(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B65G1/00 501F
(21)【出願番号】P 2023120381
(22)【出願日】2023-07-25
(62)【分割の表示】P 2019231960の分割
【原出願日】2019-06-06
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】坂本 ▲高▼章
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-340302(JP,A)
【文献】特開2018-171704(JP,A)
【文献】特開平06-263203(JP,A)
【文献】特開2019-142716(JP,A)
【文献】特開平09-058808(JP,A)
【文献】実開昭60-175550(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
B65G 1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種の荷が複数積まれた単載パレットと、出荷対象となる複数種の荷が積まれた混載パレットとを保管可能な収容部を複数有する保管棚と、
前記保管棚の一部に設けられたピッキングを行うためのピッキングスペースへアクセス可能であり、前記保管棚に保管された前記単載パレットから、出荷対象の複数種の荷を出庫用パレット上に載置して前記混載パレットを作成するピッキング装置と、
前記ピッキングスペースへ前記単載パレットを移動させる移送機構と、
前記ピッキングスペースから前記混載パレットを搬出する搬出装置と、
を備え、
前記保管棚は、前記収容部が水平方向に複数並べられた収容段を有し、
前記収容段は、垂直方向に複数並べて設けられ、
前記保管棚は、
前記ピッキング装置が設けられた前記ピッキングスペースと、前記複数並べられた前記収容段を有し、平面視において前記ピッキング装置が設けられていない非ピッキング保管棚
とを有し、
前記ピッキングスペースは前記非ピッキング保管棚の外部に設けられ、前記ピッキングスペースの上方には前記収容部が配置されておらず、
前記移送機構は、前記単載パレットを前記非ピッキング保管棚から前記ピッキングスペースへ移動可能に構成され、
前記搬出装置は、前記混載パレットを前記ピッキングスペースから前記非ピッキング保管棚へ移動可能に構成され
、
前記ピッキング装置は、前記ピッキングスペースの上方を所定の水平方向へ移動するクレーン台車と、前記クレーン台車に設けられ荷を持上げ可能な保持部とを有することを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
前記ピッキング装置は、一対の横梁と、前記一対の横梁の間に架け渡され前記横梁を自走可能な横桁とを有し、
前記クレーン台車は、前記横桁上を自走可能である、請求項
1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記保持部は、前記単載パレット上の複数の荷のうち選択された複数の荷を同時に持ち上げ可能である、請求項
1または
2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記保持部は、前記単載パレットから1以上の荷を持ち上げた状態で水平方向に回転させ、持ち上げ前とは異なる姿勢で前記出庫用パレットへ降ろす、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記ピッキング装置は、前記ピッキングスペースへ移動された前記単載パレットの上方から荷を取り出し、前記ピッキングスペースの上方から前記出庫用パレットへ当該荷を積み入れる、請求項
1~
4のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記移送機構及び前記搬出装置は、
前記非ピッキング保管棚及び前記ピッキングスペースを、前記単載パレット又は前記混載パレットを載せた状態で第1方向に移動可能な第1台車と、
前記第1台車が前記単載パレット又は前記混載パレットを載せた状態で乗り込み可能であり、前記第1方向に垂直な第2方向に移動可能な第2台車と
を含んで構成される、請求項1~
5のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
保管場所にある商品や一時的に置かれた商品等を出荷場所へ集めるためのピッキング装置が知られている。例えば、特許文献1には、パレットに段積みされている物品を層単位で取出すピッキング装置が記載されている。このピッキング装置は、荷取出位置に位置付けられた単品種パレットの物品を層単位で把持して荷積付位置に位置付けられた複数の出荷パレットのそれぞれに移載する把持装置と、この把持装置を出荷パレットに対し昇降可能にする荷移載装置とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、自動倉庫システムについて検討し以下の認識を得た。
図17は、比較例の自動倉庫システムにおける、入庫から出庫までの流れを説明する図である。
図18は、比較例の自動倉庫システムの配置を示す平面図である。はじめに、単一種類の荷を複数積んだ単載パレットがトラック等の車両で運ばれてきて、車両からフォークリフト等の搬送装置を用いて単載パレットが下される(倉庫内に搬入される)。比較例の自動倉庫システムでは、単一種類の荷を複数積んだ単載パレットを入庫し(
図17(a))、仕向け先の要求に応じて複数種類の荷を混載した混載パレットと単載パレットとを出庫する(
