSの逆方向CCWの回転により吸込完了位置SPまで吸込動作SAが行われ(経過動作P1→P2・P5)、待機時間を経て、駆動軸DSの正方向CWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P2→P3→P1)、緯入ノズルNからの圧力水PWの噴射により緯糸Yの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、正方向CWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P1→P3)、その後、待機時間を経て、駆動軸DSの逆方向CCWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P4→P1)、緯入ノズルNからの圧力水PWの噴射により緯糸Yの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、逆方向CCWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P1→P5)、その後、待機時間を経て、再び、駆動軸DSの正方向CWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P2→P3→P1)、緯入ノズルNからの圧力水PWの噴射により緯糸Yの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、正方向CWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P1→P3)、以降、吐出動作VA及び吸込動作SAが繰り返されることになる。
【0026】
したがって、
図1、
図2、
図3、
図6、
図8の如く、上記織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータSMと、サーボモータSMの主軸SM
Sの回転を上記プランジャPLの往復運動に変換する運動変換機構MCと、サーボモータSMの主軸SM
Sの回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部PCとを備えてなり、上記運動変換機構MCとして、上記サーボモータSMの主軸SM
Sにより正方向CW又は逆方向CCWに回転する駆動軸DS、駆動軸DSに設けられ、駆動軸DSの回転軸線DS
Oから偏心量ε分偏心した軸線を中心軸線EW
Oとする偏心輪EW、及び、偏心輪EWが嵌合可能なガイド長穴GGが形成され、上記プランジャPLの往復運動方向に直線案内軸受GJにより運動案内されたガイド枠GFからなる偏心輪機構EMが用いられ、上記プランジャPLの往復運動の行限LLを駆動軸DSの回転角θが0°の原点位置OPとし、原点位置OPを吐出完了位置VPとし、プランジャPLの往復運動の戻限RLは駆動軸DSの正方向CW又は逆方向CCWへの回転角θにより定められ、回転角θは原点位置OPを境にして正方向CW又は逆方向CCWへのそれぞれ180°未満の範囲内とされ、戻限RLは吸込完了位置SPとされ、往復運動するプランジャPLの行限LLと戻限RLとの距離がストロークSTとされ、プランジャPLの吐出完了位置VPから吸込完了位置SPに至る吸込動作SA及び吸込完了位置SPから吐出完了位置VPに至る吐出動作VAにより上記緯糸Yの緯入れを行うことができ、緯糸Yの糸種、圧力水PWの噴射圧力Pを決定する要素となるプランジャ速度PL
V、噴射水量Qを決定する要素となるプランジャPLのストロークST、織機の構造等の各種の仕様に対応することができ、それだけ、緯糸Yの緯入れ構造を簡素化することができ、各種の緯糸Yや織機に対する融通性を向上することができる。
【0027】
又、この場合、
図2、
図6の如く、上記ポンプ制御部PCは、上記緯糸Yの糸種信号、上記織機からの運転信号、織機の主軸の回転角検出信号、緯入時期信号、織機の主軸の回転速度信号からなる織機情報LIを取得する織機情報取得手段LIMと、プランジャPLの行限LLの位置及びプランジャPLの戻限RLの位置を検出するプランジャ位置検出手段PPMと、織機情報取得手段LIMからの織機情報LIに基づいて上記緯入ノズルNから噴射される圧力水PWの噴射圧力P及び噴射水量Q、プランジャPLのストロークST、プランジャPLの往復運動速度、吐出開始時期、吐出完了時期、吸込開始時期及び吸込完了時期を演算し、プランジャ制御情報PIを出力するプランジャ制御情報出力手段PIMと、プランジャ制御情報出力手段PIMからのプランジャ制御情報PIに基づいて上記サーボモータSMの主軸SM
Sの回転方向、回転角及び回転速度を演算し、モータ制御情報MIを出力するモータ制御手段MIMと、モータ制御手段MIMからのモータ制御情報MIに基づいて上記サーボモータSMを駆動するモータ駆動手段SMMとを含んで構成しているから、ポンプ制御部PCの織機情報取得手段LIM、プランジャ位置検出手段PPM、プランジャ制御情報出力手段PIM、モータ制御手段MIM及びモータ駆動手段SMMの協働により、上記サーボモータSMの主軸SM
Sの回転方向、回転角及び回転速度を制御することができ、上記サーボモータSMを織機に同期して駆動することができ、緯入ノズルNからの圧力水PWの噴射圧力P及び噴射水量Q、噴射時期等を制御することができ、それだけ、緯糸Yの緯入れ構造を簡素化することができ、各種の緯糸Yや織機に対する融通性を向上することができる。
【0028】
又、この場合、
図7、
