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  • 特許-長尺材ラック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】長尺材ラック
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20241004BHJP
   A47B 81/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65G1/14 G
A47B81/00 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023122217
(22)【出願日】2023-07-27
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢太
(72)【発明者】
【氏名】柿村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】大政 英治
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202012102130(DE,U1)
【文献】特開2021-147121(JP,A)
【文献】実公昭54-38269(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
A47B 81/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設した支柱を設け、該支柱に対し、腕部を外側方向に突設し、
該腕部の先部に、支持アームの他端部を、上下方向を軸とする回転軸を中心として回動可能に設け、
支持アームの一端部に、受け部を回動可能に設け、
前記支持アームが、前記腕部の軸芯の直線上に位置する状態から、時計方向と反時計方向の何れにも回動でき、
前記受け部の収納状態において、前記支持アームの前記腕部の軸芯の直交軸に対する引き込み角度を、45度より小さくしたことを特徴とする長尺材ラック。
【請求項2】
前記腕部を、前記支柱に対し両側方向に突出するように貫通して設けたことを特徴とする請求項1記載の長尺材ラック。
【請求項3】
前記支柱と前記腕部と前記支持アームを少なくとも有する構成ユニットを形成し、該構成ユニットを、複数配置したことを特徴とする請求項2記載の長尺材ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺材ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や物流拠点において、パイプ等の長尺材を保管する際に、保管棚のスペースを小さくするとともに、長尺材の取り出し作業や搬入作業時における作業性の向上を図るために、スイングアームによる展開式の長尺材ラックが使用されている。
【0003】
従来、支柱に回動自在に支持アームを左右方向に複数設け、支持アームの先端部に長尺材を収納する受け部を回動可能に設けられ、支持アームは、90°の範囲で回動できるようになっている。また、左右方向に位置する複数の受け部を、連結棒で連結することで、複数の受け部を連動させて、同時に収納状態と、引き出した状態とにすることができる長尺材ラックが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
この長尺材ラックにおいては、支柱と干渉を避け、収納する長尺材を増やすために受け部を大型化するには限界があり、長尺材ラックを大型化することが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、受け部を大型化しても、支柱との干渉をさけることができるように、支柱から、水平方向の外側方向に腕部を突設し、この腕部に対し、支持アームを設けるようにした長尺材ラックが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公昭54-38269号公報
【文献】実公昭57-1794号公報
【文献】独国実用新案出願202012102130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献3記載の長尺材ラックは、支持アームが、腕部の軸芯に対する角度が180°、すなわち、腕部の軸芯の直線上に位置する引き出し状態から、その角度が0°となる収納状態まで回動できるようになっている。
【0008】
そのため、受け部の収納状態から受け部を引き出すためには、受け部を横方向に移動させる力も必要となり、受け部に長尺部材が収納された状態では、人力で受け部を回動させるには大変重く、作業性が悪くなってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、人力でも受け部を容易に引き出すことができる長尺材ラックを提供すことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明は、立設した支柱を設け、該支柱に対し、腕部を外側方向に突設し、
該腕部の先部に、支持アームの他端部を、上下方向を軸とする回転軸を中心として回動可能に設け、
支持アームの一端部に、受け部を回動可能に設け、
前記支持アームが、前記腕部の軸芯の直線上に位置する状態から、時計方向と反時計方向の何れにも回動でき、
前記受け部の収納状態において、前記支持アームの前記腕部の軸芯の直交軸に対する引き込み角度を、45度より小さくしたことを特徴とするものである。
【0011】
また、前記腕部を、前記支柱に対し両側方向に突出するように貫通して設けてもよい。
【0012】
また、前記支柱と前記腕部と前記支持アームを少なくとも有する構成ユニットを形成し、該構成ユニットを、複数配置してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、支持アームが、腕部の軸芯の直線上に位置する状態から、時計方向と反時計方向の何れにも回動でき、受け部の収納状態において、支持アームの腕部の軸芯の直交軸に対する引き込み角度を、45度より小さくしたことにより、上記特許文献3記載の長尺材ラックよりも、小さな力で受け部を引き出したり、収納したりすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る長尺材ラックの正面図。
図2図1の横断面図。
図3図1の長尺材ラックへの長尺材の搬入方法を説明するための左側面図。
図4図2の要部拡大図