図17(e))。このために、比較例の自動倉庫システムでは、単載パレットの荷を所定の単位(以下、「ケース」という)に分離し(
図17(b))、分離したケースをケース保管部に保管する(
図17(c))。また、出庫のときには、仕向け先の要求に応じて異なる種類のケースをパレットに積み付けして混載パレットを作成する(
図17(d))。
【0005】
このプロセスを実現するためには、
図18に示すように、搬入された単載パレットをケースに分ける作業と、分けて保管されたケースを集めて混載パレットを作成する作業(以下、「ピッキング」という)とを行うために多くの手間が掛る。また、ピッキングを行うための作業者の確保も困難である。また、比較例の自動倉庫システムでは、単載パレットや混載パレットを保管するための保管棚とは別に、ケース保管部やピッキング用のスペースが必要であり、その分だけ広い敷地面積が必要となる。また、敷地面積が決まっている場合、ケース保管部およびピッキング用のスペースの分だけ、単載パレットを保管する保管棚を小さくしなければならず、保管できる荷の数が少なくなる。
【0006】
これらから、本発明者は、自動倉庫システムには、ピッキングするための人手やスペースを削減する観点で改善すべき余地があることを認識した。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、ピッキングするための人手やスペースを削減可能な自動倉庫システムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を保管する収容部を複数有する保管棚と、第1の収容部に保管された第1の荷を、第2の荷が保管された第2の収容部へ移動させるピッキング装置と、第2の収容部に保管された第1の荷と第2の荷とを合わせて保管棚から搬出する搬出装置と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ピッキングするための人手やスペースを削減可能な自動倉庫システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る自動倉庫システムの一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1のピッキング装置を拡大して示す平面図である。
【
図3】
図1の自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
【
図4】
図3のピッキング装置を拡大して示す側面図である。
【
図5】
図1の自動倉庫システムの第1台車の一例を概略的に示す平面図である。
【
図7】
図1の自動倉庫システムの第2台車の一例を概略的に示す平面図である。
【
図9】
図1のピッキング装置の保持部を示す底面図である。
【
図10】一のパレットから他のパレットに荷を移載する過程を説明する図である。
【
図11】一のパレットから他のパレットに荷を移載する過程を説明する図である。
【
図12】一のパレットから他のパレットに荷を移載する過程を説明する図である。
【
図13】一のパレットから他のパレットに荷を移載する過程を説明する図である。
【
図14】
図1の自動倉庫システムのピッキング動作の一例を説明する説明図である。
【
図15】第1変形例の入庫部および出庫部の周辺を示す平面図である。
【
図16】第2変形例の入庫部および出庫部の周辺を示す平面図である。
【
図17】比較例の自動倉庫システムにおける入庫から出庫までの流れを説明する図である。
【
図18】
図17の自動倉庫システムの配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
[第1実施形態]
図面を参照して第1実施形態に係る自動倉庫システム100の構成を説明する。
図1は、第1実施形態に係る自動倉庫システム100の一例を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1のピッキング装置18を拡大して示す平面図である。
図3は、自動倉庫システム100を概略的に示す側面図である。
図4は、
図3のピッキング装置18を拡大して示す側面図である。これらの図では、一部の柱や梁などの記載を省略している。
【0015】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0016】
本明細書では、1以上の物品が段ボール等のケースに収容されたものを荷10という。空荷のパレットを単に「パレット」という。一のパレット上に同一種の荷10が単数または複数載置されたものを単載パレット12Sといい、一のパレット上に複数種の荷10が複数載置されたものを混載パレット12Mという。便宜上、載置されるべき荷の一部が未搭載の場合も混載パレット12Mという。単載パレット12Sおよび混載パレット12Mはパレットとパレット上の荷とを合わせたものを指している。以下、単載パレット12Sおよび混載パレット12Mを総称するときは「荷載パレット12」という。荷載パレット12は、積層された複数の層から構成されてもよく、各層は複数の荷10を含んでもよい。荷載パレット12は、自動倉庫システム100において、入庫、保管、出庫される最小単位であってもよい。荷10はピッキング行うときに取り扱いされる最小単位であってもよい。
【0017】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。自動倉庫システム100は、多数の荷10を収容可能な保管棚22を含むシステムである。
図1に示すように、自動倉庫システム100は、保管棚22と、荷揃え部20と、第1台車14と、第2台車16と、ピッキング装置18と、搬出装置28と、移送機構32と、制御部30とを備える。