図8の如く、上記駆動軸DSの正方向CW又は逆方向CCWの回転による上記プランジャPLの吸込完了位置SPから吐出完了位置VPに至る吐出動作VA及び次の緯入れに用いる緯糸Yの吐出完了位置VPから吸込完了位置SPに至る吸込動作SAは、上記駆動軸DSが原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSが上記原点位置OPを超えて、そのまま、正方向CW又は逆方向CCWに連続して回転して行われるように構成しているから、吐出動作VA及び次の緯入れに用いる緯糸Yの吸込動作SAは、駆動軸DSの正方向CW又は逆方向CCWの回転と同じ方向に連続して回転することにより行われ、これにより、プランジャPLの行き過ぎ、所謂、オーバーシュートを防ぐことができ、サーボモータSMのトルクの増加に伴う消費電力の増加を防ぐことができ、それだけ、緯糸Yの緯入れを円滑に行うことができる。
【0029】
又、この場合、
図1、
図3の如く、上記サーボモータSMの主軸SM
Sと上記駆動軸DSとの間に減速機構RMを介装して構成しているから、減速機構RMの減速比iに相当する定格トルクの小さいサーボモータSMを用いることができ、サーボモータSMの小型化を図ることができる。
【0030】
図9乃至
図13の第二形態例は別例構造を示し、上記第一形態例と同一態様分に同符号を付して説明すると、この場合、上記緯入ノズルNは複数個配設され、上記吐出弁DVからの圧力水PWを複数個の緯入ノズルN・・に選択的に供給する流路切換部FSが設けられ、複数個の緯入ノズルN・・からの圧力水PWの噴射により複数の緯糸Y・・の緯入れに適用された構造とされている。尚、この第二形態例にあっても、上記第一形態例における上記ポンプ制御部PC及び上記減速機構RMを備えて構成している。
【0031】
この場合、3種類の緯糸YA、YB及びYCの緯入れに適用され、3種類の緯入ノズルNA、NB及びNCが用いられ、3種類の緯糸YA、YB及びYCの糸種等の条件から、緯糸YAのストロークSTは7mmとされ、緯糸YBのストロークSTは8mmとされ、緯糸YCのストロークSTは9mmとされており、しかして、緯糸YAにあって、ストロークST=7mmとするための駆動軸DSの回転角θは原点位置OPから82.82°(θ=Cos-11/8=Cos-10.125=82.82°)となり、又、緯糸YBにあって、ストロークST=8mmとするための駆動軸DSの回転角θは原点位置OPから90°となり、又、緯糸YCにあって、ストロークST=9mmとするための駆動軸DSの回転角θは原点位置OPから97.18°(θ=90°+Sin-11/8=90°+Sin-10.125=90°+7.18=97.18°)となる。
【0032】
【0033】
この場合、上記流路切換部FSとして、
図9の如く、2個の切換弁FV
1・FV
2が用いられ、流路切換部FSの入口側にプランジャポンプPPの吐出弁DVが接続され、流路切換部FSの出口側に緯入ノズルN
A、N
B及びN
Cが接続され、2個の切換弁FV
1・FV
2による流路切換部FSの切換動作によりプランジャポンプPPからの圧力水PWを3種類の緯入ノズルN
A、N
B及びN
Cに分配して供給するように構成している。
【0034】
しかして、この第二形態例にあっては、
図10(
図12)から
図11(
図13)に連続して動作し、このうち、先ず、
図10及び
図12を参照すると、緯糸Y
Aの緯入れにおいて、駆動軸DSの逆方向CCWの回転により吸込完了位置SPまで吸込動作SAが行われ(経過動作P11→P12)、待機時間を経て、駆動軸DSの正方向CWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P13→P11)、緯入ノズルN
Aからの圧力水PWの噴射により緯糸Y
Aの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、正方向CWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから次の緯入れに用いる緯糸Y
Bの上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P11→P13)、緯糸Y
Bの緯入れにおいて、待機時間を経て、駆動軸DSの逆方向CCWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P14→P11)、緯入ノズルN
Bからの圧力水PWの噴射により緯糸Y
Bの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、逆方向CCWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから次の緯入れに用いる緯糸Y
Cの上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P11→P15)、緯糸Y
Cの緯入れにおいて、待機時間を経て、
図10及び
図13を参照すると、駆動軸DSの正方向CWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P16→P11)、緯入ノズルN
Cからの圧力水PWの噴射により緯糸Y
Cの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、正方向CWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから次の緯入れに用いる緯糸Y
Aの上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われる(経過動作P11→P16)。
【0035】
次いで、
図11及び
図13を参照すると、再び、緯糸Y