図5図1の支持アームと腕部と受け部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の長尺材ラックに係る実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例の長尺材ラック1の正面図で、図2は、図1の横断面図で、図3は、図1の左側面図である。
【0017】
長尺材ラック1は、図1図2に示すように、上下方向に立設した支柱2を複数有し、その中心が一直線上に位置するように配置されている。支柱2を、本実施例では角パイプで構成したが、所定の強度を確保できれば任意の断面形状、構造とすることが出来る。
【0018】
支柱2の下部には、支柱2の軸と直交する前後方向に軸が位置する脚2aが設けられ、脚2aはアンカーボルト2bにより床等に固設されている。
【0019】
支柱2には、前後方向に貫通する貫通孔2cが上下に複数形成されている。各貫通孔2cには、図2図4に示すように、腕部3が貫通挿通されるとともに、腕部3が溶接により支柱2に対し固設されている。これにより、腕部3が、支柱2に対し両側方向に突出するように貫通固定されている。図1図3に示すように、各支柱2には、上下方向に複数の腕部3が固設されている。
【0020】
各腕部3の軸方向における外側に位置する一方の端部である先部3aには、支持アーム5の他端部5aが、上下方向に設けた回転軸5bを中心として回動可能に連結されている。本実施例では、回転軸5bとして、ピポット軸を用いた。このピポット軸の周囲にボールベアリング等のベアリングを介在させるとより好ましい。なお、支持アーム5を、回転軸5bを中心として回動できれば、上記の構造以外にも、任意の構造を用いることが出来る。
【0021】
また、支持アーム5を、モータやアクチュエータ等の回動アシスト装置を用いて、各腕部3に対して回動するようにしてもよい。
【0022】
支持アーム5の先端部である一端部5cには、受け部7が、上下方向に設けた回転軸7aを中心として回動可能に連結されている。受け部7は、上方が開口するコ字状に形成されている。受け部7の形状は、長尺材10を複数本収納することが出来れば、任意の形状に形成することが出来る。
【0023】
受け部7の側面には、操作ハンドル8が固設されている。
【0024】
支柱2の上部には固定受け部9が固設され、固定受け部9、9、9の上部にも長尺材10を載置できるようになっている。
【0025】
支柱2、腕部3、支持アーム5、受け部7、固定受け部9により1つの構成ユニット11が構成されている。この構成ユニット11を、形成したい長尺材ラック1の大きさに応じて、複数本横方向に配置して長尺材ラック1を構成する。本実施例においては、構成ユニット11の数を3つとし、各構成ユニット11の高さと腕部の数を、すべて同じように構成した。隣接する構成ユニット間11,11の間隔は、収納する長尺材10の重量等に応じて、適宜決定する。
【0026】
構成する長尺材ラック1において、各構成ユニット11の高さと腕部3の数を、全て同じとしてもよいし、異なる複数の高さ、及び、腕部3の数の構成ユニット11を混合して構成するようにしてもよい。
【0027】
同じ高さに位置する受け部7,7,7の支柱2側の外面には、図5に示すように、連結部材13が固設され、同じ高さに位置する受け部7,7,7は連結部材13により連結されている。
【0028】
支持アーム5は、図5に示す実線のように、支持アーム5の軸芯が、腕部3の軸芯X-Xと一直線上となるように、受け部7を引き出した位置から、上方から見て時計方向Aと反時計方向Bの何れの方向にも回動できるようになっている。
【0029】
支持アーム5を、図5の実線に示す状態から、時計方向A又は反時計方向に回動させると、図5の点線に示すように、連結部材13が支柱2の側面と当接して、それ以上、支持アーム5が回動できないように、位置決めされるようになっている。この状態が、受け部7の収納状態となる。
【0030】
受け部7の収納状態において、支持アーム5の可動平面上において、支持アーム5の軸芯Y-Yにおける支持アーム5の腕部3の軸芯X-Xの直交軸Z-Zに対する引き込み角度αを、0度より大きく45度より小さくした。本実施例では25度とし、支持アーム5の可動範囲βを230度とした。
【0031】
支持アーム5の腕部3の引き込み角度αを、0度より大きく45度より小さくしたことで、上記特許文献3記載の長尺材ラックで必要な受け部7を横方向に移動させる力が不要となり、小さな力で受け部7を回動させることが出来る。これにより、本発明の長尺材ラック1は、人力でも受け部7を容易に引き出したり、収納したりすることが出来、作業性を向上できる。
【0032】
全ての受け部7が収納された状態から、使用したい受け部7,7,7の何れかの操作ハンドル8を、引っ張ることで、受け部7の収納状態から、支持アーム5を回動させて、受け部7を引き出す。この際、連結部材13で連結されている同じ高さに位置する左右方向に位置する他の受け部7,7も連動して、図3に示すように、使用したい段(図1図3においては下から3段目の奥)の受け部7,7,7のみが引き出される。
【0033】
受け部7を引き出した状態を、図示しないストッパー等により、その位置が保持されるようにしてもよい。
【0034】
次に、図3に示すように、クレーン等を用いて、複数の長尺材10を受け部7,7,7に跨るように搬入したり、使用するために搬出したりすることが出来る。人手により、1本又は複数本ずつ長尺材10を、搬入又は搬出するようにしてもよい。
【0035】
支持アーム5を、図5の実線に示す状態から、時計方向A又は反時計方向に、に回動させることができるようにしたことにより、長尺材10の搬入、搬出作業において、作業性の自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 長尺材ラック
2 支柱
3 腕部
5b 回転軸
5 支持アーム
7 受け部
【要約】
【課題】人力でも受け部を容易に引き出すことができる長尺材ラックを提案する。
【解決手段】立設した支柱2を設け、該支柱2に対し、腕部3を外側方向に突設し、該腕部3の先部に、支持アーム5の他端部を、上下方向を軸とする回転軸5bを中心として回動可能に設け、支持アーム5の一端部に、受け部7を回動可能に設け、前記支持アーム5が、前記腕部3の軸芯の直線上に位置する状態から、時計方向Aと反時計方向Bの何れにも回動でき、前記受け部7の収納状態において、前記支持アーム5の前記腕部3の軸芯の直交軸に対する引き込み角度αを、45度より小さくした。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5