【0018】
保管棚22は、荷載パレット12を保管する収容部26を複数有する。荷揃え部20は、保管棚22内においてピッキング前の単載パレット12Sからピッキング装置18を用いてピッキングを行い、混載パレット12Mを作成する(
図3参照)。ピッキング装置18は、混載パレット12Mを作成するために、一の収容部26に保管された荷10を、別の収容部26へ移動させる。第1台車14は、荷載パレット12を搭載して保管棚22をY軸方向に走行可能な台車である。第2台車16は、荷載パレット12および第1台車14を搭載して保管棚22をX軸方向に走行可能な台車である。
【0019】
搬出装置28は、ピッキングで作成された混載パレット12Mを保管棚22から搬出するための装置である。移送機構32は、荷載パレット12を昇降させるための昇降装置34を含み、一の段の収容部26から別の段の収容部26に荷10を移送する。制御部30は、第1台車14、第2台車16、ピッキング装置18、搬出装置28、移送機構32および昇降装置34の動作を制御する。以下、これらの要素について詳述する。
【0020】
(保管棚)
保管棚22は、床部Lg上に複数設置され、多数の荷10を保管可能ないわば高密度保管型の保管スペースである。
図1に示すように、本実施形態の保管棚22は、3つの保管棚22a、22b、22cを含む。保管棚22a、22b、22cは、第2レール44を挟んで分割され、Y軸方向で負方向から正方向に向かってこの順で並んでいる。保管棚22a、22b、22cの構成は、複数の荷10を収容、保管可能であれば、特に限定されない。保管棚22a、22b、22cは、垂直方向に層状に重ねられた複数(例えば、3段)の収容段24を有する。各段の収容段24は、X軸方向およびY軸方向に配列された複数の収容部26を含む。各収容部26は、荷載パレット12を収容可能に構成されている。
【0021】
保管棚22aの収容段のうち最も上の収容段を最上収容段24a1と表記し、最上収容段24a1以外を収容段24a2と表記する。保管棚22bの収容段のうち最も上の収容段を最上収容段24b1と表記し、最上収容段24b1以外の収容段を収容段24b2と表記する。保管棚22cの収容段のうち最も上の収容段を最上収容段24c1と表記し、最上収容段24c1以外の収容段を収容段24c2と表記する。以下、最上収容段24a1、24b1、24c1を総称するときは最上収容段24pといい、収容段24a2、24b2、24c2を総称するときは収容段24sという。
【0022】
荷揃え部20を説明する。荷揃え部20は、上述したように、保管棚22内においてピッキング装置18を用いてピッキングを行うためのピッキングスペースとして機能する。荷揃え部20は、ピッキング用の第1収容部26pおよび第2収容部26sが設けられる。第1収容部26pは、ピッキング前の単載パレット12Sを載置するために設けられ、第2収容部26sは、ピッキング後の混載パレット12Mを載置するために設けられる。なお、第1収容部26pおよび第2収容部26sは、ピッキングスペース内の特定の場所を指すものではなく、荷載パレット12を一時的に保管するスペースを指している。したがって、荷揃え部20における第1収容部26pおよび第2収容部26sの位置や範囲はピッキング作業ごとに変化する場合もある。
【0023】
荷揃え部20の配置に限定はないが、本実施形態の荷揃え部20は、保管棚22bの最上収容段24b1に設けられている。最上収容段24b1は、その全領域が荷揃え部20として使用されてもよいが、この例では、最上収容段24b1は、その一部領域が荷揃え部20として使用され、残りの領域が荷載パレット12の保管用に使用されている。つまり、出庫計画に基づいて、出庫の頻度が高い場合には、荷揃え部20として使用される領域を拡大し、出庫の頻度が低い場合には、荷揃え部20として使用される領域を縮小してもよい。フレキシブルに拡大・縮小できるので保管棚22bを有効に使用でき、スペース効率が向上する。荷揃え部20には、第1収容部26pおよび第2収容部26sが設けられている。
【0024】
(レール)
保管棚22には、第1台車14が走行するための第1レール40と、第2台車16が走行するための第2レール44とが設けられる。第1レール40は、保管棚22a、22b、22cにおいてY軸方向に延設される。第1レール40は、各収容段において各収容部26の下部に設けられている。第1台車14は、各収容段において各収容部26の下部を走行できる。第2レール44は、保管棚22a、22bの間および保管棚22b、22cの間の各収容段においてX軸方向に延設される。各収容段において、第2台車16に給電するための給電部(不図示)が第2レール44に沿って延設される。
【0025】
第2レール44の一方の端部に隣接して入庫部50および出庫部52が設けられる。本実施形態の入庫部50および出庫部52は、各段の収容段24に設けられている。入庫部50は、入庫対象の荷載パレット12を入庫する保管棚22の入口として機能する。出庫部52は、出庫対象の荷載パレット12を出庫する保管棚22の出口として機能する。第2レール44の一方の端部に隣接して昇降装置34が接続される。昇降装置34は、第1台車14および荷載パレット12を任意の収容段24から他の収容段24に昇降させることができる。
【0026】
(第1台車)
次に、
図5、
図6も参照して第1台車14を説明する。
図5は、第1台車14の一例を概略的に示す平面図である。
図6は、第1台車14の正面図である。上述したように、第1台車14は、荷載パレット12を搭載して保管棚22a、22b、22cの各収容段の第1レール40をY軸方向に走行する。第1台車14は、収容部26に対して荷載パレット12を出し入れする。第1台車14は、第2台車16に乗降するために、第2台車16上をY軸方向に走行する。