Aの緯入れにおいて、駆動軸DSの正方向CWの回転により原点位置OPから吸込完了位置SPまで吸込動作SAが行われ(経過動作P11→P16)、待機時間を経て、駆動軸DSの逆方向CCWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P17→P11)、緯入ノズルN
Aからの圧力水PWの噴射により緯糸Y
Aの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、逆方向CCWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから次の緯入れに用いる緯糸Y
Bの上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P11→P18)、緯糸Y
Bの緯入れにおいて、待機時間を経て、駆動軸DSの正方向CWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P19→P11)、緯入ノズルN
Bからの圧力水PWの噴射により緯糸Y
Bの緯入れがなされ、その後、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、正方向CWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから次の緯入れに用いる緯糸Y
Cの上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P11→P19)、緯糸Y
Cの緯入れにおいて、待機時間を経て、駆動軸DSの逆方向CCWの回転により吸込完了位置SPから原点位置OPの吐出完了位置VPまで吐出動作VAが行われ(経過動作P20→P11)、緯入ノズルN
Cからの圧力水PWの噴射により緯糸Y
Cの緯入れがなされ、その後、再び、緯糸Y
Aの緯入れにおいて、駆動軸DSは原点位置OPで停止することなく、駆動軸DSは上記原点位置OPを超えて、そのまま、逆方向CCWに連続して回転し、上記吐出完了位置VPから次の緯入れに用いる緯糸Y
Aの上記吸込完了位置SPに至る吸込動作SAが行われ(経過動作P11→P12)、以降、緯糸Y
A、Y
B及びY
Cの緯入れの吐出動作VA及び吸込動作SAが繰り返されることになる。
【0036】
したがって、上記第二形態例にあっても、複数の緯糸Y・・について、上記プランジャPLの吐出完了位置VPから吸込完了位置SPに至る吸込動作SA及び吸込完了位置SPから吐出完了位置VPに至る吐出動作VAにより上記複数の緯糸Y・・の緯入れを行うことができ、複数の緯糸Y・・の糸種、複数の緯糸Y・・に対する圧力水PWの噴射圧力Pを決定する要素となるプランジャ速度PLV、噴射水量Qを決定する要素となるプランジャPLのストロークST、織機の構造等の各種の仕様に対応することができ、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができ、それだけ、複数個の緯糸Y・・に対する緯入れ構造を簡素化することができ、各種の複数の緯糸Y・・や織機に対する融通性を向上することができる。
【0037】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、吸込弁SV、吐出弁DV、プランジャポンプPP、緯入ノズルN、緯入ノズルNA、緯入ノズルNB、緯入ノズルNC、運動変換機構MC、ポンプ制御部PC、偏心輪機構EM、織機情報取得手段LIM、プランジャ位置検出手段PPM、プランジャ制御情報出力手段PIM、モータ制御手段MIM、モータ駆動手段SMM、減速機構RMの数や形態、構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0038】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0039】
Y 緯糸
YA 緯糸
YB 緯糸
YC 緯糸
Q 噴射水量
P 噴射圧力
PL プランジャ
PP プランジャポンプ
PW 圧力水
PC ポンプ制御部
PPM プランジャ位置検出手段
PI プランジャ制御情報
PIM プランジャ制御情報出力手段
PLV プランジャ速度
N 緯入ノズル
NA 緯入ノズル
NB 緯入ノズル
NC 緯入ノズル
SV 吸込弁
SM サーボモータ
SMS 主軸
SP 吸込完了位置
SA 吸込動作
ST ストローク
SMM モータ駆動手段
CW 正方向
CCW 逆方向
DV 吐出弁
DS 駆動軸
DSO 回転軸線
ε 偏心量
EW 偏心輪
EWO 中心軸線
EM 偏心輪機構
GF ガイド枠
GJ 直線案内軸受
GG ガイド長穴
θ 回転角
OP 原点位置
LI 織機情報
LIM 織機情報取得手段
LL 行限
RL 戻限
RM 減速機構
VP 吐出完了位置
VA 吐出動作
MC 運動変換機構
MI モータ制御情報
MIM モータ制御手段
FS 流路切換部
【要約】
【課題】運動変換機構として、偏心輪機構が用いられ、プランジャの吐出完了位置から吸込完了位置に至る吸込動作及び吸込完了位置から吐出完了位置に至る吐出動作により緯糸の緯入れを行うことができ、緯糸の糸種、圧力水の噴射圧力、噴射水量及び織機の構造等の各種の仕様に対応することができる。
【解決手段】プランジャPL、吸込弁SV及び吐出弁DVを有するプランジャポンプPPと、プランジャポンプの吐出弁に接続され、吐出弁からの圧力水PWの噴射により緯糸Yを経糸の開口内に挿入する緯入ノズルNとを備えた水噴射式織機において、織機の緯入時期に同期して駆動されるサーボモータSMと、サーボモータの主軸SM
Sの回転方向、回転角及び回転速度を制御するポンプ制御部とを備え、ポンプ制御部によりサーボモータの回転方向、回転角及び回転速度を制御し、プランジャの吸込及び吐出動作により緯糸の緯入れを行う。
【選択図】
図1