【0027】
第1台車14は、車体14bと、載置台部14cと、リフト機構14dと、複数(例えば4個)の車輪14fとを主に含む。車体14bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体14bの内部には、複数の車輪14fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、バッテリ(不図示)とを搭載している。第1台車14は、バッテリの電力によってモータを駆動するように構成されている。バッテリは繰り返し充電可能なリチウムイオンバッテリなどの二次電池である。
【0028】
載置台部14cは、荷載パレット12を持上げて保持する部分である。リフト機構14dは、載置台部14cを昇降させる機構である。
図6において、上昇状態の載置台部14cを破線で示し、降下状態の載置台部14cを実線で示す。リフト機構14dは、載置台部14cを上昇させ、荷載パレット12を収容部26の載置面から持上げることができる。リフト機構14dは、載置台部14cを降下させて荷載パレット12を収容部26の載置面に降ろすことができる。複数の車輪14fは第1レール40上および第2台車16上を転動することができる。
【0029】
(第2台車)
次に、
図7、
図8も参照して第2台車16を説明する。
図7は、第2台車16の一例を概略的に示す平面図である。
図8は、第2台車16の正面図であり、第1台車14を搭載した状態を示している。第2台車16は、第2レール44をX軸方向に走行する。第2台車16は、空荷の状態または荷載パレット12を搭載した状態の第1台車14を移送する。
【0030】
第2台車16は、台車搭載部16cと、筐体部16dと、カバー部16eと、複数(例えば、4個)の車輪16fと、集電ユニット38とを主に含む。台車搭載部16cは、第2台車16のX軸方向の中央部に設けられる。台車搭載部16cは、第1台車14を搭載するための部分で、第1台車14をガイドする一対のガイド部16jを有する。各ガイド部16jの正面視の断面は、角張った横向きU字形状を有する。第2台車16は、正面視で台車搭載部16cが左右から凹んだ略凹形状を呈する。
【0031】
筐体部16dおよびカバー部16eは、台車搭載部16cを挟んでX軸方向の両側に離れて設けられる。筐体部16dおよびカバー部16eは、それぞれ、複数の車輪16fの一部を上側から覆う。筐体部16dは、車輪16fを駆動するためのモータ(不図示)と、モータを制御する制御回路(不図示)とを収容するケーシングとして機能する。
【0032】
第2台車16は、集電ユニット38を介して給電部から電力を受け取る。第2台車16は、受け取った電力によってモータ(不図示)を回転させ車輪16fを駆動可能に構成される。第2台車16は、受け取った電力によって、第1台車14のバッテリを充電可能に構成される。
【0033】
(ピッキング装置)
ピッキング装置18を説明する。
図4に示すように、ピッキング装置18は、第1収容部26pに保管された荷10を、別の荷10が保管された第2収容部26sへ移動させる。以下、第1収容部26pに保管された荷10であってピッキング装置18により移動されるものを「第1の荷10a」、「荷10a」と表記し、荷10aの移動前に既に第2収容部26sに保管されていた荷10を「第2の荷10b」「荷10b」と表記する。つまり、荷10bは、荷10aより先に第2収容部26sに保管されものをいい、荷10aは、荷10bより後に第2収容部26sに保管されものをいう。荷10aと荷10bとは、同一種の荷10であるか異なる種の荷10であるかは問わない。
【0034】
ピッキング装置18は、
図1に示すように、平面視において保管棚22と重複する位置に設けられている。ピッキング装置18は、保管棚22bの最上収容段24b1において、荷載パレット12から対象の荷10をピックアップして他のパレットに移し替えできる。ピッキング装置18は、いわゆるガントリ型のクレーン機構を含んでもよい。本実施形態のピッキング装置18は、
図4に示すように、一対の横梁18eと、横桁18kと、クレーン台車18dと、吊下げ部18jと、保持部18hとを備える。一対の横梁18eは、最上収容段24b1の上部空間においてY軸方向両側に離隔して設けられる。横梁18eの両端は、縦柱18gの上端に支持される。
【0035】
横桁18kは、Y軸方向に延びるレール状の構造体で、一対の横梁18eの間に架け渡される。横桁18kは、横梁18e上をX軸方向に自走可能に構成される。横桁18kは、クレーンガータと称されることがある。クレーン台車18dは、横桁18k上をY軸方向に自走可能な台車である。クレーン台車18dは、トロリ台車と称されることがある。吊下げ部18jは、保持部18hをクレーン台車18dに吊下げるとともにZ軸方向に上下動させることができる。また、吊下げ部18jは、保持部18hを水平に回転させることができる。保持部18hは、吊下げ部18jの先端に設けられ、荷10を持上げ可能に構成される。
【0036】
ピッキング装置18は、最上収容段24b1の上部空間において、保持部18hをX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に自在に移動させることができる。保持部18hを移動させることにより、ピッキング装置18は、最上収容段24b1の一の収容部の上方から対象の荷10を取り出し、水平方向に移動させ、上方から最上収容段24b1の他の収容部26のパレット上に当該対象の荷10を降ろすことができる。
【0037】
保持部18hを説明する。
図9は、ピッキング装置18の保持部18hを示す底面図である。保持部18hは、底面視で略矩形形状を有する。保持部18hの底面には、複数の吸着部18sがX軸方向およびY軸方向にマトリックス状に配置される。各吸着部18sは、独立して吸着力を発生できる。つまり、保持部18hは、吸着力を発生させる吸着部18sを選択することにより、その吸着部18sに対応する領域の荷10を吸着して保持できる。吸着部18sは、空気を吸入することによって吸着力を発生させる構成であってもよい。
【0038】
図10~
図13は、移載元のパレットから移載先のパレットに荷10を移載する過程を説明する上面視の図である。例えば、移載元のパレットは、第1収容部26pに保管された単載パレット12Sであってもよい。この例では、移載元のパレットには、各層に8個の荷10が積層されている。例えば、移載先のパレットは、第2収容部26sに保管された空荷のパレットであってもよい。これらの図の説明では、荷10を区別するために、符号の末尾に「(1)」、「(2)」、「(3)」を付して表記する。
【0039】
図10の例では、保持部18hは、単一の荷10(1)のみを吸着するように、複数の吸着部18sのうちこの荷10(1)に対応する吸着部18sに吸着力を発生させている。この例では、ピッキング装置18は、移載元のパレットから荷10(1)のみを取り出し、水平方向に移動させ、移載先のパレットに降ろしている。
【0040】
図11の例では、保持部18hは、複数(例えば5個)の荷10(2)のみを吸着するように、複数の吸着部18sのうち複数の荷10(2)に対応する吸着部18sに吸着力を発生させている。この例では、ピッキング装置18は、移載元のパレットから複数の荷10(2)のみを取り出し、水平方向に移動させ、移載先のパレットに降ろしている。
【0041】
図12の例では、保持部18hは、一層すべての荷10(3)を吸着するように、複数の吸着部18sのうち一層の荷10(3)に対応する吸着部18sに吸着力を発生させている。この場合、保持部18hは、すべての吸着部18sに吸着力を発生させてもよい。
【0042】
図13の例では、保持部18hは、単一の荷10(1)のみを吸着するように、複数の吸着部18sのうちこの荷10に対応する吸着部18sに吸着力を発生させている。この例では、ピッキング装置18は、移載元のパレットから荷10(1)のみを取り出し、水平方向に移動させるとともに水平に回転させ、荷10(1)の姿勢を変化させた状態で移載先のパレットに降ろしている。
【0043】
このように、本実施形態のピッキング装置18は、一層の複数の荷10のうち所望の数の荷10を1回のピッキングで移送できる。
【0044】
(搬出装置)
図1~
図4、
図14を参照して、搬出装置28を説明する。搬出装置28は、第2収容部26sの混載パレット12Mを保管棚22から搬出するための装置である。搬出装置28の構成に限定はないが、本実施形態では、搬出装置28は、第1台車14および第2台車16によって実現されている。搬出装置28は、昇降装置34を含んでもよい。
【0045】
搬出装置28の動作の一例を説明する。
(1)この例では、第1台車14は、第2収容部26sの下部に移動して混載パレット12Mを搭載し、保管棚22b1の第1レール40上をY軸方向に走行して第2台車16上に移動する。
(2)第2台車16は、第2レール44上を走行して混載パレット12Mを伴った第1台車14を出庫部52に移送する。この移送により搬出装置28の動作は終了する。出庫部52に移送された混載パレット12Mは例えば、フォークリフト54により搬出され、トラック等の外部運搬手段56に積み入れされる。この場合、フォークリフト54は、目的の段の出庫部52から混載パレット12Mを外部運搬手段56に積み入れする。
【0046】
搬出装置28は、第2収容部26sに保管された混載パレット12Mを、他の保管棚に移送するために使用されてもよい。例えば、搬出装置28は、保管棚22bの第2収容部26sに保管された混載パレット12Mを、保管棚22c、22aに移送するように制御されてもよい。
【0047】
(移送機構)
移送機構32を説明する。移送機構32は、一の収容段の収容部26から別の収容段の収容部26に荷10を移送するための機構である。本実施形態の移送機構32は、最上収容段24p以外の収容段24sの収容部26(移送元)から荷揃え部20の第1収容部26p(移送先)に荷10を移送する。ここで、移送機構32によって第1収容部26pに移送される荷10を「第3の荷10c」、「荷10c」という。荷10cは、荷10aまたは荷10bと同一種の荷10であるか、異なる種の荷10であるかは問わない。移送元の収容部26は、保管棚22a、22b、22cのいずれかの収容部であってもよい。移送機構32の構成に限定はないが、本実施形態では、移送機構32は、第1台車14、第2台車16および昇降装置34によって実現されている。
【0048】
移送機構32の動作の一例を説明する。この例では、保管棚22aの2段目の収容段24a2の収容部26(移送元)から移送先に第3の荷10cが含まれる単載パレット12Sを移送する。
(1)第1台車14は、移送元の収容部26の下部に移動して単載パレット12Sを載せて、保管棚22a1の第1レール40上をY軸方向に走行して第2台車16上に移動する。
(2)第2台車16は、第2レール44上を走行して単載パレット12Sを伴った第1台車14を昇降装置34に移送する。
【0049】
(3)昇降装置34は、単載パレット12Sを伴った第1台車14を最上収容段24b1に移送する。最上収容段24b1に移送された第1台車14は、単載パレット12Sを伴って最上収容段24b1の第2台車16上に移動する。
(4)第2台車16は、第2レール44上を走行して、単載パレット12Sを伴った第1台車14を第1収容部26pが属する収容列の間口に移送する。
(5)移送された第1台車14は、単載パレット12Sを伴って第1レール40を走行し、移送先の第1収容部26pに単載パレット12Sを移送する。
(6)第1台車14が単載パレット12Sを第1収容部26pに降ろすことにより移送機構32の動作は終了する。
【0050】
(制御部)
制御部30を説明する。制御部30は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、ユーザからの操作結果に基づき、入庫、出庫、搬出、移送等のために荷載パレット12の移動を制御する。一例として、制御部30は、所定の収容部と入庫部50、出庫部52との間や複数の収容部間で荷載パレット12を移送するために第1台車14および第2台車16を制御する。また、制御部30は、荷10をピッキングするためにピッキング装置18の動作を制御する。また、制御部30は、第1台車14および荷載パレット12を任意の収容段24から他の収容段24に昇降させるために昇降装置34を制御する。
【0051】
(入庫動作)
次に、
図1~
図4を参照して、自動倉庫システム100の入庫動作の一例を説明する。この例では、トラック等の外部運搬手段56により運搬され入荷された単載パレット12Sを保管棚22aの収容部26に保管するプロセスを説明する。
(1)製造工場で作成された単載パレット12Sは、外部運搬手段56に積み入れされ、自動倉庫システム100に運搬されて入荷される。
(2)外部運搬手段56によって入荷された単載パレット12Sを、フォークリフト54などによって入庫部50に搬入する。この場合、フォークリフト54は、外部運搬手段56から単載パレット12Sを目的の段の入庫部50に搬入する。
(3)入庫部50に搬入された単載パレット12Sを、第1台車14および第2台車16によって保管棚22aの所定の収容部26に移送して収容する。
【0052】
これらの動作により入庫動作が終了する。入庫動作において、第1台車14および第2台車16は、制御部30に制御される。
【0053】
(ピッキング動作)
次に、
図14を参照して、自動倉庫システム100のピッキング動作の一例を説明する。
図14は、ピッキング動作の一例を説明する説明図である。この例のピッキング動作は、出荷計画に基づいて単載パレット12Sから荷10を取り出し、販売店などの仕向先に出荷するための混載パレット12Mを作成する動作である。この例において、単載パレット12Sは保管棚22aに保管されており、ピッキングは保管棚22bの最上収容段24b1に設定された荷揃え部20で行われ、混載パレット12Mは保管棚22cに保管される。なお、この説明では、荷、パレットおよび第1収容部を区別するために、符号の末尾に「-A」、「-B」、「-C」を付して表記する。
図14で、荷10-Aを白抜きで、荷10-Bを直線ハッチングで、荷10-Cを破線ハッチングで示す。
【0054】
(1)第1台車14および第2台車16によって、保管棚22aの収容部26から荷揃え部20の第1収容部26pに単載パレット12Sを移送する。この例では、互いに異なる種類の荷10-A、10-B、10-Cが積載された単載パレット12S-A、12S-B、12S-Cを、第1収容部26p-A、26p-B、26p-Cに移送する。
(2)荷揃え部20の第2収容部26sに混載パレット12Mを作成するための空のパレットを載置する。
【0055】
(3)ピッキング装置18によって、単載パレット12S-Aから所要数の荷10-Aを取り出して、空のパレットに載せて混載パレット12Mを作成する。このとき、ピッキング装置18によって、水平に回転させるなど荷10-Aの姿勢を変更してもよい。
(4)ピッキング装置18によって、単載パレット12S-Bから所要数の荷10-Bを取り出して、荷10-Aが置かれた混載パレット12Mに載せる。このとき、ピッキング装置18によって、荷10-Bの姿勢を変更してもよい。
【0056】
(5)ピッキング装置18によって、単載パレット12S-Cから所要数の荷10-Cを取り出して、荷10-A、10-Bが置かれた混載パレット12Mに載せる。このとき、ピッキング装置18によって、荷10-Cの姿勢を変更してもよい。
(6)第1台車14および第2台車16によって、第2収容部26sから保管棚22cの収容部26に、荷10-A、10-B、10-Cが積載された混載パレット12Mを移送する。このとき、昇降装置34も用いて、混載パレット12Mを保管棚22cの別の段に移送してもよい。
【0057】
これらの動作によりピッキング動作は終了する。ピッキング動作において、第1台車14、第2台車16およびピッキング装置18は、制御部30に制御される。
【0058】
(出庫動作)
次に、
図1~
図4を参照して、自動倉庫システム100の出庫動作の一例を説明する。この例では、保管棚22cの収容部26に保管されている混載パレット12Mを外部運搬手段56に積み入れするプロセスを説明する。
(1)保管棚22cの収容部26に保管されている混載パレット12Mを、第1台車14および第2台車16によって出庫部52に移送する。このとき、第1台車14および第2台車16は、制御部30に制御される。
(2)出庫部52に移送された混載パレット12Mを、フォークリフト54などによって外部運搬手段56に積み入れする。この場合、フォークリフト54は、目的の段の出庫部52から混載パレット12Mを外部運搬手段56に積み入れする。
(3)外部運搬手段56に積み入れされた混載パレット12Mは、仕向先に運搬され出荷される。
【0059】
これらの動作により出庫動作が終了する。出庫動作において、第1台車14および第2台車16は、制御部30に制御される。
【0060】
以上のように構成された自動倉庫システム100の特徴を説明する。自動倉庫システム100は、荷10を保管する収容部26を複数有する保管棚22と、第1収容部26pに保管された第1の荷10aを、第2の荷10bが保管された第2収容部26sへ移動させるピッキング装置18と、第2収容部26sに保管された第1の荷10aと第2の荷10bとを合わせて保管棚22から搬出する搬出装置28と、を備える。この構成によれば、比較例の自動倉庫システムと比べて、ケース保管部やピッキング用のスペースの削減を図れるから、敷地面積に対して保管棚の配置割合を増やし収容効率を高めることができる。また、ピッキングするための人手を削減できる。
【0061】
保管棚22は、収容部26が水平方向に複数並べられた収容段24を有し、収容段24は、垂直方向に複数並べて設けられており、第1収容部26p及び第2収容部26sは、複数の収容段24のうち最も上の最上収容段24pに設けられる。この場合、比較的余裕のある最上収容段24pの上方空間を有効利用できるので自動倉庫システム100のスペース効率を高められる。
【0062】
ピッキング装置18は、第1収容部26pの上方から第1の荷10aを取り出し、第2収容部26sの上方から第2収容部26sへ当該第1の荷10aを積み入れる。この場合、側方から取り出しや積み入れを行う場合と比較して平面視の作業スペースを削減できるので、敷地のスペース効率を向上できる。
【0063】
複数の収容段24のうち最上収容段24p以外の収容段24sの第3の荷10cを、第1収容部26pに移送する移送機構32を有し、ピッキング装置18は、第3の荷を第2収容部26sへ移動させる。この場合、最上収容段24p以外の収容段24sの荷10をピッキングすることができる。
【0064】
ピッキング装置18は、平面視において保管棚22と重複する位置に設けられている。この場合、平面視のピッキングスペースを削減できるので、敷地のスペース効率を向上できる。
【0065】
以下、本発明の第2、第3実施形態を説明する。第2、第3実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0066】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、自動倉庫システム100の動作方法S80である。この動作方法S80は、荷10を保管する収容部26を複数有する保管棚22を備えた自動倉庫システムの動作方法であって、第1収容部26pに保管された第1の荷10aを、第2の荷10bが保管された第2収容部26sへ移動させてピッキングを行うことと、第2収容部26sに保管された第1の荷10aと第2の荷10bとを合わせて保管棚22から搬出することと、を含む。動作方法S80によれば、保管棚22内でピッキングを行うので、ピッキング用のスペースを削減できる。
【0067】
動作方法S80において、保管棚22は、収容部26が水平方向に複数並べられた収容段24を有し、収容段24は、垂直方向に複数並べて設けられており、上述のピッキングを行うことは、複数の収容段24のうち最も上の最上収容段24pにて行われてもよい。この場合、比較的余裕のある最上収容段24pの上方空間を有効利用できるので自動倉庫システム100のスペース効率を高められる。
【0068】
動作方法S80は、複数の収容段24のうち最上収容段24p以外の収容段24sの第3の荷10cを最上収容段24pに移送することをさらに含み、上述のピッキングを行うことは、最上収容段24pに移送された第3の荷10cを第2収容部26sに移動させることを含んでもよい。この場合、最上収容段24p以外の収容段24sの荷10をピッキングすることができる。
【0069】
動作方法S80において、保管棚22内で上述のピッキングを行う間に、第1の荷10a及び第2の荷10bとは別の荷10を、保管棚22への搬入又は保管棚22からの搬出を行ってもよい。この場合、ピッキングを行う間にも入庫・出庫を行えるので、自動倉庫システム100の稼働効率を高められる。
【0070】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、自動倉庫システム100を用いる荷の入出荷方法S90である。この入出荷方法S90は、同一種の荷が複数積まれた単載パレット12Sを入荷し、入荷した単載パレット12Sを自動倉庫システム100へ入庫して保管し、自動倉庫システム100内で、出荷対象の荷を単載パレット12Sから取り出して一のパレット上に載置し、当該一のパレット上に複数種の荷が積まれた混載パレット12Mを作成し、混載パレット12Mを、自動倉庫システム100から出庫して出荷する。
【0071】
入出荷方法S90は、第1実施形態で説明した、入庫動作、ピッキング動作および出庫動作を組み合わせることにより実現できる。
【0072】
入出荷方法S90によれば、単載パレット12Sを入荷してから混載パレット12Mを出荷するまでに要する人手やスペースを削減できる。
【0073】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0074】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0075】
[第1変形例]
第1実施形態の説明では、入庫部50および出庫部52が各段に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、全段に対して単一の入庫部50と出庫部52とを設けて、それぞれの入庫部50と出庫部52とに昇降装置34が連設されてもよい。
図15は、第1変形例の入庫部50および出庫部52の周辺を示す平面図である。この図は、それぞれの入庫部50と出庫部52とに昇降装置34が連設された構成を示している。この場合、入庫対象の荷載パレット12は、フォークリフト54によって外部運搬手段56から入庫部50に搬入され、昇降装置34によって目的の段に移送される。また、出庫対象の荷載パレット12は、昇降装置34によって保管されていた段から出庫部52に移送され、出庫部52から運搬手段56に積み出される。
【0076】
第1変形例では、昇降装置34が、入庫部50・出庫部52と第2レール44との間に配置される例を示したが、昇降装置34は、入庫部50または出庫部52の第2レール44とは反対側に配置されてもよい。また、昇降装置34は、入庫部50または出庫部52のX軸方向の正側または負側に配置されてもよい。この場合、入出庫作業に有利な配置を選択できる。
【0077】
[第2変形例]
第1実施形態の説明では、昇降装置34が第2レール44の端部のY軸方向に配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2レール44の端部よりもX軸方向の正側に別の昇降装置36が設けられてもよい。
図16は、第2変形例の入庫部50および出庫部52の周辺を示す平面図である。この図は、第2レール44の端部に別の昇降装置36が設けられた構成を示している。第2変形例では、昇降装置36は、第1台車14を搭載した第2台車16を、一の段から別の段に昇降させることができる。
【0078】
[その他の変形例]
第1実施形態の説明では、各保管棚22a、22b、22cの段数が同じである例を示したが、本発明はこれに限定されない。保管棚22は段数が他と異なる部分を含んでもよい。例えば、保管棚22のうちピッキング装置18を設置する部分については、ピッキング装置18設置用のスペースを確保するために、段数が他と異なる部分が設けられてもよい。
【0079】
第1実施形態の説明では、ピッキング装置18の保持部18hが吸着力によって荷10を保持する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ピッキング装置の保持部はアームとハンドとによって荷を保持する構成であってもよい。
【0080】
第1実施形態の説明では、ピッキング装置18が、ガントリ型のクレーン機構によって天井側から支持される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ピッキング装置は側方の横壁に取付けられ、側方から支持される構成であってもよい。
【0081】
第1実施形態の説明では、搬出装置28の動作、移送機構32の動作、入庫動作、ピッキング動作および出庫動作についてその一例を示したが、本発明はこれに限定されない。これらの動作はあくまでも一例であり、他の動作を追加したり、一部の動作を削除または変更したり、動作の順序を変更したりしてもよい。
【0082】
第1実施形態の説明では、ピッキング動作が単載パレット12Sから荷10を取り出して混載パレット12Mを作成する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ピッキング動作は、混載パレット12Mから荷10を取り出す動作を含んでもよいし、取り出した荷10によって単載パレット12Sを作成する動作であってもよい。また、ピッキングによって作成された単載パレット12Sを出庫するようにしてもよい。
【0083】
第1実施形態の説明では、ピッキング動作において、複数の第1収容部26p-A、26p-B、26p-Cから単一の第2収容部26sにピッキングを行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。複数の第1収容部26pから複数の第2収容部26sにピッキングを行うようにしてもよい。
【0084】
第1実施形態の説明では、
図14において、複数の第1収容部26p-A、26p-B、26p-Cが、Y軸方向に一列に配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。複数の第1収容部を一列に配置することは必須ではなく、それぞれ離隔して配置されてもよい。
【0085】
第1実施形態の説明では、複数に分割された保管棚の一部を可動域とするピッキング装置18が設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、非分割の保管棚に当該保管棚の全体を可動域とするピッキング装置18が設けられてもよい。
【0086】
第1実施形態の説明では、ピッキング装置18の全体が平面視で保管棚22と重複する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ピッキング装置18の一部は保管棚22の平面範囲内から外へ張り出してもよい。
【0087】
フォークリフト54に代えて、クレーンを備えた移載装置など、別の種類の移載装置によって、荷載パレット12を搬入、搬出するようにしてもよい。
【0088】
これらの各変形例は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0089】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0090】
10・・・荷、12・・・荷載パレット、12M・・・混載パレット、12S・・・単載パレット、18・・・ピッキング装置、20・・・荷揃え部、24p・・・最上収容段、24、24s・・・収容段、26・・・収容部、26p・・・第1収容部、26s・・・第2収容部、28・・・搬出装置、32・・・移送機構、100・・・自動倉庫システム。